3. Webブラウザを使う
3.1. Microsoft Edge
ブラウズモードの基本の説明を踏まえて、Webブラウザの使い方を紹介します。
このセクションは Windows 11 と Microsoft Edge で確認した操作をご紹介しています。
紹介している操作は Google Chrome でもだいたい同じです。
このセクションは Mozilla Firefox の解説から改訂を行っている途中です。 ブラウザ名などの表記が実際と異なる場合があります。
Microsoft Edge は Microsoft が推奨する現在の Windows の既定のブラウザです。
Microsoft Edge を起動するには、 Windows キーを押して、 半角全角キーを押して日本語入力を「変換停止」の状態にして、 アルファベットで edge と入力して Enter キーを押します。
3.2. Mozilla Firefox
Firefox を使わない場合は次の節に進んでください。
3.2.1. Firefox の概要
Mozilla Firefox (ファイヤーフォックス)は Mozilla (モジラ)という非営利法人によって開発され、無料で公開されています。
ここに「Firefox をダウンロード」というリンクがあり、 セットアップのためのファイルをダウンロードできます。
Firefox そのものは非常にバージョンアップの早いブラウザで、 6週間ごとにバージョンがひとつずつ増えています。 これは、インターネットの新しい技術を開発したり、不具合を修正したりすることを、 できるだけ頻繁に行うためです。
Firefox のバージョンアップはほとんど自動的に行われますし、 使い方が大きく変わることも滅多にありません。 使っているあいだに Firefox のバージョンを意識する必要はほとんどありません。
NVDA と Firefox はいろいろな意味で似ているだけでなく、 お互いに協力し合いながら開発されているので、 Web のアクセシビリティについての最新の技術が、 NVDA と Firefox の組み合わせにだけ対応している、ということも少なくありません。
2017年から2018年にかけて Firefox は大きなバージョンアップを行い、 一時的に NVDA で使いにくい状況が起きていました。 現在は最新の Firefox と NVDA の組み合わせが問題なく使えます。
3.2.2. Firefox のインストール
お使いの Windows に Firefox をインストールする方法をご紹介します。
「セットアップの種類」は「標準インストール」で大丈夫です。
「Firefox をインストールする準備ができました」という画面で 「Firefox を既定のブラウザとして使用する」 という項目があります。
ここでは、コンピューターの設定をなるべく変更しないで、 ただ Firefox のインストールだけをしたいと思います。 この項目が有効になっていたら、いったん「チェックなし」に変更して、 それから「インストール」のボタンを押しましょう。
インストールにはすこし時間がかかりますが、やがて 「Mozilla Firefox のセットアップを完了します」という画面になり、 「今すぐ Firefox を起動」という項目が有効になった状態で、 フォーカスが「完了」のボタンにあります。
初めてインストールしたときには、 この「完了」を押すとすぐに Firefox の「設定移行ウィザード」が開始します。 Internet Explorer から「お気に入り」やパスワードなどの情報を移行することができます。
続いて Firefox が起動して、 「既定のブラウザの設定」というダイアログが表示されます。
「Firefox は現在既定のブラウザに設定されていません。
既定のブラウザに設定しますか?」
という質問です。 このコンピューターのブラウザの設定を変更したくなければ、 「Firefoxを起動するとき毎回既定のブラウザを確認する」 のチェックを外して、このダイアログの「いいえ」のボタンを押すとよいでしょう。
起動の方法をちゃんと確認したいので、いったん Firefox を終了しましょう。 Alt+F4 を押すとすぐに終了せず、次のようなダイアログが出ることもあります。
「タブを閉じる確認
複数 (2) のタブを閉じようとしています。
すべてのタブを閉じてよろしいですか?」
