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ParallelFiction-Ja_En-100k-json

like 3

話からなんとか逃れた私たちが向かったのは、レオノーラさんに紹介してもらった皮革素材を扱うお店。 ここで買うのは防寒着に使うための毛皮である。 的に防寒着として人気なのは、その光沢や色、防寒性能などから狐や鼬だが、如何せんこれらの毛皮はとても高い。 一部の魔物素材ほどじゃないけれど、庶民には高嶺の花で、見栄を張る必要がなければ選択肢には登らない。 なので、今回私が選ぶのはコスト最優先の羊。 狐などと同等の防寒性能を出そうと思うと、外見がちょっとモコモコになっちゃうのが難点だけど、私たちが行くのは冬山で、金持ちの集まるパーティー会場じゃない。 躊躇なく羊の毛皮を買い込んだ私たちは、それを抱えてレオノーラさんの所へ帰還、大慌てで出立の準備を整えていた。 「もう一泊ぐらいしていけば良いのに」 「ありがたい話ですが、あまり余裕もないので......」 お願いしておいた素材を並べつつ、レオノーラさんがそう言ってくれるが、私はそれに首を振った。 期限を切られていないとはいえ、殿下の依頼はできるだけ早く終わらせておきたいし、今の状況でお店を留守にしているのは少々不安。 ケイトさんが残ってくれているから、滅多なことは起こらないとは思うけど......。 そんな私の感情が表に出ていたのか、フィリオーネさんは眉根を少し寄せ、顎を手で擦った。 「カーク準男爵? 私たちも周辺をちょっと探ってみたんだけど、少しきな臭い感じがしたわね」 「詳細は判らなかったんだけどねぇ。ちょっと不確定情報が多いんだけど、これ、保険として使えるかもしれないから、渡しておくね」 そう言ったフィリオーネさんから差し出されたのは、少し大きめの封筒。 厚みからして、数十枚ほどの紙が入っていそうな感じかな? 「ありがとうございます。助かります」 「あまり過信はしないでね? 私たちがカーク準男爵をヤるには不足と判断した情報だから」 「......了解です」 賢明な私は、微笑むフィリオーネさんに何を『ヤる』つもりなのか訊いたりはせず、ただ頷く。 私たちには優しげな顔しか見せていないけど、レオノーラさんのパートナーだもんね、フィリオーネさんも。 「サラサ、買い忘れはない? 素材には多少余裕を持っておいた方が良いわよ?」 「大丈夫です。おかげ様で、多少なら失敗しても大丈夫なだけを揃えられましたから」 を買ってもらえたので、追加で必要になったロレアちゃんの物を作っても、十分な余裕を持てるだけの素材を買うことができた。 じゃないし、たぶん大丈夫だとは思うけど、多少なら失敗しても素材が足りなくなることはない。 「店長殿、積み込みが終わったぞ」 「ありがとうございます、アイリスさん」 私たちが話している間に積み込みしてくれていたアイリスさんにお礼を言い、私とアイリスさんは改めてレオノーラさんたちに向き直った。 「それではレオノーラ殿、今回はお世話になった」 「フィリオーネさんも、美味しいご飯、ありがとうございました」 「ううん、またいつでも来てね。普段はノーラだから楽しかったわ。これ、お弁当。途中で食べてね」 「わぁ、嬉しいです!」 「フィリオーネ殿の料理は、そのへんの屋台で買うよりずっと美味しいからな」 「ありがと。でも、大した物じゃないから、あまり期待しないでね?」 「サラサ、もしどうしてもお金に困ったら連絡しなさい。サラサが持っている錬金術師たちの債権、ある程度ならこちらで買い取れるよう、現金は準備しておくから。状況次第ではアイツらから回収しても良いし」 「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ、私の借金相手は師匠ですし」 ヨク・バールから回収した債権に関しては、レオノーラさんと私の間で、ひとまず一年間は返済を猶予して様子を見ることに決めている。 その一年後の頑張り次第で、低利で長期の返済計画を立てるなり、高利で短期にするなり、更にお金を貸して奨励するなり。 あまりに酷いようなら、やや強引にでも貸し剥がすこともあり得る。 その頃に余裕があれば、レオノーラさんとともにその錬金術師たちと一度会ってみたいところだけど......どうだろう? ロレアちゃんの成長しだいかな? どちらにしろ、今の段階で強引に借金を回収するつもりはない。 「それにレオノーラさんのおかげで、当座の運転資金は手に入りましたし」 レオノーラさんへの売却代金が入ったリュックをチャリンと揺らし、私は笑顔で両手をぎゅっと握る。 なんと言っても師匠の場合、物納が可能。 しかも、この辺りの素材を送れば王都の相場で買い取ってくれるのだ。 その上、素材を送るだけなら、消費されるのは私の魔力だけ。 師匠に負担を掛けずに済むので、気兼ねなく転送陣を使える。 借金の返済の条件としては、とても有利な相手なのだから、これで返済できないようでは商売人としてダメだろう。 「――まぁ、ノルドさんみたいなイレギュラーがなければ、ですが」 「安心して。アイツが来ても、ヨック村には行かせないから」 付け加えた私の言葉にレオノーラさんは苦笑しつつも、しっかりと請け合ってくれる。 これで安心――とも言えないか。 レオノーラさんの所に寄らず、直接私の所に来たら無意味だし、ノルドさんはフェリク殿下とも知り合いの様子。 これからもトラブルを持ってきそうで......。 「そういえばレオノーラさん。ノルドさんってフェリク殿下と知り合いのようなんですが、ご存じでしたか?」 「フェリク殿下って、この国の第一王子のフェリク殿下? それは初耳ね」 少し驚いたように眉を上げたレオノーラさんに対し、フィリオーネさんはどこか納得したように頷く。 「あ~、なるほどねぇ。上の方と繋がりがあるとは思ってたんだけど、そこまでだったかぁ」 「フィー、予想してたの?」 「あんなトラブル体質――いや、自分でやってるからちょっと違うかも? ま、あれだけやっても無事って時点でね。フォローする人がいると思ってた」 「「「なるほど......」」」 とても納得のいく説明に、フィリオーネさん以外の私たが揃って頷く。 貴族且つ、採集者であるアイリスさんたちは特殊としても、かなりの確率で他の貴族にも迷惑を掛けているはず。 にも拘わらず、研究者を続けられている時点で、殿下のフォローが入っている可能性はかなり高そうだよね。 「......ま、ノルドさんがまた来たら、天災と思って諦めます。フェリク殿下が絡むと、どうしようもないですし」 王族なんて、私からすれば正に天災。 諦める以外にやりようがないのだから。 「それじゃ、そろそろ出発しますね。今日中に着きたいので」 「えぇ、気を付けて。荷車を牽きながら今日中にヨック村まで帰るとか、ちょっと非常識なんだけど......アイリス、あなたも大変ね?」 私には呆れたような視線を、アイリスさんには同情するような視線を向けるレオノーラさん。 そんな視線を向けられたアイリスさんの方は、否定することもせず苦笑する。 「ははは......幸い、身体強化には適性があったみたいでな。なんとか付いて行けているよ。大半は店長殿が荷車を牽いているから、自慢にもならないんだが」 むー、そこまで無茶をせず、配慮してたつもりなんだけど。 あ、そうだ。 「いえいえ、アイリスさんは頑張っていると思いますよ、身体強化を覚えて日が浅いことを考えれば。素質もあると思いますが、努力の結果です。凄いです!」 「そ、そうだろうか? えへへ、そんなに褒められると照れるな」 思った通り、ちょっと良い気分になってはにかむアイリスさんの背中をポンと叩き、私は荷車を牽いて歩き出す。 「ですからその調子で頑張りましょう。それでは二人とも、お世話になりました!」 「あ、え、あぁ、うん。世話になった!」 慌てて私のあとを付いてくるアイリスさんと、苦笑しながらも手を振って見送ってくれるレオノーラさんとフィリオーネさん。 そんな二人に私も手を上げて返し、私たちはやや足早に門へと向かった。 レオノーラさんのお店を出たのは昼に近かった。 この町に来たときには、早朝に出て到着したのは夕方近く。 同じ時間がかかるならば、道中で一泊は必要。 しかし、荷車に載っているのは毛皮と錬金素材。 に比べれば破損のリスクは小さく、重量も軽い。 「つまり、来た時よりも速く走れるってことですね、アイリスさん。日が落ちる前に帰りますよ。頑張れますよね、努力家のアイリスさんなら」 「やっぱりなのか!? この時間に出発する時点で予想はしていたが......えぇい! やる! やってやる!」 「その意気です! アイリスさんならできます!」 キリッとした表情で決意を述べるアイリスさんを私も激励。 だけど――。 「でも、ちょっとだけ、手加減してくれると嬉しい」 少しへたれた。 「ええ、もちろん無理はしません。――ギリギリは狙いますが」 「......ん?」 ポソリと呟いた私の言葉を聞き咎め、小首を傾げたアイリスさんをその場に残し、町の門を出た途端に荷車を引っ張って走り出す私。 「あ、店長殿! 何か気になる言葉が――」 何か言っているアイリスさんをサックリと無視して私が走り出せば、彼女も慌てて私の後を追って走り始めた。 実際のところ、今のアイリスさんの身体強化のレベルだと、今日中に帰るだけならそこまで大変じゃない。 であれば、まだ半日以上あるのだから。 でも夜遅くなるのは、あまり嬉しくない。 夜の街道が危険なのもそうだけど、どうせなら夕食はロレアちゃんの温かい料理を食べたいよね? ということで、私は頑張った。 全力を挙げた。 アイリスさんの実力をギリギリまで絞り出すことに。 そしてそれはしっかりと成果を上げ、私たちは無事、その日のうちに家に帰り着き、ロレアちゃんの夕食に与ったのだった――私だけは。 アイリスさん? アイリスさんは、『食べる気力もない』とか言って、そのまま寝ちゃった。 勿体ないよね、ロレアちゃんのご飯、美味しかったのにね?

Then we managed to escape Mr. Marley's thankful (long futility) story when we headed to a store dealing with leather materials introduced to him by Mr. Leonora. What I buy here is fur for use in cold proof clothing. Foxes and weasels are generally popular as cold clothing because of their shine, color, cold resistance, etc., but these furs are very expensive anyway. It's not as good as some demonic material, but it's a high ridge flower for the common people, and they don't climb the choices if they don't need to look good. So what I choose this time is a sheep with the highest cost priority. It's hard to get a little mocky on the outside when you want to give it the same cold protection as a fox or something, but what we're going to is Winter Mountain, not a rich gathering party venue. Having bought in the sheep's fur without hesitation, we had returned to Mr. Leonora with it, ready to leave in a great panic. "I wish I'd stayed another night or so" "I appreciate the story, but I can't afford much..." Mr. Leonora tells me that while lining up the material I asked for, I shook my head at it. Even though they haven't expired, I'd like to finish your request as soon as possible, and I'm a little anxious to be away from the store in the present situation. I don't think much will happen because Kate is still here for me...... Such was my emotion on the table, Mr. Filione frowned a little and rubbed his jaw with his hand. "Associate Baron Kirk? We've been exploring the neighborhood a little bit, but you smelled a little bit." "I didn't know the details, hey. I have a lot of uncertain information, but I'll give it to you because it might be used as insurance." That's what I said. Mr. Filione gave me a slightly larger envelope. From the thickness, does it feel like it's going to contain dozens or so of paper? "Thank you. It helps." "Don't be too overconfident, okay? Because it's information we've decided is lacking to fuck Associate Baron Kirk." "... Copy that." Wise I do not ask Mr Filione, who smiles, what he intends to 'fuck', just snort. You're only showing us a kind face, but you're Mr. Leonora's partner, and so is Mr. Filione. "Sarasa, don't you forget to buy it? You'd better keep some room for the material, wouldn't you? "It's okay. Thanks to you, we have everything we need to be able to fail." Mr. Leonora was able to buy more smelting equipment (artifacts) than I expected, so even if I made additional Lorea stuff I needed, I could buy enough material to afford. It's not that hard to smelt (artifacts) that you need, and I'm sure it's okay, but if you fail at all, you won't run out of material. Sir, we're done loading. "Thank you, Mr. Iris" I thank Mr Iris for loading it up while we were talking, and Mr Iris and I turned again to Mr Leonora and the others. "Well, Lord Leonora, thank you for your help this time" "Thank you too, Mr. Filione, for a delicious meal" "Yeah, come back anytime. Nora and I usually have fun. This, lunch box. Eat on the way." "Wow, I'm glad! "Lord Filione's cuisine is much better than buying it in the stalls." "Thanks. But it's not a big deal, so don't expect too much, okay? "Sarasa, if you really need money, contact me. Because I'll have the cash ready so Sarasa can buy the alchemists' claims and, to some extent, here. Depending on the circumstances, you can collect it from them." "Thank you. But it's okay, my debtor is my master." As far as the claims recovered from Yoku Barr are concerned, between Mr. Leonora and me, I have decided for the first time to suspend repayment for a year to see how it goes. Depending on your hard work a year later, you will have a long-term repayment plan at low interest rates, you will be short-term at high interest rates, and you will be encouraged to lend more money. If it seems too bad, it can be slightly forceful or peeled off. If I could afford it by then, I'd just like to meet those alchemists once with Mr. Leonora... what do you think? Will you grow up, Lorea? Either way, I'm not going to forcefully collect my debts at this stage. "And thanks to Mr. Leonora, we have the working capital for the moment." Charin rocked the backpack containing the cost of the sale to Mr. Leonora, and I grinned and squeezed my hands. Whatever you say, in the case of a master, it is possible to store it. Besides, if you send me materials around here, they'll buy them at the Wang Capital market. Besides, if you just send the material, all it consumes is my magic. You don't have to strain your master, so you can use the transfer team at will. As a condition of repayment of the debt, you are a very advantageous counterpart, so you won't be able to be a merchant if you can't seem to repay it with this. "- Well, without an irregular like Mr. Nord," "Don't worry. If he comes, I won't let him go to Yorkville." Mr. Leonora smiles bitterly at my words I have added, but he makes a firm contract. Can't you even say that this is reassuring? It would be pointless not to come to Mr. Leonora, but to come directly to me, and Mr. Nord is acquainted with His Highness Felix. I'm going to keep bringing trouble...... "Speaking of which, Mr. Leonora. Mr. Nord seems to know His Highness Felix, did you know him? "His Highness Felik, His Highness Felik, the first prince of this country? That's my first ear." Mr. Filione nodded as he was somewhere convinced, against Mr. Filione, who raised his eyebrows a little surprised. "Ah, I see. I thought there was a connection up there, but that was it." "Fee, were you expecting me? "Such a troubled physique - no, maybe a little different because I'm doing it myself? As of now, it's safe to do all that. I thought you had someone to follow." "" "I see..." " To a very convincing explanation, all three of us but Mr. Filione nod. Nobles and collectors, Mr. Iris, have a good chance of annoying other nobles as well. Nonetheless, at a time when we are being kept researchers, it seems quite likely that His Royal Highness's follow-ups are in, doesn't it? "... If Mr. Nord comes back, I'll give up thinking it's a natural disaster. When His Highness Felix is involved, there's nothing we can do." Royalty, from me, is a natural disaster. Because there's nothing I can do but give up. "Then it's time to leave. Because I want to get there by the end of the day." "Yeah, be careful. I'm a little insane about taking my luggage car home to Yorke Village by the end of the day... Iris, you're in trouble too, aren't you? A gaze of surprise to me, and a sympathetic gaze to Mr. Iris, Mr. Leonora. Mr. Iris, with such a gaze on him, laughs bitterly without denying it. "Ha ha... Luckily, it looks like you had a fit for physical strengthening. I can manage to follow you. I'm not even proud of the fact that the manager is carrying a luggage truck." Mm-hmm. I'm not so impotent, I was going to take care of it. Oh, yeah. "No, I think Mr. Iris is doing his best, given the shallow days of remembering physical enhancement. I know you have qualities, but it's the result of your efforts. It's amazing!" "Oh, is that right? Hehe, don't be so complimented." As I thought, I feel a little better and I pound Mr. Iris on the back, and I walk out with my luggage. "So let's do our best at that rate. So long, both of you, thanks for your help! "Oh, uh, oh, yeah. I took care of you! Mr. Iris, who hastily follows me, and Mr. Leonora and Mr. Filione, who smile bitterly but wave away. I also raised my hand back to those two, and we headed to the gate somewhat early. It was close to noon that I left Mr. Leonora's shop. When I came to this town, I left early in the morning and arrived near evening. If it takes the same amount of time, you need a night on the road. But what's on the luggage truck is fur and alchemy material. Naturally, the risk of damage is smaller and lighter than that of smelters (artifacts). "That means you can run faster than you did when you came, Mr. Iris. I'll be home before sundown. You can work hard, if you're a hard-working Iris." "I knew it!? I was expecting it at the time I left at this hour... Yea! I'll do it! I'll do it! "It's that intention! Mr. Iris can do it! I also encourage Mr Iris to state his determination with a crisp look. But... "But just for a moment, I'm glad you're relieving me" A little bit. "Yeah, of course I won't be able to. - I'm going for it." "... hmm? Me listening to my words with posoli and whining, leaving Mr. Iris on the spot with his little neck tilted, pulling his luggage car and running out as soon as he left the town gate. "Ah, the manager! Something bothers me." If I ran out sassy ignoring Mr. Iris, who is saying something, she also rushed to start running after me. In fact, with Mr. Iris's current level of physical enhancement, it's not that hard if you're just going home by the end of the day. If it is now (...) in the middle of the day (...), then there are still more than half a day. But I'm not too happy to be late at night. The streets at night are dangerous, too, but you want to have some of Lorea's warm dishes for dinner anyway, right? So I did my best. I gave it my full strength. To squeeze out Mr. Iris' strengths to the point of criticism. And it was well accomplished, and we were safe, and we got home within that day and gave Lorea her dinner - just me. Mr. Iris? Mr. Iris fell asleep, saying, 'I don't even have the energy to eat' or something. You're not sick, are you, Lorea? Your rice was delicious.

「次は修業先探しか? せっかくだ、私も付き合って良いところを選んでやろう」 「はぁ、ありがとうございます。......って、そうじゃなくて、このリュック、すっごく軽いんですけど!?」 元々入れていたのは着替えなど軽い物だったので気が付かなかったけど、錬金術大全を入れても全然重くならない。 いや、もちろん重くはなっているのだが、予想していた重さ分の一も無い。 あまりにも予想外の軽さに、転びかけたほど。 「重量軽減が付いていると言っただろう? それぐらいじゃないとお前、大全を持って旅行できまい?」 「それは......そうですが」 自慢じゃないが、私は力が無い。 理由? それはまぁ、勉強ばかりしていたら、そうなるよね? 元々小柄な方だし、身体を鍛えなければどうなるかは自明のこと。 悲しいことにね。 「......いえ、ありがとうございます。正直、非常に助かります」 このリュックの効果とそこから想定されるお値段を考え、もう一度師匠にお礼を言う。 卒業祝いとはいえ、タダで貰うのが怖いくらいだけど、断って返したところで師匠は受け取らないだろうし、ありがたく貰っておいた方がきっと喜ぶ。 少し無愛想に見えるけど、その実、とても優しい。 師匠はそんな人だ。 「ふむ。まぁ、弟子の門出だ。それぐらいは気にするな」 にやっと笑って、頭をポンポンと撫でてくる師匠に私は苦笑を返し、学生支援課へと向かう。 そこでは在学中のバイト先紹介の他、卒業後の就職支援も行ってくれる。 私は師匠のお店以外にも掛け持ちでいくつかバイトをこなしていたので、ここのお姉さんとは、名前を覚えてもらえるぐらいには仲が良い。 私がいつものように「こんにちわ~」と入っていくと、暇そうな担当のお姉さんから「いらっしゃーい」と軽い返答が返ってくる。 が、師匠を見た瞬間、お姉さんは数秒前の様子が嘘のように、ぴしりと背筋を伸ばし、完璧な営業スマイルを浮かべた。 「本日はどのようなご用件で?」 「え、えっと、修業先を探したいので、求人を見せてもらえますか?」 「わかりました。少々お待ちください」 私が少し戸惑いつつ、そう言うと、お姉さんは席を立って棚の方へ歩いて行った。 口調がいつもと違い丁寧なのは、師匠の効果なのだろう。 普段付き合っていると感じないけど、これでも師匠は錬金術師の超エリートなんだよね。 「ふむ。人がいないな?」 カウンターにいたのはお姉さん一人で、学生は一人もいない。 普段はもう少し人がいるので、こういう光景は珍しい。 「あー、それは今日が卒業式だったからですよ」 バインダーを手に戻ってきたお姉さんが、師匠の疑問に応える。 「ああ、そうか。私も卒業式の後は友人同士でパーティーとかやったな。本格的になるのは明日からか。サラサは......」 「募集要項、見せて頂けますか?」 師匠の何か言いたげな視線をさらっと無視し、お姉さんに手を差し出す。 ええ、どうせパーティーするような友達はいませんよ! 誘われもしなかったよ! 去年は先輩たちが誘ってくれたけど、知らない人ばかりで気後れして参加できず、その翌日、後輩も含めだけで食事会をしただけだよ! しで私の頭を撫でてきたが、そんなの無視である! 「すまないが、空き店舗情報を見せてくれるか?」 「あ、はい。こちらになります」 店舗情報の方は側にあったのか、お姉さんがすぐに師匠に差し出す。 「あれ? 師匠、お店を増やすんですか?」 すっごく繁盛してるから、支店を増やしたり、もしくは店舗を大きくしたりすること自体は不思議でも何でもないけど、師匠ってそっち方面には興味なさそうに見えたんだけど。 「そう言うわけじゃないが......それより、良いところはあったか?」 「いえ、今のところは......」 私が見ているバインダーには、現時点で弟子の受け入れが可能な錬金術師のお店が載っている。 この中から自分の条件に合うお店を探し、面接を経て就職、そこで経験を積みながら、ある程度のお金を貯め、自分のお店を買って独立、というのが一般的な錬金術師のキャリアプランだ。 就職活動に必要な資金のことを考えると、近場が良いんだけど......王都のお店は無いなぁ。 学校があるだけに、人材は過剰気味なんだろう。 多いのはやっぱり地方。先輩たちが就職したのも地方だったし。 就職できるなら、あまり場所にこだわりは無いけど、難点は面接に行くのにかかる時間と費用。 交通費と宿泊費を使った上で不採用となれば、払ったコストは無駄になる。 もし上手く採用してもらえても、部屋を借りたり、生活必需品を揃えるにもお金は掛かる。 学校の寮ではそのへん、支給してもらえたんだけど......錬金術大全を買ってしまった現在、私に余裕は、あまり無いんだよねぇ。 そんなこともあり、コネがあれば知り合いの錬金術師のお店に就職するのが一番安心なんだよね。 だから本当は、師匠が私を誘ってくれたのは、すっごく幸運な事。 そんな話を蹴った私に対して、師匠は残念そうな顔をしながらも、少しだけ嬉しそうに私の考えを認めてくれて、「困ったら戻ってくるように」という言葉まで贈ってくれたのだから。 「ちなみにサラサ、就職活動に使える資金はどのぐらい残っているんだ?」 「うっ......」 募集を出しているお店との距離と、そこまでに必要な費用を必死で計算している私に、師匠がズバリと聞いてくる。 そんな師匠に、躊躇いがちに伝えた私の答えに、師匠は少し呆れたような表情を浮かべた。 「錬金術大全を買った時点で予想はしていたが......。そんなお前に、お薦めの物があるんだが?」 そんな事を言いながら、師匠が差し出したのは師匠の見ていたバインダー。 それは、売り出し中の店舗情報をまとめた物で、基本的には廃業した錬金術師の中古物件だ。 錬金術師のお店はその性質上、色々な設備が付属している。 それは錬金術師にとってありがたい反面、一般の人には無駄な設備で、改築の手間が増える分だけ価値が下がる。 そのため、錬金術師には高く売れる物件も、一般の人相手では値引きしないと買ってもらえない。 かといって、一般の不動産屋で錬金術師向けとして売り出したとしても、錬金術師の総数を考えれば、そうそう買い手が付かないのは目に見えている。 そういった双方の不便さを解消するため、学校では不動産の仲介もまた行っているのだ。 「何ですか、師匠。お薦めって......え!? 安っ!」 師匠が差し出したページに書かれていた店舗の価格、なんと一万レア。 錬金術大全のおかげで大幅に減った私の資産でも、十分に払えてしまう金額。 「な、何ですか、このお店!?」 「店舗部分はやや狭いが、居住スペースあり、薬草畑あり、各種設備と道具付き。場所は田舎だが、かなりお買い得だな」 間取りを見ると師匠のお店のように広くはないが、そもそも田舎は客が少ないので、そんなに広いスペースは必要ない。 建てで、師匠の言うとおり居住スペースがあり、井戸もある。 裏にはかなり広い畑が付いて必要とあればそこで薬草も育てられるようだ。 「......いえ、安すぎるでしょう! あり得ないですよ!」 家として安いとかそういうレベルではなく、安すぎる。 王都なら一、二ヶ月分の家賃程度の金額でしかなく、一回面接を受けに行く費用だけでも十分にお釣りが来る。 正直、何か危ない部分があるんじゃないかと疑いたくなる。 ――仲介が学校だから多分大丈夫だとは思うけど。 「まあ、あれだ。補助金がそれなりには出ていると思うぞ?」 「あ、なるほど。それなら......まぁ......」 補助金とは、錬金術師が店舗を構える際に国が支援してくれるお金のことだ。 国としてはそれぞれの街に錬金術師のお店を作って欲しいのだが、どこにお店を構えるかは錬金術師の自由。 一番人気はやはり人口の多い王都で、その周辺の大都市が二番手と言ったところ。 お客の少ない不便な田舎にわざわざお店を開くことは、誰だって避けたいのだ。 そこで出てくるのが補助金である。 人が行きたがらない場所ほど多く、王都などの都会には補助金無し、と差を付けて、なんとか人を確保しようとした国の仕組み。 修行中の新米錬金術師にとって、店舗を購入する資金を貯めるのはかなり大変なので、早くお店を持ちたい錬金術師は大抵その恩恵にあずかっている。 しかし、逆に言うなら――。 「つまり、このお店は一万レアで売ってもかまわないほど補助金が出る、とんでもない田舎にある、と?」 一応、住所は書いてあるのだが、聞いたことが無い。 少なくとも私の知識に無いくらい、小さな町であることは確実だよね。 「ここは大樹海の側にある小さな町......いや、村にある」 「大樹海って......ここから馬車で一ヶ月くらい掛かりますよね?」 「そうだな。ただ、錬金術の素材は手に入りやすいから、技術を上げるには悪くない場所だぞ? ――客は少ないかもしれないが」 大樹海とはこの国の辺境で、南北に伸びる大山脈とその麓に広がる樹海のことを言う。 正式名称は“ゲルバ・ロッハ山麓樹海”で、各種植物・昆虫・鉱石などの錬金術関連素材が多く取れることで有名だ。 なので、師匠の言うとおり腕を磨くには最適な場所ではあるのだけど......。 「お客さんがいないのは致命的ですよ? 私、貯蓄はすべて吐き出したんですから、お客さんが来ないと生活できませんし」 そうなのだ。 産地近くということで、各種素材が安く手に入ったとしても、製品が売れなければどうにもならない。 大全を買う前ぐらいの蓄えがあれば、数年間そこで腕を磨くという選択肢があったかもしれないが、今の蓄えでは生活ができない。 「ふむ、良いと思うんだがな」 「第一、私は昨日卒業したところですよ? いきなりお店を持つなんて......」 「それは問題ない。全くの素人ならともかく、お前は何年もウチの店で働いてきただろう? それなりにやっていけると思うぞ? レベルなってるし」 「......え? 三?」 「ああ。――サラサ、お前、錬金術師のレベルはどうやって上がるか知っているか?」 「そういえば......?」 錬金術師のレベルが~とか、マスタークラスが~とか言うわりに、どうやってレベル上げるのか学校では教えられなかった。 研鑽しなさいとか、努力しろとか言われるだけで。 「ふむ。まあ、資格を取った後、弟子入り後に教えられるのが普通だからな」 そう言って師匠が教えてくれたのは“錬金術大全の各巻に載っている物をすべて作製できればレベルが上がる”ということだった。 つまり、第一巻の物をすべて作ればレベル二に、第二巻の物をすべて作ればレベル三になれる。 学生の内に教えないのは、早くレベルを上げようと、正式な資格も無いのに無理して錬金術を行使したりしないように、ということらしい。 「そういえば、バイトで色々作りましたね。え? つまり、私はいつの間にか一、二巻の物はすべて作っていたんですか?」 「そういう事だ。あのあたりは一番よく使われる物が載っている巻だからな」 師匠の指導の下、結構な種類を作ったと思ったら......。 いや、たぶん、それを考えてやらせてくれてたんだと思うけど。 「だから、お前なら店ぐらいは開けると思うぞ」 「でも......商売のことは何も知らないんですけど」 師匠の言うとおりであれば、確かに売れ筋商品を作るのは問題無さそう。 しかし、バイト期間中、私がしたのは作製のみで販売などには、全く関わっていない。 つまり、値付けや仕入れ、その他経営のことに関しては全くの素人なのだ。 「うーん、そうだな......よし、こうしよう。お前が定期的にあの近辺の珍しい素材を送ってきたら、それを私が買い取ろう。これなら生活に困ることはないはずだ」 それなら、生活費ぐらいは稼げる、のかな? 贅沢をしたいわけでもないし、修行と考えれば、それもまぁ......って。 「――師匠、まさかそれが狙いで?」 「私はいつも、弟子の将来を考えているよ」 普段見せないようなさわやかな笑顔で、私の頭を撫でてくれる師匠。 「はぁ、それはありがとうございます? ――いえ、否定しませんでしたよね!?」 「ああ、君、これの契約はどうすれば良いのだ? ――ここで金を払えば権利書が貰えると。じゃあ、これで」 私の抗議をさらっと無視し、師匠は自分の財布から取り出したお金で権利書と鍵を受け取ってしまった。 それをささっと畳み、私のポケットに突っ込んでしまう。 「さぁ、これでサラサも店持ちの立派な錬金術師だ。おめでとう! あ、それは私からの贈り物だ。受け取ってくれ」 「え、え、ええぇ~」 私の肩をポンポンと叩きながら、にこやかにそんなことを言う師匠。 なんか、怒濤の勢いで私の将来が決まってしまった。 え? 私、ここに就職先探しに来たんだよね? それがいつの間にやら独立した店長ですよ? 「ししょ~、すっごい不安なんですけど」 「まぁ、手助けはしてやるから頑張ってみろ。借金さえしなければ、失敗して戻ってきても雇ってやるから」 「はぁ......」 そういう事なら――良いのかな? 王都に帰れる旅費さえ確保しておけば、師匠のお店で働けるわけだし? 見習いのバイトでも十分な賃金をくれていたのだから、就職してもひもじい思いをすることは無いはずだ。 錬金許可証 「わかりました、頑張ってみます!」 そう言って気合いを入れ、手をぎゅっと握る。 「うん! その意気だ!」 そんな私の様子を師匠が満足そうに、ウンウンと頷きながら激励してくれる。 ......あれ? これって師匠に乗せられてない? 気のせいかな? ◇ ◇ ◇ 師匠のお店に戻った後、師匠は私のために卒業パーティーを開いてくれた。 決して私がボッチなのを哀れんだのでは無く、純粋な厚意......なんだと思いたい。 参加者はお店で働いている人たち。 他の人たちは来ていない。 急なことで予定が合わないだろうしね。 私にだって、呼んだら来てくれるかもしれない人ぐらい、少しはいるんだよ! 他のバイト先の人とか! 誘っては無いけど。 決して微妙な表情で断られるのが、怖いわけじゃない。 「しかし、師匠。突然パーティーなんて、準備が大変だったんじゃないですか?」 会場のテーブルには、私が食べた事の無い豪華な料理とお酒類が並んでいる。 すでに結構な量を頂いたけど、どれもとっても美味しく、いくらでも食べられるような気がしてくる。 もちろんそんなことは無理なので、ちょっとずつ、いろんな料理をつまんでいるのだが。 ――高そうなのから食べるのは基本だよね! 「このくらいなら大したことない。作ったのはあいつだしな」 そう言って師匠が指さしたのは、いつもカウンターで接客を担当しているお姉さんのマリアさん。 そちらに目をやると、マリアさんがニッコリと笑って手を振る。 え? この豪華料理を? プロの料理人が作ったみたいなんですけど。 「で、でも、高価そうな食材とか、お酒とか......」 「ん? これくらいは普段から使っているぞ? 多少は買い出しに行ったようだが」 おお、師匠くらいになると、このくらいの食事が普通なのか! 普段は寮でしか食べない、私の食事とは比べるべくもないけど、たぶん、高級料理だよね!? 「というか、お前、節約しすぎじゃないか? 私も学生時代、そんなに金は無かったが、試験が終わったときなんかには、このくらいの所には食べに行っていたぞ?」 あれ? そんなに高級料理じゃない? 「――というか、師匠がお金を貯めろって言ったんじゃないですか!」 「そうだったか? 貯まったら錬金術大全を安く買ってやるとは言った気がするが」 「同じ事ですよ! 買うべきだと言われたら、貯めるに決まってるじゃないですか!」 何を言っているんでしょう、この師匠は! あんなこと言われたら必死で貯めますよ! 万レアもお得なんだから! 「いや、別に一〇巻まとめて買わなくても良かっただろう? 例えば五巻までとかでも私が行けば安くなるんだから」 「そっ......、そう、なん、ですか?」 「保証金分はな。五巻までだとそんなに高くはないが」 聞いてない。聞いてないよーー! 「それならそうと教えてくださいよ! あんなに頑張って節約したのに!」 「いや、どれぐらい貯まっているかなんて知らなかったしな。それに一〇巻まとめての方が割安なのは確かだぞ? 一〇巻だけを買う場合も上級錬金術師が必要だから、保証費用は高額になるしな」 たしかに、同じように来てもらうのだから、一冊だけの保証でも、一〇冊まとめてでもそんなに変わらないのかもしれない。 それなら結果的には良かったのかな......? せば上級錬金術師なんですよね? じゃあ、一〇巻をすべて熟した場合はどうなんですか?」 「あぁ、そいつはバカだな」 「......はい?」 あれ、聞き間違い? 「バカだ。一〇巻の中身......は読めないだろうが、厚みを覚えているか? 特にぶ厚かっただろう?」 「そういえば、そうだった気がします」 大全をリュックに入れる時、一〇巻だけは片手で持ちにくいほどにぶ厚かったのを思い出す。 人一人ぐらい、簡単に撲殺できそうなレベルで。 も載っているが、大半はどうでも良いような、九巻以下に載せるのも無駄な だからまぁ、作ることは難しくなくても、作るための時間と素材が無駄というわけさ。それをわざわざやるのはバカぐらいだろう?」 「それは、確かに......あ、でも師匠は上級以上のマスタークラスなんですよね? それは?」 一〇巻を全部マスターすればマスタークラスなのかと思っていたんだけど。 を作れることがマスタークラスの条件の一つではある。それ以外は......」 「それ以外は?」 もったいぶったように私を見つめて、師匠が言った言葉は......。 「――秘密だ」 「えぇ~~~。なんでですか~? 教えてくださいよ~」 「マスタークラスは上級とはまた違った、それなりに大事な役割があるんだよ。もしお前が上級になって見込みがありそうなら教えてやるから、我慢しろ」 「う~、絶対ですよ?」 「まず上級になれるかどうかを心配しろ。錬金術師でも一部しかなれないんだからな?」 「それはそうですけど......」 不満そうに見上げる私に、そう言って師匠は笑うと、持っていたワインを飲み干した。 「ほら、サラサも話してないで飲め。成人したんだろ? 酒も楽しめないとな」 「そ、そうですね。初挑戦です!」 厳密にでは無いけど、酒類を飲めるようになるのは一五歳の成人から。 私も少し前に一五歳の誕生日を迎えていたけど、節約を でも今日はタダ酒。飲まないのは勿体ないよね? しかも多分、高級。 私はちょうど目の前にあったお酒をコップに注ぐと、そのまま師匠の真似をして その瞬間、喉の奥がカッと熱くなり、師匠の慌てたような顔が見え............。 ◇ ◇ ◇ 翌日、私が目を覚ましたのは知らないベッドの上でだった。 確か昨日は......師匠がお祝いのパーティーを開いてくれたんだよね? 途中から記憶が無いけど、つまりここは師匠のお店かな? ベッドから起き出し、部屋から出るとそこは見覚えのある廊下。 入ったのは初めてだけど、ここはお店の二階にある客間だったみたい。 そのまま階段を下り、人の気配のするお店の居住スペースに向かうと、そこにはテーブルでのんびりとお茶を飲んでいる師匠がいた。 「師匠、おはようございます」 「おう。目が覚めたか。昨日はなかなか笑わせてもらったぞ? 酒を一口飲んだ途端、机に突っ伏して――くっ、ふふふふ......あーはっはっは!」 その時の様子を思い出したのか、途中でこらえきれなくなったように吹き出すと、大声で笑う師匠。 そういえば、昨日は初めてお酒を飲んで......師匠の言うとおりなら、そのまま意識を失った、ってこと? ――いや、酷くない? 確かに一口で倒れるとか、ちょっと情けないけど、そこまで笑うこと無いよね? 私が憮然とした表情を浮かべると、一度師匠は笑いを収めたのち、再びニヤリと笑う。 「しかも、『ケジメだから』とか言っておきながら、結局ウチに泊まることになったな?」 「ぐっ......それは......」 そうだった。 半ば不可抗力とは言え、自立すると決めた初日から、いきなり師匠の世話になってしまったのだ。 お酒に慣れていないからと言い訳したところで、もし酒場で前後不覚になってしまったら誰も助けてくれない。 成人した以上、そのあたりも自己責任なのだから。 「あのお酒が強すぎるんですよ......」 「確かにそれなりに酒精の強い酒だな。ちなみに、値段の方もかなりの物だぞ? 確か――」 「ストップ! 言わないでください! 更に立ち直れなくなる......」 師匠の言う“かなりの物”なんて聞きたくない! 絶対、普通なら私の口に入るような値段じゃないよね!? そのお酒の味はおろか、飲んだことすら記憶にないんだけど、無駄になったお金を思うと心だけは痛い。 「......もう、当分お酒は飲みません」 「それが良い。飲む時には是非また私に笑いを提供してくれ!」 そう言ってまた「くふふっ」と笑う師匠。 つまりまたお酒を飲んでぶっ倒れろ、と言うことですね? わかります。 ――少なくとも、人前でお酒を飲むのは控えよう。 私も一応女だから、笑い話では済まないかもしれないし。 「とか言ってますけど、昨日、サラサさんが倒れた後、店長はかなり焦っていたんですよ? 部屋に運んだのも店長ですし、落ち着くまで側に付いていたんですから」 「あ、マリアさん」 私が落ち込んでいると、台所スペースからコップを持ったマリアさんがやって来て、そんな話を暴露した。 「マリア! 余計なことを言うな!」 マリアさんは笑いながらそう言うと、私に「どうぞ」と水の入ったコップを渡してくれた。 喉の渇いていた私はありがたく受け取り、コップを傾けながらそっと師匠の様子を窺うと、さっきまで笑っていた師匠がなんだか憮然とした表情で口をへの字に曲げている。 「ま、まぁ、さすがにウチの店で人を死なすわけにはいかないからな!」 めっ面でそんなことを言うが、マリアさんは気にした様子もなく苦笑している。 「本当に素直じゃないですねぇ。まあ、いいですけど。さて、朝食できましたよ。サラサさんも食べられますよね?」 「食べていけ。朝食ぐらい、気にするほどの物じゃないだろう?」 これ以上世話になるのは、とちょっと躊躇した私に師匠はそう言うと、マリアさんに言って三人分の食事を並べさせる。 「ありがとうございます」 正直な話、今日中に出立することを考えると、時間的にもかなり助かるのは事実。 私はお礼を言って、やや急いで朝食を食べ始めた。 朝食を食べ終えた私は、すぐに出立の準備を始めた。 準備とは言っても、私物はすべて師匠のくれたリュックに入っているし、用意する物と言えば食料くらいのもの。 それらにしても途中のお店で買えば済むだけだから、身だしなみを整えて、リュックを背負えばそれで完了なんだけどね。 そのまま師匠に挨拶してお店を出ようとしたところで、「これも持って行け、餞別だ」と言って渡されたのは、錬金術関連の道具一式と経営におけるアドバイスが書かれているらしい冊子。 冊子はともかく、錬金術の道具は決して安くない。 少なくとも、一般庶民ではそうそう手が出せないような金額なのは知っている。 高価なリュックをもらい、店舗代金まで払ってもらっているのに、その上餞別までもらうのは......と私が受け取りを少し渋っていると、師匠は飄々として「これでも私はマスタークラスの錬金術師だぞ? 大した額でもないから気にするな。やや変則的とはいえ、お前はウチから独立して自分の店を持つ弟子なんだ。この程度の餞別、安いくらいだな」などと 庶民がとても稼げないような額を“この程度”とか、さすが錬金術師、ハンパないです。 更に出がけにマリアさんがコッソリ教えてくれたところによると、冊子の方も、昨日、私が寝てしまった後、師匠が朝方まで掛かって書き上げてくれたものらしい。 うーむ、今朝、眠そうだったのはそれが原因なのか。 なら爆笑されたのも許せるかな。 徹夜明けってハイになるしね。 って言うか、むしろ師匠に返せそうにない恩が積み重なっていくんだけど......。 錬金術大全の事も考えれば、私って師匠に数百万レアは援助されている感じだよね? ......うん、これは頑張って成功しないとね。少しでも恩返しできるように。 私はそんな決意を胸に、王都を旅立ったのだった。 辺境の村で待ち受ける現実なんて知りもせず......。

"Looking for a place to study next? Because of that, I'll hang out with you and pick a good spot." "Ha, thank you.... and it's not, this backpack is so light!?" I didn't realize what I was putting in it originally because it was a light thing such as changing clothes, but putting in the whole alchemy doesn't make it heavy at all. No, of course it's getting heavier, but not a tenth of the weight I expected. To too unexpected lightness, so much so that I almost fell. "I told you it came with weight loss, didn't I? If that's not the case, you can travel with Dae-seok? "That's... yes" I'm not proud, but I'm powerless. Reason? Well, if you keep studying, you will, won't you? I'm a small person originally, and it's self-evident what happens if I don't train my body. Sadly. "... No, thank you. Honestly, it's very helpful." Consider the effect of this backpack and the price assumed from it and thank the master again. Though it's graduation celebration, I'm scared enough to get it for free, but where I turned it down and gave it back, the master won't receive it, and I'm sure he'd be more than happy to thank you. You look a little heartless, but the fruit, it's so sweet. Master is such a person. "Hmm. Well, it's the doorstep of a disciple. Don't worry about it." I smile back bitterly to my master, who finally strokes my head with a pomp, and head to the Student Support Division. In addition to introducing me to a part-time job while I'm in school, they also provide post-graduate job support. I hung up and did some part-time work besides my master's shop, so my sister and I are close enough to have her name remembered. When I go in "Hello ~" as usual, I get a light response from my sister in charge who seems free. but the moment I saw my master, my sister stretched her spine and floated the perfect sales smile, as if the condition a few seconds ago were a lie. "What can I do for you today? "Uh, uh, I want to find a place to train, so can you show me a job? "Okay. Please wait." While I was a little confused, saying so, your sister took a seat and walked over to the shelf. It must be the effect of the master that the tone is different and polite than usual. I don't usually feel like we're dating, but this still makes my master a super elite alchemist, doesn't it? "Hmm. No people, huh? It was one sister at the counter and not one student. These sights are rare because there are usually a few more people. "Uh, that's because today was graduation." My sister, who has the binder back in her hand, responds to my master's questions. "Oh well. I had a party or something with friends after graduation, too. Will it be serious tomorrow? Sarasa..." "Recruitment requirements, can I see them? He ignores the Master's said gaze and offers his hand to his sister. Yeah, I don't have any friends to party with anyway! I didn't even ask you out! The seniors invited me last year, but I couldn't take part in it in a whim with all the strangers, and the next day, just the four of us, including the juniors, had a dinner party! When I was rolling "Meow" the binder with that in mind, my master had stroked my head with some gentle eye difference "Manaza," but such ignorance! "I'm sorry, can you show me some empty store info? "Ah, yes. This way, sir." Was the store information on your side, your sister will give it to your master immediately? "Is that it? Master, do you want more shops? Because it's so prosperous, it's no surprise or anything in itself to increase the number of branches or the size of the store, but the master didn't seem interested that way. "That's not what I'm saying...... was there a better place than that? "No, so far..." The binder I'm looking at lists a store of alchemists that can accept disciples at the moment. Looking for a store that fits your criteria from this, getting a job after an interview, saving some money while gaining experience there, buying your own store and being independent is the typical alchemist's career plan. Considering the funds needed to get a job, the nearby area is good... I don't have a shop in Wangdu. I guess just because there's a school, the talent feels excessive. A lot is a region, after all. It was also the province where the seniors took up their jobs. If I can get a job, I'm not very focused on the place, but the difficulty is the time and cost of going to the interview. If you do not hire after spending transportation and accommodation, the cost you pay will be wasted. Even if you hire them well, renting a room or getting all your necessities will cost you money. At the school dorm, I was paid for it... but now that I've bought all the alchemy, I don't have much room, do I? Sometimes that happens, and with Conne, it's the safest way to get a job at an alchemist's store you know. So the truth is, I'm so lucky that my master invited me. Because my master looked sorry for me for kicking such a story, but he admitted my thoughts with a little joy and even gave me the words "so that I may come back if I have trouble". "By the way, Sarasa, how much money do you have left to spend on a job? "Ugh..." My master asks me if I am Zubari, who is desperately calculating the distance from the store where I am offering recruitment and the costs I need by then. To my answer, which I conveyed with hesitation to such a master, the master gave a slightly frightened look. "I had expected it at the time I bought Alchemy Daiichi...... Do you have something for me? With that said, what the master offered was the binder the master was looking at. That's a compilation of store information on sale, basically a used Alchemist property that went out of business. The Alchemist's shop, by its very nature, comes with a variety of facilities. That, on the other hand, is a thankless piece of equipment for alchemists, which is wasted on the general public, and only diminishes in value for the more effort it takes to remodel it. For this reason, alchemists cannot buy properties that sell at high prices without discounting them at the hands of the average person. Even if it were sold as an alchemist in the general realtor, given the total number of alchemists, it is obvious that no buyer would be able to do so. The school also mediates real estate in order to eliminate the inconvenience of both parties. "What is it, master? Recommended... Huh!? Anxious! The price of the store that was written on the page my master gave me, what a ,0 rare. Even my assets, which have been greatly reduced thanks to all the alchemy, will be able to pay enough. "Hey, what is it, this store!?" "The store part is slightly narrow, but there is living space, there are herbal fields, with all kinds of equipment and tools. The place is country, but it's a pretty good deal." Looking at the intervals, it's not as big as the master's shop, but the countryside doesn't need that much space because there are few guests in the first place. It's two floors, there's living space, as the master says, and there's a well. There's a pretty big field on the back, and if you need it, it looks like you can grow herbs there too. "... No, it would be too cheap! It's impossible! It's not cheap as a house or that level, it's too cheap. Wang Du will only get enough change for about a month or two of rent, just the cost of going for one interview. Honestly, I'd like to suspect there's something dangerous about it. - I think maybe it's okay because the intermediary is at school. "Well, that's it. I think there's a lot of subsidies out there, huh? "Oh, I see. Then... well..." Subsidies are money that the state supports when alchemists set up stores. As a country, I want each city to build an Alchemist's shop, but where to set up a store is the Alchemist's freedom. The most popular is still the heavily populated Wang capital, where the large cities around it said second. Everyone wants to avoid deliberately opening a store in an inconvenient country with few customers. That's where the subsidy comes out. How the country managed to secure people by making the difference that there were so many places that people didn't want to go, and no subsidies for cities such as Wang Capital. For the new American alchemist in training, it's pretty hard to save money to buy a store, so the alchemist who wants to have a store soon is mostly in the favor of it. But if you put it the other way... "I mean, this store gets subsidized enough to sell for 10,000 rare, it's in a hell of a country," he said? For once, I have an address on it, but I've never heard of it. At least as little as it isn't in my knowledge, you're sure it's a small town. "This is a small town on the side of the Great Tree Sea...... no, it's in the village" "What's the Great Tree Sea... it takes about a month's ride from here, doesn't it? "Right. It's just that alchemy materials are easy to get, so it's not a bad place to upgrade your technology, is it? - We may not have many customers." A great tree sea is a great mountain range stretching north and south and a tree sea stretching at its foot on the border of this country. The official name is "The Tree Sea at the foot of the Gerba Roch Mountains” and is famous for its ability to take many alchemy-related materials such as various plants, insects and ores. So the master is right. It is the perfect place to brush your arms...... "It's fatal not to have customers, isn't it? I spit out all my savings, so I can't live without customers." Yes, it is. The proximity to the region of origin means that even if various materials are obtained cheaply, there is nothing that can be done if the product cannot be sold. If I had as much storage as I had before I bought Daewood, I might have had the option of brushing my arms there for a few years, but I can't live with the current storage. "Hmm, I think it's good." "First of all, I just graduated yesterday, right? I can't believe I have a store all of a sudden..." "That's not a problem. Anyway, if you were an amateur at all, you'd have worked at our store for years, right? I think we can do that a lot, huh? It's three levels." "... Huh? Three?" "Oh. - Sarasa, do you know how the level of alchemist rises? "Speaking of which...? Instead of saying the alchemist's level is ~ or the master class is ~, the school couldn't teach me how to level it. They just tell me to drill, or try. "Hmm. Well, it's normal to be taught after qualification, after apprenticeship" That's what my master taught me: "If I could make all the things in every volume of Alchemy, I would increase my level." In other words, if you make all the objects in Volume I, you can go to Level II, and if you make all the objects in Volume II, you can go to Level III. What they don't teach within their students seems to be that they try to get to a level quickly, so that they don't exercise alchemy because they don't have formal qualifications. "Speaking of which, you made a lot of things in part-time. Huh? I mean, did I make all one or two volumes of stuff at some point? "That's the thing. It's the most commonly used scroll around here." If you think you've made quite a variety under the guidance of your master...... No, I guess, you were making me think about that. "So I think you could open the store." "But... I don't know anything about business." If the master is right, it certainly doesn't seem to be a problem to make a selling product. However, during the part-time period, all I did was make it and sell it, etc., I am not involved at all. I mean, he's a total amateur when it comes to valuing, purchasing, and other business matters. "Um, yeah...... okay, let's do this. If you send me rare materials from that neighborhood on a regular basis, I'll buy them. I'm sure you won't have any trouble with your life." Then you can earn about the cost of living, right? I don't want to be extravagant, and if you think of it as training, that's well... "- Master, is that what you're after? "I always think about the future of my disciples." A master who strokes my head with a refreshing smile that I usually don't show. "Ha, thank you for that? - No, you didn't deny it!?" "Oh, you, what am I supposed to do with this contract? - He said if you pay here, you'll get a letter of rights. Okay, now." Ignoring my protest, the master received a letter of rights and a key with the money he took out of his wallet. It folds gently and sticks into my pocket. "Come on, now Sarasa is also a fine alchemist with a store. Congratulations! Oh, that's a gift from me. Take it." "Yeah, yeah, yeah." A master who says that with a pompous slap on my shoulder. Something about my future was determined by the momentum of Rage Tao. Huh? I came here to find a job, didn't I? When is that going to be an independent manager? "I'm so anxious." "Well, I'll help you, so try your best. Because if you don't even owe me money, I'll hire you if you fail to come back." "Ha..." If that's the case - is it good? I can go home to Wang Du. If I can secure my travel expenses, I can work in my master's shop? Even the apprenticeship part time was giving me enough wages, so I shouldn't have a twinge when I got a job. Whatever you say, I already have the Alchemy's License! "Okay, I'll try my best! That's what I said, get in the mood, and hold my hand tight. "Yeah! That's intentional! My master seems satisfied with how I am, and encourages me to snort. ... Is that it? Hasn't this been put on by the master? Is it your fault? ◇ ◇ ◇ After returning to the master's shop, the master threw a graduation party for me. Never pitied me for being a botch, pure generosity...... I want to think what. Participants are people who work in shops. The others are not here. I don't think the sudden things are going to make plans. Pre (...) fixed (...)! Even to me, there's a little bit of people who might come if I call them! Some other part-time guy or something! I didn't ask you out. Never afraid to be turned down with a subtle look. "But master. Didn't you have a hard time getting ready for a party all of a sudden? The venue table is lined with fancy dishes and drinks that I've never eaten before. I've already gotten a good amount, but they're all so delicious, I feel like I can eat as much as I want. Of course I can't do that, so I'm pinching all kinds of dishes. - Eating is basic because it seems expensive! "It's no big deal this much. He's the one who made it." That's what the master pointed out to your sister Maria, who is always in charge of customer service at the counter. When I look you in the eye, Maria laughs nicely and waves. Huh? You want this fancy dish? Looks like a professional cook made it. "So, but, like, expensive ingredients, alcohol..." "Hmm? I've been using this for a long time, right? Looks like he went somewhat shopping." Oh, when you're about your master, is this much of a meal normal! I usually only eat in the dorm, not compared to my meal, but, I guess, it's fancy food!? "I mean, you, aren't you saving too much? When I was a student, I didn't have that kind of money, but by the time I finished my exams, I was going to eat somewhere like this. That? Isn't that fancy? "- Or didn't your master tell you to save money! "Were you? I thought I said I'd buy you a cheap alchemy masterpiece when I saved up." "Same thing! If they tell you you should buy it, you decide to save it! I wonder what you're talking about, this master! If you say that, I'll desperately save it! Two and a half million rare is a bargain too! "No, you didn't have to buy ten volumes together, did you? Like five rolls or something, but if I go, it's cheaper." "Damn... yes, what is it? "I don't have a security deposit. By five volumes, it's not that expensive." I didn't ask. I'm not listening! "Then tell me so! You worked so hard to save money! "No, I didn't know how much you were saving. Plus, I'm pretty sure it's cheaper to put ten volumes together, right? If you want to buy only ten volumes, you need a senior alchemist, so the warranty cost is expensive." True, I ask you to come in the same way, so maybe a warranty of just one book, or a bunch of ten books, won't make that much difference. Would that have turned out good...? "Speaking of which, it's a different story, but if you ripen to nine volumes, you're a senior alchemist, right? So what if you ripen all ten volumes? "Oh, that's stupid." "... Yes? That, misheard? "Stupid. The contents of ten volumes...... you won't be able to read them, remember the thickness? That would have been particularly thick, wouldn't it? "Speaking of which, I think I did" When I put the whole thing in my backpack, I remember that only ten rolls were thick enough to be difficult to hold with one hand. About one person, on a level that seems easy to slaughter. "The ten volumes also have the advanced smelter Artifacts that deserve it, but most of them don't seem to matter, and putting it under nine volumes is a useless substitute for" Do It. " So, well, even if it's not hard to make, it's a waste of time and material to make it. It would be stupid to do that on purpose, wouldn't it? "That's true... ah, but the master is more than advanced in the master class, isn't it? What's that?" I was wondering if it would be a master class if I mastered all ten volumes. "Right...... one of the conditions of the master class is to be able to create an important smelter Artifact among the ten volumes. Other than that..." "Other than that? Look at me like a lot, the words my master said...... - It's a secret. "Uh-huh. Why? Tell me." "The master class is not the same as the advanced class, it has quite an important role to play. If you're going to be advanced and promising, I'll tell you, so be patient." "Uh-huh. Absolutely, right? "Worry about whether you can be advanced first. Even an alchemist can only be part of it, right? "That's right..." He looked up dissatisfied to me, saying so, and the master laughed, and drank up the wine he had. "Look, Sarasa didn't even talk to you. Drink. You're an adult, aren't you? You have to enjoy your booze." "Right. It's my first try! Not strictly, but it starts with a fifteen-year-old adult being able to drink alcohol. I was celebrating my fifteenth birthday a while ago, but I had absolutely no connection with luxury alcohol to save money. But today it's free booze. You don't drink, do you? And maybe, luxury. When I poured the liquor just in front of me into the glass, I imitated the master and said, "Oh." At that moment, the back of my throat became cute and hot, and I could see my master's hasty face...... ◇ ◇ ◇ The next day it was on a bed I didn't know I woke up. Surely yesterday... my master threw me a party to celebrate, didn't he? I don't remember from the middle of nowhere, but I mean, is this the master's shop? Get out of bed, out of the room, that's a familiar hallway. I've never been in before, but it looks like this was a guest room upstairs in the store. Going straight down the stairs to the living space of a shop with signs of people, there was a master there who was relaxing and drinking tea at the table. "Good morning, master" "Whoa. Are you awake? You made me laugh a lot yesterday, didn't you? As soon as I had a sip of booze, I stuck it at my desk - cum, hehe... ahahaha! You remembered how it was then, a master who laughs out loud when he blows like he can no longer be revealed along the way. Speaking of which, yesterday was the first time I had a drink... and if my master is right, I lost consciousness as it is, you mean? - No, isn't it terrible? Sure, it's a little pitiful to fall in one bite, but you don't laugh that far, do you? When I get a flashy look, the master laughs once and then laughs niggardly again. "Besides, you ended up staying at our place while I said, 'Because I'm a jerk'? "Gu... that's..." Yes, it was. Half force majeure, from the first day I decided to become independent, I suddenly took care of my master. I just made an excuse because I'm not used to alcohol, and if I get back and forth unconscious in a liquor store, no one can help me. Because it's more self-inflicted than adults. "That alcohol is too strong..." "That's a pretty alcoholic liquor indeed. By the way, that's a lot of stuff for the price, right? Sure..." "Stop! Don't tell me! I won't be able to recover any more..." I don't want to hear your master say "quite a thing”! Absolutely, if it's normal, it's not the kind of price that goes into my mouth!? I don't even remember drinking that liquor flavor, but it only hurts my heart to think of the money I've wasted. "... no more alcohol for the time being" "That's good. Make sure you offer me another laugh when you drink! That's what I said and I laugh at you again, Master. So you're telling me to drink and smash it down again, right? I understand. - At least, let's refrain from drinking in public. I'm a woman, too, so maybe it's not a joke. "or something, but yesterday, after Mr. Sarasa fell, the manager was in a pretty hurry, wasn't he? It was the manager who brought it to the room, and it was on the side until it calmed down." "Ah, Maria." When I was depressed, Maria came from the kitchen space with a glass and exposed such a story. "Maria! Don't say anything extra! Maria said that with a laugh, "Go ahead," she gave me a glass of water. I was thirsty and I gratefully received, tilting the cup and watching softly as the master looked, his mouth bending to the letter to him with a somewhat dazzling look that the master had just laughed at. "As it were, well, you can't just let people die in our store! I noticed that I was watching, and the master coughed up with Cohon and said something like that in terms of "only", but Maria smiled bitterly without looking concerned. "You're really not being honest. Well, that's good. Well, we're ready for breakfast. You can have Mr. Sarasa, too, right? "Eat up. Not enough for breakfast, is it? I was a little hesitant to take care of her any more, and when my master says so, he tells Maria to arrange a meal for three. "Thank you" Honestly, considering we're leaving by the end of the day, it's true that it's quite helpful in time. I thanked him and started having breakfast somewhat hastily. Having finished breakfast, I immediately began to prepare for my departure. Having said that, all my personal belongings are in the backpack my master gave me, and when it comes to what I prepare, it's about food. Even then, you just have to buy it at the store on the way, so if you get familiar and carry your backpack, that's it. I was just about to leave the store by greeting my master as it was, and he said, "Take this too, it's a farewell" and gave it to me is a booklet that seems to contain a set of alchemy-related tools and advice in management. Regardless of the booklet, alchemy tools are never cheap. At least, I know it's an amount that the average common man can't do that. When I was a little reluctant to receive an expensive backpack and even paid for the store, but on top of that I got a different one, the master said, "I'm still a master class alchemist, aren't I? Don't worry, it's not even a big amount. Though somewhat anomalous, you are an apprentice with your own shop independently of ours. To this extent, it's cheap," he said. I don't have an "about this" amount of money that ordinary people can't make, that's right, alchemist, hammer. Further out, Maria told me that the booklet, too, was written up yesterday, after I fell asleep, by my master, who hung me up to the morning. Hmm, was that the reason you seemed to sleep this morning? Then can you forgive me for being bombarded? It gets high all night. I mean, I rather have a pile of gratitude that I'm unlikely to be able to return to my master... If you think about all the alchemy, it feels like I'm being assisted millions of rare by my master, right? ... Yeah, we have to work hard and succeed in this. so that I can repay you at all. With such determination in mind, I traveled through the capital. I don't even know the reality of waiting in a village on the border...

応接室にいたのは、確かに不審な人物だった。 外ではまだちらほらと雪が舞っているため、目深に被った帽子も、口元まで覆うマフラーも、更には身体をしっかりと覆う厚手のコートも理解できなくはない。 でも、今は既に建物の中。 によって適温に保たれたこの家では、どう考えても重装備にすぎる。 そんな格好でソファーにふんぞり返っているのだから、ロレアちゃんが『偉そう』と表現したのも宜なるかな。 体格からして男性だとは思うけど、容姿すら窺えないのはいただけない。 お客さんだからペコペコしろとは言わないけど、せめて顔ぐらい見せて欲しいところだよね。 「お待たせしました」 「いえ。あなたがサラサ・フィードですか?」 その不審人物は、ソファーに腰を下ろした私たちを順に見た後、私に視線を固定してそう尋ねてきた。 その態度はどこか懐かしく......あぁ、あれだ。師匠のお店に来ていた貴族。 その中でもまともな人たちがこんな感じだった。 「はい、そうです。失礼ですが、あなたは?」 「あぁ、名乗っていませんでしたね。私の名はフェリク。フェリク・ラプロシアンです」 「「「えっ!?」」」 図らずも、私たの漏らした声が揃った。 けど、それも仕方ない。 この国の名前はラプロシアン王国。 その姓を名乗れるのは、王族に連なる方々に限られるのだから。 「――名前だけでは信用できないでしょうから......これでどうでしょう?」 そう言って彼が懐から取り出して見せたのは、精緻な装飾が施された短剣。 その柄頭に刻まれたのは、確かにラプロシアン王家の紋章だった。 これを持てるのは王族、もしくは王族に認められた者のみ。 つまり、彼が本人でなかったとしても、同等の権力を持ち合わせていることは間違いなく――私たちは即座にソファーから立ち上がり、床に跪いた。 「(ほ、本物なの?)」 「(私に訊かれても判るか! 王都にすら行ったことはないんだぞ!? 店長殿はどうだ?)」 「(名前は間違いありません。ですが、王族の方々は皆、金色に近い髪色だったはずです)」 私だって王族と直接顔を合わせたことなんてないけれど、これでも王都で長く暮らしていたわけで、王族を遠目に見たことはあるし、情報や噂話も田舎に暮らす人たちよりは手に入りやすい。 そうして知った情報が、王族の髪色の特徴。 でも、帽子とマフラーで隠された自称王族の髪色は、かなり濃いブラウン。 その大半は隠されていて見えないけれど、見間違えようがないほどに金色には程遠い。 少なくとも現在生存されている王族の中に、こんな色の髪をした方はおられなかったはずだけど......。 「あぁ、この髪色ですか? これは変装ですよ」 そんな風にコソコソ話していた私たちの言葉が耳に入ったのか、殿下は帽子に手を掛けるとそれを脱ぎ、マフラーを取り去った。 そうして現れたのは、肩口ほどの明るいブロンドの髪とエメラルドの瞳。 髪の色どころか、その長さまで一瞬で変わったことでアイリスさんたちが目を丸くするけど、私はそれに心当たりがあった。 ――あれ“変装帽子”だ。 基本の機能は髪の色を変化させる わざわざ染める手間も、後から色を落とす必要もないので、変装道具としてはかなり便利な代物。 更に高機能品ともなれば、髪の長さや瞳の色まで変化させられる。 当然、お値段の方も段違いなんだけど、殿下であれば持っていても何らおかしくない。 「失礼致しました。それで殿下、殿下のような方がこのような田舎にお越しになるとは、いったいどのようなご用件が?」 「それはですね。......あぁ、その前に。あなたたちも座ってください。見ての通り、今回は微行ですからね。細かい礼は不要です」 そうは言われても相手は王族。 どうしたものかとアイリスさんとケイトさんに目をやればは判断を任せるように私を見返してきた。 その視線が物語るのは、『高貴な方への対応なんて解らない!』である。 私平民。アイリスさん貴族。 普通ならアイリスさんの方が慣れているはずだけど、そうじゃないのがロッツェ家。 これまでの人生で出会った貴族の数で言えば、アイリスさんよりも私の方が何倍も多いだろう。おそらくは。 もっとも王族の相手なんて、私だって初めてなんだけど......指示に従わないのも不敬だよね。 「それでは失礼して――」 そう応えて私が立ち上がれば、アイリスさんたちも続いて立ち上がる。 そうして視線を上げた私は、その次の瞬間、過去最高に表情筋と腹筋を酷使した。 「――くっ!」 僅かに声を漏らしたのは、アイリスさん。 でもそれも仕方ない。 だって、立ち上がったことで見えた殿下のその頭の頂辺は、綺麗に髪がなくなり、ツルツルになっていたのだから! もしこれが、歳を取ったお爺さんとか、そうでなくとも中年を越えたおじさんとかなら、なんの問題もなかった。 もしくは若い人でも髪が完全になかったり、全体的に薄くなっていたり、ごく普通の容姿だったりすれば大丈夫だったはず。 でも相手は、控えめに言っても美形。 普通に言うなら超イケメン。正に王子様。 しかもさらさらの綺麗な長い髪。 そんな人の髪の毛が、頭頂部だけ丸くなくなっているとか、笑わずに耐えろという方が厳しい。 「んん~? どうかしましたか?」 私たちの苦悩を知ってか知らずか、肩口の髪を「ふぁさぁ」とかき上げる殿下。 ふわりと髪がなびき、キラリと光る白い歯と頭。 いや、これ、絶対わざとだ。 笑わせに来ている。 だからといって、この国のトップに近い殿下を笑えばどうなるか。 私はぐっとお腹に力を入れ、ゆっくりとソファーに腰を下ろす。 そしてアイリスさんとケイトさんも、無事に腰を下ろし――。 「おっと!」 殿下の手からポロリと帽子が落ちる。 身体を倒してそれを拾い上げる殿下。 丸見えになる頭頂部。 「――っ、ぷはっ! くぷぷぷっ!」 耐えきれなくなったのはアイリスさんだった。 でもそれを非難するのは酷だろう。 私だってかなりギリギリなんだから! これは殿下の方が悪いって!! でもだからといって、そのまま済ますことなどできるはずもなく、アイリスさんは再び床に膝をつくと、深々と頭を下げ、ケイトさんも顔を青くして腰を浮かす。 「申し訳ございません! フェリク殿下! な、何卒、責めは私一人に! ロッツェ家には――」 「ふふふっ! いや、気にしないでください。むしろ、我慢せずに笑ってくれても構いませんよ? この場でならね」 「い、いえ、そんな......」 笑いながら手を振る殿下に、顔を上げたアイリスさんは戸惑い気味に視線を彷徨わせ、それを見た殿下が再びさらりと髪を触ると同時、再度顔を伏せた。 声こそ聞こえないが、その肩が震えているように見えるのは決して見間違いではないだろう。 「ふっふっふ、ノルドなんて、見た瞬間に大爆笑しましたよ?」 「ノルド......ノルドラッドさんですか?」 殿下から出た意外な言葉にアイリスさんが顔を上げ、私が思わず聞き返せば、殿下は軽く頷いて肯定した。 「えぇ。私がここに来た理由の一つです。あなた――確か、アイリスさんでしたね。そのままでは話しにくいですから、気にせずに座りなさい」 「――はっ、では失礼して」 上位者に座れと言われては拒否できるはずもなく、アイリスさんが再び私の横に腰を下ろせば、殿下はそれを見て、「さて」と言葉を続けた。

It was definitely a suspicious person who was in the reception room. There is still snow outside, so there is no need to understand the hat worn deep in the eye, the muffler covering the mouth, or even the thick coat covering the body tightly. But now it's already in the building. In this house, which is kept at the right temperature by smelting equipment (artifacts), it is only heavy equipment, no matter what you think. I wonder if it would also be appropriate for Lorea to describe it as' great 'because she is so flustered on the couch in that outfit. I know he's a man because of his physique, but I can't even get a peek at his appearance. I'm not asking you to peck because you're a customer, but you just want me to at least show you my face. "Thank you for waiting" "No. Are you Sarasa Feed? The suspicious man asked me that by fixing his gaze after seeing us in turn as he lowered his hips on the couch. I miss that attitude somewhere...... oh, that's it. Nobility who was coming to the master's shop. Decent people were like this among them. "Yes, it is. Excuse me, but what about you? "Oh, you didn't name it. My name is Felix. I'm Felix LaProsian." "" "What!?" " Without trying, all three of us had leaked voices. But I can't help it either. The name of this country is the Kingdom of Laprosian. Because only those who join the royal family can name the surname. "- Because you won't be able to trust names alone... now what do you think? That's what he took out of his nostalgia and showed him: a dagger with elaborate decorations. Inscribed on its patterned head was indeed the crest of the Laprosian royal family. Only royalty, or those recognized by royalty, can have this. I mean, even if he wasn't in person, he definitely had the same power - we instantly got up off the couch and knelt on the floor. "(Ho, is it real? "(You know what I mean when I ask! I've never even been to Wangdu!? How's the manager? "(No doubt the name. But all the royals should have had hair colors close to gold)" Even though I have never met the royal family directly, I still lived in the King's Capital for a long time, and I have seen the royal family from a distance, and the information and rumors are more accessible than those living in the countryside. One of the information I learned so far is the characteristics of royal hair color. But the self-proclaimed royal hair color hidden with a hat and muffler is a pretty dark brown. The majority of them are hidden and invisible, but far from golden enough to be seen incorrectly. At least none of the currently surviving royalty should have had hair of this colour...... "Oh, is that this hair color? This is a disguise." Was it our words that were spoken so damn well in my ear, His Highness took it off when he hung his hand on the hat and took away the muffler. That's how he showed up with bright blonde hair and emerald eyes as bright as his shoulders. Instead of the color of the hair, the instant change to its length rounds the eyes of Mr. Iris, but I had an idea of it. - That's a disguised hat. The basic function is the smelter (artifact) that changes the color of the hair. Pretty handy substitute for a disguise tool because you don't have to bother dyeing it or color it later. Even more high-performance products can vary the length of hair and even the color of the eyes. Naturally, the price is out of step, but if it's Your Highness, it's not weird to have it. "Excuse me. So, Your Highness, what can I do for you if someone like Your Highness is coming to a country like this? "That's right.... Oh, before that. Have a seat, too, you guys. As you can see, it's a slight line this time. No need for details." That being said, the opponent is royal. If you turn your eyes to Mr. Iris and Ms. Kate to see what's going on, you two have looked back on me to leave the judgment to you. That gaze tells the story: 'I don't know how to deal with noble people!'. I'm a civilian, Mr. Iris. Noble. Normally, Mr. Iris would be more used to it, but it's the Rotze family that doesn't. In terms of the number of aristocrats I have ever met in my life, I would be many times more than Mr. Iris. Probably. I'm new to royalty... but it's disrespectful not to follow instructions. Now if you'll excuse me... If I rise in response, Mr. Iris and the others will also continue to rise. That's how I raised my gaze, and in that next moment, I tormented my facial expressions and abs the best I've ever had. "-Come on!" It was Mr. Iris who slightly leaked his voice. But that's no choice either. Because the top of that head of His Highness, which I could see by standing up, had lost its hair beautifully and had become a twitch! If this was, like, an old grandfather or an uncle who was or was not middle-aged, there was nothing wrong with that. Or even young people would have been fine if they didn't have completely hair, overall thinning, or very normal appearance. But the opponent, modestly speaking, is beautiful. Super handsome if you normally say so. Prince, truly. And Sarasa's beautiful long hair. It's tougher for someone like that to have their hair not only round the top of their head, or endure it without laughing. "Hmm? What's wrong? Know or not our distress, Your Highness, which lifts the hair on your shoulder mouth "Huh, come on". Fluffy hair, sparkling white teeth and head. No, this, definitely on purpose. I'm here to make you laugh. Because what happens if I laugh at His Highness, who is close to the top of this country? I put a lot of effort into my stomach and slowly lower my back on the couch. And Mr. Iris and Mr. Kate, sit back safely... "Oops! A polo and a hat fall from His Highness's hand. Defeat the body and pick it up, Your Highness. Top of head to be rounded out. "- Pfft! Kupupupupupupupupupupu!" It was Mr. Iris who became unbearable. But it would be cruel to accuse me of that. Because I'm pretty critical, too! Your Highness says this is worse!! But that's why you can't do things like that, and when Mr. Iris kneels on the floor again, he lowers his head deeply, and Mr. Kate turns blue in the face and floats down. "Sorry! My lord Felix! To the Lotses..." "Heh heh! No, never mind. Instead, you don't mind me laughing without patience, do you? On this occasion." "Yes, no, no..." To His Highness waving with laughter, Mr. Iris raised his face and wandered his gaze in confusion, laying his face down again as His Highness, who saw it, again touched his hair in a rush. It is the voice that cannot be heard, but it would never be a mistake to see its shoulders looking trembling. "Ha-ha-ha, Nord, you had a big laugh the minute you saw it, didn't you? "Nord...... is that Mr. Nordrad? Mr. Iris looked up at the unexpected words coming out of His Highness, and if I overheard them, His Highness nodded lightly and affirmed. "Yep. That's one of the reasons I came here. You - sure, it was Mr. Iris. It's hard to talk like that, so sit down without worrying." "- Okay, excuse me." If the superior told me to sit down, there was no way I could refuse, and if Mr. Iris sat down beside me again, His Highness looked at it and went on to say, "Well."

「冬場に育つ薬草ですか。ないわけじゃないですが......大変ですよ?」 用意はできる。 単純に種を蒔くだけじゃ育ちにくい種類なので、私が苗にまで育てた物を渡す必要はあるだろうけど根付きさえすれば、世話を怠らなければ冬でも枯れない。 でも、寒い冬場に、欠かさず手を入れることは結構大変。 「頑張ります! ねぇ、マイケル?」 「あ、あぁ! もちろんだとも! サラサさん、なんとかなりませんか?」 イズーさんに強く同意を求められたマイケルさんは、慌てたように力強く頷き、私に対して頭を下げた。 「結構、辛いと思いますけど......何かあるんですか?」 「じ、実は、子供が......」 「え? イズーさんにですか?」 目を丸くして聞き返した私に、イズーさんは恥ずかしそうに頬を染めつつ、こくんと頷く。 「はい。生まれるのは春になるとは思いますが」 「おめでとうございます! だから......。しかしそうなると、マイケルさん一人で大変になると思いますけど、やるんですか? 食べるだけなら大丈夫ですよね?」 「えっと、私も少しぐらいなら――」 手伝うと言いかけたイズーさんに、私はキッパリと首を振る。 「ダメです。妊婦に冬場の農作業は許可できません。イズーさんの手伝いが必要なようなら、この話はなしです」 「イズー、大丈夫だ。僕は器用じゃないが、コツコツやることは得意なんだ。一人でもしっかりと仕事を熟すよ。だからイズーは元気な子を産んでくれ」 「マイケル......解ったわ。頑張って。私は家で待ってるから!」 手を取り合って見つめ合。 おめでたいことだけど、目の毒だから、そういうのは家でやって欲しい。 そして――おい、こら。顔を近付けていくな! 「ごほんっ! それでは私はこれで。引き続き頑張ってください」 私のわざとらしい咳払いに、慌てて離れた二人。 そんな二人に、私はそれだけ言い置いて背を向ける。 定職を持たずに結婚したあたり、情熱的ではあるんだろうけど、時と場所は考えてほしい。 あとついでに言っておくと、『引き続き』は農作業のことだからね? 間違えないように! ◇ ◇ ◇ 通常のお仕事の傍ら、ボチボチと裏庭の薬草畑を整えた私は、次は少し放置気味になっていたお店の表にある花壇に取り掛かった。 春から夏にかけては何かしらの花が咲いていたその花壇も、秋が深まってきた最近では、すべての花も終わり、葉っぱも少し茶色くなり始めている。 私が植えているだけに、当然それらの花も、錬金術の素材。 球根を掘り上げ、半分は来年用に、半分は素材用に回す。 観賞用と実用。私、スペースと手間を無駄にするつもりはないのだ。 空いた花壇には、秋から冬にかけて花を咲かせる薬草を植え付け。 あんまり華やかな花じゃないけど、ないよりは良いよね? なお、一応は花――つまりは、お店の彩りが目的なので、選択基準はそれなりに綺麗な花であること。 薬草としての価値は、そこまで重視していない。 「ま、一応女の子だからね、私も。女子力、ちょっとは必要。うん」 とってつけたような女子力アピールでも、たぶん、ないよりはマシ。 いろんな面で、ロレアちゃんに負けてるから。 でも、さすがにアイリスさんには勝っていると思いたい。 ――外見的な面以外。 そっちではすでに競う気もないからね。 親が産んでくれた、ありのままの自分を好きでいたい――そんな風に心を誤魔化しつつ、次の作業へ取り掛かる。 「次は、育苗補助器の作製だね」 で、色は乳白色の半透明には少し大きめの魔晶石が配置され、板の一辺にはやや小さめの魔晶石が一列に並んでいる。 この上に種を蒔いたポットを並べておくと、自動で水や温度の管理してくれる優れもの。 完全育苗器ほど完璧じゃないけど、魔力さえ切らさなければ、ほぼ一〇〇%発芽して、畑に植えられる苗にまで成長させてくれる。 これを使って裏庭に植える薬草の苗と、マイケルさんたちに提供する苗を育てる予定だけど、あちらの畑はまだ収穫前なので、まずは裏庭の方。 軽く十万レアを超えるコスト面にさえ目を瞑れば、さほど難しい 上に並べたポットに、先日師匠に頼んで取り寄せてもらった、ちょっとお高めの薬草の種を植え付けていく。 「これはチレイノーブ、こっちはジバーウェイとシャルニルス、そしてこれがヴァンカーオ、と」 種の見分けが付きにくいので、名札を刺したポットに間違えないよう植え付けて......あれ? 「この種......何だろう?」 種類毎に小袋に分けられた種、その小袋を纏めて入れてあった袋の底に、私の記憶にない種が一粒転がっていた。 他の種よりちょっと大きめの、少し堅そうな種。 麦の一種のようにも見えるし、林檎の種にも似ている。 だけど、はっきりとは判らない、そんな種。 「......調べてみようかな。せっかく、事典も買ったことだしね」 私はその種を手に立ち上がった。 店舗スペースでは、いつものようにロレアちゃんがカウンターに座っていた。 その傍らには錬金素材事典が広げられ、ロレアちゃんはそれを見ながら、紙にペンを走らせている。 そこに私がそっと顔を覗かせると、すぐにこちらに気付いたロレアちゃんは、私の顔を見て不思議そうに時間を確認した。 「サラサさん、どうかしましたか? お昼にはまだ早そうですが......」 「そっちじゃないよ。ちょっと調べたいことができてね。それ、貸してもらって良い?」 「はい、もちろん。どうぞ」 「ありがと」 すぐにロレアちゃんから差し出された錬金素材事典を受け取り、パラパラと捲る。 と同時に、ロレアちゃんが書いていた紙にも視線を向けた。 「ロレアちゃんの方はどう? 順調?」 私が今ロレアちゃんにお願いしているのは、先日薬草の種と共に届いた錬金素材事典を読み込み、そこに載っている素材を覚えると同時に、内容を他の紙に書き写すこと。 といっても、まるっと写本しろという話ではない。 採集者が採取するときに必要な情報だけを抜き出して、判りやすく纏めてから書き出すように言っている。 その目的は二つ。 一つは、この村の採集者が今まで知らなかったような素材について告知することで、それを集めてきてもらうこと。 それによって、採集者の収入アップを図ると共に、ウチの商品のバリエーションも増えたら良いと思っている。 もう一つは、情報を纏める過程で、ロレアちゃん自身の理解も深めてもらうこと。 錬金術師なら自分でも採集できるだけの知識も必要なので、これは結構重要。 手を動かして書けば、きっと記憶にも留めやすいはず。 「どう、でしょうか? こんな感じになってますけど」 「うん、ちゃんとできてる――いや、かなり上手いね? ロレアちゃん」 ロレアちゃんが差し出す紙束を捲り、私は目を瞠る。 事典の細密描写とは異なるけれど、きちんと特徴を捉え、採取に必要な情報はしっかりと盛り込まれた絵。かなり上手。 これはちょっと予想外の才能かもしれない。 それに加えて薬草の説明は、文章を読むのが苦手な採集者でも要点が掴めるよう、必要な情報のみが箇条書きにされている。 買い取り価格だけは書かれていないけど、これは季節や在庫状況によって変動するので、別途表にした物を貼り出す予定。 「これなら、色々、期待できそうだよ」 「そうですか? ありがとうございます。......サラサさんの調べ物は見つかりましたか?」 「う~ん、ない、なぁ......」 学生時代、繰り返し何度も読んだ本だけに、内容はほぼ把握している。 それらの記憶から、めぼしい素材を確認しても一致する物がなかったことで、私は再度最初からページを捲り始めた。

"Is it a herb that grows in the winter? Not that I don't... it's tough, isn't it? I can make it ready. It's a kind that's hard to grow simply by sowing seeds, so you'll need to give them what I grew up to seedlings, but once rooted out, they won't wither even in winter if you don't neglect to take care of them. But in a cold winter, it's pretty hard to get your hands on indispensable. "I'll do my best! Hey, Michael? "Ah, ah! Absolutely! Mr. Sarasa, can you handle this? Michael, who was strongly asked to agree by Izu, nodded as forcefully as he panicked and bowed his head against me. "Fine, I think it's hard... is there something? "As a matter of fact, a child..." "Huh? To Mr. Izu? Izu nodded shyly as she dyed her cheeks at me as I rounded her eyes and listened back. "Yes, I know it will be spring to be born" "Congratulations! So...... But then, Mr. Michael, I know it's gonna be tough on your own, but are you gonna do it? If you just want to eat, you're okay, right? "Well, if I'm a little bit too..." To Izu, who almost told me to help, I shook my head kickingly. "No. Winter farming cannot be allowed for pregnant women. If you need any help from Izu, I don't have this story." "Izu, I'm fine. I'm not clever, but I'm good at tricks. I'll ripen the job well for one. So Izu give birth to a healthy child." "Michael...... ok. Good luck. I'll wait at home! Two people staring at each other with their hands together. Congratulations, but it's eye poison, so I want you to do that at home. And - Hey, here. Keep your face away from me! "Oh ho! Then I'm with this. Keep up the good work." Two people rushed away to my deliberate cough. To those two, that's all I say and turn my back. Around getting married without a quorum, I know you're passionate, but I want you to think about time and place. I'll tell you one last time, 'Keep going' is about farming, right? Don't get me wrong! ◇ ◇ ◇ Beside my regular job, having set up a backyard herbal field with a bee, I worked on a flower bed on the table of the store that was feeling a little left out next. Its flower beds, where some flowers were blooming from spring to summer, and more recently, when autumn has deepened, all flowers are over and the leaves are starting to turn a little brown. Just what I'm planting, naturally those flowers too, alchemy material. Dig up the bulbs, half for next year, half for material. For ornamental and practical use. I'm not wasting any space and effort. In an empty flower bed, plant herbs that blossom from fall to winter. Not a very gorgeous flower, but better than not, is it? Note that for once flowers - that is, because the colour of the store is the purpose, the selection criteria are quite beautiful flowers. The value as a herb is not so much valued. "For once, it's a girl, so am I. Women's power, a little needed. Yeah." Even a women's power appeal like the one I put on, probably, is better than not. Because in many ways, you're losing to Lorea. But I just want to think you're beating Mr. Iris. - Other than the exterior aspect. I don't want to compete with you already. I want to like myself the way I am, the way my parents gave birth to me - deluding my mind that way, while getting to the next task. "Next, make a nursery aid." This is a plate-shaped smelter (artifact), with milky translucent colors, slightly larger demonic crystal stones arranged in four corners, and slightly smaller demonic crystal stones arranged in a row on one side of the plate. Excellent thing that automatically manages water and temperature when you line up the pots you sow on this. It's not as perfect as a complete nursery, but if you don't even cut off the magic, it germinates almost 00% and grows to seedlings that can be planted in the field. I plan to use this to grow seedlings of medicinal herbs to be planted in the backyard and seedlings to be offered to Michael and the others, but those fields are still pre-harvest, so first the backyard. If you just gently meditate on the cost side of over 100,000 rare, it's not as difficult to smelt (artifact), so make it right. In the pot arranged above, I will plant a somewhat elevated seed of medicinal herbs that my master asked me to pick up the other day. "This is Chileinove, this is Giverway and Charnilles, and this is Van Caro," he said. It's hard to tell the species, so plant it in a pot stabbed with a name tag so you can't go wrong...... is that it? "This kind...... what is it? There was a seed divided into sachets for each type, a grain of seed not remembered by me rolled in the bottom of the sachet that had been put together with that sachet. A seed a little bigger, a little more robust than the others. It looks like a kind of wheat, and it's similar to apple seeds. But I don't know for sure, such a species. "... let's find out. Because of that, I bought a dictionary." I stood up with the seed in my hand. In store space, Lorea was sitting at the counter, as usual. Next to it, the alchemy material dictionary has been expanded, and Lorea is running a pen on the paper, looking at it. As I peeked softly into her face there, Lorea immediately noticed this way, looking at my face and checking her time wondering. "Mr. Sarasa, what's wrong? Looks like it's still early for lunch..." "It's not that way. I can do a little research. Can I borrow that? "Yes, of course. Go ahead." "Thanks." Immediately receive the alchemy material dictionary given to you by Lorea and roll it apart. At the same time, I turned my gaze to the paper that Lorea was writing. "How's Lorea? Good?" What I'm asking Lorea now is to load the alchemy material dictionary that arrived with the herb seeds the other day and remember the material on there, while at the same time copying the contents onto other paper. Even so, I'm not talking about copying it all the time. He tells collectors to pull out only the information they need when collecting it, compile it easily, and then write it down. Its purpose is twofold. One is to have it collected by informing collectors in this village about materials like they never knew before. By doing so, we hope to increase the income of our collectors, as well as the variation of our products. The other thing is to have Lorea's own understanding also deepened in the process of compiling the information. This is quite important because alchemists also need as much knowledge as they can collect themselves. If you move your hand and write, it must be easy to remember. "What do you think? It's like this." "Yeah, it's done right - no, you're pretty good, huh? Lorea." Roll the bundle of paper that Lorea offers, and I blink. A painting that, although different from the detailed depiction of the dictionary, captures the characteristics properly and the information required for collection is well incorporated. Pretty good. This could be a bit of an unexpected talent. In addition, the description of the herb is bulleted with only the necessary information so that even collectors who are not comfortable reading the text can grasp the main points. It doesn't just say the buyout price, but this varies depending on the season and availability, so I plan to paste the items in a separate table. "This is gonna be a lot to look forward to." "Really? Thank you.... Did you find Sarasa's research? "Uh-huh, no, hey..." As a student, I have almost grasped the contents just for books I have read over and over again. From those memories, I started rolling through the page again from the beginning, confirming the blurry material but there was no match.

湯気の立ち上る場所を避けつつ、更間ほど山を登ると、そこで遭遇したのは、頭から尻尾の先まで一ートルほどもある、赤茶色の巨大なトカゲだった。 胴体部分は私の腰回りよりも太く、身体の背中部分はゴツゴツとした硬そうな表皮に覆われている。 かなりの距離を取って歩みを止めたので、向こうがこちらに気付いているかどうかは不明だが、少なくともそのゆったりとした動きからは、警戒している様子は感じられない。 「結構、でかいトカゲだな? サラサちゃん、あれは何だ?」 「あれは、“溶岩トカゲ”ですね。別名、“サラマンダーモドキ”です」 「おぉ、店長殿、なんか強そうな名前だな!」 なんだか嬉しそうに言うアイリスさんに、私はつい、苦笑を漏らす。 「溶岩の中で泳いでいたという言い伝えがあるんですが......」 「え、マジで? そんなに熱に強いのか?」 「いえ、たぶん、嘘だと思いますよ」 振り返り、驚いた顔で私を見るアンドレさんに、私は首を振った。 火山地帯では、赤いお湯が噴出している場所もあるので、そこで泳いでいたのを見間違えたんじゃ、というのが私の予想。 ただし、かなり熱に強いことは間違いないようで、熱湯をかけたぐらいでは死なず、炎系の魔法にもかなりの耐性がある。 逆に寒さは極端に苦手で、春先程度の気温でも身動きが取れなくなるらしい。 つまり、ここのように一年中地面が暖かい場所こそ、彼らの好適環境なのだ。 「やはりヘル・フレイム・グリズリーはいないようですね」 「あの溶岩トカゲ? あれが追い出したのか?」 「そんなに強いのか? あのトカゲが」 「いえ、強くはないんですが、硬いんですよね、結構」 背中側だけではあるけれど、ヘル・フレイム・グリズリーの爪をはじき返すほどには頑丈な表皮を持っているのだ。溶岩トカゲは。 「その上、炎も吐きますし、熱に対する耐性はヘル・フレイム・グリズリー以上ですから......」 溶岩トカゲ、ヘル・フレイム・グリズリー共に主食である火炎石は、地熱の高い場所に多く存在する。 例えば、熱湯が噴き出している場所や、場合によっては溶岩が噴出しているような場所。 さすがに溶岩トカゲも、名前とは違って溶岩の中に入る事はできないが、熱湯程度なら十分に耐える事ができる。 「つまり、ヘル・フレイム・グリズリーが食べられる場所にある火炎石は溶岩トカゲも食べられるが、その逆は不可能って事か?」 「そういう事です。それでいて、溶岩トカゲはヘル・フレイム・グリズリーが簡単に駆逐できるほどに弱くは無いですし、熱泉の場所に逃げてしまえば、手出しができなくなるわけで」 「生存競争に負けて、ヘル・フレイム・グリズリーの狂乱が発生した、って事ね」 「はい、多分そうじゃないかと」 道中で拾うことができた火炎石の少なさも、その仮説を補強している。 疑問点を挙げるなら、なんで溶岩トカゲが増えたのか、もしくはどこか余所から移動してきたのかって事だけど、魔物の生態に関してはよく判ってないからねぇ。 普通の動物と同じように生殖活動をして増えるとも言い切れないみたいだし、そこをあんまり考えても無駄かな? 錬金術師に必要なのは、魔物から得られる素材を利用する事で、魔物の生態調査じゃないし。 そちらの研究に入れ込んでも、お金にはならないからね。 「つーことは、これで調査は終了って事になるのか? 微妙にすっきりしねぇけど」 ギルさんの言葉に、アンドレさんも頷く。 「結論としては、狂乱の原因は溶岩トカゲ。再び狂乱が発生する確率は、かなり低い、ってところか」 「ですね。ヘル・フレイム・グリズリーもいないようですし。――その代わり、素材も手に入らなくなったわけですが」 大樹海は広いので、他にも生息地はあるようだけど、ヘル・フレイム・グリズリーの大きさを考えると、狩りに行くのはちょっとキツい。 ここまで来るのにも数日必要なのだ。 錬金術師が同行するならともかく、ここより遠い場所となると、採集者だけではまともな品質で持ち帰れる部位など、限られるだろう。 「ん? もう終わりなのか? ここから上の調査は不要なのか? 山頂まではまだあるぞ?」 アイリスさんの言う通り、この場所は、中腹を少し越えた辺り。 調査範囲を言うなら、ごく僅かでしないんだけど――。 「それは止めた方が良いでしょうね。溶岩トカゲが、なぜ“サラマンダーモドキ”と言われているか。誰か、ご存じですか?」 私の問いに全員が顔を見合わせ、首を振る。 「そう訊くって事は、溶岩トカゲが熱に強かったり、炎のブレスを吐いたりする事以外に、よね?」 「はい。それなりに重要な情報なので、本で調べると大抵は載っている事なんですが――」 溶岩トカゲとサラマンダー。 知っていれば見間違える事など無であるが、それでも“サラマンダーモドキ”などと呼ばれているのは、頻繁にこの両者が、同じ場所で目撃されるから。 何らかの補完関係にあるのか、単なる偶然なのかはよく判っていないが、生息環境が近いヘル・フレイム・グリズリーとサラマンダーの組み合わせが知られていないところを見ると、きっと何か理由があるのだろう。 「つまりは、ナニか? この先に進むと、サラマンダーに遭遇するかもしれねぇと?」 「はい。その危険性があります」 「むぅ......店長殿。さすがに店長殿でも、サラマンダーは斃せないか?」 「少なくとも、今の装備では無理ですね。採算度外視で、がっつりと準備をしてくれば......どうでしょう? サラマンダーを斃そうと思った事が無いので」 サラマンダーのブレスに耐えられるような防具や、使い捨ての各種 本を読んで危険という事は解っても、強さを数値で表してくれるわけじゃないから、斃せるかどうかなんて、軽々には判断できない。 「私もサラマンダーには対峙した事ありませんし、今度、師匠に訊いておきますね」 そう答えを出した私に、アイリスさんは少し焦ったように手を振る。 「あ、いや、別に斃しに行きたいとか、そういうわけじゃなかったんだが......」 「えぇ、そうよね。店長さん、サラマンダーが村に襲来したりする事は――無いのよね?」 「無いですね。縄張りから離れる魔物ではありませんから。万が一、この山が噴火して、村が溶岩に飲み込まれるような事があれば別ですが、そうなるとサラマンダーがどうとか言っている場合じゃないですし?」 「そりゃそうだ。俺たちはもちろん、村人全員で逃げ出してるわな! はっはっは!」 「いや、アンドレ、それは笑い事じゃないからな?」 やや不謹慎なことを言うアンドレさんにグレイさんが顔をしかめるが、アンドレさんは肩をすくめて苦笑するだけである。 「ま、心配しても仕方ねぇことだよなぁ。それで、サラサちゃん、サラマンダーはいそうなのか?」 「たぶん、いますね。探知魔法にかなり強力な反応がありますから。もしサラマンダーじゃなくても、強い魔物である事は間違いありません」 だからこそ、先に行くのを止めたわけで。 私の答えを聞いて、アンドレさんは即座に頷いた。 「よし、ここまでだな。さすがに、あの程度の報酬で命は懸けられん。異論は無いな?」 「問題ない」 「当然だろ」 すぐに同意したグレイさんたちに対し、アイリスさんは頷きつつも一つの提案を口にする。 「私たちも異論は無いが、せっかくここまで来たんだ。店長殿もいる事だし、溶岩トカゲを多少、狩って帰りたいんだが......どうだろうか?」 「そうよね。せっかく泊まりがけで来たのに、収益としては少し物足りない気がするし......?」 問うようにケイトさんが私の方を見て、小首を傾げる。 道中、多少は素材を採集できたけど、凄く価値がある物があったかと言えば......微妙だね。 ヘル・フレイム・グリズリーが狂乱を起こしているんだから、当たり前と言えば当たり前なんだけど、拾えた火炎石の量もさほど多くない。 均等に分ければ、追加分が一日分の稼ぎに届くかどうか。その程度でしかない。 余録だから構わないとも思うけど、もったいないという気持ちも理解できる。 「私は構いませんよ。溶岩トカゲの素材も、確保しておいて損は無いですから。問題は、安全に狩れるか、ですが......皆さん、狩った事は無い、ですよね?」 「私は無いな。見たのも初めてだ」 「俺たちも同じだ。こんな場所までは来ないものな」 「ですよね。なので、最初は私が斃してみますね」 少し離れた場所で、危機感も無く転がっている溶岩トカゲを指さし、私は解説を始める。 「まず、注意すべきはブレスと尻尾です」 ブレスは言うまでも無く危険なのだが、尻尾による攻撃も、決して侮れない。 その尻尾は、普段のゆったりとした動きからは想像できないほど素早く動き、力も強い。 当たり所が悪ければ、大人の足でもへし折れてしまうほどで、安易に『背後から近づいて攻撃を』などと思っていたら、足を掬われる。 「鋭い爪も一見危険そうですが、通常はそこまで気にする必要はありません。こちらが動けなくなった時に活躍するので、侮っていいわけではありませんが」 例えば、尻尾の攻撃で足の骨が折れ、逃げられなくなった時。 太い腕から繰り出される爪の攻撃は、ヘル・フレイム・グリズリーの毛皮すら貫通するようで、多少の防具では役に立たない。 溶岩トカゲがヘル・フレイム・グリズリーと戦う際は、耐えられる温度や得意な地形の差を利用し、泥状になっている熱泉に誘い込んだりして斃すとか何とか。 「ですので、溶岩トカゲと戦う時は、深追い禁物です。足元に注意しておかないと、思わぬ不覚を取ることになりかねません」 私たちだって、泥に足を取られている状況で数匹の溶岩トカゲに囲まれ、ブレスや爪で攻撃を受ければ危ない。 一番良いのは、遠距離攻撃か、槍などの長物の武器を使う方法なんだけど、私たちの武器って、大半が剣なんだよね。 斃せないことはないけど、向いているとは言い難い。 私なら魔法で対処できるけど、今回はアイリスさんたちへのデモンストレーションという意味もあるわけで......。 「では、やってみますね。狙うべきはお腹側の少し軟らかい部分。身体の上側はかなり頑丈なので、剣が通りません」 説明が終われば実践。 溶岩トカゲの側面に向かって、やや離れた場所から一気に飛び込む。 ゆっくりと近づいていては、ブレスの餌食。 相手がこちらに向かって頭を回す前に、素早く剣を振り下ろす。 「この様に、上から攻撃しても――」 ズバンッ! ゴロリ。ビッチ、ビッチ! 「............と、こんな感じに。なので側面から下腹を狙うか、可能ならひっくり返して攻撃すれば簡単に斃せます」

Climbing the mountain for another hour or so while avoiding a place where the hot air stood, what I encountered there was a huge red brown lizard, about a meter or so from head to tail tip. The torso area is thicker than my waist circumference and the back area of my body is covered in a bitter, hard looking epidermis. I stopped walking quite a distance, so it's unclear if the other side is noticing this one, but at least from that leisurely movement, I can't feel myself on guard. "Fine, you're a big lizard, right? Sarasa, what is that? "That's," Lava lizard, "isn't it? Also known as" Salamander Modki. " "Oh, Lord Store Manager, that sounds like a strong name! I leak a bitter smile to Mr. Iris, who seems to be happy. "I have a rumor that I was swimming in lava..." "Oh, seriously? Are you that resistant to heat? "No, I think you're lying." Looking back, I shook my head at Mr. Andre, who looked at me with a surprised face. In the volcanic area, some places have red hot water erupting, so I guess I missaw you swimming there. However, it seems to be quite resistant to heat for sure, it does not die as long as hot water is applied, and is quite resistant to flame-based magic. Conversely, they don't like the cold extremely well and are unable to move even at temperatures around the spring tip. I mean, it's where the ground is warm all year round, like here, that's their favorite environment. "Looks like you still don't have a Hell Flame Grizzly" "That lava lizard? Did that kick you out? "Are you that strong? That lizard." "No, it's not strong, but it's hard, okay?" He has a rugged epidermis that is not just on the back side, but is strong enough to kick back Hell Flame Grizzly's nails. Lava lizards are. "Besides, I also throw up flames, because my resistance to heat is more than Hell Flame Grizzly..." Flaming stones, which are staple foods for both lava lizards and Hell Flame Grizzlies, are common in high geothermal locations. For example, where hot water is erupting or, in some cases, where lava is erupting. Exactly, lava lizards, unlike their name, cannot enter the lava, but they can withstand enough hot water. "I mean, flaming stones where Hell Flame Grizzlies can be eaten can also eat lava lizards, but vice versa is impossible? "That's the thing. Now, lava lizards aren't weak enough for Hell Flame Grizzlies to easily drive away, and if you run off to a hot spring location, you won't be able to help." "There's been a hell of a flame grizzly frenzy after losing the competition for survival." "Yes, maybe not." The small number of flame stones that could be picked up on the road also reinforces that hypothesis. If you're going to question it, it means why there are more lava lizards, or they've moved from somewhere else, but I don't really know about demonic ecology, so hey. I can't seem to say enough about more reproductive activities, just like normal animals, and is it useless to think about it too much? What the alchemist needs is to use the material obtained from the demon, not the demon ecological survey. Even if we go into your research, it won't be money. "What do you mean, this ends the investigation? It's not subtly refreshing." To Mr. Gill's words, Mr. Andre nods too. "The conclusion is that the cause of the frenzy is lava lizards. The chances of a frenzy happening again are pretty low, you know." "Right. There doesn't seem to be a Hell Flame Grizzly either. - Instead, we don't have the materials anymore." The great tree sea is huge, so there seem to be other habitats, but given the size of the Hell Flame Grizzly, going hunting is a bit tight. It takes a few days to get here. Anyway, if the alchemist were to accompany us, it would be limited if it were a farther place than here, such as where the gatherer alone could bring it back with decent quality. "Hmm? Are we done here? You don't need an investigation from up here? There's more to the summit, isn't there? Mr. Iris is right, this place is a little over the middle belly. If you're going to say the scope of the investigation, it's very small... "You should stop that, right? Why are lava lizards said to be" salamander modoki ”? Do you know who it is? Everyone looks at my inquiry and shakes their heads. "That's what you're asking, besides the fact that lava lizards are heat resistant or throw up flaming braces, right? "Yes, it's a very important piece of information, so most of it is in the book." Lava lizard and salamander. If you know it, there is nothing wrong with seeing it, but it is still called "Salamander Modki” because these two are frequently witnessed in the same place. I'm not sure if it's in some complementary relationship or just a coincidence, but if you look at the unknown combination of Hell Flame Grizzly and Salamander, where habitats are close, I'm sure there's some reason. "I mean, are you Nani? Moving on, you think you might run into a salamander? "Yes, there is a danger of that" "Mmm... the manager. That's right, sir, but can't you shoot Salamander? "At least, you can't do it with your current equipment. If you're profitable and ready to go... what do you think? I've never thought of killing a salamander." I was wondering if we could do something with some protective equipment that could withstand salamander braces or all kinds of disposable smelting equipment (artifacts)? Even if you read a book and you know it's dangerous, it doesn't give you a numerical indication of strength, so you can't easily tell if you can shoot. "I've never confronted a salamander either, and I'll ask my master next time." Mr. Iris waves a little hastily at me for giving the answer. "Oh, no, I didn't want to go shoot him or anything..." "Yeah, right. Mr. Store Manager, Salamander never comes to the village, does he? "You don't. Because it is not a demon that leaves the territory. Unless this mountain erupts and the village is swallowed up by lava, isn't that what Salamander says? "That's right. Of course we're running away with all the villagers! Ha ha! "No, Andre, that's not funny, is it? Mr. Gray looks at Mr. Andre, who says something slightly careless, but Mr. Andre just shrugs his shoulders and laughs bitterly. "Ma, I can't help but worry about it. So, Salasa, there's a salamander. Really? "Probably, you're here. Because there's a pretty powerful response to detective magic. If it's not a salamander, it's definitely a strong demon." That's why I stopped going first. When he heard my answer, Mr. Andre nodded instantly. "All right, that's it. Exactly, I can't hang my life with that degree of reward. You have no objection? "No problem." "Of course." In response to Mr Gray, who immediately agreed, Ms Iris will say one suggestion while she snorts. "We have no objection, either, but we've come this far because of it. There's also the manager, and I'd like to hunt some lava lizards home... What do you think? "Right. I came here because I wanted to stay, but I feel a little short on revenue and...? Mr. Kate looks at me like she asks and tilts his neck. On the road, I was able to collect some material, but if there was anything of great value... it's subtle. Hell Flame Grizzlies are freaking out, so it's natural to say so, but not so much as the amount of flame stones I could pick up. If divided evenly, whether the extra minutes will arrive to make a day's worth of money. Only to that extent. I know you don't mind because it's an excerpt, but I can also understand the feeling that it's a waste. "I don't mind. There is no harm in securing lava lizard materials. The question is, can you hunt safely, but... you've never hunted before, have you? "I don't have one. I've never seen it before." "We're the same. I don't think we're ever gonna make it here." "Right. So at first, I'll try to kill you." A little further away, pointing to a lava lizard rolling without a sense of crisis, I begin my commentary. "First of all, it's the braces and tails to watch out for" Brace needless to say, it's dangerous, but an attack by the tail is never insulting. Its tail moves faster and stronger than you can imagine from its normal, relaxed movements. If the hit is bad, even adult legs are broken, and you think, "Get close behind your back and attack" cheaply, you will be slapped on the leg. "Sharp nails also seem seemingly dangerous, but you don't usually have to worry that much about them. It works when you can't move, so it's not okay to insult you." For example, when a tail attack broke a leg bone and made it impossible to escape. Claw attacks rolled out of thick arms seem to penetrate even Hell Flame Grizzly fur and are useless with some protective gear. When a lava lizard fights Hell Flame Grizzlies, use the withstanding temperature and good terrain differences to lure them into muddy hot springs and kill them or something. "So when fighting lava lizards, deep pursuit is forbidden. If you don't pay attention to your feet, you may take unexpected unconsciousness." Even we would be in danger if we were surrounded by several lava lizards in a situation where our feet are being taken by mud and attacked with braces and nails. The best part is how to use long weapons like ranged attacks or spears, but most of our weapons are swords, right? There's nothing you can't do, but it's hard to say it's right for you. I could deal with it magically, but this time it also means demonstrating to Mr. Iris... "Okay, I'll try. It's the slightly soft part of the stomach that should be targeted. The upper side of the body is pretty sturdy, so the sword doesn't go through" Practice once the explanation is complete. Jump all at once from somewhat further away toward the side of the lava lizard. Slowly approaching, brace feeding. Swing your sword down quickly before your opponent turns his head toward you. "Thus, even attacking from above..." Zubang! Golori. Bitch, bitch! "... and like this. So you can either aim at your lower abdomen from the side or, if possible, flip it and attack it, and you can easily kill it."

