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Java/Hello world
「Hello World!」は、プログラミングの世界で伝統的に使われる初心者向けの最初のプログラムです。 Javaでも同様に、「Hello World!」プログラムは、基本的な構文や開発環境の設定を理解するために使われます。 まず、テキストエディタや統合開発環境(IDE)を使用して、Javaのソースコードを書きます。 以下が「Hello World」のソースコード例です。 このコードでは、HelloWorldという名前のクラスを定義し、その中にmainメソッドを記述しています。 mainメソッドはJavaプログラムのエントリポイントであり、プログラムの実行が開始される場所です。System.out.printlnは、コンソールに文字列を出力するためのメソッドです。 Javaのソースコードをコンパイルするには、Java Development Kit(JDK)がインストールされている必要があります。 コンパイルは次の手順で行います。 これにより、HelloWorld.javaファイルがHelloWorld.classという名前のバイトコードファイルにコンパイルされます。 コンパイルされたJavaプログラムを実行するには、以下の手順を実行します。 これにより、コンソールに Hello, World! という文字列が表示されます。 以上が、Javaでの「Hello World」プログラムの作成、コンパイル、実行の手順です。 Javaでの「Hello World」プログラムは、単純な文字列の表示に過ぎませんが、その背後にはいくつかの興味深い蘊蓄があります。 Javaの「Hello World」プログラムは、単なる最初のステップに過ぎませんが、Java言語の重要な特徴や原則を理解するのに役立ちます。
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{{Nav}} = Hello World! = 「Hello World!」は、プログラミングの世界で伝統的に使われる初心者向けの最初のプログラムです。 Javaでも同様に、「Hello World!」プログラムは、基本的な構文や開発環境の設定を理解するために使われます。 == ソースコードの書き方 == まず、テキストエディタや統合開発環境(IDE)を使用して、Javaのソースコードを書きます。 以下が「Hello World」のソースコード例です。 ;HelloWorld.java:<syntaxhighlight lang=java> public class HelloWorld { public static void main(String[] args){ System.out.println("Hello, world."); } } </syntaxhighlight> このコードでは、<code>HelloWorld</code>という名前のクラスを定義し、その中に<code>main</code>メソッドを記述しています。 <code>main</code>メソッドはJavaプログラムのエントリポイントであり、プログラムの実行が開始される場所です。<code>System.out.println</code>は、コンソールに文字列を出力するためのメソッドです。 == コンパイル == Javaのソースコードをコンパイルするには、Java Development Kit(JDK)がインストールされている必要があります。 コンパイルは次の手順で行います。 # 以下のコマンドを入力して、ソースコードをコンパイルします。 #:<syntaxhighlight lang=shell> javac HelloWorld.java </syntaxhighlight> これにより、<code>HelloWorld.java</code>ファイルが<code>HelloWorld.class</code>という名前のバイトコードファイルにコンパイルされます。 == 実行 == コンパイルされたJavaプログラムを実行するには、以下の手順を実行します。 # 以下のコマンドを入力して、Javaプログラムを実行します。 #:<syntaxhighlight lang=shell> java HelloWorld </syntaxhighlight> これにより、コンソールに <code>Hello, World!</code> という文字列が表示されます。 以上が、Javaでの「Hello World」プログラムの作成、コンパイル、実行の手順です。 ---- Javaでの「Hello World」プログラムは、単純な文字列の表示に過ぎませんが、その背後にはいくつかの興味深い蘊蓄があります。 # クラスとメソッドの構造: Javaでは、全てのコードがクラスの中に存在します。そして、実行可能なJavaプログラムは、必ず<code>main</code>メソッドを持つクラスから始まります。これは、Java仕様で定義されています。 # プラットフォームの移植性: Javaは、プラットフォームに依存しないという特徴があります。つまり、Javaで書かれたプログラムは、Java仮想マシン(JVM)上で実行されるため、どのオペレーティングシステムでも動作します。これは、Javaが初めて登場したときからの重要な利点であり、広範囲なデバイスやシステムでの使用を可能にしました。 # コンパイルと実行の分離: Javaプログラムは通常、ソースコードをコンパイルしてバイトコードに変換し、その後JVMで実行します。この2段階のプロセスにより、Javaは柔軟性とセキュリティを提供します。コンパイルされたバイトコードは、様々な環境で安全に実行されます。 # オブジェクト指向プログラミングの導入: Javaはオブジェクト指向プログラミング言語として設計されています。そのため、「Hello World」プログラムでも、クラスとメソッドの構造が強調されています。オブジェクト指向の原則に基づいて設計されたJavaプログラムは、柔軟性がありメンテナンス性が高くなります。 # 豊富な標準ライブラリ: Javaには、開発者が利用できる豊富な標準ライブラリが用意されています。これにより、多くの一般的なタスクを簡単に実装できます。例えば、文字列操作、ファイル入出力、ネットワーク通信などが含まれます。 Javaの「Hello World」プログラムは、単なる最初のステップに過ぎませんが、Java言語の重要な特徴や原則を理解するのに役立ちます。 {{Nav}} [[Category:Java]]
2006-09-17T19:21:21Z
2024-02-04T00:15:35Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/Java/Hello_world
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Java/基礎/算術演算
プログラミングにおける式(Expression)は、値や演算子、関数呼び出し、変数などから構成される計算を表す文法構造です。式はプログラム内で評価され、結果の値を生成します。 演算子(Operator)は、式内で値や変数を操作するための記号またはキーワードです。演算子には算術演算子(加算、減算など)、比較演算子(等しい、大なり、小なりなど)、論理演算子(AND、ORなど)、代入演算子(変数に値を代入する演算子)などがあります。演算子は一般的に、式内で値を組み合わせて新しい値を生成するために使用されます。 例えば、以下のような式があります: この式は、変数 a、b、c の値を使用して、乗算(*)と加算(+)の演算を行います。これにより、新しい値が生成されます。 Javaにおける式(Expression)は、値、変数、演算子、メソッド呼び出し、またはこれらの組み合わせから構成されるプログラム内の計算を表す文法要素です。式はプログラム内で評価され、結果の値を生成します。 Javaの演算子(Operator)は、式内で値や変数を操作するための特殊な記号またはキーワードです。 Javaの演算子は多岐にわたり、主な種類には以下のようなものがあります: これらの演算子を使用して、Javaプログラム内で様々な計算や操作を行うことができます。 Javaにおける算術演算子は、基本的な数値計算を行うための演算子を指します。 Javaでは、整数型と浮動小数点型のデータを扱うための算術演算子が提供されています。 主な算術演算子には以下が含まれます: Javaの算術演算は、整数型と浮動小数点型の両方で動作し、適切な結果を返します。 プログラマは、演算に使用される数値の型を適切に選択する必要があります。 JavaのInfinityとNaNは、浮動小数点数の特殊な値であり、IEEE 754規格に基づいて定義されています。以下に、それぞれの意味と特性について説明します。 JavaのInfinityとNaNは、浮動小数点数の計算において特殊な値として使用されます。これらの値は、次のような場面で発生します。 isNaN()とisFinite()メソッド: IEEE 754規格に基づいて定義されたこれらの特殊な値は、浮動小数点数の算術演算においてエラー処理や特殊な状況を処理するために使用されます。これらの特性を理解することは、正確な数値計算を行う上で重要です。 -0.0(マイナスゼロ)は、浮動小数点数の一部で、通常のゼロとは異なる概念です。IEEE 754規格では、ゼロを表現する方法として、符号付きゼロ(+0.0および-0.0)が導入されています。 この区別は、通常の算術演算では影響を与えませんが、一部の特殊な状況で重要になります。例えば、次のような場面で符号つきゼロが役立ちます。 JavaのDoubleとFloatのデータ型では、+0.0と-0.0は異なる値として区別されます。これは、JavaがIEEE 754規格に従っているためです。例えば、以下のようなコードを実行すると、+0.0と-0.0が等しいかどうかを確認できます。 Double.compare() は、Java プログラミング言語において、2 つの double 値を比較するための静的メソッドです。このメソッドは、次のような形式で使用されます: Double.compare() メソッドは、以下のルールに従って比較を行います。 整数演算の桁あふれ(オーバーフロー)は、整数の演算結果がそのデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。Javaの整数型には、それぞれの範囲が定義されています。以下に、主な整数型とその範囲を示します。 たとえば、int型でのオーバーフローが発生する状況を考えてみましょう。以下のコードでは、整数の最大値に1を加えようとしています。 このコードを実行すると、overflow 変数は -2147483648 になります。これは、Integer.MAX_VALUE で表現される最大値に1を加えることで、オーバーフローが発生し、最小値(Integer.MIN_VALUE)に戻るためです。 同様に、他の整数型でも同様の挙動が発生します。オーバーフローを防ぐためには、適切な範囲内での演算を行うか、オーバーフローが発生する可能性がある場合には適切に処理する必要があります。 Javaでは、整数演算でオーバーフローを生じても例外は上がりません。 例外をあげオーバーフローを捕捉するために、Math.addExactと、そのファミリーが用意されています。 Math.addExact() メソッドは、Java 8 で追加された整数演算時のオーバーフローを検出するためのメソッドの一部です。このメソッドは、整数型の加算を行い、結果がそのデータ型で表現可能な範囲を超えた場合に ArithmeticException をスローします。 Math クラスには、他にもオーバーフローを検出するためのメソッドが用意されています。主なものには、次のようなものがあります: これらのメソッドを使用することで、整数演算時にオーバーフローが発生した場合に、適切に例外を処理できます。 以下は、Math.addExact() メソッドを使用して整数値の加算を行い、オーバーフローが発生した場合に例外を処理する例です。 このコードでは、Integer.MAX_VALUE に 1 を加算しようとしています。Math.addExact() メソッドは、この加算がオーバーフローを引き起こす可能性があるため、例外をスローします。try-catch ブロックを使用して、ArithmeticException をキャッチし、オーバーフローが発生したことを示すメッセージを出力しています。 浮動小数点演算の桁あふれは、浮動小数点数を操作する際に、その値がデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。浮動小数点数は、指数部と仮数部から構成され、一定の精度を保ちつつ非常に大きな値や小さな値を表現するために使用されます。 Javaにおいて、浮動小数点数は主に以下の2つのデータ型で表現されます。 これらのデータ型は、それぞれ一定の範囲と精度を持っていますが、非常に大きな値や小さな値に対しても表現可能です。 桁あふれは、浮動小数点演算の結果が、そのデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。これにより、計算結果が無限大や無限小に発散する場合や、精度が失われる場合があります。また、浮動小数点数の演算において、有効桁数を超えた部分が切り捨てられることも桁あふれの一形態です。 例えば、次のコードでは、倍精度浮動小数点数の最大値に1を加える操作を行っています。 この場合、overflow 変数の値は Infinity になります。これは、最大値に1を加えた結果が倍精度浮動小数点数の表現可能な範囲を超えたため、桁あふれが発生したことを示しています。 Javaの浮動小数点数における誤差は、主に2つの要因によって生じます。 Javaの浮動小数点数における誤差を最小限に抑えるためには、次のような注意点があります。 計算の順序を適切に管理し、丸め誤差を最小限に抑える。 これらの対策を講じることで、Javaの浮動小数点数による誤差を最小限に抑えることができます。 また、浮動小数点数の演算における丸め誤差や演算誤差を最小限に抑えるためには、以下のような注意点があります。 これらの注意点を考慮することで、Javaの浮動小数点数による計算における誤差を最小限に抑えることができます。 さらに、浮動小数点数の計算における誤差を最小限に抑えるために、次のようなアプローチも考慮されます。 以上のようなアプローチを組み合わせることで、Javaの浮動小数点数を使用した計算における誤差を最小限に抑えることができます。ただし、特定の問題や要件に応じて、最適なアプローチを選択する必要があります。 浮動小数点数の内部表現により、一部の10進数を正確に表現することができません。たとえば、0.1を浮動小数点数として表現すると、厳密な値ではなく近似値になります。そのため、0.1を10回足しても厳密に1.0にはならない場合があります。 Javaでは、float型やdouble型を使用して浮動小数点数を表現しますが、これらの型は有限のビット数で浮動小数点数を表現するため、一部の10進数を正確に表現することができません。その結果、浮動小数点数の計算においては、丸め誤差や演算誤差が生じる可能性があります。 例えば、次のコードを見てみましょう。 このコードでは、0.1を10回足した結果が正確に1.0にならず、0.9999999999999999 という近似値になります。 このように誤差が生じるのは、内部的に浮動小数点数は2進数で扱われているためです(0.1は、2進数では循環小数になるため正確に表現できません)。 誤差を補正する方法はいくつかありますが、カハンの総和アルゴリズム( Kahan summation algorithm )が代表的です。 また、Java Stream API も補正アルゴリズムを実装しています。 Javaの算術演算子には、優先順位と結合性があります。以下に、一般的な算術演算子の優先順位と結合性を示します。 この優先順位と結合性に基づいて、式が評価されます。例えば、次の式を考えてみましょう。 この式では、乗算 (*) が加算 (+) よりも高い優先順位を持つため、まず 3 * 2 が計算されます。結果は 6 です。その後、5 と 6 の加算が行われ、最終的な結果は 11 になります。 結合性(associativity)は、演算子が式内で連続して出現する場合に、その演算子がどのような順序で評価されるかを示す性質です。結合性は通常、左から右への結合(左結合性)または右から左への結合(右結合性)のいずれかとして定義されます。 算術演算子の結合性により、この式は左から右に評価されます。例えば、次の式を考えてみましょう。 この式では、減算 (-) は左から右に結合するため、まず左側の 10 - 5 が計算されます。結果は 5 です。その後、5 から 3 を減算することで、最終的な結果は 2 になります。 Javaの算術演算子の優先順位と結合性を理解することで、式を正しく評価することができます。 Javaの比較演算子は、異なる値や式の間で比較を行い、結果を真偽値(trueまたはfalse)で返します。以下は、Javaで使用される主な比較演算子です。 これらの比較演算子は、条件文やループ、その他の制御構造でよく使用されます。 論理演算子は、論理値(真偽値)を操作するために使用されます。Javaでは、3つの主要な論理演算子があります。 これらの演算子は、条件文やループなどの制御構造で論理式を組み立てるために使用されます。 ビット演算子は、整数のビットレベルでの演算を実行します。Javaのビット演算子は、以下のようになります。 これらの演算子は、ビット単位のデータ処理や、効率的なビットマスクの作成に使用されます。 代入演算子は、変数に値を割り当てるために使用されます。Javaの代入演算子には、単純な代入演算子と複合代入演算子があります。 これらの演算子は、変数の値を更新する際に使用され、簡潔なコードを記述するのに役立ちます。
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"tag": "p", "text": "これらのデータ型は、それぞれ一定の範囲と精度を持っていますが、非常に大きな値や小さな値に対しても表現可能です。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "桁あふれは、浮動小数点演算の結果が、そのデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。これにより、計算結果が無限大や無限小に発散する場合や、精度が失われる場合があります。また、浮動小数点数の演算において、有効桁数を超えた部分が切り捨てられることも桁あふれの一形態です。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "例えば、次のコードでは、倍精度浮動小数点数の最大値に1を加える操作を行っています。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "この場合、overflow 変数の値は Infinity になります。これは、最大値に1を加えた結果が倍精度浮動小数点数の表現可能な範囲を超えたため、桁あふれが発生したことを示しています。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "Javaの浮動小数点数における誤差は、主に2つの要因によって生じます。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "Javaの浮動小数点数における誤差を最小限に抑えるためには、次のような注意点があります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "計算の順序を適切に管理し、丸め誤差を最小限に抑える。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": 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"title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "例えば、次のコードを見てみましょう。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "このコードでは、0.1を10回足した結果が正確に1.0にならず、0.9999999999999999 という近似値になります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "このように誤差が生じるのは、内部的に浮動小数点数は2進数で扱われているためです(0.1は、2進数では循環小数になるため正確に表現できません)。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "誤差を補正する方法はいくつかありますが、カハンの総和アルゴリズム( Kahan summation algorithm )が代表的です。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "また、Java Stream API も補正アルゴリズムを実装しています。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "Javaの算術演算子には、優先順位と結合性があります。以下に、一般的な算術演算子の優先順位と結合性を示します。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "この優先順位と結合性に基づいて、式が評価されます。例えば、次の式を考えてみましょう。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "この式では、乗算 (*) が加算 (+) よりも高い優先順位を持つため、まず 3 * 2 が計算されます。結果は 6 です。その後、5 と 6 の加算が行われ、最終的な結果は 11 になります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "結合性(associativity)は、演算子が式内で連続して出現する場合に、その演算子がどのような順序で評価されるかを示す性質です。結合性は通常、左から右への結合(左結合性)または右から左への結合(右結合性)のいずれかとして定義されます。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "算術演算子の結合性により、この式は左から右に評価されます。例えば、次の式を考えてみましょう。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "この式では、減算 (-) は左から右に結合するため、まず左側の 10 - 5 が計算されます。結果は 5 です。その後、5 から 3 を減算することで、最終的な結果は 2 になります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "Javaの算術演算子の優先順位と結合性を理解することで、式を正しく評価することができます。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "Javaの比較演算子は、異なる値や式の間で比較を行い、結果を真偽値(trueまたはfalse)で返します。以下は、Javaで使用される主な比較演算子です。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "これらの比較演算子は、条件文やループ、その他の制御構造でよく使用されます。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "論理演算子は、論理値(真偽値)を操作するために使用されます。Javaでは、3つの主要な論理演算子があります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "これらの演算子は、条件文やループなどの制御構造で論理式を組み立てるために使用されます。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "ビット演算子は、整数のビットレベルでの演算を実行します。Javaのビット演算子は、以下のようになります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "これらの演算子は、ビット単位のデータ処理や、効率的なビットマスクの作成に使用されます。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "代入演算子は、変数に値を割り当てるために使用されます。Javaの代入演算子には、単純な代入演算子と複合代入演算子があります。", "title": "Javaにおける式と演算子" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "これらの演算子は、変数の値を更新する際に使用され、簡潔なコードを記述するのに役立ちます。", "title": "Javaにおける式と演算子" } ]
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{{Nav}} = 式と演算子 = プログラミングにおける式(Expression)は、値や演算子、関数呼び出し、変数などから構成される計算を表す文法構造です。式はプログラム内で評価され、結果の値を生成します。 演算子(Operator)は、式内で値や変数を操作するための記号またはキーワードです。演算子には算術演算子(加算、減算など)、比較演算子(等しい、大なり、小なりなど)、論理演算子(AND、ORなど)、代入演算子(変数に値を代入する演算子)などがあります。演算子は一般的に、式内で値を組み合わせて新しい値を生成するために使用されます。 例えば、以下のような式があります: :<syntaxhighlight lang=text> a + b * c </syntaxhighlight> この式は、変数 <var>a</var>、<var>b</var>、<var>c</var> の値を使用して、乗算(<code>*</code>)と加算(<code>+</code>)の演算を行います。これにより、新しい値が生成されます。 == Javaにおける式と演算子 == Javaにおける式(Expression)は、値、変数、演算子、メソッド呼び出し、またはこれらの組み合わせから構成されるプログラム内の計算を表す文法要素です。式はプログラム内で評価され、結果の値を生成します。 Javaの演算子(Operator)は、式内で値や変数を操作するための特殊な記号またはキーワードです。 Javaの演算子は多岐にわたり、主な種類には以下のようなものがあります: # '''算術演算子(Arithmetic Operators):''' 加算(+)、減算(-)、乗算(*)、除算(/)、剰余(%)など、数値データ型の間で算術演算を実行するための演算子です。 # '''比較演算子(Comparison Operators):''' 等しい(==)、等しくない(!=)、大なり(>)、小なり(<)、大なりイコール(>=)、小なりイコール(<=)など、値や式の比較を行うための演算子です。結果は真偽値(trueまたはfalse)となります。 # '''論理演算子(Logical Operators):''' 論理積(AND:&&)、論理和(OR:||)、否定(NOT:!)など、真偽値を操作するための演算子です。 # '''ビット演算子(Bitwise operators):''' 論理積(AND:&)、論理和(OR:|)、排他的論理和(XOR:^)、否定(NOT:~)などの操作を提供し、ビット単位の操作により効率的なデータ処理やビットマスクの作成が可能です。 # '''代入演算子(Assignment Operators):''' 代入(=)、加算代入(+=)、減算代入(-=)、乗算代入(*=)など、変数に値を代入するための演算子です。 #その他の演算子(Other Operators): インクリメント(++)、デクリメント(--)、条件演算子(条件式 ? 結果1 : 結果2)、ビット演算子(ビット単位の論理演算を行う演算子)など、その他の種類の演算子があります。 これらの演算子を使用して、Javaプログラム内で様々な計算や操作を行うことができます。 == 算術演算子 == Javaにおける算術演算子は、基本的な数値計算を行うための演算子を指します。 Javaでは、整数型と浮動小数点型のデータを扱うための算術演算子が提供されています。 主な算術演算子には以下が含まれます: # '''加算(Addition)''' #:<syntaxhighlight lang=java> int sum1 = 5 + 3; // 整数の加算、sum1には8が代入される double sum2 = 5.5 + 3.2; // 浮動小数点数の加算、sum2には8.7が代入される </syntaxhighlight> # '''減算(Subtraction)''' #:<syntaxhighlight lang=java> int difference1 = 10 - 4; // 整数の減算、difference1には6が代入される double difference2 = 10.5 - 4.2; // 浮動小数点数の減算、difference2には6.3が代入される </syntaxhighlight> # '''乗算(Multiplication)''' #:<syntaxhighlight lang=java> int product1 = 6 * 2; // 整数の乗算、product1には12が代入される double product2 = 3.5 * 2.0; // 浮動小数点数の乗算、product2には7.0が代入される </syntaxhighlight> # '''除算(Division)''' #:<syntaxhighlight lang=java> double quotient1 = 10.0 / 3.0; // 浮動小数点数の除算、quotient1には3.3333...が代入される double quotient2 = 10 / 3.0; // 整数と浮動小数点数の除算、quotient2には3.3333...が代入される </syntaxhighlight> # '''剰余(Modulus)''' #:<syntaxhighlight lang=java> int remainder1 = 10 % 3; // 整数の剰余、remainder1には1が代入される double remainder2 = 10.5 % 3.0; // 浮動小数点数の剰余、remainder2には1.5が代入される </syntaxhighlight> Javaの算術演算は、整数型と浮動小数点型の両方で動作し、適切な結果を返します。 プログラマは、演算に使用される数値の型を適切に選択する必要があります。 == 多様な算術演算子 == :<syntaxhighlight lang=java> /** * 算術演算子の例 */ public class Main { /** * メインメソッド。プログラムのエントリーポイント。 * * @param args コマンドライン引数 */ public static void main(String[] args) { int a = 10; int b = 3; System.out.println(a + " + " + b + " = " + (a + b)); System.out.println(a + " - " + b + " = " + (a - b)); System.out.println(a + " * " + b + " = " + (a * b)); System.out.println(a + " / " + b + " = " + (a / b)); System.out.println(a + " % " + b + " = " + (a % b)); a = Integer.MAX_VALUE; b = 1; System.out.println(a + " + " + b + " = " + (a + b) + "\t// オーバーフロー!"); // ゼロ除算: a = 42; b = 0; try { System.out.print(a + " / " + b + " = "); System.out.println(a / b); } catch (ArithmeticException e) { System.out.println("例外捕捉:" + e); } // ゼロ除算: try { System.out.print(a + " % " + b + " = "); System.out.println(a % b); } catch (ArithmeticException e) { System.out.println("例外捕捉:" + e); } // double型の算術演算 double x = 10.5; double y = 3.2; System.out.println(x + " + " + y + " = " + (x + y)); System.out.println(x + " - " + y + " = " + (x - y)); System.out.println(x + " * " + y + " = " + (x * y)); System.out.println(x + " / " + y + " = " + (x / y)); System.out.println(x + " % " + y + " = " + (x % y)); y = 0.0; System.out.println(x + " / " + y + " = " + (x / y)); x = 0.0; System.out.println(x + " / " + y + " = " + (x / y)); } } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=java> 10 + 3 = 13 10 - 3 = 7 10 * 3 = 30 10 / 3 = 3 10 % 3 = 1 2147483647 + 1 = -2147483648 // オーバーフロー! 42 / 0 = 例外捕捉:java.lang.ArithmeticException: / by zero 42 % 0 = 例外捕捉:java.lang.ArithmeticException: / by zero 10.5 + 3.2 = 13.7 10.5 - 3.2 = 7.3 10.5 * 3.2 = 33.6 10.5 / 3.2 = 3.28125 10.5 % 3.2 = 0.8999999999999995 10.5 / 0.0 = Infinity 0.0 / 0.0 = NaN </syntaxhighlight> === InfinityとNaN === JavaのInfinityとNaNは、浮動小数点数の特殊な値であり、IEEE 754規格に基づいて定義されています。以下に、それぞれの意味と特性について説明します。 JavaのInfinityとNaNは、浮動小数点数の計算において特殊な値として使用されます。これらの値は、次のような場面で発生します。 # '''Infinity(無限大):''' #* 無限大は、有限の数値を0.0で割った場合や、オーバーフローが発生した場合に発生します。 #* 例えば、<code>double result = 5.0 / 0.0;</code>のような式を評価すると、resultの値は無限大になります。 #* 無限大は、有限の数値よりも大きいことが特性として挙げられます。 #* Double.POSITIVE_INFINITYの定数は(正の)無限大を表します。 #* IEEE 754規格では、無限大は指数部が符号が+、最大値でかつ仮数部が0の状態で表されます。 # '''-Infinity(負の無限大):''' #* 負の無限大、有限の負の数値を0.0で割った場合や、オーバーフローが発生した場合に発生します。 #* 例えば、<code>double result = 5.0 / -0.0;</code>のような式を評価すると、resultの値は負の無限大になります。 #* 負の無限大は、有限の数値よりも小さいことが特性として挙げられます。 #* Double.NEGATIVE_INFINITYの定数は、負の無限大を表します。 #* IEEE 754規格では、負の無限大は指数部が符号が+、最大値でかつ仮数部が0の状態で表されます。 # '''NaN(非数):''' #* NaNは、0を0で割った場合や、0.0を0.0で割った場合、あるいは数学的に不正な演算が行われた場合に発生します。 #* 例えば、<code>double result = Math.sqrt(-1);</code>のような式を評価すると、resultの値はNaNになります。 #* NaNは、数値としての意味を持たないことを示します。 #* Double.NaNという定数があり、これはNaNを表します。 #* NaNは、どの数値とも等しくないため、NaNとの比較は常にfalseになります。 #* IEEE 754規格では、NaNは指数部が最大値でかつ仮数部が0でない状態で表されます。 isNaN()とisFinite()メソッド: *Javaでは、DoubleクラスやFloatクラスには、NaNやInfinityを判定するためのメソッドが用意されています。 *isNaN()メソッドは、引数がNaNかどうかを判定します。NaNの場合はtrueを返し、それ以外の場合はfalseを返します。 *isFinite()メソッドは、引数が有限の数かどうかを判定します。InfinityやNaNの場合はfalseを返し、それ以外の場合はtrueを返します。 IEEE 754規格に基づいて定義されたこれらの特殊な値は、浮動小数点数の算術演算においてエラー処理や特殊な状況を処理するために使用されます。これらの特性を理解することは、正確な数値計算を行う上で重要です。 === -0.0 === -0.0(マイナスゼロ)は、浮動小数点数の一部で、通常のゼロとは異なる概念です。IEEE 754規格では、ゼロを表現する方法として、符号付きゼロ(+0.0および-0.0)が導入されています。 * +0.0(プラスゼロ): すべてのビットが0で、符号ビットが0。 * -0.0(マイナスゼロ): すべてのビットが0で、符号ビットが1。 この区別は、通常の算術演算では影響を与えませんが、一部の特殊な状況で重要になります。例えば、次のような場面で符号つきゼロが役立ちます。 # '''ゼロで割った場合:''' #* 1.0 / +0.0 は正の無限大になります。 #* 1.0 / -0.0 は負の無限大になります。 # '''符号を保持する場合:''' #* 符号つきゼロは、正確な結果を保持するために使用されます。例えば、正の数から負の数を引くときなどに、結果の符号を正確に反映するために使われます。 JavaのDoubleとFloatのデータ型では、+0.0と-0.0は異なる値として区別されます。これは、JavaがIEEE 754規格に従っているためです。例えば、以下のようなコードを実行すると、+0.0と-0.0が等しいかどうかを確認できます。 :<syntaxhighlight lang=java> System.out.println(0.0 == -0.0); // true System.out.println(Double.compare(0.0, -0.0)); // 1 System.out.println(Double.compare(0.0, 0.0)); // 0 System.out.println(Double.compare(-0.0, 0.0)); // -1 </syntaxhighlight> :このコードでは、<code>==</code>演算子によって0.0と-0.0が等しいかどうかを比較しています。 :<code>Double.compare</code>メソッドによって比較すると、ゼロの符号の違いを考慮します。 <code>Double.compare()</code> は、Java プログラミング言語において、2 つの double 値を比較するための静的メソッドです。このメソッドは、次のような形式で使用されます: :<syntaxhighlight lang=java> public static int compare(double d1, double d2) </syntaxhighlight> <code>Double.compare()</code> メソッドは、以下のルールに従って比較を行います。 * もし <code>d1</code> が <code>d2</code> より小さい場合、負の値が返されます。 * もし <code>d1</code> が <code>d2</code> より大きい場合、正の値が返されます。 * もし <code>d1</code> が <code>d2</code> と等しい場合、0 が返されます。 == 算術演算の注意事項 == === 桁あふれ === ==== 整数演算の桁あふれ ==== 整数演算の桁あふれ(オーバーフロー)は、整数の演算結果がそのデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。Javaの整数型には、それぞれの範囲が定義されています。以下に、主な整数型とその範囲を示します。 # '''byte:''' -128 から 127 # '''short:''' -32,768 から 32,767 # '''int:''' -2,147,483,648 から 2,147,483,647 # '''long:''' -9,223,372,036,854,775,808 から 9,223,372,036,854,775,807 たとえば、int型でのオーバーフローが発生する状況を考えてみましょう。以下のコードでは、整数の最大値に1を加えようとしています。 :<syntaxhighlight lang=java> int maxValue = Integer.MAX_VALUE; int overflow = maxValue + 1; System.out.println("Overflow: " + overflow); </syntaxhighlight> このコードを実行すると、<code>overflow</code> 変数は <code>-2147483648</code> になります。これは、<code>Integer.MAX_VALUE</code> で表現される最大値に1を加えることで、オーバーフローが発生し、最小値(<code>Integer.MIN_VALUE</code>)に戻るためです。 同様に、他の整数型でも同様の挙動が発生します。オーバーフローを防ぐためには、適切な範囲内での演算を行うか、オーバーフローが発生する可能性がある場合には適切に処理する必要があります。 ===== Math.addExactと、そのファミリー ===== Javaでは、整数演算でオーバーフローを生じても例外は上がりません。 例外をあげオーバーフローを捕捉するために、Math.addExactと、そのファミリーが用意されています。 <code>Math.addExact()</code> メソッドは、Java 8 で追加された整数演算時のオーバーフローを検出するためのメソッドの一部です。このメソッドは、整数型の加算を行い、結果がそのデータ型で表現可能な範囲を超えた場合に <code>ArithmeticException</code> をスローします。 <code>Math</code> クラスには、他にもオーバーフローを検出するためのメソッドが用意されています。主なものには、次のようなものがあります: # <code>Math.addExact(int x, int y)</code>:整数値 <code>x</code> と <code>y</code> を加算し、オーバーフローが発生した場合は <code>ArithmeticException</code> をスローします。 # <code>Math.subtractExact(int x, int y)</code>:整数値 <code>x</code> から <code>y</code> を減算し、オーバーフローが発生した場合は <code>ArithmeticException</code> をスローします。 # <code>Math.multiplyExact(int x, int y)</code>:整数値 <code>x</code> と <code>y</code> を乗算し、オーバーフローが発生した場合は <code>ArithmeticException</code> をスローします。 # <code>Math.incrementExact(int a)</code>:整数値 <code>a</code> をインクリメントし、オーバーフローが発生した場合は <code>ArithmeticException</code> をスローします。 # <code>Math.decrementExact(int a)</code>:整数値 <code>a</code> をデクリメントし、オーバーフローが発生した場合は <code>ArithmeticException</code> をスローします。 これらのメソッドを使用することで、整数演算時にオーバーフローが発生した場合に、適切に例外を処理できます。 以下は、<code>Math.addExact()</code> メソッドを使用して整数値の加算を行い、オーバーフローが発生した場合に例外を処理する例です。 :<syntaxhighlight lang=java> public class Main { public static void main(String[] args) { try { int result = Math.addExact(Integer.MAX_VALUE, 1); System.out.println("Result: " + result); } catch (ArithmeticException e) { System.out.println("Overflow occurred: " + e.getMessage()); } } } </syntaxhighlight> このコードでは、<code>Integer.MAX_VALUE</code> に 1 を加算しようとしています。<code>Math.addExact()</code> メソッドは、この加算がオーバーフローを引き起こす可能性があるため、例外をスローします。<code>try-catch</code> ブロックを使用して、<code>ArithmeticException</code> をキャッチし、オーバーフローが発生したことを示すメッセージを出力しています。 ==== 浮動小数点演算の桁あふれ ==== 浮動小数点演算の桁あふれは、浮動小数点数を操作する際に、その値がデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。浮動小数点数は、指数部と仮数部から構成され、一定の精度を保ちつつ非常に大きな値や小さな値を表現するために使用されます。 Javaにおいて、浮動小数点数は主に以下の2つのデータ型で表現されます。 # '''float:''' 単精度浮動小数点数 (32ビット) # '''double:''' 倍精度浮動小数点数 (64ビット) これらのデータ型は、それぞれ一定の範囲と精度を持っていますが、非常に大きな値や小さな値に対しても表現可能です。 桁あふれは、浮動小数点演算の結果が、そのデータ型で表現可能な範囲を超える場合に発生します。これにより、計算結果が無限大や無限小に発散する場合や、精度が失われる場合があります。また、浮動小数点数の演算において、有効桁数を超えた部分が切り捨てられることも桁あふれの一形態です。 例えば、次のコードでは、倍精度浮動小数点数の最大値に1を加える操作を行っています。 :<syntaxhighlight lang=java> double maxValue = Double.MAX_VALUE; double overflow = maxValue + 1; System.out.println("Overflow: " + overflow); </syntaxhighlight> この場合、<code>overflow</code> 変数の値は <code>Infinity</code> になります。これは、最大値に1を加えた結果が倍精度浮動小数点数の表現可能な範囲を超えたため、桁あふれが発生したことを示しています。 === 浮動小数点数と誤差 === Javaの浮動小数点数における誤差は、主に2つの要因によって生じます。 # '''有効桁数の制限:''' Javaの浮動小数点数は、IEEE 754標準に基づいて実装されています。float型は32ビットで、有効桁数は約7桁です。double型は64ビットで、有効桁数は約15桁です。そのため、非常に大きな数や非常に小さな数を表現する場合、精度の制限により誤差が生じます。たとえば、10進数で0.1をfloat型やdouble型で表現すると、厳密には0.1ではなく、近似的な値になります。 # '''丸め誤差と演算誤差:''' 浮動小数点数の演算においては、丸め誤差や演算誤差が生じることがあります。これは、浮動小数点数を近似的に表現するための有限なビット数で演算を行うために生じるものです。特に、加算や減算、乗算、除算などの演算において、丸め誤差や演算誤差が生じることがあります。これにより、計算結果が厳密な値と異なる場合があります。 Javaの浮動小数点数における誤差を最小限に抑えるためには、次のような注意点があります。 計算の順序を適切に管理し、丸め誤差を最小限に抑える。 *必要に応じて、BigDecimalクラスを使用して高精度な計算を行う。 *数値計算ライブラリや専門家によって提供される特殊な数値計算手法を使用する。 これらの対策を講じることで、Javaの浮動小数点数による誤差を最小限に抑えることができます。 また、浮動小数点数の演算における丸め誤差や演算誤差を最小限に抑えるためには、以下のような注意点があります。 #適切なデータ型を選択する: 浮動小数点数は精度を失う可能性があるため、必要な精度に合わせてfloat型またはdouble型を選択する必要があります。より高い精度が必要な場合はdouble型を使用しますが、その分メモリ使用量も大きくなります。 #演算の順序を考慮する: 浮動小数点数の演算においては、演算の順序が結果に影響を与える場合があります。たとえば、加算や減算といった基本的な演算から始め、乗算や除算といった複雑な演算を後に行うと、丸め誤差を最小限に抑えることができます。 #比較演算における注意: 浮動小数点数の比較演算は、厳密な等値判定が難しい場合があります。丸め誤差や演算誤差の影響を考慮して、適切な精度で比較演算を行う必要があります。通常は、等値判定ではなく、ある値が別の値よりも大きいか、または小さいかを判定することが推奨されます。 #結果の解釈: 浮動小数点数の演算結果を解釈する際には、その精度や誤差の範囲を理解する必要があります。特に、科学計算や金融取引などの精密な計算においては、計算結果の信頼性を確保するために十分な検証と解釈が必要です。 これらの注意点を考慮することで、Javaの浮動小数点数による計算における誤差を最小限に抑えることができます。 さらに、浮動小数点数の計算における誤差を最小限に抑えるために、次のようなアプローチも考慮されます。 #丸めモードの設定: Javaでは、浮動小数点数の計算における丸めモードを設定することができます。デフォルトでは、丸めモードは「デフォルト」であり、周囲に最も近い数に丸められます。しかし、必要に応じて丸めモードを変更して、計算結果に影響を与えることができます。例えば、丸め誤差を最小限に抑えるために、上向き丸め(ceiling)、下向き丸め(floor)、ゼロから遠い方向の丸め(向上丸め)、ゼロに近い方向の丸め(向下丸め)などの丸めモードを使用することができます。 #有効桁数の管理: 浮動小数点数の計算においては、有効桁数の制限により誤差が生じることがあります。特に、非常に大きな数や非常に小さな数を表現する場合、有効桁数の不足により計算結果に誤差が生じることがあります。そのため、計算に使用する浮動小数点数の有効桁数を適切に管理することが重要です。必要に応じて、BigDecimalなどの精度の高いデータ型を使用して計算を行うことも考慮されます。 #ライブラリの活用: 数値計算に関連するライブラリを活用することで、浮動小数点数の計算における誤差を最小限に抑えることができます。これらのライブラリには、高精度な計算を行うための機能や、誤差を最小限に抑えるためのアルゴリズムが含まれています。特に、金融取引や科学計算などの精密な計算を行う場合には、これらのライブラリを活用することが推奨されます。 以上のようなアプローチを組み合わせることで、Javaの浮動小数点数を使用した計算における誤差を最小限に抑えることができます。ただし、特定の問題や要件に応じて、最適なアプローチを選択する必要があります。 ==== 0.1を10回足しても1.0にならない! ==== 浮動小数点数の内部表現により、一部の10進数を正確に表現することができません。たとえば、0.1を浮動小数点数として表現すると、厳密な値ではなく近似値になります。そのため、0.1を10回足しても厳密に1.0にはならない場合があります。 Javaでは、<code>float</code>型や<code>double</code>型を使用して浮動小数点数を表現しますが、これらの型は有限のビット数で浮動小数点数を表現するため、一部の10進数を正確に表現することができません。その結果、浮動小数点数の計算においては、丸め誤差や演算誤差が生じる可能性があります。 例えば、次のコードを見てみましょう。 :<syntaxhighlight lang=java> double sum = 0.0; for (int i = 0; i < 10; i++) { sum += 0.1; } System.out.println(sum); // 出力: 0.9999999999999999 </syntaxhighlight> このコードでは、0.1を10回足した結果が正確に1.0にならず、0.9999999999999999 という近似値になります。 このように誤差が生じるのは、内部的に浮動小数点数は2進数で扱われているためです(0.1は、2進数では循環小数になるため正確に表現できません)。 ===== カハンの総和アルゴリズム ===== 誤差を補正する方法はいくつかありますが、カハンの総和アルゴリズム( ''Kahan summation algorithm'' )が代表的です。 ;[https://paiza.io/projects/gMFZzp8gUybEJfpUSuWH9A?language=java カハンの総和アルゴリズム]:<syntaxhighlight lang=java> public class Main { public static void main(String[] args) { double d = 0.0; for (int i = 0; i < 10; i++) d += 0.1; System.out.println(d); d = 0.0; double c = 0.0; for (int i = 0; i < 10; i++) { double y = 0.1 - c; double t = d + y; c = ( t - d ) - y; d = t; } System.out.println(d); float f = 0.0f; for (int i = 0; i < 10; i++) f += 0.1f; System.out.println(f); f = 0.0f; float fc = 0.0f; for (int i = 0; i < 10; i++) { float y = 0.1f - fc; float t = f + y; fc = ( t - f ) - y; f = t; } System.out.println(f); } } </syntaxhighlight> :<syntaxhighlight lang=bash> $ javac Main.java $ java Main 0.9999999999999999 1.0 1.0000001 1.0 </syntaxhighlight> ===== Java Stream API ===== また、Java Stream API も補正アルゴリズムを実装しています。 ;[https://paiza.io/projects/gDqEBXyDFiPI3gDfuxGbZg?language=java Stream APIを使った総和]:<syntaxhighlight lang=java> import java.util.stream.DoubleStream; class Main { public static void main(String[] args) { // DoubleStream.builder() を使用して、DoubleStream.Builderオブジェクトを作成します。 // これは、DoubleStreamを構築するためのビルダーオブジェクトです。 final var builder = DoubleStream.builder(); // ループを10回実行し、builder.add(0.1) を使用して、ビルダーオブジェクトに0.1を追加します。 // これにより、10回のループを通じて0.1が10回追加されます。 for (int i = 0; i < 10; i++) builder.add(0.1); // builder.build() を使用して、ビルダーオブジェクトからDoubleStreamオブジェクトを構築します。 // これにより、10回のループで追加された0.1の値が含まれたDoubleStreamが得られます。 System.out.println(builder.build().sum()); // sum() メソッドを使用して、DoubleStreamオブジェクトの合計を計算します。 // これにより、10回のループで追加された0.1の値の合計が計算されます。 // 最後に、計算された合計値が出力されます。 } } </syntaxhighlight> :<syntaxhighlight lang=bash> 1.0 </syntaxhighlight> : DoubleStreamのメソッドsum()は、保証を行うアルゴリズムを採用しています。 == 優先順位と結合性 == Javaの算術演算子には、優先順位と結合性があります。以下に、一般的な算術演算子の優先順位と結合性を示します。 :乗算 (*) および除算 (/、%): 乗算と除算は、加算と減算よりも高い優先順位を持ちます。また、乗算と除算は左から右に結合します。 :加算 (+) および減算 (-): 加算と減算は、乗算と除算と同じ優先順位を持ちます。また、加算と減算も左から右に結合します。 === 優先順位 === この優先順位と結合性に基づいて、式が評価されます。例えば、次の式を考えてみましょう。 :<syntaxhighlight lang=java> int result = 5 + 3 * 2; </syntaxhighlight> この式では、乗算 (*) が加算 (+) よりも高い優先順位を持つため、まず 3 * 2 が計算されます。結果は 6 です。その後、5 と 6 の加算が行われ、最終的な結果は 11 になります。 === 結合性 === 結合性(associativity)は、演算子が式内で連続して出現する場合に、その演算子がどのような順序で評価されるかを示す性質です。結合性は通常、左から右への結合(左結合性)または右から左への結合(右結合性)のいずれかとして定義されます。 算術演算子の結合性により、この式は左から右に評価されます。例えば、次の式を考えてみましょう。 :<syntaxhighlight lang=java> int result = 10 - 5 - 3; </syntaxhighlight> この式では、減算 (-) は左から右に結合するため、まず左側の 10 - 5 が計算されます。結果は 5 です。その後、5 から 3 を減算することで、最終的な結果は 2 になります。 Javaの算術演算子の優先順位と結合性を理解することで、式を正しく評価することができます。 == 比較演算子 == Javaの比較演算子は、異なる値や式の間で比較を行い、結果を真偽値(trueまたはfalse)で返します。以下は、Javaで使用される主な比較演算子です。 # <code>==</code>:2つの値が等しいかどうかを比較します。プリミティブ型の場合、値の比較を行います。参照型の場合、オブジェクトの参照が同じかどうかを比較します。 # <code>!=</code>:2つの値が等しくないかどうかを比較します。 # <code>></code>:左辺の値が右辺の値より大きいかどうかを比較します。 # <code><</code>:左辺の値が右辺の値より小さいかどうかを比較します。 # <code>>=</code>:左辺の値が右辺の値以上かどうかを比較します。 # <code><=</code>:左辺の値が右辺の値以下かどうかを比較します。 これらの比較演算子は、条件文やループ、その他の制御構造でよく使用されます。 == 論理演算子 == 論理演算子は、論理値(真偽値)を操作するために使用されます。Javaでは、3つの主要な論理演算子があります。 # <code>&&</code>(AND):論理積演算子は、両側の式がともにtrueの場合にtrueを返します。片方でもfalseであれば、falseを返します。 # <code>||</code>(OR):論理和演算子は、両側の式の少なくとも一方がtrueの場合にtrueを返します。両方がfalseの場合にfalseを返します。 # <code>!</code>(NOT):論理否定演算子は、式の真偽を反転させます。trueはfalseに、falseはtrueになります。 これらの演算子は、条件文やループなどの制御構造で論理式を組み立てるために使用されます。 == ビット演算子 == ビット演算子は、整数のビットレベルでの演算を実行します。Javaのビット演算子は、以下のようになります。 # <code>&</code>:ビット単位のAND演算を行います。 # <code>|</code>:ビット単位のOR演算を行います。 # <code>^</code>:ビット単位のXOR(排他的論理和)演算を行います。 # <code>~</code>:ビット単位の補数(ビット反転)演算を行います。 # <code><<</code>:左シフト演算子は、ビットを左に指定された数だけシフトします。 # <code>>></code>:符号付き右シフト演算子は、ビットを右に指定された数だけシフトします。符号ビットは左端のビット(MSB)にコピーされます。 # <code>>>></code>:符号なし右シフト演算子は、ビットを右に指定された数だけシフトします。左端のビットは0になります。 これらの演算子は、ビット単位のデータ処理や、効率的なビットマスクの作成に使用されます。 == 代入演算子 == 代入演算子は、変数に値を割り当てるために使用されます。Javaの代入演算子には、単純な代入演算子と複合代入演算子があります。 # <code>=</code>:単純な代入演算子は、右辺の値を左辺の変数に代入します。 # <code>+=</code>:加算代入演算子は、左辺の変数に右辺の値を加算し、結果を左辺の変数に代入します。 # <code>-=</code>:減算代入演算子は、左辺の変数から右辺の値を減算し、結果を左辺の変数に代入します。 # <code>*=</code>:乗算代入演算子は、左辺の変数に右辺の値を乗算し、結果を左辺の変数に代入します。 # <code>/=</code>:除算代入演算子は、左辺の変数を右辺の値で除算し、結果を左辺の変数に代入します。 # <code>%=</code>:剰余代入演算子は、左辺の変数を右辺の値で剰余計算し、結果を左辺の変数に代入します。 これらの演算子は、変数の値を更新する際に使用され、簡潔なコードを記述するのに役立ちます。 ---- ;式と演算子 :<syntaxhighlight lang=java> public class Main { public static void main(String[] args) { int x = 5; int y = 3; // 算術演算子 int sum = x + y; // 加算 int difference = x - y; // 減算 int product = x * y; // 乗算 int quotient = x / y; // 除算 int remainder = x % y; // 剰余 // 比較演算子 boolean isEqual = x == y; // xとyが等しいかどうか boolean isNotEqual = x != y; // xとyが等しくないかどうか boolean isGreaterThan = x > y; // xがyより大きいかどうか boolean isLessThan = x < y; // xがyより小さいかどうか boolean isGreaterOrEqual = x >= y; // xがy以上かどうか boolean isLessOrEqual = x <= y; // xがy以下かどうか // 論理演算子 boolean andResult = (x > 0) && (y < 0); // 論理積(AND) boolean orResult = (x > 0) || (y < 0); // 論理和(OR) boolean notResult = !(x > 0); // 論理否定(NOT) // ビット演算子 int bitAnd = x & y; // ビット単位のAND int bitOr = x | y; // ビット単位のOR int bitXor = x ^ y; // ビット単位のXOR int bitComplementX = ~x; // ビット単位の補数 int leftShift = x << 1; // 左シフト int rightShift = x >> 1; // 右シフト // 代入演算子 int a = 10; a += 5; // a = a + 5 int b = 20; b -= 3; // b = b - 3 } } </syntaxhighlight> : このJavaプログラムでは、算術演算子、比較演算子、論理演算子、ビット演算子、代入演算子が使用されています。コメント中には各演算子の説明が含まれており、それぞれの演算子が何を行うかが明確に示されています。 == 用語集 == # 式と演算子 (Expression and Operators): #* 式 (Expression): プログラミングにおいて、値、演算子、変数、関数呼び出しなどから構成される計算を表す文法構造。プログラム内で評価され、結果の値を生成する。 #* 演算子 (Operator): 式内で値や変数を操作するための記号やキーワード。算術演算子、比較演算子、論理演算子、ビット演算子、代入演算子などがある。 # Javaにおける式と演算子 (Expression and Operators in Java): #* 算術演算子 (Arithmetic Operators): 加算、減算、乗算、除算、剰余など、数値データ型の間で算術演算を実行するための演算子。 #* 比較演算子 (Comparison Operators): 等しい、等しくない、大なり、小なりなど、値や式の比較を行う演算子。 #* 論理演算子 (Logical Operators): 論理積 (AND)、論理和 (OR)、否定 (NOT) など、真偽値を操作するための演算子。 #* ビット演算子 (Bitwise Operators): 論理積、論理和、排他的論理和、否定など、ビット単位の操作に使用される演算子。 #* 代入演算子 (Assignment Operators): 代入、加算代入、減算代入、乗算代入など、変数に値を代入する演算子。 # 算術演算子 (Arithmetic Operators in Java): #* 加算 (Addition): <code>+</code>。整数や浮動小数点数の加算。 #* 減算 (Subtraction): <code>-</code>。整数や浮動小数点数の減算。 #* 乗算 (Multiplication): <code>*</code>。整数や浮動小数点数の乗算。 #* 除算 (Division): <code>/</code>。浮動小数点数の除算。整数と浮動小数点数の場合もあり。 #* 剰余 (Modulus): <code>%</code>。整数や浮動小数点数の剰余。 # 多様な算術演算子の例 (Various Arithmetic Operators Example in Java): #* Javaで異なるデータ型での算術演算子の使用例。 # InfinityとNaN (Infinity and NaN in Java): #* Infinity (無限大): 有限の数値を0.0で割った場合やオーバーフローが発生した場合に発生。Double.POSITIVE_INFINITYで表現される。 #* -Infinity (負の無限大): 有限の負の数値を0.0で割った場合やオーバーフローが発生した場合に発生。Double.NEGATIVE_INFINITYで表現される。 #* NaN (非数): 0を0で割った場合や不正な演算が行われた場合に発生。Double.NaNで表現され、数値としての意味を持たないことを示す。 {{Nav}} [[Category:Java|さんしゆつ えんさん]]
2006-09-17T19:48:44Z
2024-02-04T00:21:28Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/Java/%E5%9F%BA%E7%A4%8E/%E7%AE%97%E8%A1%93%E6%BC%94%E7%AE%97
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大学受験生物 顕微鏡・ミクロメーター
この章では学校ではあまり教えられないが、センター試験をはじめとする多数の入試で出題される を説明する。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "この章では学校ではあまり教えられないが、センター試験をはじめとする多数の入試で出題される", "title": "ダイジェスト" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "を説明する。", "title": "ダイジェスト" } ]
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== ダイジェスト == この章では学校ではあまり教えられないが、センター試験をはじめとする多数の入試で出題される<br> *顕微鏡の操作法、注意点 *ミクロメーターの使用法 *光学顕微鏡と電子顕微鏡で見えるものの違い を説明する。 == 顕微鏡の名称 == [[Category:大学入試|せいふつけんひきようみくろめえたあ]] [[Category:生物学|大せいふつけんひきようみくろめえたあ]]
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2007-11-02T12:39:40Z
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Java/基礎/反復処理
反復 (Iteration) は、同じ処理を繰り返し実行することで、コードの簡潔さと再利用性を向上させるためによく使用されます。Javaには、様々な方法で反復処理を行うことができます。たとえば、for文、while文、do-while文、拡張for文、Iterator、forEachメソッドなどがあります。 このチュートリアルでは、これらの反復処理方法を解説し、それぞれの使用方法や適切な場面について説明します。また、配列やコレクションに対する反復処理、ループ制御についても解説します。 反復処理は、プログラミングにおいて非常に重要な概念であり、プログラムの処理効率や保守性を向上させるためにも、しっかりと理解しておく必要があります。本チュートリアルを通じて、反復処理について深く理解し、効果的に使用するための知識を身につけましょう。 次のサンプルは、一応Hello worldの日本語版です。 Hello world同様、実用的な意味はありませんが、反復処理の例となっています。 上の例はfor文と呼ばれる構文を使った例です(4行目にキーワード「for」があることに注意してください)。 コンパイルして実行してみましょう。 このプログラムはwhile文を使って次のように書くこともできます。 さらにdo-while文を使って次のような書き方もできます。 またさらに、CharSequence#codePoints()でコードポイントのStreamを取得し、これのforEachメソッドで繰返しを行う次のような書き方も可能です。 これが最もシンプルな書き方です。 各構文の詳細を説明する前に、共通する要素について説明します。 反復には、必ず反復条件を伴います。反復は、反復条件が満たされている間だけ続けられ、条件が満たされなくなると終了する。 反復条件は、比較演算子を使って表現されることがあります。 比較演算子は不等号などの数学記号に似ています。 ==演算子は、プリミティブ型の値またはオブジェクトの参照を比較するために使用されます。!=演算子は、==演算子と同じように使用されますが、2つの値が等しくない場合にtrueを返します。 <、>、<=、>=演算子は、プリミティブ型の値の大小関係を比較するために使用されます。 instanceof演算子は、オブジェクトの型を調べるために使用されます。左辺が右辺のクラスのインスタンスである場合、trueを返します。 注意点としては、オブジェクトの比較に==演算子を使用すると、オブジェクトの参照を比較するため、同じ内容のオブジェクトでもfalseを返す場合があります。 オブジェクトの内容を比較する場合は、.equals()メソッドを使用する必要があります。 Javaのfor文は、反復処理を行うための制御構造の一つで、指定された回数または条件を満たすまで繰り返します。一般的に、以下の形式で使用されます。 for文の本体は、継続条件式がtrueを返す間、繰り返し実行されます。通常、変数の値を使って何らかの処理を行います。 以下は、1から10までの整数を出力する例です。 for文の学習と言えば、典型的な例が掛け算九九を表示するサンプルです。 Javaにおいて、拡張for文(またはfor-each文)は、配列やコレクションなどの要素を繰り返し処理するための簡潔な方法を提供します。 標準的なforループとは異なり、ループカウンタを使用する必要がなく、ループ対象のデータ型に応じてループ変数を明示的に宣言する必要がありません。 構文は以下のようになります。 以下に、配列やコレクションを用いた拡張for文の例を示します。 この例では、配列numsの要素を順に表示するためにint型のループ変数numを使用し、同様に、コレクションfruitsの要素を順に表示するためにString型のループ変数fruitを使用しています。 拡張for文を使用することで、コードがより簡潔で読みやすくなります。 Javaにおけるwhile文は、指定した条件式がtrueである間、反復処理を続ける制御構造です。構文は以下の通りです。 条件式がtrueである限り、中括弧内の文が繰り返し実行されます。条件式がfalseになった時点で、while文の実行は終了します。 例えば、1から10までの整数を出力するプログラムは以下のように書けます。 このプログラムでは、変数iを1で初期化し、iが10以下である限り、iを出力してiを1ずつ増やしています。 これをStreamを使用して書き換えることができます。 IntStream.rangeClosed(1, 10)は、1から10までの整数のストリームを生成します。そして、.forEach(System.out::println)で各要素を出力しています。 rangeClosed()メソッドは指定された範囲(この場合は1から10まで)の整数ストリームを生成します。このストリームを使用して各要素に対して操作を行うことができます。 Javaにおいて、whileループを使ってファイルを読み込む方法について説明します。 以下は、例としてファイルの中身を1行ずつ読み込み、コンソールに出力するプログラムです。 まず、BufferedReader クラスを使ってファイルを読み込むための準備をします。BufferedReader クラスは、テキストファイルを1行ずつ読み込むためのクラスで、FileReader クラスと組み合わせて使用します。 while ループ内では、BufferedReader オブジェクトの readLine() メソッドを使って、ファイルから1行ずつデータを読み込みます。読み込んだ行が null でない場合は、読み込んだ行をコンソールに出力します。 ファイルの読み込みが終了したら、ファイルを閉じるために close() メソッドを呼び出します。また、エラーが発生した場合は、例外処理を行います。 このように、while ループを使ってファイルを読み込むことができます。ただし、ファイルの読み込みには例外処理が必要であることに注意してください。 上記のサンプルでは、while文の反復条件が(line = in.readLine()) != nullと書かれています。 これは代入演算と比較演算を同時に行う書き方で、こうした類の処理によく使われるパターンですが、慣れない間は奇異に見えるかもしれません。 なぜこうした書き方が可能なのかというと、代入演算の式は、その式で代入結果の値を返すからです。 念のため、処理の流れを追ってみましょう。 まず括弧内の処理、つまりline = in.readLine()が実行されます。この式は、変数lineに代入された値を返します。要するに、全体でlineが返されると考えてよいでしょう。 続いて、比較演算が行われます。括弧内をlineに置き換えるとわかりよいでしょう。つまりline != nullという判定が行われることになります。lineがnullになった場合、行はそれ以上ないというサインなので、ループから抜ける必要があります。 上記のサンプルは、for文を使ってたとえば と書くこともできます。 コードの効率性や可読性、保守性なども考慮して判断する必要があります。 さらに、ファイル読み込みのコードをStreamを使用して書き換えることができます。BufferedReaderからの行のストリームを取得し、それを使用して各行を処理する方法があります。 このコードでは、Files.lines(Paths.get("input.txt"))を使用して、ファイルを行のストリームとして読み込んでいます。そして、.forEach(System.out::println)を使って、各行をコンソールに出力しています。 Files.lines()はファイルを行のストリームとして読み込む便利な方法です。それを使用することで、BufferedReaderを明示的に使わずにファイルをストリームとして扱うことができます。 Javaのdo-while文は、while文と同じくループ処理を行うための構文の1つです。ただし、while文と異なり、do-while文はループの最初に1度だけブロック内の処理を実行し、その後に条件式を評価します。条件式がtrueの場合、再びブロック内の処理を実行します。条件式がfalseの場合、ループから抜けます。 do-while文の基本構文は以下のようになります。 例えば、1から10までの整数を順番に出力する場合は、次のようにdo-while文を使用することができます。 このコードでは、変数iを初期化してから、doブロック内でiを出力し、iを1増やしています。その後、while文でiが10以下である限り、doブロックを繰り返し実行します。結果として、1から10までの整数が順番に出力されます。 do-while文は、ループの最初に必ず1度だけブロック内の処理を実行する必要がある場合に使用することができます。また、条件式がfalseであっても、ブロック内の処理を最低1回実行することが保証されるため、while文と異なり、特定の処理を必ず実行する必要がある場合にも適しています。 JavaのIteratorは、コレクションオブジェクト内の要素を順番に取得するためのインターフェースです。Iteratorは、Javaのコレクションフレームワークの一部であり、java.utilパッケージに含まれています。 Iteratorを使用することで、配列やリストなどのコレクションオブジェクトの要素を順番に取得し、処理を行うことができます。Iteratorは、以下の3つのメソッドを持っています。 Iteratorの基本的な使い方は、以下のようになります。 ここで、collectionは要素を持つコレクションオブジェクトです。まず、iterator()メソッドを使用してイテレータを取得し、hasNext()メソッドで次の要素があるかどうかを確認します。次の要素がある場合、next()メソッドで次の要素を取得し、処理を行います。 また、Iteratorは、要素を削除するためのremove()メソッドを持っています。このメソッドを使用する場合は、必ずnext()メソッドで要素を取得した直後に呼び出す必要があります。例えば、次のように使用することができます。 Iteratorを使用することで、コレクションオブジェクトの要素を順番に取得し、必要な処理を行うことができます。ただし、Iteratorは単方向のイテレーションしかサポートしていないため、要素の逆順の処理が必要な場合は、リストイテレータを使用することが推奨されます。 JavaのforEachメソッドは、Java 8から導入された機能で、配列やコレクションの要素を繰り返し処理するためのメソッドです。forEachメソッドは、以下のように使用します。 ここで、arrayOrCollectionは、要素を持つ配列またはコレクションオブジェクトです。forEachメソッドは、要素ごとに指定された処理を行うためのラムダ式を引数として受け取ります。 ラムダ式は、->を用いて定義されます。上記の例では、elementという変数が要素を表し、{}内には要素に対する処理が記述されます。この場合、forEachメソッドは、配列またはコレクションの要素を繰り返し、各要素に対して指定された処理を行います。 forEachメソッドは、拡張for文に比べて、コードを簡潔に書くことができます。また、複数の要素に対して同じ処理を行う場合にも適しています。 forEachメソッドは、配列やコレクションの要素を順番に処理するため、要素の追加や削除などの操作を行う場合は、for文またはIteratorを使用する必要があります。また、forEachメソッドは、並列処理にも対応しており、parallelStreamメソッドと組み合わせて使用することで、複数のスレッドを使用した並列処理が可能です。 Javaのコレクションフレームワークを使用してリスト(List)、セット(Set)、およびマップ(Map)を作成し、それらの要素を表示する例 コードの概要: 各コレクション(リスト、セット、マップ)は、Java 9で導入された List.of()、Set.of()、Map.of() メソッドを使用して作成されています。これらのメソッドは、不変のコレクションを作成し、指定された要素で初期化する便利な方法を提供します。そして、forEach メソッドは、各要素に対して指定されたアクション(この場合は表示)を実行するために使用されています。 List.ofメソッドは、指定された要素から不変のリストを作成するために使用されます。つまり、この場合、"apple", "banana", "orange" の3つの要素を持つリストが作成されます。 そして、forEachメソッドは、リスト内の各要素に対して指定されたアクションを実行します。System.out::printlnは、メソッド参照を使っています。これはprintlnメソッドへの参照を表しています。 つまり、fruits.forEach(System.out::println);は、リストの各要素をSystem.out.printlnメソッドを使って出力するという意味です。 メソッドチェインは、Javaで複数のメソッド呼び出しを1つの文でつなげて書く方法です。これにより、コードがより簡潔で読みやすくなります。例を見てみましょう。 この例では、List.ofメソッドを使用してリストを作成し、それをストリームに変換しています。そして、メソッドチェインを使用していくつかの処理を行っています。 これにより、1つのストリーム処理内で複数の操作を行い、最終的な結果を得ることができます。メソッドチェインを使うと、コードがシンプルで、各ステップが連続しているため、処理の流れがより明確になります。 以下は、Javaで反復処理を行う際に使用する主要な文法とメソッドのチートシートです。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "反復 (Iteration) は、同じ処理を繰り返し実行することで、コードの簡潔さと再利用性を向上させるためによく使用されます。Javaには、様々な方法で反復処理を行うことができます。たとえば、for文、while文、do-while文、拡張for文、Iterator、forEachメソッドなどがあります。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "このチュートリアルでは、これらの反復処理方法を解説し、それぞれの使用方法や適切な場面について説明します。また、配列やコレクションに対する反復処理、ループ制御についても解説します。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "反復処理は、プログラミングにおいて非常に重要な概念であり、プログラムの処理効率や保守性を向上させるためにも、しっかりと理解しておく必要があります。本チュートリアルを通じて、反復処理について深く理解し、効果的に使用するための知識を身につけましょう。", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "次のサンプルは、一応Hello worldの日本語版です。 Hello world同様、実用的な意味はありませんが、反復処理の例となっています。", "title": "反復処理の例" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "上の例はfor文と呼ばれる構文を使った例です(4行目にキーワード「for」があることに注意してください)。 コンパイルして実行してみましょう。", "title": "反復処理の例" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "このプログラムはwhile文を使って次のように書くこともできます。", "title": "反復処理の例" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "さらにdo-while文を使って次のような書き方もできます。", "title": "反復処理の例" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "またさらに、CharSequence#codePoints()でコードポイントのStreamを取得し、これのforEachメソッドで繰返しを行う次のような書き方も可能です。 これが最もシンプルな書き方です。", "title": "反復処理の例" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "各構文の詳細を説明する前に、共通する要素について説明します。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "反復には、必ず反復条件を伴います。反復は、反復条件が満たされている間だけ続けられ、条件が満たされなくなると終了する。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "反復条件は、比較演算子を使って表現されることがあります。 比較演算子は不等号などの数学記号に似ています。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "==演算子は、プリミティブ型の値またはオブジェクトの参照を比較するために使用されます。!=演算子は、==演算子と同じように使用されますが、2つの値が等しくない場合にtrueを返します。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "<、>、<=、>=演算子は、プリミティブ型の値の大小関係を比較するために使用されます。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "instanceof演算子は、オブジェクトの型を調べるために使用されます。左辺が右辺のクラスのインスタンスである場合、trueを返します。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "注意点としては、オブジェクトの比較に==演算子を使用すると、オブジェクトの参照を比較するため、同じ内容のオブジェクトでもfalseを返す場合があります。 オブジェクトの内容を比較する場合は、.equals()メソッドを使用する必要があります。", "title": "反復条件によく使われる比較演算子" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "Javaのfor文は、反復処理を行うための制御構造の一つで、指定された回数または条件を満たすまで繰り返します。一般的に、以下の形式で使用されます。", "title": "for文" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "for文の本体は、継続条件式がtrueを返す間、繰り返し実行されます。通常、変数の値を使って何らかの処理を行います。", "title": "for文" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "以下は、1から10までの整数を出力する例です。", "title": "for文" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "for文の学習と言えば、典型的な例が掛け算九九を表示するサンプルです。", "title": "for文" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "", "title": "拡張for文" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "Javaにおいて、拡張for文(またはfor-each文)は、配列やコレクションなどの要素を繰り返し処理するための簡潔な方法を提供します。 標準的なforループとは異なり、ループカウンタを使用する必要がなく、ループ対象のデータ型に応じてループ変数を明示的に宣言する必要がありません。", "title": "拡張for文" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "構文は以下のようになります。", "title": "拡張for文" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "以下に、配列やコレクションを用いた拡張for文の例を示します。", "title": "拡張for文" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "この例では、配列numsの要素を順に表示するためにint型のループ変数numを使用し、同様に、コレクションfruitsの要素を順に表示するためにString型のループ変数fruitを使用しています。 拡張for文を使用することで、コードがより簡潔で読みやすくなります。", "title": "拡張for文" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "Javaにおけるwhile文は、指定した条件式がtrueである間、反復処理を続ける制御構造です。構文は以下の通りです。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "条件式がtrueである限り、中括弧内の文が繰り返し実行されます。条件式がfalseになった時点で、while文の実行は終了します。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "例えば、1から10までの整数を出力するプログラムは以下のように書けます。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "このプログラムでは、変数iを1で初期化し、iが10以下である限り、iを出力してiを1ずつ増やしています。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "これをStreamを使用して書き換えることができます。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "IntStream.rangeClosed(1, 10)は、1から10までの整数のストリームを生成します。そして、.forEach(System.out::println)で各要素を出力しています。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "rangeClosed()メソッドは指定された範囲(この場合は1から10まで)の整数ストリームを生成します。このストリームを使用して各要素に対して操作を行うことができます。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "Javaにおいて、whileループを使ってファイルを読み込む方法について説明します。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "以下は、例としてファイルの中身を1行ずつ読み込み、コンソールに出力するプログラムです。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "まず、BufferedReader クラスを使ってファイルを読み込むための準備をします。BufferedReader クラスは、テキストファイルを1行ずつ読み込むためのクラスで、FileReader クラスと組み合わせて使用します。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "while ループ内では、BufferedReader オブジェクトの readLine() メソッドを使って、ファイルから1行ずつデータを読み込みます。読み込んだ行が null でない場合は、読み込んだ行をコンソールに出力します。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "ファイルの読み込みが終了したら、ファイルを閉じるために close() メソッドを呼び出します。また、エラーが発生した場合は、例外処理を行います。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "このように、while ループを使ってファイルを読み込むことができます。ただし、ファイルの読み込みには例外処理が必要であることに注意してください。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "上記のサンプルでは、while文の反復条件が(line = in.readLine()) != nullと書かれています。 これは代入演算と比較演算を同時に行う書き方で、こうした類の処理によく使われるパターンですが、慣れない間は奇異に見えるかもしれません。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "なぜこうした書き方が可能なのかというと、代入演算の式は、その式で代入結果の値を返すからです。 念のため、処理の流れを追ってみましょう。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "まず括弧内の処理、つまりline = in.readLine()が実行されます。この式は、変数lineに代入された値を返します。要するに、全体でlineが返されると考えてよいでしょう。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "続いて、比較演算が行われます。括弧内をlineに置き換えるとわかりよいでしょう。つまりline != nullという判定が行われることになります。lineがnullになった場合、行はそれ以上ないというサインなので、ループから抜ける必要があります。", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "上記のサンプルは、for文を使ってたとえば", "title": "while文" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "と書くこともできます。 コードの効率性や可読性、保守性なども考慮して判断する必要があります。", "title": "while文" }, { 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"例えば、1から10までの整数を順番に出力する場合は、次のようにdo-while文を使用することができます。", "title": "do-while文" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "このコードでは、変数iを初期化してから、doブロック内でiを出力し、iを1増やしています。その後、while文でiが10以下である限り、doブロックを繰り返し実行します。結果として、1から10までの整数が順番に出力されます。", "title": "do-while文" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "do-while文は、ループの最初に必ず1度だけブロック内の処理を実行する必要がある場合に使用することができます。また、条件式がfalseであっても、ブロック内の処理を最低1回実行することが保証されるため、while文と異なり、特定の処理を必ず実行する必要がある場合にも適しています。", "title": "do-while文" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "JavaのIteratorは、コレクションオブジェクト内の要素を順番に取得するためのインターフェースです。Iteratorは、Javaのコレクションフレームワークの一部であり、java.utilパッケージに含まれています。", "title": "Iterator" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "Iteratorを使用することで、配列やリストなどのコレクションオブジェクトの要素を順番に取得し、処理を行うことができます。Iteratorは、以下の3つのメソッドを持っています。", "title": "Iterator" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "Iteratorの基本的な使い方は、以下のようになります。", "title": "Iterator" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "ここで、collectionは要素を持つコレクションオブジェクトです。まず、iterator()メソッドを使用してイテレータを取得し、hasNext()メソッドで次の要素があるかどうかを確認します。次の要素がある場合、next()メソッドで次の要素を取得し、処理を行います。", "title": "Iterator" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "また、Iteratorは、要素を削除するためのremove()メソッドを持っています。このメソッドを使用する場合は、必ずnext()メソッドで要素を取得した直後に呼び出す必要があります。例えば、次のように使用することができます。", "title": "Iterator" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "Iteratorを使用することで、コレクションオブジェクトの要素を順番に取得し、必要な処理を行うことができます。ただし、Iteratorは単方向のイテレーションしかサポートしていないため、要素の逆順の処理が必要な場合は、リストイテレータを使用することが推奨されます。", "title": "Iterator" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "JavaのforEachメソッドは、Java 8から導入された機能で、配列やコレクションの要素を繰り返し処理するためのメソッドです。forEachメソッドは、以下のように使用します。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "ここで、arrayOrCollectionは、要素を持つ配列またはコレクションオブジェクトです。forEachメソッドは、要素ごとに指定された処理を行うためのラムダ式を引数として受け取ります。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "ラムダ式は、->を用いて定義されます。上記の例では、elementという変数が要素を表し、{}内には要素に対する処理が記述されます。この場合、forEachメソッドは、配列またはコレクションの要素を繰り返し、各要素に対して指定された処理を行います。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "forEachメソッドは、拡張for文に比べて、コードを簡潔に書くことができます。また、複数の要素に対して同じ処理を行う場合にも適しています。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "forEachメソッドは、配列やコレクションの要素を順番に処理するため、要素の追加や削除などの操作を行う場合は、for文またはIteratorを使用する必要があります。また、forEachメソッドは、並列処理にも対応しており、parallelStreamメソッドと組み合わせて使用することで、複数のスレッドを使用した並列処理が可能です。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "Javaのコレクションフレームワークを使用してリスト(List)、セット(Set)、およびマップ(Map)を作成し、それらの要素を表示する例", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "コードの概要:", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "各コレクション(リスト、セット、マップ)は、Java 9で導入された List.of()、Set.of()、Map.of() メソッドを使用して作成されています。これらのメソッドは、不変のコレクションを作成し、指定された要素で初期化する便利な方法を提供します。そして、forEach メソッドは、各要素に対して指定されたアクション(この場合は表示)を実行するために使用されています。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "List.ofメソッドは、指定された要素から不変のリストを作成するために使用されます。つまり、この場合、\"apple\", \"banana\", \"orange\" の3つの要素を持つリストが作成されます。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "そして、forEachメソッドは、リスト内の各要素に対して指定されたアクションを実行します。System.out::printlnは、メソッド参照を使っています。これはprintlnメソッドへの参照を表しています。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "つまり、fruits.forEach(System.out::println);は、リストの各要素をSystem.out.printlnメソッドを使って出力するという意味です。", "title": "forEachメソッド" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "メソッドチェインは、Javaで複数のメソッド呼び出しを1つの文でつなげて書く方法です。これにより、コードがより簡潔で読みやすくなります。例を見てみましょう。", "title": "メソッドチェイン" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "この例では、List.ofメソッドを使用してリストを作成し、それをストリームに変換しています。そして、メソッドチェインを使用していくつかの処理を行っています。", "title": "メソッドチェイン" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "これにより、1つのストリーム処理内で複数の操作を行い、最終的な結果を得ることができます。メソッドチェインを使うと、コードがシンプルで、各ステップが連続しているため、処理の流れがより明確になります。", "title": "メソッドチェイン" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "", "title": "メソッドチェイン" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "以下は、Javaで反復処理を行う際に使用する主要な文法とメソッドのチートシートです。", "title": "附録" } ]
反復 (Iteration) は、同じ処理を繰り返し実行することで、コードの簡潔さと再利用性を向上させるためによく使用されます。Javaには、様々な方法で反復処理を行うことができます。たとえば、for文、while文、do-while文、拡張for文、Iterator、forEachメソッドなどがあります。 このチュートリアルでは、これらの反復処理方法を解説し、それぞれの使用方法や適切な場面について説明します。また、配列やコレクションに対する反復処理、ループ制御についても解説します。 反復処理は、プログラミングにおいて非常に重要な概念であり、プログラムの処理効率や保守性を向上させるためにも、しっかりと理解しておく必要があります。本チュートリアルを通じて、反復処理について深く理解し、効果的に使用するための知識を身につけましょう。
{{Nav}} = 反復 = 反復 (Iteration) は、同じ処理を繰り返し実行することで、コードの簡潔さと再利用性を向上させるためによく使用されます。Javaには、様々な方法で反復処理を行うことができます。たとえば、[[#for文|for文]]、[[#while文|while文]]、[[#do-while文|do-while文]]、[[#拡張for文|拡張for文]]、[[#Iterator|Iterator]]、[[#forEachメソッド|forEachメソッド]]などがあります。 このチュートリアルでは、これらの反復処理方法を解説し、それぞれの使用方法や適切な場面について説明します。また、配列やコレクションに対する反復処理、ループ制御についても解説します。 反復処理は、プログラミングにおいて非常に重要な概念であり、プログラムの処理効率や保守性を向上させるためにも、しっかりと理解しておく必要があります。本チュートリアルを通じて、反復処理について深く理解し、効果的に使用するための知識を身につけましょう。 __TOC__ == 反復処理の例 == {{Wikipedia|ループ (プログラミング)|ループ文}} 次のサンプルは、一応Hello worldの日本語版です。 Hello world同様、実用的な意味はありませんが、反復処理の例となっています。 ;[https://paiza.io/projects/MIpF5Jaxi_ctaWgY3eQG3Q?language=java Main.java]:<syntaxhighlight lang=java highlight="4" line> class Main { public static void main(String[] args) { String hello = "世界🌍よこんにちは😀"; for (int i = 0, len = hello.length(); i < len; i = hello.offsetByCodePoints(i, 1)) { System.out.println(Character.toChars(hello.codePointAt(i))); } } } </syntaxhighlight> 上の例は'''for文'''と呼ばれる構文を使った例です(4行目にキーワード「{{tt|for}}」があることに注意してください)。 コンパイルして実行してみましょう。 :<syntaxhighlight lang=bash> $ javac Main.java $ java Main 世 界 🌍 よ こ ん に ち は 😀 </syntaxhighlight> : “縦書き”でメッセージが表示されます。 このプログラムは'''while文'''を使って次のように書くこともできます。 ;[https://paiza.io/projects/bFx1DL73ySHmROH5vTNVTg?language=java 例]:<syntaxhighlight lang=java highlight="5,8"> class Main { public static void main(String[] args) { String hello = "世界🌍よこんにちは😀"; int i = 0, len = hello.length(); while (i < len) { System.out.println(Character.toChars(hello.codePointAt(i))); i = hello.offsetByCodePoints(i, 1); } } } </syntaxhighlight> さらに'''do-while文'''を使って次のような書き方もできます。 ;[https://paiza.io/projects/qTVeB09G6GWDdNJflv3_mg?language=java 例]:<syntaxhighlight lang=java highlight="5,7"> class Main { public static void main(String[] args) { String hello = "世界🌍よこんにちは😀"; int i = 0, len = hello.length(); do { System.out.println(Character.toChars(hello.codePointAt(i))); i = hello.offsetByCodePoints(i, 1); } while (i < len); } } </syntaxhighlight> またさらに、CharSequence#codePoints()でコードポイントのStreamを取得し、これのforEachメソッドで繰返しを行う次のような書き方も可能です。 これが最もシンプルな書き方です。 ;[https://paiza.io/projects/lkDPc897-el1UBm5t1Dd3w?language=java 例]:<syntaxhighlight lang=java highlight=3> class Main { public static void main(String[] args) { new String("世界🌍よこんにちは😀").codePoints().forEach(cp -> System.out.println(Character.toChars(cp))); } } </syntaxhighlight> : もはや構文ですらありませんが、サロゲートペアを含むコードポイントの列を繰返していることを簡素に表現できています。 == 反復条件によく使われる比較演算子 == 各構文の詳細を説明する前に、共通する要素について説明します。 反復には、必ず反復条件を伴います。反復は、反復条件が満たされている間だけ続けられ、条件が満たされなくなると終了する。 反復条件は、'''比較演算子'''を使って表現されることがあります。 比較演算子は不等号などの数学記号に似ています。 :{| class="wikitable" |+ 比較演算子一覧 !比較演算子 !数学記号 !意味 |- !<code>==</code> !<math>=</math> |左辺と右辺が等しい場合に<code>true</code>を返します。 |- !<code>!=</code> !<math>\neq</math> |左辺と右辺が等しくない場合に<code>true</code>を返します。 |- !<code><</code> !<math><</math> |左辺が右辺よりも小さい場合に<code>true</code>を返します。 |- !<code>></code> !<math>></math> |左辺が右辺よりも大きい場合に<code>true</code>を返します。 |- !<code><=</code> !<math>\leq</math> |左辺が右辺以下の場合に<code>true</code>を返します。 |- !<code>>=</code> !<math>\geq</math> |左辺が右辺以上の場合に<code>true</code>を返します。 |- !<code>instanceof</code> !N/A |左辺のオブジェクトが右辺のクラスのインスタンスである場合に<code>true</code>を返します。 |} <code>==</code>演算子は、プリミティブ型の値またはオブジェクトの参照を比較するために使用されます。<code>!=</code>演算子は、<code>==</code>演算子と同じように使用されますが、2つの値が等しくない場合に<code>true</code>を返します。 <code><</code>、<code>></code>、<code><=</code>、<code>>=</code>演算子は、プリミティブ型の値の大小関係を比較するために使用されます。 <code>instanceof</code>演算子は、オブジェクトの型を調べるために使用されます。左辺が右辺のクラスのインスタンスである場合、<code>true</code>を返します。 注意点としては、オブジェクトの比較に<code>==</code>演算子を使用すると、オブジェクトの参照を比較するため、同じ内容のオブジェクトでも<code>false</code>を返す場合があります。 オブジェクトの内容を比較する場合は、<code>.equals()</code>メソッドを使用する必要があります。 == for文 == {{Wikipedia|for文}} Javaのfor文は、反復処理を行うための制御構造の一つで、指定された回数または条件を満たすまで繰り返します。一般的に、以下の形式で使用されます。 :<syntaxhighlight lang=java> for (初期化式; 継続条件式; 更新式) { // 反復処理の本体 } </syntaxhighlight> ;初期化式 :初期化式は、反復処理が始まる前に一度だけ評価される式で、反復処理の前に何らかの変数を初期化するために使用されます。 :初期化式では変数を宣言することができ、初期化式で宣言された変数のスコープはfor文が終わるまでです。 ;継続条件式 :継続条件式は、反復処理が継続するかどうかを判定するための式で、trueかfalseを返します。この式がtrueを返し続ける限り、反復処理が繰り返されます。 :継続条件式がfalseを返した場合、反復処理は終了します。 ;更新式 :更新式は、反復処理の本体が実行された後に評価される式で、反復変数などの値を更新するために使用されます。 for文の本体は、継続条件式がtrueを返す間、繰り返し実行されます。通常、変数の値を使って何らかの処理を行います。 以下は、1から10までの整数を出力する例です。 :<syntaxhighlight lang=java> for (int i = 1; i <= 10; i++) { System.out.println(i); } </syntaxhighlight> :このコードは、1から10までの整数を順番に出力するための反復処理を行います。 :for文の初期化式 <code>int i = 1</code> では、反復処理で使用する変数 <code>i</code> を1で初期化しています。 :継続条件式 <code>i <= 10</code> では、変数 <code>i</code> の値が10以下の間、反復処理を繰り返すことを指定しています。 :更新式 <code>i++</code> では、変数 <code>i</code> を1ずつ増加させます。 :反復処理の本体 <code>System.out.println(i)</code> では、変数 <code>i</code> の値を画面に出力しています。 :つまり、初期値が1であり、10以下の間、変数 <code>i</code> を1ずつ増加させながら、各ループで変数 <code>i</code> の値を画面に出力することを指定しているため、1から10までの整数が順番に出力されます。 === 掛け算九九の例 === for文の学習と言えば、典型的な例が掛け算九九を表示するサンプルです。 :<syntaxhighlight lang=java> class Main { public static void main(String[] args) { for (int y = 1; y <= 9; y++) { for (int x = 1; x <= 9; x++) { String buf = String.format("%dx%d=%2d ", x, y, x * y); System.out.print(buf); } System.out.println(); } } } </syntaxhighlight> :外側のforループは、行ごとに反復処理を行います。 内側のforループは、各行に対して、列ごとに反復処理を行います。 ::内側のforループの中で、String.formatメソッドを使って、現在の行と列の値に対応する九九の計算結果を文字列として作成し、それをSystem.out.printメソッドで出力しています。 :外側のforループの最後には、改行を出力するためにSystem.out.printlnメソッドを呼び出しています。これにより、各行が改行で区切られて表示されるようになります。 == 拡張for文 == {{Anchors|foreach}} {{Wikipedia|foreach文}} Javaにおいて、拡張for文(またはfor-each文)は、配列やコレクションなどの要素を繰り返し処理するための簡潔な方法を提供します。 標準的なforループとは異なり、ループカウンタを使用する必要がなく、ループ対象のデータ型に応じてループ変数を明示的に宣言する必要がありません。 構文は以下のようになります。 :<syntaxhighlight lang=java> for (要素の型 変数名 : 配列またはコレクション) { // 繰り返し処理 } </syntaxhighlight> 以下に、配列やコレクションを用いた拡張for文の例を示します。 :<syntaxhighlight lang=java> // 配列の例 int[] nums = {1, 2, 3, 4, 5}; for (int num : nums) { System.out.println(num); } // コレクションの例 List<String> fruits = new ArrayList<>(); fruits.add("apple"); fruits.add("banana"); fruits.add("orange"); for (String fruit : fruits) { System.out.println(fruit); } </syntaxhighlight> この例では、配列numsの要素を順に表示するためにint型のループ変数numを使用し、同様に、コレクションfruitsの要素を順に表示するためにString型のループ変数fruitを使用しています。 拡張for文を使用することで、コードがより簡潔で読みやすくなります。 {{コラム|拡張for文|2=なお、'''この例では配列を使って説明していますが、拡張for文が使えるのは配列だけではありません'''。(少し先取りした内容になりますが)コレクションフレームワークや、もっと一般的に言うと<code>Iterable&lt;E&gt;</code>を実装したクラスが拡張for文で使えます。具体的には、 :<syntaxhighlight lang=java> for (E var1 : /* Iterable<E>を実装したクラスのインスタンス */) { // ここに処理を書く } </syntaxhighlight> という構文になります。 拡張for文は、そうしたインスタンスにも配列同様の考え方で適用することができます。 }} == while文 == {{Wikipedia|while文}} Javaにおけるwhile文は、指定した条件式がtrueである間、反復処理を続ける制御構造です。構文は以下の通りです。 :<syntaxhighlight lang=java> while (条件式) { // 反復処理の本体 } </syntaxhighlight> 条件式がtrueである限り、中括弧内の文が繰り返し実行されます。条件式がfalseになった時点で、while文の実行は終了します。 例えば、1から10までの整数を出力するプログラムは以下のように書けます。 :<syntaxhighlight lang=java> int i = 1; while (i <= 10) { System.out.println(i); i++; } </syntaxhighlight> このプログラムでは、変数<code>i</code>を1で初期化し、<code>i</code>が10以下である限り、<code>i</code>を出力して<code>i</code>を1ずつ増やしています。 これを<code>Stream</code>を使用して書き換えることができます。 :<syntaxhighlight lang=java> IntStream.rangeClosed(1, 10) .forEach(System.out::println); </syntaxhighlight> <code>IntStream.rangeClosed(1, 10)</code>は、1から10までの整数のストリームを生成します。そして、<code>.forEach(System.out::println)</code>で各要素を出力しています。 <code>rangeClosed()</code>メソッドは指定された範囲(この場合は1から10まで)の整数ストリームを生成します。このストリームを使用して各要素に対して操作を行うことができます。 === ファイルの読み込みの例 === Javaにおいて、whileループを使ってファイルを読み込む方法について説明します。 以下は、例としてファイルの中身を1行ずつ読み込み、コンソールに出力するプログラムです。 :<syntaxhighlight lang=java> import java.io.*; public class FileReadDemo { public static void main(String[] args) { try { // ファイルの読み込みに必要な準備 BufferedReader br = new BufferedReader(new FileReader("input.txt")); String line; // ファイルの1行ずつ読み込み while ((line = br.readLine()) != null) { // 読み込んだ行をコンソールに出力 System.out.println(line); } // ファイルを閉じる br.close(); } catch (IOException e) { System.out.println("ファイル読み込みエラー"); } } } </syntaxhighlight> まず、<code>BufferedReader</code> クラスを使ってファイルを読み込むための準備をします。<code>BufferedReader</code> クラスは、テキストファイルを1行ずつ読み込むためのクラスで、<code>FileReader</code> クラスと組み合わせて使用します。 <code>while</code> ループ内では、<code>BufferedReader</code> オブジェクトの <code>readLine()</code> メソッドを使って、ファイルから1行ずつデータを読み込みます。読み込んだ行が <code>null</code> でない場合は、読み込んだ行をコンソールに出力します。 ファイルの読み込みが終了したら、ファイルを閉じるために <code>close()</code> メソッドを呼び出します。また、エラーが発生した場合は、例外処理を行います。 このように、<code>while</code> ループを使ってファイルを読み込むことができます。ただし、ファイルの読み込みには例外処理が必要であることに注意してください。 <div style="padding: 10px; background-color: rgb(244, 240, 240); font-size: small;"><b>参考:{{code|(line {{=}} in.readLine()) !{{=}} null}}のような書き方について</b> 上記のサンプルでは、while文の反復条件が{{code|(line {{=}} in.readLine()) !{{=}} null}}と書かれています。 これは代入演算と比較演算を同時に行う書き方で、こうした類の処理によく使われるパターンですが、慣れない間は奇異に見えるかもしれません。 なぜこうした書き方が可能なのかというと、代入演算の式は、その式で代入結果の値を返すからです。 念のため、処理の流れを追ってみましょう。 まず括弧内の処理、つまり{{code|line {{=}} in.readLine()}}が実行されます。この式は、変数{{code|line}}に代入された値を返します。要するに、全体で{{code|line}}が返されると考えてよいでしょう。 続いて、比較演算が行われます。括弧内を{{code|line}}に置き換えるとわかりよいでしょう。つまり{{code|line !{{=}} null}}という判定が行われることになります。{{code|line}}が{{code|null}}になった場合、行はそれ以上ないというサインなので、ループから抜ける必要があります。 </div> <div style="padding: 10px; background-color: rgb(244, 240, 240); font-size: small;"><b>参考:for文で書いた場合</b> 上記のサンプルは、for文を使ってたとえば :<syntaxhighlight lang=java> import java.io.*; public class FileReadDemo { public static void main(String[] args) { try { // ファイルの読み込みに必要な準備 BufferedReader br = new BufferedReader(new FileReader("input.txt")); String line; // ファイルの1行ずつ読み込み for (line = br.readLine(); line != null; line = br.readLine()) { // 読み込んだ行をコンソールに出力 System.out.println(line); } // ファイルを閉じる br.close(); } catch (IOException e) { System.out.println("ファイル読み込みエラー"); } } } </syntaxhighlight> と書くこともできます。 コードの効率性や可読性、保守性なども考慮して判断する必要があります。 </div>   <div style="padding: 10px; background-color: rgb(244, 240, 240); font-size: small;"><b>参考:Streamを使った場合</b> さらに、ファイル読み込みのコードを<code>Stream</code>を使用して書き換えることができます。<code>BufferedReader</code>からの行のストリームを取得し、それを使用して各行を処理する方法があります。 :<syntaxhighlight lang=java> import java.io.BufferedReader; import java.io.FileReader; import java.io.IOException; import java.nio.file.Files; import java.nio.file.Paths; public class FileReadDemo { public static void main(String[] args) { try { // ファイルの1行ずつストリームとして読み込む Files.lines(Paths.get("input.txt")) .forEach(System.out::println); } catch (IOException e) { System.out.println("ファイル読み込みエラー"); } } } </syntaxhighlight> このコードでは、<code>Files.lines(Paths.get("input.txt"))</code>を使用して、ファイルを行のストリームとして読み込んでいます。そして、<code>.forEach(System.out::println)</code>を使って、各行をコンソールに出力しています。 <code>Files.lines()</code>はファイルを行のストリームとして読み込む便利な方法です。それを使用することで、<code>BufferedReader</code>を明示的に使わずにファイルをストリームとして扱うことができます。 </div> == do-while文 == {{Wikipedia|do-while文}} Javaのdo-while文は、while文と同じくループ処理を行うための構文の1つです。ただし、while文と異なり、do-while文はループの最初に1度だけブロック内の処理を実行し、その後に条件式を評価します。条件式がtrueの場合、再びブロック内の処理を実行します。条件式がfalseの場合、ループから抜けます。 do-while文の基本構文は以下のようになります。 :<syntaxhighlight lang=java> do { // 処理 } while (条件式); </syntaxhighlight> 例えば、1から10までの整数を順番に出力する場合は、次のようにdo-while文を使用することができます。 :<syntaxhighlight lang=java> int i = 1; do { System.out.println(i); i++; } while (i <= 10); </syntaxhighlight> このコードでは、変数iを初期化してから、doブロック内でiを出力し、iを1増やしています。その後、while文でiが10以下である限り、doブロックを繰り返し実行します。結果として、1から10までの整数が順番に出力されます。 do-while文は、ループの最初に必ず1度だけブロック内の処理を実行する必要がある場合に使用することができます。また、条件式がfalseであっても、ブロック内の処理を最低1回実行することが保証されるため、while文と異なり、特定の処理を必ず実行する必要がある場合にも適しています。 == Iterator == JavaのIteratorは、コレクションオブジェクト内の要素を順番に取得するためのインターフェースです。Iteratorは、Javaのコレクションフレームワークの一部であり、java.utilパッケージに含まれています。 Iteratorを使用することで、配列やリストなどのコレクションオブジェクトの要素を順番に取得し、処理を行うことができます。Iteratorは、以下の3つのメソッドを持っています。 * <code>boolean hasNext()</code>: 次の要素がある場合にtrueを返します。 * <code>E next()</code>: 次の要素を返します。 * <code>void remove()</code>: 最後に返された要素をコレクションから削除します。 Iteratorの基本的な使い方は、以下のようになります。 :<syntaxhighlight lang=java> Iterator<E> it = collection.iterator(); // イテレータを取得 while (it.hasNext()) { // 次の要素がある場合 E element = it.next(); // 次の要素を取得 // 要素に対する処理 } </syntaxhighlight> ここで、<code>collection</code>は要素を持つコレクションオブジェクトです。まず、<code>iterator()</code>メソッドを使用してイテレータを取得し、<code>hasNext()</code>メソッドで次の要素があるかどうかを確認します。次の要素がある場合、<code>next()</code>メソッドで次の要素を取得し、処理を行います。 また、Iteratorは、要素を削除するための<code>remove()</code>メソッドを持っています。このメソッドを使用する場合は、必ず<code>next()</code>メソッドで要素を取得した直後に呼び出す必要があります。例えば、次のように使用することができます。 :<syntaxhighlight lang=java> Iterator<E> it = collection.iterator(); while (it.hasNext()) { E element = it.next(); if (条件) { it.remove(); // 条件に合致する要素を削除 } } </syntaxhighlight> Iteratorを使用することで、コレクションオブジェクトの要素を順番に取得し、必要な処理を行うことができます。ただし、Iteratorは単方向のイテレーションしかサポートしていないため、要素の逆順の処理が必要な場合は、リストイテレータを使用することが推奨されます。 == forEachメソッド == Javaの<code>forEach</code>メソッドは、Java 8から導入された機能で、配列やコレクションの要素を繰り返し処理するためのメソッドです。<code>forEach</code>メソッドは、以下のように使用します。 :<syntaxhighlight lang=java> arrayOrCollection.forEach(element -> { // 要素に対する処理 }); </syntaxhighlight> ここで、<code>arrayOrCollection</code>は、要素を持つ配列またはコレクションオブジェクトです。<code>forEach</code>メソッドは、要素ごとに指定された処理を行うためのラムダ式を引数として受け取ります。 ラムダ式は、<code>-></code>を用いて定義されます。上記の例では、<code>element</code>という変数が要素を表し、<code>{}</code>内には要素に対する処理が記述されます。この場合、<code>forEach</code>メソッドは、配列またはコレクションの要素を繰り返し、各要素に対して指定された処理を行います。 <code>forEach</code>メソッドは、拡張for文に比べて、コードを簡潔に書くことができます。また、複数の要素に対して同じ処理を行う場合にも適しています。 <code>forEach</code>メソッドは、配列やコレクションの要素を順番に処理するため、要素の追加や削除などの操作を行う場合は、<code>for</code>文または<code>Iterator</code>を使用する必要があります。また、<code>forEach</code>メソッドは、並列処理にも対応しており、<code>parallelStream</code>メソッドと組み合わせて使用することで、複数のスレッドを使用した並列処理が可能です。 Javaのコレクションフレームワークを使用してリスト(List)、セット(Set)、およびマップ(Map)を作成し、それらの要素を表示する例 :<syntaxhighlight lang=java> import java.util.*; public class CollectionExample { public static void main(String[] args) { // Listの例 List<String> stringList = List.of("apple", "banana", "orange"); // forEachメソッドを使って要素を表示 stringList.forEach(System.out::println); // Setの例 Set<Integer> integerSet = Set.of(1, 2, 3, 4, 5); // forEachメソッドを使って要素を表示 integerSet.forEach(System.out::println); // Mapの例 Map<Integer, String> numberMap = Map.of( 1, "One", 2, "Two", 3, "Three" ); // forEachメソッドを使ってキーと値を表示 numberMap.forEach((key, value) -> System.out.println(key + " : " + value)); } } </syntaxhighlight> コードの概要: # <code>List<String></code>を使用して、3つの文字列を持つリスト <code>stringList</code> を作成しています。それから、<code>forEach</code> メソッドを使用して、リストの各要素を改行して表示しています。 # <code>Set<Integer></code>を使用して、5つの整数を持つセット <code>integerSet</code> を作成しています。同様に、<code>forEach</code> メソッドを使用して、セットの各要素を改行して表示しています。 # <code>Map<Integer, String></code>を使用して、3つの整数をキーとし、それに対応する文字列を値とするマップ <code>numberMap</code> を作成しています。<code>forEach</code> メソッドを使用して、マップの各エントリー(キーと値のペア)をキーと値の形式で表示しています。 各コレクション(リスト、セット、マップ)は、Java 9で導入された <code>List.of()</code>、<code>Set.of()</code>、<code>Map.of()</code> メソッドを使用して作成されています。これらのメソッドは、不変のコレクションを作成し、指定された要素で初期化する便利な方法を提供します。そして、<code>forEach</code> メソッドは、各要素に対して指定されたアクション(この場合は表示)を実行するために使用されています。 <code>List.of</code>メソッドは、指定された要素から不変のリストを作成するために使用されます。つまり、この場合、"apple", "banana", "orange" の3つの要素を持つリストが作成されます。 そして、<code>forEach</code>メソッドは、リスト内の各要素に対して指定されたアクションを実行します。<code>System.out::println</code>は、メソッド参照を使っています。これは<code>println</code>メソッドへの参照を表しています。 つまり、<code>fruits.forEach(System.out::println);</code>は、リストの各要素を<code>System.out.println</code>メソッドを使って出力するという意味です。 {{コラム|ofメソッド|2=Javaの<code>of</code>メソッドは、Java 9から導入された静的メソッドであり、不変(immutable)なコレクション(List、Set、Map)を作成するための便利な方法を提供します。このメソッドは、複数の要素をコンパクトな方法で指定し、それらの要素を含む不変のコレクションを生成します。 <code>of</code>メソッドを使用する主な理由は次の通りです: # 不変性の確保: <code>of</code>メソッドで作成されたコレクションは不変(immutable)です。つまり、一度作成された後はその内容を変更することができません。この性質は、プログラムの安全性とスレッドセーフ性を高めるのに役立ちます。 # コードの可読性と簡潔さ: <code>of</code>メソッドは、コレクションを作成するためのリテラル構文よりも簡潔で読みやすいコードを提供します。複数の要素を指定するための煩雑なコードを省略できます。 # エラープルーフ: <code>of</code>メソッドは可変長引数を取るため、要素を列挙する際にコンパイル時のチェックを提供します。これにより、コンパイル時にエラーを検出することができます。また、要素の型が一致しない場合や、nullを渡した場合には実行時に例外がスローされます。 ただし、<code>of</code>メソッドにはいくつかの制限もあります。例えば、作成されるコレクションの要素数に制限があること、不変性を保つために要素の追加や削除ができないこと、また<code>null</code>要素を受け付けないことなどが挙げられます。 したがって、短い要素のリストや、要素が事前にわかっている場合には<code>of</code>メソッドを使用することでコードの可読性と堅牢性を高めることができます。ただし、要素が動的に変化する可能性がある場合や、大量の要素を扱う場合には、他の手法やコレクションの生成方法を検討する必要があります。 }} == メソッドチェイン == メソッドチェインは、Javaで複数のメソッド呼び出しを1つの文でつなげて書く方法です。これにより、コードがより簡潔で読みやすくなります。例を見てみましょう。 :<syntaxhighlight lang=java> import java.util.List; import java.util.stream.Collectors; public class MethodChainingExample { public static void main(String[] args) { List<String> words = List.of("apple", "banana", "orange", "grape", "peach"); // 文字数が5未満の単語を取り出し、大文字に変換してカンマ区切りの文字列にする String result = words.stream() .filter(word -> word.length() < 5) // 文字数が5未満の単語をフィルタリング .map(String::toUpperCase) // 単語を大文字に変換 .collect(Collectors.joining(", ")); // カンマ区切りの文字列に変換 System.out.println(result); } } </syntaxhighlight> この例では、<code>List.of</code>メソッドを使用してリストを作成し、それをストリームに変換しています。そして、メソッドチェインを使用していくつかの処理を行っています。 # <code>filter</code>: 文字数が5未満の単語をフィルタリングします。 # <code>map</code>: フィルタリングされた単語を大文字に変換します。 # <code>collect</code>: 変換された単語をカンマ区切りの文字列に集約します。 これにより、1つのストリーム処理内で複数の操作を行い、最終的な結果を得ることができます。メソッドチェインを使うと、コードがシンプルで、各ステップが連続しているため、処理の流れがより明確になります。 {{コラム|メソッドチェインの長所短所|2=メソッドチェインにはいくつかの長所と短所があります。 長所: # コードの可読性向上: メソッドチェインを使用することで、複数のメソッド呼び出しを1行で表現できます。これにより、コードが簡潔になり、処理の流れが直感的に理解しやすくなります。 # 柔軟性と拡張性: メソッドチェインは、メソッドを順番に適用するため、フィルタリングやマッピングなどの処理を柔軟に組み合わせることができます。また、新しい処理が追加される場合も、既存のメソッドチェインに容易に組み込むことができます。 # 効率性の向上: 一連の操作をメソッドチェインでつなげることで、中間データ構造を作成することなく処理をパイプライン化できます。これにより、メモリの使用を最適化し、効率的な処理を実現できます。 短所: # デバッグが難しいこと: メソッドチェインが長くなると、デバッグやエラーの特定が難しくなる場合があります。特に途中で行われる変換やフィルタリングなど、一連の操作が複雑になると、それぞれのステップでのデータの状態を理解するのが困難になることがあります。 # 可読性の低下: あまりにもメソッドチェインが長すぎる場合、コードの可読性が低下する可能性があります。メソッドチェインが複雑になると、理解しやすさが損なわれることがあります。 # エラーハンドリングの複雑化: メソッドチェイン内でエラーが発生した場合、どのメソッド呼び出しで問題が発生したのか特定することが難しくなることがあります。エラーのハンドリングやトラブルシューティングが複雑になる可能性があります。 メソッドチェインは、適切に使用されるとコードをスッキリとさせ、処理の流れを明確にすることができます。しかし、過度に長くなると可読性が低下したり、デバッグが難しくなるリスクもあるため、バランスを考えながら適切に利用することが重要です。 }} == 附録 == === チートシート === 以下は、Javaで反復処理を行う際に使用する主要な文法とメソッドのチートシートです。 ;for文 :<syntaxhighlight lang=java> for (初期化式; 条件式; 更新式) { // 処理 } </syntaxhighlight> :*初期化式: ループの最初に一度だけ実行され、変数の初期化を行う。 :*条件式: 毎回ループの開始時に評価され、真偽値を返す。 :*更新式: ループの最後に毎回実行され、変数の更新を行う。 ;while文 :<syntaxhighlight lang=java> while (条件式) { // 処理 } </syntaxhighlight> :*条件式: 毎回ループの開始時に評価され、真偽値を返す。 ;do-while文 :<syntaxhighlight lang=java> do { // 処理 } while (条件式); </syntaxhighlight> :*条件式: ループの最後に一度だけ評価され、真偽値を返す。 ;Enhanced for文 :<syntaxhighlight lang=java> for (型 変数名 : 配列またはコレクション) { // 処理 } </syntaxhighlight> :*型: 配列またはコレクションに含まれる要素の型。 :*変数名: ループ内で要素にアクセスするための変数名。 ;Iterator :<syntaxhighlight lang=java> Iterator<型> iterator = コレクション.iterator(); while (iterator.hasNext()) { 型 要素 = iterator.next(); // 処理 } </syntaxhighlight> :*型: コレクションに含まれる要素の型。varを使うと型推論が可能。 :*iterator(): コレクションからイテレータを取得するメソッド。 :*hasNext(): 次の要素があるかどうかを判定するメソッド。 :*next(): 次の要素を取得するメソッド。 ;forEachメソッド :<syntaxhighlight lang=java> 配列またはコレクション.forEach(要素 -> { // 処理 }); </syntaxhighlight> :*forEach(): 配列またはコレクションの要素を1つずつ取り出して、ラムダ式による処理を実行するメソッド。 :*要素 -> {}: ラムダ式の記法。要素に対する処理を記述する。 === 用語集 === * ループ (Loop):同じ処理を繰り返し実行するプログラム構造。Javaではfor文、while文、do-while文などがあり、配列やコレクションに対しても反復処理を行うことができる。 * 初期化式 (Initialization):for文で使用される、ループの最初に一度だけ実行される式。変数の宣言と初期化を行うことができる。 * 条件式 (Condition):ループの開始時に評価される式。真偽値を返す。 * 更新式 (Update):for文やwhile文で使用される、ループの最後に毎回実行される式。変数の更新などを行うことができる。 * 配列 (Array):同じ型の複数の値を格納できる、固定長のデータ構造。インデックスを指定することで個々の要素にアクセスすることができる。 * コレクション (Collection):複数のオブジェクトを格納するための可変長のデータ構造。Javaでは、List、Set、Mapなどがある。 * Enhanced for文 (Enhanced for loop):配列やコレクションに対して反復処理を行うための構文。for (型 変数名 : 配列またはコレクション) { // 処理 }の形式で記述する。 * Iterator:コレクションに対して反復処理を行うためのインターフェース。hasNext()、next()などのメソッドを提供する。 * forEachメソッド (forEach):配列やコレクションに対してラムダ式を用いて反復処理を行うためのメソッド。配列またはコレクション.forEach(要素 -> { // 処理 });の形式で記述する。 {{Nav}} [[カテゴリ:Java|はんふくしより]]
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2024-02-04T00:57:57Z
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ゲームプログラミング
このWiki参考書では、コンピュータを用いたw:ゲームのプログラミングを扱います。つまり、いわゆる「テレビゲーム」や、コンピュータゲームに関する記述についてです。 ここでは家庭用のパーソナルコンピュータで扱える範囲の事柄、それらのゲームソフトをつくるためのプログラミングについて議論します。必要に応じて家庭用ゲーム機の話題にも触れますが、あくまで派生的なものです。本書はプログラミングの教材であるので、大多数の読者が最初にプログラミングで触れるであろうパーソナルコンピュータでのプログラミングを、特にことわらないかぎりは想定しています。 用語に関して、コンピューターゲームの世界独自なものもあるでしょうから、適宜『ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類』などを参照してください。 この教科書『ゲームプログラミング』の目的は、題名にもあるとおり、プログラミングによってゲームを作るための技術の参考資料を目的としています。 ゲームクリエイターやゲームデザイナー(絵描きではなくゲームの設計者のこと)のためではなく、プログラマーのための教科書です。 したがって本書では、ゲームとは関係の少ない一般IT企業での仕事のしかたについての記述もあれば、製造業系の組込ソフトなどに関する概要的な記述もあります。 なぜなら本書はゲームクリエイターではなく、たまたま何らかの理由でゲームを作っているプログラマーのための教科書だからです。たとえゲーム会社を退職しても、他の一般IT企業に転職してもプログラマーとして応用できることなども目指して本書は書かれています。 従って、紹介する話題が、かなりIT系、テクノロジー系の話題に片寄っています。本書で紹介するクリエイター論やデザイン論は、派生的なものにすぎません。 特にことわりのないかぎり、本書ではC言語でのプログラミングによってゲームを作りたい読書を念頭に説明しています。 だから、ゲームの生産効率性を無視してでも、本来ならRPGツクールのような開発ツールを使ったほうが早いシンプルなゲームの場合ですら、本書ではC言語または他のプログラミング言語での開発にこだわった方法を説明している場合もあります。 このページとそのサブページだけを見ていると本書は「ゲームクリエイトの教科書かな?」と捉えられるかもしれませんが、 しかしこのページとは別に本wikibooksには「プログラミング」というページがあり、そこではC言語やJavaなど代表的なプログラム言語のwiki教科書にリンクしています。ゲーム限定の話題ではないですが、プログラミングのコードについても、そちら『C言語』や『Java』やなどの教科書のほうが(実際に動作するコードの量が)充実しています。また、Visual C++ での画面出力については『Windows API』に入門的な説明があります。 本書『ゲームプログラミング』はそういったプログラミング教科書一覧の一部でもあります。C言語やWindows API の教科書では、これをどうやってゲームのプログラミングに応用すればいいか説明できないので(本wiki『C言語』はけっしてゲーム目的のページではないので)、ゲームの実際としてプログラミングの話題を切り離すために本書『ゲームプログラミング』は存在しています。 なので本書にゲームデザイン論やクリエイター論などの内容の充実は期待できません。 本書『ゲームプログラミング』は現状、プログラマー目的以外には対応できないかもしれません。もしプログラマー目的以外の無料のwiki教科書が欲しい方は、現状では、自分で本wikiに加筆するか、あるいは本書『ゲームプログラミング』とは別に新規Wiki執筆を検討していただきたい。 「ゲームを作りたい」と思ったのなら、まずはあまり細かい難しいことは考えず、実際に作り始めてみるのが一番いいと思います。もちろんプログラミングについてほとんど何も知らないのなら、ある程度の勉強は必要ですが、ある程度の知識があるのなら、プログラミングの技量や知識の充実を気にするよりは、実際にゲームの完成を目指してプログラムを書いてみるのが一番いいようですよ。その過程でプログラミングの学習や経験は積んでいけますしね。JavaScriptやPython、無料でプログラミングに取り組める環境も、今現在では充実しています。 しかし、ゲームをプレイするのが好きだからと言って、ゲームを作る、までが本当に自分が好きかどうか、試しに少し作ってみたら、少し考えてみるといいですね。 例えば読者の中には、「私はRPGが好き」という人も多いでしょう。 RPG が好きという事はおそらく、よくRPGの題材になる西洋ファンタジーのストーリーや世界も好きという場合が多いでしょう。そして一方で現実のコンピューターRPGで魅力的に提供される、イラストや音楽が好きという場合もあります。 実際のゲーム業界の人々も、ゲームを彩るイラストレーションや音楽がいかに重要な要素かを語っています。 さて、ここで問題なのですが、「ゲームを作りたい」と貴方が思っていたとして、あなたが本当に作りたいのはゲームなのか?あるいは本当はイラストが描きたかったり、音楽を作りたいのではないか? ...というのは、ゲームというのは総合的な分野ですから、イラストや音楽はその要素として確実にありますが、それ以外、プログラミングやシナリオなど、様々な創作や創造が必要で、全ての作業量はかなり多いものになるでしょう。 そしてゲーム、コンピューターゲームにはゲーム独自の世界観があって、現実や小説や映画とは違う、独特の法則に支配された世界を作る必要があります。ある意味リアリティを持たない、リアリティから外れた世界です。だから、小説のようなリアリティにこだわるなら、ゲームは不向きかもしれません。 ゲーム作り始めの時点では、これらの判断は明確でなくても勉強目的でも構いませんが、しかその内「自分は本当にゲームを作りたいのか? Yes or no?」という疑問への答えが必要になるときがくるかもしれません。 試しにゲームを作ってみて、もし自分の本当の目的がゲームでないと分かったなら、それ以外の活動に移るのも、取る道の選択肢でしょう。 職業として、商売としてゲームを作る場合、ゲームプログラマーの給料は洋の東西を問わず、安い事が知られており、書籍などでも言及されています。たとえば『CAREER SKILLS ソフトウェア開発者の完全キャリアガイド』(ジョン・ソンメズ 著)という欧米人のプログラマーの書いた本には、アメリカのゲーム業界ですらハードワークの割に賃金が低い事が記載されており、もし給料の高い仕事につきたいならウォールストリート(※米国の金融ウォール街のこと)のための仕事をするべきだと書籍中で指摘しています。 日本でも同様にゲーム業界の報酬が低いことは知られており、多くのゲーム会社の伝記漫画でも、よく語られています。 アニメーション業界と比べたら、ゲーム業界のほうが報酬が高いことは事実かもしれませんが、これは実は恐ろしいことに、アニメーション業界の報酬が異常に低いだけで、アニメーション業界よりはましだけど、結局は...というのが現状でしょう。 2001年ごろの日本はネットを活用した同人ゲーム黎明期、フリーゲーム黎明期で、実験的な時代でもあり、多くのイラスト愛好、創作者や音楽創作者がゲーム制作に手を染めていたようです。この頃、まだイラスト投稿サイトや小説投稿サイトといったものは無かったか、あったとしても小規模でマイナーなものでした。 しかし2010年のあたりから各種の投稿サイトが普及したことにより状況は変わり、むしろ現在では、小説やイラストを発表したい人はそのジャンルの投稿サイトに直接アクセスしたほうが早く、そのためゲームを通して発表するのは人によっては廻り道かもしれません。 それをわかったうえで、それでもゲーム制作に身を投じるかを考えた上で、「よし、自分はゲーム制作をしよう」と思えるなら、ゲーム制作をするのが良いでしょう。 実際、今現在の作曲家やイラストレーターは、ゲームに関わったとしても、専門家として楽曲やイラストを提供するという立場に過ぎない場合もあり、自分自身が主体になってゲーム制作をする人は、プロアマ問わず少数派のように見えます。 同人ゲームの世界でも現在は(2021年頃に記述)、プログラマー系の作者が圧倒的に多い様です。 しかし、専門外の人だからこそ、メディアミックス的な意外な視点で新しいものが作れる可能性もあるかもしれません。コピーライター、作家の糸井重里が、マザー2の企画にたずさわった例もあります。しかし、あくまで「可能性」であり、成功はけっして保証されてはいないので、読者の自己責任でお願いします。 今現在のゲーム専門学校のカリキュラムはプログラミングが主体です。CGの授業は、週に2時間程の様。一方でゲームCG、或いは、一般CGに特化した学科もある様です。 あるWikibooks編集者Aは、もしイラストを描きたいなら、イラストの世界で描くのが安全、と考えています。ゲームプログラミングについては、プログラムを書ける人は絵コンテも描けそうだし、基本的にある程度の作図的なイラストを描ける人は多いだろうから、別にプログラミングに専念しろとは思っていません。 さて、読者がゲーム制作を職業として目指すのかどうかはともかく、とりあえず、ゲーム業界の状況を知っておくのが有用でしょう。 結局商業界の状況が権威をもってその分野を支配しているのがこの社会の基本なので、趣味でも職業でも、業界周辺のことを知っておくのは得ることが多いはずです。 文献『レベルデザイン徹底指南書』では、現実世界で自分が新しいスキルを1つ覚えたら、古いスキル1つはどれか忘れる必要があることを説いています。著者は、最初はグラフィッカーでしたが、しかしプランナーに転職したので、グラフィック関係の技能は仕事では「忘れて」しまった、という内容を述べています。ただし、比喩的に「忘れる」とは言っていますが、実際には忘却し無くなってしまったわけではなく、仕事では時間の都合により両立できないので、グラフィック関係の技能は例え話で「忘れた」、のであり、現実にはグラフィッカー時代に培った観察眼をプランナー時代の現在でも活用している、と、書籍中では述べられています。 このことは職業、あるいは技能とは一般的にそういうもの、と考えることができるでしょう。 ゲーム業界のプランナーに限らず、演劇の世界でも舞台監督の仕事がそんな感じであり、ついつい大道具とか小道具とかを舞台監督が手伝ってしまうと本来の管理業務に支障をきたすので監督は手伝わないように(監督は指示を出すのに徹さなければならない)、監督は自身を注意する必要があります。高校生向けの演劇部の本にそう書いてありました。こういう分担作業の出来ない人は高校教師以下なので、反省してください。 かつてはゲーム産業が、日本のIT産業やデジタル家電産業の中心的・牽引(けんいん)役であった時代がありました。しかし、2010年以降、この考えは当てはまらなくなっています。 PlayStation1~2あたりまでの時代には、経済評論誌の未来予想でも、「もしかしたら今後、家庭用の据え置きゲーム機がパソコンの代替品として、家庭のリビング家電の標準品になるかもしれない」という予想があった。ゲーム産業がそのような牽引役として、経済界から期待されていました。ソニーが国産CPUをプレステ2〜3に搭載したり、WindwosのマイクロソフトがXBOXでゲーム機に参入したり、そういう時代です。 しかし2020年代の今は違います。結局、2020年代のゲーム機に使われてる技術や部品は、パソコン用の部品や技術の流用、ゲーム機のCPUも、今やインテルなどのパソコン用CPUをゲーム機でも使っています。 もはや現代は、ゲーム業界は、産業のエンジンではないようです。 ですから今現在、新しい技術に興味ある人は、ゲームにこだわらず、直接的にその技術を勉強し改良したほうが近道です。 たとえば、インターネット技術を使って何か新しい事をしたいなら、ゲームを作るよりもwebアプリやサーバーwebサービスを作るべきだし、目的のネットワーク用ソフトウェアをそのまま制作したほうが早いし確実です。 古い経済知識の先入観にとらわれず、無理にゲーム制作にこだわらないほうが、自分自身の技能やキャリアも開けていくでしょう。 2010年に出版された商学書籍『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』には、「しかしながら、ファミリーコンピュータで世界に攻勢をかけ、その後圧倒的な強さを誇っていた日本の家庭用ゲーム産業も、90年代末からはその競争力にかげりがみえはじめた。日本の国内市場は伸び悩み、成長率は鈍化傾向にある(図表7-3)。」とあります。 その「図表7-3」の統計値によると、 である。(青島らが『レジャー白書』、『情報メディア白書』、『月刊トイジャーナル』、『CESAゲーム白書』などをもとに作成した図表の統計値です。) また、2010年の時点の商学研究では、1997年を境に、ゲームソフト市場で競争する企業数が増加傾向から減少傾向に転じた、とも言われています。 書籍『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』にも、引用文「家庭用ゲームは日本がその本格的立ち上げを主導し」と書かれているぐらいで、1990年代は日本のインパクトが強かったようです。 なお、携帯電話の分野で、日本は国際的な地位を喪失したのに対し、デジタルカメラとゲームは「現代」(参考文献の著作時2010年ごろ)でも日本が主要な地位にある。 ここでいう「プログラミング」とは、C言語などのプログラム言語による開発のことです。RPGツクールなど開発ツールによるゲーム制作の話は原則していません(本書『ゲームプログラミング』はあくまでプログラミングのための教科書です)。 さて、よくネットや、あるいは日常でも(C言語などによる)「ゲームプログラミングは簡単だよ。イラストやシナリオのほうが難しい。」、などという人がいますが、この発言の心は、「俺はプログラミングもイラストもシナリオも出来る凄い男だぜ。しかもプログラミングなんて簡単だし、むしろクリエイティブなイラストやシナリオの方に精力を費やす偉い奴だぜ^^」という、世間に良くいる武勇伝、自慢を語りたがる、インチキ親父が吹かしているだけなので、あまり真面目に取り合わないのが正解だと思います。 まず第一に、不当にプログラミングの価値を貶めている言説ですよね。 Visual C++またはVC# 、あるいは Direct Xなどを使ってプログラミングすることは、そんなに簡単なことではないでしょう。 ゲームプログラミングの入門書などには、初心者でも理解できそうな比較的簡単ないくつかのサンプルコードがありますが、それは初心者でも簡単に書けそうな技術だけを抜粋してるという、あくまで例外です。 RPGならたとえば、ドラクエ3のような戦争画面の行動順を処理するソート機能をつくるだけでも一苦労ですし、ほかにも道具・アイテムなどの自動整理をはじめとする標準機能を作るだけでも一苦労です。 決して上手い人のサンプルコードをコピーアンドペーストをして終わりという訳にはいかず(そもそも現状そのようなサンプルコードがネット上に無いですが)、もし仮にサンプルコードがネットに公開されていても、自作品に組み込む際にさらにそれをデバッグ(決してテストプレイの意味ではなく、実際にコード修正が必要になります)しなければならず、プログラミング言語の理解が必要です。 ゲームのプログラミングは決して楽ではないし、仮にもし楽だとしたら、じゃあゲーム会社のプログラマー職の人の仕事は何なんだ・・・という疑問につながりますよね(デマを言ってる人は、この疑問を脳内に都合よく無視しますが)。 ツクールやエディタのような制作ツールを使えば、C言語的なプログラミングは不要ですが、それはそのツクールなどのツールを開発している人達にプログラミングを肩代わりしてもらっているだけなので、決して「ゲームプログラミングが楽」、ではないでしょう。楽だというなら、じゃあツクール開発元の角川書店およびその発注先ソフトメーカーのプログラミングが楽だとでも言うのか・・・(デマを言ってる人はこの疑問を無視します)。 そもそもコンピューターゲームというのはプログラミングがなければ成立しないのですから、そのプログラミングの価値を貶めて平気な人は、コンピューターゲームにかかわる資格はないでしょう。 自分でゲームを作る際、必ずしも、C言語などプログラム言語で記述する必要はありません。 プログラミングをせずに、ほぼマウス操作と会話メッセージなどの文章のキーボード入力だけでゲーム開発をできるようにするソフトウェアが、有料または無料で発表されています。 たとえば、RPGを作りたいなら、日本で発表されているソフトでは、『w:RPGツクール』や『w:WOLF RPGエディター』などのように、RPG製作に特化された開発ソフトがあり、大幅に開発の手間を減らせます。なお、『RPGツクール』は有料製品です。『WOLF RPGエディター』は無料ソフトです。 アクションゲームを作りたいなら、『w:アクションゲームツクール』があります。これらツクール製品は有料製品です。(なお、かつて『w: 2D格闘ツクール2nd.』というのがありましたが、しかし現在ではサポート切れのため、今現在の市販の十字キーコントローラーが初期設定では動かない、一部のボタンしか使えないなど問題点があります。) また、ノベルゲームを作りたいなら、フリーソフトの『w:吉里吉里Z』などがあります。吉里吉里Zはソースコードが公開されており、オープンソースになっています。 C言語などによるプログラムは、上記のゲーム開発ツールを使わない場合の選択肢になるでしょう。 既存のゲーム開発ツールの仕様に不満を感じる場合に、「じゃあ自分でプログラムして作ろう」となり、プログラミングが必要になるわけです。 なお、上記の開発ツールはほとんどがWindows用のソフトです。MacやLinuxでは動きません。MacやLinuxで動作するゲームを作りたい場合は、別のソフトウエアを使う必要があります。 既存のゲーム開発ソフトを使わずにプログラムを組んでゲームを自作する場合、必ずしも既存のツールのような、ゲーム作品と開発ツールが分離された仕組みを再現する必要はありません。 一般的に初心者が、ゲーム開発ツールを作ることはほぼ不可能です。初心者は開発ツールを作ることは考えずに、まず1本、とりあえずゲーム自体を完成させてみましょう。開発ツールを自作したいのなら、まず先にゲーム1本を完成させたあとに、あとから開発ツールとゲーム作品の分離などに取り掛かるのが推奨です。 基本的に、現代の商業ゲームは、C言語で開発をする。 ただし、ファミコンの古いゲームは、アセンブラで開発されていた。ファミリーコンピューターからスーパーファミコンに至るまで、OSは搭載されていない。 ではいつからC言語がゲーム開発に使われるようになったかというと、商学の学説では、プレイステーション(※ おそらくプレステ1?)の頃からだろう、と考えられている。ただしこの時代でも、処理速度の高速化のためにアセンブラにアクセスする開発チームも少なくなかった。 また、プレイステーションのOSは独自仕様である。 カプコン(ゲーム会社のひとつ)など一部の企業は、OSによる開発ではなく、移植性を高めるために自社製の内製フレームワークを用いて開発する。カプコンの場合、2010年頃は「MTフレームワーク」という自社製フレームワークを用いて開発を行っていた。なお2020年代の現在、カプコンでは後継の別フレームワーク(カプコン内製)を使っている。 ゲームを書くために利用される言語は多岐にわたっています。歴史的にはゲーム業界でも、C言語や、特に計算機のスピードが重要になる場面ではアセンブラを利用してプログラミングを行うことが普通に行われていました。そのため、ゲームプログラミングは通常のプログラミングと違った技能が必要であるように思われていました。 現在では計算機がある程度速くなったことや、ゲームプログラムの開発を複数人で行うことでテクニカルなプログラミングが避けられるようになったことにより、ゲームプログラミングは他の一般のプログラミングと同じような課題だと見なされています。 しかし、特にアクションゲームなどのリアルタイムでの画面書き換えが必要なゲームで、プログラムのスピードが重視されることは変わっていません。また、コンピュータの性能があがるにつれ、それらの性能を全て引き出すように表現手段が変化してきたため(3D、ポリゴンなどを参照)、状況によっては複雑で特殊なプログラミングが必要になることもあります。 ゲーム開発において、一般にゲームショップなどで流通している商業ゲーム作品において、現在よく利用されているプログラミング言語として、C言語、C++、Javaがあげられます。 Windowsの3DエンジンのDirectXは、主にC++を想定しています。なので負荷の高いアクションゲームを作りたい場合、Visual C++での開発が安全でしょう。 しかし、ネット上のフリーゲームでは、C++以外の言語が使われることも、よくあります。 さいきんゲームエンジンとして有名なUnityは、言語としてはC#の文法を採用しています。 携帯電話向けのゲームではJavaが利用されましたが、これは携帯電話を提供する各社がJavaをアプリケーションの言語として選んだことによります(iアプリ、EZアプリ、S!アプリなどを参照)。現在でもAndroidなどのスマートフォン向けでは、Javaが使われています。 市販の書籍では、Pythonによるゲーム開発を紹介した出版物もあります。ただし Python は原理的にインタプリタ方式であるために処理速度がC++に劣り、アクションゲームなど負荷の高いゲームを作る事を目指している場合は、将来的にはPythonからC++への変更が必要になるかもしれません。 例えば、かつて Adobe の Flash が、ブラウザで動かせるゲームを作る際に、よく使われていました。このようなwebブラウザ上で動くゲームのことを一般に、「ブラウザゲーム」と言います。ただし、現在ではFlashは廃止の方向です、すでにほぼ廃止されているといっていいでしょう。また、現状では、ローカルPC環境でのゲームをJavaScriptで作るのは、アマチュア段階では困難です。JavaScriptのアマチュアゲームと言う事例を聞きません。 なお、JavaScript はクロスプラットフォームですが、しかし、セキュリティ上の理由などから、いくつかの機能(たとえばファイル入出力)がwebブラウザ上では使えないようになっており(セーブ機能が標準では不可能)、そのためJavaScript だけでゲームを作るのは、初歩的なゲームを除くと、かなり困難です。(おそらく、オンラインゲームでは、サーバー側でPHPやサーバサイドJavaScriptなどの別プログラムが走っていると思われます。) セーブ機能の必要なゲームを作る場合は、JavaScriptでの開発は選択肢にない(セーブの実装には、JavaScript国際規格にはない非標準仕様を使いこなす必要があり、かなりの技術力を要するでしょう)。 商品として流通するようなゲームや、高度な機能を持つブラウザゲームを作ることはとても難しく、このページでは手に負えません。そこで、このページでは、初心者が練習用につくるゲームを例に記述します。 webブラウザだけで動くのがブラウザゲームです。ブラウザゲームを作るのに使う言語の第一選択肢はJavaScriptです。サーバー側の処理が必要ならPHP,Python,Perl,Javaなどの言語の出番でしょう。 「ネットワークゲーム」は「ブラウザゲーム」とは意味が違います。 「ブラウザゲーム」は、パソコンにwebブラウザさえあれば、ネットワークに接続していなくてもゲームプレイできて、最後、クリアまでプレイできる作品もあります。 しかしネットゲームは、ネットワークに接続しないと、ゲームを開始することさえ不可能です。つまり、サーバの提供するゲームが「ネットワークゲーム」「ネトゲ」です。 もしPHPやPerlなどでゲームを作る場合、普通はネットゲームになる筈なので、作者がサーバを構築して提供する必要がありますし、プレイヤーにはゲーム中にサーバに接続する環境が必要になります。提供者は、サーバを用意したり、保守管理する必要があります。サーバーがダウンしてしまうと、プレイヤーがゲームをできなくなります。 「PHP ゲーム」などの単語でネット検索したり、あるいは書店でプログラム言語の書籍や解説サイトを見ると、ときどきPHP・Perlなどの言語でゲーム開発しているものもありますが、一般的なダウンロード型のゲームとは違う筈なので、気をつけてください。 一般に、プレイステーションや任天堂のゲームを開発するには、専用の機材が必要であり、そのため、ソニーや任天堂とライセンス契約しなければいけない。 その契約に際して、ライセンス費用またはライセンス料金と呼ばれるものを、ゲーム機開発会社の任天堂、ソニーに支払う必要があります。 現在でもソニーや任天堂のゲーム機用のソフト開発・販売には、ライセンス料が必要です。少なくともPS4やニンテンドースイッチのパッケージソフト開発には、「ライセンス費」が必要。 なお、書籍『ゲームプランナーの新しい教科書』によると任天堂やソニーのようにゲーム機を作っている会社のことをハードメーカーと言います。つまり、ゲーム機のハードメーカーにライセンス料を支払うという仕組みになっています。 また、スマートフォン向けアプリは、プラットフォーム使用料が掛かります。 書籍『ゲームプランとデザインの教科書』によると AppleStore, GooglePlayともに売上げの30%とのこと。その他のプラットフォームも、大体同じとのことです(参考文献の著作の時点では)。 Google やAppleのようにプラットフォームを提供している企業のことをプラットフォーマーと言います。 昔からゲーム機のライセンス料は有料で高額であり、ソニーや任天堂の収益源のひとつになっている。一方、パソコンゲームにはライセンス料が無いのが普通です。 なお、ハードメーカーでなければプラットフォーマーでもないゲーム会社のうち、製造から販売までを手がける会社のことをパブリッシャーといい、たとえばカプコンやコナミやセガやスクウェア・エニックスやバンダイナムコなどがパブリッシャーです。 実は、必ずしもパブリッシャーが開発を手がけるとは限らず、スマホ向けアプリなどではディベロッパーといわれる開発専門の会社に委託している場合もあります。 Apple社のAppStore向けのスマートフォンアプリでは、アップロード後に、公開前にAppleによる審査があり。、審査は欧米基準です。 GooglePlayは、公開前の審査はないが公開開始後に海外基準で審査されるので、それに違反していると配信停止になります。 海外プラットフォームで販売・配布したい場合、「ポリティカル・コレクトネス」(政治的な正しさ)といわれる、海外の公序良俗の基準に配慮する必要があります。 ドラゴンクエストのファミコン時代、海外輸出の際、教会での描写を変更しなければいけなかったことがありました。これは、岡田斗司夫氏の YouTube放送でも話題にされています。教会の描写で、神父とシスターが同じ建物で仕事をしていた。これが問題になったらしい。カトリックでは妻帯禁止ですし、男女が同じ場で働く描写がよくないようです。 開発者たちは、「教会の描写はキリスト教ではなく、ゲーム世界独自の宗教」と主張して、難を逃れようとしましたが、しかし教会の裏にある墓地が十字架のマークだったので、「十字架はイエスの磔(はりつけ)の場でありキリスト教で重要な意味を持つ。十字架の墓標がキリスト教ではないという主張は欺瞞だ」と、輸出先国の協力者が指摘し、その言及は認められませんでした。 結局、日本の開発者たちは輸出にあたり、墓地か教会内の人物のどちらかを直したうえで海外での商品化を果たしたそうです。 また、十字架に関してですが、赤十字のマークは国際常識・国際条約として赤十字社以外は使用できないことになっています。ゲームではないのですが、赤十字によく似たマークをデザインしたグッズの回収騒ぎなども実際に発生しています。 また、ドラゴンクエスト世界観の漫画作品、「ダイの大冒険」の電子書籍版と2022年版アニメーションで、六芒星(ろくぼうせい)の魔方陣で魔物を召喚使用、とする描写が修正されています。直接的な理由は公表されていませんが、六芒星はイスラエルの国旗にも描かれ、伝統的にユダヤ人を表す記号とみられている、だから、という理由が、Webではよく指摘されています。 欧米の判断基準が、アジア諸国やアフリカの生活習俗に合致しない場合も多いのですが、欧米のIT大企業はその欧米基準での規制が政治的に正しいと考えているでしょう。「日本では、少し考え方が違う」と言っても、通用せず規制される場合も多い。 共産党の機関紙『赤旗』がドラゴンクエストの職業について、「女性は回復職などの補助役割が多く、保守的な職業観、男女観ではないか?」と、指摘したことがあった(らしい)。 しかし、ドラゴンクエスト1~3の元ねたであるウィザードリィ・シリーズでは、僧侶(ウィザードリィでは「プリースト」)の職業は物理攻撃力・防御力もかなり高い前衛職です。 がウィザードリィでよくあるパーティ編成です。 プレイヤーによって、僧侶と盗賊の位置が入れ変わったり、ビショップと魔法使いの位置が入れ替わったりしますが、基本的に、僧侶は盗賊と同格の物理攻撃力・防御力です。 メイスやフレイルといった鈍器を振り回すのが、ウィザードリィの回復職のプリーストです。ドラクエもそれを踏襲しており、僧兵みたいに「鉄の槍」を振り回し、僧侶の物理攻撃力は魔法使いよりも高い。 ゲームだけでなくテレビアニメでも、漫画ワンピースの海外アニメ版では、主人公側の若者がタバコを吸っているシーンをアメ玉に作画を変えられたり、ドラゴンボールに出てくるミスターポポという肌の真っ黒なキャラクターの肌を青く書き換えたり、色々な例があります。 ポリコレとは関係ない事例ですが、TVアニメーションのポケットモンスターで主人公のサトシ達がお握りを食べているシーンで、アメリカ版ではドーナツになっていたことがあります。これは、国による食文化の違いを示していますよね。 ゲームでは、曲や絵が良くても、ゲームとしては今ひとつ面白くない、という事は起こり得ますよね。 ですからむしろ、商業的なゲーム制作では、イラストは簡略なものを使ったうえで、プログラム中心の試作品(プロトタイプ)をいくつか作り、その中でゲームとしての面白さがあるものを、取捨選択したうえで商品化を考え、その後イラストや楽曲を詰めて完成度を高めていく、と、いう制作過程を取るようです。 書籍『ゲームプランナー入門』(吉冨賢介 著)によると、商業ゲーム界では、企画書に書かれたゲームが本当に面白いかどうか確認するために、「プロトタイプ」が作られます。プロトタイプの段階では、プログラマーと、企画の意図を考慮するためプランナーも関わります。 イラストレーターは、プロトタイプの前段階あたりでイメージイラストを提供し、スタッフ間の共有イメージを作ります。そしてプロトタイプ進行中は、グラフィック案の提案をしていきます。サウンドも同様、プロトタイプでは、曲調を固めていく段階です。 プログラマーは、そのゲームでコアになるプログラムやシステムやミドルウェアについて、プロトタイプ段階で実装検証を済ませておく必要があります。プロトタイプより前の原案の段階では、利用するミドルウェアの洗い出しをして、出来る範囲での基礎実験をしておきます。 ミドルウェアによっては使用料が発生するので、その点を事前に調べておく。 プロトタイプのうち、張りぼての例えば画面だけの物等を、「モックアップ」といいます。一方である程度遊べる状態まで作っているものを、「プレアブル」といいます。 ゲームデザイン本ではよく「プロトタイプ」という表現が用いられるので、本ページではこの言葉を使うことにします。 任天堂『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、プロトタイプの段階ではイラストを組み込まずに(イラストは、代わりに大きなドットの塊などで代用する)作られている事がゲーム業界見本市イベント CEDEC 2017 で公開されています。(おそらく音楽もプロトタイプでは組み込まないのだろう。) プロトタイプの段階では、画像や音楽は発注せず、骨組み的なプログラムだけで、そのゲームのアイデアが「はたして本当に面白いか?」を、実際に社内の関係者にプレイさせてみて確認します。 ちなみにプロトタイプに関しては『高等学校情報/その他の技術的な話題#プロトタイプ開発』の記述も参考になる。 ここでいう「プロトタイプ」(試作品)とは、コンピュータプログラムのゲームとして動作するのが前提です。映画製作でいう絵コンテ試写のように、ゲームの試作では、なるべく早期に第三者が試作ゲームを遊べるように作っていく必要があります。 プロトタイプという言葉を使用すること自体が妥当かどうか。まず、書籍『ゲームプランとデザインの教科書』で使われている。書籍 Game Programming Patterns でも用いられている。 ニコニコ動画の経営者、川上量生が使っています。川上は角川書店も買収したので、おそらくそこ(カドカワ・RPGツクール販売元)でも使っているでしょう。 ゲームのプロトタイプの基本姿勢は、「汚く作って、やりなおす」です。もちろん最低限のプログラムの知識、勉強は必要ですが、あまり知識収集や理解充実を気にするより、実際に作ってみることを優先したほうがいいようです。チーム制作をしている場合はプロタイプは赤ん坊であり、そのチームで育てていこう、我々の子供だという意識で接しているようです。 まず工夫して作ってみると、今後自分が何を勉強すればいいかも見えてきます。 英語では「quick and dirty prototype」という言葉があります。 書籍『ゲーム作りの発想法と企画書のつくりかた』によると、シナリオライター志望者が企画書やシナリオ案をメーカーに送りつけても、あまり効果的ではないようです。 それよりゲーム形式でシナリオを書いてしまうのがいいようで、「CHR:ヒロインA(私服)、表示」のような文章を織り交ぜて構成していくのが推奨。 参考文献のその章では、シナリオライター志望者に向けて語られていますが、プログラマー志望なら、サンプルゲーム、サンプルプログラムを作ってしまうのがいいかもしれません。 1990年代、週刊少年マガジンに不定期掲載していた読みきり漫画『ゲームクリエイター列伝』では、カプコン社のゲーム『バイオハザード』を扱った『バイオハザードを創った男達』の際、制作過程でゲームデザイナーが大幅な作り直しを判断して進行させた、という描写があります。(ただしWikiboooks一編集者の記憶、詳細はあいまい)。 のちの、ゲーム評論家の阿部広樹の評によると、むしろそれは劇的な大きな決断ではなく、ゲームデザイナーの日常の普通の仕事ではないか、と語られています。 どんな肩書の人間だろうと、すでに決まって進行していた方針をひっくり返すのは、かなりのストレスのある判断で指摘になりますが、一般に漫画や映画、あるいはNHKの仕事に関するドキュメンタリーでもそうですが、職業や職業者の物語では、過剰に対象を美化し、劇的な演出によって関係者を称賛し、英雄視する傾向があるように思います。 仕様書や設定資料を超えて、誰もが遊べる試作品は、意味のある企画行為でしょう。前編集者は、時間軸・動きの制作意図の明確化、という言葉を使っています。もちろん短くまとめること自体もなかなか難しいのですが、工夫を凝らして、ゲームプログラムを完成させることが重要な経験であり、思考の具体化でもあると思います。 アルファ版はプロトタイプとは違うもので、その後段階で、ゲームの全体像が分かる一部分を、商品に準じた形で作ることです。 アルファ版でもそのゲームが本当に面白いかどうか検証がなされます。サウンドやビジュアルは商品に近いほぼ完成化された形で取り込みます。 アルファ版の使用の結果、プロジェクト中止の決定がなされる場合もあります。 ベータ版とは、会社によって意味が多少違いますが(たとえば『ゲームデザインプロフェッショナル』と『ゲームプランナ-入門』とでも微妙に違う)、おおむね、とりあえずのゲーム、最初からエンディングまでのほぼ完成状態をひととおり遊べる制作物です。 細かいバグ修正はこれらの段階では後回しにします。 基本的に の流れ。 ゲーム制作の作り始めにおいて、必要な数学や物理の予備知識は、それほど多くありません。 文献『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』によれば、数学や物理の習熟に拘って、それに多くの時間と精力を費やして勉強するよりは、3Dの勉強などで必要を感じたら、そのつど、その分野の数学や物理を学ぶのが効率的だと述べており、また可能なら実際にプログラミングでその理論を試してみると具体的に理解をしやすいと述べています。 C言語を使ったゲームは、予備知識はそれほど多くないので、あまり難しいことは考えず、まず実際にプログラムを書いて作ってしまう事優先にするのが正解なようです。 市販のC言語入門書で、配列や関数などの一般的な機能を一通り習得したら、あとはVisual C++ で映像出力とキーボ-ド入力のみを、1~2週間ほど勉強、そしてVisual Studioを起動してゲームを作り始める。 うまくいけば数か月以内に、パソコン用の非ネット通信のゲームを作ることができるでしょう。 ただ、ゲームプログラミングを試みる人は、必ずしもゲーム制作のみが絶対的な唯一の目標ではない可能性もあるので、それぞれの立場に応じて、座学を取り入れてみるのもいいと思います。 さて、ゲームを作る時は、アイデアを頭の中だけに置いておくのではなく、文章に書きだしてみましょう。 そして、壮大な長大なアイデアではなく、1週間~1ヶ月ていどで成果の確認できそうなアイデアだけを書いてみましょう。 次にそのアイデアを、実際に動作するプログラム、ソフトウェア(つまりプロトタイプ)にするために、具体的などんな機能を持ったプログラム(簡単なものでよい)を制作しなければいけないか、自分のやるべきことのリストを、箇条書きで作ります。 IT界ではこういうリストを「ToDoリスト」(読み: トゥードゥーリスト)とか「タスクリスト」といいます。このページではむしろ日本語で、「作業リスト」と呼んでみましょう。 さて、このリストを作るときは、作業項目は具体的かつ直接的に解決可能で単純な目標に分割します。ですから例えば RPG の戦闘システムを作るときは、 と、あいまいに総体的に書くのではなく、具体的に、 という風に、作業項目を細かく分割していきます。 こうすることで、作業がひとつずつ比較的に簡単な要素に分解されていくので、楽になります。また、バージョン管理ソフトを使って管理している場合も、上記のような作業リストの分解をしておけば、各バージョンの概要を書く際にも作業リストの項目が転用できるので、一石二鳥です。 予定日は書かないほうがいいと思われます。スケジュールを管理したい場合は、別にファイルを作るといいです。 そして書き出した項目を優先順位で並べたら、最初の作業リストは完成です。 プログラミングする前に作業リストを眺めて、そして上の項目から実際に作業を開始しましょう。 そして一つの項目を完成させましょう。 そして作業項目がひとつ終わったら、「【完了!】」等、そういう情報を項目の前または後ろにつけます。 たとえば、 こうします。 以前の記述を残したまま、その作業が終了したことを示しておくわけですね。 また、もし追加の作業が必要になったら、たとえばダメージ計算システムを作るために、ランダム計算が必要になって、自分がそのプログラム言語でのランダム計算に詳しくないなら、たとえば と、必要に応じて項目を追加します。 さて、これから行う作業を検索しやすくするため、たとえば の様に完了した項目を後回しにしたり、あるいは のように、(現在→)、を追加するのも良いでしょう。 つまり作業の記述をそのままに、どこまで進展しているかが分かる様に書き足していくわけです。 「ゲーム性」という概念があって、これがあるからこそゲームは面白く、魅力的だと考えられています。 プレイステーション開発元のソニーもこれを重視していますし、一般的に多くのゲーム愛好者、関係者たちもその考えに同意するでしょう。 ではゲーム性とは何か? ゲームのジャンルにもよりますが、「駆け引き」や「戦術」、これが「ゲーム性」だとよく言われます。 『ゲームプランとデザインの教科書』によると、ゲーム性とは、シューティングやアクションでは「対戦の駆け引き」、RPGでは「戦闘と物語の介入」、シミュレーションゲームなら「戦略性」だそうです。 ただし上述の書籍によると、1990年代は今よりもゲーム性とシステムが重視されていたとの説明があるので、裏を返せば2010年以降の現代では、ゲーム業界ではゲーム性の重視の比率は1990年代よりも減っているかもしれません。 『ゲームプランナー入門』(吉冨賢介 著)では、ゲーム性とは「課題や挑戦の仕組み」であると結論づけています。そして、この達成感こそが「ゲームならではの面白さ」だと述べています。 メディアクリエイターの佐藤 雅彦氏(「だんご3兄弟」や「ピタゴラスイッチ」等を手掛けている)が、初めてかかわるコンピュータゲームで、ソニー・コンピュータ・エンターテインメントとの共同企画で、のちに「I.Q」(1997年にシリーズ第一弾を発売)と呼ばれるシリーズに携わった時、プロトタイプが全くゲーム性のないものになってしまい、それをプレイしたソニーの幹部陣の顔色が非常に曇ってしまったようです。 ここでの悪い反応、薄い反応の理由がわからなかった佐藤氏が、階段の踊り場でソニーの新人に尋ねてみると、「それが、あの、ゲーム性がないっていうか・・・」と言われたと出典の対談集に書かれています。 基本的に佐藤氏は、プロトタイプの企画を提案しただけですが、ソニーにはプロトタイプを作るための部署があるらしく、1~2ヶ月かけてそこでプロトタイプが作られたようです。 この問題の責任が誰にあるかは、大した重要な事ではありませんが、商業作品としてプロトタイプを作る以上は、どこかの段階でゲーム性を意識して、プログラムに盛り込む工夫が必要になるでしょう。 ふつうゲームのプレイヤーは、まず最初にそのゲームの「見た目」を判断し感受するでしょう。ですからその見た目のインパクト、興味を呼び起こす構成が必要になります。 例えばスーパーファミコンRPG『新桃太郎伝説』では、開発当初はドラゴンクエスト5 のようなマップ画面のトップビューUIでしたが、開発中にクォータービューの他社製RPGが発売されて高い評価を得たので、マップUIを(トップビューではなく)クォータービューに作り直したようです。このことは攻略本『新桃太郎伝説 究極本』に開発裏話として書かれています。 一方現在でもこの方向の試みは重要なようで、書籍『ゲームデザイン プロフェッショナル』の著者は、他企業の製品の画面と、自社の製品を目で見比べる分析方法で、自分たちの製品のUI の問題を見出しています。 割と素朴で単純で即物的な見た目、「かっこいい」とか、「ぱっと見派手」等の要素が非常に重要なようです。 商業としてゲームを作る以上は、ペイしなければ企業も事業の継続も維持できませんから、考慮せざるを得ない問題ではあります。 ゲーム開発ツールのなかには、そのツールで開発したゲームソフトに義務として「この開発ツールで開発したソフトウェアは、ソースコードを必ず公開しなければならない」などの条件をつけている場合があり、このような条件を「開示義務」(かいじ ぎむ)または「ソース開示義務」などといいます。 ソース開示が嫌な場合は、開示義務のあるツールは使わないのが正解です。 ゲームに限らず、ソース開示を義務としている開発ツールは多くあるので、ライセンスには気を配る必要があります。 「有料ソフトの販売を禁止」とか「アダルト作品の開発は禁止」などの条件をつけている場合も、ありえます。 ですからゲーム開発において、ツールのライセンス条件の確認は、非常に重要です。 w:DXライブラリは、GPLでもBSDライセンスでもありません(DXライブラリ説明書「DxLib.txt」には、どこにも「GPL」とも「BSD」とも書いていない)。DXライブラリは単にソースコードが公開されていて、著作権者の「山田 巧」氏が著作権を保持しているオープンソースなライブラリです。 このように、ネット上でソース公開されているソフトウェアには、ライセンスの複雑な解釈を嫌ってか、「BSD」や「MIT」などのライセンス条件を名乗らないオープンソースソフトウェアもあります。 下記の理由(機能制限および移植性の悪さ)の問題から、あまり大規模な作品は開発ツールでは作らないでおくのが安全です。 大規模な作品の場合、Visual C++ などでコードを書いて開発することを推奨します。 ゲーム開発ツールを使う場合、そのツールにもよりますが、「○○ができない」、つまり特定の目的を果たすための機能を持っていない場合があります。 Visual Basic や Visual C++ には普通にある関数でも、開発ツールには無い場合も多い。 また、もし、いったんはゲーム開発ツールを使って目的の機能を持ったシステムを作ったとして、さらなる機能をそのシステムに追加しようとするときに、大幅な作り直しが必要になる場合があります(拡張性の悪さ)。 システムがモジュール化されていても、そのモジュール部分では大きく改変する必要がある場合もあるでしょう。 ですからゲーム開発ツールによるゲーム制作では、あまり大作を作ろうとしないほうが安全です。開発ツールで作る作品は、比較的に小規模な作品に、とどめておくことを推奨します。 Windowsの場合、本来なら Visual C++ などを使って、プログラム文法のいろいろな事に留意しながらプログラムを書きますよね。開発ツールを使う場合、 Visual C++ のコードを書かずに、ほぼマウス操作だけでプログラムを作ろうとしているわけですから、何かしらの制限があります。拡張性の悪さは、プログラム文法などの学習の負担を減らすためのトレード・オフのようなものです。 また、もうひとつの問題点として、C言語など一般のプログラム言語への移植性の悪さがあります。 ソースコードが公開されていない開発ツールの場合、異なる開発環境にゲームのソースファイルを移植するのは、ほぼ不可能です(仮に、開発ツールのランタイムを模倣できたとしても、著作権などの法的な懸念が生じる可能性あり)。 ゲーム開発ツールで作ったソースをVisual C++のソースに置き換えるのは簡単にはできない。ほぼ全面的に新たに書くことになるでしょう。 ゲーム制作、業界において、イラストや音楽を作る部署、人物は、まとめて、"アーティスト"と呼んでいるようです。 ゲーム界の場合「デザイナー」というのは、プランナーやディレクターのことであり、管理職的な設計者のことで、美術的なクリエイターではない場合がある。美術的なクリエイターも同音異義語でデザイナーと呼ぶ場合もあるが、本wikiでは区別のためアーティストという言葉を用いる。 映像関係、画像系のアーティストはグラフィッカーと呼ばれることもあります。ムービー担当者、特にゲーム界では3D-CGの制作者をアニメーターと呼ぶことが多いようです。アニメーション業界では主に、手描きの原画、動画マンをアニメーターと呼びますが、最近は3D-CGアニメーション映画も多いので、すこし状況が変わっているかもしれません。 ゲーム業界とアニメーション業界、各会社企業、過去と現在で、「原画」「仕上げ」「絵コンテ」等、一般的な作業に関する言葉が、それぞれの状況で微妙に違った意味で使われることも多いので、それそれ自分の所属する状況に適した言葉の使い方を考える必要もあるでしょう。 操作性について、親指と人差し指だけでボタンプッシュなどの操作ができるように作成するのが基本です。中指、小指、薬指はコントローラのホールドに使うぐらいです。人間工学的に、小指や薬指は力が弱いので、微妙な操作には向かないことが知られています。 一般的にゲームプログラミングでは、 入力と出力、この2点が機能として必要になります。 プログラミング言語とプレイヤーからの入力については歴史的にも、あまり変化がありません。言語では主にC言語、C++が用いられる。