ここで「OK」を押せば Firefox は無事に終了します。 「タブ」の使い方は後でじっくり練習しましょう。
3.2.3. スタートメニューから Firefox を起動する
スタートメニューやスタート画面で Firefox を起動するには、 Windows キーを押して、 半角全角キーを押して日本語入力を「変換停止」の状態にして、 アルファベットで firefox と入力します。 もしかすると途中まで入力すると
「モジラ・ファイヤフォックス・アプリ」 または 「プログラム グループ 展開 モジラ・ファイヤフォックス」
と読み上げられるかも知れませんが、その場合は、そこで入力を中断してもかまいません。 Enter キーを押すと Firefox が起動します。
「Mozilla Firefox スタートページ ドキュメント エディット オートコンプリート 空行」
のように読み上げられます。
これは「Mozilla Firefox スタートページ」というドキュメント(文書)で、 ネットにつながなくても Firefox に最初から入っている内容です。
ここから Google の検索がすぐにできるように、 キーワードを入力するエディットボックスと、 検索を実行するボタンが用意されています。
Tabキーでどんどんフォーカスを移動していくと、 ページの内容ではない(画面の一番上に表示されている) 要素にもフォーカスが移動します。次のようなものです:
「ブラウザタブ ツールバー タブコントロール モジラ・ファイヤフォックス スタートページ タブ 選択」
「ナビゲーションツールバー ツールバー URLまたは検索語句を入力します コンボボックス 折りたたみ エディット オートコンプリート 空行」
「Google で検索します コンボボックス 折りたたみ エディット オートコンプリート 空行」
3.3. Web ブラウザにアドレスを入力する
ここから Microsoft Edge と Mozilla Firefox で共通の説明となります。
Web ブラウザにアドレスを入力するために、Web ブラウザのショートカットをひとつ覚えましょう:
Alt+D:ナビゲーションツールバーに移動 (または Ctrl+L も使えます)
それから一般的な Windows アプリケーションの作法ですが、 以下も確認しておくとよいでしょう。
Alt+F:アプリケーションのメニューが開く。 上下の矢印キーでメニュー項目の選択ができる。 Firefox の場合は「ファイル」メニューが選択され、左右キーで他のグループを選択できる。
Alt+スペース:システムメニュー(「元のサイズに戻す」「最小化」など)が開く
Alt+F4:アプリケーションの終了
Alt+D でナビゲーションツールバーに移動したあとで、 開きたいサイトのアドレスを入力して Enter キーを押すと 入力したアドレスのサイトを開くことができます。
日本語入力は「変換停止」の状態なので、ここで
www.nvda.jp
と入力してください。 入力の途中で「オートコンプリート」という機能がはたらいて、 まだ入れていない文字をどんどん読み上げるかも知れませんが、 あえてそれは聞かないようにして、自分が入力したい文字を確実に 打ち込むように心がけてください。
NVDA+Tabキーを押すと以下のように確認できるはずです。
「エディット フォーカス オートコンプリート www.nvda.jp」
間違えたので最初から入力をしなおしたい、というときには、 まず入力した文字をすべて選択して削除しておくとよいでしょう。 例えば wwe.nvda.jp と入れてしまったとすると、
Ctrl+A を押す: 「wwe.nvda.jp 選択」
Delete を押す: 「選択項目削除」
このほかに、左右の矢印キーで1文字ずつ移動して、バックスペースや デリートの操作を行って、間違えた文字を直すこともできます。
3.4. Web ブラウザでドキュメントを読む
ナビゲーションツールバーに入れたアドレスが正しいようなら Enter を押してください。
「NVDA日本語版 ダウンロードと説明」 というページが開いて、読み上げが始まります。 最後まで聞かなくてよいので、 Shift キーを押して、読み上げを止めてください。
NVDA メニューの設定「ブラウズモード」「ページ読み込み時に自動的に読み上げる」 をチェックなしにすると、ページを読み込んだときに自動的に読み上げなくなります。