山に登り始めた当初こそ、これまでと同じように歩いていたロレアちゃんであるが、さすがの健康優良児も冬山、それもまともな道もない高い山となると勝手が違うようで、やがてその足取りに覚束なさが見え始めた。 その変化は足取りだけではなく呼吸や顔色にも出ていたが、それでも何も言わずに頑張るロレアちゃんに私は足を止めた。 「そろそろ休憩を入れようか。ロレアちゃん、そろそろ厳しいでしょ?」 「......っ! すみません」 私の問いに、咄嗟に反駁しかけたロレアちゃんは言葉を呑み込み、俯いて謝罪を口にした。 「それは気にしなくて良いよ。高度に順応できるかは、体質や慣れも関係するみたいだし。でも、無理するのはダメ。病気になることだってあるんだから」 私が「めっ」と指を突きつけると、ロレアちゃんは表情を緩めて「はい」と微笑む。 高い山で無理をすると、『疲れた』だけでは済まなくなり、場合によっては命を落とすこともあると聞くから、ここだけは強調しておきたい。 「うむ。それにこれぐらいで休憩を入れるのは悪いことではない。私たちもそう余裕があるわけじゃないからな」 「そうそう。歩くだけならまだしも、戦闘を行える状態をキープするためにはね」 ロレアちゃんをフォローするようにそう言だけど、実際、ロレアちゃんのペースで進んでいるからこそ、まだ余裕があるとも言える。 ここで激しい戦闘行為をすれば、あまり動かずに弓で攻撃できるケイトさんはともかく、前で剣を振るうアイリスさんはかなり厳しいかもしれない。 もしも戦闘中に動けなくなったりすれば大変に危険なわけで、少しずつ体を慣らしながら登るのが正解だろう。 「アイリスさんたちも、体調に変化があれば言ってくださいね? 今言ったように、体力だけじゃなく、体質の問題もありますから」 「あぁ、もちろんだ」 「えぇ。店長さんもね?」 それ以降はかなり頻繁に休憩を入れ、お茶やお菓子を口にし、状況次第では日が高いうちから野営の準備をして、その場し。 ややゆっくりと時間をかけて、私たちは山を登った。 そして登り始めて数日ほど。 ついに私たちは最初の山の尾根を越え――そこを境に景色は一変した。 「おぉ......」 目の前の光景に、感嘆とも畏怖とも取れるような声を漏らしたのは、私と共に先頭を歩いていたアイリスさんだった。 最初に目に飛び込んでくるのは、完全に雪に覆われた斜面。 その斜面を降りきり、更にその向こうに聳えるのが、目的地の山。 その山は完全に白く沈み込み、そこに至るまでの困難さを暗示していた。 「ここまでくっきりと変化があるなんて......」 私の隣まで来たロレアちゃんが、正面と後ろを見比べて目を丸くする。 「うん。山を越えると、こういうこともあると聞いていたけど......それでも凄いね」 距離にして数十歩。僅か一つの尾根を超えただけなのに、背後は雪よりも土の地面が多く、正面は隙間なく深い雪が積もり、 雪山靴 実際に見ても、かなり驚く。 を掛けて、日焼け止めも塗り直していきましょう。雪は侮れないですから」 ◇ ◇ ◇ 山を下り始めて数時間ほど。 雪の積もった斜面を下りることは、慣れない私たちには困難を極める――かと思ったら、そうでもなかった。 「店長殿! この靴の性能は凄いな!!」 「ですねぇ。実は私も使うのは初めてなんですけど」 学校の実習だと、支給されるのは最低限の装備のみ。 それ以外は自前で準備するしかない。 当然、節約生活中だった私に でも、用意できなくて良かったのかも。 を履いていると、深い雪の中に踏み入っても、足は僅かに沈むだけ。 滑ることもなく、砂地を歩くのと同じぐらいの労力で普通に歩ける。 もし実習の時にこんな経験をしていたら、冬山を甘く見るようになったかもしれない。 「ちょっとだけ、地面に比べると踏ん張りが利かないのね」 「そうですか? 私はあまり気にならないですけど」 ロレアちゃんはぴょんぴょんとその場で跳び、小首を傾げる。 その動きに何ら違和感はないけれど、これはケイトさんが正解。 普通に歩くだけならまだしも、戦闘時のように強く踏み込むと、やや頼りない。 このあたりは消費魔力と効果のトレードオフ。 意識して足に魔力を込めれば問題なくなるけど、私以外だとちょっと難しいかも。 そちらに意識が行って、他のことが疎かになったら本末転倒だし。 「若干の慣れは必要でしょうね。取りあえず、慣れるまでは魔物には遭遇しないようにするつもりですが、警戒は怠らないでくださいね?」 魔法での探知はかなり信頼性が高いけれど、絶対ではないからね。 「もちろん。――というか、無理して避けるぐらいなら、少しぐらいは戦っても良いと思うけど?」 「今回の目的は、魔物を斃して素材を得ることではなく、ミサノンの根ですからね。少なくとも、往路では可能な限り戦闘は避けていきます」 「ふむ、そうだな。特に今回は失敗できない依頼。避けられるならば避けておくべきだろう」 「はい。相手は王族ですからね。失敗はちょっと怖いです」 そんなわけで時々休憩を入れたり、やや遠回りをして怪しい反応を避けつつ先へと進む私たちだけど、すべての生き物を避けて行動するわけではない。 「わぁ! 見てください、兎さんがいますよ!」 ロレアちゃんが雪原の向こうを指さして、小さく声を上げる。 その指さす方を見れば、雪の上をぴょんぴょんと跳ねる、真っ白な兎がいた。 そこまで大きな兎ではないが、ふわふわの毛で包まれたその身体は丸々としている。 「ん? 今日の夕食は兎肉のソテーか?」 それを見たアイリスさんがどこか嬉しげに応えれば、ロレアちゃんは慌てたように首を振る。 「ち、違いますよ! 真っ白ですよ? 可愛くないですか!?」 同意を求める彼女の背後で、そっと弓を下ろすケイトさんの姿が。 うん、狩人としてその行動は間違っていない。 さすがに、『可愛い!』と喜んでいるロレアちゃんの目の前で、射殺す心臓の強さは持ち合わせていなかったようだけど。 「ロレアちゃんは、白い兎を見るのは初めて?」 「はい。私が見るのは茶色とか、黒っぽいのとかです。時折、ジャスパーさんが狩ってくるので。――美味しいんですよね」 そう言って、そっと目を伏せるロレアちゃん。 可愛いは可愛いけど、お肉はお肉。 そのあたりは心に棚を作るということかな? 「......狩りましょうか?」 再び出番が来たかと、弓を手に取るケイトさんと、悩むロレアちゃん。 そうして、しばらく経って出した答えは――。 「ま、任せます......。狩れたら、料理します」 「そう? それじゃ――」 狩人ケイトさんは容赦なかった。 ロレアちゃんがそっぽを向いたその一瞬で放たれた矢は確実に兎を捕らえ、その命を即座に刈り取る。 トサリと雪に倒れる兎と、それを回収に向かうケイトさん。 拾い上げた兎の首を掻っ切り、その場で血抜きをすれば、白い雪原が赤に染まり、さっきまでのほのぼのが一掃された。 「うぅ......」 「がうがう」 目を背けたまま、しかし微妙に視界の隅に捕らえつつロレアちゃんが呻けば、その背中に張り付くクルミが慰めるようにポンポンと彼女の肩を叩く。 ロレアちゃんは心を癒やすかのように、そんなクルミをぎゅっと抱きしめた。 そんな彼女を見て微妙な表情になったのは、手早く兎を解体して戻ってきたケイトさん。 その両手には、毛皮と肉に分けられた兎がぶら下がっている。 「......なんか、私が悪いことをした気分になるんだけど」 「いえ、全然悪くないですよ、ケイトさんは」 見た目はアレだけど、猟師としては正しい姿。 普段から狩りをしているケイトさんと、狩ってきた物を受け取るだけのロレアちゃんという違いだけのことだろう。 とはいえ、たった今、『可愛い!』と見ていた動物を切り刻めというのはちょっと可哀想。 「ロレアちゃん、やりにくいなら、私が料理しようか?」 そう提案した私に、ロレアちゃんは僅かに言葉に詰まったが、すぐに首を振った。 「......いえ、料理は私の仕事ですから。それに、狩った以上は美味しく食べるのが礼儀だと思いますから」 それは、私が料理すると、美味しく食べられないということかな? 一応、料理はできるんだよ? 普段全然やってないけど。 ――まぁ、その日の晩、ロレアちゃんが調理した兎肉は、とっても美味しかったんだけどね。

- Winter Mountains () It was only in the beginning when I started climbing the mountain that I was walking like before, Lorea, but when it became a high mountain with just the right health and winter mountains, and no decent paths for it, I seemed to be different on my own, and eventually I began to see a lack of memory in its footsteps. The change wasn't just in footsteps, it was in breathing and complexion, but still I stopped on Lorea, who works hard without saying anything. "Shall we put in a break? Lorea, it's time to be tough, right? "... Huh! Excuse me." To my inquiry, Lorea swallowed the words and leaned down and said an apology. "You don't have to worry about that. Highly adaptable seems to have something to do with physical fitness and habit. But you can't make it impossible. I get sick sometimes." When I poke my finger "meh," Lorea loosens her expression and smiles "yes". I would just like to emphasise this because I hear that when you impose on a high mountain, you are no longer just 'tired' and in some cases you can lose your life. "Mm-hmm. Plus it's not a bad thing to put a break in about this. It's not like we can afford it either." "Yes, yes. If you're just walking, you can still do it to keep the fight going." Those are the two of us who say that to follow Lorea, but in fact, we can also say that we can still afford it because it's progressing at Lorea's pace. Anyway, Mr. Kate, who can attack with a bow without much movement if he engages in intense combat behavior here, Mr. Iris waving his sword in front could be pretty harsh. If you can't move during battle, it's very dangerous, so you'll be right to climb a little bit more accustomed to your body. "Mr. Iris, if there's any change in physical condition, please tell me, too? Like I said, it's not just about strength, it's about physical fitness." "Oh, sure." "Yep. And the manager, too? After that, we put in a break quite often, sipped tea and sweets, and, depending on the situation, prepared the camp from when the sun was high and stayed overnight on the spot. Slightly slowly we climbed the mountain. And I started climbing for a few days or so. Finally we crossed the ridge of the first mountain - and the view changed over there to the border. "Ooh..." It was Mr. Iris, who was leading the way with me, who leaked to the sight in front of me a voice that could take both admiration and awe. The first thing that pops into my eyes is a slope completely covered in snow. Down that slope, and beyond it, is the mountain of destination. The mountain sank completely white, alluding to the difficulty to get there. "I can't believe there's been a change so far..." Lorea, who came next to me, rounds her eyes compared to the front and back. "Yeah. When I crossed the mountain, I heard these things happen... but still awesome" Dozens of steps at a distance. Situations where only one ridge has been crossed but there is more dirt ground behind it than snow, with deep snow on the front without gaps and snow mountain shoes (snow boots) likely to work great. Pretty surprised, actually. "Hang snow mountain glasses (snow glasses) securely from here and repaint the sunscreen as well. Because the snow is not insulting." ◇ ◇ ◇ About a few hours after I started going down the mountain. Going down a snowy slope is extremely difficult for us to get used to - and I didn't think so. "Lord Store Manager! These shoes perform amazing!!" "Right. Actually, I've never used it before." When it's a school internship, only minimal equipment is paid for. Other than that, I'll have to prepare myself. Naturally, I was saving money, and I couldn't possibly have a snow mountain shoe (snow boot) for luxury items. But maybe I'm glad I couldn't prepare it. Wearing snow mountain shoes (snow boots), even if you step into deep snow, your feet will only sink slightly. I can walk normally without slipping and with as much effort as walking in the sand. Had I had this experience during my internship, I might have started seeing Winter Mountain sweetly. "Just for a moment, you're no better at stomping than you are on the ground" "Really? I don't really care." Lorea jumps on the spot with a pimp and tilts her little neck. Although I'm not in any way uncomfortable with the move, Kate is right about this. If you just walk normally. Still, if you step in as hard as you do in battle, you're slightly unreliable. Around here is a trade-off between consuming magic and effects. Consciously putting magic into your legs would make it go away, but other than me, it might be a little difficult. If your consciousness goes over there and the others are neglected, you will end up falling. "You'll need to get used to it a little. In the meantime, I'm going to make sure you don't encounter demons until you get used to them, but don't fail to be vigilant, okay? Because magical detection is pretty reliable, but not absolute. "Of course. - I mean, if you can't do it and avoid it, I think you can fight for a little while? "The purpose of this one is not to kill demons and get materials, but the roots of the Missanon. At least we will avoid fighting as much as possible on the outbound route" "Hmm, right. Especially this time a request that cannot fail. If you can avoid it, you should." "Yes, because they're royal. I'm a little scared of failure." That's why we sometimes put in a break or go somewhat far to avoid suspicious reactions while moving on, but we don't act avoiding all creatures. "Wow! Look, there's a rabbit! Lorea points across the snowfield and speaks up low. When I looked at the one pointing at it, there was a bright white raspberry that bounced over the snow. Not that big a raven, but its body wrapped in fluffy hair is round. "Hmm? Sautéed ravioli for dinner today? If Mr. Iris, who saw it, responds somewhere happy, Lorea shakes her head like she panicked. "Chi, no! It's white, right? Aren't they cute?!?" Behind her asking for consent, there's a gentle bow down Kate. Yeah, as a hunter, I'm not doing that wrong. Exactly, 'Pretty!' In front of Lorea, who is delighted, though she didn't seem to have the strength of the heart to shoot. "Lorea, is this the first time you've seen a white rabbit? "Yes. What I see is brown or blackish. Because from time to time, Mr. Jasper comes hunting. - It's delicious." That's what I said, I'm gonna lay my eyes down gently, Lorea. Cute is cute, but meat is meat. Does that mean I'm going to build a shelf around it in my heart? "... Shall we hunt? I was wondering if my turn had come again, Kate taking the bow in her hand, and Lorea worried. So, the answer I gave after a while... "I'll leave it to you... If I can hunt, I'll cook." "Really? Well..." Mr. Hunter Kate did not condone it. The arrow released at that moment when Lorea turned that way will surely capture the raven and instantly prune its life. Tosari and the rabbit falling into the snow and Kate heading to retrieve it. If I scratched the neck of the picked up ravioli and drained the blood on the spot, the white snowfield stained red and almost all of it was swept away until just now. "Ugh..." "Garu." With her eyes turned away, but subtly captured in the corner of her sight. If Lorea groans, she slaps her pompous and her shoulder so that the walnut sticking on its back comforts her. Lorea hugged such a walnut like a healing or faint heart. Seeing her like that gave her a subtle look was Kate, who quickly dismantled the ravioli and came back. On both hands hangs a raven divided into fur and meat. "... something makes me feel like I've done something wrong" "No, it's not bad at all, Mr. Kate." It looks array, but as a hunter, you look right. I guess it's just the difference between Kate, who's been hunting for a long time, and Lorea, who just receives what she's been hunting for. Though, just now, 'Pretty!' It's a little pathetic to call the animal you were looking at chopped up. "Lorea, if it's hard to do, shall I cook? To me that suggested, Lorea was slightly stuck in words but shook her head immediately. "... no, because cooking is my job. Besides, I think it's polite to eat more delicious than you hunted." Does that mean that when I cook, I can't eat it deliciously? You can cook for once, right? I don't usually do it at all. - Well, that night, the ravioli cooked by Lorea was so delicious.

サラマンダーを中心に吹き荒れる、凍てついた風。 防熱コートを着ていてもなお熱かった周囲の空気は、みるみるうちに冷えていき、地面には霜が降り始める。 赤熱していた溶岩の池も色を失い、黒く固まっていく。 そして、対象となっているサラマンダー。 その周囲からはもうもうと白い湯気が上がり、アイリスさんたちを追いかけようとしていた足の動きは、まるで平時の溶岩トカゲのように、ゆっくりとしたものになっていた。 「......こ、これほどまでとは」 「ここにいても、寒いほどね」 私の少し後ろに立ち、変わっていく景色に感嘆の声を上げ。 次第に周囲が氷に閉ざされ始める状況、どこか幻想的ですらあるその光景に、気持ちは解らないでもない。 でも、実のところ、私の方はそんなに余裕が無い。 「ちょっと......マズいかもしれません」 冷や汗を垂らす私に、アイリスさんたちが意外そうな表情を向ける。 「え、そうなのか?」 「成功、じゃ、ないの?」 ぐんぐんと消費されていく魔力。 このまま魔力が空になる。 それ自体は予定通りだから問題は無い。 予想外なのはサラマンダーの現状。 私の予想では、この段階ですでにサラマンダーは凍りついていて、最終的にはサラマンダー in 氷塊ができあがる予定だったのだ。 だが実際は、未だサラマンダーからは蒸気が立ち上り、私の魔法に対抗している。 動きこそ止まっているが、氷付けにはほど遠い状態。 「斃しきる事ができれば、御の字ですが......魔力が持つか......」 持ち帰る事を考えるなら、完全冷凍が望ましい。 瞬間冷凍なら、劣化も抑えられて更に言う事なし。 でも、このままだと、凍死まで持って行けるかどうかもちょっと心配になってきた。 「むむむ......何かできる事は......あ、 など、私の魔力量の前では雀の涙です。そう、まるでサラマンダーに水をかけるがごとし」 師匠ですら驚く私の魔力量。 があったら、それだけで借金が返せるかもしれない。 まぁ、それだけの魔力量がありながら、サラマンダ斃し切れていないあたり、私の魔力の使用効率が悪いんだろうねぇ。 錬金術関連なら自信があるんだけど、慣れない攻撃魔法だからね、これ。 「......実は店長さん、余裕ある?」 「いえ、無我の境地? 焦っても魔力の残量は増えませんし。――そろそろ、撤退の準備、しておいた方が良いかもしれません」 残りが少ない。 サラマンダーの身体から立ち上っていた白煙は収まり、その表面には氷が張り始めているけど、斃せるところまで魔力が保つかどうかは微妙。 ただ、動きは止まっているので、ケイトさんが足止めなどしなくても、無事に逃げられそうなのは幸いかな? 「くっ、ここまで来て! あ、あんなやつに嫁ぐなどゴメンだぞ!」 「そうね、アレは私も賛成できないわね」 アイリスさんとケイトさん、実は鹿を狩りに実家に戻った時、運悪くホウ・バールと遭遇してしまったみたいなんだよね。 すでにアデルバート様は、婚姻を認めるつもりなど無いが、時間稼ぎのためにもそれを言うわけにもいかない。 その事もあって、まるですでに婚姻が決まったかのような、馴れ馴れしい、それでいて上から目線な態度で接されても、それなりの対応はせざるを得ず、二人ともかなりのフラストレーションを溜めて戻ってきた。 その不満を聞かされただけの私でも、『それはちょっと......』と、うんざりしたので、直接話す羽目になった二人は大変だっただろう。 そして、もし結婚する事になってしまえば、アイリスさんはそんな相手と夫婦生活を送る事になり、ロッツェ家に仕えるケイトさんの方も、それが主人となる。 共に『絶対に嫌だ!』という感想を持つのは、必然だと思う。 「......! 店長殿! この氷結石、全部使っても良いだろうか!? もちろん、費用は私が負担する!」 「構いませんが、どこまで効くかは――」 「それでもやらないよりはマシだ!」 私の魔力も残りわずか。 答えを聞くか否か、アイリスさんは数個ずつ氷結石を掴み出しては投げ、掴み出しては投げ。 ケイトさんもまた、残っていた氷結の矢をかなりの速度で全て射かけてしまうと、アイリスさん同様、氷結石を投げ始めた。 かなりの余裕を持って準備していた氷結石も、そのような使い方をすれば、みるみるうちに数が減っていく。 ただ、すでに凍り始めているサラマンダー。氷結石を投げても、先ほどまでの様に瞬間的に蒸発する事はなく、ぶつけた所を確実に凍らせていく。 そして、革袋が空になるのとさほど間を置かず、私の魔力が尽き、魔法が止まる。 襲い来る疲労感に崩れ落ちる私をケイトさんが支え、アイリスさんが素早く抱え上げる。 そのままサラマンダーから距離を取り、いつでも逃げ出せる体勢をとる二人。 私? 私はただアイリスさんに身体を預けるのみ。 しばらくは、何もできないからね! 「......倒せた、のか?」 「どう、かしら? 店長さん、どう?」 用心して、ひとまず逃げるべきか、それとも無事に斃せたのか。 その判断に迷うケイトさんが私の方を振り返りそう尋ねるが、私はただ弱々しく首を振るのみ。 「すみません、普段なら、判るんですが、魔力が枯渇した今の状態では......」 魔力が充満したこの空間で、相手のわずかな魔力を測る事は難しいし、そもそも魔物の素材には魔力が多分に含まれている。 死んだからと言って、即魔力が霧散するわけではないし、そんな事になってしまっては、錬金術の素材としての価値も無くなる。 それとは別に、魔法で生命反応を探る事もできるが、現状ではその魔法を使う余裕も無い。 そのまま無言で待つ事、しばし。 私の魔法は思ったよりも威力があったようで、黒く固まった溶岩が再び赤熱する事も、周囲の氷が溶けて水になる様子も無い。 逆に言えば、攻撃対象以外にも無駄に威力をまき散らしているわけで、非常に効率が悪かったとも言えるんだけど。 「......店長殿。近づいても大丈夫だろうか?」 しびれを切らし始めたらしいアイリスさんに尋ねられ、私は悩む。 安全性第一と考えるなら、今日はこのまま引き返し、私の魔力が回復しきった後で、もう一度来るのが最善。 死んでいれば何も問題なし。 生きていても、私が回復していれば、逃げる事ができる。 でも、生死の確認もせずに戻り、私の回復を待つのがもどかしいというのも、理解できる。 ほぼ完全に表面を氷が覆っているから、死んでいるとは思うんだけど......。 「――――すっきりとしないのは同意しますが、安全性を担保できない以上、賛成はできません。今日のところは耐えて、引き返しましょう」 「そう、か?」 アイリスさんは迷うようにケイトさんに視線を向けるが、ケイトさんもため息をつきつつ、首を振ったのを見て、諦めたように息を吐いた。 「そうだな。もし生きていたとすれば、店長殿も危険にさらす事になる。ここは我慢のしどころか」 「はい、私、動けませんからね」 私としてはアイリスさんの事が心配なんだけど、私がいる事で自制してくれるなら、足手まといも良い。 私が首に手を回して身体を預けると、アイリスさんは苦笑してサラマンダーに背を向けた。 「では帰ろう。今日は、今私たちが無事である事、それを喜ぶとしよう」 「えぇ。サラマンダーとの戦いを無事に生き残った。その事だけでも価値があるわ。......使った費用については、ちょっと考えたくないけど」 空になっている革袋と、自分の矢筒を見て、なんとも言えない表情を浮かべるケイトさんに、アイリスさんもまた、顔を曇らせた。 「それは言わないでくれ。負担するとは言ったが、私たちが掴んで投げた氷結石、その一回だけでも、私たちの一日の稼ぎより多いんだから......」 「安心してください、アイリスさん」 「店長殿......! もしかして、免除――」 表情を輝かせるアイリスさんに、私は頷いて、にこりと微笑む。 「割引価格を適用してあげます」 「店長殿......」 費用を負担すると言ってくれた以上、遠慮はしない。 私、貧乏性なので。 一転、情けない表情になったアイリスさんに、私とケイトさんは顔を見合わせ、クスリと笑う。 実際のところ、サラマンダーがちゃんと斃せていれば、氷結石のコストぐらいはたいした問題ではない。 そしてその結果がわかるのは、明日以降。 私たちは後ろ髪を引かれつつ、凍りついたまま動かないサラマンダーに背を向けて、洞窟を後にしたのだった。

A frozen breeze blowing around the salamander. The ambient air, which was still hot even when wearing a heat proof coat, cools as you look around and frost begins to fall on the ground. The lava pond, which was red-hot, also loses its color and solidifies in black. And the salamander being targeted. White hot air had already risen from its surroundings, and the movement of the legs that were about to chase Mr. Iris and the others, as if they were lava lizards at normal times, had become slow. "... I didn't know this was happening." "Even here, the colder." Two people standing a little behind me and exclaiming at the changing scenery. I don't know what it's like to be in a situation where my surroundings gradually start to close to ice, in that sight that's even fantastic somewhere. But the truth is, I can't afford that much. "Hey...... maybe it's a bad idea" Give me a cold sweating look that Mr. Iris and the others seem surprised by. "Oh, really? "Success, then? The magic consumed by Gungu. The magic will remain empty. I don't have a problem with that because it's on schedule in itself. What is unexpected is the current state of the salamander. My prediction was that the salamander would already be frozen at this stage and eventually the salamander in ice cubes would be ready. But the truth is, steam still rises from the salamander and counteracts my magic. It's the movement that's stopping, but it's far from icing. "If you can kill me, it's your word... will you have magic..." If you want to think about taking it home, you should freeze it completely. If it is frozen instantaneously, the deterioration is suppressed and there is nothing further to say. But if I stay like this, I'm also getting a little worried if I can take it to freezing death. "Mmmm... there's something I can do... ah, how about the smelting drug Potion, the smelting drug Potion!?" "Ha ha... that's water on the baking stone. It is a sparrow tear in front of my magic power, such as the hand smelting drug Potion. Yes, it's like watering a salamander." Even my master is amazed at my magic power. If there was a potion of smelter that could significantly restore that, that might be the only way I could pay off my debt. Well, I guess my magic is inefficient to use around that much magic, but I haven't run out of salamanders. If it's alchemy related, I'm confident, because it's unfamiliar offensive magic, this. "... actually, Mr. Store Manager, can you afford it? "No, a selfless frontier? There's no more magic left in a hurry. - It's time to get ready to retreat, you might want to keep it" There's not much left. The white smoke that was rising from Salamander's body fits in, and the ice is starting to tense on its surface, but it's subtle whether the magic will stay where it can be killed. However, the movement is stopped, so is it lucky that Mr. Kate doesn't have to hold back or anything like that, he's going to get away safely? "Come here, come here! Oh, I'm so sorry to marry such a guy! "Well, I can't agree with you either." Mr. Iris and Kate, it's actually like you were lucky enough to run into Howe Barr when you went back to your parents house to hunt deer. Already, Master Adelbert has no intention of accepting marriage, but he cannot say it for the sake of time. Sometimes, as if marriage had already been decided, familiar, and then even when treated with a gaze from above, we had to deal with it quite a bit, and we both came back with quite a bit of frustration. Even when I was just asked about that dissatisfaction, 'That's a little...' and I got sick of it, so it would have been hard for the two of us to talk directly. And if he were to marry, Mr. Iris would live a couple lives with someone like that, and Kate, who serves the Rotze family, would be his husband. Together, they said, "Absolutely not! 'I think it's inevitable to have feelings. ...... Lord Store Manager! Can I use all this icy stone?!? Of course, I'll cover the cost! "I don't mind, but how far does it work -" "Still better than not doing it! Only a few of my magic remains. Ask the answer or not, Mr. Iris grabs a few ice stones and throws them, and grabs them and throws them. Mr. Kate also started throwing icy stones, like Mr. Iris, when he fired all the remaining icy arrows at considerable speed. Ice stones, which were prepared at considerable leeway, will also be reduced in number as we look at them, if used in such a way. Just a salamander that's already starting to freeze. Even if you throw an icy stone, it will not evaporate instantaneously, as it did earlier, but it will definitely freeze where you hit it. And not so long as the leather bag goes empty, my magic runs out and the magic stops. Kate supports me and Iris holds me up quickly as I collapse into a sense of impending fatigue. Keep the distance from the salamander and two people in a position to escape at any time. Me? I just keep my body with Mr. Iris. For a while, I can't do anything! "... I could take you down, huh? "What do you think? How's it going, Mr. Store Manager? Be careful, should I get away with it for one second, or did I let you die safely? Miss Kate, lost in that decision, looks back at me and asks, but I just shake my head weakly. "Sorry, usually, I know, but in the present state where the magic is depleted..." In this space full of magic, it is difficult to measure the opponent's slight magic, and in the first place, the material of the demon probably contains magic. Just because you're dead doesn't mean instant magic spreads, and if that happens, it loses its value as an alchemy material. Apart from that, we can also explore life reactions by magic, but at present we cannot afford to use that magic. Waiting silently, often. My magic seemed more powerful than I thought, and there was no way that the black solidified lava would turn red again, or that the surrounding ice would melt and turn into water. Conversely, besides being the target of an attack, I can also say that it was very inefficient because it was wasting its power. "... the manager. Wouldn't it be okay to get close? I hear he's starting to cut the numbness. Mr. Iris asks me, and I worry. If you think safety comes first, it's best to keep turning back today and come back after my magic has recovered. If he's dead, nothing's wrong. Even if I'm alive, if I'm recovering, I can escape. But it's also understandable to go back without confirming life or death and wait for my recovery. I think he's dead because the ice almost completely covers the surface... "- I agree it's not neat, but I can't agree more than not being able to guarantee safety. Bear with me for today, and turn back." "Really? Ms. Iris turns her gaze to Ms. Kate to get lost, but Kate sighed as well, watching her shake her head, exhaling as she gave up. "Right. If he were alive, the manager would be in danger. Instead of being patient here." "Yes, I can't move." I'm worried about Mr. Iris as far as I'm concerned, but if you can restrain yourself because I'm here, you can keep your feet together. As I turned my hand around my neck and deposited my body, Mr. Iris smiled bitterly and turned his back on the salamander. "Then let's go home. Let's just say we're happy that we're safe today." "Yep. He survived the battle with Salamander safely. It's worth it.... I don't want to think about the cost I spent." Iris also clouded her face with an empty leather bag and Kate, who sees her own arrows and gives her an indescribable look. "Don't tell me that. I said I'd bear it, but the icy stone we grabbed and threw, even once, is more than our day's earnings..." "Don't worry, Mr. Iris" "Lord Store Manager......! Could it be an exemption -" I nod, grin and smile at Mr. Iris, who makes his expression shine. "I will apply the discounted price to you" "Store manager..." I won't hesitate any more than you told me you'd cover the cost. Me, because I'm poor. To Iris, who turned into a pitiful look, me and Kate looked at each other and laughed in a crunch. As a matter of fact, if the salamander had been properly shot, the cost of the icing stone or so would not be a big problem. And I can see the result after tomorrow. We turned our backs on the frozen, immobile salamander and left the cave behind.

「うぅ~、ロレアちゃん、お水、お願い~~」 「はいはい。ちょっと待ってくださいね」 村人や採集者、みんなの頑張りでヘル・フレイム・グリズリーを撃退したその翌日、私、ベッドの上の住人になっていた。 と言っても、べつに怪我をしたわけではない。 単なる筋肉痛。 ただし、全身の。 とってもキツいです。 全体的に結構無理して頑張っていたのは勿論だけど、一番の要因は言うまでも無く最後。 私の身体では無理がある、強大な魔力にあかせた強引な身体強化。 その結果がこれである。 錬成薬 では治す事ができず、かといって治せるような高価な錬成薬を使うのはさすがに勿体ない。 故にコレ。 一応、ヘル・フレイム・グリズリーの中で、急いで処理が必要な部位だけは全部回収を終わらせたんだけど、処理の終わり頃には、体中がピキピキいっていたから、本当にギリギリ。 根性だけでやりきりました! そこを疎かにしたら、復興資金や頑張ってくれた人たちに分配する報酬にも影響するからね。 ――そう、復興。 大多数のヘル・フレイム・グリズリーは集めて殲滅する事ができたんだけど、アンドレさんたちが対処に向かった先にはのヘル・フレイム・グリズリーがいた。 アンドレさんたちは、採集者に貸し出すために確保してある空き家を利用し、なんとか三人で斃しきる事に成功したんだけど、その代償として、壁が壊れた家が数軒、半壊した家が一軒、燃え尽きた家が一軒。 結構な被害である。 でも実際のところ、最も被害を受けたのは、私の家なんだよね。 塀だけならともかく、荒らされた高級薬草の畑、破壊された裏口の扉と壁。 中でも一番の問題は、壁を壊されちゃった事。 私の家って、“刻印”が使われてるから、それに含まれる壁を修復するのにかかる費用、単なる壁を直すのとは正に桁が違うんだよね......。 壁を壊された家共々、私の家に関しても、村からお金を出してくれるって話だけど、さすがに全額出してもらう事もできないし、これは、もしかすると赤字かもしれない。 ちなみに、なんで私の家にヘル・フレイム・グリズリーがやってきたかと言えば、推測でしかないんだけど、たぶん、ヘル・フレイム・グリズリーを誘導するための魔晶石を作っていたからじゃないかと。 一応、全部持ち出して家の中には残っていなかったのだが、細かく砕いて運んだものだから、その途中、つまり裏口から出て裏庭、門扉、森への経路にわずかに落ちていたとしても不思議ではない。 つまり......うん、私のミス。 実際のところは判らないけどね。 「サラサさん、お待たせしました」 「ありがと~。うぅ、痛い......」 「あ、支えますね」 ロレアちゃんが持ってきてくれた水を飲むために身体を起こそうとすると、体中に引きつるような痛みが走る。 そんな私の身体を、ベッドに腰を下ろしたロレアちゃんが補助して起こしてくれた。 「ごめんねぇ」 「これぐらい、気にしないでください。サラサさんのおかげで、私たちの村が救われたんですから」 「みんなで頑張ったからだよ。残ってくれた採集者がいたのも、普段から村の人たちが良くしていたからだと思うし」 定住しているわけじゃないアンドレさんたちにすれば、無理してこの村を守る必要は無く、出て行った採集者たちと同様、危険を避けたところで非難されるような事でもない。 それでも留まってくれたのは、ここの村の人たちを見捨てられなかったからだろうし、そう思わせたのは、村の人たちのこれまでの行いだろう。 私が頑張ろうと思ったのも、ロレアちゃんとかがいたからだし。 「ロレアちゃんも、怖かったよね?」 「少し。でも、すぐにサラサさんが来てくれましたし、この家の壁、かなり丈夫でしたから、そこまでは」 「“刻印”が使ってあるからねぇ。人間の力じゃ壊れないくらいには丈夫なんだけど」 それでも、ヘル・フレイム・グリズリーの怪力には耐えきれなかったワケで。 まぁ、あの太い腕だしねぇ。 「でも、誰も大怪我をした人がいないのは、サラサさんのおかげです。 錬成薬 「あー、それは、結構、頑張ったね。うん。ロレアちゃんにも手伝ってもらったけど」 特に毒に関しては、 あれらを大量に配布したおかげで、少しの怪我でもすぐに使う事ができ、それによって大きな怪我にも繋がらず、結果的に人的被害を出す事もなく事は終わった。 で治療されているので、今日現在、動けなくなっているのは、たぶん私一人。 ちょっと情けない事に。 でも仕方ない。 私、一応、頭脳労働者だもの。 私はもう一度ロレアちゃんに支えてもらって、ベッドに横になる。 「ふぅ......。でも、こうやって年下の子に介護されるのは、少し気恥ずかしいものがあるね」 「そんな事、気にしなくても――」 「ならばその役目、この私に任せてもらおう!」 扉をバン、と開き、そんな言葉と共に飛び込んできたのは、村の後片付けなどを手伝っていたはずのアイリスさんだった。 その様子は控えめに言っても元気いっぱい。 数日前には死にかけていたとは、とても見えない。 昨日も大変だったのに、タフなことである。 「アイリスさん。作業、終わったんですか?」 「うっ。ま、まぁな」 ロレアちゃんの言葉に、少し目を逸らしながら答えたアイリスさんだったが、すぐに後ろから入ってきたケイトさんによって否定された。 「なにが、『まぁな』よ。追い返されたのよ、不器用すぎて」 「うぅ......仕方ないじゃないか。ああいう作業は苦手なんだ」 ケイトさんに真実を暴露され、アイリスさんはちょっと拗ねたように唇を尖らせる。 そんな彼女が何をやっていたかと言えば、ヘル・フレイム・グリズリーの解体らしい。 今日は朝から、不要になった柵や壊れた家の後片付けなどを行っていたみたいだが、それは比較的すぐに終わり、その後に行われたのがヘル・フレイム・グリズリーの解体。 すぐに処理が必要な部位に関しては、昨日のうちに私がなんとか終わらせているので、残っているのは皮を剥いだり、肉を処理したりの、ジャスパーさんの様な普通の猟師でも行える事。 でも、ヘル・フレイム・グリズリーはとにかく巨大な上に、数も多い。 なんだかんだで、最終的な総数は。 それはジャスパーさん一人でどうにかできる数ではなく、村の男性総出で、そして力のある女性も加わって、処理を行っていたらしい。 そんな作業にアイリスさんも加わっていたみたいだけど......ケイトさんが言ったように、『アイリスさんに作業をさせたら価値が落ちる』と追い返されたらしい。 まぁ、皮を剥ぐのにもそれなりにコツがあるしね。仕方ないよね。 「そういうケイトだって戻ってきてるじゃないか」 「私は作業を終わらせたからです」 ちなみに、ケイトさんが行っていたのは、肉を塩漬けにする作業らしい。 そちらに関しては、使える樽などの関係で、一時中断となっているようだ。 しかし、ヘル・フレイム・グリズリーのお肉って、食品としてはどうなんだろう? 錬金術の素材にはならないから、そのへんに関しては良く知らないのだ。 「ケイトさんも昨日はお疲れ様でした。弓の腕、思った以上でしたし、上から状況を把握してくれたのは助かりました」 「今回は接近が事前に把握できましたし、射点が確保できましたから。アイリスが襲われた時も、あいつらが無駄なおしゃべりをしてなければ、突然襲われる事もなかったんですが......」 「ははは......、ご愁傷様です」 「えぇ、本当に。でも、もうさすがに戻ってこないでしょう、彼らも。でも今回は、お金になる部分もだいぶダメにしてしまいましたね」 「それは仕方ないですよ。まずは斃す事が重要でしたから」 急所への攻撃を避けて、自分たちが死んだりすれば本末転倒。稼ぎどころの話じゃなくなる。 「アイリスさんは、雪辱が果たせたんじゃないですか?」 「まぁな。一人で倒す事ができなかったのは少し残念だが、何匹も斃したからな! ......その結果として、私の剣が犠牲になったわけだが。うぅぅ......」 最初のうちこそ、得意げな表情で胸を張っていたアイリスさんだったが、失われた剣を思い出したのか、表情を暗くする。 戦闘の後、折れた剣先もきちんと回収し、綺麗に洗って持ち帰っていたので、実は何かしらの思い入れがある剣なのかもしれない。 「まぁまぁ、アイリス。今回の件で報酬も頂けるようですし、新しい剣も購入できるでしょ?」 「それはそうなのだが! でも、この剣は私のっ!」 「折れた物にいつまでも拘っても仕方ないでしょう? それとも直して使いますか? 折れた剣を」 そんなの無理でしょ、とでも言うように、肩をすくめるケイトさんに、アイリスさんは憮然として表情を浮かべる。 「いや、さすがに直すのが難しい事ぐらいは解っている」 「なら、答えは決まっていますね。元々、そこまで高価な剣でもないんですから」 「むっ、それは解っている。でも、そんな言い方はないだろう」 「もうっ、二人とも! サラサさんはお疲れなんですから、騒がないでください!」 「いや、しかしっ」 アイリスさん、私の介護をするために来たんじゃなかったっけ? 別に良いんだけど。 ちょっと賑やかだけど、少なくとも一人でさびしく寝ているより、こっちの方がよっぽど良い。 ――うん。この村に来たのは正解だったかも。 私は三人のそんなじゃれ合い聞きながら、今は身体を癒やすため、布団へと潜り込んだのだった。

Epilogue "Ugh, Lorea, water, please" "Yes, sir. Wait a minute, please." The day after I defeated Hell Flame Grizzly with the hard work of villagers, gatherers, and everyone else, I had become one, a resident on the bed. Even so, I didn't get hurt all the time. Mere muscle pain. Except for the whole body. It's very tight. Overall, I was pretty hard at work, of course, but the most important factor is the last two, needless to say. Forced physical enhancement in the presence of mighty magic that my body cannot. The result is this. Because of the cause, the ordinary smelting drug Potion cannot be cured, and it is just unbearable to use expensive smelting drugs that can be cured. So here it is. For once, within the Hell Flame Grizzly, I rushed to finish collecting all the only areas that needed treatment, but by the end of the treatment, my whole body was picky, so I was really critical. I just did it with my guts! If you neglect it, it will also affect the reconstruction funds and the rewards you distribute to the hardworking people. - Yes, reconstruction. The vast majority of Hell Flame Grizzlies were able to gather and destroy them, but three Hell Flame Grizzlies were ahead of Andre and the others to deal with them. Andre and the others managed to use the vacant house they had secured to lend to the gatherers, and managed to kill the three of them, at the price of which there were several broken walls, one half-destructed house and one burnt-out house. It is quite a damage. But the truth is, the one who suffered the most is my house, right? Whatever the walls are, the vandalized fields of fine herbs, the doors and walls of the destroyed back entrance. The biggest problem is that they broke the wall. My house, because “engraving” is used, costs to repair the walls it contains, it's not exactly the same digits as just fixing the walls...... I'm talking about getting the money out of the village for all the houses that were broken down, for my house, but I can't even get them to give me the full amount, and this, maybe, is a deficit. By the way, if you ask me why Hell Flame Grizzlies came to my house, it's just a guess, probably because I was building a demonic crystal stone to direct Hell Flame Grizzlies. For once, I took it all out and it didn't stay in the house, but it was finely crushed and carried, so it's no surprise that along the way, that is, I was out the back door and slightly fell down the path to the backyard, the gate and the woods. I mean... yeah, my mistake. I don't know the truth, though. "Thank you for waiting, Mr. Sarasa" "Thanks. Ugh, that hurts..." "Oh, I'll support you." When I try to wake up my body to drink the water Lorea brought me, I run a pain that draws all over my body. Lorea, who laid her back on the bed, assisted me in waking up my body like that. "I'm sorry." "As much as this, never mind. Thanks to Sarasa, our village has been saved." "Because we all worked hard. I think there were collectors who stayed because the villagers were always doing better." It's not settled, Mr. Andre. You don't have to protect this village. It's not like the collectors who left are condemned for avoiding danger. Still, he stayed, I guess, because he couldn't abandon the villagers here, and what made him think that was what the villagers have done so far. I was going to do my best because there was Lorea or something. "Lorea, you were scared too, weren't you? "A little. But Mr. Sarasa came right away, and the walls of this house, they were pretty sturdy, so that's it" "Because" engraving ”is used, hey. It's tough enough to be unbreakable with human power." Still, with a wack I couldn't stand the power of Hell Flame Grizzly. Well, that fat arm. "But I owe it to Mr. Sarasa that no one has been seriously injured. I know a lot of people would have died if it weren't for the smelting potion." "Uh, that's, uh, good luck. Yeah. Lorea helped me, too." Potion, an aromatherapy made from shredded sleep. Especially when it comes to poison, I can't deal with it without the smelting drug Potion, so I was ready and really good. Thanks to the massive distribution of those, even a few injuries could be used immediately, which did not lead to major injuries, and consequently ended without causing human damage. As of today, I'm probably the only one who can't move because some of the injuries left are also being treated with the smelting drug Potion. A little pitiful. But I have no choice. I, for one, am a brain worker. I ask Lorea to support me again and lie down in bed. "Phew...... But there's something a little embarrassing about being cared for like this by younger kids." "You don't have to worry about that." "Then let me take care of that! The door was banged, and it was Mr. Iris, who was supposed to be helping clean up the village and so on, who jumped in with those words. The way it is, modestly speaking, is full of energy. I can't believe I was dying a few days ago. Even though it was tough yesterday, it is a tough thing. "Mr. Iris. Work done, are you done? "Ugh. Well." He was Mr. Iris, who answered Lorea's words slightly out of sight, but was denied by Kate, who immediately came in from behind. "What is it, 'well'? They chased me back, I was too clumsy." "Ugh... you don't have a choice. Oh, I don't like that kind of work." Mr. Kate exposes the truth, and Mr. Iris points his lips like a little obstinate. Speaking of what she was doing like that, it seems to be the dismantling of Hell Flame Grizzly. Since this morning, it looks like we've been doing fences, cleaning up broken houses, etc. that are no longer needed, but that ended relatively quickly, and what happened after that was the dismantling of the Hell Flame Grizzly. With regard to the areas that need to be treated immediately, I have managed to finish them within yesterday, so all that remains is for a normal hunter like Mr. Jasper to be able to peel or treat the meat. But Hell Flame Grizzlies are huge anyway, and a lot of them. I don't know, the final total is two or eight. That's not the number Mr. Jasper could manage on his own, but with the village's men out in total, and with the help of powerful women, he was doing the processing. Looks like Mr. Iris was also a part of that work... but like Kate said, 'If I let Mr. Iris do the work, it would be worthless' and they chased me back. Well, there's quite a trick to peeling it. You have no choice, do you? "That's what Kate's back for." 'Cause I finished the work.' By the way, what Mr. Kate was doing seems to be the task of salting the meat. As for you, it seems to be temporarily interrupted because of the barrels you can use. But what about Hell Flame Grizzly meat, as a food? It doesn't make alchemy material, so I don't know much about it. "Good luck yesterday, too, Mr. Kate. Bow arms, it was more than I thought, and it was helpful to know the situation from above" "I was able to grasp the proximity in advance this time, and I was able to secure the firing point. Even when Iris was attacked, if they hadn't had a futile chat, they wouldn't have suddenly attacked me..." "Ha ha..., I'm sad for you" "Yeah, really. But you won't just come back, neither will they. But this time, it's a lot worse for the money." "I don't have a choice. It was important to shoot him first." Avoid attacking the steeple and if we die, we fall to the end of the line. I won't be talking about where I make my money. "Isn't it true that Mr. Iris was able to fulfill the snowflake? "Well. It's a shame you couldn't take them down on your own, but you shot so many of them! ... as a result, my sword was sacrificed. Ugh..." It was in the beginning that Mr. Iris was chested with a good look, but he remembered the lost sword, darkening his expression. After the battle, he had also properly recovered the broken sword tip, washed it beautifully and brought it back, so it might actually be some kind of thoughtful sword. "Well, well, Iris. Looks like you can get paid for this, and you can buy a new sword, right? "That's true! But this sword is mine! "You can't help but hold on to broken things forever, can you? Or do you want to fix and use it? Broken sword." You can't do that, but, like I said, Iris gives Kate a flash of expression when she shrugs her shoulders. "No, I know just how hard it is to fix." "Then you have the answer. Originally, it's not even that expensive." "Mmm, I know that. But there's no way to say that." "Ugh, both of you! Mr. Sarasa is tired, so don't make a scene! "No, I do." Mr. Iris, didn't you come here to take care of me? It's nothing good. It's a little busy, but at least it's better this way than sleeping sarcastically on your own. - Yeah. You might have been right to come to this village. I dived into the futon to heal my body now, listening to the three of them.

「あの風系統の素材、私たちが取りに行ったんだよなぁ......」 「その際は、お世話になりました」 どこか遠い目で宙を見上げるアイリスさんに、私も彼女たちから聞かされた苦労話を思い出し、頭を下げる。 「いや、私たちがやると言ったんだ。店長殿が気にする必要はない」 「そうよ。店長さんは止めていたのに、アイリスがやるって言うから......」 乾燥食品製造機 それが得られる場所が近くにあることは知っていたが、当初私は、レオノーラさんに頼んで入手する予定だった。 師匠に頼んでも良いけど、レオノーラさんとの繋がりは大事だし、ウチには持ち込まれていなくても、レオノーラさんの所は産地近くの錬金術師のお店。 在庫もあるだろうし、値段も手頃だろうと思っていたから。 けど、それを聞いたアイリスさんが『私が採りに行く!』と手を上げたのだ。 場所は判っているし、情報もある。 彼女たちの実力を考えると、おそらく不可能ではない。 でも、少し大変かも、と私はそれとなく止めた。 『アンドレさんたちに行った方が安全では?』と。 ちょうどそのとき、彼らが村にいないのを知った上で。 「だ、大丈夫だと思ったんだ! 私だって、下調べはしたんだぞ?」 「まぁ、確かに大丈夫ではあったけど、苦労はしたわよね」 「く、苦労と努力があって人は成長する。良い事じゃないか!」 「......本当にそう思ってる?」 「......ちょっとだけ、早まったかとは思っている。すまない」 ケイトさんからジト目を向けられ、アイリスさんは一瞬沈黙、気まずそうに視線を逸らし詫びの言葉を口にした。 それを聞いたケイトさんは、柔らかい表情に戻って『ふぅ』と息を吐いた。 「まぁ、良いんだけどね。そんなアイリスのフォローをするのが私の役目でもあるから」 「で、でも、が頑張ってくれたので、この村の保存食も充実して、お父さんの利益も......ほとんど変わってないですが、売り上げは伸びてますから!」 ロレアちゃんによると、ダルナさんは村人から仕入れている保存食には、ほとんど利益を乗せずに販売しているらしい。 その理由は、言うまでもなく利益の分配。 比較的恩恵を受けやすい宿屋や鍛冶屋などに比べ、農業を主体にしている村人は、現金収入があまり増えていなかった。 私がお願いした仕事や村で借家からの分配金はあるが、それでも収入に差があることは間違いなく。 たぶん、それを補う意味もあるのだろう。 その分、ダルナさんの利益は減るが、保存食をサウス・ストラグから運んでくる必要がなくなり、村人の保有するお金も増え、結果的に雑貨屋で買い物をする機会も増える。 採集者も美味しい保存食であれば購入量も増えるし、全体としての売り上げが増えた結果、経営自体は少し楽になったらしい。 「そう言ってくれるのはありがたいのだが、私が取りに行かなくても、店長殿は入手できたんだよな? それに、頑張りで言えば、ロレアだろう。新しくできた保存食、そのかなりの部分に関わっているって聞いたぞ?」 「えぇ。単純な乾燥野菜や乾燥肉を除く料理全般、ロレアちゃんが手伝ったのよね?」 「それは私も聞いた......というか、私も協力したしね。魔力の面で」 試作品を作ろうと思えば、 だが、普通の人では何度も稼働させるような魔力は持っていないし、その度に屑魔晶石を消費していては、コストがかかりすぎる。 エリンさんもさすがにそこまでは負担できないと思ったようで、魔力面で私に協力を依頼してきたのだ。 ――先にロレアちゃんを落とした上で。 ロレアちゃんと共に頼まれれば、私も嫌とはいえず、試作品作りに必要な その代わり、試作品に必要な食材はすべて無料で提供されたし、余った食材や作った試作品はウチの食卓に上ったので、別に損をしたわけでもない。 消費する魔力なんて、私からすれば微々たるものだし、何よりロレアちゃんが楽しそうだったから。 ちなみに、魔力以外の私の協力は試食のみ。 料理自体には一切関わっていない。 「その節はお世話になりました。結局、報酬はもらってないんですよね?」 「それはロレアちゃんも同じだよね? 材料の現物支給だけで」 「村のため、採集者のためですから。大きな視点で見れば、結果的に私の実家にも、このお店にも利益はありますからね」 「おぉ......まだとは思えないしっかりとした考え!」 「私も、もう少ししたら、ですからね。いつまでも子供じゃありません」 そんな事を言いながら、『えへん!』と胸を張るロレアちゃん。 そっか、そろそろ誕生日なんだ? 確か、冬頃って言ってたっけ。何か考えておこうかな? 誕生日のお祝いなんて余裕がある家庭でしかやらないけど、幸いなことに、今の私は余裕があるからね。 「しかし、そのおかげで、私たちも野営で美味しいものが食べられるのだから、ありがたい話だ」 「以前と比べると、雲泥の差よね」 しみじみというケイトさんに、私もまた、深く頷く。 ロレアちゃんのおかげで最近はお世話になる機会もないけれど、以前の保存食の味気なさは、私もよく知っている。 そのお手軽さから頻繁に利用していたけど、別に美味しいと思って食べていたわけじゃない。 短時間で用意でき、錬成の時間を確保できるから多用していただけ。 それと比較すれば、ロレアちゃんが作った保存食は圧倒的に美味しい。 もっとも、コスト面の問題から、そのすべてが採用されたわけじゃないみたいだけど。 レシピ自体は完成しているので、高くても良いのであれば、受注生産はしてもらえるらしい。 「ところで店長殿。私たちは明日から暇になるのだが、何か手伝えることはあるだろうか?」 「暇に、ですか? 準備は良いんですか?」 「問題ない。テントは店長殿に借りられるし、耐熱装備を含め、必要な道具の手入れは怠っていない。食糧は今日手配してきたので、あとは出発を待つのみなのだ」 「でしたら、出発まで、近場で採集を行えば良いのでは?」 「私はそう思ったのだが、ケイトが――」 アイリスさんが言葉を濁し、ケイトさんの方を見れば、彼女はこくりと頷き、困ったように眉を寄せる。 「今日もそうだったんだけど、ノルドさんが村の周りをうろついているのよ」 「もうですか? 研究熱心なんですね」 「そうね。でも、そうなると、私たちが森に行ったら、彼に関わることになりそうで......」 「ダメなんですか? どのみち、数日後には一緒に仕事をすることになるんですよね?」 「そうなんだけどね。でも、彼って、厄介事を持ってきそうな雰囲気があるのよね、私の的には」 報酬は良いので仕事は請けたが、なんとなく面倒そうな人。 だからこそ、仕事でもないのにあまり関わる時間を増やしたくないらしい。 「気持ちは解ります。ああいうタイプの人って、無意識に、悪意もなく、そして自然に、周りに迷惑を掛けるんですよねぇ......」 錬金術師養成学校にも、いた。 それも複数。 有能なのに、何故か問題を起こして、しかも解雇されたりはしないんだよね。 いや、有能だからこそ、解雇されていないのかな? 無能で問題を起こすなら、残っているわけないよね。 「それでは明日、お二人には手伝っていただきましょうか」 「ああ、何でも言ってくれ。ただし、細かい作業は、ケイトの担当な!」 「ちょっと、アイリス。革を縫うのなんて、私もほとんど経験ないわよ? 力が要るんだから、むしろあなたの分野だと思うけど」 「むぅ。裁縫は得意じゃないんだが......」 「はぁ......。あなた、一応、女の子でしょ? 上級貴族ならともかく、しがない騎士爵夫人が裁縫もできないって、致命的じゃない」 「大丈夫ですよ、ケイトさん」 呆れたようなため息をつくケイトさんを制し、私は「ふふふ」と笑う。 「おぉ、もしかして店長殿が、そちら方面を担当してくれるのか? ならば私は良き夫として――」 「違いますっ。テント作りのことです!」 同性婚の場合、貴族としての役割分担がどうなるのかは私も知らないけど、今はそっちじゃない。 「こほん。私には秘策がありますから」 咳払いをして気を取り直し、私は再び「ふふふ」と笑った。

"That wind system material, we went to get it..." "In doing so, thank you for your help" To Mr. Iris, who looks up to the universe somewhere far away, I also remember the hard stories they told me and bow my head. "No, I said we'd do it. The manager doesn't have to worry about it." "That's right. The manager had stopped, but Iris said he would do it..." Wind system materials required for dry food manufacturer Dry Food Manufacturer. I knew there was a place nearby where I could get it, but initially I was going to ask Mr. Leonora to get it. You can ask your master, but your connection to Mr. Leonora is important, and even if it hasn't been brought to us, Mr. Leonora's place is an alchemist's shop near the region of origin. Because I thought it would be in stock and affordable. But when I heard that, Mr. Iris said, 'I'm going to pick it up!' And he raised his hand. I know where it is, and I have information. Given their strength, it's probably not impossible. But it might be a little rough, and I stopped somewhat. "Isn't it safer to go with Mr. Andre and the others? '. Just then, after I found out they weren't in the village. "Oh, I thought it was going to be okay! Even I did some digging, didn't I? "Well, it certainly wasn't okay, but you had a hard time," "Ku, with hard work and hard work, people grow. That's a good thing! "... you really think so? "... just a little, I'm wondering if it's sooner. Sorry." Kate turned a jito eye, and Mr. Iris silenced for a moment, seemingly out of sight at first glance and said words of apology. When she heard that, Kate exhaled 'Phew' back to her soft expression. "Well, that's good. Because it's also my job to follow Iris like that." "So, but since you two have worked hard, we have plenty of preserved food in this village, and your father's profits... haven't changed much, because sales are growing! According to Lorea, Mr. Darna sells the preserved food she is purchasing from the villagers with little profit on it. The reason for this is, needless to say, the distribution of profits. Villagers predominantly in agriculture did not have much more cash income compared to relatively easily benefited lodgings, blacksmiths, etc. There are distributions from renters in the jobs and villages I asked for, but there is no doubt that there is still a difference in income. Maybe it makes sense to make up for it. For that matter, Mr. D'Arna's profits decrease, but he no longer needs to bring preserved food from South Strag, more money held by villagers, and consequently more opportunities to shop at the grocery store. Collectors also buy more if it's a delicious preserved meal, and management itself seems to have gotten a little easier as a result of increased sales as a whole. "I appreciate you saying that, but even if I didn't go get it, the manager could have got it, right? Besides, if you do your best, it would be Lorea. I heard you were involved in a good portion of the new preserved food? "Yep. Lorea helped with the dishes in general, except for simple dried vegetables and dried meat, right? "I heard that too... or I cooperated, too. In terms of magic." If you want to make a prototype, you absolutely need a dry-food maker. But in normal people, they don't have the magic to run it again and again, and every time they're consuming scrap demon crystal stones, it's too costly. Erin just didn't think she could afford it, so she asked me to help her in magic. - After dropping Lorea first. If asked with Lorea, I don't like it either, and the operating magic of the dry food maker Dry Food Manufacturer needed to make the prototype was to be supplied from my magic, not the Scraps Demon Stone. Instead, all the ingredients needed for the prototype were provided free of charge, and the excess ingredients and prototypes I made went up to our table, so I didn't lose anything. Because the magic you consume is insignificant from me, and most importantly, Lorea seemed to enjoy it. By the way, my only cooperation other than magic is tasting. I am not involved in the food itself in any way. "Thank you for your help with that verse. After all, you're not getting paid, are you? "That's the same for Lorea, isn't it? Just the in-kind payment of materials." "Because it's for the village, it's for the gatherers. From a big point of view, it turns out to be profitable for my parents and for this store." "Ooh... I don't think I'm thirteen yet. Solid thought! "Me, too, a little later, because I'm fourteen. I won't be a child forever." Saying that, 'Uh-huh!' And Lorea with her chest stretched. Oh, well, it's your birthday, huh? Sure, you said around winter. Shall I think about something? I only do it at home where I can afford to celebrate my birthday, but fortunately, I can afford it right now. "But thanks to that, we can also eat delicious food in the camp, so thank goodness" "Compared to before, it's the difference between cloud mud." I snort deeply, too, at Kate named Smudge. Although I haven't had a chance to take care of you lately thanks to Lorea, I'm also familiar with the taste of the previously preserved food. I used it frequently because of its ease, but I didn't eat it because I thought it was delicious. I just used it a lot because I could prepare it in a short time and allow time for smelting. Compared to that, the preserved food made by Lorea is overwhelmingly delicious. Well, not all of that seems to have been adopted because of the cost problem. The recipe itself is complete, so if it can be expensive, they can get order production. "By the way, the manager. We'll be free tomorrow, but is there anything I can do to help? "In your spare time, is it? Are you ready? "No problem. The tent can be rented to the store manager, and he has not neglected to take care of the necessary tools, including heat resistant equipment. We've arranged food for you today, so all we have to do is wait for you to leave." "Then why don't we do the collection in close proximity, until we leave? "That's what I thought, but Kate..." If Mr. Iris clouds his words and looks at Mr. Kate, she snorts and frowns as troubled. "That's what happened today, Mr. Nord wandering around the village." "Already? You're a research enthusiast." "Right. But then, if we go to the woods, it's going to involve him..." "Can't you? Either way, we're gonna be working together in a few days, right? "That's right. But he's got an atmosphere that's going to bring trouble, my sixth sense." The reward is good, so I asked for a job, but someone who seems somewhat troublesome. That's why they don't want to spend more time getting involved even though it's not a job. "I know how you feel. That type of person, unconsciously, without malice, and naturally, annoys you around..." He was also at the Alchemist Training School. That's multiple, too. You're competent, but you don't cause problems for some reason, and you don't get fired. No, because you're competent, haven't you been fired? If you're incompetent and cause problems, you can't stay, can you? "So tomorrow, will you two help me out?" "Oh, say anything. Detailed work, however, is in Kate's charge! "Hey, Iris. I hardly ever know how to sew leather, either, do I? I think it's more of your field." "Mmm. I'm not good at sewing..." "Ha... You, for once, are you a girl? Whatever the senior nobleman may be, it's not fatal that the shitty Knight Lady can't even sew." "It's okay, Mr. Kate" I control Mr. Kate, who sighs like a shudder, and I laugh "hehe". "Oh, could the manager be in charge of that? Then I'll be a good husband." "No. It's about building a tent! In the case of same-sex marriages, I don't know what happens to the sharing of roles as a nobleman, either, but not that way now. "Kohon. Because I have a secret plan." I coughed up and got back on my mind and I laughed "hehe" again.

「お茶っ葉は......安いので良いかなぁ?」 そんなことを呟きながら私がお茶を準備していると、テキパキとクッキーの生地を作っていたロレアちゃんが、びっくりしたように振り返った。 「えぇ!? そこ高いのにしましょうよ、王子様なんですよね?」 「だからこそ、逆に珍しい、的な? 私の持ってる高級茶葉なんて知れてるし」 今ウチにあるお茶は、食事の時に飲むお茶、ティータイムなどのお菓子を食べるときに飲むお茶、そしてちょっと奮発して買った、特別なときに飲むお茶。 でも貧乏性の私が手を伸ばすレベルだけあって、すっごく高いってわけでもない。 殿下からすればきっと誤差の範囲。 どうせ不味いと思われるなら、高い茶葉なんて勿体ない。 同じお金持ちでも、学校でお世話になったプリシア先輩とかなら、歓迎の意味を込めて高い方のお茶を出すんだけど、殿下じゃねぇ......。 「......いっそのこと、自家製のお茶を出そうかな?」 私が裏の森から葉っぱを摘んできてブレンドして作ったお茶で、普段食事の時に飲んでいるのがそれ。 原材料費は驚異のゼロ、私の手間隙プライスレス。 『現地の物を食すのも一興』とか仰っていたし、売っている物じゃないので比較もできまい! はっはっは! 「それは......良いかもしれませんね」 「あれ? 反対されるかと思ったけど......」 「サラサさんのブレンドしたお茶は、お母さんみたいに葉っぱをちぎってきて放り込んだだけのお茶とは違って、十分に美味しいですから。それに、少なくとも『安物』と言われることはないですし」 「まぁ、値段、付けてないからね、私が」 私が『このお茶は、カップ一杯で金貨一〇枚』と言えば、それが値段なのだ! ......売れるかどうかは別にして。 うん、これでいこう。 このお茶は高いお茶。 でも、“マスタークラスの錬金術師、オフィーリア・ミリスの弟子が探し出した素材を手ずから摘み取り、加工、ブレンドまで手がけた特別なお茶”とか言っておけば、高級っぽくない? ブランド力は、師匠の名前だけどね。 「お茶はこれでいいとして......ロレアちゃん、お菓子の方は?」 「いつも通りに作ってますけど......サラサさん、お砂糖は多めにしましょうか?」 「ううん。それもいつも通りで。ロレアちゃんの作ってくれるお菓子は、今のままで美味しいからね」 「そうですか? ありがとうございます。それじゃ、いつも通りにしますね♪」 私が率直に褒めれば、ロレアちゃんは嬉しそうに応えて、お菓子作りを再開。 その後ろ姿から、鼻歌が漏れている。 殿下にお出しするということで、緊張で失敗したらと思ったけど、どうやらその心配はなさそうだね。 ――そもそも、多少甘くしたところで、意味はないからね。 ロレアちゃんのお菓子が美味しいのは嘘じゃないけど、甘さや見栄えの面では、都会で売られている高級なお菓子にはどうしても劣る。 当然、普段殿下が食べるようなものであれば、比べるべくもない。 以前プリシア先輩のお家で頂いたお菓子なんて、この村は疎か、サウス・ストラグの町でも手に入らないような材料が使われていたほど。 どう頑張ったところで、ロレアちゃんがそれに匹敵する物を作れるわけもなく、作る必要もない。 無理を要求したのは殿下の方。 文句があるなら食べるな。 それぐらいの心意気で良いと思うよ? 「温かくて、サクサクですね。悪くない」 クッキーを食べた殿下の感想が、それだった。 当然だよ、ロレアちゃんがわざわざ作ってくれたんだから。 不味いとでも言おうものなら、不敬も覚悟で没収するところだよ。 むしろ、何故美味しいと言わない? 美味しいものを食べたんだから。 言うよね? 言うべきでしょ? そんな私の気持ちが視線に乗ったのか、殿下は言葉を付け加える。 「......素朴で、美味しいですね」 そう、それで良いんだよ。 ――で、いつになったら帰ってくれるんですかね? そんな思いも視線に乗せ、じっとりと見つめてみるけれど、今度は何も感じなかったのか、無視されたのか、殿下は飄々とお茶を楽しみ、更にはおかわりまで要求。 帰ろうとする素振りすら見せない。 だからといって、小粋なトークを披露してくれるわけでもなく。 「.........」 「.........」 お茶とクッキーを無駄に消費して時間が過ぎる。 それからして美味しいという感想は嘘じゃなかったようだけど、無言の空間は居心地が悪い。 用事がないなら帰って欲しいけど、さすがにそれを直接言うのは難しい。 誰か、なんとかしてくれないかなぁ? 例えばアイリスさんたちが、今ここに帰ってくるとか。 「出てこい! 居るのは判っているぞ!!」 表の方から響いてきたのは、粗野な怒鳴り声。 ――うん、これは求めてなかった。 ロレアちゃんが心労で休んでいる――お菓子を作り終わった後、改めて殿下にお菓子をお出しするということの重要さを認識したらしい――今、対応するのは私しかないのだけど、目の前には平然とお茶を飲む賓客。 そろそろ敬意の在庫が切れそうではあるけれど、殿下を放置しないだけの分別は僅かに残っている。 窺うように殿下を見れば、殿下は笑顔で表の方に視線を向けた。 「構いませんよ、行ってください」 「失礼します」 許可を受け、私が足早に表に向かってみれば、案の定そこにいたのは、カーク準男爵とその取り巻き数人だった。 私が戻ってくるのを監視していたのか、わざわざ本人が出向いてきたらしい。 サウス・ストラグからこの村まで、決して近くないのに......暇なのかな? 「何か、ご用ですか?」 「ようやく出てきたか」 私が姿を見せたことで叫ぶのを止めたカーク準男爵は、そう言って一拍おくと、私に対して指を突きつけた。 「サラサ・フィード、お前に謝罪と賠償を求める!」 「はい? えっと......何に対してですか?」 むしろそれを求めるべきは、私たちの方だよね? 「先日この店を破壊しようとした儂の私兵が、何人も大怪我を負った。これは儂の財産に対する重大な侵害行為である」 想像もしていなかった形の苦情に、一瞬、思考が止まる。 そりゃ、刻印の魔力の消費量から『やったんだろうな』とは予想してたけど、普通、堂々と犯罪行為を告白する!? 「......それは、私のお店へ破壊行為をしようとした人が怪我をしたので、それに対して補償をしろ、ということでしょうか?」 「解っているではないか。そうだな、取りあえずは、売上額の半分は税金として納めてもらおうか」 「それから、お前、ロッツェ家に金を貸しているらしいな? ちょうど良い、アイリスを儂に差し出せ。借金をちらつかせれば、できるだろう? あとは――」 これ以上聞く価値もないと、私は言葉を遮る。 「なに?」 「以前もお答えしたように思いますが、錬金術師は領主に対して納税する義務はありませんし、犯罪者に対して補償するつもりもありません」 むしろ、それを行った人物の引き渡しを要求したいところだけど、現行犯でもないのに私刑は行えないし、犯罪者として処罰を求めるにしても、その相手は領主。 やるだけ無駄なので、そちらに関しては口にしない。 税に関しても、エリンさんのように『村のために協力してくれ』という形なら少しは考えなくもない。この場所で暮らしているんだから。 でもカーク準男爵の場合はまったくの逆。 この村が困っていても援助をしないどころか、逆に困らせる側。 義務もないのに払う気になるはずもない。 もちろん、アイリスさんについては論外。 一考の価値もない。 ふざけたことを言う口に石でも詰め込んでやろうかと、そんな思いを込めた厳しい視線を向ける私に対し、カーク準男爵は自信ありげに、嫌らしい笑みを浮かべた。 「確かに義務はないな、義務は。だが自主的に納めるのであれば、別に問題はないだろう?」 「......どういう意味ですか?」 私が眉を顰めて半眼を向ければ、カーク準男爵はニヤニヤと笑いながら言葉を続ける。 「お前はこの村の奴らと仲が良いようだな? 例えば村の雑貨屋。どのような税をかけるかは儂のだぞ?」 これに関しては、私も懸念していた。 ロレアちゃんを直接的に害そうとするのであれば、私が守ってあげることはできる。 彼女は私のお店の従業員だし、給料を支払っているのも私だから。 でも、私の手が届くのはそこまで。 それ以上となると、できることは限られる。 カーク準男爵がこの村にどれほどの重税を掛けようとも、それは領主権限の範囲のことだし、王国法に反するわけでもない。 まともな頭を持っていれば、そんなことをしたら村人も村を捨てて移住し、採集者も居なくなって損しかないと理解できるはずなんだけど......そうなる前に私が折れると思ってるのかな? まぁ、普通なら一度お店を構えたら、そう簡単には移転できないしねぇ。 でも私の場合、このお店を格安で手に入れている。 補助制度込みで手に入れたお店だから、売却するとゼロに近いだろうけど、実質的な損失はゲベルクさんたちに支払った改装費用ぐらい。 すぐに別のお店を持つことはできないにしても、頼めば師匠のお店で働かせてもらえると思うし、引き払うこと自体はそう難しくはない。 ......義理や人情、その他諸々を考慮しなければ。 「なに、全部差し出せなどと言うつもりはない。多少の金は残してやる。儂は慈悲深いからな」 私が沈黙したことに気を良くしたのか、カーク準男爵は得意満面の笑みで自分の無知を曝け出す。 売り上げの半分も取られたら、王国に対して支払う税金分すら残らない。 当然、店の維持などできない。 売り上げと利益の区別も付いていないのだとすれば、確かにこんな人を交易都市のトップに据えていたら、早晩廃れるよね、絶対。 とはいえ、現時点ではまだ領主。 適当に言いくるめて追い返すか、もしくは......。 「『目撃者ゼロ』、か......」 「ん?」 ポツリと呟いた私を、カーク準男爵が訝しげに見た。

"Tea leaves are... cheap, so I wonder if it's okay? As I was preparing the tea whispering, Lorea, who was making textile and cookie dough, looked back surprised. "Hmm!? Let's make it the tallest, is it a prince? "That's why, on the contrary, rare, spiritual? I know what kind of fancy tea leaves I have." The tea we have now is tea to drink during meals, tea to drink when eating sweets such as tea time, and tea to drink during special occasions that I bought with a little excitement. But the level of poverty that I can reach out to is not very high. From His Highness's point of view, the margin of error is certain. If you think it tastes bad anyway, it would be a waste of expensive tea leaves. Even if you are the same rich, like Senpai Priscia who took care of you at school, I will serve you a tea of higher value with a sense of welcome, but not Your Highness... "... shall I serve you homemade tea? The tea I made by picking leaves from the back forest and blending them is what I usually drink during meals. The raw material cost is incredibly zero, my gap is priceless. He said, "Eating local food is a pleasure," and it's not for sale, so I can't compare it! Hahaha! "That might be... good." "What? I thought you might disagree with me...." "Sarasa's blended tea is delicious enough, unlike the tea that just ripped the leaves and threw them in like her mother did. Besides, at least they don't say" cheap. " "Well, I didn't put the price on it, I did." When I say, "This tea is 0 gold pieces in a cup," that's the price! ... apart from whether it can be sold or not. Yeah, that's it. This tea is expensive. But wouldn't it look luxurious if you said, "A special tea that hand-picked, processed, and blended the materials found by the apprentice of Master Class Alchemist Oglia Millis?” Brand power is the name of the master. "Even if tea is fine... Lorea, how about some sweets? "I make it as usual... Sarasa-san, would you like me to add more sugar? "Yeah, as usual. Lorea's sweets are as delicious as they are." "Really? Thank you very much. Then I'll do it as usual ♪" If I praise you frankly, Lorea will respond happily and start making sweets again. From behind, a nose song is leaking. I thought I'd fail because I was nervous, but apparently I wouldn't have to worry about it. --In the first place, it doesn't make sense to make it slightly sweeter. It's not a lie that Lorea's confectionery is delicious, but in terms of sweetness and appearance, it's definitely inferior to the luxury confectionery sold in the city. Of course, if it is something that His Majesty usually eats, it is not comparable. The sweets I had received at Senpai Priscia's house were so negligible that the village used ingredients that they were not available in the town of South Strag. There's no way Lorea can make anything comparable to it, and there's no need to make it. Your Highness was the one who demanded the impossible. Don't eat if you complain. I think you're in such a good mood. "It's warm and crisp. Not bad." That was how His Highness felt about eating cookies. Of course, Lorea took the trouble to make it. If you're going to say it tastes bad, you're going to confiscate it with disrespect. Rather, why don't you say it's delicious? I ate something delicious. Don't you think? Should I tell you something? His Royal Highness adds words about how I felt in my sight. "... it's simple and delicious." Yes, that's fine. --So when are you coming home? I put such thoughts in my sight and looked at them carefully, but did I feel nothing this time or was they ignored? His Majesty enjoyed tea gently, and even demanded a refill. I don't even look like I'm going home. That's why they're not showing us a little talk. ......... ......... Time is wasted on tea and cookies. After that, it didn't seem like a lie, but the silent space was uncomfortable. If you don't have anything to do, I'd like you to go home, but it's hard to say that directly to me. Can somebody do something for me? For example, Iris and the others are coming back here now. "Come out! I know you're here!!" The loud yells echoed from the front. - Yeah, I didn't ask for this. Lorea is resting hard - after finishing making the sweets, it seems that she recognized the difference in the demand for the sweets herself to be served to Her Majesty again - and now I am the only one to deal with it, but in front of her is a guest who drinks tea flatly. It is time to run out of respectful inventory, but there is only a small amount of discernment left to His Highness. Looking at His Majesty as he was bewildered, His Majesty turned to the front with a smile. "I don't mind. Go." "Excuse me." With permission, if I went to the front as soon as I could, it would have been the Baron Kirk family and some of their surroundings. He was watching me come back, and he went out of his way. From South Strag to this village, it's never close... is it free? "Can I help you? "You finally came out." Warrant Baron Kirk, who stopped shouting at me for showing up, put his finger against me. "Sarasa Feed, I demand your apology and compensation! "Yes? Um... against what? Instead, we should be asking for it, right? "The day before yesterday, a private soldier of Tsubaki tried to destroy this shop, but many people were seriously injured. This is a serious infringement of the property of the monks." "Huh?" For a moment, your thoughts stopped in the form of complaints you never imagined. Well, I expected "I guess I did" from the amount of magic consumed by the engraving, but I usually confess my criminal behavior with dignity!? "... does that mean that the person who tried to destroy my shop got hurt, so you have to compensate for it? "Don't you understand? Well, in the meantime, will you pay half of the sales as taxes?" "And then, you seem to be lending money to the Rotze family? Just give Iris to me. If we flip the debt, we can do it, right? And then..." If it's not worth listening to any more, I'll block the line. What? "As you have said before, the alchemist is not obligated to pay taxes to the lord, nor is he going to compensate the criminal." Rather, I would like to request the surrender of the person who did it, but even though he is not a current offender, he cannot be lynched, and even if he asks for punishment as a criminal, he is the lord. It is useless, so I will not talk about it. Regarding taxes, I don't have to think about it in the form of 'help me for the village' like Erin. I live in this place. But in the case of Baron Kirk, the opposite is true. Instead of providing assistance even if this village is in trouble, it is on the other hand the trouble side. I'm not obliged, but I'm not willing to pay. Of course, Iris is out of the question. It's not worth a thought. Baron Kirk smiled confidently at me with such a harsh gaze as to try to stuff my mouth with stones. "Surely there is no obligation, no obligation. But if you're willing to do it, there's nothing wrong, right? "... what do you mean? When I look half-eyed with my eyebrows raised, the Baroness Kirk continues to laugh with a smile. "You seem to get along with the people in this village, don't you? For example, a village grocery store. What kind of tax is that? I was also concerned about this. If you're trying to harm Lorea directly, I can protect you. She is an employee of my shop and I am the one paying her salary. But that's all I can reach. Beyond that, what can be done is limited. No matter how heavily Baron Kirk taxes the village, it is within the power of the lord and does not violate kingdom law. With a decent head, if you do that, the villagers will abandon the village and migrate, and the gatherers will be gone, and it will only hurt... do you think I can break before that happens? Well, normally, once you set up a store, it won't be that easy to relocate. But in my case, I get this shop cheaply. Since the shop was acquired with a subsidy scheme, it would be close to zero if it were sold, but the real loss would be about the renovation costs paid to Geberg and the others. Even though it is not possible to have another store immediately, I think you can let me work at the master's shop if you ask me, and it is not so difficult to withdraw the money. ... we have to take into account our brother-in-law, our human feelings, and so on. "I'm not going to tell you to give me everything. I'll leave you some money. I'm very merciful." You are relieved of my silence, Baron Kirk exposes his ignorance with a smile of satisfaction. If you take half of the sales, you don't even have to pay taxes to the Kingdom. Naturally, the store cannot be maintained. If there is no distinction between sales and profits, it would certainly end sooner or later if we put such a person at the top of the trading city. Nevertheless, the Lord is still in power at this time. Properly say it back, or... "'Witness Zero'...." Warrant Baron Kirk surprised me when I murmured.

「店長殿、どうだろう? ロレアも連れて行ったら」 「連れて行くって、冬山に、ですか?」 確かにそれなら、心配する必要はなくなるけど――。 「アイリスさん、冬山を侮ってませんか?」 「私も冬山を経験したことはないので、認識が甘いと言われてしまうとそれまでなのだが、店長殿の冬山と、ロレア一人で残るこの店、どちらが危険だろうか?」 「むぅ......」 当然ながら、襲撃さえなければお店に残る方が安全。 だけど、もし襲撃されればかなり危険。 そのリスクと、冬山で事故に遭うリスク。 どちらが高いか考えると......。 が相手だから、冬山の方が多少マシ、かなぁ? 「店長さん、本人に聞いてみたら? ロレアちゃん自身のことなんだし」 「......それもそうですね。ロレアちゃん、どう?」 よく考えたら、ロレアちゃんが行きたくないと言えばそれまで。 もっともなご意見と、ロレアちゃんに顔を向けてみると、その顔は予想外に輝いていた。 「私、行ってみたいですっ!」 「......え?」 てっきり、『危ないことはしたくない』と言うと思ってたのに。 「本当に? 結構危険があるよ? 冬山って寒いよ? 無理は必要ないんだよ?」 気を遣って言ってない? と確認する私に、ロレアちゃんはしっかりと首を横に振り、私の顔を真剣な表情でじっと見る。 「私、サラサさんが来るまでは、この村で雑貨屋の店番をしながら一生を終えるんだろうな、って思ってたんです。でも、サラサさんが来てから一変しました」 そして、表情を笑顔に変えて、言葉を続ける。 「このお店で働けるようになりましたし、新しいこともたくさん知ることができました。魔法も教えてもらえて、少しは使えるようにもなった。だから、もっと新しいことに挑戦したいです!」 「そうなんだ......」 本人にそう言われてしまうと、私としては否定もできない。 一応は弟子であるロレアちゃんだけど、あれこれ指図はせず、褒めて伸ばす方針だからね。やりたいことはやらせてあげたい。 「解ったよ。それじゃ、ダルナさんにも説明に行かないとね」 雑貨屋よりも危険性が少ないということで雇ったのに、危険なことをさせるんだから。 ――と、思ったんだけど。 「サラサさん!」 「は、はい!」 滅多に聞かないようなロレアちゃんの強い声に、背筋が伸びる。 「私の両親に配慮してくれるのは嬉しいです。ですが、私はもうこのお店の正式な店員なんです。お店のお仕事に関して、一々親に確認を取る必要はありません。親に話すとしても、それは私がするべきことです!」 そうは言っても、ロレアちゃんを雇っているのは私。 雇用主の責任としてきちんと言っておく必要があるのでは? 「......アイリスさんとケイトさんはどう思いますか?」 この場にいる大人ということでの意見を聞いてみる。 「これはロレアが正しいだろうな。仕事の度に部下の親の意向など聞いていたら、何もできん。一応、ロレアはまだ未成年だから、少し微妙ではあるが......」 「就職を許可した以上、ダルナさんもそれは理解しているはずよ。一度家を出れば、後は自分で考えて生きていく。店長さんは孤児院を出た後、誰かの許可を得て進路を決めた?」 「いいえ、それはないですね」 両親と死に別れ、孤児院に入って以降はすべて自分で決めてきた。 錬金術師養成学校の入試を受けることに関しては、院長先生に相談したけど、あれは他の子たちの協力が必要という理由があったから。 それにしたって院長先生は激励するだけで、許可、不許可という話ではなかった。 そう考えると、私の方が間違っているってことか。 ......うむ、私は頭が固いロートルじゃない。 他人の意見を取り入れる柔軟性は持っている。 「解りました。では今後、ロレアちゃんは大人として扱い、私からダルナさんに何か言うようなことはしません」 「サラサさん! ありがとうございます!」 「でも!」 顔を輝かせるロレアちゃんに、私はピシリと指を突きつける。 「いきなり姿が見えなくなったら、心配させちゃうから、遠出する場合はロレアちゃんから伝えておくんだよ? 少なくともこの村で働いている間は」 「はい、それはもちろんです。ご安心ください」 「うん、お願いね。それじゃ、ロレアちゃんの防寒着とかも作れるよう、素材を買ってこないとね。アイリスさん、明日は早朝に出発しますが、大丈夫ですか?」 「あぁ、問題ない」 と、すぐに頷いたアイリスさんだったが、ちょっと首を傾げて言葉を続けた。 「――が、店長殿、食料の準備は必要だろうか? 途中で野営することになると思うが」 「いえ、明日中に着くつもりなので、不要ですよ。――あ、ロレアちゃんには悪いけど、お昼のお弁当はお願いできるかな? 朝早くて忙しいかもしれないけど」 「え、あ、はい、それは構いませんが......」 「いやいや、店長殿!? それはさすがに無理だろう? 荷車を牽いていくんだぞ?」 戸惑いつつもすぐに請け合ってくれたロレアちゃんと、目を剥くアイリスさん。 そしてケイトさんも、同意するように頷く。 「店長さんなら走れるかもしれないけど、そんな速度で走って荷物は大丈夫なの? この村からサウス・ストラグまでの道、そこまで良い道じゃないと思うけど......」 そんなことは百も承知。 私だって考えなしじゃない。 「大丈夫です。“超衝撃吸収クッション”――別名、“ダメクッション”がありますから」 これさえ荷車の床に敷いておけば、多少の凸凹なんて何のその。 卵を落としても割れたりしない地味に凄い でも例の如く、使い道がないので死蔵していた物。 ......正確に言うと、使うとダメな感じだからかな? 「機能は理解できたが......なんだ? その別名は」 「体験してみますか? ちょっと待っててください」 実際に体験すれば、名前の由来もよく理解できると思うからと、私は超衝撃吸収クッションを持ってきて、それを床の上に敷いた。 厚みはンチほどで、大きさは布団一枚ぐらい。 一見すると厚手の布団みたいな感じかな? 「これが超衝撃吸収クッション、別名“ダメクッション”です!」 「見た感じは......そこまで特別な物には見えないが」 「見て判る物じゃないですからね。はい、どーん!」 体験してもらうのが一番と、アイリスさんを突き飛ばし、クッションの上に放り投げる。 「わわっ! なにをっ......な、何だこれ! 何だこれ!? 身体が吸い込まれるような!」 私の突然の行動に声を上げたアイリスさんだったが、クッションの上に着地すると、別の意味で声を上げた。 「何だか、ダメになりそうな気がしませんか?」 「なる! 起き上がりたくなくなる!」 あまりにも良いアイリスさんの反応を見て、ケイトさんもクッションを触り、ロレアちゃんはコロリと横になる。 「どれどれ......うわ、本当に凄い感触ね。もっちりというか、むにゅっというか......」 「私もちょっと――あ、確かにこれは......」 「まぁ、実際のところ、それで長時間寝たりすると身体が痛くなるので、別の意味でダメなんですけど。最初は気持ちよいのが、罠ですね」 これは衝撃吸収用で、寝具じゃないのだ。寝るのに使うなら、もうちょっと弾力というか、硬さというか、そういうものがないと案外寝にくい。 「でも、衝撃の吸収能力に関しては折り紙付きです。高級な馬車の座面などにも使われていて、お金持ちのお尻を守っているそうですよ?」 「......あぁ、それは素直に羨ましい。馬車に長時間乗っていると、お尻がとんでもなく痛くなるからなぁ」 「アイリスさんぐらい、お尻にクッションがあってもですか?」 「あぁ、クッションがあっても――って、ロレア、酷いな!? 私のお尻はそんなに大きくないぞ! 鍛えているからな!」 ロレアちゃんが横で寝ているアイリスさんのお尻をポンポンすると、アイリスさんは『うん』と頷きかけて、慌てたようにお尻を両手で隠した。 「え、でも......」 ロレアちゃんが、アイリスさんの引き締まったお尻と見比べているのは――え、私? た、確かに、アイリスさんと比べると薄いけどさ! 乗合馬車に乗っているとお尻が削れそうで『自分の脚で走った方が、むしろ楽かも?』とか思ってたけどさ! 私は俯せに寝たまま、お尻をこちらに見せているロレアちゃん、その横に立つケイトさんのお尻にも、ささっと目を走らせてみる。 ......うん。形勢不利。こ、文句の付けようがない。 不摂生とは無縁だもんね! 多少甘いものを食べても、それ以上に動くもんね! よし、撤退だ。 「ま、まぁ、このクッションならどんなお尻でも守ってくれますから、これを荷台に敷いておけば、荷物が壊れる心配はありません」 だから安心してくださいと付け加え、私は早々に話を終わらせたのだった。

"Lord Store Manager, what do you think? If I take Lorea, too." "Taking him to Winter Mountain, is that it? Sure, then you won't have to worry about it... "Mr. Iris, didn't you insult Winter Mountain? "I've never experienced Winter Mountain either, so when they say recognition is sweet, that's it, but which would be more dangerous: Winter Mountain with the Store Manager or this store where Lorea stays alone? "Mmmm..." Naturally, it's safer to stay in the store without even a raid. But if it raids, it's pretty dangerous. That risk and the risk of an accident in Winter Mountain. Considering which is more expensive...... Winter Mountain is somewhat better because a (...) re (...) without thought is the opponent, I wonder? "Mr. Store Manager, why don't you ask him yourself? It's about Lorea herself." "... so is that. How's it going, Lorea? If you think about it, until then if Lorea says she doesn't want to go. When I turned to Lorea with the best feedback, her face was unexpectedly brilliant. "I want to go! "... Huh? I thought you said, 'I don't want to do anything dangerous'. "Really? It's quite dangerous, isn't it? Is Winter Mountain cold? You don't have to, do you? Didn't I tell you to be careful? To me making sure, Lorea shakes her neck firmly to the side and looks at my face with a serious look. "Until I, Mr. Sarasa, got here, I guess I'll be finishing up my life with a grocery store number in this village. But I've changed since Sarasa arrived." And change your expression to a smile, keep your words coming. "I can now work in this store, and I've learned a lot about new things. They also taught me magic, and I could use a little bit of it. So I want to try something newer! "That's right..." If the person tells you so, you can't deny it as far as I'm concerned. First of all, I'm a disciple, Lorea, but I don't give orders, and it's a policy to praise and stretch. I want you to do what you want. "I get it. Well, I'll have to go explain it to Mr. Darna." I hired you because you're less dangerous than a grocery store, but you make me do something dangerous. - And I thought. "Mr. Sarasa! "Yes! My spine stretches to Lorea's strong voice, which I rarely hear. "I'm glad you took care of my parents. But I'm already an official clerk at this store. You don't need to check with your parents all the time about what the store does. Even if I tell my parents, that's what I should do! That said, I'm the one who's hiring Lorea. Doesn't it need to be properly said as an employer's responsibility? "... what do you think of Mr. Iris and Mr. Kate? I mean the adults on this occasion, I'll ask them for their opinions. "I guess Lorea is right about this. If you ask about the intentions of your subordinate's parents every time you work, you can't do anything. For once, Lorea is still a minor, so it's a little subtle..." "You must understand that, too, Mr. D'Arna, than you allowed him to get a job. Once you leave the house, you'll live thinking for yourself later. After the manager left the orphanage, did you get someone's permission to set the course? "No, you don't" I broke up with my parents and have made all my own decisions since I went into the orphanage. I talked to the Dean about taking the alchemist training school entrance exam, but that was because I needed the help of the other kids. The director only encouraged him to do so, and he wasn't talking about permission, or disapproval. Thinking about it, do you mean I'm more wrong? ... um, I'm not a hard-headed rotor. I have the flexibility to incorporate the opinions of others. "I understand. Then in the future, Lorea will treat you as an adult and not do anything to say to Mr. Darna from me" "Mr. Sarasa! Thanks! "But!" To Lorea, who makes her face shine, I poke my finger at Piscilli. "If I suddenly don't see you, I'll make you worry, so if you're going away, I'll tell you from Lorea, okay? At least while I work in this village." "Yes, of course it is. Rest assured." "Yeah, please. Well, I'll have to get some materials so I can make some of Lorea's cold clothes. Mr. Iris, I'm leaving early tomorrow morning, okay? "Oh, no problem" And it was Mr. Iris, who nodded immediately, but he leaned his neck a little and continued his words. "- But, Lord Store Manager, will it be necessary to prepare food? I think we'll be camping on the way." "No, I'm going to be there by tomorrow, so it's not necessary. - Oh, it's bad for Lorea, but can I ask for lunch? I might be busy early in the morning." "Oh, yes, I don't mind that..." "No, no, Lord Store Manager!? That's just impossible, isn't it? You're taking the van, aren't you? Lorea and Iris peeling her eyes off, who even though she was confused, soon made a contract. And Kate, too, nods as she agrees. "The manager might be able to run, but you run at that speed and your luggage is okay? The road from this village to South Strag, I don't think that's a good one..." I know a hundred things about that. Even I don't have an idea. "It's okay.“ Super shock absorbing cushion "- also known as" no cushion. " I don't know if there's a slight bump on the floor of a luggage truck if you put this on. A plainly amazing smelter (artifact) that doesn't crack when you drop eggs. But as an example, there is no use for it, so it was stored dead. ... precisely because it doesn't feel right to use it? "I understood the function... what? The alias." "Do you want to experience it? Wait a minute, please." I brought a super shock-absorbing cushion and laid it on the floor because I think if I actually experienced it, I would also understand the origin of the name. The thickness is about fifteen centimeters and the size is about one futon. Does it feel like a thick futon at first glance? "This is the super shock absorbing cushion, also known as the" no cushion ”! "It feels like... it doesn't look that special." "It's not something you can see. Yes, don't! It's best for you to experience it, and poke Mr. Iris and throw him on the cushion. "Wow! What... what is this! What the hell is this? It's like sucking my body in! It was Mr. Iris who raised his voice to my sudden actions, but when he landed on the cushion, he raised his voice in a different way. "I don't know, don't you think it's going to work? "Be! I don't want to get up anymore! Seeing Iris react too well, Kate also touches the cushion, and Lorea lays down with the corolla. "Which one... Wow, that really feels amazing. Mochiri or munchkin..." "I'm a little too - oh, sure this is..." "Well, the truth is, that makes my body hurt when I sleep for a long time, so I can't do it in another way. It feels good at first, but it's a trap." This is for shock absorption, not bedding. If you're going to use it to sleep, it's a little more elastic, or stiffness, and without that, it's hard to go to outdoor sleep. "But it comes with origami when it comes to the ability to absorb shocks. It's also used for luxury carriage seats and stuff, and they're protecting rich people's asses, right? "... oh, I honestly envy that. Long rides in the carriage can hurt my butt." "About Mr. Iris, even if you have a cushion on your butt? "Oh, even with a cushion - 'cause, Lorea, that's terrible!? My butt isn't that big! I'm working out! As Lorea pumped Iris' butt sleeping beside her, Iris nodded 'Yeah' and hid her butt with both hands as she panicked. "Oh, but..." What's Lorea comparing to Mr. Iris' tight ass? - Yeah, me? Yes, it's thin compared to Mr. Iris! When I was in the passenger carriage, my butt was going to shred and I said, 'Could it be easier to run on your own legs?' I thought so! I'm sleeping on my back, and I'm showing my butt here, Lorea, and I'm going to run my eyes on Kate's butt standing next to her. ...... yeah. Disadvantaged. These three, I can't complain. You don't have anything to do with being unrelated! Even if you eat something slightly sweet, it moves more than that! All right, retreat. "As it is, well, this cushion will protect any butt, so if you leave this on the carrier, you don't have to worry about your luggage breaking" So don't worry, I finished the conversation early.