携帯電話向けのゲームではJavaが利用されましたが、これは携帯電話を提供する各社がJavaをアプリケーションの言語として選んだことによります(iアプリ、EZアプリ、S!アプリなどを参照)。現在でもAndroidなどのスマートフォン向けでは、Javaが使われています。 パソコンゲームでは、プレイヤーからの入力には通常、キーボードかマウスを利用します。他にジョイスティックやゲームパッドが利用される場合もあります。家庭用ゲーム機ではコントローラが利用されることが多いのですが、ニンテンドーDSやWii Uではタッチパネル、Wiiでは複数の入力機器が提供されることが発表されています。各種入力機器をプログラムから扱う手法自体は、普遍性があり、入力機器ごとに大きく変化しない、と、考えられています。デバイスドライバ、高等学校情報Bには、プログラムから周辺機器を扱う方法について多少の記述があります。 画面表示のうち、3Dの表現は割合難しく、ある程度の数学(高校、あるいは場合によってはそれ以上)の理解が必要でしょう。2Dに関してはプログラムの面では、さほど難しい部分はありません。 基本的にプログラミングでは、関数を使って、処理をコンパクトにまとめ、定数ではなく変数で柔軟性のある操作をすることが求められますが、ゲームの場合は、この構造のせいで処理速度が低下することがあります。 現在のCPUの性能、速さはかなり高くなってはいますが、プログラム処理は無限に煩雑化できますから、やはり高度な処理を短時間でなすことが求められます。特にゲームは、リアルタイムの反応のタイミングが非常に重要ですからね。数学の指数計算についての雑学で、「新聞紙を42回おりたたむと、月に届く距離になる」というものがあります。(新聞紙の厚さ)*2^42、です。もっとも新聞紙の物性から言って、ほぼ不可能な操作ですが。コードの内容、組み合わせによっては、このように計算量が指数関数的に膨大になってしまい、処理速度が非常に遅くなってしまう場合があります。 ですが、このセクションで後述するように、関数を用いる場合の解決策(※概要:あとでdefineやinlineに置き換え)があるので、プログラミングの初期のほうは、とりあえずバグを未然防止するために関数を活用するべきでしょう。 1980年代頃のファミコンなど古い時代のゲームでは、ストレージ容量(ハードディスク容量のこと)が、ボトルネックでした。「容量不足でイベントをいくつか削りました」と、当時のRPGなどのゲーム作家が述べるのは、ストレージ容量の不足のことでしょう。ただ当時のファミコンはROMカセットでハードディスクは無いので、まさにストレージ容量という言葉が適切でしょう。 しかし2010年以降の現代では、ボトルネックになっている要因は、ストレージ容量不足よりも処理速度です。 ゲームプログラミングに要求されるコード特性は、科学計算ソフトウェアや金融プログラミングなどの手法とは異なります。情報工学・情報科学で適切とされる「構造化プログラミング」などの歴史的に発展してきたプログラミング・パラダイムの理念とは反するようなコード開発方針になる場合もあります。 RPGツクールの制作元のカドカワ(アスキー社→エンターブレイン社→カドカワ(かつての「角川書店」) )では、PRGツクールでのアクションゲーム開発は推奨していません。アクションゲームの場合は、同じカドカワの「アクションゲームツクール」で制作するよう、薦めています。 アクションゲームとターン制RPG では要求される特性が大きく異なり、なかには、ほぼ対立しているような性質もあります。 ツクールやウディタでも、万能にあらゆることがスタマイズできるわけではなく、その制作ツールの特性に依存しますし、基本的に主に処理速度の低下しない部分について、ユーザが創作できるようになっているでしょう。 多くのRPG制作ツールはマップ操作や戦闘画面の基本システムのルーチンそのものは、初学者にはあまりカスタマイズできません(カスタマイズにはかなり高度な技術が必要でしょう)。画像や音楽は挿入できますが、例えば戦闘プログラムなら、「コマンド」の命令文など一部の派生的な部分だけが独自に作れる程度。 ですから、ツクールでどうしてもアクションRPGを作りたい場合、基本システムの改造はかなり困難だろうし、別途、アクションRPGのような動作をするマップイベントを作成する・・・ぐらいでしょうか。 ツクールやウディタでターン制RPG以外のジャンルを制作するのには、実質的には限界があり、さまざまな制約が生じます。 初期段階では関数や変数を活用してプログラミングし、処理速度を高める必要がある箇所にだけdefineマクロ等を用い別の方法に置き換える。C++ならinline関数という機能もあります。 通常の関数で記述していったソースコードを、あとから一括変換などでdefineマクロやinline関数などに置き換えることは比較的に容易です。 また、関数を経由しているので、マクロを使った場合でも比較的にバグが混入しづらくなっているかもしれません。(defineなどの前処理指令マクロは、用いるとバグを発見しづらいので、なるべくマクロの利用を避けるべきなのが、ゲームプログラミングに限らないプログラミングの定石です。) 一方、まったく関数を使ってないコードを、あとからdefineマクロなどに手作業で置き換えるのは、なかなか面倒です。 最終的には一括変換で置き換えることが出来ますから、途中の段階では、処理速度を気にせず関数を使うのがいいでしょう。 なお、defineマクロは、値の置換以外には用いないのが、プログラミングの定石です。このため、たとえば黒色RGB値の10,10,10といった配列にdefineマクロを使うべきかどうか悩みますが、とりあえずなるべく値周辺にだけdefineマクロを適用するようにするようにするのが良いでしょう。いっぽう、一般の命令文をdefineマクロで置き換えるのは、避けるべきでしょう。 たとえば、処理に0.5秒ほどの時間の掛かってもかまわないような場所は、どんどん、関数に置き換えていっても良いかもしれません。 アクション性のないゲームなら、関数をぞんぶんに活用できます。 ターン制RPGやシミュレーションゲーム、アドベンチャーゲームなど、関数を活用しやすいでしょう。 一方、アクションゲームなどでキャラクター操作中のコードのように頻繁に使って、しかもそのゲームの中心的なコードなら、そこは最終的には関数にしないほうが良いかもしれません。 このように、ゲームのジャンルによって処理速度に対する必要な水準が異なりますので、プログラミング時における関数などの利用の方針も異なります。 以上のように、何でも関数にすることは避けるべきです。関数は処理速度の問題がありますので、必要性のある部分だけ関数にするべき。関数を使わなくても、for文やif文などのブロックの構成を適切に組み合わせることで、コード中のmain関数以降の部分でコード共通化できることは色々とあります。 「共通性のあるコードだから」といって、大して長いわけでもないコードを関数に置き換える事は、速度維持には寄与せず、ゲーム制作のプログラミングとしては、悪手となるでしょう。 画面出力の場合も入力機器の場合と同じで、これらを操作する方法はOSごとに異なっています。先ほどあげた GTK+, Qt, SDLなどのライブラリはクロスプラットフォームの画面出力を提供しているため、これらを利用することで全てのプラットフォームで動くプログラムを作ることができます。 ※未作成 ※未作成 ※未作成 OSの種類によって、キーボード入力やマウス入力の受け付けのさいのプログラムの書き方は違う。 Windows API での具体的な手順は『ゲームプログラミング/入力』で説明する。 厳密にはプログラミングの話題ではないが、ゲーム製作では必要な知識なので、サブページで説明する。 説明書や仕様書(しようしょ)の書き方については、『ゲームプログラミング/書類』で解説する。 Visual Studio付属のフォームデザイナ(VSの用意するGUI自動作成ソフト)によるGUIオブジェクト作成では、RPG用には使いづらい。いや、ひょっとしたら上手に使う方法はあるのかもしれないが、様々な理由で難易度は高い。 そこでまず、Visual C++で、フォームデザイナをなるべく使わずに文字や映像を出力する方法を考える。 選択肢は、幾つかある。 1. フォームデザイナを1つも使わない方式 2. 1つだけフォームデザイナのパネルを使う方式 フリーソフトでゲーム用ライブラリの『HSP』はWindows API を呼び出す仕組みになっています(HSP関連のサイトを見ると、Win APIプログラミングの解説をしている場合もある)。 フリーソフトでゲーム用ライブラリの『DXライブラリ』は Direct X を呼び出す仕組みになっています。そして、ゲーム開発ツールのひとつであるウディタのソースコードは、DXライブラリとVisual C++ を使って書かれていると、作者が公表しています(ただしソースコードは非公開)。しかし、ウディタを用いたRPGプログラミングでは DXライブラリによるコーディングはしない。ウディタにはコード入力の機能は無く、マウス操作や、キーボード操作、キャラ名称や会話文などのテキスト文字や数値の入力のみに対応している。 そもそも乱数とは何かという問題があるが、それは高度な数学的な議論になるだろうから、我々はその問題には深入りできない。 ゲームにおける乱数的な処理では、事実上ランダムな値にならず、演出や調整のためにアルゴリズムが介入している場合も多い。例えばゲーム中のくじで「外れ」続くと、当たり確率が変動し、次からは当たりやすくなるアルゴリズムなども良く使われる。。 ゲームは娯楽であり、実用目的のシミュレータではないし、アルゴリズム介入で、確率的にもいんちきが多いので、あまり厳密なランダム性が問題になることは少ないだろう。 例えばさいころというのは典型的な乱数器だし、ゲームにもよく使う物だろう。 ゲーム「桃太郎伝説」シリーズの開発者のさくまあきら氏、ハドソン社が、参考として他社RPGであるドラゴンクエストの乱数を真似しようとして分析したところ、初期ドラクエが戦闘ダメージのゆらぎについて高度な計算を使って実装していると思った部分が、実際には簡単な疑似関数だった(伝聞としてそう聞いた)、という開発談もあります。 無印C言語には標準的乱数関数 rand()があるが、これを乱数発生に使うことに批判的な意見もあるし、機能もやや不足していると見れる。 Windows64bit では int rand(void) の出力は 32bit 整数だろう。まず stand関数で初期化してから rand()を呼ぶごとに疑似乱数が帰ってくる。これの複数回の連なりが乱数列だね。帰ってくる値は0 以上 定数RAND_MAX の値以下。 例えばさいころの数値が欲しいなら、rand の返り値を6で割った後、余りに1足せば、とりあえずそれらしいものはできる。 RAND_MAXは rand()の属性として定数が与えられているだけだから(Windowsで0x7FFF)、この値の変更はできない。 まあこれでもそこそこいい加減な乱数として機能するだろうが、最近ではもう少し改良された、質の高い乱数関数もある。 また、改良された乱数関数は、乱数の範囲も指定できるから何かと使い勝手が良いし、バグを防ぐ効果もあるのだろう。 ↑例えば上述のコードは前編集者が示したものだが、これは .NETプログラミングですね。.NET のSystem::Randomクラスを使っている。.NETのクラスは普通、C#かVisual Basic で利用するので、Visual C++で使えるようにするには結構面倒な手管がいるが、その辺は読者諸兄、ヘルプやネット情報を参照して、適宜辿り付いてほしい。 C++ の場合はむしろ、 #include <random> を宣言してそこで使える関数を使用するほうが簡単でしょうね。この場合でも、乱数としての精度も高いし、帰り値の範囲指定もできる。 画像がひんぱんに変化するアプリでは、画面が、ちらつく事がある。画面のちらつきは、ゲームのように、画像を凝視するアプリでは、かなり利便性を損なう。 キャラクターが1歩移動するだけで、画面全体がちらついたりする場合もあり、かなり、プレイヤーの不満になる。 これは、ダブルバッファ(「裏画面」と、良く言われる)という技術で、解決を図る。 Direct Xの用語では「スワップ チェーン」と呼んでいる。 .NET Framework開発環境の C++や C#でもダブルバッファの機能があると解説されている。いくつかのGUIオブジェクトのプロパティで、ダブルバッファの設定項目がある。 しかし前編集者が実験したところ、この機能を有効に使って確認することはできなかったとの指摘がある。ひょっとしたら何らかのマイクロソフトの解説に間違いがあって、工夫次第では利用できるかもしれないが、少なくとも今現在のこのページでは、その問題に関するリファレンスは提供できない。 そこでやはり、以前の項目と同様、Win32 API または DirextX の利用をこのページでは考えたい。 前編集者は、.NET Framework のフォームデザイナでは、ちらつき自体は解決できそうだが、グローバル変数の共有が困難だったり、アプリ内から終了コマンドが使えない、などの難点があると指摘している。 ただ現編集者はこの2点に関しては、解決策はあると思うが、しかし特に調査はしない。 前編集者は、.NETプログラムでゲームを作る難点をいくつも上げているが、おそらくどれも、.NET の仕様や全貌に精通すれば解決できるように思えるが、そもそもその全貌がかなり広大なので、解決の道のりは長いだろう。 数値(HPなどの各種パラメータ現在値)や文字列(例えば、プレイヤーの作成したキャラクターの名前)や現在地やフラグ状況などなど、セーブの機能は欲しい。一番簡単な方法は、C言語の fopen 関数のテキストファイル書き込み機能で、テキストファイルとしてセーブすることだろう。 Windows API には CreateFile関数 があるが、テキストファイルでの素朴なセーブは一番簡単で単純なセーブ法だろう。そしてテキストファイルを読み込んでプログラムに各種変数を配置して、ロードとする。 書き込みとしては、一番単純なC言語記法では、fprintf ですかね。C++としての書き込みをしてもいいし、読み込むのも、一番基本的な方法で。基本Cだとしたら fscanf で、この関数でテキストの数値も変数として読み込めるはずです。場合によっては atoi関数 で文字列→数値の変換をすることもあります。 基本的にデータファイルは、OS もアプリケーションも、テキストファイルとバイナリファイルの2分類で考えるでしょう。実際にはテキストファイルもバイナリの集まりですが、慣用的、伝統的にテキストファイルだけ特別視することが多い。 バイナリファイルでもデータとしてのファイルと、OS が機械語または何らかの仮想的な機械語として扱う実行ファイルがある。それらのバイナリは種類に応じて多くは冒頭にファイル識別子の情報があるだろうし、OS や アプリケーション側で工夫を凝らして、特定の条件を満たす場合しか動作しないようにしているだろう。そしてバイナリファイルを扱うときは、セキュリティの安全性も考慮するだろう。 基本的にプログラム側は何でもありだが、識別子の判別その他、ある程度様々な考慮をしないと、困った事態が起こり、プログラマーが責任を問われることも起こるかもしれない。 市販のパソコン用ゲームや同人ゲームでは、テキストファイルではなくバイナリでデータ保存するゲームの方が圧倒的に多いだろう。その方がそれらしいしかっこがつく。ゲーム開発ツール側自体も、そうなっている場合が多い。RPGツクールもウディタも、セーブデータの形式はバイナリ。 テキストデータは基本エディタで開けるが、バイナリデータも内容によっては結構ぐちゃぐちゃの状態で開ける。バイナリデータはバイナリエディタで開ける。バイナリエディタのリードオンリーモードやバイナリビューアみたいなものがあれば、データを壊さないで結構安全にデータ調査できる。 データ内容を秘匿したければ、バイナリ化だけではなく、暗号化も必要になるかもしれない。 セーブ&ロード機能の実装時には、まずセーブ機能から作るのがやりやすいという。 しかし最終的には関係関数の整備は、ロード機能が基盤となるだろう。 データや変数を、一定のスタイルでセーブして、一方で正しいスタイルでロードする、この機能が必要なわけですよね。 シリアライズされたデータを、型を決めたうえで配置しなければいけないから、ロードのプログラムの方が複雑に、面倒になる。 結局データのシリアライズは、ロード機能が基盤となり、その機能の作りやすさが、セーブ機能の作りやすさも支配するようだ。 RPGやシミュレーションゲームで、1回しか起きない特殊イベントを作りたい場合もありますね。例えば日本の中世の戦国シミュレーションゲームで、「桶狭間の戦い」が3回も起きたら困りますよね。まあ起きるなら起きてもいいけどね^^。信長君には敦盛を3回舞ってもらいましょう^^。 さて、リンク先ではその話題についての叩き台、「こうプログラミングしたら、いいんじゃない?」、という事を説明しています。 個人でゲームを作る時にはあまり考慮しなくていいのですが、シビアな仕事の世界では、スケジュール管理表が良く使われます。 「作業責任分担表」(TRM:Task Responcibility Matrix)といわれるスケジュール表から、それをグラフ的に図示したガントチャートといわれる表を作って、その表を見て作業計画を判断する。 ガントチャートでは普通、横軸に日程をとります。 商業ゲーム界でもガントチャートの横軸は日程です。 ガントチャートとして図示することで、ボトルネック、リスク要素、直感的にスケジュールの詳細や全体像が理解しやすくなります。 スケジュール管理のための、現実的、習慣的な工夫ですね。 このTRMとガントチャートは、IT業界だけでなく建築工事でも使われ、これを利用したボトルネックの洗い出しも、建築学の教科書に記述があります。 住宅の新築やリフォームをする時、建築業者がこの表を提示して、見せてくれることもあるでしょう。 業界人ではなくとも、こういう慣習を知っておくと、得るものがありますよね。 ゲーム界、特に商業ゲーム界では、ストーリーもゲームも全体から作っていくようです。アトラス社(ペルソナシリーズ、女神転生シリーズ、などを手掛ける)では、「ゲーム全体に血を回すのが先」、という言葉が良く言われていました。 プレーヤーが見たいのは、物語の細部ではなく、ゲーム全体のストーリーやテンポ、総合像である、とは限らないのだが、しかし物語を含む創作物では、全体を見て重視し、そこから作っていくのはある意味王道、常套手段ではあります。 ちなみにやや雑談的ですが、日本の週刊漫画は、その週その週での勢いや読者の興味の引き付けも大事なので、全体がないのに、その場その場で場当たり的に作られた事も多かったようです。 現編集者が聞いたことのある話では、週刊少年ジャンプで連載していた本宮ひろ志氏が、不良少年物の漫画で、敵の不良少年グループと1対1000の喧嘩になり、さあいよいよ対決場に着いて勝負だってところで以下次号にし、そして実は本宮氏はその続きを全く考えていなくて、考えてみたけどどう考えてもどう描いていいかわからない^^;;;、そこで仕方ないのでイライラして近所の酒場に飲みに行き、そしてイライラしたままそこの常連達とあり得ない大ゲンカして^^;;、そのままボロボロになって家に帰って、2時間で次の号の漫画を描き終えた、と、本宮氏自身がメディアで語っていたのを聞いたことがあります。 さて、コンピューターゲームである以上、ゲームのストーリーはシステムと連携、調和したものになるでしょう。 そこで、ゲーム作家として、システムを先に決めた後ストーリー、そういう方法論の作者も多いようです。 とにかく商業ゲーム界では常識的に、全体像から攻めていく。 例えばドラマ脚本では、「ハコ書き」という方法がある。全体像に当たる「大ハコ」を記述してから、「大ハコ」→「中ハコ」→「小ハコ」と記述していく。 しかし、本当にすべてのゲーム制作は全体から作る必要があるのか、という疑問はありますが、その方法論に従うとすると、 などの工夫を凝らして、常識的な方法を遂行していくことになるでしょう。 或いは、アルファ版(α版)を中盤から作り始めるとか...。α版の製作目的の一つとして、そのゲームが本当に面白いかの検証がある。面白くないと判断したら、制作中止もある。最初からではなく中盤から作ると、ゲームの全体像が見えるので、検証、判断がしやすい。 つまり全体から攻めて、細部やゲームが作られていくわけですから、必ずしも冒頭部から作り始める必要はないわけです。 ゲーム作者にもよりますが、商業ゲームシナリオでは、エンディングを早い時期に作る人も多い。 システム面についても、先にゲーム全体のクリア条件を決めてから、あとから各ステージの条件を決めていくことが多いようです。 エンディングの仮の、おおざっぱなシナリオ、そしてキャラクターの性格付けを先に決めておくと、ゲームの方向性と主人公達が目指すもの、ゲームの全世界像が作者やスタッフに明快になっていきます。 基本的に商業ゲーム界では、全体→部分と細部、の構成を進めていきます。 ゲームは必ず最後にラスボスと戦う訳では無いでしょうが、その戦いはゲーム中で最も高負荷になるでしょうし、全てのシステムが集積する場面でもあるので、エンディングを先に作ると、ゲームの最大負荷の検証ができます。 3Dゲームでは、RPGなら戦闘シーン、アクションゲームならアクションシーンが、一般的に最も高負荷。 負荷が高くて処理が落ちないかどうかも、この方法で確認できます。 常識的、教条的物語手法、そして金と権威を持っている人間の言を神のように崇めるとしたら、たいていの物語は最後の最後が一番の見せ場になると考えられるでしょう。ストーリーを削る必要があるとすれば、最後以外の部分、という事になります。 つまりラスボス戦は削らない。後の部分は削る可能性あり。だから最後を先に作っておけば(作れる範囲で)、もし制作過程で不測の事態が起こっても、重要部分はできているので、早く、上手にリリースできる。 世の中では目的や目標を明確化せよ、と主張する人は結構多い。現編集者は懐疑的。むしろ他人を自分の都合いいように動かしたいから、その方向を明示したいのだろう。それより、我々の本当の目的と目標は何か、歩みを止めてちょっと考えてみろよ、と、言いたい。 しかし結局世の人たちは目標をはっきり、言語化したがる。ゲームでもそれをすると、プレイヤーがゲームに引き込まれる、と言うが、実際にはそれはゲーム業界のカモになっている、インチキゲーマーだけだろう。 とにかくカモたちは目的を欲しがる。目標や課題がゲーム中で明確になっていないと、疑問だらけになり、ゲームをやめて、業界にお金を落としてくれない。そこで設計の際、各ステージやエリアなどの冒頭で、そのステージの課題や目標などを明示する必要があるという。 ファミコンなどの古いアクションゲームではゲーム本編では目標は語られていませんが、しかし説明書などではきちんとそれが語られており、実際にスーパーマリオブラザーズの第1作目の説明書では、目的はクッパを倒してピーチ姫を救出することだと語られています。 RGBやシミュレーションゲームでは、初めの方は、操作説明のためのチュートリアルイベントになることも多いのですが、ここにも製作順序のポイントは指摘できますね。 基本的にはチュートリアルの細部は後回しにしたい。と、いうのはゲーム本体の仕様変更が、製作過程で頻繁に起こるので、チュートリアルもそれに合わせて後回しにせざるを得ない。 最初の段階でチュートリアルを作りこんでも、仕様変更になれば、その記述自体が不適になる。 当初のチュートリアルイベントがそもそも必要かどうか。説明書、マニュアルに任せてもいいですよね。 基本的にゲーム本体の仕様がかなり変更を含み場当たり的なので、チュートリアルは後回し、早くともゲームα版の時期になるでしょう。 ゲーム制作の時は、自分が昔プレイして楽しかったゲームを思い浮かべるし、参考にもしますよね。 ただ、コンピューターゲームは明らかに、周辺技術が時間とともに、かなりの速度で発達、変遷していきますし、過去のゲームを参考にすると言っても、精神面、思想面での参考で、技術面ではやはり、最新の情報技術を取り入れたいと、誰もが思うでしょう。 編集者Hの意見 別編集者 S の意見 (参考)松尾芭蕉が「古人の跡(あと)を求めず、古人の求めたるところを求めよ」と言ってるようです。『韻塞』(いんふたぎ)が出典らしいです。おそらく、古典芸能の格言の元ネタか、あるいはそれを受けての発言でしょう。どちらが先かは知りません。 ファミコン時代の昔のゲーム機には、一画面に表示できるキャラチップ数(敵チップも含める)に上限がありました。 一画面中に表示できる限界は、だいたい、マリオが一画面中に数十人ぶんです。 このように、ビデオゲームで小さなキャラクタを、高速表示する仕組みを、「スプライト」と呼んでいました。マリオのキャラクター表示は小単位のスプライトを複数合成していたようです。 このキャラクター数の制限が、当時はゲームの設計にも大きな影響を及ぼしていたわけですね。 例えばシューティングゲームで、100体の敵機を表示することはできない。 しかしそれなりの工夫はあった。表示のタイミングを変えることで、なんとなく、多量のスプライトがあるように見せることはできた。 つまり、 して、切り替える、うまく、素早くとか? 上手にプログラムを作ればそこそこ上手くいったようですね。それでも、キャラクターが多いと、一瞬、消えたりしている。 ファミコン上における実際の技術限界の正確な数値は、別の資料を参照していただくとして、あまりあてにならない数字として例えば、横1列上には 8体目までしか表示できなかったようです。マリオは一人で2*2=チップ使っていた。だから横一列では 4体までしか表示できませんね。 例えばシューティングでは、敵機の他に、弾丸などもスプライトでしょう。 マリオが4チップなように、巨大ボスなんかチップ数をかなり使っているでしょうね。 そしてチップ数が多いから、速度が遅くなるのでしょうか、何か我々の昔のゲームをプレイした記憶では、巨大ボスの動きは緩慢でしたよね。 しかしやや脱線しますが、巨大なキャラクターは何となく動きが遅いという我々の固定観念がある一方で、レスラーやヘビー級ボクサーはかなり動きが速い。相手の体が大きい上動きが早ければ、もう勝てないね。座して死を待つしかないか^^;;;。 ファミコンのマリオの横スクロールでは、例えば地上ステージの空は、青一色で描き換えを行わない。低地の地面の障害物周辺だけを動かしていたようですね。動かす部分はプログラムでの描き換えが必要だし、動かない部分は背景として、描き換える必要がない。 書き換える必要のない背景表示は当然プログラムの負荷も少ないですよね。 ですから昔のレトロゲームの雰囲気や映像、仕様は、当時の技術の制限、影響を受けた上でその形態になっていたという事で、今は技術が発達したので、様々な斬新な映像表現や、演出を駆使できる。 一方で最新の技術を駆使したうえで、過去のレトロな雰囲気を再現、表現するという道もあるでしょうね。 昔のブラウン管テレビのドットは、にじみが大きい。これはテレビ画面の性質なので、ゲームでも映画でもバラエティでもドキュメンタリーでも、解像度画面としてのにじみは同じように大きい。今の液晶画面が完全ににじみがないかどうかは怪しいが、ブラウン管よりは少ない。 そのため、当時の画像データをそのまま現在のパソコンで表示しても、にじみによるアナログ感がなくなり、荒い画像に見える。当時のゲーム攻略本にあるような写真画像は、同じデータではあるのだが、現在では上手に再現できない。 解像度だけではなく色についても、にじみの色の重なりで、昔の映像の方が豊かな色に見え、現在では雰囲気の再現はうまくできない。 昔のゲームはアナログ技術だからこその、独特の雰囲気を表現していた。 ですから昔のゲームのレトロな雰囲気は、データとしての昔の仕様をそのまま使っても再現できず、むしろ昔の画像写真の資料を見ながら、現在の技術、現在の機材によってその雰囲気を再現することを目指すことになります。現在では様々な画像フィルターも作れますから、そういうものの利用も有効でしょう。あるいは過去のデータ、仕様をそのまま使うなら、それは新たな画像世界になるかもしれません。 過去の低解像度画像を使ったゲームは、レトロではなくむしろ新ジャンルだという指摘があります。 90年代のカラー携帯ゲーム機の画像データをそのまま使って現在の液晶画面に表示すると、当時のディスプレイは走査線が太いので、画面として縦横比が変わってしまう。縦横比を補正すると走査線部分の黒線や余白が入り、それをドットで埋めて補正すると、画面のギザギザが目立ってしまうようです。 つまりディスプレイの性質が90年代と2020年代とで違うので、レトロ画面の再現はかなり困難、最初から目指さない方がいいだろうという意見もあります。 パソコン市場では、1999年ごろからノートパソコンが普及し、液晶ディスプレイも安価で出回ってきた。そこでにじみの少ないくっきりした映像が主流になってきますね。 基本的にディスプレイはブラウン管→液晶と変わり、解像度は大きくなる一方です。 プレイステーション2あたりからは家庭用ディプレイの切り替えが起こり、もはやブラウン管でのプレイ自体がなくなる。 アナログ放送は2010年ぐらいまで続いたでしょうか。しかし家庭ではゲームをするにしても、普通に放送を見るにしても、DVDを見るにしても、ブラウン管から液晶や、プラズマというのもありました、画面の解像度自体も高くなっていく。 そして画像のドットはにじみの少ないくっきりしたものへ変わっていきます。最近はパソコン画面でも、TVでもドットの縦横は等しい正方形ですが、ブラウン管はそうではなかった。 だから、当時はドットで絵を描く時も、長方形ドットです。 しかも、ゲーム機やパソコンの種類、さらにはアーケードゲームの基盤といったハードウェアの種類ごとに、コンピュータ側でのドットの縦横比の管理は違っている(らしい)。このため、移植のたびに、ドットは書き直しになったようだ。 昔は、というか実はいまでも、CGや画像の縦横比が正確ではない映像を見る事はありますよね。 現在のパソコン用のドットエディタ(ドット絵用の画像制作ツール)は1ドットが正方形だが、ファミコン時代は1ドットが(ドット用紙の時点で)少しだけ長方形。(なお、画像制作ツールの作り方については、『ゲームプログラミング/画像ファイルの作成プログラム』というコンテンツがこのサイトにある。) ファミコンの色数制限は52色から4色×4パレット(1パレットあたり4色)を使えると言われている。しかし実際には、4色のうち1色は透明色として利用される色であり、全パレット共通の色になる(だから3×4=12色が使える)。 スプライトのパレットとは別に背景のパレットがあるので実際にはもっと多くの色数が一画面内で使えるが、しかしその他さまざまな制限があるので、合計で一画面内で25色が使えると言われる(12+13=25)。 論理的には25色だが、ブラウン管のドットの滲みやテレビのアナログな仕様から、結局はなかなか豊かな映像が当時も見れたと言っていいのではないだろうか。 しかしレトロなゲーム機では、さらにメモリ容量やストレージ容量などの制限もあり、仕様上の最大色数を気軽に利用できたわけではないかもしれない。こういう制限もあったからか、ネットではファミコンの色数が「4色」や「8色」、スーパーファミコンの色数が「16色」や「256色」、とも言われることがある。 外食チェーン店のマクドナルドが、子供をターゲットにした商売をしており、子どもの頃に気に入った味は、大人になっても食べ続けるという販売戦略です。例えば日本マクドナルドの創業者、藤田田(ふじた・でん)によると「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」と言っています。だから子どもの好きそうな味の料理を作ったり、あるいは子ども向けの定職に、子どもの好きそうなオモチャのオマケをつけたりします。 12歳と言い出した経営者は誰が最初なのか調べても良く分かりませんでしたが、そういう意味の話です。 ゲームというのは色数も少ないし、静止画も多い。 ファミコン時代から、同じ色長時間の表示は、ディスプレイの焼き付きを起こすので、常にそれなりの工夫がされていたかもしれませんね。 静止画を避ける、時々背景を変える、背景色を光のエネルギーを持たない黒にするとか... パソコンでは昔からその工夫がありましたね。スクリーンセイバーという機能もある。 とにかく一つのドットに同じ色が長時間表示されると...ちょっと危ない。 焼き付きの問題は昔も今もありますよ。昔のブラウン管は焼き付かないという主張が時々あるようですが、事実ではないでしょう。 現代のテレビ受像機には、焼きつき防止のために「ピクセルシフト」という機能がある。これは画面上の映像の表示位置をタイミングごとに微妙にずらす機能です。こういう機能がすでに搭載されているので、ゲームソフト側で焼き付き防止を必要以上に考慮しなくてもいいらしい。液晶モニターは、焼きつきが起きにくいという。ただし有機ELはどうか。知りませんね。現編集者も前編集者も知らない^^;;;。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "このWiki参考書では、コンピュータを用いたw:ゲームのプログラミングを扱います。つまり、いわゆる「テレビゲーム」や、コンピュータゲームに関する記述についてです。", "title": "概観" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "ここでは家庭用のパーソナルコンピュータで扱える範囲の事柄、それらのゲームソフトをつくるためのプログラミングについて議論します。必要に応じて家庭用ゲーム機の話題にも触れますが、あくまで派生的なものです。本書はプログラミングの教材であるので、大多数の読者が最初にプログラミングで触れるであろうパーソナルコンピュータでのプログラミングを、特にことわらないかぎりは想定しています。", "title": "概観" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "用語に関して、コンピューターゲームの世界独自なものもあるでしょうから、適宜『ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類』などを参照してください。", "title": "概観" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "この教科書『ゲームプログラミング』の目的は、題名にもあるとおり、プログラミングによってゲームを作るための技術の参考資料を目的としています。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "ゲームクリエイターやゲームデザイナー(絵描きではなくゲームの設計者のこと)のためではなく、プログラマーのための教科書です。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "したがって本書では、ゲームとは関係の少ない一般IT企業での仕事のしかたについての記述もあれば、製造業系の組込ソフトなどに関する概要的な記述もあります。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "なぜなら本書はゲームクリエイターではなく、たまたま何らかの理由でゲームを作っているプログラマーのための教科書だからです。たとえゲーム会社を退職しても、他の一般IT企業に転職してもプログラマーとして応用できることなども目指して本書は書かれています。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "従って、紹介する話題が、かなりIT系、テクノロジー系の話題に片寄っています。本書で紹介するクリエイター論やデザイン論は、派生的なものにすぎません。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "特にことわりのないかぎり、本書ではC言語でのプログラミングによってゲームを作りたい読書を念頭に説明しています。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "だから、ゲームの生産効率性を無視してでも、本来ならRPGツクールのような開発ツールを使ったほうが早いシンプルなゲームの場合ですら、本書ではC言語または他のプログラミング言語での開発にこだわった方法を説明している場合もあります。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "このページとそのサブページだけを見ていると本書は「ゲームクリエイトの教科書かな?」と捉えられるかもしれませんが、", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "しかしこのページとは別に本wikibooksには「プログラミング」というページがあり、そこではC言語やJavaなど代表的なプログラム言語のwiki教科書にリンクしています。ゲーム限定の話題ではないですが、プログラミングのコードについても、そちら『C言語』や『Java』やなどの教科書のほうが(実際に動作するコードの量が)充実しています。また、Visual C++ での画面出力については『Windows API』に入門的な説明があります。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "本書『ゲームプログラミング』はそういったプログラミング教科書一覧の一部でもあります。C言語やWindows API の教科書では、これをどうやってゲームのプログラミングに応用すればいいか説明できないので(本wiki『C言語』はけっしてゲーム目的のページではないので)、ゲームの実際としてプログラミングの話題を切り離すために本書『ゲームプログラミング』は存在しています。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "なので本書にゲームデザイン論やクリエイター論などの内容の充実は期待できません。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "本書『ゲームプログラミング』は現状、プログラマー目的以外には対応できないかもしれません。もしプログラマー目的以外の無料のwiki教科書が欲しい方は、現状では、自分で本wikiに加筆するか、あるいは本書『ゲームプログラミング』とは別に新規Wiki執筆を検討していただきたい。", "title": "本書の目的" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "「ゲームを作りたい」と思ったのなら、まずはあまり細かい難しいことは考えず、実際に作り始めてみるのが一番いいと思います。もちろんプログラミングについてほとんど何も知らないのなら、ある程度の勉強は必要ですが、ある程度の知識があるのなら、プログラミングの技量や知識の充実を気にするよりは、実際にゲームの完成を目指してプログラムを書いてみるのが一番いいようですよ。その過程でプログラミングの学習や経験は積んでいけますしね。JavaScriptやPython、無料でプログラミングに取り組める環境も、今現在では充実しています。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "しかし、ゲームをプレイするのが好きだからと言って、ゲームを作る、までが本当に自分が好きかどうか、試しに少し作ってみたら、少し考えてみるといいですね。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "例えば読者の中には、「私はRPGが好き」という人も多いでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "RPG が好きという事はおそらく、よくRPGの題材になる西洋ファンタジーのストーリーや世界も好きという場合が多いでしょう。そして一方で現実のコンピューターRPGで魅力的に提供される、イラストや音楽が好きという場合もあります。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "実際のゲーム業界の人々も、ゲームを彩るイラストレーションや音楽がいかに重要な要素かを語っています。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "さて、ここで問題なのですが、「ゲームを作りたい」と貴方が思っていたとして、あなたが本当に作りたいのはゲームなのか?あるいは本当はイラストが描きたかったり、音楽を作りたいのではないか?", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "...というのは、ゲームというのは総合的な分野ですから、イラストや音楽はその要素として確実にありますが、それ以外、プログラミングやシナリオなど、様々な創作や創造が必要で、全ての作業量はかなり多いものになるでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "そしてゲーム、コンピューターゲームにはゲーム独自の世界観があって、現実や小説や映画とは違う、独特の法則に支配された世界を作る必要があります。ある意味リアリティを持たない、リアリティから外れた世界です。だから、小説のようなリアリティにこだわるなら、ゲームは不向きかもしれません。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "ゲーム作り始めの時点では、これらの判断は明確でなくても勉強目的でも構いませんが、しかその内「自分は本当にゲームを作りたいのか? 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"2001年ごろの日本はネットを活用した同人ゲーム黎明期、フリーゲーム黎明期で、実験的な時代でもあり、多くのイラスト愛好、創作者や音楽創作者がゲーム制作に手を染めていたようです。この頃、まだイラスト投稿サイトや小説投稿サイトといったものは無かったか、あったとしても小規模でマイナーなものでした。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "しかし2010年のあたりから各種の投稿サイトが普及したことにより状況は変わり、むしろ現在では、小説やイラストを発表したい人はそのジャンルの投稿サイトに直接アクセスしたほうが早く、そのためゲームを通して発表するのは人によっては廻り道かもしれません。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "それをわかったうえで、それでもゲーム制作に身を投じるかを考えた上で、「よし、自分はゲーム制作をしよう」と思えるなら、ゲーム制作をするのが良いでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "実際、今現在の作曲家やイラストレーターは、ゲームに関わったとしても、専門家として楽曲やイラストを提供するという立場に過ぎない場合もあり、自分自身が主体になってゲーム制作をする人は、プロアマ問わず少数派のように見えます。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "同人ゲームの世界でも現在は(2021年頃に記述)、プログラマー系の作者が圧倒的に多い様です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "しかし、専門外の人だからこそ、メディアミックス的な意外な視点で新しいものが作れる可能性もあるかもしれません。コピーライター、作家の糸井重里が、マザー2の企画にたずさわった例もあります。しかし、あくまで「可能性」であり、成功はけっして保証されてはいないので、読者の自己責任でお願いします。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "今現在のゲーム専門学校のカリキュラムはプログラミングが主体です。CGの授業は、週に2時間程の様。一方でゲームCG、或いは、一般CGに特化した学科もある様です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "あるWikibooks編集者Aは、もしイラストを描きたいなら、イラストの世界で描くのが安全、と考えています。ゲームプログラミングについては、プログラムを書ける人は絵コンテも描けそうだし、基本的にある程度の作図的なイラストを描ける人は多いだろうから、別にプログラミングに専念しろとは思っていません。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "さて、読者がゲーム制作を職業として目指すのかどうかはともかく、とりあえず、ゲーム業界の状況を知っておくのが有用でしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "結局商業界の状況が権威をもってその分野を支配しているのがこの社会の基本なので、趣味でも職業でも、業界周辺のことを知っておくのは得ることが多いはずです。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "文献『レベルデザイン徹底指南書』では、現実世界で自分が新しいスキルを1つ覚えたら、古いスキル1つはどれか忘れる必要があることを説いています。著者は、最初はグラフィッカーでしたが、しかしプランナーに転職したので、グラフィック関係の技能は仕事では「忘れて」しまった、という内容を述べています。ただし、比喩的に「忘れる」とは言っていますが、実際には忘却し無くなってしまったわけではなく、仕事では時間の都合により両立できないので、グラフィック関係の技能は例え話で「忘れた」、のであり、現実にはグラフィッカー時代に培った観察眼をプランナー時代の現在でも活用している、と、書籍中では述べられています。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "このことは職業、あるいは技能とは一般的にそういうもの、と考えることができるでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "ゲーム業界のプランナーに限らず、演劇の世界でも舞台監督の仕事がそんな感じであり、ついつい大道具とか小道具とかを舞台監督が手伝ってしまうと本来の管理業務に支障をきたすので監督は手伝わないように(監督は指示を出すのに徹さなければならない)、監督は自身を注意する必要があります。高校生向けの演劇部の本にそう書いてありました。こういう分担作業の出来ない人は高校教師以下なので、反省してください。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "かつてはゲーム産業が、日本のIT産業やデジタル家電産業の中心的・牽引(けんいん)役であった時代がありました。しかし、2010年以降、この考えは当てはまらなくなっています。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "PlayStation1~2あたりまでの時代には、経済評論誌の未来予想でも、「もしかしたら今後、家庭用の据え置きゲーム機がパソコンの代替品として、家庭のリビング家電の標準品になるかもしれない」という予想があった。ゲーム産業がそのような牽引役として、経済界から期待されていました。ソニーが国産CPUをプレステ2〜3に搭載したり、WindwosのマイクロソフトがXBOXでゲーム機に参入したり、そういう時代です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "しかし2020年代の今は違います。結局、2020年代のゲーム機に使われてる技術や部品は、パソコン用の部品や技術の流用、ゲーム機のCPUも、今やインテルなどのパソコン用CPUをゲーム機でも使っています。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "もはや現代は、ゲーム業界は、産業のエンジンではないようです。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "ですから今現在、新しい技術に興味ある人は、ゲームにこだわらず、直接的にその技術を勉強し改良したほうが近道です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "たとえば、インターネット技術を使って何か新しい事をしたいなら、ゲームを作るよりもwebアプリやサーバーwebサービスを作るべきだし、目的のネットワーク用ソフトウェアをそのまま制作したほうが早いし確実です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "古い経済知識の先入観にとらわれず、無理にゲーム制作にこだわらないほうが、自分自身の技能やキャリアも開けていくでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "2010年に出版された商学書籍『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』には、「しかしながら、ファミリーコンピュータで世界に攻勢をかけ、その後圧倒的な強さを誇っていた日本の家庭用ゲーム産業も、90年代末からはその競争力にかげりがみえはじめた。日本の国内市場は伸び悩み、成長率は鈍化傾向にある(図表7-3)。」とあります。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "その「図表7-3」の統計値によると、", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "である。(青島らが『レジャー白書』、『情報メディア白書』、『月刊トイジャーナル』、『CESAゲーム白書』などをもとに作成した図表の統計値です。)", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "また、2010年の時点の商学研究では、1997年を境に、ゲームソフト市場で競争する企業数が増加傾向から減少傾向に転じた、とも言われています。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "書籍『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』にも、引用文「家庭用ゲームは日本がその本格的立ち上げを主導し」と書かれているぐらいで、1990年代は日本のインパクトが強かったようです。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "なお、携帯電話の分野で、日本は国際的な地位を喪失したのに対し、デジタルカメラとゲームは「現代」(参考文献の著作時2010年ごろ)でも日本が主要な地位にある。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "ここでいう「プログラミング」とは、C言語などのプログラム言語による開発のことです。RPGツクールなど開発ツールによるゲーム制作の話は原則していません(本書『ゲームプログラミング』はあくまでプログラミングのための教科書です)。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "さて、よくネットや、あるいは日常でも(C言語などによる)「ゲームプログラミングは簡単だよ。イラストやシナリオのほうが難しい。」、などという人がいますが、この発言の心は、「俺はプログラミングもイラストもシナリオも出来る凄い男だぜ。しかもプログラミングなんて簡単だし、むしろクリエイティブなイラストやシナリオの方に精力を費やす偉い奴だぜ^^」という、世間に良くいる武勇伝、自慢を語りたがる、インチキ親父が吹かしているだけなので、あまり真面目に取り合わないのが正解だと思います。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "まず第一に、不当にプログラミングの価値を貶めている言説ですよね。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "Visual C++またはVC# 、あるいは Direct Xなどを使ってプログラミングすることは、そんなに簡単なことではないでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "ゲームプログラミングの入門書などには、初心者でも理解できそうな比較的簡単ないくつかのサンプルコードがありますが、それは初心者でも簡単に書けそうな技術だけを抜粋してるという、あくまで例外です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "RPGならたとえば、ドラクエ3のような戦争画面の行動順を処理するソート機能をつくるだけでも一苦労ですし、ほかにも道具・アイテムなどの自動整理をはじめとする標準機能を作るだけでも一苦労です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "決して上手い人のサンプルコードをコピーアンドペーストをして終わりという訳にはいかず(そもそも現状そのようなサンプルコードがネット上に無いですが)、もし仮にサンプルコードがネットに公開されていても、自作品に組み込む際にさらにそれをデバッグ(決してテストプレイの意味ではなく、実際にコード修正が必要になります)しなければならず、プログラミング言語の理解が必要です。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "ゲームのプログラミングは決して楽ではないし、仮にもし楽だとしたら、じゃあゲーム会社のプログラマー職の人の仕事は何なんだ・・・という疑問につながりますよね(デマを言ってる人は、この疑問を脳内に都合よく無視しますが)。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "ツクールやエディタのような制作ツールを使えば、C言語的なプログラミングは不要ですが、それはそのツクールなどのツールを開発している人達にプログラミングを肩代わりしてもらっているだけなので、決して「ゲームプログラミングが楽」、ではないでしょう。楽だというなら、じゃあツクール開発元の角川書店およびその発注先ソフトメーカーのプログラミングが楽だとでも言うのか・・・(デマを言ってる人はこの疑問を無視します)。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "そもそもコンピューターゲームというのはプログラミングがなければ成立しないのですから、そのプログラミングの価値を貶めて平気な人は、コンピューターゲームにかかわる資格はないでしょう。", "title": "ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも…" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "自分でゲームを作る際、必ずしも、C言語などプログラム言語で記述する必要はありません。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "プログラミングをせずに、ほぼマウス操作と会話メッセージなどの文章のキーボード入力だけでゲーム開発をできるようにするソフトウェアが、有料または無料で発表されています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "たとえば、RPGを作りたいなら、日本で発表されているソフトでは、『w:RPGツクール』や『w:WOLF RPGエディター』などのように、RPG製作に特化された開発ソフトがあり、大幅に開発の手間を減らせます。なお、『RPGツクール』は有料製品です。『WOLF RPGエディター』は無料ソフトです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "アクションゲームを作りたいなら、『w:アクションゲームツクール』があります。これらツクール製品は有料製品です。(なお、かつて『w: 2D格闘ツクール2nd.』というのがありましたが、しかし現在ではサポート切れのため、今現在の市販の十字キーコントローラーが初期設定では動かない、一部のボタンしか使えないなど問題点があります。)", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "また、ノベルゲームを作りたいなら、フリーソフトの『w:吉里吉里Z』などがあります。吉里吉里Zはソースコードが公開されており、オープンソースになっています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "C言語などによるプログラムは、上記のゲーム開発ツールを使わない場合の選択肢になるでしょう。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "既存のゲーム開発ツールの仕様に不満を感じる場合に、「じゃあ自分でプログラムして作ろう」となり、プログラミングが必要になるわけです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "なお、上記の開発ツールはほとんどがWindows用のソフトです。MacやLinuxでは動きません。MacやLinuxで動作するゲームを作りたい場合は、別のソフトウエアを使う必要があります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "既存のゲーム開発ソフトを使わずにプログラムを組んでゲームを自作する場合、必ずしも既存のツールのような、ゲーム作品と開発ツールが分離された仕組みを再現する必要はありません。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "一般的に初心者が、ゲーム開発ツールを作ることはほぼ不可能です。初心者は開発ツールを作ることは考えずに、まず1本、とりあえずゲーム自体を完成させてみましょう。開発ツールを自作したいのなら、まず先にゲーム1本を完成させたあとに、あとから開発ツールとゲーム作品の分離などに取り掛かるのが推奨です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "基本的に、現代の商業ゲームは、C言語で開発をする。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "ただし、ファミコンの古いゲームは、アセンブラで開発されていた。ファミリーコンピューターからスーパーファミコンに至るまで、OSは搭載されていない。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "ではいつからC言語がゲーム開発に使われるようになったかというと、商学の学説では、プレイステーション(※ おそらくプレステ1?)の頃からだろう、と考えられている。ただしこの時代でも、処理速度の高速化のためにアセンブラにアクセスする開発チームも少なくなかった。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "また、プレイステーションのOSは独自仕様である。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "カプコン(ゲーム会社のひとつ)など一部の企業は、OSによる開発ではなく、移植性を高めるために自社製の内製フレームワークを用いて開発する。カプコンの場合、2010年頃は「MTフレームワーク」という自社製フレームワークを用いて開発を行っていた。なお2020年代の現在、カプコンでは後継の別フレームワーク(カプコン内製)を使っている。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "ゲームを書くために利用される言語は多岐にわたっています。歴史的にはゲーム業界でも、C言語や、特に計算機のスピードが重要になる場面ではアセンブラを利用してプログラミングを行うことが普通に行われていました。そのため、ゲームプログラミングは通常のプログラミングと違った技能が必要であるように思われていました。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "現在では計算機がある程度速くなったことや、ゲームプログラムの開発を複数人で行うことでテクニカルなプログラミングが避けられるようになったことにより、ゲームプログラミングは他の一般のプログラミングと同じような課題だと見なされています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "しかし、特にアクションゲームなどのリアルタイムでの画面書き換えが必要なゲームで、プログラムのスピードが重視されることは変わっていません。また、コンピュータの性能があがるにつれ、それらの性能を全て引き出すように表現手段が変化してきたため(3D、ポリゴンなどを参照)、状況によっては複雑で特殊なプログラミングが必要になることもあります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "ゲーム開発において、一般にゲームショップなどで流通している商業ゲーム作品において、現在よく利用されているプログラミング言語として、C言語、C++、Javaがあげられます。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "Windowsの3DエンジンのDirectXは、主にC++を想定しています。なので負荷の高いアクションゲームを作りたい場合、Visual C++での開発が安全でしょう。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "しかし、ネット上のフリーゲームでは、C++以外の言語が使われることも、よくあります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "さいきんゲームエンジンとして有名なUnityは、言語としてはC#の文法を採用しています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "携帯電話向けのゲームではJavaが利用されましたが、これは携帯電話を提供する各社がJavaをアプリケーションの言語として選んだことによります(iアプリ、EZアプリ、S!アプリなどを参照)。現在でもAndroidなどのスマートフォン向けでは、Javaが使われています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "市販の書籍では、Pythonによるゲーム開発を紹介した出版物もあります。ただし Python は原理的にインタプリタ方式であるために処理速度がC++に劣り、アクションゲームなど負荷の高いゲームを作る事を目指している場合は、将来的にはPythonからC++への変更が必要になるかもしれません。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "例えば、かつて Adobe の Flash が、ブラウザで動かせるゲームを作る際に、よく使われていました。このようなwebブラウザ上で動くゲームのことを一般に、「ブラウザゲーム」と言います。ただし、現在ではFlashは廃止の方向です、すでにほぼ廃止されているといっていいでしょう。また、現状では、ローカルPC環境でのゲームをJavaScriptで作るのは、アマチュア段階では困難です。JavaScriptのアマチュアゲームと言う事例を聞きません。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "なお、JavaScript はクロスプラットフォームですが、しかし、セキュリティ上の理由などから、いくつかの機能(たとえばファイル入出力)がwebブラウザ上では使えないようになっており(セーブ機能が標準では不可能)、そのためJavaScript だけでゲームを作るのは、初歩的なゲームを除くと、かなり困難です。(おそらく、オンラインゲームでは、サーバー側でPHPやサーバサイドJavaScriptなどの別プログラムが走っていると思われます。)", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "セーブ機能の必要なゲームを作る場合は、JavaScriptでの開発は選択肢にない(セーブの実装には、JavaScript国際規格にはない非標準仕様を使いこなす必要があり、かなりの技術力を要するでしょう)。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "商品として流通するようなゲームや、高度な機能を持つブラウザゲームを作ることはとても難しく、このページでは手に負えません。そこで、このページでは、初心者が練習用につくるゲームを例に記述します。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "webブラウザだけで動くのがブラウザゲームです。ブラウザゲームを作るのに使う言語の第一選択肢はJavaScriptです。サーバー側の処理が必要ならPHP,Python,Perl,Javaなどの言語の出番でしょう。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "「ネットワークゲーム」は「ブラウザゲーム」とは意味が違います。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "「ブラウザゲーム」は、パソコンにwebブラウザさえあれば、ネットワークに接続していなくてもゲームプレイできて、最後、クリアまでプレイできる作品もあります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "しかしネットゲームは、ネットワークに接続しないと、ゲームを開始することさえ不可能です。つまり、サーバの提供するゲームが「ネットワークゲーム」「ネトゲ」です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "もしPHPやPerlなどでゲームを作る場合、普通はネットゲームになる筈なので、作者がサーバを構築して提供する必要がありますし、プレイヤーにはゲーム中にサーバに接続する環境が必要になります。提供者は、サーバを用意したり、保守管理する必要があります。サーバーがダウンしてしまうと、プレイヤーがゲームをできなくなります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "「PHP ゲーム」などの単語でネット検索したり、あるいは書店でプログラム言語の書籍や解説サイトを見ると、ときどきPHP・Perlなどの言語でゲーム開発しているものもありますが、一般的なダウンロード型のゲームとは違う筈なので、気をつけてください。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "一般に、プレイステーションや任天堂のゲームを開発するには、専用の機材が必要であり、そのため、ソニーや任天堂とライセンス契約しなければいけない。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "その契約に際して、ライセンス費用またはライセンス料金と呼ばれるものを、ゲーム機開発会社の任天堂、ソニーに支払う必要があります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "現在でもソニーや任天堂のゲーム機用のソフト開発・販売には、ライセンス料が必要です。少なくともPS4やニンテンドースイッチのパッケージソフト開発には、「ライセンス費」が必要。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "なお、書籍『ゲームプランナーの新しい教科書』によると任天堂やソニーのようにゲーム機を作っている会社のことをハードメーカーと言います。つまり、ゲーム機のハードメーカーにライセンス料を支払うという仕組みになっています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "また、スマートフォン向けアプリは、プラットフォーム使用料が掛かります。 書籍『ゲームプランとデザインの教科書』によると AppleStore, GooglePlayともに売上げの30%とのこと。その他のプラットフォームも、大体同じとのことです(参考文献の著作の時点では)。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "Google やAppleのようにプラットフォームを提供している企業のことをプラットフォーマーと言います。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "昔からゲーム機のライセンス料は有料で高額であり、ソニーや任天堂の収益源のひとつになっている。一方、パソコンゲームにはライセンス料が無いのが普通です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "なお、ハードメーカーでなければプラットフォーマーでもないゲーム会社のうち、製造から販売までを手がける会社のことをパブリッシャーといい、たとえばカプコンやコナミやセガやスクウェア・エニックスやバンダイナムコなどがパブリッシャーです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "実は、必ずしもパブリッシャーが開発を手がけるとは限らず、スマホ向けアプリなどではディベロッパーといわれる開発専門の会社に委託している場合もあります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "Apple社のAppStore向けのスマートフォンアプリでは、アップロード後に、公開前にAppleによる審査があり。、審査は欧米基準です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "GooglePlayは、公開前の審査はないが公開開始後に海外基準で審査されるので、それに違反していると配信停止になります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "海外プラットフォームで販売・配布したい場合、「ポリティカル・コレクトネス」(政治的な正しさ)といわれる、海外の公序良俗の基準に配慮する必要があります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "ドラゴンクエストのファミコン時代、海外輸出の際、教会での描写を変更しなければいけなかったことがありました。これは、岡田斗司夫氏の YouTube放送でも話題にされています。教会の描写で、神父とシスターが同じ建物で仕事をしていた。これが問題になったらしい。カトリックでは妻帯禁止ですし、男女が同じ場で働く描写がよくないようです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "開発者たちは、「教会の描写はキリスト教ではなく、ゲーム世界独自の宗教」と主張して、難を逃れようとしましたが、しかし教会の裏にある墓地が十字架のマークだったので、「十字架はイエスの磔(はりつけ)の場でありキリスト教で重要な意味を持つ。十字架の墓標がキリスト教ではないという主張は欺瞞だ」と、輸出先国の協力者が指摘し、その言及は認められませんでした。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "結局、日本の開発者たちは輸出にあたり、墓地か教会内の人物のどちらかを直したうえで海外での商品化を果たしたそうです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "また、十字架に関してですが、赤十字のマークは国際常識・国際条約として赤十字社以外は使用できないことになっています。ゲームではないのですが、赤十字によく似たマークをデザインしたグッズの回収騒ぎなども実際に発生しています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "また、ドラゴンクエスト世界観の漫画作品、「ダイの大冒険」の電子書籍版と2022年版アニメーションで、六芒星(ろくぼうせい)の魔方陣で魔物を召喚使用、とする描写が修正されています。直接的な理由は公表されていませんが、六芒星はイスラエルの国旗にも描かれ、伝統的にユダヤ人を表す記号とみられている、だから、という理由が、Webではよく指摘されています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "欧米の判断基準が、アジア諸国やアフリカの生活習俗に合致しない場合も多いのですが、欧米のIT大企業はその欧米基準での規制が政治的に正しいと考えているでしょう。「日本では、少し考え方が違う」と言っても、通用せず規制される場合も多い。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "共産党の機関紙『赤旗』がドラゴンクエストの職業について、「女性は回復職などの補助役割が多く、保守的な職業観、男女観ではないか?」と、指摘したことがあった(らしい)。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "しかし、ドラゴンクエスト1~3の元ねたであるウィザードリィ・シリーズでは、僧侶(ウィザードリィでは「プリースト」)の職業は物理攻撃力・防御力もかなり高い前衛職です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "がウィザードリィでよくあるパーティ編成です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "プレイヤーによって、僧侶と盗賊の位置が入れ変わったり、ビショップと魔法使いの位置が入れ替わったりしますが、基本的に、僧侶は盗賊と同格の物理攻撃力・防御力です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "メイスやフレイルといった鈍器を振り回すのが、ウィザードリィの回復職のプリーストです。ドラクエもそれを踏襲しており、僧兵みたいに「鉄の槍」を振り回し、僧侶の物理攻撃力は魔法使いよりも高い。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "ゲームだけでなくテレビアニメでも、漫画ワンピースの海外アニメ版では、主人公側の若者がタバコを吸っているシーンをアメ玉に作画を変えられたり、ドラゴンボールに出てくるミスターポポという肌の真っ黒なキャラクターの肌を青く書き換えたり、色々な例があります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "ポリコレとは関係ない事例ですが、TVアニメーションのポケットモンスターで主人公のサトシ達がお握りを食べているシーンで、アメリカ版ではドーナツになっていたことがあります。これは、国による食文化の違いを示していますよね。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "ゲームでは、曲や絵が良くても、ゲームとしては今ひとつ面白くない、という事は起こり得ますよね。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "ですからむしろ、商業的なゲーム制作では、イラストは簡略なものを使ったうえで、プログラム中心の試作品(プロトタイプ)をいくつか作り、その中でゲームとしての面白さがあるものを、取捨選択したうえで商品化を考え、その後イラストや楽曲を詰めて完成度を高めていく、と、いう制作過程を取るようです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "書籍『ゲームプランナー入門』(吉冨賢介 著)によると、商業ゲーム界では、企画書に書かれたゲームが本当に面白いかどうか確認するために、「プロトタイプ」が作られます。プロトタイプの段階では、プログラマーと、企画の意図を考慮するためプランナーも関わります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "イラストレーターは、プロトタイプの前段階あたりでイメージイラストを提供し、スタッフ間の共有イメージを作ります。そしてプロトタイプ進行中は、グラフィック案の提案をしていきます。サウンドも同様、プロトタイプでは、曲調を固めていく段階です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "プログラマーは、そのゲームでコアになるプログラムやシステムやミドルウェアについて、プロトタイプ段階で実装検証を済ませておく必要があります。プロトタイプより前の原案の段階では、利用するミドルウェアの洗い出しをして、出来る範囲での基礎実験をしておきます。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "ミドルウェアによっては使用料が発生するので、その点を事前に調べておく。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "プロトタイプのうち、張りぼての例えば画面だけの物等を、「モックアップ」といいます。一方である程度遊べる状態まで作っているものを、「プレアブル」といいます。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "ゲームデザイン本ではよく「プロトタイプ」という表現が用いられるので、本ページではこの言葉を使うことにします。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "任天堂『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、プロトタイプの段階ではイラストを組み込まずに(イラストは、代わりに大きなドットの塊などで代用する)作られている事がゲーム業界見本市イベント CEDEC 2017 で公開されています。(おそらく音楽もプロトタイプでは組み込まないのだろう。)", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "プロトタイプの段階では、画像や音楽は発注せず、骨組み的なプログラムだけで、そのゲームのアイデアが「はたして本当に面白いか?」を、実際に社内の関係者にプレイさせてみて確認します。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "ちなみにプロトタイプに関しては『高等学校情報/その他の技術的な話題#プロトタイプ開発』の記述も参考になる。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "ここでいう「プロトタイプ」(試作品)とは、コンピュータプログラムのゲームとして動作するのが前提です。映画製作でいう絵コンテ試写のように、ゲームの試作では、なるべく早期に第三者が試作ゲームを遊べるように作っていく必要があります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "プロトタイプという言葉を使用すること自体が妥当かどうか。まず、書籍『ゲームプランとデザインの教科書』で使われている。書籍 Game Programming Patterns でも用いられている。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "ニコニコ動画の経営者、川上量生が使っています。川上は角川書店も買収したので、おそらくそこ(カドカワ・RPGツクール販売元)でも使っているでしょう。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "ゲームのプロトタイプの基本姿勢は、「汚く作って、やりなおす」です。もちろん最低限のプログラムの知識、勉強は必要ですが、あまり知識収集や理解充実を気にするより、実際に作ってみることを優先したほうがいいようです。チーム制作をしている場合はプロタイプは赤ん坊であり、そのチームで育てていこう、我々の子供だという意識で接しているようです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "まず工夫して作ってみると、今後自分が何を勉強すればいいかも見えてきます。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "英語では「quick and dirty prototype」という言葉があります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "書籍『ゲーム作りの発想法と企画書のつくりかた』によると、シナリオライター志望者が企画書やシナリオ案をメーカーに送りつけても、あまり効果的ではないようです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "それよりゲーム形式でシナリオを書いてしまうのがいいようで、「CHR:ヒロインA(私服)、表示」のような文章を織り交ぜて構成していくのが推奨。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "参考文献のその章では、シナリオライター志望者に向けて語られていますが、プログラマー志望なら、サンプルゲーム、サンプルプログラムを作ってしまうのがいいかもしれません。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "1990年代、週刊少年マガジンに不定期掲載していた読みきり漫画『ゲームクリエイター列伝』では、カプコン社のゲーム『バイオハザード』を扱った『バイオハザードを創った男達』の際、制作過程でゲームデザイナーが大幅な作り直しを判断して進行させた、という描写があります。(ただしWikiboooks一編集者の記憶、詳細はあいまい)。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "のちの、ゲーム評論家の阿部広樹の評によると、むしろそれは劇的な大きな決断ではなく、ゲームデザイナーの日常の普通の仕事ではないか、と語られています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "どんな肩書の人間だろうと、すでに決まって進行していた方針をひっくり返すのは、かなりのストレスのある判断で指摘になりますが、一般に漫画や映画、あるいはNHKの仕事に関するドキュメンタリーでもそうですが、職業や職業者の物語では、過剰に対象を美化し、劇的な演出によって関係者を称賛し、英雄視する傾向があるように思います。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "仕様書や設定資料を超えて、誰もが遊べる試作品は、意味のある企画行為でしょう。前編集者は、時間軸・動きの制作意図の明確化、という言葉を使っています。もちろん短くまとめること自体もなかなか難しいのですが、工夫を凝らして、ゲームプログラムを完成させることが重要な経験であり、思考の具体化でもあると思います。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "アルファ版はプロトタイプとは違うもので、その後段階で、ゲームの全体像が分かる一部分を、商品に準じた形で作ることです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "アルファ版でもそのゲームが本当に面白いかどうか検証がなされます。サウンドやビジュアルは商品に近いほぼ完成化された形で取り込みます。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "アルファ版の使用の結果、プロジェクト中止の決定がなされる場合もあります。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "ベータ版とは、会社によって意味が多少違いますが(たとえば『ゲームデザインプロフェッショナル』と『ゲームプランナ-入門』とでも微妙に違う)、おおむね、とりあえずのゲーム、最初からエンディングまでのほぼ完成状態をひととおり遊べる制作物です。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "細かいバグ修正はこれらの段階では後回しにします。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "基本的に", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "の流れ。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "ゲーム制作の作り始めにおいて、必要な数学や物理の予備知識は、それほど多くありません。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "文献『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』によれば、数学や物理の習熟に拘って、それに多くの時間と精力を費やして勉強するよりは、3Dの勉強などで必要を感じたら、そのつど、その分野の数学や物理を学ぶのが効率的だと述べており、また可能なら実際にプログラミングでその理論を試してみると具体的に理解をしやすいと述べています。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "C言語を使ったゲームは、予備知識はそれほど多くないので、あまり難しいことは考えず、まず実際にプログラムを書いて作ってしまう事優先にするのが正解なようです。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "市販のC言語入門書で、配列や関数などの一般的な機能を一通り習得したら、あとはVisual C++ で映像出力とキーボ-ド入力のみを、1~2週間ほど勉強、そしてVisual Studioを起動してゲームを作り始める。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "うまくいけば数か月以内に、パソコン用の非ネット通信のゲームを作ることができるでしょう。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "ただ、ゲームプログラミングを試みる人は、必ずしもゲーム制作のみが絶対的な唯一の目標ではない可能性もあるので、それぞれの立場に応じて、座学を取り入れてみるのもいいと思います。", "title": "ゲーム制作に関する留意点" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "さて、ゲームを作る時は、アイデアを頭の中だけに置いておくのではなく、文章に書きだしてみましょう。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "そして、壮大な長大なアイデアではなく、1週間~1ヶ月ていどで成果の確認できそうなアイデアだけを書いてみましょう。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "次にそのアイデアを、実際に動作するプログラム、ソフトウェア(つまりプロトタイプ)にするために、具体的などんな機能を持ったプログラム(簡単なものでよい)を制作しなければいけないか、自分のやるべきことのリストを、箇条書きで作ります。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "IT界ではこういうリストを「ToDoリスト」(読み: トゥードゥーリスト)とか「タスクリスト」といいます。このページではむしろ日本語で、「作業リスト」と呼んでみましょう。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "さて、このリストを作るときは、作業項目は具体的かつ直接的に解決可能で単純な目標に分割します。ですから例えば RPG の戦闘システムを作るときは、", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 166, "tag": "p", "text": "と、あいまいに総体的に書くのではなく、具体的に、", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 167, "tag": "p", "text": "という風に、作業項目を細かく分割していきます。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 168, "tag": "p", "text": "こうすることで、作業がひとつずつ比較的に簡単な要素に分解されていくので、楽になります。また、バージョン管理ソフトを使って管理している場合も、上記のような作業リストの分解をしておけば、各バージョンの概要を書く際にも作業リストの項目が転用できるので、一石二鳥です。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 169, "tag": "p", "text": "予定日は書かないほうがいいと思われます。スケジュールを管理したい場合は、別にファイルを作るといいです。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 170, "tag": "p", "text": "そして書き出した項目を優先順位で並べたら、最初の作業リストは完成です。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 171, "tag": "p", "text": "プログラミングする前に作業リストを眺めて、そして上の項目から実際に作業を開始しましょう。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 172, "tag": "p", "text": "そして一つの項目を完成させましょう。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 173, "tag": "p", "text": "そして作業項目がひとつ終わったら、「【完了!】」等、そういう情報を項目の前または後ろにつけます。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 174, "tag": "p", "text": "たとえば、", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 175, "tag": "p", "text": "こうします。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 176, "tag": "p", "text": "以前の記述を残したまま、その作業が終了したことを示しておくわけですね。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 177, "tag": "p", "text": "また、もし追加の作業が必要になったら、たとえばダメージ計算システムを作るために、ランダム計算が必要になって、自分がそのプログラム言語でのランダム計算に詳しくないなら、たとえば", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 178, "tag": "p", "text": "と、必要に応じて項目を追加します。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 179, "tag": "p", "text": "さて、これから行う作業を検索しやすくするため、たとえば", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 180, "tag": "p", "text": "の様に完了した項目を後回しにしたり、あるいは", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 181, "tag": "p", "text": "のように、(現在→)、を追加するのも良いでしょう。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 182, "tag": "p", "text": "つまり作業の記述をそのままに、どこまで進展しているかが分かる様に書き足していくわけです。", "title": "作業リストを作る" }, { "paragraph_id": 183, "tag": "p", "text": "「ゲーム性」という概念があって、これがあるからこそゲームは面白く、魅力的だと考えられています。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 184, "tag": "p", "text": "プレイステーション開発元のソニーもこれを重視していますし、一般的に多くのゲーム愛好者、関係者たちもその考えに同意するでしょう。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 185, "tag": "p", "text": "ではゲーム性とは何か?", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 186, "tag": "p", "text": "ゲームのジャンルにもよりますが、「駆け引き」や「戦術」、これが「ゲーム性」だとよく言われます。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 187, "tag": "p", "text": "『ゲームプランとデザインの教科書』によると、ゲーム性とは、シューティングやアクションでは「対戦の駆け引き」、RPGでは「戦闘と物語の介入」、シミュレーションゲームなら「戦略性」だそうです。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 188, "tag": "p", "text": "ただし上述の書籍によると、1990年代は今よりもゲーム性とシステムが重視されていたとの説明があるので、裏を返せば2010年以降の現代では、ゲーム業界ではゲーム性の重視の比率は1990年代よりも減っているかもしれません。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 189, "tag": "p", "text": "『ゲームプランナー入門』(吉冨賢介 著)では、ゲーム性とは「課題や挑戦の仕組み」であると結論づけています。そして、この達成感こそが「ゲームならではの面白さ」だと述べています。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 190, "tag": "p", "text": "メディアクリエイターの佐藤 雅彦氏(「だんご3兄弟」や「ピタゴラスイッチ」等を手掛けている)が、初めてかかわるコンピュータゲームで、ソニー・コンピュータ・エンターテインメントとの共同企画で、のちに「I.Q」(1997年にシリーズ第一弾を発売)と呼ばれるシリーズに携わった時、プロトタイプが全くゲーム性のないものになってしまい、それをプレイしたソニーの幹部陣の顔色が非常に曇ってしまったようです。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 191, "tag": "p", "text": "ここでの悪い反応、薄い反応の理由がわからなかった佐藤氏が、階段の踊り場でソニーの新人に尋ねてみると、「それが、あの、ゲーム性がないっていうか・・・」と言われたと出典の対談集に書かれています。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 192, "tag": "p", "text": "基本的に佐藤氏は、プロトタイプの企画を提案しただけですが、ソニーにはプロトタイプを作るための部署があるらしく、1~2ヶ月かけてそこでプロトタイプが作られたようです。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 193, "tag": "p", "text": "この問題の責任が誰にあるかは、大した重要な事ではありませんが、商業作品としてプロトタイプを作る以上は、どこかの段階でゲーム性を意識して、プログラムに盛り込む工夫が必要になるでしょう。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 194, "tag": "p", "text": "ふつうゲームのプレイヤーは、まず最初にそのゲームの「見た目」を判断し感受するでしょう。ですからその見た目のインパクト、興味を呼び起こす構成が必要になります。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 195, "tag": "p", "text": "例えばスーパーファミコンRPG『新桃太郎伝説』では、開発当初はドラゴンクエスト5 のようなマップ画面のトップビューUIでしたが、開発中にクォータービューの他社製RPGが発売されて高い評価を得たので、マップUIを(トップビューではなく)クォータービューに作り直したようです。このことは攻略本『新桃太郎伝説 究極本』に開発裏話として書かれています。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 196, "tag": "p", "text": "一方現在でもこの方向の試みは重要なようで、書籍『ゲームデザイン プロフェッショナル』の著者は、他企業の製品の画面と、自社の製品を目で見比べる分析方法で、自分たちの製品のUI の問題を見出しています。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 197, "tag": "p", "text": "割と素朴で単純で即物的な見た目、「かっこいい」とか、「ぱっと見派手」等の要素が非常に重要なようです。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 198, "tag": "p", "text": "商業としてゲームを作る以上は、ペイしなければ企業も事業の継続も維持できませんから、考慮せざるを得ない問題ではあります。", "title": "プロトタイプ制作における創作面の検討事項" }, { "paragraph_id": 199, "tag": "p", "text": "ゲーム開発ツールのなかには、そのツールで開発したゲームソフトに義務として「この開発ツールで開発したソフトウェアは、ソースコードを必ず公開しなければならない」などの条件をつけている場合があり、このような条件を「開示義務」(かいじ ぎむ)または「ソース開示義務」などといいます。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 200, "tag": "p", "text": "ソース開示が嫌な場合は、開示義務のあるツールは使わないのが正解です。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 201, "tag": "p", "text": "ゲームに限らず、ソース開示を義務としている開発ツールは多くあるので、ライセンスには気を配る必要があります。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 202, "tag": "p", "text": "「有料ソフトの販売を禁止」とか「アダルト作品の開発は禁止」などの条件をつけている場合も、ありえます。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 203, "tag": "p", "text": "ですからゲーム開発において、ツールのライセンス条件の確認は、非常に重要です。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 204, "tag": "p", "text": "w:DXライブラリは、GPLでもBSDライセンスでもありません(DXライブラリ説明書「DxLib.txt」には、どこにも「GPL」とも「BSD」とも書いていない)。DXライブラリは単にソースコードが公開されていて、著作権者の「山田 巧」氏が著作権を保持しているオープンソースなライブラリです。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 205, "tag": "p", "text": "このように、ネット上でソース公開されているソフトウェアには、ライセンスの複雑な解釈を嫌ってか、「BSD」や「MIT」などのライセンス条件を名乗らないオープンソースソフトウェアもあります。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 206, "tag": "p", "text": "下記の理由(機能制限および移植性の悪さ)の問題から、あまり大規模な作品は開発ツールでは作らないでおくのが安全です。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 207, "tag": "p", "text": "大規模な作品の場合、Visual C++ などでコードを書いて開発することを推奨します。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 208, "tag": "p", "text": "ゲーム開発ツールを使う場合、そのツールにもよりますが、「○○ができない」、つまり特定の目的を果たすための機能を持っていない場合があります。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 209, "tag": "p", "text": "Visual Basic や Visual C++ には普通にある関数でも、開発ツールには無い場合も多い。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 210, "tag": "p", "text": "また、もし、いったんはゲーム開発ツールを使って目的の機能を持ったシステムを作ったとして、さらなる機能をそのシステムに追加しようとするときに、大幅な作り直しが必要になる場合があります(拡張性の悪さ)。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 211, "tag": "p", "text": "システムがモジュール化されていても、そのモジュール部分では大きく改変する必要がある場合もあるでしょう。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 212, "tag": "p", "text": "ですからゲーム開発ツールによるゲーム制作では、あまり大作を作ろうとしないほうが安全です。開発ツールで作る作品は、比較的に小規模な作品に、とどめておくことを推奨します。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 213, "tag": "p", "text": "Windowsの場合、本来なら Visual C++ などを使って、プログラム文法のいろいろな事に留意しながらプログラムを書きますよね。開発ツールを使う場合、 Visual C++ のコードを書かずに、ほぼマウス操作だけでプログラムを作ろうとしているわけですから、何かしらの制限があります。拡張性の悪さは、プログラム文法などの学習の負担を減らすためのトレード・オフのようなものです。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 214, "tag": "p", "text": "また、もうひとつの問題点として、C言語など一般のプログラム言語への移植性の悪さがあります。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 215, "tag": "p", "text": "ソースコードが公開されていない開発ツールの場合、異なる開発環境にゲームのソースファイルを移植するのは、ほぼ不可能です(仮に、開発ツールのランタイムを模倣できたとしても、著作権などの法的な懸念が生じる可能性あり)。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 216, "tag": "p", "text": "ゲーム開発ツールで作ったソースをVisual C++のソースに置き換えるのは簡単にはできない。ほぼ全面的に新たに書くことになるでしょう。", "title": "ゲーム開発ツールを使う場合" }, { "paragraph_id": 217, "tag": "p", "text": "ゲーム制作、業界において、イラストや音楽を作る部署、人物は、まとめて、\"アーティスト\"と呼んでいるようです。", "title": "イラストレーター・デザイナー" }, { "paragraph_id": 218, "tag": "p", "text": "ゲーム界の場合「デザイナー」というのは、プランナーやディレクターのことであり、管理職的な設計者のことで、美術的なクリエイターではない場合がある。美術的なクリエイターも同音異義語でデザイナーと呼ぶ場合もあるが、本wikiでは区別のためアーティストという言葉を用いる。", "title": "イラストレーター・デザイナー" }, { "paragraph_id": 219, "tag": "p", "text": "映像関係、画像系のアーティストはグラフィッカーと呼ばれることもあります。ムービー担当者、特にゲーム界では3D-CGの制作者をアニメーターと呼ぶことが多いようです。アニメーション業界では主に、手描きの原画、動画マンをアニメーターと呼びますが、最近は3D-CGアニメーション映画も多いので、すこし状況が変わっているかもしれません。", "title": "イラストレーター・デザイナー" }, { "paragraph_id": 220, "tag": "p", "text": "ゲーム業界とアニメーション業界、各会社企業、過去と現在で、「原画」「仕上げ」「絵コンテ」等、一般的な作業に関する言葉が、それぞれの状況で微妙に違った意味で使われることも多いので、それそれ自分の所属する状況に適した言葉の使い方を考える必要もあるでしょう。", "title": "イラストレーター・デザイナー" }, { "paragraph_id": 221, "tag": "p", "text": "操作性について、親指と人差し指だけでボタンプッシュなどの操作ができるように作成するのが基本です。中指、小指、薬指はコントローラのホールドに使うぐらいです。人間工学的に、小指や薬指は力が弱いので、微妙な操作には向かないことが知られています。", "title": "操作性" }, { "paragraph_id": 222, "tag": "p", "text": "一般的にゲームプログラミングでは、", "title": "操作性" }, { "paragraph_id": 223, "tag": "p", "text": "入力と出力、この2点が機能として必要になります。", "title": "操作性" }, { "paragraph_id": 224, "tag": "p", "text": "プログラミング言語とプレイヤーからの入力については歴史的にも、あまり変化がありません。言語では主にC言語、C++が用いられる。携帯電話向けのゲームではJavaが利用されましたが、これは携帯電話を提供する各社がJavaをアプリケーションの言語として選んだことによります(iアプリ、EZアプリ、S!アプリなどを参照)。現在でもAndroidなどのスマートフォン向けでは、Javaが使われています。", "title": "操作性" }, { "paragraph_id": 225, "tag": "p", "text": "パソコンゲームでは、プレイヤーからの入力には通常、キーボードかマウスを利用します。他にジョイスティックやゲームパッドが利用される場合もあります。家庭用ゲーム機ではコントローラが利用されることが多いのですが、ニンテンドーDSやWii Uではタッチパネル、Wiiでは複数の入力機器が提供されることが発表されています。各種入力機器をプログラムから扱う手法自体は、普遍性があり、入力機器ごとに大きく変化しない、と、考えられています。デバイスドライバ、高等学校情報Bには、プログラムから周辺機器を扱う方法について多少の記述があります。", "title": "操作性" }, { "paragraph_id": 226, "tag": "p", "text": "画面表示のうち、3Dの表現は割合難しく、ある程度の数学(高校、あるいは場合によってはそれ以上)の理解が必要でしょう。2Dに関してはプログラムの面では、さほど難しい部分はありません。", "title": "操作性" }, { "paragraph_id": 227, "tag": "p", "text": "基本的にプログラミングでは、関数を使って、処理をコンパクトにまとめ、定数ではなく変数で柔軟性のある操作をすることが求められますが、ゲームの場合は、この構造のせいで処理速度が低下することがあります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 228, "tag": "p", "text": "現在のCPUの性能、速さはかなり高くなってはいますが、プログラム処理は無限に煩雑化できますから、やはり高度な処理を短時間でなすことが求められます。特にゲームは、リアルタイムの反応のタイミングが非常に重要ですからね。数学の指数計算についての雑学で、「新聞紙を42回おりたたむと、月に届く距離になる」というものがあります。(新聞紙の厚さ)*2^42、です。もっとも新聞紙の物性から言って、ほぼ不可能な操作ですが。コードの内容、組み合わせによっては、このように計算量が指数関数的に膨大になってしまい、処理速度が非常に遅くなってしまう場合があります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 229, "tag": "p", "text": "ですが、このセクションで後述するように、関数を用いる場合の解決策(※概要:あとでdefineやinlineに置き換え)があるので、プログラミングの初期のほうは、とりあえずバグを未然防止するために関数を活用するべきでしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 230, "tag": "p", "text": "1980年代頃のファミコンなど古い時代のゲームでは、ストレージ容量(ハードディスク容量のこと)が、ボトルネックでした。「容量不足でイベントをいくつか削りました」と、当時のRPGなどのゲーム作家が述べるのは、ストレージ容量の不足のことでしょう。ただ当時のファミコンはROMカセットでハードディスクは無いので、まさにストレージ容量という言葉が適切でしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 231, "tag": "p", "text": "しかし2010年以降の現代では、ボトルネックになっている要因は、ストレージ容量不足よりも処理速度です。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 232, "tag": "p", "text": "ゲームプログラミングに要求されるコード特性は、科学計算ソフトウェアや金融プログラミングなどの手法とは異なります。情報工学・情報科学で適切とされる「構造化プログラミング」などの歴史的に発展してきたプログラミング・パラダイムの理念とは反するようなコード開発方針になる場合もあります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 233, "tag": "p", "text": "RPGツクールの制作元のカドカワ(アスキー社→エンターブレイン社→カドカワ(かつての「角川書店」) )では、PRGツクールでのアクションゲーム開発は推奨していません。アクションゲームの場合は、同じカドカワの「アクションゲームツクール」で制作するよう、薦めています。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 234, "tag": "p", "text": "アクションゲームとターン制RPG では要求される特性が大きく異なり、なかには、ほぼ対立しているような性質もあります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 235, "tag": "p", "text": "ツクールやウディタでも、万能にあらゆることがスタマイズできるわけではなく、その制作ツールの特性に依存しますし、基本的に主に処理速度の低下しない部分について、ユーザが創作できるようになっているでしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 236, "tag": "p", "text": "多くのRPG制作ツールはマップ操作や戦闘画面の基本システムのルーチンそのものは、初学者にはあまりカスタマイズできません(カスタマイズにはかなり高度な技術が必要でしょう)。画像や音楽は挿入できますが、例えば戦闘プログラムなら、「コマンド」の命令文など一部の派生的な部分だけが独自に作れる程度。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 237, "tag": "p", "text": "ですから、ツクールでどうしてもアクションRPGを作りたい場合、基本システムの改造はかなり困難だろうし、別途、アクションRPGのような動作をするマップイベントを作成する・・・ぐらいでしょうか。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 238, "tag": "p", "text": "ツクールやウディタでターン制RPG以外のジャンルを制作するのには、実質的には限界があり、さまざまな制約が生じます。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 239, "tag": "p", "text": "初期段階では関数や変数を活用してプログラミングし、処理速度を高める必要がある箇所にだけdefineマクロ等を用い別の方法に置き換える。C++ならinline関数という機能もあります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 240, "tag": "p", "text": "通常の関数で記述していったソースコードを、あとから一括変換などでdefineマクロやinline関数などに置き換えることは比較的に容易です。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 241, "tag": "p", "text": "また、関数を経由しているので、マクロを使った場合でも比較的にバグが混入しづらくなっているかもしれません。(defineなどの前処理指令マクロは、用いるとバグを発見しづらいので、なるべくマクロの利用を避けるべきなのが、ゲームプログラミングに限らないプログラミングの定石です。)", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 242, "tag": "p", "text": "一方、まったく関数を使ってないコードを、あとからdefineマクロなどに手作業で置き換えるのは、なかなか面倒です。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 243, "tag": "p", "text": "最終的には一括変換で置き換えることが出来ますから、途中の段階では、処理速度を気にせず関数を使うのがいいでしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 244, "tag": "p", "text": "なお、defineマクロは、値の置換以外には用いないのが、プログラミングの定石です。このため、たとえば黒色RGB値の10,10,10といった配列にdefineマクロを使うべきかどうか悩みますが、とりあえずなるべく値周辺にだけdefineマクロを適用するようにするようにするのが良いでしょう。いっぽう、一般の命令文をdefineマクロで置き換えるのは、避けるべきでしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 245, "tag": "p", "text": "たとえば、処理に0.5秒ほどの時間の掛かってもかまわないような場所は、どんどん、関数に置き換えていっても良いかもしれません。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 246, "tag": "p", "text": "アクション性のないゲームなら、関数をぞんぶんに活用できます。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 247, "tag": "p", "text": "ターン制RPGやシミュレーションゲーム、アドベンチャーゲームなど、関数を活用しやすいでしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 248, "tag": "p", "text": "一方、アクションゲームなどでキャラクター操作中のコードのように頻繁に使って、しかもそのゲームの中心的なコードなら、そこは最終的には関数にしないほうが良いかもしれません。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 249, "tag": "p", "text": "このように、ゲームのジャンルによって処理速度に対する必要な水準が異なりますので、プログラミング時における関数などの利用の方針も異なります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 250, "tag": "p", "text": "以上のように、何でも関数にすることは避けるべきです。関数は処理速度の問題がありますので、必要性のある部分だけ関数にするべき。関数を使わなくても、for文やif文などのブロックの構成を適切に組み合わせることで、コード中のmain関数以降の部分でコード共通化できることは色々とあります。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 251, "tag": "p", "text": "「共通性のあるコードだから」といって、大して長いわけでもないコードを関数に置き換える事は、速度維持には寄与せず、ゲーム制作のプログラミングとしては、悪手となるでしょう。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 252, "tag": "p", "text": "画面出力の場合も入力機器の場合と同じで、これらを操作する方法はOSごとに異なっています。先ほどあげた GTK+, Qt, SDLなどのライブラリはクロスプラットフォームの画面出力を提供しているため、これらを利用することで全てのプラットフォームで動くプログラムを作ることができます。", "title": "処理速度の問題" }, { "paragraph_id": 253, "tag": "p", "text": "※未作成", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 254, "tag": "p", "text": "※未作成", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 255, "tag": "p", "text": "※未作成", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 256, "tag": "p", "text": "OSの種類によって、キーボード入力やマウス入力の受け付けのさいのプログラムの書き方は違う。", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 257, "tag": "p", "text": "Windows API での具体的な手順は『ゲームプログラミング/入力』で説明する。", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 258, "tag": "p", "text": "厳密にはプログラミングの話題ではないが、ゲーム製作では必要な知識なので、サブページで説明する。", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 259, "tag": "p", "text": "説明書や仕様書(しようしょ)の書き方については、『ゲームプログラミング/書類』で解説する。", "title": "目次" }, { "paragraph_id": 260, "tag": "p", "text": "Visual Studio付属のフォームデザイナ(VSの用意するGUI自動作成ソフト)によるGUIオブジェクト作成では、RPG用には使いづらい。いや、ひょっとしたら上手に使う方法はあるのかもしれないが、様々な理由で難易度は高い。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 261, "tag": "p", "text": "そこでまず、Visual C++で、フォームデザイナをなるべく使わずに文字や映像を出力する方法を考える。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 262, "tag": "p", "text": "選択肢は、幾つかある。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 263, "tag": "p", "text": "1. フォームデザイナを1つも使わない方式", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 264, "tag": "p", "text": "2. 1つだけフォームデザイナのパネルを使う方式", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 265, "tag": "p", "text": "フリーソフトでゲーム用ライブラリの『HSP』はWindows API を呼び出す仕組みになっています(HSP関連のサイトを見ると、Win APIプログラミングの解説をしている場合もある)。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 266, "tag": "p", "text": "フリーソフトでゲーム用ライブラリの『DXライブラリ』は Direct X を呼び出す仕組みになっています。そして、ゲーム開発ツールのひとつであるウディタのソースコードは、DXライブラリとVisual C++ を使って書かれていると、作者が公表しています(ただしソースコードは非公開)。しかし、ウディタを用いたRPGプログラミングでは DXライブラリによるコーディングはしない。ウディタにはコード入力の機能は無く、マウス操作や、キーボード操作、キャラ名称や会話文などのテキスト文字や数値の入力のみに対応している。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 267, "tag": "p", "text": "そもそも乱数とは何かという問題があるが、それは高度な数学的な議論になるだろうから、我々はその問題には深入りできない。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 268, "tag": "p", "text": "ゲームにおける乱数的な処理では、事実上ランダムな値にならず、演出や調整のためにアルゴリズムが介入している場合も多い。例えばゲーム中のくじで「外れ」続くと、当たり確率が変動し、次からは当たりやすくなるアルゴリズムなども良く使われる。。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 269, "tag": "p", "text": "ゲームは娯楽であり、実用目的のシミュレータではないし、アルゴリズム介入で、確率的にもいんちきが多いので、あまり厳密なランダム性が問題になることは少ないだろう。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 270, "tag": "p", "text": "例えばさいころというのは典型的な乱数器だし、ゲームにもよく使う物だろう。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 271, "tag": "p", "text": "ゲーム「桃太郎伝説」シリーズの開発者のさくまあきら氏、ハドソン社が、参考として他社RPGであるドラゴンクエストの乱数を真似しようとして分析したところ、初期ドラクエが戦闘ダメージのゆらぎについて高度な計算を使って実装していると思った部分が、実際には簡単な疑似関数だった(伝聞としてそう聞いた)、という開発談もあります。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 272, "tag": "p", "text": "無印C言語には標準的乱数関数 rand()があるが、これを乱数発生に使うことに批判的な意見もあるし、機能もやや不足していると見れる。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 273, "tag": "p", "text": "Windows64bit では int rand(void) の出力は 32bit 整数だろう。まず stand関数で初期化してから rand()を呼ぶごとに疑似乱数が帰ってくる。これの複数回の連なりが乱数列だね。帰ってくる値は0 以上 定数RAND_MAX の値以下。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 274, "tag": "p", "text": "例えばさいころの数値が欲しいなら、rand の返り値を6で割った後、余りに1足せば、とりあえずそれらしいものはできる。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 275, "tag": "p", "text": "RAND_MAXは rand()の属性として定数が与えられているだけだから(Windowsで0x7FFF)、この値の変更はできない。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 276, "tag": "p", "text": "まあこれでもそこそこいい加減な乱数として機能するだろうが、最近ではもう少し改良された、質の高い乱数関数もある。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 277, "tag": "p", "text": "また、改良された乱数関数は、乱数の範囲も指定できるから何かと使い勝手が良いし、バグを防ぐ効果もあるのだろう。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 278, "tag": "p", "text": "↑例えば上述のコードは前編集者が示したものだが、これは .NETプログラミングですね。.NET のSystem::Randomクラスを使っている。.NETのクラスは普通、C#かVisual Basic で利用するので、Visual C++で使えるようにするには結構面倒な手管がいるが、その辺は読者諸兄、ヘルプやネット情報を参照して、適宜辿り付いてほしい。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 279, "tag": "p", "text": "C++ の場合はむしろ、 #include <random> を宣言してそこで使える関数を使用するほうが簡単でしょうね。この場合でも、乱数としての精度も高いし、帰り値の範囲指定もできる。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 280, "tag": "p", "text": "画像がひんぱんに変化するアプリでは、画面が、ちらつく事がある。画面のちらつきは、ゲームのように、画像を凝視するアプリでは、かなり利便性を損なう。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 281, "tag": "p", "text": "キャラクターが1歩移動するだけで、画面全体がちらついたりする場合もあり、かなり、プレイヤーの不満になる。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 282, "tag": "p", "text": "これは、ダブルバッファ(「裏画面」と、良く言われる)という技術で、解決を図る。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 283, "tag": "p", "text": "Direct Xの用語では「スワップ チェーン」と呼んでいる。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 284, "tag": "p", "text": ".NET Framework開発環境の C++や C#でもダブルバッファの機能があると解説されている。いくつかのGUIオブジェクトのプロパティで、ダブルバッファの設定項目がある。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 285, "tag": "p", "text": "しかし前編集者が実験したところ、この機能を有効に使って確認することはできなかったとの指摘がある。ひょっとしたら何らかのマイクロソフトの解説に間違いがあって、工夫次第では利用できるかもしれないが、少なくとも今現在のこのページでは、その問題に関するリファレンスは提供できない。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 286, "tag": "p", "text": "そこでやはり、以前の項目と同様、Win32 API または DirextX の利用をこのページでは考えたい。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 287, "tag": "p", "text": "前編集者は、.NET Framework のフォームデザイナでは、ちらつき自体は解決できそうだが、グローバル変数の共有が困難だったり、アプリ内から終了コマンドが使えない、などの難点があると指摘している。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 288, "tag": "p", "text": "ただ現編集者はこの2点に関しては、解決策はあると思うが、しかし特に調査はしない。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 289, "tag": "p", "text": "前編集者は、.NETプログラムでゲームを作る難点をいくつも上げているが、おそらくどれも、.NET の仕様や全貌に精通すれば解決できるように思えるが、そもそもその全貌がかなり広大なので、解決の道のりは長いだろう。", "title": "未分類" }, { "paragraph_id": 290, "tag": "p", "text": "数値(HPなどの各種パラメータ現在値)や文字列(例えば、プレイヤーの作成したキャラクターの名前)や現在地やフラグ状況などなど、セーブの機能は欲しい。一番簡単な方法は、C言語の fopen 関数のテキストファイル書き込み機能で、テキストファイルとしてセーブすることだろう。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 291, "tag": "p", "text": "Windows API には CreateFile関数 があるが、テキストファイルでの素朴なセーブは一番簡単で単純なセーブ法だろう。そしてテキストファイルを読み込んでプログラムに各種変数を配置して、ロードとする。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 292, "tag": "p", "text": "書き込みとしては、一番単純なC言語記法では、fprintf ですかね。C++としての書き込みをしてもいいし、読み込むのも、一番基本的な方法で。基本Cだとしたら fscanf で、この関数でテキストの数値も変数として読み込めるはずです。場合によっては atoi関数 で文字列→数値の変換をすることもあります。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 293, "tag": "p", "text": "基本的にデータファイルは、OS もアプリケーションも、テキストファイルとバイナリファイルの2分類で考えるでしょう。実際にはテキストファイルもバイナリの集まりですが、慣用的、伝統的にテキストファイルだけ特別視することが多い。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 294, "tag": "p", "text": "バイナリファイルでもデータとしてのファイルと、OS が機械語または何らかの仮想的な機械語として扱う実行ファイルがある。それらのバイナリは種類に応じて多くは冒頭にファイル識別子の情報があるだろうし、OS や アプリケーション側で工夫を凝らして、特定の条件を満たす場合しか動作しないようにしているだろう。そしてバイナリファイルを扱うときは、セキュリティの安全性も考慮するだろう。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 295, "tag": "p", "text": "基本的にプログラム側は何でもありだが、識別子の判別その他、ある程度様々な考慮をしないと、困った事態が起こり、プログラマーが責任を問われることも起こるかもしれない。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 296, "tag": "p", "text": "市販のパソコン用ゲームや同人ゲームでは、テキストファイルではなくバイナリでデータ保存するゲームの方が圧倒的に多いだろう。その方がそれらしいしかっこがつく。ゲーム開発ツール側自体も、そうなっている場合が多い。RPGツクールもウディタも、セーブデータの形式はバイナリ。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 297, "tag": "p", "text": "テキストデータは基本エディタで開けるが、バイナリデータも内容によっては結構ぐちゃぐちゃの状態で開ける。バイナリデータはバイナリエディタで開ける。バイナリエディタのリードオンリーモードやバイナリビューアみたいなものがあれば、データを壊さないで結構安全にデータ調査できる。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 298, "tag": "p", "text": "データ内容を秘匿したければ、バイナリ化だけではなく、暗号化も必要になるかもしれない。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 299, "tag": "p", "text": "セーブ&ロード機能の実装時には、まずセーブ機能から作るのがやりやすいという。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 300, "tag": "p", "text": "しかし最終的には関係関数の整備は、ロード機能が基盤となるだろう。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 301, "tag": "p", "text": "データや変数を、一定のスタイルでセーブして、一方で正しいスタイルでロードする、この機能が必要なわけですよね。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 302, "tag": "p", "text": "シリアライズされたデータを、型を決めたうえで配置しなければいけないから、ロードのプログラムの方が複雑に、面倒になる。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 303, "tag": "p", "text": "結局データのシリアライズは、ロード機能が基盤となり、その機能の作りやすさが、セーブ機能の作りやすさも支配するようだ。", "title": "セーブ・ロード・データベース" }, { "paragraph_id": 304, "tag": "p", "text": "RPGやシミュレーションゲームで、1回しか起きない特殊イベントを作りたい場合もありますね。例えば日本の中世の戦国シミュレーションゲームで、「桶狭間の戦い」が3回も起きたら困りますよね。まあ起きるなら起きてもいいけどね^^。信長君には敦盛を3回舞ってもらいましょう^^。", "title": "ゲーム中の特殊イベント" }, { "paragraph_id": 305, "tag": "p", "text": "さて、リンク先ではその話題についての叩き台、「こうプログラミングしたら、いいんじゃない?」、という事を説明しています。", "title": "ゲーム中の特殊イベント" }, { "paragraph_id": 306, "tag": "p", "text": "個人でゲームを作る時にはあまり考慮しなくていいのですが、シビアな仕事の世界では、スケジュール管理表が良く使われます。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 307, "tag": "p", "text": "「作業責任分担表」(TRM:Task Responcibility Matrix)といわれるスケジュール表から、それをグラフ的に図示したガントチャートといわれる表を作って、その表を見て作業計画を判断する。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 308, "tag": "p", "text": "ガントチャートでは普通、横軸に日程をとります。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 309, "tag": "p", "text": "商業ゲーム界でもガントチャートの横軸は日程です。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 310, "tag": "p", "text": "ガントチャートとして図示することで、ボトルネック、リスク要素、直感的にスケジュールの詳細や全体像が理解しやすくなります。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 311, "tag": "p", "text": "スケジュール管理のための、現実的、習慣的な工夫ですね。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 312, "tag": "p", "text": "このTRMとガントチャートは、IT業界だけでなく建築工事でも使われ、これを利用したボトルネックの洗い出しも、建築学の教科書に記述があります。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 313, "tag": "p", "text": "住宅の新築やリフォームをする時、建築業者がこの表を提示して、見せてくれることもあるでしょう。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 314, "tag": "p", "text": "業界人ではなくとも、こういう慣習を知っておくと、得るものがありますよね。", "title": "スケジュール管理" }, { "paragraph_id": 315, "tag": "p", "text": "ゲーム界、特に商業ゲーム界では、ストーリーもゲームも全体から作っていくようです。アトラス社(ペルソナシリーズ、女神転生シリーズ、などを手掛ける)では、「ゲーム全体に血を回すのが先」、という言葉が良く言われていました。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 316, "tag": "p", "text": "プレーヤーが見たいのは、物語の細部ではなく、ゲーム全体のストーリーやテンポ、総合像である、とは限らないのだが、しかし物語を含む創作物では、全体を見て重視し、そこから作っていくのはある意味王道、常套手段ではあります。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 317, "tag": "p", "text": "ちなみにやや雑談的ですが、日本の週刊漫画は、その週その週での勢いや読者の興味の引き付けも大事なので、全体がないのに、その場その場で場当たり的に作られた事も多かったようです。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 318, "tag": "p", "text": "現編集者が聞いたことのある話では、週刊少年ジャンプで連載していた本宮ひろ志氏が、不良少年物の漫画で、敵の不良少年グループと1対1000の喧嘩になり、さあいよいよ対決場に着いて勝負だってところで以下次号にし、そして実は本宮氏はその続きを全く考えていなくて、考えてみたけどどう考えてもどう描いていいかわからない^^;;;、そこで仕方ないのでイライラして近所の酒場に飲みに行き、そしてイライラしたままそこの常連達とあり得ない大ゲンカして^^;;、そのままボロボロになって家に帰って、2時間で次の号の漫画を描き終えた、と、本宮氏自身がメディアで語っていたのを聞いたことがあります。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 319, "tag": "p", "text": "さて、コンピューターゲームである以上、ゲームのストーリーはシステムと連携、調和したものになるでしょう。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 320, "tag": "p", "text": "そこで、ゲーム作家として、システムを先に決めた後ストーリー、そういう方法論の作者も多いようです。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 321, "tag": "p", "text": "とにかく商業ゲーム界では常識的に、全体像から攻めていく。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 322, "tag": "p", "text": "例えばドラマ脚本では、「ハコ書き」という方法がある。全体像に当たる「大ハコ」を記述してから、「大ハコ」→「中ハコ」→「小ハコ」と記述していく。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 323, "tag": "p", "text": "しかし、本当にすべてのゲーム制作は全体から作る必要があるのか、という疑問はありますが、その方法論に従うとすると、", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 324, "tag": "p", "text": "などの工夫を凝らして、常識的な方法を遂行していくことになるでしょう。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 325, "tag": "p", "text": "或いは、アルファ版(α版)を中盤から作り始めるとか...。α版の製作目的の一つとして、そのゲームが本当に面白いかの検証がある。面白くないと判断したら、制作中止もある。最初からではなく中盤から作ると、ゲームの全体像が見えるので、検証、判断がしやすい。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 326, "tag": "p", "text": "つまり全体から攻めて、細部やゲームが作られていくわけですから、必ずしも冒頭部から作り始める必要はないわけです。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 327, "tag": "p", "text": "ゲーム作者にもよりますが、商業ゲームシナリオでは、エンディングを早い時期に作る人も多い。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 328, "tag": "p", "text": "システム面についても、先にゲーム全体のクリア条件を決めてから、あとから各ステージの条件を決めていくことが多いようです。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 329, "tag": "p", "text": "エンディングの仮の、おおざっぱなシナリオ、そしてキャラクターの性格付けを先に決めておくと、ゲームの方向性と主人公達が目指すもの、ゲームの全世界像が作者やスタッフに明快になっていきます。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 330, "tag": "p", "text": "基本的に商業ゲーム界では、全体→部分と細部、の構成を進めていきます。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 331, "tag": "p", "text": "ゲームは必ず最後にラスボスと戦う訳では無いでしょうが、その戦いはゲーム中で最も高負荷になるでしょうし、全てのシステムが集積する場面でもあるので、エンディングを先に作ると、ゲームの最大負荷の検証ができます。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 332, "tag": "p", "text": "3Dゲームでは、RPGなら戦闘シーン、アクションゲームならアクションシーンが、一般的に最も高負荷。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 333, "tag": "p", "text": "負荷が高くて処理が落ちないかどうかも、この方法で確認できます。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 334, "tag": "p", "text": "常識的、教条的物語手法、そして金と権威を持っている人間の言を神のように崇めるとしたら、たいていの物語は最後の最後が一番の見せ場になると考えられるでしょう。ストーリーを削る必要があるとすれば、最後以外の部分、という事になります。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 335, "tag": "p", "text": "つまりラスボス戦は削らない。後の部分は削る可能性あり。だから最後を先に作っておけば(作れる範囲で)、もし制作過程で不測の事態が起こっても、重要部分はできているので、早く、上手にリリースできる。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 336, "tag": "p", "text": "世の中では目的や目標を明確化せよ、と主張する人は結構多い。現編集者は懐疑的。むしろ他人を自分の都合いいように動かしたいから、その方向を明示したいのだろう。それより、我々の本当の目的と目標は何か、歩みを止めてちょっと考えてみろよ、と、言いたい。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 337, "tag": "p", "text": "しかし結局世の人たちは目標をはっきり、言語化したがる。ゲームでもそれをすると、プレイヤーがゲームに引き込まれる、と言うが、実際にはそれはゲーム業界のカモになっている、インチキゲーマーだけだろう。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 338, "tag": "p", "text": "とにかくカモたちは目的を欲しがる。目標や課題がゲーム中で明確になっていないと、疑問だらけになり、ゲームをやめて、業界にお金を落としてくれない。そこで設計の際、各ステージやエリアなどの冒頭で、そのステージの課題や目標などを明示する必要があるという。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 339, "tag": "p", "text": "ファミコンなどの古いアクションゲームではゲーム本編では目標は語られていませんが、しかし説明書などではきちんとそれが語られており、実際にスーパーマリオブラザーズの第1作目の説明書では、目的はクッパを倒してピーチ姫を救出することだと語られています。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 340, "tag": "p", "text": "RGBやシミュレーションゲームでは、初めの方は、操作説明のためのチュートリアルイベントになることも多いのですが、ここにも製作順序のポイントは指摘できますね。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 341, "tag": "p", "text": "基本的にはチュートリアルの細部は後回しにしたい。と、いうのはゲーム本体の仕様変更が、製作過程で頻繁に起こるので、チュートリアルもそれに合わせて後回しにせざるを得ない。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 342, "tag": "p", "text": "最初の段階でチュートリアルを作りこんでも、仕様変更になれば、その記述自体が不適になる。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 343, "tag": "p", "text": "当初のチュートリアルイベントがそもそも必要かどうか。説明書、マニュアルに任せてもいいですよね。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 344, "tag": "p", "text": "基本的にゲーム本体の仕様がかなり変更を含み場当たり的なので、チュートリアルは後回し、早くともゲームα版の時期になるでしょう。", "title": "ストーリー制作、そして順序" }, { "paragraph_id": 345, "tag": "p", "text": "ゲーム制作の時は、自分が昔プレイして楽しかったゲームを思い浮かべるし、参考にもしますよね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 346, "tag": "p", "text": "ただ、コンピューターゲームは明らかに、周辺技術が時間とともに、かなりの速度で発達、変遷していきますし、過去のゲームを参考にすると言っても、精神面、思想面での参考で、技術面ではやはり、最新の情報技術を取り入れたいと、誰もが思うでしょう。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 347, "tag": "p", "text": "編集者Hの意見", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 348, "tag": "p", "text": "別編集者 S の意見", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 349, "tag": "p", "text": "(参考)松尾芭蕉が「古人の跡(あと)を求めず、古人の求めたるところを求めよ」と言ってるようです。『韻塞』(いんふたぎ)が出典らしいです。おそらく、古典芸能の格言の元ネタか、あるいはそれを受けての発言でしょう。どちらが先かは知りません。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 350, "tag": "p", "text": "", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 351, "tag": "p", "text": "ファミコン時代の昔のゲーム機には、一画面に表示できるキャラチップ数(敵チップも含める)に上限がありました。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 352, "tag": "p", "text": "一画面中に表示できる限界は、だいたい、マリオが一画面中に数十人ぶんです。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 353, "tag": "p", "text": "このように、ビデオゲームで小さなキャラクタを、高速表示する仕組みを、「スプライト」と呼んでいました。マリオのキャラクター表示は小単位のスプライトを複数合成していたようです。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 354, "tag": "p", "text": "このキャラクター数の制限が、当時はゲームの設計にも大きな影響を及ぼしていたわけですね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 355, "tag": "p", "text": "例えばシューティングゲームで、100体の敵機を表示することはできない。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 356, "tag": "p", "text": "しかしそれなりの工夫はあった。表示のタイミングを変えることで、なんとなく、多量のスプライトがあるように見せることはできた。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 357, "tag": "p", "text": "つまり、", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 358, "tag": "p", "text": "して、切り替える、うまく、素早くとか?", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 359, "tag": "p", "text": "上手にプログラムを作ればそこそこ上手くいったようですね。それでも、キャラクターが多いと、一瞬、消えたりしている。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 360, "tag": "p", "text": "ファミコン上における実際の技術限界の正確な数値は、別の資料を参照していただくとして、あまりあてにならない数字として例えば、横1列上には 8体目までしか表示できなかったようです。マリオは一人で2*2=チップ使っていた。だから横一列では 4体までしか表示できませんね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 361, "tag": "p", "text": "例えばシューティングでは、敵機の他に、弾丸などもスプライトでしょう。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 362, "tag": "p", "text": "マリオが4チップなように、巨大ボスなんかチップ数をかなり使っているでしょうね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 363, "tag": "p", "text": "そしてチップ数が多いから、速度が遅くなるのでしょうか、何か我々の昔のゲームをプレイした記憶では、巨大ボスの動きは緩慢でしたよね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 364, "tag": "p", "text": "しかしやや脱線しますが、巨大なキャラクターは何となく動きが遅いという我々の固定観念がある一方で、レスラーやヘビー級ボクサーはかなり動きが速い。相手の体が大きい上動きが早ければ、もう勝てないね。座して死を待つしかないか^^;;;。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 365, "tag": "p", "text": "ファミコンのマリオの横スクロールでは、例えば地上ステージの空は、青一色で描き換えを行わない。低地の地面の障害物周辺だけを動かしていたようですね。動かす部分はプログラムでの描き換えが必要だし、動かない部分は背景として、描き換える必要がない。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 366, "tag": "p", "text": "書き換える必要のない背景表示は当然プログラムの負荷も少ないですよね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 367, "tag": "p", "text": "ですから昔のレトロゲームの雰囲気や映像、仕様は、当時の技術の制限、影響を受けた上でその形態になっていたという事で、今は技術が発達したので、様々な斬新な映像表現や、演出を駆使できる。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 368, "tag": "p", "text": "一方で最新の技術を駆使したうえで、過去のレトロな雰囲気を再現、表現するという道もあるでしょうね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 369, "tag": "p", "text": "昔のブラウン管テレビのドットは、にじみが大きい。これはテレビ画面の性質なので、ゲームでも映画でもバラエティでもドキュメンタリーでも、解像度画面としてのにじみは同じように大きい。今の液晶画面が完全ににじみがないかどうかは怪しいが、ブラウン管よりは少ない。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 370, "tag": "p", "text": "そのため、当時の画像データをそのまま現在のパソコンで表示しても、にじみによるアナログ感がなくなり、荒い画像に見える。当時のゲーム攻略本にあるような写真画像は、同じデータではあるのだが、現在では上手に再現できない。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 371, "tag": "p", "text": "解像度だけではなく色についても、にじみの色の重なりで、昔の映像の方が豊かな色に見え、現在では雰囲気の再現はうまくできない。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 372, "tag": "p", "text": "昔のゲームはアナログ技術だからこその、独特の雰囲気を表現していた。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 373, "tag": "p", "text": "ですから昔のゲームのレトロな雰囲気は、データとしての昔の仕様をそのまま使っても再現できず、むしろ昔の画像写真の資料を見ながら、現在の技術、現在の機材によってその雰囲気を再現することを目指すことになります。現在では様々な画像フィルターも作れますから、そういうものの利用も有効でしょう。あるいは過去のデータ、仕様をそのまま使うなら、それは新たな画像世界になるかもしれません。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 374, "tag": "p", "text": "過去の低解像度画像を使ったゲームは、レトロではなくむしろ新ジャンルだという指摘があります。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 375, "tag": "p", "text": "90年代のカラー携帯ゲーム機の画像データをそのまま使って現在の液晶画面に表示すると、当時のディスプレイは走査線が太いので、画面として縦横比が変わってしまう。縦横比を補正すると走査線部分の黒線や余白が入り、それをドットで埋めて補正すると、画面のギザギザが目立ってしまうようです。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 376, "tag": "p", "text": "つまりディスプレイの性質が90年代と2020年代とで違うので、レトロ画面の再現はかなり困難、最初から目指さない方がいいだろうという意見もあります。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 377, "tag": "p", "text": "パソコン市場では、1999年ごろからノートパソコンが普及し、液晶ディスプレイも安価で出回ってきた。そこでにじみの少ないくっきりした映像が主流になってきますね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 378, "tag": "p", "text": "基本的にディスプレイはブラウン管→液晶と変わり、解像度は大きくなる一方です。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 379, "tag": "p", "text": "プレイステーション2あたりからは家庭用ディプレイの切り替えが起こり、もはやブラウン管でのプレイ自体がなくなる。 アナログ放送は2010年ぐらいまで続いたでしょうか。しかし家庭ではゲームをするにしても、普通に放送を見るにしても、DVDを見るにしても、ブラウン管から液晶や、プラズマというのもありました、画面の解像度自体も高くなっていく。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 380, "tag": "p", "text": "そして画像のドットはにじみの少ないくっきりしたものへ変わっていきます。最近はパソコン画面でも、TVでもドットの縦横は等しい正方形ですが、ブラウン管はそうではなかった。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 381, "tag": "p", "text": "だから、当時はドットで絵を描く時も、長方形ドットです。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 382, "tag": "p", "text": "しかも、ゲーム機やパソコンの種類、さらにはアーケードゲームの基盤といったハードウェアの種類ごとに、コンピュータ側でのドットの縦横比の管理は違っている(らしい)。このため、移植のたびに、ドットは書き直しになったようだ。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 383, "tag": "p", "text": "昔は、というか実はいまでも、CGや画像の縦横比が正確ではない映像を見る事はありますよね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 384, "tag": "p", "text": "現在のパソコン用のドットエディタ(ドット絵用の画像制作ツール)は1ドットが正方形だが、ファミコン時代は1ドットが(ドット用紙の時点で)少しだけ長方形。(なお、画像制作ツールの作り方については、『ゲームプログラミング/画像ファイルの作成プログラム』というコンテンツがこのサイトにある。)", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 385, "tag": "p", "text": "ファミコンの色数制限は52色から4色×4パレット(1パレットあたり4色)を使えると言われている。しかし実際には、4色のうち1色は透明色として利用される色であり、全パレット共通の色になる(だから3×4=12色が使える)。 スプライトのパレットとは別に背景のパレットがあるので実際にはもっと多くの色数が一画面内で使えるが、しかしその他さまざまな制限があるので、合計で一画面内で25色が使えると言われる(12+13=25)。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 386, "tag": "p", "text": "論理的には25色だが、ブラウン管のドットの滲みやテレビのアナログな仕様から、結局はなかなか豊かな映像が当時も見れたと言っていいのではないだろうか。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 387, "tag": "p", "text": "しかしレトロなゲーム機では、さらにメモリ容量やストレージ容量などの制限もあり、仕様上の最大色数を気軽に利用できたわけではないかもしれない。こういう制限もあったからか、ネットではファミコンの色数が「4色」や「8色」、スーパーファミコンの色数が「16色」や「256色」、とも言われることがある。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 388, "tag": "p", "text": "", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 389, "tag": "p", "text": "外食チェーン店のマクドナルドが、子供をターゲットにした商売をしており、子どもの頃に気に入った味は、大人になっても食べ続けるという販売戦略です。例えば日本マクドナルドの創業者、藤田田(ふじた・でん)によると「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」と言っています。だから子どもの好きそうな味の料理を作ったり、あるいは子ども向けの定職に、子どもの好きそうなオモチャのオマケをつけたりします。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 390, "tag": "p", "text": "12歳と言い出した経営者は誰が最初なのか調べても良く分かりませんでしたが、そういう意味の話です。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 391, "tag": "p", "text": "ゲームというのは色数も少ないし、静止画も多い。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 392, "tag": "p", "text": "ファミコン時代から、同じ色長時間の表示は、ディスプレイの焼き付きを起こすので、常にそれなりの工夫がされていたかもしれませんね。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 393, "tag": "p", "text": "静止画を避ける、時々背景を変える、背景色を光のエネルギーを持たない黒にするとか...", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 394, "tag": "p", "text": "パソコンでは昔からその工夫がありましたね。スクリーンセイバーという機能もある。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 395, "tag": "p", "text": "とにかく一つのドットに同じ色が長時間表示されると...ちょっと危ない。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 396, "tag": "p", "text": "焼き付きの問題は昔も今もありますよ。昔のブラウン管は焼き付かないという主張が時々あるようですが、事実ではないでしょう。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" }, { "paragraph_id": 397, "tag": "p", "text": "現代のテレビ受像機には、焼きつき防止のために「ピクセルシフト」という機能がある。これは画面上の映像の表示位置をタイミングごとに微妙にずらす機能です。こういう機能がすでに搭載されているので、ゲームソフト側で焼き付き防止を必要以上に考慮しなくてもいいらしい。液晶モニターは、焼きつきが起きにくいという。ただし有機ELはどうか。知りませんね。現編集者も前編集者も知らない^^;;;。", "title": "昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷" } ]
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<div class="pathnavbox"> * {{Pathnav|ゲーム}} * {{Pathnav|工学|情報技術|プログラミング}} </div> == 概観 == このWiki参考書では、コンピュータを用いた[[w:ゲーム]]のプログラミングを扱います。つまり、いわゆる「テレビゲーム」や、[[w:コンピュータゲーム|コンピュータゲーム]]に関する記述についてです。 ここでは家庭用のパーソナルコンピュータで扱える範囲の事柄、それらのゲームソフトをつくるためのプログラミングについて議論します。必要に応じて家庭用ゲーム機の話題にも触れますが、あくまで派生的なものです。本書はプログラミングの教材であるので、大多数の読者が最初にプログラミングで触れるであろうパーソナルコンピュータでのプログラミングを、特にことわらないかぎりは想定しています。 用語に関して、コンピューターゲームの世界独自なものもあるでしょうから、適宜『[[ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類]]』などを参照してください。 == 本書の目的 == この教科書『ゲームプログラミング』の目的は、題名にもあるとおり、プログラミングによってゲームを作るための技術の参考資料を目的としています。 ゲームクリエイターやゲームデザイナー(絵描きではなくゲームの設計者のこと)のためではなく、プログラマーのための教科書です。 したがって本書では、ゲームとは関係の少ない一般IT企業での仕事のしかたについての記述もあれば、製造業系の組込ソフトなどに関する概要的な記述もあります。 なぜなら本書はゲームクリエイターではなく、たまたま何らかの理由でゲームを作っているプログラマーのための教科書だからです。たとえゲーム会社を退職しても、他の一般IT企業に転職してもプログラマーとして応用できることなども目指して本書は書かれています。 従って、紹介する話題が、かなりIT系、テクノロジー系の話題に片寄っています。本書で紹介するクリエイター論やデザイン論は、派生的なものにすぎません。 ;本書を扱う上での注意点 特にことわりのないかぎり、本書ではC言語でのプログラミングによってゲームを作りたい読書を念頭に説明しています。 だから、ゲームの生産効率性を無視してでも、本来ならRPGツクールのような開発ツールを使ったほうが早いシンプルなゲームの場合ですら、本書ではC言語または他のプログラミング言語での開発にこだわった方法を説明している場合もあります。 ;その他、本書について このページとそのサブページだけを見ていると本書は「ゲームクリエイトの教科書かな?」と捉えられるかもしれませんが、 しかしこのページとは別に本wikibooksには「[[プログラミング]]」というページがあり、そこではC言語やJavaなど代表的なプログラム言語のwiki教科書にリンクしています。ゲーム限定の話題ではないですが、プログラミングのコードについても、そちら『[[C言語]]』や『[[Java]]』やなどの教科書のほうが(実際に動作するコードの量が)充実しています。また、Visual C++ での画面出力については『[[Windows API]]』に入門的な説明があります。 本書『ゲームプログラミング』はそういったプログラミング教科書一覧の一部でもあります。C言語やWindows API の教科書では、これをどうやってゲームのプログラミングに応用すればいいか説明できないので(本wiki『[[C言語]]』はけっしてゲーム目的のページではないので)、ゲームの実際としてプログラミングの話題を切り離すために本書『ゲームプログラミング』は存在しています。 なので本書にゲームデザイン論やクリエイター論などの内容の充実は期待できません。 本書『ゲームプログラミング』は現状、プログラマー目的以外には対応できないかもしれません。もしプログラマー目的以外の無料のwiki教科書が欲しい方は、現状では、自分で本wikiに加筆するか、あるいは本書『ゲームプログラミング』とは別に新規Wiki執筆を検討していただきたい。 == ゲームを作りたいな、よし、ゲームを作ろう。でも… == === しかし自分の本当の目的ってゲーム作り? === 「ゲームを作りたい」と思ったのなら、まずはあまり細かい難しいことは考えず、実際に作り始めてみるのが一番いいと思います。もちろんプログラミングについてほとんど何も知らないのなら、ある程度の勉強は必要ですが、ある程度の知識があるのなら、プログラミングの技量や知識の充実を気にするよりは、実際にゲームの完成を目指してプログラムを書いてみるのが一番いいようですよ。その過程でプログラミングの学習や経験は積んでいけますしね。JavaScriptやPython、無料でプログラミングに取り組める環境も、今現在では充実しています。 しかし、ゲームをプレイするのが好きだからと言って、ゲームを作る、までが本当に自分が好きかどうか、試しに少し作ってみたら、少し考えてみるといいですね。 例えば読者の中には、「私はRPGが好き」という人も多いでしょう。 RPG が好きという事はおそらく、よくRPGの題材になる西洋ファンタジーのストーリーや世界も好きという場合が多いでしょう。そして一方で現実のコンピューターRPGで魅力的に提供される、イラストや音楽が好きという場合もあります。 実際のゲーム業界の人々も、ゲームを彩るイラストレーションや音楽がいかに重要な要素かを語っています<ref>川村元気『理系に学ぶ』、ダイヤモンド社、2016年4月21日第1刷発行、P85</ref>。 さて、ここで問題なのですが、「ゲームを作りたい」と貴方が思っていたとして、あなたが本当に作りたいのはゲームなのか?あるいは本当はイラストが描きたかったり、音楽を作りたいのではないか? …というのは、ゲームというのは総合的な分野ですから、イラストや音楽はその要素として確実にありますが、それ以外、プログラミングやシナリオなど、様々な創作や創造が必要で、全ての作業量はかなり多いものになるでしょう。 そしてゲーム、コンピューターゲームにはゲーム独自の世界観があって、現実や小説や映画とは違う、独特の法則に支配された世界を作る必要があります。ある意味リアリティを持たない、リアリティから外れた世界です。だから、小説のようなリアリティにこだわるなら、ゲームは不向きかもしれません。 ゲーム作り始めの時点では、これらの判断は明確でなくても勉強目的でも構いませんが、しかその内「自分は本当にゲームを作りたいのか? Yes or no?」という疑問への答えが必要になるときがくるかもしれません。 試しにゲームを作ってみて、もし自分の本当の目的がゲームでないと分かったなら、それ以外の活動に移るのも、取る道の選択肢でしょう。 ;給料は安い 職業として、商売としてゲームを作る場合、ゲームプログラマーの給料は洋の東西を問わず、安い事が知られており、書籍などでも言及されています。たとえば『CAREER SKILLS ソフトウェア開発者の完全キャリアガイド』(ジョン・ソンメズ 著)という欧米人のプログラマーの書いた本には、アメリカのゲーム業界ですらハードワークの割に賃金が低い事が記載されており、もし給料の高い仕事につきたいならウォールストリート(※米国の金融ウォール街のこと)のための仕事をするべきだと書籍中で指摘しています。 日本でも同様にゲーム業界の報酬が低いことは知られており、多くのゲーム会社の伝記漫画でも、よく語られています。 アニメーション業界と比べたら、ゲーム業界のほうが報酬が高いことは事実かもしれませんが、これは実は恐ろしいことに、アニメーション業界の報酬が異常に低いだけで、アニメーション業界よりはましだけど、結局は…というのが現状でしょう。 === 同人ゲーム以外の発表の場 === 2001年ごろの日本はネットを活用した同人ゲーム黎明期、フリーゲーム黎明期で、実験的な時代でもあり、多くのイラスト愛好、創作者や音楽創作者がゲーム制作に手を染めていたようです。この頃、まだイラスト投稿サイトや小説投稿サイトといったものは無かったか、あったとしても小規模でマイナーなものでした。 しかし2010年のあたりから各種の投稿サイトが普及したことにより状況は変わり、むしろ現在では、小説やイラストを発表したい人はそのジャンルの投稿サイトに直接アクセスしたほうが早く、そのためゲームを通して発表するのは人によっては廻り道かもしれません。 それをわかったうえで、それでもゲーム制作に身を投じるかを考えた上で、「よし、自分はゲーム制作をしよう」と思えるなら、ゲーム制作をするのが良いでしょう。 実際、今現在の作曲家やイラストレーターは、ゲームに関わったとしても、専門家として楽曲やイラストを提供するという立場に過ぎない場合もあり、自分自身が主体になってゲーム制作をする人は、プロアマ問わず少数派のように見えます。 同人ゲームの世界でも現在は(2021年頃に記述)、プログラマー系の作者が圧倒的に多い様です。 しかし、専門外の人だからこそ、メディアミックス的な意外な視点で新しいものが作れる可能性もあるかもしれません。コピーライター、作家の糸井重里が、マザー2の企画にたずさわった例もあります。しかし、あくまで「可能性」であり、成功はけっして保証されてはいないので、読者の自己責任でお願いします。 今現在のゲーム専門学校のカリキュラムはプログラミングが主体です。CGの授業は、週に2時間程の様。一方でゲームCG、或いは、一般CGに特化した学科もある様です。 あるWikibooks編集者Aは、もしイラストを描きたいなら、イラストの世界で描くのが安全、と考えています。ゲームプログラミングについては、プログラムを書ける人は絵コンテも描けそうだし、基本的にある程度の作図的なイラストを描ける人は多いだろうから、別にプログラミングに専念しろとは思っていません。 さて、読者がゲーム制作を職業として目指すのかどうかはともかく、とりあえず、ゲーム業界の状況を知っておくのが有用でしょう。 結局商業界の状況が権威をもってその分野を支配しているのがこの社会の基本なので、趣味でも職業でも、業界周辺のことを知っておくのは得ることが多いはずです。 文献『レベルデザイン徹底指南書』では、現実世界で自分が新しいスキルを1つ覚えたら、古いスキル1つはどれか忘れる必要があることを説いています<ref>大久保磨『レベルデザイン徹底指南書』、2016年12月14日初版第1刷発行、P81</ref>。著者は、最初はグラフィッカーでしたが、しかしプランナーに転職したので、グラフィック関係の技能は仕事では「忘れて」しまった、という内容を述べています。ただし、比喩的に「忘れる」とは言っていますが、実際には忘却し無くなってしまったわけではなく、仕事では時間の都合により両立できないので、グラフィック関係の技能は例え話で「忘れた」、のであり、現実にはグラフィッカー時代に培った観察眼をプランナー時代の現在でも活用している、と、書籍中では述べられています。 このことは職業、あるいは技能とは一般的にそういうもの、と考えることができるでしょう。 ゲーム業界のプランナーに限らず、演劇の世界でも舞台監督の仕事がそんな感じであり、ついつい大道具とか小道具とかを舞台監督が手伝ってしまうと本来の管理業務に支障をきたすので監督は手伝わないように(監督は指示を出すのに徹さなければならない)、監督は自身を注意する必要があります<ref>杉山純じ 監修『部活でスキルアップ! 演劇部 活躍のポイント 増補改訂版』、メイツ出版、2023年5月15日 第1版・第1刷発行、P.117</ref>。高校生向けの演劇部の本にそう書いてありました。こういう分担作業の出来ない人は高校教師以下なので、反省してください。 {{コラム|漫画家大塚志郎のアドバイス| 同人ゲーム界では、ゲーム制作と、イラストまたは作曲などを一人で兼ねている作者も、ある程度は居ます。一方ネットの世界には様々な簡単に利用できるフリー素材もあるので、イラスト作画や作曲をしなくてもゲーム制作は可能ですよね。 一人でイラスト作画や作曲をしながらゲーム制作をするのはある意味マルチタレントだとも言えますが、現実にその創作をしている人たちは、かなり年長のこの分野の熟練者が多いようです。若い19歳ぐらいの頃に、それらマルチジャンルを両立するのは、一般にかなり困難なことだと思われます。 漫画家の大塚志郎は、漫画家を漫画創作の手本にするならデビュー時代を手本にするのが良い、と、漫画家向けの技法の教育漫画で語っています。 大塚は、漫画家の人生のうちで、これからデビューを目指している新人に近い境遇にあるのは、ヒット後の漫画家の生活状況ではなく、まだ無名・マイナーな時代の態度・生活だ、と描いています。成功後の熟練した漫画家より、若いデビュー直後の作家をお手本にするのがいいだろう、という主張ですよね。 さて、それでもデビュー時代から複数ジャンルの同人活動を均等に兼業する意思が硬いなら、それはそれでひとつの考え方ですが、上述のリスクを知っておく必要があるでしょう。 }} === ゲーム業界は産業のエンジン役? === かつてはゲーム産業が、日本のIT産業やデジタル家電産業の中心的・牽引(けんいん)役であった時代がありました。しかし、2010年以降、この考えは当てはまらなくなっています。 PlayStation1~2あたりまでの時代には、経済評論誌の未来予想でも、「もしかしたら今後、家庭用の据え置きゲーム機がパソコンの代替品として、家庭のリビング家電の標準品になるかもしれない」という予想があった。ゲーム産業がそのような牽引役として、経済界から期待されていました。ソニーが国産CPUをプレステ2〜3に搭載したり、WindwosのマイクロソフトがXBOXでゲーム機に参入したり、そういう時代です。 しかし2020年代の今は違います。結局、2020年代のゲーム機に使われてる技術や部品は、パソコン用の部品や技術の流用、ゲーム機のCPUも、今やインテルなどのパソコン用CPUをゲーム機でも使っています。 もはや現代は、ゲーム業界は、産業のエンジンではないようです。 ですから今現在、新しい技術に興味ある人は、ゲームにこだわらず、直接的にその技術を勉強し改良したほうが近道です。 たとえば、インターネット技術を使って何か新しい事をしたいなら、ゲームを作るよりもwebアプリやサーバーwebサービスを作るべきだし、目的のネットワーク用ソフトウェアをそのまま制作したほうが早いし確実です。 古い経済知識の先入観にとらわれず、無理にゲーム制作にこだわらないほうが、自分自身の技能やキャリアも開けていくでしょう。 2010年に出版された商学書籍『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』には、「しかしながら、ファミリーコンピュータで世界に攻勢をかけ、その後圧倒的な強さを誇っていた日本の家庭用ゲーム産業も、90年代末からはその競争力にかげりがみえはじめた。日本の国内市場は伸び悩み、成長率は鈍化傾向にある(図表7-3)。」とあります<ref>青島矢一ほか『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』、東洋経済、2010年8月12日発行、P.263</ref>。 その「図表7-3」の統計値によると、 :ファミコン発売の1993年には2268億円、 :スーファミ発売の1990年には2430億円、 :プレステ1発売の1994年には3882億円、 :1995年には急成長して4769億円、 :1997年には4795億円で、ほぼこの頃がピークであり、 :2000年には3768億円にまで低下(プレステ2の発売年)、 :2005年には3151億円まで低下(XBOXの発売年)、 である。(青島らが『レジャー白書』、『情報メディア白書』、『月刊トイジャーナル』、『CESAゲーム白書』などをもとに作成した図表の統計値です。) <!-- ところで前編集者Sさん,これって正確には何の数字,金額なの?それを後で書き足しておいてほしいんだけど…。あれかな?一年のこの国のゲーム産業の売上高? --> また、2010年の時点の商学研究では、1997年を境に、ゲームソフト市場で競争する企業数が増加傾向から減少傾向に転じた<ref name="m289">青島矢一ほか『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』、東洋経済、2010年8月12日発行、P.289</ref>、とも言われています。 書籍『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』にも、引用文「家庭用ゲームは日本がその本格的立ち上げを主導し」<ref name="m91">青島矢一ほか『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』、東洋経済、2010年8月12日発行、P.91 </ref>と書かれているぐらいで、1990年代は日本のインパクトが強かったようです。 なお、携帯電話の分野で、日本は国際的な地位を喪失したのに対し、デジタルカメラとゲームは「現代」(参考文献の著作時2010年ごろ)でも日本が主要な地位にある<ref name="m91" />。 {{コラム|読書について| ゲーム業界と関連のない文献も、この教科書では出典として書かれていますが、これはこの頁の主要執筆者Sが、多量の市販本を読む以外に知的活動の方法を知らないことと、自分自身の文章の権威と信頼性を、著名人の威を借りて確立したいからでしょう。 ゲーム業界を志望するなら、ゲーム業界人の書いた本は少なくとも何冊かは読んでおくといいでしょう。 ネット上では、業界人ではないのにもっともらしく書かれた文章も多いですし、おそらく本Wikiの執筆者にも本格的なゲーム業界関係者は一人もいないでしょう。 業界人達のSNS発言ではなく、現代では書籍があるので、実際に書籍を手に入れて読むのがいいですね。書店で販売される書籍というのは、けっして著者だけの意見でなく、編集者や校正者、周辺の職業人達が査読をして、内容の信憑性を確認しています。 <!-- ニュース解説者の池上彰(いけがみ あきら)が、たしか2011年くらいのテレビ番組で言っていたことだと、編集者Sは言っている。 --> 何十冊も本を読むよりはプログラミングを書く実践のほうが重要でしょう。 『ゲームデザイン プロフェッショナル』著者であるFGOクリエイターも、ゲーム開発の書籍は読んでおくべきだと忠告しています<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P234</ref>。また、ゲームデザイン本で学んだ知識は、ゲーム業界以外でも仕事術として活用できます。たとえば上司への業務報告の報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)などの考え方は、ゲーム業界でなくても活用できます<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P332</ref>。 いっぽう、もし最新IT技術を勉強したいなら、読むべきは、ゲーム制作の解説本ではなく、そのIT技術の解説本など、そのものの書籍を読むほうが近道でしょう。 }} {{コラム|ゲーム、産業、コンピュータに関する多少の昔語り| ゲーム機が産業のけん引役かと語られた時期は、おおむね2000年以降~2010年あたりまで、です。 現・経済評論家の池田信夫(いけだ のぶお)は、1980年代の当時NHK記者だったのですが、彼は当時のIT業界やゲーム産業も取材しており、80年代当時は経済界などから未来技術として本命視されていたのは人工知能だったが、実際に流行した技術はゲーム産業だった、というような内容のことをブログで発信したことがあります<ref>https://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51292691.html 2007年02月23日22:03 2022年11月23日に確認.</ref>。なお、池田は、「大手コンピュータ・メーカーは、ゲームを無視した(*)。」と書くが、実際には90年代にもNECのPCエンジンや、富士通がスポンサーについたPCゲームソフト、ゲーム業界ではなくアニメ業界でも電機メーカーだが東芝のスポンサーしたOVAや大手ではないがパイオニア社のスポンサーしたOVAなど幾つかあるので、少し事実と違うように思う。 1998年頃、評論家の岡田斗司夫が、未来予想の一貫として、「これからゲーム機が、(パソコンではなく)家電の中枢になるだろう」という内容の未来予想をしていました。岡田の著書『東大オタキングゼミ』(自由国民社、1998年)で、この言及が読めます(たしか)。岡田の東大での講義を加筆修正してまとめた書籍なので、実際の講義はその数年前に行われていたのだろう。 岡田の東大での講義は東大生のその後の進路、官僚や大企業のビジネスマン達に大きな影響を与えただろうし、新進評論家として、この国の政治・経済人達も、その言論を多少参考にしたかもしれない。 実際、2008年(リーマンショックあたり)くらいまでの日本の家電業界の投資は、ソニーがゲーム機のCPUを作ったことがありましたし、岡田の予想を参考にしているような面もありました。 ですが実際の2001年以降の家電業界の結果は予想とは少し外れました。まず :*冷蔵庫もエアコンも全くデジタル化(IoT化)されず、家電のほとんどが外部からのコンピュータ制御を必要としない状況。 :*個々人が持ち歩いているデジタル家電は、携帯ゲーム機ではなくスマートフォンになった。 :*パソコンは多くの家庭に今もインターネット用端末などとして残り続けている。 一方岡田は東大オタキングゼミで、98年当時の時点で任天堂が莫大な現金資産(たしか数千億円ほど)を持っていることに注目しています。 一般の大企業は、現金ではなく株券や不動産などの形で資産を蓄えています。しかし任天堂は、銀行口座の現金だけで数千億円という、非常に資金力の高い企業でした。今や世界的なゲーム大企業になっています。 また、日本だけでなくマイクロソフトのXBOXなど、実際に欧米の企業もゲーム機に参入していた。このへんの雰囲気は、動画サイトでXBOXの開発談等、マイクロソフトの開発動画を見てみると、この企業もゲームが単に市場だけではなく技術としても意義がある、と、感じていた雰囲気がつかめると思います。 そして90年代の岡田が先ほどの著書で言うには、おおむね「よく人々はスーパーコンピュータなどの大型コンピュータに未来を夢見るけど、これからの技術はむしろ小型、短小な軽量端末の開発だ」といった内容(手元に書籍がないので言い回しは多少は違うかもしれません)。 しかしすじ肉しちゅ~はなぜこんなに岡田を誉めそやしたいのかね? 岡田のパシリ? 腰ぎんちゃく? また評論家の阿部弘樹によると、90年代の当時の少なくないゲーム消費者は汎用機(パソコン)を不信していました。汎用機から出るゲームはつまんないのばっか、と、と考えていた人が多かったようです。岡田も同様の認識であり、「ゲームに限らず汎用機で例外的に優れたソフトがあっても、需要があるなら専用機が開発されているはず」という認識であり「だからパソコンではなくゲーム機こそが未来技術だ」と、主張していました。 とは言え実際、パソコンゲーム出身のゲームでも、「信長の野望」など人気作は、スーパーファミコンやプレステに移植されています。 ソニーからプレイステーション2が出たときは、当時のソニー経営者はDVDも見れる汎用機としてインタビューなどで宣伝したが、数日後に広報・宣伝がゲーム専用機として宣伝しなおした、と阿部弘樹が論じました。 だからゲーム機というのは、本来はデジタル家電の中枢端末を目指しているのだが、表向きはゲーム専用機、と、多くの人たちが見做す事になる。 産業としてのゲームの重要性は、90年代ではあまり語られていなかった。経済評論誌で語られるようになったのは 2000年以降のようです。 }} === ゲームプログラミングは面白い。しかし、そんな楽な事ではない。 === ここでいう「プログラミング」とは、C言語などのプログラム言語による開発のことです。RPGツクールなど開発ツールによるゲーム制作の話は原則していません(本書『ゲームプログラミング』はあくまでプログラミングのための教科書です)。 さて、よくネットや、あるいは日常でも(C言語などによる)「ゲームプログラミングは簡単だよ。イラストやシナリオのほうが難しい。」、などという人がいますが、この発言の心は、「俺はプログラミングもイラストもシナリオも出来る凄い男だぜ。しかもプログラミングなんて簡単だし、むしろクリエイティブなイラストやシナリオの方に精力を費やす偉い奴だぜ^^」という、世間に良くいる武勇伝、自慢を語りたがる、インチキ親父が吹かしているだけなので、あまり真面目に取り合わないのが正解だと思います。 まず第一に、不当にプログラミングの価値を貶めている言説ですよね。 Visual C++またはVC# 、あるいは Direct Xなどを使ってプログラミングすることは、そんなに簡単なことではないでしょう。 ゲームプログラミングの入門書などには、初心者でも理解できそうな比較的簡単ないくつかのサンプルコードがありますが、それは初心者でも簡単に書けそうな技術だけを抜粋してるという、あくまで例外です。 RPGならたとえば、ドラクエ3のような戦争画面の行動順を処理するソート機能をつくるだけでも一苦労ですし、ほかにも道具・アイテムなどの自動整理をはじめとする標準機能を作るだけでも一苦労です。 決して上手い人のサンプルコードをコピーアンドペーストをして終わりという訳にはいかず(そもそも現状そのようなサンプルコードがネット上に無いですが)、もし仮にサンプルコードがネットに公開されていても、自作品に組み込む際にさらにそれをデバッグ(決してテストプレイの意味ではなく、実際にコード修正が必要になります)しなければならず、プログラミング言語の理解が必要です。 ゲームのプログラミングは決して楽ではないし、仮にもし楽だとしたら、じゃあゲーム会社のプログラマー職の人の仕事は何なんだ・・・という疑問につながりますよね(デマを言ってる人は、この疑問を脳内に都合よく無視しますが)。 ツクールやエディタのような制作ツールを使えば、C言語的なプログラミングは不要ですが、それはそのツクールなどのツールを開発している人達にプログラミングを肩代わりしてもらっているだけなので、決して「ゲームプログラミングが楽」、ではないでしょう。楽だというなら、じゃあツクール開発元の角川書店およびその発注先ソフトメーカーのプログラミングが楽だとでも言うのか・・・(デマを言ってる人はこの疑問を無視します)。 そもそもコンピューターゲームというのはプログラミングがなければ成立しないのですから、そのプログラミングの価値を貶めて平気な人は、コンピューターゲームにかかわる資格はないでしょう。 == ゲーム制作に関する留意点 == === IT的な留意点 === ====プログラミングなしでも同人ゲームを作れる==== 自分でゲームを作る際、必ずしも、C言語などプログラム言語で記述する必要はありません。 プログラミングをせずに、ほぼマウス操作と会話メッセージなどの文章のキーボード入力だけでゲーム開発をできるようにするソフトウェアが、有料または無料で発表されています。 たとえば、RPGを作りたいなら、日本で発表されているソフトでは、『[[w:RPGツクール]]』や『[[w:WOLF RPGエディター]]』などのように、RPG製作に特化された開発ソフトがあり、大幅に開発の手間を減らせます。なお、『RPGツクール』は有料製品です。『WOLF RPGエディター』は無料ソフトです。 アクションゲームを作りたいなら、『[[w:アクションゲームツクール]]』があります。これらツクール製品は有料製品です。(なお、かつて『[[w: 2D格闘ツクール2nd.]]』というのがありましたが、しかし現在ではサポート切れのため、今現在の市販の十字キーコントローラーが初期設定では動かない、一部のボタンしか使えないなど問題点があります。) また、ノベルゲームを作りたいなら、フリーソフトの『[[w:吉里吉里Z]]』などがあります。吉里吉里Zはソースコードが公開されており、オープンソースになっています。 :なお、とりあえず「ゲーム開発ツール」と呼びましたが、じつは呼び方は特に決まってはいません。「ゲーム制作ツール」と呼ぶ場合もあります。ゲーム開発ツールのことを「ゲームエンジン」と言う場合もありますが、開発ツール以外のゲーム用ランタイムのことも「ゲームエンジン」という場合があります。 :本Wikibooksでは、とりあえず、ツクールや吉里吉里シリーズやウディタ(WOLF RPGエディター)などのソフトの呼び方は、まとめて「ゲーム開発ツール」または「ゲーム開発ソフト」と呼ぶことにします。 C言語などによるプログラムは、上記のゲーム開発ツールを使わない場合の選択肢になるでしょう。 既存のゲーム開発ツールの仕様に不満を感じる場合に、「じゃあ自分でプログラムして作ろう」となり、プログラミングが必要になるわけです。 なお、上記の開発ツールはほとんどがWindows用のソフトです。MacやLinuxでは動きません。MacやLinuxで動作するゲームを作りたい場合は、別のソフトウエアを使う必要があります。 既存のゲーム開発ソフトを使わずにプログラムを組んでゲームを自作する場合、必ずしも既存のツールのような、ゲーム作品と開発ツールが分離された仕組みを再現する必要はありません。 一般的に初心者が、ゲーム開発ツールを作ることはほぼ不可能です。初心者は開発ツールを作ることは考えずに、まず1本、とりあえずゲーム自体を完成させてみましょう。開発ツールを自作したいのなら、まず先にゲーム1本を完成させたあとに、あとから開発ツールとゲーム作品の分離などに取り掛かるのが推奨です。 ==== 商業ゲームの開発言語 ==== 基本的に、現代の商業ゲームは、C言語で開発をする。 ただし、ファミコンの古いゲームは、アセンブラで開発されていた。ファミリーコンピューターからスーパーファミコンに至るまで、OSは搭載されていない<ref name="m289" />。 ではいつからC言語がゲーム開発に使われるようになったかというと、商学の学説では、プレイステーション(※ おそらくプレステ1?)の頃からだろう、と考えられている<ref name="m289" />。ただしこの時代でも、処理速度の高速化のためにアセンブラにアクセスする開発チームも少なくなかった<ref name="m289" />。 また、プレイステーションのOSは独自仕様である<ref name="m289" />。 カプコン(ゲーム会社のひとつ)など一部の企業は、OSによる開発ではなく、移植性を高めるために自社製の内製フレームワークを用いて開発する。カプコンの場合、2010年頃は「MTフレームワーク」という自社製フレームワークを用いて開発を行っていた<ref name="m289" />。なお2020年代の現在、カプコンでは後継の別フレームワーク(カプコン内製)を使っている<ref>[https://gamemakers.jp/article/2022_11_04_22707/ 2022.11.04 の記事]※ネット検索の邪魔に無らないよう当wikiではリンク先タイトルを省略させていただく</ref>。 {{コラム|ゲーム用のメーカー独自プログラミング言語について| ゲーム開発ソフトには、ゲーム開発用の独自のプログラミング言語を持っている場合があります。このような機能の実現方法は、原理的には、ファイル入出力の関数を使い、テキストファイルの文字列を読み取って、文ごとにプログラム動作を設定・実行している、と、考えられます。インタプリタは、このような方法で作られています。 ゲーム製作ソフトでの独自のプログラミング言語はたいてい、コンパイル作業を必要としないので、おそらくインタプリタ方式でしょう。 基本的にWindowsの場合、実行ファイルに変換するには、Visual Studio というマイクロソフト社の配布している開発環境が必要です。 Visual Studio が開発環境を提供していない独自言語は、たいてい、インタプリタ方式となると思われます。 コンパイラ方式に比べて、インタプリタは処理速度が不利なので、適用できるジャンルや用途が限られます。たとえば3Dアクションゲームには、インタプリタ方式は不向きでしょう。 これらの独自言語を使うにしても、自分自身で独自言語を作りたいと思うとしても、この教本ではまず、既存のプログラミング言語を使ってゲーム制作を開始することを推奨します。 }} ====ゲームのプログラム言語の歴史==== ゲームを書くために利用される言語は多岐にわたっています。歴史的にはゲーム業界でも、[[C言語]]や、特に計算機のスピードが重要になる場面では[[w:アセンブリ言語|アセンブラ]]を利用してプログラミングを行うことが普通に行われていました。<!-- (文献)→-->そのため、ゲームプログラミングは通常のプログラミングと違った技能が必要であるように思われていました。 現在では計算機がある程度速くなったことや、ゲームプログラムの開発を複数人で行うことでテクニカルなプログラミングが避けられるようになったことにより、ゲームプログラミングは他の一般のプログラミングと同じような課題だと見なされています。 しかし、特にアクションゲームなどのリアルタイムでの画面書き換えが必要なゲームで、プログラムのスピードが重視されることは変わっていません。また、コンピュータの性能があがるにつれ、それらの性能を全て引き出すように表現手段が変化してきたため([[w:3次元コンピュータグラフィックス|3D]]、[[w:ポリゴン|ポリゴン]]などを参照)、状況によっては複雑で特殊なプログラミングが必要になることもあります。 ===== 初心者が使えるプログラミング言語 ===== ゲーム開発において、一般にゲームショップなどで流通している商業ゲーム作品において、現在よく利用されているプログラミング言語として、[[C言語]]、[[CPlusPlus|C++]]、[[Java]]があげられます。 Windowsの3DエンジンのDirectXは、主にC++を想定しています。なので負荷の高いアクションゲームを作りたい場合、Visual C++での開発が安全でしょう。 しかし、ネット上のフリーゲームでは、C++以外の言語が使われることも、よくあります。 さいきんゲームエンジンとして有名なUnityは、言語としてはC#の文法を採用しています。 [[w:携帯電話|携帯電話]]向けのゲームでは[[Java]]が利用されましたが、これは携帯電話を提供する各社がJavaをアプリケーションの言語として選んだことによります([[w:iアプリ|iアプリ]]、[[w:EZアプリ (Java)|EZアプリ]]、[[w:S!アプリ|S!アプリ]]などを参照)。現在でもAndroidなどのスマートフォン向けでは、Javaが使われています。 市販の書籍では、Pythonによるゲーム開発を紹介した出版物もあります。ただし Python は原理的にインタプリタ方式であるために処理速度がC++に劣り、アクションゲームなど負荷の高いゲームを作る事を目指している場合は、将来的にはPythonからC++への変更が必要になるかもしれません。 ===== ゲームに適さない(だろう)言語 ===== ;Flash関係 例えば、かつて Adobe の Flash が、ブラウザで動かせるゲームを作る際に、よく使われていました。このようなwebブラウザ上で動くゲームのことを一般に、「ブラウザゲーム」と言います。ただし、現在ではFlashは廃止の方向です、すでにほぼ廃止されているといっていいでしょう。また、現状では、ローカルPC環境でのゲームをJavaScriptで作るのは、アマチュア段階では困難です。JavaScriptのアマチュアゲームと言う事例を聞きません。 ;JavaScript なお、JavaScript はクロスプラットフォームですが、しかし、セキュリティ上の理由などから、いくつかの機能(たとえばファイル入出力)がwebブラウザ上では使えないようになっており(セーブ機能が標準では不可能)、そのためJavaScript だけでゲームを作るのは、初歩的なゲームを除くと、かなり困難です。(おそらく、オンラインゲームでは、サーバー側でPHPやサーバサイドJavaScriptなどの別プログラムが走っていると思われます。) セーブ機能の必要なゲームを作る場合は、JavaScriptでの開発は選択肢にない(セーブの実装には、JavaScript国際規格にはない非標準仕様を使いこなす必要があり、かなりの技術力を要するでしょう)。 =====ブラウザゲームの初歩的な原理===== 商品として流通するようなゲームや、高度な機能を持つブラウザゲームを作ることはとても難しく、このページでは手に負えません。そこで、このページでは、初心者が練習用につくるゲームを例に記述します。 webブラウザだけで動くのがブラウザゲームです。ブラウザゲームを作るのに使う言語の第一選択肢はJavaScriptです。サーバー側の処理が必要ならPHP,Python,Perl,Javaなどの言語の出番でしょう。 「ネットワークゲーム」は「ブラウザゲーム」とは意味が違います。 「ブラウザゲーム」は、パソコンにwebブラウザさえあれば、ネットワークに接続していなくてもゲームプレイできて、最後、クリアまでプレイできる作品もあります。 しかしネットゲームは、ネットワークに接続しないと、ゲームを開始することさえ不可能です。つまり、サーバの提供するゲームが「ネットワークゲーム」「ネトゲ」です。 もしPHPやPerlなどでゲームを作る場合、普通はネットゲームになる筈なので、作者がサーバを構築して提供する必要がありますし、プレイヤーにはゲーム中にサーバに接続する環境が必要になります。提供者は、サーバを用意したり、保守管理する必要があります。サーバーがダウンしてしまうと、プレイヤーがゲームをできなくなります。 「PHP ゲーム」などの単語でネット検索したり、あるいは書店でプログラム言語の書籍や解説サイトを見ると、ときどきPHP・Perlなどの言語でゲーム開発しているものもありますが、一般的なダウンロード型のゲームとは違う筈なので、気をつけてください。 {{コラム|ソケット通信、ほか| コンピュータプログラムからインターネットに通信するには、いくつかの方法がある。 C言語の場合はOSの提供するソケット通信といわれる機能を使う方法、 JavaScriptにあるHTTP通信の機能を使う方法、 などがあるだろう。 ただし、JavaScriptでゲームを制作するのは、セキュリティ上の制約などからセーブロードが標準的方法では困難など、とても制作が難しい。 よって本セクションでは、C言語にソケット通信を組み込むことの概要を説明する。 ゲーム制作初心者がソケット通信までする必要はないが、将来的には知る必要があるかもしれない。 本wikiではWindowsの場合については 教科書『[[WinSock]]』、 macやLinux / Unix や BSD の場合は 教科書『[[Unixソケットプログラミング]]』 で説明している。 Windowsとそれ以外のOSとで、ソケット通信の仕様が微妙に異なる。 ソケット通信では文字コードの問題がある。手元のパソコンの文字コード設定は、通信相手方の端末には反映されない。 Windowsの日本語版では、伝統的に Shift-JIS といわれる文字コードが使われてきたが、海外のWindows端末は日本の文字コードにあわせてくれないし、macやLinuxやBSDも同様に日本には合わせてくれない。 簡単な対処法として、ゲーム中では日本語を送受信しない、つまり半角の英数字と記号だけを送受信する、という道はある。 会員登録などのためにどうしても氏名や住所などの日本語を使う必要がある場合、PHP・Pythonなどサーバ言語に対応した「フレームワーク」があり、そのフレームワークが最初から日本語に対応、もしくは設定を少しいじるだけで日本語対応するので、それを利用すれば効率的かもしれない。 ゲームとは別途、サーバー側にフレームワークをインストールして、会員登録時にサーバー側でそれを使うようにすればいいだろう。 しかしゲーム内では日本語の扱いは非常に難しい、限定されるという事になるだろう。 C言語のプログラムにサーバサイドの言語・システムを組み込むのは難しいから、ネットゲームではどこかでソケット通信に頼ることになるだろう。 市販の本を探しても、そもそもソケット通信の書籍自体がめったに見当たらないし(ほんの少しだけ出版されている)、もし見つけても全く文字コードの問題の解決方法は紹介されていない(2021年現在)。 }} ====プラットフォ-ム==== ;ライセンス料 一般に、プレイステーションや任天堂のゲームを開発するには、専用の機材が必要であり、そのため、ソニーや任天堂とライセンス契約しなければいけない<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P.107 </ref>。 その契約に際して、ライセンス費用またはライセンス料金と呼ばれるものを、ゲーム機開発会社の任天堂、ソニーに支払う必要があります。 現在でもソニーや任天堂のゲーム機用のソフト開発・販売には、ライセンス料が必要です。少なくともPS4やニンテンドースイッチのパッケージソフト開発には、「ライセンス費」が必要<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.120</ref>。 なお、書籍『ゲームプランナーの新しい教科書』によると任天堂やソニーのようにゲーム機を作っている会社のことをハードメーカーと言います。つまり、ゲーム機のハードメーカーにライセンス料を支払うという仕組みになっています<ref>『ゲームプランナーの新しい教科書』、P20</ref>。 また、スマートフォン向けアプリは、プラットフォーム使用料が掛かります。 書籍『ゲームプランとデザインの教科書』によると AppleStore, GooglePlayともに売上げの30%とのこと<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.121</ref>。その他のプラットフォームも、大体同じとのことです(参考文献の著作の時点では)。 Google やAppleのようにプラットフォームを提供している企業のことをプラットフォーマーと言います<ref name="gp244">吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P244</ref>。 昔からゲーム機のライセンス料は有料で高額であり、ソニーや任天堂の収益源のひとつになっている<ref>青島矢一ほか『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』、東洋経済、2010年8月12日発行、P.267 </ref>。一方、パソコンゲームにはライセンス料が無いのが普通です<ref>青島矢一ほか『メイド・イン・ジャパンは終わるのか』、東洋経済、2010年8月12日発行、P.283 </ref>。 なお、ハードメーカーでなければプラットフォーマーでもないゲーム会社のうち、製造から販売までを手がける会社のことをパブリッシャーといい、たとえばカプコンやコナミやセガやスクウェア・エニックスやバンダイナムコなどがパブリッシャーです<ref name="gp244" />。 実は、必ずしもパブリッシャーが開発を手がけるとは限らず、スマホ向けアプリなどではディベロッパーといわれる開発専門の会社に委託している場合もあります<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P245</ref>。 ==== ポリコレ規制 ==== Apple社のAppStore向けのスマートフォンアプリでは、アップロード後に、公開前にAppleによる審査があり<ref name="g139">川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.139</ref>。、審査は欧米基準です。 GooglePlayは、公開前の審査はないが公開開始後に海外基準で審査されるので、それに違反していると配信停止になります<ref name="g139" />。 海外プラットフォームで販売・配布したい場合、「ポリティカル・コレクトネス」(政治的な正しさ)といわれる、海外の公序良俗の基準に配慮する必要があります<ref>『ゲーム作りの発想法と企画書のつくりかた』、P.235</ref>。 ドラゴンクエストのファミコン時代、海外輸出の際、教会での描写を変更しなければいけなかったことがありました{{要出典}}。これは、岡田斗司夫氏の YouTube放送でも話題にされています{{要出典}}。教会の描写で、神父とシスターが同じ建物で仕事をしていた{{要出典}}。これが問題になったらしい{{要出典}}。カトリックでは妻帯禁止ですし、男女が同じ場で働く描写がよくないようです{{要出典}}。 開発者たちは、「教会の描写はキリスト教ではなく、ゲーム世界独自の宗教」と主張して、難を逃れようとしましたが、しかし教会の裏にある墓地が十字架のマークだったので、「十字架はイエスの磔(はりつけ)の場でありキリスト教で重要な意味を持つ。十字架の墓標がキリスト教ではないという主張は欺瞞だ」と、輸出先国の協力者が指摘し、その言及は認められませんでした{{要出典}}。 結局、日本の開発者たちは輸出にあたり、墓地か教会内の人物のどちらかを直したうえで海外での商品化を果たしたそうです{{要出典}}。 また、十字架に関してですが、赤十字のマークは国際常識・国際条約として赤十字社以外は使用できないことになっています{{要出典}}。ゲームではないのですが、赤十字によく似たマークをデザインしたグッズの回収騒ぎなども実際に発生しています{{要出典}}。 また、ドラゴンクエスト世界観の漫画作品、「ダイの大冒険」の電子書籍版と2022年版アニメーションで、六芒星(ろくぼうせい)の魔方陣で魔物を召喚使用、とする描写が修正されています。直接的な理由は公表されていませんが、六芒星はイスラエルの国旗にも描かれ、伝統的にユダヤ人を表す記号とみられている、だから、という理由が、Webではよく指摘されています。 欧米の判断基準が、アジア諸国やアフリカの生活習俗に合致しない場合も多いのですが、欧米のIT大企業はその欧米基準での規制が政治的に正しいと考えているでしょう。「日本では、少し考え方が違う」と言っても、通用せず規制される場合も多い。 共産党の機関紙『赤旗』がドラゴンクエストの職業について、「女性は回復職などの補助役割が多く、保守的な職業観、男女観ではないか?」と、指摘したことがあった(らしい){{要出典}}。 しかし、ドラゴンクエスト1~3の元ねたであるウィザードリィ・シリーズでは、僧侶(ウィザードリィでは「プリースト」)の職業は物理攻撃力・防御力もかなり高い前衛職です。 戦士・サムライ・僧侶(ここまで3名が前衛)  盗賊・ビショップ・魔法使い(うしろ3名が後衛) がウィザードリィでよくあるパーティ編成です。 プレイヤーによって、僧侶と盗賊の位置が入れ変わったり、ビショップと魔法使いの位置が入れ替わったりしますが、基本的に、僧侶は盗賊と同格の物理攻撃力・防御力です。 メイスやフレイルといった鈍器を振り回すのが、ウィザードリィの回復職のプリーストです。ドラクエもそれを踏襲しており、僧兵みたいに「鉄の槍」を振り回し、僧侶の物理攻撃力は魔法使いよりも高い。 ゲームだけでなくテレビアニメでも、漫画ワンピースの海外アニメ版では、主人公側の若者がタバコを吸っているシーンをアメ玉に作画を変えられたり、ドラゴンボールに出てくるミスターポポという肌の真っ黒なキャラクターの肌を青く書き換えたり、色々な例があります。 ポリコレとは関係ない事例ですが、TVアニメーションのポケットモンスターで主人公のサトシ達がお握りを食べているシーンで、アメリカ版ではドーナツになっていたことがあります。これは、国による食文化の違いを示していますよね。 ===プロトタイプ=== ゲームでは、曲や絵が良くても、ゲームとしては今ひとつ面白くない、という事は起こり得ますよね。 ですからむしろ、商業的なゲーム制作では、イラストは簡略なものを使ったうえで、プログラム中心の試作品(プロトタイプ)をいくつか作り、その中でゲームとしての面白さがあるものを、取捨選択したうえで商品化を考え、その後イラストや楽曲を詰めて完成度を高めていく、と、いう制作過程を取るようです。 書籍『ゲームプランナー入門』(吉冨賢介 著)によると、商業ゲーム界では、企画書に書かれたゲームが本当に面白いかどうか確認するために、「プロトタイプ」が作られます。プロトタイプの段階では、プログラマーと、企画の意図を考慮するためプランナーも関わります。<ref name="gp17">吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P17</ref> イラストレーターは、プロトタイプの前段階あたりでイメージイラストを提供し、スタッフ間の共有イメージを作ります<ref name="gp18">吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P18</ref>。そしてプロトタイプ進行中は、グラフィック案の提案をしていきます<ref name="gcw56">蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日初版第1刷発行、P56</ref>。サウンドも同様、プロトタイプでは、曲調を固めていく段階です<ref name="gcw56" />。 :※時々あるトラブルとして、マイナーな同人ゲームや零細メーカーのゲームで、背景イラストや脇役キャラクターなど目立たない部分で他社のイラストが使われていることがあるようです。おそらく試作用に流用したイラストが、そのまま製品に混入したのでしょう。こういうトラブルがあるので、他社イラストの使用は試作であっても避けるべきです。 ;実装検証 プログラマーは、そのゲームでコアになるプログラムやシステムやミドルウェアについて、プロトタイプ段階で実装検証を済ませておく必要があります。プロトタイプより前の原案の段階では、利用するミドルウェアの洗い出しをして、出来る範囲での基礎実験をしておきます<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日初版第1刷発行、P54</ref>。 ミドルウェアによっては使用料が発生するので、その点を事前に調べておく<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日初版第1刷発行、P55</ref>。 プロトタイプのうち、張りぼての例えば画面だけの物等を、「モックアップ」といいます。一方である程度遊べる状態まで作っているものを、「プレアブル」といいます<ref>STUDIO SHIN『ゲームプランナーの新しい教科書』、翔泳社、2018年3月10日初版第2刷、P251の図</ref>。 ゲームデザイン本ではよく「プロトタイプ」という表現が用いられるので、本ページではこの言葉を使うことにします。 {{コラム|商標権等| 知的財産権には著作権・商標権・意匠権などがありますが、商標権は特に強い権利であり、気を配る必要があります。 意匠権とは、建物や工業製品の外観に関する権利なので、ゲーム制作ではあまり気にする必要はないようです<ref name="gpd135">川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.135</ref>。 「特許権・実用新案権」と「商標権」は、事業者によって国に登録されている権利で、かなり強力な権利なので、気をつける必要があります。 特許権や実用新案権とは、大まかに言えば、技術的な発明に関する権利です。商標が登録されているかどうかは、特許庁の『特許情報プラットフォーム』というwebサイト<ref name="gpd134">川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.134</ref>で確認できます。 商標をトリッキーな意図で登録する人も多く、自社でビジネス展開をする気がなかったり、他社の商品などでまだ登録されていない物を申請したり、そういうやや不正な登録申請でも認可されてしまう場合も多いです。 また、商標は業種のジャンルごとに分かれているので、たとえば携帯電話のジャンルが新たに追加された時代に、過去のゲームの商標を登録した人がいました。そのため携帯ゲームを出せなかったり、商標を買い戻したり、取り戻すための裁判をするのに時間とお金がかかってしまったり、様々な問題が発生します。<ref name="gpd134" /> 著作権は、登録の必要がなく、著作をした時点で発生する権利です。 『ゲームプランとデザインの教科書』によると、こういう事柄にまだ慣れていない人によくあることなのですが、他人の個人サイトやSNSで公開されていた絵や曲などを、許可なく勝手に使う事例があるようです<ref name="gpd135" />。 二次利用を許可されてない著作物は素材として使えません。 そして見落としがちなのが、フォントの著作権です<ref name="gpd135" />。フォントにも著作権があります。 フリー素材と書かれていても、商用販売が禁止されている配布形態のものもありますので、気をつけましょう。 }} {{コラム|アイデアの権利。アイデアとは盗まれるのか、盗むのか?| 商業ゲーム作家たちの、2022/1時点でのSNS発言によると、業界全体でみられることですが、会社外部の人がアイデアを一方的に投稿してきて、会社で作った作品にそのアイデアと類似点があったら、アイデア使用料を要求してくる、そのような問題に悩まされているようです。 そこでゲーム会社側では原則、 :送られてきたハガキやメールは、まずクリエイター以外の事務系の人間が読む。 :もしハガキなどにアイデアがあった場合、そのハガキを処分。 などの方策を取ると言われています。 また、偶然や何らかの理由でアイデアが一致してしまった場合に備えてのリスク回避として、事前に会社のウェブサイトなどで「弊社にアイデアが送られてきた場合、そのアイデアは弊社のものになります」のような宣言をしている会社も多くあると言われています。<!-- (以上、作家のSNS発言やそれを紹介したサイトの取材などのまとめ.)←出典を消すなってS氏はやたら云うんだけど,そんな重要な事かね?もちろん全くなくて,いい加減な事書いていいと言ってるわけではないけど… --> ここで前編集者は娯楽産業の世界には厄介な消費者がいると言及しているけど、この前編集者自身がこのWikibooks で異常なまでに厄介な参加者なんだが、そろそろ人のふり見て自分を返り見るべきだと思うな。 法学的には、著作権法はアイデアを保護しません(『アイデア・表現の二分論』と言います)。 そして前編集者はアイデアに関して権利をどうこう言う人間を無知だと書いているけど、自分は至上の賢人だと思ってるようだね。 そしてこの人物は他者を愚弄する時は必ず自分の意見ではなく、権威ある人がそう書いたから、出典だからと宣う。 出典は岡田斗司夫氏の著作『東大オタク学講座』や『マジメな話』だそうだ。 まあ岡田氏ならかなり過激なことを書くのは事実だろうが,この前編集者S はその悪徳をさらに10倍に高めてこのWikibooks に記述する地獄のように厄介で無知で馬鹿な人間だ。 }} 任天堂『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、プロトタイプの段階ではイラストを組み込まずに(イラストは、代わりに大きなドットの塊などで代用する)作られている事がゲーム業界見本市イベント CEDEC 2017 で公開されています<ref>https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1078888.html 2020年11月25日に閲覧して確認</ref>。(おそらく音楽もプロトタイプでは組み込まないのだろう。) プロトタイプの段階では、画像や音楽は発注せず、骨組み的なプログラムだけで、そのゲームのアイデアが「はたして本当に面白いか?」を、実際に社内の関係者にプレイさせてみて確認します。 ちなみにプロトタイプに関しては『[[高等学校情報/その他の技術的な話題#プロトタイプ開発]]』の記述も参考になる。 ここでいう「プロトタイプ」(試作品)とは、コンピュータプログラムのゲームとして動作するのが前提です。映画製作でいう絵コンテ試写のように、ゲームの試作では、なるべく早期に第三者が試作ゲームを遊べるように作っていく必要があります。 プロトタイプという言葉を使用すること自体が妥当かどうか。まず、書籍『ゲームプランとデザインの教科書』で使われている<ref name="gpd350">川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.350</ref>。書籍 Game Programming Patterns でも用いられている。 ニコニコ動画の経営者、川上量生が使っています<ref>川村元気『理系に学ぶ』、ダイヤモンド社、2016年4月21日第1刷発行、P.38</ref>。川上は角川書店も買収したので、おそらくそこ(カドカワ・RPGツクール販売元)でも使っているでしょう。 ゲームのプロトタイプの基本姿勢は、「汚く作って、やりなおす」です<ref name="gpd350" />。もちろん最低限のプログラムの知識、勉強は必要ですが、あまり知識収集や理解充実を気にするより、実際に作ってみることを優先したほうがいいようです。チーム制作をしている場合はプロタイプは赤ん坊であり、そのチームで育てていこう、我々の子供だという意識で接しているようです<ref name="gpd350" />。 まず工夫して作ってみると、今後自分が何を勉強すればいいかも見えてきます。 英語では「quick and dirty prototype」という言葉があります<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.349</ref>。 書籍『ゲーム作りの発想法と企画書のつくりかた』によると、シナリオライター志望者が企画書やシナリオ案をメーカーに送りつけても、あまり効果的ではないようです。 それよりゲーム形式でシナリオを書いてしまうのがいいようで、「CHR:ヒロインA(私服)、表示」のような文章を織り交ぜて構成していくのが推奨<ref>『ゲーム作りの発想法と企画書のつくりかた』、P.140</ref>。 参考文献のその章では、シナリオライター志望者に向けて語られていますが、プログラマー志望なら、サンプルゲーム、サンプルプログラムを作ってしまうのがいいかもしれません。 1990年代、週刊少年マガジンに不定期掲載していた読みきり漫画『ゲームクリエイター列伝』では、カプコン社のゲーム『バイオハザード』を扱った『バイオハザードを創った男達』の際、制作過程でゲームデザイナーが大幅な作り直しを判断して進行させた、という描写があります。(ただしWikiboooks一編集者の記憶、詳細はあいまい)。 のちの、ゲーム評論家の阿部広樹の評によると、むしろそれは劇的な大きな決断ではなく、ゲームデザイナーの日常の普通の仕事ではないか、と語られています。 どんな肩書の人間だろうと、すでに決まって進行していた方針をひっくり返すのは、かなりのストレスのある判断で指摘になりますが、一般に漫画や映画、あるいはNHKの仕事に関するドキュメンタリーでもそうですが、職業や職業者の物語では、過剰に対象を美化し、劇的な演出によって関係者を称賛し、英雄視する傾向があるように思います。 {{コラム|アイデアはアイデアで価値がある。でも、せっかくなら、それを試作して、形にしてみよう。| ゲーム業界人広井王子は書籍のインタビューで、自分の社長としての人材評価は「0点」から始まる「加点法」だと語っていたようです。 『ゲームデザイン プロフェッショナル』著者も、文脈は違いますが「加点方式で物事を考える」と述べています<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P224</ref>。 正直インチキなゲーム業界人の点数勘定などには全く興味ないが、そんな話とは全く別に、ゲーム制作の上で、実際に動く簡単なプロトタイプを作ってみることは間違いなく有意義な事でしょう。 アイデアはアイデアとして、思考や思想の展開としてありますが、それを具体的な形にしてみることは非常に楽しくエキサイティングで、意味ある活動ですよね。 }} 仕様書や設定資料を超えて、誰もが遊べる試作品は、意味のある企画行為でしょう。前編集者は、時間軸・動きの制作意図の明確化、という言葉を使っています。もちろん短くまとめること自体もなかなか難しいのですが、工夫を凝らして、ゲームプログラムを完成させることが重要な経験であり、思考の具体化でもあると思います。 ===アルファ版=== アルファ版はプロトタイプとは違うもので、その後段階で、ゲームの全体像が分かる一部分を、商品に準じた形で作ることです<ref name="gp17" />。 アルファ版でもそのゲームが本当に面白いかどうか検証がなされます。サウンドやビジュアルは商品に近いほぼ完成化された形で取り込みます。 アルファ版の使用の結果、プロジェクト中止の決定がなされる場合もあります<ref name="gp18" />。 ベータ版とは、会社によって意味が多少違いますが(たとえば『ゲームデザインプロフェッショナル』と『ゲームプランナ-入門』とでも微妙に違う)、おおむね、とりあえずのゲーム、最初からエンディングまでのほぼ完成状態をひととおり遊べる制作物です<ref>『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P170</ref>。 細かいバグ修正はこれらの段階では後回しにします。 基本的に :プロトタイプ→アルファ版→ベータ版→調整→デバッグ の流れ。 ===プロトタイプ制作に必要な予備知識=== ====数学は後回し==== ゲーム制作の作り始めにおいて、必要な数学や物理の予備知識は、それほど多くありません。 文献『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』によれば、数学や物理の習熟に拘って、それに多くの時間と精力を費やして勉強するよりは、3Dの勉強などで必要を感じたら、そのつど、その分野の数学や物理を学ぶのが効率的だと述べており、また可能なら実際にプログラミングでその理論を試してみると具体的に理解をしやすいと述べています<ref>蛭田健司『ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖』、翔泳社、2016年4月14日初版第1刷発行、P88</ref>。 ====C言語の予備知識は入門書1冊+αで十分==== C言語を使ったゲームは、予備知識はそれほど多くないので、あまり難しいことは考えず、まず実際にプログラムを書いて作ってしまう事優先にするのが正解なようです。 市販のC言語入門書で、配列や関数などの一般的な機能を一通り習得したら、あとはVisual C++ で映像出力とキーボ-ド入力のみを、1~2週間ほど勉強、そしてVisual Studioを起動してゲームを作り始める。 うまくいけば数か月以内に、パソコン用の非ネット通信のゲームを作ることができるでしょう。 ただ、ゲームプログラミングを試みる人は、必ずしもゲーム制作のみが絶対的な唯一の目標ではない可能性もあるので、それぞれの立場に応じて、座学を取り入れてみるのもいいと思います。 == 作業リストを作る == ===作業リストの制作開始の方法=== さて、ゲームを作る時は、アイデアを頭の中だけに置いておくのではなく、文章に書きだしてみましょう。 そして、壮大な長大なアイデアではなく、1週間~1ヶ月ていどで成果の確認できそうなアイデアだけを書いてみましょう。 次にそのアイデアを、実際に動作するプログラム、ソフトウェア(つまりプロトタイプ)にするために、具体的などんな機能を持ったプログラム(簡単なものでよい)を制作しなければいけないか、自分のやるべきことのリストを、箇条書きで作ります。<ref>https://www.youtube.com/watch?v=J5FCZG7dfEY 2020年3月17日に閲覧</ref> IT界ではこういうリストを「ToDoリスト」(読み: トゥードゥーリスト)とか「タスクリスト」といいます。このページではむしろ日本語で、「作業リスト」と呼んでみましょう。 さて、このリストを作るときは、作業項目は具体的かつ直接的に解決可能で単純な目標に分割します。ですから例えば RPG の戦闘システムを作るときは、 *「戦闘システムを作る。」 と、あいまいに総体的に書くのではなく、具体的に、 *戦闘画面のメッセージ表示欄および標準メッセージを作る。 *「戦う」コマンド選択欄を作る。(動作するコマンドはまだ「戦う」だけ。「逃げる」「魔法」などは後回し。) *主人公1人用の「戦う」コマンド用のダメージ計算システムを作る。 *主人公以外の味方キャラのぶんの表示欄も戦闘画面に追加する。 *味方キャラが素早さ順に行動する処理を作る。 という風に、作業項目を細かく分割していきます。 こうすることで、作業がひとつずつ比較的に簡単な要素に分解されていくので、楽になります。また、バージョン管理ソフトを使って管理している場合も、上記のような作業リストの分解をしておけば、各バージョンの概要を書く際にも作業リストの項目が転用できるので、一石二鳥です。 予定日は書かないほうがいいと思われます。スケジュールを管理したい場合は、別にファイルを作るといいです。 そして書き出した項目を優先順位で並べたら、最初の作業リストは完成です。 === 作業リストの更新 === プログラミングする前に作業リストを眺めて、そして上の項目から実際に作業を開始しましょう。 そして一つの項目を完成させましょう。 そして作業項目がひとつ終わったら、「【完了!】」等、そういう情報を項目の前または後ろにつけます。 たとえば、 *【完了!】戦闘画面のメッセージ表示欄および標準メッセージを作る。 *【完了!】「闘う」コマンド選択欄を作る。(動作するコマンドはまだ「戦う」だけ。「逃げる」「魔法」などは後回し。) *主人公1人用の「戦う」コマンド用のダメージ計算システムを作る。 *主人公以外の味方キャラのぶんの表示欄も戦闘画面に追加する。 *味方キャラが素早さ順に行動する処理を作る。 こうします。 以前の記述を残したまま、その作業が終了したことを示しておくわけですね。 また、もし追加の作業が必要になったら、たとえばダメージ計算システムを作るために、ランダム計算が必要になって、自分がそのプログラム言語でのランダム計算に詳しくないなら、たとえば *【完了!】戦闘画面のメッセージ表示欄および標準メッセージを作る。 *【完了!】「闘う」コマンド選択欄を作る。(動作するコマンドはまだ「戦う」だけ。「逃げる」「魔法」などは後回し。) *Visual C++ でのランダム計算のとりあえず出来る方法について調べる。 *主人公1人用の「戦う」コマンド用のダメージ計算システムを作る。 *主人公以外の味方キャラのぶんの表示欄も戦闘画面に追加する。 *味方キャラが素早さ順に行動する処理を作る。 ::※3行目に追加されています。 と、必要に応じて項目を追加します。 さて、これから行う作業を検索しやすくするため、たとえば '''やることリスト''' *Visual C++ でのランダム計算のとりあえず出来る方法について調べる。 *主人公1人用の「戦う」コマンド用のダメージ計算システムを作る。 *主人公以外の味方キャラのぶんの表示欄も戦闘画面に追加する。 *味方キャラが素早さ順に行動する処理を作る。 '''完了した作業''' *【完了!】戦闘画面のメッセージ表示欄および標準メッセージを作る。 *【完了!】「闘う」コマンド選択欄を作る。(動作するコマンドはまだ「戦う」だけ。「逃げる」「魔法」などは後回し。) の様に完了した項目を後回しにしたり、あるいは *【完了!】戦闘画面のメッセージ表示欄および標準メッセージを作る。 *【完了!】「闘う」コマンド選択欄を作る。(動作するコマンドはまだ「戦う」だけ。「逃げる」「魔法」などは後回し。) *(現在→) Visual C++ でのランダム計算のとりあえず出来る方法について調べる。 *主人公1人用の「戦う」コマンド用のダメージ計算システムを作る。 *主人公以外の味方キャラのぶんの表示欄も戦闘画面に追加する。 *味方キャラが素早さ順に行動する処理を作る。 のように、(現在→)、を追加するのも良いでしょう。 つまり作業の記述をそのままに、どこまで進展しているかが分かる様に書き足していくわけです。 ==プロトタイプ制作における創作面の検討事項== ===ゲーム性=== 「ゲーム性」という概念があって、これがあるからこそゲームは面白く、魅力的だと考えられています。 プレイステーション開発元のソニーもこれを重視していますし、一般的に多くのゲーム愛好者、関係者たちもその考えに同意するでしょう。 ではゲーム性とは何か? ゲームのジャンルにもよりますが、「駆け引き」や「戦術」、これが「ゲーム性」だとよく言われます。 『ゲームプランとデザインの教科書』によると、ゲーム性とは、シューティングやアクションでは「対戦の駆け引き」、RPGでは「戦闘と物語の介入」、シミュレーションゲームなら「戦略性」だそうです<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P152</ref>。 ただし上述の書籍によると、1990年代は今よりもゲーム性とシステムが重視されていたとの説明があるので、裏を返せば2010年以降の現代では、ゲーム業界ではゲーム性の重視の比率は1990年代よりも減っているかもしれません<ref>『ゲームプランとデザインの教科書』、P302</ref>。 『ゲームプランナー入門』(吉冨賢介 著)では、ゲーム性とは「課題や挑戦の仕組み」であると結論づけています<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P36</ref>。そして、この達成感こそが「ゲームならではの面白さ」だと述べています。 ;アクションパズルゲーム「I.Q」 メディアクリエイターの佐藤 雅彦氏(「だんご3兄弟」や「ピタゴラスイッチ」等を手掛けている)が、初めてかかわるコンピュータゲームで、ソニー・コンピュータ・エンターテインメントとの共同企画で、のちに「I.Q」(1997年にシリーズ第一弾を発売)と呼ばれるシリーズに携わった時、プロトタイプが全くゲーム性のないものになってしまい、それをプレイしたソニーの幹部陣の顔色が非常に曇ってしまったようです<ref name="br67">川村元気『理系に学ぶ』、ダイヤモンド社、2016年4月21日第1刷発行、P.67</ref>。 ここでの悪い反応、薄い反応の理由がわからなかった佐藤氏が、階段の踊り場でソニーの新人に尋ねてみると、「それが、あの、ゲーム性がないっていうか・・・」と言われたと出典の対談集に書かれています<ref name="br67" />。 基本的に佐藤氏は、プロトタイプの企画を提案しただけですが、ソニーにはプロトタイプを作るための部署があるらしく、1~2ヶ月かけてそこでプロトタイプが作られたようです。 この問題の責任が誰にあるかは、大した重要な事ではありませんが、商業作品としてプロトタイプを作る以上は、どこかの段階でゲーム性を意識して、プログラムに盛り込む工夫が必要になるでしょう。 ===ゲームの見た目とは?=== ふつうゲームのプレイヤーは、まず最初にそのゲームの「見た目」を判断し感受するでしょう。ですからその見た目のインパクト、興味を呼び起こす構成が必要になります。 例えばスーパーファミコンRPG『新桃太郎伝説』では、開発当初はドラゴンクエスト5 のようなマップ画面のトップビューUIでしたが、開発中にクォータービューの他社製RPGが発売されて高い評価を得たので、マップUIを(トップビューではなく)クォータービューに作り直したようです。このことは攻略本『新桃太郎伝説 究極本』に開発裏話として書かれています。 一方現在でもこの方向の試みは重要なようで、書籍『ゲームデザイン プロフェッショナル』の著者は、他企業の製品の画面と、自社の製品を目で見比べる分析方法で、自分たちの製品のUI の問題を見出しています<ref name="gdp199">『ゲームデザイン プロフェッショナル』、P199</ref>。 割と素朴で単純で即物的な見た目、「かっこいい」とか、「ぱっと見派手」等の要素が非常に重要なようです<ref name="gdp199" />。 商業としてゲームを作る以上は、ペイしなければ企業も事業の継続も維持できませんから、考慮せざるを得ない問題ではあります。 == ゲーム開発ツールを使う場合 == === 開発ツールのライセンス条件 === ゲーム開発ツールのなかには、そのツールで開発したゲームソフトに義務として「この開発ツールで開発したソフトウェアは、ソースコードを必ず公開しなければならない」などの条件をつけている場合があり、このような条件を「開示義務」(かいじ ぎむ)または「ソース開示義務」などといいます。 ソース開示が嫌な場合は、開示義務のあるツールは使わないのが正解です。 ゲームに限らず、ソース開示を義務としている開発ツールは多くあるので、ライセンスには気を配る必要があります。 「有料ソフトの販売を禁止」とか「アダルト作品の開発は禁止」などの条件をつけている場合も、ありえます。 ですからゲーム開発において、ツールのライセンス条件の確認は、非常に重要です。 {{コラム|GPLライセンス違反| GPL(ジーピーエル)というライセンスがあって、Linuxなどのオープンソースで使われています。このGPLを組み込んだプログラムは、ソースを公開しなければいけません。 ですから、ソース公開したくないプログラムには、GPLソフトウェアは組み込めません。 ゲーム業界でも、GPLライセンスのソフトウェアを組み込んでしまったために、呼出し元ソフトウェアでのソースコードの一部を公開することになったゲームがあります。2005年頃、『ToHeart2』という美少女ゲームが、xvidというGPLソフトを取り込んだ疑惑によって、GPL違反の疑いでソース公開になりました。([[w:ToHeart2#GPL違反とソース公開]]) GPLでも、たとえばLinuxサーバ上でソース非公開のアプリを動かすように、GPLのソフトウェアを非公開ソフトとは独立した状態で使う場合は、ソース公開の必要はない、と、考えられています。(これが必要有りとなると、オンラインのプログラムやネットゲームは全てソース公開しなければならなくなり、非合理な結果になる。) 特定のプログラム自体に、GPLソフトウェアのコードを取り込んだ時、ソースコード公開が必要になります。 }} {{コラム|BSDライセンス他| オープンソースの中には、どのような利用法であっても、利用者にソース公開を求めないライセンスもあります。BSDライセンスとMITライセンスはソース非公開で利用できます。 ゲーム制作ツールの吉里吉里Zは、修正BSDライセンスで公開されています。 もしライセンスのことがよくわからない、またはライセンスの学習に時間をかけたくないなら、オープンソースのツールを使うなら、BSDライセンスを使うのが安全です。 }} [[w:DXライブラリ]]は、GPLでもBSDライセンスでもありません(DXライブラリ説明書「DxLib.txt」には、どこにも「GPL」とも「BSD」とも書いていない)。DXライブラリは単にソースコードが公開されていて、著作権者の「山田 巧」氏が著作権を保持しているオープンソースなライブラリです。 このように、ネット上でソース公開されているソフトウェアには、ライセンスの複雑な解釈を嫌ってか、「BSD」や「MIT」などのライセンス条件を名乗らないオープンソースソフトウェアもあります。 {{コラム|自作ソフトでソース開示| 昨今ではオープンソースやフリーソフトウエアの発展などの背景もあり、「自作ゲームのソースコードやソースファイルも開示しよう」と思うゲーム作者もいるかもしれません。 しかしソースコードを開示していることが原因でトラブルに巻き込まれる場合もあるかもしれません。自分の作ったゲームのコードが悪用され、トリッキーないたずらや嫌がらせ、誹謗中傷などを受ける可能性も全くないわけではありません。 そこでライセンスに、利用による損害に対する保証が無いことを明示するのは、ある程度有効でしょう。大抵の著名なフリーソフトウェアライセンスには、この条項があります。他者の悪意を完全に防ぎ失くすることは難しいのですが、ある程度の対策は見出されていますし、自身でも見出していく必要があるでしょう。 }} ==== 開発ツールを使用しないという事 ==== 下記の理由(機能制限および移植性の悪さ)の問題から、あまり大規模な作品は開発ツールでは作らないでおくのが安全です。 大規模な作品の場合、Visual C++ などでコードを書いて開発することを推奨します。 ===== 機能制限 ===== ゲーム開発ツールを使う場合、そのツールにもよりますが、「○○ができない」、つまり特定の目的を果たすための機能を持っていない場合があります。 Visual Basic や Visual C++ には普通にある関数でも、開発ツールには無い場合も多い。 また、もし、いったんはゲーム開発ツールを使って目的の機能を持ったシステムを作ったとして、さらなる機能をそのシステムに追加しようとするときに、大幅な作り直しが必要になる場合があります(拡張性の悪さ)。 システムがモジュール化されていても、そのモジュール部分では大きく改変する必要がある場合もあるでしょう。 ですからゲーム開発ツールによるゲーム制作では、あまり大作を作ろうとしないほうが安全です。開発ツールで作る作品は、比較的に小規模な作品に、とどめておくことを推奨します。 Windowsの場合、本来なら Visual C++ などを使って、プログラム文法のいろいろな事に留意しながらプログラムを書きますよね。開発ツールを使う場合、 Visual C++ のコードを書かずに、ほぼマウス操作だけでプログラムを作ろうとしているわけですから、何かしらの制限があります。拡張性の悪さは、プログラム文法などの学習の負担を減らすためのトレード・オフのようなものです。 ===== 移植性の悪さ ===== また、もうひとつの問題点として、C言語など一般のプログラム言語への移植性の悪さがあります。 ソースコードが公開されていない開発ツールの場合、異なる開発環境にゲームのソースファイルを移植するのは、ほぼ不可能です(仮に、開発ツールのランタイムを模倣できたとしても、著作権などの法的な懸念が生じる可能性あり)。 ゲーム開発ツールで作ったソースをVisual C++のソースに置き換えるのは簡単にはできない。ほぼ全面的に新たに書くことになるでしょう。 == イラストレーター・デザイナー == ゲーム制作、業界において、イラストや音楽を作る部署、人物は、まとめて、"アーティスト"と呼んでいるようです。 ゲーム界の場合「デザイナー」というのは、プランナーやディレクターのことであり、管理職的な設計者のことで、美術的なクリエイターではない場合がある。美術的なクリエイターも同音異義語でデザイナーと呼ぶ場合もあるが、本wikiでは区別のためアーティストという言葉を用いる。 映像関係、画像系のアーティストはグラフィッカーと呼ばれることもあります。ムービー担当者、特にゲーム界では3D-CGの制作者をアニメーターと呼ぶことが多いようです。アニメーション業界では主に、手描きの原画、動画マンをアニメーターと呼びますが、最近は3D-CGアニメーション映画も多いので、すこし状況が変わっているかもしれません。 ゲーム業界とアニメーション業界、各会社企業、過去と現在で、「原画」「仕上げ」「絵コンテ」等、一般的な作業に関する言葉が、それぞれの状況で微妙に違った意味で使われることも多いので、それそれ自分の所属する状況に適した言葉の使い方を考える必要もあるでしょう。 ==操作性== 操作性について、親指と人差し指<!-- ←ここ,中指って書いてあったけど,こっちだよね? -->だけでボタンプッシュなどの操作ができるように作成するのが基本です。中指、小指、薬指はコントローラのホールドに使うぐらいです。人間工学的に、小指や薬指は力が弱いので、微妙な操作には向かないことが知られています<ref>川上大典ほか『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.48</ref>。 一般的にゲームプログラミングでは、 # プレイヤーからの入力を扱うことができる。 # ゲームが提示する内容を表示することができる。 入力と出力、この2点が機能として必要になります。 プログラミング言語とプレイヤーからの入力については歴史的にも、あまり変化がありません。言語では主に[[C言語]]、[[C++]]が用いられる。[[w:携帯電話|携帯電話]]向けのゲームでは[[Java]]が利用されましたが、これは携帯電話を提供する各社がJavaをアプリケーションの言語として選んだことによります([[w:iアプリ|iアプリ]]、[[w:EZアプリ (Java)|EZアプリ]]、[[w:S!アプリ|S!アプリ]]などを参照)。現在でもAndroidなどのスマートフォン向けでは、Javaが使われています。 パソコンゲームでは、プレイヤーからの入力には通常、キーボードかマウスを利用します。他に[[w:ジョイスティック|ジョイスティック]]や[[w:ゲームパッド|ゲームパッド]]が利用される場合もあります。家庭用ゲーム機では[[w:コントローラ|コントローラ]]が利用されることが多いのですが、[[w:ニンテンドーDS|ニンテンドーDS]]や[[w:Wii U|Wii U]]では[[w:タッチパネル|タッチパネル]]、[[w:Wii|Wii]]では複数の入力機器が提供されることが発表されています。各種入力機器をプログラムから扱う手法自体は、普遍性があり、入力機器ごとに大きく変化しない、と、考えられています。[[w:デバイスドライバ|デバイスドライバ]]、[[高等学校情報B]]には、プログラムから周辺機器を扱う方法について多少の記述があります。 画面表示のうち、3Dの表現は割合難しく、ある程度の数学(高校、あるいは場合によってはそれ以上)の理解が必要でしょう。2Dに関してはプログラムの面では、さほど難しい部分はありません。 == 処理速度の問題 == 基本的にプログラミングでは、関数を使って、処理をコンパクトにまとめ、定数ではなく変数で柔軟性のある操作をすることが求められますが、ゲームの場合は、この構造のせいで処理速度が低下することがあります。 現在のCPUの性能、速さはかなり高くなってはいますが、プログラム処理は無限に煩雑化できますから、やはり高度な処理を短時間でなすことが求められます。特にゲームは、リアルタイムの反応のタイミングが非常に重要ですからね。数学の指数計算についての雑学で、「新聞紙を42回おりたたむと、月に届く距離になる」というものがあります。(新聞紙の厚さ)*2^42、です。もっとも新聞紙の物性から言って、ほぼ不可能な操作ですが。コードの内容、組み合わせによっては、このように計算量が指数関数的に膨大になってしまい、処理速度が非常に遅くなってしまう場合があります。 ですが、このセクションで後述するように、関数を用いる場合の解決策(※概要:あとでdefineやinlineに置き換え)があるので、プログラミングの初期のほうは、とりあえずバグを未然防止するために関数を活用するべきでしょう。 1980年代頃のファミコンなど古い時代のゲームでは、ストレージ容量(ハードディスク容量のこと)が、ボトルネックでした。「容量不足でイベントをいくつか削りました」と、当時のRPGなどのゲーム作家が述べるのは、ストレージ容量の不足のことでしょう。ただ当時のファミコンはROMカセットでハードディスクは無いので、まさにストレージ容量という言葉が適切でしょう。 しかし2010年以降の現代では、ボトルネックになっている要因は、ストレージ容量不足よりも処理速度です。 ゲームプログラミングに要求されるコード特性は、科学計算ソフトウェアや金融プログラミングなどの手法とは異なります。情報工学・情報科学で適切とされる「構造化プログラミング」などの歴史的に発展してきたプログラミング・パラダイムの理念とは反するようなコード開発方針になる場合もあります。 ;ツクールなど制作ツール RPGツクールの制作元のカドカワ(アスキー社→エンターブレイン社→カドカワ(かつての「角川書店」) )では、PRGツクールでのアクションゲーム開発は推奨していません。アクションゲームの場合は、同じカドカワの「アクションゲームツクール」で制作するよう、薦めています。 アクションゲームとターン制RPG では要求される特性が大きく異なり、なかには、ほぼ対立しているような性質もあります。 ツクールやウディタでも、万能にあらゆることがスタマイズできるわけではなく、その制作ツールの特性に依存しますし、基本的に主に処理速度の低下しない部分について、ユーザが創作できるようになっているでしょう。 多くのRPG制作ツールはマップ操作や戦闘画面の基本システムのルーチンそのものは、初学者にはあまりカスタマイズできません(カスタマイズにはかなり高度な技術が必要でしょう)。画像や音楽は挿入できますが、例えば戦闘プログラムなら、「コマンド」の命令文など一部の派生的な部分だけが独自に作れる程度。 ですから、ツクールでどうしてもアクションRPGを作りたい場合、基本システムの改造はかなり困難だろうし、別途、アクションRPGのような動作をするマップイベントを作成する・・・ぐらいでしょうか。 ツクールやウディタでターン制RPG以外のジャンルを制作するのには、実質的には限界があり、さまざまな制約が生じます。 ;C++での具体的な手法 初期段階では関数や変数を活用してプログラミングし、処理速度を高める必要がある箇所にだけdefineマクロ等を用い別の方法に置き換える。C++ならinline関数という機能もあります。 通常の関数で記述していったソースコードを、あとから一括変換などでdefineマクロやinline関数などに置き換えることは比較的に容易です。 また、関数を経由しているので、マクロを使った場合でも比較的にバグが混入しづらくなっているかもしれません。(defineなどの前処理指令マクロは、用いるとバグを発見しづらいので、なるべくマクロの利用を避けるべきなのが、ゲームプログラミングに限らないプログラミングの定石です。) 一方、まったく関数を使ってないコードを、あとからdefineマクロなどに手作業で置き換えるのは、なかなか面倒です。 最終的には一括変換で置き換えることが出来ますから、途中の段階では、処理速度を気にせず関数を使うのがいいでしょう。 なお、defineマクロは、値の置換以外には用いないのが、プログラミングの定石です。このため、たとえば黒色RGB値の<code>10,10,10</code>といった配列にdefineマクロを使うべきかどうか悩みますが、とりあえずなるべく値周辺にだけdefineマクロを適用するようにするようにするのが良いでしょう。いっぽう、一般の命令文をdefineマクロで置き換えるのは、避けるべきでしょう。 たとえば、処理に0.5秒ほどの時間の掛かってもかまわないような場所は、どんどん、関数に置き換えていっても良いかもしれません。 アクション性のないゲームなら、関数をぞんぶんに活用できます。 ターン制RPGやシミュレーションゲーム、アドベンチャーゲームなど、関数を活用しやすいでしょう。 一方、アクションゲームなどでキャラクター操作中のコードのように頻繁に使って、しかもそのゲームの中心的なコードなら、そこは最終的には関数にしないほうが良いかもしれません。 このように、ゲームのジャンルによって処理速度に対する必要な水準が異なりますので、プログラミング時における関数などの利用の方針も異なります。 以上のように、何でも関数にすることは避けるべきです。関数は処理速度の問題がありますので、必要性のある部分だけ関数にするべき。関数を使わなくても、for文やif文などのブロックの構成を適切に組み合わせることで、コード中のmain関数以降の部分でコード共通化できることは色々とあります。 「共通性のあるコードだから」といって、大して長いわけでもないコードを関数に置き換える事は、速度維持には寄与せず、ゲーム制作のプログラミングとしては、悪手となるでしょう。 === 2Dの画面出力 === 画面出力の場合も入力機器の場合と同じで、これらを操作する方法はOSごとに異なっています。先ほどあげた GTK+, Qt, SDLなどのライブラリはクロスプラットフォームの画面出力を提供しているため、これらを利用することで全てのプラットフォームで動くプログラムを作ることができます。<!--画面出力を扱うためには近年の[[w:ビデオカード|ビデオカード]]の発展についても見る必要があります。しかし、ビデオカードの機能は2次元の描画に関してはあまりあらわには見えないので、この話題は3次元の描画を行うときに再び戻ってきます。--> * [[ゲームプログラミング/ブロック崩し]] * [[ゲームプログラミング/画面出力]] ==目次== === ジャンル別のプログラミング手法 === ==== 3Dグラフィック ==== * [[ゲームプログラミング/3Dグラフィック]] * [[XNAを使用したシンプルな3Dゲームの作成]] ==== RPG ==== * [[ゲームプログラミング/RPG]] ==== アクション ==== ※未作成 ==== パズル ==== ※未作成 ==== シミュレーション ==== ※未作成 === ゲームのデバッグ === * [[ゲームプログラミング/デバッグ]] === 入力 === OSの種類によって、キーボード入力やマウス入力の受け付けのさいのプログラムの書き方は違う。 Windows API での具体的な手順は『[[ゲームプログラミング/入力]]』で説明する。 === ゲームエンジン ※未完成 === * [[ゲームプログラミング/Unity]] ※リンク先ページの編集者が現状ではUnityの著作・調査を放棄中なので、調べ物としては役立ちません(2021年12月19日に本文を記述)。 === 非プログラミングのゲーム製作の関連作業 === ==== バランス調整 ==== *[[ゲームプログラミング/バランス調整]] 厳密にはプログラミングの話題ではないが、ゲーム製作では必要な知識なので、サブページで説明する。 :※ゲームデザインに関する記述をここに集積し分離したい、という編集者の意図もある。 ==== ゲーム用の書類の書き方 ==== 説明書や仕様書(しようしょ)の書き方については、『[[ゲームプログラミング/書類]]』で解説する。 == 未分類 == ===Visual C++プログラムによる文字画像の出力=== Visual Studio付属のフォームデザイナ(VSの用意するGUI自動作成ソフト)によるGUIオブジェクト作成では、RPG用には使いづらい。いや、ひょっとしたら上手に使う方法はあるのかもしれないが、様々な理由で難易度は高い。 そこでまず、Visual C++で、フォームデザイナをなるべく使わずに文字や映像を出力する方法を考える。 選択肢は、幾つかある。 1. フォームデザイナを1つも使わない方式 *Windows APIで入力していく方法。(Wikibooksに『[[Windows API]]』の入門書があります。) *DirectXで入力していく方法。DirectX自体はWindowsAPIを利用している。 2. 1つだけフォームデザイナのパネルを使う方式 *フォームデザイナで「パネル」という画像表示機能のコンポーネントを一つ用意して、そのパネルで表示する画像をゲーム内のストーリーなどに応じて切り替えるだけで、すべての画像表示を行う。 フリーソフトでゲーム用ライブラリの『HSP』はWindows API を呼び出す仕組みになっています(HSP関連のサイトを見ると、Win APIプログラミングの解説をしている場合もある)。 フリーソフトでゲーム用ライブラリの『DXライブラリ』は Direct X を呼び出す仕組みになっています。そして、ゲーム開発ツールのひとつであるウディタのソースコードは、DXライブラリとVisual C++ を使って書かれていると、作者が公表しています(ただしソースコードは非公開)。しかし、ウディタを用いたRPGプログラミングでは DXライブラリによるコーディングはしない。ウディタにはコード入力の機能は無く、マウス操作や、キーボード操作、キャラ名称や会話文などのテキスト文字や数値の入力のみに対応している。 ===乱数=== そもそも乱数とは何かという問題があるが、それは高度な数学的な議論になるだろうから、我々はその問題には深入りできない。 ゲームにおける乱数的な処理では、事実上ランダムな値にならず、演出や調整のためにアルゴリズムが介入している場合も多い。例えばゲーム中のくじで「外れ」続くと、当たり確率が変動し、次からは当たりやすくなるアルゴリズムなども良く使われる。<ref>『ゲームプランナー集中講座』、P232</ref>。 ゲームは娯楽であり、実用目的のシミュレータではないし、アルゴリズム介入で、確率的にもいんちきが多いので、あまり厳密なランダム性が問題になることは少ないだろう<ref>『ゲームプランナー集中講座』、P231</ref>。 例えばさいころというのは典型的な乱数器だし、ゲームにもよく使う物だろう。 ゲーム「桃太郎伝説」シリーズの開発者のさくまあきら氏、ハドソン社が、参考として他社RPGであるドラゴンクエストの乱数を真似しようとして分析したところ、初期ドラクエが戦闘ダメージのゆらぎについて高度な計算を使って実装していると思った部分が、実際には簡単な疑似関数だった(伝聞としてそう聞いた)、という開発談もあります<ref>[https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/momotetsu] 2022年3月19日に確認. </ref>。 無印C言語には標準的乱数関数 rand()があるが、これを乱数発生に使うことに批判的な意見もあるし、機能もやや不足していると見れる。 Windows64bit では int rand(void) の出力は 32bit 整数だろう。まず stand関数で初期化してから rand()を呼ぶごとに疑似乱数が帰ってくる。これの複数回の連なりが乱数列だね。帰ってくる値は0 以上 定数RAND_MAX の値以下。 例えばさいころの数値が欲しいなら、rand の返り値を6で割った後、余りに1足せば、とりあえずそれらしいものはできる。 RAND_MAXは rand()の属性として定数が与えられているだけだから(Windowsで0x7FFF)、この値の変更はできない。 まあこれでもそこそこいい加減な乱数として機能するだろうが、最近ではもう少し改良された、質の高い乱数関数もある。 また、改良された乱数関数は、乱数の範囲も指定できるから何かと使い勝手が良いし、バグを防ぐ効果もあるのだろう。 <syntaxhighlight lang="cpp"> Random^ saikoro1=gcnew Random();// Random^ でRandomクラスの変数を作っている。gcnewはインスタンスをつくるための演算子。 int detame; detame=saikoro1->Next(1, 7);// Next メソッドで「〇〇以上△△未満」の乱数を指定できる。「->」はメンバーアクセス演算子。 MessageBox::Show("目"+detame.ToString()+"が出ました。"); </syntaxhighlight> ↑例えば上述のコードは前編集者が示したものだが、これは .NETプログラミングですね。.NET のSystem::Randomクラスを使っている。.NETのクラスは普通、C#かVisual Basic で利用するので、Visual C++で使えるようにするには結構面倒な手管がいるが、その辺は読者諸兄、ヘルプやネット情報を参照して、適宜辿り付いてほしい。 C++ の場合はむしろ、 #include <random> を宣言してそこで使える関数を使用するほうが簡単でしょうね。この場合でも、乱数としての精度も高いし、帰り値の範囲指定もできる。 ===画像のちらつき=== 画像がひんぱんに変化するアプリでは、画面が、ちらつく事がある。画面のちらつきは、ゲームのように、画像を凝視するアプリでは、かなり利便性を損なう。 キャラクターが1歩移動するだけで、画面全体がちらついたりする場合もあり、かなり、プレイヤーの不満になる。 これは、ダブルバッファ(「裏画面」と、良く言われる)という技術で、解決を図る。 Direct Xの用語では「スワップ チェーン」と呼んでいる。 .NET Framework開発環境の C++や C#でもダブルバッファの機能があると解説されている。いくつかのGUIオブジェクトのプロパティで、ダブルバッファの設定項目がある。 しかし前編集者が実験したところ、この機能を有効に使って確認することはできなかったとの指摘がある。ひょっとしたら何らかのマイクロソフトの解説に間違いがあって、工夫次第では利用できるかもしれないが、少なくとも今現在のこのページでは、その問題に関するリファレンスは提供できない。 そこでやはり、以前の項目と同様、Win32 API または DirextX の利用をこのページでは考えたい。 前編集者は、.NET Framework のフォームデザイナでは、ちらつき自体は解決できそうだが、グローバル変数の共有が困難だったり、アプリ内から終了コマンドが使えない、などの難点があると指摘している。 ただ現編集者はこの2点に関しては、解決策はあると思うが、しかし特に調査はしない。 前編集者は、.NETプログラムでゲームを作る難点をいくつも上げているが、おそらくどれも、.NET の仕様や全貌に精通すれば解決できるように思えるが、そもそもその全貌がかなり広大なので、解決の道のりは長いだろう。 == セーブ・ロード・データベース == === セーブ機能とロード機能の作り方 === 数値(HPなどの各種パラメータ現在値)や文字列(例えば、プレイヤーの作成したキャラクターの名前)や現在地やフラグ状況などなど、セーブの機能は欲しい。一番簡単な方法は、C言語の fopen 関数のテキストファイル書き込み機能で、テキストファイルとしてセーブすることだろう。 Windows API には CreateFile関数 があるが、テキストファイルでの素朴なセーブは一番簡単で単純なセーブ法だろう。そしてテキストファイルを読み込んでプログラムに各種変数を配置して、ロードとする。 書き込みとしては、一番単純なC言語記法では、fprintf ですかね。C++としての書き込みをしてもいいし、読み込むのも、一番基本的な方法で。基本Cだとしたら fscanf で、この関数でテキストの数値も変数として読み込めるはずです。場合によっては atoi関数 で文字列→数値の変換をすることもあります。 基本的にデータファイルは、OS もアプリケーションも、テキストファイルとバイナリファイルの2分類で考えるでしょう。実際にはテキストファイルもバイナリの集まりですが、慣用的、伝統的にテキストファイルだけ特別視することが多い。 バイナリファイルでもデータとしてのファイルと、OS が機械語または何らかの仮想的な機械語として扱う実行ファイルがある。それらのバイナリは種類に応じて多くは冒頭にファイル識別子の情報があるだろうし、OS や アプリケーション側で工夫を凝らして、特定の条件を満たす場合しか動作しないようにしているだろう。そしてバイナリファイルを扱うときは、セキュリティの安全性も考慮するだろう。 基本的にプログラム側は何でもありだが、識別子の判別その他、ある程度様々な考慮をしないと、困った事態が起こり、プログラマーが責任を問われることも起こるかもしれない。 市販のパソコン用ゲームや同人ゲームでは、テキストファイルではなくバイナリでデータ保存するゲームの方が圧倒的に多いだろう。その方がそれらしいしかっこがつく。ゲーム開発ツール側自体も、そうなっている場合が多い。RPGツクールもウディタも、セーブデータの形式はバイナリ。 テキストデータは基本エディタで開けるが、バイナリデータも内容によっては結構ぐちゃぐちゃの状態で開ける。バイナリデータはバイナリエディタで開ける。バイナリエディタのリードオンリーモードやバイナリビューアみたいなものがあれば、データを壊さないで結構安全にデータ調査できる。 データ内容を秘匿したければ、バイナリ化だけではなく、暗号化も必要になるかもしれない。 === 機能の整備 === セーブ&ロード機能の実装時には、まずセーブ機能から作るのがやりやすいという。 しかし最終的には関係関数の整備は、ロード機能が基盤となるだろう。 データや変数を、一定のスタイルでセーブして、一方で正しいスタイルでロードする、この機能が必要なわけですよね。 シリアライズされたデータを、型を決めたうえで配置しなければいけないから、ロードのプログラムの方が複雑に、面倒になる。 結局データのシリアライズは、ロード機能が基盤となり、その機能の作りやすさが、セーブ機能の作りやすさも支配するようだ。 == ゲーム中の特殊イベント == *[[ゲームプログラミング/特殊イベント]] RPGやシミュレーションゲームで、1回しか起きない特殊イベントを作りたい場合もありますね。例えば日本の中世の戦国シミュレーションゲームで、「桶狭間の戦い」が3回も起きたら困りますよね。まあ起きるなら起きてもいいけどね^^。信長君には敦盛を3回舞ってもらいましょう^^。 さて、リンク先ではその話題についての叩き台、「こうプログラミングしたら、いいんじゃない?」、という事を説明しています。 ==スケジュール管理== [[File:Tokai Hairo.jpg|thumb|500px|ガントチャートの例:東海発電所の廃止解体工程]] 個人でゲームを作る時にはあまり考慮しなくていいのですが、シビアな仕事の世界では、スケジュール管理表が良く使われます。 「作業責任分担表」(TRM:Task Responcibility Matrix)といわれるスケジュール表から、それをグラフ的に図示したガントチャートといわれる表を作って、その表を見て作業計画を判断する<ref name="gpd65">川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.65</ref>。 {|class="wikitable" style="float:left" | 仕事 | 担当 | 状態 | 開始 | 終了予定 | 終了日 |- | 仕事1 | 田中 | 済 | 2021/10/03 | 2021/10/10 | 2021/10/10 |- | 仕事2 | 田中 | 仕掛 | 2021/10/11 | 2021/10/13 | |- | 仕事3 | 鈴木 | 済 | 2021/10/05 | 2021/10/08 | 2021/10/08 |- | 仕事4 | 山田 | 未着手 | 2021/10/13 | 2021/10/17 | |- |} {{-}} ガントチャートでは普通、横軸に日程をとります。 商業ゲーム界でもガントチャートの横軸は日程です<ref name="gpd65" />。 ガントチャートとして図示することで、ボトルネック、リスク要素、直感的にスケジュールの詳細や全体像が理解しやすくなります<ref name="gpd65" />。 スケジュール管理のための、現実的、習慣的な工夫ですね。 このTRMとガントチャートは、IT業界だけでなく建築工事でも使われ、これを利用したボトルネックの洗い出しも、建築学の教科書に記述があります。 住宅の新築やリフォームをする時、建築業者がこの表を提示して、見せてくれることもあるでしょう。 業界人ではなくとも、こういう慣習を知っておくと、得るものがありますよね。 ==ストーリー制作、そして順序== ゲーム界、特に商業ゲーム界では、ストーリーもゲームも全体から作っていくようです。アトラス社(ペルソナシリーズ、女神転生シリーズ、などを手掛ける)では、「ゲーム全体に血を回すのが先」、という言葉が良く言われていました<ref>[https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/191030a/2]2020年12月1日に閲覧して確認.</ref>。 プレーヤーが見たいのは、物語の細部ではなく、ゲーム全体のストーリーやテンポ、総合像である、とは限らないのだが、しかし物語を含む創作物では、全体を見て重視し、そこから作っていくのはある意味王道、常套手段ではあります。 ちなみにやや雑談的ですが、日本の週刊漫画は、その週その週での勢いや読者の興味の引き付けも大事なので、全体がないのに、その場その場で場当たり的に作られた事も多かったようです。 現編集者が聞いたことのある話では、週刊少年ジャンプで連載していた本宮ひろ志氏が、不良少年物の漫画で、敵の不良少年グループと1対1000の喧嘩になり、さあいよいよ対決場に着いて勝負だってところで以下次号にし、そして実は本宮氏はその続きを全く考えていなくて、考えてみたけどどう考えてもどう描いていいかわからない^^;;;、そこで仕方ないのでイライラして近所の酒場に飲みに行き、そしてイライラしたままそこの常連達とあり得ない大ゲンカして^^;;、そのままボロボロになって家に帰って、2時間で次の号の漫画を描き終えた、と、本宮氏自身がメディアで語っていたのを聞いたことがあります。 さて、コンピューターゲームである以上、ゲームのストーリーはシステムと連携、調和したものになるでしょう。 そこで、ゲーム作家として、システムを先に決めた後ストーリー、そういう方法論の作者も多いようです<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.306</ref>。 とにかく商業ゲーム界では常識的に、全体像から攻めていく。 例えばドラマ脚本では、「ハコ書き」という方法がある。全体像に当たる「大ハコ」を記述してから、「大ハコ」→「中ハコ」→「小ハコ」と記述していく<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.184</ref>。 しかし、本当にすべてのゲーム制作は全体から作る必要があるのか、という疑問はありますが、その方法論に従うとすると、 :*エンディングを大まかに先に作る :*機能の実験を簡易でいいので事前にしておく(※プロトタイプの項目を参照) :*使用頻度の高い部分から作る などの工夫を凝らして、常識的な方法を遂行していくことになるでしょう。 或いは、アルファ版(α版)を中盤から作り始めるとか…<ref>吉冨賢介『ゲームプランナー入門』、P17</ref>。α版の製作目的の一つとして、そのゲームが本当に面白いかの検証がある。面白くないと判断したら、制作中止もある。最初からではなく中盤から作ると、ゲームの全体像が見えるので、検証、判断がしやすい。 つまり全体から攻めて、細部やゲームが作られていくわけですから、必ずしも冒頭部から作り始める必要はないわけです。 ;エンディングやラスボス戦闘を早めに作る場合 ゲーム作者にもよりますが、商業ゲームシナリオでは、エンディングを早い時期に作る人も多い<ref name="tiomg166">畑大典ほか著『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』、総合科学出版、2020年11月19日第1版第1刷発行、P166</ref>。 システム面についても、先にゲーム全体のクリア条件を決めてから、あとから各ステージの条件を決めていくことが多いようです<ref>川上大典ほか著『ゲームプランとデザインの教科書』、秀和システム、2018年11月1日第1版第1刷、P.253</ref>。 エンディングの仮の、おおざっぱなシナリオ、そしてキャラクターの性格付けを先に決めておくと、ゲームの方向性と主人公達が目指すもの、ゲームの全世界像が作者やスタッフに明快になっていきます<ref name="tiomg166" />。 基本的に商業ゲーム界では、全体→部分と細部、の構成を進めていきます。 ゲームは必ず最後にラスボスと戦う訳では無いでしょうが、その戦いはゲーム中で最も高負荷になるでしょうし、全てのシステムが集積する場面でもあるので、エンディングを先に作ると、ゲームの最大負荷の検証ができます<ref name="yth">[https://www.youtube.com/watch?v=kAUkSNhH410] 2020年8月30日</ref>。 3Dゲームでは、RPGなら戦闘シーン、アクションゲームならアクションシーンが、一般的に最も高負荷<ref>ntny著『ローポリスーパーテクニック』、ソフトバンククリエイティブ、2010年2月16日初版第5刷、P28</ref>。 負荷が高くて処理が落ちないかどうかも、この方法で確認できます。 常識的、教条的物語手法、そして金と権威を持っている人間の言を神のように崇めるとしたら、たいていの物語は最後の最後が一番の見せ場になると考えられるでしょう。ストーリーを削る必要があるとすれば、最後以外の部分、という事になります<ref name="yth" />。 つまりラスボス戦は削らない。後の部分は削る可能性あり。だから最後を先に作っておけば(作れる範囲で)、もし制作過程で不測の事態が起こっても、重要部分はできているので、早く、上手にリリースできる。 {{コラム|イラスト制作でも順番を考え直すと打開できる場合あり。| イラスト雑誌『コミッカーズ』(1995年季刊夏号)(唯 登詩樹 表紙)での藤島康介のインタビュー 藤島(談):よく若い漫画家さんから相談で、「先生みたいに女性の長い髪を書くとき、毛先を書くのが難しいです。根元は書けるのに」との相談を受けるのですが、 僕(藤島)は髪を描くときは毛先から始めて根元に向かって描いてます。 つまりイラスト初心者は、根元から髪の毛を描きたくなるのですが、ここで長い髪の毛を描く場合はむしろ毛先を先に書いて位置決めして、長い毛を描くと割とうまく描ける。 きれいな女性の髪の毛は、毛先の奇麗さが大事ですからね。 ストーリーを作る時に全体を考えたうえで、必ずしも最初から書くことにこだわらない方がいいように、絵を描く時にも同じ発想が有効になる。例えば機械製図でも、正確に奇麗に書くためあるいは実際の製作のため?、位置決めの優先指示の記法がある。 }} *目標 世の中では目的や目標を明確化せよ、と主張する人は結構多い。現編集者は懐疑的。むしろ他人を自分の都合いいように動かしたいから、その方向を明示したいのだろう。それより、我々の本当の目的と目標は何か、歩みを止めてちょっと考えてみろよ、と、言いたい。 しかし結局世の人たちは目標をはっきり、言語化したがる。ゲームでもそれをすると、プレイヤーがゲームに引き込まれる、と言うが、実際にはそれはゲーム業界のカモになっている、インチキゲーマーだけだろう。 とにかくカモたちは目的を欲しがる。目標や課題がゲーム中で明確になっていないと、疑問だらけになり、ゲームをやめて、業界にお金を落としてくれない。そこで設計の際、各ステージやエリアなどの冒頭で、そのステージの課題や目標などを明示する必要があるという<ref>『ゲームプランナー入門』、P39</ref>。 ファミコンなどの古いアクションゲームではゲーム本編では目標は語られていませんが、しかし説明書などではきちんとそれが語られており、実際にスーパーマリオブラザーズの第1作目の説明書では、目的はクッパを倒してピーチ姫を救出することだと語られています<ref>『ゲームプランナー入門』、P54</ref>。 === チュートリアル・製作順序 === RGBやシミュレーションゲームでは、初めの方は、操作説明のためのチュートリアルイベントになることも多いのですが、ここにも製作順序のポイントは指摘できますね。 基本的にはチュートリアルの細部は後回しにしたい。と、いうのはゲーム本体の仕様変更が、製作過程で頻繁に起こるので、チュートリアルもそれに合わせて後回しにせざるを得ない。 最初の段階でチュートリアルを作りこんでも、仕様変更になれば、その記述自体が不適になる。 当初のチュートリアルイベントがそもそも必要かどうか。説明書、マニュアルに任せてもいいですよね。 基本的にゲーム本体の仕様がかなり変更を含み場当たり的なので、チュートリアルは後回し、早くともゲームα版の時期になるでしょう。 == 昔のコンピューターゲームと技術の発達・変遷 == ゲーム制作の時は、自分が昔プレイして楽しかったゲームを思い浮かべるし、参考にもしますよね。 ただ、コンピューターゲームは明らかに、周辺技術が時間とともに、かなりの速度で発達、変遷していきますし、過去のゲームを参考にすると言っても、精神面、思想面での参考で、技術面ではやはり、最新の情報技術を取り入れたいと、誰もが思うでしょう。 編集者Hの意見 <pre> 前編集者は得意げに、古典技芸の世界では、『師を見るな、 師が見ているものを見よ』と、いう言葉があると宣っていますが、そもそもこの国のゲーム業界では、基本的に金と目先の安易な欲望と私欲しか顧みられないし、そこを支配する知性と教養は、善意や誠意や真理とはかけ離れた、歪んだ論理と無駄に衒学的な詳細しか持たないし、権力をもって威張っている連中は、善性や美などとはかけ離れた安易な偏向した物理主義的な議論に明け暮れている連中なので、師などと呼べる人物に出会うことさえ、至難な事でしょう。 </pre> 別編集者 S の意見 (参考)松尾芭蕉が「古人の跡(あと)を求めず、古人の求めたるところを求めよ」と言ってるようです。『韻塞』(いんふたぎ)が出典らしいです<ref>田中拓也 著『部活でスキルアップ 文芸部 活躍のポイント』、メイツ出版、2023年5月30日 第1版 第1刷発行、P118</ref>。おそらく、古典芸能の格言の元ネタか、あるいはそれを受けての発言でしょう。どちらが先かは知りません。 === スプライト === ファミコン時代の昔のゲーム機には、一画面に表示できるキャラチップ数(敵チップも含める)に上限がありました。 一画面中に表示できる限界は、だいたい、マリオが一画面中に数十人ぶんです。 このように、ビデオゲームで小さなキャラクタを、高速表示する仕組みを、「スプライト」と呼んでいました。マリオのキャラクター表示は小単位のスプライトを複数合成していたようです。 このキャラクター数の制限が、当時はゲームの設計にも大きな影響を及ぼしていたわけですね。 例えばシューティングゲームで、100体の敵機を表示することはできない。 しかしそれなりの工夫はあった。表示のタイミングを変えることで、なんとなく、多量のスプライトがあるように見せることはできた。 つまり、 :1タイミング目では0~10体目までのAグループを表示、 :2タイミング目では11~20体目までのBグループを表示、 して、切り替える、うまく、素早くとか? 上手にプログラムを作ればそこそこ上手くいったようですね。それでも、キャラクターが多いと、一瞬、消えたりしている。 ファミコン上における実際の技術限界の正確な数値は、別の資料を参照していただくとして、あまりあてにならない数字として例えば、横1列上には 8体目までしか表示できなかったようです。マリオは一人で2*2=チップ使っていた。だから横一列では 4体までしか表示できませんね。 例えばシューティングでは、敵機の他に、弾丸などもスプライトでしょう。 マリオが4チップなように、巨大ボスなんかチップ数をかなり使っているでしょうね。 そしてチップ数が多いから、速度が遅くなるのでしょうか、何か我々の昔のゲームをプレイした記憶では、巨大ボスの動きは緩慢でしたよね。 しかしやや脱線しますが、巨大なキャラクターは何となく動きが遅いという我々の固定観念がある一方で、レスラーやヘビー級ボクサーはかなり動きが速い。相手の体が大きい上動きが早ければ、もう勝てないね。座して死を待つしかないか^^;;;。 <!-- すじ肉先輩さー、「ウドの大木」みたいな言葉を得意げに書いてる時点で、あんたは性格悪いし、このサイトでの不適切編集者である証拠なんだよね。--> === 画面描き換えと背景 === ファミコンのマリオの横スクロールでは、例えば地上ステージの空は、青一色で描き換えを行わない。低地の地面の障害物周辺だけを動かしていたようですね。動かす部分はプログラムでの描き換えが必要だし、動かない部分は背景として、描き換える必要がない。 書き換える必要のない背景表示は当然プログラムの負荷も少ないですよね。 ですから昔のレトロゲームの雰囲気や映像、仕様は、当時の技術の制限、影響を受けた上でその形態になっていたという事で、今は技術が発達したので、様々な斬新な映像表現や、演出を駆使できる。 一方で最新の技術を駆使したうえで、過去のレトロな雰囲気を再現、表現するという道もあるでしょうね。 ===アナログテレビのドットのにじみ=== 昔のブラウン管テレビのドットは、にじみが大きい。これはテレビ画面の性質なので、ゲームでも映画でもバラエティでもドキュメンタリーでも、解像度画面としてのにじみは同じように大きい。今の液晶画面が完全ににじみがないかどうかは怪しいが、ブラウン管よりは少ない。 そのため、当時の画像データをそのまま現在のパソコンで表示しても、にじみによるアナログ感がなくなり、荒い画像に見える。当時のゲーム攻略本にあるような写真画像は、同じデータではあるのだが、現在では上手に再現できない。 解像度だけではなく色についても、にじみの色の重なりで、昔の映像の方が豊かな色に見え、現在では雰囲気の再現はうまくできない。 昔のゲームはアナログ技術だからこその、独特の雰囲気を表現していた。 ですから昔のゲームのレトロな雰囲気は、データとしての昔の仕様をそのまま使っても再現できず、むしろ昔の画像写真の資料を見ながら、現在の技術、現在の機材によってその雰囲気を再現することを目指すことになります。現在では様々な画像フィルターも作れますから、そういうものの利用も有効でしょう。あるいは過去のデータ、仕様をそのまま使うなら、それは新たな画像世界になるかもしれません。 過去の低解像度画像を使ったゲームは、レトロではなくむしろ新ジャンルだという指摘があります。 90年代のカラー携帯ゲーム機の画像データをそのまま使って現在の液晶画面に表示すると、当時のディスプレイは走査線が太いので、画面として縦横比が変わってしまう。縦横比を補正すると走査線部分の黒線や余白が入り、それをドットで埋めて補正すると、画面のギザギザが目立ってしまうようです。 つまりディスプレイの性質が90年代と2020年代とで違うので、レトロ画面の再現はかなり困難、最初から目指さない方がいいだろうという意見もあります。 パソコン市場では、1999年ごろからノートパソコンが普及し、液晶ディスプレイも安価で出回ってきた。そこでにじみの少ないくっきりした映像が主流になってきますね。 基本的にディスプレイはブラウン管→液晶と変わり、解像度は大きくなる一方です。 プレイステーション2あたりからは家庭用ディプレイの切り替えが起こり、もはやブラウン管でのプレイ自体がなくなる。 アナログ放送は2010年ぐらいまで続いたでしょうか。しかし家庭ではゲームをするにしても、普通に放送を見るにしても、DVDを見るにしても、ブラウン管から液晶や、プラズマというのもありました、画面の解像度自体も高くなっていく。 そして画像のドットはにじみの少ないくっきりしたものへ変わっていきます。最近はパソコン画面でも、TVでもドットの縦横は等しい正方形ですが、ブラウン管はそうではなかった。 だから、当時はドットで絵を描く時も、長方形ドットです。 しかも、ゲーム機やパソコンの種類、さらにはアーケードゲームの基盤といったハードウェアの種類ごとに、コンピュータ側でのドットの縦横比の管理は違っている(らしい)。このため、移植のたびに、ドットは書き直しになったようだ。 昔は、というか実はいまでも、CGや画像の縦横比が正確ではない映像を見る事はありますよね。 現在のパソコン用のドットエディタ(ドット絵用の画像制作ツール)は1ドットが正方形だが、ファミコン時代は1ドットが(ドット用紙の時点で)少しだけ長方形。(なお、画像制作ツールの作り方については、『[[ゲームプログラミング/画像ファイルの作成プログラム]]』というコンテンツがこのサイトにある。) ファミコンの色数制限は52色から4色×4パレット(1パレットあたり4色)を使えると言われている<ref>[https://mynavi-creator.jp/blog/article/history-of-2dcg-designer] 2021年12月30日に確認.</ref>。しかし実際には、4色のうち1色は透明色として利用される色であり、全パレット共通の色になる(だから3×4=12色が使える)。 スプライトのパレットとは別に背景のパレットがあるので実際にはもっと多くの色数が一画面内で使えるが、しかしその他さまざまな制限があるので、合計で一画面内で25色が使えると言われる(12+13=25)。 論理的には25色だが、ブラウン管のドットの滲みやテレビのアナログな仕様から、結局はなかなか豊かな映像が当時も見れたと言っていいのではないだろうか。 しかしレトロなゲーム機では、さらにメモリ容量やストレージ容量などの制限もあり、仕様上の最大色数を気軽に利用できたわけではないかもしれない。こういう制限もあったからか、ネットではファミコンの色数が「4色」や「8色」、スーパーファミコンの色数が「16色」や「256色」、とも言われることがある。 {{コラム|ドット絵| ファミコンのギザギザのキャラクターの絵は、よく、ドット絵と言われますよね。 ただ、プレイステーション以降、ゲーム機が進化しても、コンピュータの画像はドットのラスターグラフィックだから、ドット単位で絵を描くことは多い。 特に小さい絵、キャラクターやアイコンはドット単位でデザインすることがあります。 しかし言葉の使い方では、ドット絵と言えば昔の、ファミコンキャラクター風のギザギザの解像度の低い絵を指すことが多いでしょう。 現在のドットエディタで絵を描く場合でも、解像度の低い絵が多いですね。ラスターグラフィックも結局ドット単位で解像度が高く、色数が多いだけですが、点密度が高い、アンチエイリアスを駆使した絵は、もはや、ドットというよりはアナログの手描きの絵と言いたくなる。 前編集者はこのドット絵という言葉にこだわって、なんかグダグダ理屈書いていたけど、現編集者にとって何がしたいのか、何を言いたいのかただただ謎ですね。 とにかくドット絵にレトロな意味を持たせても全然問題ないと思うけど…。 子供時代の思い出は大事だぜ^^。 1990年代後半に、岡田斗司夫氏の対談でこういうものがあったそうです。出典はおそらく『マジメな話』。 「アニメの黄金期っていつだろう?」 「70年代かな~。」 「いや、80年代だろう。」 「そうかな~。」 「むしろ…」 「むしろ?」 「…12歳だね^^」 12歳万歳!(^^)/ }} :↑ 他編集者Hが上コラムを上書きしちゃったんで別編集者には書き換えできないんで、別の予備知識を出します。 外食チェーン店のマクドナルドが、子供をターゲットにした商売をしており、子どもの頃に気に入った味は、大人になっても食べ続けるという販売戦略です<ref>[https://www.asahi.com/food/column/nommelier/TKY200711290230.html 『味覚のデータベースは子ども時代に作られる』2007年11月29日 ]</ref>。例えば日本マクドナルドの創業者、藤田田(ふじた・でん)によると「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」と言っています。だから子どもの好きそうな味の料理を作ったり、あるいは子ども向けの定職に、子どもの好きそうなオモチャのオマケをつけたりします。 12歳と言い出した経営者は誰が最初なのか調べても良く分かりませんでしたが、そういう意味の話です。 === テレビとディスプレイの焼き付き === ゲームというのは色数も少ないし、静止画も多い。 ファミコン時代から、同じ色長時間の表示は、ディスプレイの焼き付きを起こすので、常にそれなりの工夫がされていたかもしれませんね。 静止画を避ける、時々背景を変える、背景色を光のエネルギーを持たない黒にするとか… パソコンでは昔からその工夫がありましたね。スクリーンセイバーという機能もある。 とにかく一つのドットに同じ色が長時間表示されると…ちょっと危ない。 焼き付きの問題は昔も今もありますよ。昔のブラウン管は焼き付かないという主張が時々あるようですが、事実ではないでしょう。 現代のテレビ受像機には、焼きつき防止のために「ピクセルシフト」という機能がある。これは画面上の映像の表示位置をタイミングごとに微妙にずらす機能です。こういう機能がすでに搭載されているので、ゲームソフト側で焼き付き防止を必要以上に考慮しなくてもいいらしい。液晶モニターは、焼きつきが起きにくいという。ただし有機ELはどうか。知りませんね。現編集者も前編集者も知らない^^;;;。 == 脚注 == <references /> == 関連項目 == * [[ゲームプログラミング/コンピュータゲームの種類]] * [[XNAを使用したシンプルな3Dゲームの作成]] * [[プログラミング]] * [[w:ゲームプログラミング]] {{DEFAULTSORT:けえむふろくらみんく}} [[Category:ゲーム]] [[カテゴリ:プログラミング]] {{NDC|007.64}}
2006-09-23T07:41:24Z
2024-01-18T10:22:20Z
[ "テンプレート:Pathnav", "テンプレート:コラム", "テンプレート:要出典", "テンプレート:-", "テンプレート:NDC" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0
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Java/基礎/変数と代入演算
プログラミングにおける変数は、値やデータを格納するための記号的な名前です。変数は、メモリ内の特定の場所を参照し、その場所に値を保持します。これにより、プログラム内でデータを操作したり処理したりすることができます。 変数は、プログラム内で使用されるデータの値を表現し、名前を介してそれらの値にアクセスする手段を提供します。また、変数は値を保持するだけでなく、値を変更することもできます。これにより、プログラムが動的に振る舞うことが可能になります。 例えば、プログラムがユーザーの名前や年齢などの情報を取得し、それを後で使用する必要がある場合、変数を使用してその情報を格納し、必要に応じて変更や処理を行うことができます。 Javaにおける変数とは、データを格納する箱のようなものです。変数は、プログラム内で使用されるデータを保持し、それに名前を付けることができます。これにより、プログラム内で値を簡単に参照したり変更したりできます。 Javaでは、変数を使用する前に、その変数の型(データの種類)を宣言する必要があります。例えば、整数を格納する変数の場合はint型、小数を格納する変数の場合はdouble型、文字列を格納する変数の場合はString型などがあります。 変数の宣言は次のように行います: これにより、age、height、nameという名前の変数が宣言されます。ただし、この時点ではまだ値は割り当てられていません。 変数に値を代入するには、以下のようにします: これにより、それぞれの変数に値が割り当てられます。 また、変数の宣言と初期化を同時に行うこともできます: これにより、変数の宣言と初期化を一度に行うことができます。 Javaにおいて、再代入とは変数に新しい値を割り当てることを指します。Javaでは、再代入が可能な変数は、その型がプリミティブ型であるか、または参照型であるかによって挙動が異なります。 変数に再代入された値の型は、変数が宣言された際に指定された型と一致する必要があります。たとえば、int型の変数には整数値を、double型の変数には浮動小数点数を再代入する必要があります。再代入された値の型が異なる場合、コンパイルエラーが発生します。 Javaにおける文字列は、文字のシーケンスを表現するためのデータ型です。Javaでは、文字列はjava.lang.Stringクラスを使用して表現されます。文字列は、ダブルクォーテーション(”)で囲まれた文字のシーケンスとして表現されます。 文字列はイミュータブル(変更不能)であり、一度作成されると変更することができません。つまり、文字列を変更する操作は、新しい文字列を作成することになります。 以下は、Javaで文字列を宣言する例です: この例では、greetingという名前の変数に文字列"Hello, world!"が代入されています。 Javaでは、final修飾子を使って宣言された変数は、イミュータブル(不変)です。final修飾子を使用すると、その変数に対する再代入ができなくなります。つまり、一度初期化された後はその値を変更することができません。 以下は、final修飾子を使って宣言されたイミュータブルな変数の例です: これらの変数AGEとNAMEは、一度初期化された後に再代入することができません。このような変数は、プログラム内で定数として使用されることがあります。 Javaにおいて、final修飾された参照型変数は、変数の参照先(オブジェクトへの参照)が不変であることを示します。つまり、一度初期化された後は、その変数が参照するオブジェクトを変更することはできませんが、オブジェクト自体の内容は変更可能です。 以下は、final修飾子を使って宣言された参照型変数の例です: この例では、final修飾子が付けられたbuilder変数は、一度StringBuilderオブジェクトに初期化された後、その参照先を変更することができません。ただし、StringBuilderオブジェクト自体の内容を変更することは可能です。 Javaにおけるキャスト(cast)は、データ型を変換する操作を指します。Javaでは、異なるデータ型の間で変換を行う際にキャストを使用します。キャストは、変換元のデータ型を指定し、変換後のデータ型に変換するための演算子です。 キャストは基本的に2つの形式があります: キャストを行う際には、変換元のデータ型と変換後のデータ型が互換性があるかどうかを確認する必要があります。 たとえば、数値型同士のキャストや、参照型の継承関係に基づくキャストが可能ですが、互換性のない型同士のキャストはコンパイルエラーを引き起こします。 Java 10以降、Javaにはローカル変数の型推論機能が追加されました。これは、varキーワードを使用して変数を宣言する際に、コンパイラが変数の型を自動的に推論する機能です。この機能により、変数の型を明示的に指定する必要がなくなり、コードの冗長性を減らすことができます。 変数の宣言時に初期化子が提供される場合、その初期化子の型に基づいて変数の型が推論されます。推論された型は静的な型であり、実行時に変更されることはありません。 例えば、以下のようにvarを使用して変数を宣言することができます: varを使用することで、変数の型が明確になる場合には冗長な型の記述を省略できます。ただし、可読性を損なわない範囲での使用が推奨されます。また、varを使用する場合でも、適切な変数名やコメントを追加することで、コードの理解を助けることが重要です。 Java 10以降、Javaにはループ変数の型推論機能が追加されました。 これにより、forループや拡張forループ(拡張for文、拡張forループ)で、ループ変数の型を自動的に推論することができます。 これにより、コードの冗長性を減らし、可読性を向上させることができます。 具体的には、forループの初期化部でループ変数を宣言し、その型をvarキーワードで指定することができます。 この際、初期化式によって型が明示的に指定される場合、その型を推論してループ変数の型を決定します。 拡張forループでは、コレクションや配列を反復処理する際に、ループ変数の型を指定せずに、varキーワードを使用してループ変数を宣言することができます。この場合、コレクションや配列の要素の型がループ変数の型として推論されます。 以下は、forループと拡張forループでのループ変数の型推論の例です: varを使用することで、ループ変数の型を省略し、コードをよりシンプルにすることができます。ただし、適切な変数名やコメントを追加して、コードの可読性を確保することが重要です。 ラムダ式の型推論とは、Javaでラムダ式を使用する際に、コンパイラがラムダ式のパラメータの型や戻り値の型を自動的に推論する機能を指します。つまり、ラムダ式のパラメータや戻り値の型を明示的に指定せずに、コンパイラがコードの文脈から型を推測することができます。 例えば、次のコードでは、ラムダ式 (int i) -> i * i のパラメータ i の型が int として指定されています。しかし、Javaのコンパイラは、このコードの文脈から i の型が int 型であることを推論することができます。 var キーワードを使用することで、変数 x の型を明示的に指定せずに、コンパイラがラムダ式の型を推論することができます。そのため、コードをよりシンプルに記述することができます。 varキーワードを使わずに、ラムダ式の型を明示的に指定する場合は、次のようになります: このコードでは、IntUnaryOperatorインターフェースを使用してラムダ式を宣言しています。IntUnaryOperatorは、int型の引数を受け取り、int型の値を返す関数型インターフェースです。ラムダ式の引数がint型であるため、このインターフェースを使ってラムダ式を宣言しています。 varによるラムダ式の型推論をつかうと、この調べごとをする必要がなくなります。 複雑な型を返すメソッドを受け取る場合にも、型推論は有用です。以下の例では、flatMap() メソッドを使用して、文字列のリストを1つの文字列に変換しています。 最後に、ループを用いた具体例を示します。以下の例では、リストを String[] に変換しています。
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"paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "以下は、final修飾子を使って宣言された参照型変数の例です:", "title": "final 修飾された変数" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "この例では、final修飾子が付けられたbuilder変数は、一度StringBuilderオブジェクトに初期化された後、その参照先を変更することができません。ただし、StringBuilderオブジェクト自体の内容を変更することは可能です。", "title": "final 修飾された変数" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "Javaにおけるキャスト(cast)は、データ型を変換する操作を指します。Javaでは、異なるデータ型の間で変換を行う際にキャストを使用します。キャストは、変換元のデータ型を指定し、変換後のデータ型に変換するための演算子です。", "title": "キャスト" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "キャストは基本的に2つの形式があります:", "title": "キャスト" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "キャストを行う際には、変換元のデータ型と変換後のデータ型が互換性があるかどうかを確認する必要があります。 たとえば、数値型同士のキャストや、参照型の継承関係に基づくキャストが可能ですが、互換性のない型同士のキャストはコンパイルエラーを引き起こします。", "title": "キャスト" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "Java 10以降、Javaにはローカル変数の型推論機能が追加されました。これは、varキーワードを使用して変数を宣言する際に、コンパイラが変数の型を自動的に推論する機能です。この機能により、変数の型を明示的に指定する必要がなくなり、コードの冗長性を減らすことができます。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "変数の宣言時に初期化子が提供される場合、その初期化子の型に基づいて変数の型が推論されます。推論された型は静的な型であり、実行時に変更されることはありません。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "例えば、以下のようにvarを使用して変数を宣言することができます:", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "varを使用することで、変数の型が明確になる場合には冗長な型の記述を省略できます。ただし、可読性を損なわない範囲での使用が推奨されます。また、varを使用する場合でも、適切な変数名やコメントを追加することで、コードの理解を助けることが重要です。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "Java 10以降、Javaにはループ変数の型推論機能が追加されました。 これにより、forループや拡張forループ(拡張for文、拡張forループ)で、ループ変数の型を自動的に推論することができます。 これにより、コードの冗長性を減らし、可読性を向上させることができます。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "具体的には、forループの初期化部でループ変数を宣言し、その型をvarキーワードで指定することができます。 この際、初期化式によって型が明示的に指定される場合、その型を推論してループ変数の型を決定します。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "拡張forループでは、コレクションや配列を反復処理する際に、ループ変数の型を指定せずに、varキーワードを使用してループ変数を宣言することができます。この場合、コレクションや配列の要素の型がループ変数の型として推論されます。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "以下は、forループと拡張forループでのループ変数の型推論の例です:", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "varを使用することで、ループ変数の型を省略し、コードをよりシンプルにすることができます。ただし、適切な変数名やコメントを追加して、コードの可読性を確保することが重要です。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "ラムダ式の型推論とは、Javaでラムダ式を使用する際に、コンパイラがラムダ式のパラメータの型や戻り値の型を自動的に推論する機能を指します。つまり、ラムダ式のパラメータや戻り値の型を明示的に指定せずに、コンパイラがコードの文脈から型を推測することができます。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "例えば、次のコードでは、ラムダ式 (int i) -> i * i のパラメータ i の型が int として指定されています。しかし、Javaのコンパイラは、このコードの文脈から i の型が int 型であることを推論することができます。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "var キーワードを使用することで、変数 x の型を明示的に指定せずに、コンパイラがラムダ式の型を推論することができます。そのため、コードをよりシンプルに記述することができます。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "varキーワードを使わずに、ラムダ式の型を明示的に指定する場合は、次のようになります:", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "このコードでは、IntUnaryOperatorインターフェースを使用してラムダ式を宣言しています。IntUnaryOperatorは、int型の引数を受け取り、int型の値を返す関数型インターフェースです。ラムダ式の引数がint型であるため、このインターフェースを使ってラムダ式を宣言しています。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "varによるラムダ式の型推論をつかうと、この調べごとをする必要がなくなります。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "複雑な型を返すメソッドを受け取る場合にも、型推論は有用です。以下の例では、flatMap() メソッドを使用して、文字列のリストを1つの文字列に変換しています。", "title": "型推論 (var)" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "最後に、ループを用いた具体例を示します。以下の例では、リストを String[] に変換しています。", "title": "型推論 (var)" } ]
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{{Nav}} = 変数と代入 = == 変数 == プログラミングにおける変数は、値やデータを格納するための記号的な名前です。変数は、メモリ内の特定の場所を参照し、その場所に値を保持します。これにより、プログラム内でデータを操作したり処理したりすることができます。 変数は、プログラム内で使用されるデータの値を表現し、名前を介してそれらの値にアクセスする手段を提供します。また、変数は値を保持するだけでなく、値を変更することもできます。これにより、プログラムが動的に振る舞うことが可能になります。 例えば、プログラムがユーザーの名前や年齢などの情報を取得し、それを後で使用する必要がある場合、変数を使用してその情報を格納し、必要に応じて変更や処理を行うことができます。 == Javaにおける変数 == Javaにおける変数とは、データを格納する箱のようなものです。変数は、プログラム内で使用されるデータを保持し、それに名前を付けることができます。これにより、プログラム内で値を簡単に参照したり変更したりできます。 Javaでは、変数を使用する前に、その変数の型(データの種類)を宣言する必要があります。例えば、整数を格納する変数の場合は<code>int</code>型、小数を格納する変数の場合は<code>double</code>型、文字列を格納する変数の場合は<code>String</code>型などがあります。 === 宣言 === 変数の宣言は次のように行います: :<syntaxhighlight lang=java> // 整数を格納する変数の宣言 int age; // 小数を格納する変数の宣言 double height; // 文字列を格納する変数の宣言 String name; </syntaxhighlight> これにより、<code>age</code>、<code>height</code>、<code>name</code>という名前の変数が宣言されます。ただし、この時点ではまだ値は割り当てられていません。 === 代入 === 変数に値を代入するには、以下のようにします: :<syntaxhighlight lang=java> age = 25; height = 1.75; name = "Alice"; </syntaxhighlight> これにより、それぞれの変数に値が割り当てられます。 === 初期化 === また、変数の宣言と初期化を同時に行うこともできます: :<syntaxhighlight lang=java> int age = 25; double height = 1.75; String name = "Alice"; </syntaxhighlight> これにより、変数の宣言と初期化を一度に行うことができます。 === 再代入 === Javaにおいて、再代入とは変数に新しい値を割り当てることを指します。Javaでは、再代入が可能な変数は、その型がプリミティブ型であるか、または参照型であるかによって挙動が異なります。 # '''プリミティブ型の変数の再代入:''' プリミティブ型の変数は、その型に対応する値を直接保持します。再代入すると、変数が新しい値に更新されます。 #:<syntaxhighlight lang=java> int x = 5; // int型の変数xに初期値5を代入 x = 10; // xに新しい値10を再代入 </syntaxhighlight> # '''参照型の変数の再代入:''' 参照型の変数は、オブジェクトへの参照を保持します。再代入すると、変数が新しいオブジェクトへの参照に更新されますが、元のオブジェクトは影響を受けません。 #:<syntaxhighlight lang=java> String str1 = "Hello"; // String型の変数str1に文字列"Hello"を代入 str1 = "World"; // str1に新しい文字列"World"を再代入 </syntaxhighlight> 変数に再代入された値の型は、変数が宣言された際に指定された型と一致する必要があります。たとえば、<code>int</code>型の変数には整数値を、<code>double</code>型の変数には浮動小数点数を再代入する必要があります。再代入された値の型が異なる場合、コンパイルエラーが発生します。 == 文字列 == Javaにおける文字列は、文字のシーケンスを表現するためのデータ型です。Javaでは、文字列は<code>java.lang.String</code>クラスを使用して表現されます。文字列は、ダブルクォーテーション(”)で囲まれた文字のシーケンスとして表現されます。 文字列はイミュータブル(変更不能)であり、一度作成されると変更することができません。つまり、文字列を変更する操作は、新しい文字列を作成することになります。 以下は、Javaで文字列を宣言する例です: :<syntaxhighlight lang=java> String greeting = "Hello, world!"; </syntaxhighlight> この例では、<code>greeting</code>という名前の変数に文字列"Hello, world!"が代入されています。 {{Main|Java/基礎/文字列}} == final 修飾された変数 == Javaでは、<code>final</code>修飾子を使って宣言された変数は、イミュータブル(不変)です。<code>final</code>修飾子を使用すると、その変数に対する再代入ができなくなります。つまり、一度初期化された後はその値を変更することができません。 以下は、<code>final</code>修飾子を使って宣言されたイミュータブルな変数の例です: :<syntaxhighlight lang=java> final int AGE = 30; final String NAME = "John"; </syntaxhighlight> これらの変数<code>AGE</code>と<code>NAME</code>は、一度初期化された後に再代入することができません。このような変数は、プログラム内で定数として使用されることがあります。 === final 修飾された参照型変数 === Javaにおいて、<code>final</code>修飾された参照型変数は、変数の参照先(オブジェクトへの参照)が不変であることを示します。つまり、一度初期化された後は、その変数が参照するオブジェクトを変更することはできませんが、オブジェクト自体の内容は変更可能です。 以下は、<code>final</code>修飾子を使って宣言された参照型変数の例です: :<syntaxhighlight lang=java> final StringBuilder builder = new StringBuilder("Hello"); builder.append(", world!"); // オブジェクトの内容を変更する操作 System.out.println(builder.toString()); // 出力: Hello, world! </syntaxhighlight> この例では、<code>final</code>修飾子が付けられた<code>builder</code>変数は、一度<code>StringBuilder</code>オブジェクトに初期化された後、その参照先を変更することができません。ただし、<code>StringBuilder</code>オブジェクト自体の内容を変更することは可能です。 == キャスト == Javaにおけるキャスト(cast)は、データ型を変換する操作を指します。Javaでは、異なるデータ型の間で変換を行う際にキャストを使用します。キャストは、変換元のデータ型を指定し、変換後のデータ型に変換するための演算子です。 キャストは基本的に2つの形式があります: # '''明示的なキャスト(Explicit cast):''' 明示的なキャストは、変換元のデータ型を指定して行われます。キャストの前に、変換先のデータ型を括弧で囲んで指定します。 #:<syntaxhighlight lang=java> double d = 10.5; int i = (int) d; // 明示的なキャスト </syntaxhighlight> #: この例では、<code>double</code>型の変数<code>d</code>を<code>int</code>型の変数<code>i</code>に明示的にキャストしています。このキャストにより、<code>d</code>の小数部分が切り捨てられて<code>i</code>には整数部分のみが格納されます。 # '''暗黙的なキャスト(Implicit cast):''' 暗黙的なキャストは、Javaの型変換ルールに従って、自動的に行われます。暗黙的なキャストは、より小さいデータ型からより大きいデータ型への変換に使用されます。 #:<syntaxhighlight lang=java> int i = 10; double d = i; // 暗黙的なキャスト </syntaxhighlight> #: この例では、<code>int</code>型の変数<code>i</code>が<code>double</code>型の変数<code>d</code>に代入される際に、暗黙的なキャストが行われます。Javaは<code>int</code>型から<code>double</code>型への変換を自動的に行い、<code>i</code>の値を<code>d</code>に代入します。 キャストを行う際には、変換元のデータ型と変換後のデータ型が互換性があるかどうかを確認する必要があります。 たとえば、数値型同士のキャストや、参照型の継承関係に基づくキャストが可能ですが、互換性のない型同士のキャストはコンパイルエラーを引き起こします。 == 型推論 (var) == Java 10以降、Javaにはローカル変数の型推論機能が追加されました。これは、<code>var</code>キーワードを使用して変数を宣言する際に、コンパイラが変数の型を自動的に推論する機能です。この機能により、変数の型を明示的に指定する必要がなくなり、コードの冗長性を減らすことができます。 変数の宣言時に初期化子が提供される場合、その初期化子の型に基づいて変数の型が推論されます。推論された型は静的な型であり、実行時に変更されることはありません。 例えば、以下のように<code>var</code>を使用して変数を宣言することができます: :<syntaxhighlight lang=java> var i = 1; </syntaxhighlight> <code>var</code>を使用することで、変数の型が明確になる場合には冗長な型の記述を省略できます。ただし、可読性を損なわない範囲での使用が推奨されます。また、<code>var</code>を使用する場合でも、適切な変数名やコメントを追加することで、コードの理解を助けることが重要です。 === ループ変数 === Java 10以降、Javaにはループ変数の型推論機能が追加されました。 これにより、<code>for</code>ループや拡張<code>for</code>ループ(拡張for文、拡張forループ)で、ループ変数の型を自動的に推論することができます。 これにより、コードの冗長性を減らし、可読性を向上させることができます。 具体的には、<code>for</code>ループの初期化部でループ変数を宣言し、その型を<code>var</code>キーワードで指定することができます。 この際、初期化式によって型が明示的に指定される場合、その型を推論してループ変数の型を決定します。 拡張<code>for</code>ループでは、コレクションや配列を反復処理する際に、ループ変数の型を指定せずに、<code>var</code>キーワードを使用してループ変数を宣言することができます。この場合、コレクションや配列の要素の型がループ変数の型として推論されます。 以下は、<code>for</code>ループと拡張<code>for</code>ループでのループ変数の型推論の例です: :<syntaxhighlight lang=java> // forループでの型推論 for (var i = 0; i < 5; i++) { System.out.println(i); // iの型はintと推論される } // 拡張forループでの型推論 List<String> strings = List.of("foo", "bar", "baz"); for (var str : strings) { System.out.println(str); // strの型はStringと推論される } </syntaxhighlight> <code>var</code>を使用することで、ループ変数の型を省略し、コードをよりシンプルにすることができます。ただし、適切な変数名やコメントを追加して、コードの可読性を確保することが重要です。 === ラムダ式 === ラムダ式の型推論とは、Javaでラムダ式を使用する際に、コンパイラがラムダ式のパラメータの型や戻り値の型を自動的に推論する機能を指します。つまり、ラムダ式のパラメータや戻り値の型を明示的に指定せずに、コンパイラがコードの文脈から型を推測することができます。 :<syntaxhighlight lang=java> var x = (int i) -> i * i; </syntaxhighlight> 例えば、次のコードでは、ラムダ式 <code>(int i) -> i * i</code> のパラメータ <code>i</code> の型が <code>int</code> として指定されています。しかし、Javaのコンパイラは、このコードの文脈から <code>i</code> の型が <code>int</code> 型であることを推論することができます。 <code>var</code> キーワードを使用することで、変数 <code>x</code> の型を明示的に指定せずに、コンパイラがラムダ式の型を推論することができます。そのため、コードをよりシンプルに記述することができます。 <code>var</code>キーワードを使わずに、ラムダ式の型を明示的に指定する場合は、次のようになります: :<syntaxhighlight lang=java> IntUnaryOperator x = (int i) -> i * i; </syntaxhighlight> このコードでは、<code>IntUnaryOperator</code>インターフェースを使用してラムダ式を宣言しています。<code>IntUnaryOperator</code>は、<code>int</code>型の引数を受け取り、<code>int</code>型の値を返す関数型インターフェースです。ラムダ式の引数が<code>int</code>型であるため、このインターフェースを使ってラムダ式を宣言しています。 ; IntUnaryOperatorインターフェース :<code>IntUnaryOperator</code> インターフェースは、Javaの標準ライブラリである <code>java.util.function</code> パッケージに含まれています。このパッケージは、関数型プログラミングをサポートするためのインターフェースやクラスが定義されています。 : <code>IntUnaryOperator</code> インターフェースは、引数として整数型を受け取り、整数型の値を返す関数型インターフェースです。具体的には、<code>int applyAsInt(int operand)</code> メソッドを持ちます。これにより、整数型の引数を受け取り、整数型の結果を返す関数を表現することができます。 : Javaの関数型インターフェースは、<code>java.util.function</code> パッケージに含まれているため、<code>import java.util.function.IntUnaryOperator;</code> を使用してインポートすることで利用することができます。 <code>var</code>によるラムダ式の型推論をつかうと、この調べごとをする必要がなくなります。 === 複雑な型推論 === 複雑な型を返すメソッドを受け取る場合にも、型推論は有用です。以下の例では、<code>flatMap()</code> メソッドを使用して、文字列のリストを1つの文字列に変換しています。 :<syntaxhighlight lang=java> List<String> list = Arrays.asList("hello", "world"); var result = list.stream() .flatMap(s -> Arrays.stream(s.split(""))) .collect(Collectors.joining()); </syntaxhighlight> 最後に、ループを用いた具体例を示します。以下の例では、リストを <code>String[]</code> に変換しています。 :<syntaxhighlight lang=java> List<String> list = Arrays.asList("hello", "world"); var array = new String[list.size()]; var index = 0; for (var element : list) { array[index++] = element; } </syntaxhighlight> {{See|[[プログラミング/型推論]]}} == 附録 == === チートシート === :<syntaxhighlight lang=java> public class Main { public static void main(String[] args) { // 変数の宣言と初期化 int num1 = 10; int num2 = 20; String name = "John"; boolean flag = true; // 変数の使用と演算 System.out.println("num1 + num2 = " + (num1 + num2)); // 30 System.out.println("My name is " + name); // My name is John System.out.println("flag is " + flag); // flag is true // プリミティブ型と参照型 int[] array = {1, 2, 3}; // 参照型の例 char ch = 'a'; // プリミティブ型の例 // プリミティブ型と参照型の違い int num3 = num1; // num1の値をコピーしてnum3に代入(値渡し) int[] array2 = array; // arrayの参照をコピーしてarray2に代入(参照渡し) array[0] = 100; // arrayの値を変更 System.out.println("num3 = " + num3); // num3 = 10 System.out.println("array[0] = " + array[0]); // array[0] = 100 System.out.println("array2[0] = " + array2[0]); // array2[0] = 100 // プリミティブ型と参照型の比較 boolean isEqual = num1 == num3; // プリミティブ型同士の比較 boolean isSameArray = array == array2; // 参照型同士の比較 System.out.println("num1 == num3 : " + isEqual); // num1 == num3 : true System.out.println("array == array2 : " + isSameArray); // array == array2 : true } } </syntaxhighlight> === 用語集 === # '''変数 (Variable):''' プログラミングにおける変数は、値やデータを格納するための記号的な名前です。プログラム内でデータを操作したり処理したりする際に使用されます。 # '''宣言 (Declaration):''' 変数の宣言とは、変数をプログラム内で使用する準備をすることです。変数の型と名前を指定して、コンピュータにその変数を識別するための領域を割り当てます。 # '''代入 (Assignment):''' 代入とは、変数に値を格納する操作です。変数に値を代入することで、その変数がその値を保持することができます。 # '''初期化 (Initialization):''' 初期化とは、変数に初期値を設定する操作です。変数を宣言と同時に初期値を設定することで、その変数が宣言された時点で値を持つことができます。 # '''再代入 (Reassignment):''' 再代入とは、変数に新しい値を割り当てる操作です。変数には、同じ型の新しい値を代入することができます。 # '''イミュータブル (Immutable):''' イミュータブルとは、変更不可能なことを指します。Javaでは、final修飾子を使用して宣言された変数や、文字列などの一部のオブジェクトはイミュータブルです。 # '''キャスト (Cast):''' キャストとは、データ型を変換する操作です。Javaでは、異なるデータ型の間で変換を行う際にキャストが使用されます。 # '''型推論 (Type Inference):''' 型推論とは、コンパイラがコードの文脈から変数の型を推測する機能です。Java 10以降では、varキーワードを使用して型推論を行うことができます。 # '''ラムダ式 (Lambda Expression):''' ラムダ式とは、無名関数を表現するための記法です。Javaでは、関数型インターフェースの実装として使用されます。 # '''ループ変数 (Loop Variable):''' ループ変数とは、forループや拡張forループで使用される反復変数のことを指します。Java 10以降では、ループ変数の型推論機能が追加されました。 # '''複雑な型推論 (Complex Type Inference):''' 複雑な型を返すメソッドを受け取る場合にも、型推論が有用です。Javaでは、flatMap()メソッドなどでの複雑な型推論が行われます。 {{Nav}} [[カテゴリ:Java|へんすう と らいにゆう]]
2006-09-24T11:45:11Z
2024-02-04T00:18:03Z
[ "テンプレート:Nav", "テンプレート:Main", "テンプレート:See" ]
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センター試験 国語対策
現代日本語の読解力および日本・中国の古典の読解力と文法能力を問う試験である。 大問4つから構成されており、現代文が評論と小説の二題、古典が古文と漢文の二題となっている。採点は現代文100点、古文50点、漢文50点と分けて行われる。国立大学入試では全問解答が前提となっているが、センター試験利用の私立大学では現代文のみまたは現代文・古文のみ評価するという大学が多いので、私立大学受験生は必要な箇所だけ解いても良い。 以前までは「国語I」と「国語I・II」があり、解く問題を間違えるということがたびたびあったが、「国語」に統一された。 問1では、漢字が問われる。 詳細はセンター試験 国語(現代文)対策を参照。 問1では、表現の意味が問われる。 詳細はセンター試験 国語(現代文)対策を参照。 詳細はセンター試験 国語(古文)対策を参照。 古文は2010年から過去問と同一文章からの出題が認められた。ただし、2012年現在、過去問と同一文章は出題されていない。 ごく希に漢詩がでることもある。 詳細はセンター試験 国語(漢文)対策を参照。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "現代日本語の読解力および日本・中国の古典の読解力と文法能力を問う試験である。", "title": "総説" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "大問4つから構成されており、現代文が評論と小説の二題、古典が古文と漢文の二題となっている。採点は現代文100点、古文50点、漢文50点と分けて行われる。国立大学入試では全問解答が前提となっているが、センター試験利用の私立大学では現代文のみまたは現代文・古文のみ評価するという大学が多いので、私立大学受験生は必要な箇所だけ解いても良い。", "title": "総説" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "以前までは「国語I」と「国語I・II」があり、解く問題を間違えるということがたびたびあったが、「国語」に統一された。", "title": "総説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "問1では、漢字が問われる。", "title": "第一問(現代文 評論)" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "詳細はセンター試験 国語(現代文)対策を参照。", "title": "第一問(現代文 評論)" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "問1では、表現の意味が問われる。", "title": "第二問(現代文 小説)" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "詳細はセンター試験 国語(現代文)対策を参照。", "title": "第二問(現代文 小説)" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "詳細はセンター試験 国語(古文)対策を参照。 古文は2010年から過去問と同一文章からの出題が認められた。ただし、2012年現在、過去問と同一文章は出題されていない。", "title": "第三問(古典 古文)" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "ごく希に漢詩がでることもある。", "title": "第四問(古典 漢文)" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "詳細はセンター試験 国語(漢文)対策を参照。", "title": "第四問(古典 漢文)" } ]
日本の大学受験ガイド > センター試験 > センター試験 国語対策
*[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験 > センター試験 国語対策 == 総説 == 現代日本語の読解力および日本・中国の古典の読解力と文法能力を問う試験である。 大問4つから構成されており、現代文が評論と小説の二題、古典が古文と漢文の二題となっている。採点は現代文100点、古文50点、漢文50点と分けて行われる。国立大学入試では全問解答が前提となっているが、センター試験利用の私立大学では現代文のみまたは現代文・古文のみ評価するという大学が多いので、私立大学受験生は必要な箇所だけ解いても良い。 以前までは「国語I」と「国語I・II」があり、解く問題を間違えるということがたびたびあったが、「国語」に統一された。 == 第一問(現代文 評論) == 問1では、漢字が問われる。 詳細は[[センター試験 国語(現代文)対策]]を参照。 == 第二問(現代文 小説)== 問1では、表現の意味が問われる。 詳細は[[センター試験 国語(現代文)対策]]を参照。 == 第三問(古典 古文) == 詳細は[[センター試験 国語(古文)対策]]を参照。 '''古文は2010年から過去問と同一文章からの出題が認められた'''。ただし、2012年現在、過去問と同一文章は出題されていない。 == 第四問(古典 漢文) == ごく希に漢詩がでることもある。 詳細は[[センター試験 国語(漢文)対策]]を参照。 {{stub}} [[Category:センター試験|こくこたいさく]]
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2016-03-15T13:58:24Z
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センター試験 理科対策
個別の対策については、以下の記事を参照されたし。 2015年入試より新課程入試となる。新課程では理科の履修方法が大きく変わるため、センター試験の選択方法も変更となる。 受験出来るパターンはA:理科1から2科目、B:理科2から1科目、C:理科1から2科目と理科2から1科目、D:理科2から2科目 となる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "個別の対策については、以下の記事を参照されたし。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "2015年入試より新課程入試となる。新課程では理科の履修方法が大きく変わるため、センター試験の選択方法も変更となる。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "受験出来るパターンはA:理科1から2科目、B:理科2から1科目、C:理科1から2科目と理科2から1科目、D:理科2から2科目 となる。", "title": "" } ]
日本の大学受験ガイド> センター試験 > センター試験 理科対策 個別の対策については、以下の記事を参照されたし。 センター試験 物理I対策 センター試験 化学I対策 センター試験 生物I対策 センター試験 地学I対策 センター試験 理科総合A対策 センター試験 理科総合B対策
*[[日本の大学受験ガイド]]> センター試験 > センター試験 理科対策 個別の対策については、以下の記事を参照されたし。 *[[センター試験 物理I対策]] *[[センター試験 化学I対策]] *[[センター試験 生物I対策]] *[[センター試験 地学I対策]] *[[センター試験 理科総合A対策]] *[[センター試験 理科総合B対策]] ===2015年度入試からの変更=== 2015年入試より新課程入試となる。新課程では理科の履修方法が大きく変わるため、センター試験の選択方法も変更となる。 *理科①:物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2科目 *理科②:物理、化学、生物、地学から1科目~2科目 受験出来るパターンはA:理科①から2科目、B:理科②から1科目、C:理科①から2科目と理科②から1科目、D:理科②から2科目 となる。 ===国公立大学受験に必要とされる教科数=== *文系:理科①から2科目又は理科②から1科目(パターンA又はパターンB) *理系:理科②から2科目(パターンD)、中堅以下の場合は理科①から2科目と理科②から1科目(パターンC)も出来る場合がある。 [[Category:センター試験|りかたいさく]]
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2014-12-17T03:29:07Z
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4,259
受験ガイド
小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。", "title": "" } ]
小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。 小学校受験ガイド 中学受験ガイド 中学受験参考書 (2013-12-06) 高校受験ガイド 高校受験参考書 (2013-12-06) 高専受験ガイド (2013-12-06) 大学受験ガイド (2013-12-06) 大学受験参考書 (2013-12-06) 日本の大学受験ガイド 外国の大学受験ガイド 大学校受験ガイド (2013-12-06)
{{Pathnav|メインページ|試験|入学試験|frame=1}} 小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。 * [[小学校受験ガイド]] * [[中学受験ガイド]] ** [[中学受験参考書]] {{進捗|25%|2013-12-06}} * [[高校受験ガイド]] ** [[高校受験参考書]] {{進捗|25%|2013-12-06}} * [[高専受験ガイド]] {{進捗|00%|2013-12-06}} * [[大学受験ガイド]] {{進捗|00%|2013-12-06}} ** [[大学受験参考書]] {{進捗|00%|2013-12-06}} ** [[日本の大学受験ガイド]] ** [[外国の大学受験ガイド]] * [[大学校受験ガイド]] {{進捗|00%|2013-12-06}} == 関連項目 == * [[小・中・高等学校演習]] {{進捗|00%|2013-12-06}} [[Category:入学試験|*しゆけんかいと]]
2006-09-29T14:48:19Z
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4,260
大学校受験ガイド
大学校は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。 入学試験が9月や10月や11月に行われることが多い。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "大学校は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "入学試験が9月や10月や11月に行われることが多い。", "title": "" } ]
受験ガイド > 大学受験ガイド 大学校は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。 入学試験が9月や10月や11月に行われることが多い。
*[[受験ガイド]] > 大学受験ガイド [[w:大学校|大学校]]は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。 [[w:入学試験|入学試験]]が9月や10月や11月に行われることが多い。 == 入試対策 == *[[防衛医科大対策]] *[[防衛大対策]] *[[気象大対策]] *[[航空保安大対策]] *[[海上保安大対策]] *[[水産大対策]] *[[職業能力開発総合大対策]] == 関連項目 == *[[受験ガイド]] [[Category:入学試験|たいかつこうしゆけんかいと]]
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2022-08-30T23:11:02Z
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防衛医科大対策
本項は、防衛省防衛医科大学校の採用試験対策に関する事項である。 防衛省防衛医科大学校の採用試験は、11月初旬に行われる。大学の入学試験と時期が重ならず、医学部を志望する者が力試しなどとして受験するため、他に類のないほどの高倍率・難易度になる。 まず、「択一式」の試験が行われ、基礎的学力が一定の水準まで達している者が、次の「記述式」試験の採点の対象となる。
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受験ガイド > 大学校受験ガイド > 防衛省防衛医科大学校対策 本項は、防衛省防衛医科大学校の採用試験対策に関する事項である。 防衛省防衛医科大学校の採用試験は、11月初旬に行われる。大学の入学試験と時期が重ならず、医学部を志望する者が力試しなどとして受験するため、他に類のないほどの高倍率・難易度になる。 まず、「択一式」の試験が行われ、基礎的学力が一定の水準まで達している者が、次の「記述式」試験の採点の対象となる。
{{Wikipedia|防衛医科大学校}} * [[受験ガイド]] > [[大学校受験ガイド]] > 防衛省'''防衛医科大学校対策''' 本項は、防衛省[[w:防衛医科大学校|防衛医科大学校]]の採用試験対策に関する事項である。 防衛省防衛医科大学校の採用試験は、11月初旬に行われる。大学の入学試験と時期が重ならず、医学部を志望する者が力試しなどとして受験するため、他に類のないほどの高倍率・難易度になる。 まず、「択一式」の試験が行われ、基礎的学力が一定の水準まで達している者が、次の「記述式」試験の採点の対象となる。 {{stub}} {{DEFAULTSORT:ほうえいいかたいたいさく}} [[Category:医学]] [[Category:入学試験]]
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2011-10-24T13:49:01Z
[ "テンプレート:Stub", "テンプレート:Wikipedia" ]
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4,262
高専受験ガイド
高等専門学校(高専)の入試に関する情報。 国立の工業高専は、問題が全国共通である。珍問奇問の類はまず出題されず、難易度は標準的である。ほぼ公立高校並みと考えてよいだろう。ただし高専の特色ゆえに、理数系の科目ではかなり発展的な問題も見られる。
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受験ガイド > 高専受験ガイド 高等専門学校(高専)の入試に関する情報。 国立の工業高専は、問題が全国共通である。珍問奇問の類はまず出題されず、難易度は標準的である。ほぼ公立高校並みと考えてよいだろう。ただし高専の特色ゆえに、理数系の科目ではかなり発展的な問題も見られる。
*[[受験ガイド]] > [[高専受験ガイド]] [[w:高等専門学校|高等専門学校]](高専)の入試に関する情報。 国立の工業高専は、問題が全国共通である。珍問奇問の類はまず出題されず、難易度は標準的である。ほぼ公立高校並みと考えてよいだろう。ただし高専の特色ゆえに、理数系の科目ではかなり発展的な問題も見られる。 ==関連項目== *[[受験ガイド]] [[Category:入学試験|*しゆけんかいと]]
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2007-04-28T17:06:57Z
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4,265
地震学 地震波の伝播
地震学 > 地震波の伝播 地震が発生すると、地球の内部を地震波が伝播する。 ここでは、地球を弾性体と見なし、弾性波動論の立場から地震波を説明する。 以下では、特に断らない限り、空間の次元は三次元とし、直交座標系はデカルト座標系の左手系とする。 無限に広がる弾性体を考え、その中の1点 x → = ( x , y , z ) {\displaystyle {\vec {x}}=(x,y,z)} での変位の x {\displaystyle x} , y {\displaystyle y} , z {\displaystyle z} 成分をそれぞれ u ( x , y , z ) {\displaystyle u(x,y,z)} , v ( x , y , z ) {\displaystyle v(x,y,z)} , w ( x , y , z ) {\displaystyle w(x,y,z)} で表す。 x → {\displaystyle {\vec {x}}} から x {\displaystyle x} 方向に微小な距離だけ離れた点 x ′ → = ( x + δ x , y + δ y , z + δ z ) {\displaystyle {\vec {x'}}=(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)} での変位 u {\displaystyle u} を u ( x + δ x , y + δ y , z + δ z ) {\displaystyle u(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)} とする。 このとき、 u ( x + δ x , y + δ y , z + δ z ) {\displaystyle u(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)} を x → {\displaystyle {\vec {x}}} の周りでテーラー展開し、1次の微小量までを残すと で近似できる。 したがって、 x → {\displaystyle {\vec {x}}} と x ′ → {\displaystyle {\vec {x'}}} の間の相対的な変位は と表せる。 同様に が得られる。 応力とひずみの関係はフックの法則と呼ばれ、次の関係式で表される。 c i j k l {\displaystyle c_{ijkl}} は弾性定数と呼ばれ、弾性体の性質を表す定数である。 弾性定数は4階のテンソルであり、81個の成分を持つ。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。
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地震学 > 地震波の伝播
<small> [[地震学]] > 地震波の伝播</small> ---- == 地震波の伝播 == 地震が発生すると、地球の内部を地震波が伝播する。 ここでは、地球を弾性体と見なし、弾性波動論の立場から地震波を説明する。 以下では、特に断らない限り、空間の次元は三次元とし、直交座標系はデカルト座標系の左手系とする。 === 運動方程式 === ==== 応力とひずみ ==== 無限に広がる弾性体を考え、その中の1点<math>\vec{x}=(x, y, z)</math>での変位の<math>x</math>, <math>y</math>, <math>z</math>成分をそれぞれ<math>u(x, y, z)</math>, <math>v(x, y, z)</math>, <math>w(x, y, z)</math>で表す。 <math>\vec{x}</math>から<math>x</math>方向に微小な距離だけ離れた点<math>\vec{x'}=(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)</math>での変位<math>u</math>を<math>u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)</math>とする。 このとき、<math>u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)</math>を<math>\vec{x}</math>の周りでテーラー展開し、1次の微小量までを残すと :<math> u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)=u(x, y, z)+\frac{\partial u}{\partial x}\delta x+\frac{\partial u}{\partial y}\delta y+\frac{\partial u}{\partial z}\delta z </math> で近似できる。 したがって、<math>\vec{x}</math>と<math>\vec{x'}</math>の間の相対的な変位は :<math> u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)-u(x, y, z)=\frac{\partial u}{\partial x}\delta x+\frac{\partial u}{\partial y}\delta y+\frac{\partial u}{\partial z}\delta z </math> と表せる。 同様に :<math> v(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)-v(x, y, z)=\frac{\partial v}{\partial x}\delta x+\frac{\partial v}{\partial y}\delta y+\frac{\partial v}{\partial z}\delta z </math> :<math> w(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)-w(x, y, z)=\frac{\partial w}{\partial x}\delta x+\frac{\partial w}{\partial y}\delta y+\frac{\partial w}{\partial z}\delta z </math> が得られる。 === フックの法則 === 応力とひずみの関係は'''フックの法則'''と呼ばれ、次の関係式で表される。 :<math> \sigma_{ij}=c_{ijkl}\varepsilon_{ij} </math> <math>c_{ijkl}</math>は弾性定数と呼ばれ、弾性体の性質を表す定数である。 弾性定数は4階のテンソルであり、81個の成分を持つ。 === 運動方程式 === {{節stub}} === 波動方程式 === {{節stub}} {{Wikipedia|地震波}} {{DEFAULTSORT:ししんはのてんは}} [[Category:地震学]] <!-- [[en:]] -->
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2011-09-02T03:50:31Z
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コンメンタール商法
法学>民事法>商法>コンメンタール商法
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法学>民事法>商法>コンメンタール商法
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2019-01-22T16:31:36Z
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Java/基礎/条件分岐
「条件分岐」は、プログラミングにおいて重要な概念の一つです。条件分岐を使うことで、プログラムは特定の条件に応じて異なる処理を実行することができます。 この章では、Javaでの条件分岐の基本的な使い方から、より高度な使い方までを解説します。if-else文、switch文、switch式、論理演算子、三項演算子など、様々な種類の条件分岐について学ぶことができます。また、例外処理における条件分岐の使い方についても解説します。 各セクションでは、実際のコード例を使って、どのように条件分岐を使えばよいかを説明します。また、練習問題も用意していますので、理解を深めるために挑戦してみてください。 条件分岐は、プログラムの制御構造を理解する上で重要な概念です。本章を通して、条件分岐の基本的な使い方から応用までを学び、プログラムの制御構造を理解してください。 Javaのif-else文は、プログラムの流れを条件分岐させるための文です。条件に応じて実行される文を切り替えることができます。 if文は、指定された条件が真である場合に実行される文を指定します。if文が偽である場合に実行される文を指定するために、else節を組み合わせて使うことができます。 if-else文の基本構文は以下の通りです。 条件式は、真偽値を返す式です。もし条件式が真であれば、if文の中の文が実行され、偽であればelse節の中の文が実行されます。 また、else節は省略することができます。省略した場合、条件式が偽である場合には何も実行されません。 複数の条件を判定する場合には、else if節を使うことができます。 複数の条件を判定する場合には、if-else文をネストして使うこともできます。 このコードは、if-else文を使って変数nが負の数、正の数、零、またはNaN(非数)であるかを判定しています。 まず、変数nに0.0を0.0で割った結果を代入しています。0.0を0.0で割るとNaNになるため、この変数はNaNになります。 次に、if-else文を使って、nが負の数、正の数、零、またはNaNであるかを判定しています。 まず、n < 0.0という条件を使って、nが負の数であるかを判定しています。もしnが負の数であれば、System.out.println("負の数です");が実行されます。 次に、n > 0.0という条件を使って、nが正の数であるかを判定しています。もしnが正の数であれば、System.out.println("正の数です。");が実行されます。 次に、n == 0.0という条件を使って、nが零であるかを判定しています。もしnが零であれば、System.out.println("零です。");が実行されます。 最後に、else節を使って、nがNaNであるかを判定しています。NaNはどの数とも等しくならないため、n == 0.0やn < 0.0、n > 0.0のいずれの条件も成立しないため、else節が実行されます。else節では、nの値をそのまま表示するSystem.out.println(n + "です。");が実行されます。 このように、if-else文を使うことで、複数の条件を判定し、条件に応じた処理を行うことができます。 Javaのswitch文は、複数の条件分岐を処理するための構文です。特定の変数の値をチェックし、その値に応じて分岐することができます。 基本的な構文は以下の通りです。 式には、チェックする式を指定します。各caseには、変数が持つ値が一致する場合に実行される処理を記述します。defaultには、上記のいずれの値にも一致しない場合に実行される処理を記述します。 式には、数値以外に文字列も使うことが出来ます。 以下は、Javaのswitch文で文字列型を使用した例です。 この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch文の条件式であるswitch (fruit)では、文字列型の変数fruitを使用しています。 switch文のcaseラベルには、文字列型の定数をカンマで区切って列挙しています。 また、caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中に複数記述することができます。 break文を使用して、該当するcaseラベルにマッチした場合は、それに続く文を実行するようにしています。 また、Javaのswitch文では、Enumを使った網羅性の確保ができます。Enumは、プログラムで扱う定数を列挙するためのクラスです。 以下は、Enumを使ったswitch文の例です。 この例では、AnimalというEnumを定義し、それを使って動物の鳴き声を出力するプログラムを書いています。switch文のcaseには、Enumの要素を列挙しています。 switch文は、if文と比べて複数の条件分岐をスッキリと書くことができるため、コードの可読性が向上するという利点があります。 Java 12から、Javaにはswitch式という新しい構文が導入されました。switch式は、通常のswitch文と同様に、複数の値の比較に基づいて異なるコードブロックを実行するために使用されますが、式の値を返すこともできます。 switch式は、通常のswitch文と同じように、いくつかのcaseブロックを持ちます。ただし、switch式では、個々のcaseラベルに式を直接使用できます。また、値を返すことができるため、式の値を変数に代入することもできます。 Javaのswitch式の構文は以下の通りです。 なお、switch式はJava 12から導入された新しい機能であり、以前のバージョンのJavaでは使用できません。 以下は、switch式の例です。 この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch式では、変数fruitを評価しています。caseラベルには、直接式を使用しています。caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中にカンマで区切って複数記述することができます。->演算子を使用して、各caseラベルの式を実行します。 switch式の最後には、値を返すことができます。この例では、式の結果を変数resultに代入しています。最後に、変数resultの値を出力しています。 Javaにおいて、条件式は比較演算子や論理演算子を用いて、複数の条件を組み合わせた式を表現することができます。論理演算子は、2つのブーリアン値(trueまたはfalse)を受け取り、新しいブーリアン値を返します。 Javaには、5つの論理演算子があります。 Javaの三項演算子は、条件式 ? 式1 : 式2 の形式を持ちます。この演算子は、条件式が true の場合は式1を、falseの場合は式2を評価して返します。例えば、以下のようなコードが考えられます。 このコードでは、aとbの値を比較して、aがbよりも大きければaを、そうでなければbを最大値として選択します。 三項演算子を使って、if文を使う代わりに簡潔に書くことができます。 ただし、三項演算子は条件式と2つの式のみを評価するので、複雑な条件分岐を行う場合にはif文を使用することが推奨されます。 Java 16で導入されたパターンマッチング式(Pattern Matching for instanceof)は、Java言語の制御構造の一つです。 通常、オブジェクトの型を判定するためには instanceof 演算子を使用します。パターンマッチング式は、この instanceof 演算子をより簡潔かつ安全に使用できるようにしたものです。 例えば、次のようなコードがあります。 このコードは、オブジェクトが String クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを String 型にキャストして大文字に変換し、標準出力に出力するという処理を行っています。 パターンマッチング式を使用すると、このコードを次のように書き換えることができます。 このコードでは、オブジェクトが String クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを String 型にキャストせずに、変数 str に直接代入しています。また、変数 str は if 文の中でのみ有効なローカル変数となります。 このように、パターンマッチング式を使用することで、より簡潔で安全なコードを書くことができます。 switchのパターンマッチング拡張とは、Javaプログラミング言語において、switch文やswitch式においてパターンを使用して条件を指定できるようにする機能です。通常のswitch文やswitch式では、一致する値の厳密な等式比較しか行えませんでしたが、パターンマッチング拡張により、より柔軟な条件指定が可能になります。 具体的には、switch文やswitch式のケースラベルで、従来の定数だけでなく、パターンも指定できるようになります。これにより、オブジェクトの型や構造に基づいて条件を指定することができます。例えば、オブジェクトが特定の型であるか、あるいは特定のフィールドの値を持つかどうかなどの条件を指定することができます。 これにより、従来は複雑だった複数の条件分岐を一つのswitch文やswitch式で表現することができるようになり、コードの可読性が向上します。また、パターンマッチングにより、より安全な条件指定が可能になります。 以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張を使用したコード例です。 この例では、formatterPatternSwitchメソッド内で、switch文を使用してobjの型に基づいて処理を分岐しています。各ケースラベルでは、オブジェクトが特定の型にマッチするかどうかをパターンで指定しています。例えば、case Integer iでは、objがInteger型にマッチする場合、iというパターン変数が導入され、その値がint %dのフォーマット文字列に埋め込まれます。他の型についても同様の処理が行われます。 このように、switch文のパターンマッチング拡張を使用することで、よりシンプルで効率的なコードを記述することができます。 以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧を表形式で示したものです。 これらのパターンを使用して、switch文やswitch式のケースラベルで条件分岐を行うことができます。それぞれのパターンは、特定の条件にマッチするかどうかをチェックするために使用されます。
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if (n < 0.0) { System.out.println("負の数です"); } else if (n > 0.0) { System.out.println("正の数です。"); } else if (n == 0.0) { System.out.println("零です。"); } else { System.out.println(n + "です。"); } } } </syntaxhighlight> このコードは、if-else文を使って変数<code>n</code>が負の数、正の数、零、またはNaN(非数)であるかを判定しています。 まず、変数<code>n</code>に0.0を0.0で割った結果を代入しています。0.0を0.0で割るとNaNになるため、この変数はNaNになります。 次に、if-else文を使って、<code>n</code>が負の数、正の数、零、またはNaNであるかを判定しています。 まず、<code>n < 0.0</code>という条件を使って、<code>n</code>が負の数であるかを判定しています。もし<code>n</code>が負の数であれば、<code>System.out.println("負の数です");</code>が実行されます。 次に、<code>n > 0.0</code>という条件を使って、<code>n</code>が正の数であるかを判定しています。もし<code>n</code>が正の数であれば、<code>System.out.println("正の数です。");</code>が実行されます。 次に、<code>n == 0.0</code>という条件を使って、<code>n</code>が零であるかを判定しています。もし<code>n</code>が零であれば、<code>System.out.println("零です。");</code>が実行されます。 最後に、else節を使って、<code>n</code>がNaNであるかを判定しています。NaNはどの数とも等しくならないため、<code>n == 0.0</code>や<code>n < 0.0</code>、<code>n > 0.0</code>のいずれの条件も成立しないため、else節が実行されます。else節では、<code>n</code>の値をそのまま表示する<code>System.out.println(n + "です。");</code>が実行されます。 このように、if-else文を使うことで、複数の条件を判定し、条件に応じた処理を行うことができます。 == switch文 == Javaのswitch文は、複数の条件分岐を処理するための構文です。特定の変数の値をチェックし、その値に応じて分岐することができます。 基本的な構文は以下の通りです。 :<syntaxhighlight lang=java> switch (式) { case 値1: // 値1に対する処理 break; case 値2: // 値2に対する処理 break; default: // 上記のいずれの値にも一致しない場合の処理 break; } </syntaxhighlight> 式には、チェックする式を指定します。各caseには、変数が持つ値が一致する場合に実行される処理を記述します。defaultには、上記のいずれの値にも一致しない場合に実行される処理を記述します。 式には、数値以外に文字列も使うことが出来ます。 以下は、Javaのswitch文で文字列型を使用した例です。 :<syntaxhighlight lang=java> public class SwitchStringExample { public static void main(String[] args) { String fruit = "りんご"; switch (fruit) { case "りんご": case "バナナ": case "いちご": case "メロン": System.out.println(fruit + "は好きな果物です"); break; default: System.out.println(fruit + "は果物ではありません"); break; } } } </syntaxhighlight> この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch文の条件式であるswitch (fruit)では、文字列型の変数fruitを使用しています。 switch文のcaseラベルには、文字列型の定数をカンマで区切って列挙しています。 また、caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中に複数記述することができます。 break文を使用して、該当するcaseラベルにマッチした場合は、それに続く文を実行するようにしています。 また、Javaのswitch文では、Enumを使った網羅性の確保ができます。Enumは、プログラムで扱う定数を列挙するためのクラスです。 以下は、Enumを使ったswitch文の例です。 :<syntaxhighlight lang=java> import java.util.*; public class SwitchEnumExample { public enum Animal { DOG, CAT, CANARY } public static void main(String[] args) throws Exception { Animal animal = Animal.CAT; switch (animal) { case DOG: System.out.println("ワンワン"); break; case CAT: System.out.println("ニャー"); break; case CANARY: System.out.println("ピューイ"); break; } } } </syntaxhighlight> この例では、AnimalというEnumを定義し、それを使って動物の鳴き声を出力するプログラムを書いています。switch文のcaseには、Enumの要素を列挙しています。 switch文は、if文と比べて複数の条件分岐をスッキリと書くことができるため、コードの可読性が向上するという利点があります。 == switch式 == Java 12から、Javaにはswitch式という新しい構文が導入されました。switch式は、通常のswitch文と同様に、複数の値の比較に基づいて異なるコードブロックを実行するために使用されますが、式の値を返すこともできます。 switch式は、通常のswitch文と同じように、いくつかのcaseブロックを持ちます。ただし、switch式では、個々のcaseラベルに式を直接使用できます。また、値を返すことができるため、式の値を変数に代入することもできます。 Javaのswitch式の構文は以下の通りです。 :<syntaxhighlight lang=java> result = switch (式) { case 値1 -> 式1; case 値2 -> 式2; case 値3, 値4 -> { // multiple lines of expressions 式3; yeild 式4; } default -> 式5; }; </syntaxhighlight> * <code>switch</code>キーワードに続いて、条件判定に用いる式を指定します。この式の結果に基づいて、次のcase文に分岐します。 * <code>case</code>キーワードに続いて、条件値を指定します。この条件値が、式の結果と等しい場合、その次の行に記述された式を実行します。 * <code>-></code>の後に続く式は、そのcaseで実行する処理を定義します。 * 複数の条件値を一つのcase文で指定することもできます。この場合、条件値はコンマで区切って指定します。 * 複数の式を実行したい場合は、中括弧 <code>{}</code> 内に複数の式を記述します。 ** この場合、ブロックの値は <code>yeild 式</code>の形で指定します。 * <code>default</code>キーワードに続いて、どのcaseにも該当しない場合に実行する式を指定します。 * 最後に、switch式の結果を代入する変数を指定します。代入は、<code>=</code>記号の左辺に変数名を、右辺にswitch式を指定します。 なお、<code>switch</code>式はJava 12から導入された新しい機能であり、以前のバージョンのJavaでは使用できません。 以下は、switch式の例です。 :<syntaxhighlight lang=java> public class SwitchExpressionExample { public static void main(String[] args) { String fruit = "りんご"; var result = switch (fruit) { case "りんご", "バナナ", "いちご" -> 1; case "メロン", "スイカ" -> 2; default -> 0; }; System.out.println(fruit + "の評価結果は " + result); } } </syntaxhighlight> この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch式では、変数fruitを評価しています。caseラベルには、直接式を使用しています。caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中にカンマで区切って複数記述することができます。->演算子を使用して、各caseラベルの式を実行します。 switch式の最後には、値を返すことができます。この例では、式の結果を変数resultに代入しています。最後に、変数resultの値を出力しています。 {{コラム|switch式はフォールスルーしません|2=<code>switch</code>文において、あえて<code>break</code>文を省略して、次のcaseの処理を実行することを「フォールスルー(fall-through)」と呼びます。 <code>switch</code>文でフォールスルーを行う場合は、明示的にコメントでその旨を記述することが推奨されます。 一方、<code>switch</code>式においては、フォールスルーの概念は存在せず、不用意な処理の続行を避けることができます。 }} == 論理演算子 == Javaにおいて、条件式は比較演算子や論理演算子を用いて、複数の条件を組み合わせた式を表現することができます。論理演算子は、2つのブーリアン値(trueまたはfalse)を受け取り、新しいブーリアン値を返します。 Javaには、5つの論理演算子があります。 *論理積(&&): 2つの式が両方ともtrueの場合にtrueを返します。例えば、式A && 式Bは、式Aがfalseの場合には評価を中止して、式Bを評価しません。 *論理和(||): 2つの式のどちらかがtrueの場合にtrueを返します。例えば、式A || 式Bは、式Aがtrueの場合には評価を中止して、式Bを評価しません。 *論理否定(!): 式がtrueの場合はfalseを、falseの場合はtrueを返します。例えば、!式Aは、式Aがfalseの場合にはtrueを返し、式Aがtrueの場合にはfalseを返します。 *排他的論理和(!=): 2つの式が不一致の場合にtrueを返します。短絡評価は行われません。 *排他的論理和(==): 2つの式が一致した場合にtrueを返します。短絡評価は行われません。 以下は、論理演算子(AND、OR、NOT)の真理値表を表形式で示したものです。 :{| class=wikitable |+ 論理演算子の真理値表 !A!!B!! <nowiki>!</nowiki>A!!A <nowiki>&&</nowiki> B!!A <nowiki>||</nowiki> B |- ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #ddf" | false |- ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #fdd" | true |- ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #fdd" | true |- ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #ddf" | false ! style="background-color: #fdd" | true ! style="background-color: #fdd" | true |} この表では、AとBがそれぞれ真(true)または偽(false)の場合に対する、NOT、AND、ORの結果が示されています。 == 三項演算子 == Javaの三項演算子は、条件式 ? 式1 : 式2 の形式を持ちます。この演算子は、条件式が true の場合は式1を、falseの場合は式2を評価して返します。例えば、以下のようなコードが考えられます。 :<syntaxhighlight lang=java> var a = 5; var b = 10; var max = a > b ? a : b; System.out.println("最大値は" + max); </syntaxhighlight> このコードでは、aとbの値を比較して、aがbよりも大きければaを、そうでなければbを最大値として選択します。 三項演算子を使って、if文を使う代わりに簡潔に書くことができます。 ただし、三項演算子は条件式と2つの式のみを評価するので、複雑な条件分岐を行う場合にはif文を使用することが推奨されます。 == パターンマッチング式 == Java 16で導入されたパターンマッチング式(Pattern Matching for instanceof)は、Java言語の制御構造の一つです。 通常、オブジェクトの型を判定するためには <code>instanceof</code> 演算子を使用します。パターンマッチング式は、この <code>instanceof</code> 演算子をより簡潔かつ安全に使用できるようにしたものです。 例えば、次のようなコードがあります。 :<syntaxhighlight lang=java> if (obj instanceof String) { String str = (String) obj; System.out.println(str.toUpperCase()); } </syntaxhighlight> このコードは、オブジェクトが <code>String</code> クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを <code>String</code> 型にキャストして大文字に変換し、標準出力に出力するという処理を行っています。 パターンマッチング式を使用すると、このコードを次のように書き換えることができます。 :<syntaxhighlight lang=java> if (obj instanceof String str) { System.out.println(str.toUpperCase()); } </syntaxhighlight> このコードでは、オブジェクトが <code>String</code> クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを <code>String</code> 型にキャストせずに、変数 <code>str</code> に直接代入しています。また、変数 <code>str</code> は if 文の中でのみ有効なローカル変数となります。 このように、パターンマッチング式を使用することで、より簡潔で安全なコードを書くことができます。 == switchのパターンマッチング拡張 == switchのパターンマッチング拡張とは、Javaプログラミング言語において、switch文やswitch式においてパターンを使用して条件を指定できるようにする機能です。通常のswitch文やswitch式では、一致する値の厳密な等式比較しか行えませんでしたが、パターンマッチング拡張により、より柔軟な条件指定が可能になります。 具体的には、switch文やswitch式のケースラベルで、従来の定数だけでなく、パターンも指定できるようになります。これにより、オブジェクトの型や構造に基づいて条件を指定することができます。例えば、オブジェクトが特定の型であるか、あるいは特定のフィールドの値を持つかどうかなどの条件を指定することができます。 これにより、従来は複雑だった複数の条件分岐を一つのswitch文やswitch式で表現することができるようになり、コードの可読性が向上します。また、パターンマッチングにより、より安全な条件指定が可能になります。 以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張を使用したコード例です。 :<syntaxhighlight lang=java> public class PatternMatchingExample { public static void main(String[] args) { Object obj = "Hello"; String result = formatterPatternSwitch(obj); System.out.println(result); } static String formatterPatternSwitch(Object obj) { return switch (obj) { case Integer i -> String.format("int %d", i); case Long l -> String.format("long %d", l); case Double d -> String.format("double %f", d); case String s -> String.format("String %s", s); default -> "unknown"; }; } } </syntaxhighlight> この例では、<code>formatterPatternSwitch</code>メソッド内で、<code>switch</code>文を使用して<code>obj</code>の型に基づいて処理を分岐しています。各ケースラベルでは、オブジェクトが特定の型にマッチするかどうかをパターンで指定しています。例えば、<code>case Integer i</code>では、<code>obj</code>が<code>Integer</code>型にマッチする場合、<code>i</code>というパターン変数が導入され、その値が<code>int %d</code>のフォーマット文字列に埋め込まれます。他の型についても同様の処理が行われます。 このように、switch文のパターンマッチング拡張を使用することで、よりシンプルで効率的なコードを記述することができます。 ---- 以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧を表形式で示したものです。 :{| class=wikitable |+ switchのパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧 ! パターン ! 説明 |- !型パターン |特定の型に一致するかどうかをチェックする。 |- !nullパターン |nullに一致するかどうかをチェックする。 |- !リテラルパターン |指定されたリテラル値に一致するかどうかをチェックする。 |- !列挙型定数パターン |指定された列挙型定数に一致するかどうかをチェックする。 |- !配列パターン |指定された配列の要素の数と値に一致するかどうかをチェックする。 |- !デコンストラクタパターン |オブジェクトの構造を分解して、特定のフィールドや要素の値に一致するかどうかをチェックする。 |- !インスタンスパターン |指定されたインスタンスのプロパティに一致するかどうかをチェックする。 |} これらのパターンを使用して、switch文やswitch式のケースラベルで条件分岐を行うことができます。それぞれのパターンは、特定の条件にマッチするかどうかをチェックするために使用されます。 {{Nav}} [[Category:Java|きそ しようけんふんき]]
2006-10-05T23:35:38Z
2024-02-04T00:19:20Z
[ "テンプレート:Nav", "テンプレート:コラム" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/Java/%E5%9F%BA%E7%A4%8E/%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E5%88%86%E5%B2%90
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就職活動ガイド
