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【皮モノ】絶対姉貴っ!
Tira
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=109022
2010-11-25
あと一週間で結婚してしまう姉貴の事が大好きな智一が手にしたのは、文化祭で使用する黒い全身タイツ。そのタイツは、他人の体をコピーできるものだった。
#R-18
#皮モノ
#姉
#ウェディングドレス
#成りすまし
#オナニー
#ちょっとだけエッチ
#全身タイツ
「あと一週間ね、政代」
「あ、うん」
「智一も寂しくなるわね」
「別に。これで姉貴の部屋は俺が使ってもいいんだよな」
「ふふ。またそんな強がり言って。本当は寂しくて仕方ないんでしょ」
「そ、そんな事無いって」
「政代も二十四だもんな。寂しいけど父さん、お前がいい人を見つけてくれたからホッとしたよ」
「うん。私も彼に会えてよかった」
「…………」
 智一の六歳年上である姉、政代は後一週間で二年間付き合ってきた彼氏と結婚式を挙げる。嬉しそうに話している政代に強がった言葉を投げる智一だが、本心ではとても寂しいと感じていた。
これまで姉弟として過ごしてきた十八年間が、後一週間で終わると思うと心の中にぽっかりと穴が開いてしまいそうな気がするのだ。
 いつかはこうなると分かっていたが、十八年と言う長い年月をそう簡単に思い出には出来ない。
 それに結婚すれば、たまに帰ってくるとしても年に数回くらいだろう。姉弟として母親以上に可愛がってくれた政代。
 後一週間。後一週間で政代はフィアンセと共に智一から離れていってしまう。
(俺、姉貴の事が好きだったのにな。いや、好きというよりも……)
 誰にも言えない気持ちを堪えながら、智一は後数回しかない家族揃っての夕食を取った。
「どうお母さん? 似合う?」
「すごく素敵よ。私の若い頃にそっくりだわ」
「ほんとに~? ねえ智一。どう?このウェディングドレス、綺麗でしょ」
「ま、まあね」
 純白のウェディングドレスが家に届けられた翌日、政代は早速、嬉しそうに試着してみた。タンクトップと短パン姿の彼女が、ウェディングドレスを手に取り着始める。胸元が大きく開いているプリンセスラインのウェディングドレスは、ウェストが見た目よりも引き締まっていて裾が上品に広がり、その名の通りお姫様のように見えた。白いロングのウェディンググローブに両手を通し、首には大きなパールがついたチョーカーを飾る。そして、頭には小さなガラスの玉が敷きつめられ、キラキラと光る銀のティアラをつけた。
 数日後に行われる結婚式のために、一年かけて伸ばしてきた黒いストレートの髪が白いウェディングドレスの背中にとてもよく似合っていた。
 そんな政代の姿を母親と一緒に見ていた智一。
 チラッ――チラッと横目で見ている。 何だか恥ずかしくてまともに見ることが出来ないのだ。
 だって、すごく綺麗だから――。
 ウェディングドレスと言うよりも、そのドレスを着こなしている政代の姿に心を奪われてしまう。姉弟とはいえ、全く違う顔つきの姉。モデルとして雑誌に掲載された事がある程の容姿を備えているのだから。
 そんな政代に『好き』という感情以上の気持ちを持っていた智一は、眩い彼女の姿をまともに見ることが出来ないでいた。智一の気持ちを全く知らない政代は、姿見の前で嬉しそうにウェディングドレスを着た自分の姿を眺めると、母親と一緒にシワが寄らない様、一緒に送られてきたドレス掛けに戻した。
「このドレスを着て式を挙げるのね。お母さん、嬉しいけどやっぱり寂しいわ」
「お母さん……」
「別に一生会えなくなるわけじゃないのにさ。姉貴は大げさなんだから」
「ふふ、そうよね。智一」
「じゃあ俺、部屋に戻るから」
「うん……」
わざとそっけない態度を取った智一は、軽く手を挙げると自分の部屋へ戻った。
「あ~あ」
 空しさだけが心に残る。智一はベッドに倒れ込むと、寂しい気持ちを紛らわすかの様にステレオのボリュームを大きくして音楽を聞いた――。
 次の日、高校の昼休み。
「ほら、お前が着るタイツ、買ってきてやったぞ」
「タイツ?あ、ああ。文化祭のやつか」
「文化祭のやつかって、もう十日しかないんだぞ」
「そうだっけかな」
「……まあ、お前は台詞がないから楽だろうけど、俺は何たって主役だから忙しいんだ。ちゃんとフォローしてくれよ」
「ああ。分かってるって」
 智一は政代の事が気になって、文化祭なんて行事には全く興味が湧かないようだ。買いに行くのが邪魔臭いと言って、クラスメイトに無理矢理買って来てもらった全身タイツを受け取った智一は、それをカバンに詰め込んで家に帰った。
「文化祭か。邪魔臭いよな」
毎年恒例の文化祭。智一のクラスでは演劇部の部長をしている倉田が皆を先導し、劇をする事になっていた。彼が強引に決めたのだが、女子生徒達は結構やる気満々だったりする。男子生徒についてはまちまちだが、担任の先生が協力する事で何とかまとまっていた。
 智一も裏方で舞台に上がるのだが、今日受け取った黒い全身タイツを着て背景などを移動するだけなので、目立つ役ではない。だから、台詞を必死に覚える必要は無いのだ。
「こんな気分の時に、文化祭なんて出たくないな。姉貴が結婚してすぐじゃないか」
 部屋に戻った智一はビニール袋を開けて、妙な手触りのする黒い全身タイツを取り出した。
「へぇ~、変わった手触りだな」
 伸縮性のゴムの様にも感じるが、繊維が見えるから糸のようにも思える。それでいて、妙にスベスベした手触り。 表面に光沢は全くなかった。 背中ではなく、首元からお腹までファスナーがついていて、首のところには頭からすっぽりと被るようなマスクがくっついていた。
「すごく伸び縮みするよな。こんな素材、触ったの初めてだ」
 近くの雑貨屋で買ってきたらしいが、こんなものが売っているとは知らなかった。全身タイツと一緒に入っていた一枚の説明書を手に取って読んでみる。
「何々? えっと……ふ~ん……はは。面白いな、これ」
 智一は、鼻で笑いながらその文章を読み終えた。
『このタイツは変身用です。変身したい人の髪の毛をタイツの中に入れてファスナーを閉めてください。五分ほどすると、その髪の毛から得た情報を元に、タイツが変化して髪の毛の持ち主と同じ姿に変化します。その後、ファスナーを開けて着る事で変身できるようになっています。ファスナーを閉じるとファスナーは見えなくなりますが、自分で胸元から左右に引きちぎるように開くと、ファスナーが外れますので脱ぐ事が可能です。効果は十二時間程度。十二時間経てば元の黒いタイツに戻ります。このタイツは何度でも使用可能です』
 そんな内容が書いてある。