、でしょうか。それぐらいを見ていただければ」 少し思うところがあり、余裕のある期間を提示してみれば、ノルドさんは今度もすぐに頷いた。 「それぐらい? なら問題ないかな。早く調査に行きたい気持ちはあるけど」 「いいんですか?」 「うん。実はボク、大樹海に来るのは初めてなんだ。準備が終わるまでは、この村の近くを歩いてみるよ。次の研究テーマが見つかるかもしれないからね!」 さすが研究者、貪欲である。 だからこそ、成功している部分もあるんだろうけど。 「それじゃ、基本的にボクは宿にいると思うから、何かあったら呼びに来て。あ、新しい方の宿屋ね。良い宿だよね、あそこ。こんな田舎村に不釣り合いなほど」 なかなかに失礼なことをズバッと言うノルドさんに、私たちは揃って苦笑する。 「ははは......新築したばかりですからね、あそこは」 「タイミングが良かったな。もう少し前だったら地獄だったぞ?」 「もしくは、野宿で我慢するか、よね」 「野宿は勘弁して欲しいなぁ。調査のためならまったく苦にならないけど、ボクも人里にいる時ぐらいは、ゆっくり休みたいからね」 なんやかんやで、氷牙コウモリの牙バブルが終焉を迎えた結果、この村に滞在する採集者の数は減っている。 でも、予想外にというべきか、村を離れた採集者の数はさほど多くなかった。 おかげで宿の新館の稼働率も十分に高く、ディラルさんからの返済は、滞ることもなく行われている。 アンドレさん曰く、『元々、採集者が拠点とするには良い場所だったことに加え、信頼できる錬金術師のお店ができたと認知されたことが大きい』らしい。 しっかり稼げて、居住環境に問題がなければ、村に残ることを選択するのも必然、ってことなのかな? 難点は娯楽が少ないことらしいけど、そのへんは私にはどうしようもないね。 まさか、歓楽街を作るわけにもいかないから、適宜、サウス・ストラグに遊びに行ってください、ってことで。 村にそんな物ができたら、ロレアちゃんの教育にも良くないしね? ◇ ◇ ◇ 「さて、護衛のお仕事を請けたわけだけど......大丈夫よね? 店長さん」 「はい、大丈夫だと思いますよ、普通なら」 宿へと戻るノルドさんを見送った私たちは、改めて店舗スペースに集まり、ロレアちゃんに話し合っていた。 訊いてみればアイリスさんたち、これまでに護衛の仕事なんて受けたことはないらしい。 でも、それも当然。 多くの商人が使う護衛は、専属で雇っている護衛や傭兵など。 普通の街道を行くのであれば、あえて採集者に護衛を依頼する必要なんてないし、もし依頼するのであれば、大樹海のような、採集者ぐらいしか足を踏み入れない場所に行く時ぐらい。 そして普通の人は、そんなところに用事なんてない。 つまり、採集者が人の護衛をすることなんて、ほとんどないのだ。 あえて言うなら、錬金術師養成学校の実習、その護衛に付いてくれたのが採集者だったけど、そんな仕事を請けるのは、王都周辺で活動しているごく一部の採集者だけだからね。 「普通なら? サラサさん、何か問題があるんですか?」 研究者 だよ? 警戒は必要です」 森を通り抜けたいから、とかいう理由の護衛なら、心配はない。 サラマンダーの棲み処を一度見てみたい、とかいう金持ちの道楽なら、少し心配だけど、まだマシ。多少のわがままは言っても、安全を優先するだろうから。 だけど相手は研究者。 研究のためなら自身の身の安全す次になりかねない人種。 場合によっては、素人よりもどう動くか読めない。 それが研究者である。 って......ある意味、錬金術師も同類と言えるんじゃないの?」 「だからこそ、ですよ。研究のために何をするか予想もつかない。それが研究者です」 単純にサラマンダーの棲み処まで往復するだけなら危険性は低い。 でもそこに、研究者という変数が加わると、どうなるか。 程度の差はあれ、危険性がアップすることは間違いない。 そう主張する私に、アイリスさんたちは顔を見合わせ、戸惑ったように口を開く。 「いや、さすがにそれは偏見じゃ......」 「そんなことありません。“成果”を出しているあたり、かなり怪しいですね。他人と同じことをしていたら、認められるはずないですもん」 「では、やはり断った方が良かったのだろうか......?」 「いえ、本当に危ないと思っていたら、私も止めてますよ。保険も用意しますから危険はない、とはいえませんが、危険な状況になっても切り抜けられる、かもしれません」 「保険? もしかして、店長さんも一緒に?」 「それはさすがに無理ですよ。お店もありますから」 期待するように訊ねるケイトさんに、私は首を振る。 前回のような緊急事態ならともかく、アイリスさんたちも採集者。 ある程度は自己責任で頑張ってもらわないと。 「その代わり、錬金術師的なアイテムを用意しようと思っています」 「おおっ! もしかして、凄い 期待するように身を乗り出したアイリスさんに、私は唇に人差し指を当てて少し考え、こくりと頷く。 ですかね。ちょっと特殊ですけど。 「名前だけは。詳しいことは知らないな」 「私は初めて聞きます。サラサさん、それって何なんですか?」 「いくつか種類はあるけど、今回作るのは――簡単に言うと、使い魔みたいなものかな? 無制限ではないですが、私と感覚の共有ができるので、アイリスさんたちの状況をここからでも知ることができます」 「そんなことができるの? なら、共音箱みたいな 「単に話すだけなら、共音箱の方がよっぽど使い勝手が良いんですよ。......あれだけ使い勝手が悪そうに見えても」 まず単純に、共音箱で音が届けられる範囲と、 魔力消費が多くて扱いづらいといわれる、共音箱ですら。 は作製者が直接、定期的に魔力を供給しなければ、崩壊してしまう。 その期間を延ばす方法はあるけど、必要コストを考えれば、遠方にずっと置いておくなんてことは非現実的。 基本的に、錬金術師の傍からあまり離すようなモノではないのだ。 「それに、作るのも結構大変ですからね、 テントの作製時間をやや長めに取ったのは、そのため。 カワックを使用して、ロレアちゃんたちの手も借りれば、テント作製の実作業時間は、たぶん......一日ぐらいかな? 待ち時間が結構あるから、日数的にぐらいだけど、その待ち時間も利用すれば、 に加えてもう一つ。“共鳴石”も作る予定です」 で、片方の石を割ると、もう一つの石も割れて音が響くというアイテム。 使い捨てで、共音箱のように会話をすることはできないが、魔力を持たなくても使える上に、かなり遠くまでその効果が及ぶ。 どのくらいの距離まで『共鳴』するかは、これまた作製者の腕と込める魔力次第だけど、今回アイリスさんたちが行く場所ぐらいの距離なら、私が作る物でも問題なく使えるはずだ。 「つまり、何か問題があれば、その石を壊せば良いのか?」 で状況を確認します。手助けができるかは......状況次第ですが」 「それはそうだろうな。......店長殿。万が一の際、仮に助けられずとも、気に病む必要はまったくないからな? お父様たちに最期の言葉を伝えてもらえるだけでも、私は十分にありがたい」 少し真剣な表情になって口にしたアイリスさんの言葉に、ロレアちゃんはびっくりしたように、ガタリと椅子を鳴らして立ち上がった。

Researcher Visits () "Five days, is it? That's all you need to see." I have a few thoughts, and if I presented myself with an extra period of time, Mr. Nord nodded again immediately this time. "About that? Then I guess it's not a problem. I feel like going to the investigation soon." "Is that okay? "Yeah. Actually, I'm new to the Great Tree Sea. Until you're ready, I'll walk near this village. You might find your next research theme! That's researchers, greed. I guess that's why some parts of it are successful. "Well, basically, I think I'm at the inn, so come and get me if anything happens. Oh, it's the new guy's place. It's a good inn, right there? I'm so out of tune with this country village." We all laugh bitterly at Mr. Nord for being quite rude. "Ha ha... I just built a new one, over there" "That was a good time. It would have been hell a while back, wouldn't it? "Or put up with it in the wild, right?" "I wish Nojuku would give me a break. I wouldn't be bitter at all to investigate, but I'd like to take a break when I'm in the house, too." Somehow, the number of gatherers staying in this village is decreasing as a result of the end of the ice tooth bat tooth bubble. But unexpectedly, the number of collectors who left the village was not as high. Thanks to this, the occupancy rate of the Inn's new building is also high enough, and the repayment from Mr. Dilal is made without delay. "In addition to the fact that it was originally a good place for collectors to be based, it is significant that they were recognised as having a store of trusted alchemists," Andre said. If you make good money and don't have a problem with your living environment, is it also inevitable that you choose to stay in the village? The difficulty seems to be that there's not much entertainment, but there's nothing I can do about it. No way, you can't make a pleasure zone, so go visit South Strag in due course, so. If you had something like that in the village, it wouldn't be good for Lorea's education, would it? ◇ ◇ ◇ "Well, I contracted you a job as an escort... you'll be fine, won't you? Store manager." "Yes, I think it's okay, if it's normal" We dropped off Mr. Nord back at the inn, and we gathered in the store space again, and Lorea was discussing it with us. If you ask me, Mr. Iris, they've never had a job as an escort before. But naturally so is that. Escorts used by many merchants include escorts and mercenaries hired exclusively. If you're going on a normal street, you don't have to ask a gatherer to escort you, and if you're going to, about when you're going to a place like the Great Tree Sea, where only about a gatherer steps in. And normal people, they don't have errands in that place. I mean, gatherers rarely escort people. If I may say so, it was the collectors who accompanied me to the training school for alchemists, its escort, but only a very small number of collectors working around the Wang capital would be entrusted with such a job. "If normal? Mr. Sarasa, is there a problem? "'Cause they're researchers, right? We need to be vigilant." I want to go through the woods, so if you're an escort for any reason, don't worry. I'd like to see Salamander's habitat once and for all, if it's such a rich road trip, I'm a little worried, but it's still better. Even with some selfishness, safety will be a priority. But the other person is a researcher. Race that can even be second to your own safety if it's for research. In some cases, I can't read how it works better than an amateur. That is the researcher. "A researcher... in a way, can an alchemist be considered one of a kind? "That's why. I can't even predict what I'm going to do for research. That's the researcher." Simply going back and forth to the habitat of the salamander is less dangerous. But what happens when you add a variable called researcher? Whatever the degree of difference, there is no doubt that the danger will increase. To me claiming so, Mr. Iris looks at me and opens his mouth in confusion. "No, that's just prejudice..." "That's not true. That's pretty suspicious around delivering“ results ”. If you were doing the same thing as others, you wouldn't be allowed to." "So should I still have said no...? "No, if you really think it's dangerous, I'm stopping you, too. I'll have insurance too, so there's no danger, but even in dangerous situations, we might be able to cut through." "Insurance? Could the store manager be with you? "I just can't do that. Because there are shops." I shake my head to Kate, who asks what to expect. Regardless of an emergency like the last one, Mr. Iris and his collectors too. I need you to work hard at your own risk to some extent. "Instead, I'm going to prepare an alchemist item" "Whoa! Could it be an awesome smelter (artifact) or something!?" I put my index finger on my lips to think a little and snort at Mr. Iris, who embarked on what I expected. "When it comes to smelters (artifacts), is it smelters (artifacts)? It's a little special though. Do you know what an alchemy creature is? "Only the name. I don't know any details." "I've never heard of it before. Mr. Sarasa, what is that? "There are several kinds of things, but this time I make them - in brief, are they like demons of use? It's not unlimited, but you can share your senses with me, so you can learn about Mr. Iris' situation from here." "Can you do that? Then you don't need a smelter (artifact) like a symphony box...? "If you're just talking, the consonant is more user-friendly.... even if it looks so user-friendly" First of all, the former is more overwhelmingly wide if we are to consume the same magic: the extent to which sound can be delivered in a symphony box and the extent to which it can share senses with alchemy organisms (homunculus). Even a symphony box, which is said to have a lot of magic consumption and is difficult to handle. Besides, alchemy creatures (homunculus) will collapse unless the maker supplies them with magic directly and regularly. There's a way to extend that period, but given the cost you need, it's unrealistic to leave it far away. Basically, it's not much of a way off the side of an alchemist. "Besides, it's pretty hard to make," said Alchemy. I took the time to make the tent slightly longer because of that. Using the kawak, and with the help of Lorea and the others, the actual working time of tent making is probably... a day or so? There is a good amount of waiting time, so it's about three days in a few days, but with that waiting time, I plan to make enough time to make alchemy (homunculus). "And one more thing in addition to alchemy (homunculus). We're also going to build a resonant stone." This is an item of smelting equipment (artifact) made in pairs, where when one stone is broken, the other stone also cracks and sounds. Disposable, unable to have a conversation like a symphony box, but on top of being able to use it without magic, its effect extends quite far. It depends on how far you 'resonate' with the maker's arm again, but this time if you're as far away from where Mr. Iris is going, you should be able to use whatever I make without any problems. "I mean, if there's anything wrong, should I break that stone? "Yes, that way I will check the situation with the alchemy organism (Homunculus). It depends on the situation." "I guess that is.... the manager. In case you can't help me, you don't have to get sick at all, do you? I appreciate it enough just to get your fathers to say their last words" To the words of Mr. Iris, who spoke with a slightly more serious look, Lorea stood up rattling her chair, as she was surprised.

「すまない、店長殿、マズい事になった」 ヘル・フレイム・グリズリー対策を始め目。 家に戻ってきたアイリスさんから告げられたのは、そんな不吉な言葉だった。 「採集者がほとんどいなくなってしまいました」 「......え?」 詳しく訊いてみると、最近この村にやって来た採集者の大半、そして以前からいた採集者が村から逃げるようにして出て行ってしまったらしい。 いや、事実逃げたんだろうね。ヘル・フレイム・グリズリーの事を聞いて。 「私たちとパーティーを組んだ例の二人、あいつらがその怖さを吹聴したみたいで......」 村長がヘル・フレイム・グリズリーの事を明かし、採集者に協力を要請したのは昨日の事。 その日の夜、彼らは自分たちが体験した事をやや大げさに、宿の食堂で話してしまったらしい。 それを聞いた多くの採集者は怖じ気づき、今朝のうちに村を出た。 彼らの話を鵜呑みにしなかった採集者も、アイリスさんたちに話を聞き、間違っていないことが判るとその多くは同様の行動を取る。 アイリスさんにしても、腕を無くした事は事実であるため、否定はできなかったのだ。 「自分の命が一番だから、逃げる事は否定しないけど......少し厳しいかも」 「すまない。私があんな怪我をしなければっ!」 顔をしかめて拳を握りしめるアイリスさんだけど、さすがにそれは気にしすぎ。 「いえ、アイリスさんの責任じゃないですよ。むしろ、アイリスさんたちが遭遇していなければ、突然襲われる危険性もあったわけですから、準備をできるだけマシです」 「はい! むしろ、アイリスさんたちは村人じゃないのに、手伝ってくれて嬉しいです」 「そう言ってくれると......」 私とロレアちゃんの言葉に、アイリスさんの表情も少し緩む。 「でも、店長さん、採集者がいなくても何とかなりますか?」 「ちょっと忙しくはなりそうだし、何とかなる......と良いなぁ」 少し気弱な私の言葉に、ロレアちゃんたちが少し不安そうになる。 けど、こればっかりは私一人で何とかなるものじゃないので。 スタミナの方は自信がないしねぇ......これは、体力回復用の 錬成薬 ◇ ◇ ◇ ヘル・フレイム・グリズリーの接近を知らせる笛が聞こえてきたのは、準備を始め目の事だった。 それを耳にした私はすぐさま剣を掴むと、外へと走る。 「サラサさん! 私は――」 「ロレアちゃんはここの二階に避難していて! ヘル・フレイム・グリズリーが近づいてきたら、笛を吹くんだよ!」 「解りました!」 採集者の数が足りなくなったため、村人には笛を配布してあり、戦闘エリアから外れたヘル・フレイム・グリズリーを見つけた場合には、笛を吹いて知らせるように頼んである。 その音で逆に呼び寄せてしまう危険もあるんだけど、村の中に配置するだけの戦力がないのだからどうしようもない。 ロレアちゃんを残していくのが少し不安だけど、この家は丈夫なので、大丈夫と信じるしかない。 私が戦闘エリアに駆けつけると、そこには既に採集者や、体力にある程度自信がある村人が集まっていた。 柵作りなどの作業を手伝っていたアイリスさんとケイトさんもすでに来てくれていて、ケイトさんは建物の上で弓を構え、アイリスさんは柵の前で、採集者たちに混じっている。 私はその中に、比較的親しい人の姿を見かけ声を掛けた。 「アンドレさん、それにギルさんとグレイさんも。残ってくれたんですね?」 「当たり前だろ? 俺たち、サラサちゃんよりもずっと昔からこの村を拠点にしてるんだぜ?」 「そうそう。知り合いが危ないってのに、逃げ出せねぇよ」 「サラサちゃんみたいな子供が頑張ってるなら、なおさらだな」 「いえ、これでも私、成人してるんですけど......。でも、ありがとうございます」 私が改めてお礼を言うと、アンドレさんたちは照れたように男臭い笑みを浮かべた。 「礼を言われる事じゃねぇよ。サラサちゃんこそ、大量の 「ちょっと大変でしたけど、上手く凌げれば、資金は回収できますからね」 普通の傷薬に加えて、解毒薬も必要だったので、作業量はかなりのもの。 大型の錬金釜のおかげで薬液自体はそこまでじゃなかったけど、やっぱりネックは瓶作り。 これが終わった後、瓶を回収したら、当分は瓶作りが不要になるほどに頑張った。 しんどかった。 でも、できるだけの準備は整えた。 柵は完全には完成していないけど、戦闘エリアに関してはしっかりとできているし、水を入れられる物にはすべて水を入れ、火災にも備えた。 子供や女性は頑丈な建物に避難しているから、万が一、侵入されてもしばらくは持つはず。 「おいおい、サラサちゃん、アンドレたちだけじゃなくて、俺たちもいるんだぜ?」 「おう。俺たちは、最近来たようなヘタレとは違うからな!」 「正直、どれだけ役に立つか判らねぇけどな! がははは!」 やはり残っている採集者の大半は、私が顔を覚えているようなベテランたち。 そこまで強くない人もいるけど、経験があるだけ、ルーキーとは安心感が違う。 「大丈夫です! 柵を上手く利用して複数で掛かれば十分に斃せる相手です! 頑張っていきましょう!」 「「「おう!!」」」 私が声を掛けると、周りから頼もしい返事が返ってきた。 ......あれ? なんか私が指揮するみたいになってる? 私なんてこの中だと所詮、小娘なのに......むむっ、これが錬金術師の社会的信用度の高さか。 プレッシャーが掛かるんだけど。 かといって、あの村長に任せるのも不安。 ジャスパーさんかアンドレさんあたりに任せたかったんだけど、今更か。 探知魔法で確認すると、魔晶石を播いた場所に沿ってヘル・フレイム・グリズリーが近づいてきているのが確認できる。 ――って、ちょっと多くない? 二〇匹はいるんだけど。 でも、この状況ではやるしかない。 「皆さん、そろそろ出てきます! 注意してください」 私のその言葉からさほど間を置かず、森の中からヘル・フレイム・グリズリーが姿を現す。 最初に一匹、その後ろから更に一匹、もう一匹......。 頑丈な柵で半円形に作られた戦闘エリア、その中心部分には火の魔力を込めた魔晶石が置かれているのだが、敵はそちらよりも、柵の外で武器を構えている私たちの方に意識を向けている。 「おいおい......あんなにデカいのかよ......」 そう言葉を漏らしたのは誰だったか。 ヘル・フレイム・グリズリーの大きさ自体は、数日前に私が倒した物と大差なかったが、普通の熊などに比べれば圧倒的に大きい。 初めて目にする探索者、ましてや村人にとっては、十分な脅威だろう。 わずかに怯んだこちらの空気を感じたのか、先頭の一匹が「ごがぁぁぁぁぁ!!」と咆哮を放つと同時に突進してきた。 マズい。 一度の突進で壊れるほど柵は弱くないと思うけど、恐れて攻撃できなければいつかは壊される。 今できることは――出鼻を 頭を下げて突進してくるヘル・フレイム・グリズリー、その顔面に魔法を叩きつける。 正に出鼻を挫くように、鼻先に。 それにより、ヘル・フレイム・グリズリーの顎が跳ね上がり、わずかに速度が緩む。 でもこれ、普通の成人男性なら吹っ飛んで骨折するぐらいの魔法なんだけど......。 ちょっぴりショック。 攻撃魔法、練習すべきかも。 でも、それもここを乗り切ってからのこと。 私は一気に前に出ると、剣を抜き放つと同時にそれをヘル・フレイム・グリズリーの首へと振り下ろした。 ズバン。 正に一刀両断。 師匠から貰った剣はさしたる抵抗もなく、ゴトリとその首を切り落とす。 そして切断された頭と胴体は、突進の勢いのままゴロゴロと地面を転がり、柵にドンとぶつかって動きを止めた。 そして切断面から吹き出る、大量の血。 「......わぉ」 いくら魔力で身体能力を強化しているとはいえ、ちょっと予想外の結果に、思わず声が漏れる。 いや、首を切り裂くつもりはあったけど、あそこまであっさりと落ちるとは。 さすが師匠の剣、シャレにならない。 こちら側に加え、ヘル・フレイム・グリズリーまでも、動きを止めている。 「んっ、んんっ! ヘル・フレイム・グリズリーは十分に倒せる敵です! 恐れずに攻撃を!」 私が咳払いをして声を出すと、ハッとしたように、採集者や村人から、 それに呼応するように、ヘル・フレイム・グリズリーの方も続々と森から出てくる。 効果がある攻撃は一部でも、多少でも怯んでくれれば意味はある。 ――あ、上手い。あれは、ケイトさんか。 的確に矢で急所を狙っている。 目に突き刺さっている物すらあるけど......眼球って良いお値段で売れるんだよね。 いや、まずは生き残る方が重要なのは解ってるけど。 火を吐いてくる敵もいるが、しっかりと濡らした柵は簡単には燃えないし、戦えない村人が探索者も含めてバシャバシャと水を掛けているので、今のところ大きな被害は出ていない。 「っらぁ! 数人で掛かれば十分に斃せる! 不安な奴は、柵を上手く利用しろ!」 気を吐いているのはアンドレさん。 ギルさんたちと共に、既に一匹斃している。 私も奮闘しているけど、体格によるリーチの短さ、敵が増えた事による動き回れるスペースの減少の影響、危なそうな人のサポートなどで、追加で斃したのはま。 しかも最初のように即死には持って行けていないので、息絶えるまでに振り回される腕を避けたり、押し返したりで、なかなかに体力を消耗する。 スタミナ、無いのに! 更に、地面に転がる死体のせいで動きも制限され目を斃した時点でついに、柵の後ろに撤退することになった。 「アンドレさん、状況は?」 「わからん。俺たちはまだ二匹だが――」 「半数は斃せています!」 そんな私たちに、屋根の上にいるケイトさんから声が掛かる。 私の身長では、周りが見通せないので非常に助かる。 「ありがと! ここまでは順調。でも......」 「あぁ。柵がヤバいな」 蓄積されたダメージに加え、柵の前に転がっている死体。それが邪魔で柵を盾にした戦いがしづらくなってきている。 「柵を二重にするべきだったかもしれませんね」 「時間が無かったんだ。仕方ない。それで半端な物を作っていたら、既に壊されている――」 ドガァァァン! まるでアンドレさんのその言葉が契機になったかのように、辺りに轟音が響き、バラバラと木の破片が飛び散った。 それと共に、弾き飛ばされるように、アイリスさんが私たちのところまで転がってくる。 二本足で立ち上がったその身長は、私の二倍ほどはあり、腕の太さなど、私の腰回りよりも太そうである。 そんな敵に対してケイトさんから矢が飛ぶが、それをまるで小枝でも払うかのように腕で撥ね除けてしまう。 「すまない! 抑えきれなかった!」 「アイリスさん、その剣......」 「ああ、さっきので折れてしまった」 あの時、アイリスさんが森から回収してきたその剣は、先端三分の一ほどがポッキリと折れていた。 それに加え、アイリスさんの着ている鎧や服には多くの裂傷が走っている。 を渡しておいた事もあり、傷こそ残っていないが、こびりついている血痕が、戦闘の激しさを物語る。 「こいつぁ、群のボスってところか?」 「みたいだな。こりゃ、俺たち三人じゃ無理だぞ」 「全員で対処しましょう」 「わ、私も! ――あ、剣が」 「コイツを使え。俺の予備だ」 他の人には下がってもらい、アンドレさんたち三人に私、アンドレさんから予備の剣を借りたアイリスさんを加えた五人でボスを囲む。 ボスもこちらを警戒するように動きを止め、睨み合う私たち。 ピー、ピー、ピー! そこに突如聞こえてきたのは笛の音だった。 三回。別の場所からの侵入を知らせる音。 「――っ! アンドレさんたち、行けますか?」 「良いのか!?」 「安定して斃せそうなのは、アンドレさんたちだけみたいですし、私がここを離れるのも......マズそうですから」 最初に私が一撃で斃したのを見ていたのか、ボスの注意はかなりの部分、私に向いているような気がする。 もし私が離脱したら、後を追いかけてきそうなほどに。 「みたいだな。解った。できるだけ早く戻ってくる! おい、お前ら! サラサちゃんに怪我させるんじゃねぇぞ!」 「「おうっ!!」」 アンドレさんの言葉に、野太い声が応える。 でも、変に手助けに入られる方が、ちょっと危ない。 「邪魔が入らないよう、それだけをお願いします」 「解ったな! お前ら! 他の敵を近づけさせんじゃねぇぞ!」 そう言い置いて、アンドレさんたちは、笛の音が聞こえた方に走って向かった。 幸い、彼らが離脱しても、ボスは動かず、私を注視している。 「アイリスさんも他に回ってください。人数で抑えられない状態だと、逆に危ないです」 「......解った」 私の言葉にアイリスさんは一瞬沈黙、悔しそうな表情で頷くと、そろそろと私の傍から離れた。 私一人になったからか、ボスも少しずつ動き出したが、私もまた、他の人から離れる方向へ少しずつ下がり、距離を保つ。 そんな私の動きに焦れたのか、ボスが大きく口を開いた。 炎のブレス。 状況次第では危険だが、一対一で対峙していれば対処はできる。 大きく開いた口の中に、私の頭ほどはある水球が勢いよく飛び込む。 「グギャッ!」 逆流した水を鼻から溢れさせ、ボスが苦しそうな声を上げる。 その隙に飛び込み、剣を振るう。――が、浅い。 四本ある腕、そのうちの左下を半ばまで切り落とす事に成功したが、胴体には届かなかった。 本来であれば首を狙いたいところだが、いかんせんその高さは、私の頭のはるか上。 頭を下げて突進してきてくれれば何とかなるのだが、最初に斃したヘル・フレイム・グリズリーの事を覚えているのか、腕を切られても頭を下げようとはしなかった。 これは、素材とか言ってられるような状況じゃ、無さそうだね。 私の持つ剣は強力でも、私だってあの太い腕から繰り出される攻撃を一回でも喰らえば、たぶん終わり。 スタミナ切れで、身体強化ができなくなっても終わり。 救いは、他の人たちが頑張ってくれて、邪魔が入らない事か。 「――っ!」 ボスが動く。 私の頭上高くから振り下ろされた腕。 その腕を素早く避けると、鋭い爪が地面に突き刺さり、ドンという音と共に、地面が爆発したように土や石が飛び散る。 それが身体に当たる痛みに顔をしかめつつ、そこに踏み込み、剣を切り上げる。 ボスも腕を引こうとしたが少し遅かった。 右上側の腕、それを半ばで切り落とす事に成功し、子供の身体ほどもある腕が、どさりと地面に転がる。 「グオォォォ!」 怒りか。痛みか。 半分の長さになった腕から血を吹き出させつつ、ボスが身体をよじる。 これで腕の残りは二本。 攻撃力も半減? いや、出血量を考えれば、それ以下かも。 だけど油断はしない。 私にとっては死ぬ直前まで、ゼロかイチ。 当たれば死ぬのに変わりはない。 こんな事なら、まともな防具でも準備しておけば良かった。 でも、後の祭り。 今後に生かすためにも今を生き延びる。 暴れるボスから少し距離を取り、魔法を連打。 体格差は如何ともしがたく、倒れてくれなければ、致命傷を与えにくい。 』を鼻面に二発喰らったボスは、一発目で顎が上がり、二発目で大きく後ろに その瞬間に踏み込む。 無防備になった足。 そこを狙う。 右足は半ばまで、下腕が動かなくなっている左側の足は、完全に切り落とし、私は大きく距離を取った。 ズズンッ! 鈍い音を立てて、そのまま後方に倒れ込むヘル・フレイム・グリズリーのボス。 完全に切り落とされた一本ずつの腕と足、そして半ばまで切られた腕と足も一本ずつ。 そこから吹き出す血の量はかなりのもので、見る見るうちにその周囲は血の池に沈んでいく。 それに伴い、ボスの動きも鈍くなっていく。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ......」 私はそれから目を逸らすこと無く、崩れそうな膝を両手で支え、腰のポーチから取り出した体力回復用の うん。不味い。 飲めなくはないけど、疲れているんだから甘い方が良い。 これは、美味しい物を作れば、売れるかもしれない。 使用者目線というやつだね。 少しずつ回復していく体力を感じながら、私は動きを止めたボスを確認し、フッと息を吐き、周囲を見回す。 まだ戦闘は続いている。 一匹当たり三、四人で囲んで対処しているので、致命的な怪我をした人はいないようだけど、離脱した人は何人かいるみたい。 で怪我は治せても、体力までは回復しないし、素材の関係で体力回復用の錬成薬はあまり配布できていない。 「とりあえず、後ろから不意打ちして、数を減らして――」 「また!? しかも今度は――っ」 聞こえてきたのは、私の家がある方向。 ジャスパーさんの家もあるけど、ジャスパーさん本人はもちろん、エルズさんもまたここに来て手助けをしている。つまり、今あの周辺にいるのは――。 「ロレアちゃん!」 「店長さん! 行ってください!」 「店長殿、残りは私たちでも何とかなる!」 「おう! これぐらい、支えられねぇ奴は、男じゃねぇ! なぁ!」 アイリスさんの言葉に、ジャスパーさんが応じ、他の探索者の人たちもまた、声を上げる。 「――お願いします!」 私は転がっているヘル・フレイム・グリズリーの死体の間を駆け抜け、家へと向かう。 多少ばらける事は想定していたけど、まさかウチの方に来るとは。 裏が森に面しているから、考えなかったわけじゃないけど――。 森沿いを走り、エルズさんの家の後ろを抜け、私の家の裏手へ。 「――あぁっ!!」 少し前に、ゲベルクさんたちの手によって作られたばかりの、新品の塀。 その裏手には、出入りしやすいように門扉があったのだが、現在それは、大きな爪痕を残して粉砕され、無残にも地面へと転がっていた。 その上、その周囲の塀にも破壊の跡が。 「くぅぅっ、せっかく作ってもらったのに!」 慌てて裏庭に足を踏み入れると、そこに広がっていたのは更に無残な光景。 私が頑張って育てていた薬草畑、しかも自生していた物を丁寧に回収した高価な薬草、それらはすべて踏み荒らされ、明らかにダメになっていた。 そしてそれを実行したのは、家の裏口を破壊し、その中に頭を突っ込んでいるヘル・フレイム・グリズリー二匹。 狭い入口から強引に中に入ろうとしているらしく、扉の周りの壁まで破壊されている。 「私の家が......」 ――熊、ぶっ殺す。 その時の私の速度は、もしかすると過去最高だったかもしれない。 こちらに向いている二匹の四本の足、それを軒並み刈り取り、一匹の背中の毛皮を掴んで放り投げつつ、頭を切り落とす。 更にもう一匹は、腹を蹴り飛ばし、身体が浮いたところで同様に首を刈る。 そしてそのまま家の外へ殴り飛ばした。 「ロレアちゃん、無事!?」 「サラサさん! 大丈夫です」 破壊された台所へ飛び込み、大声を上げると、二階から聞こえてきたのは元気そうなロレアちゃんの声だった。 その声に私はホッと安堵に息を吐く。 「ロレアちゃん、こっちに来たのは二匹?」 「はい! ここから見えた範囲では」 「解った。もうしばらくそこにいてね!」 「解りました~」 私はもう一本、体力回復薬を飲み干し、村を見て回るため、再び走り出す。 しかし、幸いな事に、と言うべきか、私が家を出た時点で既に残りのヘル・フレイム・グリズリーは討伐し終わっており、結局、私の最後の頑張りは無駄に終わったのだった。

Raid "Sorry, Store Manager, it's been a mess." Day two after starting the Hell Flame Grizzly measures. It was such an ominous word that Mr. Iris told me back home. "We're almost out of collectors" "... Huh? When asked in detail, it seems that most of the collectors who came to this village recently, and some of the collectors who had been around for a long time, have left the village trying to escape. No, you must have escaped the fact. Ask about Hell Flame Grizzly. "Two examples of partying with us, it looks like those guys bragged about that scare..." It was yesterday that the village chief revealed about Hell Flame Grizzly and asked the gatherers to cooperate. That night, they talked about what they were experiencing in the inn cafeteria. Many gatherers who heard it realized scared and left the village within this morning. Collectors who did not pepper their stories listened to Mr. Iris and many of them behave similarly when they found out they were not mistaken. Even Mr. Iris could not deny the fact that he had lost his arm. "My life is best, so I won't deny running away... but it might be a little harsh" "I'm sorry. I have to get hurt like that! Mr. Iris holding his fist in his face, but that's just too much of a concern. "No, it's not Mr. Iris's fault. Instead, if Mr. Iris hadn't encountered it, he would have been suddenly in danger of being attacked, so get ready as best as possible." "Yes! Rather, I'm glad you helped, even though Mr. Iris and the others aren't villagers" "That's what you say..." To me and Lorea's words, Mr. Iris' expression also loosens a little. "But, Store Manager, can you handle it without a collector? "I'm going to be a little busy, and I hope I can figure it out..." Lorea and I seem a little nervous about my words. But I can't handle all this on my own. Stamina is less confident... Maybe we should make more Potions, an alchemist to restore health. ◇ ◇ ◇ It was the fourth day I started preparing to hear the whistle announcing the approaching of Hell Flame Grizzly. When I heard it, I grabbed the sword and ran outside. "Mr. Sarasa! I 'm-" "Lorea was evacuating upstairs here! If Hell Flame Grizzly approaches, blow the whistle! "Got it! Due to the insufficient number of collectors, the villagers have distributed whistles and are asked to blow the whistle and let them know if they find a Hell Flame Grizzly off the battle area. There's a risk that that sound will call me the other way around, but I can't help it because I don't have enough power to just place it inside the village. I'm a little anxious to leave you, Lorea, but this house is sturdy, so I just have to believe it's okay. When I rushed into the battle area, there were already gatherers and villagers there who had some confidence in their health. Iris and Kate, who were helping with fencing and other tasks, have already come, Kate has a bow on the building, and Iris is in front of the fence, mixed with the gatherers. I saw a relatively close person in it. "Mr. Andre, and Mr. Gill and Mr. Gray, too. You stayed, didn't you? "It's obvious, right? We've been based in this village a long time before Sarasa, right? "Yes, yes. You can't escape because someone you know is in danger." "If kids like Sarasa are working hard, all the more so." "No, this is still me, I'm an adult... But thank you." When I thanked him again, Mr. Andre and the others had a manly grin as illuminated. "It's not about being thankful. Sarasa's the one who's offering you a lot of smelting potion." "It's been a little rough, but if you do, you can collect the money." In addition to regular wound medications, I also needed antidotes, so the amount of work was considerable. Thanks to the large alchemy kettle, the drug solution itself wasn't that far away, but I knew the neck was bottle-making. After this was over, when I recovered the bottle, I worked hard enough to make the bottle unnecessary for the time being. It was tough. But I'm as ready as I can be. The fence is not entirely complete, but it is well made with regard to the battle area, and I put water in everything I could put in the water and prepare for the fire. Children and women are evacuated to sturdy buildings, so they should have them for a while in case they break in. "Come on, Sarasa, it's not just the Andres, it's us, too, right? "Oops. We're not like the heckles we've been here lately! "Honestly, I don't know how useful it is! haha! Again, the majority of the remaining gatherers are veterans like I remember their faces. Some people aren't that strong, but just because they have experience, they don't feel safe with Rookie. "It's okay! If you use the fence successfully and hang it multiple times, you're the one who can kill enough! Let's do our best! "" "Oooh!!" " When I spoke, I received a reliable reply from all around me. ... Is that it? Something like I'm in command? What a little girl I am in this... Mmm, this is the high level of social credibility of an alchemist. I'm under a lot of pressure. anxious to leave it to that village chief. I wanted to leave it to Mr. Jasper or Mr. Andre, but not now. Confirming with detective magic, we can confirm that the Hell Flame Grizzly is approaching along where the Demonic Crystal was sown. - Isn't that a little much? There are of them. But we have to do it in this situation. "Gentlemen, it's time to come out! Be careful." Not so long from that word of mine, Hell Flame Grizzly emerges from the woods. One first, one more from behind, the other...... A battle area made semi-circular by a sturdy fence, its central part is equipped with a demonic crystal stone with the magic of fire, but the enemy is more conscious of those of us who hold weapons outside the fence than you are. "Dude... you're so big..." Who was it that leaked that word? The size of the Hell Flame Grizzly itself was not significantly different from what I knocked down a few days ago, but it is overwhelmingly larger than normal bears etc. For the first seeker to see, let alone the villagers, it would be a sufficient threat. You felt the slightly frightened air on this one, and one of the leading ones progressed at the same time as he roared "Ohhhhh!!". Shit. I don't think the fence is weak enough to break in a single ramp, but if you can't attack for fear, one day you'll be broken. All I can do now - frustrate my nose, Lottery! Hell Flame Grizzly as he bows his head and thrusts, slapping magic on its face. To frustrate your nose correctly, on the tip of your nose. That jumps Hell Flame Grizzly's jaw and slows it down slightly. But this is magical enough for a normal adult male to blow up and fracture... A little shocked. Attack magic, maybe we should practice. But that's also since we got through here. I swung it down to Hell Flame Grizzly's neck at the same time as I pulled out my sword as I stepped forward at once. Zuban. Absolutely. The sword given to him by his master has no resistance, and he chops off Gotri and his neck. The severed head and torso then rolled down the ground with a gobble as the impetus of the rampage hit the fence with a dong to stop the movement. And it blows out of the cutting surface, a lot of blood. "... wow" No matter how much magic you're using to strengthen your physical abilities, your voice leaks unexpectedly to a slightly unexpected result. No, I was gonna slit your neck, but I didn't expect you to fall that light. That's the master's sword, it won't be stylish. In addition to this side, even Hell Flame Grizzly has stopped moving. "Mm-hmm! Hell Flame Grizzlies are enemies that can defeat enough! Don't be afraid to attack! When I coughed and spoke, as haphazardly, from gatherers and villagers, the rubble Crushed and arrows began to fly. Hell Flame Grizzlies keep coming out of the woods, as they respond to it. An attack that works makes sense if it frightens you in part or in part. - Oh, I'm good. Is that Mr. Kate? I'm aiming for the steeple with an arrow precisely. There's even something sticking in my eyes... but eyeballs sell for a good price, right? No, I know it's more important to survive first. Some enemies throw up fire, but the tightly wet fence doesn't burn easily, and so far no great damage has been done, as the villagers who can't fight, including the seekers, are watering down Bashabasha. "Rah! Hang a couple of people and we'll kill enough! Anxious guys, make good use of the fence! It's Mr. Andre who's exhaling. Already killed one, along with Mr. Gill and the others. I'm struggling too, but only three more people have been killed because of the short reach due to their physique, the effect of less space to move around due to more enemies, and the support of people who seem to be in danger. Besides, I haven't been able to take it to instant death like the first one, so I'd rather drain my strength by avoiding or pushing back the arms that would wield me by the time I ran out of breath. Stamina, we don't have any! Furthermore, the movement was also restricted because of the corpse rolling on the ground, and at last, when the fifth man was shot, he was to retreat behind the fence. "Mr. Andre, what's the situation? "I don't know. We're still two of us." "Half of them are dead! That's what we hear from Mr. Kate on the roof. At my height, it's very helpful because I can't see around it. "Thanks! So far so good. But..." "Oh. The fence sucks." In addition to the accumulated damage, the body is rolling in front of the fence. That's getting harder and harder to fight with the fence shielded in the way. "Maybe we should have doubled the fence." "I didn't have time for this. I can't help it. If I'd made half a thing out of it, it'd already be broken -" Dogawan! As if Mr. Andre's words had been an opportunity, there was a roar around and fragments of trees splashed apart. Along with that, Mr. Iris rolls up to us so he can be bounced off. Its height, raised with two legs, is about twice my height, and seems thicker than my waist, such as the thickness of my arms. An arrow flies from Mr. Kate against such an enemy, but he rips it out with his arms as if he were paying even a twig. "Sorry! I couldn't contain it! "Mr. Iris, that sword......" "Oh, I just broke it" At that time, that sword, which Mr. Iris had recovered from the forest, was broken pockingly by about a third of the tip. In addition to that, there are many lacerations running on the armor and clothes Mr. Iris is wearing. I've given her quite a few smelting potions, and the scars are the only ones left, but the stiffness of the blood tells the story of the intensity of the battle. "This guy, is he the boss of the group? "Sounds like it. I can't do this with the three of us." "Let's all deal with it" "Wow, me too! - Oh, the sword." "Use him. It's my spare." Ask the others to back off and surround the boss with five men who added me, Mr. Iris, who borrowed a spare sword from Mr. Andre, to the three Andres. We stop moving and stare at each other like the boss is on guard over this one too. Pea, pea, pea! What I suddenly heard there was the sound of a whistle. Three times. A sound that informs you of an intrusion from another place. "-! Mr. Andre, can you go? "Is it good!?" "It looks like Andre and the others are the only ones who are going to be able to stabilise and kill me, and I'm leaving here... because it looks like a muzzle" You were watching me shoot him in the first blow, and the boss's attention seems to be for a good part, me. If I leave, so much so that I'm likely to come after you. "Sounds like it. Okay. I'll be back as soon as I can! Hey, you guys! Don't let Sarasa hurt you! "" Oops!! " A wild voice responds to Mr. Andre's words. But it's weirdly more dangerous to be in there to help. "Please don't let that get in the way, that's all." "You got it! You guys! Don't let the other enemies near you! Put that aside, Mr. Andre and the others ran towards those who heard the whistle. Fortunately, even if they leave, the boss doesn't move and is watching me. "Mr. Iris, please turn around elsewhere. If you can't keep it down in numbers, the opposite is dangerous." "... ok" Mr. Iris silenced for a moment in my words, nodding with a remorseful look, it was time and away from my side. Because I'm alone, the boss also moved out a little bit, but I also go down a little bit in the direction away from the others, keeping my distance. The boss opened his mouth wide to see if he was in such a hurry for my move. Flame braces. It's dangerous depending on the situation, but if we're confronted one-on-one, we can deal with it. In my wide open mouth, a certain water polo jumps in momentum as far as my head. "Ggah!" Let the refluxed water overflow through your nose and raise your voice as your boss seems to suffer. Jump into that gap and wave your sword. - But shallow. Four arms, of which I succeeded in cutting the lower left half, but did not reach the torso. I'd love to aim for my neck if it was meant to be, but its height is way above my head. I can handle it if you keep your head down and push forward, but you remember the first Hell Flame Grizzly you shot, and I didn't try to keep my head down when they cut my arm off. This doesn't look like a situation where you can say material or anything. My sword is powerful, but even if I eat one attack carried out from that thick arm, it's probably over. It's out of stamina, and even if you can't strengthen your body, it's over. Does salvation mean that the others work hard and stay out of the way? "-!" The boss moves. My overhead high to swinging arms down. Quickly avoiding that arm, sharp nails pierce the ground and, along with the sound of Don, soil and stones splash like the ground exploded. Step in there and cut up your sword as you face the pain it hits your body. The boss also tried to pull his arm but it was a little slow. Successfully cut off the upper right arm, halfway through it, and the arm, which is as good as the child's body, rolls to the ground with stiffness. "Guowo!" Anger. Pain. The boss twists his body as he blows blood out of his half-length arm. Now there are two bottles left in the arm. Half-attack? No, given the amount of bleeding, maybe less. But don't be alarmed. To me, right before I die, zero or ich. It doesn't make a difference to die if you hit it. If this is the case, you should have prepared even decent protective equipment. But a later festival. Survive the present to keep it alive in the future. Take a little distance from the rambling boss and hit the magic in a row. The physical difference, along with how hard it is, if you don't fall, is hard to inflict fatal injuries. The boss, who devoured "Force Barrett" with considerable power, had two shots in the nose, had his jaw raised in the first shot and leaned "Kakie" big behind him in the second. Step into that moment. Feet that went defenseless. Aim there. The right foot to the middle, the left foot with the lower arm immobilized, cut off completely and I took a great distance. Zzzzzzzzz! Hell Flame Grizzly boss who makes a blunt noise and falls backwards as it is. One arm and one foot completely cut off, and one arm and one foot cut up to half. The amount of blood that blows out of it is considerable, and as you see it, its surroundings sink into the blood pond. With that, the boss moves slowly as well. "Ha, ha, ha..." I don't distract myself from it, I support my knee with my hands that are about to collapse, and I "ooh" the potion, an alchemist for physical recovery that I removed from my hip pouch. Yeah. It doesn't taste good. I don't have to drink it, but I'm tired, so it's better to be sweet. This could be sold if you make something delicious. That's the user gaze. Feeling the strength healing one by one, I check the boss who stopped moving, exhaling fluently and looking around. Fighting is still going on. We're surrounded and dealt with by three or four people per person, so no one seems to have been fatally injured, but it looks like a few have left. Even if the injury is cured with the smelting drug Potion, it will not recover to health, and there are not many smelting drugs available for physical recovery due to the material. "In the meantime, accidentally strike from behind, reduce the number -" "Again!? And now..." What I hear is in the direction where my house is. There's Mr. Jasper's house, but Mr. Jasper himself, as well as Mr. Elles, is here again to help. I mean, I'm in that neighborhood right now... "Lorea! "Mr. Store Manager! Please go! "Lord Store Manager, we can handle the rest! "Whoa! I can't support him like this. He's not a man! Hey!" Mr. Iris responds to what Mr. Jasper says, and the other Seekers also raise their voices. "- Please! I run between the bodies of a rolling Hell Flame Grizzly and head home. I assumed it would be a little bulky, but I didn't expect you to come to us. Because the back faces the woods, it's not like I didn't think about it -. Run along the woods, through the back of Mr. Elles' house, to the back of my house. "- Ahhh!!" A short while ago, a new fence was just made by the hands of Mr. Geberg and the others. Behind it, there was a portal for easy access, but now it was crushed with large claw marks and rolled to the ground unbroken. On top of that, there are also signs of destruction in the walls around it. "Ugh, I had it made because of you! When I rushed into the backyard, what was spreading there was an even more crippling sight. The herbal fields I had worked so hard to grow, and the expensive herbs that carefully recovered what was native, they were all trampled and vandalized, obviously not working. And what executed it was two Hell Flame Grizzlies destroying the back entrance of the house and sticking their heads in it. They're trying to get inside forcefully from the narrow entrance, and they're even destroying the walls around the door. "My house..." - Bear, kill him. My speed at that time was possibly the best I've ever had. Two four legs pointing this way, cut it loose, grab the fur on one back and throw it away, while cutting off his head. Yet another kicks his belly and mows his neck as well where his body floats. And beat him straight out of the house. "Lorea, you're safe!?" "Mr. Sarasa! It's okay." Jumping into the destroyed kitchen and shouting out loud, what I heard from upstairs was Lorea's voice, who looked fine. To that voice I exhale in ho relief. "Lorea, are you two here? "Yes! As far as I can see from here" "Got it. Stay there a while longer! "Understood ~" I take another bottle of physical recovery pills and run out again to look around the village. Fortunately, however, I should say that the rest of the Hell Flame Grizzlies had already been crusaded by the time I left the house, and in the end, my last endeavor was in vain.

無事にお薬が完成した頃、やっとアイリスさんたちは、少しの時間ならおトイレから離れる事ができるようになっていた。 おトイレから出てきたケイトさんにアイリスさんは恨めしそうな視線を向けていたが、文句を言う元気も無いのか、机の上に顎を乗せてぐったりとしている。 そしてそれはケイトさんも同様で、アイリスさんほどではないけれど、机に身体を預けて動かず、瞳が死んでしまっている。 「......とも、僅かな時間で少し痩せましたね?」 「痩せたと言うよりも、 かなりの水分が身体から抜けてしまったからか、明らかに体調不良。 普段の凜々しさの欠片も無い。 、お薬が完成しましたが......」 「か、かたじけない、店長殿」 テーブルの上に置いた薬瓶に手を伸ばしたアイリスさんから、私はスッと 「店長殿......?」 不思議そうにこちらを見るアイリスさんに、私は右手の薬瓶を持ち上げて言う。 なら今の症状が一日で治りますが、アイリスさんの借金が増えます」 「な、なるほど」 うむ、と頷くアイリスさんに私は、今度は左手の薬瓶を持ち上げる。 「対してこちら。効果は劣りますが、借金が増える事はありません。さぁ、どちらを選びますか?」 「ぐぬぬぬ......」 私としてはどちらでも良いんだけど......いや、せっかく作ったんだから、保存の利かない方を使ってくれる方が嬉しいかな? お店の利益を考えるなら、断然、効果の高い 「むむむ......や、安い方で!」 「はい。ではどうぞ」 現在の経済状況とお腹の調子などを鑑みてなのか、しばらく悩んで末にアイリスさんが手を伸ばしたのは、私の左手。 「ケイトさんはどうします?」 「......アイリスがそちらを選んだのに、私が高い ケイトさんはやや渋々と、アイリスさんと同じ薬瓶を手に取る。 そんな二人の様子を見て、なんだか冷や汗を垂らしているロレアちゃんに私は声をかけた。 「ロレアちゃん、水を二つ、準備してくれる?」 「は、はい!」 製造工程を見ているロレアちゃんは、その重要性がすぐに判ったのだろう。 素早く立ち上がると、コップに水を汲んできて、アイリスさんたちの前に並べた。 「ささっ、グイッと。何も考えず、何も見ず、一気にいっちゃってください」 「あ、あぁ......ぐぁ! なんだこれは! 本当に薬なのか、店長殿!?」 せっかく何も考えず、と忠告してあげたのに、瓶の蓋をおそるおそる開けてしまったアイリスさんは、そこから漂ってくる臭いに鼻を押さえて仰け反った。 「アイリスさん、お薬なんて、基本的に不味い物なのです。 し始めたら、ますます飲みにくくなるんだから。 「いや、しかし、普段購入する 「そのへんはお値段の違いです。ケイトさんも、早く飲んでください」 「え、えぇ......お薬なのよね? 効くのよね、これを飲めば?」 「もちろんです。効かない物は渡しません。ぐずぐずしていると、また次の波が来ますよ? お二人、同時に波が来たら、今度裏庭に行くのはどちらなのでしょうか?」 「それはもちろんケイトだ! ええい、飲むぞ!! 私は店長殿を信じる!」 アイリスさんは決意を込めた表情で立ち上がると、鼻をつまんで上を向き、一気に瓶の中身を流し込んだ。 「の、飲んじゃった......」 いや、ロレアちゃん、『信じられない!』みたいな表情を浮かべてるけどさ、あれってちゃんとした薬だからね? 原料がちょっぴりエグいだけで。 「――うぷっ。うぐっ。お、おぇ」 何とか瓶の中身を全て流し込んだアイリスさんは、嘔吐きそうになりながら、薬瓶を半ばたたきつけるようにテーブルに置くと、コップを引っ掴み、水を一気に呷る。 しかし、それだけでは足りなかったのか、ケイトさんの前にあったコップにも手を伸ばし、その水で口の中を濯いだ。 「飲んだ! 飲んだぞ!」 「「おぉ~~」」 やり遂げた表情で、コップを掲げたアイリスさんに、私とロレアちゃんは思わず揃って、パチパチと拍手してしまう。 でも、単にお薬を飲んだだけの事なんだけどね。 「次は、ケイトさんですね」 「わ、判ってるわ......えっと、ロレアちゃん、お水、お願いできるかしら? でき分ぐらい」 飲み終えたアイリスさんを見て、覚悟を決めたらしいケイトさんは、やや多めの水をロレアちゃんに注文すると、薬瓶を持ってゴクリと唾を飲む。 「......心配しなくても、死んだりはしませんよ? アイリスさんを見れば判る通り。不味い事は間違いないですが」 「あぁ、ケイト。かなり不味いが大丈夫だ。それになんだか、お腹が軽くなった気がするぞ」 うん、さすがにそれは気のせいだね。 ならともかく、アイリスさんが飲んだ安物では、そんな短時間では効いたりしない。 せめて三〇分ぐらいは待たないと。 「さぁ、ケイトも早く飲め」 「そ、そうね。いく......いくわ......いく......」 薬瓶を両手で握りしめ、再びゴクリと唾を飲むケイトさん。 「......ねぇ、店長さん。これを飲んでも、すぐには良くならないのよね?」 「そうですね。一般的な人なら、たぶん、一週間ぐらいでしょうか。アイリスさんたちなら、身体を鍛えていますし、もう少し早いかもしれませんが」 「そう、そうよね。ねぇ、アイリス。やっぱり私かあなたのどちらか、看病する人が必要じゃない? 具体的には、すぐに回復すべきじゃ――」 「あ、ケイトさん。看病ぐらいなら、私がしますよ?」 「ですです。専門的な事は判りませんが、私もお手伝いします」 往生際悪く、そんな事を言うケイトさんの逃げ道を、私とロレアちゃんで塞ぐ。 アイリスさんが頑張ったのに、ケイトさんが逃げるなんて、やっぱ許されないよね? 「うぐっ。で、でも、その、アイリス、やっぱり私が看病する方が気兼ねしなくて良いわよね? ねっ?」 強く同意を求めるように言葉を重ねるケイトさんに、アイリスさんはにっこりと微笑む。 それを見て、ケイトさんがホッと息をついたその瞬間、アイリスさんは立ち上がると、ケイトさんの手をガシリと掴んだ。 「つべこべ言わず飲め! 店長殿の厚意を無駄にするつもりか!」 アイリスさんはキュポンと薬瓶の蓋を取ると、ケイトさんの顎に手をかけ無理矢理上を向かせる。 前衛で剣を振っているアイリスさんと、後衛のケイトさん。 単純な力比べであれば、圧倒的に有利なのがどちらかは、言うまでも無いだろう。 「ま、待って! 心の準備がっ!」 「時間切れだ! 口を開けろ!」 開けろ、と言いつつ、強引に口を開かせたアイリスさんは、そこに一切の容赦なく薬瓶を突っ込む。 その時、ご丁寧にも鼻をつまんでいるのは、ある意味慈悲か。 「うごっ、えぐっ、ごぼぼっ!」 ケイトさんが、なんだか危険な感じに喉を鳴らすが、アイリスさんは全く無視。 薬瓶が空になるのを確認すると、それを口から引き抜き、そのまま口元を手で押さえる。 「むーー! むぐーー!!」 「お、なんだ? 水か? 水が欲しいのか? このほしがりさんめ!」 疲れ、窶れた表情の中に、微妙に嗜虐的な色を混ぜた笑みを浮かべつつ、アイリスさんがおもむろに手を離すと、ケイトさんは即座にコップを掴むと、二杯、三杯と水を飲み干し、そのまま机に突っ伏した。 「ア、アイリス、あなた、さっきの事を根に持ってるの?」 「さて、何のことだか。私は子供みたいにだだをこねるお前に、薬を飲ませてやっただけだぞ?」 「くっ......この......」 「はっはっは――むっ!」 朗らかとは言い難い笑い声を上げていたアイリスさんが、真剣な顔になって、眉を寄せて唸る。 「どうやら便りが来たようだ。ちょっと失礼する」 「便り......? あっ! アイリス、ちょっと待――うぐっ!」 立ち上がりかけたケイトさんが、お腹を押さえて椅子にストンと腰を落とし、動きを止める。 そして聞こえる、扉の閉まる音。 ......あぁ、トイレに行ったのか。 ちょっと暴れたから、波が来たのかな? 「ケイトさん、小一時間もすれば効いてきますから、もう少し我慢してください。そうすれば、じゃーじゃーなんて事にはなりませんから、おトイレ、余裕ができると思いますよ?」 「あ、ありがとう、店長さん。でも、このお薬って、何なの? すっごく、苦不味エグ生臭いんだけど?」 「あぁ、正にそんな味でしょうね。原料については......ノーコメントで」 言葉を濁す私にケイトさんは顔をしかめ、ロレアちゃんに視線を向けるけど、ロレアちゃんもまたケイトさんから視線を逸らす。 「たぶん、聞かない方が......」 「......なるほど、聞かない方が良いような原料なのね。じゃあ、聞かない。聞いて吐いちゃったら、何のために苦しい思いをしたのか判らないし」 「ちゃんとしたお薬ですから、そこは安心してください」 「えぇ、店長さんの事は信じてるわ。アイリスが今生きているのも、店長さんのおかげだしね」 「アイリスさんの運もあると思いますけどね」 治療が間に合った事も、たまたま私がお店にいた事も、そして、普通なら置いていないような高価な どれか一つ欠けていれば、アイリスさんはこの場にいなかったことだろう。 「さて、私はアンドレさんたちにお薬を届けてくるから、ロレアちゃんはケイトさんたちに、消化の良い物を作ってあげてくれる?」 「解りました」 「ごめんなさいね、いつも迷惑をかけて」 「いえいえ、困った時はお互い様、ですよ。私も、ヘル・フレイム・グリズリーの時は寝込んでしまいましたしね」 申し訳なさそうな表情を浮かべるケイトさんに、私は微笑むと、薬瓶を手に立ち上がる。 あとはアンドレさんたちがこのお薬を飲むかどうかだけど......一応、高い方の

When the medicine was successfully completed, Iris and the others were finally able to leave the bathroom in a few moments. Mr. Iris had a resentful gaze at Kate as she came out of the bathroom, but she didn't even have the energy to complain, putting her chin on her desk and relaxing. And that's the same for Mr. Kate, who isn't as good as Mr. Iris, but keeps his body at his desk and doesn't move, and his eyes are dead. "... you both lost a little weight in just a few moments, didn't you? "Rather than say he's lost weight, he's got it, right?" Obviously ill, either because a lot of moisture has fallen out of your body. There are no ordinary shards of clarity. "Once your medicine is complete..." "Oh, my goodness, the manager." I shrug away the smelting drug Potion from Mr. Iris, who reached for the medicine bottle I put on the table. "Lord Store Manager...? To Mr. Iris, who looks at this one strangely, I lift the medicine bottle on my right hand and say: "First, here. This smelting potion will cure your symptoms in a day, but it will increase your debt to Mr. Iris." "I see." Um, nodding to Mr. Iris. I lift the left-hand medicine bottle this time. "Against this one. The effect is inferior, but there will be no increase in debt. Come on, which one do you choose? "Grungy......" As far as I'm concerned, it's both good... no, I made it because of it, so would you be happier to use the less savvy? If you think about the store's interests, you're definitely from Potion, a highly effective smelter, but Iris and his wallet are friendly to the latter. "Mmmm...... ya on the cheaper side! "Yes. Then go ahead." In view of the current economic situation and the state of his stomach, etc., it was on my left hand that Mr. Iris reached out at the end after worrying for a while. "What will Mr. Kate do? "... Iris chose you, but you can't choose my expensive smelting potion." Mr. Kate is somewhat reluctant to take the same bottle of medicine as Mr. Iris. I called out to Lorea, who was kind of cold sweating after seeing how those two were doing. "Lorea, can you get me two waters, please? "Yes! Lorea watching the manufacturing process must have quickly figured out its importance. When I got up quickly, I drew water to the glass and lined up in front of Mr. Iris and the others. "Come on, ghoulish. Don't think about it, don't look at it, go all at once." "Ah, ah... guh! What the hell is this! Are you sure it's medicine, Store Manager?!?" After advising him not to think about it because of it, Mr. Iris, who roughly opened the lid of the bottle, held his nose back to the smell drifting from it. "Mr. Iris, medicine is basically an unsavory thing. Don't hesitate." If you start to hesitate, it gets harder and harder to drink. "No, but the potion, the smelter I usually buy, is a little more decent..." "That's the difference in price. Have a drink, too, Kate." "Oh, yeah... it's your medicine, isn't it? It works, why don't you drink this? "Of course it is. I won't give you anything that doesn't work. If you're stuck, the next wave will come again, won't it? You two, if the waves come at the same time, which is the next time you're going to the backyard? "That's Kate, of course! Yep, I'll drink!! I believe in the Store Manager! When Mr. Iris stood up with a determined look, he pinched his nose and turned up, pouring the contents of the bottle all at once. "Of, I drank..." No, Lorea, 'I can't believe it!' Cause that's a decent pill, right? The ingredients are just a little eggy. "- Ugh. Ugh. Ooh, ooh." Having managed to pour all the contents of the bottle into it, Mr. Iris grabs the cup and clasps the water at once as he puts it on the table so that it hits him halfway through the bottle, almost vomiting. But wasn't that enough, he also reached for the cup that was in front of Mr. Kate and washed his mouth with that water. "I drank! I drank it! "" Ooh. "" With a done look, I applaud Iris for putting up the cup, me and Lorea unexpectedly aligned and patsy. But it's just that I took your pills. "Next, you're Kate." "Wow, I know... uh, Lorea, can I have some water, please? Maybe three or four cups, if possible." Seeing Mr. Iris finished drinking, he said he was ready, and when Kate ordered some more water from Lorea, she took a bottle of medicine and sipped the gokuri and spit. "... you don't have to worry, you don't die, do you? As you can see from Mr. Iris. I'm pretty sure it's not good." "Oh, Kate. Pretty unsavory but ok. Plus, I think my stomach's getting lighter." Yeah, that's just my fault. Regardless of another smelting drug, Potion, it doesn't work in such a short time on the cheap food Mr. Iris took. I have to wait at least half an hour. "Come on, Kate, drink up, too." "Oh, yeah. Go... go... go..." Mr. Kate grips the medicine bottle with both hands and spits with gokuli again. "... Hey, Store Manager. Drinking this won't get any better soon, will it? "Right. If you're a typical person, maybe, like, a week? If you're Iris, you're working out, maybe a little faster." "Yeah, right. Hey, Iris. I knew you didn't need someone to see you, either me or you? Specifically, we should recover soon." "Ah, Mr. Kate. If it's about medical attention, I'll do it, right? "It is. I don't know what it's all about, but I'm here to help." Bad times, I and Lorea block Kate's escape route to say that. Even though Mr. Iris worked hard, it's still unacceptable for Mr. Kate to escape, isn't it? "Ugh. So, but, uh, Iris, I guess you don't have to feel comfortable seeing me, do you? Hey?" Ms. Iris smiles at Kate, who overlaps her words so strongly that she seeks consent. Seeing it, at that moment when Mr. Kate took a ho breath, Mr. Iris stood up and grabbed Mr. Kate's hand gassily. "Stick around and drink without telling me! You're going to waste the courtesy of the manager! When Mr. Iris takes the cupon and the lid of the medicine bottle, he puts his hand on Kate's jaw and forces her to look up. Iris waving his sword in the avant-garde and Kate in the rear. Compared to simple forces, it would be needless to say that either is overwhelmingly advantageous. "Ma, wait! Prepare your mind! "Time's up! Open your mouth! Mr. Iris, who forced him to open his mouth while telling him to open it, sticks any merciless medicine bottle in there. At that time, politely pinching your nose is, in a way, mercy? "Ugh, Egg, Bobby! Kate's throat sounds kind of dangerous, but Iris ignores it altogether. When you make sure the medicine bottle is empty, pull it out of your mouth and hold your mouth with your hand as it is. "Mmm! Muggoo!!" "Oh, what? Is that water? You want water? You horny bastard! In his tired, smug expression, he grinned with a subtle mixture of abusive colors, and when Mr. Iris let go of his hand, Kate instantly grabbed the glass and drank two or three glasses of water and stuck it straight at his desk. "A, Iris, you, you have what you just did on your roots? "Well, what are you talking about? I'm like a child. I just drugged you, didn't I? "Knock... this..." "Ha-ha-ha! Iris, who had a hard laugh to say that he was languid, turns serious, frowns and roars. "Apparently, I've got news for you. Excuse me for a second." "Newsletter...? Ah! Iris, wait a minute. - Ugh! Mr. Kate, who is about to rise, holds his stomach and drops a ston and hips on the chair, stopping him from moving. And I can hear, the door closing. ... Oh, did you go to the bathroom? It's a little rampant, so did the waves come? "Please be a little more patient, Kate, as it will work in less than an hour. That way, well, that's not gonna happen, so you think you can afford the bathroom, right? "Oh, thank you, Mr. Store Manager. But what is this medicine? Sooo, bitter, smelly egg. Smells raw? "Oh, that must really taste like it. As for the ingredients...... in No Comments" Clouding my words Mr. Kate looks at me, but turns her gaze to Lorea, but Lorea also misses her gaze from Kate again. "Probably better not to ask..." "... I see, you're a raw material that seems better not to ask. Then I won't ask. I don't know what I felt bad about when I heard you throw up." "Don't worry there, it's a decent medicine" "Yeah, I believe in the manager. Thanks to the manager, Iris is still alive." "I'm sure Mr. Iris has some luck, though." I happened to be in the store in time for treatment, and there was an expensive smelting drug, Potion, that I wouldn't normally have left in the store. If any of them were missing, Mr. Iris would not have been here. "Now, I'm delivering the medicine to Andre and the others, so will Lorea make some digestible stuff for Kate and the others? "Understood." "I'm sorry, I always bothered you" "No, when we're in trouble, we're each other, right? I fell asleep when Hell Flame Grizzly, too." I smile at Kate, who looks sorry, and I stand up with the medicine bottle in my hand. And then it's whether Andre and the others will take this medicine... but for once, should I also take the high smelter Potion?

「良いんですか?」 少し驚いたように、それでいて期待が込もった視線を向けるロレアちゃんに、私は軽く頷く。 「うん。将来的にそうなるならぐらい大した違いでもないし。ただそうなると、本格的にウチの店員が一生の仕事になると思うけど、それで良いの?」 日雇いなどの技術が必要ない一部の職業を除き、一度仕事に就けばそれをずっと続けるのが一般的な平民の生き方。 特に専門職の場合、身に着ける知識の価値などを考えれば、給料も平均よりも高くなり、それらを捨てて転職するなんてほぼ有り得ない。 そして錬金術師のお店の店員は、どちらかといえば専門職に分類される。 「私も、ずっとこの村でお店を続けるとは限らないけど......」 この村は生活がしやすくて良い場所だとは思っているけど、錬金術師として上を目指す場合に、ここでお店を続けるのが良いのかどうかは、今の私には判断できない。 将来的にそうなった場合、ロレアちゃんは付いてこられるのかどうか。 ロレアちゃんが成人すれば、お給料は一般的な職業より多く出すつもりだけど、故郷を離れることに見合うのかどうか。 そのあたり、都会で生まれ、両親と共に町を移動することもあった私の感覚とは、やっぱり違うと思う。 しかしロレアちゃんは、そんな私の言葉に、当然とばかりに胸を張って頷いた。 「大丈夫です。そのへんはすでに両親とも話し合ったので。サラサさんが雇い続けてくれるなら、成人しても続けろ、と言われています。むしろ、雑貨屋を継ぐよりも喜んでくれると思います」 わぉ、しっかりしてる。 けど、あと一年あまりで成人することを考えれば、そんなものなのかな? 私には両親がいないし、一〇歳で錬金術師養成学校に入学して将来が決まったから、そんな経験がないんだけど。 「そうなんだ? でも、雑貨屋の方は? ロレアちゃん、一人っ子だよね?」 「兄弟はいませんが、村に親族はいますから、そのあたりから養子を取ることになるかと。当てもなく村を出て行く必要がなくなるので、そのときは喜んで来ると思いますよ」 こんな農村の就職事情は案外厳しい。 農地も、他の仕事も、簡単には増えないのだから、あぶれた次男以降などは、普通なら村を出て行くしかない。 私の薬草畑を任せているマイケルさんなんかが、ちょうどそれ。 あの仕事がなかったら、マイケルさんとイズーさんは、未だサウス・ストラグの町でその日暮らしをしていたんじゃないかな? つまり、ダルナさんが後継者を求めれば、結構簡単に確保でき、村にお店がなくなることを心配する必要はないらしい。 「それに私が家を出たら、弟か妹、増えるかもしれませんし。お母さんもまだ若いですから、たぶん今日あたり、頑張ってるんじゃないかなぁ?」 頬に指を当て、平然とそんなことを言うロレアちゃんに、頬が熱くなるのが判る。 でも、ここは年上の威厳として、平然と相づちを―― 「そ、そうなんだ? へ、へぇ......」 打てなかった。 そ、そういうのって、田舎の方が進んでいるとか、そんな噂を聞いたことがあるけど、ホントなのかな? ちなみに私、自分がそっち方面に だって、大半の時間は学校で勉強に明け暮れていたし、数少ないお友達は、貴族のご令嬢だったからね! 師匠の所の店員さんたちとは、休憩時間に雑談することはあったけど、年齢差もあったからか、そんな話を振られることもなかった。 せいぜい、『サラサちゃん、好きな人はいないの?』とか、その程度。 そしてそのとき、『いえ、私、友しかいないので』と素直に答えたら、微妙に場が凍り、それ以降、そのあたりの話を振られることはなくなった(その後、後輩が入学して友になったけど)。 ま、そんなわけで、私の思春期、下ネタに触れる機会はほぼなかったのだった。 いや、一応今も思春期継続中なんだけど。 ......ん? もしかして、これからそういうお話をする機会が巡ってくる流れ? アイリスさんとケイトさんも一応上流階級だけど、ロレアちゃんは純平民。 私たちの中にそんなロレアちゃんが交ざると――。 「あれ? サラサさん、実はこういう話、苦手です?」 「え!? いやゃや! そ、そんなこと、ないよ~?」 「そうですか?」 目を盛大に泳がせながら答える私に、ロレアちゃんはちょっと小首を傾げ、唇に人差し指を当てて「う~ん」と考える仕草を見せると、悪戯っぽい笑みを浮かべた。 「......ちなみに、お母さんが私を産んだのって、今の私とほぼ同じ頃なんですよ?」 「ふぇ!? あ、へ、へぇ......」 ダルナさん、何してるの!? それって、犯罪じゃないの!? 私なんて、結婚どころか、男の子と付き合ったことすらないよ! 「二人は幼なじみで、好き合っていたので、結婚すること自体はほぼ決まっていたみたいですけど、さすがに子供は早すぎるって、怒られたみたいです」 「だ、だよね? 田舎だとそれが普通だったりはしないよね?」 「はい。ちょっと早いですね」 「......ちょっと、なの?」 「はい。サラサさんぐらいなら、子供がいる人は普通に」 成人してすぐに結婚。 すぐにごにょごにょして、出産。 ......うん、確かに有り得ないことじゃないけど――なんか複雑! 私の周辺だと、学校を卒業するまではもちろん、卒業後もすぐに修業に入る関係上、結婚なんて話題、出てなかったから。 「それから、これは近所のおばちゃんから聞いた話なんですけど――あ、やっぱこれは止めておきます」 「えぇっ!? そこで止められると、なんか凄く気になるんだけど!」 美味しそうな物を差し出しておきながら、さっと引っ込めるようなロレアちゃんの行動に、私は断固と抗議。 しかしロレアちゃんは、先ほどの悪戯っぽい表情とは少し変わり、気まずげに視線を逸らす。 「えっと......サラサさんは聞かない方が良いかと?」 「私は!? 余計気になる!」 「......後悔しません?」 「うっ......、するカモだけど、聞かせて!」 再度確認するロレアちゃんに、私は一瞬言葉に詰まりつつも、答えを急かす。 この状態でお預けされて、知らされない方が後悔しそうだから。 のって、この家だった、とか?」 「............はい?」 できた? なにが? 「いや、その、当時空き家だったこのお店にうちの両親が忍び込んで、せ――」 「ストップだよ、ロレアちゃん!」 もうほとんど言ったようなものだけど、私は慌ててロレアちゃんの言葉を遮る。 どこで、とか詳しく聞いちゃったら、色々もにょる。 部屋で寝ている時とか、かなり気になっちゃう。 口を噤んだロレアちゃんと私は、じっと見つめ合い、瞬き。 ロレアちゃんもちょっと明け透けに話しすぎたと思ったのか、頬がだんだんと赤くなる。 斯くいう私も、頬が火照る。 「は、話を変えよう、ロレアちゃん」 「そ、そうですね」 気まずくなった私がそう提案すると、ロレアちゃんもすぐに乗ってきた。 「えっと......そう。ロレアちゃんのお仕事の話だったよね。何か訊きたいこととか、希望とかある?」 「いえ、現状でも十分、良くして頂いていますし。あ、でも......」 「ん? なに? 何でも言って? ロレアちゃんとは長い付き合いになりそうだし」 むしろ、長い付き合いになるよう、囲い込みたいところ。 師匠とマリアさんみたいにね。 マリアさんぐらい頼りになる店員さんがいたら、私も錬金術に精励できるから。 促す私に、ロレアちゃんはしばらく躊躇った後、おずおずと口を開く。 「あの、私、サラサさんに憧れてて......錬金術師って、やっぱり、なれたりは......しないですよね? 学校、入れる年齢じゃないですし」 「錬金術師、かぁ......」 ちょっと予想外の言葉に、私は嬉しさと共に、少しの戸惑いを覚えて考え込んだ。

"Is that good? As a little surprised, I nod softly at Lorea, who then turns her gaze with anticipation. "Yeah. If that's going to happen in the future, it's not even a big difference for a year or so. However, when it does, I really think our clerk will be a lifetime job, but is that good? With the exception of some professions that do not require skills such as daily employment, it is the common civilian way of life to keep it going once you get a job. Especially in the case of professions, given the value of the knowledge you can acquire, etc., your salary is also higher than average, and it is almost impossible to abandon them and transfer jobs. And the alchemist's shop clerk is classified as somewhat professional. "Me too, I won't always continue shopping in this village..." I know this village is an easy and good place to live, but if you want to go up there as an alchemist, it's not up to me right now to decide if it's a good idea to continue shopping here. If so in the future, can Lorea follow? If Lorea grows up, she's going to pay more than the general profession, but whether she's worthy of leaving her hometown or not. Around there, I guess it's different from what I felt when I was born in the city and sometimes traveled around town with my parents. But Lorea nodded naturally with her breasts open to my words like that. "It's okay. Because I've already discussed it with my parents. If Mr. Sarasa will continue to hire you, even if you are an adult, she tells you to continue. Instead, I think you'd be more than happy to inherit the grocery store" Wow, it's tight. But if you think about adulthood in less than a year, is that what it is? I don't have any parents, and I don't have that experience because I enrolled in Alchemist Training School at the age of ten and I've decided on my future. "Really? But who's the grocery store? Lorea, you're my only child, right? "I don't have any brothers, but I have relatives in the village, so I was wondering if I would adopt them from around there. You won't have to leave the village without guessing, so I think you'll be happy to come back then." Job conditions in rural areas like this are outrageous. Farmland and other jobs are not easy to increase, so after the rash of my second son, etc., I would normally have to leave the village. Something tells Michael to take care of my herbal field, just like that. Had it not been for that job, would Michael and Izu still have lived that day in the town of South Strag? In other words, if Mr. D'Arna asks for a successor, he can secure it quite easily and doesn't have to worry about running out of shops in the village. "And if I leave the house, my brother or sister, there might be more. Your mother's still young, too, so maybe around today, she's working on it? I can see my cheeks getting hot on Lorea, who puts her finger on her cheek and says that plainly. But this place, as an older majesty, is plainly connected... "Oh, yeah? Heh..." I couldn't hit it. Well, you know, I've heard rumors about the country going better, but is that true? By the way, I have a first consciousness that I am that way. Because most of the time it was dawn on study at school, and a handful of your friends, they were noble ladies! I used to chat with the clerks at the master's place during the break, but they never told me that because of the age difference. At best, 'Sarasa, doesn't anyone like you?' or to that extent. And then, when I answered honestly, 'No, I, because I only have two friends,' the place was subtly frozen, and since then, I've stopped being told stories around it (and then my junior enrolled and became three friends, though). That's why, during my adolescence, I hardly had a chance to touch the lower story. No, I'm still in puberty for once. ...... hmm? Could that be the flow of opportunities we're going to have to talk about? Mr. Iris and Mr. Kate are also, for once, upper class, but Lorea is a pure civilian. When Lorea crosses among us like that... "Is that it? Mr. Sarasa, are you actually not comfortable talking about this? "Huh!? No! That's not true ~?" "Really? Answering me as I swerved my eyes, Lorea tilted her little neck a little and gave me a pranky grin when I put my index finger on her lips and showed her how to think "uh-huh". "... by the way, your mother gave birth to me about the same time as I am now, right? "Huh!? Ah, heh..." Mr. Darna, what are you doing!? Isn't that a crime? Oh, my God, instead of marrying me, I've never even dated a boy! "They were childhood friends, they liked each other, so it seemed almost decided to get married themselves, but it just seemed like they got mad that the kids were too early" "Right, right? In the country, that's not normal, is it? "Yes, you're a little early" "... hey, what is it? "Yes. If you're about Mr. Sarasa, people with kids are usually" Married as soon as I grew up. Souvenir, childbirth. ... Yeah, it's certainly not impossible - it's complicated! Around me, as well as until I was fifteen years old graduating from school, I didn't talk about marriage, because I wasn't out there in relation to going into school soon after graduation. "And then this is what my aunt in the neighborhood told me - oh, I'll stop this after all" "Huh!? When I can stop there, I'm so curious about something! I resolutely protest Lorea's behavior so that she can just pull in while offering something that looks delicious. But Lorea, a little different from her pranky look earlier, takes her gaze off at random. "Uh... I thought Mr. Sarasa shouldn't ask? "I am!? extra concerned! "... don't you regret it? "Ugh... a duck who does, but let me hear it! To Lorea, who checks again, I rush the answer, even as I get stuck in words for a moment. Because I'm going to regret being kept in this state and not being informed. "Um... I actually (...) came (...) to this house, or something? "............... Yes? You got it? "No, my parents snuck into this store, which was empty at the time, and..." "It's a stop, Lorea! It's almost like I said it already, but I panic and block Lorea's words. Wherever I hear more about it, there's a lot going on. It bothers me a lot, like when I'm sleeping in my room. Lorea and I, with our mouths shut, stared at each other, blinking. You thought Lorea talked a little too much dawn and clarity, too, and her cheeks grew red. Suku, my cheeks are on fire. "Let's change the story, Lorea" "Right, right" It got awkward. When I suggested that, Lorea came right on board, too. "Uh... yeah. You were talking about Lorea's work, weren't you? You want to ask me something, hope? "No, the status quo is good enough for you. Oh, but..." "Hmm? What? Say anything? Lorea and I are going to be dating for a long time." Instead, I want to surround myself so that we can have a long relationship. Like Master and Maria. Because if there's a clerk who can count on Maria, I can inspire alchemy, too. To prompt me, Lorea hesitates for a while and then opens her mouth with a snack. "Um, me, admiring Mr. Sarasa... an alchemist, after all, can't be... don't you? I'm not old enough to go to school." "Alchemist..." To a somewhat unexpected word, I thought with joy, remembering a little confusion.

レオノーラさんと悪巧み――もとい、商談を終えた翌日。 私はフィリオーネさんが作ってくれた遅めの朝食を頂いて、サウス・ストラグの町を発っていた。 色々な事が上手くいき、足取りも軽く村への道をひた走る私。 だが、そんな私の気持ちに水を差すように、それは起きた。 もう少しで村に着くという場所。 そこの街道脇の茂みから、突然現れ人ほどの男たちが、私の前に立ち塞がったのだ。 「お、おい! 止まれ!」 武器を持った男たちに、そんな風に声を掛けられて、私はズリズリと地面に跡を残しながら急停止。 男たちは少し安堵した様に息を吐く。 「よ、よーし、いいぞ」 微妙に腰が引けているのは、私の走る速度が並みの馬よりも速かったからだろう。 ......まぁ、正直な事を言うと、あのまま突っ切ってしまっても良かったんだけど、せっかく出てきてくれたのだ。 止まってあげないと可哀想だよね? 人数も多くないしね......フフフ。 「で、何か用ですか?」 「『何か用』じゃねぇぜ。この状況を見て、わかんねぇのか? あぁん?」 「げはは、まさかこんなガキだとはな!」 「楽な仕事ってヤツじゃねぇか!」 私が小柄な事に安心したのか、急に強気になる男たち。 いや、もう盗賊たちで良いか。 「錬金術師を襲うとは、度胸がありますね?」 「はっ! 頭でっかちがどうだって言うんだ?」 「ギャハハハ、貴族だって護衛がいなけりゃ、ただの獲物だぜ?」 一応警告してみるけど、返ってきたのは、なんとも頭の悪い言葉だった。 あまりに考え無しのその言葉に、思わずため息が漏れる。 「はぁ......、一般的な錬金術師への認識って、やっぱりそんな感じなんですね」 「はぁ? 何言ってんだ、このガキは」 「ギャハハハ、はったりなんか意味ねぇーぜぇ?」 「だよなぁ。オイ、有り金だしな! そうすりゃ、命だけは助けてやるぜぇ? 命だけはな」 「げへへへ、おめぇ、こんな貧相なガキが好みなのかよぅ? へへ」 その言葉と共に、下卑た笑みを浮かべていた盗賊が一人、後方へと吹っ飛び、地面に落下。 そのまま十数メートルほど転がって動かなくなる。 「「「.........」」」 その様子を目にした盗賊たちが、見事なまでに静まりかえった。 「錬金術師って、魔法を使えるんですよ? 知りませんでした?」 そう言って微笑む私に、我に返った盗賊たちが一斉に武器を構える。 「お、おい! 一斉にかかれ! 集中を邪魔すれば魔法は使えねぇはずだ!」 「考え方は悪くないですが、私、剣も使えるんですよね。『 そもそも速度が違う。 走っている速度を見れば、襲おうなんて思わないはずだけどなぁ。 少し頭が良ければ。 ま、頭が良ければ盗賊になんかならないか。 一斉に襲いかかってきた盗賊たちの背後に回り、数人斬り斃しながら、『 そして、僅かな時間で人数が半分以下になる盗賊たち。 その時点でやっと慌て始めた盗賊が声を上げた。 「ま、待て! 待ってくれ! 取引、取引しようぜ!」 その言葉に、私は一旦、動きを止める。 「取引?」 「ああ! 俺たちは頼まれただけなんだ! 見逃してくれ!」 私からジリジリと距離を取りつつ、そんな勝手な事を言う盗賊に対し、私は首を振る。 「それは取引じゃないですね。私にメリットがありません」 「い、依頼主を教える! 商人、商人だった!」 「それもどうでも良いです。あなたたちの証言が、その商人を捕まえるのに役に立つとも思えませんし」 怪しい人物を雇うのであれば、ある程度の対策ぐらいはしているはず。 普通の商人と盗賊。 互いの証言を聞いて、どちらが信用されるかなんて、言うまでも無い。 そもそも、今の状況で私を襲わせる人なんて、一人しかいないよね? 私、そんなに恨みを買っているつもりは無いし。 「な、なら、有り金を全部出す! だから、頼む、見逃してくれ! な?」 「え? なぜ? あなたたちを斃せば、自動的に手に入るのに?」 「「「マジか、この女!?」」」 至極当然の事を言った私の言葉に、盗賊たちは目を剥いて叫び声を上げる。 でも、自分たちは他人から奪っておきながら、自分たちは大丈夫とか都合良すぎるよね、考え方が。 それに、盗賊を見逃すなんて選択肢は、最初から私には存在しない。 「ごめんなさい。“盗賊を見つけたら、確実に駆除すべし”。それがウチの家訓なんです。見逃すと他の人の迷惑になるからって」 仕入れから帰ってくる度に、『今回は何匹駆除した!』とか、自慢話を聞かされたもの。 『何匹』とか、さすがにそれはどうなの? と子供心に思ったものだけど、町を行き来する商人からすれば、盗賊なんて害虫扱いなんだろう。 お父さんも、『商人が必死で稼いでいる物を、楽して横から奪おうなんて、絶対に許さん!』と言ってたし、お父さんみたいに返り討ちにできない知り合いの商人の中には、命を落とした人もいた。 つまり、盗賊の駆除は人助け。 正義は我にあり。 「そんなわけで。――さようなら」 私はニコリと笑って、手を振った。 有り金を全部出す、とか言っていたわりに、彼らは大したお金も持っていなかった。 ――いや、別にお金目当てに返り討ちにしたわけじゃないよ? ここに盗賊なんて居着いちゃったら、ダルナさんとかが被害に遭うかもしれないから、しっかりと退治しただけで。 「でもさすがに、全員分集めても、数千レアしか無いとは......ちょっと予想外」 一応、埋葬してあげたのに、その手間賃にもならない。 ま、埋葬したのは盗賊のためというよりも、街道を通る人が死体を見ると気分が悪いだろうから、なんだけどね。 お金の他には、土に還らない武器類も回収してるけど、このへんはジズドさんにプレゼントかな? あんまり品質も良くないし。 「後は......何も残ってないね。問題なし」 処理のし忘れが無い事を確認して、私は再び走り出す。 そしてすぐに見えてくる村の入口。 そこには、でっぷりと太った商人が立っていた。 直接会ったことは無いけど、アイリスさんたちから聞いていた外見の情報からすれば、たぶんこれが件のヨク・バールという商人だろう。 その商人は村に入ってきた私を見つけると、ドタドタと走って近寄ってきて、慌てたように声を掛けてきたが、その言葉の途中で戸惑いを見せた。 「大丈夫......です、か?」 「何がですか?」 「あ、いえ、ウチの商会の者が、この街道で盗賊を見かけたと話していましたので......」 「あぁ、それでわざわざ? 面識も無い私のために? これはこれは、ご丁寧にありがとうございます」 まったく怪我をした様子も無く、ニッコリと笑って丁寧に頭を下げる私に、商人は一瞬だけ苦い表情を浮かべたが、すぐに笑みを浮かべた。 「いえいえ、杞憂だったようで。確か、この村の錬金術師の方ですよね?」 「はい、サラサと言います。そちらは? 商人さんが滞在しているとは聞いていますが」 「これは申し遅れました。私はヨク・バールと申します。どうぞヨクとお呼びください」 「ヨクさんですね。よろしくお願いします」 「こちらこそ。それで、サラサさんは盗賊に襲われたりは......?」 「えぇ、いましたね。お引き取り頂きましたが」 アッサリと答えた私に、ヨクは困惑したような表情を浮かべる。 「はぁ......? 盗賊が、素直に?」 私がそう言って微笑むと、ヨクの表情が歪んだ。 「あ、あは、あはは......そ、そうですか。いやー、助かりますね。街道を荒らす盗賊は本当に困りますからね」 「まったくですね」 「「......あははは」」 とても乾いた笑いが、周囲に響く。 自分でやっておきながら、この面の皮の厚さはなかなか。 まぁ、動揺が見えているあたり、小物っぽいけど。 「......ところで、サラサさんは、氷牙コウモリの牙などはご入り用ではありませんか? 少し必要性があって、最近、買い集めているのですが、もし足りないようでしたら、融通致しますが」 「そうですね......もう少しだけ在庫はありますが、無くなったらその時はお願いします」 その言葉を聞いた途端、ヨクの表情が明らかに輝いた。 この状況でなお、諦めていないあたり、粘り強いと評するべきか、引き際を見極められないと評するべきか。 でも、手を引かないのは、私からすれば都合が良い。 今手を引かれると、せっかくレオノーラさんと考えた作戦が無駄になっちゃうからね。 この様子なら、新しい餌を撒く必要も無いかな? 「おぉ、そうですか。その時は是非、お声がけください」 「えぇ、その時はお願いします」 ――さて。彼はあと何日、耐えられるかな?

Mr. Leonora and Mischief - too, the day after we finished our business talks. I had a late breakfast made for me by Mr. Filione and was leaving the town of South Strag. I ran lightly down the road to the village after everything went well. But like watering my feelings like that, it happened. A place called Almost to the Village. About a dozen men suddenly appeared from the bushes on the side of the street and stood in front of me. "Oh, hey! Stop!" The men with weapons called me out like that, and I stopped suddenly leaving a trail on the ground with a chill. The men exhale like a little relieved. "Okay, all right, that's good." My hips are subtly drawn, probably because my running speed was faster than that of a lined horse. ... Well, to be honest, I could have stuck it out like that, but it came out because of me. I need to stop you. It's pathetic, isn't it? Not a lot of people... huffy. "So, what can I do for you? "It's not 'for something'. Look at this situation, don't you see? Ah?" "I didn't know you were such a kid! "Isn't he an easy job! You're relieved that I'm small, men suddenly worried. No, are we good with the bandits now? "You have the guts to attack an alchemist, don't you? "Ha! What do you mean, what's wrong with your head? "Gahahaha, even nobles are just prey if they don't have escorts, right? I'll warn you for once, but what a retarded word it returned. Sigh leaks unexpectedly at that word without thinking too much. "Ha..., the perception of a common alchemist is like that, after all" "Huh? What are you talking about, this kid?" "Gahahaha, it doesn't mean anything exactly - huh? "Right. Oi, there's money! Well, I'll save your life, won't I? Only life." "Hehe, hey, do you like such a poor kid? hehe." With that word, one bandit, who had a humble grin, blew to the rear and fell to the ground. Keep rolling for about a dozen meters and stop moving. ......... The bandits, who saw how it was, calmed down by the brilliance. "Alchemists can use magic, right? Didn't you know? That's how I smile, and the bandits who returned to me lay their weapons in unison. "Oh, hey! Him all at once! You can't use magic if you disturb the concentration! "It's not a bad idea, but me, you can use a sword, too, right?" Force Barrett ". And then, while you're moving, you can use magic." Different speeds in the first place. If you look at the speed you're running, you're not going to think of attacking me. If you're a little smart. If you're smart, you can be a bandit. He turns behind the bandits who have been attacked simultaneously, slashing a few, and also blowing them up with "Force Barrett". And the bandits, whose numbers will be less than half in just a few hours. At that point a bandit finally started panicking raised his voice. "Ma, wait! Wait for me! Deal, deal! To that word, I will once and for all stop moving. "Deal?" "Oh! We were just asked! Miss me! I shake my head against bandits who say such unsolicited things while distancing themselves from me. "That's not a deal, is it? It doesn't benefit me." "Yes, I'll tell my client! He was a merchant, a merchant! "It doesn't matter either. I don't think your testimony will help us catch the merchant." If you're hiring suspicious people, you should be taking some action. Ordinary merchants and bandits. There's no need to listen to each other's testimony and tell me which one is to be trusted. In the first place, there's only one person who makes me attack you in the present situation, right? I'm not buying that much resentment. "Well, then I'll give you all the money! So, please, miss me! Huh?" "Huh? Why? If I kill you, I'll get it automatically. "" "Seriously, this woman!?" " The bandits peel their eyes and scream at my words, which I utterly deserve. But while we keep ourselves from others, we're too convenient to be okay or something, you know, thinking. Besides, the option of missing a bandit doesn't exist to me from the start. "I'm sorry.“ If you find a bandit, make sure you get rid of it. "That's our homework. 'Cause if you miss it, it'll be a nuisance to others." Every time I come back from a purchase, I say, 'How many have I exterminated this time!' Or something they bragged about. 'How many' or whatever, just what about that? And it's what I thought to my child, but from the merchants who come and go from town, bandits are pest treatments. Your father also said, 'I will never allow merchants to take what they are desperately earning from the side with pleasure!' He said, 'and some of the merchants I knew who couldn't return the favor, like your father, lost their lives. I mean, exterminating bandits is helping people. Justice is in me. "That's why. - Goodbye." I laughed nicely and waved. They didn't even have a lot of money, like they said, giving out all the money. - No, I didn't pay you back for the money, did I? If a bandit arrives here, Mr. D'Arna or something could be harmed, so I just securely exorcised him. "But just so you know, collecting all the pieces, I didn't know it was only a few thousand rare... kinda unexpected" For once, I buried you, but it won't even be that fee. Ma, it's not so much for the bandits that I buried it, because people who go through the streets will feel bad when they see the bodies, so what? Besides the money, I collect weapons that don't return to the soil, but is this a gift for Mr. Zizd? Not very good quality, either. "Later... you have nothing left. No problem." Make sure you don't forget to process it, and I'll run out again. And the entrance to the village, which you will soon see. There stood a plenty of fat merchants. I've never met him in person, but from what Mr. Iris and the others had told me about his appearance, maybe this is the merchant named Yorke Barr in the matter. The merchant came into the village. When he found me, he ran up to me with a dota and called out like he was in a panic, but showed confusion in the middle of the word. "It's okay......, is it? "What is it? "Oh, no, because a man from our Chamber of Commerce told me he saw a bandit on this street..." "Oh, so you went out of your way? I don't even know you. For me? Thank you for your kindness." There was no appearance of injury at all, and the merchant gave me a bitter look only for a moment, laughing nicely and carefully bowing his head, but immediately a grin. "No, it seemed worrying. Sure, you're an alchemist in this village, aren't you? "Yes, I say Sarasa. I hear the merchants are staying." "I'm late for this. My name is Yoku Bahr. Go ahead, call me Yoko." "You're Mr. Yorke. Best regards," "Welcome. So, did Sarasa get attacked by a bandit...? "Yeah, you were there. You picked it up." York gives me a bewildered look when I say clam. "Huh...? A bandit, honestly? When I said that and smiled, the look on Yorke's face distorted. "Oh, haha... Oh, really? No, that's helpful. The bandits who vandalize the streets are in real trouble." "Absolutely." ""... haha "" A very dry laugh echoes around. The skin thickness on this surface is pretty good while I do it myself. Well, around the sight of agitation, it looks like a trinket. "... By the way, Sarasa, aren't ice tooth bat fangs or something like that a favor? I need it a little bit, and I've been collecting it lately, but if it doesn't seem to be enough, I can accommodate it." "Right...... just a little more in stock, but when it's gone, please do so" As soon as I heard the word, the look on Yorke's face clearly shone. In this situation, should I rate it as tenacious or not discernible if I have not given up? But not taking a hand is convenient from me. If you get caught now, the operation you thought of as Mr. Leonora will be wasted. If it's like this, don't you need to sprinkle some new bait? "Oh, really? Speak up then." "Yeah, then, please" - Well. How many more days can he stand?