就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。 通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。 特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。 転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。 一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。 自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。 大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。 高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。 就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。 どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。 大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。 先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。 たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。 例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。 外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( ※たとえばyahooの質問サイト) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。 SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。 企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。 とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。 たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。 早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。 どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。 大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。 中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。 零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。 以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。 理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。 このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。 また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。 説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。 そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。 定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。 日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。 たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。 どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。 どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。 大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。 また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。 近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。 比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。 11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。 2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。 ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。 5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。 9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。 なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。 2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。 なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。 1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。 近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。 事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。 この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。 このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。 この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。 経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。 企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。 しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。 よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。 以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。 最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。 いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。 OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。 就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。 自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。 OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。 面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。 類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。 OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。 どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。 企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。 面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。 個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。 個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。 エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。 ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。 これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。 また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。 ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。 そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。 この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。 面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。 形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。 就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。 大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。 中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。 特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。 面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。 この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。 こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。 絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。 ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。 何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。 他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。 テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。 採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。 1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。 グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。 一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。 近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。 ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。 最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。 通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。 一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。 独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。 グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。 高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。 就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。 後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている。 10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。 したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。 また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。 不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。 高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。 2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。 ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。 日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。 18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。 就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。 高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。 企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。 ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。 多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。 なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。 自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。 企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を ブラック企業 と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。 たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。 ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。 ブラック企業には、就職しないほうが安全である。ブラック企業の多い業界は、業界自体を敬遠したほうが安全だろう。 (※ 例である。) [パーラー」としか記載せず、店員を「アミューズメント・スタッフ」「ホールスタッフ」のように表現する。 また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。 商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。 むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。 一方有能な企業ほど、他地域の企業などとの取り引きが忙しく、ごく一部の地元の下請け取引先との付き合いを除けば、あまり地元の企業との付き合いが無いという場合すらありうる。 「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。 賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。 中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。 製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。 また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。 特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。 転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。", "title": "就職活動とは" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。 自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。", "title": "就職活動とは" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。 高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。 大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。 たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。 例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( ※たとえばyahooの質問サイト) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。 大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。 零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。 そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。 定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。 たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。 どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。 11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。 2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。 ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。 9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。 2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。 近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。 この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。 このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。 経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。 よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。 以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。 いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。 就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。 OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。 面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。 OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。 企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。 面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。 個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。 これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。 また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。 ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。 この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。 形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。 大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。 中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。 特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。 この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。 こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。 絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。 ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。 他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。 テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。 採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。 1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。 一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。 ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。 最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。 通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。 独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。 グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。", "title": "大学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。 就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。 後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている。", "title": "高校生の就職活動" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。 したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。", "title": "高校生の就職活動" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。 不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。 高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。 2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。 ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。", "title": "高校生の就職活動" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。", "title": "中学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。 就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。", "title": "中学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。 企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。", "title": "中学生の就職活動" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。", "title": "就職活動の共通事項" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。 なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。", "title": "就職活動の共通事項" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。", "title": "就職活動の共通事項" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を ブラック企業 と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。 たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。 ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "ブラック企業には、就職しないほうが安全である。ブラック企業の多い業界は、業界自体を敬遠したほうが安全だろう。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "(※ 例である。)", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "[パーラー」としか記載せず、店員を「アミューズメント・スタッフ」「ホールスタッフ」のように表現する。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。 商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。 むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "一方有能な企業ほど、他地域の企業などとの取り引きが忙しく、ごく一部の地元の下請け取引先との付き合いを除けば、あまり地元の企業との付き合いが無いという場合すらありうる。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。 賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。 製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。", "title": "ブラック企業の注意" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。", "title": "ブラック企業の注意" } ]
就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。
'''就職活動'''(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。 == 就職活動とは == 通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。 特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。 転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。 一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。 自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。 == 大学生の就職活動 == 大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。 高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。 就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。 ===就職活動の試験内容=== どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。 大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。 ====学力検査==== 先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。 たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。 例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。 外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( [https://contents.jobcatalog.yahoo.co.jp/qa/list/14239883999/ ※たとえばyahooの質問サイト]) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。 SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。 企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。 とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。 たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。 早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。 ====面接==== どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。 大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。 中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。 零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。 以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。 ====卒業研究についての質問==== 理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。 このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。 また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合<ref>たとえば数学科から物理学科に転学科した等</ref>や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら<ref>例えば高校は電気科だったが、大学では機械工学科に進学のような場合</ref>、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。 説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である<ref>マイナーな研究テーマだと、あまり細かい事は、面接官の側が知らない場合もある</ref>。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。 そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。 定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。 ====質問「趣味は何ですか?」==== 日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。 たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。 どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科<ref>国語・数学・理科・社会・英語</ref>」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。 どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。 大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。 また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。 ====その他の選考方法==== 近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。 === スケジュール === 比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。 11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。 2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。 ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。 5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。 9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。 === 求人状況 === なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。 2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。 なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。 === 時期はいつごろ始めるのか === 1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。 近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。 事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。 この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。 このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。 この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。 経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。 === 企業側の採用活動 === ==== 会社説明会 ==== 企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。 しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。 よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。 以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。 最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。 いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。 ==== OB訪問 ==== OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。 就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。 自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。 OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。 面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。 類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。 OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。 どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。 企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。 面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。 個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。 個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。 ==== エントリーシート ==== エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。 ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。 これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。 また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。 ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。 そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。 この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。 ==== 面接試験 ==== 面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。 形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。 就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。 大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。 中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。 特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。 面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。 この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。 こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。 絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。 ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。 何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。 他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。 テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。 採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。 1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。 ==== グループディスカッション ==== グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。 一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。 近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。 ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。 最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。 通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。 一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。 独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。 グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。 == 高校生の就職活動 == 高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。 就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。 後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている<ref>中学生や高校生は未成年であり、無秩序な就職活動で学業が混乱するのを抑制する観点からの規定</ref>。 10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。 したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。 また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。 不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。 高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。 2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。 ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。 == 中学生の就職活動 == 日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。 18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。 就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。 高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。 企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。 ==就職活動の共通事項== ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。 === 自動車免許 === 多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが<ref>ただし運送業界などは別だろう。</ref>、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。 なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。 自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。 == ブラック企業の注意 == 企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を [[w:ブラック企業|ブラック企業]] と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。 たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。 ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。 ブラック企業には、就職しないほうが安全である。ブラック企業の多い業界は、業界自体を敬遠したほうが安全だろう。 === ブラック企業の傾向 === (※ 例である。) * 末端従業員の犠牲と大量消費を前提とした経営 ** 一時的に大量採用したり、社員を全員名ばかり管理職にするなど、従業員の過剰な負担や、短期の雇用による'''使い捨てを前提としたビジネスモデル'''が構築されている。 ** '''雇われ店長、名ばかり管理職'''などの一部の現場の責任者がまともな権限や待遇を与えられず責任だけを負わされる。不祥事や事故が起きても末端社員に刑事責任・社会的責任や国家資格の剥奪などのペナルティを全て負わせ、経営陣には一切の責任が及ばないシステムが巧妙に構築されている。 * イメージの偽装 ** 「明るい雰囲気」→「明るいという感想を強制される雰囲気」。体育会系的な体質の企業(根性論中心の営業職、精神論中心の社風、経営者や上司、先輩社員による理不尽な暴力や暴言が日常茶飯事) ** 求人誌での好々爺風の初老の男性や綺麗目な女性の写真や、社長と社員が笑顔で語らう写真など無害そうなイメージを前面に出す企業→印象操作によりブラック会社であることを逆に隠そうとしていることを疑わせる。 ** 求人広告や会社の求人用パンフレットでの「働きやすい」「実力を発揮できる」「私(僕)の人生を変えた」などの体験談→上層部や求人誌の制作会社による「やらせ」。 ** 求人サイトにおける「学生に人気のある企業ランキング」の投票でアルバイトを雇ったり社員を動員させたりして「組織票」を入れさせ、あたかも大学生に人気があるかのように擬装する。 **「明るい明日」、「明るい未来」、など曖昧かつポジティブな将来像を強調する。→現状はその正反対であるということ。 * 業種・職種の偽装 ** 不人気な業種・職種で募集する際、カタカナ語や専門用語、あるいは独自の造語などを用い、誤認を導く曖昧な表現が多用されている。 *** 例えば、不人気な職種である飛び込みの訪問販売や営業を「販売」(小売業のような店舗内での販売と誤認されやすい)「○○アドバイザー」「○○エージェント」「○○プランナー」と言い替えたり、「お客様サポート」が修理[クレーム対応の電話係を兼任させるなど。 ***パチンコ・パチスロ店の場合、業種を単に「遊技場」 [パーラー」としか記載せず、店員を「アミューズメント・スタッフ」「ホールスタッフ」のように表現する。<ref>ゲームセンターのスタッフも「アミューズメントスタッフ」と呼ばれることがあるため、混同しやすい。風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づく「遊技場」には、パチンコ店や性風俗の他にも、ゲームセンターや雀荘なども含まれるため、適用範囲が広くなっている。</ref> ** 高給の職種を強調する求人誌の中には、職種が単に「営業」「販売」(悪徳商法・詐欺的な訪問販売や勧誘の可能性あり)「接客」(違法風俗の業種・職種の可能性あり)「データ入力」(迷惑メール業者や出会い系サイトのサクラ役などパソコンやインターネットを使った犯罪を生業とする会社の可能性)などとしか書かれていない企業もあり、業種や職種を明確に記していないのもある。 ** 「講師募集」→悪徳教材会社の訪問販売。また、実際の「教室」である場合でも、異業種の会社が手掛けるサイドビジネスであることも珍しいものではなく、全く門外漢の上司に振り回されたり、講師業とはかけ離れた会社の本業を手伝わされることも多い。 ** 内勤事務の求人にもかかわらず「要運転免許」→物品の調達や別の事務所での打ち合わせ、顧客の送迎などで社用車を運転する必要性もあるが、入社後に「人手不足」「適性が欠如している」などの口実がつけられ、営業職へ強制的に職種転換させるケースもある。 ** 業務請負会社・人材派遣会社の「営業」や「コーディネーター」→請負社員・派遣社員の募集。「現場研修」の名目で、取引先(請負先・派遣先)企業に単なる請負労働者・派遣労働者として請負・派遣する。 ** 募集職種が「幹部候補生」→小売業や飲食業など、接客業に多い。実際はただの店長募集。正社員募集とセットになっていることが多く、店長が「名ばかり管理職」扱いをされる可能性も。 * 経営者の責任感の欠如 ** 経営者・上層部の負うべき責任を(広告、ウェブサイトなどで)明示していない。 ** 経営者・上層部に「社内で強大な権限を持つ代わりに重い責任も負っている」という根本的な'''責任の自覚がない'''。(実際は責任は末端に押し付けており、経営者は権限だけ大きい。) ** '''独裁的経営、恐怖政治的経営、ワンマン経営、同族経営、社会的成功による増長'''などが要因となり、成り行き任せの経営、法制度に対する軽視が蔓延している。 ** 部下に対する'''暴力制裁の横行'''。確信犯的にパワーハラスメントを繰り返し、それを指摘されると言いがかりであると主張する。実際に暴力を自覚していない事も多い。 ** '''セクシャル・ハラスメント(いわゆる「逆セクハラ」も含む)、暴言や暴力などのパワーハラスメント、職場いじめ'''が起こっても「言われたことができないから」とか「これぐらい耐えて当然」などと黙認、正当化する。または上司や幹部が職場いじめに加担している。問題化した際には激励・叱責・教育などと主張したり、「そんなことしたつもりはない」「指導の一環である」と管理責任の全否定に走る。 * 周辺人物や交友関係が原因の労働環境の悪化 ** 経営者・上層部に'''暴力団などの反社会的勢力やフロント企業との関係'''がある。あるいは、それらの構成員や関連の深い人物が内密ないし公然と経営に関与・干渉している。 ** 経営者・上層部に'''カルト、宗教団体、新興宗教'''との繋がりがあり、会社組織やその上下関係が教勢拡大に利用されている。 ** 会社経営の知識が一切なく、経営的責任を負う立場でもない社外の人物(元官僚や県市町村職員の天下り、経営者の親族や時には愛人など)や、経営者や会社と特定の利害関係を持つ人物が会社組織に入り込んで我が物顔で跋扈したり、'''会社や資産を私物化'''している。現場の実情や現実性を無視した素人経営や、反社会的勢力による組織や経営への介入・干渉が引き起こされるなど、労働環境悪化の原因となる。 * 会社の宗教化 ** 経営者を神格化し、個人崇拝を強制する。職場に経営者の写真が飾られており朝礼や出社時に礼をする、経営者の偉業を湛えることを趣旨とした社内行事があるなど、 ** 経営者の個人歴や言語録の暗記、経営者の著書の購入、感想文の執筆などが通常の業務の一環として義務付けられおり、経営者への信仰心が仕事の評価に繋がる仕組みになっている。 ** サービス残業など劣悪な労働環境が美徳とされており、それらを自主的に行わざるを得ない雰囲気が作られている。外部で問題化した際は「従業員が自主的にやっている」と主張したり、信仰心の強い社員の言動を盾に「これを問題化することは従業員に対する侮辱だ」と主張する。 ==== ブラック企業の面接 ==== * 面接が一切ないか、形骸化している。大量に離職するか離職されてもすぐに代替の人材を確保できるため、よほどのことがない限り採用される。 * 面接時に履歴書や職務経歴書を提出しても、内容を精読せず質問する。そもそも履歴書も要らないところも多い。 * 質問の際、好都合な待遇(給与・休日など)に関する質問をすると、曖昧な返答しかせず、言葉を濁そうとする。 * 面接の担当者が応募者より年上である場合、または応募者の職業経験が浅い(転職が多い)場合、横柄な態度で質問してくる。 * 「学歴不問」「人物本位の選考」→退職者が多いことと、すぐに代替の人材が確保できることから、入社するなら誰でもよいことの一例。 * 派遣先企業での事前面接→顔合わせ・打ち合わせ・面談・職場見学などの名目で行われる。交通費や拘束時間分の賃金は支給されない。違法行為。正社員への転換を前提とする紹介予定派遣を除き人物を特定する事前面接行為は違法である。常用型(専門職)派遣で無期契約であっても違法行為。 * 休業日、あるいは業務とは無関係な場所で面接や説明会・選考試験を行う。「今の時間はたいして忙しくないから」「個人情報を扱っているので」などとの口実を付け、不都合なものを見せないようにするため職場の見学を拒否する。 * 不採用になった場合、応募者の履歴書・職務経歴書などの応募書類を返却してこない。または応募者に送料を負担させる(返信用の封筒と切手を添付するよう要求する)。 ==== ブラック企業の採用方法 ==== * 採用通知を書面で通達しない。採用通知の電話連絡や雇用契約の締結後に、雇用条件を口頭のみで次々と変える。職種の変更などもある。これらは録音しない限り証拠が残らない。 * 個人事業者として採用する。社員でない場合、労災の責任や社会保険の会社負担がない。正社員で採用されたと思っていても、労働契約書の記載が違う場合がある。あるいは正社員で採用したかのように誤認させる。 * 採用後に雇用契約書を書かせない(労働者に不利な雇用契約を締結させるため)。または契約書のコピーを控えさせない。 * 採用後に従業員の給与振込み用の口座を尋ねないか、または従業員に給与のシステム(タイムカード制か歩合制かなど)を一切伝えない。働きが悪ければ、給与未払いまたは減給や解雇しようと目論んでいるため。 * 法人ならば加入義務がある社会保険の制度がない、あるいは入社後一定期間を経なければ加入できない。 * 従順な人間だけを絞り込もうとしている。試用期間中に新人教育と称して暴力行為・しごきを行ったり、過重なノルマを与えたりして絞り込もうとしている。 * 試用期間が長すぎる。解雇されやすく、給与が低く抑えられる。 * 内定通知を出しておきながら、年度が替わる前に研修などを行い、働きがよくなければそこで内定を取り消す。 === 商工会議所会員のブラック企業 === また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。 商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。 むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。 一方有能な企業ほど、他地域の企業などとの取り引きが忙しく、ごく一部の地元の下請け取引先との付き合いを除けば、あまり地元の企業との付き合いが無いという場合すらありうる。 === 製造業や農業の違法企業 === 「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。 賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。 中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。 製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。 また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。 ==脚注== <references/> == 関連サイト(参考文献) == {{Wikipedia|就職活動}} *[http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%A2%B3%E8 就活とは - はてなキーワード] *[http://s-coach.com/students 2011年度の新卒就活環境 - 就職・面接対策の就活塾「就活コーチ」] {{DEFAULTSORT:しゆうかつかつとうかいと}} [[Category:生活]]
2006-10-09T14:52:38Z
2023-09-25T07:49:32Z
[ "テンプレート:Wikipedia" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%B1%E8%81%B7%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89
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OpenGL
メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > OpenGL ここまでで2Dのゲームプログラミングを見てきました。ここまででもある程度高度な数学が現れています。例えば,w:ベクトルやw:三角比はその例でどちらも高等学校数学で扱われる題材で、割合高度な数学といえます。残念ながら3Dプログラミングでは更に高度な数学が必要となります。 3Dプログラミングでは4x4までのw:行列の演算が必要になります。2x2までの行列演算については高等学校数学Cを参照してください。また、任意の階数の行列演算については線型代数学を参照してください。具体的には、逆行列を求める演算(w:クラメールの公式、w:ガウスの消去法など)までを学習しておくとよいでしょう。 また、ゲームによっては初等的な力学の法則を扱う場合があります。残念ながら3次元空間での一般的な力学運動は高等学校物理の範囲を超えます。このような内容を習得するには,古典力学を読む必要があります。 いずれにしても、3Dプログラミングに必要な数学はw:理系の大学1, 2年程度で習う内容です。 w:3D (3 Dimension) プログラミングは3つの数値で表される座標を持つ物体を扱うプログラミング技法です。普通コンピュータで画面表示として用いられているw:ディスプレイは、厚みのある事柄を表示することはできません。これは、ディスプレイの表示方法が2つの座標(縦と横)で表される表示方法であることによります。一方,計算機上のデータとしては,3つの数値を組として扱うことは,2つの数値を組として扱うことと比べて格別に難しいことではありません。そのため、ある物体が存在する位置を3次元の座標で表し,その座標を操作することで物体の3次元中での移動などを扱うことができます。この時,最終的に操作の結果を表示するには2次元のディスプレイを扱う必要があるため,3次元の座標を2次元の座標に変換する方法が必要になります。 3次元の座標から2次元の座標を引き出す方法として,射影行列(線形代数などを参照)を利用する方法があげられます。射影行列 P i {\displaystyle P_{i}} は, (和を取らない)を満たす行列のことです。ここでは、z軸方向を厚みの方向として取り,射影行列として, を取ります。この2つの行列は P 1 + P 2 = 1 , P 1 2 = P 1 , P 2 2 = P 2 {\displaystyle P_{1}+P_{2}=1,P_{1}^{2}=P_{1},P_{2}^{2}=P_{2}} を満たします。ここで、ある点 x → {\displaystyle {\vec {x}}} の3次元座標を とした時,その点の2次元座標を のx, y成分で表します。これはあらゆる3次元座標にただ1つの2次元座標を与える射影で,3次元座標から2次元座標を取り出す1つの方法ということになります。 ここまでで3次元座標から2次元座標を取り出す方法を述べました。ここからは、実際にこの方法をプログラムする方法を述べます。上の方法を扱うには、行列の計算と、ベクトルを扱う方法が必要です。実際にはこれらの方法はいろいろなライブラリで扱われており(例えば,w:en:GSL(GNU Scientific Library)など),実際のプログラミングではそれらを用いるとよいでしょう。もちろん自力で実装することもできます。 上で述べた通り,行列やベクトルを扱う演算はプログラムで扱うこともできますが,実際にはそれはあまり行われません。それはそのような計算はw:CPUにとって手間がかかることが多く,全てをCPUを使って計算しようとすると多くの時間がかかるからです。このような計算を扱うためには,w:グラフィックボード、w:ビデオカードと呼ばれる機器を使うことが推奨されます。これらは、3次元の計算をするために特化した演算装置(CPUに対して,w:GPUと呼ばれることがある)を持っており,CPUを使って計算を行うよりも速く演算を行うことができます。ただし、そのような機器がない環境でも全ての計算をCPUを使って行うことで3Dの描画を行うことは可能です。 ここまでで、3Dの計算を扱うために専用の機器を使えることを述べました。ここからは実際にそのような機器を使う方法について述べます。また、そのような機器がなくとも,同じプログラムを使ってCPUに計算をさせる方法があることについても述べます。 実際に何らかの機器を用意した時,その機器に実際に計算をさせるための手法が必要になります。この手法は環境によって少し異なっています。各社が発売しているw:グラフィックボードのw:デバイスドライバには,それらの機器を利用者のプログラムから利用するための一連の関数が用意されています。関数群には通常2つがあり、これらはそれぞれw:DirectX、w:OpenGLと呼ばれます。Windowsからは両方の関数群が使えることが普通です。一方,他の環境(w:Mac OS X、w:Linuxなど)からはOpenGLしか使えません。これらの関数群は互いに互換性が無いので,実際に使用するときは注意が必要です。ここではOpenGLについて扱います。 ここで,グラフィックボードなどの機器が用意できないなどの理由で全ての計算をCPUに行わせる場合のことを述べます。この場合は基本的にグラフィックボードが提供する機能を1つ1つプログラムしていくことになります。実際には,このような場合にはw:en:Mesa 3Dなどのライブラリを使うのが1つの手段です。Mesaは、OpenGLが提供する機能を実際にプログラムしたもので、1つ1つプログラムする手間が省けます。Mesaはw:オープンソースライセンスで配布されているので自由に手に入れて使うとよいでしょう。 ここまでで3Dの計算を行う方法について述べました。ここでは実際にOpenGLのプログラムを扱います。OpenGLのチュートリアルはWeb上で公開されているので,紹介します。(OpenGL Redbook http://fly.srk.fer.hr/~unreal/theredbook/ ) また、OpenGLの詳細な規定は、http://www.opengl.org/documentation/specs/ で入手できます。 OpenGLを利用して計算を行うのですが、OpenGLが行うのはあくまで計算であり,画面への描画では無いことに注意が必要です。画面への描画はOpenGLでの計算結果に従って描画を扱うプログラムが行います。Linuxでは描画はw:X Window Systemが行い,Mac OS Xでは、w:quartzが行います。そのため、結果の描画を行うためには,描画を行うプログラムに,OpenGLを利用することを知らせる必要があります。 残念な事にこの作業を行う方法はウィンドウシステムによって異なっています。Xの場合にはglX関数を使い,Xに指示を出しますが、この方法は他のプラットフォームでは使えません。幸いにもこのような作業を様々なプラットフォームで使う方法として,w:GLUT、w:SDLなどを利用することができます。ここでは、SDLを利用する方法について述べます。 GLUTは本来GLの利用を簡単にするために作られました。一方,SDLは本来ゲームプログラミングを行うことを目的として作られたライブラリです。しかし、いずれにしろ3Dプログラミングを行うためにはOpenGLの利用は必須なので,SDLもGLUTに近い機能を持っています。どちらもWindows, Mac OS X, Linux上でOpenGLの動作を始めることができます。 SDLでOpenGLを利用するときには とします。ここではこのプログラムについて順に説明していきます。まず、OpenGLを使わなくとも、SDLを利用する場合でも、1, 3, 4, 5, 6, 9, 10行は必要となります。ただし,4行目は、 などと書き換える必要があります。 ここからは、実際にOpenGLの関数を書いていきます。ここで書かれるプログラムは上のプログラムの7行目以降に書かれるものです。 このプログラム(tri.cとする)をコンパイルするには,いくつかのコンパイラオプションが必要です。コンパイラがw:GCCなら、 となります。実際にGLの関数が置かれている場所は環境によります。X+MesaではXが置かれているディレクトリにあることが普通ですが,グラフィックボードのドライバを利用するなら,w:メーカーの指定したディレクトリを使う必要があります。また、上の例では必要ないですが,-lGLUをつける場合もあります。これはglu.hで定義された関数を利用する場合に使います。glu.hの関数は実際にはgl.hの関数をいくつか組み合わせた関数ですが,よく用いられる組み合わせなので、gl.hの関数とともに配布されます。 このプログラムを実行すると,黒い背景の中に白い3角形が描かれるはずです。 上のプログラムの結果を説明するにはいくつかの事柄を説明する必要があります。まず、上のプログラム内で, という関数が使われています。この関数はその中で指定された事柄(主に頂点に関する事柄)を記録させます。記録できる事柄は頂点の位置や色などがあります。頂点の位置を指定するには を使うことができます。ここでこの関数名はOpenGLに特徴的な事柄をいくつか含んでいます。最後の3fがそれでこれはそれぞれこの関数が"3つ"の引数を取ることと、その型が"GLfloat"であることです。ここでGLfloatはほとんどの場合float型のtypedefになっています。これ以降にもこの種の関数名は何度か出てきます。glVertex3fは、3つの引数によってそれぞれ3次元の座標を指定します。 さて、ここまでで上のGLプログラムの1-5行が、3つの座標を指定したことがわかります。実際にそれらの座標をどう使うかについてはglBegin()の引数が使われます。ここではGL_LINE_LOOPを使ったので,指定された座標は指定された順に直線でつながれます。 ここまでで、上のプログラム中で座標 (0,0,0),(0,1,0),(0,0,1) が指定され,これらが直線でつながれることがわかりました。これは3次元中で3角形を描くことがわかります。次の問題は,この三角形がどのようにディスプレイに投影されるかです。 OpenGLは3次元中に指定された座標の2次元中での位置を定めるために2つの行列を利用します。ここで、OpenGLでは行列を"扱う"場所は1つしか用意しなくてもいいことが定められています。もちろん、値を保存しておく場所は複数あるのですが,これらの値を変更するのに使う領域は1つです。そのため、これらの行列を使い分けるには,これらを所定の場所に呼び出す必要があります。ここで行列を指定するには,glMatrixMode()関数を使います。この関数は1つの引数を取り、その値で行列を指定します。2次元中での位置を指定するのに使う行列はそれぞれGL_MODELVIEW, GL_PEROJECTIONで指定されます。これらの行列の初期値は4x4のw:単位行列です。また、実際に使われるのはこれらの積であるので,値を変更するのは片方の行列だけでもあらゆる変換を指定することは可能です。 ここで2つの行列のそれぞれについてその性質を述べます。GL_MODELVIEW行列はそれぞれの頂点の座標を変更するのに利用します。実際には大抵の場合、この行列は の3つの関数から利用されます。 これらの関数は順に,座標を"回転", "拡大縮小", "平行移動"します。これらの関数はそれぞれ対応する変換を行う行列を生成し、選択されている行列を変換します。ここではそれらの行列の詳細について解説します。対応する行列についてはそれぞれのmanを参照してください。(OpenGLのspecification http://www.opengl.org/documentation/specs/man_pages/hardcopy/GL/html/ ) translateの生成する行列は、 で与えられます。この行列は、元の頂点の3次元座標が v → {\displaystyle {\vec {v}}} で表されるときの同次座標 ( v 1 , v 2 , v 3 , 1 ) {\displaystyle (v_{1},v_{2},v_{3},1)} を、 ( v 1 + x , v 2 + y , v 3 + z , 1 ) {\displaystyle (v_{1}+x,v_{2}+y,v_{3}+z,1)} に変換しますが、これはまさに平行移動によって引き起こされる座標変換に対応しています。 scaleの生成する行列は、 です。この変換は3次元座標 ( v x , v y , v z ) {\displaystyle (v_{x},v_{y},v_{z})} を、 ( x v x , y v y , z v z ) {\displaystyle (xv_{x},yv_{y},zv_{z})} に変換します。これはx,y,zの値によってそれぞれの座標を拡大縮小する変換に対応します。 最後に、rotateで得られる行列を紹介します。 この変換の導出は少し厄介です。まず、原点から始まり、回転の方向を向いている単位ベクトルを n → {\displaystyle {\vec {n}}} とし、ある頂点の座標を表すベクトルを a → {\displaystyle {\vec {a}}} とします。このとき、この回転で変化するのは、 a → {\displaystyle {\vec {a}}} のうち、 n → {\displaystyle {\vec {n}}} に平行でない成分のみです。 n → {\displaystyle {\vec {n}}} に平行な成分は、 で表されるので、実際に回転によって変化する成分は、 a → {\displaystyle {\vec {a}}} から上の分を取り除いたベクトルです。このベクトルを a → ⊥ {\displaystyle {\vec {a}}_{\perp }} と呼びます。このベクトルは回転によって変化しますが、これを表すには、 a → ⊥ {\displaystyle {\vec {a}}_{\perp }} と n → {\displaystyle {\vec {n}}} の両方に直交するベクトルが必要です。このベクトルを、 と取ります。このとき、回転する角度を θ {\displaystyle \theta } とすると、後のベクトルは、 r → = cos θ a → ⊥ + sin θ b → {\displaystyle {\vec {r}}=\cos \theta {\vec {a}}_{\perp }+\sin \theta {\vec {b}}} と書けます。 結局得られるベクトルは、 となります。ここからは、この結果が上の式と一致することを示すため、この式を整理していきます。まず、 a → ∥ {\displaystyle {\vec {a}}_{\parallel }} について、3x3行列 を定義すると、 a → ∥ = N a → {\displaystyle {\vec {a}}_{\parallel }=N{\vec {a}}} が成り立ちます。また、 b → {\displaystyle {\vec {b}}} について、3x3行列 を定義すると、 b → = R a → {\displaystyle {\vec {b}}=R{\vec {a}}} が成り立ちます。このことから結果の式について、 が得られますが、これを整理すると求めていた行列x a → {\displaystyle {\vec {a}}} が現れます。 次に、GL_PROJECTION行列について述べます。OpenGLでは、頂点の座標についてこれらの行列をかけた後 (-1, -1, -1), (1,1,1) で指定される立方体内にある図形を描きます。このため、例えば (0,0,10) にある図形は一般には描かれません。しかし、図形を3次元中に描くときの事情で、これらの位置を自由に指定できないと不便です。GL_PROJECTION行列は"描画される範囲を広げる"目的で利用されます。また、この行列は、"遠くにあるものほど小さく見える"という状況を扱うためにも利用されます。 まず、"描画される範囲を広げる"場合について行列の指定の仕方を説明します。実際には範囲を広げているのでは無く,"(-1,-1,-1)(1,1,1) 内に入るように、遠くにあるものを近くに持ってきている"のが正しいのですが、どちらにしろ結果は同じです。これを指定するにはglOrtho()関数を利用します。glOrtho関数は6つの引数を取り,それぞれ描画する立方体(一般には直方体)を指定する座標を取ります。引数は順に と呼ばれ,描画される直方体は(left, bottom, near)(right, top, far)で指定されます。このとき、glOrthoを利用しないときは が指定されたときと同じ結果になることがわかりますが、実際にはこの指定は4x4の単位行列を返すので指定を省略したときと結果は同じになります。対応する行列は となります 次に、"遠くにあるものほど小さく見える"の場合について説明します。これを指定するためには,いくつかの変数が必要になります。まず、"物体を観察するもの"が (0,0,0) にあるとします。次に,遠くの物体が縮小される割合を指定します。これは、投影された後のx座標とy座標に対応して2つのパラメータが必要です。更に,見える方向がz方向で無い場合を扱うために2つのパラメータが必要となります。最後に,上で指定した角度の方向に実際に描画するz座標の範囲を指定します。これらを全て指定すると、描画される領域は角錐 (w:en:frustum) になります。 実際にこの領域を指定するにはglFrustum関数を利用します。glFrustum関数は6つの引数を取りますが,それぞれの引数は で与えられる名前をもっており、縮小される割合を定める四角形がl, r, t, b、四角形の位置がn、描画される範囲がfで定められます。glFrustumで与えられる行列は です。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > OpenGL", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "ここまでで2Dのゲームプログラミングを見てきました。ここまででもある程度高度な数学が現れています。例えば,w:ベクトルやw:三角比はその例でどちらも高等学校数学で扱われる題材で、割合高度な数学といえます。残念ながら3Dプログラミングでは更に高度な数学が必要となります。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "3Dプログラミングでは4x4までのw:行列の演算が必要になります。2x2までの行列演算については高等学校数学Cを参照してください。また、任意の階数の行列演算については線型代数学を参照してください。具体的には、逆行列を求める演算(w:クラメールの公式、w:ガウスの消去法など)までを学習しておくとよいでしょう。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "また、ゲームによっては初等的な力学の法則を扱う場合があります。残念ながら3次元空間での一般的な力学運動は高等学校物理の範囲を超えます。このような内容を習得するには,古典力学を読む必要があります。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "いずれにしても、3Dプログラミングに必要な数学はw:理系の大学1, 2年程度で習う内容です。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "w:3D (3 Dimension) プログラミングは3つの数値で表される座標を持つ物体を扱うプログラミング技法です。普通コンピュータで画面表示として用いられているw:ディスプレイは、厚みのある事柄を表示することはできません。これは、ディスプレイの表示方法が2つの座標(縦と横)で表される表示方法であることによります。一方,計算機上のデータとしては,3つの数値を組として扱うことは,2つの数値を組として扱うことと比べて格別に難しいことではありません。そのため、ある物体が存在する位置を3次元の座標で表し,その座標を操作することで物体の3次元中での移動などを扱うことができます。この時,最終的に操作の結果を表示するには2次元のディスプレイを扱う必要があるため,3次元の座標を2次元の座標に変換する方法が必要になります。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "3次元の座標から2次元の座標を引き出す方法として,射影行列(線形代数などを参照)を利用する方法があげられます。射影行列 P i {\\displaystyle P_{i}} は,", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "(和を取らない)を満たす行列のことです。ここでは、z軸方向を厚みの方向として取り,射影行列として,", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "を取ります。この2つの行列は P 1 + P 2 = 1 , P 1 2 = P 1 , P 2 2 = P 2 {\\displaystyle P_{1}+P_{2}=1,P_{1}^{2}=P_{1},P_{2}^{2}=P_{2}} を満たします。ここで、ある点 x → {\\displaystyle {\\vec {x}}} の3次元座標を", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "とした時,その点の2次元座標を", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "のx, y成分で表します。これはあらゆる3次元座標にただ1つの2次元座標を与える射影で,3次元座標から2次元座標を取り出す1つの方法ということになります。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "ここまでで3次元座標から2次元座標を取り出す方法を述べました。ここからは、実際にこの方法をプログラムする方法を述べます。上の方法を扱うには、行列の計算と、ベクトルを扱う方法が必要です。実際にはこれらの方法はいろいろなライブラリで扱われており(例えば,w:en:GSL(GNU Scientific Library)など),実際のプログラミングではそれらを用いるとよいでしょう。もちろん自力で実装することもできます。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "上で述べた通り,行列やベクトルを扱う演算はプログラムで扱うこともできますが,実際にはそれはあまり行われません。それはそのような計算はw:CPUにとって手間がかかることが多く,全てをCPUを使って計算しようとすると多くの時間がかかるからです。このような計算を扱うためには,w:グラフィックボード、w:ビデオカードと呼ばれる機器を使うことが推奨されます。これらは、3次元の計算をするために特化した演算装置(CPUに対して,w:GPUと呼ばれることがある)を持っており,CPUを使って計算を行うよりも速く演算を行うことができます。ただし、そのような機器がない環境でも全ての計算をCPUを使って行うことで3Dの描画を行うことは可能です。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "ここまでで、3Dの計算を扱うために専用の機器を使えることを述べました。ここからは実際にそのような機器を使う方法について述べます。また、そのような機器がなくとも,同じプログラムを使ってCPUに計算をさせる方法があることについても述べます。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "実際に何らかの機器を用意した時,その機器に実際に計算をさせるための手法が必要になります。この手法は環境によって少し異なっています。各社が発売しているw:グラフィックボードのw:デバイスドライバには,それらの機器を利用者のプログラムから利用するための一連の関数が用意されています。関数群には通常2つがあり、これらはそれぞれw:DirectX、w:OpenGLと呼ばれます。Windowsからは両方の関数群が使えることが普通です。一方,他の環境(w:Mac OS X、w:Linuxなど)からはOpenGLしか使えません。これらの関数群は互いに互換性が無いので,実際に使用するときは注意が必要です。ここではOpenGLについて扱います。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "ここで,グラフィックボードなどの機器が用意できないなどの理由で全ての計算をCPUに行わせる場合のことを述べます。この場合は基本的にグラフィックボードが提供する機能を1つ1つプログラムしていくことになります。実際には,このような場合にはw:en:Mesa 3Dなどのライブラリを使うのが1つの手段です。Mesaは、OpenGLが提供する機能を実際にプログラムしたもので、1つ1つプログラムする手間が省けます。Mesaはw:オープンソースライセンスで配布されているので自由に手に入れて使うとよいでしょう。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "ここまでで3Dの計算を行う方法について述べました。ここでは実際にOpenGLのプログラムを扱います。OpenGLのチュートリアルはWeb上で公開されているので,紹介します。(OpenGL Redbook http://fly.srk.fer.hr/~unreal/theredbook/ ) また、OpenGLの詳細な規定は、http://www.opengl.org/documentation/specs/ で入手できます。", "title": "3Dプログラミング" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": 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<small>{{Pathnav|メインページ|工学|情報技術|プログラミング}}</small> ---- ==3Dプログラミング== ===3Dに必要な数学=== ここまでで2Dのゲームプログラミングを見てきました。ここまででもある程度高度な数学が現れています。例えば,[[w:ベクトル]]や[[w:三角比]]はその例でどちらも[[高等学校数学]]で扱われる題材で、割合高度な数学といえます。残念ながら3Dプログラミングでは更に高度な数学が必要となります。 3Dプログラミングでは4x4までの[[w:行列]]の演算が必要になります。2x2までの行列演算については[[高等学校数学C]]を参照してください。また、任意の階数の行列演算については[[線型代数学]]を参照してください。具体的には、逆行列を求める演算([[w:クラメールの公式]]、[[w:ガウスの消去法]]など)までを学習しておくとよいでしょう。 また、ゲームによっては初等的な力学の法則を扱う場合があります。残念ながら3次元空間での一般的な力学運動は[[高等学校物理]]の範囲を超えます。このような内容を習得するには,[[古典力学]]を読む必要があります。 いずれにしても、3Dプログラミングに必要な数学は[[w:理系]]の大学1, 2年程度で習う内容です。 ===3Dプログラミング=== [[w:3D]] (3 Dimension) プログラミングは3つの数値で表される座標を持つ物体を扱うプログラミング技法です。普通コンピュータで画面表示として用いられている[[w:ディスプレイ]]は、厚みのある事柄を表示することはできません。これは、ディスプレイの表示方法が2つの座標(縦と横)で表される表示方法であることによります。一方,計算機上のデータとしては,3つの数値を組として扱うことは,2つの数値を組として扱うことと比べて格別に難しいことではありません。そのため、ある物体が存在する位置を3次元の座標で表し,その座標を操作することで物体の3次元中での移動などを扱うことができます。この時,最終的に操作の結果を表示するには2次元のディスプレイを扱う必要があるため,3次元の座標を2次元の座標に変換する方法が必要になります。 3次元の座標から2次元の座標を引き出す方法として,射影行列([[線型代数学|線形代数]]などを参照)を利用する方法があげられます。射影行列<math>P_i</math>は, :<math>\sum _i P_i = 1</math> :<math>P_i ^2 = P_i</math> (和を取らない)を満たす行列のことです。ここでは、z軸方向を厚みの方向として取り,射影行列として, :<math>P_1 = \begin{pmatrix} 1&0&0\\ 0&1&0\\ 0&0&0 \end{pmatrix} </math> :<math> P_2 = \begin{pmatrix} 0&0&0\\ 0&0&0\\ 0&0&1 \end{pmatrix} </math> を取ります。この2つの行列は <math>P_1 + P_2 = 1, P_1 ^2 = P_1, P_2 ^2 = P_2</math> を満たします。ここで、ある点<math>\vec x</math>の3次元座標を :<math>\vec x = (x, y, z)</math> とした時,その点の2次元座標を :<math>P_1 \vec x = (x, y, 0)</math> のx, y成分で表します。これはあらゆる3次元座標にただ1つの2次元座標を与える射影で,3次元座標から2次元座標を取り出す1つの方法ということになります。 ここまでで3次元座標から2次元座標を取り出す方法を述べました。ここからは、実際にこの方法をプログラムする方法を述べます。上の方法を扱うには、行列の計算と、ベクトルを扱う方法が必要です。実際にはこれらの方法はいろいろなライブラリで扱われており(例えば,[[w:en:GSL]](GNU Scientific Library)など),実際のプログラミングではそれらを用いるとよいでしょう。もちろん自力で実装することもできます。 上で述べた通り,行列やベクトルを扱う演算はプログラムで扱うこともできますが,実際にはそれはあまり行われません。それはそのような計算は[[w:CPU]]にとって手間がかかることが多く,全てをCPUを使って計算しようとすると多くの時間がかかるからです。<!-- 実際には筆者の環境でmesaを使ってglxgearsを実行してみたところ、座標の計算というより扱うウィンドウの書き換えで時間を取っている。そのため、"行列の計算で"というのは語弊がある。 -->このような計算を扱うためには,[[w:グラフィックボード]]、[[w:ビデオカード]]と呼ばれる機器を使うことが推奨されます。これらは、3次元の計算をするために特化した演算装置(CPUに対して,[[w:GPU]]と呼ばれることがある)を持っており,CPUを使って計算を行うよりも速く演算を行うことができます。ただし、そのような機器がない環境でも全ての計算をCPUを使って行うことで3Dの描画を行うことは可能です。 ここまでで、3Dの計算を扱うために専用の機器を使えることを述べました。ここからは実際にそのような機器を使う方法について述べます。また、そのような機器がなくとも,同じプログラムを使ってCPUに計算をさせる方法があることについても述べます。 実際に何らかの機器を用意した時,その機器に実際に計算をさせるための手法が必要になります。この手法は環境によって少し異なっています。各社が発売している[[w:グラフィックボード]]の[[w:デバイスドライバ]]には,それらの機器を利用者のプログラムから利用するための一連の関数が用意されています。関数群には通常2つがあり、これらはそれぞれ[[w:DirectX]]、[[w:OpenGL]]と呼ばれます。[[Windows入門|Windows]]からは両方の関数群が使えることが普通です。一方,他の環境([[w:Mac OS X]]、[[w:Linux]]など)からはOpenGLしか使えません。これらの関数群は互いに互換性が無いので,実際に使用するときは注意が必要です。ここではOpenGLについて扱います。<!-- もちろんDirectXも扱った方がよいのだが ... 。 --> ここで,グラフィックボードなどの機器が用意できないなどの理由で全ての計算をCPUに行わせる場合のことを述べます。この場合は基本的にグラフィックボードが提供する機能を1つ1つプログラムしていくことになります。実際には,このような場合には[[w:en:Mesa 3D]]などのライブラリを使うのが1つの手段です。Mesaは、OpenGLが提供する機能を実際にプログラムしたもので、1つ1つプログラムする手間が省けます。Mesaは[[w:オープンソース]]ライセンスで配布されているので自由に手に入れて使うとよいでしょう。<!-- Mesaの作者はすごい。 --> ここまでで3Dの計算を行う方法について述べました。ここでは実際にOpenGLのプログラムを扱います。OpenGLのチュートリアルはWeb上で公開されているので,紹介します。(OpenGL Redbook http://fly.srk.fer.hr/~unreal/theredbook/ ) また、OpenGLの詳細な規定は、http://www.opengl.org/documentation/specs/ で入手できます。 OpenGLを利用して計算を行うのですが、OpenGLが行うのはあくまで計算であり,画面への描画では無いことに注意が必要です。画面への描画はOpenGLでの計算結果に従って描画を扱うプログラムが行います。Linuxでは描画は[[w:X Window System]]が行い,Mac OS Xでは、[[w:quartz]]が行います。そのため、結果の描画を行うためには,描画を行うプログラムに,OpenGLを利用することを知らせる必要があります。 残念な事にこの作業を行う方法はウィンドウシステムによって異なっています。Xの場合にはglX関数を使い,Xに指示を出しますが、この方法は他のプラットフォームでは使えません。幸いにもこのような作業を様々なプラットフォームで使う方法として,[[w:GLUT]]、[[w:SDL]]などを利用することができます。ここでは、SDLを利用する方法について述べます。 GLUTは本来GLの利用を簡単にするために作られました。一方,SDLは本来ゲームプログラミングを行うことを目的として作られたライブラリです。しかし、いずれにしろ3Dプログラミングを行うためにはOpenGLの利用は必須なので,SDLもGLUTに近い機能を持っています。どちらもWindows, Mac OS X, Linux上でOpenGLの動作を始めることができます。<!-- Windowsについては筆者は未確認。 --> SDLでOpenGLを利用するときには <syntaxhighlight lang=c line> #include <SDL.h> #include <GL/gl.h> int main() { if (SDL_SetVideoMode(200, 200, 0, SDL_OPENGL) == NULL) return 10; /* OpenGLの処理 */ SDL_GL_SwapBuffers(); return 0; } </syntaxhighlight> とします。<!-- SDL_Init? -->ここではこのプログラムについて順に説明していきます。まず、OpenGLを使わなくとも、SDLを利用する場合でも、1, 3, 4, 5, 6, 9, 10行は必要となります。ただし,4行目は、 <syntaxhighlight lang=c start="5" line> SDL_Surface *surf; if (surf = SDL_SetVideoMode(200, 200, 0, 0)) </syntaxhighlight> などと書き換える必要があります。 * 1行目は,SDLを利用する際に必要となるヘッダファイルです。これは常に必要になります。 * 2行目はOpenGLの関数を利用する時に必要となるヘッダです。この部分は例え,GLUTを利用するとしても,変わりはありません。それは、SDLであるにしろ,GLUTであるにしろどちらもウィンドウシステムからOpenGLの領域を受け取ることに変わりはないからです。そのため、利用するヘッダも、2つのライブラリで共通のものを利用します。 * 3,4, 9, 10行目はほとんど全てのCプログラムで必要になります。 * 5行目でOpenGLの領域をウィンドウシステムから受け取っています。SDL_SetVideoModeは本来のSDLでは書き換えられたプログラムの5行目のように描画を行うSDL_Surfaceという構造体を返します。しかし、4つめの引数にSDL_OPENGLの[[w:フラグ]]を受け取った時には,OpenGLの領域を初期化するように動作が変化します。仮にこの動作が失敗した場合には,この関数はNULLを返すので,その場合にはここでプログラムを終了するのが普通です。 * 7行目以降でOpenGLの関数を書きます。ここについては後で述べます。 * 8行目ではSDL_GL_SwapBuffersという関数を使っています。この関数はOpenGLの関数で描画した図形を、実際にウィンドウに描画する関数です。この方法は[[w:ダブルバッファ]]を簡単に実現してくれます。GLで描画された内容が実際に表示されるのは,この関数以降です。また、実際に描画を行ってもこのままではすぐにプログラムが終了してしまうので,描画結果を見るためには,whileループかsleepなどの関数を利用して,プログラムの実行を続ける必要があります。実際にはSDLはSDL_Delayというプログラムの実行を一時的に遅らせる関数を持っているので,この関数を使うのもよいでしょう。 ここからは、実際にOpenGLの関数を書いていきます。ここで書かれるプログラムは上のプログラムの7行目以降に書かれるものです。 <syntaxhighlight lang=c> glBegin(GL_LINE_LOOP); glVertex3d(0,0,0); glVertex3d(0,1,0); glVertex3d(1,0,0); glEnd(); </syntaxhighlight> このプログラム(tri.cとする)をコンパイルするには,いくつかのコンパイラオプションが必要です。コンパイラが[[w:GCC]]なら、 $gcc -Wall tri.c -L libGLのある場所 -I GL/gl.hのある場所 -lGL $(sdl-config --cflags --libs) となります。実際にGLの関数が置かれている場所は環境によります。X+MesaではXが置かれているディレクトリにあることが普通ですが,グラフィックボードのドライバを利用するなら,[[w:メーカー]]の指定したディレクトリを使う必要があります。また、上の例では必要ないですが,-lGLUをつける場合もあります。これはglu.hで定義された関数を利用する場合に使います。glu.hの関数は実際にはgl.hの関数をいくつか組み合わせた関数ですが,よく用いられる組み合わせなので、gl.hの関数とともに配布されます。 このプログラムを実行すると,黒い背景の中に白い3角形が描かれるはずです。 :[[画像:gl_tri.png]] 上のプログラムの結果を説明するにはいくつかの事柄を説明する必要があります。まず、上のプログラム内で, glBegin(), glEnd() という関数が使われています。この関数はその中で指定された事柄(主に頂点に関する事柄)を記録させます。記録できる事柄は頂点の位置や色などがあります。頂点の位置を指定するには glVertex3f() を使うことができます。ここでこの関数名はOpenGLに特徴的な事柄をいくつか含んでいます。最後の3fがそれでこれはそれぞれこの関数が"3つ"の引数を取ることと、その型が"GLfloat"であることです。ここでGLfloatはほとんどの場合float型のtypedefになっています。これ以降にもこの種の関数名は何度か出てきます。glVertex3fは、3つの引数によってそれぞれ3次元の座標を指定します。<!-- この関数はglBeginとglEndの間でしか使えません。 --> さて、ここまでで上のGLプログラムの1-5行が、3つの座標を指定したことがわかります。実際にそれらの座標をどう使うかについてはglBegin()の引数が使われます。ここではGL_LINE_LOOPを使ったので,指定された座標は指定された順に直線でつながれます。 ここまでで、上のプログラム中で座標 (0,0,0),(0,1,0),(0,0,1) が指定され,これらが直線でつながれることがわかりました。これは3次元中で3角形を描くことがわかります。次の問題は,この三角形がどのようにディスプレイに投影されるかです。 OpenGLは3次元中に指定された座標の2次元中での位置を定めるために2つの行列を利用します。ここで、OpenGLでは行列を"扱う"場所は1つしか用意しなくてもいいことが定められています。もちろん、値を保存しておく場所は複数あるのですが,これらの値を変更するのに使う領域は1つです。そのため、これらの行列を使い分けるには,これらを所定の場所に呼び出す必要があります。ここで行列を指定するには,glMatrixMode()関数を使います。この関数は1つの引数を取り、その値で行列を指定します。2次元中での位置を指定するのに使う行列はそれぞれGL_MODELVIEW, GL_PEROJECTIONで指定されます。これらの行列の初期値は4x4の[[w:単位行列]]です。また、実際に使われるのはこれらの積であるので,値を変更するのは片方の行列だけでもあらゆる変換を指定することは可能です。 ここで2つの行列のそれぞれについてその性質を述べます。GL_MODELVIEW行列はそれぞれの頂点の座標を変更するのに利用します。実際には大抵の場合、この行列は glRotatef(), glScalef(), glTranslatef() の3つの関数から利用されます。 これらの関数は順に,座標を"回転", "拡大縮小", "平行移動"します。これらの関数はそれぞれ対応する変換を行う行列を生成し、選択されている行列を変換します。ここではそれらの行列の詳細について解説します。対応する行列についてはそれぞれのmanを参照してください。(OpenGLのspecification http://www.opengl.org/documentation/specs/man_pages/hardcopy/GL/html/ ) translateの生成する行列は、 :<math> \begin{pmatrix} 1&0&0&x\\ 0&1&0&y\\ 0&0&1&z\\ 0&0&0&1 \end{pmatrix} </math> で与えられます。この行列は、元の頂点の3次元座標が<math>\vec v</math>で表されるときの同次座標<math>(v_1, v_2, v_3, 1)</math>を、<math>(v_1+x, v_2+y, v_3+z, 1)</math>に変換しますが、これはまさに平行移動によって引き起こされる座標変換に対応しています。 scaleの生成する行列は、 :<math> \begin{pmatrix} x&0&0&0\\ 0&y&0&0\\ 0&0&z&0\\ 0&0&0&1 \end{pmatrix} </math> です。この変換は3次元座標<math>(v_x,v_y,v_z)</math>を、<math>(xv_x,yv_y,zv_z)</math>に変換します。これはx,y,zの値によってそれぞれの座標を拡大縮小する変換に対応します。 最後に、rotateで得られる行列を紹介します。 :<math> \begin{pmatrix} n_x^2(1-c) + c&n_xn_y(1-c)-n_zs&n_xn_z(1-c)+n_ys &0\\ n_xn_y(1-c) + n_zs&n_y^2(1-c)+c&n_yn_z(1-c)-n_xs &0\\ n_xn_z(1-c) - n_ys&n_yn_z(1-c)+n_xs&n_z^2(1-c)+c&0\\ 0&0&0&1 \end{pmatrix} </math> この変換の導出は少し厄介です。まず、原点から始まり、回転の方向を向いている単位ベクトルを<math>\vec n</math>とし、ある頂点の座標を表すベクトルを<math>\vec a</math>とします。このとき、この回転で変化するのは、<math>\vec a</math>のうち、<math>\vec n</math>に平行でない成分のみです。 <math>\vec n</math>に平行な成分は、 :<math> \vec a_{\parallel} = (\vec a \cdot \vec n) \vec n </math> で表されるので、実際に回転によって変化する成分は、<math>\vec a</math>から上の分を取り除いたベクトルです。このベクトルを<math>\vec a_{\perp}</math>と呼びます。このベクトルは回転によって変化しますが、これを表すには、<math>\vec a_{\perp}</math>と<math>\vec n</math>の両方に直交するベクトルが必要です。このベクトルを、 :<math>\vec b = \vec n \times \vec a_{\perp}</math> と取ります。このとき、回転する角度を<math>\theta</math>とすると、後のベクトルは、<math>\vec r = \cos \theta \vec a _{\perp}+\sin \theta \vec b</math>と書けます。 結局得られるベクトルは、 :<math>\vec a_{\parallel}+\vec r</math> となります。ここからは、この結果が上の式と一致することを示すため、この式を整理していきます。まず、<math>\vec a_{\parallel}</math>について、3x3行列 :<math> N = \vec n {}^t\vec n = \begin{pmatrix} n_x^2&n_xn_y&n_zn_x\\ n_xn_y&n_y^2&n_yn_z\\ n_zn_x&n_yn_z&n_z^2 \end{pmatrix} </math> を定義すると、<math>\vec a_{\parallel} = N\vec a</math>が成り立ちます。また、<math>\vec b</math>について、3x3行列 :<math> R = \begin{pmatrix} 0&-n_z&n_y\\ n_z&0&-n_x\\ -n_y&n_x&0 \end{pmatrix} </math> を定義すると、<math>\vec b = R\vec a</math>が成り立ちます。このことから結果の式について、 :<math>\vec a_{\parallel}+\vec r</math> :<math>= N\vec a +\cos \theta (\vec a - N\vec a) + \sin \theta R\vec a</math> が得られますが、これを整理すると求めていた行列x<math>\vec a</math>が現れます。 次に、GL_PROJECTION行列について述べます。OpenGLでは、頂点の座標についてこれらの行列をかけた後 (-1, -1, -1), (1,1,1) で指定される立方体内にある図形を描きます。このため、例えば (0,0,10) にある図形は一般には描かれません。しかし、図形を3次元中に描くときの事情で、これらの位置を自由に指定できないと不便です。GL_PROJECTION行列は"描画される範囲を広げる"目的で利用されます。また、この行列は、"遠くにあるものほど小さく見える"という状況を扱うためにも利用されます。 まず、"描画される範囲を広げる"場合について行列の指定の仕方を説明します。実際には範囲を広げているのでは無く,"(-1,-1,-1)(1,1,1) 内に入るように、遠くにあるものを近くに持ってきている"のが正しいのですが、どちらにしろ結果は同じです。これを指定するにはglOrtho()関数を利用します。glOrtho関数は6つの引数を取り,それぞれ描画する立方体(一般には直方体)を指定する座標を取ります。引数は順に glOrtho(left, right, bottom, top, near, far) と呼ばれ,描画される直方体は(left, bottom, near)(right, top, far)で指定されます。このとき、glOrthoを利用しないときは glOrtho(-1, 1, -1, 1, -1, 1) が指定されたときと同じ結果になることがわかりますが、実際にはこの指定は4x4の単位行列を返すので指定を省略したときと結果は同じになります。対応する行列は *行列 となります 次に、"遠くにあるものほど小さく見える"の場合について説明します。これを指定するためには,いくつかの変数が必要になります。まず、"物体を観察するもの"が (0,0,0) にあるとします。次に,遠くの物体が縮小される割合を指定します。これは、投影された後のx座標とy座標に対応して2つのパラメータが必要です。更に,見える方向がz方向で無い場合を扱うために2つのパラメータが必要となります。最後に,上で指定した角度の方向に実際に描画するz座標の範囲を指定します。これらを全て指定すると、描画される領域は角錐 ([[w:en:frustum]]) になります。 *図 実際にこの領域を指定するにはglFrustum関数を利用します。glFrustum関数は6つの引数を取りますが,それぞれの引数は glFrustum(left, right, top, bottom, near, far) で与えられる名前をもっており、縮小される割合を定める四角形がl, r, t, b、四角形の位置がn、描画される範囲がfで定められます。glFrustumで与えられる行列は *行列 です。<!-- この行列がどのように上で解説した変換を行うかを次に説明します。 --> [[Category:情報技術]] [[Category:OpenGL]] {{NDC|007.64}}
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2021-07-21T02:47:32Z
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4,309
民法第398条の2
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) (根抵当権) 2017年改正により以下のとおり改正。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(根抵当権)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "2017年改正により以下のとおり改正。", "title": "条文" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[根抵当権]]) ;第398条の2 # 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。 # 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。 # 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。次条第2項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。 ===改正経緯=== 2017年改正により以下のとおり改正。 :(改正前)債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は :(改正後)債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。次条第2項において同じ。)は ==解説== {{wikipedia|根抵当権}} ==参照条文== *[[不動産登記法第88条]](抵当権の登記の登記事項) ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55843&hanreiKbn=02 不動産競売開始決定取消] (最高裁判決 平成5年01月19日)[[信用金庫法第53条]]3項 *;被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権と保証債権 *:被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権には、信用金庫の根抵当債務者に対する保証債権も含まれる。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br> [[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br> [[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-4|第4節 根抵当]] |[[民法第398条]]<br>(抵当権の目的である地上権等の放棄) |[[民法第398条の3]]<br>(根抵当権の被担保債権の範囲) }} {{stub|law}} [[category:民法|398の02]] [[category:民法 2017年改正|398の02]]
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2022-10-19T20:48:01Z
[ "テンプレート:Wikipedia", "テンプレート:前後", "テンプレート:Stub" ]
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4,310
スズムシの飼育法
スズムシ(学名:Homoeogryllus japonicus)は、マツムシ科に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。 「スズムシを飼いたい!」、と思ったら、まずはスズムシを手に入れなければならない。野生のスズムシは、茂みの中や草原に多く生息している。この様な場所で鳴き声をたよりにスズムシを探して捕まえる、というのもいいが、体が小さく目立ちにくいスズムシを捕獲することは非常に困難である。結局スズムシを手に入れるには、ペットショップやホームセンターで販売されている物を購入するということになるだろう。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "スズムシ(学名:Homoeogryllus japonicus)は、マツムシ科に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "「スズムシを飼いたい!」、と思ったら、まずはスズムシを手に入れなければならない。野生のスズムシは、茂みの中や草原に多く生息している。この様な場所で鳴き声をたよりにスズムシを探して捕まえる、というのもいいが、体が小さく目立ちにくいスズムシを捕獲することは非常に困難である。結局スズムシを手に入れるには、ペットショップやホームセンターで販売されている物を購入するということになるだろう。", "title": "スズムシの入手" } ]
飼育法 > スズムシの飼育法 昆虫採集 > スズムシの飼育法 ペット > スズムシの飼育法 スズムシは、マツムシ科に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。
*[[飼育法]] > スズムシの飼育法 *[[昆虫採集]] > スズムシの飼育法 *[[ペット]] > スズムシの飼育法 [[Image:Suzumushi.jpg|thumb|スズムシの雄と雌]] '''[[w:スズムシ|スズムシ]]'''(学名:''Homoeogryllus japonicus'')は、[[w:マツムシ科|マツムシ科]]に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。 == スズムシの入手 == 「スズムシを飼いたい!」、と思ったら、まずはスズムシを手に入れなければならない。野生のスズムシは、茂みの中や草原に多く生息している。この様な場所で鳴き声をたよりにスズムシを探して捕まえる、というのもいいが、体が小さく目立ちにくいスズムシを捕獲することは非常に困難である。結局スズムシを手に入れるには、ペットショップやホームセンターで販売されている物を購入するということになるだろう。 == 飼育 == === 飼育の準備 === ====容器の用意 ==== ====砂の用意 ==== === 餌 === === 日常管理 === === 声を楽しむ === === 繁殖 === [[Category:飼育法|すすむし]]
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2020-06-05T06:12:17Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%82%B7%E3%81%AE%E9%A3%BC%E8%82%B2%E6%B3%95
4,312
民法第709条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (不法行為による損害賠償) 債権の発生原因の一つである、不法行為の成立要件を規定している。 侵害行為と損害との間に因果関係があるか、という要件である。 不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには、原告側が侵害行為と損害の間の因果関係を立証しなければならない。しかし、公害事件や医療過誤事件など、一般市民である被害者には挙証が難しいケースも多い。このため、判例法理や立法的解決によって立証責任の軽減が図られてきた。 不法行為の一般的効果として、金銭による損害賠償以外のものが解釈上認められるかが問題となる。金銭による損害賠償以外のものとしては、原状回復又は差止が想定しうる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(不法行為による損害賠償)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "債権の発生原因の一つである、不法行為の成立要件を規定している。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "侵害行為と損害との間に因果関係があるか、という要件である。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには、原告側が侵害行為と損害の間の因果関係を立証しなければならない。しかし、公害事件や医療過誤事件など、一般市民である被害者には挙証が難しいケースも多い。このため、判例法理や立法的解決によって立証責任の軽減が図られてきた。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "不法行為の一般的効果として、金銭による損害賠償以外のものが解釈上認められるかが問題となる。金銭による損害賠償以外のものとしては、原状回復又は差止が想定しうる。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] == 条文 == ([[不法行為]]による[[損害賠償]]) ;第709条 : [[故意]]又は[[過失]]によって他人の権利又は'''法律上保護される利益'''を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する[[責任]]を負う。 == 解説 == 債権の発生原因の一つである、不法行為の成立要件を規定している。 === 要件 === ==== 故意または過失 ==== :不法行為においては加害者に「故意または過失」があることが要件とされている。この点で[[債務不履行]]([[民法第415条|415条]])や[[物権的請求権]]とは異なる。故意・過失の立証責任は原告側にあるので、請求権が競合する場合には、債務不履行責任の追及や物権的請求権の行使のほうが認められやすいといえる。 :一方で、刑事法や英米法と異なり日本民法においては、不法行為が故意でなされた場合も過失でなされた場合も、結果についての責任は異ならないというのが、伝統的見解であって、故意論が展開される例は少なく、加害者の主観等については過失の有無が議論されることが法廷においても学説においても、ほとんどである。但し、近時の有力な学説では、故意をより重い責任要素で損害賠償の範囲や金額を過失に比べ拡大する(事実、慰謝料の算定などはその傾向がある)とするものもある。 ===== 過失 ===== :'''過失'''とは、予見可能な結果について、結果回避義務の違反があったことをいうと解されている。いいかえれば、予見が不可能な場合や、予見が可能であっても結果の回避が不可能な場合には過失を認めることができない。 :結果回避義務については、専門的な職業に従事する者は一般人よりも高度の結果回避義務が要求されると考えられている。医療事故における医師の場合などがこれにあたる。 :また、取引等の相手が違法を犯すことについての回避義務について認められることもある([[#契約確認|最判平成13年3月2日]])。 ===== 特別法による修正 ===== ;責任の軽減:[[w:失火ノ責任ニ関スル法律|失火ノ責任ニ関スル法律]](失火責任法)は「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」と規定する。 :この規定により、失火の場合は故意または重過失がない限り不法行為責任は負わない。木造家屋の多い日本では、失火による不法行為責任が過大になりやすいことにかんがみた立法である。 ;無過失責任:「故意または過失」を要件から省く立法的解決もあり、無過失責任と呼ばれる。無過失責任の代表例として、[[w:製造物責任法|製造物責任法]]がある。製造物責任法3条は「製造業者等は(…)その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」と定めている。これにより製造業者は、製造物から生じた拡大損害については無条件で責任を負うことになる。 ==== 権利侵害(侵害の違法性) ==== :侵害の対象となる権利は、明治以来判例によって拡大されてきた。生命、身体、有形の財産が侵害の対象となることは当初より争いはなかったが、著作権や人格権などの無体財産権の扱いは判例上変遷している。'''桃中軒雲右衛門事件'''においては、法律上規定のない権利は侵害対象にならないとされたが、'''大学湯事件'''においては「法律上保護される利益」が侵害対象であるとされ、老舗銭湯ののれんは法律上保護される利益に当たるとされた。 :その後、学説からは「権利侵害」とは侵害行為の違法性をいうのであり、「違法な侵害」であるかどうかに関して、「被侵害利益の重大性」と「侵害の態様」との相関関係によって判断すべきであるとする相関関係説が唱えられた。この理論に従えば、侵害が軽度のものであっても、被侵害利益が(生命など)重大であれば違法性が肯定されることになる。 :また、適法な権利行使(例えば工場の操業)であっても、周囲に与える影響が被害者にとって社会観念上の受忍限度を超える場合には不法行為になるという'''受忍限度論'''も提唱され、公害事件を通じて判例法理として定着している。 :現在では、所有権、担保物権、債権、知的所有権、人格権など幅広い権利が被侵害利益となっているが、パブリシティー権(著名なものの名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利、[[#パブリシティー権|判例]]参照)や環境権など、未だその権利性が争いの余地がある「権利」もある。 =====不法行為の成立を阻却する事由===== ======責任能力====== :'''[[民法第712条]]'''および'''[[民法第713条]]'''参照 ======違法性阻却事由(法定)====== ;正当防衛および緊急避難:'''[[民法第720条]]'''参照 ======違法性阻却事由(その他)====== ;自力救済 ;正当業務行為 :#報道等に関するものについては、事実の摘示により名誉を侵害すると訴えられる場合が少なくないが、それが専ら公益の目的を持ったものであり、真実ないし真実であるとを信じるに足る理由がある場合には違法な行為といえない([[#報道|判例10]]、[[#報道2|判例27]]、[[#報道3|判例31]]、[[#報道4|判例38]])。なお、刑法理論「[[名誉に対する罪#真実性の証明|真実性の証明]]」も参照。 ;被害者の承諾 ==== 損害の発生 ==== :財産的損害と精神的損害がある。 :財産的損害は、積極的損害(直接の被害額)と消極的損害(不法行為がなければ得られたはずの利益=逸失利益)がある。 :損害の内容については学説上対立がある。差額説は、不法行為によって減少した価値を金銭評価したものが損害の実質であるとする。損害事実説は、ある損害それ自体の内容を金銭評価したものが損害の実質であるとする。 :精神的損害は、被害者の精神的苦痛である。 ==== 因果関係 ==== 侵害行為と損害との間に因果関係があるか、という要件である。 ===== 相当因果関係 ===== :不法行為において因果関係が持つ意味は、因果関係を認めうる範囲で加害者に賠償責任を負わせる点にある。ここで、いわゆる事実的因果関係(「あれなくばこれなし」の関係)を前提にすると、因果関係の範囲が広くなりすぎ、損害賠償の範囲が過大になりすぎることになる。 :したがって、不法行為法では、事実的因果関係が成立していることを前提にしつつ、[[民法第416条]]を準用し、損害賠償させるべき範囲をより狭く限定している。これを'''相当因果関係'''といい判例上確立した準則である(富貴丸事件:大連判大正15年5月22日)。ただし、相当因果関係の概念に関しては、学説において有力かつ強い批判がなされている。 ======不法行為と被害者の自殺====== :裁判において、従来、自殺は行為者の意思が大きく関与し、不法行為から、そのような意思の形成が生じるとは通常は認められず、加害者側において自殺を予見し又は予見しうる状況にあったと認めることは困難であるとして相当因果関係を認めることに慎重であったが、近年においては、当該不法行為により災害神経症状態を惹起し、統計的に自殺率の高いうつ病等を罹患、その後自殺した事例については、相当因果関係を認めるものもある。ただし、この場合であっても、被害者(自殺者)の性格的傾向等の心因的要因の寄与を認め、第722条2項を類推適用し、損害額を減額する傾向にある。 :;相当因果関係を認めない例 :*交通事故と被害者の自殺([[#被害者の自殺|最判昭和50年10月03日]]) :*教師の違法な懲戒と生徒の自殺([[#違法な懲戒|最判昭和52年10月25日]]) :;相当因果関係を認めた例 :*交通事故と被害者の自殺([[#被害者の自殺2|最判平成5年09月09日]]) :*過重労働と自殺([[民法第715条#過重労働|最判平成12年03月24日]] [通称:電通損害賠償事件]) ===== 因果関係の立証責任 ===== 不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには、原告側が侵害行為と損害の間の因果関係を立証しなければならない。しかし、公害事件や医療過誤事件など、一般市民である被害者には挙証が難しいケースも多い。このため、判例法理や立法的解決によって立証責任の軽減が図られてきた。 ;蓋然性説:因果関係の100%までを原告側で立証する必要はなく、蓋然性が認められる範囲まで立証すれば、その時点で因果関係が推定され、その後は被告側が反証に成功しない限り因果関係は肯定されるとする理論。 ;疫学的因果関係:公害など、多くの因子が被害に絡む場合に、侵害行為と被害発生との間に統計的な有意性が認められれば因果関係を肯定しようという理論。[[w:四日市ぜんそく|四日市ぜんそく]]訴訟で用いられた。 === 効果 === :損害賠償は金銭でなされるのが原則である([[民法第722条|722条1項]]で[[民法第417条|417条]]を準用)。ただし、名誉毀損の場合は例外的に謝罪広告等の措置も請求できる([[民法第723条|723条]])。また、そのほか解釈として、原状回復・差止などが認められうる。 ==== 金銭賠償の原則 ==== ===== 損害賠償の内容 ===== :賠償されるべき損害には財産的損害と精神的損害がある。 :財産的損害には物理的な損害のほか、生命侵害、身体侵害などがある。著作権、特許権、債権などの財産権一般への侵害もある。それぞれについて積極損害と消極損害を観念しうる。 :精神的損害からは、慰謝料請求権が生ずる。 ===== 損害賠償の範囲 ===== :不法行為から生じた全損害について賠償させるのは、被告にとって過酷であることから、相当因果関係説によって損害賠償の範囲が制限される。 :判例は債務不履行責任における損害賠償の範囲の規定([[民法第416条|416条]])を不法行為に類推適用し、原則として「通常生ずべき損害」の賠償で足り、「当事者がその損害を予見し、または予見することができたとき」は「特別の事情によって生じた損害」まで賠償する必要があると考えている(富貴丸事件:大連判大正15年5月22日)。ただし、学説上は、有力な反対意見があり長年議論されている([[#特別事情|判例;大隈健一郎裁判官反対意見参照]])。 ====== 損害賠償の範囲内とされるもの ====== ;訴訟に要する弁護士費用:訴訟遂行は一般人には困難であり、不法行為のように被害者に非がない案件について弁護士費用は損害の範囲に入る([[#弁護士費用|判例]])。 ===== 損害賠償額の算定 ===== :物の滅失に関する損害賠償額は、物の交換価格による。交換価格の算定基準時が問題になるが、原則として物の滅失時とする。ただし被害者があらかじめその物の転売を予定していて、滅失後に高騰することを「予見し、又は予見することができたとき」([[民法第416条|416条2項]])のであれば、騰貴時とすることも考えられる(富貴丸事件判決)。 :生命侵害の場合には、積極損害(葬式費用など)よりも、消極損害(逸失利益)のほうがはるかに大きくなる。逸失利益は、被害者が生きていたならば得られた収入から、生活費を控除し、ここから中間利息を控除して(現在価値に割り引いて)算出する。中間利息の控除方式には、ホフマン式とライプニッツ式とがある。基準となる収入は、被害者の収入が明らかであればその額を用いるが、児童など、収入が明らかでないときは、賃金センサスに基づいた平均賃金を用いる。 :なお、過失相殺など損害賠償額の調整については[[民法第722条|722条2項]]を参照。 ===== 損害賠償の請求主体 ===== :財産的損害であれ、精神的損害であれ、第一義的な請求主体は被害者自身である。被害者が死亡した場合は、慰謝料請求権は当然に相続されると解されている。 :生命侵害の場合、被害者の父母・配偶者・子は固有の慰謝料請求権を有する([[民法第711条|711条]])。 :胎児も請求主体になる。胎児は、損害賠償請求権については「既に生まれたもの」とみなされる([[民法第721条|721条]])。これにより、たとえば父が不法行為により死亡した場合、死の時点で母胎にいた胎児は、出生後、損害賠償請求権を獲得する。権利能力の始期を定めた[[民法第3条|3条]]の例外を定めたものである。 ===== 不法行為による損害賠償債権の性質 ===== :悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務、または、人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務であれば、相殺の受働債権にならない([[民法第509条|509条]])。 ==== 名誉回復処分 ==== :'''[[民法第723条]]'''参照 ==== 原状回復・差止 ==== 不法行為の一般的効果として、金銭による損害賠償以外のものが解釈上認められるかが問題となる。金銭による損害賠償以外のものとしては、原状回復又は差止が想定しうる。 *'''原状回復'''; 過去に発生した損害を除去し、損害の存在しなかった状態に戻すこと。 *'''差止''': 将来において損害を発生させるであろう行為を停止させること。 ===== 原状回復請求権 ===== :判例、通説ともに否定。 :「金銭賠償の原則」が定立されており、原状回復の費用を見積もりそれに還元すれば足りるため。 ===== 差止請求権 ===== :判例は不分明であるが、どちらかと言えば否定的([[#差止|事実上、不法行為の存在を前提として差し止めを認めた判例]]) :学説上も賛否が分かれている。 == 参照条文 == * [[民法第710条]](財産以外の損害の賠償) * [[民法第711条]](近親者に対する損害の賠償) * [[国家賠償法第1条]] * [[外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律]] - [[主権免除]] == 判例 == # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57289 所有権移転登記抹消等請求](最高裁判決 昭和30年5月31日)[[民法第177条]] #;不動産の二重売買における第二の買主が悪意の場合と第一の買主に対する不法行為責任の有無 #:乙が甲から不動産を買い受けて登録を経ないうち、丙が甲から右不動産を買い受けて登記をなし、これをさらに丁に売り渡して登記を経たため、乙がその所有権取得を丁に対抗することができなくなつた場合において、丙がその買受当時甲乙間の売買の事実を知つていたというだけでは、丙は乙に対し不法行為責任を負うものではない。 #:- '''不動産の二重売買そのものは不法行為とは言えない。''' #:*<small>一般に不動産の二重売買における第二の買主は、たとい悪意であつても、登記をなすときは完全に所有権を取得し、第一の買主はその所有権取得をもつて第二の買主に対抗することができないものと解すべきであるから、本件建物の第二の買主で登記を経た上告人(丙)は、たとい悪意ではあつても、完全に右建物の所有権を取得し、第一の買主たる被上告人(乙)はその所有権取得をもつて上告人および同人から更に所有権の移転を受けその登記を経た丁に対抗することができないことは、当然の筋合というべきである。</small> #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57462&hanreiKbn=02  損害賠償請求] (最高裁判決  昭和32年01月31日)[[民法第189条]],民訴法199条1項(現・[[民事訴訟法第114条]]),民訴法709条(→民事執行法) #;不法行為による物の滅失毀損と損害賠償額算定の基準時期 #:不法行為による物の滅失毀損に対する損害賠償の金額は、特段の事由のないかぎり、滅失毀損当時の交換価格により定むべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57564 売掛代金請求](最高裁判決 昭和32年3月5日)商法第42条(現[[商法第24条|24条]]),商法第38条(現[[商法第21条|第21条]]),[[民法第715条]] #;所有権侵害の故意と特定人に対する所有権侵害の認識の要否。 #:不法行為者に所有権侵害の故意があるというためには、特定人の所有権を侵害する事実につき認識のあることを要するものではなく、単に他人の所有権を侵害する事実の認識があれば足りる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53662 損害賠償請求](最高裁判決 昭和34年11月26日)[[民法第722条]]2項,民訴法185条(現[[民事訴訟法第247条|247条]]) #;刑事判決における過失の有無の判断と民事判決 #:自動車運転者が業務上過失致死被告事件の判決で過失を否定された場合でも、不法行為に関する民事判決ではその過失を否定しなければならぬものではない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52929 建物収去、土地明渡請求](最高裁判決 昭和35年9月20日)借地法10条(現[[借地借家法第14条|借地借家法14条]]),[[民法第703条]] #;建物取得後借地法10条(現[[借地借家法第14条|借地借家法14条]])の買取請求権行使までの間における敷地不法占有と損害の有無。 #:借地法10条(現[[借地借家法第14条|借地借家法14条]])の建物買取請求権が行使された場合、土地賃貸人は、特段の事情がないかぎり、右買取請求権行使以前の期間につき賃料請求権を失うものではないけれども、これがため右期間中は建物取得者の敷地不法占有により賃料相当の損害を生じないとはいい得ない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54824 損害賠償請求](最高裁判決 昭和36年2月16日) <small>輸血取締規則(昭和20年厚生省令3号)2条,輸血取締規則(昭和20年厚生省令3号)3条,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)2(1),輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)4,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)5,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)7,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)11</small> #;給血者に対する梅毒感染の危険の有無の問診の懈怠と輸血による梅毒感染についての医師の過失責任。 #:給血者がいわゆる職業的給血者で、血清反応陰性の検査証明書を持参し、健康診断および血液検査を経たことを証する血液斡旋所の会員証を所持していた場合でも、同人が、医師から問われないためその後梅毒感染の危険のあつたことを言わなかつたに過ぎないような場合、医師が、単に「身体は丈夫か」と尋ねただけで、梅毒感染の危険の有無を推知するに足る問診をせずに同人から採血して患者に輸血し、その患者に給血者の罹患していた梅毒を感染させるに至つたときは、同医師は右患者の梅毒感染につき過失の責を免れない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54920 損害賠償請求](最高裁判決 昭和38年8月8日) #;第三者の詐欺による売買における売主の代金請求権の存在と右第三者に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権の存否。 #:第三者の詐欺による売買により目的物件の所有権を喪失した売主は、買主に対し代金請求権を有していても、右第三者に対する不法行為にもとつぐ損害賠償請求権がないとはいえない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54949 損害賠償請求](最高裁判決 昭和38年9月26日)[[民法第416条]]2項 #;特別事情の予見可能ありとして、不法行為と損害との間に、相当因果関係の存在が認められた事例。 #:自動車運転手甲がガソリンを使用して自動三輪車のクラツチを洗滌するに際し、その作業を助けるため甲の傍近くから電灯を照射している乙がいる等判示の事情の存する場合においては、甲が、自己の過失によりガソリンの入つている罐に引火炎上させ狼狽してこれを投げすてたときは、右炎上したガソリン罐が乙にあたりその衣服を炎上させ乙に火傷を負わせて死にいたらしめるであろうことを予見しうるものであるから、甲の前記クラツチ洗滌行為と乙の死亡との間には相当因果関係が存すると解すべきである。 # <span id="差止"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56244 村道供用妨害排除請求](最高裁判決 昭和39年1月16日)[[民法第198条]],民法第710条 ##村民の村道使用関係の性質 ##:村民各自は、村道に対し、他の村民の有する利益ないし自由を侵害しない程度において、自己の生活上必須の行動を自由に行いうべき使用の自由権を有する。 ##'''村民の村道使用権に対する侵害の継続と妨害排除請求権の成否''' ##:村民の右村道使用の自由権に対して継続的な妨害がなされた場合には、当該村民は、右妨害の排除を請求することができる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53875 損害賠償請求](最高裁判決 昭和39年7月28日)民訴法395条1項6号(現[[民事訴訟法第312条|312条]]2項6号) #;医師の消毒の不完全を理由とする損害賠償の請求を認容する判決において右消毒の不完全部分を確定しないで過失を認定しても違法でないとされた事例。 #:注射の際の医師による消毒の不完全を理由とする損害賠償の請求を認容する判決において、右消毒の不完全が注射器具、施術者の手指もしくは患者の注射部位のいずれに存するかを確定しないで過失を認定しても、違法とはいえない。 #:*原審において、感染経路を他の可能性を検討の上、「注射器具」「施術者の手指」「患者の注射部位」のいずれかまで絞り込んだが、いずれかは特定しなかった。いずれであっても医師の過失は認めうるので特定までは必要ないとの判断。 # <span id="報道"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57744 名誉および信用毀損による損害賠償および慰藉料請求](最高裁判決  昭和41年6月23日) #;公共の利害に関する事実の摘示と名誉毀損の成否 #:名誉毀損については、当該行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合において、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は、違法性を欠いて、不法行為にならないものというべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53980 損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年3月15日)[[民法第695条]]、[[民法第696条]] #;示談当時予想しなかつた後遺症等が発生した場合と示談の効力 #:交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に、小額の賠償金をもつて示談がされた場合において、右示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求は、示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた後遺症等については、被害者は、後日その損害の賠償を請求することができる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54954 損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年6月27日)[[国家賠償法第1条]]1項,[[不動産登記法施行細則第47条]],民法第416条 ##'''偽造の登記済証に基づく登記申請を受理するについて登記官吏に過失があるとされた事例''' ##:登記申請書に添付されていた登記済証が偽造であつて、その作成日として記載されている日当時官制上存在しなかつた登記所名が記載され、同庁印が押捺されているにもかかわらず、登記官吏がこれを看過してその申請にかかる所有権移転登記手続をした場合には、右登記官吏に、登記申請書類を調査すべき義務を怠つた過失があるというべきである。 ##'''登記官吏の過失によつて無効な所有権移転登記が経由された場合に右過失と右登記を信頼して該不動産を買い受けた者が被つた損害との間に相当因果関係があるとされた事例''' ##:登記官吏の右過失によつて、無効な所有権移転登記が経由された場合には、右過失と右登記を信頼して該不動産を買い受けた者がその所有権を取得できなかつたために被つた損害との間には、相当因果関係があるというべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66616 損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年9月24日) #;交差点において追抜態勢にある自動車運転手の並進車に対する注意義務の範囲 #:交差点において追抜態勢にある自動車運転手は、特別の事情のないかぎり、並進車が交通法規に違反して進路を変えて、突然自車の進路に近寄つてくることまでも予想して、それによつて生ずる事故の発生を未然に防止するため徐行その他避譲措置をとるべき業務上の注意義務はないと解するのが相当である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55001 慰藉料並に損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年11月15日) #;交通事故により会社代表者を負傷させた者に対する会社の損害賠償請求が認められた事例 #:甲が交通事故により乙会社の代表者丙を負傷させた場合において、乙会社がいわゆる個人会社で、丙に乙会社の機関としての代替性がなく、丙と乙会社とが経済的に一体をなす等判示の事実関係があるときは、乙会社は、丙の負傷のため利益を逸失したことによる損害の賠償を甲に請求することができる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55100 損害賠償謝罪広告請求](最高裁判決 昭和43年12月24日)民訴法756条<!--旧法-->,民訴法745条2項<!--旧法--> #;仮処分命令が不当であるとして取り消された場合において仮処分申請人に過失があるとはいえないとされた事例 #:会社を被申請人とする仮処分命令が、同会社に対しては被保全権利が存在しないとして取り消された場合においても、右会社の取締役が会社の営業と競合する事業を個人として営んでいたため、仮処分申請人が被申請人を右取締役個人とすべきであるにもかかわらず、これを右会社と誤認した等判示の事実関係のもとにおいては、右仮処分命令を取り消す判決が確定しても、この一事をもつて、ただちに右申請人に過失があつたものとすることはできない。 # <span id="弁護士費用"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55036 抵当権設定登記抹消登記手続等請求](最高裁判決 昭和44年2月27日) #;不法行為による損害と弁護士費用 #:不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため訴を提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70377 約束手形金請求](最高裁判決 昭和45年5月22日)[[民法第715条]],[[手形法第43条]] #;偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係 #: 対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54169 損害賠償請求](最高裁判決 昭和45年7月24日)[[民法第147条]]1号,[[民法第149条]],[[所得税法第9条]]1項21号,民訴法235条(現[[民事訴訟法第147条|147条]]) #;一部請求の趣旨が明示されていない場合の訴提起による時効中断の範囲 #:一個の債権の一部についてのみ判決を求める趣旨が明示されていないときは、訴提起による消滅時効中断の効力は、右債権の同一性の範囲内においてその全部に及ぶ。 # <span id="訴訟物の個数"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51932 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年4月5日)民事訴訟法第186条(現[[民事訴訟法第246条|第246条]]),民事訴訟法224条1項(現[[民事訴訟法第133条|第133条]]2項),[[民法第722条]]2項 #;身体傷害による財産上および精神上の損害の賠償請求における請求権および訴訟物の個数 #:同一事故により生じた同一の身体傷害を理由として財産上の損害と精神上の損害との賠償を請求する場合における請求権および訴訟物は、一個である。(→[[民法第722条#訴訟物|過失相殺への適用]]) # <span id="特別事情"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51910 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年6月7日)[[民法第416条]],[[民事訴訟法第746条]]<!--旧法-->,[[民事訴訟法第755条]]<!--旧法-->,[[民事訴訟法第756条]]<!--旧法--> #;不法行為による損害賠償と民法416条 #:不法行為による損害賠償についても、[[民法第416条]]の規定が類推適用され、特別の事情によつて生じた損害については、加害者において右事情を予見しまたは予見することを得べかりしときにかぎり、これを賠償する責を負うものと解すべきである。 #:*<small>'''[[w:大隅健一郎|大隅健一郎]]反対意見'''(適宜抽出引用及び改行) #:*:債務不履行の場合には、当事者は合理的な計算に基づいて締結された契約によりはじめから債権債務の関係において結合されているのであるから、債務者がその債務の履行を怠つた場合に債権者に生ずる損害について予見可能性を問題とすることには、それなりに意味があるのみならず、もし債権者が債務不履行の場合に通常生ずべき損害の賠償を受けるだけでは満足できないならば、特別の事情を予見する債権者は、債務不履行の発生に先立つてあらかじめこれを債務者に通知して、将来にそなえる途もあるわけである。これに反して、多くの場合全く無関係な者の間で突発する不法行為にあつては、故意による場合はとにかく、過失による場合には、予見可能性ということはほとんど問題となりえない。(略)その結果、民法416条を不法行為による損害賠償の場合に類推適用するときは、立証上の困難のため、被害者が特別の事情によつて生じた損害の賠償を求めることは至難とならざるをえない。 #:*:そこで、この不都合を回避しようとすれば、公平の見地からみて加害者において賠償するのが相当と認められる損害については、特別の事情によつて生じた損害を通常生ずべき損害と擬制し、あるいは予見しまたは予見しうべきでなかつたものを予見可能であつたと擬制することとならざるをえないのである。そうであるとするならば、むしろ、不法行為の場合においては、各場合の具体的事情に応じて実損害を探求し、損害賠償制度の基本理念である公平の観念に照らして加害者に賠償させるのが相当と認められる損害については、通常生ずべきものであると特別の事情によつて生じたものであると、また予見可能なものであると否とを問わず、すべて賠償責任を認めるのが妥当であるといわなければならない。不法行為の場合には、無関係な者に損害が加えられるものであることからいつて、債務不履行の場合よりも広く被害者に損害の回復を認める理由があるともいえるのである。 #:*:不法行為による損害賠償責任が認められるためには、行為と損害との間に、その行為がなかつたならば当該損害は生じなかつたであろうという関係が存しなければならないが、かような事実的な因果の連鎖は際限のないものであるから、法律上の問題としては、右のような事実的因果関係の存在を前提としながら、そのうちどの範囲の損害を行為者に賠償させるのが妥当かという考慮が必要とされる。これがいわゆる法律上の因果関係の問題であるが、従来法律上の因果関係の問題として論じられていたものの中には、過失の問題、賠償額の算定(いかなる価格によるべきか、その価格の算定は何時を基準とすべきか)の問題など、本来因果関係の範疇の外にある問題が混入していることを注意しなければならない。また、行為との間に事実的因果関係のある損害につきどこまで行為者に賠償させるのが妥当かということは、いうまでもなく価値判断の問題であつて、事実として確定されるものではない。それは、各個の事件ごとに、その事実関係の中から、不法行為制度の基本理念である公平の観念に照らして導かれるべきものであつて、不法行為における損害賠償責任の正しい限界づけは、個々の判例の中から類型的に帰納されえても、一般的な公式によつて定められるべきものではない。 #:*:以上述べたところは財産的損害の賠償についてであつて、慰籍料については、裁判所が、諸般の事情を斟酌して、自由裁量により決することをうるものと考える。</small> # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52072 慰藉料請求](最高裁判決 昭和49年3月22日) #;責任能力のある未成年者の不法行為と監督義務者の不法行為責任 #:未成年者が責任能力を有する場合であつても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する。([[民法第714条#解説]]参照) # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66816 損害賠償請求](最高裁判決 昭和49年6月27日) #;将来の支出が予想される手術費用の損害賠償が認められた事例 #:交通事故により顔面に負傷した被害者の傷痕及び大腿部の採皮痕がケロイド状醜痕としてのこり、これを除去するための美容的形成手術費等の将来の支出が治療上必要であり、かつ、確実と認められるときには、右支出による損害の賠償を現在の請求として求めることができる。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54195&hanreiKbn=02  損害賠償請求](最高裁判決  昭和49年06月28日)[[民法第509条]] #;同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間における相殺の許否 #:双方の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、相殺は許されない。 #<span id="被害者の自殺"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=66834&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和50年10月03日) [[民法第416条]] #;交通事故により負傷した被害者の自殺と事故との相当因果関係が否定された事例 #:*(最高裁・原審が支持する原々審判決) #:*:事故と自殺の条件関係自体は推認できるが,仮に被害者の性格変化が自殺に影響を及ぼしていてもそのような性格変化が受傷から通常生じるとは認められず,加害者側において自殺を予見し又は予見しうる状況にあったと認めることは困難 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54204 損害賠償請求([東大ルンバールショック事件])](最高裁判決 昭和50年10月24日)[[国家賠償法第1条]]1項,民訴法185条(現247条),民訴法394条(現312条1, 3項) #;医師が治療としてした施術とその後の発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定したのが経験則に反するとされた事例 #:<u>訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確認を持ちうるものであることを必要とし,かつそれで足りる。</u> #:*重篤な化膿性髄膜炎に罹患した三才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻癖、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後15分ないし20分を経て突然に生じたものであつて、右施術に際しては、もともと血管が脆弱で出血性傾向があり、かつ、泣き叫ぶ右幼児の身体を押えつけ、何度か穿刺をやりなおして右施術終了まで約30分を要し、また、脳の異常部位が左部にあつたと判断され、当時化膿性髄膜炎の再燃するような事情も認められなかつたなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情がないかぎり、右ルンバ一ルと右発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定するのは、経験則に反する。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54219 損害賠償請求](最高裁判決 昭和51年9月30日)[[予防接種法第2条]]2項,予防接種実施規則(昭和33年9月17日厚生省令第27号。ただし昭和45年7月11日厚生省令第44号による改正前のもの)4条 ##'''インフルエンザ予防接の実施と医師の問診''' ##:インフルエンザ予防接種を実施する医師が予診としての問診をするにあたつては、予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するために、接種直前における対象者の健康状態についてその異常の有無を概括的、抽象的に質問するだけでは足りず、同条掲記の症状、疾病及び体質的素因の有無並びにそれらを外部的に徴表する諸事由の有無につき、具体的に、かつ被質問者に的確な応答を可能ならしめるような適切な質問をする義務がある。 ##'''予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するための適切な問診を尽くさなかつたためその識別を誤つて実施されたインフルエンザ予防接種により接種対象者が死亡又は罹病した場合と結果の予見可能性の推定''' ##:インフルエンザ予防接種を実施する医師が、接種対象者につき予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するための適切な問診を尽くさなかつたためその識別を誤つて接種をした場合に、その異常な副反応により対象者が死亡又は罹病したときは、右医師はその結果を予見しえたのに過誤により予見しなかつたものと推定すべきである。 #<span id="違法な懲戒"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=64110 損害賠償等](最高裁判決 昭和52年10月25日) #;高校教師の違法な懲戒権の行使と生徒の自殺との間の相当因果関係が否定された事例 #:高校生が、授業中の態度や過去の非行事実につき担任教師から三時間余にわたり応接室に留めおかれて反省を命ぜられたうえ、頭部を数回殴打されるなど違法な懲戒を受け、それを恨んで翌日自殺した場合であつても、右懲戒行為がされるに至つた経緯等とこれに対する生徒の態度等からみて、教師としての相当の注意義務を尽くしたとしても、生徒が右懲戒行為によつて自殺を決意することを予見することが困難な状況であつた判示の事情のもとにおいては、教師の懲戒行為と生徒の自殺との間に相当因果関係はない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53272 慰藉料](最高裁判決 昭和54年3月30日) #;妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持ち同棲するに至つた女性の行為と右未成年の子に対する不法行為の成否 #:妻及び未成年の子のある男性が他の女性と肉体関係を持ち、妻子のもとを去つて右女性と同棲するに至つた結果、右未成年の子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなつたとしても、'''右女性の行為'''は、特段の事情のない限り、未成年の子に対して不法行為を構成するものではない。 #:*父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によつて行うことができるのであるから、他の女性との同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被つたとしても、そのことと右女性の行為との間には'''相当因果関係がない'''。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53322 損害賠償](最高裁判決 昭和56年7月16日)[[民法第715条]],[[水道法第15条]]1項 #;違法建築物についての給水装置新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき市が不法行為法上の損害賠償責任を負わないとされた事例 #:市の水道局給水課長が給水装置新設工事申込に対し当該建物が建築基準法に違反することを指摘して、その受理を事実上拒絶し申込書をその申込者に返戻した場合であつても、それが、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、同法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎず、他方、右申込者はその後一年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたなど、判示の事実関係の下においては、市は、右申込者に対し右工事申込の受理の拒否を理由とする不法行為法上の損害賠償の責任を負うものではない。 # [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70414 損害賠償](最高裁判決 昭和57年7月1日) #;競業禁止契約の当事者でない第三者に対するパチンコ営業禁止の仮処分命令が債権侵害を理由に第三者の営業を禁止することは許されないとして取り消された場合において仮処分債権者に過失の推定を覆えすに足りる特段の事情がないとはいえないとされた事例 #:甲に対してパチンコ遊技場の経営権を譲渡しこれとの間で自己名義では同一町内でパチンコ営業をしない旨の競業禁止契約を締結した乙が、右契約に前後してかねて親交のあつた丙を勧誘してパチンコ営業をすることを決意させ、同一町内で土地建物を買い受け旧建物を解体して店舗用建物を建築し風俗営業の許可申請を警察に提出するなどの開業準備をさせたが、丙は右町内に住んだことやパチンコ営業をした経験がないため右開業準備もほとんど乙が丙から任されてしたもので、乙は、丙の氏名を表面に出さないで建物の建築請負契約を締結し、みずからパチンコ機械の注文をし、風俗営業の許可申請にも管理者として名を連ね、将来は責任者としてパチンコ営業をする予定になつており、また、丙は、甲と乙との間で建物建築に関して紛争が生じ、警察において事情聴取や話合いの機会がもたれた際も表だつた行動には出なかつたなどの判示の事情があるときには、甲が乙及び丙の両名を相手方として申請し発令を受けた右建物におけるパチンコ営業禁止の仮処分命令が、いわゆる債権侵害を理由にしては第三者たる丙のパチンコ営業を禁止することは許されないとして丙に関する部分が取り消されて確定したとしても、丙名義のパチンコ営業が実際には甲の乙に対する競業禁止契約に基づく権利の侵害行為にはあたらないもので甲において右事実を容易に知ることのできる事情があつたとか、又は、右の侵害行為がある場合に甲が第三者たる丙に対して営業禁止を請求する権利があると考えたことが実体法の解釈として不合理なものであるといえない限り、甲が丙を相手方としてパチンコ営業を禁止する仮処分を申請したことには過失の推定を覆えすに足りる特段の事情がないとはいえない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52148 損害賠償](最高裁判決 昭和58年9月6日) [[民法第412条]],自動車損害賠償保障法第3条 #;不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務が履行遅滞となる時期 #:不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務は、当該不法行為の時に履行遅滞となるものと解すべきである。 #:*当該不法行為時から法定利率による利息計算が始まる。 # <span id="報道2"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55168 反論文掲載](最高裁判決 昭和62年4月24日)日本国憲法第21条,[[民法第1条]],民法第709条,民法第723条,[[刑法第230条の2|刑法第230条ノ2]] #;新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例 #:新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的評価の低下を狙つたものであるが乙政党を批判・論評する内容のものであり、かつ、その記事中乙政党の綱領等の要約等が一部必ずしも妥当又は正確とはいえないとしても、右要約のための綱領等の引用文言自体は原文のままであり、要点を外したものといえないなど原判示の事実関係のもとでは、右広告の掲載は、その広告が公共の利害に関する事実にかかり専ら公益を図る目的に出たものであり、かつ、主要な点において真実の証明があつたものとして、名誉毀損の不法行為となるものではない。 # [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52197 損害賠償](最高裁判決 昭和63年9月6日) #;訴えの提起が違法な行為となる場合 #:訴えの提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55846 損害賠償](最高裁判決 平成5年3月25日) #;危険物であることを知ってこれを運送する海上物品運送業者に対し右危険物の製造業者及び販売業者が危険性の内容等を告知する義務の有無 #:海上物品運送業者が危険物であることを知って運送品を運送する場合において、通常尽くすべき調査により、その危険性の内容、程度及び運搬、保管方法等の取扱上の注意事項を知り得るときは、右危険物の製造業者及び販売業者は、海上物品運送業者に対し、右の危険性の内容等を告知する義務を負わない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63011 損害賠償、同附帯](最高裁判決 平成5年6月11日)[[民法第623条]],[[労働基準法第13条]] #;管理者に準ずる地位にある職員が組合員バッジの取外し命令に従わないため点呼執行業務から外して営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令が違法とはいえないとされた事例 #:自動車営業所の管理者に準ずる地位にある職員が、取外し命令を無視して組合員バッジの着用をやめないため、同人を通常業務である点呼執行業務から外し、営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令は、右作業が職場環境整備等のために必要な作業であり、従来も職員が必要に応じてこれを行うことがあったなど判示の事情の下においては、違法なものとはいえない。 #<span id="被害者の自殺2"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=63037&hanreiKbn=02  損害賠償反訴、同附帯](最高裁判決 平成5年09月09日)[[民法第416条]] #;交通事故と被害者の自殺との間に相当因果関係があるとされた事例 #:交通事故により受傷した被害者が自殺した場合において、その傷害が身体に重大な器質的障害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとしても、右事故の態様が加害者の一方的過失によるものであって被害者に大きな精神的衝撃を与え、その衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと、その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、被害者が、災害神経症状態に陥り、その状態から抜け出せないままうつ病になり、その改善をみないまま自殺に至ったなど判示の事実関係の下では、右事故と被害者の自殺との間に相当因果関係がある。 # <span id="報道3"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52442 慰藉料](最高裁判決  平成6年2月8日) #;ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合における損害賠償請求の可否 #:ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合に、その者のその後の生活状況、当該刑事事件それ自体の歴史的又は社会的な意義その者の事件における当事者としての重要性、その者の社会的活動及びその影響力について、その著作物の目的、性格等に照らした実名使用の意義及び必要性を併せて判断し、右の前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは、右の者は、その公表によって被った精神的苦痛の賠償を求めることができる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57057 損害賠償](最高裁判決 平成7年6月9日)[[民法第415条]] ##'''診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準''' ##:新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情がない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準であるというべきである。 ##'''昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につきその診療に当たった医療機関に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例''' ##:昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につき、その診療に当たった甲病院においては、昭和48年10月ころから、光凝固法の存在を知っていた小児科医が中心になって、未熟児網膜症の発見と治療を意識して小児科と眼科とが連携する体制をとり、小児科医が患児の全身状態から眼科検診に耐え得ると判断した時期に眼科医に依頼して眼底検査を行い、その結果未熟児網膜症の発生が疑われる場合には、光凝固法を実施することのできる乙病院に転医をさせることにしていたなど判示の事実関係の下において、甲病院の医療機関としての性格、右未熟児が診療を受けた当時の甲病院の所在する県及びその周辺の各種医療機関における光凝固法に関する知見の普及の程度等の諸般の事情について十分に検討することなく、光凝固法の治療基準について一応の統一的な指針が得られたのが厚生省研究班の報告が医学雑誌に掲載された昭和50年8月以降であるということのみから、甲病院に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断には、診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準についての解釈適用を誤った違法がある。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55866 損害賠償](最高裁判決 平成8年1月23日)民法第415条 #;医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務 #:医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=69646 預託金返還請求、民訴法第一九八条二項の申立](最高裁判決 平成9年4月24日)[[民法第708条]],[[民法第715条]],証券取引法(平成3年法律第96号による改正前のもの)50条1項,証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭和40年大蔵省令第60号。平成3年大蔵省令第55号による改正前のもの)1条 #;証券会社の従業員が顧客に利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた場合に右取引による顧客の損失について証券会社が不法行為責任を免れないとされた事例 #:証券会社の営業部員が、株式等の取引の勧誘をするに際し、取引の開始を渋る顧客に対し、法令により禁止されている利回り保証が会社として可能であるかのように装って利回り保証の約束をして勧誘し、その旨信じた顧客に取引を開始させ、その後、同社の営業部長や営業課長も右約束を確認するなどして取引を継続させ、これら一連の取引により顧客が損失を被ったもので、顧客が右約束の書面化や履行を求めてはいるが、自ら要求して右約束をさせたわけではないなど判示の事実関係の下においては、<u>顧客の不法性に比し、証券会社の従業員の不法の程度が極めて強いものと評価することができ、証券会社は、顧客に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない</u>。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52613 損害賠償請求事件](最高裁判決  平成11年10月22日)[[国民年金法第30条]],[[厚生年金保険法第47条]],[[国民年金法第35条]]1号,[[厚生年金保険法第53条]]1号,[[民法第896条]],[[国民年金法第33条の2]],[[厚生年金保険法第50条の2]],[[国民年金法第37条]],[[厚生年金保険法第58条]] ##'''不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金を逸失利益として請求することの可否''' ##:障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各障害年金額を逸失利益として請求することができる。 ##'''不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金についての各加給分を逸失利益として請求することの可否''' ##:障害基礎年金及び障害厚生年金についてそれぞれ加給分を受給している者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各加給分額を逸失利益として請求することはできない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57036 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成11年12月20日)[[民法第416条]] #;交通事故の被害者が事故のため介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合に死亡後の期間に係る介護費用を右交通事故による損害として請求することの可否 #:交通事故の被害者が事故のため介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合には、<u>死亡後の期間に係る介護費用</u>を右交通事故による損害として請求することはできない。 #:*交通事故で傷害を負い、その後遺障害のため他人の介護を要する状態にあったが、本件訴訟の係属中に胃がんにより死亡したという案件。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52268 損害賠償等請求事件](最高裁判決 平成13年2月13日)[[著作権法第20条]],著作権法第第7章権利侵害,[[民法第719条]] ##'''メモリーカードの使用がゲームソフトの著作者の有する同一性保持権を侵害するとされた事例''' ##:パラメータにより主人公の人物像が表現され,その変化に応じてストーリーが展開されるゲームソフトについて,パラメータを本来ならばあり得ない高数値に置き換えるメモリーカードの使用によって,主人公の人物像が改変され,その結果,上記ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開されるなど判示の事実関係の下においては,当該メモリーカードの使用は,上記ゲームソフトを改変し,その著作者の有する同一性保持権を侵害する。 ##'''専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者の不法行為責任''' ##:専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害をじゃっ起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。(→[[民法第719条#関連性2|共同不法行為]]) # <span id="契約確認"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52293 著作権侵害差止等請求事件](最高裁判決 平成13年3月2日)[[著作権法第22条]],[[著作権法第22条の2]],著作権法第7章権利侵害,民法第719条 #;専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるカラオケ装置につきリース業者がリース契約を締結して引き渡す場合の注意義務 #:カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,上記相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負う。 # <span id="報道4"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62816 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成14年1月29日)民法第710条,[[刑法第230条の2]]第1項 #;通信社が新聞社に記事を配信するに当たりその内容を真実と信ずるについて相当の理由があるとはいえないとされた事例 #:通信社が,殺人未遂罪で逮捕された甲が7,8年前に自宅で大麻を所持しており,その事実を捜査機関が突き止めた旨の事実を記事にして配信し,新聞社がこれを掲載した場合に,甲が自宅に大麻を所持していた事実の裏付けになる資料は甲と離婚した乙の供述のみであること,捜査の対象となっていない大麻所持についての報道であること,甲以外の関係者からそのころの甲と大麻とのかかわりについて取材することが不可能であった状況がうかがえないこと,捜査官が甲の大麻所持についていかなる事実を把握し,どのような心証を持ち,どのように判断しているのかについての取材内容が明らかでないことなど判示の事情の下においては,乙の供述が一貫し,甲が大麻と深いつながりがあることを自ら認めており,記事作成の時点で甲が既に逮捕され,甲に対する取材が不可能であった等の事情が存するときであっても,通信社に上記配信記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由があったものとはいえない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62539 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成15年11月14日)[[民法第415条]] #;食道がんの手術の際に患者の気管内に挿入された管が手術後に抜かれた後に患者が進行性のこう頭浮しゅにより上気道狭さくから閉そくを起こして呼吸停止及び心停止に至った場合において担当医師に再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務を怠った過失があるとされた事例 #:食道がんの手術の際に患者の気管内に挿入された管が手術後に抜かれた後に,患者が,進行性のこう頭浮しゅにより上気道狭さくから閉そくを起こし,呼吸停止及び心停止に至った場合において,上記抜管の約5分後に患者の吸気困難な状態が高度になったことを示す胸くうドレーンの逆流が生じたことなどから,その時点で,担当医師は,患者のこう頭浮しゅの状態が相当程度進行し,既に呼吸が相当困難な状態にあることを認識することが可能であり,これが更に進行すれば,上気道狭さくから閉そくに至り,呼吸停止,ひいては心停止に至ることも十分予測することができたなど判示の事情の下においては,担当医師には,上記時点で,再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務を怠った過失がある。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52290 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成15年11月14日)[[建築士法第3条]],[[建築士法第3条の2]],[[建築士法第3条の3]],建築士法(平成9年法律第95号による改正前のもの)18条,建築基準法(平成10年法律第100号による改正前のもの)5条の2 ##'''建築士が建築士法3条から3条の3まで及び建築基準法5条の2の各規定等による規制の実効性を失わせる行為をした場合における建築物の購入者に対する不法行為の成否''' ##:建築士は,その業務を行うに当たり,建築物を購入しようとする者に対する関係において,建築士が建築士法3条から3条の3まで及び建築基準法5条の2の各規定等による規制の潜脱を容易にする行為等,その規制の実効性を失わせるような行為をしてはならない法的義務があり,故意又は過失によりこれに違反する行為をした場合には,その行為により損害を被った建築物の購入者に対し,不法行為に基づく賠償責任を負う。 ##'''建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をした一級建築士が建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置した行為が当該建築主から瑕疵のある建物を購入した者に対する不法行為となるとされた事例''' ##:一級建築士又は二級建築士による設計及び工事監理が必要とされる建物の建築につき一級建築士が建築確認申請手続を代行した場合において,建築主との間で工事監理契約が締結されておらず,将来締結されるか否かも未定であるにもかかわらず,当該一級建築士が,建築主の求めに応じて建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をし,工事監理を行わないことが明確になった段階でも,建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置したこと,そのため,実質上,工事監理者がいない状態で建築された当該建物が重大な瑕疵のある建築物となったことなど判示の事情の下においては,当該一級建築士の上記行為は,建築士法3条の3及び建築基準法5条の2の各規定等による規制の実効性を失わせる行為をしたものとして当該建物を購入した者に対する不法行為となる。 # <span id="パブリシティ権"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52332 製作販売差止等請求事件](最高裁判決 平成16年2月13日)[[民法第198条]],[[民法第199条]],[[民法第206条]],[[知的財産基本法第2条]]2項 #;競走馬の所有者が当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対しいわゆる物のパブリシティ権の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることの可否 #:競走馬の所有者は,当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対し,その名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利(いわゆる物のパブリシティ権)の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることはできない。 #:*現行法上,物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,<u>その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため</u>,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。したがって,本件において,差止め又は不法行為の成立を肯定することはできない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=34907 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成19年7月6日) #;建物の設計者,施工者又は工事監理者が,建築された建物の瑕疵により生命,身体又は財産を侵害された者に対し不法行為責任を負う場合 #:<u>建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者を含む建物利用者,隣人,通行人等に対する関係でも,当該建物に'''建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務'''を負い</u>,これを怠ったために建築された建物に上記安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う。 ## [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81511 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成23年7月21日) ##;「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」の意義 ##:「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵が,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵の性質に鑑み,これを放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36310 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成20年4月24日) ##チーム医療として手術が行われる場合にチーム医療の総責任者が患者やその家族に対してする手術についての説明に関して負う義務   ##:チーム医療として手術が行われる場合,チーム医療の総責任者は,条理上,患者やその家族に対し,手術の必要性,内容,危険性等についての説明が十分に行われるように配慮すべき義務を有する。 ##チーム医療として手術が行われるに際し,患者やその家族に対してする手術についての説明を主治医にゆだねたチーム医療の総責任者が,当該主治医の説明が不十分なものであっても説明義務違反の不法行為責任を負わない場合 ##:チーム医療として手術が行われ,チーム医療の総責任者が患者やその家族に対してする手術についての説明を主治医にゆだねた場合において,当該主治医が説明をするのに十分な知識,経験を有し,同総責任者が必要に応じて当該主治医を指導,監督していたときには,当該主治医の上記説明が不十分なものであったとしても,同総責任者は説明義務違反の不法行為責任を負わない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36428 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成20年6月10日)[[民事訴訟法第248条|民訴法248条]] #;採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において,損害の発生を前提としながら,[[民事訴訟法第248条|民訴法248条]]の適用について考慮することなく,損害額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法があるとされた事例 #:採石権侵害の不法行為を理由とするXのYに対する損害賠償請求事件において,Xが採石権を有する土地でYが採石したとの事実が認定されており,これによればXに損害が発生したことは明らかである以上,上記採石行為の後,Yが当該土地につき採石権を取得して適法に採石したため,Yの違法な行為による採石量と適法な行為による採石量とを明確に区別することができず,損害額の立証が極めて困難であったとしても,[[民事訴訟法第248条|民訴法248条]]により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて相当な損害額が認定されなければならず,損害額を算定することができないとしてXの請求を棄却した原審の判断には,違法がある。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37489 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成21年3月27日) #;全身麻酔と局所麻酔の併用による手術中に生じた麻酔による心停止が原因で患者が死亡した場合において,麻酔医に各麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり,同過失と死亡との間に相当因果関係があるとされた事例 #:全身麻酔と局所麻酔の併用による手術を受けた65歳の患者が術中に麻酔の影響により血圧が急激に低下し,引き続き生じた心停止が原因となって死亡した場合において,次の(1),(2)などの事実関係の下では,各麻酔薬の投与量をどの程度減らすかについて麻酔医の裁量にゆだねられる部分があり,いかなる程度減量すれば死亡の結果を回避することができたといえるかが確定できないとしても,その投与量を適切に調整しても患者の死亡という結果を避けられなかったというような事情がうかがわれない以上,麻酔医には患者の年齢や全身状態に即して各麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり,この過失と患者の死亡との間に相当因果関係がある。<small> #::# 全身麻酔薬プロポフォールについては,局所麻酔薬と併用投与する場合及び高齢者に投与する場合には血圧低下等の副作用が現れやすいので投与速度を減ずるなど慎重に投与すべきことが,局所麻酔薬塩酸メピバカインについては,重大な副作用として心停止等があり,高齢者には投与量の減量等を考慮して慎重に投与すべきことが,各能書に記載されていた。 #::# 麻酔医は,全身麻酔により就眠を得た患者に対し,能書に記載された成人に対する通常の用量の最高限度量の塩酸メピバカインを投与し,その効果が高まるに伴って低下した患者の血圧が少量の昇圧剤では回復しない状態となっていたにもかかわらず,プロポフォールを成人において通常適切な麻酔深度が得られるとされる速度のまま持続投与した。</small> #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81272 損害賠償請求事件] (最高裁判決 平成23年4月26日)[[民法第416条]] #;精神神経科の医師の患者に対する言動と上記患者が上記言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例 #:精神神経科の医師が,過去に知人から首を絞められるなどの被害を受けたことのある患者に対し,人格に問題があり,病名は「人格障害」であると発言するなどした後,上記患者が,精神科の他の医師に対し,頭痛,集中力低下等の症状を訴え,上記の言動を再外傷体験としてPTSD(外傷後ストレス障害)を発症した旨の診断を受けたとしても,次の1.,2.など判示の事情の下においては,上記の言動と上記症状との間に相当因果関係があるということはできない。 #:#上記の言動は,それ自体がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるものではないし,上記患者がPTSD発症のそもそもの原因となった外傷体験であるとする上記被害と類似し,又はこれを想起させるものでもない。 #:#PTSDの発症原因となり得る外傷体験のある者は,これとは類似せず,また,これを想起させるものともいえない他の重大でないストレス要因によってもPTSDを発症することがある旨の医学的知見が認められているわけではない。 ---- {{前後 |[[民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#5|第5章 不法行為]] |[[民法第708条]]<br>(不法原因給付) |[[民法第710条]]<br>(財産以外の損害の賠償) }} {{stub|law}} [[category:民法|709]]
2006-10-24T09:02:01Z
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CSS/フォント
CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。 フォントファミリーとは通常のフォントや太字、イタリック体、斜体など、デザインを統一した複数のフォントをまとめたものである。「MS P明朝」などもフォントファミリーである。フォントファミリーは“font-family”プロパティで指定する。 設定できる値には具体的なフォントファミリ名のほか総称ファミリー名を指定することができる。 具体的なフォントファミリ名を指定すると、ページの作成者が意図した通りの形状のフォントでページを表示することが出来る。しかし、指定されたフォントが閲覧に用いたパソコンへインストールされていない場合、意図したフォント表示できない。このため、フォントを特徴によって分類された総称ファミリー名を指定することによって、ユーザーの環境にインストールされているフォントでページ作成者の意図した種類に最も近いものを自動的に選択させることが出来る。 フォントファミリー名や総称ファミリー名は半角カンマ区切りのリストで複数指定できる。“inherit”で親要素から継承することも可能。なおデフォルトのフォントはブラウザの種類や表示設定に依存する。 font-style プロパティとその値。 font-variant プロパティとその値。 font-weightプロパティを使うことにより、文字の太さを設定することが出来る。 font-size プロパティではフォントの大きさを設定することが出来る。単位を付けて絶対値での指定を行うと、一部のブラウザでは表示フォントサイズの設定を無視して固定値で表示する場合がある。 xx-small, x-small, small, medium, large, x-large, xx-large のキーワードでフォントサイズを指定すると、周囲のフォントサイズに関係なく一定の大きさで表示される。ただし、ユーザーがブラウザの表示フォントサイズを変更していると、それに従って見かけ上の大きさは変化する。 また、larger, smaller のキーワードでフォントサイズを指定すると、継承された文字の大きさを基準に相対的な大きさでフォントサイズを表示する。 フォントサイズは単位による大きさ指定も可能である。ただし、%, em, ex 以外の単位を用いると、ブラウザによっては表示フォントサイズの設定を無視する場合がある。ユーザーが好みに応じて表示サイズを変更することが出来なくなるため、使用には注意が必要である。 フォント関係の設定はfontプロパティを用いることで、まとめて設定することが可能である。fontプロパティでまとめて設定を行う場合、以下のような記述を行う。 <font-styleの値> <font-variantの値> <font-weightの値>(前の三つは順不同:省略可) <font-sizeの値>(必須)/<line-heightの値>(省略可) <font-familyの値>(省略可) また、fontプロパティの値にキーワードを設定することで、システムフォントの設定を呼び出すことも可能である。 font-stretch プロパティではフォントの字幅を設定することができる。このプロパティは、CSS2で追加されたがCSS2.1勧告候補では削除された。 font-size-adjust プロパティを使うと、フォントサイズを変更することにより、違うフォントでもx-heightを同じにすることができる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "フォントファミリーとは通常のフォントや太字、イタリック体、斜体など、デザインを統一した複数のフォントをまとめたものである。「MS P明朝」などもフォントファミリーである。フォントファミリーは“font-family”プロパティで指定する。", "title": "フォントファミリー" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "設定できる値には具体的なフォントファミリ名のほか総称ファミリー名を指定することができる。", "title": "フォントファミリー" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "具体的なフォントファミリ名を指定すると、ページの作成者が意図した通りの形状のフォントでページを表示することが出来る。しかし、指定されたフォントが閲覧に用いたパソコンへインストールされていない場合、意図したフォント表示できない。このため、フォントを特徴によって分類された総称ファミリー名を指定することによって、ユーザーの環境にインストールされているフォントでページ作成者の意図した種類に最も近いものを自動的に選択させることが出来る。", "title": "フォントファミリー" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "フォントファミリー名や総称ファミリー名は半角カンマ区切りのリストで複数指定できる。“inherit”で親要素から継承することも可能。なおデフォルトのフォントはブラウザの種類や表示設定に依存する。", "title": "フォントファミリー" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "font-style プロパティとその値。", "title": "フォントスタイル" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "font-variant プロパティとその値。", "title": "スモールキャピタル" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "font-weightプロパティを使うことにより、文字の太さを設定することが出来る。", "title": "フォントの太さ" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "font-size プロパティではフォントの大きさを設定することが出来る。単位を付けて絶対値での指定を行うと、一部のブラウザでは表示フォントサイズの設定を無視して固定値で表示する場合がある。", "title": "フォントサイズ" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "xx-small, x-small, small, medium, large, x-large, xx-large のキーワードでフォントサイズを指定すると、周囲のフォントサイズに関係なく一定の大きさで表示される。ただし、ユーザーがブラウザの表示フォントサイズを変更していると、それに従って見かけ上の大きさは変化する。", "title": "フォントサイズ" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "また、larger, smaller のキーワードでフォントサイズを指定すると、継承された文字の大きさを基準に相対的な大きさでフォントサイズを表示する。", "title": "フォントサイズ" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "フォントサイズは単位による大きさ指定も可能である。ただし、%, em, ex 以外の単位を用いると、ブラウザによっては表示フォントサイズの設定を無視する場合がある。ユーザーが好みに応じて表示サイズを変更することが出来なくなるため、使用には注意が必要である。", "title": "フォントサイズ" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "フォント関係の設定はfontプロパティを用いることで、まとめて設定することが可能である。fontプロパティでまとめて設定を行う場合、以下のような記述を行う。", "title": "フォントの設定をまとめて設定" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "<font-styleの値> <font-variantの値> <font-weightの値>(前の三つは順不同:省略可) <font-sizeの値>(必須)/<line-heightの値>(省略可) <font-familyの値>(省略可)", "title": "フォントの設定をまとめて設定" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "また、fontプロパティの値にキーワードを設定することで、システムフォントの設定を呼び出すことも可能である。", "title": "フォントの設定をまとめて設定" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "font-stretch プロパティではフォントの字幅を設定することができる。このプロパティは、CSS2で追加されたがCSS2.1勧告候補では削除された。", "title": "CSS2.1勧告候補で削除された設定" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "font-size-adjust プロパティを使うと、フォントサイズを変更することにより、違うフォントでもx-heightを同じにすることができる。", "title": "CSS2.1勧告候補で削除された設定" } ]
CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。
CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。 == フォントファミリー == フォントファミリーとは通常のフォントや太字、イタリック体、斜体など、デザインを統一した複数のフォントをまとめたものである。「MS P明朝」などもフォントファミリーである。フォントファミリーは“font-family”プロパティで指定する。 設定できる値には具体的なフォントファミリ名のほか総称ファミリー名を指定することができる。 具体的なフォントファミリ名を指定すると、ページの作成者が意図した通りの形状のフォントでページを表示することが出来る。しかし、指定されたフォントが閲覧に用いたパソコンへインストールされていない場合、意図したフォント表示できない。このため、フォントを特徴によって分類された総称ファミリー名を指定することによって、ユーザーの環境にインストールされているフォントでページ作成者の意図した種類に最も近いものを自動的に選択させることが出来る。 <div style="border:1px #0066CC dashed;"> <syntaxhighlight lang="css"> body { font-family: "ヒラギノ角ゴPro W3", "MS Pゴシック", Osaka, serif; } </syntaxhighlight> </div> フォントファミリー名や総称ファミリー名は半角カンマ区切りのリストで複数指定できる。“inherit”で親要素から継承することも可能。なおデフォルトのフォントはブラウザの種類や表示設定に依存する。 ;serif :撥ねがあったり、先端の太さに変化があるフォント。日本語では明朝体。 ;sans-serif :撥ね(ハネ)、先端の太さの変化のないフォント。日本語ではゴシック体。 ;cursive :イタリック体よりも筆記体に近いフォント。日本語では行書体、草書体などが相当。 ;fantasy :文字として読める範囲で装飾をしたフォント。日本語フォントではあまり用いられない。 ;monospace :等幅フォント。文字の種類に関わらず文字の幅が統一されているフォント。 == フォントスタイル == font-style プロパティとその値。 ;'''normal''' :「通常体」に分類されるフォントを指定する。 ;italic :「イタリック体」に分類されるフォントを指定する。利用できない場合ブラウザは自動的に「斜体」に分類されるフォントを選択する。 ;oblique :「斜体」に分類されるフォントを指定する。利用できない場合ブラウザは「通常体」を傾けて勝手に斜体を生成してもよい。 ;inherit :親要素から継承 == スモールキャピタル == font-variant プロパティとその値。 ; '''normal''' : スモールキャピタルではない通常のフォントを指定する。 ; small-caps : スモールキャピタル(小文字サイズの大文字)フォントを指定する。利用できない場合ブラウザは大文字を縮小してスモールキャピタル化するべきとされているが、不可能な場合は単に大文字で表示してもよいとされている。 ; inherit : 親要素から継承 == フォントの太さ == font-weightプロパティを使うことにより、文字の太さを設定することが出来る。 ; '''normal''' : 数値400に同じ。 ; bold : 数値700に同じ。 ; bolder : 継承した値よりも太いフォントに当たるうち最も近い太さのものを選択する。 ; lighter : 継承した値よりも細いフォントに当たるうち最も近い太さのものを選択する。 ; 100-900の数値(100刻み) : フォントの太さを9段階で指定する。実際にはこのような細かな指定にブラウザやフォントが対応していないことが多い。 ; inherit : 親要素から継承 == フォントサイズ == font-size プロパティではフォントの大きさを設定することが出来る。単位を付けて絶対値での指定を行うと、一部のブラウザでは表示フォントサイズの設定を無視して固定値で表示する場合がある。 <div style="border:1px #0066CC dashed;"> <syntaxhighlight lang="css"> body { font-size: 90%; } </syntaxhighlight> </div> === キーワードによる指定 === xx-small, x-small, small, medium, large, x-large, xx-large のキーワードでフォントサイズを指定すると、周囲のフォントサイズに関係なく一定の大きさで表示される。ただし、ユーザーがブラウザの表示フォントサイズを変更していると、それに従って見かけ上の大きさは変化する。 また、larger, smaller のキーワードでフォントサイズを指定すると、継承された文字の大きさを基準に相対的な大きさでフォントサイズを表示する。 === 単位による指定 === フォントサイズは単位による大きさ指定も可能である。ただし、%, em, ex 以外の単位を用いると、ブラウザによっては表示フォントサイズの設定を無視する場合がある。ユーザーが好みに応じて表示サイズを変更することが出来なくなるため、使用には注意が必要である。 ;% :継承された文字の高さを基準として相対的な大きさをサイズを比率で指定。標準サイズは100%。 ;em :継承された文字の高さを基準として相対的な大きさを指定。標準サイズは1em。 ;ex :継承されたxの文字の高さを基準として相対的な大きさを指定1ex。 ;px :画面のピクセル数を基準に指定。 ;pt :[[w:ポイント|ポイント]]単位で指定。 ;pc :[[w:パイカ|パイカ]]単位で指定。 ;cm :センチメートル単位で指定。 ;mm :ミリメートル単位で指定。 == フォントの設定をまとめて設定 == フォント関係の設定はfontプロパティを用いることで、まとめて設定することが可能である。fontプロパティでまとめて設定を行う場合、以下のような記述を行う。 <nowiki><font-styleの値> <font-variantの値> <font-weightの値>(前の三つは順不同:省略可) <font-sizeの値>(必須)/<line-heightの値>(省略可) <font-familyの値>(省略可)</nowiki> また、fontプロパティの値にキーワードを設定することで、システムフォントの設定を呼び出すことも可能である。 ;caption :キャプションラベルに使用されているフォント ;icon :アイコンのラベルに使用されているフォント ;menu :メニューに使用されているフォント ;message-box :ダイアログボックスに使用されているフォント ;small-caption :キャプションラベルに使用されているフォント(小) ;status-bar :ステータスバーに使用されているフォント ;inherit == CSS2.1勧告候補で削除された設定 == === フォントの字幅 === font-stretch プロパティではフォントの字幅を設定することができる。このプロパティは、CSS2で追加されたがCSS2.1勧告候補では削除された。 : '''normal''' ; 通常の字幅 : wider ; 継承された値より広い字幅 : narrower ; 継承された値より狭い字幅 : ultra-condensed ; とても狭い字幅 : extra-condensed ; さらに狭い字幅 : condensed ; 狭い字幅 : semi-condensed ; 少し狭い字幅 : semi-expanded ; 少し広い字幅 : expanded ; 広い字幅 : extra-expanded ; さらに広い字幅 : ultra-expanded ; とても広い字幅 : inherit === フォントサイズ調節 === font-size-adjust プロパティを使うと、フォントサイズを変更することにより、違うフォントでもx-heightを同じにすることができる。 : 数値 ; アスペクト値(小文字‘x’の高さ÷文字の高さ)を指定する。 : none ; x-heightを一定に保たない。 : inherit == 関連資料 == * [http://www.w3.org/TR/2004/CR-CSS21-20040225/fonts.html 『W3C CSS2.1』15 Fonts](W3C) * [http://www.w3.org/TR/REC-CSS2/fonts.html#font-specification 『W3C CSS2』15.2 Font specification](W3C) {{stub}} [[Category:CSS|ふおんと]]