なお、ナビゲーションツールバーに入れるアドレスの先頭には 本当は http:// をつける必要がありますが、 最近のブラウザはこれを省略できるようになっています。
テキストを確認する操作がこの状態で使えます。 いくつか復習しましょう。
ラップトップ配列:
NVDA+上矢印:前の行に移動
NVDA+Shift+ピリオド:現在の行を読み上げ
NVDA+下矢印:次の行に移動
デスクトップ配列:
テンキー7:前の行に移動
テンキー8:現在の行を読み上げ
テンキー9:次の行に移動
一文字ナビゲーションも使えます。
Web ブラウザでは上下の矢印キーはフォーカスやテキストカーソルを移動しながら 「前の行」「次の行」に移動する操作として使えます。
ドキュメントを連続して読む操作を紹介します:
ラップトップ配列:
NVDA+A:すべて読み上げ
NVDA+L:現在テキストカーソルのある行の読み上げ
デスクトップ配列:
NVDA+下矢印:すべて読み上げ
NVDA+上矢印:現在テキストカーソルのある行の読み上げ
キーボード設定「すべて読み上げで流し読みを許可」をチェック(有効に)しておくと、 「すべて読み上げ」の途中で一文字ナビゲーションの操作をしても、 ジャンプして読み上げを止めるのではなく、ジャンプしたところから 自動的に読み上げを再開します。
3.5. ドキュメントの中でリンクを探す
このページの中で「チュートリアル」という見出しの中にある 「Web閲覧の操作」 というリンクを探しましょう。
その方法はいろいろありますが、 使うのはどれも「ブラウズモード」の説明で紹介した機能です。
まず、1文字ナビゲーションで K を押し続けていけば、 「Web閲覧の操作 未読 リンク」 という項目になんとかたどり着くことができます。 行きすぎたら Shift+K で戻ってください。 まだリンクを開かないでください。
なお、もし過去にこのリンク先のドキュメントを開いたことがあれば 「未読」ではなく「既読」と通知されます。
リンクを探す2番目の方法です。 見出し「チュートリアル」を探せば、ちょっと近道ができます。
具体的には H を押し続けて「チュートリアル 見出し レベル2」を見つけて、 そこから下矢印キーを3回押せば 「未読 リンク Web閲覧の操作」 が見つかります。
リンクの探し方の3番目は「要素リスト」を使う方法です。 NVDA+F7 を押して、要素リストのダイアログを開きます。
種別「リンク」になっているので、そのままツリービューを 下矢印キーでたどっていくと 「Web閲覧の操作 21の44 レベル0」 のような項目が見つかります。
Tabキーを3回押して「移動(M)ボタン」でスペースを押すと、 「Web閲覧の操作 未読 リンク」 に移動できています。
4番目は「NVDAのページ内検索」を使う方法です。
NVDA+Ctrl+F:ブラウズモードのドキュメントを検索
エディットボックスに 「Web閲覧」 と入力
Tabキーを押す 「OK(O)ボタン」
スペースを押す
文字を入力するところを丁寧に書くと:
半角全角キー
「変換停止」
Shift+W e b
Enter
「ウェブ」
半角全角キー
「文字変換」
e t u r a n n スペース
「エツランスルノエツ カンランノラン」
Enter
「閲覧」
半角全角キー
「変換停止」
スペースを押すと「検索」ダイアログが閉じて、 「未読 リンク Web閲覧の操作」 と読み上げます。これでフォーカスはこの要素に移動した状態になっています。 (NVDA+Tabキーで確認できます)
ドキュメントにこのキーワードが2回以上出てくるときのために、 文字列を入れ直さずに検索を繰り返すことができます。
NVDA+F3:現在の場所から同じ検索を繰り返す
NVDA+Shift+F3:現在の場所から逆方向に同じ検索を繰り返す
今回のドキュメントでは1回しか文字列が出てこないので 「検索エラー ダイアログ テキスト Web閲覧 は見つかりません」 というメッセージが出てしまいます。 これは、見つかった場所からさらにもう1回探そうとしたのですが、 2回目は見つかりませんよ、という意味です。
3.6. フォーカスモードとブラウズモード
いままでの操作で NVDA のフォーカスモードが重要なので、補足しておきます。 NVDA+スペース を押すたびに「ガシャ」「ポン」「ガシャ」「ポン」と モードが切り替わる、という説明は覚えていますか?