必要な素材が集まったことで、私は翌日から急いで まずは防寒着。 羊の毛皮に下処理を施して防寒性能を高めた後、それをコートの形に裁断。 縫製作業の方はロレアちゃんやケイトさんたちに任せ、私は次の作業に移る。 氷上でも滑らず、雪上でも足が埋まらない“ 薄手で指の動きを妨げないのに氷点下でもまったく冷たくない“ 防風、防眩機能付きの“ それらが完成したら、縫い終わったコートにも暖房の機能などを追加して。 すべてを装備すれば、息すら凍るような場所でも普通に活動できるようになる。 「それから、忘れちゃいけない日焼け止め。女の子だからね、私たち」 雪山って、想像以上に太陽の照り返しが強いんだよね。 程度ならまだしも、雪山で何日も過ごしていると、日焼け止めなしでは顔が真っ赤になるし、 「戦闘があることを考えれば、“ 防寒だけを考えるなら、防寒着のフードをすっぽりと被ってしまえば良いんだけど、そうすると視界が狭まるので何かに襲われたときに危険。 なら視界を遮らずに寒さから耳を守れる。 なのでそれだけではなく、吹雪の中でも風の音を軽減し、周囲の音を聞こえやすくする機能まで付いている。 これの有無によって、危険度はかなり違うだろう。 「天候が荒れたときのこと考えれば、フローティング・テントを守る“ドーム・シェルター”も必要だし、寒さから身を守る“防寒寝袋”......あぁ、フローティング・テント自体の暖房性能も高めないと......」 色々なことを想定すると、必要な道具なんていくらでも思い浮かんでしまう。 だからといって、それらをすべて作るわけにもいかず、取捨選択。 必須な物から作っていき、余った素材でできる限りの危険に備える。 それでもレオノーラさんのおかげで、 それからの数日間、私は昼夜問わず仕事を続け、持ち運べる限界ぐらいまで錬成作業に邁進したのだった。 ◇ ◇ ◇ その日、私たはお店の前に集合していた。 身に着けているのは、ここ数日で私が作製した、防寒装備一式。 私の錬成でよりフワフワ、モコモコ、真っ白で綺麗になった羊の毛皮で作られた防寒着を着た私たちは、ある意味、羊よりも羊っぽい感じ? 染色しても良かったんだけど、私たちが行くのは冬山。 が生息している辺りに雪が積もっていることは確実。 カモフラージュのためには、真っ白の方が都合が良いのだ。 唯一、白くないのはクルミ。 。人間の耐寒能力とは比較にならない。 今回クルミは、ロレアちゃんの護衛として同行することになっている――たぶん、必要ないけど、置いてもいけないしね。 主な役割はカイロ代わりかな? 持っているとかなり温かいしね。 「さて、皆さん、準備は良いですか?」 「あぁ、大丈夫だ」 「いつでも」 「はい!」 「がう!」 みんなから揃って、良い返事が返ってくる。 「それじゃ、出発! ――の前に、一応確認。ロレアちゃんはダルナさんたちに挨拶してきたんだよね?」 「はい、もちろんです。余裕をみて『順調でも一ヶ月、状況次第では春まで留守にする』と伝えておきました!」 「用意周到すぎる!? いや、さすがに春まで山で過ごすようなことは......たぶんないよ?」 言葉の途中で自信を失った私を見て、ケイトさんが笑う。 「そこはもうちょっと断言しましょうよ、店長さん」 「可能性は低いですが、ゼロじゃないですから。計画的に遭難する人なんていませんし」 計画的なら、それは遭難じゃない。 ただの冬山キャンプである。 「そもそも、そんなこと言って、ダルナさんは何も言わなかったの?」 「ちょっとは驚いてましたけど、サラサさんと一緒なら大丈夫だろう、と」 ダルナさんの信頼が重い! いや確かに、万が一の際には春まで生き残れるだけの準備はしてきているけれども! そのために何日も夜更かししたけれども! 「まぁ、大丈夫だろう。なんと言っても今回はノルドがいないのだからな!」 そうどこか嬉しそうに断言したアイリスさんだったが、考えるように暫し沈黙、私の方を窺う。 「......大丈夫、だよな?」 「大丈夫です! ノルドさんと一緒にしないでください。私は安全優先、その次に研究ですから!」 安全と研究成果、そのギリギリを攻めたりはしない。 特に、自分一人じゃないときには。 「心配しなくても大丈夫よ。だって、ロレアちゃんがいるんだから。店長さんも無茶はしないわよ」 「ふむ、それもそうか。ロレアは私たちの命綱だな」 「だから、大丈夫ですって!」 が私のことをどう思っているのか、小一時間、お話をしたいところ。 まぁ、あの遭難を経験して、研究者やそれに類する人たちが微妙に信じられなくなったんだろうけど。 それもこれも全部、ノルドさんの所為。 私の普段の行いは、きっと関係ない。 とロレアちゃんの作る美味しい料理のおかげで、あまりストレスを感じることもなく歩き続けた私たちは、森を抜けて山にまで到達していた。 「ここまでは順調ね」 「はい。ですがまだまだ序の口ですよ」 「ここからが本番か」 「いえ、まだ中盤。本番はこの山を越えて、次の山、本格的な雪山に入ってからですね」 今回の目的地はサラマンダーが生息していた――いや、現時点では再び生息するようになった山の、更に北に位置している。 冬なので、この辺りの山にも少しは雪があるけれど、それは本当に『ある』というレベル。少しばかり足下が緩く、歩きにくいだけでしかない。 天候次第で雪が積もることもあるけれど、今回行く場所のように、秋口から初夏近くまで雪に閉ざされるような所とは根本的に違う。 「ロレアちゃんは大丈夫かな?」 「はい、これぐらいなら全然問題ありません。私も鍛えてますから!」 そうなんだよね。 実家は雑貨屋のロレアちゃんだけど、農家のご近所さんを手伝って農作物を貰うことも間々あったため、都会育ちの萌やしっ子とは体力が違う。 ウチのお店で働くようになって農作業とは距離を置いたけど、最近は魔法の練習も含め、アイリスさんたちと一緒にトレーニングをしているため、体力が衰えるどころかより鍛えられ、なかなかの健康優良児っぷりを発揮している。 その頑健さは、ここに至るまで一度も弱音を口にしていないほど。 もちろん、ロレアちゃんの我慢強さがあってこそだとは思うけどね。 「そっか、なら良いんだけど、キツくなったら遠慮せずに言うこと。無理しても、後が続かないからね」 「解りました」 「アイリスさんたちは......大丈夫ですよね?」 「店長さん、そんな風に言われたら、無理とは言えないわよ」 確認する私に、ケイトさんは苦笑を浮かべる。 確かに訊き方が悪かったかもしれないけど、二人に関しては普通に問題なさそうに見えただけで、他意はない。 「ケイトさんたちは時々魔物と戦っていますし、無理なら無理と言ってくれて良いんですよ? 持っている荷物の量も、ロレアちゃんより多いですし」 「そうです。私は歩いてただけですから!」 「気遣いはありがたいが、今のところは問題ないな」 「あんまり敵も出てこないし。――夕飯のおかずが一品増える程度、だったわね」 温かい時季に比べると、魔物の活動も低下しているのか、サラマンダーを斃しに行った時と比較すれば、明らかにその遭遇数は少なかった。 たまに出てきても大して強い魔物ではなく、私が手を出すまでもなくアイリスさんたちによってあっさり斃され、可食部はロレアちゃんの手により美味しい夕食に、それ以外は私の手により、素材へと変わっている。 「それじゃ、山に入りますが......無理は禁物です。少しでもキツいと思ったら、必ず言ってください」 再度念を押し、私たちは山へと足を踏み入れた。

Having gathered the necessary materials, I hurried from the next day to make smelters (artifacts). Cold proof clothing first. After undergoing a lower treatment on sheep's fur for improved cold protection, cut it into the shape of a coat. I'll leave the sewing work to Lorea and Kate and I'll move on to the next one. “Snow Mountain Shoes (Snow Boots)" that don't slip on ice or fill your feet on snow. "Snow Mountain Gloves (Snow Gloves)" that are thin and do not interfere with finger movement but are not cold at all even under freezing. “Snow Mountain Eyeglasses (Snow Glass)" with anti-wind and anti-glare features. Once they're done, add heating features and more to your sewn coat. Equipped with everything, you'll be able to operate normally even in places where your breath freezes. "Then sunscreen that you shouldn't forget. Because it's a girl, us." Snow Mountains are more sunlit back than you can imagine. Even if it's about a day, after spending many days in Snow Mountain, my face turns bright red without sunscreen, and without Snow Mountain Eyeglasses (Snow Glass), I even have vision problems. "Given the battle, earmuffs are a must, too." If you only want to think about cold protection, you should wear a hood of cold protection softly, but then it narrows your vision, so it's dangerous when something strikes you. In that regard, earmuffs protect your ears from the cold without blocking your vision. Of course, it is not only a smelter (artifact), but it even has the ability to reduce the sound of the wind and make it easier to hear the surrounding sounds even during snowstorms. Depending on the presence or absence of this, the degree of danger would vary considerably. "When we think about rough weather, we need a" dome shelter ”to protect our floating tents, and a" cold sleeping bag "to protect ourselves from the cold... Oh, we need to increase the heating performance of our floating tents themselves..." Assuming all sorts of things, I think of as many tools as I need. That's why you can't make them all, round-up choices. Make from essential items and prepare for all possible hazards with extra materials. Still, thanks to Mr. Leonora, the number of smelters (artifacts) and smelters (potions) is quite high. In the days that followed, I continued to work day and night and moved on to the smelting process to the limit I could carry. ◇ ◇ ◇ That day, the four of us were assembling in front of the store. What you're wearing is a set of cold gear that I've made in the last few days. Wearing cold clothes made of sheep fur that became more fuzzy, mockingbird, bright white and clean in my smell, we feel more like sheep in a way? You could have stained it, but what we're going to is Winter Mountain. There is a certain amount of snow near your destination, especially around where the ski giant bug Snow Glide Centipede lives. For camouflage, white is more convenient. The only thing that's not white is walnuts. Although there is no cold gear, there is an alchemy organism (homunculus), which is not comparable to human cold resistance. This time the walnut is supposed to accompany Lorea as an escort - probably not necessary, but you can't leave it. Is the main role replacing Cairo? It's pretty warm to have. "Now, gentlemen, are you ready? "Oh, I'm fine" "Anytime." "Yes!" "Ha! We all get it together and get a good reply. "Well, let's go! - Before, make sure. Lorea's been saying hello to Mr. Darna and the others, hasn't she? "Yes, of course. I told him at my leisure, 'I'll be away for a month, even if things go well, until spring, depending on the situation'! "Too prepared!? No, just like spending time in the mountains until spring... probably not? Seeing me lose confidence in the middle of the word, Mr. Kate laughs. "Let me assure you a little more there, Mr. Store Manager" "It's unlikely, because it's not zero. There's no one who's going to get wrecked." If it's planned, it's not a wreck. It's just a winter mountain camp. "In the first place, you said that, and Mr. Darna didn't say anything? "I was a little surprised, but with Mr. Sarasa, you'd be fine," he said. Mr. Darna's trust is heavy! No, sure, though I'm getting ready to just survive until spring in case! Though I stayed up for days for that! "Well, you'll be fine. Whatever you say, there's no Nord this time! Yes, it was Mr. Iris, who somewhere happily assured me, but as I think about it, he is temporarily silent, peering at me. "... it's okay, right? "It's okay! Please don't stay with Mr. Nord. Because I'm a safety priority, and then research! Safety and research results, we will not attack that critical. Especially when you're not alone. "You don't have to worry about it. Because there's Lorea. The manager won't be impotent either." "Hmm, so is that. Lorea is our lifeline." "So, it's okay! I just want to talk to you for an hour about what you two think of me. Well, I guess I went through that shipwreck and the researchers and similar people subtly became incredible. That and all of this, Mr. Nord's fault. My usual behavior, I'm sure, doesn't matter. A few days after leaving the house, thanks to the well-prepared smelters (artifacts) and the delicious dishes made by Lorea, we continued to walk without much stress through the woods to reach the mountains. "So far so good." "Yes, but it's still the beginning." "Is this where it comes from?" "No, still in the middle. The real deal is after you cross this mountain and enter the next mountain, the real Snow Mountain." This time the destination was inhabited by salamanders - no, it is further north of the mountain, which became inhabited again at the moment. It's winter, so there's a little snow in the mountains around here too, but that's really the level of 'there is'. It's just a little loose underfoot and it's just hard to walk. Sometimes snow builds up depending on the weather, but it's fundamentally different from where it closes to snow from the autumn entrance until near early summer, like where we're going this time. "Is Lorea okay? "Yes, about this would be perfectly fine. Because I'm working out too! That's right. My parents are Lorea, the grocery store, but my strength is not the same as that of an urban-grown adorable child, because I sometimes helped my farmer's neighbor get crops. I started working in our store and distanced myself from farm work, but lately I have been training with Iris and the others, including magical practice, so I am more trained than I would be if I were weakened, and show quite a lot of good health and childhood. The stubbornness is so much that I haven't once spoken a weak voice to get here. Of course, I think it's only because of Lorea's patience. "Well, that would be nice, but don't hesitate to say it when it gets tight. If you can't do it, it won't last." "Understood." "Mr. Iris and the others are... okay, right? "Mr. Store Manager, if you say so, you can't say you can't." Kate smiles bitterly at me to confirm. Sure, I may have asked you badly, but it just didn't usually seem like a problem when it came to the two of us, and I have no other intentions. "Kate and I fight demons sometimes, and if you can't, you can tell me you can't, right? I have more luggage than Lorea." "That's right. Because I was just walking! "I appreciate your concern, but so far, no problem." "There aren't many enemies out there. - That was the extent to which there was one more dish for dinner." Compared to the warm season, demonic activity has also declined, and if compared to when we went to kill Salamander, the number of encounters was obviously low. It is not a very strong demon even when it comes out occasionally, it is lightly shot by Iris and the edible part is turned into ingredients at Lorea's hands for a more delicious dinner, otherwise by my hands. "Then we'll go into the mountains... but it's forbidden to impose. If you think it's a little tight, be sure to say it" Pushing the precaution again, we set foot in the mountains.

最初はほんのりと、桃色に光っているだけだった培養容器。 それが、魔力を注ぐにつれてどんどんと光量を増していき、桃色だった光が白く輝き始め、今では直視できないほど。 「うーみゅ。さすがはサラマンダー&狂乱状態のヘル・フレイム・グリズリー。容量がハンパないね!」 魔力が無駄にならなくて嬉しいような、そうでもないような。 目を瞑っていても感じられる、瞼の上から刺すように輝く強い光。 これじゃ、明るくなっているかどうか、判断もできない。 「こうなったら、注げるだけ、注いでおこう」 の作製はやり直しがきかない。 私は下を向いてぎゅっと目を瞑り、魔力を絞り出していく。 その状態でも感じる眩しさを耐えながら、続けることしばらく。 「――限、界っ!」 私は培養容器から手を離し、その場に倒れ込むように尻餅をついた。 薄く目を開けてみれば、輝く培養容器が部屋全体を明るく照らしていたが、数十秒ほどでその光も収まり、やがてほんのりと薄桃色の光を放つだけになった。 「成功、したのかな?」 地面に腰を下ろしたまま容器を見上げてみるけど、その中には何もなく、時折小さな泡が生まれては、水面に向かって上昇している様子が見えるだけ。 水が濁るとか、光が消えるとか、本に載っていた失敗事例には当てはまらないけど、成功したと言えるだけの確信も持てない。 「......まぁ、様子を見るしかないか」 失敗していなければ、あとは時々魔力を注ぐだけでほどで 逆にそれだけの期間で完成しなければ、失敗。 投入した高価な素材は無駄になり、アイリスさんたちの保険目は水泡に帰す。 ――いや、むしろ水泡のまま? 文字通り水になっているだけに。 目の保険は......明日以降だね。さすがに今日は、もう魔力は使えないから」 私はコロンと後ろに倒れると、そのまま床に寝転がる。 サラマンダーを相手にしたときのように、意識を失うほどじゃないけど、今回もほぼ限界まで魔力を消費したので、正直、座っているのも辛かったのだ。 季節は冬に近付き、床がちょっと冷たいけど、多少魔力が回復するまでは、しばらくこのままで休もう。 そのまま数十分ほど休んでいると――。 コンコン。 「サラサさん、お夕飯ができましたよ」 ノックの音が響き、ロレアちゃんの声が聞こえてきた。 「ありがとー。ゴメン、先に食べてて。今ちょっと、動けないから」 多少は回復したけど、動くのはまだ辛い。 私がそう応えると、少し焦ったようなロレアちゃんの声が返ってきた。 「動けない? 開けても良いですか!?」 「いいよ~」 「失礼します――えっと......」 「.........」 工房に入ってきたロレアちゃんと、床に転がったまま見上げる私の目がバッチリと合い、互いに無言になる私たち。 でもロレアちゃんは比較的すぐに立ち直ると、私の横にしゃがみ込んで、額に手を当ててきた。 「......サラサさん、大丈夫ですか?」 「大丈夫、大丈夫。ちょっと魔力を使いすぎただけ。病気じゃないから。休んでいたら、動けるようになるよ」 「そうですか。なら良かったです。あまり無理をしないでくださいね? ――これが、 「それになる予定の液体、ね。成功していれば」 薄ぼんやりと光を放つ培養容器はとても目立つ。 それに目を留めたロレアちゃんは、立ち上がって容器を覗き込むと、不思議そうに小首を傾げた。 「......何も、ないように見えますが」 「まだ始まったばかりだからね。変化が判るまでには一日ぐらいはかかるよ」 「そうですか......。サラサさん、寒くないですか?」 「ちょっと寒いね。もう冬だね。季節は移ろうね」 私がこの村に来たときは春だったのに、時間が経つのは早いものだね。 「そんな暢気な。風邪引きますよ? 手を貸せば動けそうですか?」 「うん、なんとか?」 「では移動しましょう。あまり冷えると、身体に良くないです」 「ありがとう。お世話かけます」 差し出されたロレアちゃんの手を握り返し、私は立ち上がった。 ◇ ◇ ◇ 食堂では、アイリスさんとケイトさんがすでに揃って待っていた。 テーブルには料理も並べられ、私が席に着くのを待つばかりの状態である。 「すみません、お待たせしました」 「いや、それは問題ないのだが......店長殿、どうかしたのか?」 ロレアちゃんの手を借りてやってきた私の姿を見て、アイリスさんたちが心配そうに腰を浮かそうとするが、私は手を上げてそんな二人を制し、どっこいしょと椅子に腰を下ろす。 「ふぅ、ありがとう、ロレアちゃん」 「いえ、大したことでは」 ロレアちゃんが微笑んで、自分の席に着いたところで、ケイトさんが改めて訊ねてきた。 「それで、店長さんはどうしたの? 体調に問題があるわけじゃないのよね?」 「はい。これは、単なる魔力切れです」 「店長さんが魔力切れ? を作るだけならそこまでじゃない......と思います。ただ、できるだけ多く魔力をつぎ込んだ方が良いと書いてあったので――」 「あるだけ全部、つぎ込んじゃった、と?」 「そーゆーことです」 私が『うむ』と頷くと、三人からやや呆れたような視線が。 でも“多い方が良い”と書いてあったら、限界までやるよね? 試すよね? 錬金術師なら! むしろ気絶しなかっただけ、節制したほうじゃない? 「......まぁ、サラサさんですしね」 「そうだな。錬金術に関しては、言うだけ無駄か」 「そうね。ご飯、食べましょ」 揃ってため息をつき、食事を始めた三人に、少々釈然としないものを感じる。 でも、あえて何も言わず私も食事を......あ、美味しい。 さすがロレアちゃん。 「お二人は今日、遠征の準備をしていたんですよね?」 「そうだな。といっても、必要なのは保存食の注文ぐらいだが」 そう言ったアイリスさんに、ロレアちゃんがニコリと微笑む。 「いつもご利用ありがとうございます」 「はは、この村で注文できるのは、あそこだけだからな。手ごろな価格で提供してくれて、むしろ助かっているぐらいだ」 「ホントよね。お店なんてあそこしかないんだから、もっと高くても良さそうなのに」 「あ、それは私も思ったかな。サウス・ストラグとこの村の距離を考えたら、結構ギリギリに近くない?」 私もお店を経営するようになって、以前よりも商売に詳しくなった。 そんな私から見ても、ダルナさんの雑貨屋さんの商品価格はかなり安い。 もちろん、サウス・ストラグでの販売価格に比べれば高いんだけど、ダルナさんが扱うのは基本的に出来上がっている製品。この村の規模から考えられる仕入れ量では、仕入れ値の方も一般の小売りとほとんど変わらないだろう。 私のように原材料を仕入れて製品にするのと違い、利幅は非常に薄く、運搬コストとその道中のリスク、不良在庫のコストなどを加味すると、一朝事あらば潰れかねないんじゃないだろうか? 「そうですね、はっきりとは言いませんが、楽ではないみたいですね。ただ、あまり高くすると村の人では買えなくなりますし、採集者の方も村に居着かなくなってしまいますから......」 一種、村に対する貢献、みたいなものらしい。 ただし、そのあたりは村長さんも考えているようで(もしかしたら、考えたのはエリンさんかも?)、村で生産される農作物の売買はダルナさんがすべて扱い、それによる利益で何とかなっている部分も大きいとか。 「小さい村だからこその助け合い、か」 「自由競争だけじゃ、上手くいかないわよねぇ、やっぱり」 「錬金術師も、そういうところはありますしね」 を確保しておいたり、不良在庫になりそうな素材でも、持ち込まれれば買い取ったり。 それによって採集者という仕組みを支え、万が一の時に備える。 だからこそ、ルールを無視するような商人の存在は困るのだ。 その被害を最初に受けるのは、力のない人なのだから。 あ、ちなみにこのへんのルールについては、学校で教えてもらえます。 などの販売価格みたいな半強制のルールじゃないけど、破ったら他の錬金術師から睨まれるので、普通は守る。 昔は『暗黙』だったり、『師匠から弟子に』だったりしたみたいだけど、どこぞの偉い人が『曖昧なのは気に入らない。きっちり教えておけ』と言ったとか、言わないとか。 誰かは知らないけれど、解りやすいのは良いよね? 「あ、そういえば、店長殿。厚かましいお願いではあるが、前回使ったフローティング・テント、借りることはできるだろうか?」 「構いませんよ。私は使う予定がないですし、売るわけにもいきませんからね」 むしろ、当然持っていくと思っていた。 普段、泊まりの仕事などしないアイリスさんたちは、フローティング・テントはもちろん、普通のテントすら持っていない。 持っていかなければ、毛布にくるまって地面で寝ることになっちゃうもの。 数日程度ならともかく、長期の調査でそんな状況じゃ、体調を崩すこと請け合い。 二人が遠慮するようなら、強引にでも持たせただろう。 「助かるわ。あのテントの有用性は、前回、本当に実感したから。下手したら安宿に泊まるよりも快適よね」 「温度管理、虫除けまで付いているからなぁ。しかも今回は、保存食の種類も増えていたし......あれって、店長殿の功績だよな?」 を供給したのは私ですが、むしろ功績はエリンさんにある、というべきでしょうね」 アイリスさんにそう答えつつ、私は数週間ほど前の事を思い出していた。

At first, the culture container was just slightly, glowing peachy. That grew more and more light as I poured out my magic, and the light that was peachy began to shine white, so much so that I can't now look directly at it. "Uh-huh. That's Hell Flame Grizzly in Salamander & Frenzy. You don't have the capacity to hammer it! It's like I'm glad my magic isn't wasted, it's like I'm not. A strong light that shines like a prick from above your eyelid, felt even as you meditate on your eyes. Now I can't even tell if it's brighter. "When this happens, just pour it, let's pour it" The magic heals, but the creation of Alchemy Creatures (Homunculus) cannot be redone. I look down and meditate my eyes, squeezing out my magic. To go on for a while, enduring the glare you feel even in that state. "- Limits, boundaries! I took my hands off the culture container and buttocks to fall into the spot. If I opened my eyes lightly, the glowing culture container would have illuminated the entire room brightly, but in a matter of seconds or so, its light would also subside, eventually only slightly peachy. "Success, did you? I try to look up at the container with my hips down to the ground, but there's nothing in it, and if a small bubble is born from time to time, I just see it rising towards the water. It doesn't apply to cases of failure that were in the book when water clouds, light goes out, but I'm also not sure I can just say I succeeded. "... well, I'll just have to see how it goes" If you haven't failed, all you have to do is instill some magic at times, and the alchemy (homunculus) should be complete in about three days. Conversely, if you don't complete it in that much time, you fail. The expensive material you put in will be wasted, and Mr. Iris' insurance, the first, will be attributed to blisters. - No, rather remain blisters? It's literally just water. "The second insurance policy is... after tomorrow. Exactly today, because we can't use magic anymore." When I fall back with Cologne, I fall asleep on the floor. It wasn't as unconscious as it was when I dealt with Salamander, but this time I consumed magic almost to the limit, so honestly, it was also hard to sit down. The season is approaching winter and the floors are a little cold, but until some magic is restored, let's stay put for a while. If you're resting for a few dozen or so minutes as it is... Concon. "Mr. Sarasa, dinner is ready." I heard a knock, and I heard Lorea. "Thanks. Sorry, eat first. I can't move right now." I recovered somewhat, but it's still hard to move. When I responded that way, Lorea's voice returned a little rushed. "Can't you move? Can I open it?!?" "Fine." "Excuse me - er..." ......... Lorea, who came into the workshop, and us, whose eyes fit perfectly and become silent with each other as we roll up onto the floor. But when Lorea recovered relatively quickly, she crouched beside me and put her hand on her forehead. "... Mr. Sarasa, are you okay? "It's okay, it's okay. I just used a little too much magic. Because I'm not sick. If you rest, you'll be able to move." "Really? Then it's good. Don't push me too hard, do you? - Is this alchemy? "The liquid that's going to be that, right? If you're successful." The thin blur and light emitting culture containers are very noticeable. Lorea, who caught an eye on it, stood up and glanced into the container, tilting her little nipple wonderfully. "... nothing, it looks like there isn't" "Because you're just getting started. It'll take about a day to figure out what's going on." "Really...... Isn't it cold, Mr. Sarasa? "It's a little cold. It's winter. Let's move the season." It was spring when I came to this village, but time is fast. "Such a fluent. You're gonna catch a cold, right? Do you think I can move if I give you a hand? "Yeah, manage? "Then let's move. If it's too cold, it's not good for you." "Thanks, I'll take care of you" I shook Lorea's hand back as she was offered, and I stood up. ◇ ◇ ◇ In the dining room, Mr. Iris and Mr. Kate were already waiting for us all. The table is also lined with dishes, just waiting for me to take my seat. "Sorry to keep you waiting" "No, that's not a problem... My Lord Store Manager, what's wrong? I come with Lorea's hand, and look at me, and Mr. Iris and I try to sit back worried, but I raise my hand to control those two, and whisper my hips down to the chair. "Phew, thank you, Lorea" "No, not a big deal" Lorea smiled and when she got to her seat, Kate asked again. "So, what happened to the manager? You're not having problems with your health, are you? "Yes, this is just out of magic" "The manager's out of magic? Making alchemy is so hard." "Oh, no, I don't think that's it if you just make alchemy (homunculus)...... However, it said that you should use as much magic as possible." "As much as I have, I'm stuck," he said? "It's about Soyu." When I nodded 'um', I got a slightly dazed gaze from the three of them. But if it says "more is better," we'll do it to the limit, right? We'll try, won't we? If you're an alchemist! Instead, you just didn't pass out, shouldn't you moderate it? "... well, it's Mr. Sarasa" "Right. When it comes to alchemy, is it useless to just say" "Right. Rice, let's eat." I sigh all together and feel something a little unintelligible about the three of us who started eating. But don't you dare say anything. I'll have a meal too... Ah, delicious. That's Lorea. "You two were preparing for an expedition today, weren't you? "Right. Even so, all we need is to order preserved food." Lorea smiles at Mr. Iris for saying so. "Thank you for your continued use" "Ha, because that's the only place you can order in this village. They offer it at an affordable price, and it's more like it's helping." "Really, right? It's the only place in the store, so it looks like it could be more expensive." "Oh, I guess that's what I thought, too. Given the distance between South Strag and this village, isn't it pretty close to critical? I also became more familiar with business than before when I started running a store. From that point of view, Mr. Darna's grocery store has fairly low product prices. Of course, it's higher than the selling price in South Strag, but what Mr. D'Arna deals with is basically a product he can do. In terms of the amount of purchases that could be made from the size of this village, the purchase value would be little different from that of retail in general. Unlike purchasing raw materials and turning them into products, like me, the margin of interest is very thin, and if you add the cost of transportation and its risks on the road, the cost of defective inventory, etc., it could crumble if something happened all morning? "Right, I'm not sure, but it doesn't seem easy. However, if they are too expensive, they will not be able to be bought by the villagers, and the gatherers will no longer be able to reach the village..." It seems to be kind of, like, a contribution to the village. However, the village chief seems to be thinking around it too (maybe it was Erin who thought about it?), that the trafficking of all the crops produced in the village is handled by Ms D'Arna, and that the part that is managed by the profits from it is also large? "It's a small village that helps each other," "Free competition alone won't work, I knew it." "Alchemists have places like that." Even if there is no profit, keep rarely used smelting drugs (potions), or even materials that are likely to be defective stock, buy them if brought in. thereby supporting the mechanism of gatherer, in case of That is why the existence of merchants that ignore the rules is troubling. The first person to suffer the damage is a powerless person. Oh, by the way, you can teach me about the rules around here at school. It's not a semi-enforced rule like the selling price of smelters (artifacts), but if you break it, other alchemists will stare at you, so you usually stick to it. It used to seem like it was' implicit 'or' from master to disciple ', but I don't like how these great people are' ambiguous. Tell me exactly 'or do I have to tell you? It's good to know someone, but it's easy to understand, isn't it? "Oh, speaking of which, my lord manager. As a thick favor, can I borrow the floating tent I used last time? "I don't mind. I don't plan on using it, and I'm not selling it." Rather, I naturally thought I'd take it. Usually, Iris and the others who don't work overnight don't even have a regular tent, not to mention a floating tent. If you don't take it, you'll be sleeping on the ground wrapped around a blanket. Regardless of the number of days, in such a situation after a long investigation, I agree to get sick. If you two were to shy away, I would have forced you to hold it. "That would help. Because last time, I really realized the usefulness of that tent. If you're bad, it's more comfortable than staying at a cheap place." "It even comes with temperature control and insect repellent. Besides, this time, there were more types of preserved foods... that's the credit of the store manager, right? "Is that it? I'm the one who supplied the smelter, but I think Erin deserves credit." While I was answering that to Mr. Iris, I was remembering about a few weeks ago.

「はーい、ちょっと待っておくれ」 歩いほどのお隣へ向かい声を掛けると、 「何か手伝いが必要かい?」 「えっと、手伝いというか、買い物がしたくて。ベッドとテーブル、椅子、あとは調理器具なんかが欲しいんですが、どこで買えば良いでしょう?」 「そうだねぇ、ベッドなんかは大工、鍋釜は鍛冶師のとこかね。この村で買う人なんか滅多にいないから、頼んで作ってもらうことになるね。雑貨屋はあるが、よく売れる物以外は街への注文だね」 小さい村だとそうだよねぇ。 王都だとそのあたりはまず困らないんだけど。 まぁ、私は見るだけで買うことは無かったけどねっ! 「やっぱりそうですか。場所を教えてもらっても良いですか?」 「そりゃかまわないが......」 エルズさんは少し考えて、ウンと一つ頷く。 「そうだね、アタシが案内してやるから少し家に入って待っといておくれ」 「良いんですか?」 「小さい村だからね。あんたも顔つなぎしておいた方が良いだろう? まかせな!」 「それは助かります! ありがとうございます」 頼もしい笑みを浮かべて胸をドンと叩くエルズさんに、私は頭を下げてお礼を言う。 「良いってこと。ささっ、入んな!」 エルズさんに誘われるまま家に入り、出してくれた温かいお茶を頂く。 よく考えたら、村について水の一杯も飲んでなかったなぁ、と思い出し、ホッと一息ついていると、しばらくしてエルズさんが戻ってきた。 「よし、準備できたよ! 行くかい?」 「あ、はい! お願いします。お茶、ごちそうさまでした」 エルズさんの家を出て、案内されるまま、たどり着いたのは一軒の民家。 周りに木材が置かれ、作業場のような所はあるものの、何か看板が出ていたりはしない。 多分大工さんなんだろうけど、これは案内してもらわないと、ちょっと声を掛けづらいよね。 「ゲベルク爺さん、いるかい?」 そんな私の心情とは関係なく、エルズさんはさっさと家の扉を開けて中に入ってしまった。 私も遠慮がちにその後に続く。 「なんじゃ、エルズか。仕事か? ん? 後ろの嬢ちゃんは初めて見る顔じゃな?」 奥から出てきたのはかなり高齢のお爺さん。 とした動きであまり老いを感じさせない。 にも頑固な職人風で、あんまりコミュニケーションが得意じゃない私としては、一人で話しかけるのはちょっと怖い感じ。 「こっちは、越してきたサラサちゃん。なんと、錬金術師様だよ!」 「おお、あの店かの? それは助かるわい。それで、家の修理か?」 「あ、いえ、それもそのうち頼むかもしれませんが、今日は家具の方を」 絶対に無いと困るのはベッド。 野宿することを考えたら、床の上でも大丈夫だけど、さすがに自分の家でそれは悲しい。 テーブルや椅子も欲しいけど、所持金のことを考えたら、とりあえずは保留かな? 「ベッドをお願いできますか? できるだけ早く。作りさえしっかりしていれば、他は細かいことは言いませんので」 「ふむ。寝るのに困るものな。そうさな、それなら値段は――」 少し考えて、値段を告げようとしたゲベルクさんの背中を、エルズさんがパシーンと叩いた。 「なんだい、爺さん! 可愛い嬢ちゃん、しかも錬金術師様が越してきてくれたってのに、ベッドの一つ、引越祝いにくれてやったらどうだい!」 「あ、いえ、きちんと払いますよ......?」 「でも、サラサちゃん。新米な上に、こんなど田舎に来るぐらいだ。あんまりお金、余裕が無いんじゃないのかい?」 「うっ......」 「それに、あの家、なーんにも家具が無かっただろう?」 「......そうか、あの家の家具、キリクの坊主が新宅を構えた時、軒並み持っていったんだったな。よし、解った。ベッドはタダで作ってやる」 「えっ!? あの、良いんですか?」 「エルズの言うとおり、孫よりも小さい子に引越祝いもくれてやれねぇようじゃ、男が廃る。余裕ができたら、注文してくれりゃ良い」 「あ、ありがとうございます!」 正直なことを言えば、運転資金が心許ないから、非常に助かる。 怖そうなお爺さん改め、気前の良いお爺さんは片頬を上げて笑い、そんな彼に私は、お礼と共にぺこりと頭を下げた。 ◇ ◇ ◇ ゲベルクさんの元を辞し、次に案内されたのが鍛冶屋のジズドさんの所。 ただし、予算の関係で注文はせず、顔合わせのみ。早々にお暇して、次の目的地、雑貨屋へ。 「この村で店といえば、この雑貨屋だけだね。夫婦でやっている店なんだけど、買い付けなんかで良く留守にするから、娘のロレアが店番していることが多いんだよ」 そこは、他の民家の二倍ぐらいはありそうな大きな建物。 居住部分は他と変わらないと思うので、店舗スペースが家一軒分ぐらい? 私のお店は、店舗スペースを含めてもほぼ普通の民家と同じだから、負けてるね......。 「こんにちは~」 ゲベルクさんの所などとは違い、きちんと看板が出ているので少しは入りやすい。 再びさっさと中に入るエルズさんに続き、私も挨拶しながら中に入ると、出迎えてくれたのは、たぶん私と同じくらいか、少し年下の女の子。 短めに切った髪の毛に、活発そうな表情で笑顔が可愛い。 「いらっしゃいませー。あ、エルズさん。こんにちは! お買い物ですか?」 「サラサと言います。錬金術のお店を開店するので、今後ともよろしくお願いします」 エルズさんに押し出されるようにして、私は前に出て自己紹介。 「あ、はい! ロレアです。お願いします! ......ほえー、都会っ子だぁ」 「え? 都会っ子?」 私のどこが? 周りに比べれば、私なんてイモですよ? 勉強に忙しかったから、オシャレに掛ける時間もお金も無かったし。 「あ、いや、その......服とか、仕草とか、このへんの子とは違うし......?」 「そう、なの?」 確かにこの服は、先輩に連れられて行った、王都のお店で買った物だけど。 先輩たちは、あまりに無頓着な私を見かねたのか、時々連れ出してくれたんだよね。 私の懐具合を考えて、貴族の先輩たちは普段利用しないだろう古着屋でコーディネートしてくれる良い先輩だった。 仕草とかは......判るほど違うかな? 「いや、だって! この村だと基本手作りだし、もう、着られたらいいや、みたいなのが多いから!」 「え? でも、ロレアさんの服は、王都でも違和感ないと思う、わよ?」 むしろ、ちょっとオシャレな部類に入ると思う。 王都にも『着られれば良い』という人は一杯いるからね、私みたいに。 「王都! 王・都! すごい、超・都会だ! ね、ね、時間があるときで良いから、お話聞かせてください!」 「う、うん......」 私がそう言うと、ロレアさんはキラキラした目で私を見つめて、そう詰め寄ってきた。 都会......いや、まあ、この村と比べたらそうなるけど、そこまで憧れること? を着ているし、華やかじゃない所の方が多いんだけど、それをそのまま話しちゃっても良いのかな? 「ほらほら、ロレア、仕事しな。サラサちゃんは買い物に来たんだから」 「あ、うん。そうだね! 何が必要? 私頑張って勉強しちゃいます! ......許されている範囲内で」 「えっと、良いんですか?」 「うん、そんなには値引きできないけど、ちょっとしたおまけぐらいなら?」 「ありがとうございます。なら、大きめのタライと布団、あと食料品をいくつかお願いできますか?」 「タライはこのあたりですね。木製の方が少し安いですよ」 そう言って指さしたところには、一抱えほどのタライが何種類か積んである。 金属板を加工して作った物と木製の物。どちらも出来は悪くない。 これらをゲベルクさんとジズドさんが作ったのなら、腕の心配は必要なさそうだね。 「布団は置いてないから、受注生産......って言っても、近所のおばさんたちが作るだけだから、できるなら自分で作っても良いかも。材料は売ってるから」 なるほど。こういった村だと基本は自分で作るのかな? ちなみに私も作れます。 学校の寮に入るとき、孤児院の先生と一緒に作ったので。 布団を作ったのはその一回だけだけど、裁縫自体は得意なので自分で作ろうかな? 理由は解るよね? 限界まで補修して使ってたからだよ。 「食料品は――普段の食事だよね? 採集者向けの保存食はそれなりに充実してますが、それ以外は穀物ぐらいかなぁ? ここだと作っている人に直接もらいに行くから。売買の仲介はできますが......」 「ああ、それはアタシがやるよ。サラサちゃんもこの街に住むんだから、顔繋いでおいた方が良いだろう?」 あ、このへんは田舎っぽい。 王都だと食料品はお店で買う物で、生産者に直接交渉なんてやらないから。 何で店に置いてないのかと訊いてみると、売れるか解らないのに収穫してしまうと日持ちがしないためだって。 畑に置いておけば結構日持ちするお野菜もあるので、頼んだら収穫してきて分けてくれるらしい。 「そうですね。お願いします。でも、まだ料理できる状態じゃないので、明日以降、時間があるときにお願いできますか?」 それから私は、少しの間お店の中を見て回り、木製のタライを一つ、布団用に布と綿を余裕を見て多めに、それに食器などの雑貨を購入した。 ただ、持ち歩くのは大変なので、一先ずは取り置いてもらい、帰りに寄ることにする。 「買い忘れは......無いかな?」 家を出る前に必要な物を考えていたよね......えーっと。 あ、釣瓶。あと、コンロ! 「ロレアさん、釣瓶と携帯用のコンロはありますか?」 「釣瓶? 手桶とロープで良いのかな? 本格的な滑車付きとなると、ゲベルクお爺さんの領分だから」 「はい、それで構いません」 しばらくはそれで我慢するとして、そのうち、井戸に屋根を架けて滑車付き釣瓶にするか、 利便性を考えるなら、 お風呂の事を考えるなら是非とも欲しいのだが、さすがに他の錬金術師から購入するのは嫌だ。錬金術師の端くれとして。 「釣瓶って事は、サラサさんのところには井戸があるんですね」 「はい。錬金術に水は必要ですから」 個人で井戸を持つのは金持ちかよほどの大家族、もしくは水をよく使う職業の人ぐらいで、普通の人は共同井戸を利用するのが一般的。 その中で錬金術師は、水をよく使う職業に入るし、収入も多めなので、工房付きの建物には大抵井戸も付いている。 ついでに、自動で水を汲み上げる 屋外に置く物だから、空き家に放置されていたら盗まれる危険性もあるわけだし。 「携帯コンロの方は在庫はないですね。土で作るタイプは他所へ注文、金属の物はジズドさんです」 「そうなんですか......では取りあえず保留で」 すぐ手に入らないなら、魔導コンロ―― コスト次第だけど、すぐにお蔵入りになるような物を買うような余裕は無いからね。 「さて、これで大丈夫、なはず」 「ま、何か買い忘れがあればいつでも来てよ! 夜中じゃ無ければいつでも対応するから!」 おおぉ、さすがは田舎。 王都だと時間を過ぎたら対応してくれないよ? 「ありがとうございます。困ったときにはお願いしますね」 ◇ ◇ ◇ 「さて、サラサちゃん、他に案内して欲しいところはあるかい?」 購入予定の物はすべて買った。 農家の人たちには近いうちにエルズさんに案内してもらう。 後は......食事! 食堂か何かに案内してもらわないと。 「えっと、食堂、あるんですよね? そこをお願いできますか?」 「ああ、そろそろ昼だったね。この村には一軒しか無いが、それなりにうまいから期待しな!」 「はい! あ、エルズさんも一緒にどうです? 案内のお礼に奢りますよ?」 お世話になったらお礼は必要、とお昼に誘ってみたのだが、エルズさんは呵々と笑って私の背中をバシバシと叩いてきた。 うん、痛いです。 「はっはっは、娘ぐらいの歳のサラサちゃんに奢られると、おばちゃん、体裁が悪いよ! むしろおばちゃんが奢ってあげるね!」 「え!? そんな、案内してもらった上に、そこまでしてもらうわけには......」 「若い子がそんなこと気にするんじゃ無いよ! おばちゃん、太っ腹だから!」 そう言って、ポンとお腹を叩くエルズさん。確かにちょっと太......いやいや、もちろん比喩表現ですよ? ええ。 エルズさんに案内されたのは、宿屋兼、食堂になっている店舗。 こんな村には不釣り合いなほど大きいのは、採集者が多く集まっている証拠だろうか。 中に入ると、食堂で数組の採集者らしき人たちが食事をしている。 今の時間帯なら樹海に入っている人たちもいるだろうし、これなら私の商売もそれなりに安泰かも? 「ディラル、食べに来たよ!」 「おや、エルズ? 昼間から来るのは珍しいね?」 エルズさんの声に応えて、奥から顔を出したのは多分エルズさんと同じくらいのおばさん。 が良さそうで、エルズさん以上に恰幅も良い。 「ディラル、止めとくれよ。まるであたしが夜になると飲んだくれてるみたいじゃないか!」 「エルズには稼がせてもらって、頭が上がらないねぇ」 あっはっは、と笑いながら互いの肩をバシバシとたたき合うエルズさんとディラルさん。 う~む、この村のおばさんたちのコミュニケーションなんだろうか、あの“バシバシ”は。 華奢な私には結構キツいんだけど。 「それでどうしたい? さすがに昼間っから酒をかっ喰らいに来たわけじゃないんだろ? 後ろのお嬢さんが関係してるのかい?」 「ああ。このお嬢ちゃんは錬金術師様さね! この娘の紹介と昼食に来たんだよ」 「あ、あの、サラサと言います。この村でお店を開きますので、よろしくお願いします!」 そう言われてエルズさんに前に押し出された私は、慌てて挨拶をして頭を下げた。 「へぇ、その若さで店を構えるのかい!? スゴいねぇ。あたしゃ、この宿の女将でディラルってんだ。良かったら贔屓にしておくれ!」 「はい、今、ウチは料理できる状態じゃないので、しばらくはお世話になると思います」 「ああ、引っ越し直後はどうしてもねぇ......よし解った! お嬢さんの引越祝いだ! 今日はおばさんが奢ってやるよ!」 「あ、ありがとうございます」 正直奢りは嬉しいけど、バシバシと叩かれる背中が痛い。 「おや、ディラル、悪いねぇ」 「エルズ、アンタはちゃんと払いなよ!」 「なんだい、けち臭いねぇ。ここは気前よく奢る場面じゃないのかい?」 「あの、やっぱり案内のお礼に私が......」 「ほら、こんなお嬢ちゃんに気を使わせて」 私が遠慮がちに申し出ると、エルズさんがニヤニヤと笑いながら、私を示してそんなことを言う。 それを見て、ディラルさんが舌打ちをした。 「ちっ、仕方ないねぇ。アンタもタダでいいさね」 「えっと、大丈夫ですか?」 にされるのはちょっと困るんですけど......。 私が少し困った顔で二人の顔を窺うと、エルズさんたちは顔を見合わせ、揃って笑い声を上げる。 「気にするこたないよ。エルズとは幼馴染みでねぇ。あたしらはいつもこんなもんさ。それに、エルズの旦那には世話になってるんだ。たまに奢るぐらい、どうって事ないよ!」 「あたしたちのこれは、じゃれ合いみたいなもんさ。悪いね、気を使わせちまって」 「いえ、それなら良いんですが」 エルズさんの旦那さんは猟師で、この宿にも肉類を卸しているらしい。 その時、オマケしてあげることもあり、互いに持ちつ持たれつの関係で、この程度の言い合いは気の置けない仲のコミュニケーションみたいなもの、なんだとか。 う~ん、解らない! やっぱり人付き合いになれてないからかなぁ? 「お嬢ちゃんは何か苦手な物はあるかい?」 「いいえ、特には。......今まで食べたことのある物に関してはですが」 贅沢を言えるような環境では育ってないので、好き嫌いはともかくとして、食べられない物は無い。 話に聞く限り、世の中にはとんでもなく臭い物やら、腐っているのに食べられる物もあるみたいだから、そんな物が出てくるとちょっと不安だけどね。 「なら大丈夫だ。ここは採集者を相手にしてるからね。出す料理には一般的な食材しか使ってないさ!」 「この村、何か変わった郷土料理があるんですか?」 「ん? 郷土料理ってほどの物じゃないね。田舎だと結構食べられるものさ。昆虫や芋虫、場合によっては毛虫を食べたりも......」 うげっ! それは無理っ! 死にかけレベルで飢えてないと! 「あっはっはっは。心配しなくても、ウチじゃ出してないし、村人でも食べるのは一部の物好きさね!」 「そ、そうなんですか......」 良かった。 料理を食べたあとで『実は入ってた』とか知らされると、下手したら口からオトメ汁を出してしまうかも知れないからねっ。 「でも、アレなんかは人を選ぶんじゃないかい? ほら、漬物の」 「あぁ、アレかい。好きな人は好きだから出しちゃいるが、頼まれたときだけだからねぇ」 やや不穏な会話に不安になり、詳しく訊いてみると、エルズさんの言った“漬物”とは、普通の漬物とは違い、一年以上の長期にわたって樽に漬け込んだ、ちょっと特別な代物らしい。 不作時の非常食として作られているのだが、この村の人でもそのまま食べるのは厳しい代物で、普通の人はしばらく水にさらしてから食べる。 しかし、その酸味と臭いがクセになる人もいて、そのまま食べる強者も中にはいるとか。 エルズさんもディラルさんも「全くお勧めできないし、私たちも食べない」というレベルだから、私が食べる機会はきっと来ないだろう。 むしろ来ないでください。 「ま、普通のオススメ料理を持ってくるさ。ちょいと待っとくれ!」 そう言って厨房へと下がったディラルさんは、然程時間をおくこともなく二人分の料理を手に持って戻ってきた。 「ウチの昼は大体こんな感じだね。今日は奢りだけど、普段はこれレア。気に入ったら贔屓にしておくれ!」 「ありがとうございます。ごちそうになります」 並べられたのは、肉の細切れと豆を一緒に炒めた物、パンが二つ、それにお野菜たっぷりのスープ。 良い匂いが漂ってきて......うん、美味しい! ここしばらくは旅の空で、塩辛い干し肉と堅いパン、それに水だけだったから、温かいだけでもかなり嬉しい。 「気に入ったようだね?」 「はい! 美味しいです!」 「そいつは良かった! ゆっくりしていっとくれ」 ディラルさんは再び私の肩をパンパンと叩き、呵々と笑い声を上げて仕事に戻る。 うん、いい人なんだけど、激しいボディタッチはちょっと控えて欲しいかな? 私、勉強しかしてこなかった、もやしっ子だから。 「すまないね、がさつな女で。こんな村には、お嬢ちゃんみたいな細っこい娘はいないから、接し方が解らないのさ。村の女は子供の頃からたくましいのばっかだから」 顔に出ちゃったかな? 取りあえず否定して話題を変えよう。 「あ、いえ。良い人なのは解りますから。――エルズさんはここに良く来るんですか?」 「ん? 昼間はたまに来る程度かね。ウチは亭主が猟師だからね。昼は一人なのさ」 「あの、お子さんは?」 「娘が二人、息子が一人いるよ。娘は普通に嫁いだんだが、息子の方は亭主のあとを継ぐのは嫌だ、商人になるって村を出て行っちまったねぇ......」 「そう、なんですか......」 こ、こういうとき、なんて返せば良いの!? 人生経験の少ない私では、言葉が出ないよ! 「あぁ、気にするこたないよ。普通に元気にやってるし、たまにはこの村にも商売で来るからね。それなりに上手くやってるんじゃないかい」 ちょっと遠い目をしてたから、てっきり音信不通とか、そういう事を想像しちゃった。 「さて、小さい村だから主なとこは回っちまったが......昼を食べ終わったら、村長にも紹介しておこうかね」 「あっ! そうですね、必要ですよね! ご挨拶。王都じゃそういうのなかったのでつい......」 「あっはっは、そりゃそうだ! 王都のてっぺんは王様じゃないか。挨拶に行くわけもないねぇ!」 おかしそうに笑うエルズさんに私も苦笑を返す。 王都だと引っ越してきて挨拶するにしても、せいぜい隣近所ぐらい。 だから、すっかり頭から抜け落ちていた。 王国の法で引っ越しは自由に認められてるけど、こういう村で上役からの覚えが悪いと生活していけるわけない。 危なかった! エルズさん、ありがとう!

"Yes, just give me a minute" When I walked to the neighborhood for a minute or so and rang my voice, Mr. Elles came out without waiting for me. "Need any help? "Uh, I mean, I wanted to help, I wanted to shop. I want a bed, a table, a chair, and then some cookware, where can I buy it? "Well, the bed is a carpenter, the pot kettle is a blacksmith's place. There are very few people in this village who buy it, so I'm going to ask them to make it. I have a grocery store, but other than what sells well, I order from the city." If it's a small village, it is. If it's Wang Du, I won't have any trouble around it first. Well, I never bought it just to see it, but hey! "Is that right, after all? Can you tell me where it is? "I don't mind that..." Mr. Elles thinks a little and nods one at Un. "Well, Atashi will show you around, so just go in and wait a little while." "Is that good? "It's a small village. You'd better keep your face connected, wouldn't you? Let it go!" "That helps! Thank you." I bow my head and say thank you to Mr. Elles, who smiles reliably and slaps his chest with a dong. "I mean good. Come on, don't come in! Mr. Elles invites me into the house and gets me the warm tea he served. When I thought about it, I remembered that I hadn't had a glass of water about the village, and when I took a whiff of it, Mr. Elles came back after a while. "Okay, I'm ready! You want to go?" "Oh, yes! Please. Thank you for your tea." Leaving Mr. Elles' house, being guided, it was one private house that arrived. There is wood around, and although there are places like the workplace, there are no signs. Maybe he's a carpenter, but if you don't show him this, he's a little hard to call. "Grandpa Geberg, are you there? That had nothing to do with my mood, Mr. Elles just opened the door to the house and went inside. I reluctantly follow suit. "What is it, Elles? Work? Hmm? Isn't that the first face you've ever seen in the back lady? It was a pretty old grandfather who came out of the back. For this reason, it doesn't make you feel too old with the "Kakushaku" movement. It's a bit of a sharp gaze and a stubborn craftsmanship for "I don't like it" and as far as I'm not very good at communicating, it feels a little scary talking to you alone. "This way, Sarasa, I came over. Oh, my God, he's an alchemist! "Oh, is that the store? That helps. So, you're fixing the house? "Oh, no, I might ask for that one of these days, but I need the furniture one today" It's the bed that's in trouble if it's never there. If you think about going wild, it's okay on the floor, but that's just sad in your own house. I want tables and chairs, too, but if you think about possession, is it on hold for now? "Can I have a bed, please? As soon as possible. As long as it's well made, I won't say anything else in detail." "Hmm. I have trouble sleeping. Well, then the price is..." After a little thought, Mr. Elles slapped Mr. Geberg on the back, trying to tell him the price, with a pastime. "Oh, my God, Grandpa! Pretty lady, and the alchemist came over, why don't you give me one or two of the beds, to celebrate the takeover! "Oh, no, I'll pay you right...? "But, Sarasa. On top of the new America, it's about to come to the country like this. Don't you have a lot of money to spare? "Ugh..." "And that house, Nah, wouldn't have had any furniture, would it? "... well, the furniture in that house, when Kilik's boy set up his new house, you had it all lined up. All right, I got it. I'll make you a bed for free." "What!? Um, is that good? "Elles is right, he can't even give a kid younger than his grandson a takeover celebration. Well, the man abolishes it. If you can afford it, you should order it." "Oh, thank you! To be honest, it's very helpful because working capital doesn't allow it. He looked scared. Again, his generous grandfather raised one cheek and laughed, and to him I bowed my head with a pepper as I thanked him. ◇ ◇ ◇ He resigned from Mr. Geberg, and the next person to be guided was Mr. Zizd, the blacksmith. However, we do not place orders in relation to the budget, only face-to-face. Free up early and go to your next destination, grocery store. "When it comes to shops in this village, it's just this grocery store. It's a store for couples, but my daughter, Lorea, is often in the store because she's often away from home because she buys things." There's a big building that's likely to be about twice the size of any other private house. I don't think the residential part is the same as the rest, so the store space is for about one house? My shop is pretty much the same as a normal private house, including store space, so you're losing... "Hello ~" Unlike Mr. Geberg's place and so on, it's a little easy to get in because the signs are properly displayed. Following Mr. Elles, who just walks inside again, as I greet him too, he greeted me, perhaps as much as me, or a little younger girl. Cute smile on shorter cut hair with an active look. "Welcome -. Ah, Mr. Elles. Hi! Are you shopping? "I say Sarasa. Thank you for your continued support as we open our alchemy store" Make sure Mr. Elles pushes me out, and I'll step forward and introduce myself. "Oh, yes! It's Lorea. Please!... Yea, he's a city boy." "Huh? Urban? What about me? Compared to the rest of us, I'm such an imo, aren't I? I was busy studying, so I didn't have the time or money to hang it in style. "Oh, no, the... clothes, tricks, they're not like this one...? "Really? Sure, I bought these clothes at Wangdu's store, where they were taken by seniors. The seniors sometimes took me out, didn't they, seeing me too indifferent? Given my condition, the aristocratic seniors were good seniors who would coordinate with me in an old fashion store that I wouldn't normally use. The tricks... are different enough to know? "No, because! This village is basically handmade, and I wish I could wear it, because there are so many like it! "Huh? But I don't think Mr. Lorea's clothes are uncomfortable even in Wang Du, do you? Rather, I think it falls into a somewhat stylish category. Wang Du has a cup of 'I wish I could wear it' too, like me. "Wang Du! Wang Du! Wow, it's super urban! Hey, hey, it's good when you have time, let me talk to you! "Ugh, yeah......" When I said that, Mr. Lorea stared at me with a sparkling eye and stuffed me like that. City...... no, well, compared to this village it will be, but that much to admire? Even in Wangdu, poor people are poor and wearing "Bo", and there are many places that aren't gorgeous, but can we just talk about it? "Look, Lorea, get to work. Sarasa came here to shop." "Oh, yeah. That's right! What do you need? I study hard! ... to the extent permitted" "Uh, is that good? "Yeah, I can't discount that much, but what if it's a little extra? "Thank you. Then can I have a larger tarai and futon, and some more groceries, please? "Talai is around here, isn't it? It's a little cheaper in wood." There are several kinds of tarai that I have said and pointed to. Made of metal plates and wooden objects. Neither is bad. If Mr. Geberg and Mr. Zizd made these, you don't need to worry about your arm. "I don't have a futon, so even if I say order production...... maybe I can make it myself if I can because the aunts in the neighborhood just make it. Because they sell ingredients." I see. Do you make your own basics when it's these villages? By the way, I can make one, too. When I entered the school dorm, I made it with my orphanage teacher. That's the only time I've made a futon, but I'm good at sewing myself, so should I make my own? You know why, don't you? Because I repaired it to the limit and used it. "Grocery is - it's a regular meal, isn't it? There's quite a lot of preserved food for collectors, but other than that, I wonder if it's about cereal? Because I'm going directly to the person who makes it here. You can broker the trade..." "Oh, Atashi will do that. Sarasa lives in this city too, so why don't you just keep it face-to-face? Oh, this place looks rural. Wang Du said that groceries are purchased in stores, so we don't negotiate directly with producers. When I asked him why he didn't keep it in the store, he said that if he didn't know if he could sell it, but if he harvested it, he wouldn't have sunshine. Some vegetables will be quite sunny if left in the field, so if they ask, they'll harvest them and divide them. "Right. Please. But I'm not in a state where I can cook yet, so after tomorrow, when I have time, can you please? Then I looked around the store for a little while and bought one wooden tarai, more cloth and cotton to spare for the futon, plus dishes and other groceries. It's just hard to carry around, so I'll have it set aside first, and I'll stop by on my way home. "I forgot to buy it... isn't there? You were thinking about what you needed before you left the house... erm. Ah, a fishing bottle. And the stove! "Mr. Lorea, do you have a fishing bottle and a portable stove? "Fishing bottle? Is it good with a handkerchief and rope? When it comes to full pulleys, it's Grandpa Geberg's property." "Yes, that's fine" As for putting up with that for a while, in time, you'll have to think about roofing the well into a fishing bottle with a pulley or dealing with it with the smelter Artifact. If you're thinking about convenience, it's a choice for the smelter Artifact, can you make it for me? If you think about the bath, I would definitely like it, but I just don't like to buy it from other alchemists. As the end of the alchemist. "A fishing bottle means there's a well at Mr. Sarasa's place." "Yes, because we need water for alchemy" Individuals are rich enough to own wells, large enough families, or people in professions that often use water, and ordinary people typically use joint wells. In it, alchemists enter the profession of frequent use of water and earn more money, so most of the buildings with workshops also have wells. Finally, I would have loved to have included the artifact, a smelter that automatically pumps up water... is that just what you want? It's something to put outdoors, so if you leave it empty, you're in danger of being stolen. "If you have a mobile stove, you don't have it in stock. The type made of dirt is ordered elsewhere, and the metal belongs to Mr. Jizzed." "Really... then put it on hold for now" If you don't get it right away, you might want to make your own Magic Instruction Stove - about the smelter Artifact stove. It depends on the cost, but you can't afford to buy something that you can store right away. "Well, this should be okay," "Come anytime you forget to buy something! If it's not midnight, I'll take care of it anytime! Oh, that's the country. Wang Du, you won't be able to deal with me after time? "Thank you. When you're in trouble, please." ◇ ◇ ◇ "Well, Sarasa, is there anything else you want me to show you around? I bought everything I was going to buy. Ask the farmers to show Mr. Elles around shortly. After... meals! I need you to show me to the dining room or something. "Uh, the dining room, there is, isn't there? Can I have that, please? "Oh, it was about noon. There's only one house in this village, but expect it because it's pretty good! "Yes! Oh, how about Mr. Elles join us? Thank you for the guide, right? When I took care of him, I needed to thank him, and I asked him out for lunch, but Mr. Elles laughed and bashed me in the back. Yeah, it hurts. "Ha ha, when Sarasa, who is about my daughter's age, is luxurious, auntie, she's not in good shape! Instead, your aunt will luxury you! "Huh!? I can't ask you to do that after you've guided me..." "Young kids don't care about that! Auntie, because you're fat! That's what I said, Mr. Elles slapping Pong on the stomach. It's definitely a little too much... no, no, of course it's a metaphorical expression, right? Yeah. Elles guided me to the inn and the restaurant. Is the disproportionately large size of such a village evidence of a large gathering of gatherers? Once inside, several groups of gatherer-like people are eating in the dining room. Some people would be in the Tree Sea at this time of year, and this could be pretty cheap for my business? "Dilal, I'm here to eat! "Oh, Elles? It's rare to come in the daytime, isn't it? In response to Mr. Elles' voice, it was probably as much an aunt as Mr. Elles who put his face out of the back. Nico and the breeze "Kippu" seem to be good, and the width is even better than Mr. Elles. "Dilal, stop it. It's like you're drinking to me at night! "Elles let me make some money, I can't get my head up" Haha, and Mr. Elles and Mr. Dilal hitting each other's shoulders with a bash with laughter. Uh-huh, is this the communication of the aunts of this village, that “bashibashi”? Pretty tight for me, though. "So what do you want to do? You didn't come here in the middle of the day to drink, did you? What does the lady behind you have to do with this? "Oh. This young lady is an alchemist! I'm here for lunch with this girl." "Oh, you know, I say Sarasa. Thank you for opening your shop in this village! That being said and pushed forward by Mr. Elles, I rushed to greet him and bow my head. "Heh, do you set up a shop with that young man!? That's awesome. I'm a diral in this inn. If that's all right with you, leave me alone! "Yes, right now, we're not in a state where we can cook, so I think we'll take care of you for a while" "Oh, right after we moved, I can't help it...... ok! It's your daughter's takeover celebration! Your aunt will be happy today! "Oh, thank you" Honestly, I'm happy with my luxury, but my back hurts when I get bashed. "Oh, Dilal, that's bad" "Elles, you pay properly! "Oh, my God, you stink. Isn't this a generous occasion? "Um, I knew I would thank you for the guidance..." "Look, let such a lady take care of you" When I offer reluctantly, Mr. Elles laughs at Niyaniya, showing me and saying that. Seeing that, Mr. Dilal struck his tongue. "Shit, there's no choice. You're free, too." "Uh, are you okay? Even though I appreciate it, I have a little trouble getting the stock "dashi"...... When I glance at the two faces with a slightly troubled face, Mr. Elles looks at each other, all aligned and laughs. "I don't care. Elles and I are not familiar with childhood. We're always like this. Besides, Elles' husband takes care of me. It doesn't matter how much I luxury you once in a while! "This one of ours, it's like we're hanging out. Sorry to bother you." "No, that would be nice." Mr. Elles' husband is a hunter, and he seems to be wholesale meat in this inn as well. Sometimes at that time, I'll make you an omelet, and in a relationship of being held to each other, this degree of rhetoric is like an unmindful amicable communication, what is it? Uh-huh, I don't know! I was wondering if it's because we're not dating after all? "Is there anything wrong with your daughter? "No, especially. ... in terms of things I've eaten before" I don't grow up in a luxurious environment, so whether I like it or not, there's nothing I can't eat. As far as I can tell, there seems to be a hell of a lot of smelly stuff in the world that can be eaten even though it's rotten, so I'm a little nervous when that stuff comes out. "Then I'll be fine. We're dealing with collectors here. I only use common ingredients for serving dishes! "Is there any unusual local food in this village? "Hmm? It's not as good as local food. It's quite edible in the country. Eating insects, potatoes, and in some cases caterpillars..." Whew! That's irrational! You have to be starving on a dying level! "Ha-ha-ha. You don't have to worry, we didn't serve it, and even villagers love eating it! "Oh really..." Good. 'Actually, it was in there' or something after I ate the dish, 'cause if I suck, I might get some otome juice out of my mouth. "But aren't you picking people? Look, of pickles." "Oh, that's it. I let people out because I like them, but only when they ask me to." I got anxious about the slightly disturbing conversation and asked in detail, unlike the “pickle” Mr. Elles said, it seems to be a somewhat special substitute, soaked in a barrel for over a year, unlike a normal pickle. It is made as an emergency food in the absence of crops, but it is a harsh substitute for even people in this village to eat as is, and ordinary people are exposed to water for a while before eating. But you think some of those sour and smelly will suck, and some strong people who eat as they do? Neither Mr Elles nor Mr Dillall "recommend it at all, nor do we" level, so I'm sure my chances of eating will not come. Instead, don't come. "I'll bring you regular recommended dishes. Just give me a minute! Having said that, Mr. Dilal, who had fallen back to the kitchen, returned with a dish for two in his hand without taking up much time. "This is more or less what our day looks like. I'm extravagant today, but that's usually forty rare. If you like it, give it to me! "Thank you. It will be a treat." Arranged are finely chopped meats and stir-fried beans together, two loaves of bread, plus a soup full of vegetables. It smells good...... yeah, yummy! It's been a journey sky for a while now, and I'm pretty glad it's just warm because it was just salty dried meat and strong bread, plus water. "You like that, don't you? "Yes! It's delicious! "That was good! Take your time." Mr. Dilal slaps me on the shoulder with pampers again, heaps of laughter and returns to work. Yeah, he's a good guy, but do you want me to refrain from a bit of intense body touch? I've only studied, because I'm a sprouts boy. "I'm sorry, you rascal bitch. I don't know how to deal with a village like this because I don't have a fine daughter like your daughter. Village women have been a pain in the ass since they were kids." Did I get it on your face? Let's just deny it and change the subject. "Oh, no. Because I know you're a good person. - Does Mr. Elles come here well? "Hmm? About every once in a while during the day. My pawn owner is a hunter. I'm alone at noon." "Um, what about your kids? "I have two daughters and one son. My daughter usually married me, but my son doesn't like to inherit from the pavilion owner, he left the village to be a merchant..." "Yes, what is it..." How can I give it back when this is the case!? I don't have much experience in life, I don't have a word for it! "Oh, I don't care. Because I'm normally doing fine, and sometimes I come to this village in business. You're doing pretty well." I had a bit of a distant eye, so I totally imagined things like voice loss. "Well, since it's a small village, the main part has gone around... but when I'm done eating lunch, shall I introduce it to the village chief?" "Ah! Right, you need it! Greetings. There was no such thing in Wang Du..." "Haha, that's right! Isn't the top of the king's capital a king? There's no way I'm going to say hello! I also give a bitter smile back to Mr. Elles, who laughs funny. Even if he moves in to say hello to me that it's Wang Du, it's about the neighborhood at best. So I was totally out of my mind. The laws of the kingdom allow me to move freely, but I can't live in a village like this with bad memories from my superiors. It was dangerous! Thank you, Mr. Elles!

もっとも、この事典に載っているのは、錬金術の素材として使える植物のみで、普通の植物は載っていない。 また、使える植物であっても、種の絵まで描写してあるのは、それが素材になの植物だけなんだよね。 私自身、使ったことのある素材でも、すべての種を把握しているとは言い難いし。 「まさか、師匠が食べていた果物の種がたまたま袋の中に落ちたとか、マリアさんが使った食材の種が紛れ込んだとか、そんなことは......ないよね?」 大袋の隅に一つだけ転がっていたあたり、有り得ないとも言えないのが、なんとも......。 試しに、ロレアちゃんにも種を見せてみるけど―― 「これは......私も見たことありません。少なくとも、この村で栽培されている農作物の種ではありませんね」 「だよね。う~ん、どうしよう?」 師匠に問い合わせるという方法もあるけど、気軽に使っているように見えて、転送陣の消費する魔力量は、ちょっとハンパない。 ここから王都までともなれば、少し魔力量が多い程度の人では、紙切れ一枚すら転送できないほど。 私の方はともかく、ちょっとした質問程度で、師匠にそんな魔力を消費させるのは、申し訳ないし......。 「植えてみれば良いんじゃないですか? 芽が出れば、何か判るかもしれませんよ?」 「......それもそうだね。ポットを一つ増やすぐらい、大した手間じゃないし」 師匠が食べていた果物の種なら種で、裏庭に植えておくのも面白い。 もしかしたら、美味しい果物の収穫、期待できるかも? 「うん、そうしよう。ありがと、ロレアちゃん。書き写しの方は、引き続きよろしく」 「はい、任せてください。私の作ったチラシがお店の役に立つなら、やりがいもありますから」 笑顔でこぶしをぎゅっと握るロレアちゃんに事典を返し、私は奥へと戻ると、ポットをもう一つ用意して、その種も植え付ける。 「これで良し。あとは育苗補助器を起動して......」 育苗補助器に手を置いて魔力を注げば、板に配置された魔晶石が、それぞれ赤、青、緑、黄の四色に染まり、ほんのりと光を放つ。 更に魔力を注いでいくと、側面に一列で配置された小さな魔晶石も順々に白く染まり、すべてが白くなったところで魔力の補充は完了。 育苗補助器が消費する魔力量は、上に置いたポットの数や周辺の温度、湿度などによって変化するんだけど、通常ならこれで一ヶ月程度は保つはず。 植え付けに適した大きさに育つ頃には、肥料などを混ぜて休ませている畑の方も良い感じになっているだろう。 「さて、これはどこに置いておこうかな?」 乳白色の板にそれらの光が浸透し、見た感じはなかなかに綺麗。 それだけなら、どこに置いても良い感じだけど、実用性重視の農業用ポットが色々と台無しにしてる。 ま、インテリアじゃなくて実用品だしね、これ。 「雨が当たらない場所で、ある程度の光が当たる場所......選択肢は、ほぼないよね」 一階の部屋は倉庫や応接間、陽の当たらない錬金工房と店舗スペースに食堂兼台所。 に空き部屋はあるけれど、一応はゲストルームなので、これを持ち込むのは避けておきたい。 アイリスさんたちの部屋や倉庫も、当然ながら対象外。 なので、二階の自室か、台所の窓際辺り。 どちらかを選ぶなら、裏庭にも近いし、後者だろう。 そこに木箱を置いて、上に育苗補助器をセット。 「うん。あとは、待つだけだね」 翌日。 お昼の休憩時間を利用して、私はロレアちゃんに魔力操作の基礎を教えていた。 これは実習のとても重要な前段階。 私の場合、これを疎かにして実習に手を出し、大変なことになりかけたから。 いや、正確に言うなら、手を出させられて? 師匠に言われてやったことだったので。 もっとも、普通の人なら心配する必要はないし、実習と平行して精度を上げていく方法もあるけれど、魔力操作の練習だけなら店番をしながらでも行えるので、覚えておいて損はない。 「そうそう。ロレアちゃん、筋が良いよ?」 「ホントですか? ありがとうございます」 「ロレアちゃんは、魔法の練習も順調だし、そっち方面では心配ないかもね」 「わぁ、嬉しいです!」 当然、このまま努力を続ければ、という前提があってのことだけど。 でも私、弟子は褒めて伸ばす指導方針なのだ! ん? 初めて指導するんじゃないかって? うん。だから、今日決めた。 たぶん、真面目なロレアちゃんには合うと思う。 その予定はないけど、調子に乗るタイプの弟子を取ったら、そのときに考えよう。 「一見すると、かなり地味な修業だけど、これ、かなり重要だからね。極端なことを言うと、魔力操作さえ上手ければ、錬金術師としてやっていけるから」 を取れるだけの最低限の知識・技量は必要だけど、魔力が多いだけではやっていけないのが錬金術師。 魔力が多ければなんとかなる魔法使いとは違うのだ。 一部を除き、錬金術には注ぎ込む魔力の調整が不可欠だから。 「あ、一応言っておくけど、もしロレアちゃんが錬金術を使えるようになっても、勝手に錬成とかしちゃダメだからね? バレたら、捕まっちゃうから。下手したら、頭と胴体、泣き別れになっちゃうから」 かなり真剣な表情で物騒なことを言う私に、ロレアちゃんは気圧されるように、ゴクリと唾を飲み込んだ。 「するつもりはありませんが......そうなんですか?」 は飾りじゃないのです」 正に『許可証』。 これを持たずに錬金術を行使すると、王国法で罰せられる。 を持った正規の錬金術師の指導下で行われる場合のみ。 錬金術師養成学校を途中でドロップアウトする人は結構多いので、そんな人がモグリでやっている錬金術師もどきが、時折摘発される......らしい。 私も話に聞いただけだけど。 何故そんなに厳しいかと言えば、とても危険だから。 が事故を起こし、周りに大きな被害をもたらすこともあるけれど、特に問題となるのは 錬成薬 は見ただけでは効果が判らない。 結果、身体にとんでもない悪影響を及ぼすような物が流通してしまう危険性があることから、モグリの錬金術師に対する罰則も厳しくなっているのだ。 学校ではそのあたり厳重に注意されるし、定期試験に落第して退学になる場合には、再度の警告と誓約書を書かされるんだとか。 幸い、私には縁がなかったイベントだけどね。 を所持した上で悪質な行為に手を染める錬金術師も存在するから、なんとも言えない。 真面目にやれば、それなりに稼げるのにね? 「そんなわけで、もしロレアちゃんが錬金術師になるのを諦めたとしても、そのあたりの決まりには縛られることになります。注意してね?」 「もちろんです。というか、諦めませんから!」 「うん、そう願ってる」 けど、錬金術師養成学校に入学した誰もがそう思いながら、現実にそれを実現できるのは一部のみ。 まぁ、ロレアちゃんの場合、試験による落第がないから、挫けさえしなければ、『諦めない』は実現できると思うけど。 「さて、今日の練習はこんなものかな? あんまり長くやっても効率が悪いし、毎日続けることが大事だから」 「解りました。ありがとうございます」 「はい、お疲れ様」 ぺこりと頭を下げたロレアちゃんに私は頷き、グッと伸びをして、ふぅと息を吐く。 そんなわたしの様子に、ロレアちゃんはすぐに立ち上がって、台所の方へと足を向けた。 「休み時間は......もう少しありそうですね。お茶を淹れますね」

Grow Expensive Herbs () Most importantly, only plants in this dictionary can be used as alchemy material, and no ordinary plants are listed. Also, even if it's a usable plant, the only thing that even depicts a picture of the species is some plants that become material, right? It's hard to say that I know all the species myself, even the materials I've used. "No way, the fruit seeds that the master was eating happened to fall in the bag, or the ingredient seeds that Maria used got mixed up, that's not... right? Around just one roll in the corner of the big bag, I can't even say it's impossible... I'll show Lorea the seeds, too. "This... I've never seen it either. At least not the crop seeds grown in this village." "Right. Uh-huh. What do we do? There is also a method of contacting the master, but he seems to be using it effortlessly, and the amount of magic consumed by the transfer team is a little unhampered. The more from here to Wang Cheng, the more people with a little bit of magic, the more they can't even transfer a piece of paper. Regardless of me, to the extent of a few questions, I apologize for letting my master consume such magic... "Shouldn't you try planting it? If it sprouts, you might know something, right? "... so is that. It's not a lot of trouble to add one more pot." It's a seed if it's the fruit seed the master was eating, and it's interesting to plant it in the backyard. Maybe a tasty fruit harvest, you can expect? "Yeah, let's do that. Thanks, Lorea. If you're a transcriber, keep it up." "Yes, I'll take care of it. Because if my flyer helps the store, it's also rewarding." Returning the dictionary to Lorea, who grips the bush with a smile, I go back to the back and prepare another pot and plant the seed as well. "This is good. And then start the nursery aid..." If you put your hand on the nursery aid and pour magic into it, the demonic crystal stones placed in the four corners of the plate will stain the four colors, red, blue, green and yellow, respectively, emitting a slight light. As you pour more magic into it, the little magic crystal stones arranged in a row on the sides are also gradually dyed white, and where everything has turned white, the magic replenishment is complete. The amount of magic that nursery aids consume varies depending on the number of pots they put on top, the temperature around them, the humidity, etc., but usually this should keep them for about a month. By the time it grows to the right size for planting, the fields that are mixing fertilizers and the like to rest will have a better feel. "Well, where do I keep this? Those lights permeate the milky white plate, and the feeling you see is quite beautiful. If that's all, it feels good to put it anywhere, but the utility-oriented agricultural pots are ruining a lot. It's not an upholstery, it's a practical item. "Where no rain strikes, where some light strikes... there's almost no choice, is there?" The rooms on the ground floor are warehouses, reception rooms, alchemists without sun and dining room and kitchen in store space. Although there is an empty room upstairs, for once it is a guest room, so I want to avoid bringing this in. Iris' room and warehouse are naturally not covered either. So upstairs in your own room, or around the kitchen window. If you choose one, it's close to the backyard, and it would be the latter. Put the crate there and set the nursery aid on top. "Yeah. All you have to do is wait." The next day. Using my lunch break, I was teaching Lorea the basics of magic manipulation. This is a very important pre-stage of the internship. Because in my case, I neglected this and got my hands on an internship, and it was about to be a big deal. No, if I'm being exact, let me get my hands on you? Because it was what my master told me to do. Most importantly, if you're a normal person, you don't have to worry, and there are ways to increase accuracy parallel to your practice, but if you're just practicing magic manipulation, you can do it while doing the store number, so it's no harm to remember. "Yes, yes. Lorea, you're good, right? "Are you sure? Thank you." "Lorea, the magic practice is going well, and you may not have to worry about it." "Wow, I'm glad! Naturally, there is a premise that if we continue our efforts. But I, the disciple, am a praiseworthy guiding policy! Hmm? I thought this was your first time coaching? Yeah. So I decided today. Probably suits serious Lorea. I don't plan on doing that, but if I take the type of apprentice who gets on track, I'll think about it then. "At first glance, it's pretty plain training, but this, it's pretty important. To say the extreme, as long as you are good at magic manipulation, you can do it as an alchemist." Of course, it takes as little knowledge and skill as you can qualify (license), but it's the alchemist who can't just do it with so much magic. It's not like a wizard who can handle a lot of magic. Except in part, because alchemy is essential to adjust the magic it instills. "Oh, for once, if Lorea can use alchemy, she shouldn't do it herself, right? If I find out, they'll catch me. Because if I suck, my head, my torso, I'll cry goodbye." To me saying something noisy with a pretty serious look, Lorea swallowed a gokuri and a spit so that she could be barometric. "I'm not going to... Really? "It is. Alchemy's License is not a decoration." Truly a 'permit'. Exercising alchemy without this is punishable under Kingdom law. Exceptions are only made under the guidance of an authorised alchemist with an alchemy permit Alchemy's License. There are quite a few people who drop out of Alchemist Training School along the way, so it seems that the alchemist dormitories that such people do in Mogri are picked from time to time... I just listened to you, too. Because it's very dangerous to say why it's so harsh. Poorly made smelters (artifacts) can cause accidents and cause significant damage around them, but a particular problem is smelting drugs (potions). Whether or not it works is somewhat less effective than the smelter (artifact) that can be hung on the screen, and the smelter (potion) cannot be seen alone. As a result, Mogri's penalties for alchemists are also harsher because of the danger of circulation of objects that would have a tremendous negative effect on the body. The school will pay close attention to it, and if you fail a regular exam and leave school, will you write another warning and pledge? Luckily, it's an event I didn't have any luck with. Most importantly, there are alchemists who dye their hands at malicious acts after possession of the Alchemy's License. If you're serious, you can make a lot of money, right? "That's why if Lorea gave up being an alchemist, she'd be tied to the decisions around her. Be careful, okay? "Of course it is. Or because I won't give up! "Yeah, I hope so" But while everyone who enrolled in the Alchemist Training School thinks so, only part of it can make that happen in reality. Well, in Lorea's case, I don't think 'I won't give up' can be achieved if I don't even frustrate her because she hasn't fallen due to the exam. "Well, is this what today's practice is all about? Because it's not efficient to do it for too long, and it's important to keep it going every day." "I understand. Thank you." I nod at Lorea, who bowed her head in a dusty way, stretches out in a good way, and exhales in a huffle. To my appearance, Lorea immediately stood up and turned her legs toward the kitchen. "The time off... sounds a little more likely. You make tea." "Yeah, thanks."

ロレアちゃんにフローティング・テントをお披露目した翌日、防犯機能を追加したそれはお店の前に展示されていた。 説明用の看板も設置し、『勝手に持ち出したら、命の保証はありません』との注意書きもしっかりと。 その後、私はいつものように工房に籠もっていたんだけど、ロレアちゃんによると、昼までに既に数件、問い合わせがあったらしい。 値段が値段だけに、まだ注文には至っていないようだけど、これは期待できるかな? があったなんて、という声も大きいようだから、今後も展示を増やしていけば、売り上げが増えるかもしれない。 この村にいる採集者の中だと、アンドレさんたちのパーティー期待できそうなんだけど、一番稼いでいそうなのに、あんまり散財している様子が無いんだよね。 まぁ、この村だと使うところもあまりないから、町に行って使ってるのかもしれないけど。 「そういえばサラサさん、アイリスさんたち、今日こそは腐果蜂の蜂蜜を採ってくるって言ってましたけど......」 「うん。昨日、やっと巣を見つけたみたいだからね」 昨晩の夕食時、そんな事を言っていた。 腐果蜂自体は、氷牙コウモリの洞窟を見張ることですぐに見つけられたみたいだけど、そこから蜂を追跡して巣を見つけるのはなかなかに大変だった模様。 腐果蜂の飛行速度はかなり速いし、それに応じて活動範囲も広く、数キロ以上に及ぶ。 そんな蜂を、まともな道も無い森の中で追いかけるとなると、簡単にはいかないのは想像に難くない。 幸いだったのは、腐果蜂が氷牙コウモリの洞窟と巣の間を継続的に往復していたこと。 アンドレさんたちとも協力して、道中に人を配置しつつその経路を割り出していき、数日かけて巣まで到達したらしい。 「頑張った甲斐もあって、結構大きい巣だったみたいだから、成果は期待できそうだけどね」 「みたいですね。でも、サラサさん。蜂蜜を狙う魔物とか出たりしないんですか?」 「あぁ、それは大丈夫。だって――」 私が理由を説明しようとしたその時、やや慌てたように店の扉が開いた。 そちらに目を向けると、入ってきたのはアイリスさんとケイトさん。 「おかえり――」 「店長さん! おトイレ、借りますね!」 「え、えぇ、それは自由に――」 私の挨拶を食い気味に遮ったケイトさんは、私の言葉を聞く前にお店の奥へと駆け込んでいった。 別に良いんだけど......我慢してたのかな? 女性だと、森の中ではあんまりしたくないしね。 私はちょっと首を傾げ、苦笑しているアイリスさんへと向き直った。 「改めて、アイリスさん、お帰りなさい」 「お帰りなさいです。蜂蜜は回収できましたか?」 「あぁ、ただいま。蜂蜜はほら、この通り」 アイリスさんは担いでいた革袋をカウンターにドンと置くと、その口を開いて私たちに見せる。 ロレアちゃんはその中に積み重なっている蜂の巣板を見て、目を丸くした。 「わぁ、かなり大きい巣ですね? これで半分ですか?」 「もちろん。店長殿に注意されたし、採集者としてのマナーでもあるからな」 「全滅したら、来年以降、困りますからね」 巣を全部回収してしまえばたくさんの蜂蜜は得られるけれど、そんな事をしてしまえば腐果蜂が全滅してしまう。 今年は良くても来年以降に採取できなくなるし、他の採集者の迷惑にもなる。 他の採集物同様、資源の保護は重要なのだ。 「これは全部買い取りで良いんですよね? アンドレさんたちは来ていないようですが」 「あぁ、それで頼む。彼らは――ケイトもなんだが、ちょっと腹の調子が悪くなってな。まっすぐ宿へ帰った。私はなんともないのだが、持って行った食料が悪くなっていたのだろうか......?」 「へぇ、そうなんですか。夏場は傷みやすくなりますから、やっぱり食べ物には気をつけないと......ん?」 お腹の調子が悪い? 「......もしかして、アンドレさんたち、腐果蜂の蜂蜜を舐めたりしてました?」 「あぁ、少しだけな。やはり高級蜂蜜だけあって、凄く美味しかったな!」 その時の味を思い出しているのか、嬉しそうに頬を緩めるアイリスさんだけど――。 「食べたんですか! アイリスさんも!?」 「あ、あぁ。ダメだったか? や、やっぱり、借金抱えたまま高級な物を食べるなんて、烏滸がましかったか?」 きょときょとと視線をさまよわせるアイリスさんに、わたしは思わず立ち上がって声を上げる。 「ばか! おばか! そんな事はどうでも良いの! そうじゃなくて! 腐果蜂の蜂蜜は食べたらダメなの! 毒だから!」 これが、腐果蜂の蜂蜜を狙う他の動物や魔物が存在しない理由。 他の動物が食べない、毒のある植物だけを餌とする動物がいるように、腐果蜂もまたそれと同種の虫なんだろう。 「は......? え? 店長殿。高級蜂蜜だって......」 ! あぁ、もう! 誰がどれぐらいの量、食べたの!」 「み、みんな、スプーン一杯ぐらい......だと思う。いや、アンドレたちはもう少し食べていたか?」 これぐらいの、とアイリスさんが指で示した大きさに、私はホッと息を吐く。 「......それぐらいなら、死ぬ事は無い、ですね。当分、おトイレとパートナー契約を結ぶ事になりますが。アイリスさんは大丈夫なんですか? 食べたんですよね?」 「あ、あぁ、幸いな事に私は――むっ!」 問題ない、と言いかけたアイリスさんが真剣な表情になり、眉間に皺を寄せる。 と、同時に聞こえる重低音。 どこから、とは言うまい。彼女の名誉のために。 「......店長殿、少々中座させてもらっても良いだろうか?」 「それはかまいませんが......ケイトさん、入ってますよね?」 明確に言わないのは、育ちの良さなのか。 だがしかし、そんな余裕も長くは続かない。 足早に居住スペースに移動したアイリスさんを見送って、すぐに聞こえてきたのは、『ドンドンドン』と扉を叩く音と、アイリスさんの声。 「ケイト! 早く出てくれ!」 「無理。しばらくは空かないわ」 「そう言わず! 頼む、ちょっと、ちょっとで良いんだ!」 コッソリと様子を窺いに行くと、片手でお腹を押さえたアイリスさんが余裕の無い声で、トイレの扉をノックしていた。 「ごめんなさい。もうちょっと待って」 「待てない! ギリギリなんだ!」 「私も余裕が無いの。今動くと......うっ!」 「ケイト! 私がこんなに頼んでもか!」 「アイリス、家を出る時、これからは対等な仲間と言ったじゃない。対等なら、自分の尊厳を優先させて頂きます! うくっ」 「うぐぐ......っ。そこを何とか!」 「な、なんともならないわ!」 「解った! 譲歩しよう! 半分、半分だけで良いんだ! 分け合おう! 親友じゃないか!」 「こればっかりは、親友でも共有できないわ!」 アイリスさん、かなりピンチなご様子で、扉をノックする音も最初に比べると控えめ。 足も内股になり、半分くらい座り込んでしまっている。 「......サラサさん、どうにかならないんですか? アイリスさん、可哀想です」 私の隣で同じように覗き込んでいるロレアちゃんに、私はゆっくりと首を振る。 「ロレアちゃん......。そうは言っても、いきなりトイレを増設する事なんてできないし、ケイトさんだって、余裕は無さそうだよ?」 現状苦しんでいるケイトさんに、『すぐにトイレから出ろ』なんてこと、私には言えない。 かと言って、アイリスさんにあそこでやらかされちゃうのは困るし......。 「私に今できるのは、これぐらいかな?」 私は倉庫からある物を取ってくると、扉をノックする事すらできなくなっていたアイリスさんの手に、それをそっと握らせる。 「て、店長殿......」 泣きそうな目で私を見上げるアイリスさんに微笑むと、私は裏庭へと続く扉を開ける。 「庭の隅でお願いします」 「くぅぅっ! ケイト! この屈辱、忘れんぞ!」 捨て台詞を残し、アイリスさんは私が手渡した鍬を杖代わりに、ヨロヨロと裏庭へと出て行く。 私はせめてもの情けと、そんな彼女の姿を見ないよう、目を伏せて静かに扉を閉めたのだった。 ――でも、ケイトさん、別に悪くないよね?

The day after I revealed my floating tent to Lorea, I added a security feature. That was on display in front of the store. A explanatory sign was also installed, and the caveat that 'if you take it out on your own, there is no guarantee of life' was firmly noted. Afterwards, I was caged in the workshop, as usual, but according to Lorea, a few inquiries had already been made by noon. The price is just the price, and I don't seem to have gotten to the order yet, but can you expect this? There seems to be a loud voice for having such a handy smelter, Artifact, so if we continue to increase our exhibits, we might get more sales. Of all the gatherers in this village, Andre's party seems to be the most I can expect, but even though he seems to be making the most money, he doesn't look very scattered. Well, there's not a lot of places to use it if it's this village, so maybe I'm going to town and using it. "Speaking of which, Mr. Sarasa, Mr. Iris, he said today is the day to pick up the honey from the rotten bees..." "Yeah, I think I finally found my nest yesterday." I was saying that at dinner last night. Seems like the rotting bees themselves were found right away by keeping an eye on the ice tooth bat cave, but it seemed like it was hard to track the bees from there and find the nest. Rotten fruit bees fly fairly fast and accordingly have a wide range of activities, extending to more than a few kilometres. When it comes to chasing a bee like that in a forest with no decent path, it's not hard to imagine it not going to be easy. Fortunately, the rotting fruit bee was continuously going back and forth between the ice tooth bat cave and the nest. He also worked with Mr. Andre and the others to locate people on the road while deciding on that path, and took a few days to reach the nest. "It's worth the effort, and it looks like it was a pretty big nest, so we can expect results, though." "Sounds like it. But, Mr. Sarasa. Don't you come out with demons after honey or something? "Oh, that's okay. Because..." At the time I tried to explain why, the store door opened as if I were in a slight panic. Looking that way, two people came in: Mr. Iris and Mr. Kate. "Welcome back -" "Mr. Store Manager! I'll borrow your bathroom! "Oh, yeah, that's free..." Kate, who blocked my greeting from eating, rushed into the back of the store before she could hear my words. It's nothing good...... were you patient? If you're a woman, you don't want to do much in the woods. I leaned my neck a bit and turned back to Mr. Iris, who was smiling bitterly. "Again, Mr. Iris, welcome home" "Welcome home. Did you recover the honey? "Oh, I'm home. Honey. Look, this is the street." Mr. Iris opens his mouth and shows us when he places the leather bag he was in charge of on the counter with a dong. Lorea looked at the hive plate stacked in it and circled her eyes. "Wow, that's a pretty big nest, huh? Is that half of it? "Of course. The manager cautioned me, and I'm a collector." "If we wipe it out, we'll be in trouble after next year." If you retrieve all the nests, you'll get a lot of honey, but if you do that, the rotten fruit bees will be wiped out. This year, even if it's good, we won't be able to collect it after next year, and it will be a nuisance for other collectors. As with other collections, the protection of resources is important. "This is all good to buy, right? It looks like Andre and the others aren't here." "Oh, so please. They're... Kate's not feeling well, either. Straight back to the inn. I can't help it, but was the food I took worse...? "Heh, really? Summer can be more hurtful, so I figured I'd have to be careful with the food...... hmm? You don't feel well in your stomach? "... Could you possibly have licked the honey of a rotten bee, Mr. Andre? "Oh, just a little bit. It was still just luxury honey and it was delicious! You're remembering the flavor then, Mr. Iris, who gladly loosens his cheeks -. "Did you eat it! Mr. Iris too!?" "Ah, ah. Couldn't you? Or, after all, was it awkward to eat luxury food while you were in debt? To Mr. Iris, who wanders his gaze a little, I stand up and raise my voice unexpectedly. "Silly! Silly! I don't care about that! No, I'm not! You can't eat rotten bee honey! Because it's poison! This is why no other animals or demons exist that target the honey of rotten fruit bees. Like some animals that other animals don't eat, only feed on poisonous plants, I guess rotten fruit bees are worms of the same species as that again. "Is...? Huh? The manager. Even luxury honey..." "Fine Honey Raw (...) Fee (...)! Oh, already! Who ate how much! "Mi, guys, about a spoon... I think. No, were the Andres eating some more? As big as this, and the size Mr. Iris indicated with his fingers, I exhale. "... then you won't die, will you? For the time being, you will have a partner agreement with the bathroom. Is Mr. Iris okay? You ate, didn't you? "Oh, oh, luckily I... Mmm! No problem, said Iris, gets a serious look and wrinkles between his brows. and the heavy bass you hear at the same time. Not to mention where it came from. In her honor. "... Lord Store Manager, may I have a seat in the middle for a moment? "I don't mind that... Mr. Kate, you're in there, right? What I don't make clear is how well I grew up? But that margin won't last long either. Dropping off Mr. Iris, who moved into the living space early enough, all I could hear immediately was the sound of 'Don't Don't Don' and knocking on the door and Mr. Iris' voice. "Kate! Get out of here! "I can't. I won't be free for a while." "Don't say that! Please, hey, hey, hey, hey! Going to see what was going on, Mr. Iris, who held his stomach with one hand, was knocking on the bathroom door with a voice he couldn't afford. "I'm sorry. Just give me a second." "I can't wait! It's critical! "I can't afford it either. Moving now...... Ugh! "Kate! Even if I ask so much! "Iris, when you left the house, you said you'd be one of the equals from now on. If it's reciprocal, I'll give my dignity priority! Ugh." "Ugg...... eh. Do something about it! "Hey, there's nothing I can do! "Got it! Give in! Half, half is fine! Let's share! You're my best friend! "I can't even share all this with my best friends! Mr. Iris, you look pretty pinchy, and the sound of knocking on the door is modest compared to the first. My legs are also on my inner crotch and I'm sitting around half of them out. "... Sarasa, can't you do something about it? It's pathetic, Mr. Iris." I shake my head slowly to Lorea peeking in the same way next to me. "Lorea...... That being said, you can't suddenly build more toilets, and even Mr. Kate, you don't seem to be able to afford it, do you? I can't tell Kate, who is suffering at the moment, 'Get out of the bathroom right away'. Saying so, I have trouble getting Mr. Iris to make fun of me over there... "Is this about all I can do now? I grabbed something from the warehouse and let Mr. Iris hold it softly in his hand, who was no longer even able to knock on the door. "And the manager..." Smiling at Mr. Iris looking up at me with his crying eyes, I open the door that leads to the backyard. "In the corner of the garden, please" "Khuuu! Kate! I'll never forget this humiliation! Leaving a throwaway dialogue, Mr. Iris leaves for the backyard with Yolo instead of the scepter I handed him. I lay my eyes down and shut the door quietly to at least not see her like that. - But, Mr. Kate, it's not bad, is it?