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2020-05-05T07:02:50Z
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4,392
民法第1031条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法) (配偶者居住権の登記等) 2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項の趣旨は、「遺留分侵害額の請求」として民法第1046条に定められた。 (遺贈又は贈与の減殺請求) 明治民法において、本条には限定承認に関する債権届出公告の満了時の取り扱いの規定があった。戦後民法では、民法第926条に継承された。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第5編 相続 (コンメンタール民法)]] ==条文== (配偶者居住権の登記等) ;第1031条 # 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。 # [[民法第605条|第605条]]の規定は配偶者居住権について、[[民法第605条の4|第605条の4]]の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。 ===改正経緯=== 2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項の趣旨は、「遺留分侵害額の請求」として[[民法第1046条]]に定められた。 (遺贈又は贈与の減殺請求) ;第1031条 :[[遺留分]]権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び[[民法第1030条|前条]]に規定する贈与の減殺を請求することができる。 ==解説== ==参照条文== ==判例== ==参考== 明治民法において、本条には限定承認に関する債権届出公告の満了時の取り扱いの規定があった。戦後民法では、[[民法第926条]]に継承された。 :[[民法第1029条#参考|第千二十九条]]第一項ノ期間満了ノ後ハ限定承認者ハ相続財産ヲ以テ其期間内ニ申出テタル債権者其他知レタル債権者ニ各其債権額ノ割合ニ応シテ弁済ヲ為スコトヲ要ス但優先権ヲ有スル債権者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第5編 相続 (コンメンタール民法)|第5編 相続]]<br> [[第5編 相続 (コンメンタール民法)#a|第8章 配偶者の居住の権利]]<br> |[[民法第1030条]]<br>(配偶者居住権の存続期間) |[[民法第1032条]]<br>(配偶者による使用及び収益) }} {{stub|law}} [[category:民法|m1031]] [[category:民法 2018年改正|m1031]]
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2022-10-24T10:06:04Z
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4,397
料理本/スープ/ガスパチョ
ガスパチョは健康的な冷製スープ。 トマト 450g 胡椒 25g 塩少々 バルサミコ酢 、オリーブオイル大さじ2杯 キュウリ 1/2-1本 シラントロ 少々 ニンニク 1欠け 赤唐辛子 1/4 タマネギ 1/2個 バゲット 50g 2-3日おいて固くなったもの 冷水 氷 パプリカ-少々 クミン-少々 トマト キュウリ トマトの皮をむき1/4にカットする。赤唐辛子から種を取り除く。キュウリ、タマネギも皮をむいて刻む。 ニンニクはみじん切りもしくはガーリックプレスで潰す。 バゲットは内側の白い部分を使用し水に浸して柔らかくしたものを搾る。 野菜、パン、バルサミコ酢、オリーブオイル、香辛料、冷水をミキサーでかき混ぜる。 できあがったものを器にいれて氷、または冷蔵庫で冷やす。 最後に適当に切った野菜を浮かべて完成。
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ガスパチョは健康的な冷製スープ。
{{Commons|Category:Gazpacho}} {{Wikipedia|ガスパチョ}} '''ガスパチョ'''は健康的な冷製スープ。 ==材料== トマト 450g 胡椒 25g 塩少々 バルサミコ酢 、オリーブオイル大さじ2杯 キュウリ 1/2-1本 シラントロ 少々 ニンニク 1欠け 赤唐辛子 1/4 タマネギ 1/2個 バゲット 50g 2-3日おいて固くなったもの 冷水 氷 ===バリエーション=== パプリカ-少々 クミン-少々 ==浮き身== トマト キュウリ ==料理法== トマトの皮をむき1/4にカットする。赤唐辛子から種を取り除く。キュウリ、タマネギも皮をむいて刻む。 ニンニクはみじん切りもしくは[[ガーリックプレス]]で潰す。 バゲットは内側の白い部分を使用し水に浸して柔らかくしたものを搾る。 野菜、パン、バルサミコ酢、オリーブオイル、香辛料、冷水をミキサーでかき混ぜる。 できあがったものを器にいれて氷、または冷蔵庫で冷やす。 最後に適当に切った野菜を浮かべて完成。 [[Category:料理本|かすはちよ]] [[Category:スペイン料理|かすはちよ]] [[Category:スープ料理|かすはちよ]] [[en:Cookbook:Gazpacho]] [[es:Artes culinarias/Recetas/Gazpacho andaluz]] [[it:Libro di cucina/Ricette/Gazpacho]] [[nl:Kookboek/Gazpacho]]
2006-11-01T17:58:21Z
2023-10-26T14:43:31Z
[ "テンプレート:Commons", "テンプレート:Wikipedia" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97/%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%81%E3%83%A7
4,401
会社法第308条
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法) (議決権の数)
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法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)]] ==条文== (議決権の数) ;第308条 # [[株主]](株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、[[株主総会]]において、その有する株式1株につき1個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を有する。 # 前項の規定にかかわらず、[[株式会社]]は、[[自己株式]]については、議決権を有しない。 ==解説== *第1項は、株主の議決権の算定方法(一株一議決権の原則)とその例外について規定している。 :「株式会社がその総株主の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を'''実質的に支配することが可能な関係'''にあるものとして法務省令([[会社法施行規則第67条]])で定める株主」([[w:株式持ち合い|相互保有株式]])と、「単元株式数を定款で定めている場合の単元株式数未満の株式しか有さない株主」については、議決権を有しない。 *第2項は、自己株式については、議決権は発生しないことを規定している。 ==関連条文== *[[会社法第155条]](総則) *[[会社法第189条]](単元未満株式についての権利の制限等) *[[会社法第342条]](累積投票による取締役の選任) *[[社債、株式等の振替に関する法律第153条]](超過記載又は記録に係る義務の不履行の場合における株主の議決権) ---- {{前後 |[[コンメンタール会社法|会社法]] |[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br> [[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)|第4章 機関]]<br> [[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)#1|第1節 株主総会及び種類株主総会]] |[[会社法第307条]]<br>(裁判所による株主総会招集等の決定) |[[会社法第309条]]<br>(株主総会の決議) }} {{stub|law}} [[Category:会社法|308]]
2006-11-02T23:56:56Z
2023-07-12T04:50:55Z
[ "テンプレート:前後", "テンプレート:Stub" ]
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4,403
会社法第847条
法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第7編 雑則 (コンメンタール会社法) (責任追及等の訴え) いわゆるw:株主代表訴訟についての規定である。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第7編 雑則 (コンメンタール会社法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(責任追及等の訴え)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "いわゆるw:株主代表訴訟についての規定である。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第7編 雑則 (コンメンタール会社法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)]] ==条文== ([[w:株主代表訴訟|責任追及等の訴え]]) ;第847条 # 6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主([[会社法第189条|第189条]]第2項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等([[会社法第423条|第423条]]第1項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、[[会社法第102条の2|第102条の2]]第1項、[[会社法第212条|第212条]]第1項若しくは[[会社法第285条|第285条]]第1項の規定による支払を求める訴え、[[会社法第120条|第120条]]第3項の利益の返還を求める訴え又は[[会社法第213条の2|第213条の2]]第1項若しくは[[会社法第286条の2|第286条の2]]第1項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。 # 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。 # 株式会社が第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。 # 株式会社は、第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。 # 第1項及び第3項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第1項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。 ==解説== いわゆる[[w:株主代表訴訟]]についての規定である。 *第1項は、提訴請求について規定している。([[w:単独株主権]]) *:第189条(単元未満株式についての権利の制限等) *:第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任) *:第212条(不公正な払込金額で株式を引き受けた者等の責任) *:第120条(株主の権利の行使に関する利益の供与) *第2項は、[[w:公開会社でない会社|公開会社でない会社]]の場合の提訴請求の主体の適格の要件の変更について規定している。 *第3項は、責任追及等の訴えの提訴できる条件について規定している。 *第4項は、責任追及等の訴えの際の通知について規定している。 *第5項は、株式会社に回復することができない損害が生じるおそれがある場合の例外について規定している。 *第6項は、責任追及等の訴えの訴額の算定方法について規定している。 *第7項は、被告の申し立てによる担保提供命令について規定している。 *第8項は、担保提供命令の際の被告の疎明事項について規定している。 ==関連条文== *[[会社法第386条]](監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表) ---- {{前後 |[[コンメンタール会社法|会社法]] |[[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)|第7編 雑則]]<br> [[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)#2|第2章 訴訟]]<br> [[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)#2-2|第2節 株式会社における責任追及等の訴え]] |[[会社法第846条の9]]<br>(原告が敗訴した場合の損害賠償責任) |[[会社法第847条の2]]<br>(旧株主による責任追及等の訴え) }} {{stub}} [[Category:会社法|847]]
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2022-07-23T12:26:24Z
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4,404
会社法第348条
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法) (業務の執行)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(業務の執行)", "title": "条文" } ]
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)]] ==条文== (業務の執行) ;第348条 # [[w:取締役]]は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社([[w:取締役会設置会社|取締役会設置会社]]を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。 # 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。 # 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。 #:一 支配人の選任及び解任 #:二 支店の設置、移転及び廃止 #:三 [[会社法第298条|第298条]]第1項各号([[会社法第325条|第325条]]において準用する場合を含む。)に掲げる事項 #:四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備 #:五 [[会社法第426条|第426条]]第1項の規定による定款の定めに基づく[[会社法第423条|第423条]]第1項の責任の免除 # [[w:大会社]]においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない ==解説== *第1項は、[[w:取締役会非設置会社|取締役会非設置会社]]において、取締役が株式会社の業務執行機関であることを規定している。 *第2項は、取締役が複数人いる場合の意思決定方法(定款に定めのないときは取締役の過半数)を規定している。 *第3項は、取締役が他の取締役に決定を委任できない事項について規定している。(取締役会設置会社の場合は362条4項参照) *:会社法第298条(株主総会の招集の決定) *:会社法第325条(株主総会に関する規定の準用) *:会社法第426条(取締役等による免除に関する定款の定め) *:会社法第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任) *第4項は、大会社においては、前項第4号に掲げる事項([[w:業務の適正を確保するための体制|業務の適正を確保するための体制]])を決定しておかなければならないことを規定している。 ==参照条文== *[[s:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律#21|会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第21条]](取締役に関する規定の適用除外) *[[会社法第362条]](取締役会の権限等)(取締役会設置会社) ---- {{前後 |[[コンメンタール会社法|会社法]] |[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br> [[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)|第4章 機関]]<br> [[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)#4|第4節 取締役]] |[[会社法第347条]]<br>(種類株主総会における取締役又は監査役の選任等) |[[会社法第348条の2]]<br>(業務の執行の社外取締役への委託) }} {{stub}} [[Category:会社法|348]]
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2022-05-28T02:31:08Z
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4,410
病理学
病理学 (Pathology) とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。 生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。 とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "病理学 (Pathology) とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。", "title": "" } ]
病理学 (Pathology) とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。 生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。 とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。
{{Pathnav|メインページ|医学|frame=1}} '''病理学 (Pathology)''' とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。 生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。 とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。 == 目次 == === 総論 === * [[病理学/病理学とは]] * [[病理学/先天異常]] {{進捗|75%|2020-09-21}} * [[病理学/代謝障害]] {{進捗|75%|2020-09-22}} * [[病理学/循環障害]] {{進捗|75%|2020-09-23}} * [[病理学/炎症]] {{進捗|75%|2020-09-24}} * [[病理学/感染症]] {{進捗|75%|2020-09-25}} * [[病理学/免疫とその異常]] {{進捗|75%|2020-09-25}} * [[病理学/腫瘍]] {{進捗|50%|2020-09-26}} * 病理学/細胞障害とその修復 * [[病理学/病理学の歴史]] {{進捗|50%|2020-10-21}} <!-- :※ 医学書では、冒頭に病理学の歴史の単元が書いてある。だが、現代では高校の理科の『生物』科目ですでに、より洗練された考えを習っているので、後回しにする事とした。明治時代のような開国直後ならともかく、さすがに21世紀の現代で、歴史から説明を始める必要性は低いだろうと本wikiでは判断し、総論の最後に移すことにした。 --> === 各論 === * [[病理学/循環器]] {{進捗|25%|2020-09-27}} * [[病理学/血液・造血器・リンパ節]] {{進捗|50%|2020-09-30}} * [[病理学/呼吸器]] {{進捗|50%|2020-10-02}} * [[病理学/消化器]] {{進捗|50%|2020-10-07}} * [[病理学/内分泌]] {{進捗|50%|2020-10-16}} * [[病理学/泌尿器]] {{進捗|00%|2020-10-12}} * [[病理学/生殖器]] {{進捗|50%|2020-10-14}} * [[病理学/神経系]] {{進捗|25%|2020-10-17}} * [[病理学/運動器]] {{進捗|50%|2020-10-20}} * [[病理学/皮膚]] {{進捗|25%|2020-10-21}} * [[病理学/軟部組織]] * [[病理学/感覚器]] == 外部リンク == [[commons:Histopathology of the human gastrointestinal tract|ウィキメディア・コモンズ病理学関連画像]] {{stub}} [[カテゴリ:病理学|*]]
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2022-11-23T05:41:17Z
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4,411
薬理学
薬理学 (Pharmacology) は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。 下記の見出し「体液っぽい話題」などは厳密なものではない。医学書でも、ここら辺の単元は医学書ごとに分類の仕方が異なっており、統一的な整理方法は無い。 ※ 体液っぽい話題 ※ 免疫っぽい話題 ※ 感染症治療っぽい話題 ※ その他 (※ この単元は済み.)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "薬理学 (Pharmacology) は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "下記の見出し「体液っぽい話題」などは厳密なものではない。医学書でも、ここら辺の単元は医学書ごとに分類の仕方が異なっており、統一的な整理方法は無い。 ※ 体液っぽい話題", "title": "薬理学で扱う項目" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "※ 免疫っぽい話題", "title": "薬理学で扱う項目" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "※ 感染症治療っぽい話題", "title": "薬理学で扱う項目" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "※ その他", "title": "薬理学で扱う項目" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "(※ この単元は済み.)", "title": "旧 目次" } ]
薬理学 (Pharmacology) は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。
{{Pathnav|メインページ|医学|frame=1}} {{wikiversity|Topic:薬理学|薬理学}} '''薬理学 (Pharmacology) ''' は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。 == 薬理学で扱う項目 == === 総論 === ::※ 総論の進捗: {{進捗|100%|2020-10-31}} * 予備知識 ** [[高等学校看護 疾病と看護/薬物の作用]] (有害作用など) ** [[大学教養_理系学部の生物学#Gタンパク質と受容体]] * [[薬理学/薬物の生体内動態]] (ED50やLD50など、経口投与や舌下投与など、甲状腺のヨード吸収など) * [[薬理学/アゴニストとアンタゴニスト]] * [[薬理学/体内における薬の運命]] (吸収・分布・代謝・排泄、コンプライアンス、TDM) * [[薬理学/薬物治療に影響を与える因子]](耐性、薬物相互作用、薬物依存) ※ トランスポーターと促進拡散もここに間借り中. * [[薬理学/新薬の開発手順など]] (治験、ヘルシンキ宣言、プラセボ) * [[薬理学/小児・妊婦・高齢者などの薬物療法]] (※ 高齢者がまだ大幅に不足です.) ※ クレアチニン・クリアランスの式もここに間借り中. <!-- もはや不要だけど、今後の単元名などの参考として当分、残す。 * [[薬物の作用点]](薬物受容体の概念 アゴニストとアンタゴニスト 受容体の種類) * [[投与方法]](クリアランス バイオアヴェイラビリティ) * [[分布と代謝]](薬物代謝 初回通過効果 毒物への代謝 酵素誘導と酵素阻害) --> === 自律神経作動薬 === * [[薬理学/アドレナリン関係の薬物]] {{進捗|50%|2020-10-31}}(アドレナリン作動薬、カテコールアミン、遮断薬、) * [[薬理学/アセチルコリン関係の薬物]] {{進捗|25%|2020-11-02}} (アトロピン、ダントロレン、リドカイン、クラーレ様薬物) <!-- * 交感神経作用薬(ムスカリン性受容体 コリン性受容体 アセチルコリン受容体 コリン作動性薬物) --> <!-- * 交感神経遮断薬 * 副交感神経作用薬 * 副交感神経遮断薬 --> === ※ やや横断的な まとめ === :※ 下記の見出しの「興奮系」とか「抑制系」というのは、医学用語ではなく、wiki編集上の仮の用語。<!-- アッパー系とかダウナー系とか書くと違法ドラッグみたいなので漢字で表記。 --> ;興奮系 * [[薬理学/中枢興奮薬]] {{進捗|50%|2020-11-04}}(キサンチン誘導体、呼吸器作用薬) ;気管支 * [[薬理学/咳と痰と気管支喘息の治療薬]] {{進捗|50%|2020-11-04}} (コデイン、フコース型、COPD) ;抑制系 * [[薬理学/全身麻酔薬]] {{進捗|50%|2020-11-04}} (イソフルラン、プロポフォール、レミフェンタニルなど) * [[薬理学/麻薬性鎮痛薬]] {{進捗|25%|2020-11-05}} (オピオイド、エンケファリン、レミフェンタニルなど) ;炎症の関係 * [[薬理学/抗炎症薬および関連薬]] {{進捗|25%|2020-11-05}} (NSAIDs、ステロイド抗炎症薬) * [[薬理学/生理活性物質と消化器作用薬]] {{進捗|25%|2020-11-11}} (アラキドン酸カスケード、膨張性下剤、核酸アナログ) ;中枢神経系 * [[薬理学/中枢神経系の病気の治療薬]] {{進捗|25%|2020-11-13}} (てんかん治療薬、パーキンソン病治療薬) ;心臓と血液 * [[薬理学/心臓の病気の治療薬]] (心不全、狭心症、虚血性心疾患、など) * [[薬理学/血液凝固に関する薬]] (ウロキナーゼ、) * [[薬理学/造血系]] ;未分類 下記の見出し「体液っぽい話題」などは厳密なものではない。医学書でも、ここら辺の単元は医学書ごとに分類の仕方が異なっており、統一的な整理方法は無い。<br> ※ 体液っぽい話題 * [[薬理学/輸液]] * [[薬理学/代謝性疾患とその治療薬]] ※ 免疫っぽい話題 * [[薬理学/抗リウマチ薬]] * [[薬理学/免疫系]] * [[薬理学/抗悪性腫瘍薬]] ※ 感染症治療っぽい話題 * [[薬理学/感染症の治療薬]] ※ その他 * 薬理学/各種の新薬 (※ まだ一部の教科書でしか紹介してない薬品など) * 薬理学/その他の薬剤 (※ 消毒とか) == 旧 目次 == :※ 症状別の索引に使えそうなので、しばらく残す予定。 === 心臓・腎臓作動薬 === (※ この単元は済み.) * 抗高血圧薬 * 狭心症治療薬 * 心不全治療薬 * 抗不整脈薬 * 利尿薬 (※ 済み) === 平滑筋作動薬 === * ヒスタミン、セロトニン、麦角アルカロイド ※ 麦角アルカロイドは済み. 『薬理学/アドレナリン関係の薬物#麦角アルカロイド』 * 気管支喘息薬 (※ 済み. 『薬理学/咳と痰と気管支喘息の治療薬』に統合済み. * 血管作動薬 * 一酸化窒素 (※『薬理学/心臓の病気の治療薬』で既に硝酸薬を記述済み。 * プロスタグランジン (※ 『薬理学/生理活性物質』に統合の予定. === 中枢神経作動薬 === * 総論 * 鎮静睡眠薬 ※ 睡眠薬は記述済み. * 鎮静薬の麻薬性 ※ 記述済み. * 抗てんかん薬 ※ 記述済み. * 全身・局所麻酔薬 ※ 記述済み. * 筋弛緩薬 ※ ツボクラリンとかなら記述済み. * パーキンソン症候群治療薬 ※ 記述済み. * 抗うつ薬 ※ 済み。三環系とか記述済み === 血液・炎症治療薬 === * 高脂血症治療薬 ※ 済み. 『[[薬理学/代謝性疾患とその治療薬#脂質代謝異常とその治療薬]]』 * 貧血治療薬 ※ 『[[薬理学/造血系#貧血とその治療薬]]』 * 血液凝固/抗血液凝固薬 (※ 『[[薬理学/血液凝固に関する薬]]』 * 非ステロイド性抗炎症薬 ※ 済み. 『[[薬理学/抗炎症薬および関連薬]]』に統合. === 抗菌・抗ウイルス薬 === * 抗生物質 ※ 済み, * 抗真菌薬 ※ 済み. * 抗ウイルス薬 (※ ウイルス性肝炎については『[[薬理学/生理活性物質と消化器作用薬]]』) * 悪性腫瘍治療薬 ※ 済み * 免疫抑制剤 ※ 済み。『[[薬理学/免疫系]]』で記述ずみ。 == 内部リンク集 == ;基礎医学リンク集 * [[生理学]] * [[薬理学]] * [[病理学]] * [[解剖学]] == 外部リンク == :※ 現在のところ、リンク無し。 == 未分類 == :※ この節は、サブページ化する前の、著作中の単元の記述スペースです。 :※ ある程度の内容が充実したら、上記の目次の各単元のリンク先の適切な場所に移動してください。 === 脚注 === :※ サブページへの引用時には、上記『脚注』の見出しレベルをレベル2にアップする事。 {{DEFAULTSORT:やくりかく}} {{NDC|491.5}} [[カテゴリ:薬理学|*]]
2006-11-06T12:12:55Z
2023-09-29T11:10:29Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%96%AC%E7%90%86%E5%AD%A6
4,412
組織学
組織学(Histology)とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。解剖学の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は病理学の分野となる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "組織学(Histology)とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。解剖学の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は病理学の分野となる。", "title": "" } ]
組織学(Histology)とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。解剖学の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は病理学の分野となる。
'''組織学(Histology)'''とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。[[解剖学]]の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は[[病理学]]の分野となる。 [[Image:Microscope de HOOKE.png|right|thumb|250px|Robert Hookeの作った複合顕微鏡]] == 組織学で扱う総論的項目 == === 組織学的手法 === *切片標本作製法 *染色法 *顕微鏡 *細胞 === 四大組織 === *上皮組織 *結合組織 *筋組織 *神経組織 === その他の組織 === *骨組織 *血液 *リンパ組織 *血管系 *皮膚・毛 == 組織学で扱う各論的項目 == === 口腔とその関連器官 === *口腔と腺 *鼻腔・肺 *[[/歯|歯]] === 消化器系 === *胃・小腸・大腸 *[[/肝臓|肝臓]] *膵臓 === 泌尿・生殖器 === *腎臓 *泌尿器 *男性生殖器 *女性生殖器 === 内分泌系 === *内分泌系 === 神経系・感覚器 === *脳脊髄膜・等皮質 *不等皮質 *視覚器 *聴覚・平衡覚器 == 外部リンク == [http://db.kobegakuin.ac.jp/kaibo/index.html 組織学カラースライドデータベース] [[Category:医学|そしきかく]]
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2007-02-15T14:08:30Z
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4,413
微生物学
微生物学 (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の組織学的知識が要求され、また薬理学は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。 ここでは、微生物学で扱う微生物とは何なのかについて触れておく。そもそも微生物には細菌の他に真核生物の原虫、真菌、藻類、さらに生物とは呼べそうにないウイルス、ウイロイド、プリオンなども含まれる。そのうち、特にヒトへの病原性を有する病原微生物を中心にここでは細菌、真菌、寄生虫(原虫を含む)を扱っていくこととする。ウイルスはその研究手法などが大きく異なる事から、ウイルス学として別に扱う。プリオンは病理学 感染症を中心に、一部ウイルス学でも取り上げる事とする。細菌の詳細については細菌学、真菌については菌類学、寄生虫については寄生虫学でも取り上げる。 以下の4項目について、代表的な寄生虫を取り上げる。この分類はあくまで便宜的なもので、原虫、吸虫などを明確に定義する事に大きなメリットはない。但し、吸虫、線虫などはその寄生虫の特徴をよく捉えた呼称と言えるだろう。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "微生物学 (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の組織学的知識が要求され、また薬理学は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "ここでは、微生物学で扱う微生物とは何なのかについて触れておく。そもそも微生物には細菌の他に真核生物の原虫、真菌、藻類、さらに生物とは呼べそうにないウイルス、ウイロイド、プリオンなども含まれる。そのうち、特にヒトへの病原性を有する病原微生物を中心にここでは細菌、真菌、寄生虫(原虫を含む)を扱っていくこととする。ウイルスはその研究手法などが大きく異なる事から、ウイルス学として別に扱う。プリオンは病理学 感染症を中心に、一部ウイルス学でも取り上げる事とする。細菌の詳細については細菌学、真菌については菌類学、寄生虫については寄生虫学でも取り上げる。", "title": "微生物と微生物学" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "以下の4項目について、代表的な寄生虫を取り上げる。この分類はあくまで便宜的なもので、原虫、吸虫などを明確に定義する事に大きなメリットはない。但し、吸虫、線虫などはその寄生虫の特徴をよく捉えた呼称と言えるだろう。", "title": "寄生虫の章で扱う項目" } ]
微生物学 (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の組織学的知識が要求され、また薬理学は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。
'''微生物学''' (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の[[組織学]]的知識が要求され、また[[薬理学]]は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。 {{medical stub}} == 微生物と微生物学 == ここでは、微生物学で扱う''[[wikipedia:微生物|微生物]]''とは何なのかについて触れておく。そもそも微生物には細菌の他に[[wikipedia:真核生物|真核生物]]の原虫、真菌、藻類、さらに生物とは呼べそうにないウイルス、[[wikipedia:ウイロイド|ウイロイド]]、[[wikipedia:プリオン|プリオン]]なども含まれる。そのうち、特にヒトへの病原性を有する[[wikipedia:病原微生物|病原微生物]]を中心にここでは細菌、真菌、寄生虫(原虫を含む)を扱っていくこととする。ウイルスはその研究手法などが大きく異なる事から、[[ウイルス学]]として別に扱う。プリオンは[[病理学#感染症|病理学 感染症]]を中心に、一部[[ウイルス学]]でも取り上げる事とする。細菌の詳細については[[細菌学]]、真菌については[[菌類学]]、寄生虫については[[寄生虫学]]でも取り上げる。 == 細菌の章で扱う項目 == == 真菌の章で扱う項目 == == 寄生虫の章で扱う項目 == 以下の4項目について、代表的な寄生虫を取り上げる。この分類はあくまで便宜的なもので、原虫、吸虫などを明確に定義する事に大きなメリットはない。但し、吸虫、線虫などはその寄生虫の特徴をよく捉えた呼称と言えるだろう。 === 原虫 === === 吸虫 === === 線虫 === === 条虫 ===
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2015-12-18T11:55:31Z
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解剖学
解剖学(Anatomy)とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、生理学や組織学に関わらずすべての医学分野の学習において欠く事のできないものといえる。 解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と組織学に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "解剖学(Anatomy)とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、生理学や組織学に関わらずすべての医学分野の学習において欠く事のできないものといえる。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と組織学に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。", "title": "" } ]
解剖学(Anatomy)とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、生理学や組織学に関わらずすべての医学分野の学習において欠く事のできないものといえる。 解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と組織学に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。
'''解剖学(Anatomy)'''とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、[[生理学]]や[[組織学]]に関わらずすべての[[医学]]分野の学習において欠く事のできないものといえる。 解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と[[組織学]]に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。 {{medical stub}} [[Image:Gray797.png|right|thumb|200px|[[解剖学/皮膚分節|皮膚分節]]]] == 解剖学で扱う項目 == === 基礎知識 === * [[/人体の区分|人体の区分]] * [[/解剖学的な部位表現|解剖学的な部位表現]] * [[/皮膚分節|皮膚分節]] * [[/鰓弓|鰓弓]] === 骨 === * [[/骨総論|骨総論]] * [[/関節総論|関節総論]] * [[/体幹の骨|体幹の骨]] * [[/上肢の骨|上肢の骨]] * [[/下肢の骨|下肢の骨]] * [[/頭蓋骨|頭蓋骨]] === 筋肉 === * [[/筋肉総論|筋肉総論]] * 脊柱の筋 * 頚部の筋 * [[/背部の筋|背部の筋]] * 胸腹部の筋 * 上肢の筋 * 下肢の筋 * 殿部の筋 * 表情筋・咀嚼筋 * その他の頭部の筋 === 循環器 === * 胸腹部の動脈 * 頭頚部の動脈 * 上肢の動脈 * 下肢の動脈 * 腹部の動脈 * 心臓 * 静脈 * リンパ管系と脾臓 === 口咽頭 === * 舌の筋 * 口頭の筋 * 嚥下に関わる筋 * 食道 === 消化器 === * 胃 * 十二指腸 * 空腸・回腸 * 結腸・直腸 * 腹膜 === 消化に関わる臓器 === * 肝臓 * 膵臓 === 呼吸器 === * 鼻腔 * 喉頭 * 気道 * 肺 === 泌尿器 === * 腎臓 * 膀胱と尿道 === 生殖器 === * 生殖器の発生 * 男性[[生殖器]] * 女性[[生殖器]] === 神経系 === * 神経総論 * 脳の概観 * 大脳皮質 * 脳と脊髄の動静脈 * 脳神経 * 自律神経 * 各部位の神経叢 * 皮神経 * 視覚器 * 聴覚・平衡覚器 == 関連項目 == * [[commons:Category:Gray%27s_Anatomy_plates|Gray解剖学の画像(ウィキメディア・コモンズ)]] * [[w:人間の骨の一覧|人間の骨の一覧]] * [[w:人間の筋肉の一覧|人間の筋肉の一覧]] * [[w:ヒトの神経の名称一覧|ヒトの神経の名称一覧]] * [[w:人間の動静脈一覧|人間の動静脈一覧]] [[de:Neuroanatomie]] [[en:Human Anatomy]] [[fa:کالبدشناسی انسان]]
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2022-08-31T01:19:10Z
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生理学
生理学 (Physiology) とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴(解剖学)や代謝反応などに関する生化学の知識が要求される。 細胞は、固体状の細胞の中心部分と、液体からなる外側の細胞外液によって成り立っている。19世紀のフランスの生理学者クロード・ベルナール(Claude Bernard)がこの体内の環境のことを「内部環境」 milien unterne (英訳すれば internal environment)という用語で表し、内部環境は外界から隔絶された環境であるとした。 なお、体の外の環境を外部環境と呼ぶ。 アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノン Walter B. Cannon はさらにベルナールの考えを発展させ、神経と内分泌の多くの実験などをもとに、キャノンは生体内の環境は常に一定になるように生物的に制御されていると主張し「ホメオスタシス」 homeostasis (恒常性) という造語で定義した(1932)。「類似の」 homeo + 「停止状態」stasis という意味の造語である。 ともかく、たとえば、血液の水素イオン濃度は、現代では約pH7.4前後に維持される事が知られている。 さて「恒常」といっても、けっして全くの不変ではなく、基準から僅かばかりに変動しているが、すぐに元に戻るように調整されている。工学的な用語で表すなら、制御工学で言う「ネガティブ・フィードバック」である。 ともかく、ホメオスタシスという現象のあることはつまり、体内に基準となるべき正常な状態があり、その基準状態からのズレを補正して元の基準に戻そうとするような仕組みが存在している事である。 なお、「フィードバック」とは制御工学の用語である。フィードバックには、基準からのズレを拡大していくポジティブ・フォードバック(正のフィードバック)と、基準に戻そうとするネガティブ・フィードバック(負のフィードバック)とがある。「ネガティブ」には、負(ふ)という意味がある。数学の正負の負も、英語で negative ネガティブ という。 ナトリウムポンプのほかに、カルシウムポンプやプロトン(H)ポンプがある。 生理学でいう「オーバーシュート」overshoot という用語は、この図のように、一時的に電位などの波形が目標値よりも高くなる事である。「オーバーシュート」がこういう意味なのは日本だけでなく世界的に同様であり、『ギャノング生理学』でも似たような意味で「オーバーシュート」という用語が使われている。 なお、上記の説明で「スパイク」という用語を、先端(右図では波形の頂上の部分)のとんがってない波形に使ったが、ギャノング生理学でも同様の用語の使い方である。ギャノング生理学に、「スパイクの持続時間」なる語句があり、ある神経のある刺激の電位の「スパイク」はたとえば 0.5ミリ秒 ほど持続する場合もあるとしている。(※ 数値は一例なので、暗記しなくていい。) このような活動電位の波形を図示する場合、数ミリ秒の短時間で電位の興奮が終わるので場合によっては1本の縦線で図示される場合があるが(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P178の図)、しかし現実の波形は右図のように、なだらかな曲線である(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P179の図)。 神経の電位の理論計算の際、抵抗値の単位オーム Ω だけではなく、電気伝導度 という単位を使う場合がある。 電気伝導度とは、単に抵抗値の逆数であり、単位はシーメンスであり、シーメンスの記号はSで表す。 たとえば、2Ωの抵抗値は、その抵抗の電気伝導度は 0.5 S である。(0.5×2 = 1なので) (「0.5 シーメンス」と読む。) もし抵抗をRとし、電流をIとし、電気伝導度をgとした際、 オームの法則により、電流・抵抗・電圧の関係は RI=E であるので、移項すると I = E (1/R) = gE となり、見かけ上、電圧と電流の関係が I = gE というふうに1行で書けるので、電気伝導度による記述が用いられる場合がある。 抵抗および抵抗値のことを英語でリアクタンスという。リアクタンスの単位はオーム Ω である。 電気伝導値のことを英語でコンダクタンス conductance という。つまり、コンダクタンスの単位はシーメンス S である。 一般に、受容体に結合する物質のことをリガンド ligand という。(※ 生理学テキストに記述あり。) なお、類語で「アゴニスト」 agonist とは、薬品などで、受容体に結合して、作用をもたらす物質分子のことである。薬品が受容体と結合した際に作用を増強したり発現したりする場合をアゴニストという。一方、薬品が受容体と結合したさいに抑制的に働いたり他のアゴニストの結合を妨げるものの場合はアンタゴニスト antagonist という。薬物の場合、アンタゴニストのことを「拮抗薬」(きっこうやく)ともいう。 ※ 「薬物」と言っても、麻薬のような違法的な意味は無い。慣習的に薬理学では、薬の事を一般に「薬物」という。 伝統的な、大学レベルの薬理学の教育では、アゴニストとアンタゴニストという語句が、これらの概念を説明するのに、よく使われる。 よく、リガンドと受容体の関係は、カギとカギ穴の関係に喩えられる。 アンタゴニストが存在するという事はつまり、 という事である。分子が受容体に結合し、さらになんらかの変化をその受容体に起こすことにより、初めて作用が起きるのである。 では、作用を起こすための変化とは何か? 一般的には、受容体の立体構造の変化である、とされている。 アンタゴニストは、結合穴に結合するだけで終わってしまい、立体構造を変化させないので、作用を起こさない、という解釈がある。 ※ 本wiki独自の喩えだが、アンタゴニストをカギに喩えるなら、カギ穴に入ることはできるが、カギの凹凸が不一致で、カギを回せない、とでもいえようか・・・ たとえば読者は、神経伝達物質としてアセチルコリンを高校生物で読者は習ったと思う。 これも、上記の「リガンド」という用語を使うなら、 神経細胞にはアセチルコリン受容体があるので、その結果として、神経細胞のイオンチャネルのリガンドとして、アセチルコリンが作用するからである。(※ なお高校の東京書籍の検定教科書にも、似たような説明がある。別ページだが「リガンド」の用語も、東京書籍の教科書にある。) ※ ともかく読者は、こういった専門用語の言葉遣いになれてほしい。 イオンチャネルやイオンポンプは、必ずしも神経細胞だけに限定はしないが、しかし医学的には神経細胞のイオンチャネルやイオンポンプに作用する物質は危険物や毒物などになりやすいので重要である。 フグ毒のテトロドトキシンもNaチャネルを阻害するため、神経細胞のNaチャネルも阻害するので、重篤な症状をもたらす。(※ シンプル生理学に説明あり。『標準生理学 第8版』P72に記載あり。) ※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』P.25で、若干に説明が食い違いあり。『ギャノング生理学』の内容が比較的に標準生理学に近いので、本wikiではギャノングにあわせる。 とても細い 1本の「毛細管」というかピペットのようなものを使い、電気的な手法で、細胞膜チャネルなどの細胞表面の器官を1個だけひきつけつ方法がある、とされており、その方法がパッチクランプ法である。 断面図で描かれると、2本の棒かのように誤解されるが、そうではない。 パッチクラノンプ法を使えば細胞が無傷のままひきつけることが出来る、とされている。 なお、細胞膜をやぶっても細胞膜チャネルを観測できる。 つまり、細胞膜を破らずに観測する方式と、別の方式として、細胞膜を破って観測する方式がある。 どのような方式でも、電極が(たとえば毛細管の中心軸あたりに)付属している。 そして、とにかく実験結果がどうなるかというと、膜電位の電圧が、オンまたはオフのいずれかという、2値のいずれかの状態だけを取ることが観測結果である。 正確に言うと、ms(ミリセカンド)のオーダーで、電圧の高低が切り替わる。つまり、1つのチャネルの開閉について、ミリセカンドのオーダーで開閉が切り替わっている、と医学では考えられている。 グラフ的にどう見えるかを言えば、オシロスコープなどの表示するグラフは、(表示倍率や設定にも寄るが、適正な表示倍率なら)けっして傾斜40度みたいなナナメの傾斜の曲線にはならず、オン状態はほぼ90度で立ち上がる。(厳密には85~89度くらいの斜めかもしれないが、そういう事を言い出すとキリがないので、ほぼ90度だと説明することにする。) この事から、1つのチャネルの開閉の状態の切り替えは、瞬時に開または閉に切り変わる事が分かる、・・・と医学会では考えられており、医学書ではパッチクランプ法でそう証明されたと断言されている。 イオンチャネルが、なぜ構造が筒状で穴が空いているのか分かったかというと(※ なんと『標準生理学』でしか紹介されてない。『ギャノング生理学』と『生理学テキスト』には説明が無し)、主に「電子線」による実験の観測だとされる。 その他、X線による解析も行われている。 それらの電子線の観測写真などにより、実際に円形の何かが観測される。いかにも穴っぽい何かが観測できる。(と、『標準生理学』に、その観測写真(「ニコチン性アセチルコリン受容体」)がある。しかし倍率とかがその図に書かれておらず、いまいち不便。なお、ニコチンアセチルコリンにはチャネルポア(つまり貫通穴)がある。) なお余談だが、チャネルの生物実験的な性質については、現代ではチャネルの遺伝子が特定されているのでクローニング技術的に大量生産できるので、「cDNAクローニング」による生物学的性質の確認が取られている。(と『標準生理学』P.74が言っている。) 要するに、主に の3つが、イオンチャネルや類似の生体分子を調べるための典型的な手法である。(と、『標準生理学』P.75がこの3つの手法を特別に紹介している。) 読者はナトリウムチャネル(Naチャネル)、カリウムチャネル(Kチャネル)を高校で習ったと思う。 実はカルシウムチャネルも存在する。一般的に「Caチャネル」と表記される。 カルシウムと聞くと、ついつい骨細胞だけのものかと誤解しがちであるが、一般の細胞にも濃度は低いものの、カルシウムイオンが存在している。 高等学校の生物でも、いちおう神経伝達にカルシウムが関わっている事は習う。『高等学校生物/生物I/環境と動物の反応#シナプスでの伝達』 高校では習ってないかもしれないが、神経のほかにも筋細胞でも、筋収縮を伝えるのにカルシウムが関わっている。これについては筋肉細胞に、トロポニンというCaとの結合をするタンパク質が存在する事が明らかになっている。 なお、神経細胞も筋肉細胞もともに、興奮性の細胞であることに着目しよう。 このようにカルシウムは、何かの情報伝達的な物質としての側面もあることに注目しよう。もっとも生理学の大学教科書では、そこまで大げさに分類するまでもなく、生理活性物質などとしてカルシウムは分類されている。 また、筋肉や神経細胞など興奮性細胞に限らず、一般の多くの細胞にも、カルモジュリンという、Caと結合する蛋白質がある事が分かっている。(『生理学テキスト』、『標準生理学 第8版』P89、など) なお、イオンの価数をいちいち「2」とか書くのが面倒な場合などは「Caチャネル」と略記する場合もよくある。(『生理学テキスト』にもある表記)ナトリウムチャネルなども同様、「Naチャネル」のようにイオンの価数を略記することもある。 骨格筋の赤みはおおむね、ミオグロビンによるものである。 ミオグロビンの多い筋肉をその色から「赤筋」という。 一方、ミオグロビンの多い筋肉を、赤みが比較的にうすい事から「白筋」という。 筋肉には、フォラメントが2種類あり、「太いフィラメント」(アクチンフィラメント)と「細いフィラメント」(ミオシンフィラメント)がある。 はその名の通り、太いフィラメントのほうが太い。また、太いフィラメントの構成物質は主にアクチンである。 細いフィラメントの抗生物質は主にミオシンである。さらに「細いフィラメント」にだけ、トロポニンとトロポミオシンというタンパク質がある。トロポニンは、カルシウムと結合する性質をもっている。 トロポニンとトロポミオシンによって、筋肉の収縮が調節されている。 筋小胞体という膜状の組織が、筋原線維のけっこうな割合の表面を取り囲んでいる。筋小胞体にはカルシウムが蓄えられており、必要に応じてカルシウムが筋小胞体から放出され、また必要に応じてカルシウムが筋小胞体に回収され、筋肉の収縮・弛緩を制御している。 筋線維への薬物投与など、人為的な手法によって筋収縮を起こさせることを、生理的な収縮とは区別して「拘縮」 contracture といい、次のような例が知られている。 薬理学のほうで、麻酔薬を使ったときに、患者によっては全身が高熱になって致死的な「悪性高熱症」という現象があるのだが、これは筋小胞体のCa放出機構の異常が原因だとされており(※ 『生理学テキスト』では触れられてない)、主に筋小胞体のリアノジン受容体の異常だろう、と考えられている。 なお、リアノジンという植物アルカロイドがある。そのリアノジンが、この受容体(リアノジン受容体)と強固に結合するので、「リアノジン受容体」(Rynanodin receptor : RyR)という名前がついている。 また、カフェイン拘縮と似たような機構なのだろう、と思われている。 カフェイン-ハロタン筋収縮テストという実験で、悪性高熱症の発症のしやすさを評価できるとされている。 ATP濃度が低下して1μmol/L以下になると、アクチンとミオシンが結合した状態になり、筋肉は硬くなり、これを硬直 rigor と言う。 死体などで見られる死後硬直(「死硬直」とも) rigor mortis も、これである。 神経伝達の物質のひとつに、高校でも習うようにアセチルコリンがある。 高校では、神経同士の伝達におけるアセチルコリンの役割を習った。 神経から骨格筋における伝達も、アセチルコリンによる。 運動神経は、筋肉の「終板」と言われる部位に(間隙はあるが)接合している。 運動神経の終末にも、シナプス小胞があり、そのシナプス小胞からアセチルコリンを放出する。 そして、筋肉側に、アセチルコリンの受容体(アセチルコリン受容体)が存在しているので、こうして伝達が神経から筋肉に伝わる。 筋肉側の「終板」のあたりに、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼが密集して存在している。 アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体と、ムスカリン受容体がある。 「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。 そして、筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など) なお、アセチルコリンを略称で「ACh」と書く。AだけでなくCも大文字である。アセチルコリン受容体なら、略称は「ACh受容体」と書く。 筋肉の「終板」にも存在しているアセチルコリンエステラーゼ(略称: AChE)は、アセチルコリンを分解する酵素である。 筋肉にかぎらず、アセチルコリンはシナプス間隙などに放出されても、このアセチルコリンエステラーゼにより、すぐに分解されてしまう。 むかしの南アメリカ原住民(いわゆるインディアン)の矢に塗って使っていた毒(矢毒)のクラーレおよび、その主成分がツボクラリンは、終板のアセチルコリン受容体に接合することで、アセチルコリンの働きを競合的に妨げる作用により、筋肉が麻痺するので、毒として作用している事が分かっている。(※ シンプル生理学、生理学テキスト) クラーレにより、筋肉の麻痺を起こせば、標的の呼吸筋などの重要な筋肉も麻痺するので、標的を死に至らしめるという毒である。 アセチルコリン受容体には、ニコチン性受容体(略称: nAChR)と、ムスカリン性受容体(略称: mAChR)がある。 「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。 筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など) 一方、平滑筋や心筋や脳には、ムスカリン性受容体がある。薬物のムスカリンに反応するので、ムスカリン性受容体という名が付けられている。(『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷、73ページ) 心筋や脳のほか、副交感神経によるホルモン分泌などにも、ムスカリン性受容体が関わっている。 ムスカリン性受容体にはm1からm5までの5種類のサブタイプがある事が知られている。(大文字で「M1」~「M5」と書く場合もあり(『生理学テキスト』では大文字。『標準生理学』では小文字)、どちらでもいい。) m2とm4は、・・・ ※ 調査中 神経に関する抑制性伝達物質は主に、GABAという物質と、グリシンという物質の、2つである。 20世紀なかごろのアメリカで、乳幼児に てんかんが多く発生する事件が起きた。原因は、粉ミルクの変性により、ビタミンB6が変性したことだとされる。 さて、「てんかん」とは、脳細胞の異常な興奮である。 この様な事実から、つまり、なんらかの栄養素の栄養不足によって、神経が異常に興奮するという現象が起きると考えられる。 これをもっと突き詰めて考えれば、つまり、栄養素から合成される何か(おそらく何らかの物質)の不足によって、神経が異常に興奮するという事であろう。 さらに突き詰めれば、つまり、神経伝達物質には、神経を興奮させる物質のほかに、神経を抑制させる物質もある、という事が想像される。 さて、天下り的に結論を言うと、GABA(γ-アミノ酪酸)という物質が、神経抑制の物質である。上述のアメリカの粉ミルクの事件も、乳幼児の深刻なGABA不足が原因だと医学的には考えられている。 なお、GABAは生体内では、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)で脱炭酸することによって直接合成されている。 GABAの受容体には、少なくともGABAA受容体とGABAB受容体の2種類がある。なお GABAC受容体とは、GABAA受容体のうちの特殊なものをそう呼んでいる。 抗不安薬として用いられているベンゾジアゼピンという薬物が、GABAA受容体を活性化する。GABAA受容体が活性化すると、Clイオンの透過性が高まる。 よって、ベンゾジアゼピンにより、Cl イオンの透過性が高まる。 GABAA受容体は5つのサブユニットから構成される五量体構造である。 一方、GABAB受容体は GABABR1 と GABABR2 からなるヘテロ二量体構造であり、またGタンパク質と共役している。 GABAのほか、グリシンという物質も、神経の抑制伝達物質として働く。グリシンの受容体も、活性化のさいに、Clイオンの透過性が高まっている。 なお、グリシンの阻害薬はストリキニンである。ストリキニンによって、痙攣などが起きる。 なお、その語源となったストリキニ-ネは東インドの原住民が用いていた矢毒である。 グリシンはグルタミン酸と同様に多くの細胞に存在している。 GABAやグリシンは、抑制性シナプスにも関わっている、と一般に考えられている。 なお、脊髄においては抑制性シナプス後電位(IPSP)の50%はグリシン由来である。 ドーパミンおよびアドレナリンおよびノルアドレナリンのことを、カテコールアミンという。 ドーパミンは、脳の情動に関係が深い。 そのため、統合失調症などの関連薬にも、ドーパミンを制御する薬品がある。 パーキンソン病にも、ドーパミンは関係している。 ドーパミン受容体は、D1,D2,D3,・・・などと何種類かに分けられるが、いずれもGPCRである。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。) 分泌されたドーパミンは、ドーパミン輸送体(DAT)によって神経終末に取り込まれ、再利用される。(標準生理学、P149。生理学テキスト、P78。) 麻薬のコカインや、覚せい剤のアンフェタミンは、ドーパミン輸送体(DAT)を妨害する作用があることで、ドーパミンによるニューロン活性化を延長させている。 アドレナリンとノルアドレナリンは、程度の差はあるが共通の受容体に作用するので、受容体は「アドレナリン受容体」と一括して呼ばれる。(標準生理学、P150。生理学テキスト、P77。) アドレナリン受容体は7回膜貫通タンパク質(GPCR)である。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。) アドレナリン受容体には、α1,α2,β1,β2,β3 が存在するが、いずれもGPCRである。(標準生理学がP150で「β3」を紹介。生理学テキストのP77では「β3」が無い。 セロトニン(5-hydroxytryptamine、略称: 5-HT) は、アミノ酸のトリプトファンから合成される。 5-HTの多くはGPCRである。 3型である 5-HT3 のみ、イオンチャネル型であり、リガンドによって開閉する。 ※ 未記述. アデノシン受容体には、A1, A2A, A2B, A3 の4種類が知られている。いずれも、一般的に中枢神経に対しては抑制的に作用する。(※ 生理学テキスト) コーヒーや茶などに含まれるカフェインやテオフェリンは(なお、両物質ともキサンチン誘導体である)、アデノシン受容体を阻害する。 一酸化窒素は気体である。生体内での伝達物質としての一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の働きにより、アルギニンから合成される。 現代では、一酸化窒素がグアニル酸シクラーゼを活性化して、サイクリックGMP(cGMP)が合成される事が解明されている。 モルヒネは植物のケシから合成でき、麻薬の阿片(アヘン)もモルヒネの派生であり、モルヒネ洋物質をオピエートというのだが、動物の体内物質としてモルヒネに似たような構造の物質が見つけられており、その体内のモルヒネ様物質のことをオピオイドという。 特に動物体内で産生される物質である事を強調するとき、「内因性」と冒頭につけて「内因性オピオイド」などと言う。 エンドルフィンなどが、内因性オピオイドという。なお、オピオイドの構造はペプチドである。 ※ 未記述 Ca以外の凝固因子はタンパク質である(『標準生理学』)。 血液凝固における、凝固していく過程は図のように、「内因性」と「外因性」という2種類に分かれる。 内因性も外因性も、共通して、血液中の第X因子がカルシウムの存在のもとに活性化された結果としてXa因子となる。そして、そのXa因子によって、プロトロンビンがトリンビンに変化する。 古典的には、モラビッツの凝固機序というモデルが知られているが(『生理学テキスト』で紹介されている。『標準生理学』では紹介せず)、現代ではより正確なモデルに置き換わっているので、モラビッツに関しては名前を紹介するのにとどめる。 図中の「V」(プロトロンビンの左上にあるヤツ)は、ブイじゃなくて「5」番目の意味。 また、血液の止血の凝固にはビタミンKが必要である。 凝固因子のうち、II(2),VII(7),IX(9),X(10) がビタミンKを凝固に必要とする。 また、ほとんどの血液凝固因子は肝臓で合成される。 ビタミンKが酵素的に振舞うなどの働きにより、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸に変換される。 したがって、ビタミンK欠乏や肝障害があると、出血傾向を見る。 抗凝固薬として使われるワルファリンという薬剤は、ビタミンKの代謝を阻害する。 (備考: ) なお、納豆にビタミンKは多く含まれるという(『シンプル薬理学』)。 語呂合わせだが、ビタミンK要求性の凝固因子の7番と10番で「ナットウ」と覚える語呂合わせもある(『標準生理学』で2番,9番、7番、10番がビタミンK要求性なので『肉納豆』と覚える語呂合わせが紹介されている。)。 詳しくは薬理学の教科書で解説されると思うので、ワルファリンや納豆については、この単元では、あまり深入りしないとする。 血友病患者は、第VIII因子(8番目)または第IX因子(9番目)が欠損している。 第8因子の欠損するタイプが血友病Aである。 第9因子の欠損するタイプが血友病Bである。 血友病Aも血友病Bも、ともに劣性遺伝である。 右図にもあるように、健康なヒトの体温は、外気温に関わらず、脳と心臓といった核心部の体温はつねに一定であり、 ほぼ37°Cに保たれている。 また、ヒトの体温は、同じ瞬間であっても、部位によって温度が異なる。 普通、心臓や脳などの核心部ほど温度が高く、表皮(表皮の近くを「外殻部」という)や手足の先端などといった周辺部に向かうにつれ、温度が下がっていく。 外殻部の温度は、外気温の影響を受けて変動する。 脳や心臓や腹部臓器の温度のことを「核心温」(core temperature)または「核心温度」という。 ただし、風邪などによって核心部の体温が上がることがある。 これは防衛反応によるものであるが、プロスタグランジンE2が最終的な発熱物質である。 よって、プロスタグランジンE2(PGE2)の生成を阻害することにより、体温の上昇を防ぐことができ、実際に熱さましの薬などにプロスタグランジン阻害剤が応用されており、具体的には解熱薬のアスピリンやインドメタシンがCOX回路を阻害することでPGE2阻害をしている薬である。 核心部の体温を一定に調節する機構が、明らかに体内に存在している。 まず、それらの概念を工学的な用語を使って整理してみよう。 まず、 という事が言える。 ではそのフィードバック機構の正体は何か?となると、また別の議論だが、少なくとも現象論を工学的に記述するなら、おおむね上記のような説明文になる。 さて、風邪によってワキのしたの温度が高くなるように、風邪によって核心部の温度がやや上昇すると考えるのが妥当であろう。 臨床においても、舌下温または腋窩温(えきかおん)が体温の測定の際でよく用いられる。 腋窩(えきか)とは、ワキの下のこと。 この事から、核心部の温度は、永久不変ではなく、体調などによて変わると考えるべきである。 セットポイントという温度概念が定義されており、「その時点での、核心部のあるべき温度」の事がセットポイントである。 風邪の場合、人体は防衛反応のためにセットポイントを上昇させる。 人体において、セットポイントと核心部の実際の温度を比較して、そしてフィードバック調節によって書く深部の体温をセットポイントに近づけようとする機構がヒトなどホニュウ動物に備わっている、と見なすのが妥当である。 このように、核心部の温度は、外気温では変わらないが、しかし体調などによって(核心部の温度が)変わる。 プロスタグランジン阻害剤などの熱さましの薬は、セットポイントを変更し、風邪でない状態の平熱のときのセットポイントに戻す薬という事になる。 なお、医学実験的において核心温として測定される部位は、舌下温、食道温、直腸温、鼓膜温、である。 哺乳類の場合、脳の温度を非侵襲的に測定するのは不可能である。この文脈でいう「非侵襲的」とは、「外科手術などを伴わないで」というような意味。 そこで、赤外線サーモグラフィーで頭部の赤外線を測定することで、代わりに生体・活動中のヒトの脳の温度を推定することが、よく行われている。 ただし、汗が多い場合、脳からの赤外線ではなく汗の赤外線を測定しまっている可能性がある。 一方、臨床的には、腋窩温(えきかおん)または舌下温(または口腔温)が核心温として測定されることが多い。 直腸温、鼓膜温、食道温、舌下温(口腔温)、腋窩温 が、この順番で、直腸音がもっとも温度が高く、そして腋窩温が最も温度が低い。 なお、「腋窩温」(えきかおん)は「腋下温」(えきかおん)とも書く。 健康なヒトの体温は、一日のあいだでも変動があり、早朝の寝起きの直前直後に低く、午後に高い。 なお、ヒトではなくラットのように夜間に行動する生物では、夜間のほうが体温が高い。 女性の場合、月経周期と連動して、体温が変わる。 つまり、女性の体温については、月経周期に連動して、女性の体温にも周期がある。 このように、女性の体温には「性周期」がある。 女性の体温は、排卵日に低下して最低になる。 感覚の強さは、刺激の強さの対数に比例すると古典的には言われており、これをウェーバー-フェヒナーの法則(Weber-Fechner の法則)という。 この法則によると、たとえば、30gが31gに増えたときの感覚は、90gが93gに増えたときの感覚と同じだという主張になる。 Weber-Fechner の法則は数学的には、感覚の強さをEとして、刺激の強さをSとしたとき、差分方程式で である。 これを微分方程式に置き換えて積分すれば、 が導かれる。(Cは積分定数) だが近年、対数よりもベキ関数のほうがよく比例するといわれており、Weber-Fechner の法則に対しての異論も出されている。 このベキ関数の法則の式は、 である。 (K および n は定数) なお、このベキ関数の法則の式は微分方程式(差分方程式)で表すと、 となり、左辺と右辺の両方とも、それぞれの基準値からの差分の比率になっている。 痒み(かゆみ)は便宜的に痛覚として分類される。だが、一般の外傷などの痛みを伝える神経線維が明らかになっている一方で、痒みを伝える神経線維は不明である。 実験的な事実により、外部からヒスタミンを皮下注射すると、痒みが起きる。 『標準生理学』では、下記のことから、痒みは痛みとは異なる線維によって運ばれていると考えている。 まず、音を物理測定する場合、その単位は圧力である。 つまり、Pa(パスカル)単位である。 「音圧」という用語があるように、音は圧力である。 「デシベル」や「ベル」という単位があるが、これは基準音からの倍率を常用対数で表したものである。 ベルは Bel と記号で表し、 である。 『標準生理学』P.232 では、音の強さは圧力の2乗に比例するとして、。 としている。 その大元の基準となる、基準音の単位が、パスカル単位である。 なお、0デシベルというのは、音が無いという意味ではなく、基準音と同じ強さという意味である。 また、音は空気の縦波でもある。 つまり、空気の縦波の強さを測定する際の単位は、圧力である事になる。 大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。 応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。 流体のエネルギーは以下の式で表される。 この関係式をベルヌーイの原理(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。 重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。 もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。 ρghは位置エネルギーである。 なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。 ρ V 2 2 {\displaystyle {\frac {\rho V^{2}}{2}}} は運動エネルギーである。 そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、 流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。 厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。 なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。 摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。 流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している)。 なお、hは基準面からの高さである。 分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。 上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure、side pressure)と呼んでいる。 実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。) これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。 ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している。 ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。 だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。 工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる。 呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。 さて、 ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。 こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。 なお、ベルヌーイの式の3つあるエネルギー項(圧力エネルギ-、運動エネルギ-、位置エネルギー)すべてを足したのを「全圧」(total pressure)という。。 つまり、 とすれば、e が「全圧」である。 あるいは、 とすれば、Eが「全圧」である。 「全圧」の呼び名は、医学でも工学でも同じく「全圧」と呼ぶので、覚えておこう。 なお、運動エネルギーの項 ρ V 2 2 {\displaystyle {\frac {\rho V^{2}}{2}}} または V 2 2 g {\displaystyle {\frac {V^{2}}{2g}}} を「動圧」という。 その他、「速度水頭」や「圧水頭」などの用語もあるが、あまり重要では無いので、本wikiでは深入りしない。 流体力学の分野は、ρg の係数をどうするかで式が定数倍変わるので、分野ごとに用語の若干の不統一があり(たとえば工学なのか医学なのか、さらに工学内でも学科が色々あるので不明瞭)、「〇〇水頭」(圧水頭、速度水頭、位置水頭)とか「〇〇圧」(静圧、動圧、)とか言ったときに、 の式の項なのか、それとも の式の項なのか、分野や文献などによって多少の不統一がある。なので、あまり用語の表す項の係数は気にしなくていい。学生に重要なのは、項が表しているのが圧力エネルギーか運動エネルギーか位置エネルギーか、そういった力学的な理解をする事である。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "生理学 (Physiology) とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴(解剖学)や代謝反応などに関する生化学の知識が要求される。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "細胞は、固体状の細胞の中心部分と、液体からなる外側の細胞外液によって成り立っている。19世紀のフランスの生理学者クロード・ベルナール(Claude Bernard)がこの体内の環境のことを「内部環境」 milien unterne (英訳すれば internal environment)という用語で表し、内部環境は外界から隔絶された環境であるとした。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "なお、体の外の環境を外部環境と呼ぶ。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノン Walter B. 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{ "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "生理学でいう「オーバーシュート」overshoot という用語は、この図のように、一時的に電位などの波形が目標値よりも高くなる事である。「オーバーシュート」がこういう意味なのは日本だけでなく世界的に同様であり、『ギャノング生理学』でも似たような意味で「オーバーシュート」という用語が使われている。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "なお、上記の説明で「スパイク」という用語を、先端(右図では波形の頂上の部分)のとんがってない波形に使ったが、ギャノング生理学でも同様の用語の使い方である。ギャノング生理学に、「スパイクの持続時間」なる語句があり、ある神経のある刺激の電位の「スパイク」はたとえば 0.5ミリ秒 ほど持続する場合もあるとしている。(※ 数値は一例なので、暗記しなくていい。)", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "このような活動電位の波形を図示する場合、数ミリ秒の短時間で電位の興奮が終わるので場合によっては1本の縦線で図示される場合があるが(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P178の図)、しかし現実の波形は右図のように、なだらかな曲線である(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P179の図)。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "神経の電位の理論計算の際、抵抗値の単位オーム Ω だけではなく、電気伝導度 という単位を使う場合がある。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "電気伝導度とは、単に抵抗値の逆数であり、単位はシーメンスであり、シーメンスの記号はSで表す。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "たとえば、2Ωの抵抗値は、その抵抗の電気伝導度は 0.5 S である。(0.5×2 = 1なので)", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "(「0.5 シーメンス」と読む。)", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "もし抵抗をRとし、電流をIとし、電気伝導度をgとした際、", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "オームの法則により、電流・抵抗・電圧の関係は RI=E", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "であるので、移項すると", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "I = E (1/R) = gE", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "となり、見かけ上、電圧と電流の関係が", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "I = gE", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "というふうに1行で書けるので、電気伝導度による記述が用いられる場合がある。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "抵抗および抵抗値のことを英語でリアクタンスという。リアクタンスの単位はオーム Ω である。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "電気伝導値のことを英語でコンダクタンス conductance という。つまり、コンダクタンスの単位はシーメンス S である。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "一般に、受容体に結合する物質のことをリガンド ligand という。(※ 生理学テキストに記述あり。)", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "なお、類語で「アゴニスト」 agonist とは、薬品などで、受容体に結合して、作用をもたらす物質分子のことである。薬品が受容体と結合した際に作用を増強したり発現したりする場合をアゴニストという。一方、薬品が受容体と結合したさいに抑制的に働いたり他のアゴニストの結合を妨げるものの場合はアンタゴニスト antagonist という。薬物の場合、アンタゴニストのことを「拮抗薬」(きっこうやく)ともいう。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "※ 「薬物」と言っても、麻薬のような違法的な意味は無い。慣習的に薬理学では、薬の事を一般に「薬物」という。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "伝統的な、大学レベルの薬理学の教育では、アゴニストとアンタゴニストという語句が、これらの概念を説明するのに、よく使われる。 よく、リガンドと受容体の関係は、カギとカギ穴の関係に喩えられる。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "アンタゴニストが存在するという事はつまり、", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "という事である。分子が受容体に結合し、さらになんらかの変化をその受容体に起こすことにより、初めて作用が起きるのである。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "では、作用を起こすための変化とは何か? 一般的には、受容体の立体構造の変化である、とされている。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "アンタゴニストは、結合穴に結合するだけで終わってしまい、立体構造を変化させないので、作用を起こさない、という解釈がある。", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "※ 本wiki独自の喩えだが、アンタゴニストをカギに喩えるなら、カギ穴に入ることはできるが、カギの凹凸が不一致で、カギを回せない、とでもいえようか・・・", "title": "項目" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "たとえば読者は、神経伝達物質としてアセチルコリンを高校生物で読者は習ったと思う。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "これも、上記の「リガンド」という用語を使うなら、", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "神経細胞にはアセチルコリン受容体があるので、その結果として、神経細胞のイオンチャネルのリガンドとして、アセチルコリンが作用するからである。(※ なお高校の東京書籍の検定教科書にも、似たような説明がある。別ページだが「リガンド」の用語も、東京書籍の教科書にある。)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "※ ともかく読者は、こういった専門用語の言葉遣いになれてほしい。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "イオンチャネルやイオンポンプは、必ずしも神経細胞だけに限定はしないが、しかし医学的には神経細胞のイオンチャネルやイオンポンプに作用する物質は危険物や毒物などになりやすいので重要である。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "フグ毒のテトロドトキシンもNaチャネルを阻害するため、神経細胞のNaチャネルも阻害するので、重篤な症状をもたらす。(※ シンプル生理学に説明あり。『標準生理学 第8版』P72に記載あり。)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』P.25で、若干に説明が食い違いあり。『ギャノング生理学』の内容が比較的に標準生理学に近いので、本wikiではギャノングにあわせる。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "とても細い 1本の「毛細管」というかピペットのようなものを使い、電気的な手法で、細胞膜チャネルなどの細胞表面の器官を1個だけひきつけつ方法がある、とされており、その方法がパッチクランプ法である。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "断面図で描かれると、2本の棒かのように誤解されるが、そうではない。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "パッチクラノンプ法を使えば細胞が無傷のままひきつけることが出来る、とされている。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "なお、細胞膜をやぶっても細胞膜チャネルを観測できる。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "つまり、細胞膜を破らずに観測する方式と、別の方式として、細胞膜を破って観測する方式がある。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "どのような方式でも、電極が(たとえば毛細管の中心軸あたりに)付属している。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "そして、とにかく実験結果がどうなるかというと、膜電位の電圧が、オンまたはオフのいずれかという、2値のいずれかの状態だけを取ることが観測結果である。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "正確に言うと、ms(ミリセカンド)のオーダーで、電圧の高低が切り替わる。つまり、1つのチャネルの開閉について、ミリセカンドのオーダーで開閉が切り替わっている、と医学では考えられている。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "グラフ的にどう見えるかを言えば、オシロスコープなどの表示するグラフは、(表示倍率や設定にも寄るが、適正な表示倍率なら)けっして傾斜40度みたいなナナメの傾斜の曲線にはならず、オン状態はほぼ90度で立ち上がる。(厳密には85~89度くらいの斜めかもしれないが、そういう事を言い出すとキリがないので、ほぼ90度だと説明することにする。)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "この事から、1つのチャネルの開閉の状態の切り替えは、瞬時に開または閉に切り変わる事が分かる、・・・と医学会では考えられており、医学書ではパッチクランプ法でそう証明されたと断言されている。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "イオンチャネルが、なぜ構造が筒状で穴が空いているのか分かったかというと(※ なんと『標準生理学』でしか紹介されてない。『ギャノング生理学』と『生理学テキスト』には説明が無し)、主に「電子線」による実験の観測だとされる。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "その他、X線による解析も行われている。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "それらの電子線の観測写真などにより、実際に円形の何かが観測される。いかにも穴っぽい何かが観測できる。(と、『標準生理学』に、その観測写真(「ニコチン性アセチルコリン受容体」)がある。しかし倍率とかがその図に書かれておらず、いまいち不便。なお、ニコチンアセチルコリンにはチャネルポア(つまり貫通穴)がある。)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "なお余談だが、チャネルの生物実験的な性質については、現代ではチャネルの遺伝子が特定されているのでクローニング技術的に大量生産できるので、「cDNAクローニング」による生物学的性質の確認が取られている。(と『標準生理学』P.74が言っている。)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "要するに、主に", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "の3つが、イオンチャネルや類似の生体分子を調べるための典型的な手法である。(と、『標準生理学』P.75がこの3つの手法を特別に紹介している。)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "読者はナトリウムチャネル(Naチャネル)、カリウムチャネル(Kチャネル)を高校で習ったと思う。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "実はカルシウムチャネルも存在する。一般的に「Caチャネル」と表記される。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "カルシウムと聞くと、ついつい骨細胞だけのものかと誤解しがちであるが、一般の細胞にも濃度は低いものの、カルシウムイオンが存在している。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "高等学校の生物でも、いちおう神経伝達にカルシウムが関わっている事は習う。『高等学校生物/生物I/環境と動物の反応#シナプスでの伝達』", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "高校では習ってないかもしれないが、神経のほかにも筋細胞でも、筋収縮を伝えるのにカルシウムが関わっている。これについては筋肉細胞に、トロポニンというCaとの結合をするタンパク質が存在する事が明らかになっている。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "なお、神経細胞も筋肉細胞もともに、興奮性の細胞であることに着目しよう。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "このようにカルシウムは、何かの情報伝達的な物質としての側面もあることに注目しよう。もっとも生理学の大学教科書では、そこまで大げさに分類するまでもなく、生理活性物質などとしてカルシウムは分類されている。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "また、筋肉や神経細胞など興奮性細胞に限らず、一般の多くの細胞にも、カルモジュリンという、Caと結合する蛋白質がある事が分かっている。(『生理学テキスト』、『標準生理学 第8版』P89、など)", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "なお、イオンの価数をいちいち「2」とか書くのが面倒な場合などは「Caチャネル」と略記する場合もよくある。(『生理学テキスト』にもある表記)ナトリウムチャネルなども同様、「Naチャネル」のようにイオンの価数を略記することもある。", "title": "イオンチャネルなど" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "骨格筋の赤みはおおむね、ミオグロビンによるものである。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "ミオグロビンの多い筋肉をその色から「赤筋」という。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "一方、ミオグロビンの多い筋肉を、赤みが比較的にうすい事から「白筋」という。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "筋肉には、フォラメントが2種類あり、「太いフィラメント」(アクチンフィラメント)と「細いフィラメント」(ミオシンフィラメント)がある。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "はその名の通り、太いフィラメントのほうが太い。また、太いフィラメントの構成物質は主にアクチンである。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "細いフィラメントの抗生物質は主にミオシンである。さらに「細いフィラメント」にだけ、トロポニンとトロポミオシンというタンパク質がある。トロポニンは、カルシウムと結合する性質をもっている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "トロポニンとトロポミオシンによって、筋肉の収縮が調節されている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "筋小胞体という膜状の組織が、筋原線維のけっこうな割合の表面を取り囲んでいる。筋小胞体にはカルシウムが蓄えられており、必要に応じてカルシウムが筋小胞体から放出され、また必要に応じてカルシウムが筋小胞体に回収され、筋肉の収縮・弛緩を制御している。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "筋線維への薬物投与など、人為的な手法によって筋収縮を起こさせることを、生理的な収縮とは区別して「拘縮」 contracture といい、次のような例が知られている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "薬理学のほうで、麻酔薬を使ったときに、患者によっては全身が高熱になって致死的な「悪性高熱症」という現象があるのだが、これは筋小胞体のCa放出機構の異常が原因だとされており(※ 『生理学テキスト』では触れられてない)、主に筋小胞体のリアノジン受容体の異常だろう、と考えられている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "なお、リアノジンという植物アルカロイドがある。そのリアノジンが、この受容体(リアノジン受容体)と強固に結合するので、「リアノジン受容体」(Rynanodin receptor : RyR)という名前がついている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "また、カフェイン拘縮と似たような機構なのだろう、と思われている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "カフェイン-ハロタン筋収縮テストという実験で、悪性高熱症の発症のしやすさを評価できるとされている。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "ATP濃度が低下して1μmol/L以下になると、アクチンとミオシンが結合した状態になり、筋肉は硬くなり、これを硬直 rigor と言う。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "死体などで見られる死後硬直(「死硬直」とも) rigor mortis も、これである。", "title": "筋肉" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "神経伝達の物質のひとつに、高校でも習うようにアセチルコリンがある。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "高校では、神経同士の伝達におけるアセチルコリンの役割を習った。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "神経から骨格筋における伝達も、アセチルコリンによる。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "運動神経は、筋肉の「終板」と言われる部位に(間隙はあるが)接合している。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "運動神経の終末にも、シナプス小胞があり、そのシナプス小胞からアセチルコリンを放出する。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "そして、筋肉側に、アセチルコリンの受容体(アセチルコリン受容体)が存在しているので、こうして伝達が神経から筋肉に伝わる。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "筋肉側の「終板」のあたりに、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼが密集して存在している。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体と、ムスカリン受容体がある。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "そして、筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "なお、アセチルコリンを略称で「ACh」と書く。AだけでなくCも大文字である。アセチルコリン受容体なら、略称は「ACh受容体」と書く。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "筋肉の「終板」にも存在しているアセチルコリンエステラーゼ(略称: AChE)は、アセチルコリンを分解する酵素である。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "筋肉にかぎらず、アセチルコリンはシナプス間隙などに放出されても、このアセチルコリンエステラーゼにより、すぐに分解されてしまう。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "むかしの南アメリカ原住民(いわゆるインディアン)の矢に塗って使っていた毒(矢毒)のクラーレおよび、その主成分がツボクラリンは、終板のアセチルコリン受容体に接合することで、アセチルコリンの働きを競合的に妨げる作用により、筋肉が麻痺するので、毒として作用している事が分かっている。(※ シンプル生理学、生理学テキスト)", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "クラーレにより、筋肉の麻痺を起こせば、標的の呼吸筋などの重要な筋肉も麻痺するので、標的を死に至らしめるという毒である。", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "", "title": "アセチルコリン受容体" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "アセチルコリン受容体には、ニコチン性受容体(略称: nAChR)と、ムスカリン性受容体(略称: mAChR)がある。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "一方、平滑筋や心筋や脳には、ムスカリン性受容体がある。薬物のムスカリンに反応するので、ムスカリン性受容体という名が付けられている。(『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷、73ページ)", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "心筋や脳のほか、副交感神経によるホルモン分泌などにも、ムスカリン性受容体が関わっている。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "ムスカリン性受容体にはm1からm5までの5種類のサブタイプがある事が知られている。(大文字で「M1」~「M5」と書く場合もあり(『生理学テキスト』では大文字。『標準生理学』では小文字)、どちらでもいい。)", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "m2とm4は、・・・ ※ 調査中", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "神経に関する抑制性伝達物質は主に、GABAという物質と、グリシンという物質の、2つである。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "20世紀なかごろのアメリカで、乳幼児に てんかんが多く発生する事件が起きた。原因は、粉ミルクの変性により、ビタミンB6が変性したことだとされる。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "さて、「てんかん」とは、脳細胞の異常な興奮である。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "この様な事実から、つまり、なんらかの栄養素の栄養不足によって、神経が異常に興奮するという現象が起きると考えられる。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "これをもっと突き詰めて考えれば、つまり、栄養素から合成される何か(おそらく何らかの物質)の不足によって、神経が異常に興奮するという事であろう。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "さらに突き詰めれば、つまり、神経伝達物質には、神経を興奮させる物質のほかに、神経を抑制させる物質もある、という事が想像される。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "さて、天下り的に結論を言うと、GABA(γ-アミノ酪酸)という物質が、神経抑制の物質である。上述のアメリカの粉ミルクの事件も、乳幼児の深刻なGABA不足が原因だと医学的には考えられている。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "なお、GABAは生体内では、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)で脱炭酸することによって直接合成されている。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "GABAの受容体には、少なくともGABAA受容体とGABAB受容体の2種類がある。なお GABAC受容体とは、GABAA受容体のうちの特殊なものをそう呼んでいる。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "抗不安薬として用いられているベンゾジアゼピンという薬物が、GABAA受容体を活性化する。GABAA受容体が活性化すると、Clイオンの透過性が高まる。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "よって、ベンゾジアゼピンにより、Cl イオンの透過性が高まる。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "GABAA受容体は5つのサブユニットから構成される五量体構造である。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "一方、GABAB受容体は GABABR1 と GABABR2 からなるヘテロ二量体構造であり、またGタンパク質と共役している。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "GABAのほか、グリシンという物質も、神経の抑制伝達物質として働く。グリシンの受容体も、活性化のさいに、Clイオンの透過性が高まっている。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "なお、グリシンの阻害薬はストリキニンである。ストリキニンによって、痙攣などが起きる。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "なお、その語源となったストリキニ-ネは東インドの原住民が用いていた矢毒である。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "グリシンはグルタミン酸と同様に多くの細胞に存在している。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "GABAやグリシンは、抑制性シナプスにも関わっている、と一般に考えられている。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "なお、脊髄においては抑制性シナプス後電位(IPSP)の50%はグリシン由来である。", "title": "シナプス伝達" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "ドーパミンおよびアドレナリンおよびノルアドレナリンのことを、カテコールアミンという。", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "ドーパミンは、脳の情動に関係が深い。", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "そのため、統合失調症などの関連薬にも、ドーパミンを制御する薬品がある。", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "パーキンソン病にも、ドーパミンは関係している。", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "ドーパミン受容体は、D1,D2,D3,・・・などと何種類かに分けられるが、いずれもGPCRである。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "分泌されたドーパミンは、ドーパミン輸送体(DAT)によって神経終末に取り込まれ、再利用される。(標準生理学、P149。生理学テキスト、P78。)", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "麻薬のコカインや、覚せい剤のアンフェタミンは、ドーパミン輸送体(DAT)を妨害する作用があることで、ドーパミンによるニューロン活性化を延長させている。", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "アドレナリンとノルアドレナリンは、程度の差はあるが共通の受容体に作用するので、受容体は「アドレナリン受容体」と一括して呼ばれる。(標準生理学、P150。生理学テキスト、P77。)", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "アドレナリン受容体は7回膜貫通タンパク質(GPCR)である。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "アドレナリン受容体には、α1,α2,β1,β2,β3 が存在するが、いずれもGPCRである。(標準生理学がP150で「β3」を紹介。生理学テキストのP77では「β3」が無い。", "title": "カテコールアミン" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "セロトニン(5-hydroxytryptamine、略称: 5-HT) は、アミノ酸のトリプトファンから合成される。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "5-HTの多くはGPCRである。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "3型である 5-HT3 のみ、イオンチャネル型であり、リガンドによって開閉する。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "※ 未記述.", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "アデノシン受容体には、A1, A2A, A2B, A3 の4種類が知られている。いずれも、一般的に中枢神経に対しては抑制的に作用する。(※ 生理学テキスト)", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "コーヒーや茶などに含まれるカフェインやテオフェリンは(なお、両物質ともキサンチン誘導体である)、アデノシン受容体を阻害する。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "一酸化窒素は気体である。生体内での伝達物質としての一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の働きにより、アルギニンから合成される。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "現代では、一酸化窒素がグアニル酸シクラーゼを活性化して、サイクリックGMP(cGMP)が合成される事が解明されている。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "モルヒネは植物のケシから合成でき、麻薬の阿片(アヘン)もモルヒネの派生であり、モルヒネ洋物質をオピエートというのだが、動物の体内物質としてモルヒネに似たような構造の物質が見つけられており、その体内のモルヒネ様物質のことをオピオイドという。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "特に動物体内で産生される物質である事を強調するとき、「内因性」と冒頭につけて「内因性オピオイド」などと言う。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "エンドルフィンなどが、内因性オピオイドという。なお、オピオイドの構造はペプチドである。", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "※ 未記述", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "", "title": "その他の色々な伝達物質" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "Ca以外の凝固因子はタンパク質である(『標準生理学』)。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "血液凝固における、凝固していく過程は図のように、「内因性」と「外因性」という2種類に分かれる。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 166, "tag": "p", "text": "内因性も外因性も、共通して、血液中の第X因子がカルシウムの存在のもとに活性化された結果としてXa因子となる。そして、そのXa因子によって、プロトロンビンがトリンビンに変化する。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 167, "tag": "p", "text": "古典的には、モラビッツの凝固機序というモデルが知られているが(『生理学テキスト』で紹介されている。『標準生理学』では紹介せず)、現代ではより正確なモデルに置き換わっているので、モラビッツに関しては名前を紹介するのにとどめる。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 168, "tag": "p", "text": "図中の「V」(プロトロンビンの左上にあるヤツ)は、ブイじゃなくて「5」番目の意味。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 169, "tag": "p", "text": "", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 170, "tag": "p", "text": "また、血液の止血の凝固にはビタミンKが必要である。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 171, "tag": "p", "text": "凝固因子のうち、II(2),VII(7),IX(9),X(10) がビタミンKを凝固に必要とする。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 172, "tag": "p", "text": "また、ほとんどの血液凝固因子は肝臓で合成される。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 173, "tag": "p", "text": "ビタミンKが酵素的に振舞うなどの働きにより、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸に変換される。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 174, "tag": "p", "text": "したがって、ビタミンK欠乏や肝障害があると、出血傾向を見る。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 175, "tag": "p", "text": "抗凝固薬として使われるワルファリンという薬剤は、ビタミンKの代謝を阻害する。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 176, "tag": "p", "text": "(備考: ) なお、納豆にビタミンKは多く含まれるという(『シンプル薬理学』)。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 177, "tag": "p", "text": "語呂合わせだが、ビタミンK要求性の凝固因子の7番と10番で「ナットウ」と覚える語呂合わせもある(『標準生理学』で2番,9番、7番、10番がビタミンK要求性なので『肉納豆』と覚える語呂合わせが紹介されている。)。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 178, "tag": "p", "text": "詳しくは薬理学の教科書で解説されると思うので、ワルファリンや納豆については、この単元では、あまり深入りしないとする。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 179, "tag": "p", "text": "", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 180, "tag": "p", "text": "血友病患者は、第VIII因子(8番目)または第IX因子(9番目)が欠損している。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 181, "tag": "p", "text": "第8因子の欠損するタイプが血友病Aである。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 182, "tag": "p", "text": "第9因子の欠損するタイプが血友病Bである。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 183, "tag": "p", "text": "血友病Aも血友病Bも、ともに劣性遺伝である。", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 184, "tag": "p", "text": "", "title": "血液" }, { "paragraph_id": 185, "tag": "p", "text": "右図にもあるように、健康なヒトの体温は、外気温に関わらず、脳と心臓といった核心部の体温はつねに一定であり、 ほぼ37°Cに保たれている。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 186, "tag": "p", "text": "また、ヒトの体温は、同じ瞬間であっても、部位によって温度が異なる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 187, "tag": "p", "text": "普通、心臓や脳などの核心部ほど温度が高く、表皮(表皮の近くを「外殻部」という)や手足の先端などといった周辺部に向かうにつれ、温度が下がっていく。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 188, "tag": "p", "text": "外殻部の温度は、外気温の影響を受けて変動する。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 189, "tag": "p", "text": "脳や心臓や腹部臓器の温度のことを「核心温」(core temperature)または「核心温度」という。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 190, "tag": "p", "text": "ただし、風邪などによって核心部の体温が上がることがある。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 191, "tag": "p", "text": "これは防衛反応によるものであるが、プロスタグランジンE2が最終的な発熱物質である。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 192, "tag": "p", "text": "よって、プロスタグランジンE2(PGE2)の生成を阻害することにより、体温の上昇を防ぐことができ、実際に熱さましの薬などにプロスタグランジン阻害剤が応用されており、具体的には解熱薬のアスピリンやインドメタシンがCOX回路を阻害することでPGE2阻害をしている薬である。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 193, "tag": "p", "text": "", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 194, "tag": "p", "text": "核心部の体温を一定に調節する機構が、明らかに体内に存在している。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 195, "tag": "p", "text": "まず、それらの概念を工学的な用語を使って整理してみよう。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 196, "tag": "p", "text": "まず、", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 197, "tag": "p", "text": "という事が言える。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 198, "tag": "p", "text": "ではそのフィードバック機構の正体は何か?となると、また別の議論だが、少なくとも現象論を工学的に記述するなら、おおむね上記のような説明文になる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 199, "tag": "p", "text": "", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 200, "tag": "p", "text": "さて、風邪によってワキのしたの温度が高くなるように、風邪によって核心部の温度がやや上昇すると考えるのが妥当であろう。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 201, "tag": "p", "text": "臨床においても、舌下温または腋窩温(えきかおん)が体温の測定の際でよく用いられる。 腋窩(えきか)とは、ワキの下のこと。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 202, "tag": "p", "text": "この事から、核心部の温度は、永久不変ではなく、体調などによて変わると考えるべきである。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 203, "tag": "p", "text": "セットポイントという温度概念が定義されており、「その時点での、核心部のあるべき温度」の事がセットポイントである。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 204, "tag": "p", "text": "風邪の場合、人体は防衛反応のためにセットポイントを上昇させる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 205, "tag": "p", "text": "人体において、セットポイントと核心部の実際の温度を比較して、そしてフィードバック調節によって書く深部の体温をセットポイントに近づけようとする機構がヒトなどホニュウ動物に備わっている、と見なすのが妥当である。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 206, "tag": "p", "text": "このように、核心部の温度は、外気温では変わらないが、しかし体調などによって(核心部の温度が)変わる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 207, "tag": "p", "text": "プロスタグランジン阻害剤などの熱さましの薬は、セットポイントを変更し、風邪でない状態の平熱のときのセットポイントに戻す薬という事になる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 208, "tag": "p", "text": "", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 209, "tag": "p", "text": "なお、医学実験的において核心温として測定される部位は、舌下温、食道温、直腸温、鼓膜温、である。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 210, "tag": "p", "text": "哺乳類の場合、脳の温度を非侵襲的に測定するのは不可能である。この文脈でいう「非侵襲的」とは、「外科手術などを伴わないで」というような意味。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 211, "tag": "p", "text": "そこで、赤外線サーモグラフィーで頭部の赤外線を測定することで、代わりに生体・活動中のヒトの脳の温度を推定することが、よく行われている。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 212, "tag": "p", "text": "ただし、汗が多い場合、脳からの赤外線ではなく汗の赤外線を測定しまっている可能性がある。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 213, "tag": "p", "text": "一方、臨床的には、腋窩温(えきかおん)または舌下温(または口腔温)が核心温として測定されることが多い。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 214, "tag": "p", "text": "直腸温、鼓膜温、食道温、舌下温(口腔温)、腋窩温 が、この順番で、直腸音がもっとも温度が高く、そして腋窩温が最も温度が低い。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 215, "tag": "p", "text": "なお、「腋窩温」(えきかおん)は「腋下温」(えきかおん)とも書く。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 216, "tag": "p", "text": "健康なヒトの体温は、一日のあいだでも変動があり、早朝の寝起きの直前直後に低く、午後に高い。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 217, "tag": "p", "text": "なお、ヒトではなくラットのように夜間に行動する生物では、夜間のほうが体温が高い。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 218, "tag": "p", "text": "", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 219, "tag": "p", "text": "女性の場合、月経周期と連動して、体温が変わる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 220, "tag": "p", "text": "つまり、女性の体温については、月経周期に連動して、女性の体温にも周期がある。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 221, "tag": "p", "text": "このように、女性の体温には「性周期」がある。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 222, "tag": "p", "text": "女性の体温は、排卵日に低下して最低になる。", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 223, "tag": "p", "text": "", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 224, "tag": "p", "text": "", "title": "体温" }, { "paragraph_id": 225, "tag": "p", "text": "感覚の強さは、刺激の強さの対数に比例すると古典的には言われており、これをウェーバー-フェヒナーの法則(Weber-Fechner の法則)という。 この法則によると、たとえば、30gが31gに増えたときの感覚は、90gが93gに増えたときの感覚と同じだという主張になる。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 226, "tag": "p", "text": "Weber-Fechner の法則は数学的には、感覚の強さをEとして、刺激の強さをSとしたとき、差分方程式で", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 227, "tag": "p", "text": "である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 228, "tag": "p", "text": "これを微分方程式に置き換えて積分すれば、", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 229, "tag": "p", "text": "が導かれる。(Cは積分定数)", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 230, "tag": "p", "text": "", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 231, "tag": "p", "text": "だが近年、対数よりもベキ関数のほうがよく比例するといわれており、Weber-Fechner の法則に対しての異論も出されている。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 232, "tag": "p", "text": "このベキ関数の法則の式は、", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 233, "tag": "p", "text": "である。 (K および n は定数)", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 234, "tag": "p", "text": "なお、このベキ関数の法則の式は微分方程式(差分方程式)で表すと、", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 235, "tag": "p", "text": "となり、左辺と右辺の両方とも、それぞれの基準値からの差分の比率になっている。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 236, "tag": "p", "text": "", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 237, "tag": "p", "text": "痒み(かゆみ)は便宜的に痛覚として分類される。だが、一般の外傷などの痛みを伝える神経線維が明らかになっている一方で、痒みを伝える神経線維は不明である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 238, "tag": "p", "text": "実験的な事実により、外部からヒスタミンを皮下注射すると、痒みが起きる。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 239, "tag": "p", "text": "『標準生理学』では、下記のことから、痒みは痛みとは異なる線維によって運ばれていると考えている。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 240, "tag": "p", "text": "まず、音を物理測定する場合、その単位は圧力である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 241, "tag": "p", "text": "つまり、Pa(パスカル)単位である。 「音圧」という用語があるように、音は圧力である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 242, "tag": "p", "text": "「デシベル」や「ベル」という単位があるが、これは基準音からの倍率を常用対数で表したものである。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 243, "tag": "p", "text": "ベルは Bel と記号で表し、", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 244, "tag": "p", "text": "である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 245, "tag": "p", "text": "『標準生理学』P.232 では、音の強さは圧力の2乗に比例するとして、。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 246, "tag": "p", "text": "としている。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 247, "tag": "p", "text": "その大元の基準となる、基準音の単位が、パスカル単位である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 248, "tag": "p", "text": "なお、0デシベルというのは、音が無いという意味ではなく、基準音と同じ強さという意味である。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 249, "tag": "p", "text": "また、音は空気の縦波でもある。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 250, "tag": "p", "text": "つまり、空気の縦波の強さを測定する際の単位は、圧力である事になる。", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 251, "tag": "p", "text": "", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 252, "tag": "p", "text": "", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 253, "tag": "p", "text": "", "title": "感覚の理論" }, { "paragraph_id": 254, "tag": "p", "text": "大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。 応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 255, "tag": "p", "text": "", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 256, "tag": "p", "text": "流体のエネルギーは以下の式で表される。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 257, "tag": "p", "text": "この関係式をベルヌーイの原理(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 258, "tag": "p", "text": "重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 259, "tag": "p", "text": "もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 260, "tag": "p", "text": "ρghは位置エネルギーである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 261, "tag": "p", "text": "なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 262, "tag": "p", "text": "ρ V 2 2 {\\displaystyle {\\frac {\\rho V^{2}}{2}}} は運動エネルギーである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 263, "tag": "p", "text": "そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、 流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 264, "tag": "p", "text": "厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 265, "tag": "p", "text": "なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 266, "tag": "p", "text": "摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。 流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している)。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 267, "tag": "p", "text": "なお、hは基準面からの高さである。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 268, "tag": "p", "text": "分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 269, "tag": "p", "text": "上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure、side pressure)と呼んでいる。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 270, "tag": "p", "text": "実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。) これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 271, "tag": "p", "text": "ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 272, "tag": "p", "text": "ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。 だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 273, "tag": "p", "text": "工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 274, "tag": "p", "text": "呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 275, "tag": "p", "text": "さて、 ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 276, "tag": "p", "text": "こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 277, "tag": "p", "text": "", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 278, "tag": "p", "text": "なお、ベルヌーイの式の3つあるエネルギー項(圧力エネルギ-、運動エネルギ-、位置エネルギー)すべてを足したのを「全圧」(total pressure)という。。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 279, "tag": "p", "text": "つまり、", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 280, "tag": "p", "text": "とすれば、e が「全圧」である。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 281, "tag": "p", "text": "あるいは、", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 282, "tag": "p", "text": "とすれば、Eが「全圧」である。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 283, "tag": "p", "text": "「全圧」の呼び名は、医学でも工学でも同じく「全圧」と呼ぶので、覚えておこう。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 284, "tag": "p", "text": "なお、運動エネルギーの項 ρ V 2 2 {\\displaystyle {\\frac {\\rho V^{2}}{2}}} または V 2 2 g {\\displaystyle {\\frac {V^{2}}{2g}}} を「動圧」という。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 285, "tag": "p", "text": "その他、「速度水頭」や「圧水頭」などの用語もあるが、あまり重要では無いので、本wikiでは深入りしない。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 286, "tag": "p", "text": "流体力学の分野は、ρg の係数をどうするかで式が定数倍変わるので、分野ごとに用語の若干の不統一があり(たとえば工学なのか医学なのか、さらに工学内でも学科が色々あるので不明瞭)、「〇〇水頭」(圧水頭、速度水頭、位置水頭)とか「〇〇圧」(静圧、動圧、)とか言ったときに、", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 287, "tag": "p", "text": "の式の項なのか、それとも", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 288, "tag": "p", "text": "の式の項なのか、分野や文献などによって多少の不統一がある。なので、あまり用語の表す項の係数は気にしなくていい。学生に重要なのは、項が表しているのが圧力エネルギーか運動エネルギーか位置エネルギーか、そういった力学的な理解をする事である。", "title": "流体力学" }, { "paragraph_id": 289, "tag": "p", "text": "", "title": "流体力学" } ]
生理学 (Physiology) とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴(解剖学)や代謝反応などに関する生化学の知識が要求される。
{{Pathnav|メインページ|医学|frame=1}} {{Wikipedia}} '''生理学 (Physiology)''' とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴([[解剖学]])や代謝反応などに関する[[生化学]]の知識が要求される。 {{medical stub}} == 項目 == === ホメオスタシス === 細胞は、固体状の細胞の中心部分と、液体からなる外側の細胞外液によって成り立っている。19世紀のフランスの生理学者クロード・ベルナール(Claude Bernard)がこの体内の環境のことを「内部環境」 milien unterne (英訳すれば internal environment<ref>『ギャノング生理学』P69</ref>)という用語で表し、内部環境は外界から隔絶された環境であるとした。 なお、体の外の環境を外部環境と呼ぶ。 アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノン Walter B. Cannon はさらにベルナールの考えを発展させ、神経と内分泌の多くの実験などをもとに、キャノンは生体内の環境は常に一定になるように生物的に制御されていると主張し「ホメオスタシス」 homeostasis (恒常性) という造語で定義した(1932)。「類似の」 homeo + 「停止状態」stasis という意味の造語である<ref>『標準生理学』</ref>。 :なお、ホメオスタシスという用語を作ったのはCannon であるが、しかしその概念に先に到達したのはクロード・ベルナールであり、ベルナールは「内部環境の恒常性」という言い回しで表現した<ref>『ギャノング生理学』P69</ref>。 ともかく、たとえば、血液の水素イオン濃度は、現代では約pH7.4前後に維持される事が知られている<ref>『標準生理学』</ref>。 さて「恒常」といっても、けっして全くの不変ではなく、基準から僅かばかりに変動しているが、すぐに元に戻るように調整されている。工学的な用語で表すなら、制御工学で言う「ネガティブ・フィードバック」である<ref>『生理学テキスト』 </ref><ref>『標準生理学』</ref>。 :なお、日本だけでなく欧米でも国際的に、「ホメオスタシス」の概念を説明する際に工学用語のフィードバックを用いても伝わり、たとえば『ギャノング生理学』でもホメオスタシスの説明としてフィードバックという用語が使われている<ref>『ギャノング生理学』P69</ref>。 ともかく、ホメオスタシスという現象のあることはつまり、体内に基準となるべき正常な状態があり、その基準状態からのズレを補正して元の基準に戻そうとするような仕組みが存在している事である。 なお、「フィードバック」とは制御工学の用語である。フィードバックには、基準からのズレを拡大していくポジティブ・フォードバック(正のフィードバック)と、基準に戻そうとするネガティブ・フィードバック(負のフィードバック)とがある。「ネガティブ」には、負(ふ)という意味がある。数学の正負の負も、英語で negative ネガティブ という。 === ※ ゴルジ体とかリボソームとか === :※ 高校の参考書の細かいのとだいたい同じなので、調査を後回し。 === 能動輸送 === ナトリウムポンプのほかに、カルシウムポンプやプロトン(H)ポンプがある。 :※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』で説明がバラバラ。だいぶ、説明内容が違う。 === 膜電位の用語説明など === [[File:膜電位の用語説明.svg|thumb|500px|]] 生理学でいう「オーバーシュート」overshoot<ref>『ギャノング生理学 原書23版』、P99</ref> という用語は、この図のように、一時的に電位などの波形が目標値よりも高くなる事である。「オーバーシュート」がこういう意味なのは日本だけでなく世界的に同様であり、『ギャノング生理学』でも似たような意味で「オーバーシュート」という用語が使われている<ref>『ギャノング生理学 原書23版』、P99</ref>。 :※ 電子工学などの「オーバーシュート」もほぼ同様の意味であり、制御して調節すべき波形などが、制御目標よりも高くなり過ぎためにアップ直後に下降して戻ることで形状がスパイク的な波形になることをオーバーシュートという。なお、対義語の「ダウンシュート」は、目標値よりも低くなりすぎたので、V字カーブ的にダウン直後にやや上昇することで谷間の波形が出来ること。 :※ 2020年、感染症などの急拡大を「オーバーシュート」という用例があったが、生理学的には誤用である。そもそも感染症の急拡大には既に「パンデミック」という用語がある。 なお、上記の説明で「スパイク」という用語を、先端(右図では波形の頂上の部分)のとんがってない波形に使ったが、ギャノング生理学でも同様の用語の使い方である<ref>『ギャノング生理学 原書23版』、P105の表4-1「哺乳類の神経における神経線維のタイプ」</ref>。ギャノング生理学に、「スパイクの持続時間」なる語句があり、ある神経のある刺激の電位の「スパイク」はたとえば 0.5ミリ秒 ほど持続する場合もあるとしている。(※ 数値は一例なので、暗記しなくていい。) このような活動電位の波形を図示する場合、数ミリ秒の短時間で電位の興奮が終わるので場合によっては1本の縦線で図示される場合があるが(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P178の図)、しかし現実の波形は右図のように、なだらかな曲線である(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P179の図)。 {{-}} === 電気伝導度 === 神経の電位の理論計算の際、抵抗値の単位オーム Ω だけではなく、電気伝導度 という単位を使う場合がある。 電気伝導度とは、単に抵抗値の逆数であり、単位はシーメンスであり、シーメンスの記号はSで表す。 たとえば、2Ωの抵抗値は、その抵抗の電気伝導度は 0.5 S である。(0.5×2 = 1なので) (「0.5 シーメンス」と読む。) もし抵抗をRとし、電流をIとし、電気伝導度をgとした際、 オームの法則により、電流・抵抗・電圧の関係は RI=E であるので、移項すると I = E (1/R) = gE となり、見かけ上、電圧と電流の関係が I = gE というふうに1行で書けるので、電気伝導度による記述が用いられる場合がある。 抵抗および抵抗値のことを英語でリアクタンスという。リアクタンスの単位はオーム Ω である。 電気伝導値のことを英語でコンダクタンス conductance という。つまり、コンダクタンスの単位はシーメンス S である。 === リガンドとアゴニスト === 一般に、受容体に結合する物質のことを'''リガンド''' ligand という。(※ 生理学テキストに記述あり。) なお、類語で「アゴニスト」 agonist とは、薬品などで、受容体に結合して、作用をもたらす物質分子のことである。薬品が受容体と結合した際に作用を増強したり発現したりする場合をアゴニストという。一方、薬品が受容体と結合したさいに抑制的に働いたり他のアゴニストの結合を妨げるものの場合はアンタゴニスト antagonist という。薬物の場合、アンタゴニストのことを「拮抗薬」(きっこうやく)ともいう<ref>『はじめの一歩の薬理学』、第2版、20ページ</ref>。 ※ 「薬物」と言っても、麻薬のような違法的な意味は無い。慣習的に薬理学では、薬の事を一般に「薬物」という。 伝統的な、大学レベルの薬理学の教育では、アゴニストとアンタゴニストという語句が、これらの概念を説明するのに、よく使われる。 よく、リガンドと受容体の関係は、カギとカギ穴の関係に喩えられる。 アンタゴニストが存在するという事はつまり、 :分子は受容体に結合するだけでは、作用を及ぼさない. という事である。分子が受容体に結合し、さらになんらかの変化をその受容体に起こすことにより、初めて作用が起きるのである<ref>『はじめの一歩の薬理学』、第2版、20ページ</ref>。 では、作用を起こすための変化とは何か? 一般的には、受容体の立体構造の変化である、とされている。 アンタゴニストは、結合穴に結合するだけで終わってしまい、立体構造を変化させないので、作用を起こさない、という解釈がある。 ※ 本wiki独自の喩えだが、アンタゴニストをカギに喩えるなら、カギ穴に入ることはできるが、カギの凹凸が不一致で、カギを回せない、とでもいえようか・・・ :※ これらの話題の薬理学での詳細については、『[[薬理学/アゴニストとアンタゴニスト]]』を参照せよ。 == イオンチャネルなど == :※ 文献ごとに重点的に説明する箇所が違っており、あまり説明が統一されてない。 たとえば読者は、神経伝達物質としてアセチルコリンを高校生物で読者は習ったと思う。 これも、上記の「リガンド」という用語を使うなら、 神経細胞にはアセチルコリン受容体があるので、その結果として、神経細胞のイオンチャネルのリガンドとして、アセチルコリンが作用するからである。(※ なお高校の東京書籍の検定教科書にも、似たような説明がある。別ページだが「リガンド」の用語も、東京書籍の教科書にある。) ※ ともかく読者は、こういった専門用語の言葉遣いになれてほしい。 イオンチャネルやイオンポンプは、必ずしも神経細胞だけに限定はしないが、しかし医学的には神経細胞のイオンチャネルやイオンポンプに作用する物質は危険物や毒物などになりやすいので重要である。 フグ毒のテトロドトキシンもNa<sup>+</sup>チャネルを阻害するため、神経細胞のNa<sup>+</sup>チャネルも阻害するので、重篤な症状をもたらす。(※ シンプル生理学に説明あり。『標準生理学 第8版』P72に記載あり。) :※ 生理学の専門書でも、割と冒頭のほうで、神経細胞のイオンチャネルを説明している。 ;パッチクランプ法 ※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』P.25で、若干に説明が食い違いあり。『ギャノング生理学』の内容が比較的に標準生理学に近いので、本wikiではギャノングにあわせる。 とても細い 1本の「毛細管」というかピペット<ref>岡田泰伸 ほか訳『ギャノング生理学 原書23版』、P53</ref>のようなものを使い、電気的な手法で、細胞膜チャネルなどの細胞表面の器官を1個だけひきつけつ方法がある、とされており、その方法がパッチクランプ法である。 断面図で描かれると、2本の棒かのように誤解されるが、そうではない。 パッチクラノンプ法を使えば細胞が無傷のままひきつけることが出来る、とされている。 なお、細胞膜をやぶっても細胞膜チャネルを観測できる<ref>岡田泰伸 ほか訳『ギャノング生理学 原書23版』、P53</ref>。 :※ 『生理学テキスト』P.25を読むと、なんか細胞膜を破っているっぽく記述されているのは、おそらくこちらの方式を紹介しているのだろう。 つまり、細胞膜を破らずに観測する方式と、別の方式として、細胞膜を破って観測する方式がある。 どのような方式でも、電極が(たとえば毛細管の中心軸あたりに)付属している。 そして、とにかく実験結果がどうなるかというと、膜電位の電圧が、オンまたはオフのいずれかという、2値のいずれかの状態だけを取ることが観測結果である。 正確に言うと、ms(ミリセカンド)のオーダーで、電圧の高低が切り替わる。つまり、1つのチャネルの開閉について、ミリセカンドのオーダーで開閉が切り替わっている<ref>『標準生理学』、P73</ref>、と医学では考えられている。 グラフ的にどう見えるかを言えば、オシロスコープなどの表示するグラフは、(表示倍率や設定にも寄るが、適正な表示倍率なら)けっして傾斜40度みたいなナナメの傾斜の曲線にはならず、オン状態はほぼ90度で立ち上がる。(厳密には85~89度くらいの斜めかもしれないが、そういう事を言い出すとキリがないので、ほぼ90度だと説明することにする。) :※ なので、医学書にある観測電圧の波形グラフでも、ほぼ90度で立ち上がっている。 この事から、1つのチャネルの開閉の状態の切り替えは、瞬時に開または閉に切り変わる事が分かる、・・・と医学会では考えられており、医学書ではパッチクランプ法でそう証明されたと断言されている。 :※ チャネルの開閉の理論について、根拠となる実験結果がほぼこのパッチクランプ法の1つしかない。よって本wikiでは、念のため、慎重的に「考えられている」と言い回しをする事になる。なお、パッチクランプ法によって始めて、チャネルの開閉の電圧が観測できるようになった。『標準生理学』P.73を読むと、他にも方法があると書かれているが、しかし具体的にどんな方法があるのか何も具体的には紹介されていないので、本wikiでは当面はそれを信用しない。 ;観測技術 イオンチャネルが、なぜ構造が筒状で穴が空いているのか分かったかというと(※ なんと『標準生理学』でしか紹介されてない。『ギャノング生理学』と『生理学テキスト』には説明が無し)、主に「電子線」による実験の観測だとされる。 :※ 『標準生理学』P.74では「電子線」と書いてある。たぶん電子顕微鏡による観測のことか?  その他、X線による解析も行われている。 それらの電子線の観測写真などにより、実際に円形の何かが観測される。いかにも穴っぽい何かが観測できる。(と、『標準生理学』に、その観測写真(「ニコチン性アセチルコリン受容体」)がある。しかし倍率とかがその図に書かれておらず、いまいち不便。なお、ニコチンアセチルコリンにはチャネルポア(つまり貫通穴)がある。) なお余談だが、チャネルの生物実験的な性質については、現代ではチャネルの遺伝子が特定されているのでクローニング技術的に大量生産できるので、「cDNAクローニング」による生物学的性質の確認が取られている。(と『標準生理学』P.74が言っている。) 要するに、主に :パッチクランプ法、 :電子線またはX線などによる構造解析、 :cDNAクローニング法、 の3つが、イオンチャネルや類似の生体分子を調べるための典型的な手法である。(と、『標準生理学』P.75がこの3つの手法を特別に紹介している。) ;Na,K 以外のイオンチャネル 読者はナトリウムチャネル(Na<sup>+</sup>チャネル)、カリウムチャネル(K<sup>+</sup>チャネル)を高校で習ったと思う。 実はカルシウムチャネルも存在する。一般的に「Ca<sup>2+</sup>チャネル」と表記される。 カルシウムと聞くと、ついつい骨細胞だけのものかと誤解しがちであるが、一般の細胞にも濃度は低いものの、カルシウムイオンが存在している。 高等学校の生物でも、いちおう神経伝達にカルシウムが関わっている事は習う。『[[高等学校生物/生物I/環境と動物の反応#シナプスでの伝達]]』 高校では習ってないかもしれないが、神経のほかにも筋細胞でも、筋収縮を伝えるのにカルシウムが関わっている。これについては筋肉細胞に、トロポニンというCaとの結合をするタンパク質が存在する事が明らかになっている。 なお、神経細胞も筋肉細胞もともに、興奮性の細胞であることに着目しよう。 このようにカルシウムは、何かの情報伝達的な物質としての側面もあることに注目しよう。もっとも生理学の大学教科書では、そこまで大げさに分類するまでもなく、生理活性物質などとしてカルシウムは分類されている。 また、筋肉や神経細胞など興奮性細胞に限らず、一般の多くの細胞にも、カルモジュリンという、Caと結合する蛋白質がある事が分かっている。(『生理学テキスト』、『標準生理学 第8版』P89、など) ;余談 なお、イオンの価数をいちいち「2」とか書くのが面倒な場合などは「Caチャネル」と略記する場合もよくある。(『生理学テキスト』にもある表記)ナトリウムチャネルなども同様、「Naチャネル」のようにイオンの価数を略記することもある。 == 筋肉 == === 赤筋と白筋 === 骨格筋の赤みはおおむね、ミオグロビンによるものである。 ミオグロビンの多い筋肉をその色から「赤筋」という。 一方、ミオグロビンの少ない筋肉を、赤みが比較的にうすい事から「白筋」という。 === フィラメントの種類 === 筋肉には、フォラメントが2種類あり、「太いフィラメント」(アクチンフィラメント)と「細いフィラメント」(ミオシンフィラメント)がある。 はその名の通り、太いフィラメントのほうが太い。また、太いフィラメントの構成物質は主にアクチンである。 細いフィラメントの抗生物質は主にミオシンである。さらに「細いフィラメント」にだけ、トロポニンとトロポミオシンというタンパク質がある。トロポニンは、カルシウムと結合する性質をもっている。 トロポニンとトロポミオシンによって、筋肉の収縮が調節されている。 筋小胞体という膜状の組織が、筋原線維のけっこうな割合の表面を取り囲んでいる。筋小胞体にはカルシウムが蓄えられており、必要に応じてカルシウムが筋小胞体から放出され、また必要に応じてカルシウムが筋小胞体に回収され、筋肉の収縮・弛緩を制御している。 === 収縮の種類 === ;拘縮 筋線維への薬物投与など、人為的な手法によって筋収縮を起こさせることを、生理的な収縮とは区別して「拘縮」 contracture といい、次のような例が知られている。 ::K拘縮、 カリウムによる膜電位の持続的な脱分極による。 ::カフェイン拘縮、 カフェイン投与による、筋小胞体からのカルシウム放出による。 薬理学のほうで、麻酔薬を使ったときに、患者によっては全身が高熱になって致死的な「悪性高熱症」という現象があるのだが、これは筋小胞体のCa<sup>2+</sup>放出機構の異常が原因だとされており<ref>『ギャノング生理学』</ref><ref>『標準生理学』</ref>(※ 『生理学テキスト』では触れられてない)、主に筋小胞体のリアノジン受容体の異常だろう<ref>『標準薬理学』、P243 (※ 「生理学」ではなく「薬理学」のほう)</ref><ref>『ギャノング生理学』</ref>、と考えられている。 :※ 『標準生理学』にもリアノジン受容体のことは書いてあるのだが、説明が細かすぎて他の用語も多すぎて、どれが入門的な知識か初学者には分かりづらいので、上記の文章の参考文献からは除外した。 なお、リアノジンという植物アルカロイドがある<ref>『生理学テキスト』、P54</ref><ref>『標準生理学』、P112の節「(2)Ca<sup>2+</sup>放出チャネル(リアノジン受容体)」</ref>。そのリアノジンが、この受容体(リアノジン受容体)と強固に結合するので、「リアノジン受容体」(Rynanodin receptor : RyR)という名前がついている<ref>今井正・宮本英七 監修『標準薬理学 第7版』、医学書院、2015年3月25日 第7版 第1刷、P144</ref>。 また、カフェイン拘縮と似たような機構なのだろう、と思われている<ref>小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学 第8版』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷 発行、P.112</ref>。 カフェイン-ハロタン筋収縮テストという実験で、悪性高熱症の発症のしやすさを評価できるとされている<ref>柳沢輝行 ほか監訳『カッツング薬理学 原書 第10版』、丸善書店株式会社、平成25年3月25日 発行、P439、</ref>。 ;硬直 ATP濃度が低下して1μmol/L以下になると、アクチンとミオシンが結合した状態になり、筋肉は硬くなり、これを硬直 rigor と言う。 死体などで見られる死後硬直(「死硬直」とも) rigor mortis も、これである。 == アセチルコリン受容体 == 神経伝達の物質のひとつに、高校でも習うようにアセチルコリンがある。 高校では、神経同士の伝達におけるアセチルコリンの役割を習った。 神経から骨格筋における伝達も、アセチルコリンによる。 運動神経は、筋肉の「終板」と言われる部位に(間隙はあるが)接合している。 運動神経の終末にも、シナプス小胞があり、そのシナプス小胞からアセチルコリンを放出する。 そして、筋肉側に、アセチルコリンの受容体(アセチルコリン受容体)が存在しているので、こうして伝達が神経から筋肉に伝わる。 筋肉側の「終板」のあたりに、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼが密集して存在している。 アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体と、ムスカリン受容体がある。 「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。 そして、筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など) なお、アセチルコリンを略称で「ACh」と書く。AだけでなくCも大文字である。アセチルコリン受容体なら、略称は「ACh受容体」と書く。 筋肉の「終板」にも存在しているアセチルコリンエステラーゼ(略称: AChE)は、アセチルコリンを分解する酵素である。 筋肉にかぎらず、アセチルコリンはシナプス間隙などに放出されても、このアセチルコリンエステラーゼにより、すぐに分解されてしまう。 むかしの南アメリカ原住民(いわゆるインディアン)の矢に塗って使っていた毒(矢毒)のクラーレおよび、その主成分がツボクラリンは、終板のアセチルコリン受容体に接合することで、アセチルコリンの働きを競合的に妨げる作用により、筋肉が麻痺するので、毒として作用している事が分かっている。(※ シンプル生理学、生理学テキスト) クラーレにより、筋肉の麻痺を起こせば、標的の呼吸筋などの重要な筋肉も麻痺するので、標的を死に至らしめるという毒である。 == シナプス伝達 == :※ この節では、筋肉に限らず、脳なども含めた、神経細胞のシナプス伝達を扱う。 アセチルコリン受容体には、'''ニコチン性受容体'''(略称: nAChR)と、'''ムスカリン性受容体'''(略称: mAChR)がある。 「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。 筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など) 一方、平滑筋や心筋や脳には、ムスカリン性受容体がある。薬物のムスカリンに反応するので、ムスカリン性受容体という名が付けられている。(『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷、73ページ) 心筋や脳のほか、副交感神経によるホルモン分泌などにも、ムスカリン性受容体が関わっている。 ムスカリン性受容体にはm1からm5までの5種類のサブタイプがある事が知られている。(大文字で「M1」~「M5」と書く場合もあり(『生理学テキスト』では大文字。『標準生理学』では小文字)、どちらでもいい。) :このうち、m1,m3,m5 は ・・・ ※ 調査中 :※ 編集者へ: Gタンパク質との関係を調査してください m2とm4は、・・・ ※ 調査中 ;GABAやグリシンなど 神経に関する抑制性伝達物質は主に、GABAという物質と、グリシンという物質の、2つである。 * GABA 20世紀なかごろのアメリカで、乳幼児に てんかんが多く発生する事件が起きた。原因は、粉ミルクの変性により、ビタミンB6が変性したことだとされる<ref>『標準生理学』、P147</ref>。 さて、「てんかん」とは、脳細胞の異常な興奮である。 この様な事実から、つまり、なんらかの栄養素の栄養不足によって、神経が異常に興奮するという現象が起きると考えられる。 これをもっと突き詰めて考えれば、つまり、栄養素から合成される何か(おそらく何らかの物質)の不足によって、神経が異常に興奮するという事であろう。 さらに突き詰めれば、つまり、神経伝達物質には、神経を興奮させる物質のほかに、神経を抑制させる物質もある、という事が想像される。 さて、天下り的に結論を言うと、GABA(γ-アミノ酪酸<ref>『生理学テキスト』、P77</ref>)という物質が、神経抑制の物質である。上述のアメリカの粉ミルクの事件も、乳幼児の深刻なGABA不足が原因だと医学的には考えられている<ref>『標準生理学』、P147</ref>。 なお、GABAは生体内では、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)で脱炭酸することによって直接<ref>『標準生理学』、P147</ref>合成されている<ref>『生理学テキスト』、P77</ref><ref>『標準生理学』、P147</ref>。 :※ なお、グルタミン酸そのものは神経の興奮伝達性物質である。 GABAの受容体には、少なくともGABA<sub>A</sub>受容体とGABA<sub>B</sub>受容体の2種類がある。なお GABA<sub>C</sub>受容体とは、GABA<sub>A</sub>受容体のうちの特殊なものをそう呼んでいる。 抗不安薬として用いられているベンゾジアゼピンという薬物が、GABA<sub>A</sub>受容体を活性化する。GABA<sub>A</sub>受容体が活性化すると、Cl<sup>-</sup>イオンの透過性が高まる<ref>『ギャノング生理学』、P168 </ref>。 よって、ベンゾジアゼピンにより、Cl<sup>-</sup> イオンの透過性が高まる<ref>『生理学テキスト』、P77 </ref>。 GABA<sub>A</sub>受容体は5つのサブユニットから構成される五量体構造である<ref>『カッツング薬理学』、P372</ref><ref>『ギャノング生理学』、P168 </ref>。 一方、GABA<sub>B</sub>受容体は GABA<sub>B</sub>R1<ref>『標準生理学』、P148</ref> と GABA<sub>B</sub>R2<ref>『標準生理学』、P148</ref> からなるヘテロ二量体構造であり<ref>『標準生理学』、P148</ref><ref>『カッツング薬理学』、P372</ref><ref>『ギャノング生理学』、P168 </ref>、またGタンパク質と共役している<ref>『標準生理学』、P148</ref><ref>『カッツング薬理学』、P372</ref>。 * グリシン GABAのほか、グリシンという物質も、神経の抑制伝達物質として働く。グリシンの受容体も、活性化のさいに、Cl<sup>-</sup>イオンの透過性が高まっている<ref>『ギャノング生理学』、P169 </ref>。 なお、グリシンの阻害薬はストリキニンである<ref>『生理学テキスト』、P77 </ref><ref>『ギャノング生理学』、P169 </ref>。ストリキニンによって、痙攣などが起きる<ref>『ギャノング生理学』、P169 </ref>。 なお、その語源となったストリキニ-ネは東インドの原住民が用いていた矢毒である<ref>『標準生理学』、P148</ref>。 グリシンはグルタミン酸と同様に多くの細胞に存在している<ref>『標準生理学』、P147</ref>。 GABAやグリシンは、抑制性シナプスにも関わっている、と一般に考えられている<ref>『標準生理学』、P135</ref><ref>『やさしい生理学 改訂第7版』、南江堂、P212</ref>。 :※ 一般的な解釈では、GABAは脳で抑制性の伝達物質としてはたらっており、一方、グリシンは脊髄での抑制性シナプスの物質として機能している、と考えられているような傾向がある。(たとえば『生理学テキスト』や『標準薬理学』や『カッツング薬理学 原書10版』和訳本 P.372 が、だいたい、そんな感じ) なお、脊髄においては抑制性シナプス後電位(IPSP)の50%はグリシン由来である。 == カテコールアミン == ドーパミンおよびアドレナリンおよびノルアドレナリンのことを、カテコールアミンという。 ;ドーパミン ドーパミンは、脳の情動に関係が深い。 そのため、統合失調症などの関連薬にも、ドーパミンを制御する薬品がある。 パーキンソン病にも、ドーパミンは関係している。 ドーパミン受容体は、D1,D2,D3,・・・などと何種類かに分けられるが、いずれもGPCRである。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。) :※ 文献によって、D5とD7の違いがある。 分泌されたドーパミンは、ドーパミン輸送体(DAT)によって神経終末に取り込まれ、再利用される。(標準生理学、P149。生理学テキスト、P78。) 麻薬のコカインや、覚せい剤のアンフェタミンは、ドーパミン輸送体(DAT)を妨害する作用があることで、ドーパミンによるニューロン活性化を延長させている。 ;アドレナリンとノルアドレナリン アドレナリンとノルアドレナリンは、程度の差はあるが共通の受容体に作用するので、受容体は「アドレナリン受容体」と一括して呼ばれる。(標準生理学、P150。生理学テキスト、P77。) アドレナリン受容体は7回膜貫通タンパク質(GPCR)である。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。) アドレナリン受容体には、α1,α2,β1,β2,β3 が存在するが、いずれもGPCRである。(標準生理学がP150で「β3」を紹介。生理学テキストのP77では「β3」が無い。 == その他の色々な伝達物質 == ;セロトニン セロトニン(5-hydroxytryptamine、略称: 5-HT) は、アミノ酸のトリプトファンから合成される。 5-HTの多くはGPCRである。 3型である 5-HT<sub>3</sub> のみ、イオンチャネル型であり、リガンドによって開閉する。 ;プリン ※ 未記述. ;アデノシン アデノシン受容体には、A1, A2A, A2B, A3 の4種類が知られている。いずれも、一般的に中枢神経に対しては抑制的に作用する。(※ 生理学テキスト) コーヒーや茶などに含まれるカフェインやテオフェリンは(なお、両物質ともキサンチン誘導体である)、アデノシン受容体を阻害する。 :※ キサンチン誘導体の件は、標準生理学に記述あり。 ;一酸化窒素 一酸化窒素は気体である。生体内での伝達物質としての一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の働きにより、アルギニンから合成される。 :※ 標準生理学で、一酸化窒素が血管の弛緩の物質のように書いててあるが、これはどういう事かというと、1998年ノーベル賞の研究が、生体内の血管はアセチルコリンを注射すると弛緩するのに、生体外に摘出した血管にアセチルコリンを作用させても弛緩しないという不思議の解明であり、その答えとなる物質が一酸化窒素である事を米国の Ignarro 博士など米国の3人の学者が解き明かしたことが背景にある。 :狭心症の治療に使われるニトログリセリンによる血管拡張の作用は古くから知られていたが、しかしその仕組みがノーベル賞の研究まで長らく解明されていなかった。 :ニトログリセリンなどについては詳しくは薬理学で習うだろうから、この単元では省略。 現代では、一酸化窒素がグアニル酸シクラーゼを活性化して、サイクリックGMP(cGMP)が合成される事が解明されている。 ;内因性オピオイドおよび内因性カンナビナイド :オピオイド モルヒネは植物のケシから合成でき、麻薬の阿片(アヘン)もモルヒネの派生であり、モルヒネ洋物質をオピエートというのだが、動物の体内物質としてモルヒネに似たような構造の物質が見つけられており、その体内のモルヒネ様物質のことをオピオイドという。 特に動物体内で産生される物質である事を強調するとき、「内因性」と冒頭につけて「内因性オピオイド」などと言う。 エンドルフィンなどが、内因性オピオイドという。なお、オピオイドの構造はペプチドである。 :カンナビノイド ※ 未記述 == 血液 == ; 大学生用の血液凝固の図 [[File:Coagulation diagram japanese.svg|thumb|500px| 血液凝固因子は慣習的にローマ数字で書かれる。<br> 番号は、発見順につけられているので、作用の順番とは関係ない。<br> 6番目(VI)の凝固因子は、存在が認められておらず、現在は欠番である。]] Ca以外の凝固因子はタンパク質である(『標準生理学』)。 血液凝固における、凝固していく過程は図のように、「内因性」と「外因性」という2種類に分かれる。 内因性も外因性も、共通して、血液中の第X因子がカルシウムの存在のもとに活性化された結果としてXa因子となる。そして、そのXa因子によって、プロトロンビンがトリンビンに変化する。 :※ 作図の都合で、X→Xa を内因性と外因性の2箇所に分けて重複して記述しているが、教科書によっては1箇所でまとめているものもある(『標準生理学』や『生理学テキスト』など)。 一方、『シンプル生理学』や『はじめの一歩のイラスト生理学』(羊土社)などは2箇所にX→Xaを分けて書いているので、本wikiのように2箇所に分けてX→Xaを書いても、間違いではない。 古典的には、モラビッツの凝固機序というモデルが知られているが(『生理学テキスト』で紹介されている。『標準生理学』では紹介せず)、現代ではより正確なモデルに置き換わっているので、モラビッツに関しては名前を紹介するのにとどめる。 図中の「V」(プロトロンビンの左上にあるヤツ)は、ブイじゃなくて「5」番目の意味。 :(※ 市販の教科書の状況 :) キニノゲンとかカリクレインは、『生理学テキスト』には書いてあるけど、『標準生理学』には書いてないです。 :線溶系は、『標準生理学』には凝固系の図とまとめて(図『血液凝固と線溶』)書いてあるけど、『生理学テキスト』では図無しです。 ;ビタミンKと肝臓 :※ 『標準生理学』でも『生理学テキスト』でも、ともに紹介される重要事項です。 また、血液の止血の凝固には'''ビタミンK'''が必要である。 凝固因子のうち、II(2),VII(7),IX(9),X(10) がビタミンKを凝固に必要とする。 また、ほとんどの血液凝固因子は肝臓で合成される。 ビタミンKが酵素的に振舞うなどの働きにより、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸に変換される。 したがって、ビタミンK欠乏や肝障害があると、出血傾向を見る。 抗凝固薬として使われる'''ワルファリン'''という薬剤は、ビタミンKの代謝を阻害する。 (備考: ) なお、納豆にビタミンKは多く含まれるという(『シンプル薬理学』)。 語呂合わせだが、ビタミンK要求性の凝固因子の7番と10番で「ナットウ」と覚える語呂合わせもある(『標準生理学』で2番,9番、7番、10番がビタミンK要求性なので『肉納豆』と覚える語呂合わせが紹介されている。)。 詳しくは薬理学の教科書で解説されると思うので、ワルファリンや納豆については、この単元では、あまり深入りしないとする。 ;血友病 血友病患者は、第VIII因子(8番目)または第IX因子(9番目)が欠損している。 第8因子の欠損するタイプが血友病Aである。 第9因子の欠損するタイプが血友病Bである。 血友病Aも血友病Bも、ともに劣性遺伝である。 {{-}} == 体温 == [[File:Environment and Body temperature japanese 1.svg|thumb|500px|環境温と体温]] === 実験的な事実 === 右図にもあるように、健康なヒトの体温は、外気温に関わらず、脳と心臓といった核心部の体温はつねに一定であり、 ほぼ37℃に保たれている。 また、ヒトの体温は、同じ瞬間であっても、部位によって温度が異なる。 普通、心臓や脳などの核心部ほど温度が高く、表皮(表皮の近くを「外殻部」という)や手足の先端などといった周辺部に向かうにつれ、温度が下がっていく。 外殻部の温度は、外気温の影響を受けて変動する。 脳や心臓や腹部臓器の温度のことを「核心温」(core temperature)または「核心温度」という。 :※ 「核心温」でも「核心温度」でも、どちらでもいい。『標準生理学』でも、単元によって「核心温」か「核心温度」か表記が異なっており、統一されていない。英語はどちらとも core temperature である。なお、核心温のことを深部体温 deep body temperature という場合もある<ref>『標準生理学』、P871</ref>。 ただし、風邪などによって核心部の体温が上がることがある。 これは防衛反応によるものであるが、プロスタグランジンE<sub>2</sub>が最終的な発熱物質である<ref>大地陸男『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷発行、P509</ref>。 よって、プロスタグランジンE<sub>2</sub>(PGE<sub>2</sub>)の生成を阻害することにより、体温の上昇を防ぐことができ、実際に熱さましの薬などにプロスタグランジン阻害剤が応用されており、具体的には解熱薬のアスピリンやインドメタシンがCOX回路を阻害することでPGE<sub>2</sub>阻害をしている薬である<ref>大地陸男『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷発行、P509</ref>。 === 解釈など === 核心部の体温を一定に調節する機構が、明らかに体内に存在している。 まず、それらの概念を工学的な用語を使って整理してみよう。 ==== フィードバック ==== まず、 :体温におけるフィードバック的な機構により、少なくとも核心部の体温は体内で計測・測定などのモニタリングい<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行、165ページ、 </ref>(工学では「センシング」ともいう)をされており、そして体温がもし変動しそうな要因が感知されれば、核心部の体温を一定に近づけるように'''ネガティブ・フィードバック'''い<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行、165ページ、 </ref>による調整が働く、 という事が言える。 ではそのフィードバック機構の正体は何か?となると、また別の議論だが、少なくとも現象論を工学的に記述するなら、おおむね上記のような説明文になる。 ==== セットポイント ==== さて、風邪によってワキのしたの温度が高くなるように、風邪によって核心部の温度がやや上昇すると考えるのが妥当であろう。 :(※ 厳密には、ワキの下は表皮だが、しかしワキ下は肉が薄いので、擬似的にワキ下の温度は核心温に近いだろう、と考えられている。) 臨床においても、舌下温または腋窩温<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学 改訂 第2版』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷発行、P165、</ref>(えきかおん)が体温の測定の際でよく用いられる。 腋窩(えきか)とは、ワキの下のこと。 この事から、核心部の温度は、永久不変ではなく、体調などによて変わると考えるべきである。 '''セットポイント'''という温度概念が定義されており、「その時点での、核心部のあるべき温度」の事がセットポイントである。 風邪の場合、人体は防衛反応のためにセットポイントを上昇させる。 人体において、セットポイントと核心部の実際の温度を比較して、そしてフィードバック調節によって書く深部の体温をセットポイントに近づけようとする機構がヒトなどホニュウ動物に備わっている、と見なすのが妥当である。 このように、核心部の温度は、外気温では変わらないが、しかし体調などによって(核心部の温度が)変わる。 プロスタグランジン阻害剤などの熱さましの薬は、セットポイントを変更し、風邪でない状態の平熱のときのセットポイントに戻す薬という事になる。 === 温度の測定部位 === なお、医学実験的において核心温として測定される部位は、舌下温<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学 改訂 第2版』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷発行、P165、</ref>、食道温、直腸温、鼓膜温、である<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref>。 哺乳類の場合、脳の温度を非侵襲的に測定するのは不可能である<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref><ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学 改訂 第2版』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷発行、P165、</ref>。この文脈でいう「非侵襲的」とは、「外科手術などを伴わないで」というような意味。 そこで、赤外線サーモグラフィーで頭部の赤外線を測定することで、代わりに生体・活動中のヒトの脳の温度を推定することが、よく行われている<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref>。 ただし、汗が多い場合、脳からの赤外線ではなく汗の赤外線を測定しまっている可能性がある<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref>。 一方、臨床的には、腋窩温(えきかおん)または舌下温(または口腔温)が核心温として測定されることが多い。 直腸温、鼓膜温、食道温、舌下温(口腔温)、腋窩温 が、この順番で、直腸音がもっとも温度が高く、そして腋窩温が最も温度が低い。 なお、「腋窩温」<ref>『生理学テキスト』、P504 </ref>(えきかおん)は「腋下温」<ref>『標準生理学』、P872 </ref>(えきかおん)とも書く。 === 概実リズム との関係 === 健康なヒトの体温は、一日のあいだでも変動があり、早朝の寝起きの直前直後に低く、午後に高い。 なお、ヒトではなくラットのように夜間に行動する生物では、夜間のほうが体温が高い<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行、165ページ、 </ref>。 === 月経との関係 === 女性の場合、月経周期と連動して、体温が変わる。 つまり、女性の体温については、月経周期に連動して、女性の体温にも周期がある。 このように、女性の体温には「性周期」がある。 女性の体温は、排卵日に低下して最低になる。 {{-}} == 感覚の理論 == === 数式 === ==== Weber-Fechner の法則 ==== 感覚の強さは、刺激の強さの対数に比例すると古典的には言われており、これを'''ウェーバー-フェヒナーの法則'''(Weber-Fechner の法則)という。 この法則によると、たとえば、30gが31gに増えたときの感覚は、90gが93gに増えたときの感覚と同じだという主張になる<ref>『標準生理学』、P214</ref>。 Weber-Fechner の法則は数学的には、感覚の強さをEとして、刺激の強さをSとしたとき、差分方程式で :ΔE = k(ΔS/S) である。 これを微分方程式に置き換えて積分すれば、 :E = k logS + C が導かれる。(Cは積分定数) ==== ベキ関数の法則 ==== だが近年、対数よりもベキ関数のほうがよく比例するといわれており<ref>『ギャノング生理学』、P180</ref>、Weber-Fechner の法則に対しての異論も出されている。 このベキ関数の法則の式は、 :E = K・S<sup>n</sup> である。 (K および n は定数) なお、このベキ関数の法則の式は微分方程式(差分方程式)で表すと、 :(ΔE/E) = n(ΔS/S) となり、左辺と右辺の両方とも、それぞれの基準値からの差分の比率になっている。 === 痛覚 === 痒み(かゆみ)は便宜的に痛覚として分類される。だが、一般の外傷などの痛みを伝える神経線維が明らかになっている一方で、痒みを伝える神経線維は不明である<ref>『標準生理学』、P231</ref>。 実験的な事実により、外部からヒスタミンを皮下注射すると、痒みが起きる<ref>『標準生理学』、P231</ref><ref>『ギャノング生理学』、P199 </ref>。 『標準生理学』では、下記のことから、痒みは痛みとは異なる線維によって運ばれていると考えている。 :* 経験的な事実として、痒みは掻くことによって(一時的に)消失する。 :* 鎮痛作用をもつモルヒネが痒みをもたらす事がある。 === 聴覚 === まず、音を物理測定する場合、その単位は圧力である。 つまり、Pa(パスカル)単位である<ref>『標準生理学』、P232 </ref>。 「音圧」という用語があるように、音は圧力である。 「デシベル」や「ベル」という単位があるが、これは基準音からの倍率を常用対数で表したものである。 ベルは Bel と記号で表し、 :Bel = log<sub>10</sub>(被検査音の強さ / 基準音の強さ) である。 『標準生理学』P.232 では、音の強さは圧力の2乗に比例するとして、。 :Bel = log<sub>10</sub>(被検査音の圧力 / 基準音の圧力) としている。 その大元の基準となる、基準音の単位が、パスカル単位である。 なお、0デシベルというのは、音が無いという意味ではなく、基準音と同じ強さという意味である<ref>『ギャノング生理学』、P246 </ref>。 また、音は空気の縦波でもある。 つまり、空気の縦波の強さを測定する際の単位は、圧力である事になる。 :※ その他、耳の中のアブミ骨とかコルチ器官の構造と機能とか、生理学の教科書に書いてある。高校生物と同じ様な内容なので(もっと細かい事も大学の『生理学』教科書に発書いてあるが)、カネのない貧乏学生の読者は、がんばって高校生物を覚えろ。 {{-}} [[File:Homunculus-ja.png|600px|thumb|]] {{-}} == 流体力学 == 大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。 応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。 {{コラム|医学における流体力学を学ぶにあたっての注意| ※ はたして、機械工学科などでよく教えていてるような金属管(またはガラス管)などの硬い剛体管の中での流れ解析の理論を、血管のような弾力的な管に適用していいかのかという厳密性の問題はあるが、しかし伝統的に大学の生理学教育では、剛体管のような管での流体力学が生理学でも教えられている。 上記の注意は、『標準生理学』でも同様の内容が述べられている<ref>『標準生理学』、P533 </ref>。なので、後述するような流体力学は、血管へ適用は、あくまで近似的、概念を理解するための便宜的なものである。 医学部での血管の流体力学では、水や油など、単純な流体を想定すればいい。 なお、機械工学的には、水とは異なり、さらに発展的に粘度が変数になるような流体を扱う「レオロジー」という学問分野もあるが(『標準生理学』にも「レオロジー」という用語が章の冒頭文にある(P.533))、しかし レオロジ-は工学部でもまだ大学院レベルの研究段階であり、まだ医学部などに教えられるような体系的な段階にはなってないので、医学部では当面、レオロジーは学ばなくていい。 普通の水や油では、 粘度は物質に固有な定数としていい。(おそらく理科年表などを見れば書いてあるだろう。もし無くても、機械工学や土木工学などの流体力学の初歩の本を読めん場書いてある。) }} [[File:Venturifixed2.PNG|thumb|ベンチュリ管を流れる液体の流れ]] 流体のエネルギーは以下の式で表される。 :<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = constant </math> [Pa] この関係式を'''ベルヌーイの原理'''(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。 重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。 もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。 ρghは位置エネルギーである。 なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。 <math>\frac{\rho V^2}{2}</math> は運動エネルギーである。 そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、 流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。 厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。 なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。 摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。 流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している<ref>『標準生理学』、P533 </ref>)。 なお、hは基準面からの高さである。 分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。 :※ なお、theorem は「セオレム」と読む。 上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref>、side pressure<ref>『ギャノング生理学』、P.635</ref>)と呼んでいる<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref>。 :※ なお一般的な機械工学書では、ベルヌーイ式の p は「静圧」(static presure)と呼んでいる<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref><ref>原田幸夫『工業 流体力学』、槇書房、2002年9月20日 6刷 発行、P48 </ref>。 実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。) これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。 ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。 ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。 だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。 工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref><ref>原田幸夫『工業 流体力学』、槇書房、2002年9月20日 6刷 発行、P48 </ref>、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref><ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。 :※ 工学の場合、呼び名を覚えさせる問題なんて出ないので。 呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。 さて、 ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。 :<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = constant </math> [Pa] こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。 なお、ベルヌーイの式の3つあるエネルギー項(圧力エネルギ-、運動エネルギ-、位置エネルギー)すべてを足したのを「全圧」(total pressure)という<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref><ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。。 つまり、 :<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = e </math> とすれば、e が「全圧」である。 あるいは、 :<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = E </math> [Pa] とすれば、Eが「全圧」である。 「全圧」の呼び名は、医学でも工学でも同じく「全圧」と呼ぶので、覚えておこう。 なお、運動エネルギーの項 <math> \frac{\rho V^2}{2} </math> または <math>\frac{V^2}{2g} </math> を「動圧」という。 :※ いろんな用語が出てくるが、特に覚えてもらいたいのは、ベルヌーイの式と、流体のエネルギー保存則では(高校物理の「質点の運動」のエネルギー式とは異なり、流体では)圧力エネルギーも考える必要があるという点だけである。もし「動圧」の名前が思い出せなくても、「運動エネルギー」とでも言っておけば済む。位置水頭も同様で、いざとなったら「位置エネルギー」とでも呼んでおけばいい。 その他、「速度水頭」や「圧水頭」などの用語もあるが、あまり重要では無いので、本wikiでは深入りしない。 流体力学の分野は、ρg の係数をどうするかで式が定数倍変わるので、分野ごとに用語の若干の不統一があり(たとえば工学なのか医学なのか、さらに工学内でも学科が色々あるので不明瞭)、「〇〇水頭」(圧水頭、速度水頭、位置水頭)とか「〇〇圧」(静圧、動圧、)とか言ったときに、 :<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = e </math> の式の項なのか、それとも :<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = E </math> [Pa] の式の項なのか、分野や文献などによって多少の不統一がある。なので、あまり用語の表す項の係数は気にしなくていい。学生に重要なのは、項が表しているのが圧力エネルギーか運動エネルギーか位置エネルギーか、そういった力学的な理解をする事である。 == 胆汁酸 == :※ 『[[薬理学/生理活性物質と消化器作用薬#胆]]』で記述済み。 == 生理学で扱う項目 == === 神経系総論 === * 神経細胞([[w:神経細胞]]) * 膜電位([[w:膜電位]]) ** 静止膜電位([[w:膜電位#静止膜電位]]) ** 活動電位([[w:活動電位]]) * 神経の興奮 * イオンチャネル([[w:イオンチャネル]])    === 筋肉総論 === :[[w:筋肉]]も参照 * 筋細胞 * 骨格筋収縮([[w:骨格筋]]) * 平滑筋([[w:平滑筋]]) * 心筋([[w:心筋]]) === 神経系 === :[[w:神経系]]も参照 * 概説 * 脊髄と脳幹の構造([[w:脊髄]]、[[w:脳幹]]) * 内臓機能の調節 * 内臓反射([[w:自律神経系#自律神経反射]]) * 小脳機能([[w:小脳]]) * 大脳基底核機能([[w:大脳基底核]]) * 脳波([[w:脳波]]) * 睡眠([[w:睡眠]]) * 皮質連合野の機能 * 視床下部と辺縁系([[w:視床下部]]、[[w:大脳辺縁系]]) === 運動機能 === * 運動機能の調節 * 体性反射([[w:自律神経系#自律神経反射]]) * 脳幹による体性反射 === 感覚機能 === :[[w:感覚]]、[[w:知覚]]も参照 * 感覚総論 * 視覚([[w:視覚]]) * 聴覚([[w:聴覚]]) * 平衡感覚([[w:平衡感覚]]) * 嗅覚([[w:嗅覚]]) * 味覚([[w:味覚]]) * 体性感覚([[w:体性感覚]]) * 内臓感覚 ---- === 血液 === :[[w:血液]]も参照 * 血液の役割 * 組成 * 免疫([[w:免疫]]) * 血液型([[w:血液型]]) * 血液凝固([[w:凝固・線溶系]]) === 循環 === :[[w:循環器]]、[[w:循環器系]]も参照 * [[/概論|概論]] * [[/心臓|心臓]] * 血管([[w:血管]]) * 循環の調節 * 局所循環 * リンパ液([[w:リンパ]]) * 脳脊髄液([[w:脳脊髄液]]) === 代謝 === :[[生化学]]、[[w:代謝]]も参照 * 生体の構成成分 * エネルギー代謝 * 中間代謝 === 消化と吸収 === :[[w:消化器]]も参照 * 消化器の役割 * 消化の調節 * 消化液 * 消化・吸収 * 消化管での分泌 * 肝臓・胆嚢([[w:肝臓]]、[[w:胆嚢]]) === 内分泌 === :[[w:内分泌]]、[[w:ホルモン]]も参照 * ホルモン概説 * 視床下部([[w:視床下部]]) * 下垂体([[w:下垂体]]) ** 前・中葉 ** 後葉 * 松果体([[w:松果体]]) * 甲状腺([[w:甲状腺]]) * 上皮小体([[w:副甲状腺]]) * 骨([[w:骨]])    * 副腎([[w:副腎]]) * 膵臓([[w:膵臓]]) * 血糖の調節([[w:血糖値]]、[[w:インスリン]]) * 生殖ホルモン([[w:エストロゲン]]、[[w:プロゲステロン]]、[[w:テストステロン]]) === 呼吸 === :[[w:肺]]も参照 * 呼吸器 * 換気 * ガス交換 * 血中のガス運搬 * 換気の調節 * 呼吸の異常   === 体液 === :[[w:体液]]も参照 * 体液の区分 * 組成 * 恒常性の調節([[w:恒常性]]) === 腎機能と排泄 === :[[w:泌尿器]]も参照 * 腎の構造([[w:腎臓]]) * ろ過と再吸収 * 尿細管での分泌 * 排尿   === 体温調節 === :[[w:体温]]も参照 * 体温の変動 * 体温の調節 * 発熱([[w:発熱]])    == 参考文献 == ;全体の主な参考文献 :本wiki『生理学』において、よく脚注で参考文献になっている文献を以下に列記する。 * 彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行 * 照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行 * 大地陸男『生理学テキスト』、文光堂、2017年8月9日 第8版 第2刷発行 * 小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷 * KIM E. BARRETT ほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版 』丸善株式会社、平成23年1月31日 発行 この他、内容の裏づけの確認のために、多くの生理学書を参考にしている。 ;流体力学の詳説 流体の章では、上記の生理学の書籍に加え、下記の工学の流体力学の入門書も参照した。 * 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行 == 脚注 == [[Category:医学|せいりかく]]