「ポン」の状態(ブラウズモード)にしないと1文字ナビゲーション、 例えば K を押して「次のリンクに移動」する機能は使えません。
「ガシャ」の状態(フォーカスモード)では、NVDA ではなく Webブラウザ がキー入力を受け取って動作します。 Webブラウザ がキー入力を特別な機能に割り当てている場合もあります。
例えばフォーカスモードで上下矢印キーを押すと画面は上下にスクロールします。 このときに読み上げはありません。 上下矢印キーで項目を移動して読み上げるのは NVDA のブラウズモードの機能なので、 「ポン」の状態に戻す必要があるのです。
3.7. Webブラウザのページ内検索とアクセシビリティ機能
実はリンクを探す5番目の方法としてWebブラウザの「ページ内検索」があります。
Microsoft Edge では Ctrl+F を押すと「ページで(ページタイトル)を検索します。ダイアログ」と読み上げて、 ページ内検索にフォーカスが移動します。 ページ内検索ダイアログを閉じるには Esc キーを押します。 落ち着いて操作してください。
また Firefox の場合は、 NVDA のフォーカスモードで、 シングルクオート ‘ やスラッシュ / を押すと Firefox の「クイック検索」のバーが表示されてしまいます。 Esc キーを押すとクイック検索バーは閉じます。
Edge や Firefox のアクセシビリティ機能として F7 キーを押すと「キャレットブラウズ」のモードを切り替えることができます。 キャレットブラウズモード(ページ中の移動にカーソルを使用する)ではテキストカーソルは常に表示され、 矢印キーでテキストカーソルを上下左右に移動できます。 ちょうどテキストエディタやワードプロセッサーで、 読み取り専用のドキュメントを操作しているような感じになります。
また Firefox にはアクセシビリティ機能として 「キー入力時に検索を開始する」というオプションもあります。 このオプションが有効で、さらに NVDA がフォーカスモードだと、 シングルクオートやスラッシュを押さなくても、 なにかキー入力をするだけで「クイック検索」が始まって、 Firefox のページ内検索が動きだします。
Webブラウザのアクセシビリティ機能は、いちおう知っておくと、 NVDA との組み合わせでのトラブルを解決しやすくなると思います。 しかし NVDA のフォーカスモードでWebブラウザ のキャレットブラウズやクイック検索を使うよりも、 まずは NVDA のブラウズモードの操作に慣れることをお勧めします。
3.8. ページの先頭に移動する
今回のリンクを探す操作を、何度もやり直して練習したい人のために Webブラウザの以下のショートカットもご紹介しておきます:
Ctrl+Home:ページの先頭に移動
この操作は、フォーカスモードではただ一番上にスクロールするだけですが、 ブラウズモードで実行すればページ先頭要素の読み上げをしてくれます。
3.9. Webブラウザのタブを活用する
Webブラウザには「タブ」という機能があり、ひとつのウインドウに複数のドキュメントを読み込ませて、 画面の上にある押しボタンのような切り替えのしくみで簡単に切り替えることができます。
このガイドブックでは、キーボードのTabキーはアルファベットで、ブラウザのタブはカタカナで表記しています。
さきほどの操作でたどり着いた「Web閲覧の操作」のリンクは、 Enter を押すと普通に開いてしまい、新しいページに移動するのですが、 ここでは「新しいタブ」で開いてみましょう。
アプリケーションキーを押して「コンテクストメニュー」を開いてください。 Shift+f10 キーもアプリケーションキーの代わりに利用できます。
下矢印を押すと 「リンクを新しいタブで開く」 が最初に出てくるので Enter を押してください。
リンクを「新しいタブ」で開いたのですが、 現在のウィンドウは何も変化なくそのまま操作できます。
NVDA+T:現在のウィンドウのタイトルを報告
「NVDA 日本語版 ダウンロードと説明 Mozilla Firefox」
しかし「タブ」を切り替えると、先ほど開いた 「NVDA日本語版 操作ガイド」 に移動できます。タブを切り替えるWebブラウザの操作を試してください。
Ctrl+Tabキー:次のタブに移動 (Ctrl+Page Down でも同じ)
「NVDA日本語版 操作ガイド ドキュメント」
ドキュメントが丸ごと別の内容に入れ替わったように感じると思います。
ここで紹介した「NVDA 日本語版 操作ガイド」(Web閲覧の操作)は、ブラウズモードの操作の 練習に使っていただける内容がたくさん含まれています。 ぜひご活用ください。
なお、開くアドレスが最初からわかっている場合は、 ナビゲーションツールバーから「新しいタブで開く」ことができます。 Alt+D で移動して www.nvda.jp と入力して Alt+Enter を押してください。
3.10. Webブラウザのキーボードショートカット
3.10.1. Microsoft Edge のキーボードショートカット
Microsoft Edge のキーボードショートカットは下記で確認できます。
3.10.2. Firefox のキーボードショートカット一覧
Firefox のキーボードショートカット一覧を開く方法を紹介します。 Alt をポンと1回押して離して、左矢印キーを1回押すと、 ぐるっと回って一番右端の「ヘルプ」のグループに移動するので、 下矢印キーを3回押して「キーボードショートカット」で Enter を押してください。 新しいタブで「キーボードショートカット」という Mozilla サポートのドキュメントが開きます。
以上でWebブラウザの操作の基本の説明は終わりです。