翌日。 朝のお客さんが多い時間帯が終わる頃を見計らい、私は魔導コンロの納品に出かける。 荷車なんて持ってないので重ねた物を、背負って。 その様子がちょっとアレだったのか、アイリスさんとケイトさんが『手伝おうか?』とか、『店長さん、潰れません?』とか言ってくれたんだけど、問題ないと伝えて、彼女たちには仕事に行ってもらった。 〇キロ以上はあるけど、持てないわけじゃないし。 しかし......やっぱり、ちょっと重い。 荷車をご近所から借りてくる事も考えたけど、落ちたら壊れるし、ガタガタと揺れる道も怖い。 手間を掛けてしっかりと梱包するぐらいなら、まだ手で運んだ方がマシだよね。 同じ村の中だから、距離も知れてるし。 結構大変だけど。 万が一、気が抜けて身体強化が切れようものなら、私、潰れること確実だから。 そんな緊張感の中、歩くこと十数分。 道中、何人もの村人から、「どうしたの!? サラサちゃん!」とか、「て、手伝おうか?」とか声を掛けられたけど、下手に手を出されても逆に危ないので固辞し、何とか無事に食堂へと辿り着いた。 「おはよーございます。ディラルさん、納品に来ましたよぉ」 「おは――っ サ、サラサちゃんかい? とりあえずそれをここに置きな!」 慌てたように空いていたテーブルを指さしたディラルさんの言葉に甘え、私は慎重に背負っていた魔導コンロを降ろす。 テーブルがギシリと軋み、背中が軽くなる。 「ふぅ~~~。さすがにちょっと疲れました......」 大きく息を吐いて、汗を拭う私に、ディラルさんは腰に手を当て、少し呆れたような表情を浮かべる。 「サラサちゃん、連絡をくれりゃ、若いのを数人連れて取りに行ったのに。値引きもしてもらったんだからさ!」 「いえ~、注文を受けた以上は、きちんとお届けしますよ」 高い物だけに、運搬中に壊れたりしたら、運ばされた人も可哀想だし。 「それで、このコンロ、どこに置こうか?」 「いいよ、いいよ。使い方さえ教えてくれりゃ、設置ぐらい自分でするさね。普通に置けば良いんだろ?」 テーブルの上の魔導コンロを指さす私に、ディラルさんが気軽に言うけど......。 「大丈夫? これ、かなり重いよ? 多分、ディラルさんより」 「あっはっは、そいつぁ、重量級だねぇ」 心配げに言った私の言葉を冗談だと思ったのか、気軽に笑うディラルさん。 「いや、本当だよ? ちょっと持ってみる? 本当に重いから、腰痛めたりしないようにね?」 十分に念を押して、魔導コンロを置いたテーブルの前をディラルさんに譲る。 多分私が持ってきたから大丈夫だと思ってるんだろうけど......不安なので、フォローできるように身構えておこう。 「よっ......! んんっ!?」 ディラルさんがコンロを二枚とも持ち上げようとするけど、ピクリとも動かない。 「重いでしょ? それ、二つ合わせたら、軽く一〇〇キロ超えてるからね?」 「はぁ!? そんなに重いのかい!?」 私より大分体格の良いディラルさんでも、さすがに持ち上がらないでしょ、普通の女性だと。 「ダッド、ちょっと来ておくれ!」 ディラルさんが奥に向かって声を掛けると、厨房からダッドリーさんが顔を覗かせた。 彼はディラルさんの旦那さんで、この食堂の料理を受け持っている人。 美味しい料理を作る、温和で優しそうな人なんだけど、かなり無口で、私はほとんど話したことは無いんだよね。 「あぁ、構いませんよ。私が運びますから」 こちらへやって来ようとしたダッドリーさんを制し、私はコンロを一つ持ち上げる。 「えぇ!? サラサちゃんがこの......って、持ってきたんだったね」 「うん、これでも錬金術師、身体強化ぐらいできるからね。ダッドリーさん、厨房に入っても大丈夫?」 ダッドリーさんがコクリと頷くのを確認して、厨房にコンロを運び込む。 「えーっと、どこに設置したら......」 初めて入った厨房の奥には、家庭用よりも大きなコンロが二つ並んでいた。 少し低めの土台に焚き口が二つあり、上部に穴が空いていて、そこが設置してある。 今の時間はあまり客がいないからか、火は落とされていて、そこには鍋も置かれていない。 ダッドリーさんに目を向けると、彼は頷いて、素早く五徳を取りのけると、その上に横に立てかけてあったぶ厚い板を敷き、竈の穴を塞いだ。 「サラサちゃん、悪いねぇ。そこに二つ並べておいてくれるかい?」 「はい。よいしょっと!」 でっかい鍋を使うだけあって、魔導コンロを二つ置けるだけのスペースはある。 もう一つもすぐに運んできて設置。 「ふぅ~」 これで一応納品は完了。 後は動作確認だけ。 「お疲れさん。ありがとね」 「いやいや、仕事だから。こちらこそ、お買い上げありがとうございます。使い方、説明しておくね」 魔力補充の仕方、火力の調節方法、停止方法、掃除の仕方など、二人に説明したんだけど、素直に反応してくれるディラルさんに比べ、反応の乏しいダッドリーさんはイマイチ読めない。 早速鍋をのせて、火力を強くしたり、弱くしたりしてたから、喜んではいるみたいだったけど。 「火力調節は便利だねぇ。薪だとそのへん、面倒だからねぇ」 「強から弱は少し時間が必要ですけどね、鉄板が冷めるまで」 魔導コンロに加熱機能は付いていても、冷却機能は付いていない。 だから、温度を下げる方向への切り替えは、熱くなった鉄板が自然に冷める程度には時間が必要となる。 そのことも説明したんだけど、ディラルさんは問題ないと頷いた。 「大丈夫さね。弱火が必要な少し前に弱にすれば良いんだろう? 慣れれば何とでもなるさね、ダッド?」 話を振られて、鷹揚に頷くダッドリーさん。 ホント、話さないよね、ダッドリーさんって。 おしゃべりなディラルさんと一緒だと、バランスは良いけど。 ちなみに、薪を使うコンロの場合、燃えている薪を引っ張り出したり、戻したりして火力調節するのだが、一般家庭では面倒くさいのでそんな細かい火力調節をせずに料理する。 焦げそうなら火から下ろす、火加減なんて大して影響しない煮込み料理にする、など、庶民の食卓なんてそんなもの。 孤児院だと、ほとんどの食事は色々放り込んだスープとパンの二品だけだったからね。 それなりに具は入っていたけど、孤児たちが自分たちで作る物だから、そんなに美味しくはなかったなぁ......。 今はロレアちゃんが美味しい料理を作ってくれるようになったので、とても助かっております。 ホント、ありがとう。 「そいじゃサラサちゃん、確かに受け取ったから、これ、代金ね。確認しとくれ」 「あ、はい」 私があの頃の貧相な食事を思い出していると、ディラルさんが奥から革袋を持ってきた。 受け取ったそれを覗いてみると、たくさんの硬貨がジャラジャラと。 代金はレアなので、最小枚数なら、大金貨二枚と、金貨七枚で済むわけだけど、大金貨は普通の商売ではまず使われない。 ここみたいな庶民向けの食堂だと、金貨も珍しいんだけど、革袋の中には......数枚あるかな? 残りは銀貨と小銀貨。 なので、革袋はずしりと重く、枚数も多い。 私はテーブルを借りて、それを数え、間違いの無いことを確認。 「――はい、確かに頂きました。お買い上げ、ありがとうございました」 「はいよ。こっちも助かったよ、思ったよりも安く買えて。これで、楽になるよ。薪割りは大変だからねぇ......」 しみじみと言うディラルさんの後ろで、早速魔導コンロを使って料理をしていたダッドリーさんもまた、深く頷いている。 このぐらいの規模の食堂で一年に使う薪の量がどの程度になるのか私には判らないけど、決して少なくない事は簡単に想像が付く。 それを自分たちで割っていたら......あぁ、なるほど。 ディラルさんの腕っ節はそうやって鍛えられたのかも? 「便利だとは思うんですけど、ディラルさん以外に買ってくれそうな人がいないのが問題ですね」 「この村だとねぇ。けど、今回の件であたしたちも多少金を持っているからね、あまり高くなくて、ちょっと便利な物なら売れるんじゃないかい?」 「かもしれませんね。考えてみます」 ちょっと便利な物として、初級解毒薬を店に並べたけど、もう少し違う物があっても良いかもしれない。 ただ、村のことを考えると、払う方向でも何か考えたいところ。 私が現金を全部回収してしまったら、村の発展という意味ではマイナスだし......。 「良い物ができたら教えておくれ。余裕があれば、買うからさ!」 「はい。その時はお願いします」 ポンとお腹を叩いてそんな事を言うディラルさんに別れを告げ、私はお店へと戻った。

The next day. In anticipation of the end of the time when I have a lot of morning customers, I head out to deliver the Magic Guided Stove. I don't have a luggage truck, so carry two layers. Did that look a little arrogant, when Mr. Iris and Kate said, 'Do you want me to help?' Or, 'Mr. Store Manager, can't you crush it?' Or so he told me, but I told them it was no problem, and they went to work. I have over 0 kilos, but it's not like I can't have them. But...... after all, it's a little heavy. I thought about renting a luggage truck from your neighborhood, but if it falls, it breaks, and I'm afraid of the rattling and shaking roads. If it's enough to take the trouble to pack it tight, it's still better to carry it by hand, isn't it? It's in the same village, so I know the distance. It's pretty tough though. In case you lose your mind and lose your physical strength, I'm sure you'll crush it. A dozen minutes of walking in such tension. On the road, from many villagers, he said, "What's wrong!? Sarasa!," or, "Well, can I help you?" I was called out, "but the opposite was dangerous even when my hands were poorly placed, so I praised him and managed to reach the dining room safely. "Thank you. Mr. Dilal, I'm here to deliver." "Oh-ho, Sarasa-chan? Put that here for now! Sweet for the words of Mr. Dilal, who pointed to the empty table as he panicked, I unload the magic guide stove, which I was carefully carrying. The table creases and lightens its back. "Huh. I'm just a little tired..." Exhale loudly and wipe the sweat on me, Mr. Dilal puts his hands on his hips and gives him a slightly frightened look. "Sarasa, if you'd contacted me, I'd have taken a few young ones. I even got a discount! "No, more than I received an order, I will deliver it properly" If only for expensive items, broken during transport, it would be pathetic to be transported. "So where do we put this stove? "Fine, fine. If you can even tell me how to use it, I'll install it myself. You should just put it down normally, right? Mr. Dilal casually tells me pointing to the Magic Instructor stove on the table...... "Are you okay? This is pretty heavy, huh? Maybe from Mr. Dilal." "Ha-ha, hey, that's heavyweight" You thought I was joking about what I said worryingly, Mr. Dilal, laughing casually. "No, it's true, right? Want to hold it for a second? It's really heavy, so don't hurt your back, okay? Press sufficiently precautionary to give way to Mr. Dilal in front of the table where the Magic Instruction Stove was placed. Maybe you think it's ok because I brought it... I'm anxious, so let's figure it out so I can follow you. "Yo......! Hmmm!?" Mr. Dilal tries to lift both of the stoves, but it doesn't even work with Pickle. "It's heavy, isn't it? Well, if you put the two together, it's a little over a hundred kilometers, right? "Huh!? Is it that heavy?!?" Even Mr. Dillall, who's a lot better in shape than me, just won't lift it, that she's a normal woman. "Dud, come here for a second! Mr. Dudley peered into his face from the kitchen as Mr. Dillall spoke towards the back. He is Mr. Dilal's husband, the one who has this dining room dish. I cook delicious food, I'm a gentle, tender person, but I'm pretty silent, and I've barely talked about it, have I? "Oh, I don't mind. I'll carry it." I control Mr. Dudley, who tried to come this way, and I lift one stove. "Yeah!? Sarasa brought this..." "Yeah, I can still do this, alchemist, because I can about strengthen my body. Mr. Dudley, is it all right if I come into the kitchen? Make sure Mr. Dudley snorts cocklessly and brings the stove into the kitchen. "Er, where would I install it..." Behind the kitchen where I first came in, there were two bigger stoves lined up than for home use. There are two incineration openings at a slightly lower base, with holes in the upper part, where the five virtues are installed. Because we don't have a lot of guests right now, or the fire has been dropped, and there's no pot placed there either. Turning to Mr. Dudley, he nodded and quickly took the five virtues, laying the thick planks that stood beside him, blocking the hole in the "Sarasa, that's bad. Will you put two in line there? "Yes. Come on! There's just room to use a big pot and put down two demon guided stoves. Bring the other one right in and install it. "Phew." Now the delivery is complete. After that, just check the operation. "Good day. Thanks." "No, no, because it's work. Welcome and thanks for your purchase. I'll explain how to use it." I explained to the two of you how to replenish magic, how to regulate fire, how to stop, how to clean, etc., but Mr. Dudley, who is less responsive than Mr. Dillall, who is honest with me, can't read it badly. I put the pan on quickly and it made the fire stronger or weaker, so he seemed happy though. "Fire regulation's handy. Firewood is a hassle." "Strong and weak need a little time, but until the iron plate cools down" Even if the demonic conductor stove has a heating function, it does not have a cooling function. Therefore, switching in the direction of lowering the temperature will require time to the extent that the hot iron plate naturally cools. I also explained that, Mr. Dilal nodded that it was no problem. "You're okay. Should we make it weak a little before we need a weak fire? If you get used to it, you can do anything, right, Dud? Mr. Dudley snorted at Eagle Deep Fried after being told the story. Really, you don't talk, do you, Mr. Dudley? With the chatty Mr. Dilal, it's a good balance, though. Incidentally, in the case of stoves that use firewood, they pull out or return burning firewood to regulate their firepower, but cook without such fine firepower regulation because it's a pain in the ass in the general household. If you're going to burn, take it down from the fire, turn it into a simmering dish that doesn't greatly affect fire reduction, and so on, and so on. A common man's table is such a thing. At the orphanage, most meals were just two dishes of soup and bread thrown in. It had quite a few utensils in it, but it wasn't that tasty because the orphans make their own... Lorea is so helpful now that she can cook delicious dishes. Thank you, really. "Well, Sarasa, I did get it, so this is the price. Confirm it." "Oh, yes." When I was remembering a poor minister's meal back then, Mr. Dillall brought a leather bag from the back. I received it. Take a peek at it, lots of coins are jarring and. The price is Rs. 270,000, so if it's the smallest number of pieces, it takes two large gold coins and seven gold coins, but large gold coins are not the first to be used in normal business. When it's a dining room for ordinary people like here, gold coins are rare, but in leather bags...... do you have a few? The rest are silver and small silver coins. So leather bags are sloppy and heavy, and there are many of them. I borrow the table, count it, make sure there's no mistake. "- Yes, I did get it. Thank you for your purchase." "Yes. Thanks for the help, it's cheaper than I thought. That'll make it easier. Salaries are tough..." Behind Mr. Dillall, who says he's smudged, Mr. Dudley, who was quickly cooking using the Magic Instruction Stove, is also nodding deeply. I don't know how much firewood I would use a year in a dining room this size, but I can easily imagine that it's never small. If we'd divided that ourselves...... oh, I see. Maybe that's how Mr. Dillall's arm was trained? "I know it's convenient, but the problem is that no one else is going to buy it for me but Mr. Dilal" "It has to be this village. But we have a little bit of money in this case, so if it's not too expensive and it's a little convenient, we can sell it, right? "Maybe. I'll think about it." As a bit of a convenience, I arranged the primary antidote in the store, but maybe I could have something a little different. However, when I think about the village, I also want to think of something in the direction of paying. If I recover all the cash, it's negative in the sense of village development... "Let me know when you have good stuff. If you can afford it, I'll buy it! "Yes, then please" I said goodbye to Mr. Dilal, who slapped me in the stomach and said that, and I went back to the store.

「大丈夫? 事情も聞かず思わずやっちゃったけど――何があったの?」 私がロレアちゃんに向き直って尋ねれば、彼女は少し困惑したように頷き、事情を説明した。 「は、はい。えっと、よく判らないんですけど、お店に入るなり暴れ始めて」 見回せば、私たちがお茶会とかに使っているテーブルと椅子が倒れている。 なるほど、あれには防犯の刻印が効果を発揮しないから、彼らも無事だったのか。 私たちが椅子に蹴躓くこともあるからね。 「怪我はないみたいだね。良かった」 私はクルミをカウンターの上に置き、少し震えているように見えるロレアちゃんを抱きしめて頭を撫でた。 多少の荒事には慣れている私やアイリスさんたちと違い、ロレアちゃんはただの村娘。 これまで知り合いばかりの村から出ることもなく、人から悪意を向けられる機会なんて、なかったのだろう。 「ロレア、被害は?」 「そちらも大丈夫です。テーブルと椅子を倒されただけで、すぐに皆さんが来てくれたので」 私に続いて出てきたアイリスさんが倒れていたテーブルと椅子を起こしながら尋ねれば、ロレアちゃんは私に抱かれたまま、コクリと頷いた。 それに続いてケイトさん、更には殿下までこちらに移動してくると、殿下は少し面白そうな表情で、店内とカウンターの上に飛び乗ったクルミを眺める。 ですか? さすがはミリス師の弟子ですね」 「恐縮です。――刻印の方は、元々このお店にあった物ですが」 防犯の刻印にはその機能として、店内の物に一定以上の速度でぶつかりそうになった場合、それを防ぐ膜が発生し、その対象物が生物であれば麻痺させる効果がある。 といっても、その効果が及ぶのは棚やカウンターなど備え付けの物のみで、後から置いた物には効果が及ばない。 細かく調整すれば対応することもできるけど、クルミという、より高機能で判断能力もあるボディーガードが付いているから、その必要性がないんだよね。 はサラサさんが作ったのでしょう? ノルドから腕の良い錬金術師とは聞いていましたが、これなら安心して任せられそうです」 「ありがとうございます。しかし、この人たちは......何なんでしょうね? 買い取り価格が不満とか、商品が高いとか、そういう理由があるならまだしも」 私がこのお店を開いて以降、多少は柄の悪い採集者もいたけれど、ヘル・フレイム・グリズリーの件があるからか、いきなり暴れ出すような人はいなかった。 防犯の刻印に関しても、これまでその機能が活躍したのは、悪質な採集者が言いがかりを付けてカウンターを強く叩いた時のみ。 保険だったクルミの存在が、本当に役に立つ日が来ようとは。 う~ん、見たことない顔だし、最近新しく来た採集者がイキってみただけ? ウチでそんなことしても優遇なんてしないし、出禁にするだけなんだけど。 「店長さん、この人たちはどうするの?」 「そうですね......外に放り出しておきましょう」 事情を訊きたいところだけど、間の悪いことに今日は殿下がおられる。 まさか放置して事情聴取にかまけるわけにもいかず、私とケイトさんずつ、意識のない男を引き摺って店の外に出る。 そのまま店の敷地の外まで移動した私たちは、ふかふかの雪のお布団の上に彼らを寝かせてあげた。 ちょっと冷たいから、風邪ぐらいは引くかな? でも、それは自業自得だよね。 もしロレアちゃんが怪我でもしていようものなら、厚い掛け布団も奢ってあげるところだけど、そこまでは勘弁してあげよう。 私は優しいからね。 ◇ ◇ ◇ 「お待たせ致しました」 「いえ、かまいませんよ。――ああいう採集者は多いのですか?」 応接室、再度向かい合った殿下にそう尋ねられ、私は首を振った。 「いえ、初めてです。多少凄んだりする採集者はいましたが、いきなり暴力に訴えるようなのは......。初めて見る顔でしたし、この村に来たばかりなのかもしれませんね」 「そうですか......。何かあれば言ってください。ノルドがかけた迷惑分ぐらいは手助けしましょう」 「恐れ入ります。でも大丈夫だと思います。ご覧頂いた通り、あの程度であれば」 多少のことなら、あっさりと解決できるぐらいに王族の力は絶大。 だけど、その力を借りるなんて、正直怖すぎる。 どう考えても厄介事の臭いしかしないから! 借金は計画的に。 利率の判らない借りは絶対に避けるべし!! あっという間に膨らんで、身動き取れなくなってるかもしれないからね。 そんなことを考えながら引き攣った笑みで謝絶した私に、殿下の方は面白そうな表情を浮かべた。 「そうですか? まあ良いでしょう。――それで、髪の毛でしたか?」 「はい。この瓶の中に、取りあえず数本ほど。それから――」 差し出された髪の毛を瓶の中に回収し、殿下の魔力の質、肌の状態など、いくつかの検査を行う。 更には時間をかけた丁寧な問診。 この結果によって素材の配合を変えるので、一般的な もっとも本を参考に決めれば良いだけなので、そこまで難しくはないんだけど。 けど、こういうタイプの 個々に合わせた配合を見つけようと思えば、多くの症例に加え、それらの人が錬金術師に依頼できる財力も持ち合わせている必要があるから。 が必要になる状況って、大抵の場合は緊急時。 詳細な研究をする余裕なんてないよね、お金も掛かるし。 でも発毛剤については、錬金術大全で費やされている紙幅はかなりのもの。 これを見れば、世の男性方がどれだけ悩んできたか、戦ってきたか、そしてお金を費やしてきたか、想像するのは難くない。 ちなみに、個々に合わせた配合がある 男性の頭髪の悩みと同じかそれ以上に、女性の美に掛けるコストはとんでもないのだ。 「――殿下、お疲れ様でした。これで終了です。素材を集めることを考えると、完成までに数週間は必要ですが......いかが致しましょうか?」 「では、また折を見て訪れるとしましょう。よろしくお願いします」 「はい、お任せください」 殿下が立ち上がるのにあわせて私も立ち上がり、一人で出口まで案内する。 アイリスさんとケイトさん? もちろん、私が問診を始めた頃には、『私たちにできることはないから』と、早々に逃げちゃったよ? 殿下を見送るためにやってきた店舗スペースに、ロレアちゃんの姿も見えないのは、たぶんアイリスさんたちが引っ張って、店の奥に連れて行ったから。 けど、それについては何も言うまい。 殿下相手に、慣れていないロレアちゃんが下手なことをしちゃったら、取り返しが付かないし、私も気持ちは解るから! 権力者とはあまり関わりたくないよね。 どっちかと言えば、アイリスさんはそっち側だけど! 店の扉を開け殿下を送り出すと、私は深く頭を下げる。 「お気を付けて」 やっと帰ってくれる、そんな気持ちが漏れないよう私は深々と頭を下げると、雪を踏む音が聞こえなくなるまでそのまま待機。 やがてゆっくり身体を起こし、何事もなく終わった訪問に、深く安堵の息を吐いたのだった。

"Are you okay? I didn't even ask what was going on. I did it unexpectedly. - What happened? If I turned to Lorea and asked, she nodded a little confused and explained the situation. "Yes. Uh, I'm not sure, but when I go into the store, it starts rumbling." If you look around, the tables and chairs we use for tea parties and stuff are down. I see, because the security engraving doesn't work on that one, were they safe, too? Sometimes we kick in the chair. "Looks like you're not hurt. Good." I put the walnut on the counter and stroked my head with a hug that looked a little trembling. Unlike me and Mr. Iris, who are used to some rough stuff, Lorea is just a village daughter. I guess I've never had a chance to get out of a village I've only known before and be malicious from people. "Lorea, what's the damage? "That's okay, too. Because they just knocked down the table and chairs, and you all came right away." Asked while waking up the table and chair where Mr. Iris was falling out following me, Lorea nodded cocklessly as she was held by me. Following that, Mr. Kate, and even traveling here to His Highness, His Highness looks a little funny and looks at the walnuts jumping in the store and on the counter. "It's a brilliant thing. Security engraving and alchemy (homunculus)? That's Master Millis's apprentice." "I'm afraid. - The engraver was originally in this store." One of the features of security engraving is that if you are about to hit an object in the store at a constant or higher speed, a membrane will occur that will prevent it, and if the object is an organism, it will have the effect of paralyzing it. Even so, only items equipped with shelves, counters, etc. have an effect, which does not extend to items placed later. If you adjust it in detail, you can handle it, but it has a higher-function, judgmental bodyguard called walnut, so you don't need it. "The engraving is true, but the alchemy (homunculus) was made by Mr. Sarasa, right? I've heard from Nord that he's a good alchemist, but he's going to be relieved of this." "Thank you. But these people... what is it? If you're unhappy with the buyout price, or the product is expensive, or for that reason, maybe not yet." Since I opened this store, there have been some poorly patterned gatherers, but no one has suddenly rumbled out because of the Hell Flame Grizzly thing. Even with regard to the engraving of crime prevention, that feature has only ever been active when a malicious gatherer taps the counter hard with a claim. I didn't know the existence of walnuts, which was insurance, would ever come in handy. Uh-huh, it's a face I've never seen, and a new collector recently just tried to squirt? I don't give you preferential treatment even like that on us, and I'm just gonna ban you from leaving. "Mr. Store Manager, what do these people do? "Right...... let's throw it outside" If it's true, I'd like to ask Ding (...) Ning (...) about the situation, but the bad things in between, Your Highness is here today. I can't just leave it and ask about the situation, me and Kate, one by two, pulling an unconscious man out of the store. Traveling straight outside the store premises, we put them to sleep on a fuzzy snow futon. It's a little cold, so do you want to catch a cold or something? But you deserve that, don't you? If Lorea is going to get hurt, I'm going to give her a thick duvet, but I'll give her a break. I'm sweet. ◇ ◇ ◇ "Thank you for waiting." "No, I don't mind. - Oh, are there many collectors like that? Reception room, that's what His Highness asked me across the street again, and I shook my head. "No, it's my first time. There were collectors who were somewhat awesome, but suddenly they suddenly complained of violence... It was the first face I saw, and maybe you just came to this village." "Really...... If you need anything, say it. I can help you with as much trouble as Nord has caused." "I'm afraid so. But I think it's okay. As you can see, to that extent." If anything, the royal power is enormous enough to solve it lightly. But I'm too scared to use that power, to be honest. Because whatever you think, it only stinks of trouble! Debt is planned. Never avoid borrowing without knowing the interest rate!! It may be swelling up in no time, and you may not be able to get around. His Highness gave me an interesting look when I apologized with a cramped grin as I thought about it. "Really? Well, that would be good. - So, was it your hair? "Yes. In this bottle, about a few for now. And then..." Collect the hair offered into the bottle and perform some tests, including the quality of His Highness's magic and skin condition. Plus, I spent a lot of time politely questioning him. Because this result changes the formulation of the material, the smelting effort is slightly different from that of common smelting drugs (potions). I just need to make the most decisions about the book, so it's not that hard. But these types of smelters (potions) are rarely available. Because if you want to find an individually tailored formula, in addition to many cases, you also need to have the financial resources that those people can request from an alchemist. Finally, the situation where smelting drugs (potions) are needed is mostly an emergency. You can't afford to do detailed research, it costs money, too. But for hair growth agents, the paper width spent on all the alchemy is quite a bit. Seeing this, it's not hard to imagine how much the men of the world have bothered, fought, and spent their money. Incidentally, one of the major genres of smelting drugs (potions) that have individually tailored formulations can be cosmetic. There is no greater cost to women's beauty than the problem with men's hair. "- Good luck, Your Highness. That's it. Given the collection of materials, it is necessary to have a sense of collection by the time it is completed... How about that? "Well, let's say we see you again and visit. Best regards," "Yes, leave it to me" In conjunction with His Highness rising, I will also rise and guide you to the exit alone. Mr. Iris and Mr. Kate? Of course, by the time I started checking in, 'cause there's nothing we can do,' you ran away early, didn't you? I don't even see Lorea in the store space I came to drop off Her Royal Highness, probably because Mr. Iris pulled her off and took her to the back of the store. But I can't say anything about that. Your Highness, if you do something bad to someone you're unfamiliar with, Lorea, you can't take it back, and I know how you feel too! You don't want to get too involved with the powerful. Either way, Mr. Iris is on that side! When I open the store door and send His Highness out, I bow my head deeply. "Take care." He finally returns, so that such feelings don't leak. I bow my head deeply and wait until I can't hear him step on the snow. Eventually he woke up slowly and exhaled deeply in relief at the visit, which ended without a thing.

しかし残念ながら、アイリスさんにそんなタイミングの良さがあるわけもなく。 お店の扉が開く音は聞こえなかった。 くそう。やるしかないかぁ......。 「殿下、サウス・ストラグの兵士たちは命じられただけであり――」 「指揮官の責任卒に負わせるほど、私は愚か者ではありませんよ」 意を決して、恐る恐る言った私の言葉を遮るように、殿下はそう断言した。 紛争であれば、上官の命令に従っただけの兵士が処刑されるようなことはまずない。 しかし、今回は私やアイリスさんを暗殺しようとしたようなもの。 暗殺であれば、その実行犯は余程のことがなければ処刑される。 ......あ、もしかして、紛争として処理しようとしている? 私が窺うように顔を見ると、殿下はニヤリと人の悪い笑みを浮かべる。 「私は今回、カーク準男爵を完全に潰すつもりです。ですが、それができそうになければ、手を出すつもりはありません。中途半端は好みませんから」 そうして、私を試すかのようにじっと見た。 えっと......、もしかしてその道筋を私に考えろ、と? 大して情報も持っていない私に、なんて酷い無茶振り。 こんな上司が職場にいたら、辞職を考えるところだよっ。 救いなのは、懸かっているのがマディソンたちの命で、私たちの命じゃないところかな? 「......襲撃の証人を出すことはできます」 「それでは弱いですね。命令書でもあれば別ですが、証言者は平民でしょう?」 やっぱりそこが問題になるかぁ。 いくら怪しかったとしても、平民の証言だけで貴族を罰することはできない。 『勝手にやったことだ』と強弁されてしまえば、問えるのは監督責任ぐらい。 そうなれば逆に、マディソンたちの立場が厳しくなる。 アイリスさんは貴族だけど......彼女の証言では襲われたことは認められても、カーク準男爵の指示とは証明できない。 「錬金術師が協力していたようですが、そちらから攻めるのはいかがでしょうか?」 「ジョーゼフですか? あれも一応は貴族です。簡単にはいきません」 「申し訳ありません。名前までは把握しておりません」 おそらくは、サウス・ストラグで阿漕な商売をしていた錬金術師のことだと思うけど、確証はないし、そもそも私、あの人の名前を知らない。 レオノーラさんなら知っていると思うけど、お店が潰れた後は気にしてなかったから。 私が正直に答えると、殿下は面白そうに片頬を上げる。 「ふむ。まさか奴も自分の店を潰した相手に、名前すら知られていないとは思ってもいないでしょうね。あなたのことをかなり恨んでいるようですが?」 「逆恨みですね。私がしたのは注意喚起ぐらいですから」 そう、私がしたのは。 レオノーラさんが何をしたかは、私の知るところじゃないからね。 「ふふっ、確かに潰れてしかるべき店であったようですね。――錬金術師養成学校も全体としては順調ですが、それでも一定数はダメな者が輩出されるのは避けられませんか」 まぁ、人格とか、協調性とかは問われないしね。試験では。 悪い方向に有能だったとしても、卒業はできる。 そもそも協調性に関しては、私も人のこと、言えない。 「できればジョーゼフの は失効させたいところですが――」 「彼が作ったという そのためには証拠が必要ということなのだろうと、私がそう言えば、殿下は満足そうに頷く。 「上出来です。カーク準男爵本人についてはどうです?」 「今回の襲撃については生憎。一応、それ以外の問題行動について調査した資料はありますが、明確な証拠などは......」 何かの役に立つかと、先日レオノーラさんから貰った情報などを、私なりに纏めて資料を作ってはみたけれど、大半のものは貴族であれば簡単に握りつぶせそうなものばかりで、決定打と言えるほどのものはなかった。 しかし殿下は私の言葉を聞き、ニッコリと手を差し出した。 見せろということですね。解ります。 「こちらに」 急いで資料を取りに行って殿下に手渡せば、殿下はそれをパラパラと眺めて、「ほぅ?」と感心したような声を漏らした。 「ここまで調べましたか。思った以上に優秀ですね?」 「恐れ入ります。ですが、それを調べたのは私ではございません」 「誰が調べようと関係ありません。この情報を手に入れられたことに意味があります」 評価してくれるのは嬉しい。 けど、何だか試されているような? カーク準男爵を排除することは私の意に適うとはいえ、殿下がその気になれば私に証拠や情報を求める必要、ないよね? 「......この程度の情報、殿下であれば既にご存じだったのでは?」 「そうでもありません。現地の生の情報は十分な価値があります」 ホントかな? 不敬かもしれないけど、その笑顔が怪しいよ? 「あとは捕らえるだけですね」 まさか、それまで私にやれとは言わないですよね? この前みたいに、のこのこと私のお店にやって来れば簡単に捕まえられるけど、絶対に面倒くさいことになるし、サウス・ストラグで捕まえようとすれば、多人数を相手にした戦闘が発生しかねない。 どう考えても、一介の錬金術師がやるようなことじゃない。 ロッツェ家は......個人的な武力はともかく、軍事力としては当てにできないしね。 「心配せずとも、策は考えてあります。さて......長話をすると、喉が渇きますね」 私の戸惑いを感じたのか、殿下は肩をすくめると、ゆっくりとソファーに座り直して露骨に飲み物を要求してきた。 ――さっさと帰って! などと、思っても口には出せず、私は少々迂遠な表現を使う。 「田舎故、生憎と粗茶しかご用意できません」 「構いませんよ。多少口に合わずとも、現地の物を食すのも一興ですから」 でも、提供する方のことも考えて! 毒味をする人もないから、あえて出さなかったのに。 でも、要求されれば出さざるを得ない。 「......かしこまりました」 「あぁ、ついでに何か摘まめる物も欲しいですね。甘味などあれば言うことありません」 ――さすがは王子様、図々しいね! 田舎村に何を期待しているの!? お菓子屋さんなんてないこと、理解しているのかな!? 腐果蜂の蜂蜜でも出してあげようかな? ......そんなことしたら、私の首がピンチだからやらないけど。 「申し訳ないのですが、このような場所ではすぐにご用意することは......」 「構いませんよ。時間はありますから」 こっちは暇じゃないんだって。 お茶だけ飲んでさっさと帰れ、ということが伝わらなかったらしい。 王子様なら言葉の裏を読め! ――読んだ上で無視している可能性も、無きにしも非ず、だけど。 「それでは、少々お待ちください」 下っ端の悲哀を感じつつ、私は席を立った。 ◇ ◇ ◇ 「ねぇ、ロレアちゃん。クッキーって余ってなかったっけ?」 「え、クッキーですか? 昨日のお茶の時間に作ったのが残ってますけど......まだお帰りになっていませんよね?」 台所のことはロレアちゃんに聞こうと、私がお店の方に顔を出せば、ロレアちゃんが不思議そうに振り返った。 「うん。ちょっとお茶菓子が必要になってね」 「えっ? ――わっ、わわ、(私の作ったお菓子を王子様にお出しするんですか!?)」 一瞬、私が何を言っているのか理解できなかったのか、ポカンと口を開けたロレアちゃんは、すぐに我に返り、小声で叫ぶという技術を披露してくれた。 「仕方ないよ。このへんにお菓子を買える場所なんてないでしょ? ダルナさんの所に行ってみても良いけど......」 「お父さんのお店にある物なんて、もっと酷いですよ!」 酷いは言いすぎだけど、サウス・ストラグで仕入れて運んでくる関係上、お菓子と言うよりも保存食とか、非常食とか言った方が近いのは間違いない。 「うん、だから、昨日の残りを――」 「ま、待ってください! せ、せめて、できたてをお出しします!」 ロレアちゃんはそう言うなり、表の看板を『休憩中』にひっくり返し、台所に駆けていった。 「あ、さすがにそれは時間が――まぁ、いっか。時間がかかるとは言ってあるから」 不躾にお菓子を要求する人なんて、昨日の残りで十分な気もするけど、それでしびれを切らしてお帰りになるなら、逆にありがたいぐらい。 じっくりとお待ち頂こう。 もしくは、お帰り頂こう。 そして私も、お茶の準備をするためにロレアちゃんの後を追った。

- I Also Want To Clean Up My Client () Unfortunately, Iris doesn't have such a good timing. I didn't hear the store door open. Damn right. I guess I'll have to... "Your Highness, the soldiers of South Strag were only ordered..." "I'm not stupid enough to hold a soldier responsible for a commander." His Highness assured me that he would never be afraid to block my words. In the event of a conflict, it is unlikely that soldiers will be executed just for following orders from their superiors. But this time, it's like you tried to assassinate me or Iris. If it is an assassination, the perpetrator will be executed if nothing remains. ... ah, are you trying to handle this as a dispute? His Highness smiles badly when he looks at me as I admire him. "I am going to crush Baron Kirk completely this time. But if it's not possible, I'm not going to do it. I don't like halfway through." So he stared at me as if he were trying me. Um... maybe you want me to think about that path? I don't have much information, what a terrible shame. If a boss like this were at work, he'd be thinking about resigning. Is it the lives of Madisons that are at stake to save us, not ours? "... we can provide witnesses to the assault." Then you're weak. Unless it's a warrant, is the witness a civilian? I knew that would be a problem. No matter how suspicious you may be, you cannot punish a nobleman just for testifying against a civilian. If it is strongly argued that 'I did it on my own', the question is about the supervisory responsibility. Then, on the contrary, Madisons' position will be tighter. Iris is noble... but her testimony admits that she was attacked, but it doesn't prove to be Baron Kirk's order. "It looks like the Alchemist was working together, but how about attacking from there? "Joseph? That is also a nobleman. It won't be easy." "I'm sorry. I don't even know his name." I think it's the alchemist who was doing business in South Strag, but I'm not sure, and I don't know his name in the first place. I think Leonora knows, but I didn't care after the store collapsed. When I answer honestly, His Highness raises one cheek funny. "Hmm. You don't think he doesn't even know his name when he smashed up his shop? You seem to have a lot of resentment for you? "It's a resentment. I did it to alert you." Yes, I did. I don't know what Leonora did. "Fufu, it certainly seemed like a store that should have been crushed. --The Alchemist Training School is also doing well overall, but is it inevitable that a certain number of bad people will be born?" Well, I don't care about personality or collaboration. In the exam. Even if you were competent in the wrong direction, you could graduate. When it comes to coordination in the first place, I can't say anything about people either. "Hopefully Joseph's Alchemy's License will expire." "We have the potion that he made." If I say so, His Highness nods satisfactorily as to whether evidence is necessary to do so. "Excellent. What about the Baron Kirk himself? "I hate this raid. For now, I have research on other problematic behaviors, but no clear evidence...." I tried to compile the information I received from Leonora the other day and make some materials for myself, but most of them were easy to grasp if they were aristocrats, and there was nothing that could be said to be a decision. But His Highness listened to me and put out his hand with nickel. I told you to show it to me. I understand. "Here." If you hurry to get the documents and hand them over to His Highness, His Highness looks at them paralytically and says, "Huh?" I heard an impressive voice. "Have you checked this far? You're better than I thought, right? "I'm sorry. But I didn't look into it." "It doesn't matter who investigates. It makes sense that you got this information." I'm glad you appreciate it. But is it like you're trying something? Eliminating Baron Kirk is in my best interest, but you don't need to ask me for evidence or information if your Highness is concerned, do you? "... you already knew about this kind of information, Your Highness? "That's not true. Local raw information is valuable enough." Is that true? You may be disrespectful, but your smile is suspicious. "All we have to do is catch him." You're not telling me to do it until then, are you? As before, if you come to my shop with me, it will be easy to catch, but it will definitely be troublesome, and if you try to catch me in South Strag, there may be a battle against a large number of people. Whatever you think, it's not what an alchemist does. The Rotze family... can't rely on military power, even if it's personal. "Don't worry, I have a plan. Well... long story, I'm thirsty." Feeling confused about me, His Highness shrugged his shoulders and slowly sat back on the sofa demanding a drink. - Get out of here! Even if I think about it, I can't say it, and I use a slightly detached expression. "Because of the countryside, we can only serve raw hate and crude tea." "I don't mind. Even if it doesn't suit me a little, I'm happy to eat local food." --That's what a prince looks like! But think about who you're offering! I didn't dare to give it to anyone because they didn't have a poisonous taste. But if you ask me, I have to. "... yes." "Ah, and I want something to pick. There's nothing to say if it's sweet." What do you expect from a country village!? Do you understand that there is no confectionery shop!? Shall I serve you the honey of a rotten fruit bee? ... if you do that, I won't do it because my neck is pinched. "I'm sorry, but in places like this, I can't get you ready right away...." "I don't mind. I have time." I'm not free. They didn't tell me to drink only tea and go home soon. If you're a prince, read the back of your words! --It is possible to ignore it after reading it, but Now, please wait a moment. Feeling the sadness at the bottom, I took a seat. ◇ ◇ ◇ "Hey, Lorea. Didn't you have enough cookies? "Eh, cookies? I left what I made yesterday during tea time... but you haven't come home yet, have you? I asked Lorea about the kitchen, and when I looked at the store, Lorea looked back strangely. "Yeah, I need some tea." "Eh? - Wow, (You're going to serve my sweets to the prince!?)" For a moment, I couldn't understand what I was saying, and Pocahontas and Lorea opened their mouths and immediately returned to me, showcasing the technique of screaming in a small voice. "I can't help it. There's no place in this neighborhood where you can buy sweets, right? I could go to Daruna-san's place....." "What's in Dad's shop is even worse! Too bad, but I'm sure it's closer to saying something like preserved food or emergency food than to saying something sweet, because it's bought and transported in South Strag. "Yeah, so, the rest of yesterday..." "Well, wait! Let me at least give you a fresh one! Lorea said so and turned the sign in front of her to "during the break" and ran to the kitchen. "Ah, that just takes time - well, let's see. I told you it would take time." I think the remainder of yesterday will be enough for someone who carelessly requests sweets, but if you go home with a numbness, I'd appreciate it. Please wait a little longer. Or you can go home. And I followed Lorea to prepare the tea.

が私たちに攻撃目標を変えたことで、周囲にいた人たちはアイリスさんの警告通りに左右に逃げ出したり、逃げ遅れて撥ね飛ばされたりしているが、今はそれを気にしている場合ではないだろう。 「行くぞ!」 「はい!」 ケイトさんとロレアちゃんをその場に残し、私とアイリスさんは走り出す。 狙うのは脚。 の厄介な点は、普通なら足を取られるような深い雪の上でも、素早く移動ができること。 その速度を奪うことができれば、 ケイトさんが損傷させた触角の側を目掛けて走れば、これまで相手をしていた人たちとは違う私たちの速度に驚いたのか だが予備動作の大きいその攻撃は、雪に足を取られさえしなければ、避けることも難しくない。 先を走るアイリスさんは更に速度を上げ、斜め前方に跳ねるようにしてそれを避け、私は少し速度を落とし、目の前を通過する触角を見送る。 触角が雪の中にめり込み、粉雪が白く舞い上がる。 その中に飛び込むように踏み出した私は、抜き放っていた剣を振り抜いた。 感じられたのは、カツンという僅かな手応え。 それだけで私の脚よりも太い触角が半ばほどで断ちきられ、地面に倒れる。 同時に先ほどよりも大きな鳴き声が耳を打つ。 そして、触角を失ったことが原因なのか、ぐらりと崩れる 「さすが店長殿!」 そう賞賛を口にしたアイリスさんの動きも素早かった。 敵の動きに戸惑うこともなく踏み込み、剣を叩きつけるように振り下ろす。 ガツン! 硬い音と共に破壊されたのは、左前足先端の関節部分。 それにより、雪面を滑るために使用している平らな部位がポロリと取れた。 「ナイスです、アイリスさん!」 が柔らかい雪の上でも身体を支えられるのは、その足先があるからこそ。 それがなくなればどうなるか。 脚が雪の中に沈み込み、更に体勢が崩れることになる。 「この調子で、左側の足を奪ってしまいましょう」 「そうだな!」 の攻撃方法は、雪上での速度を生かした体当たりと、触角での攻撃、それに丈夫な顎による噛みつき。 だが実際のところ、雪上で相手の動きが鈍いことに依存した攻撃方法でもある。 普通に走ることができるなら体当たりを避けることは難しくないし、顎による噛みつきも、体当たりや触角による攻撃で動けなくなった相手にこそ有効な攻撃手段。 つまり、もの触角も切ってしまえば、 ――いや、十分脅威だけどね、大っきい虫って。 「アイリスさんは脚を!」 私が無事な右の触角側に走り出せば、アイリスさんは逆側に走り出した。 は一瞬迷った様子を見せたが、さほど頭は良くないのか、より近い私に向かって右の触角を振り下ろしてきた。 さっきのことを覚えていれば、警戒すると思うんだけどね? 当然私は、その触角を避けて剣を振る。 軽い手応えと共に、再び切り落とされる触角。 は戦くように身体を引いたが、その時には既にアイリスさんが左側へと回り込んでいた。 「やあっ!」 気合いと共に振り抜いたアイリスさんの剣は、 私はその横をすり抜けるように一歩踏み込むと、右前脚に向かって剣を一閃。 触角よりも僅かに硬い感触。 しかし私の持つ剣を防ぐほどの硬さはなく、その脚は根元から切断され、 バスンッ! 深い雪の所為だろうか。 その巨体からは想像するよりは遙かに軽い音と共に、 こうなると後は半ば作業である。 バタバタと振り回される脚を避けつつ切断、動けなくなったところで頭を切り落とし、初めての ◇ ◇ ◇ 「お疲れ様でした。思ったよりもあっさり終わりましたね。......私は見ていただけですけど」 って、もっと危険だと思ってたわ」 が動きを止めたのを見て、近付いてきたロレアちゃんとケイトさん。 二人が宣ったそんな言葉に、アイリスさんが少し複雑そうな表情になって、切断された 「いや、十分危険だろう? 二人ともあの鋭い顎を見ろ。雪の上をもたもたと移動していたら、あれでガブリだぞ? 店長さんの用意してくれた 「雪上で素早く動けるからこそ危険視されている 「それもそうね。――できなければ、彼らみたいになるわけね」 そう言いながらケイトさんが目を向けたのは、何処か所在なさげに私たちを遠巻きに見ている数人の――具体的にの男たち。 最初に見つけた時には一〇人ほどいた彼らは、その大半が よろよろと立ち上がっている人もいるけれど、まったく動かない人も存在する。 どう見ても救護が必要な状況。 そんな彼らを見て、ロレアちゃんが不安そうに私の顔を窺う。 「どうするんですか? こういう場合って、救助するべき、なんですよね?」 「余裕があれば、ね」 同じ採集者同士であれば、助け合いの精神も必要だし。 とはいえ、こういう状況で要救助者に遭遇した場合、実際に助けるかどうかは、なかなかに難しい。 通常採集者は、自分たちが活動するのに困らないだけの物資しか持ち合わせていない。 防寒具、燃料、食料。 特に冬山のように準備もなく入れば命に関わるような場所では、必要以上の物資を持ち運ぶこと自体が困難であるし、無理して助けても、下手をすれば共倒れ。 私たちにできるのは、負担がない範囲で救助や応急処置をするぐらいである。 ――ただし、相手が普通の採集者であるならば、だけど。 「おそらく、採集者じゃないだろうな」 「はい。それに......何か臭いがするの、気付きませんか?」 戦っている途中で気付いたその臭い。 私が視線を宙に向けて人差し指を振ると、スンスンと鼻をひくつかせたケイトさんが鼻の頭に皺を寄せた。 「――そういえば、何か臭うわね。これがどうかしたの?」 なんですよ。錬金素材となる虫を集めるときなんかに使うんですが......もちろん、 「え、そんな物があるの? ちょっと使いたくないわね」 「少しなら大丈夫ですけど、大量の虫は......」 虫がワラワラと寄ってくる光景を想像したのか、三人が揃って顔を顰める。 うん、私も極力使いたくないし、作っただけで厳重に封をして倉庫に保存している。 まかり間違って家でこぼしたりしたら、大惨事極まりないからね。 下手な毒薬なんかより、取扱注意である。

The ski giant Snowglide Centipede has changed the target for us, and the people around us are fleeing to the left and right as Iris warned them to, or are being delayed and scooped, but this is not the time to worry about it. "Let's go! Yes! Kate and Lorea are left on the spot, and me and Iris run away. Aim for the legs. The trouble with the ski giant Snowglide Centipede is that it can move quickly even on deep snow that would normally take its feet off. If we can steal that speed, it will certainly be advantageous for us to have snowshoes (snow boots). When Kate ran to the side of the damaged tentacle, she was surprised at our speed, unlike the people she was dealing with. The ski giant Snowglide Centipede applied brakes and slammed the heavily shaken tentacle toward us. But that attack, which has a lot of preliminary motion, is not difficult to avoid unless it's caught in the snow. Iris runs further up, jumps diagonally forward to avoid it, and I slow down a bit and drop off the antenna passing in front of me. The tentacles blend into the snow and the powdered snow rises white. I stepped into it and shook out the sword that had been thrown out. I felt a slight response called a katsun. That alone cut off a thicker tactile sensation than my leg and fell to the ground. At the same time, a louder noise hits your ear. And because of the loss of tentacles, the snow glide sentimental pose of the collapsing ski giant. "That's the manager! Iris was quick in his praise. Without being confused by the enemy's movements, he stepped in and shook down his sword. Gatsu! The joint at the left forefoot tip was destroyed with a hard sound. As a result, the flat area used to slip on the snow surface became flat. "Nice to meet you, Iris! The ski giant Snowglide Centipede can support you even on soft snow because of its toes. What happens if it disappears? Your legs will sink into the snow, and your posture will collapse even further. "At this rate, let's take the left leg." "That's right! The ski giant Snowglide Centipede attacks with snow speed, tentacles, and sturdy jaw bites. Actually, however, it is also an attack method that depends on the other person's slow movement on the snow. Avoiding body contact is not difficult if you can run normally, and jaw biting is an effective means of attack for opponents who can no longer move due to body contact or tentacle attacks. In other words, if you cut another tentacle, the ski giant Snowglide Centipede is just a big bug. --No, it's a threat enough, but it's a big bug. "Iris, get your legs! When I ran safely to the tentacle to the right, Iris ran in the opposite direction. The ski giant "Snowglide Sentipide" showed us that we were lost for a moment, but I wondered if he wasn't so smart, and he shook his right tentacle closer to me. If you remember earlier, I think you'll be alert. Naturally, I wave my sword away from that tentacle. A tentacle that is cut off again with a light response. The ski giant Snowglide Centipede pulled his body to fight with the sword he returned, but by that time Iris was already circling to the left. "Yaah! Iris' sword, swinging through with his temper, also took his toes from the second leg of the ski giant Snowglide Centipede. When I stepped through the side, I flashed my sword towards my front right leg. Slightly stiffer than the tentacles. But it wasn't hard enough to prevent my sword, its leg was cut from the root, and the ski giant Snowglide Centipede was completely out of balance. Bashnh! Is it because of the deep snow? With much lighter sounds than imagined from the giant, the ski giant Snowglide Sentipide sank his upper body into the snow and blew up the powdered snow. When this happens, the work is halfway through. The first battle with the giant bug (centipede) ended when the head was cut off while avoiding the rattling legs. ◇ ◇ ◇ "Good work. It's over faster than I thought.... I was just watching." "That's right. I thought giants were more dangerous." I saw the ski giant Snowglide Centipede stop moving, and Lorea and Kate approached. Iris pointed to the head of the mutilated ski giant Snowglide Centipede with a slightly more complicated look on his face. "No, it's dangerous enough, isn't it? Look at that sharp jaw, both of you. If you're moving over the snow, it's gabriel. Thanks to the snowy mountain shoes (snow boots) prepared by the store manager, I was able to manage....." "Because it is a giant (centipede) that is considered dangerous because it can move quickly on snow, the ski giant" Snowglide Cenipede "If we can manage that, we won't be so scared." That's true. - If you can't, you'll be like them. " That said, Kate looked at a few men who were looking at us from afar somewhere - specifically three men. When I first found them, there were about 0 people, most of whom were hit by the ski giant Snowglide Centipede and rolled around the snowfields. There are people who stand still, but there are people who don't move at all. Situations that need rescue anyway. Looking at them like that, Lorea looks at me anxiously. "What are you going to do? In this case, you should rescue me, right? If you can afford it. If they're the same collectors, they need each other's help. Nevertheless, if you encounter a needy person in a situation like this, it is very difficult to actually help. Normally, collectors only have supplies they don't need to carry out their activities. Cold protection, fuel, food. Especially in places like Winter Mountain where it is life-threatening to enter without preparation, it is difficult to carry more supplies than necessary, and even if you force yourself to help, if you succeed, you will fall together. All we can do is rescue and first aid to the extent that we can't afford it. --provided that the opponent is a regular collector. "Probably not a collector." "Yes, and... do you notice anything smelly? The smell I noticed in the middle of the fight. When I shook my index finger towards the universe, Sung Song and Kate, who caught her nose, wrinkled her nose head. "- Speaking of which, something stinks. What's wrong with this? "This is a potion of alchemy that attracts insects. It's used to gather bugs that are made of alchemy... but of course it's also effective against giant bugs (centipedes)." "Eh, is there something like that? I don't want to use it." "I'm fine with a little, but a lot of bugs..." I imagined the insects approaching, and the three of them looked at each other. Yeah, I don't want to use it as much as I can, and I keep it in the warehouse tightly sealed just by making it. If you accidentally spill it at home, it will be catastrophic. It is more precautionary than bad poison.

魔導コンロの作り方は、意外に簡単である。 ある鉄板、その表面に特殊なインクを使って回路を描いていくだけ。 ごく一般的な物を作るのなら、錬金術大全に載っている物を書き写せばそれで良い。 「作り方自体は簡単なんだよねぇ。面倒なだけで」 この時、難しいのは、間違いなく写すことと、常に一定量の魔力を注ぐこと。 どちらも錬金術の基礎なので、丁寧に行えば失敗するような事は無い。 回路ができたら、魔晶石をはめ込む穴を掘り、そこに魔晶石を固定してから二枚の鉄板を貼り合わせる。 単純に発熱させるだけならこれで完成なのだが、このままでは使えない。 ――正確に言うなら、使えるけど火傷する。 魔力を魔晶石に注ぐ時、直接鉄板に触れることになるから。 当たり前だよね。 加熱開始時は良いんだけど、火力の調整時と停止時には熱々だからね。 なので、二回りほど大きな浅い木の箱を作り、そこに断熱性能の高い特殊な粘土を敷き詰めて、鉄板を埋め込む。 これを錬金釜に入れて処理をすれば、粘土が固まるのだが、この粘土、断熱性能が高い代わりに、一つ難点が。 一度固まってしまうと、かなり脆くなるんだよね。 木箱を少し強くぶつけただけで、中の粘土が砕けちゃうぐらいに。 当然、運搬注意。 輸送費が高くなるのもこれの影響である。 お金を掛けるなら、木以外の箱でも良いんだけど、腐らない以外のメリットは無いかな? 最後に、粘土と鉄板の隙間に樹脂を詰めて段差を無くし、鉄板に防錆コーティング、その上で全体に防水加工を施せば耐久性も高まり年使い続けられる最もスタンダードな魔導コンロの完成だ。 派生型としては、魔力が少ない人向けの高効率タイプ、ディラルさんから注文を受けた飲食店向けの大火力タイプなんかがあるけど、この村でそれらが売れる可能性はほぼ皆無。 ディラルさんが最初で最後のお客さんかな? 「お店に並べても、売れないよね、たぶん。標準タイプですら」 標準タイプで価格は一〇~レア。 ウチだと一二万レア(予定)。 この村には他に飲食店は無いし、薪が容易に手に入る地域では高すぎる。 王都のような都市部であれば、長期的に見ればこっちの方が安いし、煤が出なくて掃除が楽、薪割りなども不要と良いことずくめなんだけど、庶民が一度に払うには厳しい金額だから、やっぱり売れない。 「えーっと、発熱は......する。温度調節も......オッケー。成功だね!」 魔力を通して思った通りの動作をするのを確認し、私はうんうんと頷いた。 「あとは設置だけど......やっぱり重い!」 重量は二〇キロ以上。 一度設置すれば動かさないから良いけど、身体強化無しで動かすには、なかなかにしんどい。 素直に身体強化を使って台所まで運び、元々魔導コンロが設置されていたと思われる場所に設置する。 きちんとサイズを考えて作ったので、ピッタリと嵌まり、がたつきも無い。 「あ、サラサさん、できたんですか?」 「うん。この通り」 私が台所でゴソゴソしている事に気付いたのか、ロレアちゃんとケイトさんがやって来て、設置したばかりの魔導コンロを珍しそうに見ている。 そっか、普通の人だと、見るのも初めてだよね。 「使い方は......せっかくだから、お茶でも湧かしてみようか」 「準備しますね!」 魔導コンロを使えるのが嬉しいのか、ロレアちゃんはすぐにヤカンを準備、井戸から汲んできた水を注いで、この村で最も一般的なスヤ茶の茶葉を入れて私に差し出した。 「ありがと。これをコンロの中心に置いて......点火!」 いや、火じゃ無いから、点火はおかしい? ......どうでも良いか。魔力炉も火は着かないけど、『火に掛ける』っていうし。 「フムフム、ここを押せば良いんですか?」 「うん。この線の部分、左側が最小で、右側が最大ね。消す場合は、ここ。魔力は自動で吸収されるから、意識する必要は無いよ」 そんな説明をしている間にも、ヤカンのお湯は沸騰し始め、スヤ茶が出来上がる。 魔導コンロの最大火力は、なかなかに強力なのだ。 お湯を沸かすだけなら良いけど、調理に使う場合には、気を付けないと焦がしそうなほどに。 「後はこれをコップに注いで......さ、どうぞ」 ヤカンの口から流れ出す、綺麗なグリーンのお茶。 ちょっと生っぽい風味はあるけれど、これはこれで良し。 清涼感のある香りは悪くない。 ただ、若干クセはあるから、好みは分かれるかも。 もう一つの難点は、コップに注いじゃうと、その綺麗な色が見えないことかな? 雑貨屋で買ったコップは木製だから。 割れないのは良いけど、色は見えないし、木の香りがお茶の香りを邪魔するので、お茶を楽しむにはちょっと微妙。 「このお茶、この村に来て初めて飲んだけど、悪くないわよね」 「私もです。どうせならちゃんとしたカップで飲みたいところだけど」 「すみません。ちゃんとしたカップを売ってなくて......」 そう言った私に、ロレアちゃんがばつの悪そうな表情になる。 おっと、このコップ、ロレアちゃんから買った物だった。 「あぁ、別に雑貨屋さんを非難してるわけじゃないよ? 割れ物だから、輸送も大変だし、ここじゃお店に並べても売れないと思うから、仕方ないよ、うん」 王都では、ちょっと裕福な家であれば、ガラスや陶器の食器も普通に使っている。 けど、やっぱり割れやすく値段も少し高いので、庶民にはあまり普及していない。 当然それは運搬時にも問題となり、商人も仕入れるのを躊躇する。 それ故、ガラス工房や陶磁器工房が無い町では、販売自体がほとんど無いのだ。 「うーん、自分で作ってみても良いかな? ガラスなら作れるし」 錬成薬 用の瓶を作るため、ガラス炉があるのだ。 ガラスのコップやカップを作るぐらいはわけない。 もし割れても、溶かしてまた作れば良いだけだしね。 「へぇ、良いわね。ガラスだと、お酒を飲む時もひと味違うし。......良いお酒なら、だけどね」 「そういうものですか? ちなみにサラサさん、そのガラス食器を売ったりは......?」 「しない、かな? 専門じゃないし、ガラスの素材も安くは無いしね」 「そうですか......」 私の返答に、ロレアちゃんは少し残念そうに呟く。 実家の雑貨屋に並べられればと思ったのかもしれないけど、いくら輸送費が無くなったとしても、村人が普段使いするには高すぎるよ? たぶん。 いや、ガラスの素材は凄く高いわけじゃないけど、ありふれている木に比べれば、どうしてもね。 「陶磁器の方なら......」 何故かウチの錬金工房、陶磁器用の窯が無いんだよねぇ。 師匠の工房には、結構立派なサイズの物があったのに。 その理由はたぶん、アレ。 魔導コンロを設置した台の下にポッカリと空いい穴。 普通ならコンロの焚き口がある場所にスペースがある。 あそこに設置できそうな物と言えば、ほぼ確実に魔導オーブン。 もちろん、私もあそこに魔導オーブンを設置する予定なんだけど、魔導オーブンは薪を使う普通のオーブンに比べると、とっても便利。 燃料が不要なことはもちろん、温度調節も簡単。 その範囲も広く、ほんのりと温かいレベルから、滅茶苦茶高温にする事もできる。 ――そう、設定次第で陶器だって焼けるほどに。 たぶん、これで代用していたんだろう。 この村で大量の陶磁器なんて必要なさそうだし。 「ま、気が向いたら作ろうかな? ロレアちゃんも作ってみる?」 「えぇ!? 難しいんじゃ......」 「うーん、轆轤を使った器は難しいけど、コップぐらいならそこまでじゃないかな?」 「それなら、サラサさんが作る時に、一緒に」 「うん。暇になったら、作ろうね」 今は色々やることがあるし、焼くために必要な魔導オーブンも作ってないから。 「しかし、店長さんって、色々できるわよね。さすがは、錬金術師って感じで......」 「錬金術師ですから。資格を取るのが難しいのは伊達じゃないです」 「やっぱり厳しいの? 噂程度しか知らないんだけど」 「そりゃ厳しいですよー。入学が難しいのは良く知られていると思いますけど、入った後でも成績が悪ければ、簡単に追い出されますから」 ガラス作製、陶磁器作製、木工など、錬金術に付随する各種の技術。 要求されるレベルはそこまで高くないけど、“できない”というのはダメ。 少なくとも、“その道の見習い”程度にはならないと単位は出ない。 つまりそれは、放校されるという事。 その代わり、練習環境はしっかりと用意されていて、私みたいな孤児でも授業時間外に練習を繰り返すことはできたし、それでお金を請求されることも無かった。 再利用できるガラスはともかく、陶磁器なんてかなりコストが掛かったと思うんだけど......ホント、ありがたいことです。 「その成果が、色々できる錬金術師って事なのかぁ......私たちなんて、専門分野でも負けちゃったしね?」 「ははは......。でも、国がお金を掛けて育成して、社会的権威もある錬金術師が、実は大したことないってのも、嫌じゃないですか?」 「それは確かに。凄い方が納得できる......かも? ――無能が優遇されることに比べるとずっと」 何か嫌なことを思い出したのか、ケイトさんは吐き捨てるように、そんな事を小さく言う。 だが、すぐにそんな発言は無かったかの様に、笑顔を浮かべた。 「でも、やっぱり魔導コンロって便利よね。これが持ち歩ければ採集者の野営もずっと楽になるんだけど......無理なの?」 「えーっと......体力があれば?」 「......鉄板、だもんね」 素材の鉄板を運搬する時、アイリスさんがそれなりに大変そうだった事を思い出したのか、ケイトさんは苦笑を浮かべる。 火力が必要ないなら、もうちょっとコンパクトに――四分の一ぐらいまで小型化することはできるし、それでもお湯を沸かしたり、ちょっとした料理には十分に使える。 けど、問題はお値段。 サイズが四分の一になっても、お値段は四分の一にはならないんだよね。 実際にはお値段据え置き......どころか、値上がりするかも? 鉄板に回路を書く手間は変わらないし、小さくなる分、逆に神経を使うぐらいだから。 「落としたら、壊れますしねぇ。後は......お金があれば、かな? 重量軽減や容量拡大の効果の付いた鞄があれば何とかなります」 「......店長さん、そんな物を買える人は、採集者にならないのよ?」 「ですよねー」 呆れたように言うケイトさんに、私も同意して苦笑する。 を、タダでもらったんだけどね! 師匠から。 「やっぱり、魔導コンロを買えるのは、ディラルさんのとこぐらいですよ。私の家も、村ではお金を持っている方ですけど、さすがに買えませんもん」 「だよねー」 首を振るロレアちゃんに、私も頷くしかない。 やっぱりこれを店に並べるのは無しだね。 ――でも、万が一があるから、価格だけは掲示しておこうかな?

Magic Stove () The method of making a magic guide stove is surprisingly simple. Simply draw the circuit using a special ink on the surface of one of the two iron plates. If you want to make something very common, just write down what's on the alchemy book. "The way it's made itself is easy, isn't it? Just a hassle." At this time, the difficulty is undoubtedly to copy and always to instill a certain amount of magic. Both are foundations of alchemy, so there is nothing like failure if done carefully. When the circuit is ready, dig a hole that fits the Demon Crystal Stone, secure the Demon Crystal Stone there, and then affix the two iron plates together. If it simply generates heat, this is complete, but it cannot be used as it is. - If I'm being exact, I can use it, but it burns. Because when you pour magic into the Demonic Stone, you will touch the iron plate directly. It's obvious, right? It's good when heating starts, but it's hot when adjusting and stopping the firepower. So make a shallow wooden box about two turns, lay it down with special clay with high insulation performance, and embed the iron plate. If you put this in an alchemy kettle and treat it, the clay will solidify, but instead of this clay, which has high insulation performance, one difficulty is. Once it solidifies, it gets pretty brittle, doesn't it? I just hit the crate a little hard enough to crush the clay inside. Of course, transport precautions. Higher transport costs are also an impact of this. If you want to hang the money, you can have a box other than a tree, but is there any other benefit besides not rotting? Finally, filling the gap between the clay and the iron plate with resin to eliminate the steps, rust-proof coating on the iron plate and waterproof treatment throughout it will also increase the durability, completing the most standard demonic stove that can continue to be used for years. Derivatives include a high-efficiency type for people with less magic, and a large firepower type for restaurants ordered by Mr. Dilal, but there's almost no chance that they'll sell in this village. Is Mr. Dilal the first and last customer? "Lined up in the store, you can't sell it, I guess. Even the standard type." Prices range from 100,000 to 150,000 rare for the standard type. We say 120,000 rare (planned). There are no other restaurants in this village, and they are too expensive in areas where firewood is readily available. If it's an urban area like Wang Du, it's cheaper this way in the long run, and it's a good thing that coal doesn't come out and cleaning is easy, salaries, etc. is unnecessary, but it's a tough amount for ordinary people to pay at once, so I still can't sell it. "Er, fever... do. Temperature regulation also...... ok. That's a success! I made sure it worked the way I thought it would through magic, and I nodded yeah. "The rest is installation... I knew it was heavy! Weighs more than 20 kg. Once installed, it's good because it won't move, but it's hard to move without physical enhancement. I honestly use physical enhancement to transport them to the kitchen and install them where I think the Magic Instruction Stove was originally installed. I made it with the right size in mind, so it fits perfectly and doesn't even stick. "Oh, Mr. Sarasa, did you do it? "Yeah. This street" You noticed that I was gossiping in the kitchen, and Lorea and Kate came and looked rarely at the magic guide stove I had just installed. Oh, well, if you're a normal person, you've never seen it before. "How to use it... Because of this, why don't we sprinkle it with tea?" "You're ready! Are you happy to be able to use the Magic Instruction Stove, Lorea immediately prepared Yakan, poured the water she had drawn from the well and offered it to me with the tea leaves of the most common Suya tea in this village. "Thanks. Put this at the center of the stove...... ignition! No, it's not a fire, so is the ignition weird? ... Doesn't matter. The magic furnace won't get to the fire either, but they say 'hang it on fire'. "Humhum, should I press here? "Yeah. The left side of this line is the smallest, and the right side is the biggest. If you want to turn it off, here. You don't have to be aware that magic is absorbed automatically." Even while I'm explaining that, Yakan's water starts to boil and I can make Suya tea. The maximum firepower of the Magic Guided Stove is quite powerful. It's good if you just boil the water, but if you use it for cooking, you need to be careful. So much so that it seems to burn. "Pour this in the cup later... go ahead" Beautiful green tea, pouring out of Yakan's mouth. Although it has a bit of a raw flavor, this is good. The sober scent is not bad. However, I have a slight crunch, so my preferences may split. Another difficulty is that if you pour it into a cup, you don't see its beautiful color? Because the cups I bought at the grocery store are made of wood. It's good not to crack, but I can't see the color, and the smell of wood interrupts the smell of tea, so it's a little subtle to enjoy tea. "This is the first tea I've had in this village, but it's not bad." "Me too. I'd love to have a decent cup anyway." "Excuse me. I didn't sell you a decent cup..." That's what you said to me, and Lorea makes me look like a bunch of bad guys. Whoa, this cup, it was something I bought from Lorea. "Oh, I'm not accusing the grocery store of anything, am I? Because it's a crack, it's hard to transport, and I don't think I can sell it here in line at the store, so I can't help it, yeah." In Wangdu, if it's a slightly wealthy house, I usually use glass and ceramic utensils as well. But it's not very popular with ordinary people because it's still easy to crack and a little pricey. Naturally that is also a problem when transporting and merchants hesitate to purchase it as well. Therefore, in towns where there are no glassworks or ceramics workshops, there are few sales per se. "Um, can I make it myself? I can make glass." We have a glass furnace in our alchemist's room to make bottles for the smelter potion. Not enough to make glass cups and cups. If it breaks, just melt it and make it again. "Heh, that's good. Glass tastes different when drinking alcohol. ... but if it's a good drink." "Is that what it is? By the way, Mr. Sarasa, do you sell those glassware...? "I won't, will I? I don't specialize in glass, and it's not cheap." "Really..." To my response, Lorea groans a little sorry. Maybe you wish you could line up at your parents' grocery store, but no matter how much transportation you lose, it's too expensive for the villagers to usually use, right? Probably. No, the glass material isn't very expensive, but compared to the common trees, I really do. "If you're in ceramics..." For some reason, we don't have an alchemist, a ceramic kiln. Even though the master's workshop had some pretty fine sized stuff. The reason for that is probably, alle. Pocky empty square hole under the platform where the Magic Instruction Stove was installed. Normally there is space in the place where the stove burns. When it comes to things that seem like they could be installed over there, almost certainly a magic guide oven. Of course, I plan to install a magic guidance oven over there too, but the magic guidance oven is very convenient compared to a regular oven that uses firewood. Easy to regulate temperatures as well as not needing fuel. The range is also wide and can be reduced from a slightly warm level to a tear-free high temperature. - Yes, depending on the setting, the pottery is enough to cook. Probably was replacing it with this. I don't think I need a lot of ceramics in this village. "Ma, should I make it if I feel like it? Do you want to make some, Lorea? "Yeah!? It's hard..." "Um, it's hard to use a bowl with a cup, but if it's about a cup, isn't that it? "Then, when Mr. Sarasa makes it, come with me" "Yeah. When you're free, let's make it" Because I have a lot to do now, and I haven't made the magic oven I need to bake. "But the manager can do a lot of things, can't he? That's right, I feel like an alchemist..." "Because I'm an alchemist. It's not hard for Dade to qualify." "I knew it was tough? I only know about rumors." "That's tough. I know it's well known that it's hard to get into school, but if you still don't do well after you get in, you're easily kicked out." Various techniques that accompany alchemy, such as glass making, ceramic making and woodworking. The level required isn't that high, but you can't “can't”. At least, I don't get credit if I don't get to the "apprenticeship of that path” level. I mean, that means they're going to be released. Instead, the practice environment was well prepared, and even orphans like me could repeat the practice after class hours, and they never charged me for it. Regardless of the glass that can be reused, I think ceramics cost a lot...... really, thank you. "You mean the alchemist who can do all kinds of things... we lost in the specialty, right? "Ha... But don't you also hate that the state spends money nurturing alchemists with social authority, which is actually no big deal? "That's for sure. Awesome is more convincing...... maybe? - Compared to incapacity being favoured much more." You remind me of something nasty, and Kate puts it down so that I throw it away. But I smiled as if I didn't have any such remarks right away. "But the magic stove is convenient, after all. If this thing carries around, it would make camping for collectors a lot easier too... can't it? "Erm... if you have the strength? "... Teppanyaki," Kate smiles bitterly when she remembers that Iris seemed so difficult when transporting the iron sheet of material. If you don't need firepower, be a little more compact - you can miniaturize it up to about a quarter, and still use enough for boiling water or a little cooking. But the problem is the price. Even if the size is a quarter, the price won't be a quarter, will it? Actually, put the price aside...... on the contrary, could the price go up? Because it doesn't change the hassle of writing a circuit on an iron plate, and for smaller minutes, on the other hand, it's enough to use nerves. "If I drop it, it'll break, and hey. After that... if I had the money, would I? With bags that have the effect of reducing weight and expanding capacity, we can work it out." "... Mr. Store Manager, does anyone who can buy such a thing not become a gatherer? "Right." I agree and laugh bitterly at Kate, who tells me like she's scared. I got that (...) thing (...) for free! From the master. "After all, it's about Mr. Dilal's place where you can buy the Magic Instruction Stove. My house, too, is someone who has money in the village, but I just can't buy it." "That's right." I just have to nod to Lorea, who shakes her head, too. I knew there was no such thing as arranging this in the store. - But in case there is, should I just post the price?

「あっ! ありました。これですね」 乾燥食品製造機 何の捻りもない、でも大半の人にとってはありがたい名前。 良かった、まともな錬金術師の作品で。 実用品に格好良さは必要ない。 これで機能が違っていたら、とんでもない罠だけど......うん、名前通りだね。 「エリンさん、こんな感じですけど......」 「......あの、私には何も見えないんですが?」 「あっと、そうでした。これ、錬金術師以外は読めないんでした」 を注文する人なんていないから、失念していた。 せっかく看板を出しているのに、相談に来た人なんて皆無。 テントや手袋みたいに、実物を並べると注文してくれるんだけど、『こんな物はないですか?』みたいなお話はまったく来ない。 あえて言うなら、ロレアちゃんに売った“コロコロ”と、グレッツさんに売った“ハーベスタ”がオーダーメイド品だけど、ホント、それぐらいなんだよねぇ。 「それじゃ、説明しますね!」 ある意味、初めてのお客さん。 私は張り切って、本の内容を説明する。 ですね。野菜の他、干し肉なんかも作れるみたいです。ただし、『生肉をそのまま乾燥させるのは、推奨できない』って書いてありますけど」 「それはそうでしょうね。この村で干し肉を作るときにも、まずは塩漬けにしますから」 「あ、やっぱりそうなんですね。塩辛いですもんね、干し肉って」 「はい。干している間に腐らせないためにはどうしても。高級な干し肉では、塩分を減らして、上手に燻製にすることで美味しく食べられる物もあると聞きますが、この村の場合、基本的には自分たちで食べるだけですからね」 先日はヘル・フレイム・グリズリーの狂乱で大量のお肉が手に入ったけど、あれはレアケース。 猟師がジャスパーさんしかいないこの村では、冬の食料として確保しておく必要もあり、余所に売りに行く余裕なんてほとんどないのだ。 「じゃあ、この機能はあまり必要ないですか」 機能を省けばそれだけ安価に作れる。 そう提案した私に、エリンさんは首を振った。 「いえ、最近は採集者の方が獲物を持ち帰ることもあるので、無駄にはならないと思います。買い取って加工するなら、それも村人のお仕事になります」 「それを今度は採集者に売るわけですね。あとは......生野菜だけじゃなく、普通の料理も乾燥できる、って書いてありますね。種類は選ぶみたいですけど」 「料理ですか? ちなみに、どのような......?」 「あまり詳細には書いてありませんが、パンやスープなどはできるようですね。ただし、水気の多い物はランニングコストは増えるみたいですが」 ランニングコスト、つまりは燃料代。 魔力持ちが使う場合には自身の魔力が、魔力がない場合、もしくは足りない場合は、屑魔晶石が使われる。 なのだから、水気が多いスープを乾燥させるのにより多くのコストが必要になるのは当然。 そのコストを払っても割が合うかどうかは、私の管轄外かな? ですね。普通ならスープを保存食にするなんて、不可能だと思いますけど」 「そのへんは何とも......」 どういう物なのかな? 乾燥野菜と塩でも、お湯に放り込めばスープになりそうだけど。 「料理に関して私は助言できませんから、そのへんはディラルさんとか、ロレアちゃんとか、料理の得意な人に相談してください」 カウンターに視線を向け、ロレアちゃんを推薦してみる。 突然話に出されたロレアちゃんは、きょとんとした表情で目をぱちくり。 自分を指さして、首を傾げた。 「......え? 私、ですか?」 「うん。ロレアちゃんが作ってくれる料理は美味しいからね」 「あ、ありがとうございます......?」 ロレアちゃんは母親のマリーさんから料理を習ったようだけど、最近はずっと、マリアさんのレシピ本を使って料理を作ってくれている。 その腕前はともかく、料理に関する知識に関しては、すでにマリーさんを超えたと言っても過言ではない......んじゃないかな? きっと相談相手として、不足はないと思う。 に適した料理にはできないかも、ということですか。ロレアちゃん、協力、お願いできますか?」 「は、はい! 私にできる事なら!」 エリンさんに頼まれ、ロレアちゃんは背筋を伸ばして元気に返事をする。 そんなロレアちゃんを微笑ましく思いながら、私は再度本に目を落とす。 を作れば良いだけですが、手頃な火系統の素材がないのが問題ですね......あれ?」 本に載っている作り方を見て、私は眉間をグリグリと指で押さえ、再度確認。 ――うん、間違いじゃないよね? この本、しっかりと正規に買った物だし。 「火系統の必要素材が少ない? 風系統は普通に、何故か氷系統が多い......?」 氷系統は、幸か不幸か、氷牙コウモリの牙がまだたくさん残っている。 もうそろそろ夏も終わるのに。 来年まで死蔵かな、と思っていたけど、これでだいぶ消費できそう。 火系統の素材は、サラマンダー由来の高価な素材は残っているけど、こんな物を使ったら、ちょっと買えるような値段にはならない。 安価な素材を用意しないと、と思っていたら、本に載っている必要な素材は、思った以上に少なかった。品質も問われないみたいだし......。 この程度なら、サラマンダーの棲み処に行ったとき、ついでに拾ってきた火炎石程度でも十分に賄えるから、お値段の方も下げられるかな? 「風系統は手元にないので、別途集めるしかないですけど、思ったよりも安くできそうです」 「本当ですか? それでしたら助かります」 「でも、多少安くできるといっても、大幅な加算がないだけで、それ自体は決して安い物じゃないですよ?」 素材の収集にかかるコストが少なく済むだけで、 間違っても、この村の農家が買えるような代物ではない。 「大丈夫です! それは私が買います! そし毎に使用料を徴収します」 「......そっか。今なら村の人も、使用料払えますもんね」 納得したように頷くロレアちゃんに、エリンさんもまた嬉しそうに頷く。 「はい。以前なら現金を消費するのに躊躇しましたが、今なら税金の支払いも問題ありません。いざとなれば、各戸から現金で徴収もできますから!」 村長のお仕事は、税金の徴収。 これまでは農作物を集め、それをダルナさんが売りに行って現金に換え、それでも足りない場合は宿屋のダッドリーさんなど、現金を持つ数少ない村人から借金をして税金を工面していたらしい。 でも今は、採集者の数が増え、空き家になっていた賃貸物件も埋まっている。 あれは村の共同所有で、そこから得られる利益は村人に分配される。 つまり、無駄遣いさえしていなければ、村のどの家庭でも、ある程度の現金は保有しているんだとか。 「解りました。問題ないのであれば、承ります。必要素材を手に入れるのに、少し時間が必要になりますが......」 「もちろん、大丈夫です。こんな田舎ですからね。時間とコスト、優先するのなら、コストでお願いできると嬉しいですが......ダメですか?」 「ふふふっ、解りました。できるだけ、安くできるよう、頑張ってみますね」 片目を閉じて両手を合わせるエリンさんに、私は笑って頷いた。

"Ah! There was. This is it." It is also known as the "Dry Food Manufacturer" (artifact). No twist, but a thankful name for the majority of people. Good, with the work of a decent alchemist. I don't need good looks for practical goods. If this works differently, it's a hell of a trap... yeah, you're right about the name. "Erin, here's the thing..." "... you know, I don't see anything? "Oh, yes, I was. I couldn't read this except for the alchemist." I was lost because no one ordered bespoke smelters (artifacts) from our store. You're putting up a sign because of this, but none of you came to talk to me. Like tents and gloves, when you line up the real thing, they order, 'Don't you have something like this? Talks like' don't come at all. If you dare, the “corny” I sold to Lorea and the “harvester” I sold to Mr. Gretz are made to order, but really, that's about it. "Well, I'll explain! In a way, first time customer. I straighten out and explain the contents of the book. "Functionally, keep the name intact. Smelter (artifact) for making dried foods, right? In addition to vegetables, I think I can make dried meat. However, it says' It is not recommended to dry the raw meat as it is'." "I guess that is. When we make dried meat in this village, we salt it first." "Oh, I knew you were. It's salty, dried meat." "Yes, I really don't want it to rot while I'm drying. I hear that some fine dried meats can be deliciously eaten by reducing salt and smoking them well, but in this village we basically just eat them ourselves." I got a ton of meat the other day from Hell Flame Grizzly's frenzy, but that's a rare case. In this village, where only Mr. Jasper is a hunter, we also need to keep it as winter food, and we can barely afford to go and sell it. "So don't you really need this feature" I can make it that cheap if I skip the features. Mr. Erin shook his head at me for suggesting so. "No, I don't think it's going to be in vain because collectors sometimes bring back more prey these days. If you want to buy it and process it, it will also be the villagers' job" "So now you're selling that to collectors. And then it says... not only raw vegetables, but regular dishes can also be dried. Sounds like a choice." "Is it cooking? By the way, what...? "It doesn't say much in detail, but you seem to be able to do bread, soup, etc. However, it seems that high water and gas costs more to run." Running costs, or fuel costs. If magic is used by a magician, his own magic is used. If magic is not available, or if it is not sufficient, the Scrap Demon Stone is used. Because it is a drying smelter (artifact), it is only natural that it will cost more to dry soups with a lot of water and air. Is it out of my jurisdiction to pay for that cost? "Soup too, is it? That's the smelter (artifact). Normally, I don't think it's possible to make soup into a preserved meal." "What the heck..." I wonder what it is? Even dried vegetables and salt are likely to be soup if thrown into hot water. "I can't advise you on cooking, so talk to Mr. Dilal, Lorea, or someone who's good at cooking." Point your gaze at the counter and try to recommend Lorea. Lorea, suddenly put out to talk, blinked her eyes with a decent look. I pointed at myself and tilted my neck. "... Huh? Me? "Yeah, because the food Lorea makes is delicious." "Oh, thank you......? Looks like Lorea learned to cook from her mother Marie, but all these days, she's been cooking for me using Maria's recipe book. Regardless of that skill, when it comes to your knowledge of cooking, it's no exaggeration to say that you've already surpassed Mr. Marie...... isn't it? As a consultant, I'm sure there's no shortage. "I see. Are you saying that people in villages who often cook the same dishes may not be able to cook the right dishes for their smelters (artifacts)? Lorea, can you help me, please? "Yes! If there's anything I can do! Mr. Erin asks me, and Lorea replies cheerfully with her spine stretched. Smiling at Lorea like that, I drop my eyes on the book again. "All I have to do is make my smelter (artifact), but the problem is that you don't have affordable fire lineage material...... is that? Look at the way you make it in the book, I hold my eyebrows gritty and fingers and check again. - Yeah, it's not a mistake, is it? I bought this book thoroughly and regularly. "Less material needed for the fire system? The wind system is usually, for some reason, a lot of ice system......? The ice system still has a lot of ice tooth bat fangs left, happy or unhappy. It's time for summer to end. I thought it would be dead until next year, but now I think I can consume a lot. Fire system materials still have expensive materials derived from salamanders, but if you use something like this, it won't be a bit pricey to buy. If I didn't have inexpensive materials available, I would have needed less in the book than I thought. The quality doesn't seem to be questioned... To this extent, when you go to the habitat of the salamander, you can cover enough even about the flame stones that you have finally picked up, so can you lower the price? "I don't have the wind system on hand, so I'll just have to collect it separately, but it's going to be cheaper than I thought" "Is that true? That would help." "But even though it can be somewhat cheaper, it just doesn't add up significantly, and it's never cheap in itself, is it? Smelting tools (artifacts) are high enough in themselves simply because the cost of collecting materials is low. Wrong, but not a substitute for what farmers in this village can buy. "It's okay! I'll buy that! And we collect royalties every time." "... well. Villagers can pay royalties now." I nod to Lorea as I convinced her, and Erin nods happily again. "Yes, I used to hesitate to consume cash, but now I have no problem paying taxes. If you have to, you can also collect cash from each door! The village chief's job is to collect taxes. Until now, they had collected crops, which Mr. Darna had gone to sell and converted into cash, and if it was still not enough, they owed money and constructed taxes from a handful of villagers with cash, such as Mr. Dudley, the innkeeper. But now, the number of collectors has increased, and the rental properties that were vacant have been filled. That is the joint ownership of the village, from which the profits derived are distributed to the villagers. I mean, if you're not even wasting it, do you hold some cash in every household in the village? "I understand. If it's not a problem, I'll take it. You'll need a little time to get the materials you need..." "Of course, I'm fine. Because it's such a country. Time and cost, if you prioritize, I'd be happy to ask you at cost...... no? "Heh heh, I get it. I'll try my best to make it as cheap as possible." I laughed and nodded at Mr. Erin, who closed one eye and put his hands together.

「あ、そういえばサラサさん。少し話は変わりますが、エリンさんが『落ち着いたら、サラサさんにお話が』と言っていましたよ?」 「エリンさんが? 何だろう......」 ロレアちゃんの言葉に、私は首を捻る。 数日前、ロレアちゃんが村の中を歩いていたら、『伝えておいて』と声をかけられたらしい。 ちょっと引きこもり気味な私に比べると、ロレアちゃんは食材の買い出しなどで頻繁に村を歩いているから、伝言しやすいのは解る。 でも、村長の娘であるエリンさんが話があるとか、なんだか厄介ごとの香りが。 「も、もしかすると、冷却帽子で村が潤っている事へのお礼かもしれませんよ? いつもお世話になってます、みたいな」 私の表情が少し曇った事を見て取ったのか、ロレアちゃんがそんな事を言ってくれるけど......。 「でも、お礼なら、『落ち着いたら』なんて言わない気がしない? アイリスさんたちはダウンしてたけど、お店は普通に開けていたんだし」 ちょっと苦しいフォローだった事はロレアちゃんも認識していたのか、私の言葉にため息をついて、頷く。 「エリンさんは、こんな村では珍しいぐらいのやり手よね。こう言っちゃなんだけど、村長さんよりも」 「うむ。あれは、もっと大きな村、もしくは町の舵取りも任せられる器だな」 「この村も、表に出るの、村長ですが、実質的にはエリンさんが取り仕切ってますから」 「だよね~。面倒事じゃないと良いんだけどね」 微妙に期待薄。 「......ま、エリンさんが来てから、また考えよ。棚上げ、棚上げ」 せっかく、ロレアちゃんの作ってくれた美味しい料理が並んでいるのだ。 今はこれを楽しもう。 私は一つため息をつき、料理に舌鼓を打つ事にしたのだった。 ◇ ◇ ◇ 「はっ! せい!」 「ぬ! やっ! くっ!」 翌日の早朝、まだ暑くなる前の時間帯を使って、私とアイリスさんは剣の訓練を行っていた。 私とアイリスさんを比べるなら、単純な剣の腕前で言えば私が勝り、素の体力面では、体格の違いもあって、アイリスさんが勝る。 ただ、実際に戦うとなると、身体強化が可能な私が大幅に有利。 アイリスさん以上の筋力と素早さを手に入れられるのだから、それも必然。 更に実戦ともなれば、私には師匠からもらった高品質な剣と自前の魔法があるので、比べるべくもない。 「そこ!」 「ぐぬっ!!」 カラン。 私が切り上げた剣にはじかれ、アイリスさんの手から剣が飛び、地面に転がる。 即座に突きつけられた剣にアイリスさんは一瞬動きを止め、大きくため息をついて力を抜いた。 「はぁ......。やはり、店長殿にはかなわないな」 「少し体力や筋力が低下していますね。動きに切れがありませんし、一週間前なら剣をはじかれる事も無かったと思いますよ?」 学校での剣術の授業で言うなら、アイリスさんの腕前は、半分より上。 決して弱いわけではないけれど、一応でも学年一位だった私には劣る。 そんな私のレベルが一般的に見てどのくらいかと言えば......どのくらいなんだろう? 学校の先生には当然勝てなかったし、師匠には簡単にあしらわれるレベル。 弱いとは思わないけれど、毎日訓練している兵士より強いって事は無い、よね? たぶん。 数値として計れるものじゃないから、案外どのぐらいの腕前かなんて判らないよね、こういうのって。 まともな指導を受けていない盗賊よりは強いと思うけど......。 王都では闘技大会なんて物も開催されているみたいだけど、私には縁が無かったからねぇ。 優勝賞金は魅力的でも、まさか優勝できるとは思えなかったし、怪我をして学校を休んだりしたら本末転倒。 錬金術師の資格が取れなければ、お金を貯める意味すら無くなってしまう。 「リハビリ期間を作ったのは正解だったな。数日で戻れば良いんだが......」 「大丈夫でしょう。まだ若いんですから。なんだったら、それ用の 「いや、申し出はありがたいが、そこに金を使って期間を短縮しても意味は無い。ケイト、お前はどうだ?」 「私の方も、明らかに体力は落ちてるわね。弓を引く力も同様に」 アイリスさんと違い、私と模擬戦をするわけにもいかないケイトさんは、周囲のランニングと弓を使った的当てを行っていたんだけど、彼女の方も自分で判るほどの衰えがあった様子。 まぁ、お腹を下している状態で数日間も寝込み、まったく衰えていないなんて事があるはずも無い。 むしろ、回復した翌日からすぐにこれだけ動けているあたり、普段からよく鍛えられていると言うべきじゃないかな? 「それでは今日は、あまり激しい訓練はせずに、回復に主眼を置いた運動にしましょうか」 「あぁ、そうだな。店長殿には物足りないかもしれないが」 「そこは気にしなくて良いですよ。私、錬金術師ですから。――なんで真面目に、剣の訓練なんてしているんでしょうね?」 とっても不思議。 私の剣術なんて、報奨金を得る手段だったのに。 「そこは偉大な師匠を持ったが故の弊害......いや、恩恵というヤツだろう」 「恩恵って......確かに良い剣をくれた上に、稽古もつけてもらいましたけど」 「私たちは助かってるわよ? それに村の人も。この村が今平穏なのも、店長さんのおかげなんだから」 「そう言われると、真面目に訓練せざるを得ないんですけど......」 この村で生活している以上、この前のような事がまた起こらないとも限らない。 しかも、ここで暮らした期間が長くなれば、ますます村の人たちを見捨てづらくなるわけで。 「頼りにしているぞ、店長殿。共に生活する仲間として、そして剣の師としても」 「師と言われるほどの腕じゃないんですけどね」 未熟な私が師だなんて、烏滸がましい。 そう思いながらも、私は打ちかかってきたアイリスさんを切り払いつつ、昼頃まで訓練につきあったのだった。 エリンさんが私を訪ねてやってきたのは、まるで図ったかのように、その日の昼過ぎ、ちょうど昼食が終わった頃の時間だった。 ウチに応接間なんて存在しないし、店頭で簡単に済む話でもなさそうだったので、案内したのは普段食事を摂っている食堂。 人を迎えるのに向いた場所とは言えないけれど、そこは我慢してもらおう。 小さな家だからね。 頻繁にお客様が来るようなら応接間も必要だろうけど、そんな予定無いし? そして、この場には私とエリンさんの他に、店番をしているロレアちゃん以外の、アイリスさんとケイトさんが同席している。 作業途中に訪問されるよりも助かる事は間違いないんだけど、アイリスさんたちが回復した翌日に来るとか、狙ってるよね、たぶん。 「サラサさん、本日はお時間を頂きまして、誠にありがとうございます」 「いえ、それは別にかまわないのですが......どのようなご用件ですか?」 「はい。少々言いづらいのですが、皆さんに仕事の依頼をお願いしたいのです」 「仕事? 私だけじゃなく、アイリスさんたちも、というと、錬金術に関する事じゃないんですよね?」 「そうです。他にも、アンドレさんたちのパーティーにもお願いしています。あちらからは、皆さんが引き受けるなら引き受ける、との答えをもらっています」 アンドレさんたちとアイリスさんたち。 どちらもこの村の採集者の中では、上位のパーティー。 それに依頼するような仕事って......やっぱり厄介ごとだよ、これ。 「正直、お断りしたいですね......」 「そう仰らず、お話だけでも聞いていただけませんか?」 話を聞いちゃうと、断りにくくなりそうだから聞きたくないんだけど。 そう思って渋い顔をする私に、ケイトさんが苦笑を浮かべ、取りなすように口を挟んだ。 「まぁまぁ店長さん。村長の代理であるエリンさんが持ってきた話、どちらにしても村に住んでいたら影響を受ける事じゃないの? 今聞かなかったところで、意味が無いんじゃない?」 「......そんな感じのお話ですか?」 「そんな感じのお話です」 聞き返せばエリンさんも苦笑を浮かべ、困ったように肯定する。 私は腕を組み、しばし瞑目。 「............解りました。お聞きします」 自分の中で“諦め”という折り合いをつけ、頷いた。 しばらく前に起こったヘル・フレイム・グリズリーの狂乱。 村人や採集者の協力によって、大きな被害も無く収束させる事に成功したが、それが発生した原因については未だ判っていない。 過去の事例などから予測はついているが、確定情報ではないのだから、調査するのが当たり前。 当然村長もそのことは解っていて、領主に対して状況の報告と、調査の依頼を行った。 狂乱の時には援助が無かったが、時間的にも間に合わなかったので、それ自体は仕方の無い部分もあった。 しかし、事後の調査ぐらいは行ってくれるだろうと期待して。 だが、しばらく待って戻ってきた答えは『被害が無かったのならどうでも良い。税金はいつも通り満額きっちり払え』だった。 見舞金はおろか、兵士の派遣も、調査も一切なし。 むしろ、『ヘル・フレイム・グリズリーの素材で儲かっているんじゃないか? 儲かっているなら、税金は上がるからな』というような事まで書いてあったらしい。 そんなエリンさんの話を聞いて激高したのはアイリスさんだった。 強く机を叩き、声を上げる。 「なんだそれは! 店長殿なんて、寝込むほどに頑張ったんだぞ!」 「あ、いや、それは私がミスしただけで......」 ヘル・フレイム・グリズリーが原因ではあったけど、むしろあれは自爆。 そこはあまり取り上げないで欲しい。 恥ずかしいから。 「だとしてもだ! 領民を守る事は領主の責務。それを完全に放棄している!!」 怒りをあらわにするアイリスさんに対し、エリンさんは諦め気味にため息をつく。 「そういう領主ならありがたいんですが、ここの領主はそうじゃないですから。取る事にだけは熱心なんですけど」 「私、よく知らないんですけど、ここの領主って誰なんですか?」 「この辺り......このヨック村やサウス・ストラグはカーク準男爵領ね。金儲けはそれなりに上手い貴族よ」 「儲けても、領民のためには使わないようだがな!」 「なるほど......」 情報が少ないから領主としての力量は不明な点は多いけど、サウス・ストラグを押さえているのなら、それだけでもかなりの収入は期待できそう。 そう考えると、ヨック村の様な小さな村に兵士を派遣して、手間とコストをかけるより、放置した方が良いという考え方も理解できる。 住んでいる方としてはたまらないけど、この村から上がる税収と、何人もの兵士を大樹海の奥に向かわせて調査するコスト、どちらが上かと言えば、たぶん後者の方。 大樹海の奥というのは、それぐらいには危険度が高い場所なのだから。

"Oh, speaking of which, Mr. Sarasa. I'll change my mind a little bit, but Erin said, 'When you're settled, I need to talk to Sarasa', right? "Mr. Erin? I wonder..." To Lorea's words, I twist my neck. A few days ago, when Lorea was walking in the village, she was called out, 'Tell her,' she said. Compared to me, who is a little pully, Lorea walks the village frequently in grocery buyouts, etc., so I know it's easy to give a message. But Erin, the village chief's daughter, needs to talk, or something. It smells like trouble. "But maybe thanks to the fact that the village is moisturized with a cooling hat? I always take care of you, like." Did you see that my expression was a little cloudy, Lorea would say that... "But if you're thankful, don't you feel like saying 'when you calm down'? Mr. Iris and the others were down, but the store was usually open." "... right" Did Lorea also recognize that it was a bit of a painful follow-up, sighing and nodding at my words? "Erin is a rare player in a village like this. I don't know what to say, but more than Mr. Village Chief." "Uh-huh. That's a bigger village, or a township steering vessel." "This village, once on the table, is the village chief, but essentially Mr. Erin has partitioned it." "That's right. I hope it's no trouble." Subtly thin expectations. "... I'll think about it again when Erin gets here. shelving, shelving" Because of this, Lorea's delicious dishes are lined up. Now let's enjoy this. I sighed one thing and decided to pound my tongue on the dish. ◇ ◇ ◇ "Ha! Because! "No! Do it! Come on!" Early the next morning, using the time period before it was still hot, me and Mr. Iris were training the sword. If you compare me to Mr. Iris, I win in terms of simple sword skill, and in terms of vegan health, there are physical differences, and Mr. Iris wins. However, when it comes to actually fighting, I greatly favour being able to strengthen my body. It's inevitable, too, because you can get more muscle strength and quickness than Mr. Iris. Even more in action, I have a high quality sword that my master gave me and my own magic, so I can't even compare it. "There!" "Grrr!!" Karan. Started by the sword I cut up, the sword flies from Mr. Iris' hand and rolls to the ground. Mr. Iris stopped moving for a moment with an instantly poked sword and sighed loudly to help. "Ha... After all, you can't be the manager." "You're losing a little strength and muscle strength. I don't think you've ever had a sword on you a week ago, have you? If you say in swordsmanship classes at school, Mr. Iris is better than half. It's never weak, but it's inferior to me that I was first in the grade for once. If you look at my level like that in general and say how much...... how much? I naturally couldn't beat the school teacher, and the level that is easily embellished by the master. I don't think you're weak, but you're never stronger than the soldiers you train every day, are you? Probably. Because it's not a number, you don't know how skilled you are, do you? I think he's stronger than a bandit with no decent guidance... There seems to be something going on in Wang Du about fighting competitions, but I didn't have any luck with it. The winning prize is attractive, but I didn't think I could win, and if I get hurt and leave school, I fall for the end of the day. If I don't qualify as an alchemist, it doesn't even make sense to save money. "You were right to make a rehabilitation period. Hopefully I'll be back in a few days..." "You'll be fine. I'm still young. What if there's a potion of smelting medicine for it? "No, I appreciate the offer, but there's no point in spending money there to shorten the period. Kate, how about you? "I'm obviously losing strength, too. Likewise the power to pull the bow." Unlike Mr. Iris, Kate, who can't even have a mock fight with me, had a perimeter run and a target using a bow, but she seemed to have faded enough to tell for herself. Well, there can't be anything about sleeping for a few days with your stomach down and not fading at all. Instead, shouldn't I say I've been working out well from time to time around this much from the day after I recover? "So today, let's not train too hard, let's focus on recovery exercise" "Oh, right. It may not be enough for the manager." "You don't have to worry about it there. I'm an alchemist. - Why are you seriously training your sword? Very strange. My swordsmanship was a way to get a bounty. "I had a great master there, but the harm of the late... no, it would be a grace" "Grace... he did give me a good sword, and I also got an archery on it" "We're alive, aren't we? And the villagers. It's because of the manager that this village is peaceful now." "When they say that, I seriously have to train..." More than living in this village, things like this don't always happen again. Moreover, the longer we have lived here, the more difficult it will be to abandon the villagers. "I'm counting on you, Store Manager. as companions living together, and as masters of swords." "I'm not as skilled as they say I am." It's disgusting how immature I am. With that in mind, I cut off Mr. Iris, who had been hitting me off, and I followed him through training until around noon. Mr. Erin came to visit me just after lunch that day, as if he had tried. There was no such thing as a reception room in our store, and it didn't seem like it would be easy to talk about it in the store, so what I showed you was the dining room where you usually eat. I can't say it's the right place to welcome people, but let's have patience there. It's a small house. Guests will need to come in often, but you don't plan on doing that? And besides me and Erin on this occasion, other than Lorea, who has the store number, Iris and Kate are present. I'm pretty sure it's more helpful than being visited on the way to work, but you're after Mr. Iris the day after he recovers, or something, I guess. "Thank you very much for your time today, Sarasa" "No, that doesn't matter...... what can I do for you? "Yes, it's a little hard to say, but I'd like to ask you all for a job." "Work? Not just for me, but for Mr. Iris, isn't it about alchemy? "That's right. I'm asking for something else, too, for Mr. Andre's party. From there, I get the answer that if you're going to take it, you're going to take it." Mr. Andre and Mr. Iris. Both of the gatherers in this village, the top party. And the kind of work you ask for... I knew it was a mess, this. "Honestly, I'd like to decline..." "Would you mind not saying so and just listening to me? When I listen to you, I don't want to hear it because it's going to be hard to say no. Kate smiled bitterly at me for thinking so and pinched her mouth to take it back. "Well, well, Mr. Store Manager. Either way, wouldn't it be affected if you lived in the village? I just didn't ask. Doesn't that make any sense? "... is that what you're talking about? "That's what I'm talking about." If you ask back, Mr. Erin smiles bitterly, and affirms as troubled. I put my arms together and meditate often. ".................. ok. I'll ask you." I put a "give up” fold in myself and nodded. Hell Flame Grizzly frenzy that happened a while back. With the cooperation of villagers and gatherers, we succeeded in converging without significant damage, but we still do not know what caused it. There are predictions based on past cases, etc., but it is not definitive information, so it is normal to investigate. Naturally, the village chief knew about it, and made a report on the situation to the lord and a request for an investigation. There was no assistance during the frenzy, but it was not in time, so some parts of itself had no choice. But expect me to do as much as an ex-post investigation. But the answer I waited awhile to get back was, 'I don't care if there was no damage. Pay your taxes in full exactly as usual'. Apart from the sight money, no soldier dispatch, no investigation. Instead, he said, 'Aren't you making money from Hell Flame Grizzly material? If you're making money, taxes will go up.' It was Mr. Iris who was drastically elevated when he heard such a story about Mr. Erin. Slap your desk hard and raise your voice. "What the hell is that! My Lord Store Manager, I tried so hard to sleep! "Oh, no, that was just a mistake I made..." Hell Flame Grizzly wasn't the cause, but rather, that was a suicide bomber. I hope you don't take up too much there. Because it's embarrassing. "Even so! It is the Lord's responsibility to protect the people. I am totally abandoning that!!" Erin sighs in giving up on Iris revealing her anger. "I'd appreciate that kind of lord, because the lord here isn't. I'm only keen to take it." "I, I don't really know, who is the lord here? "Around here... this village of Yorke and South Strag is the territory of Associate Baron Kirk. Money maker is a very good nobleman." "Even if you make money, you don't seem to be spending it for the people! There's a lot of uncertainty about your power as a lord because of the lack of information, but if you're holding on to South Strag, that's likely enough to make you quite an income. With that in mind, I can also understand the idea that it would be better to send soldiers to a small village like the village of Yorke and leave them alone rather than put the hassle and the cost on them. As a resident, I can't wait to see the tax revenues going up from this village, or the cost of having several soldiers headed behind the Great Tree Sea to investigate, which is up there, perhaps the latter one. Behind the Great Tree Sea is a highly dangerous place.