2006-11-06T17:19:38Z
2023-10-20T15:03:58Z
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4,417
神経解剖学
神経解剖学(Neuroanatomy)とは、特に複雑な中枢神経系(脳と脊髄)の形態・構造を理解するための肉眼解剖学、組織学をあわせ、更に機能面にも焦点を当てる学問である。その内容は解剖学 神経系を発展させたものであり、組織学#神経系・感覚器と一部重複する。脳の構造は複雑であるがその機能は同一の機能が一部に局在する事が分かってきており、肉眼的な脳の構造を学ぶことは脳の機能を理解する事とリンクする。 解剖学 神経系 脊髄 小脳 脳幹と脳神経核 大脳基底核 視床 脳室系と脳脊髄液
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神経解剖学(Neuroanatomy)とは、特に複雑な中枢神経系(脳と脊髄)の形態・構造を理解するための肉眼解剖学、組織学をあわせ、更に機能面にも焦点を当てる学問である。その内容は解剖学 神経系を発展させたものであり、組織学#神経系・感覚器と一部重複する。脳の構造は複雑であるがその機能は同一の機能が一部に局在する事が分かってきており、肉眼的な脳の構造を学ぶことは脳の機能を理解する事とリンクする。
'''神経解剖学(Neuroanatomy)'''とは、特に複雑な中枢神経系(脳と脊髄)の形態・構造を理解するための肉眼解剖学、組織学をあわせ、更に機能面にも焦点を当てる学問である。その内容は[[解剖学#神経系|解剖学 神経系]]を発展させたものであり、[[組織学#神経系・感覚器]]と一部重複する。脳の構造は複雑であるがその機能は同一の機能が一部に局在する事が分かってきており、肉眼的な脳の構造を学ぶことは脳の機能を理解する事とリンクする。 == 神経解剖学で扱う項目 == === 構造と機能 === [[解剖学#神経系|解剖学 神経系]]   脊髄   小脳   脳幹と脳神経核   大脳基底核   視床   脳室系と脳脊髄液 === 主要な伝導路 === == 付録 == *[[w:ブロードマンの脳地図|大脳皮質 ブロードマンの脳地図(ブロードマン領域)]] *[[w:脳神経|脳神経]] *[[w:ヒトの神経の名称一覧|ヒトの神経の名称一覧]] == 参考文献 == *ISBN 4-260118-70-6 神経解剖カラーテキスト [[Category:医学|しんけいかいほうかく]]
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2007-02-15T14:29:29Z
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4,418
民法第789条
(準正) 明治民法において、本条には夫婦の同居義務に関する以下の規定があった。趣旨は、明治民法第790条と合わせて民法第752条に継承された。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 法学>コンメンタール>コンメンタール民法>第4編 親族
*[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]] *[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]] ==条文== ([[準正]]) ;第789条 # 父が認知した子は、その父母の[[婚姻]]によって[[嫡出子]]の身分を取得する。 # 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。 # 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。 ==解説== :準正の規定である。婚外子の保護のための規定と理解され、婚外子の親達の婚姻を促す狙いもあるとされる。戦後の民法改正においても、[[民法第836条#参考|明治民法第836条]]と同趣旨の規定が受け継がれている。 :ローマ法の Matrimonium subsequens legitimos facit. (事後の婚姻は準正する)に由来する。 :第1項を'''婚姻準正'''、第2項を'''認知準正'''と呼ぶ。準正の効力発生時は、いずれも婚姻時であり、第2項の場合は、婚姻時に遡及すると考えるのが通説である。これは、認知の効力は、出生の時に遡及するから([[民法第784条|784条]])、準正の要件が具備されるのは婚姻の時であること、準正制度の趣旨が父母の婚姻によって嫡出でない子をなるべく嫡出化しようとする点にあることを理由としている。これに対し、第2項の場合は文言を重視して、認知の時から効力が発生するとする見解もある。 :2項は、婚姻成立後に父のほか母の認知も必要とするようにも読めるが、法律上の母子関係は、分娩の事実によって当然に生ずると解されることから(最判昭37.4.27)、父の認知のみで足りるとされる。 :第3項は、死んだ子に直系卑属があり、その子について[[代襲相続]]権の発生が問題となる場合に意味を持つ規定である。 :比較法的には裁判準正と呼ばれる制度もあるが、日本の民法上は規定が存在しない。 ==参照条文== ==参考文献== *『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)105頁-116頁(川田昇執筆部分) *泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)204頁-220頁 ==参考== 明治民法において、本条には夫婦の同居義務に関する以下の規定があった。趣旨は、[[民法第790条#参考|明治民法第790条]]と合わせて[[民法第752条]]に継承された。 #妻ハ夫ト同居スル義務ヲ負フ #夫ハ妻ヲシテ同居ヲ為サシムルコトヲ要ス ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3|第3章 親子]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3-1|第1節 実子]] |[[民法第788条]]<br>(認知後の子の監護に関する事項の定め等) |[[民法第790条]]<br>(子の氏) }} {{stub|law}} [[category:民法|789]]
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2022-12-09T23:24:55Z
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4,419
民法第732条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) (重婚の禁止) 重婚の禁止を定めた規定であり、本条に反してなされた婚姻は取り消しうる。ここでいう重婚の対象は、法律上の婚姻であって、いわゆる重婚的内縁は問題とならない。戦後の民法改正においても、明治民法の規定(明治民法第766条)がそのまま受け継がれている。 法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。 当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、法の適用に関する通則法第24条による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。 明治民法において、本条には以下の規定があった。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(重婚の禁止)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "重婚の禁止を定めた規定であり、本条に反してなされた婚姻は取り消しうる。ここでいう重婚の対象は、法律上の婚姻であって、いわゆる重婚的内縁は問題とならない。戦後の民法改正においても、明治民法の規定(明治民法第766条)がそのまま受け継がれている。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、法の適用に関する通則法第24条による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "明治民法において、本条には以下の規定があった。", "title": "参考" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[重婚]]の禁止) ;第732条 : 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。 ==解説== 重婚の禁止を定めた規定であり、本条に反してなされた婚姻は取り消しうる。ここでいう重婚の対象は、法律上の婚姻であって、いわゆる[[事実婚|重婚的内縁]]は問題とならない。戦後の民法改正においても、明治民法の規定([[民法第766条#参考|明治民法第766条]])がそのまま受け継がれている。 法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。 当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、[[法の適用に関する通則法第24条]]による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。 ==関連条文== *[[民法第744条]](不適法な婚姻の取消し) *[[刑法第184条]] ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55160&hanreiKbn=02 婚姻取消] (最高裁判決 昭和57年09月28日)[[民法第744条]]、[[民法第749条]] *;重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否 *:重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。 ==参考== 明治民法において、本条には以下の規定があった。 #戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス #戸主ノ変更アリタル場合ニ於テハ旧戸主及ヒ其家族ハ新戸主ノ家族トス #*「家ニ在ル」;同一の戸籍にある ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 婚姻の成立]] |[[民法第731条]]<br>(婚姻適齢) |[[民法第733条]]<br>(再婚禁止期間) }} {{stub|law}} [[category:民法|732]]
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4,421
民法第744条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) (不適法な婚姻の取消し) 第731条から第736条までに規定する婚姻障害のある婚姻の取消しの手続きについて定める。本条は旧・民法第780条を継承。 婚姻の取消しは、家庭裁判所に対する訴訟のみによる(形成訴訟)。 取消請求権者は以下のとおり。 明治民法において、本条には以下の規定があった。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(不適法な婚姻の取消し)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "第731条から第736条までに規定する婚姻障害のある婚姻の取消しの手続きについて定める。本条は旧・民法第780条を継承。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "婚姻の取消しは、家庭裁判所に対する訴訟のみによる(形成訴訟)。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "取消請求権者は以下のとおり。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "明治民法において、本条には以下の規定があった。", "title": "参考" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]] ==条文== (不適法な婚姻の取消し) ;第744条 # [[民法第731条|第731条]]から[[民法第736条|第736条]]までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを[[家庭裁判所]]に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。 # [[民法第732条|第732条]]の規定に違反した婚姻については、前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。 ===改正経緯=== 2022年改正により[[民法第733条|第733条]]が廃止削除されたことにより、第2項を以下の条項から改正。 : [[民法第732条|第732条]]又は[[民法第733条|第733条]]の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。 ==解説== [[民法第731条|第731条]]から[[民法第736条|第736条]]までに規定する婚姻障害のある婚姻の取消しの手続きについて定める。本条は[[民法第780条#参考|旧・民法第780条]]を継承。 婚姻の取消しは、家庭裁判所に対する訴訟のみによる(形成訴訟)。 取消請求権者は以下のとおり。 #婚姻の当事者 #当事者の親族 #検察官 #*ただし、当事者の一方が死亡した場合、取消請求権を失う。反対解釈をすると、検察官以外は、当事者の一方が死亡した場合でも婚姻の取消しを請求することができる。しかしながら、婚姻の取消しは遡及効がないため、実効性については疑問。 #重婚の場合の当事者の配偶者、<del>再婚禁止期間の婚姻における前配偶者</del> ==参照条文== *[[民法第731条]](婚姻適齢) *[[民法第732条]](重婚の禁止) *<del>[[民法第733条]](再婚禁止期間)</del> *[[民法第734条]](近親者間の婚姻の禁止) *[[民法第735条]](直系姻族間の婚姻の禁止) *[[民法第736条]](養親子等の間の婚姻の禁止) ==参考文献== *泉久雄『親族法』85頁(有斐閣、1997年) ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55160&hanreiKbn=02 婚姻取消] (最高裁判決 昭和57年09月28日)[[民法第732条]]、[[民法第749条]] #;重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否 #:重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。 ==参考== 明治民法において、本条には以下の規定があった。 #法定ノ推定家督相続人ハ他家ニ入リ又ハ一家ヲ創立スルコトヲ得ス但本家相続ノ必要アルトキハ此限ニ在ラス #前項ノ規定ハ[[民法第750条#参考|第七百五十条]]第二項ノ適用ヲ妨ケス ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 婚姻の成立]] |[[民法第743条]]<br>(婚姻の取消し) |[[民法第745条]]<br>(不適齢者の婚姻の取消し) }} {{stub|law}} [[category:民法|744]] [[Category:民法 2022年改正|733]]
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4,423
内科学 呼吸器
呼吸器は、ガス交換器と気道に分けることができる。ガス交換器は、体内に酸素を取り入れ、体内から二酸化炭素を排出するための器官である。気道は、体外とガス交換器との間に空気を交通させるための器官である。 気道は、喉頭を境として、上気道と下気道に分けることができる。喉頭はおおむね第4〜6頚椎の高さに位置しており、喉頭蓋によって、物理的に気道を境することができる。 ガス交換は肺胞において行なわれる。 慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは、肺でのガス交換が徐々に制限される疾患であるが、これはあくまで障害される機能による分類であり、更に肺気腫や慢性気管支炎などに分けられる。なお、正確には気管支喘息も慢性閉塞性疾患に分類することが可能である。症状により可逆性の程度は異なり、労作性に呼吸困難を生じる。大気汚染やタバコが主要要因となり、中高年に多い。 上記の要因により、COPDでは、以下の3種類の病変が起こる。 このうち、ガス交換の制限に関与する主要要因は末梢気道の障害である。肺胞の障害が主として見られる病変を気腫優位型、中枢気道の病変が主として見られるものが気道病変優位型と言う。しかし、実際にはCOPDはこれら3種類の病変すべてを包括した呼称である。COPDは根本的な治療法がなく、肺の生活習慣病とも呼ばれる。生活指導などを通して予防と症状の進行を抑える事が肝要である。 COPDを診断するにあたって、臨床症状(喀痰・労作性呼吸困難)と危険因子(喫煙、他に職業性の粉塵暴露)の有無に気をつける。日本人のCOPD患者の90%は喫煙者であることから、喫煙歴のある中高年の診断は常にCOPDの可能性を疑うべきである。これらを踏まえて、COPDの診断基準はスパイロメトリーで一秒率が70%未満であることで確定する。 主に肺の間質に炎症が起きる。肺間質とは、狭義には肺胞隔壁(肺胞壁細胞を含まない)のことであり、広義には隔壁も含む肺胞と肺胞の間のスペースのことである。肺実質の定義(肺胞上皮細胞と肺胞腔)を考えると、それ以外の部分が広義の肺間質と言ってよい。但し、肺内毛細血管は実質、間質どちらにもあてはまらない。 間質性肺炎には以下のような分類がなされる。 特発性間質性肺炎の病理学的分類:Liebow(1968)の分類:1.通常型間質性肺炎(UIP: usual interstitial pneumoniae)、2.閉塞性細気管支炎を合併したびまん性肺胞障害(BIP: bronchiolitis obliterans and diffuse alveolar damage)、3.剥離型間質性肺炎(DIP: desquamative interstitial pneumoniae)、4.巨細胞性間質性肺炎(GIP: giant cell interstitial pneumoniae)、5.リンパ性間質性肺炎(LIP: lymphoid inerstitial pnumoniae)の5つに分類。 その後検討され、現在の分類では、1.UIP、2.NSIP、3.OP、4.DIP、5.RP、6.DAD(diffuse alveolar damage)、7.LIP、の7つに分類される。 COPは以前ではBOOP(bronchiolitis obliterans with organizing pneumoniae:器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎)と言われていたもの。AIPは病理学的にはDADの形態をとる。
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== 呼吸器総論で扱う項目 == === 解剖学 === [[ファイル:Illu conducting passages日本語.jpg|250px|thumb|呼吸器の構成のシェーマ。]] 呼吸器は、ガス交換器と気道に分けることができる。ガス交換器は、[[w:体|体]]内に[[w:酸素|酸素]]を取り入れ、体内から[[w:二酸化炭素|二酸化炭素]]を[[w:排出|排出]]するための器官である。気道は、体外とガス交換器との間に空気を交通させるための器官である。 ==== 気道 ==== 気道は、[[w:喉頭|喉頭]]を境として、[[w:上気道|上気道]]と[[w:下気道|下気道]]に分けることができる。喉頭はおおむね第4〜6頚椎の高さに位置しており、[[w:喉頭蓋|喉頭蓋]]によって、物理的に気道を境することができる。 ; 上気道 : [[w:鼻|鼻]]から[[w:鼻腔|鼻腔]]、[[w:鼻咽腔|鼻咽腔]]、[[w:咽頭|咽頭]]、[[w:喉頭|喉頭]]までを指す。外界の空気を取り入れるのに伴い、空気とともに異物や細菌が流入することから、生体防御機構が高度に発達しているという特徴がある。またこの部位は、呼吸器だけでなく、[[w:発声|発声器]]としての役割も兼ねている。 ; 下気道 : [[w:気管|気管]]から[[w:気管支|気管支]]、[[w:細気管支|細気管支]]から[[w:肺胞|肺胞]]の直前までを指す。喉頭蓋によって上気道と境されており、健常時には無菌状態となっている。 ==== ガス交換器 ==== ガス交換は肺胞において行なわれる。 === 生理学 === === 症状 === === 身体所見 === === 検査内容 === == 呼吸器各論で扱う項目 == === 慢性閉塞性肺疾患 === *慢性閉塞性肺疾患とは '''慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)'''とは、肺でのガス交換が徐々に制限される疾患であるが、これはあくまで障害される機能による分類であり、更に肺気腫や慢性気管支炎などに分けられる。なお、正確には気管支喘息も慢性閉塞性疾患に分類することが可能である。症状により可逆性の程度は異なり、[[wikipedia:労作性|労作性]]に呼吸困難を生じる。大気汚染やタバコが主要要因となり、中高年に多い。 上記の要因により、COPDでは、以下の3種類の病変が起こる。 #肺胞壁の障害 #末梢気道(小気管支、細気管支)の障害 #中枢気道(気管、気管支)の粘液腺肥大 このうち、ガス交換の制限に関与する主要要因は末梢気道の障害である。肺胞の障害が主として見られる病変を気腫優位型、中枢気道の病変が主として見られるものが気道病変優位型と言う。しかし、実際にはCOPDはこれら3種類の病変すべてを包括した呼称である。COPDは根本的な治療法がなく、肺の生活習慣病とも呼ばれる。生活指導などを通して予防と症状の進行を抑える事が肝要である。 COPDを診断するにあたって、臨床症状(喀痰・労作性呼吸困難)と危険因子(喫煙、他に職業性の粉塵暴露)の有無に気をつける。日本人のCOPD患者の90%は喫煙者であることから、喫煙歴のある中高年の診断は常にCOPDの可能性を疑うべきである。これらを踏まえて、COPDの診断基準は'''スパイロメトリーで一秒率が70%未満であること'''で確定する。 *肺気腫 *慢性気管支炎 *びまん性汎細気管支炎 *過誤腫性肺リンパ脈管筋腫症 === 間質性肺炎(拘束性肺疾患) === *間質性肺炎とは 主に肺の間質に炎症が起きる。肺間質とは、狭義には肺胞隔壁(肺胞壁細胞を含まない)のことであり、広義には隔壁も含む肺胞と肺胞の間のスペースのことである。肺実質の定義(肺胞上皮細胞と肺胞腔)を考えると、それ以外の部分が広義の肺間質と言ってよい。但し、肺内毛細血管は実質、間質どちらにもあてはまらない。 間質性肺炎には以下のような分類がなされる。 <table border="1"> <tr><td rowspan="6">特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia)</td><td>[[#1|特発性肺線維症(IPF)]]</td></tr> <tr><td>急性間質性肺炎(AIP)</td></tr> <tr><td>非特発性間質性肺炎(NSIP)</td></tr> <tr><td>剥離性肺炎(DIP)</td></tr> <tr><td>呼吸細気管支関連間質性肺疾患(RB-ILD)</td></tr> <tr><td>COP、BOOP(閉塞性細気管支炎・器質化肺炎)</td></tr> <tr><td rowspan="6">原因の特定されている間質性肺炎</td><td>[[#2|塵肺症]]</td></tr> <tr><td>肉芽腫性肺疾患</td></tr> <tr><td>[[#3|膠原病に伴う間質性肺炎]]</td></tr> <tr><td>[[#4|薬剤性肺炎]]</td></tr> <tr><td>放射線性肺炎</td></tr> <tr><td>感染症</td></tr></table> *病理所見 特発性間質性肺炎の病理学的分類:Liebow(1968)の分類:1.通常型間質性肺炎(UIP: usual interstitial pneumoniae)、2.閉塞性細気管支炎を合併したびまん性肺胞障害(BIP: bronchiolitis obliterans and diffuse alveolar damage)、3.剥離型間質性肺炎(DIP: desquamative interstitial pneumoniae)、4.巨細胞性間質性肺炎(GIP: giant cell interstitial pneumoniae)、5.リンパ性間質性肺炎(LIP: lymphoid inerstitial pnumoniae)の5つに分類。 その後検討され、現在の分類では、1.UIP、2.NSIP、3.OP、4.DIP、5.RP、6.DAD(diffuse alveolar damage)、7.LIP、の7つに分類される。 COPは以前ではBOOP(bronchiolitis obliterans with organizing pneumoniae:器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎)と言われていたもの。AIPは病理学的にはDADの形態をとる。 *診断 *<div class="1">特発性肺線維症</div> *<div class="3">膠原病肺</div> *<div class="2">塵肺症</div> *<div class="4">薬剤耐性肺障害</div> {{stub}} == 参考文献 == == 外部リンク == *[[w:閉塞性肺疾患|閉塞性肺疾患]](ウィキペディア日本語版) *ISBN 4907704364 STEP内科(4)腎・呼吸器
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2018-04-07T17:24:21Z
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4,428
解剖学/上肢の骨
上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。 *骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)", "title": "上肢骨upper limbの一覧" } ]
上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。
上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。 {{medical stub}} ==上肢骨upper limbの一覧== [[image:hand_bone.png|thumb|250px|right|左手(背側)]] ''*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)'' *肩甲骨(scapula/) (2) *鎖骨(clavicle/clavicula) (2) *上腕骨(humerus/) (2) *前腕骨(forearm bone/ossa antebrachii) **橈骨(radius/) (2) **尺骨(ulna/) (2) *手根骨(carpals/ossa carpi) **舟状骨(scaphoid/os scaphoideum) (2) **月状骨(lunate/os lunatum) (2) **三角骨(triquetrum/os triquetrum) (2) **豆状骨(pisiform/os pisiforme) (2) **大菱形骨(trapezium/os trapezium) (2) **小菱形骨(trapeoid/os trapezoideum) (2) **有頭骨(capitate/os capitatum) (2) **有鈎骨(hamate/os hamatum) (2) *中手骨(metacarpals/ossa metacarpalia) **第一中手骨~第五中手骨 *指骨(phalanges/ossa digitorum manus) (14x2) **基節骨(proximal phalanx/phalanx proximalis)(5x2) ***第一指~第五指 **中節骨(middle phalanx/phalanx media)(4x2) ***第二指~第五指 **末節骨(disital phalanx/phalanx distalis) (5x2) ***第一指~第五指 == 上肢の関節の一覧 == *胸鎖関節 *肩鎖関節 *肩甲上腕関節 *肩関節 *肘関節 *手関節 *指関節 == 画像一覧 == <gallery> Image:Gray200.png|鎖骨(腹側) Image:Gray201.png|鎖骨(背側) Image:Gray202.png|肩甲骨(腹側) Image:Gray203.png|肩甲骨(背側) Image:Gray204.gif|肩甲骨と体幹の位置関係(後面) Image:Gray207.png|上腕骨(背側) Image:Gray213.png|前腕骨(腹側) Image:Gray214.png|前腕骨(背側) Image:Gray220.png|左手(背側) Image:Gray219.png|左手(掌側) </gallery>
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2023-10-09T08:15:48Z
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4,429
解剖学/下肢の骨
*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数) (3つ**座骨(os ischii) (2)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)", "title": "下肢骨lower limbの一覧" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(3つ**座骨(os ischii) (2)", "title": "下肢骨lower limbの一覧" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "", "title": "下肢骨lower limbの一覧" } ]
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==下肢骨lower limbの一覧== [[Image:Gray268.png|thumb|200px|right|右足の骨(足背側)]] ''*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)'' *寬骨(os coxae) (2)  (2つ合わせると骨盤) (3つ**座骨(os ischii) (2) **腸骨(os ilium) (2) **恥骨(os pubis) (2) *大腿骨(femur) (2) *膝蓋骨(patella) (2) *下腿骨(ossa cruris) **脛骨(tibia) (2) **腓骨(fibula) (2) *足根骨(ossa tarsi) **距骨(talus) (2) **踵骨(calcaneus) (2) **舟状骨(os naviculare) (2) **内側楔状骨(os cuneiforme mediale) (2) **中間楔状骨(os cuneiforme intermedium) (2) **外側楔状骨(os cuneiforme laterale) (2) **立方骨(os cuboideum) (2) *中足骨(ossa metatarsalia) (5) **第一中足骨~第五中足骨 *趾骨(ossa digitorum pedis) (14x2) **基節骨(phalanx proximalis) (5x2) ***第一指~第五指 **中節骨(phalanx media) (4x2) ***第二指~第五指 **末節骨(phalanx distalis) (5x2) ***第一指~第五指 == 画像一覧 == <gallery> Image:Gray235.png|寛骨(外側) Image:Gray236.png|寛骨(内側) Image:Gray95.png|仙骨(前面) Image:Gray100.png|尾骨(前/後面) Image:Gray241.png|骨盤(前上面) Image:Gray238.png|骨盤(上面) Image:Gray239.png|骨盤(下面) Image:Gray244.png|大腿骨(前面) Image:Gray245.png|大腿骨(後面) Image:Patella ant.jpg|膝蓋骨(前面) Image:Gray353.png|膝蓋骨(後面) Image:Gray258.png|下腿骨(前面) Image:Gray259.png|下腿骨(後面) Image:Gray268.png|足根骨(背側) Image:Gray269.png|足根骨(腹側) Image:Gray319.png|骨盤の靭帯(前面) Image:Gray320.png|骨盤の靭帯(後面) </gallery> [[Category:医学|かいほうかく かしのほね]]
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2007-02-15T14:10:28Z
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解剖学/体幹の骨
体幹を支える骨は脊椎を中心に、臓器を保護する肋骨・胸骨が含まれる。このうち脊椎は節構造を成しており、似たような形の骨が複数個寄り集まってできている。それだけに本項では各骨の判別などについても注意深く学習して欲しい。 脊椎骨が連なってできる脊柱は、大きく分けて頚椎cervical vertebrea・胸椎thoracic vertebrae・腰椎lumber vertebraeと仙骨sacrum、尾骨coccyxから構成される。頚椎・胸椎・腰椎はそれぞれ7個・12個・5個からなり(実は仙骨も5個の仙椎が癒合したものであるが)、C7・Th12・L5のようにイニシャルと番号で呼ぶ事が多い。各脊椎の構造は若干異なるが、それについては後述する。 脊柱の働きは、大きく分けて3つある。 このうち、身体の支持の仕方は我々直立歩行のヒトと四足歩行の動物で大きく異なる。本来四足歩行動物の脊柱は後ろに凸の弯曲している。これを後弯といい、ヒトでも胎児期にはこの後弯のみが見られる。しかし、生後1年以内に頚部と腰部に前に凸の弯曲(前弯)が起こり、最終的に右図のような形になる。この前弯は首がすわる時期(生後3ヶ月)と立って歩き出す時期(生後1年)にできる。 前述の通り脊椎は3~5種類に分かれ、同じ名称の椎骨でも部位により若干形状が異なる。しかし、まずは椎骨のおよその形を掴むため、胸椎を例に椎骨の構造を見ていく。 まず、上面から胸椎を見ると、骨質の詰まった円柱状の椎体(腹側:図1の上)と弓状の椎弓が見える。椎弓が取り囲んでいる孔は脊髄を収める椎孔である。縦に繋がった椎孔は脊柱管と呼ばれる。そして椎弓に付属する形でやや背側左右に一対の横突起、背側正中に棘突起、上部(図1手前)に向けて一対の上関節突起がある。更に、図2を見ると分かるが椎弓のやや前部に一対の下関節突起がある。これらの突起はだいたいが他の骨との関節に働いている。 次に図3を見て欲しい。椎孔には脊髄が収まる事は前に述べたが、縦に連なる椎孔の他に椎弓同士の間に横方向の隙間があるのがわかる。これは椎間孔と呼ばれ、椎弓の根元(椎弓根)にある切痕により形成される。すなはち、第1椎間孔は第一頚椎(C1)の下椎切痕と、第2頚椎(C2)の上椎切痕がかみ合うことでつくられる。この椎間孔は、脊髄神経が椎孔を出て全身へ向かう際の通り道となる。 以上が脊椎の概観をつかむ上で理解しておくべき構造である。 ここからは各椎骨に特徴的な構造について述べていく。頚椎は、7つの骨からできている(キリンの首も7つの頚椎からなるという話は有名)。首周りの運動の他に、体幹と頭蓋骨の連絡をするという役割を持つ。それゆえ、特に第1、第2頚椎は他の脊椎と形態的にかなり異なり、それぞれ環椎(Atlas)、軸椎(Axis)という別の呼び名がある。第7頚椎は、棘突起が対表面の隆起として触れる事ができることから、隆椎(vertebra prominens)とも呼ばれる。隆椎は肋骨との関節が始まる第1胸椎のすぐ上に位置し、異形として小型の肋骨である頚肋(cervical rib)が現れる事もある。この3つが脊椎の中で別称を持つものである。 これらを含む7つの頚椎に特徴的な構造は以下のものがある。図4を参照されたい。 環椎と軸椎の構造図5、図6は他の頚椎と分けて考えるべきである。 環椎は横突起も短く、棘突起も無い(後結節がその位置を占める)。全体として丸い輪のようだとも表現できる。前面に椎体はなく、前弓と呼ばれるアーチの頂端に前結節(先ほどまでの前結節と形状・位置が異なる事に注意)がある。横突起の基部には上向きに上関節窩(頭蓋骨の後頭顆と関節)、下向きに下関節窩(軸椎の上関節面と関節)があり上関節面を形作る隆起が外側塊と呼ばれる。更に、環椎は軸椎の歯突起とも関節しており、その関節面は前弓内側の歯突起窩である。 軸椎は、歯突起が非常に特徴的で一目で他の椎骨と区別できる。歯突起の前面にある前関節面は環椎の歯突起窩と関節し、上関節面はやはり環椎の下関節窩とつながる(上関節面を作る隆起を軸椎では外側塊と呼んでいる)。ちなみに、ここでいう「窩」や「面」は明確な境があるわけではなく、窪んでいるようなら窩、平らであれば面と命名しているに過ぎない。こういった名称を覚えておく事も骨の詳細な特徴を記憶する上で有用といえよう。椎弓の下関節突起にある下関節面は第3頚椎(C3)上関節面に関節する。
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体幹を支える骨は脊椎を中心に、臓器を保護する肋骨・胸骨が含まれる。このうち脊椎は節構造を成しており、似たような形の骨が複数個寄り集まってできている。それだけに本項では各骨の判別などについても注意深く学習して欲しい。
体幹を支える骨は脊椎を中心に、臓器を保護する肋骨・胸骨が含まれる。このうち脊椎は節構造を成しており、似たような形の骨が複数個寄り集まってできている。それだけに本項では各骨の判別などについても注意深く学習して欲しい。 == 脊柱 == [[File:Spinal column curvature-jp.svg|thumb|upright=0.8|脊椎の弯曲]] 脊椎骨が連なってできる脊柱は、大きく分けて頚椎cervical vertebrea・胸椎thoracic vertebrae・腰椎lumber vertebraeと仙骨sacrum、尾骨coccyxから構成される。頚椎・胸椎・腰椎はそれぞれ7個・12個・5個からなり(実は仙骨も5個の仙椎が癒合したものであるが)、C7・Th12・L5のようにイニシャルと番号で呼ぶ事が多い。各脊椎の構造は若干異なるが、それについては後述する。<br> 脊柱の働きは、大きく分けて3つある。 # 身体の支持 # 体幹の運動 # 脊髄の保護 このうち、身体の支持の仕方は我々直立歩行のヒトと四足歩行の動物で大きく異なる。本来四足歩行動物の脊柱は後ろに凸の弯曲している。これを後弯といい、ヒトでも胎児期にはこの後弯のみが見られる。しかし、生後1年以内に頚部と腰部に前に凸の弯曲(前弯)が起こり、最終的に右図のような形になる。この前弯は首がすわる時期(生後3ヶ月)と立って歩き出す時期(生後1年)にできる。 === 脊椎 === [[Image:Gray82.png|thumb|150px|right|図1:胸椎(上面)]] [[Image:Gray90.png|thumb|150px|right|図2:胸椎(右側面)]] [[Image:Gray91.png|thumb|150px|right|図3:胸椎の関節]] 前述の通り脊椎は3~5種類に分かれ、同じ名称の椎骨でも部位により若干形状が異なる。しかし、まずは椎骨のおよその形を掴むため、胸椎を例に椎骨の構造を見ていく。 まず、上面から胸椎を見ると、骨質の詰まった円柱状の椎体(腹側:図1の上)と弓状の椎弓が見える。椎弓が取り囲んでいる孔は脊髄を収める椎孔である。縦に繋がった椎孔は脊柱管と呼ばれる。そして椎弓に付属する形でやや背側左右に一対の横突起、背側正中に棘突起、上部(図1手前)に向けて一対の上関節突起がある。更に、図2を見ると分かるが椎弓のやや前部に一対の下関節突起がある。これらの突起はだいたいが他の骨との関節に働いている。 * 椎体 * 椎弓 ** 横突起:胸椎に特有で肋骨と関節する ** 棘突起 ** 上関節突起:全ての椎骨に見られ一つ上の椎骨の下関節突起と関節する ** 下関節突起:略 次に図3を見て欲しい。椎孔には脊髄が収まる事は前に述べたが、縦に連なる椎孔の他に椎弓同士の間に横方向の隙間があるのがわかる。これは椎間孔と呼ばれ、椎弓の根元(椎弓根)にある切痕により形成される。すなはち、第1椎間孔は第一頚椎(C1)の下椎切痕と、第2頚椎(C2)の上椎切痕がかみ合うことでつくられる。この椎間孔は、[[:wikipedia:脊髄神経|脊髄神経]]が椎孔を出て全身へ向かう際の通り道となる。 * 椎孔:脊髄を容れる脊柱管を形成する * 椎間孔:脊柱管から全身へと向かう脊髄神経が通る 以上が脊椎の概観をつかむ上で理解しておくべき構造である。 === 頚椎 === <div id="C"><gallery> Image:Gray84.png|図4:頚椎(上面) Image:Gray86.png|図5:環椎(上面) Image:Gray87.png|図6:軸椎(後面) </gallery></div> ここからは各椎骨に特徴的な構造について述べていく。頚椎は、7つの骨からできている(キリンの首も7つの頚椎からなるという話は有名)。首周りの運動の他に、体幹と頭蓋骨の連絡をするという役割を持つ。それゆえ、特に第1、第2頚椎は他の脊椎と形態的にかなり異なり、それぞれ環椎(Atlas)、軸椎(Axis)という別の呼び名がある。第7頚椎は、棘突起が対表面の隆起として触れる事ができることから、隆椎(vertebra prominens)とも呼ばれる。隆椎は肋骨との関節が始まる第1胸椎のすぐ上に位置し、異形として小型の肋骨である頚肋(cervical rib)が現れる事もある。この3つが脊椎の中で別称を持つものである。 * 環椎(Atlas) * 軸椎(Axis) * 隆椎(vertebra prominens) ** 頚肋(cervical rib) これらを含む7つの頚椎に特徴的な構造は以下のものがある。[[#C|図4]]を参照されたい。 * 横突孔:横突起に開いている孔。椎骨動脈が通る(ここを出た椎骨動脈は鎖骨下動脈へ)。 * 前結節:横突孔の前部にある結節。環椎では他とかなり異なる部位を指す。軸椎にはない。 * 脊髄神経溝:脊髄神経が全身に向かって出て行く際、通る溝。ここの真ん中に横突孔が開いており、脊髄神経は椎骨動脈をはさむ形で脊柱管を出て行く。 * 後結節:横突孔の後部にある結節。環椎では他とかなり異なる部位を指す。軸椎にはない。 環椎と軸椎の構造[[#C|図5、図6]]は他の頚椎と分けて考えるべきである。 環椎は横突起も短く、棘突起も無い(後結節がその位置を占める)。全体として丸い輪のようだとも表現できる。前面に椎体はなく、前弓と呼ばれるアーチの頂端に前結節(先ほどまでの前結節と形状・位置が異なる事に注意)がある。横突起の基部には上向きに上関節窩(頭蓋骨の後頭顆と関節)、下向きに下関節窩(軸椎の上関節面と関節)があり上関節面を形作る隆起が外側塊と呼ばれる。更に、環椎は軸椎の歯突起とも関節しており、その関節面は前弓内側の歯突起窩である。 * 環椎 ** 前弓 ** 後弓 ** 外側塊:上関節窩外側の隆起 ** 上関節窩:頭蓋骨の後頭顆と関節 ** 下関節窩:軸椎の上関節面と関節 ** 歯突起窩:軸椎の歯突起と関節 軸椎は、歯突起が非常に特徴的で一目で他の椎骨と区別できる。歯突起の前面にある前関節面は環椎の歯突起窩と関節し、上関節面はやはり環椎の下関節窩とつながる(上関節面を作る隆起を軸椎では外側塊と呼んでいる)。ちなみに、ここでいう「窩」や「面」は明確な境があるわけではなく、窪んでいるようなら窩、平らであれば面と命名しているに過ぎない。こういった名称を覚えておく事も骨の詳細な特徴を記憶する上で有用といえよう。椎弓の下関節突起にある下関節面は第3頚椎(C3)上関節面に関節する。 * 軸椎 ** 歯突起:環椎を越えて上部に突き出た突起 ** 前関節面:環椎の歯突起窩と関節 ** 上関節面:環椎の下関節窩と関節 ** 外側塊:上関節面外側の隆起 ** 下関節突起:下関節面を持つ ** 下関節面:第3頚椎上関節面と関節 == 画像一覧 == <gallery> Image:Gray 111 - Vertebral column.png|脊椎全図(左側面) Image:Spinal_column_curvature-en.svg|脊椎の弯曲 Image:Gray86.png|環椎(上面) Image:Gray87.png|軸椎(後面) Image:Gray84.png|頚椎(上面) Image:Gray82.png|胸椎(上面) Image:Gray90.png|胸椎(右側面) Image:Gray91.png|胸椎の関節 Image:Gray106.png|腰椎(上面、一部のみ) Image:Gray92.png|腰椎(右側面) Image:Gray112.png|胸部の骨全図(前面) Image:Gray113.png|胸部の骨全図(後面) Image:Gray115.png|胸骨(前面) Image:Gray116.png|胸骨(後面) Image:Gray123.png|肋骨(後下面) Image:Second rib Gray.png|第2肋骨(前面、倒した状態) Image:Gray126.png|第10肋骨(後面) </gallery> == 外部リンク == [http://biking.taiiku.tsukuba.ac.jp/~takai/Anatomy/EMO/index.html 電脳骨学実習の手引き]:素晴らしい問題集 {{DEFAULTSORT:かいほうかく たいかんのほね}} [[Category:医学]]
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2019-02-26T05:56:47Z
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4,431
フランス語/文法/動詞/直説法現在
直説法現在とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。
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直説法現在とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。 Il parle français. - 彼はフランス語を話します。 / 彼はフランス語を話しています。
'''直説法現在'''とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。 *'''Il parle français.''' - 彼はフランス語を話します。 / 彼はフランス語を話しています。 ==規則動詞== === -er === *parler(話す) <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>je parle</td><td>nous parlons</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu parles</td><td>vous parlez</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il parle</td><td>ils parlent</td></tr> </table> === -ir === *finir(終わる) <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>je finis</td><td>nous finissons</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu finis</td><td>vous finissez</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il finit</td><td>ils finissent</td></tr> </table> ==不規則動詞== === -re === *entendre (聞こえる) <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>je entends</td><td>nous entendons</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu entends</td><td>vous entendez</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il entend</td><td>ils entendent</td></tr> </table> === -oir === *savoir(知る) <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>je sais</td><td>nous savons</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu sais</td><td>vous savez</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il sait</td><td>ils savent</td></tr> </table> ==注意すべき動詞== === être === <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>je suis</td><td>nous sommes</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu es</td><td>vous êtes</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il est</td><td>ils sont</td></tr> </table> === avoir === <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>j'ai</td><td>nous avons</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu as</td><td>vous avez</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il a</td><td>ils ont</td></tr> </table> === aller === <table border="1" cellpadding="2"> <tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr> <tr><th>1人称</th><td>je vais</td><td>nous allons</td></tr> <tr><th>2人称</th><td>tu vas</td><td>vous allez</td></tr> <tr><th>3人称</th><td>il va</td><td>ils vont</td></tr> </table> [[fr:]] [[カテゴリ:フランス語 動詞|とうしちよくせつほうけんさい]]
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2022-12-03T12:26:28Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E/%E6%96%87%E6%B3%95/%E5%8B%95%E8%A9%9E/%E7%9B%B4%E8%AA%AC%E6%B3%95%E7%8F%BE%E5%9C%A8
4,432
大阪市立大対策
本項は、大阪公立大学の入学試験対策に関する事項である。 大阪市立大学(2022年4月1日より、大阪公立大学と改称)は大阪府大阪市にある公立の総合大学である。 本学はセンター試験の比重が高いので75%以上の得点が望ましい。ただし、医学部医学科は話が別で90%程度の得点が求められる。入試問題(2次試験)としては標準レベルの問題を出題しているので、高校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われる。 平成31年度4月1日に公立大学法人・大阪が発足。この関係で令和4年度より、公立大学法人・大阪府立大学と統合して「大阪公立大学」に名称が変更されることとなる。この統合に伴い、令和4年度入試から大阪公立大学として一括募集となる募集となる予定である。 商学部・経済学部 法学部 文学部 生活科学部(食品栄養科学) 生活科学部(居住環境) 生活科学部(人間福祉)・医学部(看護) 理学部・工学部・医学部(医) ※理学部は、学科によって選択できる理科2科目が指定されている場合がある。工学部は、「物理」と「化学」指定。医学部(医)は「物理」・「化学」・「生物」から2科目選択可。 (100分) 例年、読解総合問題3題、和文英訳1題という構成が多い。大問の比率からいって読解力が大切になる。読解総合問題では様々な分野の文章(500~700words程度)が出題されるが、文章の内容自体は標準的なものが多い。問題形式は、下線部和訳、内容説明、空欄補充など様々で年によって変化しているが、過去問3年分をやればすべての形式に触れられるため、過去問演習はしっかりやっておこう。問題量に比べると、試験時間はあまり余裕はないため、精読よりも速読を心がけて学習すると良い。学習の際は、一文一文の文法や文構造を正しく理解しながら読み、日本語に丁寧に訳す練習をすることが大切である。和文英訳は、日本語の読み替えが求められるが、内容は標準レベルであるため、対策を十分にすれば得点源になる。単語集の例文をある程度暗記して、それを組み合わせて書けるように過去問や問題集で演習しよう。 (文学部:120分) 現代文2題、古典1題の計3題の構成である。 (文学部以外:90分) 現代文2題を90分で解くことになる。問題は文学部と共通である。 (文系:90分) 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。満遍なく広い分野から典型的な問題が出題されるので、『黄チャート』等で標準レベルの問題をすべての分野で確実に解けるようにすることが重要である。受験生が苦手にしがちな証明問題も出題されているので、日ごろからどれだけ数学を学習しているかが差に表れやすい。 (理系:120分) 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。数IIIからの出題頻度が高い。文系同様、典型的な問題が多いので、標準レベルの問題をミスなく確実に解けるようにすることが重要である。まずは教科書レベルの問題を確実に解けるようにし、その後は入試標準レベルの問題集で演習を重ねよう。ただし、医学部医学科の場合は、高得点争いになるので、典型問題を確実に解けるようにしておくことに加え、毎年数問出題されるやや難易度の高い問題にも取り組めるような応用力も身につけておこう。 (物理:75分) 大問3題で、力学、電気(電磁気)とその他の分野からそれぞれ1題ずつ出題される。問題としては、基礎~標準レベルの問題が多いため、教科書を中心に取りこぼしが無いように学習しよう。 (化学:75分) 大問3題の出題だが、大問1題のなかに大きく2題にわけて問題が出題されているものもあるため、実質的に大問5~6題と言える。全体としては、理論+無機:有機=2:1の割合で出題されていて、分野としては、化学平衡や有機化合物の構造決定が頻出である。物理に比べると基礎的な問題は少ないが、それでも教科書をもとにしっかり学習していれば高得点が取れる内容である。 (生物:75分) 大問4題で、難易度は教科書で充分に対応できる標準レベルである。設問形式は論述問題が中心であるため、重要語句を自分で説明するといった練習や、考察問題の論述形式の演習などを通して的確に論述できる力を養っておこう。 大阪市立大学対応の模試としては、地元にある天王寺予備校や夕陽丘予備校の「市大オープン模試」(毎年11月実施)があるので、受験生は積極的に受けてほしい。 もちろん形式を似せた問題だけではなく、他の大手予備校の記述模試も受けることが望ましい。
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日本の大学受験ガイド > 大阪公立大学対策 本項は、大阪公立大学の入学試験対策に関する事項である。 大阪市立大学(2022年4月1日より、大阪公立大学と改称)は大阪府大阪市にある公立の総合大学である。 本学はセンター試験の比重が高いので75%以上の得点が望ましい。ただし、医学部医学科は話が別で90%程度の得点が求められる。入試問題(2次試験)としては標準レベルの問題を出題しているので、高校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われる。
{{wikipedia|大阪公立大学}} *[[日本の大学受験ガイド]] > [[大阪公立大学対策]] 本項は、[[w:大阪公立大学|大阪公立大学]]の入学試験対策に関する事項である。 大阪市立大学(2022年4月1日より、大阪公立大学と改称)は大阪府大阪市にある公立の総合大学である。 本学はセンター試験の比重が高いので75%以上の得点が望ましい。ただし、医学部医学科は話が別で90%程度の得点が求められる。入試問題(2次試験)としては標準レベルの問題を出題しているので、高校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われる。 == 連絡事項(令和4年度以降の受験者対象) == 平成31年度4月1日に公立大学法人・大阪が発足。この関係で令和4年度より、公立大学法人・大阪府立大学と統合して「'''大阪公立大学'''」に名称が変更されることとなる。この統合に伴い、'''令和4年度'''入試から大阪公立大学として一括募集となる募集となる予定である。 ==2次試験科目== '''商学部・経済学部''' *「英語」、「数学(ⅡB)」、「国語(現代文)」の計3科目 '''法学部''' *「英語」、「国語(現代文)」の計2科目 '''文学部''' *「英語」、「国語(現代文・古典)」の計2科目 '''生活科学部(食品栄養科学)''' *「英語」、「数学(ⅡB)」、「理科1科目」の計3科目 '''生活科学部(居住環境)''' *「英語」、「数学(ⅡB)」の計2科目 '''生活科学部(人間福祉)・医学部(看護)''' *「英語」、「数学(ⅡB)」か「国語(現代文)」の計2科目 '''理学部・工学部・医学部(医)''' *「英語」、「数学(ⅢC)」、「理科2科目」の計4科目 ※理学部は、学科によって選択できる理科2科目が指定されている場合がある。工学部は、「物理」と「化学」指定。医学部(医)は「物理」・「化学」・「生物」から2科目選択可。 ==英語== '''(100分)'''<br/> 例年、読解総合問題3題、和文英訳1題という構成が多い。大問の比率からいって読解力が大切になる。読解総合問題では様々な分野の文章(500~700words程度)が出題されるが、文章の内容自体は標準的なものが多い。問題形式は、下線部和訳、内容説明、空欄補充など様々で年によって変化しているが、過去問3年分をやればすべての形式に触れられるため、過去問演習はしっかりやっておこう。問題量に比べると、試験時間はあまり余裕はないため、精読よりも速読を心がけて学習すると良い。学習の際は、一文一文の文法や文構造を正しく理解しながら読み、日本語に丁寧に訳す練習をすることが大切である。和文英訳は、日本語の読み替えが求められるが、内容は標準レベルであるため、対策を十分にすれば得点源になる。単語集の例文をある程度暗記して、それを組み合わせて書けるように過去問や問題集で演習しよう。 == 国語 == '''(文学部:120分)'''<br/> 現代文2題、古典1題の計3題の構成である。 *現代文は、評論と随筆(もしくは小説)が1題ずつ出題される。随筆、小説ともに筆者の考えや登場人物の心情を、本文に即して的確に読解することが重要である。評論は硬質な内容が多いが、論旨を的確に把握する練習を積もう。設問形式は内容説明問題が中心であるため、100字程度の解答をスムーズにまとめられるよう練習をしよう。設問レベルとしては、大学入試標準レベルであるだけに、国語が得意な者と苦手な者の間で差が生まれやすい。 *古典は、(A)古文(B)漢文の2つに分かれており、実質的には大問2題分ともいえる量であるため、文学部受験生は注意が必要である。時間配分を意識して、過去問演習でペースを掴めるよう練習しておこう。設問の難易度自体は現代文同様標準的なので、基本的な文法・単語をしっかり身につけ、読解の演習を積んでいこう。 '''(文学部以外:90分)'''<br/> 現代文2題を90分で解くことになる。問題は文学部と共通である。 == 数学 == '''(文系:90分)'''<br/> 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。満遍なく広い分野から典型的な問題が出題されるので、『黄チャート』等で標準レベルの問題をすべての分野で確実に解けるようにすることが重要である。受験生が苦手にしがちな証明問題も出題されているので、日ごろからどれだけ数学を学習しているかが差に表れやすい。   '''(理系:120分)'''<br/> 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。数Ⅲからの出題頻度が高い。文系同様、典型的な問題が多いので、標準レベルの問題をミスなく確実に解けるようにすることが重要である。まずは教科書レベルの問題を確実に解けるようにし、その後は入試標準レベルの問題集で演習を重ねよう。ただし、医学部医学科の場合は、高得点争いになるので、典型問題を確実に解けるようにしておくことに加え、毎年数問出題されるやや難易度の高い問題にも取り組めるような応用力も身につけておこう。 == 理科 == '''(物理:75分)'''<br/> 大問3題で、力学、電気(電磁気)とその他の分野からそれぞれ1題ずつ出題される。問題としては、基礎~標準レベルの問題が多いため、教科書を中心に取りこぼしが無いように学習しよう。 '''(化学:75分)'''<br/> 大問3題の出題だが、大問1題のなかに大きく2題にわけて問題が出題されているものもあるため、実質的に大問5~6題と言える。全体としては、理論+無機:有機=2:1の割合で出題されていて、分野としては、化学平衡や有機化合物の構造決定が頻出である。物理に比べると基礎的な問題は少ないが、それでも教科書をもとにしっかり学習していれば高得点が取れる内容である。 '''(生物:75分)'''<br/> 大問4題で、難易度は教科書で充分に対応できる標準レベルである。設問形式は論述問題が中心であるため、重要語句を自分で説明するといった練習や、考察問題の論述形式の演習などを通して的確に論述できる力を養っておこう。 == 模擬試験 == 大阪市立大学対応の模試としては、地元にある[[w:天王寺予備校|天王寺予備校]]や[[w:夕陽丘予備校|夕陽丘予備校]]の「市大オープン模試」(毎年11月実施)があるので、受験生は積極的に受けてほしい。 もちろん形式を似せた問題だけではなく、他の大手予備校の記述模試も受けることが望ましい。 == 外部サイト == *[http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/admissions/ 入試情報(大阪市立大学公式HP)] [[Category:大学入試|おおさかいちりつたいたいさく]]
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2021-04-03T22:15:31Z
[ "テンプレート:Wikipedia" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96
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組織学/肝臓
肝臓(Liver)は上皮性の組織で、成人では体重の2%(60kgなら1.2kg)を占める臓器といわれる。消化器として扱われることが多いのは肝臓の付属器である胆管が胆汁(脂肪消化に関与)を生成することや、肝臓自体が消化管上皮から分化したものであるため。その役割は胆汁生成のほか糖質などの貯蔵、異物代謝など多岐に渡る。左葉、右葉、方形葉、尾状葉に分けられるが組織学的にこれらの間に違いはない。 肝臓はその多くの機能の割に単純な細胞構成をしており、主に肝細胞(hepatocyte,liver cell)からなる。表面は横隔膜に接する面と肝門(門脈の入る所)以外は漿膜(腹膜)に覆われている。この漿膜は単層扁平の中皮とその下のかなり厚い(50~60μm)結合組織で構成され、肝臓を保護している。この漿膜下組織はグリソン嚢とも呼ばれる。漿膜下組織の続きは肝臓内にも入り込み、肝実質を無数の小葉に隔てる。この実質内での結合組織を特に小葉間結合組織(グリソン鞘)と呼ぶ。 前述の通り、肝実質の細胞はグリソン鞘により小葉に分けられている。この小葉を特に肝小葉(hepatic lobule)と言い、六角形の区画として捕らえられる。肝小葉は肝臓の機能の最小単位であり、中心静脈を中心として捉えるのが一般的である。 またこの六角形を同定するのが顕微鏡像を見るうえで重要なのだが、その基準は中心静脈を中心とした小葉間の三つ組(Portal triad)である。図1を見てもらうと分かるが、無数に規則的に並ぶ肝細胞(後述)の中に、多量の結合組織に覆われた複数の孔(小葉間の三つ組)と、結合組織をほとんど持たない孔(中心静脈)がある。この小葉間の三つ組が六角形の一つの角となり、中心静脈を囲むように並ぶ。ここで注意したいのが、全ての角で結合組織の小葉間の三つ組は一つの肝小葉に対して3,4個しか確認できないという点だ。肝小葉の六角形は実際に見えている三つ組と、肝細胞の並びから推測するしかない。 では、小葉間の三つ組(Portal triad)とは何か。これは小葉間動・静脈、小葉間胆管の3本の管がグリソン鞘によって一箇所にまとめられたものである。最も径の大きいものが小葉間静脈であり、動脈と胆管は平滑筋の量で区別される(図2参照。図1では右にわずかに見える孔が小葉間動脈である)。これら三種の液の走路は肝臓の組織学では非常に重要である。またグリソン鞘と肝細胞の境界部にはわずかな腔があり、ここにはリンパ液が集められる(モール腔)。 注目すべきは、動静脈血は中心静脈に向かって求心性に流れるのに対し、胆汁は遠心性に走行するという点である。これらの液の走行は後に全容をまとめる。 ここでは肝細胞の特徴の一部を列挙するにとどめ、機能の詳細は生理学に譲りたい。 肝細胞は中心静脈からほぼ放射状に規則的に配列しており、その列構造を肝細胞索と呼ぶ。これら肝細胞索の間は類洞(洞様毛細血管)と呼ばれる、毛細血管よりも太い血液の走路を形成する。また類洞とは離れた位置で、肝細胞2つの間に毛細胆管も形成される。これは細胞で作られた胆汁を小葉間胆管に送る経路の一部であり、ヘマトキシリン-エオジン染色でも濃染する細胞膜としてなんとか同定できる。毛細胆管は小葉間胆管に向かう過程でへリング管(Hering Duct)に移行する。 類洞は隣り合う肝細胞索の間を走行する血管と捉えられる。肝細胞と類洞の間には内皮細胞が存在し、他にもクッパー細胞(Kupffer cell)や、伊東細胞(Ito cell)も見られる。内皮細胞と肝細胞の間にはわずかに腔があり、ここをディッセ腔と呼ぶ。ディッセ腔はリンパの走路であり、小葉間の三つ組付近にあるモール腔へとリンパ液を送る。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "肝臓(Liver)は上皮性の組織で、成人では体重の2%(60kgなら1.2kg)を占める臓器といわれる。消化器として扱われることが多いのは肝臓の付属器である胆管が胆汁(脂肪消化に関与)を生成することや、肝臓自体が消化管上皮から分化したものであるため。その役割は胆汁生成のほか糖質などの貯蔵、異物代謝など多岐に渡る。左葉、右葉、方形葉、尾状葉に分けられるが組織学的にこれらの間に違いはない。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "肝臓はその多くの機能の割に単純な細胞構成をしており、主に肝細胞(hepatocyte,liver cell)からなる。表面は横隔膜に接する面と肝門(門脈の入る所)以外は漿膜(腹膜)に覆われている。この漿膜は単層扁平の中皮とその下のかなり厚い(50~60μm)結合組織で構成され、肝臓を保護している。この漿膜下組織はグリソン嚢とも呼ばれる。漿膜下組織の続きは肝臓内にも入り込み、肝実質を無数の小葉に隔てる。この実質内での結合組織を特に小葉間結合組織(グリソン鞘)と呼ぶ。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "前述の通り、肝実質の細胞はグリソン鞘により小葉に分けられている。この小葉を特に肝小葉(hepatic lobule)と言い、六角形の区画として捕らえられる。肝小葉は肝臓の機能の最小単位であり、中心静脈を中心として捉えるのが一般的である。 またこの六角形を同定するのが顕微鏡像を見るうえで重要なのだが、その基準は中心静脈を中心とした小葉間の三つ組(Portal triad)である。図1を見てもらうと分かるが、無数に規則的に並ぶ肝細胞(後述)の中に、多量の結合組織に覆われた複数の孔(小葉間の三つ組)と、結合組織をほとんど持たない孔(中心静脈)がある。この小葉間の三つ組が六角形の一つの角となり、中心静脈を囲むように並ぶ。ここで注意したいのが、全ての角で結合組織の小葉間の三つ組は一つの肝小葉に対して3,4個しか確認できないという点だ。肝小葉の六角形は実際に見えている三つ組と、肝細胞の並びから推測するしかない。", "title": "肝臓の組織" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "では、小葉間の三つ組(Portal triad)とは何か。これは小葉間動・静脈、小葉間胆管の3本の管がグリソン鞘によって一箇所にまとめられたものである。最も径の大きいものが小葉間静脈であり、動脈と胆管は平滑筋の量で区別される(図2参照。図1では右にわずかに見える孔が小葉間動脈である)。これら三種の液の走路は肝臓の組織学では非常に重要である。またグリソン鞘と肝細胞の境界部にはわずかな腔があり、ここにはリンパ液が集められる(モール腔)。", "title": "肝臓の組織" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "注目すべきは、動静脈血は中心静脈に向かって求心性に流れるのに対し、胆汁は遠心性に走行するという点である。これらの液の走行は後に全容をまとめる。", "title": "肝臓の組織" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "ここでは肝細胞の特徴の一部を列挙するにとどめ、機能の詳細は生理学に譲りたい。", "title": "肝臓の組織" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "肝細胞は中心静脈からほぼ放射状に規則的に配列しており、その列構造を肝細胞索と呼ぶ。これら肝細胞索の間は類洞(洞様毛細血管)と呼ばれる、毛細血管よりも太い血液の走路を形成する。また類洞とは離れた位置で、肝細胞2つの間に毛細胆管も形成される。これは細胞で作られた胆汁を小葉間胆管に送る経路の一部であり、ヘマトキシリン-エオジン染色でも濃染する細胞膜としてなんとか同定できる。毛細胆管は小葉間胆管に向かう過程でへリング管(Hering Duct)に移行する。", "title": "肝臓の組織" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "類洞は隣り合う肝細胞索の間を走行する血管と捉えられる。肝細胞と類洞の間には内皮細胞が存在し、他にもクッパー細胞(Kupffer cell)や、伊東細胞(Ito cell)も見られる。内皮細胞と肝細胞の間にはわずかに腔があり、ここをディッセ腔と呼ぶ。ディッセ腔はリンパの走路であり、小葉間の三つ組付近にあるモール腔へとリンパ液を送る。", "title": "肝臓の組織" } ]
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{{medical stub}} == 概要 == '''肝臓(Liver)'''は上皮性の組織で、成人では体重の2%(60kgなら1.2kg)を占める臓器といわれる。消化器として扱われることが多いのは肝臓の付属器である胆管が胆汁(脂肪消化に関与)を生成することや、肝臓自体が消化管上皮から分化したものであるため。その役割は胆汁生成のほか糖質などの貯蔵、異物代謝など多岐に渡る。左葉、右葉、方形葉、尾状葉に分けられるが組織学的にこれらの間に違いはない。 肝臓はその多くの機能の割に単純な細胞構成をしており、主に肝細胞(hepatocyte,liver cell)からなる。表面は横隔膜に接する面と肝門(門脈の入る所)以外は漿膜(腹膜)<!--腹膜は肉眼解剖学的な呼称であり、組織学的には臓器の外面を覆う腹膜であると表現するべき-->に覆われている。この漿膜は単層扁平の中皮とその下のかなり厚い(50~60μm)結合組織で構成され、肝臓を保護している。この漿膜下組織はグリソン嚢とも呼ばれる。漿膜下組織の続きは肝臓内にも入り込み、肝実質を無数の小葉に隔てる。この実質内での結合組織を特に小葉間結合組織(グリソン鞘)と呼ぶ。 == 肝臓の組織 == === 肝小葉 === <div id="1">[[Image:Human liver.jpg|thumb|200px|right|図1:肝実質組織]]</div> <div id="1">[[Image:Portal triad.JPG|thumb|200px|right|図2:小葉間の三つ組]]</div> 前述の通り、肝実質の細胞はグリソン鞘により小葉に分けられている。この小葉を特に肝小葉(hepatic lobule)と言い、六角形の区画として捕らえられる。肝小葉は肝臓の機能の最小単位であり、中心静脈を中心として捉えるのが一般的である。 またこの六角形を同定するのが顕微鏡像を見るうえで重要なのだが、その基準は中心静脈を中心とした小葉間の三つ組(Portal triad)である。[[#1|図1]]を見てもらうと分かるが、無数に規則的に並ぶ肝細胞(後述)の中に、多量の結合組織に覆われた複数の孔(小葉間の三つ組)と、結合組織をほとんど持たない孔(中心静脈)がある。この小葉間の三つ組が六角形の一つの角となり、中心静脈を囲むように並ぶ。ここで注意したいのが、全ての角で結合組織の小葉間の三つ組は一つの肝小葉に対して3,4個しか確認できないという点だ。肝小葉の六角形は実際に見えている三つ組と、肝細胞の並びから推測するしかない。 では、'''小葉間の三つ組(Portal triad)'''とは何か。これは小葉間動・静脈、小葉間胆管の3本の管がグリソン鞘によって一箇所にまとめられたものである。最も径の大きいものが小葉間静脈であり、動脈と胆管は平滑筋の量で区別される([[#2|図2]]参照。図1では右にわずかに見える孔が小葉間動脈である)。これら三種の液の走路は肝臓の組織学では非常に重要である。またグリソン鞘と肝細胞の境界部にはわずかな腔があり、ここにはリンパ液が集められる(モール腔)。 *小葉間動脈:固有肝動脈からの動脈血を受ける *小葉間静脈:門脈からの静脈血を受ける *小葉間胆管:毛細胆管(後述)から胆汁を受ける *モール腔:リンパ液をリンパ管へと送る 注目すべきは、動静脈血は中心静脈に向かって求心性に流れるのに対し、胆汁は遠心性に走行するという点である。これらの液の走行は後に全容をまとめる。 === 肝細胞 === ここでは肝細胞の特徴の一部を列挙するにとどめ、機能の詳細は[[生理学]]に譲りたい。 *粗面小胞体が発達している:肝細胞は胆汁を分泌する外分泌器官であるため''(粗面小胞体は外分泌腺で発達)'' *滑面小胞体が発達している:グリコゲンからグルコースの合成、その他にも胆汁酸塩、コレステロールの合成、ビリルビンなどのグルクロン酸抱合、脂肪酸のエステル化などを行うため *ペルオキシソームが存在する *グリコーゲン顆粒を持ち、電子顕微鏡下で確認できる 肝細胞は中心静脈からほぼ放射状に規則的に配列しており、その列構造を肝細胞索と呼ぶ。これら肝細胞索の間は'''類洞(洞様毛細血管)'''と呼ばれる、毛細血管よりも太い血液の走路を形成する。また類洞とは離れた位置で、肝細胞2つの間に毛細胆管も形成される。これは細胞で作られた胆汁を小葉間胆管に送る経路の一部であり、ヘマトキシリン-エオジン染色でも濃染する細胞膜としてなんとか同定できる。毛細胆管は小葉間胆管に向かう過程でへリング管(Hering Duct)に移行する。 *肝細胞索 *類洞 *毛細胆管 *へリング管 === 類洞(洞様毛細血管) === 類洞は隣り合う肝細胞索の間を走行する血管と捉えられる。肝細胞と類洞の間には内皮細胞が存在し、他にもクッパー細胞(Kupffer cell)や、伊東細胞(Ito cell)も見られる。内皮細胞と肝細胞の間にはわずかに腔があり、ここをディッセ腔と呼ぶ。ディッセ腔はリンパの走路であり、小葉間の三つ組付近にあるモール腔へとリンパ液を送る。 *内皮細胞 *クッパー細胞:食作用をもつ単球由来の細胞。サイトカインも放出する *伊東細胞:ビタミンA貯蔵細胞。脂肪を取り込む性質があり、脂肪滴が見えることもある。見つかることは稀 *ディッセ腔:内皮細胞と肝細胞(索)の間にある。遠心性にリンパ液をモール腔へと送る *モール腔:小葉間の三つ組付近にある。ディッセ腔からリンパ液を受けリンパ管へと送る === 体液の走路 === ;全身からの動脈血:固有肝動脈→小葉間動脈→(肝細胞などへ)→類洞→中心静脈→小葉下静脈→肝静脈 ;全身からの静脈血:門脈(Portal vein)→小葉間静脈→類洞→中心静脈→小葉下静脈→肝静脈 ;胆汁:肝細胞で生成→毛細胆管→へリング管→小葉間胆管→総肝管 == 画像一覧 == <gallery> Image:Liver 1.jpg|肝臓の位置 Image:Human liver.jpg|肝実質組織 Image:Liver scheme1.jpg|肝小葉と血液、胆汁の流れ Image:Liver scheme2.jpg|類洞とディッセ腔での流れ </gallery> == 関連項目 == == 外部リンク ==
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2019-06-19T07:41:51Z
[ "テンプレート:Medical stub" ]
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4,452
生理学/心臓
心臓は胸腔に位置する、血液を全身に送り出すポンプの役割を持つ器官である。心臓には左右の心房・心室があり、ヒトではそれぞれが心房中隔、心室中隔で区切られているため健常人において左心房、右心房、左心室、右心室の血液が混ざる事はない。また、心臓には血液の逆流を防ぐ弁がある。弁はリング状の線維輪に収められている。図1は心臓を横断し、4つある弁の位置関係を示したものである。血液の順路どおりに解説するなら(d)三尖弁、(c)肺動脈弁、(a)僧帽弁、(b)大動脈弁となる(上が腹側)。以下に血液の大まかな走路を示す。 大静脈→右心房―(三尖弁)→右心室―(肺動脈弁)→肺→左心房→(僧帽弁)→左心室―(大動脈弁)→大動脈から全身へ つまり ということになる。 心臓は交感神経、副交感神経両方から支配を受けているが心臓の活動自体は自律的に行われている。それは後に述べる興奮伝導系により洞房結節(sinoatrial node)からの興奮が心臓全体に伝えられるためである。これにより、心臓移植などで心臓神経(交感、副交感神経の総称)を切断しても心臓は活動できるのである。 心房は心臓において血液を貯蔵しておく役割が大きい。血液を実際に肺や全身に送るのは心筋層の厚い心室の役割である。肺へ送り出す右心室よりも全身へ送り出す左心室の方が筋層が厚くなっているのも当然といえる。心筋は組織学的に特殊心筋と固有心筋に分けられる。 特殊心筋は興奮伝導系の構成要素であり、心臓が自律的に収縮するための仕組みである。この興奮伝導系には洞房結節(キース-フラック結節)、房室結節(田原結節)、ヒス束、右脚・左脚(プルキンエ線維)を含む(後述)。 心電図は手首や胸部など複数箇所に電極をつけ、その電位差を測定した結果である。主に心筋(固有筋が多い)の興奮により生じる電位を誘導する。心電図には一般的に3種類、12箇所の電位があり、これらについて詳述していく。まずは3種類の誘導法と用いる電極を見てもらいたい。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "心臓は胸腔に位置する、血液を全身に送り出すポンプの役割を持つ器官である。心臓には左右の心房・心室があり、ヒトではそれぞれが心房中隔、心室中隔で区切られているため健常人において左心房、右心房、左心室、右心室の血液が混ざる事はない。また、心臓には血液の逆流を防ぐ弁がある。弁はリング状の線維輪に収められている。図1は心臓を横断し、4つある弁の位置関係を示したものである。血液の順路どおりに解説するなら(d)三尖弁、(c)肺動脈弁、(a)僧帽弁、(b)大動脈弁となる(上が腹側)。以下に血液の大まかな走路を示す。", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "大静脈→右心房―(三尖弁)→右心室―(肺動脈弁)→肺→左心房→(僧帽弁)→左心室―(大動脈弁)→大動脈から全身へ", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "つまり", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "ということになる。", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "心臓は交感神経、副交感神経両方から支配を受けているが心臓の活動自体は自律的に行われている。それは後に述べる興奮伝導系により洞房結節(sinoatrial node)からの興奮が心臓全体に伝えられるためである。これにより、心臓移植などで心臓神経(交感、副交感神経の総称)を切断しても心臓は活動できるのである。", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "心房は心臓において血液を貯蔵しておく役割が大きい。血液を実際に肺や全身に送るのは心筋層の厚い心室の役割である。肺へ送り出す右心室よりも全身へ送り出す左心室の方が筋層が厚くなっているのも当然といえる。心筋は組織学的に特殊心筋と固有心筋に分けられる。", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "特殊心筋は興奮伝導系の構成要素であり、心臓が自律的に収縮するための仕組みである。この興奮伝導系には洞房結節(キース-フラック結節)、房室結節(田原結節)、ヒス束、右脚・左脚(プルキンエ線維)を含む(後述)。", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "心電図は手首や胸部など複数箇所に電極をつけ、その電位差を測定した結果である。主に心筋(固有筋が多い)の興奮により生じる電位を誘導する。心電図には一般的に3種類、12箇所の電位があり、これらについて詳述していく。まずは3種類の誘導法と用いる電極を見てもらいたい。", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "", "title": "心臓の生理" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "", "title": "心臓の生理" } ]
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{{medical stub}} == 概要 == == 心臓の生理 == === 心臓の解剖学 === <div id="1">[[Image:Ssakzastawki.png|thumb|200px|right|図1:各弁の位置関係]]</div> <div id="1">[[Image:Heart_diastole.png|thumb|200px|right|図2:心臓の概観(心房から心室への血流が示されている)]]</div> 心臓は胸腔に位置する、血液を全身に送り出すポンプの役割を持つ器官である。心臓には左右の心房・心室があり、ヒトではそれぞれが心房中隔、心室中隔で区切られているため健常人において左心房、右心房、左心室、右心室の血液が混ざる事はない。また、心臓には血液の逆流を防ぐ弁がある。弁はリング状の線維輪に収められている。[[#1|図1]]は心臓を横断し、4つある弁の位置関係を示したものである。血液の順路どおりに解説するなら(d)三尖弁、(c)肺動脈弁、(a)僧帽弁、(b)大動脈弁となる(上が腹側)。以下に血液の大まかな走路を示す。 大静脈→右心房―(三尖弁)→右心室―(肺動脈弁)→肺→左心房→(僧帽弁)→左心室―(大動脈弁)→大動脈から全身へ つまり *房室間(心房、心室の間)にある弁:三尖弁と僧帽弁(房室弁という) *心室と大血管の間にある弁:肺動脈弁と大動脈弁(その形態から半月弁という) ということになる。 ==== 支配神経 ==== 心臓は交感神経、副交感神経両方から支配を受けているが心臓の活動自体は自律的に行われている。それは後に述べる興奮伝導系により洞房結節(sinoatrial node)からの興奮が心臓全体に伝えられるためである。これにより、心臓移植などで心臓神経(交感、副交感神経の総称)を切断しても心臓は活動できるのである。 ==== 心筋 ==== 心房は心臓において血液を貯蔵しておく役割が大きい。血液を実際に肺や全身に送るのは心筋層の厚い心室の役割である。肺へ送り出す右心室よりも全身へ送り出す左心室の方が筋層が厚くなっているのも当然といえる。心筋は組織学的に特殊心筋と固有心筋に分けられる。 *特殊心筋:心臓の収縮にはほとんど働かず、興奮刺激を心筋に伝える役目を持つ *固有心筋:特殊心筋からの刺激を受け実際に心臓の収縮に働く 特殊心筋は興奮伝導系の構成要素であり、心臓が自律的に収縮するための仕組みである。この興奮伝導系には洞房結節(キース-フラック結節)、房室結節(田原結節)、ヒス束、右脚・左脚(プルキンエ線維)を含む(後述)。 === 心臓の電気的活動 === <!-- 要点: *心筋全体が素早く同調できる構造をもつ *興奮伝導系が自律的拍動をつかさどる *房室結節の房室伝導遅延が心房と心室の協調的拍動を起こす *心筋は **0相:最大立ち上がり相(Naの急速な流入(Ina)) **1相:オーバーシュート~初期再分極相(Naの急速な流入、それに続いてCaも、結節にはない) **2相:プラトー相(不応期、電位差がなくなる、Ca主体のIsiによる) **3相:再分極相(主にKの流出) **4相:緩徐脱分極層(洞房、房室結節のみに見られる、Kの流出減少・Caの流入による) *※Na,K,Caは外向き電流(流出)か内向き電流(流入)かをよく確認 *ゆっくりとした強縮のない拍動はプラトー相による *Ca流入は特殊心筋の興奮だけでなく、固有心筋の収縮にも働く *ムスカリン性Ach受容体刺激は緩徐脱分極をなくして徐脈~心停止 * * * --> === 心電図の読み方 === 心電図は手首や胸部など複数箇所に電極をつけ、その電位差を測定した結果である。主に心筋(固有筋が多い)の興奮により生じる電位を誘導する。心電図には一般的に3種類、12箇所の電位があり、これらについて詳述していく。まずは3種類の誘導法と用いる電極を見てもらいたい。 *標準肢誘導 **第Ⅰ誘導:左手-右手の電位差をみる **第Ⅱ誘導:左足-右手の電位差をみる **第Ⅲ誘導:左足-左手の電位差をみる *単極肢誘導:本来はWilsonの結合電極を不関電極(基準となる単位)とするが、以下を代用すると効率的である(証明は後に譲る) **aV<small>R</small>:Rは右手の事。右手の電位変動を左手-左足結合電極を基準としてみる **aV<small>L</small>:Lは左手の事。左手の電位変動を右手-左足結合電極を基準としてみる **aV<small>F</small>:Fは左足(Foot)の事。左足の電位変動を右手-左手結合電極を基準としてみる *単極胸部誘導:やはりWilsonの結合電極を不関電極とする。ちなみにこの結合電極の抵抗値は0で近似できる(後述) **V1誘導:第四肋間胸骨左縁 **V2誘導:第四肋間胸骨右縁 **V3誘導:V2とV4の間 **V4誘導:鎖骨中線上、第五肋間(心尖部) **V5誘導:左前腋窩線上、V4の高さ **V6誘導:左中腋窩線上、V4の高さ === 心臓の運動 === == 画像一覧 == <gallery> Image:P Zelle.GIF|洞房・房室結節の電位 Image:Potenziale.svg|心室筋の電位 Image:ECG Principle fast.gif|興奮伝導系 Image:QRS normal.svg|心電図 Image:ECG 002 a.jpg|標準肢誘導・単極肢誘導での心電図 Image:ECG 002 b.jpg|胸部肢誘導での心電図 </gallery> == 関連項目 == == 外部リンク == [http://www.maxanim.com/physiology/index.htm Max Animations]海外の生理学動画サイト(英語音声解説付) == 参考文献 == *ISBN 4524239529 シンプル生理学 *ISBN 4260101374 標準生理学
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2019-07-29T13:46:41Z
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4,453
解剖学/頭蓋骨
頭蓋の骨は人体でも特に重要な脳を取り囲むようにして存在する。しかし、脳からはたくさんの脳神経や脳幹も出ているため、頭蓋骨にはそれらに沿って数多くの孔が複雑に存在する。また、脳は頭蓋骨という一つの骨で守られているのではなく、数個の骨が癒合した結果としての頭蓋骨に収まっている。この以前は別の骨だったもの同士の境を縫合というが、これも頭蓋骨の形状を学ぶ上で大切である。ここでは頭蓋内部、外部での孔の位置や、そこから出る脳神経にも焦点を当てていきたい(なお、脳神経の働きについては神経解剖学で解説する)。空間的把握をしっかりと行う事が求められる。 頭蓋は13種20個(舌骨、口蓋骨を含まない)の骨が縫合により一つに合わさったものである事はすでに述べた。以下はその頭部の骨の名称である。図1のように、頭蓋骨は顔面を形作る顔面頭蓋と脳を保護する脳頭蓋に分けることが出来る。 ※顔面頭蓋には他に口蓋骨(Palatine bone)と舌骨(Hyoid bone)が含まれる。 頭蓋の骨の位置は画像一覧か解剖学テキストなどのサイトで確認してもらいたい。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "頭蓋の骨は人体でも特に重要な脳を取り囲むようにして存在する。しかし、脳からはたくさんの脳神経や脳幹も出ているため、頭蓋骨にはそれらに沿って数多くの孔が複雑に存在する。また、脳は頭蓋骨という一つの骨で守られているのではなく、数個の骨が癒合した結果としての頭蓋骨に収まっている。この以前は別の骨だったもの同士の境を縫合というが、これも頭蓋骨の形状を学ぶ上で大切である。ここでは頭蓋内部、外部での孔の位置や、そこから出る脳神経にも焦点を当てていきたい(なお、脳神経の働きについては神経解剖学で解説する)。空間的把握をしっかりと行う事が求められる。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "頭蓋は13種20個(舌骨、口蓋骨を含まない)の骨が縫合により一つに合わさったものである事はすでに述べた。以下はその頭部の骨の名称である。図1のように、頭蓋骨は顔面を形作る顔面頭蓋と脳を保護する脳頭蓋に分けることが出来る。", "title": "頭蓋骨の解剖" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "※顔面頭蓋には他に口蓋骨(Palatine bone)と舌骨(Hyoid bone)が含まれる。", "title": "頭蓋骨の解剖" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "頭蓋の骨の位置は画像一覧か解剖学テキストなどのサイトで確認してもらいたい。", "title": "頭蓋骨の解剖" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "", "title": "頭蓋骨の解剖" } ]
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== 概要 == 頭蓋の骨は人体でも特に重要な脳を取り囲むようにして存在する。しかし、脳からはたくさんの脳神経や脳幹も出ているため、頭蓋骨にはそれらに沿って数多くの孔が複雑に存在する。また、脳は頭蓋骨という一つの骨で守られているのではなく、数個の骨が癒合した結果としての頭蓋骨に収まっている。この以前は別の骨だったもの同士の境を縫合というが、これも頭蓋骨の形状を学ぶ上で大切である。ここでは頭蓋内部、外部での孔の位置や、そこから出る脳神経にも焦点を当てていきたい(なお、脳神経の働きについては[[神経解剖学]]で解説する)。空間的把握をしっかりと行う事が求められる。 == 頭蓋骨の解剖 == === 頭蓋を形作る骨 === [[Image:Gray 188 -devided.png|thumb|100px|right|顔面頭蓋と脳頭蓋]] 頭蓋は13種20個(舌骨、口蓋骨を含まない)の骨が縫合により一つに合わさったものである事はすでに述べた。以下はその頭部の骨の名称である。図1のように、頭蓋骨は顔面を形作る顔面頭蓋と脳を保護する脳頭蓋に分けることが出来る。 *脳頭蓋 **前頭骨(Frontal bone) **蝶形骨(sphenoid bone) **頭頂骨(Parietal bone)(2) **篩骨(Ethmoid) **側頭骨(Temporal bone)(2) **後頭骨(Occipital bone) *顔面頭蓋 **頬骨(Zygomatic bone)(2) **涙骨(Lacrimal bone)(2) **鼻骨(Nasal bone)(2) **下鼻甲介(Inferior nasal concha)(2) **鋤骨(Vomer) **上顎骨(Maxilla)(2) **下顎骨(Mandibula) ※顔面頭蓋には他に口蓋骨(Palatine bone)と舌骨(Hyoid bone)が含まれる。 頭蓋の骨の位置は[[#画像一覧|画像一覧]]か[http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/anatomy/anatomyi-1.html 解剖学テキスト]などのサイトで確認してもらいたい。 == 画像一覧 == <gallery> Image:Gray190.png|頭蓋骨(前面) Image:Gray188.png|頭蓋骨(側面) Image:Gray164.png|頬骨部(拡大) Image:Gray134.png|前頭骨(外側) Image:Gray135.png|前頭骨(内側) Image:Gray132.png|頭頂骨(左:外側) Image:Gray133.png|頭頂骨(左:内側) Image:Gray190.png|上顎骨(左) Image:Gray184.png|下顎骨(左) Image:Gray147.png|蝶形骨 Image:Gray129.png|後頭骨 Image:Gray137.png|側頭骨 Image:Gray166.png|頬骨 Image:Gray153.png|篩骨の位置 Image:Gray149.png|篩骨 Image:Gray173.png|鋤骨の位置 Image:Gray174.png|鋤骨 Image:Gray154.png|涙骨の位置 Image:Gray163.png|涙骨 Image:Gray43.png|舌骨の位置 Image:Gray186-ja.png|舌骨 Image:Gray170.png|下鼻甲介の位置 Image:Gray171.png|下鼻甲介 </gallery> == 外部リンク == *[http://biking.taiiku.tsukuba.ac.jp/~takai/Anatomy/EMO/cranium/cranium.html 電脳骨学実習の手引き(頭蓋)]フレームあり *[http://tani-san.cside.com/anatomy/ Digital Anatomy(頭頸部の解剖学)] * [[Category:医学|かいほうかく すかいこつ]]
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2008-12-13T09:23:18Z
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4,458
民法第37条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第37条 (外国法人の登記) 民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされる予定である。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第37条
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]>[[民法第37条]] == 条文 == (外国法人の登記) ;第37条 #外国法人([[民法第35条|第35条第1項ただし書]]に規定する外国法人に限る。以下この条において同じ。)が日本に事務所を設けたときは、3週間以内に、その事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければならない。 ##外国法人の設立の準拠法 ##目的 ##名称 ##事務所の所在場所 ##存続期間を定めたときは、その定め ##代表者の氏名及び住所 # 前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、3週間以内に、変更の登記をしなければならない。この場合において、登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。 # 代表者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その登記をしなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。 # 前二項の規定により登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間は、その通知が到達した日から起算する。 # 外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは、その事務所の所在地において登記するまでは、第三者は、その法人の成立を否認することができる。 # 外国法人が事務所を移転したときは、旧所在地においては3週間以内に移転の登記をし、新所在地においては4週間以内に第1項各号に掲げる事項を登記しなければならない。 # 同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。 # 外国法人の代表者が、この条に規定する登記を怠ったときは、50万円以下の過料に処する。 ==解説== 民法の法人関係の規定においては「[[コンメンタール一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律|一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律]]」により全部改正がなされる予定である。 ==参照条文== ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#3|第3章 法人]]<br> |[[民法第36条]]<br>(登記) |[[民法第38条]]<br>(民法38条から第84条まで削除されています)<br>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#4|第4章 物]]<br>[[民法第85条]]<br>(定義) }} {{stub|law}} [[category:民法|037]] [[category:行政罰|み民037]]
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民法第38条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (定款の変更) 第38条 民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされ削除された。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (定款の変更) 第38条 定款は、総社員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。 定款の変更は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]] ;平成18年6月2日 法律50号(施行:平20年12月1日)により削除 ([[定款]]の変更)<br> 第38条 # 定款は、総社員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。 # 定款の変更は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。 ==解説== 民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされ削除された。 ==参照条文== [[category:民法|038]] [[category:削除又は廃止された条文|民038]]
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エスペラント/文法/疑問文・否定文
疑問文を作るには、通常の文に"Ĉu"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。 又は、 否定文を作るには、副詞の"ne"を付けます。 ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る"ne"です。前者はいいえという意味ですが、後者は文を否定する副詞の"ne"です。 ちなみに、先程の質問をはいで答える場合は、
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疑問文を作るには、通常の文に"Ĉu"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。 Ĉu vi estas esperantisto? (あなたは、エスペンランティストですか?) 又は、 Vi estas esperantisto, ĉu? 否定文を作るには、副詞の"ne"を付けます。 Ne, mi ne estas esperantisto. (いいえ、私はエスペランティストではありません。) ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る"ne"です。前者はいいえという意味ですが、後者は文を否定する副詞の"ne"です。 ちなみに、先程の質問をはいで答える場合は、 Jes, mi estas esperantisto. (はい、私はエスペランティストです。)
疑問文を作るには、通常の文に"'''Ĉu'''"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。 *'''Ĉu''' vi estas esperantisto? (あなたは、エスペンランティストですか?) 又は、 *Vi estas esperantisto, '''ĉu'''? 否定文を作るには、副詞の"'''ne'''"を付けます。 *Ne, mi '''ne''' estas esperantisto. (いいえ、私はエスペランティストではありません。) ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る"'''ne'''"です。前者は''いいえ''という意味ですが、後者は文を否定する副詞の"'''ne'''"です。 ちなみに、先程の質問を''はい''で答える場合は、 *Jes, mi estas esperantisto. (はい、私はエスペランティストです。) [[カテゴリ:エスペラント文法|文法疑問文否定文]]
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民法第1条
(基本原則) Article 1 Private rights must conform to the public welfare. (出典: 法学/英文引用元)
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{{Pathnav|法学|民事法|民法|コンメンタール民法|第1編 総則 (コンメンタール民法)|frame=1}} ==条文== (基本原則) ;第1条 # [[私権]]は、[[公共の福祉]]に適合しなければならない。 # 権利の行使及び義務の履行は、[[信義則|信義に従い誠実]]に行わなければならない。 # 権利の[[濫用]]は、これを許さない。 ==解説== *第1項は、私権の内容について規定している。 *第2項は、私権の行使及び義務の履行における信義誠実の原則(信義則)について規定している。 *:信義則からは、以下の4つの原理が導き出される。 *:#'''禁反言の法則(エストッペルの原則)''' *:#:自己の行為に矛盾した態度をとることは許されない。 *:#:;法令への反映 *:#:*[[民法第398条|第398条]] - 地上権等を抵当権の目的とした地上権者等は、その権利を放棄しても、抵当権者に対抗することができない(参考判例:[[#第398条|最判昭和38年02月21日]])。 *:#:*[[民法第543条|第543条]] - 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、契約の解除をすることができない。 *:#:;判例 *:#:*[[#禁反言|最判平成21年03月27日]] *:#'''クリーンハンズの原則''' *:#:自ら法を尊重するものだけが、法の救済を受けるという原則で、自ら不法に関与した者には裁判所の救済を与えない。 *:#:;法令への反映 *:#:*[[民法第130条|第130条]] - 条件成就の妨害。 *:#:*[[民法第295条|第295条]] - 他人の物の占有が不法行為によって始まった場合の留置権の不成立。 *:#:*[[民法第708条|第708条]] - 不法原因給付。 *:#'''事情変更の原則(法則)''' *:#:契約時の社会的事情や契約の基礎のなった事情に、その後、著しい変化があり、契約の内容を維持し強制することが不当となった場合は、それに応じて変更されなければならない。 *:#'''権利失効の原則''' *:#:権利者が信義に反して権利を長い間行使しないでいると、権利の行使が阻止されるという原則。時効制度を典型とする。 *第3項は、権利濫用の禁止について規定している。 ==英文== Article 1 Private rights must conform to the public welfare. :(2) The exercise of rights and performance of duties must be done in good faith. :(3) No abuse of rights is permitted. <small>(出典: [[法学/英文引用元]])</small> ==参照条文== *[[w:日本国憲法第12条|日本国憲法第12条]] ==参照判例== *[[w:信玄公旗掛松事件|信玄公旗掛松事件 大正8年3月3日]] *[[w:宇奈月温泉事件|宇奈月温泉事件 昭和10年10月5日]] ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54889&hanreiKbn=02 解職処分取消請求](最高裁判決 昭和34年06月26日) ##'''公務員の退職願の撤回が許される時期''' ##:公務員の退職願の撤回は、免職辞令の交付があるまでは、原則として自由であるが、辞令交付前においても、これを撤回することが信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には、撤回は許されないものと解すべきである。 ##'''教育長と教育公務員の退職願およびその撤回の意思表示の受領権限''' ##:教育長は、教育委員会の補助機関として教育公務員の退職願およびその撤回の意思表示を受領する権限を有する。 ##'''公務員の退職願の撤回が有効とされた事例''' ##:公務員の退職願の撤回が免職辞令の交付前になされた場合において、右退職願の提出が提出者本人の都合に基き進んでなされたものではなく五五歳以上の者に勇退を求めるという任免権者の都合に基く勧告に応じてなされたものであり、撤回の動機も五五歳以上の者で残存者があることを聞き及んだことによるもので、あながちとがめ得ない性質のものであるという事情があり、しかも撤回の意思表示が右聞知後遅怠なく退職願の提出は後一週間足らずの間になされており、その時には、すでに任免権者の側で退職承認の内部的決定がなされていたとはいえ、本人が退職の提出前に右事情を知つていたとは認められないのみならず、任免権者の側で、本人の自由意思を尊重する建前から撤回の意思表示につき考慮し善処したとすれば、爾後の手続の進行による任免権者の側の不都合は十分避け得べき状況にあつたと認められるような事情がある場合には、退職願を撤回することが信義に反すると認むべき特段の事情があるものとは解されないから、右撤回は有効と認むべきである。 #<span id="転貸"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63508 家屋明渡請求](最高裁判決 昭和37年2月1日) #;賃貸借の合意解除と転借人の権利 #:賃貸人の承諾ある転貸借の場合には、転借人に不信な行為があるなどして、賃貸人と賃借人との間で賃貸借を合意解除することが信義誠実の原則に反しないような特段の事由のあるほか、右合意解除により転借人の権利は消滅しない。 #<span id="第398条"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53732&hanreiKbn=02 建物退去土地明渡請求](最高裁判決 昭和38年02月21日)[[民法第545条]],[[民法第601条]] #;土地賃貸借の合意解除は地上建物の賃借人に対抗できるか。 #:土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できない。 #:*上告人(土地賃貸人)と被上告人(地上建物の賃借人)との間には直接に契約上の法律関係がないにもせよ、建物所有を目的とする土地の賃貸借においては、土地賃貸人は、土地賃借人が、その借地上に建物を建築所有して自らこれに居住することばかりでなく、反対の特約がないかぎりは、他にこれを賃貸し、建物賃借人をしてその敷地を占有使用せしめることをも当然に予想し、かつ認容しているものとみるべきであるから、建物賃借人は、当該建物の使用に必要な範囲において、その敷地の使用收益をなす権利を有するとともに、この権利を土地賃貸人に対し主張し得るものというべく、右権利は土地賃借人がその有する借地権を抛棄することによつて勝手に消滅せしめ得ないものと解するのを相当とするところ、土地賃貸人とその賃借人との合意をもつて賃貸借契約を解除した本件のような場合には賃借人において自らその借地権を抛棄したことになるのであるから、これをもつて第三者たる被上告人に対抗し得ないものと解すべきであり、このことは[[民法第398条]]、[[民法第538条]]の法理からも推論することができるし、'''信義誠実の原則に照しても当然のこと'''だからである。(昭和9年3月7日大審院判決、民集13巻278頁、[[#転貸|昭和37年2月1日当裁判所第一小法廷判決、最高裁判所民事裁判集58巻441頁]]各参照)。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54950&hanreiKbn=02 約束手形金請求](最高裁判決昭和43年12月25日)[[手形法第77条]],[[手形法第17条]] #;自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が右原因債権の完済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用 #:自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人は、その後右債権の完済を受けて裏書の原因関係が消滅したときは、特別の事情のないかぎり、以後右手形を保持すべき正当の権原を有しないことになり、手形上の権利を行使すべき実質的理由を失つたものであつて、右手形を返還しないで自己が所持するのを奇貨として、自己の形式的権利を利用し振出人に対し手形金を請求するのは、権利の濫用にあたり、振出人は、右所持人に対し手形金の支払を拒むことができる。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=66712&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決昭和44年05月30日)[[民法第541条]] #;賃料延滞を理由とする無催告解除が信義に反し許されないとされた事例 #:土地賃貸人が、2ケ月分合計3000円の賃料の延滞を理由として、無催告解除の特約に基づき、賃借人に対し、右2ヶ月目の賃料の履行期を徒過した翌日に、賃貸借契約解除の意思表示を発信した場合において、賃借人が賃借以来これまで11年余の間賃料の支払を怠つたことがなく、右賃料延滞は、賃貸人の娘婿が賃借土地に隣接する賃貸人所有の土地上に建物の建築工事を始め、賃借土地から公道へ至る通行に支障を来たさせて賃借人の生活を妨害したことに端を発した当事者間の紛争に基因するものであり、賃貸人が、右妨害を止める配慮をせず、かえつて右紛争に関する和解のための第三者のあつせんが行なわれている間にこれを無視して右解除の意思表示をしたものである等の事情があるときは、右解除は、信義に反し、その効果を生じないものと解すべきである。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54140&hanreiKbn=02 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求(通称 岡山労働金庫貸付)] (最高裁判決昭和44年07月04日) [[民法第43条]],[[民法第387条]],[[労働金庫法第58条]] ##'''労働金庫の会員外の者に対する貸付の効力''' ##:労働金庫の会員外の者に対する貸付は無効である。 ##'''員外貸付が無効とされる場合に債務者において右債務を担保するために設定された抵当権の実行による所有権の取得を否定することが許されないとされた事例''' ##:労働金庫の員外貸付が無効とされる場合においても、右貸付が判示のような事情のもとにされたものであつて、右債務を担保するために設定された抵当権が実行され、第三者がその抵当物件を競落したときは、債務者は、'''信義則'''上、右競落人に対し、競落による所有権の取得を否定することは許されない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52111&hanreiKbn=02 損害賠償請求(通称 自衛隊八戸車両整備工場損害賠償)](最高裁判決昭和50年02月25日)[[民法第167条]]1項,[[国家公務員法第93条|国家公務員法第3章第6節第3款第3目]],[[会計法第30条]] ##'''国の国家公務員に対する安全配慮義務の有無''' ##:国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたつて、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つているものと解すべきである。 ##'''国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間''' ##:国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、一〇年と解すべきである。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53240&hanreiKbn=02 土地所有権移転登記手続請求](最高裁判決 昭和51年05月25日)[[民法第145条]] #;消滅時効の援用が権利濫用にあたるとされた事例 #:家督相続をした長男が、家庭裁判所における調停により、母に対しその老後の生活保障と妹らの扶養及び婚姻費用等に充てる目的で農地を贈与して引渡を終わり、母が、二十数年これを耕作し、妹らの扶養及び婚姻等の諸費用を負担したなど判示の事実関係のもとにおいて、母から農地法3条の許可申請に協力を求められた右長男がその許可申請協力請求権につき消滅時効を援用することは、権利の濫用にあたる。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56346&hanreiKbn=02 損害賠償(通称 自衛隊員遺族損害賠償)] (最高裁判決昭和56年02月16日)[[民法第415条]] #;国の国家公務員に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求と右義務違反の事実に関する主張・立証責任 #:国の国家公務員に対する安全配慮義務違反を理由として国に対し損害賠償を請求する訴訟においては、原告が、右義務の内容を特定し、かつ、義務違反に該当する事実を主張・立証する責任を負う。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56345&hanreiKbn=02 雇傭関係存続確認等]([[w:日産自動車事件#1981年の裁判の概説|日産自動車女子定年制事件]] 最高裁判決昭和56年03月24日)[[日本国憲法第14条|憲法第14条]]1項,[[民法第1条]]ノ2,[[民法第90条]],労働基準法第1章総則[[労働基準法第1条]] #;定年年齢を男子60歳女子55歳と定めた就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分が性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効とされた事例 #:会社がその就業規則中に定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた場合において、担当職務が相当広範囲にわたつていて女子従業員全体を会社に対する貢献度の上がらない従業員とみるべき根拠はなく、労働の質量が向上しないのに実質賃金が上昇するという不均衡は生じておらず、少なくとも60歳前後までは男女とも右会社の通常の職務であれば職務遂行能力に欠けるところはなく、一律に従業員として不適格とみて企業外へ排除するまでの理由はないなど、原判示の事情があつて、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由が認められないときは、右就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効である。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62867 売掛金](最高裁判決 昭和61年9月11日)[[民法第93条]], 商法245条1項1号(営業譲渡 現・[[会社法第467条]] 事業譲渡) ##'''商法245条1項1号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合と譲受人がする右の無効の主張''' ##:商法245条1項1号の営業譲渡契約が譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合には、譲受人もまた右の無効を主張することができる。 ##'''商法245条1項1号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効であるとの譲受人の主張が信義則に反し許されないとされた事例''' ##:商法245条1項1号の営業譲渡契約が譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合であつても、譲渡会社が営業譲渡契約に基づく債務をすべて履行済みであり、譲受人も営業譲渡契約が有効であることを前提に譲渡会社に対し自己の債務を承認して譲受代金の一部を履行し、譲り受けた製品、原材料等を販売又は消費し、しかも、譲受人は契約後約20年を経て初めて右の無効の主張をするに至つたもので、その間譲渡会社の株主や債権者等が営業譲渡契約の効力の有無を問題にしたことがなかつたなど判示の事情があるときは、譲受人が営業譲渡契約の無効を主張することは、信義則に反し、許されない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52507&hanreiKbn=02 工事代金] (最高裁判決平成9年02月14日)[[民法第412条]],[[民法第533条]],[[民法第634条]] #;請負契約の注文者が瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬全額の支払との同時履行を主張することの可否 #:請負契約の目的物に瑕疵がある場合には、注文者は、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等にかんがみ'''信義則'''に反すると認められるときを除き、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けるまでは、報酬全額の支払を拒むことができ、これについて履行遅滞の責任も負わない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52262&hanreiKbn=02 建物明渡等請求事件] (最高裁判決 平成14年03月28日)[[民法第612条]],[[借地借家法第34条|借地借家法第34条]] #;事業用ビルの賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了しても賃貸人が信義則上その終了を再転借人に対抗することができないとされた事例 #:ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって,自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに,賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し,賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること,当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは,賃貸人は,信義則上,賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33185&hanreiKbn=02 根抵当権抹消登記手続等請求事件](最高裁判決  平成18年06月12日)(1,2につき)[[民法第1条]]2項,[[民法第415条]],[[民法第709条]],[[建築基準法第52条]] (1につき)[[民法第632条]] ##'''建築会社の担当者が顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を提案した際に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることを説明しなかった点に説明義務違反があるとされた事例''' ##:建築会社の担当者が,顧客に対し,銀行から融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の売却によりその余の敷地部分のみでは上記建物が容積率の制限を超える違法な建築物となり,また,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際には,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があるという問題があったなど判示の事実関係の下においては,上記問題を認識しながらこれを顧客に説明しなかった上記担当者には,'''信義則'''上の説明義務違反がある。 ##'''建築会社の担当者と共に顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を説明した銀行の担当者に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることについての説明義務違反等がないとした原審の判断に違法があるとされた事例''' ##:銀行の担当者が,顧客に対し,融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案した建築会社の担当者と共に,上記計画を説明し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があることなどの問題があったなど判示の事実関係の下においては,顧客が,原告として,銀行の担当者は顧客に対して上記土地の一部の売却について取引先に働き掛けてでも確実に実現させる旨述べたなどの事情があったと主張しているにもかかわらず,上記事情の有無を審理することなく,上記担当者について,上記問題を含め上記土地の一部の売却可能性を調査し,これを顧客に説明すべき信義則上の義務がないとした原審の判断には,違法がある。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33298 親子関係不存在確認請求事件] (最高裁判決 平成18年7月7日)[[民法第772条|民法772条]],人事訴訟法2条2号 #;戸籍上の父母とその嫡出子として記載されている者との間の実親子関係について父母の子が不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例 #:戸籍上AB夫婦の嫡出子として記載されているYが同夫婦の実子ではない場合において,Yと同夫婦との間に約55年間にわたり実親子と同様の生活の実体があったこと,同夫婦の長女Xにおいて,Yが同夫婦の実子であることを否定し,実親子関係不存在確認を求める本件訴訟を提起したのは,同夫婦の遺産を承継した二女Cが死亡しその相続が問題となってからであること,判決をもって実親子関係の不存在が確定されるとYが軽視し得ない精神的苦痛及び経済的不利益を受ける可能性が高いこと,同夫婦はYとの間で嫡出子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに,同夫婦は死亡しており,Yが養子縁組をして嫡出子としての身分を取得することは不可能であること,Xが実親子関係を否定するに至った動機が合理的なものとはいえないことなど判示の事情の下では,上記の事情を十分検討することなく,Xが同夫婦とYとの間の実親子関係不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,違法がある。 #<span id="禁反言"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37486&hanreiKbn=02 供託金還付請求権帰属確認請求本訴,同反訴事件](最高裁判決 平成21年03月27日) #;譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することの可否 #:譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することは,債務者にその無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,許されない。 #:*譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37842&hanreiKbn=02 自動車代金等請求事件](最高裁判決平成21年07月17日) [[民法第533条]] #;自動車の買主が,当該自動車が車台の接合等により複数の車台番号を有することが判明したとして,錯誤を理由に売買代金の返還を求めたのに対し,売主が移転登録手続との同時履行を主張することが信義則上許されないとされた事例 #:Xが,Yから購入して転売した自動車につき,Yから転売先に直接移転登録がされた後,車台の接合等により複数の車台番号を有するものであったことが判明したとして,Yに対し錯誤による売買契約の無効を理由に売買代金の返還を求めた場合において,Yは本来新規登録のできない上記自動車について新規登録を受けた上でこれをオークションに出品し,XはYにより表示された新規登録に係る事項等を信じて上記自動車を買い受けたものであり,上記自動車についてのXからYへの移転登録手続には困難が伴うなどの判示の事情の下では,仮にYがXに対し上記自動車につきXからYへの移転登録請求権を有するとしても,Xからの売買代金返還請求に対し,Yが上記自動車についての移転登録手続との同時履行を主張することは,'''信義則'''上許されない。 ---- {{前後 |[[民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br />[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第1章 通則 (第1条・第2条)|第1章 通則]] |- |[[民法第2条]]<br />(解釈の基準) }} {{stub|law}} [[category:民法|001]]
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4,469
センター試験 地理歴史対策
世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理Bの6科目で構成されており、この中から一科目選択できる。(平成18年度は一日め、2科目めの11:15~12:15に実施された。) 地歴・公民(地歴A科目は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。) 地歴にはA科目とB科目があるが、A科目は理系でも使えない大学が結構あり、また、難易度もB科目に合わせているため、A科目を選択する受験生は非常に少なく、たいていの受験生は、B科目を利用する。そのため、A用の参考書も非常に少ない。
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日本の大学受験ガイド > センター試験対策 > センター試験 地理歴史対策
*[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験対策 > センター試験 地理歴史対策 == 科目選択 == 世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理Bの6科目で構成されており、この中から一科目選択できる。(平成18年度は一日め、2科目めの11:15~12:15に実施された。) 地歴・公民(地歴A科目は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。) 地歴にはA科目とB科目があるが、A科目は理系でも使えない大学が結構あり、また、難易度もB科目に合わせているため、A科目を選択する受験生は非常に少なく、たいていの受験生は、B科目を利用する。そのため、A用の参考書も非常に少ない。 == 関連項目 == * [[センター試験 世界史対策]] ** [[センター試験 世界史B対策]] * [[センター試験 日本史対策]] * [[センター試験 地理B対策]] [[Category:センター試験|ちりれきしたいさく]]
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2008-12-10T14:46:34Z
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4,471
民法第399条
法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)>民法第399条 (債権の目的) 債権の目的の有効要件について、一般的な取引行為以外の約束についてこれを含めるものとした。 債権の目的というタイトルのついた条文は本条だけであるが、債権の目的の一般的要件としてはむしろ通常は以下の三つ(正確には四つ)が挙げられる。 債権の発生により国家による法的な拘束力が付加されるものであることの論理的帰結であるとされる。すなわち、不可能なことは義務付けられないという法原則による。しかし、たとえ本来の債務そのものが元々履行不可能なものであったとしてもこれを有効であると信じて費やした信頼利益については債務不履行によって生じた損害として賠償の対象になりうる(民法第415条)ためその限りでは債権の有効性とその効力は認められるし、医療行為などは患者の状態によってその履行内容は臨機応変に変わりうる。したがってこれらの根拠条文の無いこれら二つの原則は必ずしも厳密なものではない。 以上の三つはいずれも債権に固有のものというわけではなく、民法総則における法律行為の部分で論じられる問題(法律行為の有効要件ー客観的要件)と同一である。本条はその有効要件として債権特有のものを追加したものということである。 一般的に金銭に換算することのできない債権をいう。一般社会において取引の対象とならないような、当事者個人にとってのみ特別な価値を持つものであっても債権の対象となる。 もっとも現代の日本民法においては個人的な精神的苦痛(民法第710条)でさえも慰謝料によって金銭に換算することができる(民法第417条)。したがって、金銭に評価できない債権は事実上存在しないと考えることもでき、その意味で本条は確認的な規定であるとも言われる。 債権の法的な拘束力を認め、不履行時には究極的には国家による強制執行による債務履行の実現をも可能とする。 保険法第3条は、損害保険の対象については一般的に金銭的に評価しないものをその対象としないとしており、本条の例外規定と言える。
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)>民法第399条
[[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]>[[民法第399条]] ==条文== ([[w:債権|債権]]の目的)<br> ;第399条 : 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。 ==解説== 債権の目的の有効要件について、一般的な取引行為以外の約束についてこれを含めるものとした。 ===債権の目的=== 債権の目的というタイトルのついた条文は本条だけであるが、債権の目的の一般的要件としてはむしろ通常は以下の三つ(正確には四つ)が挙げられる。 *適法性([[民法第91条]])・社会的妥当性([[民法第90条]]類推) *実現可能性(契約時に目的物が存在する等、物理的ないし常識的に履行可能であること。条文無し) *確定可能性(内容がある程度具体的に特定できること。条文無し) 債権の発生により<ref>債権の発生前においても'''契約締結段階の過失'''があれば債務者は債権者が契約は有効であると信じたために支出した費用(信頼利益)を払わなければならないという理論は、判例においても採用されてきている。もっとも、'''債権債務は有効に存在していない'''ため法的構成としては[[信義誠実の原則|信義則]]([[民法第1条]])か不法行為([[民法第709条]])による</ref>'''国家による法的な拘束力'''が付加される<ref>[[民法第414条]]・[[民法第415条]]・[[民法第417条]]・[[民法第703条]]・[[民法第704条]]・[[民法第709条]]・[[民法第710条]]・[[民事執行法]]等参照。但し[[自然債務]]については履行された時に無理に取り戻そうとする行為に対してしか国家が強制力をもって関与する([[民法第709条]]、または[[物権的請求権]])ことしかできない。</ref>ものであることの論理的帰結であるとされる。すなわち、'''不可能なことは義務付けられない'''という法原則<ref>ドイツ法における通説に由来する。Impossibilium nulla obligatioという。</ref>による。しかし、たとえ本来の債務そのものが元々履行不可能なものであったとしてもこれを有効であると信じて費やした'''信頼利益'''については債務不履行''によって生じた損害''として賠償の対象になりうる([[民法第415条]])ためその限りでは債権の有効性とその効力は認められるし、医療行為などは患者の状態によってその履行内容は臨機応変に変わりうる。したがってこれらの根拠条文の無いこれら二つの原則は必ずしも厳密なものではない。 以上の三つはいずれも債権に固有のものというわけではなく、民法総則における[[法律行為]]の部分で論じられる問題(法律行為の有効要件ー客観的要件)と同一である。本条はその有効要件として'''債権特有のものを追加'''したものということである。 ===''金銭に見積もることができないもの''とは=== 一般的に金銭に換算することのできない債権をいう。一般社会において取引の対象とならないような、当事者個人にとってのみ特別な価値を持つものであっても債権の対象となる。 *Aは、葬儀業者Bに対し、親Cの肉体を火葬する前に遺髪の一部を保管し引き渡すよう依頼しBは了承した。 *Aは、親Bの尊敬する僧侶Cに法事で読経をするよう依頼しCは了承したが、実際に来たのは同じ寺に所属する別の僧侶Dであった。 もっとも現代の日本民法においては個人的な精神的苦痛([[民法第710条]])でさえも慰謝料によって金銭に換算することができる([[民法第417条]])。したがって、金銭に評価できない債権は事実上存在しないと考えることもでき、その意味で本条は確認的な規定であるとも言われる。 ===''その目的とすることができる''とは=== 債権の法的な拘束力を認め、不履行時には究極的には国家による[[w:強制執行|強制執行]]による債務履行の実現をも可能とする。 ===保険法における例外規定=== [[保険法第3条]]は、[[w:損害保険|損害保険]]の対象については一般的に金銭的に評価しないものをその対象としないとしており、本条の例外規定と言える。 ==脚注== <references/> ==参照条文== *[[民法第90条]](公序良俗) *[[民法第91条]](任意規定と異なる意思表示) *[[保険法第3条]](損害保険契約の目的) ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1節 債権の目的]] |[[民法第398条の22]]<br>(根抵当権の消滅請求) |[[民法第400条]]<br>(特定物の引渡しの場合の注意義務) }} {{stub|law}} [[category:民法|399]]
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2022-10-19T21:16:39Z
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4,472
民法第400条
法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (特定物の引渡しの場合の注意義務) 2017年改正により以下のとおり改正。 「善管注意義務」について、その適用基準を契約等義務を負うべき事由に即して判断するという従来の裁判慣習を反映した。 本条は、特定物債権における債務者の目的物についての善管注意義務を定める。
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] == 条文 == (特定物の引渡しの場合の[[注意義務]]) ; 第400条 : [[w:債権|債権]]の目的が特定物の引渡しであるときは、[[債務|債務者]]は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その[[物]]を保存しなければならない。 ===改正経緯=== 2017年改正により以下のとおり改正。 :(改正前)善良な管理者の注意をもって、 :(改正後)'''契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる'''善良な管理者の注意をもって、 「善管注意義務」について、その適用基準を契約等義務を負うべき事由に即して判断するという従来の裁判慣習を反映した。 == 解説 == 本条は、[[特定物債権]]における債務者の目的物についての善管注意義務を定める。 * 債権の目的が特定物の引渡しであるとき *: 特定物の引渡しを目的とする債権を特定物債権という。 * 引渡しをするまで *: 履行期を経過しても、引渡しまでは本条が適用される。ただし、[[債務不履行|履行遅滞]]となるときは、債務者は不可抗力についても責任を負い、債権者の[[受領遅滞]]となるときは、債務者は責任を軽減される。 * 善良な管理者の注意 *: 善良な管理者の注意(善管注意)とは、債務者の職業、その属する社会的・経済的な地位などにおいて一般に要求されるだけの注意をいう。「自己の財産におけると同一の注意」に対する用語である。 * 本条の効果 *: 債務者が善管注意義務に違反して目的物を滅失・毀損したときは、損害賠償責任を負う([[民法第415条]])。 == 参照条文 == ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1節 債権の目的]] |[[民法第399条]]<br>(債権の目的) |[[民法第401条]]<br>(種類債権) }} {{stub|law}} [[category:民法|400]] [[category:民法 2017年改正|400]]
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2022-10-19T21:22:01Z
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4,473
民法第401条
法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (種類債権) 第1項は、種類債権の履行に際し、債務者が債権者に対して給付すべき物の品質について定める。 第2項は、種類債権が特定する時期について定める。
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[種類債権]]) ;第401条 # [[債権]]の目的物を種類のみで指定した場合において、[[法律行為]]の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。 # 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。 ==解説== ===第1項=== 第1項は、[[種類債権]]の[[履行]]に際し、債務者が債権者に対して給付すべき物の品質について定める。 *「債権の目的物を種類のみで指定した場合」 :[[種類債権]]を意味する。 *債務者が債権者に対して給付すべき物の品質 :→[[種類債権]]の項参照 ===第2項=== 第2項は、種類債権が特定する時期について定める。 *種類債権の特定 :→[[種類債権]]の項参照 *債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了したとき *債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したとき ==参照条文== *法律行為の性質により定まる例 :[[民法第587条]](消費貸借)、[[民法第666条]](消費寄託) *給付に必要な行為 :[[民法第493条]](弁済の提供) *特定の効果 :[[民法第534条]]2項(危険負担の移転) ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57390&hanreiKbn=02 手附金請求](最高裁判決 昭和30年10月18日) *;民法第401条第2項の「債務者ガ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為を完了シタルトキ」にあたらない事例 *:漁業用タールの売買において、受渡の方法を、先ず買主が必要の都度引渡方を申し出で、これに対して売主が引渡場所を指定し、次いで買主が容器をその場所に持ち込み、タールを受領する旨約定した場合に売主が引渡場所を指定し、タールの引渡作業に必要な人夫を配置する等引渡の準備をなしたからと云つて、売主は「物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了シ」たことにはならない。 *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53540&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和35年06月24日) *;不特定物の売買における目的物所有権移転時期 *:<u>不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、目的物が特定した時に買主に所有権が移転するものと解すべきである</u>。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1-1|第1節 債権の目的]] |[[民法第400条]]<br>(特定物の引渡しの場合の注意義務) |[[民法第402条]]<br>(金銭債権) }} {{stub|law}} [[category:民法|401]]
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2022-10-19T21:32:39Z
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民法第715条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (使用者等の責任) 「事業のために他人を使用する者」という要件。 「被用者が...第三者に加えた損害」という要件である。被用者の行為が、一般不法行為(第709条)の要件を満たすことが必要であると解されている。 1項但書は2つの免責事由を定めている。これら免責事由については被告(使用者)側に立証責任がある。いわゆる立証責任の転換を図ったものであり、中間責任を定めたものである。 使用者は被害者に対して全額賠償の責任を負う。不法行為をなした被用者とは不真正連帯責任となる。 使用者責任が認められた場合も、被用者自身が免責されるわけではない。すなわち、使用者は被用者は被害者に対して賠償額について請求すること(求償)ができる。しかしながら、被用者に対して、賠償した全額を請求できるわけではなく、信義則上相当な限度で行使できる(最判昭和51年7月8日)。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] == 条文 == ([[使用者責任|使用者等の責任]]) ;第715条 # ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 # '''使用者に代わって事業を監督する者'''も、前項の責任を負う。 # 前二項の規定は、[[使用者]]又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。 == 解説 == :不法行為責任の特殊類型のうち、使用者責任と呼ばれる類型につき規定している。 :この責任の根拠としては、報償責任と危険責任という二つの見解が挙げられている。 :また、それぞれの要件・効果についての解釈論も多岐にわたっている。 === 要件 === ==== 使用関係 ==== 「事業のために他人を使用する者」という要件。 ;事業 :広く仕事という意味で、継続的か一時的であるかを問わず、営利か非営利かも問わない。強い意味はなく次の「使用関係・指揮命令関係」を成立させる枠としての設定である。 :兄に命ぜられ、弟が兄所有の自動車で送った事案が事業と認められている([[#事業|最判昭和56年11月27日]]) :使用関係 :被告と行為者の間に指揮命令関係があることを要する。「事業」がそうであるように継続的か一時的であるか、有償か無償かを問わず、指揮命令が強制力を有したものか否か、命令者が使用者を選任したものか否かも問わない。 :雇用関係(企業と従業員)がある場合には問題なくこれが認められる。委任関係の場合は独立性が強いので原則として認められない。請負関係については[[民法第716条|第716条]]によって本条の適用が廃除されている。ただし、請負関係であっても、元請け・下請けのように実質的な指揮命令関係が認められる場合には、716条の適用を廃除し、本条を適用した判例もある([[#請負1|最判昭和37年12月14日]]、[[#請負2|最判昭和45年2月12日]])。 ==== 「事業の執行について」 ==== :この要件につき、加害行為は、実際に被用者の職務の範囲内で生じなければならないのかという問題がある。特に取引行為的な不法行為(手形振出しの権限のない経理課長が偽造手形を振出して被害を与えた場合など)について問題になる。判例は'''外形標準説'''をとり、実際に被用者の職務の範囲内でなくとも、外形上職務の範囲内であると判断される行為であれば、この要件を満たすとしている。被害者側の信頼を保護する趣旨である。 :一方、事実行為的な不法行為(交通事故など)については、そもそも外形に対する信頼といったものを観念できないから、別の法理が必要となる。この点につき、たとえば、事業の執行を契機とした暴行傷害について使用者責任を認めた例([[#暴行|最判昭和44年11月18日]])、勤務時間外の帰宅途中、社用車で事故を起こした場合に使用者責任を認めた例([[#私用|最判昭和37年11月8日]])などがある。なお、通勤や出張などに自家用車を利用することは、一般的に事業の執行とはされない([[#自家用車|最判昭和52年9月22日]])が、通勤に利用している自家用車を、職場間の移動などに用いることを会社が認めている場合などにおいては事業執行性を認める例([[#自家用車2|最判昭和52年12月22日]])もあり、又近時の下級審判決では自家用車による通勤時の事故に使用者責任を認めるものも少なくない。 ==== 被用者の不法行為 ==== 「被用者が…第三者に加えた損害」という要件である。被用者の行為が、一般不法行為([[民法第709条|第709条]])の要件を満たすことが必要であると解されている。 ==== 免責事由 ==== 1項但書は2つの免責事由を定めている。これら免責事由については被告(使用者)側に立証責任がある。いわゆる'''立証責任の転換'''を図ったものであり、'''中間責任'''を定めたものである。 ; 「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき」:但書前段の免責事由である。使用者が監督過失がないことを立証できれば責任を免れるが、特に大規模な組織などではこの免責事由は認められにくいといわれる。 ; 「相当の注意をしても損害が生ずべきであったとき」:但書後段の免責事由である。これは、監督過失と損害関係との間に因果関係がない場合を意味していると解されている。 === 効果 === ==== 免責事由 ==== 使用者は被害者に対して全額賠償の責任を負う。不法行為をなした被用者とは不真正連帯責任となる。 ==== 求償 ==== 使用者責任が認められた場合も、被用者自身が免責されるわけではない。すなわち、使用者は被用者は被害者に対して賠償額について請求すること(求償)ができる。しかしながら、被用者に対して、賠償した全額を請求できるわけではなく、[[信義則]]上相当な限度で行使できる([[#求償|最判昭和51年7月8日]])。 == 関連条文 == * [[民法第709条]](不法行為による損害賠償) * [[民法第716条]](注文者の責任) ==判例== # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57603 損害賠償等請求](最高裁判決 昭和30年12月22日) #;通商産業省の自動車運転手が大臣秘書官を私用のため乗車させて自動車を運転し他人を負傷させた場合と民法第715条 #:通商産業省の職員として専ら自動車の運転に従事する者が、従来通商産業大臣秘書官として常に当該通商産業省の自動者に乗車し、辞表提出後ではあつたがその辞令の交付なく未だその官を失つていなかつた者を乗車させて自動車を運転中、これを接触させて他人を負傷させたときは、たとえ右秘書官の私用をみたすため運転したものであつても、右事故は通商産業省の「事業ノ執行ニ付キ」生ぜしめたものと解するのが相当である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57564 売掛代金請求](最高裁判決 昭和32年3月5日) 商法第42条(現[[商法第24条|24条]]),商法第38条(現[[商法第21条|21条]]),[[民法第709条]] #;商法第42条(旧),商法第38条(旧)にいう「営業ニ関スル行為」と[[民法第715条]]の「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為との異同 #:支店長のなした特定の行為が、商法第42条(旧),商法第38条(旧)にいう「営業ニ関スル行為」にあたらないことを理由として、直ちに[[民法第715条]]にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為にもあたらないと断定することは違法である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57569 損害賠償請求](最高裁判決 昭和32年4月30日)[[民法第509条]] ##'''被害者に業務執行上の過失のある場合と民法第715条''' ##:被用者たる運転手甲が自動車を運転して当該自動車を輸送する業務に従事中、その過失により自動車を衝突させ同乗していた乙を死亡させたものであるときは、乙が自動車輸送業務の共同担当者たる被用者で右衝突事故の発生につき同人にも過失があつたとしても、使用者は乙の死亡につき民法第715条による損害賠償責任を免れない。 ##'''民法第715条による損害賠償義務者と相殺の許否''' ##:民法第715条により損害賠償義務を負担している使用者は、被害者に対する不法行為による損害賠償債権を有している場合でも、相殺をもつて対抗することはできない。 # [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57514 慰籍料並に名誉回復請求](最高裁判決 昭和31年7月20日)[[民法第44条]](削除済み;[[一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条]]に継承。「法人」の不法行為責任として一般化される) #;法人に対する民法第44条に基く請求と同法第715条に基く請求との訴訟物の異同 #:法人に対する民法第44条に基く損害賠償の請求と同法第715条に基く損害賠償の請求とは、訴訟物を異にする。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54876 損害賠償請求](最高裁判決 昭和34年4月23日) #;運転資格のないタクシー会社従業員の自動車運転行為が会社の「事業ノ執行」にあたるとされた事例。 #:タクシー会社に自動車運転助手兼整備係として雇われ、会社からの注意にもかかわらず運転資格も持たないで、平素洗車給油等の目的で車庫から給油所まで短距離の間営業用自動車の運転をしていた者が、運転技術修得のため他の場所で同会社の営業用自動車を運転中、追突事故により他人に損害を与えたときは、右損害は同会社の「事業の執行ニ付キ」生ぜしめたものと解すべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54828 損害賠償請求](最高裁判決 昭和36年1月24日) ##'''労働基準法第79条の補償と民法第422条。''' ##:労働者の死亡について第三者が不法行為に基づく損害賠償責任を負担する場合には、[[労働基準法第79条]]に基づく補償義務を履行した使用者は、[[民法第422条]]の類推により、その履行した時期及び程度で遺族に代位して第三者に対し賠償請求権を取得する。 ##'''民法第715条の使用者責任の認められる事例。''' ##:専ら貨物運送を業とする会社の被用者である貨物自動車運転者が、貨物運送にあたりたまたま他人に同乗を許したため、運転者の過失により惹き起された事故において右の者が死亡するに至つた場合であつても、右同乗が運転者との個人的関係に基づくものでなく、荷受会社の集荷課長として積荷の受渡を便にするためのものであつたときは、右運送会社は民法第715条の責任を負うと解すべきである。 #<span id="請負1"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53672 損害賠償請求](最高裁判決 昭和36年1月24日) #;下請負人の被用者の不法行為につき元請負人が民法第715条の責任を負うための要件 #:元請負人が下請負人に対し工事上の指図をしもしくはその監督のもとに工事を施行させ、その関係が使用者と被用者との関係またはこれと同視しうる場合であつても、下請負人の被用者の不法行為が元請負人の事業の執行につきなされたものとするためには、直接間接に被用者に対し元請負人の指揮監督関係の及んでいる場合に加害行為がなされたものであることを要する。 #<span id="私用"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53733 損害賠償請求](最高裁判決 昭和37年11月8日) #;会社の被用者が私用のために会社の自動車を運転した場合と民法第715条の「事業ノ執行」。 #:測量器械等の販売を業とする会社の商品の外交販売に従事し、仕事上の必要に応じ随時会社の自動車を運転使用できる被用者が会社の自動車を運転して私用に供した場合であつても、これを会社の「事業ノ執行」につきなされたものと認めるのを相当とする。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=65988 約束手形金請求](最高裁判決 昭和38年6月28日) #;民法第715条第2項の代監督者の責任を認めた事例。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53106 損害賠償請求](最高裁判決 昭和39年2月4日) #;会社の被用者が私用のため会社の自動車を運転中他人に加えた損害が民法第715条の会社の「事業ノ執行ニ付キ」生じたものとされた事例。 #:自動車の販売等を業とする会社の販売課に勤務する被用者が、退社後映画見物をして帰宅のための最終列車に乗り遅れたため、私用に使うことが禁止されていた会社内規に違反して会社の自動車を運転し、帰宅する途中追突事故を起す等判示事実関係のもとにおいて他人に加えた損害は、右会社の「事業ノ執行ニ付キ」生じたものと解するのが相当である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53891 約束手形金請求](最高裁判決 昭和40年11月30日) #;被用者の手形偽造行為が民法第715条にいう「事業ノ執行ニ付キ」なした行為にあたるとされた事例。 #:会社の会計係中の手形係として判示のような手形作成準備事務を担当していた係員が、手形係を免じられた後に会社名義の約束手形を偽造した場合であつても、右係員が、なお会計係に所属して割引手形を銀行に使送する等の職務を担当し、かつ、会社の施設機構および事業運営の実情から、右係員が権限なしに手形を作成することが客観的に容易である状態に置かれている等判示のような事情があるときは、右手形偽造行為は、民法第715条にいう「事業ノ執行ニ付キ」なした行為と解するのが相当である。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57766 損害賠償請求](最高裁判決昭和41年6月10日)旧商法第23条([[名板貸]] 現[[会社法第9条]]) #;自動車運送事業の営業名義を貸与した者が名義借受人の雇傭する運転手の過失による自動車事故について損害賠償責任があるとされた事例 #:免許を受けて自動車の運送事業を営む者が他人をして違法にその営業名義を使用して自動車運送事業を営ませた場合、名義貸与者とその借受人の事業の執行方法につき原判決確定の事実関係があるときは、名義借受人の雇傭する運転手がその事業の執行に関し第三者に加えた自動車事故による損害について、名義貸与者は賠償責任を負担する。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53957 損害賠償請求事件](最高裁判決 昭和41年7月21日) #;民法第715条第1項の被用者にあたると認められた事例 #:土木工事請負人が道路工事に使用するため運転手助手づきの貨物自動車を借り受けた場合において、その助手が、請負人の現場監督の指揮に従い、貨物自動車の運転助手として砂利、土、石等の運搬に関与し、時には自ら貨物自動車を運転もし、これらの仕事については助手の雇主の指図をうけたことがなく、かつ請負人の飯場に起居していた等判示の事情があるときには、民法第715条の適用上、助手は土木工事請負人の被用者にあたると解するのが相当である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54963 損害賠償等請求](最高裁判決 昭和42年5月30日) #;民法715条2項にいう「使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者」とは #:民法715条2項にいう「使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者」とは、客観的に見て、使用者に代り現実に事業を監督する地位にある者を指称するものと解すべきであり、使用者が法人である場合において、その代表者が現実に被用者の選任、監督を担当しているときは、右代表者は同条項にいう代理監督者に該当し、当該被用者が事業の執行につきなした行為について、代理監督者として責任を負わなければならないが、代表者が、単に法人の代表機関として一般的業務執行権限を有することから、ただちに、同条項を適用してその個人責任を問うことはできない #:*法人の代表者は、現実に被用者の選任・監督を担当していたときにかぎり、当該被用者の行為について民法第715条第2項による責任を負う。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55076 損害賠償請求](最高裁判決 昭和42年6月30日)[[民法第442条]]、[[民法第719条]] #;「失火ノ責任ニ関スル法律」と民法第715条 #: 被用者が重大な過失によつて火を失したときは、使用者は、被用者の選任または監督について重大な過失がなくても、民法第715条第1項によつて賠償責任を負う。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56285 損害賠償請求](最高裁判決 昭和42年11月2日) #;被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでない行為についての被害者の悪意・重過失と民法第715条 #: 被用者の取引行為がその外形からみて使用者の事業の範囲内に属すると認められる場合であつても、それが被用者の職務権限内において適法に行なわれたものではなく、かつ<u>その相手方が右の事情を知り、または少なくとも重大な過失によつてこれを知らないものであるとき</u>は、その相手方である被害者は、民法第715条により使用者に対してその取引行為に基づく損害の賠償を請求することができない。 #:*相手方の故意のみでなく重大な過失によつても使用者が損害賠償の責を免れるのは、公平の見地に照らし、被用者の行為の外形に対する相手方の信頼が、重大な過失に基づくときは、法律上保護に値いしないものと認められるためにほかならないから、ここにいう重大な過失とは、取引の相手方において、わずかな注意を払いさえすれば、被用者の行為がその職務権限内において適法に行なわれたものでない事情を知ることができたのに、そのことに出でず、漫然これを職務権限内の行為と信じ、もつて、一般人に要求される注意義務に著しく違反することであつて、故意に準ずる程度の注意の欠缺があり、公平の見地上、相手方にまつたく保護を与えないことが相当と認められる状態をいう(下記[[#被用者の取引行為|最高裁昭和44年11月21日判決]]・判決文における言及) # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51976 損害賠償請求](最高裁判決 昭和44年11月18日) #;被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害にあたるとされた事例 #:使用者の施工にかかる水道管敷設工事の現場において、被用者が、右工事に従事中、作業用鋸の受渡しのことから、他の作業員と言い争つたあげく同人に対し暴行を加えて負傷させた場合、これによつて右作業員の被つた損害は、被用者が事業の執行につき加えた損害にあたるというべきである。 #<span id="被用者の取引行為"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51914 損害賠償等請求](最高裁判決 昭和44年11月21日) #;被用者の取引行為を職務権限内の行為と信じた相手方に重大な過失がないとされた事例 #:甲が、金融業者乙の被用者であるが代理権を有しない丙との間に、乙の不動産を買い受ける契約を締結し、代金を丙に支払うに際し、売買契約書等の表示、乙に対する登記抹消の訴に関する予告登記の存在、交渉中における代金減額の経過など、原判示のような丙の権限を疑うべき事情があるのにかかわらず、丙を乙の[[支配人]]と紹介した仲介人の言葉のみを信用し、丙の代理資格および売買の意思の有無につき乙に問い合わせるなどの調査をすることなく、丙にその権限があるものと信じて、右契約を締結し多額の代金を丙に支払つた場合であつても、甲がこのように信じたことにいまだ重大な過失があるとはいえず、甲は、乙に対し、民法715条に基づき損害賠償を請求することを妨げられない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51874 損害賠償請求](最高裁判決 昭和44年11月27日)[[民法第724条]] #;使用者責任と民法724条の加害者を知ることの意義 #:使用者責任において民法724条の加害者を知るとは、被害者が、使用者ならびに使用者と不法行為者との間に使用関係がある事実に加えて、一般人が当該不法行為が使用者の事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実をも認識することをいうと解するのが相当である。 #<span id="請負2"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66707 損害賠償請求](最高裁判決 昭和45年2月12日) #;下請負人の被用者の加害行為につき元請負人の使用者責任が認められた事例 #:工事の元請負人甲がその従業員乙を工事の責任者として工事現場に詰めさせ、下請負丙の工事施行を指揮監督させ、かつ、丙の被用者で工事の現場責任者である丁に対しても甲の直接の被用者と同様の指揮監督をしていた場合には、甲は丁がその工事の施行中機械の操作をあやまつた過失によりともに作業をしていた戊に損害を与えた行為につき使用者としての責任を負担する。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70377 約束手形金請求](最高裁判決 昭和45年5月22日) 民法第709条,[[手形法第43条]] #;偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係 #:対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51981 損害賠償請求](最高裁判決  昭和46年6月22日) #;被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害にあたるとされた事例 #: すし屋の店員二名が、使用者所有の自動車を運転し、またはこれに同乗して、<u>出前に行く途中</u>、右自動車の方向指示器を点燈したまま直進したため、これと衝突しそうになつた他の自動車の運転者と<u>口論になり、そのあげく同人に対し暴行を加えて負傷させた</u>場合、これによつて同人の被つた損害は、被用者が事業の執行につき加えた損害にあたるというべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52008 損害賠償請求](最高裁判決  昭和48年2月16日)[[商法第690条]],[[船舶法第35条]] ##'''商法690条と民法715条との関係''' ##:商法690条は、民法715条に対する特則として、船長その他の船員がその職務を行なうにあたり故意または過失により他人に加えた損害については、船舶所有者において、当該船員の選任・監督に関する過失の有無にかかわらず、その賠償の責に任ずべき旨を定めたものと解すべきである。 ##:*商法690条は民法715条の特別法の関係にあって、本条第1項但書の[[#免責事由|免責事由]]の適用を除外する。 ##:**商法第690条 ##:**:(本判決当時)船舶所有者ハ船長其他ノ船員ガ其職務ヲ行フニ当タリ故意又ハ過失ニ因リテ他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ ##:**:(現在)船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。 ##'''船員が職務を行なうにあたり他人に加えた損害にあたるとされた事例''' ##:漁船の船長兼漁撈長が、海上で右漁船によつて操業中、紛失した漁網の補充の用にあてて操業を継続するため、付近で操業中の他の漁船の漁網を窃取した場合、これによつて右漁網の所有者の被つた損害は、船員が職務を行なうにあたり他人に加えた損害にあたる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52106 預金返還等請求](最高裁判決  昭和50年1月30日) [[民法第666条]] #;信用組合の内規に反し職員外の者が職員を通じてした職員定期預金の払戻に関する右職員の行為と民法715条の事業の執行 #:信用組合が職員に対して職員外の者に職員定期預金を利用させることを禁止しているのを知りながら職員外の者が右組合の営業部預金課員の勧誘により同人を通じて右定期預金をした場合でも、職員定期預金でなければ預金をしないことが明らかであつた等特段の事情のないかぎり、右預金契約は一般定期預金として有効に成立し、右預金の払戻に関する右職員の行為は、その限度において組合の事業の執行にあたると解すべきである。 #<span id="求償"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54209 損害賠償請求](最高裁判決 昭和51年07月08日) [[民法第1条]]2項,民法第709条 #;使用者がその事業の執行につき被用者の惹起した自動車事故により損害を被つた場合において信義則上被用者に対し右損害の一部についてのみ賠償及び求償の請求が許されるにすぎないとされた事例 #:石油等の輸送及び販売を業とする使用者が、業務上タンクローリーを運転中の被用者の惹起した自動車事故により、直接損害を被り、かつ、第三者に対する損害賠償義務を履行したことに基づき損害を被つた場合において、使用者が業務上車両を多数保有しながら対物賠償責任保険及び車両保険に加入せず、また、右事故は被用者が特命により臨時的に乗務中生じたものであり、被用者の勤務成績は普通以上である等判示の事実関係のもとでは、使用者は、信義則上、右損害のうち四分の一を限度として、被用者に対し、賠償及び求償を請求しうるにすぎない。 #<span id="自家用車"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53282 損害賠償](最高裁判決 昭和52年9月22日) #;会社の従業員が自家用車を用いて出張中に惹起した交通事故につき会社の使用者責任が否定された事例 #:甲会社の従業員乙が社命により県外の工事現場に出張するについて乙の自家用車を用いて往復し、その帰途交通事故を惹起した場合において、甲会社では、右事故の七か月前に開催された労働安全衛生委員会の定例大会の席上、従業員に対し、自家用車を利用して通勤し又は工事現場に往復することを原則として禁止し、県外出張の場合にはできる限り汽車かバスを利用し、自動車を利用するときは直属課長の許可を得るよう指示しており、乙は、このことを熟知していて、これまで会社の業務に関して自家用車を使用したことがなく、本件出張についても特急列車を利用すれば午後九時半ころまでには目的地に到達することができ、翌朝出張業務につくのに差支えがないにもかかわらず、自家用車を用いることとし、自家用車の利用等所定の事項につき会社に届け出ることもせずに出発した等、原判示の事情のもとにおいては、乙が右出張のため自家用車を運転した行為は、甲会社の業務の執行にあたらない。 #::<span id="自家用車2"></span>(参考) [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=64165 損害賠償](最高裁判決 昭和52年12月22日) #::;会社の従業員がその所有自動車を運転し会社の工事現場から自宅に帰る途中で起こした事故につき会社に自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任が認められた事例 #:::会社の従業員が通勤のため利用しているその所有自動車を運転し、会社の工事現場から自宅に帰る途中で事故を起こした場合において、従業員がその所有自動車を会社の承認又は指示のもとに会社又は自宅と工事現場との間の往復等会社業務のためにもしばしば利用し、その利用に対して会社から手当が支給されており、事故当日右従業員が右自動車で工事現場に出かけたのも会社の指示に基づくものであるなど、判示の事情があるときは、会社は、右事故につき、自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任を負う。 #<span id="事業"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54262 損害賠償本訴、同反訴](最高裁判決  昭和56年11月27日) #;兄が弟に兄所有の自動車を運転させこれに同乗して自宅に帰る途中で発生した交通事故につき兄弟間に民法715条1項にいう使用者・被用者の関係が成立していたとされた事例 #:兄が、その出先から自宅に連絡して弟に兄所有の自動車で迎えに来させたうえ、弟に右自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に帰る途中で交通事故が発生した場合において、兄が右同乗中助手席で運転上の指示をしていた等判示の事情があるときは、兄と弟との間には右事故当時兄を自動車により自宅に送り届けるという仕事につき、民法715条1項にいう使用者・被用者の関係が成立していたと解するのが相当である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54225 損害賠償](最高裁判決 昭和57年4月1日)[[国家賠償法第1条]]1項 ##'''公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめたが具体的な加害行為を特定することができない場合と国又は公共団体の損害賠償責任''' ##:国又は公共団体に属する一人又は数人の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違法行為があつたのでなければ右の被害が生ずることはなかつたであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき専ら国又は当該公共団体が国家賠償法上又は民法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国又は当該公共団体は、加害行為の不特定の故をもつて右損害賠償責任を免れることはできない。 ##'''保健所に対する国の嘱託に基づいて国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行つた保健所勤務の医師の行為に過誤があつた場合と受診者に対する国の損害賠償責任の有無''' ##:保健所に対する国の嘱託に基づいて地方公共団体の職員である保健所勤務の医師が国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行つた場合において、右医師の行つた検診又はその結果の報告に過誤があつたため受診者が損害を受けても、国は、国家賠償法1条1項又は民法715条1項の規定による損害賠償責任を負わない。 ##:*検診等の行為を公権力の行使にあたる公務員の職務上の行為と解することは相当でない。 ##:*検診等の行為が林野税務署長の保健所への嘱託に基づき訴外岡山県の職員である同保健所勤務の医師によつて行われたものであるとすれば、右医師の検診等の行為は右保健所の業務としてされたものというべきであつて、たとえそれが林野税務署長の嘱託に基づいてされたものであるとしても、そのために右検診等の行為が上告人国の事務の処理となり、右医師があたかも上告人国の機関ないしその補助者として検診等の行為をしたものと解さなければならない理由はない。 # [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62960 約束手形金、民訴法198条2項の原状回復申立](最高裁判決 昭和61年11月18日) #;被用者のした手形偽造行為が民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」した行為に当たるとされた事例 #:道路舗装工事の請負等を業とする株式会社甲の支店としての実質を有する戊営業所の所長乙の依頼に基づき、丙が、所長代理の肩書で同営業所に常駐し、主として官公庁発注の道路舗装工事について、入札業務、営業所長名義による請負契約の締結、工事代金の回収など、乙の権限に属する業務に従事し、右工事代金の回収等のための約束手形の授受をもその職務とし、入札参加書類等の作成のため営業所長印を任意使用することを任せられていた場合には、丙が、右営業所の取引先であり、自ら経営の実権を握つていた丁の資金繰り等のため、丁振出の約束手形を取引先に割り引かせて資金を作る目的のもとに、丁振出の約束手形に、右営業所長印等を冒用して「甲株式会社戊営業所長乙」名義の裏書を偽造したうえ、自己名義の第二裏書をして右手形を割引のため第三者に交付した行為は、甲の内部規程上は乙に手形行為の権限が与えられていなかつたとしても、その行為の外形から客観的に観察すると丙の職務の範囲内の行為というべきであり、民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」なされたものと認めるのが相当である。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52196 損害賠償請求本訴、同反訴](最高裁判決 昭和63年7月1日) #;被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否 #:被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52750 求償金](最高裁判決 平成3年10月25日) ##'''共同不法行為の加害者の各使用者間における求償権の成立する範囲''' ##:共同不法行為の加害者の各使用者が使用者責任を負う場合において、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、他方の加害者の使用者に対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で、求償することができる。 ##'''加害者の複数の使用者間における各使用者の負担部分''' ##:加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、各使用者の負担部分は、加害者の加害行為の態様及びこれと各使用者の事業の執行との関連性の程度各使用者の指揮監督の強弱などを考慮して定められる責任の割合に従って定めるべきである。 ##'''加害者の複数の使用者間における求償権の成立する範囲''' ##:加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、使用者の一方は、自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、使用者の他方に対し、その負担部分の限度で、求償することができる。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=69646 預託金返還請求、民訴法第一九八条二項の申立](最高裁判決 平成9年04月24日)[[民法第708条]],民法第709条,証券取引法(平成3年法律第96号による改正前のもの)50条1項,証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭和40年大蔵省令第60号。平成3年大蔵省令第55号による改正前のもの)1条 #;証券会社の従業員が顧客に利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた場合に右取引による顧客の損失について証券会社が不法行為責任を免れないとされた事例 #:証券会社の営業部員が、株式等の取引の勧誘をするに際し、取引の開始を渋る顧客に対し、法令により禁止されている利回り保証が会社として可能であるかのように装って利回り保証の約束をして勧誘し、その旨信じた顧客に取引を開始させ、その後、同社の営業部長や営業課長も右約束を確認するなどして取引を継続させ、これら一連の取引により顧客が損失を被ったもので、顧客が右約束の書面化や履行を求めてはいるが、自ら要求して右約束をさせたわけではないなど判示の事実関係の下においては、顧客の不法性に比し、証券会社の従業員の不法の程度が極めて強いものと評価することができ、証券会社は、顧客に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない。 #<span id="過重労働"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52222 損害賠償請求事件(通称 電通損害賠償)](最高裁判決 平成12年03月24日)民法第709条,[[民法第722条]]2項 #;長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた労働者がうつ病にり患し自殺した場合に使用者の民法715条に基づく損害賠償責任が肯定された事例 #:大手広告代理店に勤務する労働者甲が長時間にわたり残業を行う状態を一年余り継続した後にうつ病にり患し自殺した場合において、甲は、業務を所定の期限までに完了させるべきものとする一般的、包括的な指揮又は命令の下にその遂行に当たっていたため、継続的に長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態になっていたものであって、甲の上司は、甲が業務遂行のために徹夜までする状態にあることを認識し、その健康状態が悪化していることに気付いていながら、甲に対して業務を所定の期限内に遂行すべきことを前提に時間の配分につき指導を行ったのみで、その業務の量等を適切に調整するための措置を採らず、その結果、甲は、心身共に疲労困ぱいした状態となり、それが誘因となってうつ病にり患し、うつ状態が深まって衝動的、突発的に自殺するに至ったなど判示の事情の下においては、使用者は、民法715条に基づき、甲の死亡による損害を賠償する責任を負う。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62536 債務不存在確認請求事件](最高裁判決  平成15年3月25日) #;郵便局に所属する保険外務員が簡易保険の契約者に対し虚偽の事実を述べて資金の融通を受けることによって同契約者に加えた損害が民法715条1項にいう「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」に当たらないとされた事例 #: 郵便局に所属する保険外務員が,簡易保険の契約者に対し,他の顧客に届けるべき満期保険金を盗まれ,これをその日のうちに届けなければ勤務先に発覚して免職になるなどの虚偽の事実を述べ,同契約者が簡易保険の契約者貸付けの方法により借り受けた資金の融通を受けることによって同契約者に加えた損害は,民法715条1項にいう「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」に当たらない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52407 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成16年11月12日) ##'''階層的に構成されている暴力団の最上位の組長と下部組織の構成員との間に同暴力団の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業について民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立しているとされた事例''' ##:階層的に構成されている暴力団が,その威力をその暴力団員に利用させることなどを実質上の目的とし,下部組織の構成員に対しても同暴力団の威力を利用して資金獲得活動をすることを容認していたなど判示の事情の下では,同暴力団の最上位の組長と下部組織の構成員との間に同暴力団の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業について民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立している。 ##階層的に構成されている暴力団の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為が民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」した行為に当たるとされた事例 ##:階層的に構成されている暴力団の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為は,同暴力団が,その威力をその暴力団員に利用させることなどを実質上の目的とし,下部組織の構成員に対しても同暴力団の威力を利用して資金獲得活動をすることを容認し,その資金獲得活動に伴い発生する対立抗争における暴力行為を賞揚していたなど判示の事情の下では,民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」されたものに当たる。 ==参考文献== ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#5|第5章 不法行為]] |[[民法第714条]]<br>(責任無能力者の監督義務者等の責任) |[[民法第716条]]<br>(注文者の責任) }} {{stub|law}} [[category:民法|715]]