「確かに、険しい道でしたよね」 「解るのか、店長殿?」 「えぇ、ある程度は。クルミのおかげで。ねー?」 「がうがーう!」 魔力の残量を考慮して完全同調こそ控えていたものの、ここに拠点を作って以降は時折聴覚の同調を行ったり、クルミが把握した状況をフィードバックしたりと、情報収集は行っていた。 その中でも重要だったのは、抜小路検知器もどき。 最高品質の抜小路検知器であれば、先に続く通路の形状まで把握できるのだが、当然ながら私がでっち上げた“もどき”に、そんな機能はついていない。 その代わりに、クルミを術式に組み込んだことで、クルミ自身はおおよその形状を把握できるようにはなっていたのだが、アイリスたちにそれを伝える 「でも、私の方はクルミと同調することで、把握ができましたから......」 「もしかして、時々クルミが描いていた模様も?」 「それも含めて、ですね」 とか、色々な物を組み合わせることで、おおよその地図を作り上げ、アイリスさんたちを救出可能な箇所を特定。 そこに向けて穴を掘ると同時に、アイリスさんたちをクルミに案内させたのだ。 「だから、救出できたのね」 「さすがに、闇雲に穴を掘るわけにはいきませんからね」 これでもかなり綿密に、それでいて急いで計画を立てたのだ。 携行保存食 に余裕があったので、アイリスさんたちの命に関してはさほど心配してなかったけど、魔晶石が残り僅かになり、クルミの魔力に不安が出てきて、ちょっと焦った。 「でも、話を聞くと、かなりのコストがかかってそうなんだけど......」 「そうだよな。この小屋だって、決して安くはないだろうし......」 「まぁ、安くはない......ですね」 ちょっと考えたくないぐらいには。 私は言葉を濁し、探るように聞いてくるケイトさんたちから、視線を逸らす。 せめてもうしばらくは、そんなことは忘れてアイリスさんたちが助かった喜びに浸っていたい。 「でも今は、そんなことより、早く戻ることを考えましょう。ロレアちゃんも心配しています。元気な姿を見せてあげないと」 「そう、だな。ここはまだ、大樹海の中......なんだよな?」 辺りを見回すアイリスさんに、私は頷く。 「えぇ、溶岩トカゲがいる山、そこを下った辺りですね」 「なら、まだ気は抜けないわね。撤収作業も必要なのよね?」 「はい。錬金釜など、持ち込んだ機材は絶対に持ち帰らないとダメですし、寒くなると野営も厳しくなります。ですから、手早く撤収作業を――」 開始しましょう、と言おうとしてグレイさんたちの方へ視線を戻せば――理解不能な状況が、そこで展開されていた。 どういう経緯を辿ったのか、グレイさんとノルドさんが上半身裸になり、パンプアップ。 ポーズを変えながら繰り返されるそれは、下手をすると年齢制限が必要になりそうな絵面である。 具体的に言うなら、未成年お断り? 「何ごと......?」 理解できない光景に私が目をパチパチしていると、近付いてきたアンドレさんが苦笑しつつ解説してくれた。 「それが、何故かグレイとノルド、どちらの筋肉がより実用的か、言い合いになってな」 「......意味解りません」 解説を聞いても理解できなかった。 「さっきまで、意気投合してませんでした? あの二人」 「筋肉という総論では解り合えたようだが、実戦で鍛え上げた筋肉だとか、それは筋肉のバランスが悪いとか、各論では一致しなかったようだな」 「グレイさんって、真面目な人だと思ってたんですが......」 更に理解不能。 困惑する私に、ギルさんも二人へのツッコミを放棄して近付いてきた。 「いやぁ、あいつも俺たちと似たようなもんだぜ? 無口さに騙されがちだけどよ、俺と一緒にやってけてるんだからな。はははっ!」 「なるほど、それは理解できました」 ギルさんの軽薄にも近い軽妙さ、それを我慢できる時点で、忍耐力が強いのか、もしくは、どこか似たところがあるのか。 前者かと思ったら、後者だったらしい。 しかし、いつまでも二人のパフォーマンスを見ているわけにもいかない。 私の趣味じゃないし。 「ねぇ、アイリスさん、ケイトさん。あれ、止めてくれません?」 「すまない。私のような乙女は、ちょっと近付けない」 「えぇ、そうよね。私たち、貴族の令嬢とその付き人だし」 ......あれ? 以前、騎士としての訓練に参加してるから、男の上半身裸とか、見慣れているとか聞いたような覚えが。記憶違い? でも、生い立ちだけを考えれば、ケイトさんの言葉は間違ってないわけで。 「ギルさんたちは――」 「あいつら、全然話を聞きやしねぇ」 「筋肉談義は面倒くさい。サラサちゃん、ビシッと言ってやってくれ」 当てにならなかった。 私は深くため息を吐くと、仕方なしにその汗臭そうな空間へと近付いた。 「二人とも! 筋肉なんかどうでも良いですから、帰る準備をしてください!」 「どうでも良いって......重要だよ、筋肉。あったら便利だからね。サラサ君は......ちょっと貧弱そうに見えるよ?」 「うむ。少し肉付きが足りないな」 「そうだね。筋肉だけじゃなく」 「うっ......」 ちょっぴり自覚はある。 孤児院時代の影響か、私はちょっと成長が遅く、身体も小さめ。 それに伴う筋力の少なさから、魔力による身体強化なしでは、時に錬成作業に影響が出るほど。 でも、ノルドさんみたいなマッチョにはなりたくない。 女の子として、絶対に。 そして、肉付きが足りないとか言った二人は許さない。 「ふふふ......。ノルドさん、グレイさん、そんなに筋肉に自信があるなら、錬金釜と魔力炉、担いで持ち帰れますよね?」 持ち込んだときには、ダルナさんから荷車を借りて運んできたんだけど、当然ながらすでに返却済み。 今から借りに戻っていたら、村への帰還が遅くなる。 でも筋肉自慢の二人なら大丈夫に違いない。 そんな思いを込めてにっこりと微笑めば、直接は知らないノルドさんはやや困惑気味に眉を上げ、ここまで運んできたグレイさんは言葉に詰まる。 「錬金釜と魔力炉......?」 「あ、あれか......」 「まさか、持てないなんて言いませんよね? 私はそう言いながら、小屋の中から錬金釜と魔力炉を運び出し、ドンッ、ドンッと二人の前に置く。 ――当然、魔力による身体強化を使ってだけど。 「いや、しかし、ここから村までは日数が......」 「大丈夫です。走れば一日で着きます」 「逆に大丈夫じゃないやつだよね、それ!?」 「おや? ノルドさんの筋肉はそんなものですか? どう思います、アイリスさん」 「ん? そうだな、筋肉は見せるものじゃなく、使うものだよな」 アイリスさんにパスすれば、自然に良い感じに煽ってくれた。 そしてケイトさんは、むふりと笑い、意図的に煽る。 「使えない筋肉に意味はないわよね。それとも、ノルドさんの筋肉は見せかけだけだったのかしら?」 「違――って言って良い場面? これ?」 「何だ、実戦で鍛えられていない筋肉など、所詮その程度か」 「なにを――」 「違うというなら、見せてみろ! フンッ!」 気合いを入れて錬金釜を担ぎ上げるグレイさん。 私が入れるほどに大きい金属製のそれは、かなり重い。 「ちょっと、そっちの方が軽く見えるんだけど!?」 そしてそれよりもズシリと重いのが、魔力炉。 なので、ノルドさんの言い分は間違っていない。 ただし形状的に持ちやすいのは魔力炉の方なので、運ぶときにどちらが楽かは微妙なところ。 「気のせいだ。さあ、帰るぞ。お前の筋肉に嘘がないというのなら、しっかり担いでついてこい!」 「いや、絶対こっちが重いよね!? サラサ君の表情からしても!」 おっと、顔に出ちゃってたか。 でもノルドさんは、文句を言いつつも魔力炉を持ち上げ、歩き出したグレイさんの後を小走りに追う。 うん。筋肉云々はともかく、それを持てる時点でかなり鍛えられていることは間違いないから、誇って良いと思う。 「はぁ~。面倒くさくてすまねぇな、サラサちゃん」 「あ、いえ。あのグレイさんはちょっと意外でしたが、普段のギルさんに比べれば、どうということも」 二人の背中を見送りながらヤレヤレと首を振るギルさんに、ポロリとそんなことを言えば、ギルさんが愕然とした表情で私を振り返った。 「え、酷くねぇ!? 俺ってそんなにウザい!?」 「......なんとなく?」 「明確な理由がない分、更に酷ぇ!」 実際のところ、頼んだお仕事はきっちり熟してくれるし、結構頼れる人なんだけど、ちょいちょい挟み込まれる軽口が、印象を下方修正しちゃってるんだよね。 何というか......良い人には一歩及ばない、悪くない人レベル? 「自業自得だろうが。お前もそろそろ落ち着きを覚えても良い年だと思うぞ? サラサちゃん、荷物は纏めておいた」 「ありがとうございます、アンドレさん。いつも助かってます」 対してこっちはできる人。 安定して頼れるのは、さすのリーダーか。 さすがに、年齢的に対象外だけど。 「見落としがないかもう一度確認して、帰りましょうか」 「そうだな。取りに戻るのは面倒だからな」 「そいじゃ、俺はあっちを見てくるわ」 手分けしてしっかりと確認を始めた私たちに、アイリスさんが少し戸惑ったように、すでに小さくなり始めている二人の背中と、私たちを見比べ、口を開く。 「なぁ、急いで後を追わなくて良いのか? あの二人、もうずいぶん先まで行ったようだが......」 「急ぐことはない。どうせあのペースじゃ、長くは続かないさ」 「ですね。さすがにあれを持って、一日で村まで辿り着けるとは思えませんし」 戸惑い気味のアイリスさん、そしてケイトさんには休んでいてもらい、しっかりと確認を終えた私たちは、ここしばらくの拠点として使っていた小屋の扉を閉じて鍵を掛けた。 せっかく作った小屋、野生動物や魔物に荒らされるのは勿体ないからね。 「さて、帰りましょうか」 ポンと両手を合わせ、荷物を持ち上げた私は、少しぐったりとして地面に座り込んでいるアイリスさんとケイトさんに手を差し出した。 ずっと気を張っていたからか、安心できる状況になって疲れが出た様子のケイトさんは、ホッと息を漏らして、私の手を取る。 「あぁ......、やっと帰れるのね」 「すみません、お待たせしましたね」 「いいえ、気にしないで、店長さん」 「何だ、ケイト。情けないぞ!」 すぐに立ち上がり、『ふんすっ!』と胸を張ったアイリスさんを見て、ケイトさんが深いため息を吐いた。 「......はぁぁ。ちょっと前までは、帰れるか判らないと泣き言を言っていたのに」 「なっ!? (それは秘密だぞ、ケイト!)」 チラチラと私の顔を見ながら、何やらケイトさんに囁いているアイリスさんだけど......まぁ、クルミが耳にしたことは、ある程度、把握しちゃっています。 ケイトさんはそれを理解しているみたいだけど、特に何も言わず、アイリスさんの背中を押した。 「そっちは忘れても良いけど、無事に脱出できたんだから、アデルバート様への報告を考えないとね」 「うぐっ、それがあったか......」 「大丈夫よ、帰るまでは一日以上かかるみたいだし、ゆっくり考えれば。私に責任がかからない報告を」 「やっぱり叱られるのは、私の役目なのか!?」 やや騒々しくも、晴れやかなアイリスさんたちの会話に、私とアンドレさん、ギルさんは笑みを浮かべ、森の中を歩き出す。 そんな私たちの間を、ざわざわと音を立てて風が吹き抜けた。 その風の冷たさを感じたのか、アイリスさんが頬に手を当てて空を見上げる。 「......もう冬、か。洞窟の中とは違うな」 「そうね。私たちの秋は失われたわね」 ケイトさんも周囲の木々を見回して、少し憂鬱そうに呟いた。 「結構長い間、閉じ込められてましたからねぇ」 「それも命の代わりだと思えば、安いものだが......そろそろ雪が降り始める。そうなると、森の中に入るのが厳しくなるな」 「採集者には、厳しい季節になるわね......」 まるでその言葉に応えるかのように、にわかに空から白い物が落ち始めたのだった。

Towards Escape () "It was a tough road, wasn't it?" "Do you understand, Lord Store Manager? "Yeah, to some extent. Thanks to the walnuts. Hey?" "Ha-ha-ha! Though it was only in full tune given the residual amount of magic that we refrained from doing so, since we created our base here, we have been collecting information on occasional hearing tuning and feeding back on the situation the walnuts grasped. Among other things, it was important to retrieve the trail detector. With the highest quality drainage trail detector, I can even grasp the shape of the passage that follows, but naturally, it doesn't have that feature in the "mordori” that I made up. Instead, by incorporating the walnut into the procedure, the walnut itself was able to grasp the approximate shape, but there was no way to tell the Iris. "But I was able to grasp it by being in tune with the walnut..." "Maybe even the pattern that walnuts used to draw sometimes? "Including that," Others, such as smelters (artifacts) that capture the location of their own alchemy organisms (homunculus), combine various objects to create an approximate map and identify where Iris and the others can be rescued. At the same time we dug a hole towards it, we let Mr. Iris guide the walnuts. "So you were able to rescue me." "Exactly, you can't dig a hole in a dark cloud." This was still pretty close, so I hurried up and made a plan. I was not so worried about Mr. Iris' life because I could afford portable preserved food (lation), but I was a little anxious about the walnut magic because there were only a few magic stones left. "But when I listen to you, it costs a lot and it does..." "Right. Even this cabin will never be cheap..." "Well, it's not cheap..." As much as I don't want to think about it for a second. I turn away from Kate, who asks me to cloud my words and explore them. At least for a while now, I'd like to forget about that and immerse myself in the joy that Mr. Iris and the others helped. "But now, let's think about going back faster than that. Lorea is worried too. I need to show you how healthy I am." "Right, right. This place is still in the sea of trees... what is it? I nod to Mr. Iris looking around. "Yeah, the mountain with the lava lizard, about down there." "Then you can't lose your mind yet. We also need extraction work, right? "Yes, you'll never have to bring back the equipment you brought in, such as an alchemy kettle, and when it gets cold, the camp gets tougher. So let's do the withdrawal work quickly." Let's get started, let's look back at Mr. Gray and the others - an incomprehensible situation was unfolding there. Two of Mr. Gray and Mr. Nord got naked in the upper body and pumped up how they traced it. Repeated while changing pose That is a picture surface that is likely to require an age limit if you do poorly. If you're going to be specific, say no to minors? "What...? When I was patting my eyes on a sight I didn't understand, Andre, who approached me, explained with a bitter smile. "For some reason, Gray and Nord, which muscles are more practical." "... I don't know what that means" I didn't understand it when I heard the commentary. "Until just now, weren't you intentional? Those two." "We seem to have figured it out in the general theory of muscles, but the muscles we've built up in action are the best, and that doesn't seem to be an imbalance in muscles, which didn't seem to match in each theory" "I thought Mr. Gray was a serious person..." Even more incomprehensible. To me confused, Mr. Gill also approached me by abandoning his scrutiny of the two of them. "Hey, he's like us, too, huh? I tend to be fooled by silence, but you're doing it with me. Ha ha! "I see, I understand that" The subtlety that is also close to Mr. Gill's lightness, at a time when he can tolerate it, is he patient, or is there any similarity? I thought it was the former, he said it was the latter. But you can't just watch the two of us perform forever. It's not my hobby. "Hey, Mr. Iris, Mr. Kate. Will you stop that? "I'm sorry. Maidens like me don't get a little close." "Yeah, right. We're noble ladies and their entourages." ... Is that it? I remember hearing about the guy's naked upper body and being used to seeing him because he was in training as a knight before. Wrong memory? But given the birth alone, Mr. Kate's words aren't wrong. "Mr. Gill and the others..." "They don't listen to me at all." "Muscle rigging is a pain in the ass. Sarasa, say" Biscuit. " I couldn't guess. When I sighed deeply, I had no choice but to approach that sweaty, smelly space. "Both of you! I don't care about the muscles, so get ready to go home! "It doesn't matter... it matters, muscle. It would be convenient if it did. Sarasa... you look a little poor, don't you think? "Hmm. That's a little meaty." "Right. Not just muscles." "Ugh..." I'm a little bit aware. orphanage influences or I'm a little slow growing and smaller in body. Because of the low muscle strength associated with it, without physical strengthening by magic, the more it sometimes affects the smelting operations. But I don't want to be a macho like Mr. Nord. As a girl, never. And I won't tolerate the two of you who said there wasn't enough meat. "Hehe...... Mr. Nord, Mr. Gray, if you're so confident in your muscles, you can take it home with you, alchemy kettle and magic furnace, right? When I brought it in, I borrowed a luggage car from Mr. D'Arna and carried it, naturally, already returned it. If I'm back to borrowing now, I'll be late for my return to the village. But two people who pride themselves on their muscles must be fine. If you smile with that in mind, Mr. Nord, who doesn't know him directly, raises his eyebrows slightly puzzled, and Mr. Gray, who has carried him this far, gets stuck in words. "Alchemy kettle and magic furnace......? "Oh, is that it..." "No way, you're not saying you can't have it, are you? Meat (...) With (...) Kiki (...) but (...) Feet (...) Ri (...) No (...), Poor (...) Weak (...) Because even I can hold it! With that said, I carry the alchemy kettle and the magic furnace out of the cabin and place it in front of the two of them, dong, dong. - Naturally, using physical enhancement by magic. "No, but there are days from here to the village..." "It's okay. If you run, you'll be there in a day." "The other way around, it's not okay, is it!?" "Oh? Is that what Mr. Nord's muscles are? What do you think, Mr. Iris?" "Hmm? Well, muscles aren't what you show them, they're what you use." Pass to Mr. Iris and he naturally stirred me up to a good feeling. And Mr. Kate laughs and intentionally incites. "There's no point in muscles you can't use, is there? Or was Mr. Nord's muscle just an appearance? "A good occasion to say no -? This?" "What, to what extent, muscles not built in action?" "What?" "If you mean no, show it to me! Humph!" Mr. Grey takes on the Alchemy Cauldron in a temper. It's made of metal big enough for me to put in, it's pretty heavy. "Hey, it looks lighter that way!?" And heavier than that is the magic furnace. So Mr. Nord's point is not wrong. However, it is the magic furnace that is shapely easy to hold, so it is a subtlety which is easier when transporting. "It's my fault. Come on, let's go home. If your muscles aren't lying, stick with me! "No, this one's definitely heavy, isn't it?!? Sarasa, even from your look! Whoa, was that on your face? But Mr. Nord lifts the magic furnace while complaining and follows Mr. Gray on a small run after he walks out. Yeah. Whatever the muscles are, I'm sure they're pretty well built up at the point where they can have it, so I think it's good to be proud. "Huh. I'm sorry it's a pain in the ass, Sarasa." "Oh, no. That Mr. Gray was a little surprised, but compared to the usual Mr. Gill, I don't know what to say." Speaking of polarity and that to Gil, who shook his head in jealousy as he dropped off the two backs, Gil looked back at me with a stunned look. "Oh, that's terrible!? I'm so wussy!?" "... somehow? "Even cooler for no clear reason! As a matter of fact, the job I asked for will ripen up perfectly, and I'm a pretty dependable person, but a little pinched light mouth is correcting the impression downwards, right? I don't know...... not a step to a good person, not a bad person level? "Though you will deserve it. I think it's time you learned to settle down, too, huh? Sarasa, I've packed my bags." "Thank you, Mr. Andre. It's always helpful." By contrast, this one can do it. Is that just the three leaders you can rely on steadily? Exactly, I'm not eligible for it at my age. "Let's see if we missed anything again, shall we?" "Right. It's a hassle to go back and get it." "Well, I'll look over there." He compares us to the two backs that are already starting to get smaller and opens his mouth to us, as Mr. Iris was a little confused, when he began to divide them and confirm them firmly. "Hey, don't you have to rush after me? Those two seem to have gone a long way..." "There is no hurry. At that pace, it won't last long." "Right. I don't think we can reach the village in a day." Perplexed Mr. Iris, and Kate were given a rest and after a thorough confirmation, we locked the door to the cabin we had been using as a base for some time here. The cabin I built, the wildlife and demons will destroy me. "Well, shall we go home" With my hands together with the pong and my luggage lifted, I offered my hands to Mr. Iris and Mr. Kate, who were sitting on the ground a little quietly. Kate, who looks tired because she's been distracted or in a reassuring situation, leaks her ho and takes my hand. "Oh... you can finally go home" "Sorry to keep you waiting" "No, never mind, Mr. Store Manager" "What the hell, Kate? Pathetic!" I immediately stood up and said, 'Humph!' Kate exhaled deeply when she saw Iris with her chest stretched. "... Ha. Until a little while ago, I was crying that I didn't know if I could go home." "Become!? (That's a secret, Kate! I'm Iris whispering to Kate somehow, looking at the flicker and my face... well, to some extent, I know what the walnuts have heard. Looks like Mr. Kate understands that, but she didn't say anything in particular and pushed Mr. Iris' back. "You can forget about that, but we've managed to get out of here safely, so we need to consider reporting to Lady Adelbert." "Ugh, did that happen..." "It's okay, it seems like it'll take more than a day to get home, if you take your time. I can't be held accountable." "Is it my role to be scolded after all!?" Slightly noisy, to the conversation of the sunny Iris, me and Andre, Mr. Gill, smile and walk out into the woods. The wind blew through us deliberately making noises like that. You felt the cold of the wind, Mr. Iris puts his hand on his cheek and looks up at the sky. "... it's winter already, huh? It's not like in a cave." "Right. Our fall has been lost." Mr. Kate also looked around at the trees around her and groaned a little melancholy. "I've been locked up for quite a while." "If you think that's a replacement for your life too, it's a cheap one... but it's time for it to start snowing. Then don't get tough going into the woods." "It's going to be a tough season for collectors..." As if to respond to the words, white objects began to fall from the sky.

「やっと、落ち着いたわね」 「ですねぇ......」 ここしばらく続いていたドタバタにようやく目処が付き、私とロレアちゃんは店舗スペースでのんびりとお茶を楽しんでいた。 お茶菓子は、先ほどロレアちゃんが焼いてくれた、ナッツ入りのクッキー。 トラブル解消のお祝いも兼ねて、やや贅沢にバターと砂糖を使ったそのクッキーは、まだほんのりと温かく、とっても美味しい。 正直、ロレアちゃんはこれで商売ができるんじゃないかな、と思うぐらいだけど......この村じゃ無理か。 原価を考えると、村の人ではそうそう食べられないだろうし。 「ロレアちゃんにも、迷惑をかけたね」 「いえ、私にできたのは、店番ぐらいで......」 恐縮するように首を振るロレアちゃんの手を取って、私はその言葉を否定する。 「それがありがたいんだよ。私の本業は錬金術師。お店を任せる事ができなかったら、他の事をする余裕も無かったんだから。本当に、助かったよ」 「そう言っていただけると、嬉しいです」 照れたように笑うロレアちゃんを見ながら、私はここしばらくの事を思い返していた。 斃せたかどうか不安だったサラマンダー。 翌日、私の魔力が概ね回復した頃を見計らって確認に向かえば、幸いな事にサラマンダーはしっかりと息絶えていた。 私たちが行った時には、ほどよく半解凍ぐらいの状態になっていたので、その場で不要な部分は廃棄。 再度完全に凍らせて、その半分ほどはフローティング・ボードに乗せて私が運搬。 残りはアデルバート様たちの協力を得て、持ち帰ってきた。 家に辿り着いた時、私は連日の魔力大量消費でヘトヘトになっていたけど、その甲斐もあり、サラマンダー素材の大半は師匠によって買い上げられ、私たちは十分な資金を手にする事ができた。 それにより、ロッツェ家の借金はきっちりと返済できたわけだけど、全てが順調とは言えなかった。 結論から言ってしまえば、ほとんど『借金の債権者が私に変わっただけ』に過ぎない状態になってしまったのだ。 まず、サラマンダーの素材を売った報酬。 その役割の違いから、さすがにで均等に分配』はないにしても、私としては、ある程度はアイリスさんたちにも配分し、それでトータルの借金額を減らすつもりだった。 でも、みんな、ほとんど受け取らなかったんだよね。 アデルバート様には『荷物を運んだ程度で大金を貰う事など、騎士としてできぬ!』と、かなり強く固辞されたし、カテリーナさんは『そもそも、私たちの事情に巻き込んでしまったのですから』と同様の対応。 は全て店長殿が提供した上に、氷結石は私が負担すると口にしている。その上で、私たち専用に誂えた耐熱コートやブーツを貰うのだ。それだけでも十分すぎる報酬だ』と言って、現金として受け取ったのはわずかだった。 結果、ロッツェ家の借金返済は私の資金から行われる事になり、それが借金の証文として、私の所にやってきた。 まぁ、それも調停によってお金を取り戻すまで、と思っていたんだけど、残念ながらこちらも、思ったようにはいかなかった。 私と仲の良かった、侯爵令嬢の先輩の伝を頼って、その方面に強い人を紹介してもらい、調停を申し立てたんだけど、敵も然る者。 さすがは悪人だけあって、契約書類にはきっちりと細工がしてあった。 私も専門家じゃないのでよく解らないんだけど、その事もあって、簡単に過払い金を取り戻す、なんてことはできなかったのだ。 ついでに言えば、きっちりと返済済みだった事も、悪い方向に働いてしまった。 王としては、直臣の貴族が借金漬けになり、他貴族の陪臣のような状態になるのはマズいが、そうでないのなら、貴族同士の契約にあまり口を突っ込むのも、これまたマズい。 簡単に言えば、『返済できたんなら良いじゃない?』という話である。 だからといって、返済をせずに調停に入り、長い時間をかけてやれば良かったかと言えば、そう単純でもなく。 アデルバート様には『何も問題は無い。感謝している』と言ってもらえたので、まぁ、良かったのかな? それに、さすがは侯爵家から紹介された調停人と言うべきか、それともその背後にある侯爵家の威光と言うべきか、そんな状態でもかなり頑張ってくれて、ある程度のお金を取り戻す事には成功した。 ただそのお金も、調停人に対する報酬の支払いや、調停を申し立てるための費用、こんな田舎から調停に向かうための旅費、王都への滞在費などに消費され、実際に手元に残ったのはあまり多くなく、私への借金返済、そのごにしかならなかったのだ。 ちなみにアイリスさんたちは今、それらの後始末で一時的に実家の方に戻っている。 たぶん今日あたり、戻ってくるはずなんだけど......。 そんな事を思いながらロレアちゃんのクッキーを嗜んでいると、お店の扉が開いた。 「いらっしゃ......お帰りなさい」 「あぁ、ただいま」 「ただいま戻りました、店長さん」 入ってきたのはアイリスさんとケイトさん。 予定通りに戻ってきたという事は、面倒事も支障なく片づいたのだろう。 ここしばらくは晴れない日々が続いていの表情も、久々に明るく清々しい。 「お疲れ様でした」 「あぁ、疲れた。まったく、あの商人は......おっ! 美味しそうなクッキーだな。どれ、一枚――」 テーブルの上を見て、手を伸ばしたアイリスさんから、クッキーの入ったお皿を遠ざける。 「ダメです。まずは手を洗ってきてください」 「店長殿は、まるでお母様みたいだな......」 ちょっと口をとがらせながらも、素直に手を洗いに行ったアイリスさん、そしてケイトさんは、少しして荷物を置いて戻ってきた。 「よし、洗ってきたぞ!」 素直に手を洗ってこられては、私も拒否はできない。 ちょっと惜しいけど、『さぁ!』とばかりに手を差し出したアイリスさんたちにクッキーを渡す。 「――おぉ、美味しい! さすがロレアだな!」 「そんな......サラサさんが提供してくれた、素材のおかげです」 「確かにこれ、お金、かけてるわね」 普段食べているロレアちゃんお手製のクッキーに比べ、コストがかかっている事を看破したケイトさんに、私も頷く。 「色々終わった事のお祝いです。今回は、なかなかに面倒でしたから」 私の言葉に、追加のクッキーに手を伸ばしていた二人の動きが止まり、気まずそうな表情で顔を見合わせた。 「店長さんには、迷惑をかけてしまったわね。ごめんなさい」 「まったくだな。店長殿には今回の事で、更に返しきれない恩ができてしまった」 「恩の方は気にしなくても良いですが、お金の方は返してくださいね? 無理な請求をしたりはしませんけど」 クッキーの入ったお皿を、二人の方に押し出しつつ、言うべき事は言う。 せっかく錬金術大全の五巻に到達したのに、現状では資金不足で、そこに載っている 錬成薬 以前から貯めていた素材はあっても、それは必要な素材のごく一部。 作製に必要な素材が全て揃っている物は、あまりない。 サラマンダー戦でお金、素材共にかなり放出したこともあり、アイリスさんからのお金が入ってこないと、作業もなかなか進められない。 「もちろん返すとも! ......時間の方はかかるかも、だが」 「はい、お願いします。私の方も、先輩にお礼をしないといけないですから」 調停人を紹介してもらって、『ありがとうございます、助かりました』の言葉だけで済ますのは、さすがに申し訳ない。 親しき仲にも礼儀あり。 何かしらのお礼をするにも、先立つものは必要なのだ。 「あぁ、あれは本当に助かった。調停人を探そうにもウチには全く伝が無かったからな。そして、重ねて申し訳ないのだが、その方には十分にお礼を伝えておいてくれ。相手は侯爵家、しがない騎士爵であるウチでは礼状を送るのがやっとなのだ」 「そうね。金銭的には少し残念な結果だったけど、正式な裁定を出してもらえただけでも十分な価値があるわ。カーク準男爵からおかしな難癖をつけられる余地が無くなったんだから」 「金を返しても、何を言ってくるか判ったものじゃないからな! 彼奴は!」 「そう言っていただけると、私としても、急いで連絡をつけた甲斐があります」 いくら先輩たちが仲良くしてくれていたとは言っても、直接実家の侯爵家に連絡できるほど、私の立場は強くない。 それ故、遠く地方の町にいる先輩に連絡して、調停人の紹介をお願いして、そこから実家の方に連絡してもらって......と、なかなかに大変な作業ではあったのだ。 普通に連絡したのでは時間がかかりすぎるため、転送陣も活用、師匠にも協力してもらっているので、そのコストたるや......。 普通なら、とんでもない金額である。 まぁ、師匠の方は、サラマンダーの素材を流した事で機嫌が良さそうだったので、問題は無いと思うけどね。 「でも、すごい金額ですよね。この前、倉庫に積んであったお金より多いんですよね? 私には、想像もつきません」 「うむ。私たちだって、そんな額、見た事無いぞ。自慢じゃないがな!」 ため息をつくように言ったロレアちゃんに、何故か胸を張って言うアイリスさん。 実際、ロッツェ家が最初に借りた額はもっと小さかったのだから、見た事が無いのは事実だろう。 一応、今回の返済にあたって、師匠から支払われたお金をアデルバート様に渡しているけど、額が額だけに、使ったのは大金貨と白金貨。 それぞれ一〇万レアと一〇〇万レアの価値があるだけに万レアを超える額でも手のひらに載るサイズの革袋でしかなかった。 その中をアイリスさんが覗いていれば、“見た”事にはなるんだろうけど、ちょっと違うよね、ロレアちゃんの言う意味とは。 「アイリスさん、それだけの金額を返せるんですか? いくら採集者でも、大変ですよね?」 「うむ、それなのだ。このままだと、私は一生、店長殿に返し続ける事になりそうだ。そんな長期間、ここでやっかいになっていても良いのか、それが問題だな!」 いや、アイリスさん。いつまで採集者を続けるおつもり? 結婚とか、するつもりは無いんですか? も含め、全ての借金はロッツェ家名義に変わっているのだ。 アイリスさん、それにケイトさんだけで返済する必要はない。 「領地の税収からも返済されますから、そこまででは無いとは思いますが......かなりの額ではありますよね」 そう、それ。 いくら小さな領地とは言え、そこから入る税収は、普通の人が稼ぐ額とは桁が違う。 もっとも、それで簡単に返せるようなら、借金が膨れ上がる事も無かったはずだから、あまり期待はできないんだけど。 「だが、それはそれとして、店長殿には恩を返さねば、ロッツェ家の名が廃る」 「いえ、本当に気にする必要は――」 「アイリス、私に良い考えがあるわよ」 私も、ちょっとだけサラマンダーの素材を確保できているので、頑張った価値はある。 お金だけ返してもらえばそれで十分。 そう言おうした私の言葉を遮るように、少し悪戯っぽく、にんまりと笑ったケイトさんが言葉を挟んできた。 「お、なんだ、ケイト。店長さんに恩を返せる考えか?」 「それだけじゃなく、借金も解決する、ナイスアイデアよ」 「ほぅ、それはすごい! 聞こうじゃないか」 身を乗り出したアイリスさんに、深く頷くケイトさん。 ――なんだか嫌な予感がするよ? 「簡単な事よ。アイリスと店長さんが結婚すれば良いのよ」 「「......はい?」」 「――――ふむ」 困惑の声を上げた私とロレアちゃんに対し、何故か考えるように頷いているアイリスさん。 え? アイリスさん、女性だよね? 「えーっと、ケイトさん? 私、別に同性愛に偏見はないですけど、私自身は異性愛者ですよ?」 上流階級や神殿なんかでは、男女ともに珍しくないみたいだけど、ごく普通の家庭で育った平民である私には、少々縁遠い世界。 そちらに足を踏み入れる予定は無い。 「大丈夫。嗜好なんて、案外変わるものよ?」 いや、それはどうだろう? 食べ物の好みとかならともかく――。 「悪くないな」 「えっ――!!」 「ちょ、アイリスさん!?」 「店長殿、私と結婚すれば、もれなく爵位が付いてくるぞ? 小さいとは言え、領地もある。結構、お得だと思うのだが? ついでにケイトも付けよう」 「え、私......?」 驚く私たちを尻目に、アイリスさんは何やらプレゼンを始める。 そして、まるでオマケのように付けられるケイトさん。 目を丸くしているけど、同情はしない。 原因を作った人だから。 「えっと、アイリスさん。私、爵位が欲しくて援助したわけじゃないんですけど......」 「だからこそだ! もし爵位が目的なら、あり得ぬ話だ。そんな店長殿だからこそ、任せられる!」 いや、任せられても......。 「そもそも、跡継ぎはどうするんですか。ロッツェ家としては、婿を取らないと困るでしょう」 「養子という手もある。それに店長殿、 「え、そんな便利な物があるんですか?」 アイリスさんの言葉に、身を乗り出すロレアちゃん。 何で興味を示すの? 「いや、確かにありますけど......高いですよ?」 女同士、男同士でも子供が作れる なので、基本的に使用するのは、継嗣が同性愛者で対処に困った上級貴族ぐらいなのだが......。 よりも、長期に亘って妊娠期間が必要な男同士の 「そこは、店長殿にすがるしかないのだが。作れたりはしないだろうか?」 「作れないですし、そもそも素材のコストが大きいので、あまり意味は......じゃなくて。結婚しませんから!」 「そうか? 年齢はちょっといっているが、私の容姿もそう悪くないと思うのだが」 「そういう問題じゃないです!」 アイリスさんは自分の顎に手を当て小首をかしげ、ケイトさんはそんな彼女の様子を面白そうに見る。 と言うか、冗談か本気か知らないけど、けしかけておいて放置しないでよ! 「とにかく! 私はまだ結婚するつもりなんてありません! 錬金術師としても道半ば――いえ、歩き始めたばかりなんですから!」 「ふむ、なるほど。待てば海路の日和あり。店長殿が結婚する気になるまで、傍で待っていれば良いのだな?」 「ち、が、い、ま、す!」 「だがそうなると、いつまでも店長殿と呼ぶのも、他人行儀か。今からサラサと呼んでおくべきだろうか?」 「だからぁ~~~!」 とぼけた事を言うアイリスさんと、バンバンと机を叩く私に、ロレアちゃんとケイトさんが耐えかねたように吹き出した。 そんな二人の様子に、私とアイリスさんは言葉を止めて、思わず顔を見合わせる。 そして、揃って笑い声を漏らしたのだった。

Epilogue "Finally, you've calmed down." "Hey......" I finally got my eye on the doozy that's been going on for a while here, and me and Lorea were relaxing and enjoying tea in the store space. Tea confectionery is a cookie with nuts, baked by Lorea earlier. That cookie, made with butter and sugar somewhat extravagantly, combined with a trouble-free celebration, is still slightly warm and very tasty. Honestly, I wonder if Lorea can do business with this... but not in this village. Given the cost, people in the village won't be able to eat that way. "You annoyed Lorea, too." "No, what I was able to do was, like, store number..." Take Lorea's hand, who shakes her head to be frightened, and I deny the word. "That's what I appreciate. My main business is alchemists. If I couldn't trust the store, I couldn't afford to do anything else. Thank you so much." "I'm glad you said that," Looking at Lorea laughing like she was lit, I've been thinking about this for a while. Salamander, who was anxious to see if he had been killed. The next day, when my magic generally recovered, I anticipated and headed for confirmation, and fortunately, Salamander was firmly breathless. When we went, it was about half thawed so often that unnecessary parts on the spot were discarded. Let it freeze completely again, and I'll carry half of it on the floating board. The rest was brought back with the help of the Adelberts. When I arrived home, I had become a heck of a lot of it with my daily magic consumption, but it was also worth it, and most of the salamander material was bought up by my master, and we were able to get enough money. That made it possible to pay off the Rotze family debt exactly, but not everything went well. In conclusion, it almost turned out to be nothing more than 'creditors of debt have just turned into me'. First, the reward for selling salamander material. Due to the difference in that role, even though there is just no 'evenly distributed among the five', as far as I'm concerned, I was also going to distribute it to Mr. Iris and, to some extent, reduce the total amount of debt that he owed. But, guys, you barely took it, did you? Adelbert said, "I can't be a knight when I carry a lot of money! 'And he was quite strongly praised, and Mr. Caterina responded similarly to' In the first place, because he got involved in our circumstances'. Even for Iris and the others, "All the smelting equipment such as heat protection coats and ice stones, the Artifact, were provided by the store manager, and the ice stones are said to be borne by me. On top of that, get a heat resistant coat or boot that we specialize in. That's too much of a reward, 'he said, and only received it as cash. As a result, the Lotze family's debt repayment came to me from my funds, and that was the debt statement. Well, that too, until I got my money back by mediation, unfortunately, this one, didn't work out the way I thought. I was close to me, relying on the legend of the Marquis' predecessors to introduce me to someone strong in that regard, and to petition for mediation, who also has enemies. That's just the bad guys, and the contract documents were perfectly detailed. I'm not sure because I'm not an expert either, but sometimes, I can't easily get my overpayment back. Finally, the fact that it had been repaid exactly worked in the wrong direction. As a king, it is a bad idea for the nobility of the direct minister to be soaked in debt and in a state like that of a jury of other nobles, but if not, it is also a bad idea to stick too much mouth into the covenant between nobles. Simply put, 'If you could have repaid it, wouldn't you?' It's a story. That's why I should have gone into mediation without paying back and spent a long time doing it, not so simple. To Lady Adelbert, 'Nothing wrong. I appreciate it,' so, well, was it good? Besides, that's what I should call a mediator introduced by the Marquis, or the prestige of the Marquis behind it, even in that state he worked pretty hard and succeeded in getting some money back. However, the money was also spent on the payment of remuneration to the mediator, the cost of filing for mediation, the cost of travelling from such a countryside to mediation, the cost of staying in Wang Du, etc., and not much was actually left on hand, only to repay my debt, a small part of it. By the way, Mr. Iris and his family are now temporarily back home at the end of those days. Probably around today, I'm supposed to be back... Lorea's cookies opened the store door when she was thinking about it. "Welcome... Welcome home" "Oh, I'm home." "I'm home now, Mr. Store Manager" It was Mr. Iris and Mr. Kate who came in. I guess I got rid of the hassle and the fact that I was back on schedule. The look on the faces of the two of them, which have been going on for days that haven't been sunny for some time here, is also bright and clear for a long time. "Good luck" "Oh, I'm tired. Damn, that merchant... whoa! That sounds like a delicious cookie. Which, one..." Look on the table, away from Mr. Iris, who reached out, a plate with cookies. "No. Wash your hands first." "The manager is like a mother..." Iris, who let his mouth hang for a moment but honestly went to wash his hands, and Kate, came back with a little bit of her stuff down. "Okay, I've been washing it! If you honestly wash your hands, I can't refuse either. It's a shame, 'Come on!' and give the cookies to Mr. Iris, who just offered his hand. "-Oh, yummy! That's Lorea! "Oh no... Sarasa provided it, thanks to the material" "Sure, you're spending money on this." Lorea, I snort at Kate for breaking the cost compared to the cookies she usually eats. "It's a celebration of all that's over. This time, it was quite a hassle." To my words, the two people who were reaching for additional cookies stopped moving and looked at each other with an awkward look on their face. "You've annoyed the manager. I'm sorry." "Not at all. This time, I couldn't repay the manager enough." "If you're grateful, you don't have to worry about it, but if you have money, give it back, right? I wouldn't make an impossible claim." Say what you have to say while pushing out a plate with cookies for both of you. After reaching all five volumes of Alchemy, we are currently underfunded, and we are barely able to make the smelter Artifact or the smelter Potion listed there. Even if you have materials you've been saving for a long time, that's a small part of what you need. There are not many items that have all the necessary materials to make them. I have released quite a bit of both money and material in the Salamander battle, and without the money from Mr. Iris coming in, the work can hardly go on either. "Of course I'll give it back! ... but it may take some time." "Yes, please. I have to thank you too." I'm just sorry that you introduced me to the mediator and all you have to do is say, 'Thank you, that was helpful'. Courtesy of intimacy. I need something to thank you for. "Oh, that really helped. We didn't have anything to tell you about trying to find a mediator. And I'm sorry to overlap, but tell that person enough to thank me. The Marquis, the knightly knight, finally sends us a thank-you note." "Right. It turned out a little unfortunate financially, but it's well worth it just to get a formal ruling. There's no room for some crazy obsession from Associate Baron Kirk." "Give me back my money, but I don't know what you're going to say! He is!" "If you say so, even for me, it's worth the hurry to get in touch with you" No matter how many seniors were close to me, my position is not strong enough to contact my parents' Marquis house directly. So it was quite a difficult task to contact a senior in a remote regional town, ask for a referral from the mediator, and get in touch with his parents from there... Normally it takes too long to contact you, so the forwarding team is also using it, and the master is also cooperating with you, so its costly... Normally, it's a hell of a lot of money. Well, the master seemed in a good mood for flushing the salamander material, so I don't think there's a problem. "But it's an amazing amount, isn't it? That's more money than we had in the warehouse the other day, right? I can't imagine." "Mm-hmm. We've never seen anything like that. I'm not proud of you! I told Lorea to sigh, and for some reason, I say with my chest up, Mr. Iris. In fact, the first amount the Rotze family borrowed was smaller, so it must be true that they never saw it. For once, in this repayment, I am giving the money paid by my master to Master Adelbert, but the amount is just the amount, and the large and white gold coins I used. It was only a leather bag the size of which would be on the palm of the hand for an amount over million rare, just worth a million rare and a million rare, respectively. If Mr. Iris had a peek into it, he'd have “seen” it, but it's a little different, isn't it, what Lorea means? "Mr. Iris, can you return all that money? No matter how many collectors, it's tough, right? "Um, that's it. If I keep doing this, I'm going to keep giving it back to the manager for the rest of my life. Can we be screwing around here for such a long time, that's the problem! No, Mr. Iris. How long are you going to keep gathering people? Aren't you going to get married or something? In the first place, all debts, including the smelting drug Potion used for Mr. Iris, have been turned into the name of the Rotze family. Mr. Iris, and I don't need to pay you back just Mr. Kate. "It will also be repaid from the tax revenues of the territory, so I don't think that's it... it's quite the amount, isn't it?" Yeah, that. No matter how small the territory, the tax revenues that come in from it are not digits from the amount that ordinary people earn. But if it's going to be easy, there shouldn't have been any debt buoyancy, so I can't expect much. "But if you don't repay the manager, the name of the Rozze family will be abandoned." "No, you really need to care -" "Iris, I have a good idea." I, too, have been able to secure some salamander material just a little, so it's worth the effort. That's enough if you just give me my money back. That's what I tried to say. Kate came pinching words, a little pranky and giggling. "Oh, my God, Kate. You think you can repay the manager? "Not only that, but we'll settle our debts. Nice idea." "Ho, that's amazing! Let's hear it." Kate snorts deeply at Iris as he embarks on himself. - I have a bad feeling about this, don't I? "It's easy. We just need Iris and the manager to get married." ""... Yes? "- Hmm." Mr. Iris nodding to me and Lorea, who raised a bewildering voice, to think for some reason. Huh? Mr. Iris, you're a woman, aren't you? "Um, Mr. Kate? I, I'm not prejudiced to homosexuality, but I'm heterosexual myself, right? In the upper classes and temples or something, it doesn't seem uncommon for both men and women, but to me, a civilian who grew up in a very ordinary family, a slightly remote world. I don't plan on stepping in there. "It's okay. What kind of hobbies are outrageous? No, what about that? Whatever your food preferences are... "Not bad." "Eh -!!" "Hey, Mr. Iris!?" "Dear Store Manager, if you marry me, the title will come soon? Even though it is small, it also has territory. Fine, I think it's a good deal? Let's finally put Kate on." "What, I...? With surprise on our asses, Mr. Iris begins his presentation somehow. And you can put it on like an omelet, Mr. Kate. I have my eyes round, but I have no sympathy. Because he's the one who created the cause. "Uh, Mr. Iris. I wanted a title and I didn't help..." "That's why! If the title is what it's all about, it's impossible. You're such a store manager, I can take care of you! No, even if it's left to me... "In the first place, what do you do with the inheritance? As a Rozze family, you'll have trouble without a son-in-law." "I also have a hand in adoption. Besides, Lord Store Manager, I've heard there are some things in the potion that make it possible? "What, do you have such a handy thing? To Mr. Iris' words, Lorea embarks on herself. Why are you showing interest? "No, I do, but... it's expensive, isn't it? There is certainly a potion of smelting drugs that women and men can make children of each other. It's a tear-free expensive smelter, Potion, so it's basically about the senior nobleman whose heirs are gay and have trouble dealing with it... Incidentally, it's more expensive to smell potion between men who need a long term pregnancy than potion between women who need it for a short period of time... I don't care. "I just have to get to the manager. Wouldn't you be able to make it? "I can't make it, and the cost of the material is huge in the first place, so it doesn't really mean... I'm not getting married! "Really? I'm a little old, but I don't think I look that bad." "That's not the problem! Mr. Iris puts his hand on his jaw and puts his ankle on it, and Mr. Kate looks interesting to see how she looks like that. I mean, I don't know if you're joking or serious, but don't leave me alone! "Anyway! I'm not going to get married yet! Even as an alchemist, halfway down the road - no, because I'm just starting to walk! "Hmm, I see. If you wait, there will be a sea day. Why don't you wait by the side until the manager's willing to marry you? "Chi, but, I, ma, su! "But when that happens, will you always call me Lord Store Manager? Should I call you Sarasa now? "So ~ ~ ~!" Lorea and Kate blew out like they couldn't bear to slap Iris and me on the desk with a bang. To the way those two look, me and Mr. Iris stop talking and look at each other unexpectedly. And they all leaked laughter.

「いらっしゃいませ!」 商品の補充に店舗エリアに顔を出すと、ロレアちゃんがやって来た採集者を笑顔で迎えたところだった。 ロレアちゃんを雇用し間あまり。 彼女は予想以上に優秀だった。 計算ができるので商品の販売に問題が無いのはもちろん、物覚えが良いので、買い取りに関しても、すでにある程度は任せられるようになっていた。 今のところ採集者の探索範囲はあまり変わらないため、持ち込まれる素材は季節毎に概ね固定されていて、それらの評価の仕方を覚えておけば、値付けも可能なのだ。 もちろん、錬金術師でなければ判断できない素材は私が出て行くことになるんだけど、その頻度は少なく、私はゆっくりと錬金術に取り組む時間を手に入れることができた。 おかげで、錬金術大全も一気に熟すことができ、今でも終わりかけ。 もちろんそれができたのも、師匠から餞別として貰っていた各種素材があったからなんだけど。 四巻ともなると、私の所持金ではちょっと買えないような素材も必要になるから。 更に有能なロレアちゃんは、私の食事まで作ってくれようとしたんだけど......まだ台所、カラッポなんだよね。 ロレアちゃんにも「サラサさん、さすがにこれは......」と呆れたような視線を向けられてしまったので、そろそろ充実させるべきかもしれない。 「どう、ロレアちゃん。仕事には慣れた?」 「はい! 大丈夫です。......うちに比べて扱う金額が大きいのがちょっと不安ですけど」 ロレアちゃんは笑顔で頷いた後、少しだけ表情を曇らせる。 確かに錬金術関連の品物は高いよね。買い取りの時にも結構大きな現金が必要だし。 でも、そんなお店だからこそ、対策もきちんとあるのだ。 「あはは、大丈夫だよ。防犯設備の使い方は覚えてるよね? おかしな人がいたら、躊躇無く使って良いから。――すっごく痛いみたいだけど、死んだりはしないから」 ロレアちゃんの頭を撫でながら私が口にした言葉に、店に居た採集者数人がギョッとした様な表情を私に向ける。 そんな人たちに、私も笑顔を向ける。 不埒なことをしなければ問題ないですからね~。 「何か問題があったら呼んでね」 「はい!」 うん、良い返事。 ま、まともな採集者なら問題を起こしたりはしないと思うけどね。 村人からそっぽ向かれたら、泊まるところはおろか、食事すらままならないんだから。 こんな小さい村だと悪い噂なんて、一瞬で広まるからね。 「それじゃ、よろしく――」 商品の補充を終え、私がそう言って再び工房へと戻ろうとしたその時。 「た、助けてください!」 そんな声と共に、お店の扉を壊しかねないような勢いで入ってきたのは、男に女性一人、それに担がれた女性が一人だった。 「ひっ――!!」 思わずロレアちゃんが息をのんだのも仕方ないだろう。 その四人の様子を簡単に言えば“満身創痍”。 一番酷いのは担がれている女の人で、全身に発疹が出て、顔からは血の気が引き、その右腕は根元からちぎれていた。 止血こそされているものの、地面には点々と落ちる血の跡が残っている。 「床に下ろして! ロレアちゃん、お客さんたちには外に出てもらって!」 ロレアちゃんは顔を青くして、少し震えながらも気丈に返事をし、即座に動いた。 私もすぐに床に下ろされた女性に近寄り、観察する。 何とか息はあるけど、かなり弱い。 お腹にも酷い傷があるようで、強く巻き付けられた布も血で真っ赤に染まっている。 そして左腕は黒く焼け焦げ、怪我のない部分の肌には赤い発疹が見て取れる。 「これは......怪我だけじゃなくて、毒もあるね」 「お願い! アイリスを助けて!」 そう言って懇願するように言うのはもう一人の女性。 女性を床に下ろした人ともう一人の男性は少し離れて、所在なさげに立っている。 「右腕は?」 そう言って、女性がマントに包まれたちぎれた腕を差し出す。 強引に引き千切られたような状態で、かなり状態は悪い。 でも、無いよりはマシ。 「助けることはできるよ」 「本当!? なら――っ」 私の言葉に顔を輝かせる女性に対し、私は手を上げて言葉を遮り、その顔を見て確認する。 「ただし! 良いの? かなりのお金がかかるよ?」 状況は悪い。 でも、確認を欠かすことはできないんだよ、錬金術師として。 「お前っ! 緊急事態に金とか――」 「素人は黙ってて!!」 口を挟んできた男性に、女性は強く言葉を叩きつけた。 「俺たちは素人じゃ――!」 「アイリスが怪我したのだって、あなたたちが勝手に突っ込んだからでしょ!」 「「.........」」 女性にキッと睨み付けられて、男性たちは気まずそうに視線を逸らし、口を噤む。 なるほど、この四人、二人と二人で臨時に組んだという感じなのかな? 「お願い。助けてください」 「うん。方法は二つ。命だけ助ける。完全に治す。解っていると思うけど――」 「お金は私が必ず払う! だからできる限り完全に!」 「解った。じゃあ、まず、あなた――」 「ケイトよ」 「ケイトさんは水を汲んできて。裏庭に井戸があるから。ロレアちゃん、案内してあげて」 「解ったわ!」 お客を追い出し終わったロレアちゃんとケイトさんが裏へ向かい、私は 今回は怪我だけじゃないから、ちょっと面倒。 、最後に毒を消すための 怪我と毒の合わせ技で大幅に体力が減少している点が特にまずい。 一つか二つで済むんだけど......。 や道具を袋に詰めて戻ると、ケイトさんとロレアちゃんが桶に水を汲んで戻っていた。 その桶から新しく持ってきた桶に水を半分移す。 「ケイトさん、そのちぎれた腕、切り口付近を綺麗に洗って。できる?」 「はい! やるわ」 慣れない人には結構きつい作業だと思うけど、ケイトさんは気丈に頷き、ちぎれた腕を手に取った。その手つきは案外しっかりしている。 その間に私は女性――アイリスさんのちぎれた腕の部分の服を切り、その付近を洗う。 そんな作業をしていても、アイリスさんの反応はほとんど無い。 ――バイタルがちょっと良くないね。急がないと。 を半分ほどふりかけ、残りを口移しで飲ませる。 すると、見る見るうちにちぎれていた腕が綺麗に繋がった。 このレベルの治癒、見るの目だけど、やはり不思議だ。自分で作った は少しずつ時間をかけて口に含ませるようにして飲ませていく。 「ちっ! 普通、命がかかってる状況で金を取るか?」 「金の亡者がっ。これだから錬金術師は」 なんかが外野がうるさい。 役に立たないならどっか行けば良いのに。 「あんたたちっ! ふざけ――」 声を上げ、掴みかかろうとしたケイトさんを抑え、私はその男を指さす。 「そこの男の人、今度から大樹海で採集した物は全部うちに持ってくると良いよ。全部人助けに使ってあげるから。もちろん、タダで良いよね? 命がかかってるんだから」 「なっ! それとこれとは話が違うだろうが!」 「そうだそうだ! 命懸けで取ってきたものをタダでやれるわけねぇだろうが!」 「何が違うの? 命の危険があれば私はタダで治療する、そんな噂が立てばどれだけの人が集まって来ると思ってるの? 第一、あなたたち採集者が大樹海に入るのは、錬金術師が適正価格で買い取るからでしょ? 『人助けに使ったから、今回は金は払わない』と言われて納得できるの?」 私の言葉に男たちは絶句する。 この人たちは、錬金術師が無尽蔵にお金を持っているとでも思っているのかな? に使われている素材だって、本来であれば今の私が買えるような物じゃない。 たまたま師匠が餞別にくれたから作れただけで、普通ならお店に常備してあるような 「ごめんなさい。馬鹿な奴らで。私が謝るから許して」 「ケイトさんが謝る必要はないけど......いても役に立たないし、出て行ったら良いんじゃないかな?」 そう言って私が出口を指さすと、何やら不満そうな表情を浮かべる男の人二人だったが、ケイトさんに睨まれると、すごすごと退散した。 ホント、自分勝手だよね。 私には文句を言うくせに、即座にお金を払うと言ったケイトさんに対し、自分たちは一切お金も出さないし、負担するとも言わないんだから。 「ロレアちゃん、入口の鍵、閉めて、窓のカーテンも引いて」 「はい」 ロレアちゃんが素早く動き、鍵とカーテンを閉める。 そして少し薄暗くなった店内に魔法で明かりを灯し、アイリスさんの服をナイフで切り裂いて、お腹に巻かれていた布も取り去る。 「これは、爪痕?」 「はい、熊みたいな、腕が四本ある獣だったわ。炎まで吐いてきて......」 「腕が四本、毒があって、炎......ヘル・フレイム・グリズリー?」 この近辺で出会うような相手じゃないんだけどなぁ。 そんな疑問を感じながらも、私はお腹の傷を綺麗に洗い流していく。 多少は体力が回復してきているのか、傷口を洗う度に少し反応を返すアイリスさん。 「しかし、かなり酷いね。これは、もう一本使うしかないか」 のおかげで大分回復しているみたいだけど、それでも傷が塞がってないところを見ると、ほとんどお腹が無くなるレベルで傷を受けていたんじゃ......? 最初に使った物ほどでは無いけど、それなりに高価な 「体力を消耗するから、あんまり使いたくないんだけどね」 を一気に使う事は、本来、とても危険な行為なのだ。 それぞれの効果が干渉し合い、思ってもいなかった副作用が出る危険性もある。 だからといって使わなければ死ぬのであれば、使わざるを得ない。 できるのは、その副作用を極力少なくなるように調整することだけだ。 を掛けたあと、再びアイリスさんの口に、体力回復用の それに伴いアイリスさんの発疹が治まり、顔色もだんだん良くなってきた。 その様子にケイトさんもやっと安心したのか、ホッと息をついて私に頭を下げた。 「彼ら素人みたいで。気を悪くしたわよね?」 が高いと思うのは仕方ないと思いますから」 申し訳なさそうな表情で私を伺うケイトさんに、私は首を振る。 正直、腹は立ったけど、実際に錬金術師の売る品物はかなり単価も高いし、利益率も高い。 だけど、安易に値引きすることはできないのだ。 さっき私が言ったように、誰かが安く売ればそこに人が集中するし、他の錬金術師にも値引きしろという圧力がかかる。 そうやって値引きをしていくと、利益率が下がり、大変な思いをしてまで錬金術師になろうという意欲が削がれる結果になる。 それは、錬金術師の数を増やしたい国としては許容できない事であり、当然、そんな値引きをする錬金術師が許されるわけがない。 それにそもそもの問題として、錬金術に使用する素材は基本的に高い。 なぜ高いかと言えば、大樹海のような危険な場所で採取する必要があったりするためで、そこに採集者が入るモチベーションとして高い価格を設定しているわけである。 以前、ロレアちゃんに話した事もあるが、“利益率の高さ”も“その商品単体で見れば”であり、錬成の失敗によって失われる素材も算入すれば、実際にはそこまででもない。 売れ残りや在庫の事を考えれの成功率でギリギリの採算ライン。 を扱おうと思えば、かなりの資金を貯めておかなければ、一度錬成に失敗しただけで破産する。 なので、マジメにやっている錬金術師ほど、案外その台所事情は厳しかったりするのだ。 残念ながら、一般人にはなかなか理解してもらえないんだけど。 私自身、学校に入って勉強するまでは『錬金術師ってすっごく儲かる!』というイメージしかなかったし。 ま、計算ができる人自体がほとんどいないんだから、利益率云々言っても無理だよね。 「あの人たち、パーティーじゃないんですか?」 「今日初めて会った相手なの。私とアイリスがペアで、今回初めて大樹海に潜るから、慣れてるって言った彼らと組んだのに......完全に足手まといだったわ」 「ロレアちゃん、あの男二人、見たことある?」 「いえ、初めて見る顔です。多分、新しく来た人でしょうね」 「だよね」 私も見覚えが無い。 大樹海に潜っていてウチの店に来ない採集者なんてほぼあり得ないから、「慣れている」なんて言葉は嘘だろうねぇ。 少なくとも、この村から大樹海に潜ったことは無かったはず。 「少なくとも、ベテランじゃないですね。外れを引いちゃいましたね」 「はぁ......動きが素人っぽい時点で、引き返すべきだったわ」 ケイトさんは額を手で押さえ、大きくため息をつく。 「まぁ、見捨てて逃げなかっただけでも、マシですよ」 は飲ませ終わったので、今度は病気予防用の これは一度に飲ませても問題ないので、再び口移しで飲ませ、軽く口元を拭う。 アイリスさんは傷こそ塞がったものの、やはり血が足りないのだろう。顔色がまだ若干悪い。 それでも、全身に出ていた発疹はすでに治まり、息も大分落ち着いてきている。 脈や呼吸も......何とか正常な範囲かな? 少し魔力が少なくなっているけど、問題はない程度。 魔法で軽く診察して異常が無いことを確認し、私はホッと胸をなで下ろした。 「ふぅ......取りあえずはこれで大丈夫だと思います」 「ありがとう! 本当、もうダメかと......」 実のところ、実習こそしてはいるけど、私自身、ここまで酷い状況は初めてだったんだよね。 でも、“治療する者は焦ったり、不安そうな様子を見せてはダメ”と言う原則に則り、必死に冷静さを装っていたのだ。 ――できてたよね? きっと。うん、大丈夫なはず。 「ひとまず、身体を清潔にして、寝かせましょう。着替え、ありますか?」 「えっと、宿に......」 「じゃあ、取ってきてください。......何でしたら、うちに泊まりますか? 部屋は空いてますけど」 「いいの? 正直、代金を払うためには節約したいから、ありがたいけど」 「えぇ。しばらくはアイリスさんの様子を見た方が良いと思いますし」 たぶん大丈夫だとは思うけど、副作用の事もある。 近くにいた方が私としても安心できる。 「解った。荷物、取ってくるから!」 そう言うやいなや、ケイトさんは店から飛び出していく。 その時チラリと、店の外で待っていた男二人が見えたけど、ケイトさんは完全に無視してたし、入ってこられても困るので再びしっかりと戸締まり。 「ロレアちゃん、この桶を洗ってきてくれる?」 「解りました」 ロレアちゃんが戻ってくるまでに、アイリスさんの服を脱がせて素っ裸に。 一応、他に怪我が無いか、全身をチェックする。 で回復しているはずだけど、毒針とかそう言った物が残っていると、そこには毒消しの効果も及ばないから、注意が必要。 せっかく治した毒が、再びそこから注入されちゃうからね。 ヘル・フレイム・グリズリーの毒は爪だから、大丈夫だとは思うけど確認は必要。 「......うん。問題なし。しかし、なかなかにプロポーション、いいね?」 さっきは気にしている余裕がなかったけど、なかなか綺麗な人。 採集者だけに身体は引き締まっているし、顔も整っている。今は血に汚れているけど、髪も綺麗な金髪。そういえばケイトさんも美人だった。 ――さっきの男たち、絶対容姿目当てで声を掛けたな。 「サラサさん、洗ってきました」 「ありがとう。ここに置いて」 ロレアちゃんが持ってきてくれた桶に、今度は魔法でお湯を出す。 そのお湯で布を濡らし、全身を綺麗に拭いていく。 本当ならお風呂に入れたいところだけど、アイリスさん、結構大きいんだよね。 筋力的には身体強化でなんとかなるけど、体格の差は如何ともしがたい。 なので、自分で動けるようになるまでは我慢してもらおう。 血に汚れた髪もできるだけ綺麗にし、ロレアちゃんの手も借りて、二階のベッドへと寝かせる。 「ふぅ。ロレアちゃんもお手伝い、ありがとうね」 「いえ、大したことはできませんでしたし......」 少し伏し目がちに言うロレアちゃんの顔色は、まだ少しだけ悪かった。 考えてみればあんな大怪我を見る機会なんて、普通は無い。にもかかわらず、茫然とすることも、騒ぐことも無く、きちんと手伝いをしてくれたわけだから、それだけでもスゴイ。 「ロレアちゃんには、ちょっと刺激が強かったよね?」 「はい、驚きました。――錬金術師って、ああいう対応もできるんですね」 「まぁ、治療を求められる事もあるからねぇ。実習もあるし。あそこまで酷いのは初めてだけど」 「そうなんですか? 落ち着いて見えましたけど」 不思議そうに言うロレアちゃんに、私は苦笑を浮かべた。 ロレアちゃんにそう見えていたなら、私の虚勢も上手くいっていたみたい。 「一杯一杯だったよ。――でも、ケイトさんがお金を払う、と言ってくれて良かったよ。私も見捨てたくは無かったし」 「......もし、ケイトさんが払わない、と言ったらサラサさんは治療しませんでしたか?」 私の顔色を窺うように訊ねるロレアちゃんの言葉に、私は一瞬言葉に詰まる。 「――難しい質問だね。でも、錬金術師としてはそれが求められるんだよ。より多くの人を助けるために」 今一人を助けることができても、錬金術師と採集者という仕組みが無くなってしまっては、より多くの人が被害を受けることになる。 そのために、助ける手段があっても助けない、という選択肢を取らざるを得ない場合もある。 その“手段”が無尽蔵でない限り。 「幻滅されちゃったかな?」 少し考え込んだロレアちゃんに、私は声を掛ける。 方針を変えるつもり無いし、変えることもできないけど、できればロレアちゃんには理解して欲しい。今後も仲良くやっていくために。 だけど、私のそんな不安を他所に、ロレアちゃんはあっさりと首を振って、頷いた。 「あ、いえ。サラサさんの言っていることは解ります。『命が掛かっているから』なんて、言い訳に過ぎないと私も思いますから。むしろ、口約束だけであれだけの 「え? あぁ、うん。高いね。ロレアちゃんだと......一〇年ぐらいは必死で働かないと買えない、かな?」 実際には、一〇年間の給料をすべて集めても素材の価格にも達さないけど。 を初めて会った人に使うとか......踏み倒されるとは思わないですか?」 「う~ん、あの男たち相手なら使わなかったかな? でも、ケイトさんなら信用できそう、そう思ったから」 ただの直感。 でもアイリスさんのために、躊躇無く頷いたからね。 きっと、ケイトさんにとってアイリスさんは大切な人なのだろう。 「ま、これで踏み倒されるなら、私の見る目が無かったってだけだよ」 ロレアちゃんにそう言って、私は笑った。

"Welcome! When I put my face in the store area to replenish the product, Lorea was just smiling at the gatherer who came. I've been hiring Lorea for less than a week. She was better than I expected. Of course I have no problems selling the product because I can calculate it, but I remember it well, so I was already able to leave it to some extent when it comes to buying it. So far, the range of collectors' exploration has not changed much, so the materials that are brought in are generally fixed seasonally, and if you remember how to evaluate them, you can value them. Of course, the material I wouldn't be able to judge unless I was an alchemist would be leaving, but that's infrequent and I was able to get some time to work slowly on alchemy. Thanks to this, the alchemy daiichi can ripen at once, and now the four volumes are almost over. Of course, I was able to do that because I had all kinds of materials that my master had given me as a goodbye. Because when it comes to four volumes, I also need materials that I can't buy a little with my possession. Even more capable Lorea tried to make me even my meal... she's still in the kitchen, carapo, isn't she? Maybe it's time to enrich it, because Lorea has also turned her gaze at me like, "Mr. Sarasa, this is just..." "What do you say, Lorea? You used to work? "Yes! I'm fine. ... although I'm a little worried about the larger amount of money we handle compared to ours" Lorea smiles and nods, then clouds her expression just a little. Certainly alchemy related items are expensive, right? I need a lot of big cash when I buy it. But because it's such a store, we have the right measures. "Haha, I'm fine. You remember how to use security equipment, don't you? Because if someone is strange, you can use it without hesitation. - It looks like it hurts so much, but I'm not gonna die." A few collectors in the store gave me a ghoulish look at the words I uttered as I stroked Lorea's head. I smile at those people, too. If you don't do something nasty, you'll have no problem with it. "Call me if you have any problems." "Yes!" Yeah, good reply. I don't think a decent gatherer would cause any problems. If the villagers turn to me like that, I won't even be able to eat at the place to stay. Bad rumors spread in an instant that this is such a small village. "Well, nice to meet you." When I finished replenishing the product and I said so and tried to go back to the workshop. "Ha, help me! With that voice, it was one woman in two men and one woman in charge of it who came in with the impetus that could have broken the store door. "Hi-!!" I can't help but think of Lorea breathing. Simply put, "full of creativity" is what those four look like. The worst was the woman in charge, who had a rash all over her body, blood from her face, and her right arm was torn from her roots. Though it is the stopping of the bleeding, there are still traces of blood on the ground that fall slightly. "Put me down on the floor! Lorea, ask the customers to go outside! Lorea blued her face and replied with a slight tremor but with a temperament, moving instantly. I also immediately approach and observe the woman who was put down on the floor. I manage to breathe, but I'm pretty weak. He also seems to have a terrible wound to his stomach, and a strongly wrapped cloth is stained bright red with blood. The left arm is then burnt black and a red rash can be seen on the skin in the non-injured area. "This is... not only injuries, but poisons too." "Please! Help Iris! It's another woman who tells me to say that and beg. The person who put the woman down on the floor and the other man stand a little apart, out of place. "What about your right arm? That said, a woman offers a broken arm wrapped in a cape. It's in pretty bad shape, like it was pulled off a thousand forcefully. But it's better than none. "I can help you." "True!? Then -" Against a woman whose face shines in my words, I raise my hand to block the words, look at their faces and confirm. "Except! Is that good? It'll cost you a lot of money, won't it? The situation is bad. But you can't miss confirmation, as an alchemist. "You! Money for emergencies." "Amateurs shut up!!" To the man who had pinched his mouth, the woman slapped her words hard. "We're amateurs!" "Iris got hurt because you guys went in on your own! ......... Kicked and stared at by the woman, the men looked away at her uncomfortably and mouthed. I see, does it feel like these four, two and two, put together temporarily? "Please, help me" "Yeah. There are two ways. Save only lives. Completely heal. I think you do." "I'll definitely pay for it! So as completely as you can! "Got it. Well, first of all, you..." It's Kate. "Mr. Kate, get some water. Because there are wells in the backyard. Lorea, show him around." "Got it! Lorea and Kate, who finished kicking out customers, headed back, and I went to the warehouse to pick up the smelting drug Potion. It's not just the injury this time, so it's a bit of a hassle. You will first need an arm together, a smelter potion to regenerate the missing parts, then a smelter potion to restore strength to the smelter potion to prevent the disease, and finally a smelter potion to eliminate the poison. The fact that you are losing a lot of health due to a combination of injuries and poison is particularly poor. If it's one of them, I'll just need one or two of the smelting drugs Potion...... Back in the bag with the smelting drug Potion and tools you'll need, Mr. Kate and Lorea were pumping water back into the bucket. Transfer half the water from that bucket to the newly brought bucket. "Mr. Kate, wash that chiseled arm, nearby the incision, nicely. Can you?" "Yes! I'll do it" I think it's a pretty tough task for someone unfamiliar with it, but Mr. Kate nodded at her temperament and took her broken arm. The manual is well guided. In the meantime I cut the clothes on the part of the woman - Mr. Iris' shattered arm - and wash them near it. Even with that work, Mr. Iris has hardly responded. - Your vitals aren't a bit good. We have to hurry. I receive an arm from Mr. Kate, sprinkle about half of the smelting drug Potion on both cuts, and let him drink the rest by mouth transfer. Then, as I saw it, my broken arm connected beautifully. This level of healing, it's the third time I've seen it, but it's still weird. While I made my own smelting drug, Potion. Additionally, I will take Potion, a smelter for poisoning, and take some time to include Potion, a smelter for restoring health, in my mouth. "Shit! Do you usually take money in situations where your life is at stake? "The Golden Deceased. This is why the Alchemist." Something's out loud. If it doesn't help, I wish I could go somewhere. "You little shit! Just kidding -" Raise your voice, restrain Mr. Kate from trying to grab him, and I point to the man. "Man there, next time you should bring us everything we collect in the Great Tree Sea. Because I'll use it all to help people. Sure, for free, right? Because my life is at stake." "Behold! That would be a different story than this! "Yes, they do! There's no way I can do what I've taken for free! "What's the difference? If my life were in danger, I'd treat you for free, how many people do you think would come together if there were such rumors? First of all, you collectors go into the Great Tree Sea because alchemists buy it at a fair price, right? Are you convinced they said, 'I used it to help people, so I won't pay for it this time'? The men cease to speak in my words. Do these people think alchemists have endless amounts of money? The material used in the potion, the smelting drug I used this time, is not what I can buy right now, if it were meant to be. I just happened to be able to make it because my master gave me a goodbye, and normally it's not the kind of smelting drug "potion" that I always have in store. "I'm sorry. Those are stupid guys. Forgive me because I apologize." "There's no need for Mr. Kate to apologize... but it doesn't help to be there, and I guess I should just leave? That said, when I pointed out the exit, it was two guys with some disgruntled look on their face, but when Mr. Kate glared at me, he dispersed awfully. Really, you're selfish, aren't you? You complain to me, because we don't give Kate any money and we don't tell her we're going to bear it. "Lorea, lock the entrance, close it, pull the window curtain too" "Yes." Lorea moves quickly and closes the keys and curtains. And magically lights a slightly dimmer store, cleaves Mr. Iris' clothes with a knife, and also removes the cloth that was wrapped around his stomach. "Is this a nail mark? "Yes, like a bear, it was a beast with four arms. Spit up to the flames..." "Four arms, poisonous, flaming...... Hell Flame Grizzly? I'm not the kind of person I'd meet around here. With all that doubt, I wash away my belly wounds beautifully. Is your health recovering somewhat, Mr. Iris, who returns a slight reaction every time you wash your wound? "But that's pretty bad. Do I have to use another bottle?" Looks like he's recovering a lot thanks to the potion, the first regenerating drug he used, but still, seeing as the scratches aren't blocked, he's getting scratches at a level where he's almost out of his stomach...? Not as expensive as the first thing I used, but I wound Potion, a rather expensive smelter. "I don't really want to use it because it drains my health." Using potion, a powerful smelter of many kinds at once, is inherently a very dangerous act. Each effect interferes with each other, and there is also the risk of side effects that you didn't think would occur. That's why if you don't use it, you die, you have to use it. All you can do is adjust that side effect to be as little as possible. After I hang the potion, the smelter for the treatment of my injuries, I again place a little potion of the smelter for physical recovery in Mr. Iris's mouth. With that, Mr. Iris's rash has healed and his complexion is getting better and better. Kate finally relieved herself of the way it was, and she took a whopping breath and bowed her head to me. "Like they're amateurs. You made me sick, didn't you? "No, because I don't think I can help but think the smelting drug Potion is expensive" I shake my head to Kate, who asks me with a sorry look on her face. Honestly, I'm pissed, but the items the alchemist actually sells are quite unit expensive, and the profit margin is high. But you can't discount it cheaply. Like I said earlier, if someone sells cheap, people concentrate there, and there's pressure on other alchemists to discount it. That's how discounting results in a lower profit margin and a shredded willingness to be an alchemist until you have a hard time. That is unacceptable as a country that wants to increase the number of alchemists, and naturally there is no way an alchemist can be allowed to make such a discount. Besides, the materials used for alchemy are basically expensive in the first place. Why is it expensive, because it may be necessary to collect in dangerous places like the Great Tree Sea, which is why collectors are setting high prices as motivation to enter there. I've spoken to Lorea before, but the "high profit margin" is also "if you look at the product alone”, and if you count the materials lost due to the failure of smelting, it's not really that much. A critical profit line with a seventy or eighty percent success rate, considering the surplus and inventory. If you want to deal with Artifacts, a high-difficulty smelter that uses expensive materials, if you don't save a lot of money, you'll be bankrupt just because you failed to smelt once. So the more serious the alchemist is, the tougher the kitchen situation can be. Unfortunately, it's hard for the average person to understand. I myself, until I got into school and studied, said, 'Alchemists make a lot of money!' I only had the image. There are few people who can calculate themselves, so you can't even say profit margins. "Aren't those people at the party? "This is the first person I've met today. Me and Iris are in pairs, and this is the first time I've dived into the sea of trees, so I worked with them who said I was used to it... and it was totally on my feet." "Lorea, have you seen those two men? "No, this is the first face I've ever seen. Maybe he's new here." "Right." I don't recognize him either. It's almost impossible for a collector to be diving in the Great Tree Sea and not come to our store, so the word "used to" would be a lie. At least, you never dived from this village into the Great Tree Sea. "At least, you're not a veteran. You pulled it off." "Ha... I should have turned back when the move looked amateur" Ms. Kate holds her forehead by her hand and sighs loudly. "Well, it's better if you just abandoned me and didn't run away" While we were talking about that, I finished taking Potion, an alchemist for physical recovery, so now I'm taking out Potion, an alchemist for disease prevention. I don't have a problem getting this to drink at once, so I let it drink again with a mouth shift and wipe my mouth gently. Although Mr. Iris was the one who blocked the wound, I guess he still doesn't have enough blood. I'm still slightly pale. Still, the rash that was out all over my body has already healed and my breath is calming down a lot. Pulses and breathing too...... do you manage a normal range? It's a little less magical, but to no extent problematic. I magically checked lightly to make sure there was no abnormality, and I lowered my chest. "Phew... I think this will do fine for now" "Thanks! I really don't think I can do this anymore..." As a matter of fact, I'm practicing, but I've never been in such a terrible situation myself. But he was desperately pretending to be calm, according to the principle that "no one who treats him should look anxious or anxious”. - It was done, wasn't it? I'm sure. Yeah, it should be fine. "For one thing, clean your body and let it sleep. Get dressed, do you have any? "Uh, in the inn..." "Then bring it.... If so, do you want to stay with us? The room is empty." "Are you sure? Honestly, I'd like to save money to pay for it, but I appreciate it." "Yep. I think you should look at Mr. Iris for a while." Probably fine, but there are side effects. It's safer for me to be nearby. "Got it. Luggage, I'll get it! That's what I say. No, Mr. Kate jumps out of the store. That's when I saw Chirali and two guys waiting outside the store, but Kate completely ignored them, and they'd have trouble coming in, so tight doors again. "Lorea, will you wash this bucket? "Understood." By the time Lorea gets back, let Mr. Iris take his clothes off and bare them. Check your whole body for any other injuries. If you have a normal injury, you should be recovering from the smelting drug Potion, but if you have a poison needle or anything else that says so, you should be aware that it doesn't even have the effect of detoxifying it there. The poison you healed will be injected from there again. Hell Flame Grizzly's poison is a nail, so I know it's okay but I need confirmation. "... yeah. No problem. But quite a proposition, okay? I couldn't afford to care less earlier, but he's quite beautiful. Only the gatherer has a tight body and a neat face. Blonde with dirty blood now, but beautiful hair too. Speaking of which, Mr. Kate was also beautiful. - Guys, you spoke up for absolute appearance earlier. "Mr. Sarasa, I've been washing it" "Thanks. Put it here." Lorea brought it to me in a bucket, and now she magically serves hot water. Wet the cloth with that hot water and wipe the whole body clean. If it's true, I'd love to take a bath, Mr. Iris, but it's pretty big, isn't it? Muscularly, I can manage with physical strengthening, but I don't like the difference in physique. So let's have patience until we can move ourselves. Clean your bloodstained hair as much as possible, and use Lorea's hand to put her to bed upstairs. "Phew. Thank you for your help, Lorea." "No, it couldn't be a big deal and..." Lorea's complexion, which I tend to lay low for a little while, was only a little worse. If you think about it, you don't usually get to see a major injury like that. Nonetheless, it was just awesome because there was no confusion, no noise, and you helped me out properly. "It was a little irritating for Lorea, wasn't it? "Yes, I'm surprised. - Alchemists can handle that, too." "Well, sometimes they ask for treatment. I have an internship. I've never been that bad before." "Really? He seemed calm." I smiled bitterly at Lorea, who said strangely. If that's what you looked like to Lorea, it looks like my vanity was going well, too. "It was one drink at a time. - But I'm glad you told me that Mr. Kate would pay. I didn't want to abandon you either." "... If Mr. Kate doesn't pay, didn't Mr. Sarasa treat you? I'm stuck in words for a moment to Lorea's words asking me to peek into my complexion. "- That's a tough question. But as an alchemist, that's what you need. to help more people." Even if we can help one now, more people will suffer if the mechanism of alchemist and gatherer is lost. To do so, you may have to choose not to help even if you have the means to help. Unless that “means” is inexhaustible. "Have I been disillusioned? I give a little thought to Lorea, and I hang up. I'm not going to change policy, and I can't change it, but I want Lorea to understand if she can. To stay close in the future. But my anxiety elsewhere, Lorea shook her head lightly and nodded. "Oh, no. I understand what Mr Sarasa is saying. 'Cause my life is on the line,' because I think it's just an excuse, too. Instead, Sarasa, who uses all that smelting drug Potion just for promises, is amazing... expensive, isn't it? "Huh? Oh, yeah. That's expensive. Lorea said... I can't buy it without working desperately for about a decade, can I? In fact, collecting all the salaries for ten years doesn't even reach the price of the material. "Right. You know, using that smelting drug Potion on someone you've never met before... don't you think they'll step down? "Uh-huh, wouldn't those guys have used it if they were dealing with you? But I think I can trust Kate, because I thought so." Just intuition. But for Mr. Iris, I nodded without hesitation. I'm sure Mr. Iris is an important person for Mr. Kate. "If this is going down, it's just that I didn't have the eyes to see it." That's what I said to Lorea, and I laughed.

ヨクが店を出て行くと、すぐに背後の扉が開き、苦笑を浮かべたアイリスさんたが現れた。 事は彼も知っているから、力尽くなんて事は無いと思っていたけど、は用心すべき』とアイリスさんたちが主張したので、護衛として控えてもらっていたのだ。 「店長さん、随分と絞ったみたいね?」 「えー、そんな事、無いですよ? 相場の一割も払ってあげましたから」 「一割!? それでよく売るつもりになったな、あの商人。安すぎればダメ元でサウス・ストラグへ持ち込むか、別の町に持ち込むか、色々と方法はあっただろう?」 あったね。可能性としては。 でも、それは無理なんだよ。 「フフフ......」 「あ。サラサさんが、悪い笑みを浮かべています」 「ロレアちゃん、悪い笑みとは失礼な。ちょっと根回ししておいただけですよ」 「つまり?」 「あの商人は現時点までに、サウス・ストラグで大量の氷牙コウモリの牙を売り払っています。それも相場よりも安い額で。それを手に入れたレオノーラさんはどうしたでしょうか?」 「錬金術師なんだし、普通なら使うために買うんだろうが......」 「――もしかして、周辺の町に 「ケイトさん、正解!」 私はパチンと指を鳴らし、ケイトさんをピッと指さす。 やっぱりケイトさん、頭良いよね。 「相場以下で買ってるし、この時季には需要のある素材だからね。輸送費に若干の利益を上乗せしても割安だったから、よく売れたみたいだよ?」 そして、それを買った人もまた、他の町へと持っていく。 つまり、この周辺で輸送費を掛けても割が合うような販売場所は、既に残っていないのだ。 それでもちょっとなら買い取る人もいるだろうが、ヨクの持っている牙の量は“ちょっと”どころでは無い。 「私の所に持って来たって事は、レオノーラさんの所で一度、これ以上買えないと断られてるはずだよ。もし私の値付けが気に入らなくて、再度レオノーラさんの所へ持ち込んだとしても、それはそれで別に良いしね」 「そうなのか?」 「はい。買い叩くのが私じゃなくて、レオノーラさんに変わるだけですから」 「......完全にグルなんだな」 「人聞きが悪いです。単なる、業務提携ですよ。ご近所ですからね。仲良くなっていかないと」 共存共栄。 良い言葉だよね。 「それでも、遠くの町まで売りに行く選択肢はあったんじゃないの? 量が量なんだから」 「まぁ、可能、不可能で言えば可能でしょうね。ですが、今回、ヨクにその選択肢はありません」 自信を持って答えた私に、ロレアちゃんが不思議そうに小首をかしげる。 「何でですか?」 「いくら多少大きな商人だとしても、文字通りロレアちゃんがひっくり返るような量のお金、手元資金で持っていると思う?」 「も、もう! 忘れてください! あれはちょっとびっくりしただけです!」 顔を赤くして、私の肩をペシペシ叩くロレアちゃんに和みつつ、ちょっと考えていたアイリスさんが首を振った。 「私は商人の事情に詳しくはないが......難しい気はするな」 「えぇ。普通の商人なら、商売の規模に応じた現金しか持ってないわよね。商品や債券など、全体の資産という面は別として」 そして、資産はそう簡単に現金化なんて、できない。 つまり、どこかから現金を持ってくる必要があるわけで......。 「彼、今回の件で色々とお金を借りたみたいですね。ちょっとマズい筋からも」 「“マズい筋”ってなんです?」 「簡単に言うと、犯罪者集団? まぁ、ヨクも似たようなものだけどね。盗賊に繋ぎが付けられるわけだから」 当たり前だけど、普通の人は盗賊なんて雇えない。 それが可能なヨクは、当然、犯罪者と繋がりがあるわけで。 お金を借りた先もそういう筋であり、そんなところから借りて、期日までに返せないとどうなるか......。 「そういう人たちが、サウス・ストラグで待ち受けているからねぇ。何としてもお金を用意する必要があったんだよ」 ちなみに、すべてレオノーラさん情報だけど。 師匠ほどじゃないけど、やっぱりあの人、侮れない。 「じゃあ、あの人って、サウス・ストラグに戻ったら、殺されちゃうんですか......?」 少し悲しそうな表情になるロレアちゃん。 そこまで気にする相手とも思えないんだけど、優しいね。 「大丈夫だよ。レオノーラさんが落としどころを用意してるから」 「そうなんですか。なら良かったです」 それでうまくいくかは、彼がどの程度のお金を借りているか次第なんだけどね。 場合によっては、そのままさようなら。 そして、レオノーラさんは、むしろそちらを狙っている。 中途半端にやって、復活されてしまうと色々と困るから。 ホッとした様子のロレアちゃんには、伝えないけど。 チラリとアイリスさんたちに視線を向ければ......彼女たちは気付いていそう。 口にするつもりは無いみたいだけど。 「さて。あとは後始末をすれば、今回の件は終了だね」 「後始末、ですか?」 「うん。まぁ、各所に協力してもらってるから、それらの精算とか色々ね。そんなわけで、ロレアちゃん、明日からまた少し留守にするから、お願いね?」 「はぁ......? 解りました」 曖昧な私の言葉に、ロレアちゃんは少し首を捻りながらも頷いたのだった。

As York left the store, the door behind him immediately opened and the three bitterly smiled Iris appeared. Because he knew that I had (...) led (...) to (...) take (...) Ri (...) petition (...), I didn't think there was anything I could do, but Mr. Iris insisted that I should be careful for once, so I had him withheld as an escort. "Looks like you narrowed it down a lot, Mr. Store Manager? "Well, that's not true, is it? I paid you % of the price." "Ten percent!? So you were going to sell well, that merchant. If it's too cheap, we can't take it back to South Strag, or we can take it to another town. There would have been a lot of ways? There it is. Possibility. But I can't do that. "Huhuhuhuhu..." "Ah. Mr. Sarasa is having a bad laugh" "Lorea, a bad grin is rude. I just kind of rooted it out." "In other words?" "By the moment, that merchant is selling out tons of ice tooth bat fangs in South Strag. That's cheaper than the market, too. What happened to Mr. Leonora, who got it? "I'm an alchemist, and normally I would buy it for use..." "- Could it have been" Bulbs "scattered in the surrounding towns? "Mr. Kate, you're right! I snarl my fingers at Pattin and point to Mr. Kate with a pip. I knew you were smart, Mr. Kate. "I'm buying it below the market, and it's a material in demand this season. Looks like they sold well because it was cheap to add a little profit to the transportation costs, right? And whoever bought it also takes it to other towns. In other words, there are no more places left to sell that would make it worth multiplying the cost of transportation around here. Still, some people would buy it out a little bit, but the amount of fangs Yorke has is not "a little”. "The fact that you brought it to me must have turned you down once at Mr. Leonora's that you couldn't buy any more. If you don't like my valuation and bring it to Mr. Leonora again, that's all right." "Really? "Yes, because it's not me that buys and beats, it just turns into Mr. Leonora" "... you're totally glue" "People don't listen well. It's just a business partnership. It's your neighborhood. We need to get along." Coexistence and co-prosperity. Good word, isn't it? "Still, didn't you have a choice to go for sale to a distant town? The quantity is the quantity." "Well, it would be possible, impossible to say, wouldn't it? But this time, York doesn't have a choice." Lorea gives me a strange little nook when I answered with confidence. "What is it? "No matter how big a merchant you are, do you think Lorea literally has the kind of money she flips, the money on hand? "Also, already! Forget it! That was just a little surprising! Mr. Iris shook his head as he turned red in his face and soothed himself to Lorea slapping my shoulder pessi. "I'm not familiar with the merchant situation... but don't be difficult." "Yep. If you're a regular merchant, you only have cash according to the size of the business. Aside from the whole asset aspect, such as commodities and bonds" And assets can't be cashed that easily. I mean, we need to bring cash from somewhere... "He seems to have borrowed a lot of money on this one. Even from a bit of a mess." What do you mean, "crappy"? "Simply put, a criminal group? Well, yoke is something similar. Because bandits can connect us." Naturally, but normal people can't hire bandits. That's possible. Yorks naturally have connections to criminals. That's what I borrowed money from, and what happens if I borrow it from it and can't pay it back by the due date...... "Because those people are waiting for you in South Strag. I had to get the money at all costs." By the way, it's all information, Mr. Leonora. Not as good as my master, but I knew that guy, he wouldn't be insulted. "So, that guy, when he gets back to South Strag, he's gonna get killed...? You look a little sad, Lorea. I don't even think of you as someone who cares that much, but you're sweet. "It's okay. Mr. Leonora's ready to drop it." "Really? Good for you." It depends on how much money he owes you. In some cases, stay and say goodbye. And Mr. Leonora, he's rather after you. Because I do it halfway, and when it comes back to life, I get in a lot of trouble. To Lorea, who looks horrible, I won't tell her. If we turn our gaze to Chilari and Mr. Iris...... they seem to notice. I don't think I'm going to talk about it. "Well, if we finish this, we're done here." "The end, is it? "Yeah. Well, they're working with us everywhere, so those actuaries and all that. So, Lorea, I'm gonna be away again tomorrow for a little while, okay? "Huh...? Understood." To my vague words, Lorea nodded as she twisted her neck a little.

アイリスたちが洞窟に閉じ込められて日あまりが経過していた。 魔力に不安がないと知ったことで、精神的にはだいぶ楽になったアイリスたちだったが、実際の状況は良くもあり、悪くもあり。 トータルとしてはあまり改善していなかった。 クルミに頼むことで、無駄足を踏むことは大幅に減ったが、魔晶石の数には限りがあるし、抜小路検知器もどきの性能の制限もあり、袋小路に突き当たる回数もゼロにはなっていない。 日も過ぎた頃から周辺温度が下がり、防熱装備なしでも苦にならなくはなったが、それに伴い発生したのが魔物。 幸いなことに、出現するのはアイリスたちでも対処可能な強さの魔物で、その数も少なかったが、中にはブラック・バイパーのような強力な毒を持つ魔物も存在し、決して気が抜けるような状況ではなかった。 のお世話にならずに済んでいるのは、ブラック・バイパーの牙も通さない、頑丈な防熱装備があったからこそだろう。 だが、そんな風にやや快適な状態も、半日ほど前から変化が出てきていた。 「何だか、再び気温が上がっているように感じるんだけど、君たちはどうだい?」 「いえ、私たちは感じませんが......湿度は上がっているように思えますね」 防熱装備が必要なくなっても脱ぐ意味はなく、むしろ防具としても優れているため、しっかりと着込んでいるケイトとアイリスには温度変化が感じられなかったが、湿度に関しては別。 顔に当たる空気が、ややジメッとしているように感じてケイトがアイリスを見れば、アイリスもまた同意するように頷く。 ってきたからな。地下水でも染み出しているのか......。通路も広くなってきたし、良い兆しならありがたいのだが......」 アイリスが口にした通り、ここ一日ほどはまっすぐに立って歩けるほど天井が高い通路が続き、幅も二なら並んで歩けるぐらいに広がっていた。 「このまま、外に出られたら良いんだけど」 「ケイト君、それは高望みだろうね。外が近いにしては、空気の流れが少なすぎる」 ケイトの口にした希望を、現実的思考でバッサリと切り捨てたノルドラッドに、ケイトはため息を吐きつつ首を振る。 「解ってますよ。でも、それぐらいポジティブに考えないとやってられないです」 「観察した事実から、現実的な予測を立てるのが研究者だから。――ただ、出口ではないけど、変化はあったみたいだよ」 何かに気付いたノルドラッドが持っている明かりの光量を強くして、緩やかに下った通路の先を指さした。 急に広がった通路の先に照らし出されたのは、広大な空間。 でも全体が見通せないほどに広く、その床には大量の水が蕩々と湛えられ、光を反射している。 「地底湖、だな」 「いや、見た感じ、明らかに温度が高そうだよ? 言うなれば、地底温泉?」 ノルドラッドが指摘した通り、その地底湖全体からは白い湯気が立ち上っていた。 周辺温度の高さもあり、もうもうと白く煙るほどではないが、それは明らかに普通の地下水とは異なっている。 「先頃からの湿度が上がっていたのは、これの影響だったのね」 「そのようだね。しかし、温泉か......地底湖が温められただけなのか、それともより深い場所から湧き出ているのか、興味深いところだね」 「私としては、この水が利用できるかが重要なのだが......ノルド、調べることはできるか?」 その問いに、少し不思議そうにアイリスを見返したノルドラッドだったが、少し考えて合点がいったようにポンと手を叩いた。 「できるけど、水なら湧水筒が――あぁ、なるほど。君たちも女性だもんね。身体が臭いのは嫌だよね」 平然とそんな無神経なことを言ったノルドラッドに、アイリスとケイトから冷たい視線が突き刺さる。 「ノルド......仮に。仮にだ! もし事実だとしても、女性に対してそれを口にするのはどうなんだ?」 「あ、ゴメンゴメン。別に君たちが臭いというわけじゃないよ? そもそも自分も同じだから、全然気にならないし!」 まったくフォローになっていない。 臭くないと言いながら、気にならないとも言っている時点で、ダメだろう。 だが実際のところ、アイリスたちとノルドラッド、どちらが酷い状態かと言えば、明らかにノルドラッドの方である。 高価な防熱装備のおかげで、激しく動かなければ汗をかかずに済むアイリスたちと、何をしていなくても汗をかくノルドラッド。 それに加えてアイリスたちは、寝る前には必ず身体を拭いていた。 最初は水のことを考えて控えていたのだが、サラサに『風呂に入ろうとでもしなければ大丈夫』と保証されたことで、身体を拭うぐらいの水であれば、気軽に使えるようになっていたのだ。 一応、ノルドラッドにも水は提供していたのだが、彼は魔物研究者。 必要であれば草むらにじっと潜み、数十日でも観察を続けることすらできるノルドラッドからすれば、まだまだ余裕であった。 ――周囲にはかなり迷惑なことだが。 なお、アイリスたちがまったく問題ないかと言えば、さにあらず。 身体は拭けても、服を洗濯するほど余裕はなかったのだから。 それを解っているからこそ、アイリスたちは気にしているわけで。 「ノルドさん、もうちょっと気遣いを覚えないと、女性にモテませんよ? 顔とかは悪くありませんのに」 「んー、そっちはあんまり気にしたことはなかったなぁ。今は研究の方が楽しいし?」 実際、ノルドラッドの容姿は、整っていると言っても過言ではない。 顔にはフィールドワークでできた傷跡が残っているが、醜いというほどには酷くなく、筋肉質で引き締まった体つきは、それを好む女性には大きなアピールポイントであろう。 研究成果を出していることから社会的地位もあり、経済的にも決して悪くない。 難点を挙げるなら、危険な場所に出向くことが仕事ということだろうが、もし今後、植物研究に軸足を移すのであれば、それもなくなる。 もっとも、本人にその気がないのであれば、それらの魅力も意味がないのであるが。 「でも、ま、君たちに対する点数稼ぎは重要だね。ボクの安全のためにも。温泉の調査をしてこよう」 「それとは関係なく守るつもりではあるが......調べてくれるとありがたい」 は、サラサ君の手を逃れているからね」 を取り出すと、一人湯気を上げる地底湖へと近付いて行った。 ◇ ◇ ◇ ノルドラッドによる検査の結果、地底温泉の水は『飲用にはあまり適さないが、入浴用としては上質』というものだった。 水に濁りもなく透明で、不審な物がいないか水中を見通すのにも都合が良く、その上、洗濯にも使える。 そうなればアイリスたちが遠慮するはずもない。 周囲の安全、そして温泉内の安全をしっかりと確認した後、ノルドラッドを遠ざけて洗濯と入浴に邁進することになる。 そして一通りの作業を終え、色々さっぱりとしたアイリスは、トロンとした表情で大きく息を吐いた。 「ふぅ~、生き返るな......」 さすがに、温泉内にどっぷりと浸かってしまうほどには気を抜けないが、たっぷりのお湯で身体を洗い、浅瀬に足を浸けるだけでも疲れが抜ける。 アイリスの隣に座り、脚でお湯をかき混ぜていたケイトも、似たような表情で肩の力を抜いている。 「えぇ。気になっていた服や下着も、纏めて洗えたし」 「うむ。都合の良いことに、周囲の岩もかなり熱いしな」 触って火傷するほどではないが、お湯を掛けてもすぐに乾く程度に熱い周囲の岩は、洗濯物を乾かすには非常に都合が良かった。 当然アイリスたちはそれを利用し、周囲の岩には洗濯物がたくさん張り付いている。 その上、アイリスとケイトの姿はほぼ裸。 ちょっと異性には見せられない状態である。 そんな二人の横で、気楽そうにバシャバシャと泳いでいるのはクルミ。 そして、しばらく泳いで気が済んだのか、よじよじと岩の上に這い上がったクルミは、キランッと爪を閃かせた。 「がう~ぅ、が~がぅ~♪」 何やら嬉しそうに、岩を削るクルミ。 この辺りの岩は決して柔らかいわけではないのだが、クルミの爪が欠けたりする様子もなく、その爪痕がしっかりと岩に刻み込まれている。 だが、その行動自体に何か意味があるようにも思えなかったアイリスは、目を瞬かせて不思議そうに小首を傾げた。 「......なぁ、クルミは何をしているんだ? 爪研ぎ?」 「熊って爪を研ぐの?」 「いや、知らないが、木の幹とかには爪痕を付けているよな? 縄張りの主張するために」 には関係ないわよね? そもそも、休憩時間に時々やっていたわよ、今までも」 「そうなのか? 気付かなかった......」 基本、移動中はアイリスの荷物に張り付いたまま動かなくなっているクルミだけに、休憩中、荷物を下ろした後についても、アイリスはクルミの行動についてあまり意識していなかった。 ケイトがクルミの行動に気付いたのは、アイリスが荷物を下ろすと、彼女の荷物はその背後に位置するのに対し、アイリスの前に座ることの多いケイトは、視線の先にその荷物があったことによる違いだろう。 「何か意味があるのかもしれないけど、クルミは説明できないし、気になるなら、帰ってから店長さんに訊いてみたら?」 「そうだな。......なぁ、ケイト。私たち、無事に帰れると思うか?」 頷いた後、少し沈黙してポツリと呟くように言ったアイリスに、ケイトはさして意外そうな表情も見せず、顔を向けた。

Not much had passed 0 days since Iris and the others were trapped in the cave. Knowing that there was no anxiety about magic made Iris a lot easier mentally, but the actual situation was both better and worse. Not much improvement as a total. Asking walnuts has greatly reduced wastage, but the number of magic crystal stones is limited, there are limitations on the performance of unplugged trail detectors, and the number of hits on the trail has not reached zero. Since about ten days later, the ambient temperature has dropped, and even without heat protection equipment, it has become bitter, but it is the demons that occurred with it. Fortunately, what emerged was a demon of strength that even the Iris could deal with, and that number was small, but there were also powerful poisonous demons like Black Vipers in there, which were never a distracting situation. Still, I guess I don't have to take care of expensive smelting drugs (potions) because I had sturdy heat protection gear that didn't even let the black viper fangs through. But slightly more comfortable conditions like that have also been changing for about half a day now. "I don't know, it feels like the temperature's going up again, how about you guys? "No, we don't feel it... but the humidity seems to be rising" There is no point in taking it off when you no longer need heat protection gear, rather it is also excellent as a protective gear, so Kate and Iris, who are wearing it securely, did not feel the temperature change, except in terms of humidity. If the air that hits her face feels slightly jimmy and Kate looks at Iris, Iris nods again to agree. "It's been a long time since I called you" Kuku ". Is it stained out even in groundwater...... The aisle is getting wider, and if it's a good sign, I'd appreciate it..." As Iris said, the past day or so had been marked by passages with high ceilings enough to stand up straight and walk, and wide enough to walk side-by-side if two or three of us. "I wish I could just keep going out there" "Kate, that must be desirable. Too little air flow for the outside to be close" Kate shook her head as she sighed at Nordrad, who cut off the hope she had put into Kate's mouth with a bushel of realistic thought. "I know. But I can't do it without thinking positively." "From the facts we have observed, because it is the researchers who make realistic predictions. - It's just, it's not an exit, but it seems there's been a change." I noticed something. I increased the amount of light Nordrad had, pointing to the end of the passage that slowly went down. A vast space was illuminated at the end of a suddenly expansive passage. Even the reinforced light smelter (artifact) is so wide that it cannot be seen in its entirety that a large amount of water is swamped on the floor, reflecting light. Underground lake. "No, it feels like I saw it, obviously it's going to be hot, right? If I were to say so, the underground hot springs? As Nordrad pointed out, white hot air was rising from its entire underground lake. There is also a high ambient temperature, which is no longer enough to smoke white, but that is clearly different from normal groundwater. "The increase in humidity from the past was the effect of this." "Sounds like it. But it's interesting to know if the hot springs or... the underground lakes have just been warmed up or are gushing out of deeper places." "As far as I'm concerned, it's important that this water is available... Nord, can we find out? On that question, it was Nordrad who looked back at Iris a little strangely, but he slapped Pong and his hand as if he thought a little about the point. "I can, but if it's water, there's a spring water bottle. - Oh, I see. You guys are women too, aren't you? I don't like the smell of your body." Cold glances pierce Iris and Kate into Nordrad for saying such insensitive things flat out. "Nord...... assuming. Assuming! If it's true, how about saying it to a woman? "Oh, I'm sorry. It doesn't mean you guys stink, does it? I'm the same in the first place, so I don't care at all! Not following at all. At the point where you say it doesn't stink, but you also say it doesn't bother you, it won't. But the truth is, Iris and Nordrad, which is worse, are clearly Nordrad. Thanks to expensive heat protection gear, Iris and the others who don't have to sweat if they don't move hard and Nordrad who sweats no matter what they're not doing. In addition to that, Iris and the others were bound to wipe their bodies before going to bed. At first, I thought about water and refrained, but Sarasa was assured, 'If you don't want to take a bath, you'll be fine,' so long as it's water enough to wipe your body, it was easy to use. For once, Nordrad was also provided with water, but he was a demon researcher. From Nordrad, who could lurk still in the grass if necessary and even continue to observe even in a few decades, there was still room. - It's pretty annoying around here, though. It should be noted that Iris and the others are perfectly fine. Even if I could wipe my body, I couldn't afford to wash my clothes. That's why the Iris care. "Mr. Nord, if you don't care any more, you're not hot for a woman, are you? Not a bad face or anything." "Mm-hmm. I never really cared that way. Is research more fun now? In fact, it is no exaggeration to say that Nordrad's appearance is neat. There is a scar on his face made of fieldwork, but it's not so bad as ugly, and his muscular, tight body would be a huge appeal point for the woman who prefers it. There is also a social status due to the results of the research, which is never bad economically. If you are going to mention the difficulty, it will mean that it is your job to go to dangerous places, but if in the future you are going to move axial feet to plant research, it will also go away. Most importantly, if he doesn't feel comfortable with it, then those attractions don't make sense either. "But it's important to earn points against you. Even for my safety. Let's investigate the hot springs." "I'm going to protect you regardless of that... but I'd appreciate it if you'd look into it" "Leave it to me. Fortunately, the smelter (artifact) for it escapes you, Sarasa." Once he shrugged his shoulder, Nordrad approached the underground lake, where one person raised the hot air, as he removed some smelter (artifact) from his luggage. ◇ ◇ ◇ As a result of an inspection by Nordrad, the water in the underground hot spring was' not very suitable for drinking, but of fine quality for bathing '. It is cloudless, transparent in water, convenient to see if there are any suspicious objects in the water, and on top of that, it can be used for laundry. If that happens, Iris and the others can't be shy. After a thorough check of the surrounding safety, and the safety in the hot springs, Nordrad will be kept away to advance to laundry and bathing. And after a stretch of work, Iris, all refreshed, exhaled loudly with a tron look. "Phew, don't come back to life..." Exactly, it doesn't distract me enough to soak up plenty in the hot spring, but just wash my body with plenty of hot water and soak my feet in the shallow water will make me tired out. Kate, who was sitting next to Iris and stirring hot water with her legs, is also pulling out her shoulder strength with a similar look. "Yep. I could wash all the clothes and underwear I was wondering about." "Hmm. Conveniently, the surrounding rocks are pretty hot, too." The surrounding rocks, not enough to touch and burn, but hot to the point of drying quickly even when hung with hot water, were very convenient for drying the laundry. Naturally, Iris and the others take advantage of it, and the surrounding rocks have a lot of laundry on them. On top of that, Iris and Kate look almost naked. It is a state that cannot be shown to the opposite sex a bit. Next to those two, it's walnuts swimming with Bashabasha with ease. And you felt like swimming for a while, the walnut crawling up on the rock with his uncle flashing his nails. "Gah, gah, gah." Somehow happy, the walnut that scrapes the rocks. The rocks around here are never soft, but there's no way the walnut nails are missing, and those nail marks are firmly engraved into the rock. But Iris, who didn't even seem to make any sense of the behavior itself, blinked his eyes and leaned in wonder. "... hey, what are walnuts doing? nail polishing?" "Do bears grind their nails? "No, I don't know, but you've got nail marks on the trunk of a tree or something, right? To claim territory." "Well, it's not about alchemy, is it? In the first place, I used to do it sometimes during breaks, even before." "Really? Didn't realize..." Basically, Iris was not very aware of the walnut's behavior, even as regards the walnut, which was only stuck in Iris' luggage and stopped moving during the journey, during the break, even after he had unloaded his luggage. Kate noticed how walnuts behaved when Iris unloaded her luggage was located behind it, whereas Kate, who often sat in front of Iris, would be the difference due to having that luggage at the end of her gaze. "Maybe it means something, but I can't explain walnuts, and if you care, why don't you ask the manager when you get home? "Right.... Hey, Kate. Do you think we can make it home safely? After nodding, Kate turned to Iris, who told him to be a little silent and grunt, not to mention the unexpected look on her face.

「――まともな領地のある準男爵でも、ご存じないようですが」 「ぐぬぬ......!」 私が当て擦るように付け加えれば、カーク準男爵は言葉に詰まり、頭に血を上らせる。 歪んだ口元と赤くなった顔で、なかなかに凶悪な表情になってるけど......アイリスさんを馬鹿にしたこと、私も怒ってるんだよね。 ロッツェ家は確かに貧乏かもしれないけど、困ったときに領民を助ける立派な貴族。 お金があるくせに、この村の危機に何もしなかったカーク準男爵なんかとは比べるべくもないよ? とはいえ、本格的に領主と対立するのは面倒この上ない。 あまりに相手の態度がアレなので思わず皮肉を言っちゃったけど、私たちに関わらずにいてくれればそれ。 ――これで素直に帰ってくれないかなぁ? という私の願いもむなしく、カーク準男爵は往生際悪く反駁した。 「そ、それで言い逃れられると思ってんのか? あの畑を管理しているのは、この村の住人だろうが!」 「不思議なことを仰いますね。錬金術師のお店で店番を雇えば、そのお店は店番の物になると? 人を雇って働かせることなど、錬金術師として当たり前のことですよ」 実際には栽培した薬草の一部はマイケルさんたちの取り分だから、厳密に言えば『薬草畑の一部はマイケルさんたちの物』と言えるかもしれない。 ただし今のところ、その薬草は私が買い取って現金で取り分を支払うことになっているため、実質的には賃金と変わらない。 マイケルさんたちが私以外の誰かに薬草を売ったりすると少し微妙なラインになるけど、現状であの畑は『錬金術師の畑』と言っても何の問題もないのだ。 「これに不満があるようなら、王都の司法当局に――」 「減らず口を! この土地は俺の物だ! お前もここの領民だろう! つべこべ言わずに税を払え!」 「いいえ、違います。錬金術師はどこに住んでいても、王都の住民として登録されていますので、領民ではありません」 激高して声を荒らげるカーク準男爵に、私は努めて冷静に言葉を返す。 これも、王国の政策。 時間とお金を掛けて育て上げた錬金術師を、地方領主に取られることなど王国が許容できるはずもなく、基本的にすべての錬金術師は王領の住民として登録される。 税金を国に納めるようになっているのも、その関係。 例外は貴族籍を持つ人だけで、その代わりに入学時の準備金が貰えなかったり、成績優秀者でも報奨金の辞退が半ば義務になっていたりする。 もっとも、貴族籍の錬金術師でもお店を開いている場合は、国に税金を納める必要があるので、基本的に錬金術師は全員、国の管轄下にあると考えて差し支えない。 「これもご存じではありませんでしたか? 貴族なのに?」 でも、ちょっとだけ皮肉が混ざっちゃうのは仕方ないよね? アイリスさんを馬鹿にされたんだから。 「カーク準男爵、ご理解頂けましたか?」 だから錬金術師に無茶は言えないよ、と丁寧に説明してあげた私に対し彼が取ったのは、残念ながら良識ある大人の行動ではなかった。 「テメェ、錬金術師だからと図に乗ってんじゃねぇぞ? 所詮、錬金術師になったばかりの若造だろうが! 平民が生意気な口を利くな!」 「む......」 カーク準男爵はドンと足を踏みならし、口汚い言葉を吐き散らす。 いや、まぁ、良識を期待するだけ無駄だとは思っていたけど。 しかし、身分を持ち出されるとちょっと弱い。 法的に保護され、社会的地位は高くても、錬金術師は貴族ではない。 師匠ぐらいになれば準男爵程度、怖くもないようだけど、私なんてまだまだ初級から中級程度の錬金術師。 実際に貴族と争うことになった場合、国がどちらを優先するかは微妙なところ。 私は領民じゃないので簡単には隠蔽なんてできないし、あんまり無茶はしないと思うけど、村との関係とかも考えると......。 業腹ではあるけれど、多少の利益を与えて解決する方法もあるにはある。 意地を張ったところで、知り合いが傷付けられるようなことになっては本末転倒だし。 「カーク準男爵、ちょっと良いだろうか?」 私が『適度に折れて、薬草の束でも渡してやろうかな?』とか考えていると、アイリスさんが一歩前に出た。 「私と店長殿は婚約済みだ。そして婚姻が成った際には、店長殿に家督を譲ることも考えている。つまり、店長殿は次期ロッツェ家当主。言葉には気を付けるべきだと思うが?」 「なっ!?」 「......ぇ?」 アイリスさんが余裕のある笑みを浮かべて言った、その言葉。 そこに含まれる初耳な情報に私も思わず声を漏らしてしまうが、幸いカーク準男爵はそのことに気付かず、大声で叫んだ。 「女同士でだと! ふざけるな!!」 うん、そう言いたい気持ちは理解できる。 禁止はされていなくても、一般的じゃないもんね。 に頼ることもできないので、跡取りを残せない同性同士の結婚なんてまずあり得ないから。 しかし、そんなカーク準男爵の叫びを聞いたケイトさんは、しめしめとばかりにとても良い笑みを浮かべた。 「おや、そんなことを言っても良いんですか? フィルムス侯爵家」 「がっ!? ん、んんっ! ちょ、ちょっと喉の調子が悪いようだな!」 ケイトさんがポツリと呟いた名前を聞いた途端、カーク準男爵は目を見開くと、わざとらしい咳払いをして視線を彷徨わせた。 「お、お前たちもおかしな聞き間違いを、吹聴したりはしないことだ!」 そして早口で、焦ったようにそんな言葉を付け加えると、素早く踵を返した。 「きょ、今日のところは失礼する! オイ、お前ら、行くぞ!」 「「「へ、へい!」」」 そのあまりにも早い変わり身に、私ばかりか傍にいた柄の悪い男たちも戸惑いを顔に浮かべたが、すぐに慌てたようにカーク準男爵の後を追った。 私はその背中をやや唖然として見送り、お店の扉が閉まる音で「ふぅ」と息をついた。 「......もう、大丈夫でしょうか?」 「あ、うん、大丈夫だと思うよ。ロレアちゃん、怖かったよね」 「いいえ、皆さん前に立ってくれましたから」 「そっか」 そうは言うけど、明らかに堅気じゃない男たちに凄まれたわけで。 怖がってないかな、と振り返ってみれば――。 「って、ロレアちゃん、その手に持っているのは?」 両手に持っているのは、私とアイリスさんの剣。 頭の上にはクルミの姿。 完璧な臨戦態勢である。 「必要になるかと思って」 「そ、そっか。でもお店の中で刃傷沙汰はないと思うよ?」 なんだか後ろでゴソゴソしているとは思っていたけど、これを取りに行っていたのか。 なかなかの対応力。 精神的ケアは必要なさそうだね。 「さすがはロレアだな。店長殿はともかく、私の技量では男相手に素手で戦うのは厳しいからな」 「えー、さすがに私も、あんなゴツい人たち相手に素手では――」 これでも女の子なので、あんなの相手に素手で勝てるとか、外聞が悪すぎる。 強い女剣士とかなら格好いいけど、マッチョを殴り飛ばす女の子とか、需要がニッチだよね? だから、抗議しようとしたんだけど――。 「まぁ、アイリス。ヘル・フレイム・グリズリーを蹴り殺す人が何か言ってるわ」 「ゴツい奴らだったが、あれに比べれば......」 確かにヘル・フレイム・グリズリーと比べれば、一番の巨漢でも貧弱なほど。 アイリスさんとケイトさんのもっともな指摘を受け、私は抗議の方向を軌道修正する。 「――手が汚れるじゃないですか」 「あぁ、勝つのは問題ないんですね。さすがです」 納得したように頷くロレアちゃん。 修正の方向を間違った。 そんなに暴力的な女の子じゃないと主張しようとしたのに! 殴ったりしないとか、手を汚すまでもないとか、そんな風に言うつもりだったのに! こんな話が広まったら、恋人ができなくなるよ!!

"- Even an associate baron with a decent territory, you don't seem to know." "Grunt......! If I add as I put it, Associate Baron Kirk gets stuck in words and puts blood up his head. With his crooked mouth and reddish face, he's got a pretty vicious look... but I'm mad at you for making fun of Mr. Iris, too. The Rotze family may indeed be poor, but a fine nobleman who helps the inhabitants in times of trouble. You have money, and you can't compare it to Associate Baron Kirk, who did nothing to the crisis in this village? Nevertheless, it is inconvenient to confront the Lords in earnest. I accidentally said sarcasm because their attitude is so arrogant, but that would be best if you stayed out of our way. - I was wondering if you could honestly go home with this? My wish was also vague, and Associate Baron Kirk argued badly at birth. "Oh, so you think you can get away with it? It would be the inhabitants of this village who manage that field! "You ask strange things. You think if you hire a store number at an alchemist's store, the store will belong to the store number? It's natural to hire people to work as alchemists." In fact, some of the herbs grown are Michael's share, so technically, 'some of the herbal fields belong to Michael's.' However, so far, that herb is essentially no different from wages because I'm supposed to buy it out and pay my share in cash. When Michael and the others sell herbs to someone other than me, it becomes a little subtle line, but as things stand, there's nothing wrong with that field saying 'Alchemist's Field'. "If you are dissatisfied with this, please contact the judicial authorities of Wangdu..." "Reduce your mouth! This land is mine! You must be a resident here, too! Pay your taxes without sticking around! "No, you don't. Wherever the alchemist lives, he is not a resident, as he is registered as a resident of the King's Capital" I try to calmly return words to Associate Baron Kirk, who roughs up his voice in a fierce way. This, too, is Kingdom policy. The kingdom cannot tolerate alchemists raised with time and money, such as being taken by local lords, and basically all alchemists are registered as residents of the kingdom. It is also in relation to the fact that taxes are being paid to the State. The only exceptions are those with aristocratic status, who instead do not receive a reserve on admission, or even the best performers are half-compulsory to resign their bounty. Most importantly, if even an alchemist of aristocracy opens a shop, he needs to pay taxes to the state, so basically all alchemists can assume that they are under the jurisdiction of the state. "Didn't you know this either? Even though you're noble? But you can't help but mix up a little sarcasm, can you? Because they made fun of Mr. Iris. "Did you understand, Associate Baron Kirk? That's why I can't tell the alchemist that I'm impotent, and what he took against me was unfortunately not the behavior of a well-informed adult. "Temee, you're not on the diagram because you're an alchemist, are you? Though I guess I've just become an alchemist! Don't let civilians talk busy! "Mm..." Associate Baron Kirk steps over with Don and spits his filthy words. No, well, I thought it was just futile to expect good sense. But when they bring up their identities, they're a little weak. Even if legally protected and of high social standing, alchemists are not aristocrats. I'm still a junior to intermediate alchemist. If you are actually going to contend with nobility, it is a subtlety which the state will give priority to. I'm not a citizen, so I can't cover it up easily, and I don't think I'm very unscrupulous, but also considering my relationship with the village and all... Although it is a business belly, there are ways to give it some benefit and solve it. When someone I know gets hurt, I fall for it. "Associate Baron Kirk, would you do me a favor? I said, "Shall I break it in moderation and give it to you, even a bunch of medicinal herbs? 'Thinking about it, Mr. Iris stepped forward. "Me and the manager are engaged. And when the marriage is formed, I also consider giving the housekeeper over to the manager. In other words, the manager is the next Lotze owner. Do you think we should be careful what we say? "Become!?" "... huh? Mr Iris said with a spare smile, that word. I also accidentally leak my voice into the first ears of information contained there, but fortunately, Associate Baron Kirk didn't realize about it and shouted out loud. "She said it was between women! Don't be ridiculous!!" Yeah, I can understand how you want to say that. Even if it's not banned, it's not common. Especially since civilians can't even rely on super expensive smelters (potions), there can't be same-sex marriages that can't leave a trail. But when she heard such a cry from Associate Baron Kirk, Kate had a very good grin on all the shiatsu. "Oh, can I say that? The Marquis Films" "Damn!? Mmm-hmm! Hey, you seem a little out of your throat! As soon as he heard the name Mr. Kate grumbled, Associate Baron Kirk opened his eyes and made his gaze wander with a deliberate cough. "Oh, you guys don't listen to funny mistakes, either! And he said quickly, adding such words as he was in a hurry, and quickly returned his heel. "Hey, excuse me for today! Oi, you guys, let's go! "" "Heh, heh! In that too early turn, the badly patterned men who were beside me also put confusion on their faces, but immediately followed Associate Baron Kirk as he panicked. I dropped that back off slightly and breathed "Phew" with the sound of the store door closing. "... Are you okay now? "Oh, yeah, I think I'll be fine. Lorea, you scared me." "No, because you all stood in front of me" "Oh well." That's what I'm saying, but obviously I was amazed by the men who weren't strong enough. I don't know if you're scared, if you look back... "What do you have in that hand, Lorea? In both hands is the sword of me and Mr. Iris. Above my head is the figure of a walnut. It is a perfect battle posture. "Thought you'd need it." "Oh, well. But I don't think there's any blade wounds in the store, do you? I thought you were kind of gossiping behind me, but were you going to pick this up? Quite responsive. Sounds like you don't need mental care. "That's Lorea. Whatever the manager is, my skill makes it tough to fight a man with his bare hands." "Er, that's right, me too, bare hands against those bitchy people -" I'm still a girl, so I can beat that other guy barely, or the outside world is too bad. If you're a strong swordsman or something, you'd look great, but a girl who beats Macho up, the demand's a niche, right? So I tried to protest... "Well, Iris. Someone who kicks and kills Hell Flame Grizzly says something." "It was a mess, but compared to that one..." Indeed, compared to Hell Flame Grizzlies, the poorer even the biggest giants are. Following the best allegations by Mr. Iris and Mr. Kate, I will orbit the protest direction. - Your hands are dirty. "Oh, you don't have a problem winning. Exactly." Lorea nodding as convinced. Wrong direction of correction. I tried to claim you weren't such a violent girl! I wasn't going to hit you, or even get your hands dirty, that's how I was going to say it! If this story spreads, you won't be able to have a lover!!

それはさすがにマズいよ!? 「大丈夫です。相手が貴族と噂を聞いていたエルズさんが、必死に止めたと言ってましたから」 「よ、良かった......。さすがに私も、殺されちゃったらどうしようもないから」 私はストンと椅子に腰を落とし、ホッと息を吐いた。 頼もしいお隣さんだけど、さすがに領主と争いになってしまうと困ったことになる。 「お店を空ける前に、周知しておいた方が良かったね」 「大半の人は知っていたみたいですけどね、なんだかサラサさんが領主とトラブルになっているって」 「そうなんだ? ――もしかしてロレアちゃん、になってたりしない?」 貴族、それも領主と対立するなんて、小さな村社会では致命的。 基本的に根無し草の採集者や、厳密には領民ではない錬金術師とは違い、村人では逃げることも難しい。 私はもちろん、このお店で働いているロレアちゃんとも関わりたくないと思う村人がいても、決しておかしいことではない。 そう思って尋ねた私に、ロレアちゃんは「ふふふっ」と笑う。 「まったく。この村を救ってくれたのがサラサさんで、領主は何もしてくれなかったことを村の人は理解しています。さすがに領主の目の前では別かもしれませんが、サラサさんに不義理なことをする人なんていませんよ」 「そう? なら良いんだけど。でも、無理して私の味方をする必要はないとは言っておいてね。私だけなら、なんとかなるから」 実力行使にはある程度対応できるし、やりたくはないけれど、王都に逃げてしまえばカーク準男爵なんて所詮は地方領主で下級貴族。 王様のお膝元で無茶をできるほどの権力は、持っていないと思う。 「解りました。でも、大丈夫ですよ。それなりに強かですから。村の人も」 本当かなぁ? 結構、お人好しな人が多いと思うんだけど......。 あ、でも、エリンさんなんかは、結構強かかも? 「サラサさんの方はどうでしたか? 発毛剤は完成しましたか?」 「うん、失敗することもなく作れたよ。あとはお渡しするだけなんだけど......そのうち取りに来るとは仰っていたけど、いつ来るんだろうね?」 「さぁ......こちらから連絡を取ることは、できないですよね?」 「王族だからね。ま、待つしかないよね」 たぶん、春までには来られるんじゃないかな? ◇ ◇ ◇ 予想に反して、フェリク殿下の再訪は早かった。 具体的には、私が帰還してか後。 この村に滞在していなかったことを考えれば、まるで見張っていたかのように迅速。 ――って、たぶん見張っていたんだろうね、部下か誰かが。 私が帰ったことを確認してすぐに報告が行ったのでなければ、こんなに早くは来られないはずだし。 商品を早く渡せるのは良いんだけど......ちょっと困った。 実家に戻ったアイリスさんたちがまだ帰ってきていないのに。 今回の件について、どのような着地点を見いだすか。 それを検討した私たちだったけど、経験の浅い私たちでは寄ってもその知恵は知れたものだった。 正攻法なら、私たちがカーク準男爵の兵士に襲われたことを、国に訴え出る方法。 錬金術師である私と、貴族であるアイリスさんが襲われたとなれば、おそらく調査はされるだろう。 ただ問題は、物証がなく証言者も平民である兵士のみであること。 決定打になり得るかと言えば、正直微妙なところ。 実行犯であるマディソンたちが処罰されるだけに終わる可能性が高いため、これは早々に断念した。 少々迂遠ではあるけれど、今回のことも含め、私の把握しているカーク準男爵の悪行を噂という形で貴族の間に広めるという方法もある。 貴族にとって評判は重要だし、他人に汚点があれば突きたがるのが貴族の生態。 それなりに効果はあると思われる。 ただそれを実行しようと思っても、実際にはなかなか難しいのが問題。 アイリスさんたちは言わずもがな、私自身も頼れる貴族の友達なんて先輩たぐらい。噂を上手く流すノウハウなんて持っていない。 最後の手段は、フェリク殿下に泣きついてしまうことだけど、動いて頂けるかどうかは不明だし、そんなことをして弱みを見せたらどうなるか、少々読めない相手なのが怖い。 それとなくカーク準男爵の悪行を伝え、殿下が自主的に動いてくれるならそれなんだけど、率直に言うならまだしも、『それとなく』というのはなかなかに難しい。 やるとしたら、アイリスさんやケイトさんじゃなく、私になるからね! コミュニケーション能力が大して高くない私には、無理難題ですよ? やはり、経験不足。 それを補うため、ロッツェ家の家宰であるウォルターさんの知恵を借りようと思ったんだけど......前述の通り、二人は未帰還。 くうぅっ! アイリスさん、ケイトさん、かむばっく! 私だけで王族と対峙するとか、とってもキツいんですけどっ!? 壁になって、とは言わない。 ただ隣に座って、心情的に支えになってくれるだけで良い。 ――かといって、さすがにロレアちゃんに同席して、とは頼めないしねぇ。 そんなことしたら、ロレアちゃんが大ダメージを受けちゃうからね! 多少は貴族になれている私と違って、耐性がないから。 耐性があっても、痛いけどね! 王族とか、攻撃力高すぎるからね! 貫通するからね! でも仕方ない。 殿下に対して『準備不足だから、出直して』と言うことに比べればマシ。 少なくとも、胃の痛みを感じられる頭が、きちんと首の上に乗ったままになるのだから。 そんなわけで、私はたった一人、王族の接遇に臨んだのだった。 「ようこそおいでくださいました」 「お待たせしました。 ――待ってない、待ってないよ! などという本音は隠し、私は完成した発毛剤をテーブルの上に置いた。 「はい、こちらになります。朝夕塗って頂ければ、三日ほどで一〇センチは伸びるかと」 「塗ってすぐ、一気に生えるわけではないんですね」 「そのような物も作れますが、髪質を考えると、これぐらいの速度が良いと思われます」 自然に伸びた髪と同等にするなら、このぐらいが限界。 多少パサついたり、細かったりしても良いのなら、時間は短縮できる。 でも依頼者は、外見だけはイケメンの王子様。 みすぼらしい髪になっては問題だろうと、これぐらいに調整したんだけど――。 「もしそちらの方がよろしければ、作り直しますが」 「いえ、これで問題ありませんよ。急ぐわけではありませんから」 窺うように尋ねた私に殿下は微笑み、発毛剤の小瓶を懐に収めると、代わりに革袋を取り出してテーブルに置いた。 「良くやってくれました。こちらが報酬です」 「よろしいのですか? 効果を確認しなくても」 「信用していますから。それにもし効果がなければ、ミリス師に苦情を言えば済むことでしょう?」 「ははは......確かに師匠なら、すぐに対処してくれるでしょうね」 笑みを深めた殿下に、私も乾いた笑いを返す。 信用というのも、きっと師匠に対する信用なんだろう。 「でも、問題ないと思います。それなりに自信はありますので」 なんと言っても、依頼者は王族。 私はまだしも、師匠の面目を潰すわけにはいかないのだから、慎重に慎重を重ねて作っているし、レシピさえ間違わなければ を作れ、と言われれば話は別だけど、これに関しては失敗作を間違って渡す心配はない。 「そうでなくては。まぁ、あなたの錬金術師養成学校での成績は確認しています。腕が足りないと思っていたら、わざわざこんな所まで来ていません」 私の個人情報、ダダ漏れ!? ......いや、国営の学校だから、王族なら調べられて当然かもしれないけど。 でも、よく考えれば、師匠も私の成績を知ってたんだよね。伝えなくても。 案外、簡単に調べられる? 私はそう恥ずかしい成績を取ったつもりはないけど、人によっては......。 そんな私の疑念に、殿下は気付いた様子もなく、ゆっくりとソファーに座り直すと、腕を組んで口を開いた。 「さて、これでここに来た目的の一つは達したわけですが......」 「一つ、ですか?」 「私が動くと、そこにいろんな意味を見いだす人がいるんですよ、面倒なことに」 「それは......そうでしょうね」 今のところ王太子ではないとはいえ、フェリク殿下の立場は気軽に出歩けるほど軽くない。 お忍びであったとしても、本当に一人で行動するはずなどなく、表に裏にと多くの護衛が付き、事前の調査なども行われる......はず。 だって、受け取るだけなら本人が来る必要はなかったのだ。 にも拘わらず、殿下はここにいるわけで。 「なので、用事は纏めて済ますことにしています。私がここに来た目的、あなたはどう考えますか?」 なんか、面倒くさいことを言い出したよ!?

Isn't that a bad idea!? "It's okay. Elles said he desperately stopped when he heard rumors of the other party being noble." "I'm glad... If they kill me, there's nothing I can do." I sat down on Stone and the chair and exhaled. You're a reliable neighbor, but you'll be in trouble if you get into a fight with the lord. "I should have known before I left the shop." "Most people seem to know that Sarasa is in trouble with the lord." "Really? --Besides, Lorea, don't you think it's going to be a village? Nobility, it's deadly in a small village society to confront the lord. Unlike basically grassroots gatherers and alchemists who are not strictly residents, it is difficult for villagers to escape. Of course, even if there are villagers who do not want to be involved with Lorea who works in this shop, there is nothing strange about it. When she asked me that, Lorea laughed. "No, Sarasa saved the village, and the villagers understand that the lord didn't do anything. That may not be the case in front of the lord, but no one is unjust to Sarasa." "Really? Well, that's fine. But tell me you don't have to be on my side. If it's just me, I can handle it." I can cope with the exercise of my abilities to some extent, and I don't want to do it, but if I run away to King's Landing, Warrant Baron Kirk is a local lord and a junior aristocrat. I don't think you have enough power to be reckless at the king's knees. "I see. But it's okay. Because it's pretty strong. And the villagers." I wonder if that's true. I think there are a lot of people I like... Ah, but, Erin, maybe you're pretty strong? "How was Sarasa? Have you finished your hair thinner? "Yeah, I made it without fail. All I have to do is give it to you... I was told that I would come and get it, but when will it come? "Now... you can't get in touch with me, right? "Because I'm royalty. Well, we have to wait." Maybe they'll be here by spring. ◇ ◇ ◇ Against expectations, His Highness Felix's return was quick. Specifically, five days after I returned. Given that you did not stay in this village, it is as quick as if you were watching. - Well, maybe he was watching, someone under his command. If I hadn't made the report as soon as I got home, I wouldn't have come so soon. It would be nice if I could give you the product as soon as possible... but I had a little trouble. Iris and the others who came home have not come back yet. What landing point will you find out about this incident? It was us who studied it, but in our inexperienced neighborhood, the wisdom was known even when the three of us stopped by. If it's a straight shot, it's a way to sue the country for being attacked by a soldier of the Baron Kirk. If I, the alchemist, and Iris, the nobleman, were attacked, they would probably investigate. The problem is, however, that only soldiers who have no physical evidence and are witnesses are civilians. To be honest, it's a delicate thing to say. This was abandoned sooner rather than later, as the executioners, Madison, are likely to end up being punished. Though a little detour, there is also a way to spread rumours among the nobles of what I know about the evil of Baron Kirk, including this one. Reputation is important to the aristocracy, and it is the aristocratic ecology that wants to poke people if there is a stain on others. It seems to be quite effective. But even if you try to do that, it's actually quite difficult. Iris and I need to say, there are only two seniors I can count on. I don't have the know-how to spread rumors well. The last resort is to cry to His Highness Felix, but it is unclear whether he can move, and I am afraid that he will be a little unreadable if he does so and shows his weakness. It would be best if you could convey the evil deeds of Baron Kirk and move on your own, but frankly, it would be very difficult to say 'somehow'. If you do, it'll be me, not Iris or Kate! It's impossible for me not to communicate very well. After all, there is a lack of experience. To compensate for that, I wanted to borrow the wisdom of Walter, the slayer of the Rotze family... As I mentioned, they have not returned. Ugh! Mr. Iris, Mr. Kate, it's not cool! It's very tough to confront the royal family by myself!? I'm not saying get on the wall. Just sit next to me and support me emotionally. --Speaking of which, I can't ask Lorea to attend. If you do that, Lorea will take a lot of damage! Because unlike me, who is somewhat noble, I am not immune. Even if it's resistant, it hurts! The royal family is too aggressive! It penetrates! But I can't help it. Compared to saying to His Highness, "I'm not ready enough, so get back out." At least your stomach aches and your head stays on top of your neck. That's why I came to the royal reception by myself. "Welcome." "Thank you for waiting. Alchemy (potion) complete? - I'm not waiting, I'm not waiting! The truth was hidden, and I put the finished hair thinner on the table. "Yes, this way. If you apply it in the morning and evening, it will grow cm in about three days." "It doesn't grow all at once when you apply it." "You can make something like that, but given the quality of your hair, I think it's as fast as this." This is the limit if it is equivalent to naturally stretched hair. If it can be slightly rough or thin, the time can be shortened. But my client is a good-looking prince. I adjusted it to this extent that it might be a problem if my hair became dull. "If you don't mind, I'll rebuild it." "No, that's all right. It's not sudden." Asked me to admire, His Highness smiled and put a vial of hair thinner in his pocket, and instead he picked a leather bag and put it on the table. "Well done. Here's your reward." "Are you sure? You don't have to check the effects." "I trust you. And if that doesn't work, why don't you just complain to Miss Millis? "Hahaha... if you were a master, you'd deal with it right away." I return a dry laugh to His Majesty who deepened his smile. I'm sure that trust is also trust for the master. "But I don't think it's a problem. I'm pretty confident." Anyway, the client is royalty. I can't yet crush my master's face, so I carefully make it over and over again, and if the recipe isn't wrong, the success and failure of the alchemy (potion) is easy to understand. Not if you're told to make a whole new smelter (potion), but don't worry about mistakenly handing it over. "It has to be. Well, I've checked your grades at the Alchemist Training School. If you think you don't have enough arms, you don't bother coming here." My personal information is leaking!? ... no, it's a state-run school, so it might be natural for the royal family to look into it. But if you think about it, Master knew my grades too. You don't have to tell her. Out of the way, can you check it out easily? I didn't mean to get that embarrassing grades, but some people... His Highness did not notice such a suspicion on my part. He slowly sat back on the sofa and opened his mouth with his arms folded. "Now, one of the purposes for which I came here has been achieved...." "One thing? "When I move, there are people who find a lot of meaning in it, and it's troublesome." "That's... that's right." Although he is not Prince Wang at present, His Highness Felix's position is not so light as to be able to walk easily. Even if you were patient, you really shouldn't be acting alone, there should be a lot of escorts behind the front, pre-investigation, etc... Even this smelter (potion) didn't have to come in person to receive it. Nevertheless, His Highness is here. "So I've decided to put things together. What do you think of the purpose for which I came here? Something's bothering you!?

「しかし、ノルドは店長殿のことに詳しいな? ......あぁ、そういえば、レオノーラの紹介で来たんだったな」 「そういうことだね。――ところで、ボクとしてはそっちも気になっているんだけど?」 ノルドの視線が向いているのは、アイリスの肩口。 そこから顔を覗かせているのは、彼女が背負った袋にしがみついているクルミである。 家を出たときこそ、『やっと自分の番だ』とばかりに、嬉しげにクルミを抱きしめていたアイリスだったが、これから護衛をするというのに手が塞がった状態はマズいだろう、とケイトに説得され、しぶしぶ袋の上に移動させたのだ。 だよね?」 「そうだ。よく判ったな? 店長殿が私たちを心配してつけてくれたんだ」 「これでも魔物の研究者だからね。錬金術師とかかわることも多いし、 「猫とかが多いのよね?」 だけど、戦闘用だと狼を使っている人もいるかな? 珍しいけどね」 が珍しいのは、錬金術師が戦う機会なんてほとんどないことに加え、その作製難易度も影響している。 まずは培養槽。 必ずしも培養槽内で実際の大きさまで成長させる必要はないのだが外に出してしまうと、その成長速度は普通の生物に近くなり、完成まで数十倍から数百倍の時間が掛かることになる。 クルミの場合はこれが完成形だが、普通の熊のサイズにまで大きくしようと思えば、頻繁に魔力を注ぎ続けて数年間。それだけの手間が必要だ。 だからといって、熊サイズの培養槽を用意するのが難しいことは、言うまでもないだろう。作るのはもちろん、置き場所だってとるのだから。 更に魔力。 が大型になればなるだけ必要とされる魔力量は多くなり、その大きさに見合った魔力の供給ができなければ、 もっとも魔力が必要なのは作製時だが、完成した後も定期的な魔力の補充は必要で、あまり大型の そのようなこともあり、現在の主流は小鳥や鼠、魔力の多い錬金術師で猫あたりである。 「実のところ、大きさ以外もちょっとおかしいんだけどね」 「ん? 何がだ? 確かに珍しいタイプなのかもしれないが、可愛いだろう?」 手のひらにクルミを乗せて自慢げに見せるアイリスに、ノルドラッドは苦笑する。 「それは別に否定しないけど、そうじゃなく。それって、サラサ君が操っているわけじゃないよね? 普通は術者から離れた場所で、自立行動なんてさせないんだよ。というか、できない、かな?」 術者から離れれば離れただけ、感覚の共有や操作が難しく、魔力消費が増えるのはもちろんとして、 このときに消費される魔力は ノルドラッドの常識からすれば、下手をすれば数週間に亘って、それもかなりの距離、離れることが解っていながら、 が崩壊しても良いと考えているのか、それともそれだけの距離、期間であっても維持できると考えているのか。 「ということで、ちょっと調べてみたいけど――」 「ダ、ダメだぞ! クルミは渡さないぞ!」 どう見てもマッドな笑みを浮かべているノルドラッドから、クルミを守るように抱きしめ、アイリスは身を引き、ケイトもアイリスを守るように一歩前に出る。 「ノルドさん、クルミは店長さんが私たちを信じて預けてくれたの。さすがに研究対象として差し出すことはできないわ」 「だよね」 受け入れられるとは思っていなかったのだろう。 やや厳しい表情のケイトに、ノルドラッドはそう言って、あっさりと頷く。 「ま、帰ってから、サラサ君に相談するのが筋だよね。保険があるだけでもありがたいわけだし」 ノルドラッドはウムウムと頷き、にっこりと笑う。 「それじゃ、そろそろ出発しようか」 「......そうだな。それじゃ、ノルドは私たちの後についてきてくれ」 それでもアイリスは、やや警戒するようにクルミを背中に戻し、ノルドラッドをチラチラ見ながら歩き出した。 ◇ ◇ ◇ 森に足を踏み入れて一日目。 アイリスたちにとって、この道を辿るの目。 往復を考えれば目。 この辺りは、普段村の採集者が頻繁に足を踏み入れているエリアということもあって、特にトラブルもなく順調に進んだ。 目もほぼ同じだったのだが、三日目から変化が出てきていた。 魔物が出てくるわけでもないのに、予想以上に距離が伸びない。 それが何故かといえば――。 「おぉ! これはサケメキノコじゃないか! 珍しい! えっと、裂け目の幅が三センチ、木の種類はニュークライト、湿気が多めで、周囲に生えている苔は――」 「むっ! ここに生えているのはブレフキャリオだな。地下茎の太さは......かなり太いな。これは土が影響しているのか?」 「ややっ!? この水辺にはメオニディースが群生している! 水中花は......まだないな。時期的にはそろそろのはずだが、場所の影響か?」 そう、ノルドラッドが頻繁に立ち止まっては、調査を始めるからである。 一度足を止めると、下手をすればその場で一時間以上。 これでは距離が稼げるはずもない。 それでも最初の数日ほどは、アイリスたちも調査が終わるのを黙って待っていた。 立ち止まることで頻繁に魔物が襲いかかってくるわけでもなし、報酬はかかった日数分支払われるので、予定が遅れたところでアイリスたちに損はなかったから。 だが、それが三日ほども続き、進んだ距離が一日分にもならないとなれば、さすがに黙っていることはできなかった。 何より一番の問題は、たまにでも襲ってくる魔物の存在。 今はまだアイリスたちでも難なく斃せているが、進むにつれて魔物は強くなっていくし、斃せば斃したで、周囲に血の臭いが広がり、その場を早く離れる必要がある。 にもかかわらず、ノルドラッドはなかなか移動しようとせず、その場から引き剥がすために、かなりの労力を必要とするのだ。 これでは文句を言うなというのも無理な話だろう。 「なぁ、ノルド。いくら何でも時間をかけすぎじゃないか? それに、準備期間中も森に入って調査していたと聞いたが......」 それでも相手は依頼主。 やや遠慮がちにそう言ったアイリスだったが、ノルドラッドは力強く否定した。 「村の周辺は調査したけど、この辺りはまた植生が違うんだよ! これを調査しないなんて、研究者としてあり得ない!」 「む......、私に研究のことは解らないし、雇われている以上、あまり言いたくはないが、食糧の問題もある。現地での調査期間を考えると、あまりゆっくりはできないと思うのだが?」 「そうよね。帰路のことも考えると」 「そう言われると......」 論理的な反論に、ノルドラッドも口ごもる。 彼の研究熱がどれほど高かろうと、飲まず食わずで研究を続けられるほど人間をやめていないし、アイリスたちに関しては言うまでもない。 持ってきた食糧の量には限りがあり、不確かな現地調達に頼るわけにもいかない。 そのことを考えると、本来の目的であるサラマンダーの調査を十全に行うためには、道中であまり時間を取るわけにはいかないはずなのだが......。

"But Nord is familiar with the manager?... Oh, speaking of which, you came here with an introduction to Leonora" "That's the thing. - By the way, as far as I'm concerned, I'm curious about you, too? Nord's gaze is pointed at Iris' shoulder mouth. It is the walnut clinging to the bag she carried that is peeking her face from there. It was only when I left the house that Kate persuaded me that it was Iris, who was happily holding the walnut, that her hands would be blocked when she said she was going to give me an escort, that it was her turn at last, and I moved her over the bag. "It's alchemy, isn't it? "That's right. You get it, don't you? The manager was worried about us." "I'm still a demon researcher. I often work with alchemists, and I know about alchemists (homunculus). I've never seen that shape before." "There's a lot of cats and stuff, right? "You're the one who's popular. And then with the birds? Alchemy for reconnaissance around here (homunculus), but do some people use wolves for combat? Unusual, though." The rarity of large alchemy organisms (homunculus) affects the difficulty of making them, in addition to the fact that alchemists rarely have a chance to fight. Culture tank first. I don't necessarily need to let it grow to its actual size in the culture tank, but once it's out there, its growth rate will be close to that of a normal organism, and it will take tens to hundreds of times longer to complete. In the case of walnuts, this is the finished shape, but if you want to increase it to the size of a normal bear, keep pouring magic on it frequently for a few years. That's all the trouble I need. That is why it would go without saying that it is difficult to prepare a bear-sized incubator. Not only do I make it, but I also take it as a place to put it. More magic. As long as the Alchemy creature (Homunculus) grows larger, the amount of magic required becomes greater, and if it cannot supply the same amount of magic as its size, the body of the Alchemy creature (Homunculus) collapses and fails to make it. It takes most magic at the time of production, but regular magic refills are necessary even after completion, and if you create too large an alchemy organism (homunculus), it will also affect your daily smelting operations. Sometimes that happens, the current mainstream is around cats with small birds, mice, and magical alchemists. "Actually, other than size, it's a little weird." "Hmm? What? Maybe he's the rare type, but he's cute, isn't he? Nordrad laughs bitterly at Iris for putting a walnut on his palm to make him look proud. "I don't deny that, but I don't. That's not what you're manipulating, is it, Sarasa? Normally, they don't let you act on your own, away from the surgeon. I mean, I can't, can I? As well as being away from the surgeon, making it difficult to share and manipulate senses and consuming more magic, it also increases the magic required to maintain alchemy organisms (homunculus). The magic consumed at this time is the magic stored in the Alchemy (Homunculus), without which the Alchemy (Homunculus) will disappear. Nordrad's common sense suggests that if you do poorly, you can't keep the alchemy (homunculus) for a few weeks, even though you know it's quite a distance away. Do you think it's okay for alchemy organisms (homunculus) to collapse along the way, or do you think it can be maintained even at that distance, period? "So I'd like to do a little research..." "Da, no! I'm not giving you the walnuts! From Nordrad, who has a mad grin no matter how he sees it, he hugs to protect the walnut, Iris pulls himself back, and Kate also steps forward to protect Iris. "Mr. Nord, the walnut was trusted by the manager to keep us. I can't give it to you as an object of research." "Right." I guess you didn't think it was acceptable. To Kate with a slightly harsh look, Nordrad says so and snorts lightly. "When I get home, Sarasa, it's your call, isn't it? I'm just thankful to have insurance." Nordrad nodded ummmm and grinned. "Well, it's time to leave." "... right. Then Nord will follow us." Still, Iris put the walnut back on his back to be slightly more vigilant and walked out looking at Nordrad flickering. ◇ ◇ ◇ Day one of stepping into the woods. For the Iris and the others, this is the third time we have followed this path. Given the round trip, the fifth time. Sometimes this area, where village gatherers usually step in frequently, went well without any particular trouble. The second day was pretty much the same, but the change was coming from the third day. Even though demons don't come out, they don't grow any farther than expected. Speaking of why... "Ooh! This isn't a sake mushroom! Rare! Uh, three centimetres wide of the rift, the type of tree is Newclight, more humid, and the moss that grows around -" "Huh! That's a brev career growing here. The thickness of the basement stem... that's pretty thick. Is this soil affecting you? "Yay!? There's a bunch of meoni ladies by this water! There are no underwater flowers... yet. It's supposed to be about time, but the impact of the place? Yes, because if Nordrad stops frequently, he starts an investigation. Once you stop legging, if you're bad, you're on the spot for over an hour. This can't even earn you a distance. Still, for the first few days or so, the Iris waited silently for the investigation to be completed as well. It's not like stopping frequently raids demons, and the reward is paid for the few days it took, so it didn't hurt the Iris guys where the appointments were delayed. But if that lasted for about three days, and the distance travelled would not have been more than a day's worth, I couldn't just shut up. Above all, the biggest problem is the existence of demons that strike sometimes. Now even the Iris are still able to shoot without difficulty, but as they move on, the demons will become stronger, and if they do, they will be killed, and the smell of blood will spread around them, and they need to leave the scene quickly. Nonetheless, Nordrad hardly tries to move and needs a lot of effort to pull him off the spot. This would also be an impossible story to tell you not to complain. "Hey, Nord. Wouldn't you spend too much time on anything? Besides, I heard you were still in the woods investigating during the prep period..." Still, the other party is the client. Iris said that somewhat reluctantly, but Nordrad forcefully denied it. "I've surveyed the area around the village, but the vegetation is different around here again! It's impossible as a researcher not to investigate this! "Mm... I don't know about research, and I don't want to say much more than I'm hired, but I also have food issues. Given the duration of the investigation on the ground, I don't think we can take it very slowly. "Right. Thinking about going home." "That's what they say..." To the logical objection, Nordrad also mumbles. No matter how high his research fever is, he hasn't stopped being human enough to continue his research without drinking and eating, and it goes without saying when it comes to the Iris and the others. The amount of food I have brought is limited and I cannot rely on uncertain local procurement. Given that, we shouldn't be taking too much time on the road to fully investigate the salamander, which is our original aim......

「う~ん、実際のところ、年齢の方はそこまで厳密じゃないんだけど......」 錬金術師養成学校の入試歳のときに受けられるということになっているけど、年齢確認はそこまで厳しくなかったりする。 基本的に受験時の年齢は自己申告。 貴族ならまだしも、平民の、それも農村部で暮らしている子供の年齢なんて、国は把握していないわけで、厳密にチェックしようと思っても不可能なのだ。 なので、初回の受験であれば、多少実年齢がオーバーしていても問題なかったりする。 ただ......私はロレアちゃんの身体を見て、首を振る。 「ロレアちゃんは、無理、かなぁ」 ただでさえ、年齢の割に発育の良かったロレアちゃん。 私と知り合って以降も順調に成長し、もうすぐになる今では、成人と言っても問題ないレベルである。 そもそも錬金術師養成学校の入試は、何年間も必死で勉強しなければ受からない難関試験なのだ。 それ故、平民で入学できるのは、子供が勉強だけに打ち込めるほど裕福な家庭か、私のように後がなく、他の子供たちが手助けしてくれる余地のある孤児院出身がほとんど。 中間層の平民は、家の手伝いで時間が取りづらく、孤児ほど必死になる必要もないため、受験する人はかなり少ない。 それほどの試験に合格しようと思えば、地頭の良いロレアちゃんでも相応の時間が必要になり、必要な知識を身につけた頃には、さすがに一〇歳と言い張るのは厳しい外見になっているだろう。 そしてそれはロレアちゃん本人も解っているようで、残念そうながらも、仕方ないとばかりにため息を吐く。 「やっぱり、そうですよねぇ......」 「けど、錬金術師になれないか、というと......不可能じゃない」 「そうなんですか?」 私の言葉に、ロレアちゃんが少し意外そうに、そして希望を見いだしたかのように表情を明るくする。 「うん。実は、ね」 ”を取得しようと思えば、錬金術師養成学校に入学し、すべての試験を突破、卒業する以外にない。 しかし、国がこの学校を作った目的は錬金術師の質と数を確保するためであり、前者はともかく、後者に関しては、これ以外の門戸を完全に閉ざしてしまえば逆効果になってしまう。 そこで設けられた救済措置が、高位の錬金術師(最低でも中級、通常は上級以上の錬金術師)から推薦を受け、数年に一度行われる試験に合格すれば、“ ただしこれは、錬金術師養成学校に入るよりもかなり厳しい。 何故なら、何の知識もない平民を弟子入りさせてくれて、試験に合格できるまで鍛え上げてくれる錬金術師なんて、皆無に等しいから。 学校では朝から晩ま間、ひたすら勉強、実習、試験を繰り返すのだ。 そこで学ぶのと同じだけのことを教え込もうと思えば、どれだけの時間とコストがかかるか。 引退して暇を持て余している錬金術師ならまだしも、普通の錬金術師であれば、まさか弟子の教育だけに取り組むわけにもいかず、教育期間も倍の一〇年で済めばまだ良い方だろう。 それに加え、案外難しいのが師匠が弟子に施す教育内容。 意外に思えるかもしれないが、学校で教えられている内容を、すべて弟子に教えられるような錬金術師など、ほとんど存在しない。 学校の教授や講師陣は、それぞれが得意分野を教えているわけで、それを師匠である一人の錬金術師がすべて担当しようとすれば、どれだけ大変か。 ”の取得試験の難易度は、平常授業の評価点がない関係上、学校で行われる定期試験や卒業試験を超える。 学校の成績基準で『なんとか落第はしない』というレベルでは、合格はまず無理である。 どうしても子供を錬金術師にしたい貴族や大金持ちが、複数の錬金術師やその他の家庭教師を雇い、大金と何年もの期間をかければ可能性が見えてくる。 あえて言うなら、そんな感じだろう。 そんなことをロレアちゃんに説明すると、明るくなった表情が、再び諦念の混じった暗い表情になる。 「......つまり、実質不可能、なんですね」 「いや、そうでもない、かな?」 「え?」 「私なら、可能かも? 今すぐは無理だけど、長期的には」 これでも私、学校の成績はほぼ首席。 すべての教科でトップに近い成績を収めている。 つまり、指導できるだけの知識は備えている......つもり。 「じゃあ!」 「でも、私、指導どころか、人に教えた経験も、ほぼゼロなんだよねぇ」 友達同士で教えあいとか、ほとんど無縁の生活を送ってきたからね! お勉強会的なものをしたことはあっても、自慢じゃないけど、私たちって基本的に優秀だったから、単に一緒に机を囲んでいただけ。 解らないところを教え合うにしても、一言、アドバイスするだけで、自己解決できちゃうから、『教える』なんて感じじゃない。 もちろん、初学者に対して指導したことなんて皆無。 こんな私がロレアちゃんを弟子にしたとして、錬金術師の資格試験に合格できるレベルまで引き上げられるかは......正直、自信がない。 「あともう一つ。ロレアちゃんの持つ魔力量はそこまで大きくないから、もしすべてが上手くいっても、錬金術師として大成できる可能性は、かなり低いよ?」 錬金術師に最も必要なのは『魔力操作の精密さ』とはいえ、魔力の絶対量が少なければ、錬成を行える回数に制限がでるし、多くの魔力が必要な物は作れない。 つまり、錬金術大全に載っている物が作れない可能性もあり、それに引っかかってしまえば、レベルを上げることができなくなり、そこで頭打ちとなる。 まだ未成年だし、これから伸びる確率もゼロじゃないけど、魔力量は生まれつきの部分が大きいので、あまり期待はできない。 もっとも、錬金術大全の五巻まで、つまり中級の錬金術師までは、そこまで大きな魔力量を必要としないので、平均的な錬金術師になるのであれば、魔力量はあまり障害にならないんだけどね。 「それでも構いません。どちらかといえば、お仕事ができるようになって、もっとサラサさんの役に立ちたいという思いの方が大きいので」 率直に嬉しいことを言われ、思わず顔が緩む。 私は別に構わないんだけど、ただカウンターに座っているだけの時間が多いのが、やっぱり気になっているのかも。 「でも......錬金術師の勉強って、結構大変だよ? 刻苦勉励。難関である入試をくぐり抜けた人たちが、何年間も勉強して、実習を行い、それでも半分以上が挫折して消えていく。そんな世界。それでもやる?」 ロレアちゃんの場合、錬金術師になれなくても私のお店の店員として働けるとはいえ、長期間――下手をすれば一〇年以上――勉強して試験を受け、もし落第すればショックは大きいと思う。 そして、その確率は決して低くはない。 むしろ、合格する可能性なんて、ほとんどないかもしれない。 けれどロレアちゃんは、しっかりと頷く。 「はい。大変さを解ってるとは言い切れませんが、途中で投げ出さないことは誓います。サラサさん、弟子にしてくれますか?」 真面目な顔で私をじっと見つめるロレアちゃんに、私も覚悟を決める。 「解った。絶対に錬金術師になれるとは保証できないけど、弟子として受け入れます」 「ありがとうございます!」 ロレアちゃんは嬉しそうにお礼を言い、再度私の顔を見て、少し口元を緩める。 「えっと、サラサさん」 「なに?」 「お師匠様、って呼んだ方が良いですか?」 「それはヤメテ。ちょっと重すぎるから」 ちょっと悪戯っぽく言うロレアちゃんに、私は即座に首を振った。 錬金術師の弟子といっても、公の身分じゃないし、弟子を取るのに制限があるわけじゃないけど、卒業一年目、ペーペーの私が『お師匠様』と呼ばせるとか、どう考えても烏滸がましい。 そんなの師匠に聞かれたら......怒られはしないと思うけど、大笑い、かな? うん、なしだね。 「今まで通りで良いから、今まで通りで」 「はーい、解りました。サラサさん。これから、よろしくお願いします」 「こちらこそ。頑張ろうね!」

"Uh-huh, the truth is, people my age aren't that strict..." The Alchemist Training School entrance exam is supposed to be taken when you are ten, but age verification can be less demanding. Basically, the age at the time of the exam is self-declared. Nobles still don't know the age of a civilian, or a child living in a rural area, so it's impossible to check strictly. Therefore, if it is the first exam, it may not be a problem even if the actual age is somewhat over. It's just... I look at Lorea's body and shake her head. "Lorea, I don't know if I can," Even though, I was well developed for my age, Lorea. He has grown well since he got to know me and is almost fourteen years old. Now he is at a level where there is no problem when it comes to being an adult. In the first place, the Alchemist Training School entrance exam is a difficult exam that you won't take unless you study desperately for years. So the only place I can enroll in civilian is in a family that is wealthy enough for my kids to just punch into studying, or mostly from an orphanage where there is no aftermath like me and there is room for other kids to help. Intermediate layers of civilians do not have to be as desperate as orphans because time is difficult to take with the help of their homes, so they are considerably less likely to take the exams. If you want to pass so many exams, even a well-grounded Lorea will need the time to do so, and by the time you get the knowledge you need, it will be tough looking to insist on being just ten. And that seems to know Lorea herself, and unfortunately, she just sighs when she has no choice. "I knew you were..." "But if you can't be an alchemist... it's not impossible" "Really? Brighten your expression to my words as if Lorea seemed a little surprised and found hope. "Yeah. Actually, yeah." Typically, if you want to get an "Alchemy's License," you have nothing but to enroll in the Alchemist Training School, pass all the exams and graduate. However, the aim of the State's creation of this school is to ensure the quality and number of alchemists, the former anyway, which, as far as the latter is concerned, would be counterproductive if the other gateways were completely closed. The remedy set up there is to grant an "Alchemy's License" if it is recommended by a high-ranking alchemist (an alchemist at least intermediate, usually senior or higher) and passes an exam that takes place every few years. However, this is considerably tougher than entering an alchemist training school. Because none of them equals an alchemist who puts a civilian who has no knowledge whatsoever in his apprenticeship and trains him until he can pass the exam. In school, you have to repeat your studies, traineeships, and exams for five years, from morning to evening. How much time and cost would it cost to try to teach you the same things you learn there. If you're an alchemist who's retired and has extra time, you're still a regular alchemist, you can't just work on educating your disciples, and you'd still be better off if your education took ten years to double. In addition to that, the difficulty of being extrapolated is the educational content that the master imposes on his disciples. Though it may seem surprising, little exists, such as an alchemist who can teach his disciples everything that is taught in school. The professors and lecturers at the school each teach their specialty, and how hard it would be if one alchemist, the master, tried to take charge of it all. Besides, the difficulty of obtaining the "Alchemy's License" test exceeds the regular exams and graduation exams held in schools due to the lack of evaluation points for regular classes. At the level of 'do not manage to fall' on school performance criteria, passing is first and foremost impossible. A nobleman or a rich man who really wants to make his child an alchemist hires multiple alchemists and other tutors, and spends years with the big money, he sees the possibility. If you dare, it would be like that. Explaining that to Lorea, the brightened look becomes once again a mixed dark look of giving up. "... I mean, practically impossible, what is it" "No, it's not, is it? "Huh?" "Could it be possible for me? Not right now, but in the long run." Still, I, my school grades are almost chief. He scores close to the top in all subjects. I mean, I have as much knowledge as I can mentor...... I'm going to. "Bye!" "But I, rather than coaching, have almost zero experience of teaching people," I've lived an almost unbridled life, teaching each other things to friends! I don't care if you've ever done anything study group, I'm not proud of you, but we were basically good, so we were just surrounding our desks together. Even if we teach each other what we don't understand, it doesn't feel like 'teaching' because we can just say one word, two words, give advice, and solve ourselves. Of course, none of them have ever coached beginners. I don't know if I can raise myself to a level where I can pass the alchemist's qualification exam for making Lorea an apprentice like this...... honestly, I'm not sure. "One more thing. Lorea doesn't have that much magic power, so if everything goes well, it's pretty unlikely she'll be able to grow up as an alchemist, right? Even though the Alchemist needs' precision in magic manipulation 'most, if the absolute amount of magic is low, there is a limit to the number of times he can perform the smelting, and he can't make anything that requires a lot of magic. In other words, there is also the possibility that you can't make what is on the alchemy daiichi, and if you get caught up in it, you won't be able to increase the level, and that's where you hit the head. I'm still a minor, and I don't have a zero chance of growing up, but the amount of magic is a big part of what I was born with, so I can't expect much. Most importantly, until all five volumes of Alchemy, or intermediate alchemists, you don't need that much magic, so if you're going to be an average alchemist, then the amount of magic isn't much of an obstacle. "Still, I don't mind. Either way, because it's more important that you be able to work and want to be of more use to Sarasa." I am frankly glad to be said, my face unwittingly looses. I don't mind anything, but maybe I care a lot about just sitting on the counter after all. "But... studying alchemists is pretty tough, huh? Hard work encouragement. Those who pass the entrance exam, which is a difficulty, study for years, practice, and still more than half disappear frustrated. Such a world. Still do it? In Lorea's case, even though she can work as a clerk in my store even if she can't be an alchemist, for a long time - more than ten years if she sucks - she studied and took the exam, and I think the shock would be enormous if she fell. And the odds of that are never low. Rather, there may be little chance of passing. But Lorea snorts firmly. "Yes. I can't say I know how hard it is, but I swear I won't throw it out on the way. Mr. Sarasa, will you make me your apprentice? To Lorea, who stares at me with a serious face, I decide to be ready too. "Got it. I can't guarantee you'll ever be an alchemist, but I accept you as a disciple." "Thank you! Lorea thanked me happily, looked at my face again and loosened her mouth a little. "Uh, Mr. Sarasa" "What?" "Master, should I call you? "That's Yamate. Because it's a little too heavy." I shook my head instantly to Lorea, who says it sounds a bit like a prank. Even when it comes to the alchemist's apprentice, it's not in a public capacity, and there's no restriction on taking the apprentice, but in my first year of graduation, I don't care what you think about the paper's making me call a 'master'. If my master asks me that... I don't think he'll be mad at me, but laugh a lot, huh? Yeah, you don't. "As good as ever, as always" "Yes, I understand. Sarasa, thank you very much." "Welcome. Let's do our best!

「そんなの、知らないよ!」 ――などと、王族に対して言えるはずもなく。 私は足りない情報を掻き集め、頭を捻る。 最初のご訪問の際には突然すぎて冷静に考えられなかったけど、王都からここまではかなり遠く、師匠のような規格外を除けば、気軽に来られるような場所じゃない。 当然、お越しになるからにはそれ相応の理由があるはず。 殿下は『発毛剤のことを知られないように』と仰っていたけど、おそらくそこはあまり重要視されていないと思う。 だって気にしていたら、それをネタにして、私たちを笑わせたりはしないと思うもの! とても迷惑なことにね! 王族と私たちの身分の違いを理解して!! だから、それとは別の理由があるはず。 ――いや、違うね。 なのだから、発毛剤関係以外。 となると......この地域へのご訪問自体が目的だった? 公には発毛剤が目的であることを隠した上で、そのこと自体も表面的な目的......? 「......標的は、カーク準男爵家ですか?」 「ほう? どうしてそう思いました?」 しばらく考えて出した私の答えに、殿下は面白そうに笑みを深めた。 「サウス・ストラグはさほど大きな都市ではありませんが、南方のドーランド公国との交易はここ数十年、拡大を続けています」 王都が国の東寄りにあることもあり、ここラプロシアン王国の最大の貿易相手国は、東方に位置するウーベル国である。 それに対して、ラプロシアン王国の南西に位置し、王都からの距離が遠いドーランド公国との貿易は長い間、細々としたものだった。 その状況に変化があったのが数十年前。 変化させたのは、先々代のカーク準男爵だった。 カーク準男爵領からドーランド公国へと続く道を整備し、交易を推進。 単なる宿場町であったサウス・ストラグの町を、交易の町として作り替えていった。 それを引き継いだのが、先代のカーク準男爵。 サウス・ストラグの町を地方都市と呼べるまで発展させたのは、彼の功績である。 しっかりとした道筋の付いたこの流れは、このまま順調に拡大していく――と、思われていたところに水を差したのが、当代のヨクオ・カーク準男爵。 いや、水を差すどころか、完全にダメにしかねないって感じかな? 「交易額としては、未だウーベル国との貿易額には遠く及ばないでしょうが、決して少ない額ではないはずです。現時点でこれが潰れてしまうのは、国としては惜しい。そういうことなのでは?」 「悪くない見方ですね。そこに今回の件がどう絡んできますか?」 「私の臆測も交じりますが......」 「構いません。続けてください」 正直、確証のない推測を開陳することに躊躇いは覚えるけど、微笑みながらも鋭い視線の殿下にじっと見られては、拒否もできない。 「少し前のことになりますが、ロッツェ家が調停を申し立てました。そのことを知った殿下は使えると思われたのではないでしょうか?」 ドーランド公国との貿易は今後も推進していきたいが、その障害になりかねないカーク準男爵は邪魔。 だからといって強引に改易すれば、いくら国王でも他の貴族の支持を失いかねない。 何らかの方法を模索していたところに引っ掛かったのが、おそらくはあの調停。 弱小貴族であるロッツェ家と準男爵家との争いに侯爵家が関わるという、目を引く要素はバッチリだったし、少し調べれば私が関わっていることも簡単に判っただろう。 もちろん、私の詳細な個人情報なんて言うまでもなく。 「ノルドさんがウチに来たこと自体、殿下の差配だったのではありませんか?」 タイミング的にちょっと怪しいよね、と思って殿下を窺えば......殿下は笑みを深めていた。何だか嬉しそうに。 腹黒そうな殿下の笑み、正直怖いんだけど!? 「さすがは最優秀。錬金術師養成学校を作ったのは間違いではなかったようです。――平凡は許されますが、愚鈍は許されません。立場ある貴族であればね」 明確な肯定ではなかったけれど、その言葉は私の推測がさほど外れていないことを示すものだった。 そのために私たちが苦労したのかと思うと、思うところがないでもないけど、そんな不満を口に出せるはずもない。 「た訂正を。私はノルドに情報を与えただけです。彼の行動に関しては関知していません。......というよりも、あそこまで迷惑を掛けるとは予想外でした。その報酬には、それについての詫びも含まれています。すみませんね」 「い、いえ! ちょっと困った人でしたけど、理不尽な人ではありませんでしたから!」 不意に謝罪を口にした殿下に、私は慌てて首を振る。 ――もしかして、表情に不満が漏れていた? 殿下は問題にされる方ではないようだけど、下手をすれば不敬にもなりかねない。 私が慌てて表情を引き締めれば、殿下は「フフ」と笑った。 「そう緊張せずとも良いですよ? 多少のことなら気にしませんから」 「あ、いえ、その......」 簡単に表情を読まれ、私は思わず意味のない言葉を漏らしてしまう。 「頭は回るようですが、貴族との付き合い方はまだまだですか。生い立ちを考えれば、及第点ですが......そっち方面のカリキュラムも入れるべきでしょうか? 暇している王族でも派遣すれば、実践的な講義もできるでしょうし」 顎に手を当て、とんでもないことを呟く殿下。 ――止めたげて! 後輩たちが泣くことになるから!! 私もマナーに関する講義は受けたけど、その相手は学校の講師や同級生。 同級生にも貴族が多いから、それだけでも十分に緊張するのに、王族が講義をするとか、実践的にもほどがある。 ミスしたら首が飛びかねないほどに、 「で、殿下、さすがに王族の方々のお手を煩わせるのは、恐れ多いかと......」 「ん? 穀潰し――もとい、時間を持て余している王族はそれなりにいるんですが......まぁ、これは父上と相談すべきでしょうね」 控えめに意見を差し挟んだ私をチラリと見て、殿下がぼそりと怖いことを言う。 ――良かった! 私、卒業していて!! 後輩たちよ、この件が実現しないこと、私は祈っているからね! 祈るだけで、これ以上は何も言わないけど。 とばっちりは嫌だからね! 「とはいえ、今はカーク準男爵家のことですね。あなたが想像した通り、軽く揺さぶってやった――いえ、そこまででもないですね。重石を少し除けてやったぐらいでしょうか。たったそれだけで、あの愚か者は軽挙妄動に走ったというわけです」 具体的に何をしたんだろう......? 殿下が私のお店に来たこと、じゃないよね。 もしかするとそれも含めて何らかの策があったのかもしれないけど、おそらくカーク準男爵は、殿下の訪問を把握していない。 少しでも考える頭があるのなら、殿下が帰った直後にウチのお店にちょっかいをかけてくるとは思えないもの。 「自重するようなら対応も変わったのですが......予想通りでしたね。先代も彼が問題を起こした時に廃嫡しておけば良かったものを」 そういえば、現準男爵はカーク準男爵家の陞爵を潰したんだっけ。 迷惑な準男爵家が潰れるのは願ったり叶ったりだけど、その行程に善良なる私たちが巻き込まれるのはいただけない。 「その“軽挙”で、私たちは危ない目に遭ったのですが......」 少しばかりでも気にしてもらえればと、やんわりと不満を口にしてみれば、殿下はちょっと目を細めた。 、危険なことなどなかったように思いますが?」 どこまで把握しているんだろうね、この腹黒王子様は! 少なくとも、山で襲われたことは把握してるよね、これ。 私たちはともかく、下手をすればマディソンたちは死んでいたわけで。 できれば、彼らのことも考慮して欲しかった! 少数の領民を救うより、ダメな領主をすげ替える方が国民、延いては領民のためになると考えたのか、平民程度は大した問題でもないと考えたのか。 とはいえ、マディソンたちには『できれば助ける』と言っている以上、私としては助命を願わねばならない立場なのが辛い。 正直、マディソンたちの証言なんて、もう必要ないんじゃないかとも思うけど、口約束でも契約の一種。商人の子供としては破れないよね。 こんなときにアイリスさんかケイトさんがいれば、押し付け......もとい、協力できるのにっ! 今帰ってきてくれたら、好感度、爆上がりですよ?

"I don't know! I can't say that to the royal family. I gather the missing information and twist my head. During my first visit, I couldn't think calmly and suddenly, but it's quite far from King's Landing, and it's not an easy place to come except outside the standards like a master. Of course, there must be a good reason for you to come. His Highness said, "Don't let anyone know about hair thinners," but I don't think that's very important. 'Cause if you care, I don't think you're gonna cheat on us or make us laugh! Very annoying! Understand the difference between royalty and our identity!! So there must be another reason for that. - No, it's not. Because it is another (...) eye (...) specific (...), other than hair growth agent relationship. So... was the purpose of your visit to this area in itself? Publicly concealing that the hair growth agent is the purpose, and that is also a superficial purpose in itself....? "... targeting the Baron Kirk? "Huh? Why did you think that? In response to my answer, which I thought about for a while, His Highness deepened his smile in an interesting way. "Though South Strag is not such a big city, deals with the southern Principality of Dorland have been expanding for decades." Sometimes the King's Capital is to the east of the country, where the Kingdom of La Proscian's largest trading partner is Ouvelle, located in the east. In contrast, trade with the Principality of Dorland, which is located in the southwestern part of the Laprosian kingdom and is far from the King's Capital, has been small for a long time. The situation changed decades ago. It was the ancestral Baron Kirk who changed it. Prepare the way from Quasi-Bar Kirk's territory to the Principality of Dorland and promote the deal. The town of South Strag, which was just a post town, was rebuilt as a trading town. It was succeeded by the ancestral Baron Kirk. It was to his credit that the town of South Strag was developed to the point where it could be called a regional city. It was contemporary Baron Yokoo Kirk who added water to what was thought to be the steady expansion of this flow. No, instead of adding water, do you feel like it could completely fail? "As for the transaction amount, it will still not be as much as the amount of trade with Wobel Country, but it should never be a small amount. It would be a pity for the country to crush this at the moment. Is that what this is all about? "That's not a bad view. How is this going to affect you? "My assumptions also intersect....." "I don't mind. Please continue." Honestly, I don't remember hesitating to make an unconfirmed guess, but I can't refuse to be stared at with a smile and a sharp gaze. "A while ago, the Rozze family filed for mediation. Wouldn't it have been thought that His Highness would have been able to use it? I would like to continue to promote trade with the Principality of Dorland, but Paramount Baron Kirk is in the way. That is why any King can lose the support of other nobles if he is forced to change. Perhaps that mediation caught me trying to find some way. The eye-catching element that the Marquises were involved in the dispute between the weaker aristocracy of the Rozzes and the quasi-bars was clear, and a little research would have made it easy to see that I was involved. Of course, it goes without saying my personal details. "Isn't Nord's visit to us a match for His Highness? I thought the timing was a bit suspicious, and when I looked at His Highness... His Highness was deepening his smile. I feel kind of happy. Honestly, I'm scared of the black-and-white smile of His Highness!? "That's the best. It didn't seem wrong to build an Alchemist Training School. --The mediocrity is forgiven, but the dullness is not. If you are a nobleman in a position." Although it was not a clear affirmation, the words indicated that my guess was not far off. Though I don't know if we struggled with it, there's no way we can express such dissatisfaction. "Just one correction. I just gave Nord information. I am not aware of his actions.... but I didn't expect it to bother you there. The reward also includes an apology for it. I'm sorry." "No! I was a little troubled, but I wasn't unreasonable! I shook my head in a hurry to His Highness, who suddenly apologized. --Besides, was there any expression of dissatisfaction? Your Highness doesn't seem to be in trouble, but it would be disrespectful if you were bad at it. When I hurried to tighten my expression, His Highness laughed "fufu". "You don't have to be nervous. I don't care about anything." "Ah, no, no...." Easy to read, I accidentally leak meaningless words. "Your head seems to be spinning, but how do you still get along with the nobles? If you think about your origins, that's the point... Should I include both your side and the curriculum? If you send in a spare royal family, you can give practical lectures." His Royal Highness puts his hand on his jaw and murmurs a horrible thing. - Stop it! My juniors will cry!! I also received lectures on manners, but they were given to school lecturers and classmates. There are many aristocracy in my classmates, so even if they are sufficiently nervous, the royal family can give lectures and practically do so. If you make a mistake, your neck will become so practical that you can fly!? "And, Your Highness, I'm afraid I'm going to annoy the royals....." "Hmm? Grain crushing - there are quite a few royalties who have spared time... well, this should be discussed with my father." He looks at me modestly and says that His Highness is afraid of sledding. - Good! I'm graduating!! Seniors, I pray this won't happen! Just pray, and I won't say anything more. I don't like that! "But now you're talking about the Baron Kirk family. As you can imagine, I shaken it gently - no, it wasn't that far. Could it have been done by removing the heavy stones a little? That's all. That fool ran into delirium." What exactly did you do...? Your Highness didn't come to my store, did he? Perhaps there was some solution, including that, but perhaps Baron Kirk is unaware of His Highness's visit. If you have the slightest idea, it is unlikely that your Highness will come to our shop shortly after he returns. "If I had to weigh myself, the response would have changed... as expected. I wish my ancestors had abandoned him when he had trouble." Speaking of which, now the Baroness has crushed the baron of the Baron Kirk family. I hope and fit to crush the annoying quasi-bars, but you can't let us get caught up in that journey of goodness. "We were in danger with that“ light lifting ”....." His Highness narrowed his eyes slightly when he spoke of his tenderness and dissatisfaction that he could care less. "Really? At least I don't think there was anything dangerous about (...) the person who (...)... I wonder how far you know, you black-and-white prince! At least you know he was attacked in the mountains, right? Anyway, if we succeeded, Madisons would have been dead. I wanted you to think about them, too, if possible! Did you think that replacing a bad lord would be better for the people than saving a small number of people, or did you think that the extent of the civilian population was not a big problem? Nevertheless, it is hard for me to be in a position to ask for help, rather than saying to Madison and the others, "If possible, I can help." Honestly, I don't think Madison's testimony is necessary anymore, but it's also a kind of contract. You can't break it as a merchant's child. If Iris or Kate were here at this time, I could push... to help! If you come back now, your sensitivity will explode.

少し不安に駆られながら向かったも。 こちらの方が少し広くて、店前も掃除しているのか、ゴミも落ちていない。 これなら師匠も文句は言わないだろう。 「こっちのお店は、期待が持てるかも?」 私の気分も少し持ち直し、軽くなった足取りで店に入る。 「いらっしゃいませ」 迎えてくれたのは歳前後の女性。 柔和な笑みで挨拶してくれたので、思わず私も頭を下げて挨拶を返す。 「こんにちは。少し見せてください」 「はい、ごゆっくりどうぞ」 商品の傾向は変わらないけど...... 錬成薬 ちょっと変わったところでは、痩身薬とか日焼け止め薬とかも置いてある。 前者はともかく、後者は村では売れないかなぁ。日焼けを気にしていたら、農作業とかできないし。 いや、本当は使いたいのかもしれないけど、毎日畑に出る度に日焼け止めを塗るなんて、農家の収入では難しい。お金持ち向けの商品だよね。 も、帽子やショールなんかが置いてあって、少し女性っぽい品揃え。用途によっては、このあたりは私のお店でも売れるかも。 問題は、デザインや元となる品物をどうするかだけど。 村には専門の職人なんていないし。 一応作れる、ってだけだからねぇ、私の場合。 そのあたりは、あまり自信が無いのである。 ――よし、商品の調査はこのくらいで良いか。 さて、こっちはどうなるか。 「あの、これを買い取って欲しいんですが」 「ほう、なんだい? ......これは、アンガーベアーの心臓だね。新鮮で処理も悪くない。でどうだい?」 「......結構、高いですね?」 私の予想より二割は高い。 不当な安値も困るけど、相場からあまり外れるのも疑問なんだけど......。 「最近は滅多に手に入らないからねぇ。あなた、錬金術師?」 「はい、ヨックの村......ご存じですか? ゲルバ・ロッハ山麓樹海の傍の村、そこで最近店を開きまして」 「わぁ! あそこで!? それは助かるわ。あそこの爺さんが店を閉めて以降、良い素材が流れてこずに困ってたから」 「もしかして、それが高いのも?」 「そうよ。かなり品薄なのよ。しかもこれ、すぐに処理したでしょ? このレベルの物はそうそう手に入らない」 値段が高くなったのは、品薄だからかぁ。 あとは品質も評価してくれたみたい。 確かに、この品質で心臓を取れる機会なんてそう無いしね。 今回は運が良かったけど、普通はなかなか村の近くで斃される事なんて無いからなぁ。 「あなた、若いのに良い腕だね。どこで修行してたの?」 「......師匠ということであれば、オフィーリア・ミリスって事になりますね」 久しぶりに口にした師匠の本名に、店主は目を丸くして立ち上がった。 「えっ!? オフィーリア・ミリスって、あのオフィーリア様?」 「たぶん? マスタークラスのあの人です」 「本当に? あの人の弟子がこんな辺境に?」 訝しげだけど、嘘じゃないからねぇ。 普通の独立とは少し違うけど、弟子として餞別を貰ってるし、教えを受けていたのも本当。 『卒業してすぐに店を構えました』とか、少し外聞が悪いから、これくらいは言っても問題ないよね? 「ええ、まぁ。『店をやるから、珍しい素材を送ってこい』と。あと『修行にもちょうど良い』とか言われて......」 「うーん、さすがマスタークラスの師匠。結構厳しいわね」 唸って苦笑する店主。 確かにこれだけ聞くと、辺境の村に放り出されたように感じるね。 「あ、いえ、私が希望した部分もあるので」 「若いのに向上心が強いのね! 気に入ったよ!」 「ははは......」 まさかこんな田舎で店を持つとは思ってなかったけどね。 私が希望したのは、普通にどこかのお店に就職することだったから。 「私はレオノーラ。この店の店長よ。あなたは?」 「あ、はい、サラサと言います。あの村でお店を開いたので、今後ともお世話になると思うので、よろしくお願いします」 「こちらこそよろしく。正直、かなり助かるわ。あの村から流れてくる素材、爺さんの店が無くなって、どうしようもなくなってたから。サラサみたいに腕の良い錬金術師がいれば、また採集者も増えるんじゃない?」 「あはは、そうなれば良いんですけど」 錬金素材は採取後、すぐに処理が必要な物も多いため、近場に錬金術師がいなければ、その多くは大きく品質が落ちる。 村からここまで運んでくると、数日。それだけの時間が経てば、一部の素材以外、その買い取り価格は非常に低くなる。 すると採集者も採算が取れなくなり、必然的に村から離れていったのだろう。 「最初はちょっと大変かも知れないけど、なんとかなるわよ。――懐かしいわぁ。私も独立して店を開いたときは、日々減っていく貯蓄に随分と心細くなったものよ。サラサも何か困ったことがあれば相談に乗るわよ。可能な範囲で手助けしてあげる」 「ありがとうございます」 「ま、この心臓が買い取れるなら、問題ないかもね。心臓があると言うことは、他の部位もあるんでしょ?」 「はい、眼球は一つですが」 眼球や肝臓、その他のアンガーベアーの素材はもちろん、他に買い取った素材もまとめてカウンターに並べる。 レオノーラさんは私が並べる素材を一つずつ手に取って調べ、頷いた。 「うん、どれも、良い処理だね。――そのリュックサックもかなり良い物みたいだけど」 「ええ、師匠の餞別です」 自慢の一品です。 もちろん、売りませんよ? 「さすがマスタークラス、私が作るようなのとはレベルが違うねえ。これらは全部買い取りで良いの?」 「はい。あといくつか仕入れたい素材があるんですが......」 私がメモを読み上げていくと、レオノーラさんがその素材をカウンターに並べていく。 そう特別な素材では無いし、街にあるお店だけあって、欠品している物は無いみたい。 最終的に販売額と購入額とを相殺して私が受け取ったお金は、おおよ万レアあまり。 予想外にアンガーベアーの素材が高く売れた。 「レオノーラさん、正直助かりました」 「ん? 何が? むしろ私の方が助かったんだけど」 私が売った素材をカウンター奥の棚に収めていたレオノーラさんが振り返り、私の顔を見て不思議そうに首を捻った。 「この街の錬金術師のお店、大差ないと聞いていたので、先にもう一つのお店に寄ったんですけど......」 「あぁ、アイツの店ね。どうだった?」 「心臓、一万二千とか言ってきました」 面白そうな表情を浮かべるレオノーラさんに私が苦笑しながらそう言うと、彼女は思いっきり爆笑した。 「あはははは、どうしようも無いヤツね!」 「笑い事じゃないですよ。こっちのお店も同じだったら、別の街まで走るハメになるところでした」 「ははは、止めはしないけど、結構遠いよ? アンガーベアーの素材があるなら、まとめて師匠のところに送った方がまだ良かったかもね」 「ええ、ここがダメなら、それも考えました」 師匠には珍しい素材を送れ、と言われてるからね。 アンガーベアーでこの品質なら、まぁ、及第点は貰えそう。 「あんまり同業者を悪く言いたくは無いけど、噂を聞く限り、ちょっと 「ちょっとですか? 相場でも半額以下ですよ?」 「アイツは人を見るのよ。サラサなら騙せると思ったんじゃない?」 「『見る』だけで、『見る目』は無いみたいですけどね」 私が憮然とした表情で肩をすくめると、レオノーラさんはまた楽しげに笑う 「正にその通りだね! あっはっは。おかげで私が良い素材を手に入れられたんだから、私としては見る目のなさに乾杯、だね」 「ま、取引することも無いですから、もうどうでも良いですけど。今後、私の代理で誰かが素材の売買に来てもお願いできますか?」 「あぁ、遠いものね。錬金術師本人が毎回来るのは無理か。もちろん、適正価格で取引させてもらうわ。共存共栄でいきましょ」 ニッコリと差し出された手を握り返し、私は胸をなで下ろす。 良かった。頻繁にお店を休むわけにはいかないから、ダルナさんに代理を頼めればかなり楽になる。 金銭的には私が来る方が良いと思うけど、お客さんに迷惑が掛かるからね。 「ところで、あの村との間に乗合馬車は無かったと思うけど、馬でも持ってるの?」 「あ、いえ。徒歩ですよ。半日はかかりますけど、馬より早いですし。――まぁ、馬を持つ余裕も無いですけど」 馬は高い上に、飼育に費用と手間が掛かる。 それでいて、普通に売っている馬なんて、私が走るよりも遅いのだから......。 師匠からもらったリュックが無ければ買ったかもしれないが、私には当分必要ない。 「あぁ、そっか......ん? いやいや、半日の距離じゃないでしょ!?」 「もちろん身体強化を使ってですよ。私はあまり得意じゃ無いから、二時間毎に休憩を入れると、そんな感じですね」 を使っても、今はそれが限界。せめて今の倍ぐらい維持できるようになれば、日帰りも視野に入ってくるんだけど、現状では途中で日が落ちちゃうから。 比較的安全な地域とは言っても、さすがに一人で夜の街道を走るのは避けたい。 「いやいや、それも異常だから。そもそも身体強化なんて、何時間も続けるものじゃないでしょ」 「え? 師匠なんか、平気で丸一日、使い続けてましたよ? 錬成しながら」 「マスタークラスと一緒にするな! 普通は数十秒、長くても数分程度しか使わないの。別の作業しながら、身体強化の魔力操作を続けるとか、どんな集中力よ......」 レオノーラさんに呆れたような視線を向けられ、私は首を捻る。 う~む、どうやら苦手と思っていた身体強化、一般的には得意な部類に入るみたい? 「慣れたら結構無意識でできるようになりますが......もちろん、疲れるから休憩が必要ですけど」 「あなたもオフィーリア様が弟子にするだけのことはある、ってわけね」 「でも、私の場合、元の身体能力が微妙ですから......もうちょっと体格が良ければマシだったんでしょうが。最近、多少は鍛えてるんですけどねぇ」 ふんっ、と腕を曲げるが、力こぶなんて出やしない。 プニプニである。さっぱり成果は出ていない。 朝晩の体操だけだと、やっぱり足りない? 「えぇ~~っ、せっかく可愛いのに!! あんまりムキムキになったら勿体ないわよ!」 「いや、さすがにムキムキにはならないと思いますけど、少しでもベースを底上げできれば楽になりそうですから」 「まぁ......確かにサラサは、如何にも勉強しかしてませんでした、って感じよね」 はい、その通りです。 実習以外、殆ど野外活動なんてしていませんね。 図書館に籠もって勉強ばかりでした。 それに対し、レオノーラさんは少し大柄で、かなりガッシリした体格にみえる。 「レオノーラさんは結構鍛えてます?」 「まあね。駆け出しの頃は自分で素材を探しに行ったこともあったわ。あ、サラサは止めた方が良いわよ? 大樹海、初心者が入る場所じゃないから」 「解ってますよー。学校の実習で使う森でも大変だったんですから」 しかし、自分で採集に行くとか、レオノーラさん、なかなかに活動的。 私が自分で採集に行くかはともかく、やっぱり多少は鍛えておいた方が良いよね。 可愛いと言ってくれるのは嬉しいけど、あの錬金術師みたいに変に舐められるのは嫌だし。 武器とか、使えるようになるのが良いかも。ふんふんっ! 「――あ、話は変わるんですけど、この街で安心して泊まれる良い宿屋、知りませんか?」 「そっか、今日は泊まりになるわよね。んー、良かったらウチに泊まる? 部屋、あるわよ?」 少し考えて、上を指さすレオノーラさん。 ウチのお店みたいに店舗兼住宅で客間もあるって事かな? 「えっと......良いんですか?」 「男なら泊めないけど、サラサは女の子だからね。今後、取引相手にもなるわけだし、構わないわよ。タダで泊めてあげる」 「助かりますけど......」 「気になるなら、私が村に行ったときにでも泊めてちょうだい」 「来る予定あるんですか、あの村に」 「今のところ、無いわね」 そして、きっと今後も無い。 私が買い取りをしている以上、素材の買い付けに来る必要性も無いわけだから。 でもせっかくだから、お言葉に甘えよう。 よく解らない宿屋に泊まるより、きっと安全。 「ありがとうございます。お世話になります」 「いいのいいの。後進のサポートぐらい何でもないわ。それに、オフィーリア様の話とか、聞いてみたいしね」 結局その日はレオノーラさんのお店に泊めてもらい、この街のことを聞いたり、師匠の話をしたりして過ごした。 ついでに、私がお昼を食べたお店についても訊いてみたんだけど、雰囲気だけではなく、味も上位レベルと評判のお店だったみたい。 私が「師匠のお店の従業員が作るお菓子の方が美味しい」と言うと、レオノーラさんは「さすがマスタークラス、従業員もレベルが違う!」と妙な感心の仕方をしていた。 多分、マリアさんが特殊なんだと思うけど。 他の従業員の人たちは普通だったし......。 普通、だよね? ◇ ◇ ◇ 翌日、朝早くにレオノーラさんのところを辞した私は、朝市でチーズや香辛料、それに加えて目に付いた美味しそうな物を買い込み、軽い足取りで村へ向かって走り出した。 正直、予想以上の高値で売れたので、足取りも軽けりゃ心も軽い、そして財布は重い。 言うこと無しだよ! そんな私の軽い気持ちを反映してか、村に着いたのは昼前。 朝市で時間を使ったことを考えれば、確実に行きよりも早い。 まぁ、道の傾斜の関係もあるから、単純比較はできないけどね。 せっかく早く帰り着いたので、閉店の看板を取りのけ、店を開ける。 お客が来るかは解らないけど、休憩がてら店番をするのも良いだろう。 「そうそう、チラシを作ろうかな」 あの態度の悪かった錬金術師、ぼったくられる危険性ありと注意喚起をしておこう。 決して復讐や私怨では無いよ? お客様のため思ってのお役立ち情報なんだよ? 「でも、チラシを貼るなら、掲示板でも欲しいよね」 壁に直接貼っても良いけど、何か雰囲気がイマイチ。 あのカフェほどじゃなくても、私理想のお店に近づけたい。 良い雰囲気のお店と言うだけで、明確な物があるわけじゃ無いけど。 「例の如く、ゲベルクさんに頼むかな」 看板の出来を見ても解るように、ゲベルクさんの能力は非常に高い。 職人的技術の高さだけじゃ無く、デザイン面でも優れているのだから、文句の付けようが無い。 『お店の雰囲気に合わせて』と言っておけば、きっと良い感じに仕上げてくれるに違いない! ――だよね? 「あと、ついでに小さいテーブル、ベッドも......二個頼んでおこうかな」 二個あれば、レオノーラさん以外にお供の人とかいても、泊まってもらえるしね。 村に来る可能性は低そうだけど、その時に「ベッドがありません」じゃ、さすがに申し訳ない。 私はしっかりとベッドと布団を借りたのだから。 「布団も作っておこう。綿はあるし、悲しいかな、環境調節布も売れてないからあれを使えば良いよね」 ダルナさんからお礼にもらった綿が丸々残っているので、あと二組ぐらいは布団を作れる。 私が空色で揃えた布団を使っているから、薄桃色、若草色で揃えた布団を作ろう。 ついでに、部屋のカーテンの色も揃えようかな? 私の部屋、布団が空色でカーテンは桃色にしたけど、せっかくだから一緒の色にして、部屋ごとに色を変えるのが良いかもしれない。 コーディネートだよ、コーディネート。 デザインなんて除外して、とにかく安い物を購入していた頃の私とは違うのだよっ! 「むふふふ、なんだか楽しくなってきたよ!」 「あの~~、サラサさん?」 私がそんな空想にふけっていると、やや控えめな声と共に肩が叩かれた。 そちらを見ると、少し困ったような顔をしたロレアちゃんが。 「はっ!? ロ、ロレアちゃん、いつの間に!」 「いえ、声を掛けて入ってきましたけど」 気付かなかった。 防犯のためにも、ドアを開けたら音が鳴る仕組みでも――声を掛けて気付いていないなら意味ないか。 気まずげな表情を浮かべる私に、ロレアちゃんは気にした様子も無くニッコリと微笑んだ。 「お帰りなさい。早かったんですね?」 「うん、仕事がスムーズに終わったからね。あ、お土産あるよ、食べる?」 仕事で出かけたのに高価なお土産もどうかと思ったので、この村では見かけないフルーツを朝市で購入しておいたのだ。 少し硬い緑の皮に覆われンチほどの球形で、見た目はあまり美味しく無さそうなんだけど、試しに食べたらとっても甘かったんだよね。 もちろん、硬い皮を剥いてだけど。 「わぁ、ありがとうございます」 そのままだと剥きにくいので、ナイフで切れ目を入れて渡してあげる。 私も自分のを剥いて、一口。 う~ん、甘い。 これで一五個一〇〇レア(値引き交渉済み)。 毎日食べるにはちょっと贅沢かもしれないけど、たまに買ってくるぐらいなら良いよね? ロレアちゃんも果肉を口に入れては頬を緩めている。 「美味しぃ~。久しぶりに食べました。たまーに、お父さんがお土産で買って帰ってくれるんですけど、本当にたまにですから」 ニコニコと嬉しそうに食べてくれると、私も買って帰った甲斐があるよ。 「ところでサラサさん、さっきはどうしたんですか? なんだか嬉しそうでしたけど」 「あ、あぁ、あれ? 大したことじゃないよ? 単に布団とカーテンをもう二組ほど作ろうかな、と思っていただけで」 「何でです? 売り物ですか?」 「ううん、誰か泊まりに来ても良いように、寝室を使えるようにしておこうかな、と言うだけ。あの布も売れないしね」 私は少し苦笑して、棚の上に鎮座したままの環境調節布を指さす。 「あの快適さを知ると欲しい人はいそうですけど、なかなか思い切れない値段ですからねぇ」 この村の収入だと、ごく普通の綿入りの布団でも、家族分揃えている家庭の方が少ないらしい。 環境調節布ならシーツ一枚分でも、綿入り布団以上の効果があるんだけど、普通の布団一セット分より高いとなれば、やっぱ売れないかぁ。 「誰か泊まりに来る予定でもあるんですか?」 「いや、無いけど......。無いけど、来るからと言われてすぐに用意できる物じゃないでしょ、ベッドと布団って」 「それはそうですね、この村だと注文してから作りますから。......私、お手伝い、しましょうか? 一人で作るの、大変でしょう?」 「良いの? 家の手伝いとかは?」 「大丈夫です! 今は親がいますし、ウチの場合、畑とか無いので」 正確にはあるにはあるけど、家庭菜園レベルだから、わざわざロレアちゃんが手伝うほどではないんだって。 農家の子供だと「時間があれば手伝え」というのが普通で、商売をしている家でもそれは同じ。 でも、雑貨屋の仕事は基本的には店番だけ。両親がいればすることも無い。 その代わり、両親が買い出しに行っている間は、ずっと店番しないといけないんだけどね。 「手伝ってくれるのは助かるかな。代わりというほどじゃないけど、私が払うから、ディラルさんのところにお昼、食べに行きましょ。好きなの注文して良いから。食べ放題で」 「良いんですか!? ありがとうございます!」 私からすればディラルさんの食堂はかなり安いお店なのだが、村の子供が好きに注文できるほどには安くない。 だからか、育ち盛りのロレアちゃんにとっては、『食べ放題』は十分魅力的な報酬になったみたい。 「サラサさん、早く行きましょう!」 嬉しそうに私の手を引くロレアちゃんに引っ張られ、私はお店の前の札を『お昼休み』に切り替えた。

Wholesale Materials () Another house headed for with a little anxiety. This one is a little bigger, and is it cleaning in front of the store, and the garbage hasn't fallen off. My master won't complain about this either. "Could this store have expectations? I also regain a little mood and enter the store with a lighter foothold. "Welcome" It was a woman around forty who welcomed me. He greets me with a soft grin, so I unwittingly bow my head and say hello back too. "Hello, let me see some" "Yes, take your time" The trend of the product remains the same...... slightly more varieties of the smelting drug Potion? In a slightly unusual way, I also keep lean pills and sunscreen pills. Regardless of the former, I wonder if the latter can be sold in the village. If you care about sunburn, you can't farm it or anything. No, maybe I really want to use it, but it's hard on farmers' incomes to apply sunscreen every time they leave the field every day. It's a product for the rich, isn't it? The smelter Artifact also has a slightly feminine assortment of hats and shawls. Depending on the use, it could be sold in my shop around here. The question is what to do with the design and the original item. There are no professional craftsmen in the village. Because I can make it once, that's all. Hey, in my case. There's not much confidence around here. - All right, is this good enough to investigate the product? Well, what happens over here? "Um, I'd like you to buy this out." "Well, what?... This is Angerbear's heart. Fresh and not badly handled. How about $0,000? "... Fine, expensive, isn't it? Twenty percent higher than I expected. I also have trouble with unfair cheap prices, but I also doubt they're too far off the market...... "Because I rarely get it these days. You, Alchemist? "Yes, the village of Yock...... did you know? Village by the tree sea at the foot of the Gerba Roch mountain, where I recently opened a shop." "Wow! There!? That would help. I haven't had a good material flow since my grandfather closed the store." "Maybe that's expensive too? "That's right. It's pretty thin. Besides, you handled this right away, didn't you? This level of stuff doesn't get it that way." The price is higher because it is thin. And then I think he appreciated the quality. Sure, I haven't had a chance to get my heart out of this quality. I got lucky this time, but I don't usually get shot anywhere near the village. "You're a good young man, aren't you? Where were you training? "... If you mean master, you mean Ophelia Millis." To the real name of the master, whom he had not spoken in a long time, the shopkeeper stood up with his eyes round. "What!? Who's Ophelia Millis, that Ophelia lady? "Maybe? It's that guy in the master class." "Really? That guy's apprentice in such a neighborhood? Surprised, but it's not a lie, so hey. It's a little different from normal independence, but it's true that I'm getting a farewell as a disciple, and I was taught. 'I set up a store as soon as I graduated' or something like that, because I'm a little off the hook, so you don't have a problem saying this much, do you? "Yeah, well. 'I'll do the shop, send me some rare materials'. And then they say," It's just right for training "..." "Um, that's the master of the master class. That's pretty tough." A roaring and bitter shopkeeper. Surely when you ask so much, you feel like you've been thrown out by a village on the edge. "Oh, no, because there's also the part I wanted" "You're young but you're very uplifting! I like it! "Ha..." I didn't think you'd have a shop in this country. Because all I wanted was to normally get a job at some store. "I'm Leonora. I'm the manager of this store. And you?" "Oh, yes, I say Sarasa. I opened a shop in that village, so I'm sure I'll take care of you in the future, so thank you." "Nice to meet you. Honestly, that would be quite helpful. The material flowing from that village, because Grandpa's shop was gone and there was nothing I could do about it. If we had an alchemist as good as Sarasa, we'd have more collectors again, wouldn't we? "Haha, I hope so" Many alchemy materials need to be processed immediately after they are collected, so without an alchemist in the near field, many of them lose much quality. Bringing it from the village to here, a few days. After all that time, its buying price will be very low, except for some materials. Then the gatherers couldn't make a profit either, and inevitably left the village. "It might be a little rough at first, but we'll figure it out. - I miss you. Wow. When I opened my shop independently, too, I became very attentive to saving less and less every day. If Sarasa has any problems, I'll talk to you. I'll help you as much as I can." "Thank you" "If this heart can be bought, it may not be a problem. To say you have a heart, there are other parts of it, right? "Yes, one eyeball though" Aside from eyeballs, liver, and other Anger Bear materials, other materials bought up are put together and arranged on the counter. Mr. Leonora took one by one of the materials I would arrange, and nodded. "Yeah, all of them, that's a good process. - That rucksack looks pretty good, too." "Yes, my master's farewell." It's one of our pride dishes. Of course, we won't sell it, will we? "That's a master class, not on the same level as I make it. Are these all good for buying? "Yes, I have some more materials I would like to purchase..." As I read through the notes, Mr. Leonora arranges the material on the counter. That's right, it's not a special material, it's just a shop in the city, and nothing seems to be missing. The money I eventually received by offsetting the sales and purchases was roughly 380,000 rare not much. Unexpectedly, Anger Bear material sold high. "Thank you, Mr. Leonora, for your honesty." "Hmm? What? I'd rather have saved my life." Mr. Leonora, who had put the material I sold on the shelf at the back of the counter, looked back and twisted his neck strangely when he saw my face. "I heard that the alchemist's shop in this city is no different, so I stopped by another store first..." "Oh, it's his shop. How'd it go? "Heart, I've said twelve thousand," When I said that with a bitter smile to Mr. Leonora with a funny look on her face, she burst out laughing as much as she could. "Hahaha, there's nothing he can do about it! "It's not funny. If this shop were the same, I'd be framed for running to another city." "Ha, I won't stop you, but it's pretty far away, huh? If you have Anger Bear material, maybe you should have sent it all to your master." "Yeah, if this isn't a good place, I thought about it, too" My master tells me to send him rare materials. If it's Anger Bear and it's of this quality, well, I think I'll get the first point. "I don't really want to sound bad about my peers, but as far as the rumors go, it sounds like there's a little bit of" ako "going on." "A little bit? It's less than half the price, right? "He sees people. I thought Sarasa could fool you. "Seems like you don't have 'eyes to see' just 'see' though." Mr. Leonora laughs with pleasure again as I shrug my shoulders with a flashing look "You're absolutely right! Ha ha. Thanks to you, I got good material, so here's to the lack of vision I see." "I don't even have to deal with it anymore. Can someone come and buy or sell materials on my behalf in the future? "Oh, that's a long way off. Is it impossible for the alchemist himself to come every time? Of course, I'll let you trade at the right price. Let's coexist and prosper." I hold back the hand I was offered with a nickel, and I bow down my chest. Good. I can't leave the store often, so it would be a lot easier if I could ask Mr. Darna to represent me. I think it would be better if I came financially, but the customers would be annoyed. "By the way, I don't think there was a ride carriage between you and that village, but do you even have a horse? "Oh, no. It's on foot. It takes half a day, but it's faster than a horse. - Well, I can't even afford to have a horse." Horses are expensive, and raising costs and hassles. So what horses you normally sell are slower than I run...... I would have bought the backpack my master gave me, but I don't need it for the time being. "Oh well... hmm? No, no, it's not half a day away!?" "Of course I use physical enhancement. I'm not very good at it, so if you put in a break every two hours, it's like that." Even using the smelting drug Potion, that's the limit now. If I could at least maintain it twice as much as I do now, I'd be in perspective for day trips, because as things stand, the sun will drop along the way. Even though it's a relatively safe area, I just want to avoid running the streets at night by myself. "No, no, because that's an anomaly, too. It doesn't last hours to strengthen your body in the first place." "Huh? Master, you've been using it all day, haven't you? While smelting." "Don't be with the master class! I usually only use it for a few dozen seconds or so, even if it's a long time. What kind of concentration do you have while you're working on something else, continuing the magic manipulation of strengthening your body..." I twist my neck when Mr. Leonora turns to me with a frightened gaze. Uh-huh, physical enhancement that I apparently didn't think I was good at, generally falling into the category I'm good at? "Once you get used to it, you'll be able to do it quite unconsciously...... of course, you need a break because you're tired" "There are things that you, Master Ophelia, can only disciple." "But in my case, my original physical abilities are subtle...... I guess it would have been better if I had been a little better. I've been working out a little lately." Phew, bend your arms, but you won't get out of the force. It is punipuni. No results have been forthcoming. If it's just morning and evening gymnastics, it's still not enough? "Yee-haw, you're so cute!! If you get too mucky, you won't get hurt! "No, I just don't think it's going to be mucky, because it's going to be easier if we can bottom up the base a little bit" "Well... it does feel like Sarasa only studied a lot." Yes, you're right. You barely do any outdoor activities except internships. I was just caged in the library and studying. Mr. Leonora, on the other hand, is a little big and looks quite gassy in stature. "Is Mr. Leonora working out pretty well? "Sort of. I used to go looking for materials myself when I ran out. Oh, you should stop Sarasa, huh? It's not a place for beginners." "I know. It was very difficult to use the woods for my internship at school." But I'm going to go collect it myself, Mr. Leonora, quite active. Regardless of whether I go and collect my own, I figured I'd better work out some. I'm glad you said you were cute, but I don't like being licked weird like that alchemist. Weapons or something, it might be a good idea to be able to use them. Humph! "- Oh, that's a different story, but a good place to stay in this city in peace, don't you know? "Oh well, you're staying today, aren't you? Um, would you like to stay with us? There's a room, right? Think a little, Mr. Leonora pointing up. Does that mean you have a room in a store and a house like ours? "Uh... is that good? "A man can't stay, but Sarasa is a girl. You're going to be a business partner in the future, and I don't mind. I'll let you stay for free" "It helps..." "If you care, you can stay even when I go to the village" "Are you planning on coming, to that village?" "So far, no." And I'm sure there won't be any more. Because I don't have to come here to buy more material than I do. But because of that, let's sweeten it to your word. I'm sure it's safer than staying in a hotel I'm not sure of. "Thank you. I'll take care of you." "It's okay. Nothing like backward support. Besides, I'd like to hear about Master Ophelia." I ended up having Mr. Leonora stay at his shop that day, listening to this city and talking about his master. Finally, I also asked about the restaurant where I had lunch, and it was not just the atmosphere, but the taste of the restaurant seemed to be of the highest level and reputation. When I say, "The treats made by the employees of the master's shop taste better," Leonora says, "That's the master class, the employees are on different levels too!" and he was in a strange way impressed. Maybe Maria's special. The other employees were normal... Normal, right? ◇ ◇ ◇ The next day, I quit early in the morning at Mr. Leonora's, where I bought cheese, spices and, in addition to that, delicious things that seemed to come to my attention, and ran out towards the village in a light foothold. Honestly, it sold at a higher price than I expected, so the footprints and lighthearts are light, and the wallet is heavy. I don't have anything to say! Reflecting my light feelings like that, I arrived in the village before noon. Considering I used my time in the morning market, it's definitely faster than going. Well, it's got to do with the slope of the road, so I can't make a simple comparison. Because I arrived home early, I took the closing sign and opened the store. I don't know if customers will come, but it would be nice to have a break and have a store number. "Yeah, well, let's make a flyer" Alchemist with that bad attitude, let me draw your attention to the danger of getting bogged down. It's never revenge or personal, is it? It's helpful information for you, isn't it? "But if you're going to put a flyer on it, you want it on a message board." You can stick it directly to the wall, but there's something wrong with the atmosphere. I want to get closer to my ideal store, even if it's not as good as that cafe. Just saying it's a good atmosphere store doesn't mean there's something clear. "As an example, I'll ask Mr. Geberg." As you can see from the sign, Mr. Geberg is very capable. It's not just the high level of craftsmanship, it's excellent in terms of design, so I can't complain about it. If you say 'according to the atmosphere of the store', it must make you feel good! - Right? "And finally, a small table, and a bed... let's ask for two" With two, you can stay with anyone besides Mr. Leonora. It seems unlikely to come to the village, but at that time "I don't have a bed," then I'm just sorry. I rented a bed and a futon. "Let's make a futon too. I have cotton, and I think it's sad, because it doesn't sell environmental conditioning cloth, so you can use that one." I have a whole bunch of cotton left to thank Mr. Darna, so I can make a futon for about two more pairs. Let's make a futon with a light peach color and a young grass color because I use a futon with an empty color alignment. Finally, shall we get the color of the curtains in the room as well? My room, the futon is empty and the curtains are peachy, but because of this, it might be a good idea to color them together and change colors from room to room. It's coordination, coordination. Exclude designs, they're not like me when I was buying cheap stuff anyway! "Hmm, it's getting kind of fun! "Um ~, Mr. Sarasa? My shoulder slapped along with a slightly modest voice as I fumbled into such a fantasy. Looking at you, Lorea looks a little troubled. "Ha!? lo, Lorea, when! "No, I came in with a voice." I didn't realize. For the sake of security, or the way it sounds when you open the door - doesn't it make sense if you haven't noticed it by speaking up? Lorea smiled nicely at me with an awkward look on her face. "Welcome home. That was fast, wasn't it? "Yeah, because the job went smoothly. Oh, I have souvenirs, you want some? I went out to work and wondered if it was an expensive souvenir, so I bought some fruit in the morning market that I didn't see in this village. It's about five centimetres spherical covered in a little hard green skin, and it doesn't look very tasty, but it was very sweet when I tried it. Of course, I peeled the hard skin. "Wow, thank you" It's hard to peel if it stays that way, so I'll give it to you with a knife with a cut in it. I peel mine too, take a bite. Uh-huh, sweet. Now fifteen hundred rare (discount negotiated). It might be a little extravagant to eat every day, but it'd be good enough to buy it now and then, wouldn't it? Lorea also has loose cheeks when she puts the pulp in her mouth. "Delicious. No. I haven't eaten in a while. Sometimes, your father buys you a souvenir and you go home, but really occasionally." Nico and I would be happy to eat it, and it would be worth it if I bought it back. "By the way, Mr. Sarasa, what happened earlier? He seemed kind of happy though." "Oh, oh, that? It's no big deal, is it? I was just wondering if I could make another pair of futons and curtains." "What is it? Is it for sale? "Yeah, let's just say we can use the bedroom so someone can come stay. I can't even sell that cloth." I smile a little bitterly, pointing to the environmental regulating cloth that remains seated on the shelf. "He wants someone to know about that comfort, but it's a pretty unexpected price, so hey." With this village's income, even very ordinary cotton futons seem to have fewer families with all their families. If it's an environmental conditioning cloth, even if it's for one sheet, it works better than a cotton futon, but if it's more expensive than a set of regular futons, I guess I can't sell it. "Is anyone planning to come and stay? "No, I don't... No, but you can't have a bed and a futon as soon as they tell you to come." "That's right, because I'll order it's this village and then I'll make it.... Me, help, shall I? It must be tough to make it all by yourself. "Is it good? What about help with the house? "It's okay! I have parents now, and in our case, there are no fields or anything." There is, to be exact, but it's at home garden level, so Lorea didn't bother enough to help. It's normal to say "help me if you have time" when you're a farmer's kid, and that's the same in a house where you do business. But the only job at the grocery store is basically the store number. I don't have anything to do without my parents. Instead, I'm gonna have to store it all the time while my parents go shopping out. "I wonder if it would help. Not so much as a substitute, but I'll pay for it, so let's go to Mr. Dilal's for lunch and eat. I like it. You can order it. All you can eat." "Is that good!? Thanks! From me, Mr. Dilal's dining room is a pretty cheap store, but it's not cheap enough for the kids in the village to order as much as they like. So, for the grown-up Lorea, 'all you can eat' seems to have been an attractive enough reward. "Mr. Sarasa, let's go! Happily pulled by Lorea pulling my hand, I switched the bill in front of the store to 'Lunch Break'.