2006-11-18T09:54:04Z
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民法第724条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (不法行為による損害賠償請求権の消滅時効) 2017年改正において、時効制度の整理が図られたことに伴い、以下の条項から改正。 (不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[不法行為]]による損害賠償請求権の消滅時効) ;第724条 :不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。 :#被害者又はその法定代理人が'''損害及び加害者を知った時'''から3年間行使しないとき。 :#不法行為の時から20年間行使しないとき。 ===改正経緯=== 2017年改正において、[[時効 (民法)|時効]]制度の整理が図られたことに伴い、以下の条項から改正。 (不法行為による損害賠償請求権の期間の制限) : 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。 ==解説== :不法行為による損害賠償請求権の発生要件については、[[民法第709条]]等を参照。 :[[消滅時効]]に関する一般規定については、[[民法第166条]]、[[民法第167条]]を参照。 ===要件=== ====「損害及び加害者を知った時」の意義==== :時効の起算点を意味している。 =====損害の了知===== :不法行為により損害を受けたことを認識した時点で足り、具体的な損害額を認識した時点であることを要さないと解されている(最判平成14年1月29日民集56-1-218)。 =====加害者の了知===== :加害者の住所氏名を的確に知り、損害賠償請求が事実上可能になった時点であると解されている(最判昭和48年11月16日民集27-10-1374)。 =====継続的不法行為===== ====「3年間」の意義==== :この「3年間」は、俗に短期消滅時効といわれる。法的性質は民法第166条以下に規定する消滅時効と同じである。この解釈に従えば、[[時効 (民法)#時効の更新|時効の更新]]([[民法第147条]])があることになる。 ====「20年」の意義==== :この「20年」は、2017年改正前は判例などにより[[除斥期間]]を意味すると解されていたが、改正により「消滅時効の完成期間」となった。従って、[[時効 (民法)#時効の完成猶予|時効の完成猶予]]や[[時効 (民法)#時効の更新|時効の更新]]の対象となる。 ==参照条文== *[[民法第709条]](不法行為による損害賠償) *[[民法第724条の2]](人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効) ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54983&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和42年07月18日) #;不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効が進行しないとされた事例 #:不法行為によつて受傷した被害者が、その受傷について、相当期間経過後に、受傷当時には医学的に<u>通常予想しえなかつた治療が必要となり</u>、右治療のため費用を支出することを余儀なくされるにいたつた等原審認定の事実関係のもとにおいては、<u>後日その治療を受けるまで</u>は、右治療に要した費用について民法第724条の消滅時効は進行しない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=70149&hanreiKbn=02 損害賠償請求、同附帯控訴](最高裁判決 昭和43年06月27日)[[民法第147条]]1号、[[国家賠償法第1条]]、[[国家賠償法第4条]] ##'''民法第724条の「損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」にあたるとされた事例''' ##:登記官吏の過失により虚偽の所有権移転登記がされ、これを信頼して土地を買い受け、その地上に建物を建築したものが、右<u>事実関係を知り自己が右土地の所有権を取得しえないことを知つたとき</u>は、その時に、右建物を収去することによつて生ずる損害についてもその損害および加害者を知つたものと解するのが相当である。 ##'''一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴を提起した場合と右残部についての消滅時効中断の効力''' ##:不法行為に基づく損害賠償債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴を提起した場合、訴提起による消滅時効中断の効力はその一部の範囲においてのみ生じ、残部には及ばないと解するのが相当である。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51874&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和44年11月27日)[[民法第715条]] #;使用者責任と民法724条の加害者を知ることの意義 #:使用者責任において民法724条の加害者を知るとは、被害者が、使用者ならびに使用者と不法行為者との間に使用関係がある事実に加えて、<u>一般人が当該不法行為が使用者の事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実をも認識することをいう</u>と解するのが相当である。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55128&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和45年06月19日) #;不法行為による弁護士費用の損害賠償請求権の消滅時効が当該報酬の支払契約をした時から進行するものとされた事例 #:不法行為の被害者が弁護士に対し損害賠償請求の訴を提起することを委任し、成功時に成功額の一割五分の割合による報酬金を支払う旨の契約を締結した場合には、右契約の時が民法724条にいう損害を知つた時にあたり、その時から右請求権の消滅時効が進行するものと解して妨げがない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52012&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年11月16日) #;民法724条にいう「加害者ヲ知りタル時」の認定事例 #:被疑者として逮捕されている間に警察官から不法行為を受けた被害者が、当時加害者の姓、職業、容貌を知つてはいたものの、その名や住所を知らず、引き続き身柄拘束のまま取調、起訴、有罪の裁判およびその執行を受け、釈放されたのちも判示の事情で加害者の名や住所を知ることが困難であつたような場合には、その後、被害者において加害者の氏名、住所を確認するに至つた時をもつて、民法724条にいう「加害者ヲ知りタル時」というべきである。 #<span id="6"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55149&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和49年12月17日)[[民法第167条]]1項、[[商法第266条の3]]第1項 #;商法266条の3第1項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権(現[[会社法第429条]]に相当)の消滅時効期間 #:商法266条の3第1項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は10年と解すべきである。 #:*最高裁の判断 #:*:民法724条が短期消滅時効を設けた趣旨は、不法行為に基づく法律関係が、通常、未知の当事者間に、予期しない偶然の事故に基づいて発生するものであるため、加害者は、損害賠償の請求を受けるかどうか、いかなる範囲まで賠償義務を負うか等が不明である結果、極めて不安定な立場におかれるので、被害者において損害及び加害者を知りながら相当の期間内に権利行使に出ないときには、損害賠償請求権が時効にかかるものとして加害者を保護することにあると解される。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=74573&hanreiKbn=02 損害賠償](最高裁判決 昭和58年11月11日) #;民法724条にいう「加害者ヲ知リタル時」の認定事例 #:交通事故の被害者が、加害者として取調べを受けたうえ業務上過失致死傷罪で起訴され、一審で有罪判決を受けたものの二審で無罪判決を受け、同判決が確定したなど、原判示の事情のもとにおいては、被害者に対する右無罪判決が確定した時をもつて、民法724条にいう「加害者ヲ知リタル時」というべきである。 #<span id="平成元年12月21日最高裁判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52709&hanreiKbn=02 国家賠償](最高裁判決 平成元年12月21日) #;民法724条後段の法意 #:民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものである。('''→2017年法改正により、時効の範疇とされたため、本判例は適用されない。''') #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62695&hanreiKbn=02 損害賠償](最高裁判決 平成6年01月20日) #;夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権の消滅時効の起算点 #:夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行する。 #<span id="平成10年06月12日最高裁判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52516&hanreiKbn=02 損害賠償](最高裁判決 平成10年06月12日)[[民法第158条]] #;不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間('''→2017年法改正により、時効の範疇とされ、本判例は条文に取り込まれた。''') #:不法行為の被害者が不法行為の時から20年を経過する前6箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から6箇月内に右不法行為による損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、[[民法第158条]]の法意に照らし、同法724条後段の効果は生じない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52596&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成14年01月29日) #;民法724条にいう被害者が損害を知った時の意義 #:民法724条にいう被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。 #:*原審における以下の判断を覆す。 #:*:民法724条にいう「損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」とは、被害者において、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度に損害及び加害者を知った時を意味するものと解するのが相当であり、被害者に現実の認識が欠けていても、その立場、知識、能力などから、わずかな努力によって損害や加害者を容易に認識し得るような状況にある場合には、その段階で、損害及び加害者を知ったものと解するのが短期消滅時効の起算点に関する特則を設けた同条の趣旨にかなう。 #:*最高裁の判断 #:*:民法724条の短期消滅時効の趣旨は、損害賠償の請求を受けるかどうか、いかなる範囲まで賠償義務を負うか等が不明である結果、極めて不安定な立場に置かれる加害者の法的地位を安定させ、加害者を保護することにあるが([[#6|上記項番6判例参照]]),それも,飽くまで被害者が不法行為による損害の発生及び加害者を現実に認識しながら3年間も放置していた場合に加害者の法的地位の安定を図ろうとしているものにすぎず、それ以上に加害者を保護しようという趣旨ではない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52326&hanreiKbn=02 損害賠償、民訴法第260条2項による仮執行の原状回復請求事件](最高裁判決 平成16年04月27日)[[国家賠償法第1条]]1項、[[鉱山保安法第1条]]、[[鉱山保安法第4条]]、鉱山保安法(昭和37年法第律第105号による改正前のもの)30条、じん肺法(昭和52年法律第76号による改正前のもの)2条1項1号,石炭鉱山保安規則(昭和61年通商産業省令第74号による改正前のもの)284条の2 ##'''通商産業大臣が石炭鉱山におけるじん肺発生防止のための鉱山保安法上の保安規制の権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例''' ##:炭鉱で粉じん作業に従事した労働者が粉じんの吸入によりじん肺にり患した場合において、炭鉱労働者のじん肺り患の深刻な実情及びじん肺に関する医学的知見の変遷を踏まえて、じん肺を炭じん等の鉱物性粉じんの吸入によって生じたものを広く含むものとして定義し、これを施策の対象とするじん肺法が成立したこと、そのころまでには、さく岩機の湿式型化によりじん肺の発生の原因となる粉じんの発生を著しく抑制することができるとの工学的知見が明らかとなっており、金属鉱山と同様に、すべての石炭鉱山におけるさく岩機の湿式型化を図ることに特段の障害はなかったのに、同法成立の時までに、鉱山保安法に基づく省令の改正を行わず、さく岩機の湿式型化等を一般的な保安規制とはしなかったことなど判示の事実関係の下では、じん肺法が成立した後、通商産業大臣が鉱山保安法に基づく省令改正権限等の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ##'''加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合における民法724条後段所定の除斥期間の起算点''' ##:民法724条後段所定の除斥期間は,不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には,当該損害の全部又は一部が発生した時から進行する。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52403&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成17年11月21日)[[民法第166条]]1項、[[商法第789条|旧・商法第798条]]1項 #;船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効の起算点 #:船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効は、民法724条により,被害者が損害及び加害者を知った時から進行する。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33231&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成18年06月16日) #;乳幼児期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染しB型肝炎を発症したことによる損害につきB型肝炎を発症した時が民法724条後段所定の除斥期間の起算点となるとされた事例 #:乳幼児期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染したX4及びX5がB型肝炎を発症したことによる損害については,(1)乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染し,持続感染者となった場合,HBe抗原陽性からHBe抗体陽性への変換(セロコンバージョン)が起きることなく成人期に入ると,肝炎を発症することがあること,(2)X4は,昭和26年5月生まれで,同年9月〜昭和33年3月に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し,昭和59年9月ころ,B型肝炎と診断されたこと,(3)X5は,昭和36年7月生まれで,昭和37年1月〜昭和42年10月に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し,昭和61年10月,B型肝炎と診断されたことなど判示の事情の下においては,上記集団予防接種等<u>(加害行為)の時ではなく</u>,B型肝炎の発症<u>(損害の発生)の時が民法724条後段所定の除斥期間の起算点となる</u>。 #<span id="平成21年04月28日最高裁判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37556&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成21年04月28日)[[民法第160条]]('''→2017年法改正により、時効の範疇とされ、本判例は条文に取り込まれた。''') #;被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出したため相続人がその事実を知ることができなかった場合における上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間 #:被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において,その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは,民法160条の法意に照らし,同法724条後段の効果は生じない。 ==参考文献== ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br/> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#5|第5章 不法行為]] |[[民法第723条]]<br/>(名誉毀損における原状回復) |[[民法第724条の2]]<br/>(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効) }} {{stub|law}} [[category:民法|724]] [[category:民法 2017年改正|724]]
2006-11-18T09:56:12Z
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解剖学/皮膚分節
人の皮膚感覚は全身に存在するため、これを中枢に送る神経も数多く存在する。それらのほとんど(顔の三叉神経V以外)は脊髄神経であり、それぞれC(Cervical nerves:頚神経)1 - 8、T(またはTh;Thoracic nerves:胸神経)1 - 12、L(Lumber nerves:腰椎神経)1 - 5、が体の各部位に存在する。これらすべてを暗記する必要は無いが、覚えやすい支配神経(後述)くらいは諳んじられる事が解剖学の学習において求められる事がある。また、これらの理解は特に、神経解剖学で学ぶ神経路の障害に関する学習で必要となる事が多い。
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{{medical stub}} == 皮膚分節 == === 皮膚分節について === 人の皮膚感覚は全身に存在するため、これを中枢に送る神経も数多く存在する。それらのほとんど(顔の三叉神経Ⅴ以外)は脊髄神経であり、それぞれC(Cervical nerves:頚神経)1 - 8、T(またはTh;Thoracic nerves:胸神経)1 - 12、L(Lumber nerves:腰椎神経)1 - 5、が体の各部位に存在する。これらすべてを暗記する必要は無いが、覚えやすい支配神経(後述)くらいは諳んじられる事が解剖学の学習において求められる事がある。また、これらの理解は特に、[[神経解剖学]]で学ぶ神経路の障害に関する学習で必要となる事が多い。 === 覚えやすい支配神経 === [[Image:Gray784.png|thumb|200px|right|顔面の皮膚分節]] *眼神経(脳神経Ⅴ:三叉神経) *上顎神経(脳神経Ⅴ:三叉神経) *下顎神経(脳神経Ⅴ:三叉神経) *乳頭の位置(T4) *剣状突起(T7) *臍部(T10) *親指(C6) *小指(C8) == 画像一覧 == <gallery> Image:Gray797.png|全身の皮膚分節(腹側) Image:Gray798.png|全身の皮膚分節(背側) Image:Dermatoms.svg|全身の皮膚分節 Image:Gray812.png|右手の皮膚分節(腹側) Image:Gray814.png|右手の皮膚分節(背側) Image:Gray826.png|右足の皮膚分節(腹側) Image:Gray831.png|右足の皮膚分節(背側) Image:Gray834.png|足底の皮膚分節 </gallery> <!--(英語版の画像はDermatoms.svgに置き換えられている) == 外部リンク == [[:en:w:Dermatomic area|Dermatomic area(en)]]著作権制限ありの皮膚分節画像 -->
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2022-08-31T01:22:07Z
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センター試験 公民対策
センター試験 公民対策は、センター試験 現代社会対策、センター試験 倫理対策、センター試験 政治・経済対策、センター試験 倫理、政治・経済対策(2012年から)の4科目で構成されている。 地歴・公民(地歴A科目、倫理、政治・経済は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。) 短期間の勉強でそれなりの点数が取れる教科が多く、社会が苦手な人が多い理系にとっての救済教科かもしれない。
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日本の大学受験ガイド > センター試験 > センター試験 公民対策 センター試験 公民対策は、センター試験 現代社会対策、センター試験 倫理対策、センター試験 政治・経済対策、センター試験 倫理、政治・経済対策(2012年から)の4科目で構成されている。 地歴・公民(地歴A科目、倫理、政治・経済は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。) 短期間の勉強でそれなりの点数が取れる教科が多く、社会が苦手な人が多い理系にとっての救済教科かもしれない。
*[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験 > センター試験 公民対策 センター試験 公民対策は、[[センター試験 現代社会対策]]、[[センター試験 倫理対策]]、[[センター試験 政治・経済対策]]、[[センター試験 倫理、政治・経済対策]](2012年から)の4科目で構成されている。 地歴・公民(地歴A科目、倫理、政治・経済は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。) 短期間の勉強でそれなりの点数が取れる教科が多く、社会が苦手な人が多い理系にとっての救済教科かもしれない。 [[Category:センター試験|こうみんたいさく]]
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2016-03-15T13:14:43Z
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センター試験 地学I対策
センター試験の中ではかなりマイナーな科目で、物理・化学・生物より受験数は1ケタ少ない。受験者の文理比率は文:理=9:1で文系理科とも呼ばれている。出版されている参考書も物理、化学、生物に較べると明らかに少なく、センター対策が出来る程度。しかし、文系受験者にとっては短期間で仕上がり、高得点も楽に稼げる、まさに穴場の科目。文系でセンター試験の理科を課しているところなら利用できないところはない。内容としては固体地球、岩石鉱物、地質図・地球史、大気海洋、天文の五大分野からひとつずつ大問が組まれている。よってどの範囲も必ず出ると考えて、余計なヤマを張って臨むべきではない。また、2011年までは数学の試験時間から地学の試験時間まで長い休憩があったが、2012年からは理科の時間が統一され、物理•化学•生物と同時に試験することとなった。また、こちらはかなり先のことだが、2016年からは、理科6科目体制から、8科目体制へ移行する事が決定しており、地学においても、「地学」と「地学基礎」の2科目が設定される事を大学入試センターは公表している。 第一問 過去には天文分野が置かれていたが、近年においては教科書のように固体地球分野が固定されてきているといえる。範囲としては地震、プレート運動、地磁気と偏りの無い出題が目を引く。ただし、問われていることは平坦なことばかりであり、地学を得点源にしたい受験生はこのあたりでは満点を狙いたい。また、全ての問題に言えることだが、新しい傾向の問題は皆無といってもよい。よって過去問を研究することで似たような(場合によっては同じ)問題に出くわす可能性が高くなる。 第二問 この大問では岩石鉱物分野について問われる。内容は鉱物の種類、岩石名とその組成、火山の特徴、多形など、地学受験者にとっては基礎中の基礎をまる暗記すればとけるような簡単な問題が多く、完答を狙える分野である。しかしそのため上記の内容を完璧に暗記していない受験生は全くと言っていいほど得点は取れない。あまり難しい問題にあたらず、基礎の徹底がこの分野克服の最良の策である。 第三問 地質図や地球史について問われる。地質図に関しては地質柱状図やロードマップなど、さまざまな形式が問われるが、走向や傾斜をもとに考えれば難しくはない。さらに地質図といっても図そのものに関与する設問ばかりではなく、クリノメーターの使用法、化石年代など、それ単体でも解ける問題も存在する。地質図に迷った時はこれらの設問から説くのもよい。地質図は慣れが重要なので本項目ほど過去問が威力を発揮するものはない。 第四問 A、Bの2つ、またはA~Cの3つの問題に分かれ、前者なら大気と海洋が各一題ずつ、後者なら大気が二題海洋が一題という構成が多い。5つの分野の中では温暖化など近年の環境問題に大きく関わる分野であり、踏み込んだ内容が出されたり、見たことのない図・グラフを問題文を手かがりに読み解かされるなど、最難関である。大気からは基本的な大気の構成や風、熱収支などがよく出題される。最近はあまり出されていないが、フェーン現象や天気図についても注意が必要である。海洋分野においては海水の大循環やエルニーニョ、降水が頻出。 第五問 2~3つの分野から出題されるが、大きくは天球や太陽・惑星、HR図、銀河から出題される。中でもHR図は図が出ないときもあるが、頻出であるので余白部分などに自分で作成できるようにしておきたい。桁数が多く、密度や質量などが絡む問題も出題されるが、単位に気をつければそれほど難しくもない。必要とされているのは確固とした教科書の理解である。ちなみに近年、少なくとも本試験では会合周期に関する出題がないので要注意である。 他の理系教科と比べても本科目は非常に過去問研究が重要である。これはまだ地学自体の全貌があまり解明されておらず、たくさんの説のある事項から聞きにくいということも影響していると思われる。よって過去に出題された問題に似通った問題も多く、大部分が基礎事項の丸暗記だけで解けるものである。また、有名な図表などからもよく出題されるので、暇があれば地学の図表を眺めることオススメする。計算もよく出題され、地学特有の桁の多さに圧倒されるが、過去問と全く同じ問題もよく見かける。また、大体は事実に忠実なのでその数値自体を暗記するという方法(太陽定数や銀河の公転周期などが例)も有効である。だが数値暗記については時間が余れば(おそらく大部分の受験生には余ると思われる)自分なりに計算してみることが重要である。全ての教科に言えることだが、設問条件の確認は重要である。なかでも地学は、問題文自体に解法が潜んでいることもある。時間は他の理科と比べても十分すぎる程あるので、見直しを怠らず、最後まで試験に集中することが大切である。 2013年度の本試験では、正誤判定の組み合わせ問題が初めて出題されたり、複数分野の融合問題が出題されるなどと、若干の出題形式の変更が見られた。また、選択肢が多い問題も増加した。現在の地学は記念受験組が多かったかつての地学とは異なり、純粋な地学受験者が大多数を占めている。その結果、平均点が高止まりしているので、今後、大幅な難化や出題形式・傾向の変化が見られる可能性がある。2013年度の問題には、単に丸暗記したり過去問を解くだけでは対応できない出題も見られたので、どのような問題にも対応できるよう教科書や資料集でしっかりと理解しておく事が以前より重要になったと言える。2014年度の本試験では平均点が50.22点と前年までの平均点と比べて大幅に下がった。内容も単なる教科書の丸暗記では対応できない融合問題や、正誤の紛らわしい選択問題が出題された。とは言え、地学の基本的な考え方が身についていれば、十分対応可能な良問が主であり、いたずらに恐れる必要はない。
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日本の大学受験ガイド > センター試験 > センター試験理科対策 > センター試験地学I対策
*[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験 > センター試験理科対策 > センター試験地学I対策 == 総説 == センター試験の中ではかなりマイナーな科目で、物理・化学・生物より受験数は1ケタ少ない。受験者の文理比率は文:理=9:1で文系理科とも呼ばれている。出版されている参考書も物理、化学、生物に較べると明らかに少なく、センター対策が出来る程度。しかし、文系受験者にとっては短期間で仕上がり、高得点も楽に稼げる、まさに穴場の科目。文系でセンター試験の理科を課しているところなら利用できないところはない。内容としては固体地球、岩石鉱物、地質図・地球史、大気海洋、天文の五大分野からひとつずつ大問が組まれている。よってどの範囲も必ず出ると考えて、余計なヤマを張って臨むべきではない。また、2011年までは数学の試験時間から地学の試験時間まで長い休憩があったが、2012年からは理科の時間が統一され、物理•化学•生物と同時に試験することとなった。また、こちらはかなり先のことだが、2016年からは、理科6科目体制から、8科目体制へ移行する事が決定しており、地学においても、「地学」と「地学基礎」の2科目が設定される事を大学入試センターは公表している。 == 問題 == '''第一問''' 過去には天文分野が置かれていたが、近年においては教科書のように固体地球分野が固定されてきているといえる。範囲としては地震、プレート運動、地磁気と偏りの無い出題が目を引く。ただし、問われていることは平坦なことばかりであり、地学を得点源にしたい受験生はこのあたりでは満点を狙いたい。また、全ての問題に言えることだが、新しい傾向の問題は皆無といってもよい。よって過去問を研究することで似たような(場合によっては同じ)問題に出くわす可能性が高くなる。 '''第二問''' この大問では岩石鉱物分野について問われる。内容は鉱物の種類、岩石名とその組成、火山の特徴、多形など、地学受験者にとっては基礎中の基礎をまる暗記すればとけるような簡単な問題が多く、完答を狙える分野である。しかしそのため上記の内容を完璧に暗記していない受験生は全くと言っていいほど得点は取れない。あまり難しい問題にあたらず、基礎の徹底がこの分野克服の最良の策である。 '''第三問''' 地質図や地球史について問われる。地質図に関しては地質柱状図やロードマップなど、さまざまな形式が問われるが、走向や傾斜をもとに考えれば難しくはない。さらに地質図といっても図そのものに関与する設問ばかりではなく、クリノメーターの使用法、化石年代など、それ単体でも解ける問題も存在する。地質図に迷った時はこれらの設問から説くのもよい。地質図は慣れが重要なので本項目ほど過去問が威力を発揮するものはない。 '''第四問''' A、Bの2つ、またはA~Cの3つの問題に分かれ、前者なら大気と海洋が各一題ずつ、後者なら大気が二題海洋が一題という構成が多い。5つの分野の中では温暖化など近年の環境問題に大きく関わる分野であり、踏み込んだ内容が出されたり、見たことのない図・グラフを問題文を手かがりに読み解かされるなど、最難関である。大気からは基本的な大気の構成や風、熱収支などがよく出題される。最近はあまり出されていないが、フェーン現象や天気図についても注意が必要である。海洋分野においては海水の大循環やエルニーニョ、降水が頻出。 '''第五問''' 2~3つの分野から出題されるが、大きくは天球や太陽・惑星、HR図、銀河から出題される。中でもHR図は図が出ないときもあるが、頻出であるので余白部分などに自分で作成できるようにしておきたい。桁数が多く、密度や質量などが絡む問題も出題されるが、単位に気をつければそれほど難しくもない。必要とされているのは確固とした教科書の理解である。ちなみに近年、少なくとも本試験では会合周期に関する出題がないので要注意である。 == 対策 == 他の理系教科と比べても本科目は非常に過去問研究が重要である。これはまだ地学自体の全貌があまり解明されておらず、たくさんの説のある事項から聞きにくいということも影響していると思われる。よって過去に出題された問題に似通った問題も多く、大部分が基礎事項の丸暗記だけで解けるものである。また、有名な図表などからもよく出題されるので、暇があれば地学の図表を眺めることオススメする。計算もよく出題され、地学特有の桁の多さに圧倒されるが、過去問と全く同じ問題もよく見かける。また、大体は事実に忠実なのでその数値自体を暗記するという方法(太陽定数や銀河の公転周期などが例)も有効である。だが数値暗記については時間が余れば(おそらく大部分の受験生には余ると思われる)自分なりに計算してみることが重要である。全ての教科に言えることだが、設問条件の確認は重要である。なかでも地学は、問題文自体に解法が潜んでいることもある。時間は他の理科と比べても十分すぎる程あるので、見直しを怠らず、最後まで試験に集中することが大切である。 2013年度の本試験では、正誤判定の組み合わせ問題が初めて出題されたり、複数分野の融合問題が出題されるなどと、若干の出題形式の変更が見られた。また、選択肢が多い問題も増加した。現在の地学は記念受験組が多かったかつての地学とは異なり、純粋な地学受験者が大多数を占めている。その結果、平均点が高止まりしているので、今後、大幅な難化や出題形式・傾向の変化が見られる可能性がある。2013年度の問題には、単に丸暗記したり過去問を解くだけでは対応できない出題も見られたので、どのような問題にも対応できるよう教科書や資料集でしっかりと理解しておく事が以前より重要になったと言える。2014年度の本試験では平均点が50.22点と前年までの平均点と比べて大幅に下がった。内容も単なる教科書の丸暗記では対応できない融合問題や、正誤の紛らわしい選択問題が出題された。とは言え、地学の基本的な考え方が身についていれば、十分対応可能な良問が主であり、いたずらに恐れる必要はない。 [[Category:センター試験|ちかく1たいさく]]
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2015-01-10T11:01:21Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E5%9C%B0%E5%AD%A6I%E5%AF%BE%E7%AD%96
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高等学校数学II 加法定理の幾何的導出
高等学校数学II > いろいろな関数 > 加法定理の幾何的導出 左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。 Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。 このとき、α + β の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、 sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD を評価すればよい。 さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。 【解法】 以上より
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高等学校数学II > いろいろな関数 > 加法定理の幾何的導出", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。", "title": "" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "このとき、α + β の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、", "title": "" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD を評価すればよい。", "title": "" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。", "title": "" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "【解法】", "title": "" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "以上より", "title": "" } ]
高等学校数学II > いろいろな関数 > 加法定理の幾何的導出 左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。 Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。 このとき、α + β の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、 sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD  を評価すればよい。 さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。 【解法】 以上より
<small>[[高等学校数学II]] &gt; [[高等学校数学II いろいろな関数|いろいろな関数]] &gt; '''加法定理の幾何的導出'''</small> [[画像:加法定理.PNG|right]] 左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。 Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。 このとき、'''α + β''' の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、 sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD  を評価すればよい。 さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。 【解法】 :AC = cos''β'' :AB = AC・cos''α'' = cos''α''・cos''β'' :BC = AC・sin''α'' = sin''α''・cos''β'' :CD = sin''β'' :ここで、∠DCE='''α''' であるため、 :CE = CD・cos''α'' = cos''α''・sin''β'' :BE = BC + CE =<u> sin''α''・cos''β'' + cos''α''・sin''β'' = ''DF''</u> :DE = CD・sin''α'' = sin''α''・sin''β'' :<u>AF = AB - FB(=DE) = cos''α''・cos''β'' - sin''α''・sin''β''</u> 以上より :<u>DF = sin''(α+β)'' = sin''α''・cos''β'' + cos''α''・sin''β''</u> :<u>AF = cos''(α+β)'' = cos''α''・cos''β'' - sin''α''・sin''β''</u> [[カテゴリ:高等学校数学II]]
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2022-11-25T05:20:19Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6II_%E5%8A%A0%E6%B3%95%E5%AE%9A%E7%90%86%E3%81%AE%E5%B9%BE%E4%BD%95%E7%9A%84%E5%B0%8E%E5%87%BA
4,498
センター試験 世界史対策
世界史Aと世界史Bは第一問目が共通問題で、配点も同じである。出題内容は、世界史Aと世界史Bの共通分野である近現代の分野から出題されている。これは、世界史Aが初めて登場した1997年度センター試験からずっと変わらない。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "世界史Aと世界史Bは第一問目が共通問題で、配点も同じである。出題内容は、世界史Aと世界史Bの共通分野である近現代の分野から出題されている。これは、世界史Aが初めて登場した1997年度センター試験からずっと変わらない。", "title": "世界史全体の出題について" } ]
日本の大学受験ガイド> センター試験 > センター試験 地理歴史対策 > センター試験 世界史対策
*[[日本の大学受験ガイド]]> センター試験 > [[センター試験 地理歴史対策]] > センター試験 世界史対策 == 総説 == == 世界史全体の出題について == 世界史Aと世界史Bは第一問目が共通問題で、配点も同じである。出題内容は、[[世界史]]Aと世界史Bの共通分野である近現代の分野から出題されている。これは、世界史Aが初めて登場した1997年度センター試験からずっと変わらない。 == 各説 == *[[センター試験 世界史A対策]] *[[センター試験 世界史B対策]] [[Category:センター試験|せかいしたいさく]]
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2008-05-25T11:59:01Z
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4,508
センター試験 世界史B対策
通史・同時代史・テーマ史など、色々な方向から歴史の流れを見ていく必要がある科目である。 世界史Aとの共通問題。ほとんど18世紀以降の内容が出る。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "通史・同時代史・テーマ史など、色々な方向から歴史の流れを見ていく必要がある科目である。", "title": "総説" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "世界史Aとの共通問題。ほとんど18世紀以降の内容が出る。", "title": "第一問" } ]
日本の大学受験ガイド> センター試験 > センター試験 地理歴史対策 > センター試験 世界史対策 > センター試験 世界史B対策
*[[日本の大学受験ガイド]]> センター試験 > [[センター試験 地理歴史対策]] > センター試験 世界史対策 > センター試験 世界史B対策 == 総説 == * 日本史より浅い知識しか要求されないようになっている。世界史は範囲が広い分、他科目と難易度をあわせるという配慮のため。 通史・同時代史・テーマ史など、色々な方向から歴史の流れを見ていく必要がある科目である。 * テーマ史的な出題が多い。 * 文化史の出題もあり、しかも年によっては文化史の配点が20%くらいの配点になることもあるので、注意は必要。私大入試では、文化史は、あまり問われない分野である。 * 私大の入試に較べると、比較的、易しい内容で構成されている。 * 地歴公民のセンター科目の中では、平均点の差の小ささが一番。 ==第一問== 世界史Aとの共通問題。ほとんど18世紀以降の内容が出る。 ==第二問== ==第三問== ==第四問== [[Category:センター試験|せかいしBたいさく]]
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2014-01-26T07:48:32Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2B%E5%AF%BE%E7%AD%96
4,512
料理本/飲料
飲料では飲用を目的とした液体を扱う。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "飲料では飲用を目的とした液体を扱う。", "title": "" } ]
飲料では飲用を目的とした液体を扱う。 緑茶 紅茶 チャイ コーヒー
'''飲料'''では飲用を目的とした液体を扱う。 *[[/緑茶|緑茶]] *[[料理本/紅茶|紅茶]] **[[/チャイ|チャイ]] *[[/コーヒー|コーヒー]] ==アルコール飲料== *[[/アルコール飲料]]を参照。 [[en:Cookbook:Beverages]] [[he:ספר מתכונים/משקאות]] [[Category:飲料|*]]
2006-11-24T00:24:51Z
2023-10-31T16:13:12Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E9%A3%B2%E6%96%99
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日本史/近世/江戸時代
徳川時代は戦国時代及び安土桃山時代の「合戦による時代」の終わりを特徴付けた。時代の始まりは関ヶ原の戦いによってそれ以降の時代が徳川家による時代であることを示したことに始まる。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は征夷大将軍 (あるいは国の軍事的支配者) に任ずるよう上奏し、征夷大将軍に就くと同時に天皇を名目上の元首として維持させた。これは歴代の幕府に全て共通することである。将軍の職はそのときから後の時代まで家康の子孫へ引き継がれた。七代将軍・徳川家継が幼くして死去したことで二代将軍・秀忠の子孫が途絶えた後、こういったこと (宗家断絶) を想定して家康が設けた3つの分家 (全て秀忠の兄弟の家) のうち、紀伊徳川家から八代将軍として徳川吉宗が選ばれた。そして、15代将軍まですべて徳川一族で占められることとなった。 江戸時代は総じて権力が徳川家に集中し、支配者が代わるようなことはなかった。それはすなわち、(関ヶ原の戦い以降)国を二分するような大きな戦がなく平和であったことを意味する。これにより、いくつかのメリット及びデメリットが発生した。詳しくは後述の「#平和」を参照。 このページでは江戸時代すべてに共通する政策などをまとめるほか、一揆や戦闘について取り扱う。江戸時代は長い時代であり(これも家康が基盤固めをしっかり行ったため)、関ケ原直後のことと幕末のことは一緒に取り扱うわけにはいかないので、「前期」「中期」「後期」の3つのページで時期ごとの政策や文化を取り扱う。 江戸時代は他の時代に比べて現代に近いため、研究が進んでいるかのように思うかもしれない。しかし、江戸時代には「神君」とされた家康は過剰に賛美され(もちろん幕府を直接批判するのは不可能)、明治時代には明治政府の正当性を示す意味もあって過剰に貶められた。こうした政治的事情が史料にも大きな影響を与えている。また、講談や歴史小説によって流布された俗説や根拠の怪しい「記録」も多い。そのため、21世紀に入ってからようやく解明されたことが多い。 安土桃山時代の章で触れた通り、豊臣秀吉はまだ幼い秀頼を唯一の子孫としてこの世を去る。その直後に秀吉が残した五大老への手紙により秀頼が成人するまで前田利家が主にそばで支えることとしたが、利家もまもなくこの世を去る(利家と秀吉は同年代である)。すなわち、この時点で秀吉の読みは崩れ始める。反家康派の筆頭であった利家が死去したことで家康および加藤清正らの勢力が力を持ち始める。変わって反家康派の筆頭と成った石田三成は秀吉に仕えていた時代から頭脳派で、清正や福島正則といった武力派との溝は深くなっていく一方だった。 そしてこの頃から、家康は秀吉が生前に定めた法度を次々と破りだし、勢いに乗った家康派の清正および正則などがついに三成を襲撃にかかる。三成は己の兵力で彼らを防げないと見るやいなや家康邸に逃げ込む。家康が己 (=三成) を殺すことはないとわかっていたためである。家康は三成を保護し、清正一味から匿うが代償として三成は居城である佐和山城で引退を余儀なくされる。 しかし、家康があまりに横暴をはたらいたので、三成は仲の良かった直江兼続およびその主上杉景勝 (通称、「義の男」として戦国時代に一世を風靡した上杉謙信の養子) と手を組み打倒家康を狙う。第一歩として景勝は軍備設備の整備および拡張を行う。これにおこった家康は「謀叛の疑いあり、至急上洛せよ」(当時、上杉家は越後から会津に移封されていたが、これは家康の監視のためだったと言われている)と文を送るが、兼続はその要請を無視し、家康に苦言を書き連ね、謀反を疑われる行動を釈明し論破したのベ15か条 (違うものもある) の文書を家康に送りこれに激怒した家康は伏見城に鳥居元忠を残して兵を引き連れ会津征伐に出発した。しかし、これを好機とみた三成は家康らが会津に着く前に兵を挙げ、伏見城を落とす。家康は長らく自身に仕えてきた元忠の死をきっかけに兵を引き返し一路美濃・近江方面に進軍する(これを決定した軍議を小山評定という)。 関ヶ原の戦いは徳川家康を総大将とする東軍と毛利輝元を総大将とする西軍の間で戦われた。しかし、毛利輝元は実際のところ戦っておらず、石田三成が事実上の総大将となった。石田三成は、豊臣秀吉の後継者である秀頼の代わりに戦った、とも言える 家康は想像を上回る三成の兵力に驚嘆し、西軍の大名に東軍への裏切りをするよう文を送りつけた。前述の家康の工作が功を奏し小早川家の当主、小早川秀秋は石田三成を裏切った。それをはじめとして他の中小大名が次々と寝返ってしまい、これを大因として家康は勝ってしまった。 一方、家康の嫡男で後の2代目将軍、徳川秀忠率いる東軍の別働隊 (38000人) が、西軍に味方しつつも関ヶ原に来ず彼らの居城である上田城 (など) に籠城する真田昌幸ら2500~3000人程度の真田軍を討伐するため中山道を進んだが、真田軍に苦戦し、家康からの催促でおさえの兵を残してようやく動き出した。しかし、時既に遅し、東軍は主力兵力を欠かした70000人程で80000人程の西軍に対峙した。特筆すべきは、当初の計画の人数と異なる軍勢で劣っていた家康に三成が敗北したことだ。 以上が関ケ原の合戦のあらましだが、2000年代以降、この合戦についての研究が進み、従来の学説および歴史小説で見られた展開は大幅に見直されている。 ※現在の大阪は明治時代まで大坂と呼称、それにならってこのページでは大坂と書きます。 前述のとおり関ケ原の戦いで徳川家康が政の主導権を握り、豊臣秀吉の唯一の嫡子であった豊臣秀頼(右大臣)を首領とする豊臣側はその領地を大幅に削られた。徳川家康は死が近づいていることを否めなくなり、死ぬまでに江戸幕府の盤石を頑丈なものにしたいと欲した家康は豊臣家を滅ぼしにかかる。 豊臣家は当時豊臣秀頼を頂点とする三角形となっていたものの秀頼が内気な性格だったこともあり、実質的な首領は秀頼を産んだ親である淀君、その他秀吉の妻複数が該当していた(正室であるねねは出家し尼となっており寺で徳川家による軟禁状態にあった、と言われ、『尼将軍』として大きく影響力をもった北条正子とは大きく異なる)。豊臣側への挑発として徳川家は、豊臣家の名目で行われた方広寺の復建に伴って新造された鐘の銘文「国家安康、君臣豊楽」を「【家康】の二字を引き離し、【豊臣】を楽として家康を呪い豊臣家の繁栄を願っている」などと言いがかりをつけ豊臣家に問い詰めた。豊臣家に突きつけられた条件は以下の通りである。 これらの条件は括弧内で示した通り豊臣家に利はなく、淀殿 (秀吉の側室で秀頼の生母) がこの案を言上した片桐且元を怒鳴りつけたため、しだいに且元は「裏切り者」の扱いをされるようになり、大坂城を去ってしまう(実際には且元は豊臣家のためを思って実行したが、大坂城を去った後は家康の家臣となる)。ここから、家康は「豊臣包囲網」を組み始める。慶長6年に築城を始めた膳所城を皮切りに伏見城及び二条城、彦根城、篠山城、亀山城、北ノ庄城、名古屋城の再建・造営、江戸城及び駿府城、姫路城、上野城などの大改修が具体的な例である。 ただいま、内容は執筆中です。もしくは、あなたが執筆してみませんか? 慶長19年、豊臣方は全国各地の大名に「豊臣方に味方せよ」という趣旨の文を送り、また関ヶ原の合戦で西軍についた浪人にも同様の文を送った。豊臣家は秀吉の頃に大量の金銀を確保しており、その散財を目的として家康が方広寺などの改修を勧めたが、あまり影響はなかった。あまりにも各地の鉱山を確保して金銀を備蓄したため、と言われている。そしてこの金銀を餌に浪人衆を集めた。彼らは前述の通り関ヶ原の合戦で敵対したために領地を取り上げられたり、あるいは家康に藩を潰されたり、といったように皆家康に恨みを持つ者ばかりだった。また、家康の厳しいキリスト教弾圧政策で潜伏していたキリシタン大名も戦後のキリスト教保護を約束され五七の桐の下についた。彼らもまた家康に恨みがあった。また、キリシタン大名に従ってきた神父なども多く参加していた。しかし、浪人衆は集まったものの、大名は誰一人として大坂城に馳せ参じる者はおらず、福島正則が唯一蔵の兵糧の供出を黙認した、と言われているのみである。浪人を雇い入れたため、豊臣方は秀頼を名目上の頂点とし、その下に豊臣家一族および従来からの家臣、その下に真田信繁や後藤又兵衛など5人を代表とする浪人衆によるピラミッドを構成する。 豊臣家の家臣である片桐且元は、方広寺の一件以来悪化は進む一方であった両家の関係を改善するため、江戸と大坂を行き来し、奔走する。そして、私案として以下の3つの一つを採用するように進言した。 しかし、三角形の頂点に君臨していた淀殿らは反対。且元の私案だったため、且元を改易の処分とし、高野山に封じるとした。しかし、且元は豊臣家の家臣であったものの、家康から1万石を加増されるなど、事実上家康の家臣でもあった。そのため、豊臣方による且元への処分を口実に家康は諸大名へ出兵を命じる。こうして、前代未聞の天下を取った者とその臣下で天下を奪った者という構図の、関ヶ原以来続いた豊臣家と徳川家のにらみ合いに決着をつける戦いは火ぶたを切ることとなる。 1637年から1638年にかけて、おもにキリシタンからなる農民のグループが、浪人の子で同じくキリシタンの天草四郎を頭領として九州の天草を中心に一揆を起こした。彼らの主要な動機は宗教的なものではなく重い年貢が課されたためであった可能性が高いものの、後述のキリスト教に対する制限政策の一因としてこの戦いでキリシタンが宗教的に死を恐れず攻撃してきたことと、団結力の高さが共に幕府への脅威となったことが挙げられるため、ある程度宗教的なものであった可能性も考えられる。 彼らは原城 (跡) を占領した。幕府はそれをを鎮めるために30000の兵を送ったが、勝てなかった。しかしついに幕府は一揆を鎮圧し、37000の反幕府勢力を処刑した。この後、キリスト教は完全に止された(一応これ以前にも同様の法令は出ていたがこの地域は改宗しない者が多かった)。これは1860年代まで日本における最後の主要な戦いであった。 戦国時代の1549年に唐 (当時の中国) 船に乗っていたところ難破し薩摩国種子島にポルトガル人が漂着したことで始まった西洋との関係は鉄砲 (火縄銃) やキリスト教の布教などで発展した。それらは主に当時の実力者であった織田信長が仏教への対抗勢力としてキリスト教を保護したこと、貿易での利益をあげたい九州の大名の一部がキリスト教になってキリシタン大名となったことが大きな理由である。しかし、織田信長の死後権力を握った羽柴秀吉は貿易を推進するも、キリスト教の布教そのものは禁止とし、宣教師などを追放し、キリシタン大名らにも改宗を迫った。それらの理由として、「他の大航海時代に植民地となった多くの国が宗主国のキリスト教の布教による信者 (=協力者) を利用して植民地化されているため」と言われている。しかし、貿易の利益を優先したため十分な取り締まりができなかった。その死後権力を掌握した徳川家康は同様にキリスト教の禁止を目論んだものの、秀吉の失敗もありより厳重な取り締まりを行った。その内容は、 などである。しかし、信仰は弾圧に打ち勝ち、前述のとおり島原・天草の乱が起こる。幕府軍が苦戦していた頃、ポルトガル船によって海上から一揆勢に砲撃を加えたこともあった。島原・天草の乱の後、3代将軍徳川家光 (当時の将軍) はスペイン船が一揆勢を幇助したとして来航を禁止する。この乱を経験した家光は弾圧に積極的で、カトリックのためキリスト教を広める可能性が排除できないポルトガルも来航を禁じられ、イギリスも貿易赤字のため商館を閉鎖し引き揚げていたことから西洋からはオランダが唯一の交易国となった。末期に至るまで、この状態のまま推移した。開国~倒幕までの海外との関係に関しては /後期を参照。 室町時代より、日本と明との日明貿易では勘合による勘合貿易が行われていたが #ヨーロッパ の節でも説明したとおり朱印船貿易になった。この後、日本と東南アジア及び東アジア間に商人や琉球王国を介した貿易網ができ、シャム (現在のタイ) など日本人の多く訪れる場所は日本人町が形成され日本の貨幣、日本の法令、日本人によるコミニュティイの統治が行われたが、後述の家光の鎖国政策により滅びた。朝鮮には秀吉の朝鮮侵略がもとでそれ以降の国交はなかったが、家康の意向で対馬藩の宗氏によって紆余曲折ありながらも国交が結ばれた。 徳川家光の積極的なキリスト教排除の政策によりオランダ、明、朝鮮、琉球王国 (江戸中期に薩摩藩によって侵略) の4国のみが日本と貿易を許されるという結果になった。これらの政策をまとめて「鎖国」と後世呼ばれるようになった。 江戸時代は戦国時代および安土桃山時代の武将の誰もが達成できなかった「平和な時代」を達成した。徳川家康が徳川家の安定と繁栄を図って武家諸法度や禁中並公家諸法度などを用いて謀反などの反乱を起こしにくくし、さらには庶民が平和を望んでいたためである。世界的に見ても、島原・天草一揆から戊辰戦争までの長きに渡って大規模な戦いや反乱の起きることなく平和な時代を継続した珍しい例であると考えられている。しかし、これによって武士の権威が少しずつ無くなっていったばかりか、町人の力が強まった時代でもある。であるからして、従来の米を中心とした経済 (武士などの支配者中心) から貨幣経済 (町人中心) へと世の中は変わっていったが、中期から後期にかけての3度に渡る幕政改革ではそういった世間を反映することができなかった。1度だけ老中の田沼意次が貨幣を中心とした経済構造に幕府もあわせよう、という政策を行ったものの、賂が横行したことやそれをよく思わぬ者により田沼が失脚したことをために (他にも田沼が失脚した理由はある) この政策は上手くいかず(株仲間による物価上昇など)。 これら経済の移り変わり以外にも、浪人 (表記ゆれ:牢人) の問題もある。幕府の反乱を恐れた大名および藩の積極的な取りつぶしや減封によって多くの浪人が発生した。これらの浪人は最初こそ由井正雪などを中心とした幕府の転覆計画に賛同したり(この計画は密告により失敗)、大坂の陣において豊臣方に味方したり、あるいは島原・天草一揆の一揆勢として戦うなど幕府に対し攻撃的な姿勢であった。しかし、これらの浪人の動きが幕府の破綻に繋がらなくもないと考えた幕府は一転し、これら浪人から幕府に対しての反抗心を無くしたり、そもそも浪人が発生しないようにする政策を取り始めた。例えば、士官先や就職先を幕府が探す、藩の取りつぶしではなく移封することでの対応で浪人の発生を抑える、といったようにである。ただし、これでも幾つかの浪人は悪に手を染めたり、反社会的勢力の用心棒やそれらそのものになったりなど、必ずしも浪人が幕府に対する反抗心などを抱いていなかったわけではない。
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の節でも説明したとおり朱印船貿易になった。この後、日本と東南アジア及び東アジア間に商人や琉球王国を介した貿易網ができ、シャム (現在のタイ) など日本人の多く訪れる場所は日本人町が形成され日本の貨幣、日本の法令、日本人によるコミニュティイの統治が行われたが、後述の家光の鎖国政策により滅びた。朝鮮には秀吉の朝鮮侵略がもとでそれ以降の国交はなかったが、家康の意向で対馬藩の宗氏によって紆余曲折ありながらも国交が結ばれた。", "title": "外国(日本から見た)及びキリスト教との関係" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "徳川家光の積極的なキリスト教排除の政策によりオランダ、明、朝鮮、琉球王国 (江戸中期に薩摩藩によって侵略) の4国のみが日本と貿易を許されるという結果になった。これらの政策をまとめて「鎖国」と後世呼ばれるようになった。", "title": "外国(日本から見た)及びキリスト教との関係" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "江戸時代は戦国時代および安土桃山時代の武将の誰もが達成できなかった「平和な時代」を達成した。徳川家康が徳川家の安定と繁栄を図って武家諸法度や禁中並公家諸法度などを用いて謀反などの反乱を起こしにくくし、さらには庶民が平和を望んでいたためである。世界的に見ても、島原・天草一揆から戊辰戦争までの長きに渡って大規模な戦いや反乱の起きることなく平和な時代を継続した珍しい例であると考えられている。しかし、これによって武士の権威が少しずつ無くなっていったばかりか、町人の力が強まった時代でもある。であるからして、従来の米を中心とした経済 (武士などの支配者中心) から貨幣経済 (町人中心) へと世の中は変わっていったが、中期から後期にかけての3度に渡る幕政改革ではそういった世間を反映することができなかった。1度だけ老中の田沼意次が貨幣を中心とした経済構造に幕府もあわせよう、という政策を行ったものの、賂が横行したことやそれをよく思わぬ者により田沼が失脚したことをために (他にも田沼が失脚した理由はある) この政策は上手くいかず(株仲間による物価上昇など)。", "title": "平和" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "これら経済の移り変わり以外にも、浪人 (表記ゆれ:牢人) の問題もある。幕府の反乱を恐れた大名および藩の積極的な取りつぶしや減封によって多くの浪人が発生した。これらの浪人は最初こそ由井正雪などを中心とした幕府の転覆計画に賛同したり(この計画は密告により失敗)、大坂の陣において豊臣方に味方したり、あるいは島原・天草一揆の一揆勢として戦うなど幕府に対し攻撃的な姿勢であった。しかし、これらの浪人の動きが幕府の破綻に繋がらなくもないと考えた幕府は一転し、これら浪人から幕府に対しての反抗心を無くしたり、そもそも浪人が発生しないようにする政策を取り始めた。例えば、士官先や就職先を幕府が探す、藩の取りつぶしではなく移封することでの対応で浪人の発生を抑える、といったようにである。ただし、これでも幾つかの浪人は悪に手を染めたり、反社会的勢力の用心棒やそれらそのものになったりなど、必ずしも浪人が幕府に対する反抗心などを抱いていなかったわけではない。", "title": "平和" } ]
徳川時代は戦国時代及び安土桃山時代の「合戦による時代」の終わりを特徴付けた。時代の始まりは関ヶ原の戦いによってそれ以降の時代が徳川家による時代であることを示したことに始まる。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は征夷大将軍 (あるいは国の軍事的支配者) に任ずるよう上奏(じょうそう)し、征夷大将軍に就くと同時に天皇を名目上の元首として維持させた。これは歴代の幕府に全て共通することである。将軍の職はそのときから後の時代まで家康の子孫へ引き継がれた。七代将軍・徳川家継が幼くして死去したことで二代将軍・秀忠の子孫が途絶えた後、こういったこと (宗家断絶) を想定して家康が設けた3つの分家 (全て秀忠の兄弟の家) のうち、紀伊徳川家(きいとくがわけ)から八代将軍として徳川吉宗が選ばれた。そして、15代将軍まですべて徳川一族で占められることとなった。 江戸時代は総じて権力が徳川家に集中し、支配者が代わるようなことはなかった。それはすなわち、(関ヶ原の戦い以降)国を二分するような大きな戦がなく平和であったことを意味する。これにより、いくつかのメリット及びデメリットが発生した。詳しくは後述の「#平和」を参照。 このページでは江戸時代すべてに共通する政策などをまとめるほか、一揆や戦闘について取り扱う。江戸時代は長い時代であり(これも家康が基盤固めをしっかり行ったため)、関ケ原直後のことと幕末のことは一緒に取り扱うわけにはいかないので、「前期」「中期」「後期」の3つのページで時期ごとの政策や文化を取り扱う。 江戸時代は他の時代に比べて現代に近いため、研究が進んでいるかのように思うかもしれない。しかし、江戸時代には「神君」とされた家康は過剰に賛美され(もちろん幕府を直接批判するのは不可能)、明治時代には明治政府の正当性を示す意味もあって過剰に貶められた。こうした政治的事情が史料にも大きな影響を与えている。また、講談や歴史小説によって流布された俗説や根拠の怪しい「記録」も多い。そのため、21世紀に入ってからようやく解明されたことが多い。
{{Pathnav|メインページ|歴史学|日本史|frame=1}} {{Wikipedia|江戸時代}} 徳川時代は戦国時代及び安土桃山時代の「合戦による時代」の終わりを特徴付けた。時代の始まりは関ヶ原の戦いによってそれ以降の時代が徳川家による時代であることを示したことに始まる。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は<small>征夷大</small>将軍 (あるいは国の軍事的支配者) に任ずるよう{{Ruby|[[wikt:上奏|上奏]]|じょうそう|し}}、征夷大将軍に就くと同時に天皇を名目上の元首として維持させた。これは歴代の幕府に全て共通することである。将軍の職はそのときから後の時代まで家康の子孫へ引き継がれた。七代将軍・徳川家継が幼くして死去したことで二代将軍・秀忠の子孫が途絶えた後、こういったこと (宗家断絶) を想定して家康が設けた3つの分家 (全て秀忠の兄弟の家) のうち、{{ruby|紀伊徳川家|きいとくがわけ}}から八代将軍として徳川吉宗が選ばれた。そして、15代将軍まですべて徳川一族で占められることとなった。 江戸時代は総じて権力が徳川家に集中し、支配者が代わるようなことはなかった。それはすなわち、(関ヶ原の戦い以降)国を二分するような大きな戦がなく平和であったことを意味する。これにより、いくつかのメリット及びデメリットが発生した。詳しくは後述の「[[日本史 江戸時代#平和|#平和]]」を参照。 このページでは江戸時代すべてに共通する政策などをまとめるほか、一揆や戦闘について取り扱う。江戸時代は長い時代であり(これも家康が基盤固めをしっかり行ったため)、関ケ原直後のことと幕末のことは一緒に取り扱うわけにはいかないので、「[[日本史 江戸時代/前期|前期]]」「[[日本史 江戸時代/中期|中期]]」「[[日本史 江戸時代/後期|後期]]」の3つのページで時期ごとの政策や文化を取り扱う。 江戸時代は他の時代に比べて現代に近いため、研究が進んでいるかのように思うかもしれない。しかし、江戸時代には「神君」とされた家康は過剰に賛美され(もちろん幕府を直接批判するのは不可能)、明治時代には明治政府の正当性を示す意味もあって過剰に貶められた。こうした政治的事情が史料にも大きな影響を与えている。また、講談や歴史小説によって流布された俗説や根拠の怪しい「記録」も多い<ref group="注釈">その例として、真田「幸村」がいる。本来の名は「信繁」だったが、『難波戦記』などの講談本で「幸村」とよばれて有名になった。その結果、「幸村」の名が広まりすぎて本来の「信繁」はほぼ忘れられ、ついには真田本家である松代藩が作成した系図でも「幸村」の名を採用するに至った。</ref>。そのため、21世紀に入ってからようやく解明されたことが多い。 == {{Ruby|関ヶ原|せきがはら}}の{{Ruby|戦|たたか}}い == [[ファイル:Sekigaharascreen.jpg|フレームなし|400x400ピクセル]] === 背景 === 安土桃山時代の章で触れた通り、豊臣秀吉はまだ幼い[[W:豊臣秀頼|秀頼]]を唯一の子孫としてこの世を去る。その直後に秀吉が残した五大老<!-- 固有名詞のため漢数字 -->への手紙により秀頼が成人するまで[[W:前田利家|前田利家]]が'''主に'''そばで支えることとしたが、利家もまもなくこの世を去る(利家と秀吉は同年代である)。すなわち、この時点で秀吉の読みは崩れ始める。反家康派の筆頭であった利家が死去したことで家康および[[W:加藤清正|加藤清正]]らの勢力が力を持ち始める。変わって反家康派の筆頭と成った石田三成は秀吉に仕えていた時代から頭脳派で、<!-- [[日本史 安土桃山時代#朝鮮出兵|朝鮮出兵]]の一件などを通し -->清正や[[W:福島正則|福島正則]]といった武力派との溝は深くなっていく一方だった。 そしてこの頃から、家康は秀吉が生前に定めた法度を次々と破りだし、勢いに乗った家康派の清正および正則などがついに三成を襲撃にかかる。三成は己の兵力で彼らを防げないと見るやいなや家康邸に逃げ込む。家康が己 (=三成) を殺すことはないとわかっていたためである。家康は三成を保護し、清正一味から匿うが代償として三成は居城である[[W:佐和山城|佐和山城]]で引退を余儀なくされる。 しかし、家康があまりに横暴をはたらいたので、三成は仲の良かった[[W:直江兼続|直江兼続]]およびその主{{Ruby|[[w:上杉景勝|上杉景勝]]|うえすぎかげかつ}} (通称、「義の男」として戦国時代に一世を風靡した上杉謙信の養子) と手を組み打倒家康を狙う。第一歩として景勝は軍備設備の整備および拡張を行う。これにおこった家康は「謀叛の疑いあり、至急上洛せよ」(当時、上杉家は越後から会津に移封されていたが、これは家康の監視のためだったと言われている)と文を送るが、兼続はその要請を無視し、[[W:直江状|家康に苦言を書き連ね、謀反を疑われる行動を釈明し論破したのベ15か条 (違うものもある) の文書]]を家康に送りこれに激怒した家康は伏見城に[[w:鳥居元忠|鳥居元忠]]を残して兵を引き連れ会津征伐に出発した。しかし、これを好機とみた三成は家康らが会津に着く前に兵を挙げ、伏見城を落とす。家康は長らく自身に仕えてきた元忠の死をきっかけに兵を引き返し一路美濃・近江方面に進軍する(これを決定した軍議を小山評定という)。 === 天下分け目の<!-- 他にもっと良い節名はないのか --> === [[w:関ヶ原の戦い|関ヶ原の戦い]]は徳川家康を総大将とする東軍と{{ruby|[[w:毛利輝元|毛利輝元]]|もうりてるもと}}を総大将とする西軍の間で戦われた。しかし、毛利輝元は実際のところ戦っておらず、石田三成が事実上の総大将となった。石田三成は、豊臣秀吉の後継者である秀頼の代わりに戦った、とも言える 家康は想像を上回る三成の兵力に驚嘆し、西軍の大名に東軍への裏切りをするよう文を送りつけた。前述の家康の工作が功を奏し小早川家の当主、小早川秀秋は石田三成を裏切った。それをはじめとして他の中小大名が次々と寝返ってしまい、これを大因として家康は勝ってしまった。 一方、家康の嫡男で後の2代目将軍、徳川秀忠率いる東軍の別働隊 (38000人) が、西軍に味方しつつも関ヶ原に来ず彼らの居城である上田城 (など) に籠城する真田昌幸ら2500~3000人程度の真田軍を討伐するため中山道を進んだが、真田軍に苦戦し、家康からの催促でおさえの兵を残してようやく動き出した。しかし、時既に遅し、東軍は主力兵力を欠かした70000人程で80000人程の西軍に対峙した。特筆すべきは、当初の計画の人数と異なる軍勢で劣っていた家康に三成が敗北したことだ。 以上が関ケ原の合戦のあらましだが、2000年代以降、この合戦についての研究が進み、従来の学説および歴史小説で見られた展開は大幅に見直されている。 === 見直されている点 === # 徳川家康は、石田三成などの反徳川武将を決起させるために会津征伐を行ったという説 # 小山評定 # 毛利輝元は石田三成に担がれただけで積極的に西軍に加担しなかったという説 # 関ケ原の合戦における小早川秀秋の動向 == 大坂の陣 == <small>※現在の大阪は明治時代まで大坂と呼称、それにならってこのページでは大坂と書きます。</small> === 背景 === 前述のとおり関ケ原の戦いで徳川家康が政<!-- まつりごと -->の主導権を握り、豊臣秀吉の唯一の嫡子であった豊臣秀頼(右大臣)を首領とする豊臣側はその領地を大幅に削られた。徳川家康は死が近づいていることを否めなくなり、死ぬまでに江戸幕府の盤石を頑丈なものにしたいと欲した家康は豊臣家を滅ぼしにかかる。 === 勃発まで === 豊臣家は当時豊臣秀頼を頂点とする三角形となっていたものの秀頼が内気な性格だったこともあり、実質的な首領は秀頼を産んだ親である淀君、その他秀吉の妻複数が該当していた(正室であるねねは出家し尼となっており寺で徳川家による軟禁状態にあった、と言われ、『尼将軍』として大きく影響力をもった北条正子とは大きく異なる)。豊臣側への挑発として徳川家は、豊臣家の名目で行われた{{ruby|方広寺|ほうこうじ}}の復建に伴って新造された鐘の銘文「国家安康、君臣豊楽」を「【家康】の二字を引き離し、【豊臣】を楽として家康を呪い豊臣家の繁栄を願っている」などと言いがかりをつけ豊臣家に問い詰めた。豊臣家に突きつけられた条件は以下の通りである。 * 秀頼を江戸に参勤させる(大名と同じ扱い→豊臣家が大名として幕府に従う意味) * 淀殿を人質として江戸に置く(上記に同じ) * 秀頼が国替えに応じ大坂城を退去する(守りの堅い大坂城から出れば豊臣家を易々と攻めることができる) これらの条件は括弧内で示した通り豊臣家に利はなく、淀殿 (秀吉の側室で秀頼の生母) がこの案を言上した片桐且元を怒鳴りつけたため、しだいに且元は「裏切り者」の扱いをされるようになり、大坂城を去ってしまう(実際には且元は豊臣家のためを思って実行したが、大坂城を去った後は家康の家臣となる)。ここから、家康は「豊臣包囲網」を組み始める。慶長6年に築城を始めた膳所城を皮切りに伏見城及び二条城、彦根城、篠山城、亀山城、北ノ庄城、名古屋城の再建・造営、江戸城及び駿府城、姫路城、上野城などの大改修が具体的な例である。 === (大坂)冬の陣 === ただいま、内容は執筆中です。もしくは、あなたが[{{fullurl:{{FULLPAGENAME}}|action=edit}}  執筆]してみませんか? ==== 背景 ==== 慶長19年、豊臣方は全国各地の大名に「豊臣方に味方せよ」という趣旨の文を送り、また関ヶ原の合戦で西軍についた浪人にも同様の文を送った。豊臣家は秀吉の頃に大量の金銀を確保しており、その散財を目的として家康が方広寺などの改修を勧めたが、あまり影響はなかった。あまりにも各地の鉱山を確保して金銀を備蓄したため、と言われている。そしてこの金銀を餌に浪人衆を集めた。彼らは前述の通り関ヶ原の合戦で敵対したために領地を取り上げられたり、あるいは家康に藩を潰されたり、といったように皆家康に恨みを持つ者ばかりだった。また、家康の厳しいキリスト教弾圧政策で潜伏していたキリシタン大名も戦後のキリスト教保護を約束され五七の桐の下についた。彼らもまた家康に恨みがあった。また、キリシタン大名に従ってきた神父なども多く参加していた。しかし、浪人衆は集まったものの、大名は誰一人として大坂城に馳せ参じる者はおらず、福島正則が唯一蔵の兵糧の供出を黙認した、と言われているのみである。浪人を雇い入れたため、豊臣方は秀頼を名目上の頂点とし、その下に豊臣家一族および従来からの家臣、その下に真田信繁や後藤又兵衛など5人を代表とする浪人衆によるピラミッドを構成する。 ==== 勃発 ==== 豊臣家の家臣<!-- 二重臣下は面倒なため後述 -->である片桐且元は、方広寺の一件以来悪化は進む一方であった両家の関係を改善するため、江戸と大坂を行き来し、奔走する。そして、'''私案'''として以下の3つの一つを採用するように進言した。 * 秀頼を江戸に参勤させる * 秀頼が国替えに応じ大坂城を退去する * 淀殿を人質として江戸に置く しかし、三角形の頂点に君臨していた淀殿らは反対。且元の私案だったため、且元を改易の処分とし、高野山に封じるとした。しかし、且元は豊臣家の家臣であったものの、家康から1万石を加増されるなど、事実上家康の家臣でもあった。そのため、豊臣方による且元への処分を口実に家康は諸大名へ出兵を命じる。こうして、前代未聞の天下を取った者とその臣下で天下を奪った者という構図の、関ヶ原以来続いた豊臣家と徳川家のにらみ合いに決着をつける戦いは火ぶたを切ることとなる。 == 天草・島原の乱 == 1637年から1638年にかけて、おもにキリシタンからなる農民のグループが、浪人の子で同じくキリシタンの天草四郎を頭領として[[九州]]の天草を中心に一揆を起こした。彼らの主要な動機は宗教的なものではなく重い年貢が課されたためであった可能性が高いものの、後述のキリスト教に対する制限政策の一因としてこの戦いでキリシタンが宗教的に死を恐れず攻撃してきたことと、団結力の高さが共に幕府への脅威となったことが挙げられるため、ある程度宗教的なものであった可能性も考えられる。 彼らは原城 (跡) を占領した。幕府はそれをを鎮めるために30000の兵を送ったが、勝てなかった。しかしついに幕府は一揆を鎮圧し、37000の反幕府勢力を処刑した。この後、キリスト教は完全に止された(一応これ以前にも同様の法令は出ていたがこの地域は改宗しない者が多かった)。これは1860年代まで日本における最後の主要な戦いであった。 == 外国(日本から見た)及びキリスト教との関係 == ==== 対ヨーロッパ ==== 戦国時代の1549年に唐 (当時の中国) 船に乗っていたところ難破し薩摩国種子島にポルトガル人が漂着したことで始まった西洋との関係は鉄砲 (火縄銃) やキリスト教の布教などで発展した。それらは主に当時の実力者であった織田信長が仏教への対抗勢力としてキリスト教を保護したこと、貿易での利益をあげたい九州の大名の一部がキリスト教になってキリシタン大名となったことが大きな理由である。しかし、織田信長の死後権力を握った羽柴秀吉は貿易を推進するも、キリスト教の布教そのものは禁止とし、宣教師などを追放し、キリシタン大名らにも改宗を迫った。それらの理由として、「他の大航海時代に植民地となった多くの国が宗主国のキリスト教の布教による信者 (=協力者) を利用して植民地化されているため」と言われている。しかし、貿易の利益を優先したため十分な取り締まりができなかった。その死後権力を掌握した徳川家康は同様にキリスト教の禁止を目論んだものの、秀吉の失敗もありより厳重な取り締まりを行った。その内容は、 * 海外へ渡航する{{ruby|商人|あきんど}}の船には「朱印状」を持たせそれ以外の船は「海賊」とする(この朱印状をもった船を「朱印船」と言いそれらによる貿易を「朱印船貿易」と呼ぶ) * 海外の船(当時来航していた西洋の国はイギリス、オランダ、ポルトガル、スペイン)のうち、宗派上キリスト教を布教しないプロテスタントのイギリス、オランダを除いたポルトガル、スペインの両国を長崎の長崎及び平戸に限定 などである。しかし、信仰は弾圧に打ち勝ち、前述のとおり島原・天草の乱が起こる。幕府軍が苦戦していた頃、ポルトガル船によって海上から一揆勢に砲撃を加えたこともあった。島原・天草の乱の後、3代将軍徳川家光 (当時の将軍) はスペイン船が一揆勢を幇助したとして来航を禁止する。この乱を経験した家光は弾圧に積極的で、カトリックのためキリスト教を広める可能性が排除できないポルトガルも来航を禁じられ、イギリスも貿易赤字のため商館を閉鎖し引き揚げていたことから西洋からはオランダが唯一の交易国となった。末期に至るまで、この状態のまま推移した。開国~倒幕までの海外との関係に関しては [[日本史 江戸時代/後期|/後期]]を参照。 ==== 対アジア ==== 室町時代より、日本と明との日明貿易では勘合による勘合貿易が行われていたが #ヨーロッパ の節でも説明したとおり朱印船貿易になった。この後、日本と東南アジア及び東アジア間に商人や琉球王国を介した貿易網ができ、シャム (現在のタイ) など日本人の多く訪れる場所は日本人町が形成され日本の貨幣、日本の法令、日本人によるコミニュティイの統治が行われたが、後述の家光の鎖国政策により滅びた。朝鮮には秀吉の朝鮮侵略がもとでそれ以降の国交はなかったが、家康の意向で対馬藩の宗氏によって[[w:柳川一件|紆余曲折]]ありながらも国交が結ばれた。 === 上記2節のまとめ:鎖国 === 徳川家光の積極的なキリスト教排除の政策によりオランダ、明、朝鮮、琉球王国 (江戸中期に薩摩藩によって侵略) の4国のみが日本と貿易を許されるという結果になった。これらの政策をまとめて「鎖国」と後世呼ばれるようになった<ref group="注釈">実際には江戸時代の間この言葉は使われていなかった。</ref>。 == 平和 == 江戸時代は戦国時代および安土桃山時代の武将の誰もが達成できなかった「平和な時代」を達成した。徳川家康が徳川家の安定と繁栄を図って武家諸法度や禁中並公家諸法度などを用いて謀反などの反乱を起こしにくくし、さらには庶民が平和を望んでいたためである。世界的に見ても、島原・天草一揆から戊辰戦争までの長きに渡って大規模な戦いや反乱の起きることなく平和な時代を継続した珍しい例であると考えられている{{個人の意見}}。しかし、これによって武士の権威が少しずつ無くなっていったばかりか、町人の力が強まった時代でもある。であるからして、従来の米を中心とした経済 (武士などの支配者中心) から貨幣経済 (町人中心) へと世の中は変わっていったが、中期から後期にかけての3度に渡る幕政改革ではそういった世間を反映することができなかった。1度だけ老中の{{ruby|[[W:田沼意次|田沼意次]]|たぬまおきつぐ}}が貨幣を中心とした経済構造に幕府もあわせよう、という政策を行ったものの、賂が横行したことやそれをよく思わぬ者により田沼が失脚したことをために (他にも田沼が失脚した理由はある) この政策は上手くいかず(株仲間による物価上昇など)。 これら経済の移り変わり以外にも、[[w:浪人|浪人]] (表記ゆれ:牢人) の問題もある。幕府の反乱を恐れた大名および藩の積極的な取りつぶしや減封によって多くの浪人が発生した。これらの浪人は最初こそ[[W:由井正雪|由井正雪]]などを中心とした幕府の転覆計画に賛同したり(この計画は密告により失敗)、大坂の陣において豊臣方に味方したり<ref group="注釈">逆に幕府側に加勢した者もいなかったわけではない。</ref>、あるいは島原・天草一揆の一揆勢として戦うなど幕府に対し攻撃的な姿勢であった。しかし、これらの浪人の動きが幕府の破綻に繋がらなくもないと考えた幕府は一転し、これら浪人から幕府に対しての反抗心を無くしたり、そもそも浪人が発生しないようにする政策を取り始めた。例えば、士官先や就職先を幕府が探す、藩の取りつぶしではなく移封することでの対応で浪人の発生を抑える、といったようにである。ただし、これでも幾つかの浪人は悪に手を染めたり、反社会的勢力の用心棒やそれらそのものになったりなど、必ずしも浪人が幕府に対する反抗心などを抱いていなかったわけではない。 == 脚注 == === 注釈 === {{Reflist|group="注釈"}} === 出典 === {{Reflist|group="出典"}} == 関連項目 == * [[{{PAGENAME}}/前期]] * [[{{PAGENAME}}/中期]] * [[{{PAGENAME}}/後期]] * [[w:関ヶ原の戦い]] * [[w:大坂の陣]] * [[w:天草・島原一揆]] * [[w:鎖国]] * [[w:浪人]] {{先代次代2 |タイトル = [[日本史]] |先代名 = [[日本史 安土桃山時代]] |現代名 = [[{{PAGENAME}}]] |次代名 = [[日本史 江戸時代/前期]] |背景色 = #EBF1F9 |代タイプ = 時代 |先代 = 前の |現代 = この |次代 = 次の |先代名要約上 = 1573-1603 |現代名要約上 = 1603-1868 |次代名要約上 = 1603-1700頃 |先代名要約下=[[近世]] |現代名要約下=[[近世]] |次代名要約下=[[近代]] }} [[カテゴリ:江戸時代|えとしたい]] [[en:Japanese History/The Edo Period]] __目次強制__ __インデックス__
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刑法第222条
(脅迫) 2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 特別法
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法学>刑事法>刑法>コンメンタール刑法 法学>コンメンタール>コンメンタール刑法
#[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[コンメンタール刑法]] #[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑法]] ==条文== (脅迫) ;第222条 # 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。 # 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。 ===改正経緯=== 2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。 :(改正前)懲役 :(改正後)拘禁刑 ==解説== ;保護法益・罪質 #意思決定の自由(団藤;西田75:意思活動の自由への危険犯;林[幹]) #私生活上の平穏ないし安全感(高橋91:抽象的危険犯;平野173;中森48;前田:安全感) #「安全感を害することによる意思活動の危殆化」(山口173) ;行為 :脅迫:害悪の告知(危険犯) :加害の対象:本人またはその親族の生命、身体、自由または財産(制限列挙:高橋93) ;法人に対する脅迫罪の成否 #肯定説(西田77;松澤) #否定説(通説:高橋94など) #:→法人に対する侮辱罪の成否 ;適法な事実の告知 #判例 #違法な事実に限定する見解(高橋96)→ドイツ刑法においては「犯罪」 #:→権利行使と恐喝罪の議論も参照 #:*ドイツ刑法240条(2021年改正)との比較 ==参照条文== 特別法 *[[暴力行為等処罰ニ関スル法律]] *:以下の態様で行う脅迫行為について加重 *:#集団で行うもの *:#常習的に行うもの *:#利益目的に集団で、または、常習的に面会を強要または強談威迫するもの。 ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54392&hanreiKbn=02 公務執行妨害](最高裁判決 昭和27年07月25日)[[刑法第95条]]1項 #;脅迫行為にあたる事例 #:被告人が、司法巡査から被疑者として取調を受けるにあたり、同巡査に対し、「お前を憎んで居る者は俺丈けじやない。何人居るか判らない。駐在所にダイナマイトを仕掛けて爆発させ貴男を殺すと云つて居る者もある。」「俺の仲間は沢山居つてそいつ等も君をやつつけるのだと相当意気込んで居る」と申し向けた行為は、脅迫行為にあたる。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55705&hanreiKbn=02 逮捕、監禁、暴行、脅迫、食糧管理法第違反、傷害、銃砲等所持禁止令違反](最高裁判決 昭和28年11月27日) #;不法監禁中になされた暴行脅迫行為が別罪を構成する事例 #:暴行脅迫が不法監禁中になされたものであつても、不法監禁の状態を維持存続させるため、その手段としてなされたものでなく、全く別個の動機、原因からなされたものであるときは、右暴行脅迫の行為は、不法監禁罪に吸収されることなく、別罪を構成する。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51585&hanreiKbn=02 爆発物取締罰則違反、住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反、脅迫](最高裁判決 昭和34年07月24日) #;脅迫罪の成立する事例 #:国家地方警察佐賀県本部警察部隊長〇○の官舎附近に備付の塵箱に「○○に告ぐ、三月貴様は勤労者、農民を仮装敵として演習を行つたが勝つ自信があるか、独立を欲する国民の敵となり身を滅ぼすより民族と己のために即時現職を退陣せよ」と記載したビラ一枚を貼付し、その頃同隊長に右ビラの記載内容を了知せしめたときは、同隊長に対する脅迫罪を構成する。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51656&hanreiKbn=02 脅迫](最高裁判決 昭和35年03月18日) #;脅迫罪の成立する事例 #:二つの派の抗争が熾烈になつている時期に、一方の派の中心人物宅に、現実に出火もないのに、「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」という趣旨の文面の葉書を発送しこれを配達させたときは、脅迫罪が成立するものと認めるを相当する。 ---- {{前後 |[[コンメンタール刑法|刑法]] |[[コンメンタール刑法#2|第2編 罪]]<br> [[コンメンタール刑法#2-32|第32章 脅迫の罪]]<br> |[[刑法第221条]]<br>(逮捕等致死傷) |[[刑法第223条]]<br>(強要) }} {{stub|law}} [[category:刑法|222]]
2006-11-27T16:00:08Z
2023-12-14T09:12:52Z
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4,555
高等学校家庭基礎
高等学校家庭基礎のページです。 中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。 本ページは、大修館書店の新課程教科書「Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう」(家総709)に合わせて作成しています。 項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。 学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。 ※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高等学校家庭基礎のページです。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "本ページは、大修館書店の新課程教科書「Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう」(家総709)に合わせて作成しています。", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。", "title": "" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。", "title": "" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。", "title": "" } ]
高等学校家庭基礎のページです。  中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。  本ページは、大修館書店の新課程教科書「Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう」(家総709)に合わせて作成しています。  項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。  学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。 当教科書を見ても、その学習項目やタイトルは、家庭総合の内容と全く同じなので、当wikibooksでは家庭総合の内容を流用して、ページを完成させたいと思います。 ※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。
[[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校家庭]]>高等学校家庭基礎 高等学校家庭基礎のページです。  中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。  本ページは、大修館書店の新課程教科書「[https://www.taishukan.co.jp/kateika/product/?type=textbook&id=58 Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう]」(家総709)に合わせて作成しています。  項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。  学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。 * 当教科書を見ても、その学習項目やタイトルは、[[高等学校家庭総合|家庭総合]]の内容と全く同じなので、当wikibooksでは家庭総合の内容を流用して、ページを完成させたいと思います。 ※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。 [[Category:高等学校教育|家きそ]]
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2022-12-10T02:00:29Z
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4,556
民法第120条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (取消権者)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(取消権者)", "title": "条文" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]] {{wikibooks|無効と取消}} ==条文== (取消権者) ;第120条 #行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、[[制限行為能力者]](他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその[[代理人]]、承継人若しくは'''同意をすることができる者'''に限り、取り消すことができる。 #[[錯誤]]、[[詐欺 (民法)|詐欺]]又は[[強迫]]によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。 === 改正経緯 === *2017年改正で以下の改正がなされた。 *#第1項「制限行為能力者」に括弧書きで、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人として した行為について代理された者も取消権者となることが明文化された。 *#[[民法第95条|第95条]]改正に伴い、「錯誤」が取り消しうる行為となったことにより、取り消しうる行為に錯誤が追加された。 ==解説== :行為能力の制限、詐欺、強迫により発生した取消し権の行使者について規定している。 :制限行為能力者自身が取り消す場合は、法定代理人の同意を必要としない。 :従来、[[保佐人]]が取消権者に含まれるかどうか争いがあったが、1999年(平成11年)の民法改正で[[成年後見制度]]が整備された際に、「同意をすることができる者」が取消権者に加えられたため、この問題は立法的に解消された。補助人であっても同意権を付与されれば「同意をすることができる者」に該当することになる。 :[[保証人]]は、承継人には含まれない。 ==関連条文== *[[民法第122条]](取り消すことができる行為の追認) ==判例== #大審院判決昭和20年5月21日民集24号9頁 #:無能力者の債務を保証したものは承継人に当たらない。 ==参考文献== *[[w:我妻栄|我妻栄]]『新訂民法総則(民法講義1)』(岩波書店、1965年)393頁 *[[w:四宮和夫|四宮和夫]]『民法総則講義(第4版補正版)』(弘文堂、1996年)215頁 *[[w:加藤雅信|加藤雅信]]『新民法体系』(有斐閣、2005年)87頁、349頁 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5|第5章 法律行為]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5-4|第4節 無効及び取消し]] |[[民法第119条]]<br>(無効な行為の追認) |[[民法第121条]]<br>(取消しの効果) }} {{stub|law}} [[category:民法|120]] [[category:民法 2017年改正|120]]
2006-11-30T10:27:35Z
2024-01-03T23:47:15Z
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4,559
民法第126条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (取消権の期間の制限) (要件)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(取消権の期間の制限)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "(要件)", "title": "解説" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[取消|取消権]]の期間の制限) ;第126条 :取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、[[時効]]によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。 ==解説== :取消権の不行使を原因とする消滅について規定する。 :条文上の文言「時効によって消滅する」より、[[消滅時効]]とされるが、取消権は形成権であって、時効の更新等を認めるのは適当でないため[[除斥期間]]であると解されている。 (要件) #追認をすることができる時から5年間行使しないとき #:「追認をすることができる時」 #:*追認の要件([[民法第124条|第124条]]) #:*#取消しの原因となっていた状況が消滅 #:*#*制限行為能力者:審判が取り消された時又は制限されていた行為の制限が取り消された時。 #:*#**代理人等については適用がない。 #:*#**:→代理人等には個別に期間が進行する。 #:*#*瑕疵ある意思表示:瑕疵の原因が取り除かれた時(錯誤又は詐欺であることが明認された時、強迫の状態から脱した時)。 #:*#取消権を有することを認知する #:*#:取消権を有するか否かを認知したか客観的に判断するのは困難。一般に取消権者により「取り消すことができる行為」自体が認知されたことによる。 #:*#:*後見事務の開始時の財産の調査及び目録の作成([[民法第853条|第853条]])や相手方からの請求や追認の催告など #行為の時から20年間の経過 #:取消権者の状態及び主観にかかわらず権利は消滅する。 ==参照条文== *[[民法第120条]](取消権者) *[[民法第866条]](被後見人の財産等の譲受けの取消し) *[[民法第919条]](相続の承認及び放棄の撤回及び取消し) ==判例== #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70123 土地所有権移転登記請求](最高裁判決昭和38年9月6日) #;「追認ヲ為スコトヲ得ル時」の意義。 #:民法第126条にいう「追認ヲ為スコトヲ得ル時」とは、取消の原因たる情況の止んだ時、すなわち未成年者にあつてはこれが成年に達した時をいい、未成年者であつた者が自己の行為を了知したことは、取消権の消滅時効が進行を始めるについての要件ではない。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5|第5章 法律行為]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5-4|第4節 無効及び取消し]] |[[民法第125条]]<br>(法定追認) |[[民法第127条]]<br>(条件が成就した場合の効果) }} {{stub|law}} [[category:民法|126]]
2006-11-30T10:35:10Z
2024-02-28T05:18:20Z
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上智大対策
本項は、上智大学の入学試験対策に関する事項である。 上智大学は、東京都にあるミッション系の総合大学である。 入試形態は「~日試験」というように割り振られ、同日試験の学部の併願は出来ないようになっている。出題形式に微小の差こそあれ、学部ごとに癖があるといった傾向があまり見られないため(問題作成者が同じであることから)、本学を志望する学生は、第一志望学部だけでなく他学部の過去問を積極的に解くように心がければ、それだけ対策しやすく、上智の傾向に慣れ合格に近づくと言える。外国語学部英語学科の英語を75%以上取れるようになれば、英語に関しては合格水準に達しているといえる。その他の問題に関しても、問題数(問題個数)が多い。速読力が求められる。科目別にみると英語や地歴よりも国語の方が問題難易度が高い(数学は標準的)。 (90分)ミッション系の大学のイメージから英語が一番難しいと思われがちであるが、ストレートに知識を問うたり、内容一致の選択肢が切りやすく引っ掛けが無い素直な問題が多く、過去問をしっかりやりこみ語彙数と知識を増やせば、高得点も狙いやすい試験である。問毎年どこかの学部で新傾向の問題が出題されるが、概して得点率が低いのでそこまで恐れることはない。以下は大まかな学部ごとの傾向である。 速読型の出題をする学部: 外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科、法学部法律学科、経済学部経営学科及び神学部、経済学部経済学科及び理工学部(機械工学科・電気電子工学科) 精読・文法重視型の出題をする学部: 外国語学部(英語学科以外)、文学部、総合人間学部(心理学科以外)、法学部国際関係法学科、総合グローバル学部、理工学部(数学科・物理学科・化学科) 外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科・総合グローバル学部総合グローバル学科 上智の中では一番英語の難易度が高い。語彙レベルのやや高い長文がたくさん出題されるため、速読即解力のみならず語彙力の鍛錬が必要。会話文も毎年出題されるので注意。未見の単語を推測しながら読む時間的余裕がないため、高いレベルの語彙力を蓄え「英語を英語のまま理解」できることを念頭に入れた勉強をすべきである。そして、過去問を徹底してやってほしい。 文学部 (哲学科・史学科・新聞学科)・総合人間科学部 (教育 A・教育 B・社会福祉)・外国語学部 (英語学科以外) 読解・語彙・整序作文・短文空所補充など、バラエティーに富んだ出題をする。読解問題は2006年はやや難化したものの、総じて上智の中では取り組みやすい問題である。従来の問題から切り離された外国語学部英語学科以外の受験生にとっては易化したとも言えるが、油断は禁物である。 文学部 (国文学科・英文学科・ドイツ文学科・フランス文学科)・総合人間科学部社会学科・法学部国際関係法学科 目立った難問はみられなく、上智対策をしてきた受験生にとっては比較的楽な問題といえる。文学部及び総合人間学部社会学科志望者で7割、法学部国際関係法学科志望者なら8割はとりたい。 経済学部経営学科・神学部神学科 読解力重視で、速読即解力を問われる問題構成である。文法的な誤りを訂正させる問題が近年出題されているが、他大学の同種問題よりは取り組みやすい。余裕があれば早稲田大学人間科学部の問題にも挑戦してみるとよい。 法学部法律学科 傾向は外国語学部英語学科とほぼ同じ。長文と会話文の演習を積むことが重要である。やや難しい問題と簡単な問題が混在してるので、後者を見抜ける学力を養成することにつきる。易化と難化の差が激しい。 経済学部経済学科・理工学部(機械工学科・化学科) 問題数は例年多く、傾向的には経営学科とほぼ同じだが、こちらの方が問題が易しいことが多い。私立理系の英語の問題としては難易度は高いが、英語が得意な理系受験生は逆にここで差をつけることが出来る問題といえよう。英頻やネクステレベルの文法・語法を抑えれば合格点は取れるであろう。 理工学部(数学科・物理学科・電気電子工学科) 上智の中では最も平易な問題である。傾向的には文学部非文学系に近い。問題数も少ないので簡単だと言われるが、出題される英文の語彙レベルは文系学部同様に高いのでその点は留意しなければならない。ただし、設問は易しい場合が多い。上智志望者はまずこの学部の問題に手をつければ上智英語の基礎的な部分が理解でき、その後の勉強の指針になるであろう。 (60分)ミッション系の大学のイメージとは裏腹に、国語が難しすぎて受験生の間で差が付きにくい。選択問題には引っ掛け問題が多い。合格者でも素点6割程度しか取れていない事例が大半であるため、国語の点数が悪くても気負わず、残りの英語と社会(数学)の点数との合計点の勝負であることを忘れずに、あきらめずに頑張ってほしい。。 ※選択肢の作りこみが甘い面がやや見られるため、予備校講師の間でも正解が割れるような問題もまれに登場する。よって、各予備校ホームページや赤本の模範解答はあくまで参考程度に留めておくべきであろう。 (60分)毎年全くと言っていいほど出題傾向・形式等が違う。全体的に見るとそれほど難しい問題ではないが、所々に難問が含まれている。対策としては、全日程の過去問をやっておくことがベストだろう。近年、連続する3問の○×組合せ問題が日程のどこかでかならず出ているので細かい年号を知っておく必要がある。なお、この問題は異常なほど難しいため、平均得点率は低い。 (60分)出題頻度としては、ヨーロッパ全般、中国を含めたアジアが頻出である。アフリカや中近東の出題頻度は低い。内容は、近年難化が続き、かつてのような標準的な問題をおさえれば大丈夫というわけには行かない。年号問題は他の私大と違い直接的に年号を選択させる形式が多い為注意を要する。また、地図を用いた問題と歴史の横軸を聞いてくる問題がよく出るので、常にそのあたりを意識して勉強するとよい。試験の難易度自体は高いが、用語集にも出ないような難問の正答率は低く偏差値法であるためこれらの問題が不出来でもそこまで気にすることはない。用語集レベルの問題を確実にとるという正攻法こそ勝利の鍵である。上智ということでキリスト教関連のテーマ史が頻出するのでこの分野は知識の整理をしておくことが重要である(個々の宗派、公会議の名称と年号、カトリック史、教皇名など)。 また、試験時間(60分)に対して出題数が多いため(例年およそ80~100問)、正答を判断する速さも重要となる。 (60分)大問3題からなり、難易度は標準的だが、一つ注意しておかないといけないのが、制限時間(60分)が非常に短いということ。センター試験数学よりも時間との戦いになるため、どうしても解けない問題は見切りをつける判断力も必要である。第1問~第3問まで全てひと続きの誘導問題である事が増えているが、第1問は小問集合である場合もある。計算量も多く、日本史・世界史に比べて全体的に低得点となりがちである。ただし、上智大の入試は先に述べたように偏差値法を採用しているため、得点率が多少低くとも高得点扱いされることがある。複雑な計算への速く正確な対応力と、高度な思考力のトレーニングが必須。確率・三角関数などの対策を重点的にするとよい。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしておきたい。 (90分)理工学部は大問4題で、難易度は標準的だが、文系数学同様に時間との勝負になる。微積分、空間座標、確率、極限が必須分野であるが、グラフを利用する問題が多く、方針の立て方次第で結論までにかかる時間に受験生の間で差が出る。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしなければいけない。 (90分)理工学部は「物理」、「化学」、「生物」の中から1科目のみ選択する。標準的な難易度の問題が多い。力学、電磁気学が頻出である。 (90分)物理同様。 (90分)物理同様。
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日本の大学受験ガイド > 上智大対策 本項は、上智大学の入学試験対策に関する事項である。 上智大学は、東京都にあるミッション系の総合大学である。 入試形態は「~日試験」というように割り振られ、同日試験の学部の併願は出来ないようになっている。出題形式に微小の差こそあれ、学部ごとに癖があるといった傾向があまり見られないため(問題作成者が同じであることから)、本学を志望する学生は、第一志望学部だけでなく他学部の過去問を積極的に解くように心がければ、それだけ対策しやすく、上智の傾向に慣れ合格に近づくと言える。外国語学部英語学科の英語を75%以上取れるようになれば、英語に関しては合格水準に達しているといえる。その他の問題に関しても、問題数(問題個数)が多い。速読力が求められる。科目別にみると英語や地歴よりも国語の方が問題難易度が高い(数学は標準的)。
{{wikipedia|上智大学}} *[[日本の大学受験ガイド]] > [[上智大対策]] 本項は、[[w:上智大学|上智大学]]の入学試験対策に関する事項である。 上智大学は、東京都にあるミッション系の総合大学である。<br /> 入試形態は「~日試験」というように割り振られ、同日試験の学部の併願は出来ないようになっている。出題形式に微小の差こそあれ、学部ごとに癖があるといった傾向があまり見られないため(問題作成者が同じであることから)、'''本学を志望する学生は、第一志望学部だけでなく他学部の過去問を積極的に解くように心がければ、それだけ対策しやすく、上智の傾向に慣れ合格に近づくと言える。'''外国語学部英語学科の英語を75%以上取れるようになれば、英語に関しては合格水準に達しているといえる。その他の問題に関しても、問題数(問題個数)が多い。速読力が求められる。科目別にみると英語や地歴よりも国語の方が問題難易度が高い(数学は標準的)。 =科目別対策= == 英語 == (90分)ミッション系の大学のイメージから英語が一番難しいと思われがちであるが、ストレートに知識を問うたり、内容一致の選択肢が切りやすく引っ掛けが無い素直な問題が多く、'''過去問をしっかりやりこみ語彙数と知識を増やせば、高得点も狙いやすい試験である。'''問毎年どこかの学部で新傾向の問題が出題されるが、概して得点率が低いのでそこまで恐れることはない。以下は大まかな学部ごとの傾向である。 速読型の出題をする学部: 外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科、法学部法律学科、経済学部経営学科及び神学部、経済学部経済学科及び理工学部(機械工学科・電気電子工学科) 精読・文法重視型の出題をする学部: 外国語学部(英語学科以外)、文学部、総合人間学部(心理学科以外)、法学部国際関係法学科、総合グローバル学部、理工学部(数学科・物理学科・化学科) 外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科・総合グローバル学部総合グローバル学科 上智の中では一番英語の難易度が高い。語彙レベルのやや高い長文がたくさん出題されるため、速読即解力のみならず語彙力の鍛錬が必要。会話文も毎年出題されるので注意。未見の単語を推測しながら読む時間的余裕がないため、高いレベルの語彙力を蓄え「英語を英語のまま理解」できることを念頭に入れた勉強をすべきである。そして、過去問を徹底してやってほしい。 文学部 (哲学科・史学科・新聞学科)・総合人間科学部 (教育 A・教育 B・社会福祉)・外国語学部 (英語学科以外) 読解・語彙・整序作文・短文空所補充など、バラエティーに富んだ出題をする。読解問題は2006年はやや難化したものの、総じて上智の中では取り組みやすい問題である。従来の問題から切り離された外国語学部英語学科以外の受験生にとっては易化したとも言えるが、油断は禁物である。 文学部 (国文学科・英文学科・ドイツ文学科・フランス文学科)・総合人間科学部社会学科・法学部国際関係法学科 目立った難問はみられなく、上智対策をしてきた受験生にとっては比較的楽な問題といえる。文学部及び総合人間学部社会学科志望者で7割、法学部国際関係法学科志望者なら8割はとりたい。 経済学部経営学科・神学部神学科 読解力重視で、速読即解力を問われる問題構成である。文法的な誤りを訂正させる問題が近年出題されているが、他大学の同種問題よりは取り組みやすい。余裕があれば早稲田大学人間科学部の問題にも挑戦してみるとよい。 法学部法律学科 傾向は外国語学部英語学科とほぼ同じ。長文と会話文の演習を積むことが重要である。やや難しい問題と簡単な問題が混在してるので、後者を見抜ける学力を養成することにつきる。易化と難化の差が激しい。 経済学部経済学科・理工学部(機械工学科・化学科) 問題数は例年多く、傾向的には経営学科とほぼ同じだが、こちらの方が問題が易しいことが多い。私立理系の英語の問題としては難易度は高いが、英語が得意な理系受験生は逆にここで差をつけることが出来る問題といえよう。英頻やネクステレベルの文法・語法を抑えれば合格点は取れるであろう。 理工学部(数学科・物理学科・電気電子工学科) 上智の中では最も平易な問題である。傾向的には文学部非文学系に近い。問題数も少ないので簡単だと言われるが、出題される英文の語彙レベルは文系学部同様に高いのでその点は留意しなければならない。ただし、設問は易しい場合が多い。上智志望者はまずこの学部の問題に手をつければ上智英語の基礎的な部分が理解でき、その後の勉強の指針になるであろう。 == 国語 == (60分)ミッション系の大学のイメージとは裏腹に、'''国語が難しすぎて受験生の間で差が付きにくい'''。選択問題には引っ掛け問題が多い。合格者でも素点6割程度しか取れていない事例が大半であるため、国語の点数が悪くても気負わず、残りの英語と社会(数学)の点数との合計点の勝負であることを忘れずに、あきらめずに頑張ってほしい。。 *現代文は硬質な文章の出題が目立ち、センター試験の評論と比べると難易度が数段高いので要注意。また、学部によっては漢文や明治文語文が出題されるので対策が必要といえる。特に後者は問題集もあまり市販されてないので、有名な作品でよいから読んでみよう。[[森鴎外]]や[[夏目漱石]]は頻出である。もちろん、過去問の研究も大いに効果的である。 *古文は近世随筆や中世芸術論などが減って読みやすくなった。とはいえ課題文のレベルは高く、和歌の出題も多い。 *漢文の難易度は非常に高く、現代文・古文よりも注意が必要である。内容も抽象的な道徳論などが多い。どちらも設問の前後を訳せる程度の学力が必要なので、学部横断的に過去問を徹底して演習しておこう。 ※選択肢の作りこみが甘い面がやや見られるため、予備校講師の間でも正解が割れるような問題もまれに登場する。よって、各予備校ホームページや赤本の模範解答はあくまで参考程度に留めておくべきであろう。 *学部ごとの出題形式 **外国語学部・文学部 (哲学・史学・新聞)・総合人間科学部…例年、現代文・古文・漢文が1題ずつ出題される。 **文学部 (国文・英文・独文・仏文)…現古融合・古文・漢文が出題される。国文以外は大問3までが共通問題で全3題。国文は大問4として、全問記述式の現古漢融合問題が新たに加わったので、対策が必要。 **法学部 (法律・国際関係法・地球環境法)…問題は各学科違うが、現代文2題・古文1題が出題される。 **経済学部 (経済・経営)…問題は各学科違うが、現代文2題・明治文語文1題が出題される。 == 地理歴史 == === 日本史 === (60分)毎年全くと言っていいほど出題傾向・形式等が違う。全体的に見るとそれほど難しい問題ではないが、所々に難問が含まれている。対策としては、全日程の過去問をやっておくことがベストだろう。近年、連続する3問の○×組合せ問題が日程のどこかでかならず出ているので細かい年号を知っておく必要がある。なお、この問題は異常なほど難しいため、平均得点率は低い。 === 世界史 === (60分)出題頻度としては、ヨーロッパ全般、中国を含めたアジアが頻出である。アフリカや中近東の出題頻度は低い。内容は、近年難化が続き、かつてのような標準的な問題をおさえれば大丈夫というわけには行かない。年号問題は他の私大と違い直接的に年号を選択させる形式が多い為注意を要する。また、地図を用いた問題と歴史の横軸を聞いてくる問題がよく出るので、常にそのあたりを意識して勉強するとよい。試験の難易度自体は高いが、用語集にも出ないような難問の正答率は低く偏差値法であるためこれらの問題が不出来でもそこまで気にすることはない。用語集レベルの問題を確実にとるという正攻法こそ勝利の鍵である。上智ということでキリスト教関連のテーマ史が頻出するのでこの分野は知識の整理をしておくことが重要である(個々の宗派、公会議の名称と年号、カトリック史、教皇名など)。 また、試験時間(60分)に対して出題数が多いため(例年およそ80~100問)、正答を判断する速さも重要となる。 == 数学 == === 文系 === (60分)大問3題からなり、難易度は標準的だが、一つ注意しておかないといけないのが、制限時間(60分)が非常に短いということ。センター試験数学よりも時間との戦いになるため、どうしても解けない問題は見切りをつける判断力も必要である。第1問~第3問まで全てひと続きの誘導問題である事が増えているが、第1問は小問集合である場合もある。計算量も多く、日本史・世界史に比べて全体的に低得点となりがちである。ただし、上智大の入試は先に述べたように偏差値法を採用しているため、得点率が多少低くとも高得点扱いされることがある。複雑な計算への速く正確な対応力と、高度な思考力のトレーニングが必須。確率・三角関数などの対策を重点的にするとよい。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしておきたい。 === 理系 === (90分)理工学部は大問4題で、難易度は標準的だが、文系数学同様に時間との勝負になる。微積分、空間座標、確率、極限が必須分野であるが、グラフを利用する問題が多く、方針の立て方次第で結論までにかかる時間に受験生の間で差が出る。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしなければいけない。 == 理科 == === 物理 === (90分)理工学部は「物理」、「化学」、「生物」の中から1科目のみ選択する。標準的な難易度の問題が多い。力学、電磁気学が頻出である。 === 化学 === (90分)物理同様。 === 生物 === (90分)物理同様。 = 外部リンク = *[http://www.sophia.ac.jp/jpn/admissions/gakubu_ad 上智大公式サイト] [[Category:大学入試|しようちたいたいさく]]
2006-11-30T10:52:33Z
2023-11-16T20:47:01Z
[ "テンプレート:Wikipedia" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%99%BA%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96
4,572
民法第371条
法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) (抵当権の効力の及ぶ範囲)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(抵当権の効力の及ぶ範囲)", "title": "条文" } ]
法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]] ==条文== (抵当権の効力の及ぶ範囲) ;第371条 :[[抵当権]]は、その担保する[[債務不履行|債権について不履行]]があったときは、その後に生じた抵当不動産の[[果実]]に及ぶ。 ==解説== ==参照条文== ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37773&hanreiKbn=02 賃料等請求事件](最高裁判決 平成21年07月03日) [[民事執行法第93条]],[[民事執行法第95条]],[[民事執行法第188条]],[[民法第505条]] *;担保不動産収益執行における担保不動産の収益に係る給付を求める権利の帰属 *:担保不動産収益執行の管理人は担保不動産の収益に係る給付を求める権利を行使する権限を取得するにとどまり,同権利自体は,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に弁済期の到来するものであっても,所有者に帰属する。 *;抵当不動産の賃借人が,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することの可否 *:抵当不動産の賃借人は,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後においても,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することができる。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br> [[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br> [[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-1|第1節 総則]] |[[民法第370条]]<br>(抵当権の効力の及ぶ範囲) |[[民法第372条]]<br>(留置権等の規定の準用) }} {{stub|law}} [[category:民法|371]]
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2022-10-13T22:09:03Z
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4,573
民法第374条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) (抵当権の順位の変更)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(抵当権の順位の変更)", "title": "条文" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[抵当権]]の順位の変更) ;第374条 # 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。 # 前項の規定による順位の変更は、その[[登記]]をしなければ、その効力を生じない。 ==解説== {{wikipedia|抵当権の処分#抵当権の順位の変更}} ==参照条文== *[[企業担保法第9条]](民法の準用) ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br> [[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br> [[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-2|第2節 抵当権の効力]] |[[民法第373条]]<br>(抵当権の順位) |[[民法第375条]]<br>(抵当権の被担保債権の範囲) }} {{stub|law}} [[category:民法|374]]
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2022-10-14T22:44:45Z
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4,575
料理本/油
油と脂肪に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。 油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "油と脂肪に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。 油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。", "title": "" } ]
油と脂肪に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。 油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。
'''油と脂肪'''に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。 油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。 ==脂肪== *[[料理本/バター|バター]] *[[料理本/マーガリン|マーガリン]] *[[料理本/牛脂|牛脂]] *[[料理本/ラード|ラード]] *[[料理本/ショートニング|ショートニング]] *[[料理本/ストゥルット|ストゥルット]] *[[料理本/ココアバター|ココアバター]] ==油== *[[料理本/ごま油|ごま油]] *[[料理本/菜種油|菜種油]] *[[料理本/オリーブオイル|オリーブオイル]] *[[料理本/ベニバナ油|ベニバナ油]] *[[料理本/キャノーラ油|キャノーラ油]] *[[料理本/ココナッツオイル|ココナッツオイル]] *[[料理本/コーン油|コーン油]] *[[料理本/ベニバナ油|ベニバナ油]] *[[料理本/ガーリックオイル|ガーリックオイル]] *[[料理本/グレープシードオイル|グレープシードオイル]] *[[料理本/ピーナッツ油|ピーナッツ油]] (落花生油) *[[料理本/大豆油|大豆油]] *[[料理本/パーム油|パーム油]] *[[料理本/ひまわり油|ひまわり油]] [[en:Cookbook:Oil and fat]] [[Category:脂肪と油|*]]
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2006-12-02T06:03:51Z
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4,580
サッカー/ポジション/ミッドフィールダー
主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる
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主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる
主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる [[Category:サッカー|ほししよんみつとふいいるたあ]]
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2013-12-10T05:54:54Z
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4,581
サッカー/戦術/カウンターアタック
相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。 格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。 格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。", "title": "" } ]
相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。 格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。
相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。 格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。 [[Category:サッカー|せんしゆつかうんたああたつく]]
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2008-09-09T01:08:51Z
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4,592
民法第612条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (賃借権の譲渡及び転貸の制限) 賃借人による賃借権の無断譲渡及び無断転貸の禁止と、違反行為がなされた場合の賃貸人の解除権について規定している。 転貸自体は、賃貸人の想定していた賃借人の用法と異なる用法に用いられることであるので賃貸人の承諾を要することは十分な理由があるが、一方で、賃料の支払いに不安がない限り、転貸による利用そのものは、賃貸人にとって不利益なものであるとは限らないため、転貸の事実のみを持って解除することに判例が制限を設け、転貸が転貸人に対する背信的行為と認められる場合、解除できるものとした(最判昭和28年09月25日)。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(賃借権の譲渡及び転貸の制限)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "賃借人による賃借権の無断譲渡及び無断転貸の禁止と、違反行為がなされた場合の賃貸人の解除権について規定している。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "転貸自体は、賃貸人の想定していた賃借人の用法と異なる用法に用いられることであるので賃貸人の承諾を要することは十分な理由があるが、一方で、賃料の支払いに不安がない限り、転貸による利用そのものは、賃貸人にとって不利益なものであるとは限らないため、転貸の事実のみを持って解除することに判例が制限を設け、転貸が転貸人に対する背信的行為と認められる場合、解除できるものとした(最判昭和28年09月25日)。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== (賃借権の譲渡及び転貸の制限) ;第612条 # 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その[[賃貸借|賃借権]]を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。 # 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の[[解除]]をすることができる。 ==解説== 賃借人による賃借権の無断譲渡及び無断転貸の禁止と、違反行為がなされた場合の賃貸人の解除権について規定している。 転貸自体は、賃貸人の想定していた賃借人の用法と異なる用法に用いられることであるので賃貸人の承諾を要することは十分な理由があるが、一方で、賃料の支払いに不安がない限り、転貸による利用そのものは、賃貸人にとって不利益なものであるとは限らないため、転貸の事実のみをもって解除することに判例が制限を設け、転貸が転貸人に対する背信的行為と認められる場合、解除できるものとした([[#背信的行為|最判昭和28年09月25日]])。 ==参照条文== ==判例== #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56007 家屋明渡請求](最高裁判決 昭和26年05月31日) #;賃借権の譲渡または転貸を承諾しない家屋の賃貸人は賃貸借契約を解除せずに譲受人または転借人に対し明渡を求め得るか #:賃借権の譲渡または転貸を承諾しない家屋の賃貸人は、賃借契約を解除しなくても、譲受人または転借人に対しその明渡を求めることができる。 #<span id="背信的行為"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56009&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和28年09月25日) #;賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか #:賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない、建物を建設しても差支ないものと信じたような、特段の事情があるときは、賃貸人は契約を解除することはできない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52977&hanreiKbn=02 第三者異議等](最高裁判決 昭和36年12月21日)[[民法第601条]] #;賃借人の債務不履行による賃貸借解除と転貸借の終了。 #:賃貸借の終了によつて転貸借は当然にその効力を失うものではないが、賃借人の債務不履行により賃貸借が解除された場合には、その結果転貸人としての義務に履行不能を生じ、よつて転貸借は右賃貸借の終了と同時に終了に帰する。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56231&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和37年03月29日)[[民法第541条]]、[[民法第613条]] #;賃料延滞による賃貸借の解除と転借人に対する催告の要否 #:適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63782 建物収去、土地明渡請求](最高裁判決 昭和39年12月25日) #;土地賃借権の無断譲渡につき賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるものとはいえないとされた事例。 #:土地賃借人たる甲会社が右土地上に建築所有する建物を映画興行に使用中、経営不振のため著名な映画会社である乙会社と合併する話が持ち上つてはいたが、未だその話合が具体的にまとまらないうちに、甲会社が賃貸人に無断で乙会社に右建物を売り渡すとともにその敷地の賃借権をも譲渡した場合に、賃貸人がこれを理由として賃貸借契約を解除したときは、その際判示のような事情があり、また、その後乙会社が甲会社を吸収合併したとしても、右賃借権の譲渡につき背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるものとして、右解除を無効とすることはできない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56284&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求] (最高裁判決昭和40年05月04日) [[民法第370条]],[[民法第87条]]2項,[[民法第423条]] ##'''土地貸借人が該地上の建物に設定した抵当権の効力は当該土地の賃借権に及ぶか。''' ##:土地賃借人が該土地上に所有する建物について[[抵当権]]を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。 ##'''地上建物に抵当権を設定した土地賃借人は抵当建物の競落人に対し地主に代位して当該土地の明渡を請求できるか。''' ##:前項の場合には、賃借人は、賃貸人において右賃借権の移転を承諾しないときであつても、競落人に対し、土地所有者たる賃貸人に代位して右土地の明渡を請求することはできない #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53915&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決  昭和40年12月17日) #;賃借地上の建物が買戻特約付で第三者に売り渡された場合において右建物の敷地について賃借権の譲渡または転貸がなされなかつたものと解された事例。 #:土地賃借人が、第三者に対し、借地上の建物を買戻特約付で売り渡した場合において、当該売買が、実質上、第三者の債権担保の目的でなされたものであり、終局的確定的に権利を転移する趣旨のものでなく、かつ、買戻権がなお土地賃借人に留保されており、また、土地賃借人が前記建物売買後も引き続きその使用を許容されていた判示の事情のもとにおいては、右建物の敷地について民法第612条にいう賃借権の譲渡または転貸がなされなかつたものと解するのが相当である。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53968&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和41年01月27日) #;無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情の存否に関する主張・立証責任。 #:賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、その存在を賃借人において主張・立証すべきである。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55039&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和44年02月18日) #;賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲受または転借が賃貸人に対抗できる場合とその主張・立証責任 #:賃貸人の承諾を得ないで賃借権の譲渡または転貸が行なわれた場合であつても、それが賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、譲受人または転借人は、譲受または転借をもつて、賃貸人に対抗することができ、右の特段の事情については、譲受人または転借人において主張・立証責任を負う。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53173&hanreiKbn=02  建物収去土地明渡請求](最高裁判決  昭和45年12月11日) #;土地賃借権の無断譲渡が背信行為にあたらない場合における賃借権譲渡人の地位 #:土地賃借権の無断譲渡につき、これを賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため、賃貸人が右無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除することができない場合には、譲受人のみが賃借人となり、譲渡人たる前賃借人は、賃貸借契約関係から離脱し、特段の意思表示がないかぎり、賃貸人に対して契約上の債務を負わないものと解するのが相当である。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52018&hanreiKbn=02 建物所有権確認等請求](最高裁判決 昭和47年03月09日) #;賃借地上にある建物の売主と敷地賃借権譲渡の承諾取得義務 #:賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、売主は、買主に対し、その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであつて、それに伴い、その賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53293&hanreiKbn=02 建物明渡](最高裁判決 昭和53年06月29日)[[民事訴訟法第644条]]、競売法25条 #;賃貸中の不動産に対する競売開始決定後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾と譲受人の競落人に対する地位 #:賃貸中の不動産に対する競売開始決定の差押の効力発生後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾は、特段の事情のない限り、右差押の効力によつて禁止される処分行為にあたらず、譲受人は、賃借権の取得をもつて競落人に対抗することができる。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52547&hanreiKbn=02  建物収去土地明渡](最高裁判決 平成8年10月14日) #;小規模で閉鎖的な有限会社における実質的な経営者の交代と民法612条にいう賃借権の譲渡 #:賃借人である小規模で閉鎖的な有限会社において、持分の譲渡及び役員の交代により実質的な経営者が交代しても、そのことは、民法612条にいう賃借権の譲渡に当たらない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52544&hanreiKbn=02 建物賃料等請求本訴、保証金返還請求反訴](最高裁判決 平成9年02月25日)[[民法第601条]] #;賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借の帰すう #:賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54787&hanreiKbn=02  建物収去土地明渡等、建物収去土地明渡](最高裁判決  平成9年07月17日) [[民法第369条]] #;借地上の建物の譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用収益をする場合と民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸 #:借地上の建物につき借地人から譲渡担保権の設定を受けた者が、建物の引渡しを受けて使用又は収益をする場合には、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当である。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52262&hanreiKbn=02 建物明渡等請求事件] (最高裁判決 平成14年03月28日)[[民法第1条|民法第1条]]2項,[[借地借家法第34条|借地借家法第34条]] #;事業用ビルの賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了しても賃貸人が信義則上その終了を再転借人に対抗することができないとされた事例 #:ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって,自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに,賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し,賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること,当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは,賃貸人は,信義則上,賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62532&hanreiKbn=02  土地明渡請求事件](最高裁判決  平成17年03月10日)[[民法第597条]]1項,[[民法第616条]] #;土地の無断転貸をした賃借人が賃貸人に対し転借人が不法に投棄した産業廃棄物を賃貸借契約終了時に撤去すべき義務を負うとされた事例 #:土地の賃借人が同土地を無断で転貸し,転借人が同土地に産業廃棄物を不法に投棄したという事実関係の下では,賃借人は,賃貸借契約の終了に基づく原状回復義務として,上記産業廃棄物を撤去すべき義務を負う #:*不動産の賃借人は,賃貸借契約上の義務に違反する行為により生じた賃借目的物の毀損について,賃貸借契約終了時に原状回復義務を負う。 #:*:原審における「産業廃棄物の本件土地への投棄は,専ら転借人が単独で行った犯罪行為であるから,賃借人は,転借人へ無断転貸をしたものの,このような犯罪行為である産業廃棄物の投棄についてまで,賃貸借契約の解除に伴う原状回復義務として責任を負うものではない」旨の判断を覆した。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-7|第7節 賃貸借]] |[[民法第611条]]<br>(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等) |[[民法第613条]]<br>(転貸の効果) }} {{stub|law}} [[category:民法|612]]
2006-12-03T09:57:30Z
2023-10-06T03:04:35Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC612%E6%9D%A1
4,594
民法第764条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) (婚姻の規定の準用) 明治憲法において、本条には以下の規定があったが、家制度廃止に伴い削除。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[婚姻]]の規定の準用) ;第764条 :[[民法第738条|第738条]]、[[民法第739条|第739条]]及び[[民法第747条|第747条]]の規定は、協議上の[[離婚]]について準用する。 ==解説== :婚姻の規定の一部が協議上の離婚に適用されることを規定、[[民法第810条#参考|明治民法第810条]]を継承する。なお、協議上の離縁に関する準用規定([[民法第812条]])も同旨である。 :協議上の離婚と婚姻とは共に身分行為であり、また合意の成立と届出が要件とされている点で共通する。 :準用による読替え :*[[民法第738条]](成年被後見人の婚姻) :*:成年被後見人が'''離婚'''をするには、その成年後見人の同意を要しない。 :*::離婚は身分行為であるので、成年被後見人であってもその成年後見人の同意を要しない。 :*[[民法第739条]](婚姻の届出) :*#'''離婚'''は、[[コンメンタール戸籍法|戸籍法]](昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。 :*#:届出主義 :*#前項の届出は、当事者双方及び<u>成年の証人2人以上</u>が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。 :*[[民法第747条]](詐欺・強迫による婚姻の取消し) :*#詐欺又は強迫によって'''離婚'''をした者は、その'''離婚'''の取消しを家庭裁判所に請求することができる。 :*#前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。 ==参照条文== ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56217&hanreiKbn=02 離婚届出無効確認請求](最高裁判例 昭和34年08月07日)[[民法第763条]]、[[民法第742条]]、[[民法第802条]] *:'''協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力''' *::合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、<u>離婚の意思を有しないことが明確であるとき</u>は、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない(=協議離婚届出は無効である)。 *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56265&hanreiKbn=02 離婚無効確認請求](最高裁判例 昭和38年11月28日)[[民法第763条]]、[[民法第739条]] *:'''事実上の婚姻関係を維持しつつ協議離婚を有効と認めた事例''' *::妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、<u>事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合</u>でも、両名が真に<u>法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるとき</u>は、右協議離婚は無効とはいえない(=離婚は有効に成立する)。 ==参考== 明治憲法において、本条には以下の規定があったが、家制度廃止に伴い削除。 #戸主ヲ失ヒタル家ニ家督相続人ナキトキハ絶家シタルモノトシ其家族ハ各一家ヲ創立ス但子ハ父ニ随ヒ又父カ知レサルトキ、他家ニ在ルトキ若クハ死亡シタルトキハ母ニ随ヒテ其家ニ入ル #前項ノ規定ハ[[民法第745条#参考|第七百四十五条]]ノ適用ヲ妨ケス ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-4|第4節 離婚]] |[[民法第763条]]<br>(協議上の離婚) |[[民法第765条]]<br>(離婚の届出の受理) }} {{stub|law}} [[category:民法|764]]
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2022-09-29T04:59:55Z
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4,595
民法第13条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (保佐人の同意を要する行為等) 2017年改正で、第1項第十号が新設された。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(保佐人の同意を要する行為等)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "2017年改正で、第1項第十号が新設された。", "title": "条文" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[保佐人]]の同意を要する行為等) ;第13条 # 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、[[民法第9条|第9条ただし書]]に規定する行為については、この限りでない。 ##元本を領収し、又は利用すること。 ##借財又は保証をすること。 ##不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。 ##訴訟行為をすること。 ##[[贈与]]、[[和解]]又は仲裁合意([[仲裁法]](平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。 ##[[相続]]の承認若しくは[[相続放棄|放棄]]又は[[遺産分割|遺産の分割]]をすること。 ##贈与の申込みを拒絶し、[[遺贈]]を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。 ##新築、改築、増築又は大修繕をすること。 ##[[民法第602条|第602条]]に定める期間を超える賃貸借をすること。 ##前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び[[民法第17条|第17条]]第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。 # 家庭裁判所は、[[民法第11条|第11条本文]]に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、[[民法第9条|第9条ただし書]]に規定する行為については、この限りでない。 # [[保佐人]]の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、[[家庭裁判所]]は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。 # 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。 ===改正経緯=== 2017年改正で、第1項第十号が新設された。 ==解説== *[[保佐人]]の権限の範囲と、それに対する監督制度について規定している。民法は'''管理行為'''('''保存行為''')を単独で行なうことを認めており、これを超える'''変更行為'''または'''処分行為'''については認めていない点で共有者一人の権限([[民法第252条]]ただし書き)と似ている(訴訟や和解・仲裁を除く)。 *:日用品の購入や日常生活上の法律行為に同意は不要で、被保佐人が単独でできる。(取消権もない。) *:元本の領収:貸してあった金銭・建物等を返してもらう。(利息を取り立てることは可能) *:元本の利用:金銭・建物等をかす。 *::建物を貸した場合、借地借家法の適用によって借家人から建物を返してもらうのが事実上不可能になってしまうから、建物を貸す行為は'''管理行為'''ではなく'''変更行為'''。 *:「借財又は保証」:手形の振出、時効完成後の債務承認、時効利益の放棄、連帯保証契約(もともとあった債務の弁済は可能(これは'''保存行為''')。) *:「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪」:土地賃貸借の合意解除、著作権の処分、物上保証契約、不動産・重要な財産の貸借(九号参照。) *:「訴訟行為」:原告として提訴したり控訴、上告すること。提訴ののち訴えを取り下げたり和解等に応じること。(応訴は可能であるが応訴ののち和解することは同意が必要。) *:「大修繕」に同意は必要であるが、家屋の修理の注文など'''保存行為'''に同意は必要ない。 *:「第602条に定める期間を超える賃貸借」:宅地を5年以上,建物を3年以上,動産を半年以上にわたって貸す契約をすることであるが、これはもはや'''管理行為'''ではない。 ==参照条文== *[[民法第9条]](成年被後見人の法律行為) *[[民法第11条]](保佐開始の審判) *[[民法第17条]](補助人の同意を要する旨の審判等) *[[民法第602条]](短期賃貸借) *[[民法第864条]](後見監督人の同意を要する行為) *[[民法第962条]](遺言能力) == 判例 == * [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66578 所有権移転登記等請求(昭和41年12月2日)](最高裁判所判例集) *;準禁治産宣告を受けていない場合に心神耗弱中の法律行為の取消ができるか *:心神耗弱者は準禁治産宣告を受けて始めて無能力者として法定の取消権を取得するものであり、その場合に該らない以上、心神耗弱中の法律行為であることのみを理由として、その行為を取消すことはできない。 *:*心神耗弱中の行為であるという事実のみでは足りない。 * [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55145 損害賠償請求(昭和49年12月20日)](最高裁判所判例集) *;準禁治産者が訴を提起するにつき保佐人の同意を得られない場合と消滅時効の進行 *:準禁治産者である権利者が保佐人の同意を得られないため訴を提起できない場合でも、その権利についての消滅時効の進行は妨げられない。 == 外部リンク == * [http://www.courts.go.jp/otsu/vcms_lf/20203002.pdf 大津家庭裁判所のページ] * [http://www.courts.go.jp/otsu/vcms_lf/kouken25hosaninQandA-0402.pdf 同] ---- {{前後 |[[民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]] |[[民法第12条]]<br>(被保佐人及び保佐人) |[[民法第14条]]<br>(保佐開始の審判等の取消し) }} {{stub|law}} [[category:民法|013]] [[category:民法 2017年改正|013]]
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2022-10-20T01:51:51Z
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民法第7条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (後見開始の審判)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(後見開始の審判)", "title": "条文" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]] ==条文== (後見開始の審判) ;第7条 :精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、[[親族|四親等内の親族]]、[[未成年後見人]]、[[未成年後見監督人]]、[[保佐人]]、[[保佐監督人]]、[[補助人]]、[[補助監督人]]又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。 ==解説== :[[成年後見]]開始のための要件について規定している。 :未成年後見人、未成年後見監督人が請求権者にあることから未成年に対する後見開始の審判も認められる。これは、未成年者が成人したときに財産行為が引き続き行えるように配慮するためである。 :「事理を弁識する能力」(事理弁識能力)とは[[意思能力]]を指す。 ==参照条文== *後見関連 **[[民法第8条|第8条]]([[成年被後見人]]及び[[成年後見人]]) **[[民法第9条|第9条]]([[成年被後見人]]の法律行為) **[[民法第10条|第10条]](後見開始の審判の取消し) **[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編親族]] [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#5|第5章後見]] * [[民法第11条]](保佐開始の審判) * [[民法第15条]](補助開始の審判) * [[知的障害者福祉法第28条]] *:市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、[[民法第7条]]、[[民法第11条|第11条]]、[[民法第13条|第13条]]第2項、[[民法第15条|第15条]]第1項、[[民法第17条|第17条]]第1項、[[民法第876条の4|第876条の4]]第1項又は[[民法第876条の9|第876条の9]]第1項に規定する審判の請求をすることができる。 ==判例== ---- {{前後 |[[民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]] |[[民法第6条]]<br>(未成年者の営業の許可) |[[民法第8条]]<br>(成年被後見人及び成年後見人) }} {{stub|law}} [[category:民法|007]]
2006-12-03T11:15:02Z
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民法第8条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第8条 (成年被後見人及び成年後見人) 成年被後見人にはどの人物が該当するかについて規定するとともに、それに成年後見人が付されるべきことを規定している。 後見開始の審判がなされると、「後見登記等に関する法律」により被後見人について成年後見登記がなされる。旧法において、禁治産者は戸籍に記載されたが、被後見人の事実は戸籍に記載されない。また、新法施行後、新法施行前に禁治産者の認定があったものは、法令により後見登記がなされており、戸籍からは、本人・配偶者等の申請により禁治産の事実を抹消することができる。 後見登記事実について閲覧はきびしく制限されており、本人他一定の関係者のみが登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の発行を法務局に求めることができる。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第8条
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]>[[民法第8条]] ==条文== (成年被後見人及び成年後見人) ;第8条 :後見開始の審判を受けた者は、[[w:成年被後見人|成年被後見人]]とし、これに[[w:成年後見人|成年後見人]]を付する。 ==解説== 成年被後見人にはどの人物が該当するかについて規定するとともに、それに成年後見人が付されるべきことを規定している。 ===登記=== 後見開始の審判がなされると、「後見登記等に関する法律」により被後見人について成年後見登記がなされる。旧法において、禁治産者は戸籍に記載されたが、被後見人の事実は戸籍に記載されない。また、新法施行後、新法施行前に禁治産者の認定があったものは、法令により後見登記がなされており、戸籍からは、本人・配偶者等の申請により禁治産の事実を抹消することができる。 後見登記事実について閲覧はきびしく制限されており、本人他一定の関係者のみが登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の発行を法務局に求めることができる。 ==参照条文== * [[後見登記等に関する法律第4条]] *# 後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)の登記は、嘱託又は申請により、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。第九条において同じ。)をもって調製する後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。 *## 後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日 *## 成年被後見人、被保佐人又は被補助人(以下「成年被後見人等」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍) *## 成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」と総称する。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店) *## 成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人(以下「成年後見監督人等」と総称する。)が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店) *##  (略) *##  (略) *## 数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め *## 後見等が終了したときは、その事由及び年月日 *## [[家事審判法第15条の3|家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)第15条の3]]第1項の規定による審判(同条第5項の裁判を含む。以下「保全処分」という。)に関する事項のうち政令で定めるもの *## 登記番号 *# 後見等の開始の審判前の保全処分(政令で定めるものに限る。)の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、政令で定める事項を記録することによって行う。 ==判例== ---- {{前後 |[[民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]] |[[民法第7条]]<br>(後見開始の審判) |[[民法第9条]]<br>(成年被後見人の法律行為) }} {{stub|law}} [[category:民法|008]]
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4,674
料理本/鍋
鍋とパンは火の上に置いて食材を放り込み固定する器として使用する調理器具。 煮る、茹でる、焼く、揚げるなどの調理を行う事ができる。 この種の器具には釜、鍋、パンなどがある。 鍋料理
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鍋とパンは火の上に置いて食材を放り込み固定する器として使用する調理器具。 煮る、茹でる、焼く、揚げるなどの調理を行う事ができる。 この種の器具には釜、鍋、パンなどがある。
'''鍋'''と'''パン'''は火の上に置いて食材を放り込み固定する器として使用する調理器具。 煮る、茹でる、焼く、揚げるなどの調理を行う事ができる。 この種の器具には'''釜'''、鍋、パンなどがある。 ==釜== *釜 *タンドール ==鍋== *土鍋 *中華鍋 *雪平鍋 *フライパン *パエリャパン ==料理== [[料理本/鍋料理|鍋料理]] [[Category:料理本|なへ]] [[en:Cookbook:Pots and Pans]] [[he:ספר מתכונים/סירים ומחבתות]]
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料理本/鍋料理
鍋料理
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==アジア== ===日本=== 鍋料理{{wp|鍋料理}} *[[/寄せ鍋|寄せ鍋]]{{wp|寄せ鍋}} *[[/ちゃんこ鍋|ちゃんこ鍋]]{{wp|ちゃんこ鍋}} *[[/すき焼き|すき焼き]]{{wp|すき焼き}} *[[/ちり鍋|ちり鍋]]{{wp|ちり鍋}} *[[/おでん|おでん]]{{wp|おでん}} *[[/しゃぶしゃぶ|しゃぶしゃぶ]]{{wp|しゃぶしゃぶ}} ===タイ=== *[[/タイスキ|タイスキ]] ===中華=== *[[/扁炉|扁炉]] ===朝鮮=== *[[/キムチチゲ|キムチチゲ]] ==ヨーロッパ== ===フランス=== *[[/ブイヤベース|ブイヤベース]] ===スイス=== *[[/チーズフォンデュ|チーズフォンデュ]] [[Category:料理本|なへりようり]] [[Category:煮込み料理|なへりようり]]
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2023-10-31T08:35:57Z
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4,678
インターネット
インターネットに関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "インターネットに関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。", "title": "" } ]
情報技術 > インターネット 生活 > インターネット 趣味 > インターネット インターネットに関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。
*[[情報技術]] > インターネット *[[:Category:生活|生活]] > インターネット *[[:Category:趣味|趣味]] > インターネット [[w:インターネット|インターネット]]に関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。 == インターネットを学ぶ == *[[高等学校情報]] *[[LANとインターネット]] *さらに高度に学ぶためには[[情報技術]]を参照してください。 == インターネットを使う == *電子メール *ウェブサイト **電子掲示板 **ウェブログ **[[ウィキペディアの書き方 入門編|ウィキペディア]] **ソーシャルネットワーキングサービス *ネチケット [[Category:情報技術|いんたあねつと]] [[Category:生活|いんたあねつと]] [[Category:インターネット|*]]
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4,693
ドイツ語/初級/第19課
<第18課 | 第20課> Vielen Dank für deine Bemühungen im Voraus! Beispielsätze: Füge hier den Satz ein, der dir gefällt! ... Wörter 単語: neue und grundlegende Wörter in unserem Kursbuch, etwa 20 für jede Lektion. Welche Idee hast du, welche Wörter man hier angeben muss? Was ist dein Vorschlag? Bitte füge ihn ein! Bemerkungen: Jede Zeile hat ein einziges Wort und seine Übersetzung(en). Grammatik 文法: <第18課 | 第20課>
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<第18課 | 第20課> Vielen Dank für deine Bemühungen im Voraus! Beispielsätze: Füge hier den Satz ein, der dir gefällt! Wir versuchen, deine Idee zu verstehen. Es ist mir eine Ehre, dich kennenzulernen Du bekommst keinen Erfolg, ohne Bemühungen zu machen. Man muss sauber machen, um mit Gemütlichkeit zu leben. ... Wörter 単語: neue und grundlegende Wörter in unserem Kursbuch, etwa 20 für jede Lektion. Welche Idee hast du, welche Wörter man hier angeben muss? Was ist dein Vorschlag? Bitte füge ihn ein! Bemerkungen: Jede Zeile hat ein einziges Wort und seine Übersetzung(en). Grammatik 文法: <第18課 | 第20課>
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2015-08-09T02:39:17Z
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神戸大対策
本項は神戸大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。 神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。 特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。 二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。 ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。 長文読解問題が3問、和文英訳/自由英作文が1問出題される構成が殆どで、これを試験時間80分以内に解答することになる。 神戸大学の英語は、国公立大学の入試では珍しい時間との格闘が問題となるので、時間配分に注意を配りたい。 長文読解に時間をかけるなら、Iに20~25分、IIに20~25分、IIIに20~25分、IVに10~20分と分配し、バランスよくするなら各大問に20分±数分かけるとよいだろう。 十分に解答するためには、単語、文法事項・構文の知識をある程度踏まえた上での速読力が必要となる。これにはCD等によりシャドーイング(音声を聞いた後、即座に復唱する)の練習も有効であろう。 本文から省かれた語句を記号で問うものや、並べ替え、内容一致、内容説明、部分和訳の問題が出題される。文法知識を直接問う問題はほとんど出題されない。 基本的に平易なものが多いが、内容説明に関しては、問われているものが本文のどの箇所に当たるのかを把握し、それを字数に合う形で解答しなければならない。これは形を変えた部分和訳とも言える作業であり、ある程度の厳密さが必要である。総語数はここ数年で多くなってきているので、速読力はさらに必要となっているといってよい。 部分和訳については、文構造はそれほど難しくないものの直訳すると意味が分かり辛くなる短文和訳があるので、文脈を考慮した上でのこなれた和訳をする必要がある。 なお、07年前期では和訳の量が多くなっており、和訳に関しても若干精密さが要求されるような傾向が08年以降も継続する可能性もある。 内容説明は、基本的に文字数制限がある。 内容一致は、5、6個の選択肢から二つ正しいものを選ぶという形式で長らく安定している。先に選択肢中の固有名詞を把握し(選択肢の内容は把握しなくて良い)、その固有名詞が文中に出てきたらマークして照合しやすいようにするとよいだろう。 11年前期は、I・II番の一般的な論説文2題は10年入試に比べて、I番が107(611→504)語減、II番が58(618→560)語減と09年に迫る程(因みに09年入試は、I番が457語、II番が585語)語数が減ったうえ、I番が『小型哺乳類と気候変動』という入試問題でよく見られる自然環境系の文章、II番が『睡眠と文化の関わり』がテーマの脳科学系の文章とどちらも神戸大の入試問題によく見られる分野の物で、比較的受験生には取り組み易いものだったと言える。 しかし、比較的多くの受験生が苦手とする会話を含む物語文が毎年見られるIII番は語数が155(602→777)語増と過去に類を見ない長さ(因みに97年入試以降最大の語数、08年入試の743語が次点)の物となり、内容も「認知症の進行している母親とその母親を心配する娘」を扱ったもので10年入試の「落とし物を届けた母娘」と比べても、多くの受験生には馴染みの薄いものだったことが災いし、更には、話の展開の読み取りも、相当難しく、かなりの受験生が骨を折った様である。 12年入試は、I番が「環境に対する適応性」がテーマで、神戸大では比較的よく見られる自然環境系の文章であり、受験生には取り組み易いものだったと思われる。 II番は「宗教の起源に対する考察」という人間•文化をテーマとする比較的よく見られる分野の文章での出題ではあるが、ただでさえ、受験生には馴染みの薄い分野であるうえ、その中でも宗教史という、どちらかというとマニアックな分野からの文章に背景知識や類推が利かず困った者は多かった様だ。 なお、I番は問1(1) scientific legend と the extent to which節 の和訳、2つある they の区別が付いていることを示す訳し方が出来たかが、 (2)Adaptation allows us to~ の和訳に工夫が、attend とignore の並列関係の理解が鍵に、また問2は本文から実験の様子を想像し得たかがポイントである。問4は本文を理解しているかを問う問題で1は don't notice 等が、2は quickly notice や start to notice 等が入る。 II番の問1は Religious types の文中での意見の理解が鍵に、問3は get their just deserts の意見の理解よりも、むしろ選択肢の意見の理解と一つずつ空欄に選択肢を当てはめてみることが正解への近道に、問5は a mental conection や extra thinking time の意訳がポイントである。 III番は、例年通り会話を含む物語文であり、難易度は、語数同様昨年に比べ、ある程度は下がったものの、やはり簡単とは言い難く、駿台予備学校や河合塾などの予備校も「やや難」との見解を見せている。 主なポイントは、問1では、(1)が直後の She's just busy をヒントと見抜けたかが、(5)では、fit in の意味を理解しているかが、問4では、I never thought I'd be interested in の形容詞節と、 as far away from my major as節 がいずれも and で並列関係にあり、subject に係っている事が分かったかが、鍵であった。 問2、問3は神戸大の例年の傾向を踏襲した問題と言える。 16年前期はIIIの小説が、登場人物が10人を超えるという異例の事態となり、難化した。 この傾向が続くかどうかは不明だが、この程度の問題が出題される可能性は否定できないので、『英語長文問題精講』のような、やや難しめの問題集に取り組んで慣れる必要もあるかもしれない。 18年前期は、Iの長文問題で、大半の受験生には馴染みのない単語の類推力を問う和訳問題が出題された。広い意味での読解力を問うものだとも言えるだろう。 20年前期はIIIの長文読解が大幅に難化した。内容が「禅画や書の歴史」という難解なものだったうえ、問題も容易ではなかった。 埋め込まれた英作文の問題は、問題文中に出てきた語句の自分の解釈を英語で書くというもので、非常に難しい問題だったと思われる。 21年前期は、IIIの長文読解が、学生と教員の議論のみで構成され、地の文が存在しないという新傾向の問題となった。 22年前期では、Iの長文読解で、「正しい選択肢をすべて選べ」という新傾向の問題が出題された。また、IIの長文読解で、一般論を駆使すればかなり解きやすくなる問題が出題された。 なお、IIの問1は作問ミスが発覚しているので、過去問演習を行う際は留意してほしい。 これに関しては、以前は隔年的にどちらかが出題されていたものの08〜10年は、和文英訳のみが、11年以降は自由英作文の出題が続いており、11年入試はグラフの読み取りと自由英作という今までなかったタイプが、12年入試は07年入試以降久しく見られなかった、和文英訳と自由英作の並列という形での出題となった。 過去には、古文を英訳させるという出題もあった。よって、受験生は和文英訳、自由英作の対策、特に自由英作文の対策が必要である。 対策としては、100~200程度の英文を50本程度暗記し、何も見ずに再現する練習、また日本語で作文を書く時のように文章の構成を考えながら書くという訓練を進めていけば、必ず書ける良問を神戸大は毎年出題している。 11年入試では、与えられたグラフから読み取れる一般的な傾向の概略とグラフの示している個々の事象を2、3題詳しく2文で書かせ、更に携帯電話を持ち始めるに適当な年齢を理由も含め書かす問題を、どちらも60語程度(つまり、計120語±18語程度)というハードな字数量の指定を付けて出題したが、12年入試は中野孝次『風の良寛』の一節から、25語程度の和文英訳、及び出題部分の筆者の意見に対する受験生の意見を、50語程度で英語で述べさせる問題が出題され、難易度•分量ともにかなり下がったと言える。 基本的に、自分の使える表現内で書くことが重要である(記憶があやふやなものを使って書くべきではない)。そのためには、表現方法を豊かにするため問題演習を重ねたり例文集に当たることが必要である。 特にグラフから読み取れる事柄を、英文で説明するタイプの問題は近年、各種試験(英検、TOEFL、TEAP)で頻出であり、神戸大の先生にはこれら各種試験の作成に携わっている先生もおられることから、今後も出題が予想される分野である。 また、英作文の採点には、英米人などのネイティブスピーカーの先生方も加わることが考えられるため、和文英訳というよりも正しく・簡潔に「通じる」英語で書くことが重要である。 入学後の4月にTOEFLやTOEIC(学部により受ける試験が異なる)等のアメリカの試験を受けなければならないことから、高校の英語とアメリカ実務英語をうまく接続するような中間的な形態の出題も予想される。 ところが、2020年の入試では、英作文単独の大問が消滅し、英文読解を踏まえた上での受験生自身の解釈を英語で記述させる問題が出題された。 これは、2019年の京都大学の英語における出題を意識したものと考えられる。英文読解の問題を解く際にも、神戸大学に典型的な問題以外のものを選択する必要があるかもしれない。ただし、それ以降は従来の形式に戻っている。 各設問の難易度はそこまで高くない。全体的な時間の短さを考えれば、実際には500語程度の長文を的確に解答できるようになる訓練が必要である。 また、記号選択式問題だけでも全体の半分程度あるのでそこは確実にクリアしたい。英作文に関して言えば年度によって難易度にかなりの差があり、標準~やや難程度まで変動する。やや難しめで長めの英作文をこなして本学の英作が「短い」とおもえるように訓練すべきである。 試験時間80分で3問出題される。 標準的な問題が多いが、それでも最も差が開く科目なので、英国に不安がある受験生は満点近く、英国に自信があるが数学に自信のない受験生は本番までに3問中2問は解き切って半分程度得点することを目指そう。数学の配点が高い経済学部であれば、悪くても2問完答以上を目指したい。配点が低い文学部、法学部や国際人間科学部(文科系での受験)志望で、英国に自信があれば1問完答、1問を途中までの解答としても合格に届く可能性はある。 しかし、やはりどの学部であっても2問は完答したい。ここ数年は難化傾向にあること、また2018年より経済学部が二次試験における数学優先の配点を採用するため、数学が神戸大文系合格のための最重要科目になりつつある。 出題分野の傾向としては、微積分・ベクトル・数列が(文系数学一般でいえば確率も)頻出分野である。2015年-2018年においてもこの傾向は続いている。 設問の傾向としては、整数・数列・確率と微積分・ベクトルとの融合問題が頻出であること、また論証がほぼ確実に出題される。 試験時間120分で5問出題される。微積分や確率の問題が出題される可能性が高く、かつ難問である。微積分が出題されなかった年は、ここ20年程度はほぼ存在しない。 各設問とも(1)の問題は完答し、最低でも6割程度の点数は確保したい(もちろん医学部医学科志望の受験生は別である)。 医学部医学科でないならば、大問2つを完答して残り三問で部分点を稼ぐくらいは達成したい。問題の多くがオーソドックスなだけに、計算ミスは致命傷となる。方針が立った瞬間、一気に答案を書き上げる、記述力、判断力、計算力がほしい。できるところは極力早めに解答し、確率など慎重にとき進めたい分野に時間をかけたい。複素数にからめた出題の可能性も否めないので、類題の演習も必要だろう。 簡単に見えて、なめてかかると痛い思いをするのが、神戸大学の出題だと思われる。 100分以内に現代文(評論)、古文、漢文の3問(経営学部は80分以内で現代文と古文のみ)を解かなければならない。現代文の文章の長さ(引用文も長い)も特徴的である。100字以上の記述問題が、現代文と古文それぞれで常に課され、漢文でも50字以上の記述問題が確実に出ることから時間的余裕は無いだろう。 現代文、古文、漢文のいずれにおいても、文脈を追い、文章中に複数以上ある解答の要素を捉え、短時間で的確に言い換えて記述するという作業に対する慣れが必要である。 また本学では、時間配分が学力レベルを越えて影響するため、しっかりとした過去問分析が必要である。特に現代文は予想以上に時間がかかる。 したがって、まず古文と漢文を40~50分で片付け確実に得点を確保し、残りの時間を現代文にかけたい。なお2019年の3月に教学社から『神戸大の国語15カ年』が刊行された。 現代文に関しては、漢字問題以外は全て論述形式で問われる。例年、他大学を圧倒する5000字前後の長文が出題され、総記述量も400字程度と時間的に厳しい(ただし、2019年度は問題文の字数が1300字程度減った)。 出題傾向としては、そのほとんどが「〜〜とあるが、それはどういうことか。」として説明させられる、いわゆる言い換えの問題が大半である。記述力を身に付ける方法としては、一橋大学の国語の大問3で出題されるような、一定の長さの文章を200字以内に要約する問題を解き、添削してもらうというものが挙げられるが、長期休暇等を利用して継続して行わなければ意味が無いだろう。 そのうえ、本文の長さは、他の学校と比べても例外的なので、本番と同様の演習を行おうと思っても、材料は過去問や神戸大用模試の過去問に限られる。従って、経済学部や経営学部のような国語の配点が高くない学部の志望者は、現代文に相当な時間を割いて対策することで不得意な他の科目の分を補おうと考えるのは得策ではないだろう(ただし、いわゆる「捨てられる」科目ではないのでそれなりの得点が可能な程度は勉強すべきである)。 しかし、法学部、文学部、国際人間科学部(理科系での受験は除く)のように国語の配点が高い学部を志望し、なおかつ記述問題が得意で、国語を得点源にしようと考える人もいるだろう。そのような人は、英語や数学の勉強がおろそかにならない程度に神戸大学のレベルを超えた問題にどんどん挑戦しよう。 というのも、本学の問題のようなスピード重視の出題に慣れすぎると、読書の仕方までもそのようになってしまい、精読が苦手になってしまう恐れがあるからであり、また、京都大学の国語で出題されるような短くかつ含蓄のある文章の読み取りが大学入学後の勉学に資するからである。 なお、本文中に登場する語句が難しいと思ったり、本文の背景知識が足りないと感じるならば、現代文用のキーワード集や用語集で語彙力を身に付けるべきである。 基本的な文法・語法(句形)問題も出題されているが、現代語訳や30字から100字程度の記述を要する読解問題の比重が高い。文法や重要語の知識を身に付けるのは当然だが、それらを単独で覚えるだけでなく、一定の長さを持った文章の中での文脈において理解することも大切であろう。 すなわち、日常学習のみならずマーク・記述模試を受けた後、知らなくて答えられなかったり読解を間違えたりした箇所は解答・解説を読み込んで徹底的に洗い直し、本文を改めて理解することが重要である。覚えなければならない古文単語や句形・重要な文字の数は英単語に比べればさほど多くないのだから、内容の理解を問う問題に取り組めるよう学習に取り組まなければならない。この古文・漢文をいかに早く解き、現代文に時間を費やせるかが重要である。 特に漢文は、他の2題に比べ確実な得点源となりうるので、(漢文が課されない経営学部の時間から考察して)大学側が考えている20分よりも速く解きたい。 解いた問題で分からなかった箇所や、誤った箇所を直ちに補わなければならないのは、古文・漢文のみならず全科目に共通する必須の学習姿勢である。 多くの学科では、4科目のうちから2科目を選択して120分で解答する。一部の学科では1科目選択である。理学部物理学科や工学部などでは、絶対に選択しなければならない科目があるので注意しよう。 3問出題される。1問は力学から、1問は電磁気からほぼ必ず出題され、もう1問は波動・熱力学のどちらかからの出題が多いが、原子からの出題も稀にある。 時間は2科目120分(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。 神戸大物理では、難しい問題はあまり出題されないが、答えに至るまでの導出過程を記述せねばならぬ問が多い。 導出過程を記述する際に、必要な物理量を表す記号を明示する必要があることもある。教科書や参考書等を使って公式の導出過程をしっかりと身につけておくことは勿論、一般的な入試対策問題集で問題を解く際も導出過程を記述して解答していくことが神戸大物理攻略への一歩である。 描図問題や、論述問題の出題もしばしば見られる。空所補充形式での出題は少ない。化学と同様に、過去問15年程度は目を通すことが望ましい。余裕があるならば、物質と原子の分野にも目を通した方が、より安全だと思われる。 いずれにせよ、簡潔に問われている分、なかなか書き方が難しく、表現力の乏しい生徒には厳しい。傾斜的に物理が得意な生徒と、そうでない生徒とでは差はつくだろう。難易度や導出過程の記述で多少の失点が発生する恐れがあることを鑑みると、合格するためには解けなくてよい問(捨て問)はあまりないので、ある程度応用問題も解けるようにしておく必要がある。 4問出題される。大まかな傾向としては、1問は理論分野から、1問は無機分野から、1問は化学Iの有機分野から、もう1問は化学IIの有機分野からの出題。時間は2科目120分である(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。標準的な難易度の問題が多い。 1問およそ15分ほどしかかけることが出来ないため、素早い問題処理能力が求められる。また、有機分野の配点が高いため、こちらを重点的に勉強すると良い。有機分野を捨てることは自傷行為である。(しかし、得点率が悪いのは有機分野である) また、神戸大化学の特徴として、過去に神戸大で出した入試問題とほぼ同じテーマを出すことが多い。(例:99年大問3と03年大問3、00年大問3と07年大問3)。そのため、過去の入試問題を10~15年ほど丁寧に、分野別に研究することが合格への近道である。 数研出版の重要問題集での演習をおすすめする。 さらに、生命と物質の分野も必須事項であり、アミノ酸、セルロースなどの出題頻度が高いので、対策が必要と思われる。これは、この分野が、今後の医学分野での活用が非常に高いことを見越した、神戸大学の意図だと思われる。なお、核酸は新課程になって以降、一度も出題されていない。 化学と同じく、4問出題される。出題範囲は幅広く、生態系から細胞小器官まで幅広く出題されるので、ヤマを張るのはやめるべきである。時間は2科目で120分なので、生物には約60分を割り当てる計算になる(一部の学科では1科目60分)。 この試験時間は、他の大学と比べても短めであり、神戸大学の他の科目と同様、時間との勝負を強要される。 問題の内容は概ね定まっており、まず空所補充、次に用語の記述、その次に40〜120字程度の論述が二問程度といった内容が多い。 論述は、頻出論述が少なくとも半分程度を占めるため、典型的な問題については、予備校の講習を受けたり、記述力を鍛える問題集に取り組んだりして確実に答えられるようにしておきたい。 また、空所補充については、全問正解するだけで20〜25%を獲得できる(空欄ひとつにつき1点と仮定した場合)ので、最大でも二問間違い程度で済ませるべきである。 難易度は、一部の問題を除けばやや易〜標準だが、遺伝計算は標準〜やや難のものが多い。よって、基礎を固めるのが何より効果的である。大半の問題は難問ではないので、できる問題を確実に解けるようにするのが重要。医学部医学科ならば7割以上、それ以外の理系学部志望ならば6割以上を得点したい。 神戸大の後期法学部小論文は、他学部ならび他大学のどの小論文とも似つかない。それゆえ対策には労苦するだろう。 テーマ(例えば尊厳死についてなど)にそって6つ程度のパッセージを与えられ、それを賛成意見と、反対意見に振り分けてまとめるというのが神戸大法学部の小論文の伝統である。気をつけなければいけないのは、自分の意見を入れてはならないことだ。 出題されたテーマに明るい場合、往々にして知識をひけらかそうとしたくなるものだがそこは我慢。その知識は自分の小論文を推敲する際に役立てよう。時事問題に対する知識と各意見を分類する能力と文章の抽象部を指摘しまとめる力が試されているといえよう。 対策 赤本などには、『アエラ 法律学がよくわかる本』を参考にする旨が推奨されているが、書店に置いていない場合が多くまた分量も多いため実用的ではない。 もっともよい対策の一つは、新聞の社説であろう。社説の譲歩部分と主張部分を書き出す作業を繰り返せば、時事知識、賛成意見と反対意見の識別能力、まとめる力の3点が合理的に身につくであろう。前期試験終了までにある程度地力をつけておき、過去問にあたるのがベストである。 ちなみに、予備校の小論対策は意見小論文対策であり、本試験には馴染まないので効果的ではない。 試験 試験時間は3時間あり十分である。下書き用紙が用意されているので、大いに利用しよう。パッセージを一つ読んだら下書き用紙にまとめるという作業を繰り返し、全部読みきってた後で流れを考えながら配置を決めよう。賛成意見と反対意見を交互に書くのではなく、賛成意見と反対意見の2段落構成でいこう。そのさい指定文字数をパッセージ数でわっておき、各パッセージをまとめる際の平均字数を決定しておこう。 そうすることで字数オーバーや巷でよく危険ラインといわれる8割切りは防げるであろう。 神戸大の上記学科後期小論文は与えられた文章(A4用紙10枚前後)を読み、そこから要約と自分の意見を述べる3問構成の一般的な形である。 文章は比較的読みやすいものであるが、最近では、自分の学びたい事柄と関連させて書くことが求められており、そのため志望学科によっては、関連させるのが難しい場合もある。また難化しており、2008年の小論文はJ,S,ミルの自由論が出るなど、大幅に難化した。しかしながら、センターで十分に点数が取れれば、失敗することはまずないであろう。 対策 まずは、センター試験レベルの文章を200~300文字程度に要約することから始めよう。次に現代文の用語を覚えよう。 特に自分の興味のある学問については、深く勉強することもよい。加えて、自分の志望学科の教授が何を研究しているのかを調べよう。小論文を書くにあたって大きな力となるだろう。 試験 時間は150分ある。下書き用紙が配られるので、大いに活用しよう。書き方としては、主張→その具体的説明→結論という形を意識して書くようにしよう。 現在、神戸大受験生対象の模試としては、神大入試オープン(河合塾)、神戸大入試実戦模試(駿台予備学校)、神戸大本番レベル模試(東進)が実施されている。 各予備校は、神戸大入試を徹底分析し、前年度の入試をもとに作成した問題を提供しており、また、神戸大志願者が多く受験するため、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となる。よって、神戸大志願者はこれらの模試をできる限り受験しておきたい。 また、この模試とセンター試験対策のマーク模試でドッキング判定(総合判定)される場合が多いので、出来れば、ドッキング対象のマーク模試も同時に受験するべきである。さらに、当大学の入試問題は常に時間との勝負となるために、できれば2つ以上受験して一方は得点狙い、もう一方は時間配分・本番に向けての実験などを試みるようにしたい。 年によっては、神戸大学キャンパス内に受験会場が設置されることがある。本学を志願する受験生にとっては、受験会場の雰囲気に慣れることや受験会場の下見も兼ねることにもなることで、良い機会となる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "本項は神戸大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。", "title": "" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。", "title": "" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "長文読解問題が3問、和文英訳/自由英作文が1問出題される構成が殆どで、これを試験時間80分以内に解答することになる。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "神戸大学の英語は、国公立大学の入試では珍しい時間との格闘が問題となるので、時間配分に注意を配りたい。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "長文読解に時間をかけるなら、Iに20~25分、IIに20~25分、IIIに20~25分、IVに10~20分と分配し、バランスよくするなら各大問に20分±数分かけるとよいだろう。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "十分に解答するためには、単語、文法事項・構文の知識をある程度踏まえた上での速読力が必要となる。これにはCD等によりシャドーイング(音声を聞いた後、即座に復唱する)の練習も有効であろう。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "本文から省かれた語句を記号で問うものや、並べ替え、内容一致、内容説明、部分和訳の問題が出題される。文法知識を直接問う問題はほとんど出題されない。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "基本的に平易なものが多いが、内容説明に関しては、問われているものが本文のどの箇所に当たるのかを把握し、それを字数に合う形で解答しなければならない。これは形を変えた部分和訳とも言える作業であり、ある程度の厳密さが必要である。総語数はここ数年で多くなってきているので、速読力はさらに必要となっているといってよい。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "部分和訳については、文構造はそれほど難しくないものの直訳すると意味が分かり辛くなる短文和訳があるので、文脈を考慮した上でのこなれた和訳をする必要がある。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "なお、07年前期では和訳の量が多くなっており、和訳に関しても若干精密さが要求されるような傾向が08年以降も継続する可能性もある。 内容説明は、基本的に文字数制限がある。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "内容一致は、5、6個の選択肢から二つ正しいものを選ぶという形式で長らく安定している。先に選択肢中の固有名詞を把握し(選択肢の内容は把握しなくて良い)、その固有名詞が文中に出てきたらマークして照合しやすいようにするとよいだろう。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "11年前期は、I・II番の一般的な論説文2題は10年入試に比べて、I番が107(611→504)語減、II番が58(618→560)語減と09年に迫る程(因みに09年入試は、I番が457語、II番が585語)語数が減ったうえ、I番が『小型哺乳類と気候変動』という入試問題でよく見られる自然環境系の文章、II番が『睡眠と文化の関わり』がテーマの脳科学系の文章とどちらも神戸大の入試問題によく見られる分野の物で、比較的受験生には取り組み易いものだったと言える。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "しかし、比較的多くの受験生が苦手とする会話を含む物語文が毎年見られるIII番は語数が155(602→777)語増と過去に類を見ない長さ(因みに97年入試以降最大の語数、08年入試の743語が次点)の物となり、内容も「認知症の進行している母親とその母親を心配する娘」を扱ったもので10年入試の「落とし物を届けた母娘」と比べても、多くの受験生には馴染みの薄いものだったことが災いし、更には、話の展開の読み取りも、相当難しく、かなりの受験生が骨を折った様である。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "12年入試は、I番が「環境に対する適応性」がテーマで、神戸大では比較的よく見られる自然環境系の文章であり、受験生には取り組み易いものだったと思われる。 II番は「宗教の起源に対する考察」という人間•文化をテーマとする比較的よく見られる分野の文章での出題ではあるが、ただでさえ、受験生には馴染みの薄い分野であるうえ、その中でも宗教史という、どちらかというとマニアックな分野からの文章に背景知識や類推が利かず困った者は多かった様だ。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "なお、I番は問1(1) scientific legend と the extent to which節 の和訳、2つある they の区別が付いていることを示す訳し方が出来たかが、 (2)Adaptation allows us to~ の和訳に工夫が、attend とignore の並列関係の理解が鍵に、また問2は本文から実験の様子を想像し得たかがポイントである。問4は本文を理解しているかを問う問題で1は don't notice 等が、2は quickly notice や start to notice 等が入る。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "II番の問1は Religious types の文中での意見の理解が鍵に、問3は get their just deserts の意見の理解よりも、むしろ選択肢の意見の理解と一つずつ空欄に選択肢を当てはめてみることが正解への近道に、問5は a mental conection や extra thinking time の意訳がポイントである。 III番は、例年通り会話を含む物語文であり、難易度は、語数同様昨年に比べ、ある程度は下がったものの、やはり簡単とは言い難く、駿台予備学校や河合塾などの予備校も「やや難」との見解を見せている。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "主なポイントは、問1では、(1)が直後の She's just busy をヒントと見抜けたかが、(5)では、fit in の意味を理解しているかが、問4では、I never thought I'd be interested in の形容詞節と、 as far away from my major as節 がいずれも and で並列関係にあり、subject に係っている事が分かったかが、鍵であった。 問2、問3は神戸大の例年の傾向を踏襲した問題と言える。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "16年前期はIIIの小説が、登場人物が10人を超えるという異例の事態となり、難化した。 この傾向が続くかどうかは不明だが、この程度の問題が出題される可能性は否定できないので、『英語長文問題精講』のような、やや難しめの問題集に取り組んで慣れる必要もあるかもしれない。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "18年前期は、Iの長文問題で、大半の受験生には馴染みのない単語の類推力を問う和訳問題が出題された。広い意味での読解力を問うものだとも言えるだろう。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "20年前期はIIIの長文読解が大幅に難化した。内容が「禅画や書の歴史」という難解なものだったうえ、問題も容易ではなかった。 埋め込まれた英作文の問題は、問題文中に出てきた語句の自分の解釈を英語で書くというもので、非常に難しい問題だったと思われる。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "21年前期は、IIIの長文読解が、学生と教員の議論のみで構成され、地の文が存在しないという新傾向の問題となった。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "22年前期では、Iの長文読解で、「正しい選択肢をすべて選べ」という新傾向の問題が出題された。また、IIの長文読解で、一般論を駆使すればかなり解きやすくなる問題が出題された。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "なお、IIの問1は作問ミスが発覚しているので、過去問演習を行う際は留意してほしい。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "これに関しては、以前は隔年的にどちらかが出題されていたものの08〜10年は、和文英訳のみが、11年以降は自由英作文の出題が続いており、11年入試はグラフの読み取りと自由英作という今までなかったタイプが、12年入試は07年入試以降久しく見られなかった、和文英訳と自由英作の並列という形での出題となった。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "過去には、古文を英訳させるという出題もあった。よって、受験生は和文英訳、自由英作の対策、特に自由英作文の対策が必要である。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "対策としては、100~200程度の英文を50本程度暗記し、何も見ずに再現する練習、また日本語で作文を書く時のように文章の構成を考えながら書くという訓練を進めていけば、必ず書ける良問を神戸大は毎年出題している。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "11年入試では、与えられたグラフから読み取れる一般的な傾向の概略とグラフの示している個々の事象を2、3題詳しく2文で書かせ、更に携帯電話を持ち始めるに適当な年齢を理由も含め書かす問題を、どちらも60語程度(つまり、計120語±18語程度)というハードな字数量の指定を付けて出題したが、12年入試は中野孝次『風の良寛』の一節から、25語程度の和文英訳、及び出題部分の筆者の意見に対する受験生の意見を、50語程度で英語で述べさせる問題が出題され、難易度•分量ともにかなり下がったと言える。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "基本的に、自分の使える表現内で書くことが重要である(記憶があやふやなものを使って書くべきではない)。そのためには、表現方法を豊かにするため問題演習を重ねたり例文集に当たることが必要である。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "特にグラフから読み取れる事柄を、英文で説明するタイプの問題は近年、各種試験(英検、TOEFL、TEAP)で頻出であり、神戸大の先生にはこれら各種試験の作成に携わっている先生もおられることから、今後も出題が予想される分野である。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "また、英作文の採点には、英米人などのネイティブスピーカーの先生方も加わることが考えられるため、和文英訳というよりも正しく・簡潔に「通じる」英語で書くことが重要である。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "入学後の4月にTOEFLやTOEIC(学部により受ける試験が異なる)等のアメリカの試験を受けなければならないことから、高校の英語とアメリカ実務英語をうまく接続するような中間的な形態の出題も予想される。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "ところが、2020年の入試では、英作文単独の大問が消滅し、英文読解を踏まえた上での受験生自身の解釈を英語で記述させる問題が出題された。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "これは、2019年の京都大学の英語における出題を意識したものと考えられる。英文読解の問題を解く際にも、神戸大学に典型的な問題以外のものを選択する必要があるかもしれない。ただし、それ以降は従来の形式に戻っている。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "各設問の難易度はそこまで高くない。全体的な時間の短さを考えれば、実際には500語程度の長文を的確に解答できるようになる訓練が必要である。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "また、記号選択式問題だけでも全体の半分程度あるのでそこは確実にクリアしたい。英作文に関して言えば年度によって難易度にかなりの差があり、標準~やや難程度まで変動する。やや難しめで長めの英作文をこなして本学の英作が「短い」とおもえるように訓練すべきである。", "title": "英語" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "試験時間80分で3問出題される。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "標準的な問題が多いが、それでも最も差が開く科目なので、英国に不安がある受験生は満点近く、英国に自信があるが数学に自信のない受験生は本番までに3問中2問は解き切って半分程度得点することを目指そう。数学の配点が高い経済学部であれば、悪くても2問完答以上を目指したい。配点が低い文学部、法学部や国際人間科学部(文科系での受験)志望で、英国に自信があれば1問完答、1問を途中までの解答としても合格に届く可能性はある。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "しかし、やはりどの学部であっても2問は完答したい。ここ数年は難化傾向にあること、また2018年より経済学部が二次試験における数学優先の配点を採用するため、数学が神戸大文系合格のための最重要科目になりつつある。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "出題分野の傾向としては、微積分・ベクトル・数列が(文系数学一般でいえば確率も)頻出分野である。2015年-2018年においてもこの傾向は続いている。 設問の傾向としては、整数・数列・確率と微積分・ベクトルとの融合問題が頻出であること、また論証がほぼ確実に出題される。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "試験時間120分で5問出題される。微積分や確率の問題が出題される可能性が高く、かつ難問である。微積分が出題されなかった年は、ここ20年程度はほぼ存在しない。 各設問とも(1)の問題は完答し、最低でも6割程度の点数は確保したい(もちろん医学部医学科志望の受験生は別である)。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "医学部医学科でないならば、大問2つを完答して残り三問で部分点を稼ぐくらいは達成したい。問題の多くがオーソドックスなだけに、計算ミスは致命傷となる。方針が立った瞬間、一気に答案を書き上げる、記述力、判断力、計算力がほしい。できるところは極力早めに解答し、確率など慎重にとき進めたい分野に時間をかけたい。複素数にからめた出題の可能性も否めないので、類題の演習も必要だろう。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "簡単に見えて、なめてかかると痛い思いをするのが、神戸大学の出題だと思われる。", "title": "数学" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "100分以内に現代文(評論)、古文、漢文の3問(経営学部は80分以内で現代文と古文のみ)を解かなければならない。現代文の文章の長さ(引用文も長い)も特徴的である。100字以上の記述問題が、現代文と古文それぞれで常に課され、漢文でも50字以上の記述問題が確実に出ることから時間的余裕は無いだろう。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "現代文、古文、漢文のいずれにおいても、文脈を追い、文章中に複数以上ある解答の要素を捉え、短時間で的確に言い換えて記述するという作業に対する慣れが必要である。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "また本学では、時間配分が学力レベルを越えて影響するため、しっかりとした過去問分析が必要である。特に現代文は予想以上に時間がかかる。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "したがって、まず古文と漢文を40~50分で片付け確実に得点を確保し、残りの時間を現代文にかけたい。なお2019年の3月に教学社から『神戸大の国語15カ年』が刊行された。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "現代文に関しては、漢字問題以外は全て論述形式で問われる。例年、他大学を圧倒する5000字前後の長文が出題され、総記述量も400字程度と時間的に厳しい(ただし、2019年度は問題文の字数が1300字程度減った)。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "出題傾向としては、そのほとんどが「〜〜とあるが、それはどういうことか。」として説明させられる、いわゆる言い換えの問題が大半である。記述力を身に付ける方法としては、一橋大学の国語の大問3で出題されるような、一定の長さの文章を200字以内に要約する問題を解き、添削してもらうというものが挙げられるが、長期休暇等を利用して継続して行わなければ意味が無いだろう。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "そのうえ、本文の長さは、他の学校と比べても例外的なので、本番と同様の演習を行おうと思っても、材料は過去問や神戸大用模試の過去問に限られる。従って、経済学部や経営学部のような国語の配点が高くない学部の志望者は、現代文に相当な時間を割いて対策することで不得意な他の科目の分を補おうと考えるのは得策ではないだろう(ただし、いわゆる「捨てられる」科目ではないのでそれなりの得点が可能な程度は勉強すべきである)。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "しかし、法学部、文学部、国際人間科学部(理科系での受験は除く)のように国語の配点が高い学部を志望し、なおかつ記述問題が得意で、国語を得点源にしようと考える人もいるだろう。そのような人は、英語や数学の勉強がおろそかにならない程度に神戸大学のレベルを超えた問題にどんどん挑戦しよう。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "というのも、本学の問題のようなスピード重視の出題に慣れすぎると、読書の仕方までもそのようになってしまい、精読が苦手になってしまう恐れがあるからであり、また、京都大学の国語で出題されるような短くかつ含蓄のある文章の読み取りが大学入学後の勉学に資するからである。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "なお、本文中に登場する語句が難しいと思ったり、本文の背景知識が足りないと感じるならば、現代文用のキーワード集や用語集で語彙力を身に付けるべきである。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "基本的な文法・語法(句形)問題も出題されているが、現代語訳や30字から100字程度の記述を要する読解問題の比重が高い。文法や重要語の知識を身に付けるのは当然だが、それらを単独で覚えるだけでなく、一定の長さを持った文章の中での文脈において理解することも大切であろう。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "すなわち、日常学習のみならずマーク・記述模試を受けた後、知らなくて答えられなかったり読解を間違えたりした箇所は解答・解説を読み込んで徹底的に洗い直し、本文を改めて理解することが重要である。覚えなければならない古文単語や句形・重要な文字の数は英単語に比べればさほど多くないのだから、内容の理解を問う問題に取り組めるよう学習に取り組まなければならない。この古文・漢文をいかに早く解き、現代文に時間を費やせるかが重要である。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "特に漢文は、他の2題に比べ確実な得点源となりうるので、(漢文が課されない経営学部の時間から考察して)大学側が考えている20分よりも速く解きたい。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "解いた問題で分からなかった箇所や、誤った箇所を直ちに補わなければならないのは、古文・漢文のみならず全科目に共通する必須の学習姿勢である。", "title": "国語" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "多くの学科では、4科目のうちから2科目を選択して120分で解答する。一部の学科では1科目選択である。理学部物理学科や工学部などでは、絶対に選択しなければならない科目があるので注意しよう。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "3問出題される。1問は力学から、1問は電磁気からほぼ必ず出題され、もう1問は波動・熱力学のどちらかからの出題が多いが、原子からの出題も稀にある。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "時間は2科目120分(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "神戸大物理では、難しい問題はあまり出題されないが、答えに至るまでの導出過程を記述せねばならぬ問が多い。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "導出過程を記述する際に、必要な物理量を表す記号を明示する必要があることもある。教科書や参考書等を使って公式の導出過程をしっかりと身につけておくことは勿論、一般的な入試対策問題集で問題を解く際も導出過程を記述して解答していくことが神戸大物理攻略への一歩である。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "描図問題や、論述問題の出題もしばしば見られる。空所補充形式での出題は少ない。化学と同様に、過去問15年程度は目を通すことが望ましい。余裕があるならば、物質と原子の分野にも目を通した方が、より安全だと思われる。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "いずれにせよ、簡潔に問われている分、なかなか書き方が難しく、表現力の乏しい生徒には厳しい。傾斜的に物理が得意な生徒と、そうでない生徒とでは差はつくだろう。難易度や導出過程の記述で多少の失点が発生する恐れがあることを鑑みると、合格するためには解けなくてよい問(捨て問)はあまりないので、ある程度応用問題も解けるようにしておく必要がある。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "4問出題される。大まかな傾向としては、1問は理論分野から、1問は無機分野から、1問は化学Iの有機分野から、もう1問は化学IIの有機分野からの出題。時間は2科目120分である(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。標準的な難易度の問題が多い。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "1問およそ15分ほどしかかけることが出来ないため、素早い問題処理能力が求められる。また、有機分野の配点が高いため、こちらを重点的に勉強すると良い。有機分野を捨てることは自傷行為である。(しかし、得点率が悪いのは有機分野である)", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "また、神戸大化学の特徴として、過去に神戸大で出した入試問題とほぼ同じテーマを出すことが多い。(例:99年大問3と03年大問3、00年大問3と07年大問3)。そのため、過去の入試問題を10~15年ほど丁寧に、分野別に研究することが合格への近道である。 数研出版の重要問題集での演習をおすすめする。 さらに、生命と物質の分野も必須事項であり、アミノ酸、セルロースなどの出題頻度が高いので、対策が必要と思われる。これは、この分野が、今後の医学分野での活用が非常に高いことを見越した、神戸大学の意図だと思われる。なお、核酸は新課程になって以降、一度も出題されていない。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "化学と同じく、4問出題される。出題範囲は幅広く、生態系から細胞小器官まで幅広く出題されるので、ヤマを張るのはやめるべきである。時間は2科目で120分なので、生物には約60分を割り当てる計算になる(一部の学科では1科目60分)。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "この試験時間は、他の大学と比べても短めであり、神戸大学の他の科目と同様、時間との勝負を強要される。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "問題の内容は概ね定まっており、まず空所補充、次に用語の記述、その次に40〜120字程度の論述が二問程度といった内容が多い。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "論述は、頻出論述が少なくとも半分程度を占めるため、典型的な問題については、予備校の講習を受けたり、記述力を鍛える問題集に取り組んだりして確実に答えられるようにしておきたい。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "また、空所補充については、全問正解するだけで20〜25%を獲得できる(空欄ひとつにつき1点と仮定した場合)ので、最大でも二問間違い程度で済ませるべきである。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "難易度は、一部の問題を除けばやや易〜標準だが、遺伝計算は標準〜やや難のものが多い。よって、基礎を固めるのが何より効果的である。大半の問題は難問ではないので、できる問題を確実に解けるようにするのが重要。医学部医学科ならば7割以上、それ以外の理系学部志望ならば6割以上を得点したい。", "title": "理科" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "神戸大の後期法学部小論文は、他学部ならび他大学のどの小論文とも似つかない。それゆえ対策には労苦するだろう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "テーマ(例えば尊厳死についてなど)にそって6つ程度のパッセージを与えられ、それを賛成意見と、反対意見に振り分けてまとめるというのが神戸大法学部の小論文の伝統である。気をつけなければいけないのは、自分の意見を入れてはならないことだ。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "出題されたテーマに明るい場合、往々にして知識をひけらかそうとしたくなるものだがそこは我慢。その知識は自分の小論文を推敲する際に役立てよう。時事問題に対する知識と各意見を分類する能力と文章の抽象部を指摘しまとめる力が試されているといえよう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "対策", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "赤本などには、『アエラ 法律学がよくわかる本』を参考にする旨が推奨されているが、書店に置いていない場合が多くまた分量も多いため実用的ではない。 もっともよい対策の一つは、新聞の社説であろう。社説の譲歩部分と主張部分を書き出す作業を繰り返せば、時事知識、賛成意見と反対意見の識別能力、まとめる力の3点が合理的に身につくであろう。前期試験終了までにある程度地力をつけておき、過去問にあたるのがベストである。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "ちなみに、予備校の小論対策は意見小論文対策であり、本試験には馴染まないので効果的ではない。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "試験", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "試験時間は3時間あり十分である。下書き用紙が用意されているので、大いに利用しよう。パッセージを一つ読んだら下書き用紙にまとめるという作業を繰り返し、全部読みきってた後で流れを考えながら配置を決めよう。賛成意見と反対意見を交互に書くのではなく、賛成意見と反対意見の2段落構成でいこう。そのさい指定文字数をパッセージ数でわっておき、各パッセージをまとめる際の平均字数を決定しておこう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "そうすることで字数オーバーや巷でよく危険ラインといわれる8割切りは防げるであろう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "神戸大の上記学科後期小論文は与えられた文章(A4用紙10枚前後)を読み、そこから要約と自分の意見を述べる3問構成の一般的な形である。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "文章は比較的読みやすいものであるが、最近では、自分の学びたい事柄と関連させて書くことが求められており、そのため志望学科によっては、関連させるのが難しい場合もある。また難化しており、2008年の小論文はJ,S,ミルの自由論が出るなど、大幅に難化した。しかしながら、センターで十分に点数が取れれば、失敗することはまずないであろう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "対策", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "まずは、センター試験レベルの文章を200~300文字程度に要約することから始めよう。次に現代文の用語を覚えよう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "特に自分の興味のある学問については、深く勉強することもよい。加えて、自分の志望学科の教授が何を研究しているのかを調べよう。小論文を書くにあたって大きな力となるだろう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "試験", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "時間は150分ある。下書き用紙が配られるので、大いに活用しよう。書き方としては、主張→その具体的説明→結論という形を意識して書くようにしよう。", "title": "小論文" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "現在、神戸大受験生対象の模試としては、神大入試オープン(河合塾)、神戸大入試実戦模試(駿台予備学校)、神戸大本番レベル模試(東進)が実施されている。", "title": "模試" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "各予備校は、神戸大入試を徹底分析し、前年度の入試をもとに作成した問題を提供しており、また、神戸大志願者が多く受験するため、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となる。よって、神戸大志願者はこれらの模試をできる限り受験しておきたい。 また、この模試とセンター試験対策のマーク模試でドッキング判定(総合判定)される場合が多いので、出来れば、ドッキング対象のマーク模試も同時に受験するべきである。さらに、当大学の入試問題は常に時間との勝負となるために、できれば2つ以上受験して一方は得点狙い、もう一方は時間配分・本番に向けての実験などを試みるようにしたい。", "title": "模試" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "年によっては、神戸大学キャンパス内に受験会場が設置されることがある。本学を志願する受験生にとっては、受験会場の雰囲気に慣れることや受験会場の下見も兼ねることにもなることで、良い機会となる。", "title": "模試" } ]
日本の大学受験ガイド > 神戸大対策 本項は神戸大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。  神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。  特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。  二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。  ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。
{{wikipedia|神戸大学}} *[[日本の大学受験ガイド]] > [[神戸大対策]] 本項は[[w:神戸大学|神戸大学]]の「一般入学試験」対策に関する事項である。  神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。  特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。  二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。  ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。 == 英語 ==  長文読解問題が3問、和文英訳/自由英作文が1問出題される構成が殆どで、これを試験時間80分以内に解答することになる。  神戸大学の英語は、国公立大学の入試では珍しい時間との格闘が問題となるので、時間配分に注意を配りたい。  長文読解に時間をかけるなら、Ⅰに20~25分、Ⅱに20~25分、Ⅲに20~25分、Ⅳに10~20分と分配し、バランスよくするなら各大問に20分±数分かけるとよいだろう。  十分に解答するためには、単語、文法事項・構文の知識をある程度踏まえた上での速読力が必要となる。これにはCD等によりシャドーイング(音声を聞いた後、即座に復唱する)の練習も有効であろう。 ===長文読解問題===  本文から省かれた語句を記号で問うものや、並べ替え、内容一致、内容説明、部分和訳の問題が出題される。文法知識を直接問う問題はほとんど出題されない。  基本的に平易なものが多いが、内容説明に関しては、問われているものが本文のどの箇所に当たるのかを把握し、それを字数に合う形で解答しなければならない。これは形を変えた部分和訳とも言える作業であり、ある程度の厳密さが必要である。総語数はここ数年で多くなってきているので、速読力はさらに必要となっているといってよい。  部分和訳については、文構造はそれほど難しくないものの直訳すると意味が分かり辛くなる短文和訳があるので、文脈を考慮した上でのこなれた和訳をする必要がある。  なお、07年前期では和訳の量が多くなっており、和訳に関しても若干精密さが要求されるような傾向が08年以降も継続する可能性もある。 内容説明は、基本的に文字数制限がある。  内容一致は、5、6個の選択肢から二つ正しいものを選ぶという形式で長らく安定している。先に選択肢中の固有名詞を把握し(選択肢の内容は把握しなくて良い)、その固有名詞が文中に出てきたらマークして照合しやすいようにするとよいだろう。  11年前期は、Ⅰ・Ⅱ番の一般的な論説文2題は10年入試に比べて、Ⅰ番が107(611→504)語減、Ⅱ番が58(618→560)語減と09年に迫る程(因みに09年入試は、Ⅰ番が457語、Ⅱ番が585語)語数が減ったうえ、Ⅰ番が『小型哺乳類と気候変動』という入試問題でよく見られる自然環境系の文章、Ⅱ番が『睡眠と文化の関わり』がテーマの脳科学系の文章とどちらも神戸大の入試問題によく見られる分野の物で、比較的受験生には取り組み易いものだったと言える。  しかし、比較的多くの受験生が苦手とする会話を含む物語文が毎年見られるⅢ番は語数が155(602→777)語増と過去に類を見ない長さ(因みに97年入試以降最大の語数、08年入試の743語が次点)の物となり、内容も「認知症の進行している母親とその母親を心配する娘」を扱ったもので10年入試の「落とし物を届けた母娘」と比べても、多くの受験生には馴染みの薄いものだったことが災いし、更には、話の展開の読み取りも、相当難しく、かなりの受験生が骨を折った様である。  12年入試は、Ⅰ番が「環境に対する適応性」がテーマで、神戸大では比較的よく見られる自然環境系の文章であり、受験生には取り組み易いものだったと思われる。 Ⅱ番は「宗教の起源に対する考察」という人間•文化をテーマとする比較的よく見られる分野の文章での出題ではあるが、ただでさえ、受験生には馴染みの薄い分野であるうえ、その中でも宗教史という、どちらかというとマニアックな分野からの文章に背景知識や類推が利かず困った者は多かった様だ。  なお、Ⅰ番は問1(1) scientific legend と the extent to which節 の和訳、2つある they の区別が付いていることを示す訳し方が出来たかが、 (2)Adaptation allows us to~ の和訳に工夫が、attend とignore の並列関係の理解が鍵に、また問2は本文から実験の様子を想像し得たかがポイントである。問4は本文を理解しているかを問う問題で①は don't notice 等が、②は quickly notice や start to notice 等が入る。  Ⅱ番の問1は Religious types の文中での意見の理解が鍵に、問3は get their just deserts の意見の理解よりも、むしろ選択肢の意見の理解と一つずつ空欄に選択肢を当てはめてみることが正解への近道に、問5は a mental conection や extra thinking time の意訳がポイントである。 Ⅲ番は、例年通り会話を含む物語文であり、難易度は、語数同様昨年に比べ、ある程度は下がったものの、やはり簡単とは言い難く、駿台予備学校や河合塾などの予備校も「やや難」との見解を見せている。  主なポイントは、問1では、(1)が直後の She's just busy をヒントと見抜けたかが、(5)では、fit in の意味を理解しているかが、問4では、I never thought I'd be interested in の形容詞節と、 as far away from my major as節 がいずれも and で並列関係にあり、subject に係っている事が分かったかが、鍵であった。 問2、問3は神戸大の例年の傾向を踏襲した問題と言える。  16年前期はIIIの小説が、登場人物が10人を超えるという異例の事態となり、難化した。 この傾向が続くかどうかは不明だが、この程度の問題が出題される可能性は否定できないので、『英語長文問題精講』のような、やや難しめの問題集に取り組んで慣れる必要もあるかもしれない。  18年前期は、Iの長文問題で、大半の受験生には馴染みのない単語の類推力を問う和訳問題が出題された。広い意味での読解力を問うものだとも言えるだろう。  20年前期はⅢの長文読解が大幅に難化した。内容が「禅画や書の歴史」という難解なものだったうえ、問題も容易ではなかった。 埋め込まれた英作文の問題は、問題文中に出てきた語句の自分の解釈を英語で書くというもので、非常に難しい問題だったと思われる。  21年前期は、Ⅲの長文読解が、学生と教員の議論のみで構成され、地の文が存在しないという新傾向の問題となった。  22年前期では、Ⅰの長文読解で、「正しい選択肢をすべて選べ」という新傾向の問題が出題された。また、Ⅱの長文読解で、一般論を駆使すればかなり解きやすくなる問題が出題された。  なお、Ⅱの問1は作問ミスが発覚しているので、過去問演習を行う際は留意してほしい。 ===和文英訳・自由英作文===  これに関しては、以前は隔年的にどちらかが出題されていたものの08〜10年は、和文英訳のみが、11年以降は自由英作文の出題が続いており、11年入試はグラフの読み取りと自由英作という今までなかったタイプが、12年入試は07年入試以降久しく見られなかった、和文英訳と自由英作の並列という形での出題となった。  過去には、古文を英訳させるという出題もあった。よって、受験生は和文英訳、自由英作の対策、特に自由英作文の対策が必要である。  対策としては、100~200程度の英文を50本程度暗記し、何も見ずに再現する練習、また日本語で作文を書く時のように文章の構成を考えながら書くという訓練を進めていけば、必ず書ける良問を神戸大は毎年出題している。 '''11年入試では、与えられたグラフから読み取れる一般的な傾向の概略とグラフの示している個々の事象を2、3題詳しく2文で書かせ、更に携帯電話を持ち始めるに適当な年齢を理由も含め書かす問題を、どちらも60語程度(つまり、計120語±18語程度)というハードな字数量の指定を付けて出題したが、12年入試は中野孝次『風の良寛』の一節から、25語程度の和文英訳、及び出題部分の筆者の意見に対する受験生の意見を、50語程度で英語で述べさせる問題が出題され、難易度•分量ともにかなり下がったと言える。'''  基本的に、自分の使える表現内で書くことが重要である(記憶があやふやなものを使って書くべきではない)。そのためには、表現方法を豊かにするため問題演習を重ねたり例文集に当たることが必要である。  特にグラフから読み取れる事柄を、英文で説明するタイプの問題は近年、各種試験(英検、TOEFL、TEAP)で頻出であり、神戸大の先生にはこれら各種試験の作成に携わっている先生もおられることから、今後も出題が予想される分野である。  また、英作文の採点には、英米人などのネイティブスピーカーの先生方も加わることが考えられるため、和文英訳というよりも正しく・簡潔に「通じる」英語で書くことが重要である。  入学後の4月にTOEFLやTOEIC(学部により受ける試験が異なる)等のアメリカの試験を受けなければならないことから、高校の英語とアメリカ実務英語をうまく接続するような中間的な形態の出題も予想される。  ところが、2020年の入試では、英作文単独の大問が消滅し、英文読解を踏まえた上での受験生自身の解釈を英語で記述させる問題が出題された。  これは、2019年の京都大学の英語における出題を意識したものと考えられる。英文読解の問題を解く際にも、神戸大学に典型的な問題以外のものを選択する必要があるかもしれない。ただし、それ以降は従来の形式に戻っている。 ===総説=== 各設問の難易度はそこまで高くない。全体的な時間の短さを考えれば、実際には500語程度の長文を的確に解答できるようになる訓練が必要である。  また、記号選択式問題だけでも全体の半分程度あるのでそこは確実にクリアしたい。英作文に関して言えば年度によって難易度にかなりの差があり、標準~やや難程度まで変動する。やや難しめで長めの英作文をこなして本学の英作が「短い」とおもえるように訓練すべきである。 == 数学 == ===文系===  試験時間80分で3問出題される。  標準的な問題が多いが、それでも最も差が開く科目なので、英国に不安がある受験生は満点近く、英国に自信があるが数学に自信のない受験生は本番までに3問中2問は解き切って半分程度得点することを目指そう。数学の配点が高い経済学部であれば、悪くても2問完答以上を目指したい。配点が低い文学部、法学部や国際人間科学部(文科系での受験)志望で、英国に自信があれば1問完答、1問を途中までの解答としても合格に届く可能性はある。  しかし、やはりどの学部であっても2問は完答したい。ここ数年は難化傾向にあること、また2018年より経済学部が二次試験における数学優先の配点を採用するため、数学が神戸大文系合格のための最重要科目になりつつある。  出題分野の傾向としては、微積分・ベクトル・数列が(文系数学一般でいえば確率も)頻出分野である。2015年-2018年においてもこの傾向は続いている。  設問の傾向としては、整数・数列・確率と微積分・ベクトルとの融合問題が頻出であること、また論証がほぼ確実に出題される。 ===理系===  試験時間120分で5問出題される。微積分や確率の問題が出題される可能性が高く、かつ難問である。微積分が出題されなかった年は、ここ20年程度はほぼ存在しない。  各設問とも(1)の問題は完答し、最低でも6割程度の点数は確保したい(もちろん医学部医学科志望の受験生は別である)。  医学部医学科でないならば、大問2つを完答して残り三問で部分点を稼ぐくらいは達成したい。問題の多くがオーソドックスなだけに、計算ミスは致命傷となる。方針が立った瞬間、一気に答案を書き上げる、記述力、判断力、計算力がほしい。できるところは極力早めに解答し、確率など慎重にとき進めたい分野に時間をかけたい。複素数にからめた出題の可能性も否めないので、類題の演習も必要だろう。  簡単に見えて、なめてかかると痛い思いをするのが、神戸大学の出題だと思われる。 ==国語==  100分以内に現代文(評論)、古文、漢文の3問(経営学部は80分以内で現代文と古文のみ)を解かなければならない。現代文の文章の長さ(引用文も長い)も特徴的である。100字以上の記述問題が、現代文と古文それぞれで常に課され、漢文でも50字以上の記述問題が確実に出ることから時間的余裕は無いだろう。  現代文、古文、漢文のいずれにおいても、文脈を追い、文章中に複数以上ある解答の要素を捉え、短時間で的確に言い換えて記述するという作業に対する慣れが必要である。 また本学では、時間配分が学力レベルを越えて影響するため、しっかりとした過去問分析が必要である。特に現代文は予想以上に時間がかかる。 したがって、まず古文と漢文を40~50分で片付け確実に得点を確保し、残りの時間を現代文にかけたい。なお2019年の3月に教学社から『神戸大の国語15カ年』が刊行された。 ===現代文===  現代文に関しては、漢字問題以外は全て論述形式で問われる。例年、他大学を圧倒する5000字前後の長文が出題され、総記述量も400字程度と時間的に厳しい(ただし、2019年度は問題文の字数が1300字程度減った)。  出題傾向としては、そのほとんどが「〜〜とあるが、それはどういうことか。」として説明させられる、いわゆる言い換えの問題が大半である。記述力を身に付ける方法としては、一橋大学の国語の大問3で出題されるような、一定の長さの文章を200字以内に要約する問題を解き、添削してもらうというものが挙げられるが、長期休暇等を利用して継続して行わなければ意味が無いだろう。  そのうえ、本文の長さは、他の学校と比べても例外的なので、本番と同様の演習を行おうと思っても、材料は過去問や神戸大用模試の過去問に限られる。従って、経済学部や経営学部のような国語の配点が高くない学部の志望者は、現代文に相当な時間を割いて対策することで不得意な他の科目の分を補おうと考えるのは得策ではないだろう(ただし、いわゆる「捨てられる」科目ではないのでそれなりの得点が可能な程度は勉強すべきである)。  しかし、法学部、文学部、国際人間科学部(理科系での受験は除く)のように国語の配点が高い学部を志望し、なおかつ記述問題が得意で、国語を得点源にしようと考える人もいるだろう。そのような人は、英語や数学の勉強がおろそかにならない程度に神戸大学のレベルを超えた問題にどんどん挑戦しよう。  というのも、本学の問題のようなスピード重視の出題に慣れすぎると、読書の仕方までもそのようになってしまい、精読が苦手になってしまう恐れがあるからであり、また、京都大学の国語で出題されるような短くかつ含蓄のある文章の読み取りが大学入学後の勉学に資するからである。  なお、本文中に登場する語句が難しいと思ったり、本文の背景知識が足りないと感じるならば、現代文用のキーワード集や用語集で語彙力を身に付けるべきである。 ===古文・漢文===  基本的な文法・語法(句形)問題も出題されているが、現代語訳や30字から100字程度の記述を要する読解問題の比重が高い。文法や重要語の知識を身に付けるのは当然だが、それらを単独で覚えるだけでなく、一定の長さを持った文章の中での文脈において理解することも大切であろう。  すなわち、日常学習のみならずマーク・記述模試を受けた後、知らなくて答えられなかったり読解を間違えたりした箇所は解答・解説を読み込んで徹底的に洗い直し、本文を改めて理解することが重要である。覚えなければならない古文単語や句形・重要な文字の数は英単語に比べればさほど多くないのだから、内容の理解を問う問題に取り組めるよう学習に取り組まなければならない。この古文・漢文をいかに早く解き、現代文に時間を費やせるかが重要である。  特に漢文は、他の2題に比べ確実な得点源となりうるので、(漢文が課されない経営学部の時間から考察して)大学側が考えている20分よりも速く解きたい。 '''解いた問題で分からなかった箇所や、誤った箇所を直ちに補わなければならないのは、古文・漢文のみならず全科目に共通する必須の学習姿勢である。''' ==理科==  多くの学科では、4科目のうちから2科目を選択して120分で解答する。一部の学科では1科目選択である。理学部物理学科や工学部などでは、絶対に選択しなければならない科目があるので注意しよう。 ===物理===  3問出題される。1問は力学から、1問は電磁気からほぼ必ず出題され、もう1問は波動・熱力学のどちらかからの出題が多いが、原子からの出題も稀にある。 時間は2科目120分(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。  神戸大物理では、難しい問題はあまり出題されないが、答えに至るまでの導出過程を記述せねばならぬ問が多い。  導出過程を記述する際に、必要な物理量を表す記号を明示する必要があることもある。教科書や参考書等を使って公式の導出過程をしっかりと身につけておくことは勿論、一般的な入試対策問題集で問題を解く際も導出過程を記述して解答していくことが神戸大物理攻略への一歩である。  描図問題や、論述問題の出題もしばしば見られる。空所補充形式での出題は少ない。化学と同様に、過去問15年程度は目を通すことが望ましい。余裕があるならば、物質と原子の分野にも目を通した方が、より安全だと思われる。  いずれにせよ、簡潔に問われている分、なかなか書き方が難しく、表現力の乏しい生徒には厳しい。'''傾斜的に物理が得意な生徒と、そうでない生徒とでは差はつくだろう。'''難易度や導出過程の記述で多少の失点が発生する恐れがあることを鑑みると、合格するためには解けなくてよい問(捨て問)はあまりないので、ある程度応用問題も解けるようにしておく必要がある。 ===化学===  4問出題される。大まかな傾向としては、1問は理論分野から、1問は無機分野から、1問は化学Iの有機分野から、もう1問は化学IIの有機分野からの出題。時間は2科目120分である(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。標準的な難易度の問題が多い。  1問およそ15分ほどしかかけることが出来ないため、素早い問題処理能力が求められる。また、有機分野の配点が高いため、こちらを重点的に勉強すると良い。有機分野を捨てることは自傷行為である。(しかし、得点率が悪いのは有機分野である)  また、神戸大化学の特徴として、過去に神戸大で出した入試問題とほぼ同じテーマを出すことが多い。(例:99年大問3と03年大問3、00年大問3と07年大問3)。そのため、過去の入試問題を10~15年ほど丁寧に、分野別に研究することが合格への近道である。 数研出版の重要問題集での演習をおすすめする。    さらに、生命と物質の分野も必須事項であり、アミノ酸、セルロースなどの出題頻度が高いので、対策が必要と思われる。これは、この分野が、今後の医学分野での活用が非常に高いことを見越した、神戸大学の意図だと思われる。なお、核酸は新課程になって以降、一度も出題されていない。 ===生物===  化学と同じく、4問出題される。出題範囲は幅広く、生態系から細胞小器官まで幅広く出題されるので、ヤマを張るのはやめるべきである。時間は2科目で120分なので、生物には約60分を割り当てる計算になる(一部の学科では1科目60分)。  この試験時間は、他の大学と比べても短めであり、神戸大学の他の科目と同様、時間との勝負を強要される。  問題の内容は概ね定まっており、まず空所補充、次に用語の記述、その次に40〜120字程度の論述が二問程度といった内容が多い。  論述は、頻出論述が少なくとも半分程度を占めるため、典型的な問題については、予備校の講習を受けたり、記述力を鍛える問題集に取り組んだりして確実に答えられるようにしておきたい。  また、空所補充については、全問正解するだけで20〜25%を獲得できる(空欄ひとつにつき1点と仮定した場合)ので、最大でも二問間違い程度で済ませるべきである。 難易度は、一部の問題を除けばやや易〜標準だが、遺伝計算は標準〜やや難のものが多い。よって、基礎を固めるのが何より効果的である。大半の問題は難問ではないので、できる問題を確実に解けるようにするのが重要。医学部医学科ならば7割以上、それ以外の理系学部志望ならば6割以上を得点したい。 ==小論文== ===法学部後期===  神戸大の後期法学部小論文は、他学部ならび他大学のどの小論文とも似つかない。それゆえ対策には労苦するだろう。  テーマ(例えば尊厳死についてなど)にそって6つ程度のパッセージを与えられ、それを賛成意見と、反対意見に振り分けてまとめるというのが神戸大法学部の小論文の伝統である。気をつけなければいけないのは、自分の意見を入れてはならないことだ。  出題されたテーマに明るい場合、往々にして知識をひけらかそうとしたくなるものだがそこは我慢。その知識は自分の小論文を推敲する際に役立てよう。時事問題に対する知識と各意見を分類する能力と文章の抽象部を指摘しまとめる力が試されているといえよう。 '''対策'''  赤本などには、『アエラ 法律学がよくわかる本』を参考にする旨が推奨されているが、書店に置いていない場合が多くまた分量も多いため実用的ではない。    もっともよい対策の一つは、新聞の社説であろう。社説の譲歩部分と主張部分を書き出す作業を繰り返せば、時事知識、賛成意見と反対意見の識別能力、まとめる力の3点が合理的に身につくであろう。前期試験終了までにある程度地力をつけておき、過去問にあたるのがベストである。 ちなみに、予備校の小論対策は意見小論文対策であり、本試験には馴染まないので効果的ではない。 '''試験'''  試験時間は3時間あり十分である。下書き用紙が用意されているので、大いに利用しよう。パッセージを一つ読んだら下書き用紙にまとめるという作業を繰り返し、全部読みきってた後で流れを考えながら配置を決めよう。賛成意見と反対意見を交互に書くのではなく、賛成意見と反対意見の2段落構成でいこう。そのさい指定文字数をパッセージ数でわっておき、各パッセージをまとめる際の平均字数を決定しておこう。  そうすることで字数オーバーや巷でよく危険ラインといわれる8割切りは防げるであろう。 ===国際人間科学部発達コミュニティ学科,環境共生学科(文科系受験)及び子ども教育学科後期===  神戸大の上記学科後期小論文は与えられた文章(A4用紙10枚前後)を読み、そこから要約と自分の意見を述べる3問構成の一般的な形である。  文章は比較的読みやすいものであるが、最近では、自分の学びたい事柄と関連させて書くことが求められており、そのため志望学科によっては、関連させるのが難しい場合もある。また難化しており、2008年の小論文はJ,S,ミルの自由論が出るなど、大幅に難化した。しかしながら、センターで十分に点数が取れれば、失敗することはまずないであろう。 '''対策'''  まずは、センター試験レベルの文章を200~300文字程度に要約することから始めよう。次に現代文の用語を覚えよう。  特に自分の興味のある学問については、深く勉強することもよい。加えて、自分の志望学科の教授が何を研究しているのかを調べよう。小論文を書くにあたって大きな力となるだろう。 '''試験'''  時間は150分ある。下書き用紙が配られるので、大いに活用しよう。書き方としては、主張→その具体的説明→結論という形を意識して書くようにしよう。 == 模試 ==  現在、神戸大受験生対象の模試としては、神大入試オープン(河合塾)、神戸大入試実戦模試<ref>答案は2021年実施分よりWeb返却(駿台のマイページにPDF形式で掲載。掲載期間は、Web公開開始日から3ヶ月間。)のみとされる(試験会場で使用した答案用紙そのものは、返却されない)。</ref>(駿台予備学校)、神戸大本番レベル模試(東進)が実施されている。  各予備校は、神戸大入試を徹底分析し、前年度の入試をもとに作成した問題を提供しており、また、神戸大志願者が多く受験するため、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となる。よって、神戸大志願者はこれらの模試をできる限り受験しておきたい。    また、この模試とセンター試験対策のマーク模試でドッキング判定(総合判定)される場合が多いので、出来れば、ドッキング対象のマーク模試も同時に受験するべきである。さらに、当大学の入試問題は常に時間との勝負となるために、できれば2つ以上受験して一方は得点狙い、もう一方は時間配分・本番に向けての実験などを試みるようにしたい。  年によっては、神戸大学キャンパス内に受験会場が設置されることがある。本学を志願する受験生にとっては、受験会場の雰囲気に慣れることや受験会場の下見も兼ねることにもなることで、良い機会となる。 =脚注= <references/> == 関連リンク == *[http://www.kobe-u.ac.jp/ 神戸大学]:公式サイト [[Category:大学入試|こうへたいたいさく]]
2006-12-10T13:26:08Z
2023-10-23T01:32:30Z
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民法第416条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (損害賠償の範囲) 2017年改正により以下のとおり改正。 「予見すべきであった」とき、特別損害とされる場合もあるもの。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[損害賠償]]の範囲) ;第416条 # 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。 # 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。 ===改正経緯=== 2017年改正により以下のとおり改正。 :(改正前)その事情を予見し、又は予見することができたときは :(改正後)その事情を予見すべきであったときは ==解説== *[[債務不履行]]によって賠償されるべき損害の範囲について規定している。一般に、第1項に規定する損害を'''通常損害'''、第2項に規定する損害を'''特別損害'''という。 *416条1項は、[[相当因果関係]]の原則を示したものであり、同条2項は、相当因果関係を判断する際に基礎とすべき特別事情の範囲を示したものである(「刑法の折衷説」参照)。2017年改正で、予見又は予見可能性の事実ではなく、予見に関する法的評価が基準であることが明確化された。 *なお、[[不法行為]]の[[損害]]の範囲の確定についても[[類推適用]]されるとするのが判例および通説である。ただし、強い批判がある([[民法第709条#特別事情|第709条の判例参照]])。 ===通常損害とされる例=== #売買契約の価格と履行期における市価との差額([[#市価との差額|最判昭和36年4月28日]]) #:(例) #::甲は乙から有名画家の絵画を1000万円で買い3ヶ月後に代金と引き換えに引渡を受ける契約をした。ところが引き渡す前に画家が死亡し、この絵画の市場価格が1500万円と評価され、乙は甲との事情を知らない丙に1800万円で売却し引き渡した。この時、甲は乙に対して市価との差額500万円を損害として請求できる。 ===通常損害と認められず特別損害=== 「予見すべきであった」とき、特別損害とされる場合もあるもの。 #精神的損害([[#精神的損害|最判昭和55年12月18日]]) ==参照条文== ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56017&hanreiKbn=02  損害賠償等請求] (最高裁判決 昭和28年12月18日)[[民法第415条]],[[民法第541条]],[[民法第545条]],民訴法第2編第3章第3節鑑定,民訴法394条 #;民法第416条第1項にいわゆる通常生ずべき損害と認むべき一事例 ――インフレーションによる物価騰貴に基く損害に関する―― #:甲が乙から昭和21年10月中物品を代金2万5千円で買い受け、乙が目的物を引き渡さないため同22年9月右売買契約を解除したところ、右契約締結の当時インフレーションのため物価騰貴の状勢にあり、解除当時においては目的物の価格が8万円を下らなかつたときは、右価格と売買代金との差額5万5千円は、乙の債務不履行により甲に通常生ずべき損害と認むべきである。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57522 建物収去土地明渡請求] (最高裁判決 昭和32年1月22日) ##'''土地賃貸人が土地を引き渡さないため右地上に建物を建て新たに営業を始める賃借人の計画が実行できなかつた場合と営業利益の喪失による損害の有無''' ##:土地賃借人がその地上に建物を建て同所で新たに営業を営むことを計画していたにかかわらず、賃貸人が土地を引き渡さないため右計画を実行することができなかつたときは、賃借人には、<u>その営むことによりうべかりし利益の喪失による損害が生じたものと推定すべき</u>であつて、賃借人が未だ現実に営業を開始せず、またたとえ営業を開始しても必ず利益があつたとは限らないからといつて、右損害が生じなかつたものと認めるべきではない。 ##'''土地賃貸人の土地引渡義務の不履行と賃借人の右地上に建物を建て営業を営むことによりうべかりし利益の喪失による損害との間の因果関係''' ##:土地賃貸人が土地を引き渡さないため、賃借人がその地上に建物を建て同所で営業を営むことによりうべかりし利益を喪失したときは、右損害は、賃貸人の債務不履行による特別事情による損害となりえないものではない。 ##'''営業利益の喪失による損害の賠償請求訴訟と損害額算定の基礎たる事実の主張の程度''' ##:営業利益の喪失にいよる損害の賠償請求訴訟において、原告が、その営業とは、本件土地に店舗を建設して、そこで「北海道産の海産物を同地の生産者から直接に仕入れ、内地産の海産物はD魚市場で仕入れ、従業員は壮年の男一人女二人および老年の女一人の家族四人がこれにあたり、小僧等は必要があれば雇い入れる」という程度の規模による海産物商を営むにあつた旨を主張したときは、その主張の事実を基礎として通常の場合に予想される営業利益を算定することは不可能ではないから、損害額算定の基礎たる事実についての具体的主張を欠くものとはいえない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53583 損害賠償請求] (最高裁判決 昭和36年4月28日) #;売買契約の価格と履行期における市価との差額は通常生ずべき損害といえるか。 #:売買の目的物の価格が謄貴した場合に、契約価格と履行期における市価との差額は、<u>債務不履行により通常生ずべき損害</u>と解すべきである。 #<span id="市価との差額"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53751&hanreiKbn=02 抵当権設定登記抹消等請求] (最高裁判決 昭和37年11月16日) #;債務の履行不能後目的物の価格が値上りした場合に請求しうる損害賠償額。 #:債務の目的物の価格が履行不能後値上りをつづけて来た場合において、履行不能となつた際債務者がその事情を知りまたは知りえたときは、債務者が口頭弁論終結時の価格まで値上りする以前に目的物を他に処分したであろうと予想された場合でないかぎり、右終結時において処分するであろうと予想された場合でなくても、債権者は、右終結時の価格による損害の賠償を請求しうる。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53701 占有回収請求](最高裁判決 昭和38年1月25日)地代家賃統制令3条、12条の2 #;統制違反の権利金および家賃の支出が債務不履行に基づく損害とされた事例。 #:賃貸人の債務不履行となる家屋明渡の強制執行により住居を失つた賃借人が、これを他に入手するため、地代家賃統制令に違反する権利金および家賃を支出した場合、その支出が当時の社会情勢からすれば一家の住居を入手するため真にやむをえないものと認められるときは、右支出は賃貸人の債務不履行に基づく損害というべきである。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51957 土地建物所有権移転登記等請求、建物明渡等請求、土地建物所有権移転登記等ならびに建物明渡請求に対する反訴請求各事件、同附帯上告事件] (最高裁判決 昭和47年4月20日) #;買主が自己の使用に供するために買い受けた不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けている場合と右義務の履行不能による損害賠償額の算定の基準時 #:売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知つていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が右不動産を転売して利益を得るためではなくこれを<u>自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも</u>、買主は、売主に対し、右不動産の<u>騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる</u>。 #<span id="精神的損害"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53262 鹿島建設損害賠償請求] (最高裁判決 昭和55年12月18日) #;安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族と固有の慰藉料請求権の有無 #:安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52587 損害賠償] (最高裁判決 平成11年2月25日) ##'''医師の不作為と患者の死亡との間の因果関係の存否の判断と患者が適切な診療行為を受けていたとした場合の生存可能期間の認定''' ##:医師が注意義務に従って行うべき診療行為を行わなかった不作為と患者の死亡との間の因果関係は、医師が右診療行為を行っていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していたであろうことを是認し得る高度のがい然性が証明されれば肯定され、患者が右診療行為を受けていたならば生存し得たであろう期間を認定するのが困難であることをもって、直ちには否定されない。 ##'''医師が肝硬変の患者につき肝細胞がんを早期に発見するための検査を実施しなかった注意義務違反と患者の右がんによる死亡との間の因果関係を否定した原審の判断に違法があるとされた事例''' ##:肝硬変の患者が後に発生した肝細胞がんにより死亡した場合において、医師が、右患者につき当時の医療水準に応じた注意義務に従って肝細胞がんを早期に発見すべく適切な検査を行っていたならば、遅くとも死亡の約六箇月前の時点で外科的切除術の実施も可能な程度の大きさの肝細胞がんを発見し得たと見られ、右治療法が実施されていたならば長期にわたる延命につながる可能性が高く、他の治療法が実施されていたとしてもやはり延命は可能であったと見られるとしながら、仮に適切な診療行為が行われていたとしてもどの程度の延命が期待できたかは確認できないとして、医師の検査に関する注意義務違反と患者の死亡との間の因果関係を否定した原審の判断には、違法がある。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37200 損害賠償請求本訴,建物明渡等請求反訴事件] (最高裁判決 平成21年1月19日) #; 店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例 - 【通常損害の範囲】 #:ビルの店舗部分を賃借してカラオケ店を営業していた賃借人が,同店舗部分に発生した浸水事故に係る賃貸人の修繕義務の不履行により,同店舗部分で営業することができず,営業利益相当の損害を被った場合において,次の1〜3などの判示の事情の下では,遅くとも賃貸人に対し損害賠償を求める本件訴えが提起された時点においては,賃借人がカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を執ることなく発生する損害のすべてについての賠償を賃貸人に請求することは条理上認められず,賃借人が上記措置を執ることができたと解される時期以降における損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできない。 #:#賃貸人が上記修繕義務を履行したとしても,上記ビルは,上記浸水事故時において建築から約30年が経過し,老朽化して大規模な改修を必要としており,賃借人が賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。 #:#賃貸人は,上記浸水事故の直後に上記ビルの老朽化を理由に賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしており,同事故から約1年7か月が経過して本件訴えが提起された時点では,上記店舗部分における営業の再開は,実現可能性の乏しいものとなっていた。 #:#賃借人が上記店舗部分で行っていたカラオケ店の営業は,それ以外の場所では行うことができないものとは考えられないし,上記浸水事故によるカラオケセット等の損傷に対しては保険金が支払われていた。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81272 損害賠償請求事件] (最高裁判決 平成23年4月26日)[[民法第709条]] #;精神神経科の医師の患者に対する言動と上記患者が上記言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例 #:精神神経科の医師が,過去に知人から首を絞められるなどの被害を受けたことのある患者に対し,人格に問題があり,病名は「人格障害」であると発言するなどした後,上記患者が,精神科の他の医師に対し,頭痛,集中力低下等の症状を訴え,上記の言動を再外傷体験としてPTSD(外傷後ストレス障害)を発症した旨の診断を受けたとしても,次の1.,2.など判示の事情の下においては,上記の言動と上記症状との間に相当因果関係があるということはできない。 #:#上記の言動は,それ自体がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるものではないし,上記患者がPTSD発症のそもそもの原因となった外傷体験であるとする上記被害と類似し,又はこれを想起させるものでもない。 #:#PTSDの発症原因となり得る外傷体験のある者は,これとは類似せず,また,これを想起させるものともいえない他の重大でないストレス要因によってもPTSDを発症することがある旨の医学的知見が認められているわけではない。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1-2|第2節 債権の効力]] |[[民法第415条]]<br>(債務不履行による損害賠償) |[[民法第417条]]<br>(損害賠償の方法) }} {{stub|law}} [[category:民法|416]] [[category:民法 2017年改正|416]]
2006-12-13T09:01:41Z
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内科学/循環器
循環器領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では心臓を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な物理学、数学の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、外科学/循環器も併せて学習することが重要です。 心臓は全身に血液を拍出するポンプの働きをしている。ヒトの心臓は二対の心房・心室、つまり右心房、左心房、右心室、左心室から成る。心臓のサイズは握りこぶしほどの大きさであり、位置は胸骨と第2~第6肋骨の背面である。 よく心臓は左胸にあるといわれるが、実際には上の図のように左右の肺の中間、つまり胸のほぼ中央にある。図にあるように心臓は形状が中央よりやや左に寄っている(、心尖は左前下方を向いている)。このため、左胸のほうが右胸よりも心臓の鼓動を感じやすいことからこのような誤解が生じたものと考えられる。 心臓は血液の逆流を防止するために4つの弁を持っている。弁は右心房と右心室、右心室と肺動脈、左心房と左心室、左心室と大動脈の間に存在し、それぞれ、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁と呼ばれる。このうち、僧帽弁のみが2つの弁尖よりなっており、それ以外は3つの弁尖からなっている。 心筋には、筋肉の収縮・拡張により血液を送る固有心筋と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている特殊心筋がある。固有心筋は心房では長さ100μm、直径5μmの紡錐形をしており、心室では長さ100μm、直径10μmの枝分かれした円柱状をしているが、特殊心筋はこれら周辺の固有心筋とは明らかに異なった形態をしており、組織学的には区別できる。 電気刺激は右心房にある洞房結節(sinoatrial node: SA node、別名キース・フラック結節)から発生し、心房を介し右心房の下方にある房室結節(atrioventricular node: AV node、別名田原結節)へと伝わる。この刺激により心房の収縮が行われる。更に電気信号は房室結節からHis束、右脚、左脚プルキンエ (Purkinje) 線維|へと伝導し、心室へと電気刺激が伝わっていく。 ここで、心房と心室とでは、電気刺激を受ける時間差があるために、心房の収縮に遅れて心室の収縮が起こる。これにより心房から心室へと血液をうまく送ることが出来る。 洞房結節、房室結節、His束、右脚、左脚プルキンエ線維を合わせて刺激伝導系と呼ぶ。 動脈系とは、心臓から押し出される血液を全身に分配するための血管システムのことである。心臓が血液を駆出する際の高い圧力に耐えるため、動脈系の血管は、外膜・中膜・内膜の3層からなる丈夫な構造を持つ。また、柔軟性に富むことで、心臓の収縮時と拡張時の血圧の差を吸収できるようになっている。 動脈は各組織へ血液を配分するために分岐していくが、分岐した枝同士が合流していることもある。これを吻合と言い、一方の血流が不十分でも組織が虚血に陥ることを避けられる。逆に、吻合のない動脈の支配領域はそれだけ虚血のリスクが高いと言える。 一般的に、大動脈を通じて全身へ送り出される血液は酸素に富んだ動脈血である。ただし、唯一、肺動脈系を流れている血液のみは、心臓から肺に向かって送り出される脱酸素化された血液、つまり静脈血を運んでいることは注意を要する。 静脈系とは、毛細血管から発生した静脈血を心臓に送るために使われる血管システムのことである。毛細血管の吻合により細静脈に至り、最終的に上下の大静脈となる。 全身の静脈は、肺静脈系と大静脈系に二分される。大静脈系は腸などからの血流を肝臓に運ぶ門脈系を含む。静脈は皮膚からの位置によっていくつかに分類されている。すなわち、筋膜よりも皮膚よりを走行する皮静脈、筋膜下を走る深静脈、両静脈をつなぐ貫通静脈である。深静脈は動脈と一対をなし、解剖学では後脛骨静脈と後脛骨動脈や、最上肋間静脈と最上肋間動脈のように同名が与えられている。一方、w:肺静脈系は、肺で酸素化を受けて心臓に戻ってくる血液を通すため、静脈系としては例外的に動脈血が流れる。 個々の静脈はパイプ状をなし、3層の膜、4種類の組織からなる。内部から血液が流れる内腔、内膜(内皮細胞(静脈弁を含む)、基底膜)、中膜(平滑筋)、外膜である。最も厚い膜は外膜である。動脈は同じく3層の膜組織からなるが、より複雑な構造をとる。すなわち、内腔、内膜(内皮細胞、基底膜、内弾性板)、中膜(平滑筋、外弾性版)、外膜である。静脈は動脈と比較すると、弾性繊維組織を欠くことが特徴だ。なお、毛細血管は内皮細胞と基底膜のみからなる。静脈にかかる血圧は動脈と比較すると低いため、動脈に比べると壁は薄い。特に中膜と内膜が薄い。弾性繊維組織を欠くだけでなく、平滑筋や外膜も薄い。 静脈の多くには逆流防止などのために静脈弁(venous valve)がついている。重力の影響を受ける四肢の静脈では静脈弁は発達するが、内臓の静脈などではこれを欠く。静脈弁閉鎖機能不全に至ると、血液の逆流により、壁の弾力性が失われしだいに断面積が拡大して行く。これを拡張性蛇行静脈と呼ぶ。 心筋は、骨格筋と同じ横紋筋であるが、骨格筋は随意筋で多核の細胞でできているのに対して、心筋は単核(稀に2核)の細胞でできており、不随意筋である。また、ミトコンドリアが非常に多く存在しており、心筋が要求するエネルギーの大部分をまかなっているほか、心筋においては、筋線維の枝分かれ・融合が見られる。心筋細胞は介在板により結ばれ、心筋線維を形成する。 心房には血圧と血流の制御に関連する心房性ナトリウム利尿ペプチドと呼ばれるペプチドホルモンを合成、分泌する心筋細胞が存在する。心筋線維は静止時には細胞外に対して-50~-90mVの膜電位を有する。骨格筋の絶対不応期は1~3msecなのに対して、心筋の絶対不応期は200msecと長い。 心筋の収縮機構を特徴づけるのが、Ca電流が直接的に興奮収縮連関に関与する点である。固有心筋においては、細胞膜上にL型Caチャネル(DHP受容体)が分布しており、心筋の活動電位に特徴的である緩徐な脱分極:プラトー相の形成に決定的な役割を果たしている。 心筋の活動電位の形成は下記のようなプロセスを経て進行する: また、心筋の興奮・収縮機構においてもうひとつ特徴的なのが、Ca誘発性Ca放出(CICR)である。これは、上記の機構によってL型Caチャネルより流入したCaが、筋小胞体のCa放出チャネルに結合し、筋小胞体からのCa放出を引き起こすものである。 心臓は収縮と弛緩を周期的に繰り返しており、これを心周期と称する。心室が収縮している時期を(心室)収縮期、拡張して弛緩している時期を(心室)拡張期という。 1. 等容性収縮期 2. 駆出期 3. 等容性弛緩期 4. 充満期 循環器系の調節機構は、大きく分けて外因性と内因性がある。外因性調節としては、自律神経による神経性調節と、ホルモンなどによる液性調節があり、内因性調節としては、局所組織の代謝需要、自己調節、傍分泌による局所性調節がある。 神経性調節と液性調節の機構において、センサーとして使用されるのは下記のものである。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 心不全(しんふぜん、heart failure)は、心臓の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わない。 心不全の症状は、主にうっ血によるものである(うっ血性心不全)。左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。 また、治療内容の決定に当たっては、急性と慢性の区別も重要である。前者に当てはまるのは例えば心筋梗塞に伴う心不全であり、後者に当てはまるのは例えば心筋症や弁膜症に伴う心不全である(念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない...急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。 症状を来たす原因が、主に左心室の機能不全によるものなのか、右心室の機能不全によるものなのかによって、心不全を大きく2つに分類する方法である。厳密に区別することができない場合も多いが、病態把握や治療方針決定に有用であるため、頻繁に使用される概念であるので後述する。 左心不全(さしんふぜん、left heart failure)は、左心系の機能不全にともなう一連の病態のことである。左心系は体循環を担当することから諸臓器の血流低下が発生するほか、心拍出量低下による血圧低下、左房圧上昇による肺うっ血が生じる。肺うっ血は、肺が左心系の上流に位置することから出現するものである。 胸部X線画像においては、 が見られる。 左心不全は、さらに肺血流の停滞を経由し、右心系へも負荷を与えるため、左心不全を放置したとき、右心不全を合併するリスクが高くなる。特に心不全における呼吸困難は、横になっているよりも座っているときの方が楽である、という特徴を持つ(これを起座呼吸(きざこきゅう、orthopnea)という)。 右心不全(うしんふぜん、right heart failure)は、右心系の機能不全にともなう一連の病態のことであり、静脈系のうっ血が主体となる。この場合、液体が過剰に貯留するのは体全体、特に下肢であり、心不全徴候としての下腿浮腫は有名である。その他、腹水、肝腫大、静脈怒張など、循環の不良を反映した症状をきたす。 右心不全の多くは、左心不全に続発して生じるかたちとなる。左心不全で肺うっ血が進行し、肺高血圧をきたすまでに至ると、右室に圧負荷がかかり、右心不全を起こす。 右心不全のみを起こすのは、肺性心、肺梗塞など、ごく限られた疾患のみである。 急性・慢性心不全の区別は、主として、治療内容の決定に使用される。 急性心不全においては、心機能の低下が代償可能な範囲を上回り、急激な低下を示すことから、血行動態の異常は高度となる。なお、左心不全が多い。 症状としては、呼吸困難、ショック症状といった急性症状が出現する。 治療方針としては、血行動態の正常化を図る(心臓負荷を軽減し、心拍出量を増加させる)ことが優先され、迅速な処置が求められる。 長期にわたって進行性に悪化するため、代償された状態が長期間持続したのちに破綻する。これによって、収縮能および拡張能は低下し、また、代償機構の破綻によって、増大した体液が貯留することとなる。 この結果、倦怠感と呼吸困難の持続が出現し、運動耐容能が低下する。 治療は、QOLの向上と生命予後の改善を目的として、自覚症状の軽減を主眼とするものとなる。 前述のような臨床症状から疑われ、心エコー検査によって診断される。エコーによって、心不全の原因疾患の検索がなされ、心臓の動きは十分か、拍出量がどの程度かなどを定量的に把握することができる。胸部X線写真や心電図、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)などの血液生化学検査が参考になることもあるが、通常はエコーが最も多くの情報をもたらす。観血的には肺動脈カテーテルを挿入し心拍出量や肺動脈楔入圧(PCWP)、中心静脈圧(CVP)の測定を行う。 NYHA分類(ニハ分類、またはナイハ分類と発音される)は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association: NYHA)が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものであるが、簡便でありよく使用される。 治療においては、フォレスター分類(Forrester分類)が参考になる。これは、心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/mを境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものである。 原則として、静脈うっ滞を改善するには利尿薬が、心臓の拍出量改善のためには強心薬が使われる。その他血管拡張薬を併用することもある。遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。 心不全の予後を改善する目的として、交感神経β受容体遮断薬やアンギオテンシン変換酵素、また利尿薬の一つであるスピロノラクトンによる治療が推奨されている。 原疾患によって異なる。一般的には、心不全に対して適切な治療が為されていれば、長期生存も可能である。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "循環器領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では心臓を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な物理学、数学の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、外科学/循環器も併せて学習することが重要です。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "心臓は全身に血液を拍出するポンプの働きをしている。ヒトの心臓は二対の心房・心室、つまり右心房、左心房、右心室、左心室から成る。心臓のサイズは握りこぶしほどの大きさであり、位置は胸骨と第2~第6肋骨の背面である。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "よく心臓は左胸にあるといわれるが、実際には上の図のように左右の肺の中間、つまり胸のほぼ中央にある。図にあるように心臓は形状が中央よりやや左に寄っている(、心尖は左前下方を向いている)。このため、左胸のほうが右胸よりも心臓の鼓動を感じやすいことからこのような誤解が生じたものと考えられる。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "心臓は血液の逆流を防止するために4つの弁を持っている。弁は右心房と右心室、右心室と肺動脈、左心房と左心室、左心室と大動脈の間に存在し、それぞれ、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁と呼ばれる。このうち、僧帽弁のみが2つの弁尖よりなっており、それ以外は3つの弁尖からなっている。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "心筋には、筋肉の収縮・拡張により血液を送る固有心筋と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている特殊心筋がある。固有心筋は心房では長さ100μm、直径5μmの紡錐形をしており、心室では長さ100μm、直径10μmの枝分かれした円柱状をしているが、特殊心筋はこれら周辺の固有心筋とは明らかに異なった形態をしており、組織学的には区別できる。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "電気刺激は右心房にある洞房結節(sinoatrial node: SA node、別名キース・フラック結節)から発生し、心房を介し右心房の下方にある房室結節(atrioventricular node: AV node、別名田原結節)へと伝わる。この刺激により心房の収縮が行われる。更に電気信号は房室結節からHis束、右脚、左脚プルキンエ (Purkinje) 線維|へと伝導し、心室へと電気刺激が伝わっていく。 ここで、心房と心室とでは、電気刺激を受ける時間差があるために、心房の収縮に遅れて心室の収縮が起こる。これにより心房から心室へと血液をうまく送ることが出来る。 洞房結節、房室結節、His束、右脚、左脚プルキンエ線維を合わせて刺激伝導系と呼ぶ。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "動脈系とは、心臓から押し出される血液を全身に分配するための血管システムのことである。心臓が血液を駆出する際の高い圧力に耐えるため、動脈系の血管は、外膜・中膜・内膜の3層からなる丈夫な構造を持つ。また、柔軟性に富むことで、心臓の収縮時と拡張時の血圧の差を吸収できるようになっている。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "動脈は各組織へ血液を配分するために分岐していくが、分岐した枝同士が合流していることもある。これを吻合と言い、一方の血流が不十分でも組織が虚血に陥ることを避けられる。逆に、吻合のない動脈の支配領域はそれだけ虚血のリスクが高いと言える。", "title": "循環器総論" }, { "paragraph_id": 9, 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循環器領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では心臓を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な物理学、数学の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、外科学/循環器も併せて学習することが重要です。
[[:w:循環器|循環器]]領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では[[:w:心臓|心臓]]を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な[[物理学]]、[[数学]]の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、[[外科学/循環器]]も併せて学習することが重要です。 == 循環器総論 == === 心臓の解剖 === [[File:Diagram of the human heart (cropped) ja.svg|250px|thumb|ヒトの心臓の構造<br />血液の流れは白い矢印で示されている]] 心臓は全身に血液を拍出するポンプの働きをしている。[[w:ヒト|ヒト]]の心臓は二対の心房・心室、つまり[[w:右心房|右心房]]、[[w:左心房|左心房]]、[[w:右心室|右心室]]、[[w:左心室|左心室]]から成る。心臓のサイズは握りこぶしほどの大きさであり、位置は胸骨と第2~第6肋骨の背面である。 よく心臓は左胸にあるといわれるが、実際には上の図のように左右の肺の中間、つまり'''胸のほぼ中央'''にある。図にあるように心臓は形状が中央よりやや左に寄っている(、心尖は左前下方を向いている)。このため、左胸のほうが右胸よりも心臓の鼓動を感じやすいことからこのような誤解が生じたものと考えられる。 {{-}} === 心臓の弁 === [[File:Gray495.png|250px|thumb|心房を取り除き、心臓内の4つの弁を上方から見た図]] 心臓は血液の逆流を防止するために4つの弁を持っている。弁は右心房と右心室、右心室と肺動脈、左心房と左心室、左心室と[[w:大動脈|大動脈]]の間に存在し、それぞれ、'''[[w:三尖弁|三尖弁]]'''、'''[[w:肺動脈弁|肺動脈弁]]'''、'''[[w:僧帽弁|僧帽弁]]'''、'''[[w:大動脈弁|大動脈弁]]'''と呼ばれる。このうち、僧帽弁のみが2つの弁尖よりなっており、それ以外は3つの弁尖からなっている。 {{-}} === 刺激伝導系 === [[File:Bundleofhis.png|thumb|250px|刺激伝導系。青い部分が洞房結節である]] [[File:ECG Principle fast.gif|thumb|250px|left|刺激伝導系の興奮伝導と心電図]] 心筋には、筋肉の収縮・拡張により血液を送る'''固有心筋'''と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている'''特殊心筋'''がある。固有心筋は心房では長さ100μm、直径5μmの紡錐形をしており、心室では長さ100μm、直径10μmの枝分かれした円柱状をしているが、特殊心筋はこれら周辺の固有心筋とは明らかに異なった形態をしており、[[w:組織学|組織学]]的には区別できる。 電気刺激は右心房にある[[w:洞房結節|洞房結節]](sinoatrial node: SA node、別名キース・フラック結節)から発生し、心房を介し右心房の下方にある'''[[w:房室結節|房室結節]]'''(atrioventricular node: AV node、別名''田原結節'')へと伝わる。この刺激により心房の収縮が行われる。更に電気信号は房室結節から[[w:His束|His束]]、右脚、左脚[[w:プルキンエ線維|プルキンエ (Purkinje) 線維|]]へと伝導し、心室へと電気刺激が伝わっていく。 ここで、心房と心室とでは、電気刺激を受ける時間差があるために、心房の収縮に遅れて心室の収縮が起こる。これにより心房から心室へと血液をうまく送ることが出来る。 洞房結節、房室結節、His束、右脚、左脚プルキンエ線維を合わせて'''[[w:刺激伝導系|刺激伝導系]]'''と呼ぶ。 {{-}} === 動脈系と静脈系 === [[File:Gray577.png|thumb|250px|心臓を取り除いた状態での動静脈系]] [[File:Gray506 ja.svg|thumb|250px|左心室を出て分岐する大動脈]] ==== 動脈系 ==== '''動脈系'''とは、[[w:心臓|心臓]]から押し出される[[w:血液|血液]]を全身に分配するための[[w:血管|血管]]システムのことである。心臓が血液を駆出する際の高い[[w:圧力|圧力]]に耐えるため、動脈系の血管は、外膜・中膜・内膜の3層からなる丈夫な構造を持つ。また、柔軟性に富むことで、心臓の収縮時と拡張時の[[w:血圧|血圧]]の差を吸収できるようになっている。 動脈は各組織へ血液を配分するために分岐していくが、分岐した枝同士が合流していることもある。これを吻合と言い、一方の血流が不十分でも組織が[[w:虚血|虚血]]に陥ることを避けられる。逆に、吻合のない動脈の支配領域はそれだけ虚血のリスクが高いと言える。 一般的に、[[w:大動脈|大動脈]]を通じて全身へ送り出される血液は[[w:酸素|酸素]]に富んだ[[w:動脈血|動脈血]]である。ただし、唯一、肺動脈系を流れている血液のみは、心臓から肺に向かって送り出される脱酸素化された血液、つまり[[w:静脈血|静脈血]]を運んでいることは注意を要する。 ==== 静脈系 ==== '''静脈系'''とは、[[w:毛細血管|毛細血管]]から発生した[[w:静脈血|静脈血]]を[[w:心臓|心臓]]に送るために使われる[[w:血管|血管]]システムのことである。毛細血管の吻合により細静脈に至り、最終的に上下の大静脈となる。 全身の静脈は、肺静脈系と大静脈系に二分される。大静脈系は腸などからの血流を[[w:肝臓|肝臓]]に運ぶ[[w:門脈|門脈]]系を含む。静脈は皮膚からの位置によっていくつかに分類されている。すなわち、筋膜よりも皮膚よりを走行する皮静脈、筋膜下を走る深静脈、両静脈をつなぐ貫通静脈である。深静脈は動脈と一対をなし、解剖学では後脛骨静脈と後脛骨動脈や、最上肋間静脈と最上肋間動脈のように同名が与えられている。一方、[[w:肺静脈]]系は、[[w:肺|肺]]で酸素化を受けて心臓に戻ってくる血液を通すため、静脈系としては例外的に[[w:動脈血|動脈血]]が流れる。 個々の静脈はパイプ状をなし、3層の膜、4種類の組織からなる。内部から血液が流れる内腔、内膜(内皮細胞(静脈弁を含む)、[[w:基底膜|基底膜]])、中膜([[w:平滑筋|平滑筋]])、外膜である。最も厚い膜は外膜である。動脈は同じく3層の膜組織からなるが、より複雑な構造をとる。すなわち、内腔、内膜(内皮細胞、基底膜、内弾性板)、中膜(平滑筋、外弾性版)、外膜である。静脈は動脈と比較すると、弾性繊維組織を欠くことが特徴だ。なお、毛細血管は内皮細胞と基底膜のみからなる。静脈にかかる[[w:血圧|血圧]]は動脈と比較すると低いため、動脈に比べると壁は薄い。特に中膜と内膜が薄い。弾性繊維組織を欠くだけでなく、平滑筋や外膜も薄い。 静脈の多くには逆流防止などのために[[w:静脈弁|静脈弁]](venous valve)がついている。重力の影響を受ける[[w:四肢|四肢]]の静脈では静脈弁は発達するが、内臓の静脈などではこれを欠く。静脈弁閉鎖機能不全に至ると、血液の逆流により、壁の弾力性が失われしだいに断面積が拡大して行く。これを拡張性蛇行静脈と呼ぶ。 === 生理 === ==== 心筋の構造 ==== [[File:Glanzstreifen.jpg|thumb|250px|心筋細胞の枝分かれ・融合と、[[w:介在板|介在板]](拡大部分)。]] [[w:心筋|心筋]]は、[[w:骨格筋|骨格筋]]と同じ[[w:横紋筋|横紋筋]]であるが、骨格筋は[[w:随意筋|随意筋]]で[[w:多核|多核]]の[[w:細胞|細胞]]でできているのに対して、心筋は[[w:単核|単核]](稀に2核)の細胞でできており、[[w:不随意筋|不随意筋]]である。また、[[w:ミトコンドリア|ミトコンドリア]]が非常に多く存在しており、心筋が要求するエネルギーの大部分をまかなっているほか、心筋においては、筋線維の枝分かれ・融合が見られる。心筋細胞は[[w:介在板|介在板]]により結ばれ、心筋線維を形成する。 [[w:心房|心房]]には[[w:血圧|血圧]]と血流の制御に関連する[[w:心房性ナトリウム利尿ペプチド|心房性ナトリウム利尿ペプチド]]と呼ばれる[[w:ペプチドホルモン|ペプチドホルモン]]を合成、分泌する[[w:心筋細胞|心筋細胞]]が存在する。心筋線維は静止時には細胞外に対して-50~-90mVの[[w:膜電位|膜電位]]を有する。骨格筋の[[w:絶対不応期|絶対不応期]]は1~3msecなのに対して、心筋の絶対不応期は200msecと長い。 ==== 心筋の興奮・収縮機構 ==== 心筋の収縮機構を特徴づけるのが、Ca電流が直接的に[[w:興奮収縮連関|興奮収縮連関]]に関与する点である。<ref>骨格筋においてもL型Ca電流は見られるが、時間経過が遅く、興奮収縮連関に直接的な関与はしない。</ref>固有心筋においては、細胞膜上にL型Caチャネル(DHP受容体)が分布しており、心筋の活動電位に特徴的である緩徐な脱分極:プラトー相の形成に決定的な役割を果たしている。 心筋の活動電位の形成は下記のようなプロセスを経て進行する: # 小さな脱分極を受けて電位依存性Naチャネルが開き、急速に大きな内向きNa電流を生じる。これによって膜は脱分極するが、Naチャネルの不活性化によって、Na電流は急速に消滅していく。 # Na電流の消滅によって膜電位が減少に転じた直後より、L型CaチャネルよりCa<sup>2+</sup>の流入が始まり、緩徐な内向き電流を形成する。L型CaチャネルはNaチャネルよりも不活性化が遅いことから、活動電位は緩やかな脱分極を示し、この部分を'''プラトー相'''と称する。 # 最終的に、Caチャネルの不活性化に伴ってCa電流は消滅し、これとほぼ同時にKチャネルからのKの流出による外向きK電流によって、急速な再分極が進行する。 また、心筋の興奮・収縮機構においてもうひとつ特徴的なのが、Ca誘発性Ca放出('''CICR''')である。これは、上記の機構によってL型Caチャネルより流入したCa<sup>2+</sup>が、筋小胞体のCa<sup>2+</sup>放出チャネルに結合し、筋小胞体からのCa<sup>2+</sup>放出を引き起こすものである。 ==== 心周期 ==== 心臓は収縮と弛緩を周期的に繰り返しており、これを'''心周期'''と称する。心室が収縮している時期を(心室)収縮期、拡張して弛緩している時期を(心室)拡張期という。 ===== 収縮期 ===== 1. 等容性収縮期 : 心室の収縮によって左室圧(LVP)は上昇を続けるものの、まだ大動脈圧(AP)を上回るに至っていないために大動脈弁が開いていない時期である。僧帽弁も大動脈弁も閉じており、したがって、左室の容積は一定であることからこの名がある。 2. 駆出期 : 左室圧が大動脈圧を上回り、大動脈弁が開くと同時に、血液は一気に大動脈に流入して、心拍出が開始される。駆出期の初期には、左室はなおも収縮し続けていることから、左室圧は上昇している。しかし駆出期の半ばで左室の収縮がピークを超えると共に左室圧は減少に転じ、これが大動脈圧を下回ると大動脈弁が閉鎖して心拍出が終結し、駆出期も終わる。 ===== 拡張期 ===== 3. 等容性弛緩期 : 大動脈弁、肺動脈弁の閉鎖によって駆出期が終わりを迎えた後、左室圧はなおも低下を続けるが、まだ左房圧を下回るには至っていないことから、僧帽弁も閉じたままになっており、したがって、左室の容積は一定であることからこの名がある。 4. 充満期 : 左室圧が左房圧(LAP)をついに下回ると、僧帽弁が開いて、左室に血液が流入する。これによって、左室圧は左房圧に近いところで下げ止まる。充満期の後期には、心房が収縮して、心房内の血液を心室内に送り出し、次の収縮期へと移行していく。 ==== 心拍出量の調節 ==== * 心拍出量(CO) :心臓のポンプ機能は心拍出量(CO)で評価される。これは、下記の式で算出される。 :心拍出量(リットル/分) =心拍数(回/分) × 1回拍出量(リットル/回) :すなわち、心拍出量は、心拍数と1回拍出量によって左右される。このうち、1回拍出量は、心筋の基礎収縮力と前後の負荷によって左右される。心室拡張末期圧(前負荷)が増大すれば、1回拍出量も増大する。これを''Starlingの心臓の法則''という。Starlingの心臓の法則に基づいて、心臓への血液流入量と流出量のバランスをとるという自己調節能のメカニズムをFrank-Starling機構という。 *心係数(CI) :心機能を評価する際には、体格による心拍出量の大小を補正するために心係数(CI)を用いる。これは、下記の式で算出され、Forrester分類などで用いられるものである。 :心拍出量(リットル/分) =心拍数(回/分) × 1回拍出量(リットル/回) ==== 循環調節機構 ==== 循環器系の調節機構は、大きく分けて外因性と内因性がある。外因性調節としては、自律神経による'''神経性調節'''と、ホルモンなどによる'''液性調節'''があり、内因性調節としては、局所組織の代謝需要、自己調節、傍分泌による'''局所性調節'''がある。 ===== 神経性調節と液性調節 ===== 神経性調節と液性調節の機構において、センサーとして使用されるのは下記のものである。 * 圧受容器 : 頸動脈洞、大動脈弓、右房入口にある圧受容器は、血圧の変化を検知する。 * 化学受容器 : 頸動脈小体、大動脈小体が、血中のCO<sub>2+</sub>濃度、O<sub>2+</sub>濃度、pH変化を検知する。 === 主な症状 === {{節stub}} === 主な診察 === {{節stub}} === 主な検査 === {{節stub}} == 心不全 == === 総論 === '''心不全'''(しんふぜん、heart failure)は、[[w:心臓|心臓]]の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わない。 心不全の症状は、主にうっ血によるものである(うっ血性心不全)。左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。 また、治療内容の決定に当たっては、[[w:急性心不全|急性]]と[[w:慢性心不全|慢性]]の区別も重要である。前者に当てはまるのは例えば[[w:心筋梗塞|心筋梗塞]]に伴う心不全であり、後者に当てはまるのは例えば[[w:心筋症|心筋症]]や[[w:心臓弁膜症|弁膜症]]に伴う心不全である(念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない…急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。 === 病態 === ==== 左心不全と右心不全 ==== 症状を来たす原因が、主に左心室の機能不全によるものなのか、右心室の機能不全によるものなのかによって、心不全を大きく2つに分類する方法である。厳密に区別することができない場合も多いが、病態把握や治療方針決定に有用であるため、頻繁に使用される概念であるので後述する。 ;収縮不全と拡張不全 :心不全の30%から50%は左心室の十分な拡張を認めず、拡張不全が占めると考えられている。拡張不全は収縮不全に比べ女性、高齢者に多いが、まだ診断基準は定まってはいない。拡張不全には高血圧や虚血性心疾患の合併が多い。 {| class="wikitable" | ||左心不全||右心不全 |- |rowspan=2|うっ血による所見 || '''左房圧上昇による肺うっ血''' || '''中心静脈圧上昇による静脈うっ血''' |- | ? 急性肺水腫(労作時呼吸困難や起座呼吸、湿性ラ音など)<br/> ? 左房圧上昇<br/> ? 心係数低下|| ? 下腿浮腫<br/> ? 静脈怒張<br/> ? 肝腫大 |- | 心拍出量低下<br/>による所見|| ? 血圧低下<br/> ? 全身倦怠感<br/> ? 尿量減少<br/> ? 尿中Na排泄量減少|| ? 肺血流量低下による心拍出量低下 |- | その他の所見 || ? 心濁音界の拡大<br/> ? III音、IV音(奔馬律) || - |} =====左心不全===== '''左心不全'''(さしんふぜん、left heart failure)は、左心系の機能不全にともなう一連の病態のことである。左心系は体循環を担当することから諸臓器の血流低下が発生するほか、心拍出量低下による'''血圧低下'''、左房圧上昇による'''肺うっ血'''が生じる。肺うっ血は、肺が左心系の上流に位置することから出現するものである。 *血圧低下の症状 :頻脈、チアノーゼ、尿量低下、血圧低下、手足の冷感、意識レベルの低下 *肺うっ血の症状 :[[w:肺高血圧|肺高血圧]]、[[w:胸水|胸水]]、[[w:呼吸困難|労作時呼吸困難]]、発作性夜間呼吸困難、[[w:咳嗽|咳嗽]]、[[w:チェーンストークス呼吸|チェーンストークス呼吸]]、湿性ラ音 胸部X線画像においては、 * 心陰影の拡大 * 肺うっ血 * '''Kerley's B line''' が見られる。 左心不全は、さらに肺血流の停滞を経由し、右心系へも負荷を与えるため、左心不全を放置したとき、右心不全を合併するリスクが高くなる。特に心不全における呼吸困難は、横になっているよりも座っているときの方が楽である、という特徴を持つ(これを[[w:|起座呼吸]](きざこきゅう、orthopnea)という)。 =====右心不全===== '''右心不全'''(うしんふぜん、right heart failure)は、右心系の機能不全にともなう一連の病態のことであり、'''静脈系のうっ血'''が主体となる。この場合、液体が過剰に貯留するのは体全体、特に[[w:下肢|下肢]]であり、心不全徴候としての下腿[[w:浮腫|浮腫]]は有名である。その他、[[w:腹水|腹水]]、[[w:肝腫大|肝腫大]]、[[w:静脈怒張|静脈怒張]]など、循環の不良を反映した症状をきたす。 右心不全の多くは、左心不全に続発して生じるかたちとなる。左心不全で肺うっ血が進行し、肺高血圧をきたすまでに至ると、右室に圧負荷がかかり、右心不全を起こす。 右心不全のみを起こすのは、'''肺性心'''、'''肺梗塞'''など、ごく限られた疾患のみである。 ==== 急性・慢性心不全 ==== 急性・慢性心不全の区別は、主として、治療内容の決定に使用される。 ===== 急性心不全 ===== 急性心不全においては、心機能の低下が代償可能な範囲を上回り、急激な低下を示すことから、血行動態の異常は高度となる。なお、左心不全が多い。 症状としては、'''呼吸困難'''、'''ショック症状'''といった急性症状が出現する。 治療方針としては、血行動態の正常化を図る(心臓負荷を軽減し、心拍出量を増加させる)ことが優先され、迅速な処置が求められる。 ===== 慢性心不全 ===== 長期にわたって進行性に悪化するため、代償された状態が長期間持続したのちに破綻する。これによって、収縮能および拡張能は低下し、また、代償機構の破綻によって、増大した体液が貯留することとなる。 この結果、倦怠感と呼吸困難の持続が出現し、運動耐容能が低下する。 治療は、QOLの向上と生命予後の改善を目的として、自覚症状の軽減を主眼とするものとなる。 ===診断=== 前述のような臨床症状から疑われ、心[[w:超音波検査|エコー検査]]によって診断される。エコーによって、心不全の原因疾患の検索がなされ、心臓の動きは十分か、拍出量がどの程度かなどを定量的に把握することができる。胸部[[w:X線写真|X線写真]]や[[w:心電図|心電図]]、[[w:脳性ナトリウム利尿ペプチド|脳性ナトリウム利尿ペプチド]](BNP)、[[w:心房性ナトリウム利尿ペプチド|心房性ナトリウム利尿ペプチド]](ANP)などの血液生化学検査が参考になることもあるが、通常はエコーが最も多くの情報をもたらす。観血的には[[w:肺動脈カテーテル|肺動脈カテーテル]]を挿入し心拍出量や[[w:肺動脈楔入圧|肺動脈楔入圧]](PCWP)、[[w:中心静脈圧|中心静脈圧]](CVP)の測定を行う。 ====NYHA分類==== NYHA分類(ニハ分類、またはナイハ分類と発音される)は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association: NYHA)が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものであるが、簡便でありよく使用される。 ;NYHA I度 :心疾患があるが症状はなく、通常の日常生活は制限されないもの。 ;NYHA II度 :心疾患患者で日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。安静時には無症状だが、普通の行動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。 ;NYHA III度 :心疾患患者で日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、平地の歩行や日常生活以下の労作によっても症状が生じる。 ;NYHA IV度 :心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生ずる。安静時においても心不全・狭心症症状を生ずることもある。 ===治療=== 治療においては、'''フォレスター分類'''(Forrester分類)が参考になる。これは、心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/m<sup>2</sup>を境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものである。 原則として、静脈うっ滞を改善するには[[w:利尿薬|利尿薬]]が、心臓の拍出量改善のためには[[w:強心薬|強心薬]]が使われる。その他[[w:血管拡張薬|血管拡張薬]]を併用することもある。遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。 心不全の予後を改善する目的として、[[w:交感神経β受容体遮断薬|交感神経β受容体遮断薬]]や[[w:アンギオテンシン変換酵素|アンギオテンシン変換酵素]]、また利尿薬の一つである[[w:スピロノラクトン|スピロノラクトン]]による治療が推奨されている。<ref>慢性心不全治療ガイドライン</ref> ===予後=== 原疾患によって異なる。一般的には、心不全に対して適切な治療が為されていれば、長期生存も可能である。 == 不整脈 == == 虚血性心疾患 == #狭心症 #心筋梗塞 == 心臓弁膜病 == #リウマチ熱 #僧帽弁狭窄症 #大動脈弁狭窄症 #僧帽弁閉鎖不全症 == 大動脈弁閉鎖不全症 == #僧帽弁逸脱症候群 #感染性心内膜炎 #三尖弁狭窄症 #三尖弁閉鎖不全症 #連合弁膜症 === 先天性心疾患 === #心房中隔欠損症 #心室中隔欠損症 #動脈管開存症 #肺動脈弁狭窄症 #Fallot四兆候 #大動脈縮窄症 #心内膜床欠損症 #三尖弁閉鎖症 === その他の心疾患 === #心膜の疾患 #心筋疾患 #粘液腫 === 動静脈の疾患 === #高血圧 #低血圧 #大動脈疾患 #静脈疾患 == 脚注 == <div class="references-small"><references /></div> ==参考文献== *[http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2005_matsuzaki_h.pdf 慢性心不全治療ガイドライン] 2005年改訂版 [[Category:医学|ないかかく しゆんかんき]]
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2022-07-26T14:16:46Z
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動画
画像映像・音楽入門> 動画 ここではw:コンピュータを用いてw:動画を扱う方法についてまとめます。ただし、高等学校情報にある程度のコンピュータの知識を仮定します。 最初に,簡単な動画を作成する方法を説明します。動画には様々な保存形式がありますが、ここでは主にw:gif、w:MNGを扱います。これはこれらの形式がある程度知られた形式であり,しかもw:法律的な意味で自由に使用できる形式であることによります。 動画を作成,保存する形式の1つとして、w:flashがあげられます。これは上のgif, mngの両形式とは違い,それぞれの画像をw:ベクタで保存します。flashは非常に広く普及しており,これを作成するソフトも存在しますが,残念ながらこの形式は法的に保護された保存形式です。flashを使って行ってよいことと行ってはいけないことについてはwikipediaのw:flashの項などを参照してください。 w:動画は複数の静止画像を時間的に変化させながら表示させる方式のことであり、映像をコンピュータ上で扱うための方法です。簡単な動画はいくつかの静止画像を組み合わせて作ることができます。例えば,同じ大きさの静止画像を複数枚重ね合わせることで,”パラパラアニメ”と同じ方法の動画を作ることができます。 このように作られる動画で、扱われる静止画像のことを"フレーム"と呼ぶことがあります。例えば、10枚の静止画像によって作られる動画は10フレームの動画と呼びます。 動画はいくつかの情報を持っています。単純な動画ではそれぞれのフレームをある一定の間隔で表示します。しかし、この方法だけでは問題があることを次に述べます。 例えば,ある画像だけを長い時間表示したいとします。この場合には,全く同じ内容の画像を複数回表示することになります。残念ながら、この場合には同じ画像情報を何度も扱うことになるので、保存されるデータ量が多くなります。しかも保存されている内容は全く同じ内容なので,その分のデータが無駄になります。 このような状況に対応するには,それぞれのフレームの表示時間を扱えると便利です。このときには長い時間表示したい画像の表示時間を長く設定すれば画像のデータ量を増やすことなく上と同じ効果を得ることができます。もちろん、それによって保存するデータにいくつかの数値が加わりその分のデータ増加はありますが,これによるデータ増加は画像の保存に必要なデータと比べれば微々たるものです。画像の扱いかたと数値の扱いかたについては高等学校情報Cなどを参照してください。 そのため、動画を扱う形式には静止画像だけでなく、画像の表示時間も記録できることが望ましいでしょう。このように、動画を保存するといってもそれらが扱う情報は保存形式ごとに異なっています。先ほどあげたgifとmngはどちらも表示時間を記録することができます。 ここまでは全ての画像の大きさが同じであると仮定してきました。しかし、場合によっては大きさが異なる画像を使った方が便利な場合があります。例えば,一般的なw:アニメで,人物がw:まばたきを行ったり言葉を発するために口を動かしたりすることがあります。この場面をよく観察すると、目や口の部分だけが変化しており,それ以外の部分は全く変化していないことがわかります。これを実現するには,目や口のサイズの画像を用意し,人の顔の画像と重ね合わせることでこの結果を得ることができます。この方法の利点は変化していない部分の情報を繰り返さずにすむことです。例えばまばたきをする分には顔全体を変化させる必要がないので、その部分はフレーム間でつかいまわすことができるわけです。同じ部分を描画しなくてすむので動画全体のサイズも小さくてすみます。 コンピュータ上でこの結果を得るには,動画の保存形式はこれまでの情報に加えて、静止画像のサイズと,その画像が表示される位置を扱える必要があります。gifとmngはこれらを扱うことができます。 ここでは実際に人物が口を動かす動画を作ってみます。動画を作るw:ソフトウェアはいくつか知られていますが,ここではw:gimpを使いました。gimpは静止画像の編集を得意としますが,動画もある程度扱うことができます。ここからの解説ではある程度のgimpの知識を仮定します。Gimpの操作方法についてはgimpなどを参照してください。 gimpでは動画を扱うためにレイヤーを使います。gimpでは複数のレイヤーを使えますが,複数のレイヤーを持った画像をgifで保存する時,gimpはそれぞれのレイヤーをgif動画のフレームとして扱います。動画が表示される時間はレイヤーの名称を用いて指定することができます。レイヤーの名称を として指定するとそのフレームは"数値"ミリ秒だけ表示されます。表示方法にはcombineかreplaceを指定することができ,combineではその画像は直前のフレームと合成されます。replaceではその画像で直前のフレームを置き換えます。 gimpのソースではこれらの情報は./plug-ins/common/gif.cで扱われます。 ここでは背景の顔画像が1枚と口周辺に4枚の画像を配置しました。 ここまではgifとmngで共通の操作を扱いました。ここからは主にmngで導入された操作について述べます。これらは、w:アニメやw:flashアニメでよく用いられる操作を含みます。 まず、mngでは画像を動かしながら表示することができます。これは、大きな絵全体を動かしながら表示する手法や、物体を変化させることなく移動させる手法として利用することができます。 残念ながらこれらの機能を持つmngファイルを簡単に作る方法はあまり知られていません。例えば、先ほどの例を作ったw:gimpの2.0系列ではgifアニメに加えてmngアニメを作成できます。しかし、これで作成できるアニメは、gifアニメと同じ機能を持ったmngファイルのみであり、画像の移動のようにmngで加わった操作を扱うことはできません。 いまのところmngファイルを作りたいときには、w:en:libmngを利用して作るしかないようです。ここでは、libmngの使い方を簡単にまとめます。これ以降の話題では高等学校情報の知識に加えてc言語の知識を仮定します。libmngのバージョンは1.0.9を使いました。 libmngはc言語で書かれたライブラリで、mngファイルの読み出しと書き出しを行うことができます。libmng自体はOSによらないとされていますが、開発環境などを構築する手間を考えると、w:linuxディストリビューションのコンパイル済みのパッケージを使うのがよいでしょう。ここからはlibmngの使い方について述べますが、これはlibmng付属のドキュメントと似た内容です。 以降の関数は2.6系列のlinuxで動くことを確認していますが、それ以外のシステムでは異なった動作をするかもしれません。 libmngは、ある程度オブジェクト指向を意識した関数を提供しています。まず、mngファイルを扱うために、mng_initialize関数を使います。ただし、動的なメモリ確保とメモリの解放を内部で行うために、メモリ確保とメモリ解放のための関数を引数として与える必要があります。ここでは確保のための関数としてmallocを与え、解放のための関数としてfreeを与えます。 これ以降、handleをmngを扱うクラスのインスタンスのように扱うことになります。ただし、c言語自体はオブジェクト指向言語ではないので、メソッド呼び出しの代わりに、 のように関数を呼ぶことになります。これはオブジェクト指向言語では、 に対応する操作です。mng_initializeによって得られた変数は、mngの読み出しと書き出しの両方に用いることができます。ここでは、mngファイルの作成が目的なので、mngの作成法を述べます。mngを作成するには、まずmng_create関数を使って変数を初期化します。 ただし、この操作を行う前に、openstream, closestream, writedataと呼ばれるコールバック関数を与える必要があります。これらはここで扱うmngファイルを扱う関数です。例えば、出力するmngファイルをggg.mngとすると、openstream関数はこれを書き込み用に開く必要があります。 このときopenstream関数は、 となります。ここで、返り値のintはファイル操作が成功したかどうかを表す値なので、本来ならfopenの返り値によって変更すべきです。ここでは、簡単のため常に操作は成功するものとしました。また、返り値の型は本来はint型ではないのでこのままコンパイルを行うと警告がでます。このときには適切にキャストを行うか、引数の型を変更してください。writedataは、openstream関数で開いたファイルにデータを書き出します。 writedata関数には書き出したデータを蓄える場所、書き出す長さ、実際に書き出された長さを表す引数が与えられます。 これらのコールバック関数を実際にhandleに与えるには、mng_setcb_xxx関数を使います。実際の変数名はlibmng.hなどを見て調べることができます。 ここまででmngを作成する準備ができました。実際にmngを作成するには、mngにどのような機能があるかを把握する必要があります。mngのデータは”チャンク”と呼ばれるデータで扱われます。それぞれのチャンクには名前とチャンクに付属するデータがついており、名前とデータを指定することでチャンクを指定することができます。具体的なチャンクの種類はmngの仕様(w:MNGを参照)などを参照してください。具体的には例えばMHDRチャンクをしていするときには、 のような関数を使います。ここで、関数名のmhdrを他のチャンク名に変えることで、他のチャンクを作成することができます。詳しい引数の意味は仕様書を参照してほしいのですが、1,2,3番目の引数は画面の幅、高さ、表示画像のfpsを表します。 チャンクのデータを指定し終わったら実際にmngファイルを作成します。このためには、 を使います。 mngファイルを表示するには、libmngに付属の各mngビューアを使うことができます。これは、libmngソース内で./contrib/gcc以下に含まれるファイルです。例えば、w:SDLを使ったビューアなどが存在し、mngを表示することができます。
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画像映像・音楽入門> 動画
<small> [[画像映像・音楽入門]]> 動画 </small> ---- ==動画入門== ここでは[[w:コンピュータ]]を用いて[[w:動画]]を扱う方法についてまとめます。ただし、[[高等学校情報]]にある程度のコンピュータの知識を仮定します。 最初に,簡単な動画を作成する方法を説明します。動画には様々な保存形式がありますが、ここでは主に[[w:gif]]、[[w:MNG]]を扱います。これはこれらの形式がある程度知られた形式であり,しかも[[w:法律]]的な意味で自由に使用できる形式であることによります。 動画を作成,保存する形式の1つとして、[[w:flash]]があげられます。これは上のgif, mngの両形式とは違い,それぞれの画像を[[w:ベクタ]]で保存します。flashは非常に広く普及しており,これを作成するソフトも存在しますが,残念ながらこの形式は法的に保護された保存形式です。flashを使って行ってよいことと行ってはいけないことについてはwikipediaの[[w:flash]]の項などを参照してください。 ===動画とは=== [[w:動画]]は複数の静止画像を時間的に変化させながら表示させる方式のことであり、映像をコンピュータ上で扱うための方法です。簡単な動画はいくつかの静止画像を組み合わせて作ることができます。例えば,同じ大きさの静止画像を複数枚重ね合わせることで,”パラパラアニメ”と同じ方法の動画を作ることができます。 *具体的な例(コモンズ) このように作られる動画で、扱われる静止画像のことを"フレーム"と呼ぶことがあります。例えば、10枚の静止画像によって作られる動画は10フレームの動画と呼びます。 ===動画が持つ情報の種類=== 動画はいくつかの情報を持っています。単純な動画ではそれぞれのフレームをある一定の間隔で表示します。しかし、この方法だけでは問題があることを次に述べます。 例えば,ある画像だけを長い時間表示したいとします。この場合には,全く同じ内容の画像を複数回表示することになります。残念ながら、この場合には同じ画像情報を何度も扱うことになるので、保存されるデータ量が多くなります。しかも保存されている内容は全く同じ内容なので,その分のデータが無駄になります。 このような状況に対応するには,それぞれのフレームの表示時間を扱えると便利です。このときには長い時間表示したい画像の表示時間を長く設定すれば画像のデータ量を増やすことなく上と同じ効果を得ることができます。もちろん、それによって保存するデータにいくつかの数値が加わりその分のデータ増加はありますが,これによるデータ増加は画像の保存に必要なデータと比べれば微々たるものです。画像の扱いかたと数値の扱いかたについては[[高等学校情報C]]などを参照してください。 そのため、動画を扱う形式には静止画像だけでなく、画像の表示時間も記録できることが望ましいでしょう。このように、動画を保存するといってもそれらが扱う情報は保存形式ごとに異なっています。先ほどあげたgifとmngはどちらも表示時間を記録することができます。 ここまでは全ての画像の大きさが同じであると仮定してきました。しかし、場合によっては大きさが異なる画像を使った方が便利な場合があります。例えば,一般的な[[w:アニメ]]で,人物が[[w:まばたき]]を行ったり言葉を発するために口を動かしたりすることがあります。この場面をよく観察すると、目や口の部分だけが変化しており,それ以外の部分は全く変化していないことがわかります。これを実現するには,目や口のサイズの画像を用意し,人の顔の画像と重ね合わせることでこの結果を得ることができます。この方法の利点は変化していない部分の情報を繰り返さずにすむことです。例えばまばたきをする分には顔全体を変化させる必要がないので、その部分はフレーム間でつかいまわすことができるわけです。同じ部分を描画しなくてすむので動画全体のサイズも小さくてすみます。 コンピュータ上でこの結果を得るには,動画の保存形式はこれまでの情報に加えて、静止画像のサイズと,その画像が表示される位置を扱える必要があります。gifとmngはこれらを扱うことができます。 ===動画の作成例:画像のサイズ指定=== ここでは実際に人物が口を動かす動画を作ってみます。動画を作る[[w:ソフトウェア]]はいくつか知られていますが,ここでは[[w:gimp]]を使いました。gimpは静止画像の編集を得意としますが,動画もある程度扱うことができます。ここからの解説ではある程度のgimpの知識を仮定します。Gimpの操作方法については[[gimp]]などを参照してください。 gimpでは動画を扱うためにレイヤーを使います。gimpでは複数のレイヤーを使えますが,複数のレイヤーを持った画像をgifで保存する時,gimpはそれぞれのレイヤーをgif動画のフレームとして扱います。動画が表示される時間はレイヤーの名称を用いて指定することができます。レイヤーの名称を 名前 (数値 ms)(フレームの表示方法) として指定するとそのフレームは"数値"ミリ秒だけ表示されます。表示方法にはcombineかreplaceを指定することができ,combineではその画像は直前のフレームと合成されます。replaceではその画像で直前のフレームを置き換えます。 *注意 gimpのソースではこれらの情報は./plug-ins/common/gif.cで扱われます。 ここでは背景の顔画像が1枚と口周辺に4枚の画像を配置しました。 :[[画像:顔の動作.gif]] ===画像の移動=== ここまではgifとmngで共通の操作を扱いました。ここからは主にmngで導入された操作について述べます。これらは、[[w:アニメ]]や[[w:flashアニメ]]でよく用いられる操作を含みます。 まず、mngでは画像を動かしながら表示することができます。これは、大きな絵全体を動かしながら表示する手法や、物体を変化させることなく移動させる手法として利用することができます。 *実例 残念ながらこれらの機能を持つmngファイルを簡単に作る方法はあまり知られていません。例えば、先ほどの例を作った[[w:gimp]]の2.0系列ではgifアニメに加えてmngアニメを作成できます。しかし、これで作成できるアニメは、gifアニメと同じ機能を持ったmngファイルのみであり、画像の移動のようにmngで加わった操作を扱うことはできません。 いまのところmngファイルを作りたいときには、[[w:en:libmng]]を利用して作るしかないようです。ここでは、libmngの使い方を簡単にまとめます。これ以降の話題では[[高等学校情報]]の知識に加えて[[c言語]]の知識を仮定します。libmngのバージョンは1.0.9を使いました。 ====libmng==== libmngはc言語で書かれたライブラリで、mngファイルの読み出しと書き出しを行うことができます。libmng自体はOSによらないとされていますが、開発環境などを構築する手間を考えると、[[w:linux]]ディストリビューションのコンパイル済みのパッケージを使うのがよいでしょう。ここからはlibmngの使い方について述べますが、これはlibmng付属のドキュメントと似た内容です。 *注意 以降の関数は2.6系列のlinuxで動くことを確認していますが、それ以外のシステムでは異なった動作をするかもしれません。 libmngは、ある程度オブジェクト指向を意識した関数を提供しています。まず、mngファイルを扱うために、mng_initialize関数を使います。ただし、動的なメモリ確保とメモリの解放を内部で行うために、メモリ確保とメモリ解放のための関数を引数として与える必要があります。ここでは確保のための関数としてmallocを与え、解放のための関数としてfreeを与えます。 mng_handle handle = mng_initialize(userdata, malloc, free, NULL); これ以降、handleをmngを扱うクラスのインスタンスのように扱うことになります。ただし、c言語自体はオブジェクト指向言語ではないので、メソッド呼び出しの代わりに、 mng_xxx(handle, ...); のように関数を呼ぶことになります。これはオブジェクト指向言語では、 handle.xxx(...): に対応する操作です。mng_initializeによって得られた変数は、mngの読み出しと書き出しの両方に用いることができます。ここでは、mngファイルの作成が目的なので、mngの作成法を述べます。mngを作成するには、まずmng_create関数を使って変数を初期化します。 mng_create(handle); ただし、この操作を行う前に、openstream, closestream, writedataと呼ばれるコールバック関数を与える必要があります。これらはここで扱うmngファイルを扱う関数です。例えば、出力するmngファイルをggg.mngとすると、openstream関数はこれを書き込み用に開く必要があります。 このときopenstream関数は、 static int myopen(mng_handle handle){ f = fopen("ggg.mng", "w"); return 1; } となります。ここで、返り値のintはファイル操作が成功したかどうかを表す値なので、本来ならfopenの返り値によって変更すべきです。ここでは、簡単のため常に操作は成功するものとしました。また、返り値の型は本来はint型ではないのでこのままコンパイルを行うと警告がでます。このときには適切にキャストを行うか、引数の型を変更してください。writedataは、openstream関数で開いたファイルにデータを書き出します。 writedata関数には書き出したデータを蓄える場所、書き出す長さ、実際に書き出された長さを表す引数が与えられます。 static int mywrite(mng_handle handle,void *data, int size, int* written){ *written = fwrite(data,1, size, f); return 1; } これらのコールバック関数を実際にhandleに与えるには、mng_setcb_xxx関数を使います。実際の変数名はlibmng.hなどを見て調べることができます。 mng_setcb_openstream(handle, mywrite) ここまででmngを作成する準備ができました。実際にmngを作成するには、mngにどのような機能があるかを把握する必要があります。mngのデータは”チャンク”と呼ばれるデータで扱われます。それぞれのチャンクには名前とチャンクに付属するデータがついており、名前とデータを指定することでチャンクを指定することができます。具体的なチャンクの種類はmngの仕様([[w:MNG]]を参照)などを参照してください。具体的には例えばMHDRチャンクをしていするときには、 mng_putchunk_mhdr(handle, 320,200,30,3,3,3,583); のような関数を使います。ここで、関数名のmhdrを他のチャンク名に変えることで、他のチャンクを作成することができます。詳しい引数の意味は仕様書を参照してほしいのですが、1,2,3番目の引数は画面の幅、高さ、表示画像のfpsを表します。 チャンクのデータを指定し終わったら実際にmngファイルを作成します。このためには、 mng_write(handle); を使います。 ====pngファイルの扱い方==== ====mngファイルの表示==== mngファイルを表示するには、libmngに付属の各mngビューアを使うことができます。これは、libmngソース内で./contrib/gcc以下に含まれるファイルです。例えば、[[w:SDL]]を使ったビューアなどが存在し、mngを表示することができます。 {{stub}}
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2022-05-30T22:09:16Z
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高等学校理科総合A
小学校・中学校・高等学校の学習 > 高等学校の学習 > 高等学校理科総合A 高等学校理科総合Aは、高等学校での、科目のひとつ。 自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。 理科総合A 化学分野 理科総合A 物理分野 身近な自然の事物・現象についての観察、実験などを通して、それらの基本的な方法を習得させるとともに、エネルギーや物質について考察させ、自然を探究する力を養う。 人間生活にかかわりの深い化石燃料、原子力、水力、太陽光などの利用の際見られる現象は、エネルギーという共通概念でとらえられることを学習する。 身の回りの物質は原子、分子、イオンから成り立ち、それらの粒子の結び付きの変化で物質の性質が変わることやエネルギーの出入りがあることを学習する。 科学技術の成果と今後の課題について考察させ,科学技術と人間生活とのかかわりについて探究する。
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小学校・中学校・高等学校の学習 > 高等学校の学習 > 高等学校理科総合A 高等学校理科総合Aは、高等学校での、科目のひとつ。 自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。 理科総合A 化学分野 理科総合A 物理分野
[[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高等学校理科総合A '''高等学校理科総合A'''は、高等学校での、科目のひとつ。<br> 自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。 [[理科総合A 化学分野]] [[理科総合A 物理分野]] ==自然の探究== 身近な自然の事物・現象についての観察、実験などを通して、それらの基本的な方法を習得させるとともに、エネルギーや物質について考察させ、自然を探究する力を養う。 #自然の見方 #探究の仕方 ==資源・エネルギーと人間生活== 人間生活にかかわりの深い化石燃料、原子力、水力、太陽光などの利用の際見られる現象は、エネルギーという共通概念でとらえられることを学習する。 #資源の開発と利用 ##エネルギー資源の利用 ##その他の資源の開発と利用 #いろいろなエネルギー ##仕事と熱 ##エネルギーの変換と保存 ==物質と人間生活== 身の回りの物質は原子、分子、イオンから成り立ち、それらの粒子の結び付きの変化で物質の性質が変わることやエネルギーの出入りがあることを学習する。 #物質の構成と変化 ##物質の構成単位 ##物質の変化 #物質の利用 ##日常生活と物質 ##生物のつくる物質 ==科学技術の進歩と人間生活== 科学技術の成果と今後の課題について考察させ,科学技術と人間生活とのかかわりについて探究する。 #科学技術の進歩と課題 #課題研究の進め方 [[Category:高等学校教育|理りかそうこうA]] [[Category:理科教育|高りかそうこうA]] [[Category:物理学|高りかそうこうA]] [[カテゴリ:高等学校化学|高りかそうこうA]] {{stub}}
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2022-12-09T11:47:22Z
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4,725
民法第762条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) (夫婦間における財産の帰属) 明治民法において、本条には以下の規定があった。戸主制廃止に伴い削除廃止。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[w:夫婦|夫婦]]間における財産の帰属) ;第762条 # 夫婦の一方が[[w:婚姻|婚姻]]前から有する財産及び婚姻中'''自己の名で得た財産'''は、その'''特有財産'''(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。 # 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その[[w:共有|共有]]に属するものと[[w:推定|推定]]する。 ==解説== :夫婦の財産のあり方を法定した規定(法定財産制度)の一つである。 :夫婦であるといっても、それぞれが独立した個人であるから、婚姻前から有する財産や、婚姻中であっても'''自己の名で得た財産'''は、それぞれの単独名義の財産(特有財産)となる。しかし、夫婦は共通した生計のもと共同生活を営む([[民法第752条]])ため、ある財産がどちらに属するか判明しない場合もある。その場合は、夫婦の共有に属するものと推定されることになる。 :明治民法においても、[[民法第807条#参考|第807条]]において、「妻又ハ入夫カ婚姻前ヨリ有セル財産及ヒ婚姻中自己ノ名ニ於テ得タル財産ハ其特有財産トス」と定められ、単独で所有する「特有財産」とされた。なお、帰属の不分明な財産は家に属するものとされた。 :「自己の名で得た財産」の解釈については、以下の判例等を参考。 ==参照条文== *[[民法第761条]](日常の家事に関する債務の連帯責任) ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56218&hanreiKbn=02 土地所有権移転登記手続請求](最高裁判決 昭和34年07月14日) #;登記簿上の所有名義人と特有財産。 #:夫婦間の合意で、夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、土地を妻の特有財産と解すべきではない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52957 所得税審査決定取消事件](最高裁判決 昭和36年9月6日)[[日本国憲法第24条|憲法24条]],[[所得税法第1条|所得税法1条]]1項,[[所得税法第9条|所得税法9条]]本文 ##'''民法第762条第1項の憲法第24条適否。''' ##:民法第762条第1項は憲法第24条に違反しない。 ##:*憲法24条の法意は、民主主義の基本原理である個人の尊厳と両性の本質的平等の原則を婚姻および家族の関係について定めたものであり、男女両性は本質的に平等であるから、夫と妻との間に、夫たり妻たるの故をもつて権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じたものであつて、結局、継続的な夫婦関係を全体として観察した上で、婚姻関係における夫と妻とが実質上同等の権利を享有することを期待した趣旨の規定と解すべく、個々具体の法律関係において、常に必らず同一の権利を有すべきものであるというまでの要請を包含するものではない。 ##:*民法762条1項の規定をみると、夫婦の一方が婚姻中の自己の名で得た財産はその特有財産とすると定められ、この規定は夫と妻の双方に平等に適用されるものであるばかりでなく、所論のいうように夫婦は一心同体であり一の協力体であつて、配偶者の一方の財産取得に対しては他方が常に協力寄与するものであるとしても、民法には、別に財産分与請求権、相続権ないし扶養請求権等の権利が規定されており、右夫婦相互の協力、寄与に対しては、これらの権利を行使することにより、結局において夫婦間に実質上の不平等が生じないよう立法上の配慮がなされている。 ##'''所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないことの憲法第24条適否。''' ##:所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないからといつて憲法第24条に違反しない。 ==参考== 明治民法において、本条には以下の規定があった。戸主制廃止に伴い削除廃止。 #新ニ家ヲ立テタル者ハ其家ヲ廃シテ他家ニ入ルコトヲ得 #家督相続ニ因リテ戸主ト為リタル者ハ其家ヲ廃スルコトヲ得ス但本家ノ相続又ハ再興其他正当ノ事由ニ因リ裁判所ノ許可ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 夫婦財産制]] |[[民法第761条]]<br>(日常の家事に関する債務の連帯責任) |[[民法第763条]]<br>(協議上の離婚) }} {{stub}} [[category:民法|762]]
2006-12-18T00:41:55Z
2024-03-17T08:58:04Z
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4,739
民法第818条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (親権者) 親権の主体につき規定。明治民法第877条においては、まず、親権は父に属し、これを欠く時に母が有するものとされていたが、戦後改正で父母ともに有することとなった。 明治民法において、本条には婿養子を離縁する際に付帯的に離婚を請求できる旨の以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止、離縁と離婚は独立して扱われることとなった。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(親権者)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "親権の主体につき規定。明治民法第877条においては、まず、親権は父に属し、これを欠く時に母が有するものとされていたが、戦後改正で父母ともに有することとなった。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "明治民法において、本条には婿養子を離縁する際に付帯的に離婚を請求できる旨の以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止、離縁と離婚は独立して扱われることとなった。", "title": "参考" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]] ==条文== ([[親権]]者) ;第818条 # 成年に達しない子は、父母の親権に服する。 # 子が養子であるときは、養親の親権に服する。 # 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、'''父母の一方が親権を行うことができないときは'''、他の一方が行う。 ==解説== {{wikipedia|親権}} 親権の主体につき規定。[[民法第877条#参考|明治民法第877条]]においては、まず、親権は父に属し、これを欠く時に母が有するものとされていたが、戦後改正で父母ともに有することとなった。 ;3項 :「共同して行う」:父母一致の意思決定のもとに、または、他方の同意を得て親権を行使すること。 ==参照条文== *[[民法第819条]](離婚又は認知の場合の親権者) *[[民法第834条]](親権の喪失の宣告) *[[民法第838条]](後見の開始) *[[児童福祉法第33条の8]] *:児童相談所長が、未成年後見人選任の請求をした場合、親権を行う者又は未成年後見人が選任されるまでの間、当該児童相談所長は親権を行う。 ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53666&hanreiKbn=02 土地建物所有権移転登記手続請求](最高裁判例 昭和35年02月25日) [[民法第826条]]1項 *;親権者の一方に利益相反関係のある場合における代理の方法 *:親権者たる父母の一方に民法第826条第1項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。 *;民法826条第1項の利益相反行為の事例 *:甲が乙の親権者として、自己の事業上の債務のため乙所有の不動産を代物弁済として他に譲渡する行為は、乙が甲の事業により生活上の利益を受けており、その利益も考慮してなされたものであるとしても、民法第826条第1項にいう利益相反行為である。 *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50081&hanreiKbn=02 未成年者略取被告事件](最高裁判例 平成17年12月06日)[[刑法第35条]],[[刑法第224条]],[[民法第820条]] *;母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例 *:母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は, 別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。 ==参考== 明治民法において、本条には婿養子を離縁する際に付帯的に離婚を請求できる旨の以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止、離縁と離婚は独立して扱われることとなった。 :[[民法第813条#参考|第八百十三条]]第十号ノ場合ニ於テ離縁又ハ縁組取消ノ請求アリタルトキハ之ニ附帯シテ離婚ノ請求ヲ為スコトヲ得 :[[民法第813条#参考|第八百十三条]]第十号ノ事由ニ因ル離婚ノ訴ハ当事者カ離縁又ハ縁組ノ取消アリタルコトヲ知リタル後三个月ヲ経過シ又ハ離婚請求ノ権利ヲ放棄シタルトキハ之ヲ提起スルコトヲ得ス :*[[民法第813条#参考|明治民法第813条第10号]] :*:婿養子縁組ノ場合ニ於テ離縁アリタルトキ又ハ養子カ家女ト婚姻ヲ為シタル場合ニ於テ離縁若クハ縁組ノ取消アリタルトキ ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#4|第4章 親権]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#4-1|第1節 総則]] |[[民法第817条の11]]<br>(離縁による実方との親族関係の回復) |[[民法第819条]]<br>(離婚又は認知の場合の親権者) }} {{stub|law}} [[category:民法|818]]
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2022-12-27T08:39:55Z
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4,740
民法第780条
(認知能力) 戦後の民法改正においても、明治民法第828条と同趣旨の規定が受け継がれている。 身分法上の行為には制限行為能力制度による保護の要請よりも行為者本人の意思がより尊重される傾向にある。 認知については意思能力があれば足りると解されている。 明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、廃止された戸主の請求権を除き民法第744条に継承された。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "(認知能力)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "戦後の民法改正においても、明治民法第828条と同趣旨の規定が受け継がれている。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "身分法上の行為には制限行為能力制度による保護の要請よりも行為者本人の意思がより尊重される傾向にある。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "認知については意思能力があれば足りると解されている。", "title": "解説" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、廃止された戸主の請求権を除き民法第744条に継承された。", "title": "参考" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 法学>コンメンタール>コンメンタール民法>第4編 親族
*[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]] *[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]] ==条文== (認知能力) ;第780条 :[[認知]]をするには、父又は母が[[未成年者]]又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。 ==解説== 戦後の民法改正においても、[[民法第828条#参考|明治民法第828条]]と同趣旨の規定が受け継がれている。 身分法上の行為には制限行為能力制度による保護の要請よりも行為者本人の意思がより尊重される傾向にある。 認知については意思能力があれば足りると解されている。 ==参照条文== *[[民法第779条]](認知) *[[民法第784条]](認知の効力) ==参考文献== *『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)105頁-116頁(川田昇執筆部分) *泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)204頁-220頁 ==参考== 明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、廃止された戸主の請求権を除き[[民法第744条]]に継承された。 #[[民法第765条#参考|第七百六十五条]]乃至[[民法第771条#参考|第七百七十一条]]ノ規定ニ違反シタル婚姻ハ各当事者、其戸主、親族又ハ検事ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但検事ハ当事者ノ一方カ死亡シタル後ハ之ヲ請求スルコトヲ得ス #[[民法第766条#参考|第七百六十六条]]乃至[[民法第768条#参考|第七百六十八条]]ノ規定ニ違反シタル婚姻ニ付テハ当事者ノ配偶者又ハ前配偶者モ亦其取消ヲ請求スルコトヲ得 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3|第3章 親子]]<br> [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3-1|第1節 実子]] |[[民法第779条]]<br>(認知) |[[民法第781条]]<br>(認知の方式) }} {{stub}} [[category:民法|780]]
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2021-10-05T01:23:09Z
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4,742
民法第602条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) (短期賃貸借) 2017年改正により、以下の部分を改正。 他人物賃貸の存在期間の制約について規定している。かつて、短期賃貸借がもたらす抵当権者への制約の規定は第2編に存在したが、廃止された。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(短期賃貸借)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "2017年改正により、以下の部分を改正。", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "他人物賃貸の存在期間の制約について規定している。かつて、短期賃貸借がもたらす抵当権者への制約の規定は第2編に存在したが、廃止された。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[短期賃貸借]]) ;第602条 :'''[[処分行為|処分]]の権限を有しない者'''が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。<u>契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする。</u> :#樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年 :#前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年 :#建物の賃貸借 3年 :#動産の賃貸借 6箇月 ===改正経緯=== 2017年改正により、以下の部分を改正。 *冒頭部「処分につき行為能力の制限を受けた者又は」を削除。 *:改正前は、賃貸借期間の制限について、制限能力者の行為も含まれていたが、そもそも、法律行為として未成年者や成年被後見人などのそれぞれの規定で手当てがされており([[民法第13条|第13条]]等)、本条の規定により単独で短期賃貸借を行うことができるとの誤読のおそれがあること等の理由から、削除された。 *上記下線部を追加。 *:判例で確立されていた、短期賃貸借の期間を超えて締結された賃貸借の効力については法定期間を超える部分のみが無効となることを明記した。 ==解説== 他人物賃貸の存在期間の制約について規定している。かつて、短期賃貸借がもたらす抵当権者への制約の規定は第2編に存在したが、廃止された。 ==参照条文== *[[民法第13条]](保佐人の同意を要する行為等) *[[民法第601条]](賃貸借) *[[民法第603条]](短期賃貸借の更新) *[[民法第921条]](法定単純承認) ==判例== # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53628 家屋明渡等請求](最高裁判決 昭和36年6月23日) #;民法第602条の期間を超える抵当権物賃貸借の抵当権者兼競落人に対する効力 #:民法第602条所定の期間を超える建物賃貸借は、抵当権の登記後に成立したものであるときは、これを登記しても、右期間の範囲内においてもこれをもつて抵当権者兼競落人に対抗し得ない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54936 賃貸権確認請求](最高裁判決 昭和38年9月17日) #;民法第602条の期間をこえる土地賃貸借の抵当権者及び競落人に対する効力 #:民法第602条の期間をこえる土地賃貸借は、その登記が抵当権設定登記後になされたものである以上、同条所定期間内においても、抵当権者及び競落人に対抗できない。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54081 家屋明渡請求](最高裁判決 昭和43年9月27日) #;民法第395条の適用のある期間の定のない建物賃貸借につき解約申入の正当事由が認められた事例 #:民法第395条の適用のある期間の定のない建物賃貸借において、その賃貸借が成立後競落人による解約申入に至るまで、−ほとんど7年に及ぶ長期間を経過したものであるときは、他に特段の事情がないかぎり、その解約申入は[[借家法第1条ノ2|借家法1条ノ2]](現.[[借地借家法第28条]])にいう「正当ノ事由」を具備するものというべきである。 # [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52203 賃貸借契約解除等](最高裁判決 平成元年6月5日) #;抵当権と併用して賃借権設定仮登記を経由した者の後順位短期賃借権者に対する明渡請求の可否 #:抵当権と併用して抵当不動産につき賃借権設定の予約をしその仮登記を経由した者が、予約完結権を行使して賃借権の本登記を経由しても、後順位の短期賃借権者に対し右不動産の明渡を求めることは、右短期賃貸借の解除請求とともにする場合であつてもできない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=36454&hanreiKbn=04 工事妨害禁止等請求事件](札幌地方裁判所判決 平成20年05月30日)[[建物の区分所有等に関する法律第13条]],[[建物の区分所有等に関する法律第17条]],[[建物の区分所有等に関する法律第26条]],[[民事訴訟法第61条]] #:携帯電話会社がマンションの管理組合に対し,屋上に携帯電話の基地局を設置するために締結した賃貸借契約に基づき設置工事の妨害禁止等を求めた請求について,契約を締結するのに必要な区分所有者全員の同意を得ていないとして,これを棄却。 ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-7|第7節 賃貸借]] |[[民法第601条]]<br>(賃貸借) |[[民法第603条]]<br>(短期賃貸借の更新) }} {{stub|law}} [[category:民法|602]] [[category:民法 2017年改正|602]]
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4,743
民法第11条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (保佐開始の審判) 民法第11条 成年後見制度の一つ。後見を必要とするまではないが、著しく判断能力に欠いており、本人に財産の処分などを自由に行なわせることが、本人の財産を失わせるなど社会福祉上好ましくないため、それに制限を加える制度。旧法における「準禁治産者」を引き継いだ制度である。 「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」 「ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない」
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]] ==条文== ([[保佐]]開始の審判) ;第11条 :精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、[[家庭裁判所]]は、本人、配偶者、四親等内の親族、[[後見人]]、[[後見監督人]]、[[補助人]]、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、[[民法第7条|第7条]]に規定する原因がある者については、この限りでない。 ===旧法=== 民法第11条 :心神耗弱者及ヒ浪費者ハ準禁治産者トシテ之ニ保佐人ヲ附スルコトヲ得 ==解説== [[成年後見制度]]の一つ。後見を必要とするまではないが、著しく判断能力に欠いており、本人に財産の処分などを自由に行なわせることが、本人の財産を失わせるなど社会福祉上好ましくないため、それに制限を加える制度。旧法における「'''準禁治産者'''」を引き継いだ制度である。 ===保佐の客体=== 「精神上の障害により事理を弁識する能力が'''著しく不十分である'''者」 :被後見人が「精神上の障害により事理を弁識する能力を'''欠く常況にある'''者」と定められているのに比べ、日常生活に支障のない者に適用される。旧法においては「心神耗弱者及ヒ浪費者」即ち心神耗弱を原因として財産を浪費してしまう者となっており、喪失すべき財産や浪費の事実などにより、「勘当」の一態様として用いられ、しばしば濫用された側面もあった。新法においては、「浪費」の要件を外し、本人の福祉目的にいっそう近づけたものではあるが、判例等は準禁治産者のものが参照されるものと考えられる。 「ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない」 :「第7条に規定する原因がある者」とは、より精神上の障害の程度がはげしく保佐制度ではなく後見制度を適用すべき者をいう。 ===審判請求権者=== *本人、配偶者、四親等内の親族 *:「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である」か否かは客観的事実とされるため、本人やより近い親族が、請求を行なわない場合ないし保佐開始を拒否する場合であっても、請求権者の請求を受けて審判する事ができる。 *後見人、後見監督人 *:後見が適用されている場合は、保佐の適用は排除されるため(但し書き参照)、後見人等が保佐の審判を請求する場合は、被後見人の精神状況が回復し、[[民法第10条]]に定める、後見開始の審判の取消しを請求しなければならないが、完全に行為能力を認めることに不安のあるとき等が想定される。 *補助人、補助監督人 *:後見人等が保佐の審判を請求する場合とは逆に、被補助人の精神状況がさらに不安定なものとなり、補助制度では不十分と判断される場合。 *検察官 *:身寄りがない場合や審判を請求すべき親族等が審判請求をしない場合、職権により審判を請求できる。 *その他、知的障害者福祉法第28条により、市町村長は保佐開始審判の申し立てをすることができる。 ==参照条文== *保佐関連 **[[民法第876条の2|第876条の2]](保佐人及び臨時保佐人の選任等) **[[民法第876条の3|第876条の3]](保佐監督人) **[[民法第876条の4|第876条の4]](保佐人に代理権を付与する旨の審判) **[[民法第876条の5|第876条の5]](保佐の事務及び保佐人の任務の終了等) **[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編親族]] [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#6|第6章保佐及び補助]] [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#6-1|第1款保佐]] *[[民法第7条]](後見開始の審判) *[[民法第15条]](補助開始の審判) *[[知的障害者福祉法第28条]] *:市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、[[民法第7条]]、[[民法第11条|第11条]]、[[民法第13条|第13条]]第2項、[[民法第15条|第15条]]第1項、[[民法第17条|第17条]]第1項、[[民法第876条の4|第876条の4]]第1項又は[[民法第876条の9|第876条の9]]第1項に規定する審判の請求をすることができる。 ==判例== ---- {{前後 |[[民法]] |[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br> [[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]] |[[民法第10条]]<br>(後見開始の審判の取消し) |[[民法第12条]]<br>(被保佐人及び保佐人) }} {{stub|law}} [[category:民法|011]]
2006-12-19T02:06:18Z
2024-02-10T23:01:49Z
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4,750
近代文学
本項では、近代文学を日本の明治から大正期にかけてのものとする
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文学 > 近代文学 本項では、近代文学を日本の明治から大正期にかけてのものとする
*[[文学]] > [[近代文学]] 本項では、近代文学を日本の明治から大正期にかけてのものとする ==日本の文学== ===文学史=== ====明治==== :'''明治初期 小説の成立と翻訳文学''' :明治時代においては、西洋列強の文化吸収が貪欲に行われ、単に政治制度や科学技術に留まらず、絵画や音楽といった芸術分野でも西洋文化を取り込み、文学でも西洋文学との積極的な接触が行われた。 :坪内逍遥はヨーロッパのNovelに触れ、「[[小説神髄]]」を通じて日本に紹介した。今後文学の柱となる「小説」の誕生であった。ただし、「[[南総里見八犬伝]]」の様に小説とも呼べる文学自体は日本にも存在をしており、この事には注意を払う必要がある。 :坪内の言う小説とは単に物語りを扱う文学ではなく、文学に対する写実主義的なアプローチであり、よりありのままを表現を求めていた。その点においては旧来の文学と対立するものであった。 :また、明治初期においては外国文学の翻訳を通じて文学を学ぶ「翻訳文学」も顕著であり、外国作品と接する中で日本語の表現が模索され、その結果[[二葉亭四迷]]などが中心となって「言文一致」と呼ばれる日本語表記の変化が発生した。 :「言文一致」では、「漢字」「ひらがな」「カタカナ」「Alphabet」が用いられるようになったほか、より口語に近い形の文体や「 」(かぎかっこ)、句読点の使用など現在の日本語表記の原型が生み出された。 :この時代、ほかに[[森鴎外]]がおり、初期の作として「舞姫」「即興詩人」がある。 :'''明治中期''' : :'''明治末期 文豪の時代''' :日本の文豪として、名だたる者に夏目漱石と森鴎外がいるが、この二人が活躍したのがこの時代だった。 :1905年、英国に英文学研究のために留学していた夏目漱石が帰国し、「吾が輩は猫である」を発表した。 :その後も「坊ちゃん」など後に代表作となる作品の発表を経て漱石は文豪としての地位を築いていった。 :そうした漱石を慕い、小宮豊隆や鈴木三重吉などが集まり、毎週木曜に漱石を中心として会合をする『木曜会』が形成されていった。その後、芥川龍之介、久米正雄といった次の世代を担うことになる若者もこの会に参加し、成長を遂げていった。 :一方の森鴎外は軍医として落ち着きだし、文学活動を再開し「ヰタ・セクスアリス」を1909年に発表した。 :「雁」なども後期作であり、この頃からは時代小説も手掛け「山椒大夫」「高瀬舟」などを書いていった。 :'''大正初期 新たな才能''' :旧制第一高等学校での縁から、芥川龍之介・久米正雄・菊池寛・松岡讓などが、第4次の「新思潮」(東京大学系の文芸同人誌)を立上げ、作品の発表を行いだすようになった。 :芥川の作品には「羅生門」「蜘の糸」「藪の中」などがあるが、「鼻」は夏目漱石に絶賛された。 :短編を中心に創作が行ってたが、理知的といわれる表現に関しては、その分繊細であり、代表作「羅生門」の末尾を後に変更するということもあった。 ===作家=== :[[日本文学の作家]] ===作品=== :[[日本文学の題名]] ==諸外国の文学== *イギリス文学 *フランス文学 *ドイツ文学 *ロシア文学 *アメリカ文学 *中国文学 *朝鮮文学 [[Category:文学|きんたいふんかく]]
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4,751
ミクロ経済学
ミクロ経済学とは何か?マクロ経済学は「(国民)所得理論」と呼ばれるのに対して、ミクロ経済学は「価格理論」とも呼ばれる。ミクロ経済学の本質は、財の価値とその決定を考えることなのである。
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経済学>ミクロ経済学 ミクロ経済学とは何か?マクロ経済学は「(国民)所得理論」と呼ばれるのに対して、ミクロ経済学は「価格理論」とも呼ばれる。ミクロ経済学の本質は、財の価値とその決定を考えることなのである。
*[[経済学]]>[[ミクロ経済学]] [[w:ミクロ経済学|ミクロ経済学]]とは何か?[[マクロ経済学]]は「(国民)所得理論」と呼ばれるのに対して、ミクロ経済学は「価格理論」とも呼ばれる。ミクロ経済学の本質は、財の価値とその決定を考えることなのである。 == 経済学の基本的事項 == *[[w:経済学|経済学]]の基本概念 *[[w:需要|需要]]と[[w:供給|供給]] *[[w:消費|消費]]と[[w:生産|生産]] *[[w:家計|家計]]と[[w:企業|企業]] *[[w:市場|市場]]と[[w:情報|情報]] == ミクロ経済学入門 == === 消費者行動 === *[[効用]] *[[無差別曲線]] *[[予算制約式]] *[[限界代替率]] *[[財]] *[[スルツキー方程式]] === 企業行動 === *[[費用関数]] *[[短期費用関数]] *[[長期費用関数]] *[[生産可能性集合]] *[[利潤最大化]] === 部分均衡理論と交換経済 === *[[市場調整]] *[[純粋交換経済]] *[[エッジワース・ボックス]] *[[ワルラス法則]] *[[パレート最適性]] *[[厚生経済学の基本定理]] === 経済厚生 === *[[消費者余剰]] *[[生産者余剰]] *[[パレート改善]] *[[社会厚生関数]] *[[投票のパラドックス]] *[[アローの不可能性定理]] === 不完全競争 === *[[独占理論]] *[[クールノー均衡]] *[[スタッケルベルグ均衡]] *[[ベルトラン均衡]] *[[独占的競争]] *[[差別価格]] *[[ゲーム理論]] === 公共経済 === *[[課税と補助金]] *[[公共財]] *[[サミュエルソンの条件]] *[[外部効果]] *[[コースの定理]] *[[ピグー課税]] *[[リンダール均衡]] *[[期待効用仮説]] *[[完全市場]] *[[ポートフォリオ]] *[[モラル・ハザード]] *[[逆選択]] {{stub}} [[Category:経済学|みくろけいさいかく]]
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2022-08-30T23:28:32Z
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4,752
経済学
経済学 (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "経済学 (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。", "title": "" } ]
経済学 (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。
[[画像:経済学の扉絵.jpg|center|経済学]] {{NDC|330|けいさいかく}} {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|経済学|経済学}} |- |{{Wikiquote|Category:経済学|経済学}} |- |{{Wiktionary|Category:経済学|経済学}} |- |{{wikiversity|School:経済学|経済学}} |- |{{蔵書一覧}} |} '''経済学''' (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。 == 経済学と時事経済 == * [[経済学基礎]] {{進捗|25%|2013-10-08}} * [[経済学/IT経済|IT経済]] === 時事経済(旧ERE)/ IT化以降の国際経済 === * [[経済学/世界経済|世界経済]] * [[経済学/日本経済|日本経済]] * [[経済学/アメリカ経済|アメリカ経済]] * [[経済学/アジア経済|アジア経済]] * [[経済学/欧州経済|欧州経済]] * [[経済学/ロシア経済|ロシア経済]] * [[経済学/アフリカ経済|アフリカ経済]] == 理論経済学 == * [[ミクロ経済学初中級]] (ERE) {{進捗|00%|2013-10-08}} * [[マクロ経済学初中級]] (ERE) {{進捗|25%|2013-10-08}} * [[経済学/ミクロ経済学上級|ミクロ経済学上級]] * [[経済学/マクロ経済学上級|マクロ経済学上級]] * [[経済学/数理経済学|数理経済学]] * [[経済数学]] {{進捗|00%|2013-10-08}} * [[経済学/ゲーム理論|ゲーム理論]] * [[経済学/都市経済学|都市経済学]] * [[経済学/公共経済学|公共経済学]] == 統計・情報処理 == * [[経済学/計量経済学|計量経済学]] * [[経済学/数理統計学|数理統計学]]([[統計学]])(ERE) * [[経済統計]] {{進捗|00%|2013-10-08}} == 応用経済学 == * [[経済学/経済政策|経済政策]] * [[経済学/応用ミクロ経済学|応用ミクロ経済学]] * [[経済学/応用マクロ経済学|応用マクロ経済学]] * [[経済学/労働経済学|労働経済学]] * [[経済学/産業組織論|産業組織論]] * [[経済学/社会政策論|社会政策論]] * [[経済学/開発経済学|開発経済学]] * [[経済学/国際経済学|国際経済学]] (ERE) * [[経済学/環境経済学|環境経済学]] * [[経済学/経済と法|経済と法]] * [[経済学/規制政策|規制政策]] * [[経済学/経済地理|経済地理]] == 財政・金融 == * [[経済学/財政学|財政学]] (ERE) * [[経済学/金融論|金融論]] (ERE) * [[経済学/国際金融論|国際金融論]] * [[経済学/地方財政論|地方財政論]] * [[経済学/金融経済論|金融経済論]] * [[経済学/数理ファイナンス|数理ファイナンス]] * [[経済学/行動ファイナンス|行動ファイナンス]] == 経済史・経済思想 == * [[経済史]](概略・歴史学と共有) {{進捗|25%|2013-10-08}} * [[経済学/西欧経済史|西欧経済史]] * [[経済学/東欧経済史|東欧経済史]] * [[経済学/アジア経済史|アジア経済史]] * [[経済学/日本経済史|日本経済史]] * [[経済学/経済学史|経済学史]] * [[経済学/経済思想|経済思想]] {{stub}} [[Category:経済学|*]] [[Category:書庫|けいさいかく]] [[de:Regal:Wirtschaftswissenschaft]] [[en:Wikibooks:Business and economics bookshelf]]
2006-12-24T11:05:05Z
2023-09-28T16:56:29Z
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4,763
民法第534条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) 削除 2017年改正により、継承条文なく削除 (債権者の危険負担) 危険負担の債権者主義についての規定。任意規定であるので、特約によりこの条文の適用を排除することも可能であり、法実務では排除する特約を設けることが一般的であった。 契約締結と同時に、目的物が支配の下になく管理が現実的にできない債権者が目的物の滅失又は損傷の危険を負担するとの帰結が不当であるとして、かねてから批判されていた。改正前までは、その適用場面を目的物の引渡時以降とする有力な学説があり、これを踏まえ、第3節売買の民法第567条に「目的物の滅失等についての危険の移転」について定めたため、本条を削除した。
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ;第534条 '''削除''' ===改正経緯=== 2017年改正により、継承条文なく削除 (債権者の[[危険負担]]) # '''特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合'''において、その物が'''債務者の責めに帰することができない事由'''によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。 # '''不特定物に関する契約'''については、[[民法第401条|第401条]]第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。 #*[[民法第401条]]2項 #*:[[種類債権]]の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。 ==解説== 危険負担の債権者主義についての規定。任意規定であるので、特約によりこの条文の適用を排除することも可能であり、法実務では排除する特約を設けることが一般的であった。 契約締結と同時に、目的物が支配の下になく管理が現実的にできない債権者が目的物の滅失又は損傷の危険を負担するとの帰結が不当であるとして、かねてから批判されていた。改正前までは、その適用場面を目的物の引渡時以降とする有力な学説があり、これを踏まえ、第3節[[売買]]の[[民法第567条]]に「目的物の滅失等についての危険の移転」について定めたため、本条を削除した。 ==参照条文== *<del>[[民法第535条]](停止条件付双務契約における危険負担)</del>本条同様の理由で削除 *[[民法第536条]](債務者の危険負担等) ==判例== *[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55900&hanreiKbn=02  約束手形金請求](最高裁判決  昭和24年05月31日)[[民法第446条]],[[手形法第11条]] ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 総則]] |[[民法第533条]]<br>(同時履行の抗弁) |[[民法第535条]]<br>削除<br>[[民法第536条]]<br>(債務者の危険負担等) }} [[category:民法|534]] [[category:民法 2017年改正|534]] [[category:削除又は廃止された条文|民534]]
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2022-09-28T17:03:00Z
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4,765
民法第535条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) 削除 2017年改正により、継承条文なく削除。改正前条文は以下のとおり。 (停止条件付双務契約における危険負担) 危険負担につき、停止条件付双務契約における準則を定めた規定であった。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "削除", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "2017年改正により、継承条文なく削除。改正前条文は以下のとおり。", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "(停止条件付双務契約における危険負担)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "危険負担につき、停止条件付双務契約における準則を定めた規定であった。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]] ==条文== ;第535条 '''削除''' ===改正経緯=== 2017年改正により、継承条文なく削除。改正前条文は以下のとおり。 (停止条件付双務契約における[[危険負担]]) # [[民法第534条|前条]]の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない。 # 停止条件付双務契約の目的物が'''債務者の責めに帰することができない事由'''によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する。 # 停止条件付双務契約の目的物が'''債務者の責めに帰すべき事由'''によって損傷した場合において、条件が成就したときは、債権者は、その選択に従い、契約の[[履行]]の[[請求]]又は[[解除権]]の行使をすることができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。 ==解説== 危険負担につき、[[停止条件]]付[[双務契約]]における準則を定めた規定であった。 *停止条件付双務契約 *:「東京に、転勤したら東京にある家屋を買う。」というような契約。 *1項の場合 *:転勤が未定の間に、家屋が類焼で全焼して滅失した場合は、買い手が東京への転勤が決まったとしても、家屋を引き渡すという債務を負う売り手は、代金を請求できない。 *::→ <u>[[民法第534条|前条]]の特則であるから、前条削除に伴い削除。</u> *2項の場合 *:転勤が未定の間に、家屋が類焼で半焼となり損傷した場合は、買い手が東京への転勤が決まったときは、家屋を引き渡たせという債権を持った買い手は、代金を支払わなければならない。 *::→ <u>[[民法第534条|前条]]の特則であるから、前条削除に伴い削除。</u> *3項の場合 *:転勤が未定の間に、家屋が売り手の不注意で失火し半焼となり損傷した場合は、買い手が東京への転勤が決まったときは、家屋を引き渡たせという債権を持った買い手は、家屋の引渡を請求しても、契約を解除してもよい。引越しの準備をしたというような損害があれば、請求できる。 *::→ <u>債務不履行の一般則に帰結するので不要として削除。</u> ==参照条文== *[[民法第536条]](債務者の危険負担等) ---- {{前後 |[[コンメンタール民法|民法]] |[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br> [[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-2|第1節 総則]] |[[民法第533条]]<br>(同時履行の抗弁)<br>[[民法第534条]]<br>削除 |[[民法第536条]]<br>(債務者の危険負担等) }} [[category:民法|535]] [[category:民法 2017年改正|535]] [[category:削除又は廃止された条文|民535]]
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2022-09-28T17:04:21Z
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4,768
会社法第575条
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法) (定款の作成) 持分会社の設立の際に定款の作成が必要であることを定めた規定である。なお、「持分会社」の定義規定でもある。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(定款の作成)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "持分会社の設立の際に定款の作成が必要であることを定めた規定である。なお、「持分会社」の定義規定でもある。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)]] ==条文== ([[w:定款|定款]]の作成) ;第575条 # [[w:合名会社|合名会社]]、[[w:合資会社|合資会社]]又は[[w:合同会社|合同会社]](以下「[[w:持分会社|持分会社]]」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 # 前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、[[会社法施行規則第225条|法務省令]]で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。 ==解説== 持分会社の設立の際に定款の作成が必要であることを定めた規定である。なお、「持分会社」の定義規定でもある。 ;2項 :法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名) ==関連条文== *[[会社法第26条]](定款の作成) *[[会社法第576条]](定款の記載又は記録事項) *[[労働安全衛生法第46条]] ---- {{前後 |[[コンメンタール会社法|会社法]] |[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)|第3編 持分会社]]<br> [[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)#1|第1章 設立]]<br> |[[会社法第574条]]<br>(特別清算終結の決定) |[[会社法第576条]]<br>(定款の記載又は記載事項) }} {{stub}} [[category:会社法|575]]
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2022-05-31T23:54:43Z
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4,769
会社法第580条
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法) (社員の責任) 持分会社の社員の責任の発生要件と効果についての規定である。有限責任社員については出資の価額の限度でよい。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "(社員の責任)", "title": "条文" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "持分会社の社員の責任の発生要件と効果についての規定である。有限責任社員については出資の価額の限度でよい。", "title": "解説" } ]
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)]] ==条文== (社員の責任) ;第580条 # 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、[[w:持分会社|持分会社]]の債務を弁済する責任を負う。 #: 一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合 #: 二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。) # 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。 ==解説== 持分会社の社員の責任の発生要件と効果についての規定である。有限責任社員については出資の価額の限度でよい。 ==関連条文== *[[会社法第581条]](社員の抗弁) *[[会社法第588条]](無限責任社員であると誤認させる行為等をした有限責任社員の責任) *[[会社法第589条]](社員であると誤認させる行為をした者の責任) ---- {{前後 |[[コンメンタール会社法|会社法]] |[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)|第3編 持分会社]]<br> [[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)#2|第2章 社員]]<br> |[[会社法第579条]]<br>(持分会社の成立) |[[会社法第581条]]<br>(社員の抗弁) }} {{stub}} [[category:会社法|580]]
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4,772
会社法第445条
法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法) (資本金の額及び準備金の額) 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)により、5項を改正、6項を新設。 資本金、準備金(資本準備金、利益準備金)の定義、計上方法について規定している。 具体的な部分については、会社法施行規則第116条により会社計算規則第22条に委任されている。 具体的な部分については、会社法施行規則第116条により会社計算規則第35条、会社計算規則第36条に委任されている。
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法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)]] ==条文== ([[w:資本金|資本金]]の額及び[[w:準備金|準備金]]の額) ;第445条 # [[w:株式会社|株式会社]]の'''資本金'''の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。 # 前項の払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、'''資本金'''として計上しないことができる。 # 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、'''資本準備金'''として計上しなければならない。 # [[W:剰余金|剰余金]]の配当をする場合には、株式会社は、[[会社計算規則第22条|法務省令]]で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「'''準備金'''」と総称する。)として計上しなければならない。 # 合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転又は株式交付に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。 # 定款又は株主総会の決議による[[会社法第361条|第361条]]第1項第三号、第四号若しくは第五号ロに掲げる事項についての定め又は報酬委員会による[[会社法第409条|第409条]]第3項第三号、第四号若しくは第五号ロに定める事項についての決定に基づく株式の発行により資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。 ==解説== 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)により、5項を改正、6項を新設。 資本金、準備金(資本準備金、利益準備金)の定義、計上方法について規定している。 ;4項 具体的な部分については、[[会社法施行規則第116条]]により[[会社計算規則第22条]]に委任されている。 ;5項 具体的な部分については、会社法施行規則第116条により[[会社計算規則第35条]]、[[会社計算規則第36条]]に委任されている。 ==関連条文== *[[会社法第446条]](剰余金の額) *[[会社法第447条]](資本金の額の減少) *[[会社法第448条]](準備金の額の減少) *[[会社法第450条]](資本金の額の増加) *[[会社法第451条]](準備金の額の増加) ==参照条文== *[[商業登記法第80条]](合併の登記) ---- {{前後 |[[コンメンタール会社法|会社法]] |[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br> [[第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)|第5章 計算等]]<br> [[第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)#3|第3節 資本金の額等]] |[[会社法第444条]]<br>(連結計算書類) |[[会社法第446条]]<br>(剰余金の額) }} {{stub}} [[category:会社法|445]]
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2022-04-26T12:32:16Z
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