「ところで、この畑を管理するのは、マイケルさんとイズーさんという事で、いいんですよね?」 「はい。兄は、“畑”になるまでの間、手伝いに来てくれているだけなので......。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご指導のほど、よろしくお願いします」 「私も頑張ります。農作業はこれが初めてだけど!」 頭を下げるマイケルさんと、手をぎゅっと握って気合いを入れるイズーさん。 言動やその外見から想像は付いていたけど――。 「イズーさんは、農村出身じゃないんですね?」 「うん、私はサウス・ストラグ産まれのサウス・ストラグ育ち。農村で生活するのは、これが初めてなの」 「マイケルさんは、多少は農業をした事があるんです、よね......?」 ガットさんの弟なんだから、少なくともこの村にいた間は家の手伝いをしていたはずで。 でも、日にも焼けていないし、体格的にも農家には全く見えない。 町で何の仕事をしていたのか知らないけど、筋力にも乏しそうだし、少々不安を感じなくもない。 栽培方法自体は指導できても、私も農業の専門家というわけじゃないし、小規模に育てる錬金術師の薬草栽培と農業的な大量栽培。違うところも多くあると思う。 そんな私の心情を察したのか、ガットさんが少し困ったように口を開いた。 「あ~、成人してすぐに村を出ちまったからなぁ......。だが、そのへんは俺も手助けするし、こいつもちょっと要領は 「あ、はい、それは別に構いませんが......」 私自身は錬金術師がメインの仕事。最低限必要な薬草は採集者から買い取ればいいだけだし、裏庭にある自前の畑もしばらくは維持する予定である。 最初に薬草の種や苗を手に入れるのに投資は必要だけど、仮に失敗して収穫が無かったところで、生活に困ったりはしない。 でも、マイケルさんたちの方は......。 「薬草栽培が上手くいかなくても、生活は大丈夫なんですか? 日々の生活費とか、住む場所とか......」 「今は兄さんのところで部屋を借りて住んでいます。生活費の方は、しばらくはエリンさんから給料が出ますので......」 「居候って事だな。ゆくゆくはあの辺に新居を建てられたら良いんだが......。子供ができりゃ、居候ってわけにもいかねぇしな」 そう言ってガットさんが指さすのは、私の家から見て畑の反対側。 これまでは私の家が村の端だったから、もしマイケルさんが家を建てれば、少し村の範囲が広がるって事になるのかな? エリンさんも、『上手くいけば、薬草畑を増やしたい』みたいな事は言っていたし、村人が増える要因になるのかも? 「これは、責任重大ですね」 「いや、気にしなくていいぜ? サラサちゃんは、ちゃんと栽培できてんだろ? 失敗したとすりゃ、その責任はマイケルにある。おめぇ、安定して稼げるまで、子供をつくんじゃねぇぞ?」 「に、兄さん!」 にやりと笑って肩をパシンと叩くガットさんに、マイケルさんが焦ったように言い返し、イズーさんも少し頬を染める。 でも、そっか。 結婚したんだもんね。子供もできるよね。 「ははは......、でも、完全に任せてしまうのも申し訳ないですから、少しお手伝いしますね?」 できるだけ早く結果が出るに越した事はないと思うし、新婚さんを色々我慢させるのはきっと可哀想。よく判んないけど。 私、恋人がいたこと、無いし! 「土起こしさえしてしまえば、楽になりますよね?」 開墾作業で一番大変なのは、固い地面を掘り起こす事。 幸い、ここに生えていたのは灌木程度で、喬木は無かったはず。 根っこに苦労させられる事は少なかったと思うけど、それでも地面を掘り起こして柔らかくするのは大変。 ここだけでも魔法で対処しておけば、ずっと早く畑ができるんじゃないかな? 「そりゃ、ありがてぇが......」 だよね? 良かった。 やや困惑気味に私を見るガットさんに頷き、私は魔法を行使しようと、手を上げる。 「じゃあ、早速――」 「サラサさん? もし魔法で藪や草が一掃できても、土を吹き飛ばしてしまうと、畑としては使いづらくなりますよ?」 「......ロレアちゃん、私の事、何だと思ってるの?」 まさか、『面倒だから全部吹き飛ばしちゃえ!』みたいな、雑な人間だと思われているのだろーか? 少々心外な言葉に、私がジト目を向けると、ロレアちゃんからも似たような視線が返ってきた。 「あそこを思い出してから、もう一度言ってください」 そう言ってロレアちゃんが指さした先にあるのは、裏庭から続く森。 しばらく前までは森だったそこは、今では草の生えていない地面が露出し、アイリスさんたちの戦闘訓練に最適な場所になっている。 そうなった原因を思い起こし、私はつぃと視線を逸らす。 「あ、あれは、攻撃魔法の練習だったからっ」 「......今回使うのは違うんですか?」 「それの一種ではあるけど――ま、まぁ、見てて!」 ロレアちゃんの言葉で少し不安そうな表情を浮かべ始めに、私は背を向け、ゆっくりと地面に手をついた。 ◇ ◇ ◇ 「それで、ちゃんとできたのか? 店長殿」 エリンさんの所から戻ってきたアイリスさんにそう訊ねられ、私は当然と頷く。 「もちろんですよ。私、失敗しないので!」 最近はね! 師匠に弟子入りした頃は、それなりに――いや、正直に言うと、毎日のように失敗して、迷惑をかけていたけど。 でも、今回は本当。 ロレアちゃんも同意するように頷いているしね。 「ガットさんも褒めていましたね。『開墾を仕事にしても食っていける』って」 「ほう、それほどか」 「農地の拡大は、多くの領地で懸案事項だものね」 私の顔を見て、アイリスさんとケイトさんが感心したような声を上げた。 私は商人の娘だったので話に聞いただけだけど、人力でやる開墾作業というのは本当に重労働、らしい。 当然、領民を駆り出してそんな事をすれば、領主の人気は無くなる。 でも、自分の畑の農作業に加えて、それ以上にキツい開墾作業をさせられるとなれば、凄く大変そうと言うのは、想像力が乏しくても簡単に理解できる。 農地の多さは力の強さでもあるので、領主は開墾をして、より多くの農地を確保したいが、あまり無理をさせれば領民が不満を持ち、作業効率も上がらない。 一応、領地が豊かになれば領民にも恩恵はあるんだろうけど、それを実感できるまではしばらくの期間が必要なわけで。 今目の前にある重労働という現実を受け入れて、未来に目を向けさせるのはなかなか難しそう。 そのあたりのバランスを如何に取るかが、領主の腕の見せ所、なのかもしれない。 「でも、サラサさん。あの魔法は何だったんですか? 私は知りませんでしたけど、開墾に使うような魔法も存在するんですか?」 「あの魔法? あれも一応は攻撃魔法なんだよ。『 土を固めて、地面から敵を突き刺す攻撃魔法。 これをちょこっと改変して、土を固めないように、そして地面からほとんど飛び出さないようにして使ったのが今回の魔法。 速度や強度という、魔力消費が大きい効果を省略してあるので、実はとても効率が良い。 だからこそ、普通は敵の数体を相手に使う魔法を、畑一面にかける事ができたんだけどね。 「そうなんですか? でも、やっぱり凄いですよね、魔法って。農家の人が何日もかかってする作業が、一瞬で終わるんですから」 「そんなにか? ならば、その魔法を覚えて開墾専門の魔法使いにでもなれば、生活に困らないな。......難しい魔法、なのか?」 まさか覚えるつもりなのか、アイリスさんがそんな事を訊く。 特別難しいとは思わないけど、できるかどうかは......。 私は少し考えて、首を振った。 』自体は、そんなに難しくないんですが、それを改変するなら、精密な魔力操作が必要だから」 そして、そんな精密な魔力操作ができるなら、開墾魔法使いなんかしなくても、錬金術師への道が開けるわけで。 もちろん、魔力操作だけで錬金術師になれるわけじゃないけど、努力次第でなり得るだけの素地はあると言える。 「そんな魔法使いの存在を聞いた事が無いだけの理由はある、ってわけなのね」 「もちろん、錬金術師の道を進まなかった人がそっち方面に進む可能性はありますが......地味ですからね。普通なら、一般的な魔法使いを目指しますよね」 「やはり、魔法使いといえば高威力な攻撃魔法、というイメージだからな。若者には人気が無いだろうな」 訳知り顔で頷くアイリスさんもまた、そういった魔法使いに憧れた口なのかもしれない。 その隣で少し呆れたような視線を向けている、ケイトさんの表情を見るに。 でも解る。私も子供の頃はちょっと思ってたから! 「......サラサさん、私がその魔法だけを頑張って練習すれば、使えるようになったりしますか?」 「なに? 覚えたいの? それなら教える事はできるよ。できるようになるかはロレアちゃんの頑張り次第だけど......ドッカン、バッコン、じゃなくてもいいの? 一応、そっち方面も教える事はできるよ?」 「そんなの覚えても、私、使う機会が無いですから」 ロレアちゃんぐらいの年齢なら、と思って提案した私の言葉を、ロレアちゃんが苦笑と共に否定する。 「それより、村の人の役に立つ魔法の方が良いかと」 「大人っ!? 私なら絶対、攻撃魔法を選んでたよ! ロレアちゃんの年齢なら」 「えぇ? そうですか? でも、サラサさん、私と同じ年齢の時、何してました?」 「学校で勉強に明け暮れていたけど――でも、それは、私が孤児だったからね」 もし両親が健在なら、また違っていたと思う。 それに、町の間を行き来する事が多かった両親の後を継ぐのなら、むしろ攻撃魔法の方が役に立ったと思うので、必ずしもそれが間違いとも言えない、よね? ――私の趣味も、多分に入っているけどねっ。 「ま、良いよ。教えるのは。簡単ではないと思うけど、この村なら役に立つ事は間違いないしね」 ロレアちゃんぐらいなら、村の事より自分の事を考えて欲しい気もするけど、反対する理由も無いので、私はこくりと頷く。 ......それとも、将来的な事を考えているのかな? アイリスさんじゃないけど、覚えておけば、飢える事が無さそうな魔法である事は間違いないのだから。

"By the way, it's Mr. Michael and Mr. Izu who manage this field, right? "Yes, because my brother is only here to help me until I become a“ field "...... Thank you for your guidance, as we may inconvenience you." "I'll do my best, too. This is my first farming job, though! I bow my head, Michael, and Izu, who grips his hands tightly to get in the mood. I had an imagination from words and deeds and their appearance... "Isuzu isn't from the countryside, is he? "Yeah, I grew up in South Strag, born in South Strag. This is the first time I've ever lived in a rural area." "Michael has done some farming before, right...? He's Mr. Gatt's brother, so I should have helped him with the house, at least while he was in this village. But I haven't burned it in the day, and I don't look like a farmer at all, physically. I don't know what I was doing in town, but I think I'm lacking muscle strength, and I don't have to feel a little anxious. Even if the cultivation method itself can be instructed, I'm not an agricultural expert either, and the herbal cultivation and agricultural bulk cultivation of alchemists growing on a small scale. I think there are many differences. You perceived my mood like that, Mr. Gatt opened his mouth like he was having a little trouble. "Ah, because I left the village as soon as I grew up...... But I'm going to help you, and this guy's a bit of an evil guide, but he can do what he's told to do. Sarasa, I'm sorry, but can you look at me in the long run? "Oh, yes, I don't mind that..." Alchemist is my main job myself. The least you can do is buy the necessary herbs from the collectors, and once you do, you plan to maintain your own field in the backyard for a while. I need to invest in getting herb seeds and seedlings first, but I don't have a problem with my life where I failed and didn't have a harvest. But Michael and the others...... "Even if the herb cultivation doesn't work, is life okay? Everyday living expenses, places to live..." "Now I rent a room at my brother's and live there. If you have a living, Erin will be paying you for a while..." "You mean stay. I wish I could build a new home in that neighborhood... If I had a kid, I wouldn't be living here." That's what Mr. Gatt points to, from my house. On the other side of the field. Since my house was on the edge of the village until now, if Mr. Michael built the house, would it mean that the village would expand a little? Erin also said something like, 'If it works, I want to increase the number of herbal fields,' which could be a factor in the increase in the number of villagers? "This is a serious responsibility." "No, you don't have to worry about it, do you? Sarasa can grow it properly, can't she? If it fails, the blame lies with Michael. Hey, you're not gonna have kids until you make steady money, are you? "To, brother! Michael says back like he's in a hurry and izu dyes his cheeks a little too, to Gut, who laughs and slaps his shoulders with a pasin. But, you know what? You're married. Kids can do it, too, right? "Ha... but I'm also sorry that I'm totally at your disposal, so I'll help you out a little bit, right? I don't think we've ever gotten past the results as soon as possible, and it must be pathetic to put up with the newlyweds a lot. I don't know. I don't have a girlfriend! "It would be easier if you even soiled it up, wouldn't it? The hardest part of opening work is digging up hard ground. Fortunately, what was growing here was about the shrub, and there shouldn't have been any joe trees. I know I've had less trouble with the roots, but it's still hard to dig up the ground and soften it up. If we just magically deal with it here, we'll be able to field it much sooner, won't we? "Well, there is..." Right? Good. He nods at Mr. Gatt, who looks at me somewhat puzzled, and I try to exercise my magic, hands up. "Well, hurry up -" "Mr. Sarasa? If magic can sweep away the clouds and grass, if it blows up the soil, it's hard to use as a field, right? "... Lorea, what do you think it is about me? No way, 'cause it's troublesome. Blow it all up!' Like, they think you're a cluttered person? To a slightly out-of-heart word, when I turned to Zito's eyes, a similar gaze returned from Lorea. "Remember over there and say it again" That's what Lorea pointed out. Ahead is the forest that leads from the backyard. Until a while ago, it was a forest. There, now the grassless ground has been exposed, making it the perfect place for Mr. Iris and his men to train in combat. Reminds me of the cause that happened, and I get out of sight. "Oh, that was an attack magic exercise." "... is it different to use this time? "It's a kind of thing - stay, well, look! I turned my back and slowly laid my hands on the ground to the three of them who began to give me a slightly uneasy look at Lorea's words. ◇ ◇ ◇ "So, did you do it right? Store Manager" That's what Iris asked me back from Erin's place, and I nod naturally. "Of course it is. Me, because I won't fail! Lately! When I apprenticed to my master, it was quite - no, to be honest, I failed like every day, and it bothered me. But this time it's true. Lorea's nodding to agree, too. "Mr. Gatt complimented you, too. He said," You can eat even if you work in Kaizen. "" "Well, not so much." "The expansion of agricultural land is a matter of concern in many territories." He looked at my face and raised his voice as if Mr. Iris and Mr. Kate were impressed. I was the daughter of a merchant, so I just heard the story, but the manpower opening job seems to be really heavy labor. Naturally, if you drive out the people and do that, the popularity of the lords will disappear. But in addition to the farming of my field, it is easy to understand even if my imagination is scarce to say that it would seem very difficult if I were allowed to do more tight opening work than that. Since the abundance of agricultural land is also the strength of power, the lord wants to open up and secure more agricultural land, but if we force it too much, the inhabitants will be dissatisfied and the work efficiency will not increase. For once, if the territory is enriched, it will benefit the people as well, because it will take a while before they can feel it. It seems hard to accept the reality of heavy labor right now in front of us and make us look to the future. Perhaps the show of the Lord's arms is how to balance that area. "But, Mr. Sarasa. What was that magic? I didn't know, but does magic exist that you use to open it? "That magic? That's attack magic for once, too. Because it's the Earth Spear Earth Needle application." Attack magic that solidifies soil and pierces enemies from the ground. It is this magic that I used to modify this a little bit, to keep the soil from solidifying, and to keep little from jumping out of the ground. It is actually very efficient because it omits the effects of high magic consumption, such as speed and intensity. That's why I was able to put the magic of normally using a few of my enemies against me on one side of the field. "Really? But it's still amazing, isn't it, magic? The work that farmers do over the course of days ends in an instant." "That much? Then if you remember the magic and become a wizard who specializes in opening, you won't have any trouble with your life.... difficult magic, is it? Are you going to remember, Mr. Iris asks about that? I don't find it particularly difficult, but I don't know if I can... I thought a little and shook my head. "It's not that easy, maybe? If you don't think about power, the Earth Spear Earth Needle itself isn't that hard, because if you're going to alter it, you need precise magic manipulation." And if you can do such precise magic manipulation, you don't have to open up a wizard, so the way to an alchemist opens up. Of course, magic manipulation isn't the only way you can be an alchemist, but I can tell you that there's just enough ground to be depending on your efforts. "You've never heard of a wizard like that before. That's why." "Of course, it's possible that someone who didn't go down the alchemist's path will go that way... because it's plain. Normally, you want to be a general wizard." "After all, when it comes to wizards, it's a high-powered attack magic. It won't be popular with young people." Mr. Iris, who nods with a translation face, may also be a mouth longing for such a wizard. I'm turning a slightly dazed gaze next to it, to see Kate's expression. But I get it. Because I thought about it a little bit when I was a kid too! "... Sarasa, if I only practice that magic so hard, will I be able to use it? "What? You want to remember? Then I can teach you. It depends on Lorea's hard work to be able to... doccan, buckon, doesn't it have to be? For once, I can teach you that, right? "Even if I remember that, I haven't had a chance to use it." If you were about Lorea's age, Lorea would deny my words with a bitter smile. "I was wondering if the magic that helps the villagers would be better than that" "Adults!? I would have chosen offensive magic! If you're Lorea's age." "Huh? Is that right? But, Mr. Sarasa, what were you doing when you were my age? "It was dawn in school - but that's because I was an orphan." If my parents were alive, I think they would have been different again. Besides, if you're going to succeed your parents, who used to come and go between towns, I think attack magic would have been more useful, so that's not necessarily a mistake, right? - My hobby, maybe in there, too, but hey. "It's good. Teaching is. I don't think it's going to be easy, but I'm sure this village will help." If it's about Lorea, I'd like you to think more about yourself than about the village, but there's no reason to disagree, so I snort. ... or are you thinking about the future? It's not Mr. Iris, but remember, it's definitely magic that doesn't seem to starve.

「氷牙コウモリが襲いかかってきますけどね、って......遅かったですね」 に洞窟が騒がしくなり、自分たちの餌に手を出したギルさんに向かって、氷牙コウモリが何匹も飛びかかる。 「馬鹿野郎! 専門家の話を最後まで聞かずに手を出すんじゃねぇ!」 「す、すまん!」 すぐさまフォローに入り、氷牙コウモリを切り捨てたアンドレさんが、ギルさんを怒鳴りつけた。 怒鳴られたギルさんは謝りつつ、持っていた果物を放り捨てると、剣を引き抜いて攻撃に参加。 グレイさんとも協力しつつ、周囲の氷牙コウモリを切り捨てるが、氷牙コウモリが襲いかかるのは彼らだけには留まらない。 私は飛び回る氷牙コウモリを適当に魔法で打ち落としつつ、私に向かって飛んできた物は、引き抜いた剣で切り落としていく。 「な、何故だ? 寝ていたのにいきなり......。攻撃だってしてないのに!」 少し困惑したように剣を振り回すアイリスさんに、とても根本的な事を伝える。 「餌を荒らされたら起きますよ、氷牙コウモリだって」 「当然よね。死活問題だろうし」 納得したように頷く、そんなケイトさんは、ちゃっかりと私とアイリスさんの間を占め、近場の氷牙コウモリの対応は私たちに任せて、遠くの物を弓で狙っている。 「理解はできる! だが、くそっ、多すぎないか!?」 愚痴を口にしつつも、アイリスさんは剣を振り続け、周囲には足の踏み場もないほど、氷牙コウモリの死体が積み重なっていく。 だがそれでも、その攻撃が途切れる事は無い。 そして、最初に息が上がり始めたのはアイリスさんだった。 「ふぅ、ふぅ......か、数が多くないか?」 「アイリス、頑張りなさい! 店長さんなんか、魔法を使いつつ、剣も使ってるのよ? あなたが最初に音を上げてどうするのよ!」 「ケ、ケイトはまだ休めているじゃないか! そりゃ、店長殿に体力で負けるのは情けないと思うが......」 』を強化しましょうか? 氷牙コウモリの攻撃が通らなくなりますよ?」 「そ、そんな事、できるのか?」 「はい、もちろん」 「そう言えば前回は、氷牙コウモリを跳ね返していたわよね......」 そもそもこの魔法、矢を防ぐための魔法なのだ。 決して、落下してくる糞尿を防ぐための魔法では無い。 つまり、普通でも矢を逸らす事ができる威力があるわけで、少し強化すれば、氷牙コウモリの突撃を防ぐ程度はわけもない。私程度の魔力があれば。 それをしていなかったのは、氷牙コウモリを斃す事が目的だったから。 近づけないという事は、剣で攻撃もできないって事だからね。 「うぅ......も、もう少し頑張る!」 「そうですか? では頑張ってください。あと少しで片が付くと思いますから」 私の感知では、かなり広い範囲の氷牙コウモリが、こちらに向かって襲いかかっているのを認識していたが、それももうすぐ終わりそうな感じ。 そしてアイリスさんは、ケイトさんにフォローを受けつつも頑張りを継続し、体力のあるアンドレさんたちも息が切れ始めた頃、ついに氷牙コウモリの襲撃が途切れた。 「お、終わった......?」 「えぇ、一先ずは終了です」 剣を持った腕をだらりと垂らして周囲を見回すアイリスさんに、私は頷く。 「はぁ......今回は、私も腕がパンパンよ」 ケイトさんもまた、ホッと息を吐き、両腕をブラブラと振る。 矢が無くなるまで弓を引き続け、それ以降は短剣で戦っていたのだから、かなりの疲労が溜まっていたのだろう。 「くぁ~~! キツい!」 「多すぎだぜ!」 「お前の迂闊な行動のせいだ。反省しろ、ギル」 「ホントにな! みんな、マジですまん!」 パンと両手を合わせて頭を下げるギルさんに、私は笑いながら首を振る。 「大丈夫ですよ。本当に危険があったわけじゃないですから」 』の中に引きこもって体力を回復する方法も取れたから、実被害はただ疲れただけとも言える。 「と言うか、店長殿はやはり凄いな。あれだけ、魔法を使いながら、剣を振り続けても大丈夫なんだから」 「魔力で身体強化してますからね。素の体力・筋力ではアイリスさんには敵いませんよ。あと、シンジーニでよろしくです。先ほどは状況があれだったので、指摘しませんでしたが」 「......店長さん、続けるの? それ」 「だって、商人にバレたら、面白く――じゃなかった、面倒じゃないですか」 私のその言葉に、アンドレさんたちが顔を見合わせる。 「シンジーニ、実は楽しんでねぇか? 今回の事」 「え? ......まさか、まさか。強欲な商人なんて、潰れちゃえ、とか。ちょっとしか思っていませんよ?」 「ちょっとは思ってるのかよ!?」 私の素直な言葉に、ギルさんからツッコミが入る。 でも、当然じゃないかな? 商人は自分が幸せになるだけじゃダメ。他人も幸せにできないと。 「ちょっとだけ。『商売は誠実に』それがウチの家訓ですから」 「家訓って......シンジーニの家は商人だったのか?」 「はい。両親は事故で死んじゃいましたけどね」 「あー、すまん」 「いえ、アイリスさんに謝って頂く事では。昔の事ですしね」 気まずそうに視線を逸らすアイリスさんに、私は首を振る。 両親を亡くした事は悲しいけれど、それがありふれた事である事は、孤児院にいれば理解できる。 そして、それ以降の私が不幸だったとは思っていない。 学校では数は少ないながら良い友人を得られたし、マスタークラスの師匠という望外の巡り会いにも恵まれ、錬金術師になれた。 そして錬金術師は、お父さんたちとは少し形が違うけど、商人の一種と言えなくもない。 だからこそ、父さんたちが目指した事を実現できるようになりたいし、そのための障害を排除するための努力は、惜しむつもりはない。――そんなには。 今は、錬金術師として成長する方が優先なので、それに影響しない範囲で、ね。 「ま、今回の事は、魔法の練習もできてちょうど良い部分もありますしね」 「そういえば、いろんな魔法で斃していたわね?」 「えぇ、最近練習している物を、実戦で」 「......そういえば、店の裏に空き地、できていたな。森が無くなって」 「『森が無くなって』は大げさですが、そこですね。練習していたのは」 前回、ヘル・フレイム・グリズリーの襲撃の際、少し苦労したので、師匠にも相談して、ここ最近は攻撃魔法の練習を、少し多めにやっていたのだ。店の裏で。 でも決して、森を魔法で吹き飛ばしたとか、そんな物騒な話じゃない。 一本ずつ丁寧に、魔法で倒していっただけ。 もちろんそれらの木を無駄にはせず、ゲベルクさんにプレゼントしましたとも。 ただ、残った切り株は広範囲魔法の的にしたので、ちょーっと、地面が荒れちゃってますけどね? 「本当は、広範囲魔法も試したかったんですが、ここで使うと洞窟が汚れるし、牙の回収も難しくなりますからね」 「そうしてくれて助かったぜ。ここに転がってる死体だけでも、うんざりしてるってのに......」 少しため息をつきつつ、辺りを見回すアンドレさんの言うとおり、周囲には大量の氷牙コウモリの死体が散乱していた。 離れた場所に転がっているのは、私の魔法とケイトさんの弓で倒した物だからそこまで多くないけれど、私たちの周りの死体は、腰の高さを超えて積み上がっている。 「改めて見るととんでもないな。今回は何でこんなに多かったんだ......?」 「今回は逃げませんでしたからね。餌に手を出したので」 一部が狩られている間に、他は逃げ出す。 それが氷牙コウモリの、通常の行動パターン。 けど今回は、彼らが生存するための餌に手を出した。 そのため、氷牙コウモリも必死の抵抗するし、適当なところで逃げ出す事もしない。 今は森でも食料が得られる時季だから、この程度で済んだけど、これが冬場だったら、洞窟内の氷牙コウモリ、すべてを相手にするハメになったかもしれない。 「――つまりは、ギルのせいって事か!」 「だからすまんって! 今度からはちゃんと話を聞いてから行動する! な?」 「そうお願いしたいところです。ですが、今はまず、この死体の処理を始めましょうか」 「......そうだな。ギルを責めていても意味ねぇよな。それで、どうやる?」 「えっと......」 当初の予定では、私がここで氷牙コウモリを斃し、アンドレさんたちがそれを回収。 外に持ち出して牙を折り取り、死体を森にポイする予定だったんだけど......これ、明らかにアンドレさんたちの負担が大きいよね。 「牙の回収をここでして、死体を袋に詰めて捨てに行ってもらう、でどうでしょう?」 少し考えて出した私の答えに、アンドレさんたちも頷く。 「それが良いだろうな。ギル、頑張れよ?」 「そりゃ頑張るけどよ......持てる量には限界があるからな?」 「この辺のだと、一匹の体重、一キロ超えますからね」 襲ってきた氷牙コウモリの大半は、年齢が高い事もあり、ぶら下がっている時センチぐらい、羽を広げると一メートルを超える。 ここまで成長した氷牙コウモリは珍しく、牙も貴重。 売値も高いが、今後の事を考えると、ある程度は自分用に確保しておくべきだろう。 「よし。ギルのノルマは一回あたり一〇〇匹だな」 「マジかよ!? いくら何でもそれを担いで数時間掛けて往復とか......せいぜいが限界だぜ?」 グレイさんが平然と提示したノルマに、ギルさんは抗議の声を上げる。 でもそれ、十分凄いよね? 一〇〇キロ以上の革袋ですよ? 魔力による身体強化も無しにそれとか、さすが鍛えられているだけはある。 「シンジーニには牙の回収を続けてもらうとして......全員で往復すれば、今日中に千匹はいけるか?」 私以外が一往復。 私も帰りに一袋持てば計十一袋。 それぞれが一〇〇匹近く持てればその計算になるけど、当然ながらその計算には無理がある。 「え、私はさすがに一〇〇匹は持てないわよ?」 「わ、私も自信が無い」 うん、ケイトさんは当然として、アイリスさんも難しいよね。 「ラストはシンジーニも持ち帰れるだろう? その時に一〇〇匹持てば、アイリスの嬢ちゃんたちは匹か」 「あ、私が一〇〇匹持つのは確定なんですね」 「できますけどね。身体強化を使えば」 当然の様に言うアンドレさんに、私は頷くけど、そこまで無理をする必要があるかどうか。 すっきり片づくなら頑張るけど、この量じゃ、ねぇ。 「うん。今日は牙の回収だけに専念しましょう。死体の方は明日以降、他の採集者の方を雇って運ぶという事で」 「良いのか? 別にギルをこき使っても良いんだぜ?」 「この量、どうせ終わりませんから。幸い、一日放置したぐらいでは問題無さそうですし」 洞窟の外ならば一日すら危ういが、このあたりの気温は、むしろ肌寒さを感じるほど。 数日程度では死体が腐敗したりはしないだろう。

"Ice tooth bats are coming at me, but... it was too late." At once the cave becomes noisy and many ice tooth bats fly towards Mr. Gill, who got their hands on their own bait. "You idiot! Don't get your hands on me without listening to the experts! "Shh, sorry! Andre, who immediately followed up and cut off the ice-tooth bat, yelled at Gil. Mr. Gill, who was yelled at, apologized while throwing away the fruit he had, pulled out his sword and joined the attack. While working with Mr. Gray as well, he trumps the surrounding ice-tooth bats, but they are not the only ones to be attacked by ice-tooth bats. I magically strike down the flying ice-tooth bat appropriately, while anything that flies toward me cuts off with a pulled out sword. "Hey, why? I was asleep and suddenly... I didn't even attack you! I tell Mr. Iris, who wields his sword a little confused, something very fundamental. "You'll wake up if they vandalize your bait, even the ice-tooth bat." "Naturally, right? It would be a matter of death." Nodding as he was convinced, such Mr. Kate occupies a good time between me and Mr. Iris, leaving the response of the near-field ice tooth bat to us to target distant objects with a bow. "I can understand! But damn, isn't that too much?!?" While he utters his stupidity, Mr. Iris continues to wave his sword, and the more there is no foot stomping ground around him, the more ice fang bat corpses pile up. But still, the attack will not be interrupted. And Mr. Iris was the first person whose breath began to rise. "Phew, phew... or not many? "Good luck, Iris! The manager is using magic, but he's also using a sword? What are you gonna do with the sound first! "Ke, Kate's still resting! Well, I feel sorry for losing strength to the manager..." "Oh, no, I'm fine, right? If it's tight, should we strengthen the Wind Wall Air Wall? Ice tooth bat attacks will stop coming through, won't they? "Oh, can you do that? "Yes, of course" "That said, last time, you were bouncing off an ice-tooth bat..." This magic, this magic to prevent arrows in the first place. Never, it's not magic to prevent falling manure. In other words, even normal arrows have the power to divert them, and with a little reinforcement, there's no way to prevent an ice-tooth bat from storming. If you have the magic to my degree. I didn't do it because the goal was to kill the ice tooth bat. The fact that you can't get close means that you can't even attack with your sword. "Ugh...... also, try harder! "Really? Good luck, then. 'Cause I think we're gonna have a little bit more." My perception was that a fairly wide range of ice tooth bats were attacking this way, but it feels like it's almost over too. And Mr. Iris continued his hard work while Kate followed him, and when the able-bodied Andre's breath began to run out, the Ice Tooth Bat raid was finally interrupted. "Oh, it's over...? "Yeah, that's it for starters." I nod to Mr. Iris, who looks around with his sword-held arm hanging loose. "Ha... this time, my arms are pampered too" Kate also exhales ho and shakes her arms blah blah blah. I guess I was pretty tired because I kept pulling my bow until the arrow was gone and since then I've been fighting with a dagger. "Huh! It's tight! "There's too many of them! "Because of your far-fetched behavior. Reflect, Gil." "Really! Guys, I'm so sorry! I shook my head laughing at Mr. Gill, who lowered his head with both hands together with bread. "It's okay. Because it wasn't really dangerous." If everyone's health is at its limit and becomes endangered, it can also be said that the actual damage is just tired because it also took a way to recover health by pulling inside the Wind Wall Air Wall for a while. "I mean, the manager is still amazing. That's all, because it's okay to keep waving your sword while using magic." "You're strengthening yourself with magic. Iris is no match for vegetarian strength and muscle strength. And thank you in Cinzini. I didn't point it out because the situation was there earlier." "... Mr. Store Manager, are you going to continue? It." "'Cause if the merchant finds out, it's funny - wasn't it, isn't it a hassle" To my words, Mr. Andre and the others look at each other. "Cinzini, aren't you actually having fun? This time." "Huh?... No way, no way. What a greedy merchant, you know, crumble. You only think a little, don't you? "You think so for a second!?" In my honest words, Mr. Gill gives me a scratch. But isn't that natural? Merchants can't just make themselves happy. Others can't be happy either. "Just a little bit." Business is honest. "That's our homework." "Home training... was Cinzini's house a merchant? "Yes, my parents died in an accident." "Uh, sorry." "No, by asking Mr. Iris to apologize. It was a long time ago." I shake my head at Mr. Iris, who looks away from me at first sight. Although it is sad to lose both parents, it is understandable that it is a common thing to be in an orphanage. And you don't think I've been unhappy since. I got a few but good friends at school, and I was blessed with an unwanted tour of being a master class master, and I was able to be an alchemist. And the alchemists, a little different in shape from your fathers, can't even say they're a kind of merchant. That is why I want to be able to achieve what my fathers aspired to, and I do not intend to spare any effort to eliminate obstacles to doing so. - Not so much. Now, growing up as an alchemist is a priority, so to the extent it doesn't affect that, right? "There are some parts of this that are just right for you to practice magic." "Speaking of which, you've been killing me with all sorts of magic, haven't you? "Yeah, something I've been practicing lately, in action." "... Speaking of which, you had a vacant lot in the back of the store. The woods are gone." "'With the forest gone' is an exaggeration, but there you go. I was practicing." Last time, during the Hell Flame Grizzly raid, I had a bit of a hard time, so I talked to my master, and I've been practicing some more attack magic here lately. Behind the store. But by no means, it's such a noisy story about magically blowing up the woods. Carefully one at a time, I just magically knocked it down. Of course I didn't waste those trees, and I gave them to Mr. Geberg. However, I made the remaining stump extensively magical, so, hey, the ground is getting rough, right? "The truth is, I wanted to try extensive magic, because when I use it here, the cave gets dirty, and it makes it harder to retrieve the fangs." "I'm so glad you did. Even if it's just the bodies rolling here, I'm sick of it..." With a few sighs, Andre was right to look around, surrounded by massive corpses of ice tooth bats. Though not that many are rolling away because of my magic and what I defeated with Mr. Kate's bow, the bodies around us pile up beyond the height of our hips. "That's outrageous to see again. Why was there so much this time...? "You didn't run away this time. Because I got my hands on the bait." While some are hunted, others escape. That's the ice tooth bat's, normal pattern of behavior. But this time, I got my hands on the bait for them to survive. For this reason, ice tooth bats also desperately resist and do not escape where appropriate. Now is the time to get food in the woods as well, so it was done to this extent, but if this was winter, the ice tooth bat in the cave, could have been framed for dealing with everything. "- I mean, it's Gil's fault! "So sorry! From now on, we'll listen properly and then we'll act! Huh?" "That's what I'm asking you to do. But now let's start processing this corpse." "... right. It doesn't make sense if you're blaming Gil, does it? So, how do we do it? "Uh..." Initially planned, I'll shoot the icetooth bat here, and Mr. Andre and the others will retrieve it. I was going to take it outside, fold my fangs, and point the body into the woods... this is obviously a huge burden on Mr. Andre and the others, isn't it? "I'm here to collect my fangs, and I'll have the body packed in a bag and thrown away, so what do you say? Andre and the others nod to my answer, which I gave a little thought to. "That would be good. Gil, come on, man. "Well, I'll do my best... because there's a limit to how much you can have? "If you're around here, you can weigh more than a kilo." The majority of the ice tooth bats that have been attacked are sometimes older, about cm when they are hanging, and spreading the wings exceeds one meter. Ice tooth bats that have grown so far are rare, and fangs are precious. The selling price is also high, but given the future, you should ensure it for yourself to some extent. "All right. That's a hundred Gill's norms per shot." "Seriously!? You can take on that for as many hours as you want and go back and forth... at most, twice is the limit, huh? Mr. Gill speaks out in protest at the norm presented flatly by Mr. Gray. But that's amazing enough, isn't it? It's over a hundred kilos of leather bags, right? Without physical enhancement by magic, that or just being trained. "As for Cinzini to continue collecting his fangs...... can we all go back and forth and have a thousand by the end of the day? Five people but me make one round trip. Eleven bags in total if I hold one bag on my way home, too. If each can hold nearly a hundred, it will be that calculation, but naturally, that calculation is impossible. "Well, I can't have exactly a hundred, can I? "Wow, I'm not sure either." Yeah, Mr. Kate deserves it, and Mr. Iris is difficult, too. "Rust could bring back Cinzini, too, right? If you had a hundred at that time, the Iris ladies would have seventy-five." "Oh, you're certain I'll have a hundred." "I can, though. With physical enhancement." I snort at Mr. Andre as a matter of course, but whether he needs to be forced to do so. If I'm gonna clean it up, I'll do my best, but in this amount, hey. "Yeah. Let's just focus on retrieving the fangs today. The body will be hired by the other collectors after tomorrow." "Is that good? Nothing. You can use Gil, right? "Because this amount, it won't end anyway. Fortunately, it doesn't seem to be a problem as long as I've left it for a day." Outside the cave, even a day is at stake, but the more temperatures around here, the colder your skin feels. The body won't rot in a few days or so.

それぞれ意見を出し合い、しばらく話し合ったアイリスたちだったが、現実的に選択肢などほぼなかった。 崩落箇所を掘り起こすのが難しい以上、アイリスたちにできるのは、奥へと続く道を進むことだけである。 今の場所を動かずに救助を待つという方法もあるが、助けに来てくれる可能性があるのはサラサのみ。 だが、本来そのサラサには、アイリスたちを救出する義務も責任も存在しない。 もちろんサラサはアイリスたちの救出に尽力するだろうが、それに頼り切ってしまえるほど、アイリスたちの面の皮は厚くない。 未知の場所へ足を踏み入れるということは、新たな脅威に遭遇する危険性も増えるわけだが、外に出られる道を探すためには進む他なく、仮に道が見つからずとも、周辺の気温が下がるだけで、魔力消費が抑えられるメリットがある。 そのようなことから、先へと進み始めたアイリスたちだったが――。 「......何だか、周囲の気温が、上がっているように、思えないかい?」 ノルドラッドがやや苦しそうにそう漏らしたのは、崩落現場から半日ほど歩いた頃のことだった。 細かなアップダウンはありつつも、当初こそ上方向へ延びていた洞窟。 だが、やがてそれは下方向へと変わり、今となっては崩落現場よりも低い位置まで下りてきていると思われる。 気温が上がったのはそれが原因だろうが、高品質な防熱装備のおかげでさほど変化を感じていないケイトたちは、それをそのまま口にするのは憚られると思ったのか、別のことを口にした。 「水、補給しましょうか?」 「助かるよ......」 ノルドラッドは滴る汗を拭いつつ、ほぼ空になっていた水袋をケイトに差し出した。 それを受け取ったケイトは湧水筒を傾け、自身の魔力を使って水袋に水を注ぐ。 「ケイト君、魔力の方は大丈夫かい?」 「今のところは......店長さんに感謝、でしょうか」 ケイトがノルドラッドに水を補給するのは、これですで目。 を使い続けていることを考えれば、魔力量の多いケイトでも魔力残量に問題が出てきそうな頃だが、未だケイトは、魔力の減少から来る疲労を感じてはいなかった。 「それは朗報だね。水まで節約しないといけないとなると、さすがにボクの筋肉も悲鳴を上げるよ」 「「.........」」 アイリスたちとしては、『筋肉じゃなくて身体だろう』などとツッコミを入れたいところだったが、ノルドラッドの言い分も、必ずしも間違いではなかった。 洞窟の入り口からサラマンダーの所へと続いていた道と異なり、今アイリスたちが進んでいる通路は、正に 大きな岩を乗り越え、岩壁を這い上がり、天井の低い通路を屈んで進み、幅のない場所では背負った荷物を下ろして横向きになって進む。 かかった時間から想像するほどの距離は稼げていない上に、その過程では足腰だけではなく腕力を酷使することもまた多く、最も多くの荷物を運んでいるノルドラッドの腕には、かなりの疲労が蓄積していた。 「まぁ、確かに疲れてきたな。ケイト、私にも水をくれるか?」 「えぇ、魔力は......大丈夫?」 「あぁ、私は自分でやろう。......ふぅ。冷たい水は美味いな」 アイリスはケイトが差し出した湧水筒を受け取り、湧水筒から生み出される水を直接カップに注いで飲むと、ホッと息を吐く。 「そうね......常温なんだけど」 湧水筒で出せる水の温度はおおよそ一五度前後。 通常であればさして冷たく感じるような温度ではないのだが、周囲がサウナ状態であれば話は違う。 その上、水袋に入れておいた水は、周囲の気温に影響されて湯になってしまうことを思えば、常温の水の貴重さが解ろうものだ。 「しかし、予想以上に道が険しいな」 「最初に通った辺りに比べると、かなり違うわよね」 「おそらくあの道は、サラマンダーが出入りしていたんじゃないかな? 明らかに歩きやすかったからね」 「有り得ますね。あそこの道は、屈む必要すらなかったですし。......逆に言えば、この辺りにサラマンダーが来る心配はなさそうですね」 「不幸中の幸い、ね。その分、こうして苦労しているわけだけど」 ある意味では安心といえるが、別の見方をするなら、外に繋がるかどうかも不明ということ。 だが、そのことに考えが至っても、誰もそれを口にしようとはしない。 「ノルド、体力は大丈夫か?」 「正直、ギリギリだねぇ。調査はともかく、サラマンダーとの追いかけっこと道なき洞窟の探索。なかなかにハードな一日だったから」 「そう、だよなぁ......」 「えぇ、そうよね......」 ノルドラッドの言葉に、アイリスとケイトは顔を見合わせ、しみじみと頷く。 イベント盛りだくさんではあったが、あれから未だ一日も経っていないのだ。 不慮の事故――いや、故意の事故さえなければ、今頃は家路についている頃。 そのことを思い、こみ上げてくる微妙に黒い感情を押し殺しつつ、アイリスはノルドに訊ねる。 「今、何時か判るだろうか? ......判らずとも、そろそろ休むべきかとは思うのだが」 「あぁ、そうだね。ちょっと待ってくれ。時間帯ごとの観察も必要だから、時計は一応持ってるよ」 そう言ったノルドは荷物を下ろし、その中から一辺二〇センチほどの四角い時計を取り出した。 「えっと......あぁ、もう日が落ちてるね。普段寝る時間よりは少し早いけど......休むかい?」 「その方が良いだろう。特にノルド、お前は私たちより体力を消費しただろう?」 「そうだね、そうしてもらえると助かるかな。数日ならともかく、長期に亘っては無理が利かないだろうし」 「解りました。では夕食を食べて休みましょう。 携行保存食 「そうだね。傷んで食べられなくなったら勿体ないし。......周辺温度が高すぎて、逆に大丈夫かもしれないけど。ハハハ......」 「なんとも言えませんけど......危なそうな物は早めに使い切ってしまいましょう。ちょっと豪華な食事になってしまいますが」 「これが最後の晩餐にならなければ良いんだが......」 あまり冗談になっていないアイリスの言葉に一同は無言になり、ケイトの作ったやや豪華な夕食を静かに終えると、その日は早めに就寝したのであった。 フローティング・テントと防熱装備を併用した野営は、アイリスたちが想像したよりも快適だったが、魔力を消費し続けているからか、それとも閉じ込められているという精神的重圧の影響か、残念ながらアイリスたちの目覚めはあまり快適とはいえなかった。 どこか重く感じる頭を振りつつ、もそもそと起き出したアイリスたちは、昨晩よりもだいぶ貧相になった朝食を終え、今日も洞窟の奥へと歩き出す。 相変わらず道は悪かったが、幸いなのは、はっきりとした分かれ道がないことだろう。 所々にとても人が入れそうにない隙間などは存在したが、仮にそこが外へと繋がっていても、通れないのでは意味がない。 迷うことがなく、議論も必要ないという点では、彼女たちには都合が良かったのだ。 しかしそんな幸運も、その日の昼頃までだった。 「分かれ道、だな」 「そうだね。どちらかといえば、分かれ裂け目って感じだけど」 「どれを選ぶか、予断を持たずに判断はできそうですね」 今の目の前には、人一人がやっと入り込めそうな縦方向の隙間が三カ所、存在していた。 いずれの裂け目も岩と岩の隙間といった様相で地中深くへと切り込み、下の方は脚が入る幅すらなく、地面に足を着けて歩くことも難しい。 先へ進むためには、両側の壁に脚を突っ張るようにして身体を支えるしか方法はないだろう。 その困難さはどれを選んだとしても大差はなさそうで、ケイトの言う通り、通路の難易は選択に影響を与えずに済みそうであった。 「......考えても仕方がない。順に進んでみるしかないだろうな」 アイリスはこれからの道中に予想される困難さを想像し、深くため息を吐いた。

Towards Escape () They were the Iris who each came up with their opinions and discussed them for a while, but realistically had little choice, etc. More than difficult to dig up the crash site, the Iris can only do it by going down the road that leads to the back. There is also a way of waiting for rescue without moving where it is now, but only Sarasa could possibly come to help. But that Sarasa inherently has no obligation or responsibility to rescue the Iris. Of course, Sarasa will devote herself to the rescue of Iris, but the skin on Iris' face is not thick enough to rely on it. Stepping into an unknown location also increases the risk of encountering new threats, but besides going on to find a way out, even if you can't find a way, the surrounding temperatures just drop, which has the advantage of dampening magic consumption. Because of that, Iris and I began to move on... "... don't you think the ambient temperatures are rising? It was about half a day's walk from the crash site that Nordrad seemed to leak so painfully. While there is a fine up-down, the cave initially extended upwards. Eventually, however, it shifted downward, and now it seems to be coming down to a lower position than the collapse site. That would have caused the temperature to rise, but the Kates, who haven't felt so much change thanks to their high quality heat protection gear, thought it would be possible to keep it in their mouth or say something else. "Water, shall we replenish it? "It helps..." Nordrad offered Kate a water bag that was almost empty while wiping the dripping sweat. Receiving it, Kate tilts the spring water bottle and uses her own magic to water the water bag. "Kate, are you okay with magic? "So far... thank the manager, is it?" This is already the fourth time Kate has replenished Nordrad with water. Given that the average human being can produce about 5-20 liters of water per day, and the continued use of heat-proof equipment smelters (artifacts), even Kate, who has a lot of magic, is likely to have problems with her magic residue, but Kate has yet to feel the fatigue coming from the loss of magic. "That's good news. If I have to save water, my muscles will scream." ......... As for Iris and the others, I almost wanted to put in a scratch, like, 'It would be the body, not the muscles,' but Nordrad's statement wasn't necessarily a mistake either. Unlike the path that led from the entrance of the cave to Salamander, the passage that Iris and the others are now taking was a truly self- (...) sinus (...) cave (...). Over a large rock, crawl up a rock wall, bend down a passage with low ceilings, and in a place without width, lower your backpack and go sideways. Besides not earning enough distance to imagine from the time it took, in the process he also often tortured his arms, not just his ankles, and considerable fatigue accumulated in Nordrad's arms carrying the most luggage. "Well, you're definitely getting tired. Kate, can you get me some water, too? "Yeah, the magic... are you okay? "Oh, I'll do it myself.... Phew. Cold water is delicious." Iris receives a spring water bottle offered by Kate and exhales when she pours and drinks the water produced from the spring water bottle directly into the cup. "Right... it's room temperature" The temperature of the water that can be put out in the spring water bottle is approximately fifteen degrees or so. Normally, it's not as cold as it feels, but if the surroundings are in a sauna, the story is different. Besides, the preciousness of ambient water can be solved if the water left in the water bag is affected by ambient temperatures. "But it's harder than I expected." "That's a lot different than the first time I went through it." "Perhaps that road had salamanders in and out? Obviously, it was easy to walk." "That's possible. The way over there, you didn't even have to give in.... On the contrary, you don't seem to have to worry about salamanders coming around here." "Fortunately in misfortune, you know. That's how I struggle with it." It is reassuring in one sense, but if you look at it in a different way, it is also unclear whether it will connect to the outside. But no one's going to talk about it, even if they can think about it. "Nord, are you all right with your health? "Honestly, you're critical. Regardless of the investigation, chasing with Salamander and exploring caves without paths. Because it's been a pretty hard day." "Yes, it is..." "Yeah, right..." To Nordrad's words, Iris and Kate looked at each other and nodded smugly. It was a lot of events, but it hasn't been a day since. Accidents by accident - no, if not even accidents intentionally, by now, when I'm on my way home. With that in mind, Iris asks Nord as he pushes and kills the subtly black emotions that creep up. "Do you know what time it is now? ... I don't know, but I think it's time to rest." "Oh, right. Just give me a minute. I need to observe every hour, so I have the clock." That's what I said. Nord unloaded his stuff and took a square watch about 20 centimeters a side out of it. "Uh... oh, the sun's already falling. It's a little faster than usual to go to bed... do you want to rest? "That would be better. Especially Nord, you'd have consumed more health than we did, wouldn't you? "Right, I guess it would help if you did. In a few days, it won't be easy for you to do it for long." "I understand. Then let's have dinner and rest. Food other than portable food should be consumed sooner." "Right. If you get hurt and can't eat, you won't be able to eat....... the ambient temperature is too high and on the contrary it may be ok though. hahahaha......" "I can't tell you anything...... run out of potentially dangerous stuff early. It's going to be a little extravagant." "I hope this isn't the last supper..." The words of Iris, who had not been much of a joke, were silent together, and when he quietly finished Kate's somewhat lavish dinner, he went to bed early that day. The camp, combined with floating tents and heat protection gear, was more comfortable than the Iris and others had imagined, but unfortunately the Iris awakened less comfortably because they continued to consume magic or because of the effects of the mental pressure of being trapped. Shaking heads that feel heavy somewhere, the Iris, who woke up in the first place, finish their breakfast, which became a lot poorer than last night, and walk out into the back of the cave today. As always, the road was bad, but fortunately, there would be no clear division. There were gaps that people were very unlikely to get into everywhere, but even if it was connected to the outside, there was no point in not being able to get through. It was convenient for them in that they didn't get lost and didn't need to argue. But such luck was not until around noon that day. "Split way." "Right. One way or another, it feels like a split rift." "You don't seem to be able to make decisions about which to choose without having a prediction." Right now, in front of the three of them, there were three longitudinal gaps that seemed to allow each person to finally enter. Any rift cuts deep into the ground in such shapes as the gap between the rock and the rock, and the lower one doesn't even have the width of a leg into it, making it difficult to walk with your foot on the ground. In order to move forward, there will be no other way to support your body than to push your legs against the walls on both sides. The difficulty didn't seem to vary greatly, no matter which one you chose, and as Kate put it, the difficulty of the aisle seemed to have to affect the choice. "... I can't help thinking about it. I guess I'll just have to go in order." Iris imagined the difficulties expected on the road ahead and sighed deeply.

「この状況で帰って来いと言うことは、お金を貸す条件が、私との婚姻なのですね?」 アイリスさんのその言葉に、アデルバート様とカテリーナさんが静かに頷く。 「そんなっ! 奥様は、奥様はなんと仰っているのですか!」 「奥様は反対されています。『娘をお金で売るような事はできない』と。私ももちろん反対なのですが......」 「我々は貴族なのだ。考えるべくは領民の事だ。必要であれば、私情を捨てねばならん」 厳しい表情で言うアデルバート様に、アイリスさんは諦めたように頷く。 「そうですね。ある程度の覚悟はありましたが......仕方の無い事なのでしょうね」 「アイリス! 良いの、本当に、それで!」 「貴族の娘なのだ。意に沿わぬ婚姻など、よくある話だろう。むしろ私の年齢を考えると遅いぐらいだ。求められるのであれば、ありがたいぐらいだろう?」 そう言ってアイリスさんは微笑むけど、その表情はどこか痛々しい。 「でも――っ!!」 「良いのだ、ケイト。領民のために必要であれば行動する。それが貴族だろう? ですが、お父様。店長殿への借金がまだ返済できていないのですが......」 「そう、そうよ! アデルバート様、まさか恩を返さないなんてこと、貴族の矜持としてあり得ませんよね?」 「うむ、その話は聞いている。家中から集めてきた。これだけあれば、返済して多少の礼をするに足りるだろう」 そう言ってアデルバート様は、懐から取り出した小袋をテーブルの上に置く。 ケイトさんはその小袋を、半ば奪うようにして手に取ると、逆さまにして中の硬貨をテーブルの上に広げる。 そしてそれを手早く数えると、少し頬を上げて口を開いた。 「アデルバート様、全然、足りません。半分にも満たないです」 「なにっ!? そんな馬鹿な! 治療費という話だっただろう。それで足りないなど......まさかっ!」 半分ぐらい他人事として聞いていた私に対し、アデルバート様の鋭い視線が突き刺さる。 「違うのです、お父様! すべて私の責任なのです! ですから、店長殿にそのような目を向けないでください」 椅子から立ち上がったアイリスさんが、戸惑う私を庇うように前に立ち、アデルバート様の視線を遮る。 「アイリス......だが、治療費としてはいくら何でも......」 少し面食らったかのように言葉を漏らすアデルバート様に、アイリスさんは首を振る。 「間違いなく、適正な治療費なのです。いえ、むしろ安すぎるぐらいで......」 「どういうことだ?」 困惑した表情を浮かべるアデルバート様に、アイリスさんは少し躊躇った後、諦めたように口を開く。 「実は採集作業中のミスで、私は死にかかったのです。片腕がちぎれてしまうほどの大怪我を負い、毒に犯されて......」 「なんだと! 聞いていないぞ!?」 「――っ!」 アデルバート様が大きな声を上げ、カテリーナさんも顔を青くして、息をのむ。 アイリスさんはそれを予想していたように軽く息を吐くと、言葉を続ける。 「お手紙を差し上げた時には回復していましたので、無用な心配をかける必要は無いかと、詳細は省いたのです」 「むむむっ......だが、今アイリスの腕は普通に動いているようだが?」 「はい、それも店長殿のおかげです。店長殿がこの村にいなければ、私の命は無かったでしょうし、仮に助かったとしても、私の片腕は失われていたでしょう」 「それは私も保証します。命はなんとか、と思っていましたが、腕の方は......見るからに酷い状況で、ほとんど諦めていましたから」 ケイトさんが補足するように、あのときの詳しい状況を説明する。 では、アデルバート様、カテリーナさん揃ってかなり厳しい表情になったが、最終的に問題なく回復したところまで話が進むと、ほっとしたように息を吐いた。 「そんな私を、店長殿は救ってくれたのです。初めて会った私に対し、ケイトの口約束だけで、とんでもなく高価な 「そうだったのか......。確かにその状況ではそれぐらいの治療費は当然、いや、今何の違和感もなく繋がっている事を思えば、むしろ安いぐらいだな」 普通に動いているアイリスさんの腕に手を触れ、アデルバート様は安堵と感心が交ざったように言葉を漏らす。 そして、改めて私に向き直ると謝罪を口にした。 「サラサ殿、大変申し訳なかった。とても失礼な事をしてしまった」 「い、いえ、治療費として高いと思われるのは当然ですから」 平民なら、一生かかっても稼げないような金額。 詳しい事を知らないで、『治療費です』と言われたら、騙されているのではと疑うのも仕方がない事だと思う。 「そう言っていただけると助かる。そして改めて、娘の命を救っていただき、誠にかたじけない」 「それは、アイリスさんの運が良かった事に加えて、ケイトさんのおかげでもありますね。あのときケイトさんが、躊躇いなく同意したからこそ、高価な 「そうか。ケイト、助かった」 「いえ、私は当然の事をしたまでです」 などと言いながらも、少し誇らしげに口角を上げるケイトさん。 そんなケイトさんを見て、母親であるカテリーナさんも、微笑んで頷いている。 「だがしかし、困ったな。十分に足りると思ったのだが......借金を抱えている当家では、さすがにこれ以上金を集めるのは難しい」 大きな方の借金をなんとかできる目処が立ったので、無理して集めてきたのが今回持ってきたお金らしい。 全額必要になるとは思っていなかったらしく、これをすべて使ってしまうだけでも厳しい状況。 これ以上、更に集めるなどという事は、どうやっても無理なようだ。 「なら、やはり――」 どこか嬉しさを隠しきれないような表情で言いかけたケイトさんを遮るように、アデルバート様は私に向き直ると口を開いた。 「サラサ殿、大変申し訳ない上に厚かましい願いなのだが、しばらく返済を待っていただく事は可能だろうか? もちろん証文は書くし、利息をつけていただいてもかまわない」 「えっと......」 ケイトさん、そんな祈るような表情を見せないで! 下級貴族である騎士爵とはいえ、相手は普通の――いや、話を聞く限り、かなり高潔な貴族。 無礼ならば貴族でも気にせず蹴っ飛ばす師匠とは違って、私は常識的な答えしか返せないんだから! 「きちんと証文として起こしていただけるのであれば、私としては......はい」 「そうか、ありがたい」 「.........」 だからケイトさん、『裏切られた!』みたいに見られても困るよ。 私が貴族であるアデルバート様相手に、『即刻、現金で返せ』とか、『返せないならアイリスさんは貰っていく!』とか、『借金が返せるまで、アイリスさんとケイトさんはここでタダ働きじゃぁ~!』とか、言えるわけないじゃない......。 「アデルバート様、本当によろしいのですか? いくら領民のためとはいえ、アイリスはロッツェ家の嫡子。その申し出を受け入れるならば、商人に家督を奪われるようなものかと」 私は無理と解ったのか、ケイトさんはアデルバート様相手に説得を試みる。 しかし、アイリスさんを呼び戻すため、ここに来ている以上、家中でいろいろな検討はしただろうし、決意は固いのだろう。 アデルバート様は渋い表情のまま、やや疲れたように首を振る。 「もちろん儂としても、あまり喜ばしい事ではない。だが、当家のような弱小貴族、しかも大きな借金を抱えている状況にもかかわらず、金を出しても良いというのだ。そう悪い人物でもあるまい」 自らに言い聞かせるような力ない声に、アイリスさんの方も少し寂しげに笑い、尋ねる。 「そうかもしれませんね。お金があるのなら、今後、以前のような飢饉が発生しても借金の必要がなくなるかもしれませんし」 「アイリス......」 そんなアイリスさんの表情を見て、自分の方が泣きそうな表情でケイトさんが言葉を漏らす。 い、居たたまれない! 貴族だから仕方ないのかな、と思わなくもないけど、その対象が親しい相手となると......。 ――えっと、私、中座しちゃマズいですかね? 「それでお父様。相手は何という方なのですか?」 「うむ。最近、急逝した父親の後を継いだ青年でな。サウス・ストラグの町で、大きな商会を切り盛りしている。儂も会ったが、なかなかの好青年だったぞ? 名をホウ・バールと言う」 「......おや?」 図らずも声が漏れる。 なんだか、どこかで聞いた事があるようなお名前、ですよ?

"To tell you to come home in this situation is a condition to lend money is to marry me, right? Lady Adelbert and Mr. Caterina nod quietly to Mr. Iris' words. "That's it! What does your wife say! "Your wife is opposed." You can't sell your daughter for money, "he said. Of course I disagree..." "We are nobles. The first thing to think about is the people. If necessary, you must abandon your personal feelings." To Master Adelbert, who says with a harsh look, Mr. Iris nods as if he had given up. "Right. I was prepared... but I guess I had no choice." "Iris! It's good, really, so! "She's a nobleman's daughter. It would be a common story, such as an unintended marriage. Rather, given my age, it's about too late. If that's what you're looking for, thank you, isn't it? That said, Mr. Iris smiles, but that look is somewhere painful. "But - Eh!!" "It's good, Kate. Act if necessary for the benefit of the people. That would be noble, wouldn't it? But, Father. I haven't been able to repay my debt to the store manager yet..." "Yes, it is! Dear Adelbert, I can't believe you're not returning the favor, can you? "Um, I'm listening to that story. I've collected it from all over the house. With all this, it would be enough to repay you and give you some thanks" That being said, Master Adelbert places the sachet removed from his nostrils on the table. Mr. Kate takes the sachet, trying to take half of it, upside down and spreads the coin inside onto the table. And counting it quickly, I lifted my cheeks a little and opened my mouth. "Dear Adelbert, not at all, not enough. Less than half." "What!? Such an idiot! I would have talked about the cost of treatment. That's not enough, etc... No way! Master Adelbert's sharp gaze pierces me when I was asked about half as another HR. "Uh..." "It's not, Father! It's all my fault! So don't look at the manager like that." Mr. Iris, rising from his chair, stands forward to shelter me in confusion, blocking Master Adelbert's gaze. "Iris... but as much as the cost of treatment..." Mr. Iris shakes his head to Master Adelbert, who leaks his words as if he has had a bit of a face-off. "Without a doubt, it's the proper cost of treatment. No, it's rather too cheap..." "What do you mean? To Master Adelbert with a puzzled look, Mr. Iris opens his mouth as he gave up after a little hesitation. "Actually, it was a mistake I was making while collecting, and I was dying. I was so badly injured that one arm was ripped off that I was poisoned..." "Oh my God! I didn't hear that!?" "-!" Master Adelbert raised his voice out loud, and Mr. Caterina blued his face, breathing. When Mr. Iris exhales as gently as he expected it to, he continues his words. "I was recovering when I wrote to you, so I didn't have to worry about it, so I skipped the details." "Mmmm...... but now Iris' arm seems to be moving normally though? "Yes, thanks also to the Store Manager. If the manager hadn't been in this village, I wouldn't have had my life, and even if it had helped, my one arm would have been lost." "I guarantee that, too. I thought I could manage my life, but if you were on my arm... it was a terrible situation to see, because I almost gave up." Explain the details of the situation then, as Kate would add. In the case that the direct cause lay with the immature gatherer, Dear Adelbert and Katerina all got a pretty harsh look, but when the conversation proceeded to the point where they eventually recovered without problems, they exhaled relieved. "The manager saved me. For the first time I've ever met you, just Kate's word of mouth, and you're using a hell of an expensive smelter, Potion." "Were you... Certainly, in that situation, the cost of that kind of treatment is, naturally, somewhat cheaper, given that it's connected without any discomfort right now." He touches Mr. Iris' arm, which is normally in motion, and Mr. Adelbert leaks his words as if relief and emotion intersect. And he uttered an apology when he turned to me again. "Lord Sarasa, I am so sorry. I've been very rude." "Yes, no, because of course it seems expensive to treat" If you're a civilian, the kind of amount you can't earn even if it takes you a lifetime. If you don't know the details, and they say, "It's the cost of treatment," I don't think you can help but suspect that you are being cheated. "It would help if you could say that. And again, I sincerely ask you to save my daughter's life." "In addition to Mr. Iris' luck, you owe it to Mr. Kate. That's when Kate agreed without hesitation to use the expensive smelter Potion." "Right. Kate, thank God." "No, I did what I deserved." And so on, but I'm a little proud to raise my mouth angle, Mr. Kate. Seeing Kate like that, Katerina, her mother, is also smiling and nodding. "But you're in trouble. I thought it was enough... it's just hard to collect any more money at home with debt" It seems that this is the money I brought that I have been forced to collect because I have a prospect of being able to manage the debts of the larger ones. He didn't think he was going to need the full amount, and it's a tough situation to just use all of this. It seems impossible to gather more than this. "Then again -" Master Adelbert opened his mouth as he turned to me, blocking Kate, who was about to say with an expression that he couldn't hide his joy somewhere. "Lord Sarasa, I'm so sorry. It's a thick wish on top of that, but is it possible for you to wait for a while to repay me? Of course, I'll write the deposition, and you can put interest on it." Don't give me that prayerful look, Mr. Kate! Though he is a junior aristocrat, the opponent is a normal - no, as far as I can hear him, a pretty noble aristocrat. Unlike a master who would kick his ass if he were disrespectful, even a nobleman, because I can only return common sense answers! "If you can wake me up as a proper testimony, as far as I'm concerned...... yes" "Well, thank you" ......... So Mr. Kate, 'I've been betrayed!' I don't care if they see me like that. To my noble Adelbert counterpart, "Give it back immediately, in cash," or "If you can't give it back, Mr. Iris will get it! 'Not that I can say,' Until I can pay my debts, Mr. Iris and Mr. Kate will work here for free! '... "Dear Adelbert, are you sure? No matter how much for the inhabitants, Iris is the son of the Rozze family. I was wondering if it would be like taking the housekeeper away from me if I accepted that offer." Did I find it impossible, Mr. Kate tries to persuade Adelbert to do it? But to bring Mr Iris back, I would have given a lot more consideration in the house than I am here, and I guess my resolve is stiff. Master Adelbert shakes his head slightly tired with a sinister look. "Of course, I'm not very happy. But despite a situation of weak aristocracy like ours, and huge debt, it's okay to give money. He's also a bad person." Mr. Iris laughs and asks a little lonely in his powerless voice as he tells himself. "Perhaps so. If you have money, you may no longer need to be in debt in the future if famine like before occurs." "Iris......" Seeing the look on Iris's face like that, Kate leaks her words with a look that makes her more likely to cry. I can't stay! I don't know what else to do because I'm noble, but when the subject becomes a close opponent... - Uh, me, is it bad to sit in the middle? "So, Father. What kind of person are they? "Mm-hmm. A young man who recently succeeded his late father. in the town of South Strag, cutting up a large chamber of commerce. We met, but he was a pretty good kid, wasn't he? Name's Howe Barr." "... oh? My voice leaks even if I don't try. It's kind of a name you've heard of somewhere, isn't it?

「――ま、まぁ、そういう見方もできるかもしれませんね。その割に手持ちの現金が少ないですが」 「だよな? まぁ、借金を返せていない私たちが言うのも何だが」 「ごめんなさい、店長さん。秋の収穫は例年通りだったけど、現金が入るのはしばらく先になるわ。現物で良ければ、すぐに渡せるけど......」 「いえ、構いませんよ。大量の麦をもらっても困りますし」 申し訳なさそうに、私は首を振る。 ちなみに、ロッツェ家の借金はちゃんと減っているので、私だけが利益を得て、アイリスさんたちは大きなお仕事の度に借金が増える、なんてことにはなっていない。 今回だって冬場のミサノンの根という高価な素材を採ってきたので、それなりの額がアイリスさんたちに分配されているし。 サラマンダーの時は私が借金を立て替えたことで、私に対する借金額は増えたけど、ロッツェ家自体の借金額が増えたわけじゃないからね。 「でも、今回の迷惑料は正直、助かりました。春になると税金を払わないといけないので」 錬金術師の税金は自己申告。 ごとに売り上げを申告し、既定の税金を支払わなければいけない。 私がこのお店を開いたのが春だから、その期日ももうすぐ。 手元に現金は残っていなくても、売り上げ自体はしっかりと立っているので、支払う税金の額はかなりの物になるはず。 まだ計算はしていないけど、今回の件がなければ支払いに苦労していたかもしれない。 「ふむ、フェリク殿下のおかげというわけか」 「苦労することなく、カーク準男爵も排除できたわけだしね」 「......そう、ですね」 借金せずに済んだのは事実ではあるけれど、素直に感謝はしづらい。 『ノルドさんを 何というか、フェリク殿下って、貴公子然とした外見(期間限定休業中)の割に、『素敵!!』って気分にはなれないんだよね。 あまりお近づきになりたくないタイプ、というか......生理的に。 「......そういえば、フェリク殿下と言えば、サウス・ストラグで不可解な噂を耳にしたな」 「あぁ、あれ? あれはさすがに嘘でしょ」 ふと思い出したように言ったアイリスさんの言葉を、ケイトさんが苦笑と共に否定する。 「フェリク殿下に関する噂、ですか?」 もしかして、天辺ハゲということがバレたとか? あぁ、でもアイリスさんたちは知ってるから、『嘘』ってことはないか。 それに渡したお薬を使っていれば、既に治っているはずだし。 「いやな? フェリク殿下と店長殿が結婚するという噂があってな?」 「「......はい?」」 私とロレアちゃんの声が重なる。 え、いや、待って。 どこからそんな話が? 全然、全っ然、脈絡がないですよ? 「正確には、若く有能な錬金術師とフェリク殿下が結婚する、という噂ね。それで、この近辺でその条件に当てはまるのが店長さんってことで、名前が出たって感じかな?」 「サラサさん、いつの間にそんなことに? 二人っきりでいた時、なにか......」 「ないから! なにもないから!!」 不安げな視線を向けてくるロレアちゃんに、私は慌てて強く首を振った。 「有能で噂されるのは嬉しいですけど、殿下との結婚なんてあり得ませんし、全然嬉しくありません!」 あんな人と結婚したら、毎日精神力がガリガリと削られるよ! 殿下と結婚するなら、アイリスさんと結婚する方が何倍も良いよ! 少なくとも、家庭内で精神的に疲れる、なんてことはなさそうだもん。 「大丈夫だ。しっかりと否定しておいたからな」 「ありがとうございます! 助かりました!!」 あの殿下と結婚なんて、絶対にない。 仮に身分が釣り合っていたとしても、ない。 白馬の王子様なんて、私には必要ない。 私がホッと胸を撫で下ろし、アイリスさんにお礼を言うと、アイリスさんはニコリと笑って力強く頷いた。 「うむ。しっかりと、店長殿と結婚するのは私だと主張しておいた」 「......へぅ?」 いや、確かに婚約者だけど! 「大丈夫よ、店長さん。婚姻届は出していないから。......まだ」 「まだ!?」 「いえ、一応は作ったのよ。もしも店長さんがカーク準男爵に手を出していた場合に備え、日付を適当に改竄した物を」 「店長殿なら場合によっては 「.........」 一瞬、『目撃者ゼロ』をやろうかな? と思ってしまっていただけに、否定ができない。 もしあの時、フェリク殿下が出てこなければ、あり得たかもしれない未来。 ぐぅ......フェリク殿下、良い仕事してるじゃないか。 あの芝居がかった、タイミングを計ったような出現はどうかと思うけど。 「こんな地方だと、王都まで書類が届くまでには時間がかかるのが普通じゃない? いざとなれば、店長さんに王都まで転送してもらえば、なんとかなるかもと思って」 確かに私が転送陣で王都に送り、師匠にでも提出してもらえば、多少日付を遡っていたところで誤魔化せるだろう。 貴族の地位が正式に認められるのは受理されてからだけど、婚姻の決定権は当主にあり、余程大物の横槍でも入らない限り、提出したものが拒否されることはまずない。 「ついでにいえば、家督を譲る申請もな。店長殿がロッツェ家の当主であれば、騎士爵と準男爵の争い。相手に非があれば、比較的穏便に済ませられる」 「そこまで!? ......うぅ」 そんな覚悟までされていては、何も言えない。 いや、むしろお礼を言うべきかも? 「むむむぅ......あ、ありが――」 「そうか! 了承してくれるか! では早速、転送してくれるか? いやー、折角作った書類が無駄にならなくて良かった!」 私の言葉に被せるように言ったアイリスさんが取り出したのは書類一式。 テーブルの上に並べられた書類は、きちんとした書式に則り作成された正式な物で、あとは私が署名をするだけで完成するようになっていた。 ――そう、婚姻届の書類が。 「いや、何でですか! なんで持ってきているんですか!? そこは『使わずに済んで良かったね』じゃないんですか!?」 「うむ、私もそのつもりだったのだが......」 気まずそうに視線を逸らしたアイリスさんをフォローするように、ケイトさんが苦笑して口を開いた。 「それがね? 帰った時に奥様から発破を掛けられたのよ。『採集者を続けるつもりなら、サラサさんをしっかりと捕まえておきなさい。あなたは年齢的に、普通の結婚をするのは難しいんだから』って」 「ほ、ほら、私ももう二〇だろう? 貴族の令嬢としては厳しい年齢になっているし、美女というわけじゃない。爵位も高くないから、借金を代わりにポンと返してくれるような都合の良い婿を見つけるのは難しいんだ」 貴族の令嬢ともなると、成人と同時に結婚する人も多く、二〇ともなれば行き遅れと言われかねない年齢。 アイリスさんは十分に美人だし、社交界に出れば引く手数多なんじゃないかと思うけど、容姿だけでは決まらないのが貴族の結婚。 借金を返せるような結婚相手は、 「領地のことを考えれば、今採集者を止めるわけにはいかないし......。解るだろう?」 両手をパタパタしながら、焦ったようにそんな解説をするアイリスさんを眺めながら、私は「むむっ」と唸る。 そんな私をダメ押しするように、ケイトさんも更に言葉を続ける。 「それに今回はなんとかなったけど、貴族関係のトラブルを考えたら、地位があった方が便利でしょ?」 「そ、そんな頻繁にトラブルは起きませんよ! ......きっと」 「そうかしら? 僅か一年でカーク準男爵と争い、それにフェリク殿下まで絡んできて......。ここだけの話、フェリク殿下って疫病神っぽくない?」 事実を言っちゃったよ!? 私でも考えるだけで、口にしなかったのに! 「だから、ここにサインしちゃった方が安心だと思うわよ?」 「さらさらっと書くだけだぞ?」 「うぐぐ......ロ、ロレアちゃんはどう思う?」 なかなか否定しづらい理由を並べられ、私は思わずロレアちゃんに助けを求める。 だがロレアちゃんはコテンと首を傾げて、にっこりと微笑んだ。 「えっと......良いんじゃないでしょうか?」 「ロ、ロレアちゃん!?」 はしごを蹴っ飛ばされたよ!? 以前防波堤になってくれたロレアちゃんは、どこに行っちゃったの? 「だって、その方が安全なんですよね? 結婚しても、これまで通りここでお店を続けられるみたいですし、私は別に......」 「ケイトさん!?」 事前に根回ししたでしょ!? と、視線を向ければ、ケイトさんはスッと目を逸らす。 以前、話が棚上げになった後、こっそりと説得していたに違いない。 ぐぬぬ......確かに、今の生活に変化がないのなら、ロレアちゃんには強く反対する理由もなくなるよねっ。 「それに、私もアイリスさんたちのことは好きですし。みんな一緒にいられるなら」 「あら、嬉しいわ。私もよ、ロレアちゃん」 「うむ、私もロレアのことは好きだぞ! さぁ、店長殿。サインを!」 ずいずいと書類を押してくるアイリスさんと、いつの間にやら用意したペンをぐいぐいと突き出してくるケイトさん。 そしてそんな二人と私を見ながら、のんびりとお茶を飲んでいるロレアちゃん。 そんな彼女たちから目を逸らすように私は天井を見上げ、ペンを取るべきか、頭を悩ませるのだった。

"--Well, maybe you can see that way. I don't have much cash." "Isn't that right? Well, he's not paying his debts, and whatever we're talking about." "I'm sorry, store manager. The autumn harvest was as usual, but the cash will be in for a while. If it's the real thing, I can give it to you right away....." "No, I don't mind. I can't even get a lot of wheat." I shake my head to the two of you who seem sorry. Incidentally, the Lotze family's debts have decreased, so I'm the only one who benefits, and Iris and the others don't get more debts every time they do a big job. Even this time, I've been using expensive materials called Masanon roots in the winter, so Iris has been distributing quite a bit of money to them. When I was a salamander, my debts increased, but not the Rozzes themselves. "But, honestly, the nuisance fee saved me this time. I have to pay taxes in the spring." Alchemist's taxes are self-reported. You must declare your sales every year and pay the default tax. It was spring that I opened this shop, so the due date is near. Even if you don't have any cash on hand, the sales themselves are solid, so the amount of taxes you pay should be considerable. I haven't calculated it yet, but if it hadn't been for this case, I might have struggled to pay. "Hmm, thanks to Lord Felix." "Without any trouble, we could have eliminated the Baron Kirk." "... that's right." It is true that I did not have to pay my debts, but it is difficult to thank me honestly. "I suspect Nord-san was instigated." I mean, Lord Felix can't feel 'nice!!' because of your son's open appearance (during limited time off). The type you don't want to get too close to... physiologically. "... speaking of which, Lord Felix, you've heard mysterious rumors in South Strag." "Ah, that? That's a lie." Kate denies Iris's words as she remembers them, along with a bitter smile. "Is there a rumor about His Highness Felix? Maybe they found out about the bald tempura? Yeah, but Iris and the others know, so it's not a lie. If I have used the medicine I gave you, it should have already healed. "No? Rumor has it that Lord Felix and the manager are getting married? "... yes? Me and Lorea's voices overlap. Uh, no, wait. Where'd you get that? There's no context at all. "To be precise, there are rumors that a young and capable alchemist will marry His Highness Felix. So, is it the store manager who meets the conditions in this neighborhood, and it seems that the name came out? "When did that happen, Sarasa? When we were alone, something...." "Because I don't! Nothing!!" I shook my head in a hurry to Lorelei, who looked at me anxiously. "I'm glad to hear that you're capable, but I can't marry His Highness, and I'm not happy at all! If you marry someone like that, your mental strength will be shredded every day! If you're going to marry His Highness, you'd better marry Iris many times over! At least it's not like I'm mentally tired at home. "It's okay. I've denied it." "Thank you! Thank you!!" I would never marry that prince. Even if his identity was proportionate, it wasn't. I don't need a white horse prince. When I stroked my chest down and thanked Iris, he smiled and nodded forcefully. "Mm-hmm. I insisted on marrying the manager." "... heh? No, I'm definitely your fiancée! "It's okay, store manager. Because I haven't filed a marriage notification.... not yet." "Not yet!?" "No, I made it. In case the store manager was working on the Baron Kirk, he would have altered the date appropriately." "I thought the manager might kill you in some cases." ......... Shall we do Witness Zero for a moment? I can't deny it just because I thought it was. If His Highness Felix hadn't come out at that time, there might have been a future. Ugh... Your Highness Felix, you're doing a good job. I don't know about that playful, timing appearance. "Isn't it normal in a region like this that it takes time for documents to reach King's Landing? If I had to, I thought I might be able to get the manager to transfer me to King's Landing." Sure, if I send it to King's Landing in the transfer team and have Master submit it to me, I would have misled it a little bit back in time. Although the status of nobility has been officially recognized since it was accepted, the right to decide on the marriage is vested in the Principal, and nothing submitted will be rejected unless it is even a big spear. "By the way, there's also an application to transfer the governor. If the store manager is the owner of the Rozze family, the battle between the knight and the quasi-bar. If they are wrong, they can be relatively calm." "That much!?...... uu" I can't say anything without being so prepared. No, maybe I should rather thank you? "Mumumu... ah, there's..." "I see! You have to understand! Okay, can you beam me in now? Oh, I'm glad I didn't waste the paperwork I made at the corner! Iris took out a set of papers that he told me to wear in my words. The documents arranged on the table were formalized according to a proper format, and all I had to do was sign them. - Yes, the marriage papers. "No, why! Why are you bringing it!? Isn't that 'I'm glad I didn't use it!'?" "Hmm, that's what I was going to do...." Kate smiled bitterly and opened her mouth to follow Iris, who had inadvertently lost his sight. "Is that it? When I got home, my wife blew me up. If you intend to continue gathering, hold Sarasa tight. Because it's difficult for you to get married at your age. '" "Look, look, I'm already 0, right? As a lady of nobility, she is at a tough age, and she is not a beautiful woman. It's hard to find a convenient son-in-law who can pay back his debts instead." Many people marry at the same time as adults when they become noble daughters, and when they reach the age of 20, they may be said to be late. Iris is beautiful enough and I think it would be a lot of trouble if she went out to socialize, but it's noble marriage that doesn't depend on her appearance alone. The only people who can pay off their debts are the (...) evil (...) sons of the capital. "Given the territory, we can't stop the Collector now... You know what I mean? As I stared at Iris giving such an explanation in a hurry with his hands patted, I roared. Kate keeps saying more than that to push me away. "I managed to do that this time, but it would be more convenient to have a position when you think about the trouble of nobility, right? "Well, you don't get in trouble that often!... I'm sure." Really? In just a year, I fought with Baron Kirk, and I even got involved with His Highness Felix.... Just for the record, isn't Lord Felix a plague god? I told you the truth!? I just thought about it and didn't say it! "That's why I think it's safer to sign here. "All you have to do is write a little bit more. "Ugu... Lorea, what do you think? I can't help but ask Lorea to help me arrange a reason why it's hard to deny. But Lorea leaned her head and smiled. "Um... isn't that good? "Lorraine!?" They kicked the ladder!? Where did Lorea go when she used to be a jetty? "I mean, that's safer, right? Even if you get married, it looks like you can continue shopping here as before, and I don't have to...." "Kate!?" You rooted it out in advance!?, Kate turns a blind eye. I must have secretly persuaded him before, after the story was put on the shelf. Gunnu... sure, if there's no change in your life now, there's no reason to strongly disagree with Lorea. "Besides, I like Iris and the others. If we can all stay together." "Oh, I'm so glad. Me too, Lorea." "Hmm, I love Lorea too! Come on, store manager. Sign it!" Iris pushes the paperwork very quickly, and Kate sticks out the pen she prepared. And Lorea, who is looking at me and drinking tea at ease. I looked up at the ceiling to distract myself from them and wondered whether I should take a pen.

「それは愛人とか、愛妾とかではなく?」 なんと言っても、事は高位貴族の閨事情。 それならばまだ理解できると尋ねてみたけれど、ケイトさんは重々しく首を振った。 「本妻。しかも、側室とかはいないらしいわ。女当主だから、側室というのが正しいのかは判らないけど」 「貴族としては、珍しいですね」 「そうよね。貴族なら複数を娶るの的なのに。――同性婚の場合に何が一般的なのかは、私も知らないけどね」 「ですね。事例、少ないですよね」 実際にどうなるかは別にして、私とアイリスさんの婚約の話が出て以降、ケイトさんはそのあたりのことについて色々調べていたらしい。 そこで出てきたのが、同性婚をしているフィルムス侯爵。 同性婚している人が爵位を継ぐのであればまだしも、既に爵位を継いでいる貴族ともなれば、その結婚には多くの 当然と言うべきか、フィルムス侯爵の結婚にも多くの横槍が入り、障害が立ち塞がり――実際に結婚できるまでにはかなりの紆余曲折があったようだ。 その結果、フィルムス侯爵は同じような境遇にある相手には同情的で、必要であれば同性カップルには支援を、邪魔したり侮辱する相手には強力な圧力を惜しまないのだとか。 「貴族の社交界ではそれなりに有名みたいね。アイツも知っていて助かったわ」 「所詮は準男爵だからな。侯爵家の当主を侮辱するようなことを言ったと耳に入れば、潰されかねない」 「アイリスと店長さんのことだけじゃなく、 「それで、『喉の調子が悪いから、はっきり発音できなかった』みたいな形に?」 そういう理由なら、なんとか誤魔化すしかなかったんだろうけど......。 呆れたように言った私に、アイリスさんも苦笑する。 「強引すぎるけどな。あれだけはっきり言っておきながら」 「まぁ、がいませんからね。聞き間違いと主張されると」 もしも、『「ふざけるな」なんて言っていない、きっと「ふん、そうか」と言ったのを聞き間違えたのだろう』とか、適当なことを言われても反論は難しい。 「はぇぇ、本当に女性同士で結婚している人がいるんですね」 少し呆れたような、戸惑うような、複雑な表情のロレアちゃんがそう言えば、ケイトさんはムフフと笑う。 「ちゃんと男性同士もいるわよ? 女性同士よりも少なめだけど」 「貴族って、凄いです......。でも、そういう方がおられるのなら、もしものときにも少し安心ですね」 「まあな。――もっとも力を借りてしまうと、私と店長殿の結婚が確定的になるのだが」 「......え?」 「だってそうだろう? 結婚したいからと助力を頼んでおきながら、実は結婚するつもりがなかったなどと、ロッツェ家が潰されかねん」 「あぁ、それはそうなるでしょうね。一度結婚して破局するならまだしも、結婚すらしないとか」 実態はどうあれ、口先だけで侯爵家を上手く利用したと見られかねない。 そんな喧嘩を売るに等しいことをすれば、騎士爵家なんて『プチッ』だろう。 それぐらい、侯爵家と騎士爵家には力の差がある。 納得したように私が頷けば、ロレアちゃんが焦ったように首を振る。 「そ、それはダメですね。力を借りずになんとかしましょう! 頑張ってください、サラサさん、アイリスさん」 「大丈夫だよ、名前を出して牽制するだけで十分だから。それに、そこまで気にする必要はなさそうだしね。しかし......カーク準男爵はもっと狡猾というイメージだったんだけど、なんだか底の浅い人でしたね?」 錬金術師に関する法律は、そこまで周知されているわけじゃないけれど、調べればすぐに判ること。 ロッツェ家の借金の証文から窺えた狡猾さは、彼からはまったく感じられなかった。 あれでは、貴族というよりも――。 「チンピラの元締めとか、そんな感じだったな」 「あぁ! 正にそれ!」 アイリスさんの言葉に私が思わずポンと手を叩けば、ロレアちゃんもコクコクと頷いて、言葉を続ける。 「それに言葉遣いも、なんだかチグハグでした」 「うん、それも同意。本当に貴族なのかな、あれって」 尊大なしゃべり方をしようとしていたのかもしれないけど、少し興奮するとボロが出ていたから、単なるチンピラにしか見えなかった。 地位のことを脇に置いても、声を荒らげて凄むカーク準男爵より、何を考えているのか読めない笑みを浮かべていたフェリク殿下の方が余程怖い。 私たち相手に取り繕う必要はないと思ったのかもしれないけど、交渉に於いて考えなしに感情を表に出すようじゃ底が知れるよね。 「彼は典型的な三代目なのよ」 「三代目、ですか?」 「そうよ、ロレアちゃん。そこまで大きな町じゃなかったサウス・ストラグを大きく発展させたのが、先々代のカーク準男爵。それを無難に運営していたのが先代。そして、控えめに言って凡愚なのが現カーク準男爵」 「控えめに言って? 『凡愚』が?」 「そう。一〇年ぐらい前の話になるんだけど、先代の時に陞爵の話が出たんだって。先々代の功績があったから。でも、それを潰したのが現準男爵。その時点で後継と決まっていた彼が何やら問題を起こしたとか? 控えなければ、かなりの愚物」 「お、おぅ......」 吐き捨てるように言ったケイトさんの言葉に、私は鼻白む。 けど、その評価も仕方ないのかも。 直接顔を合わせたのは今回が初めてだけど、どう見ても直情径行。 アイリスさんみたいに根が真っ直ぐで良い人ならまだしも、そこがひん曲がっている人がそんなことしてたら......よく貴族を続けられてたよね。 足の引っ張り合いが多い貴族社会なのに。 「ま、簡単に言えば考えなしのバカで、人間のクズで、暗愚な後継者ということね。領地が接してるから付き合わざるを得ないけど、できれば関わりたくない相手よ」 ケイトさんは鼻息も荒く、本当に遠慮のなくなった言葉を吐き出し、アイリスさんもまた苦笑を浮かべて肩をすくめる。 そんを見て、私とロレアちゃんは顔を見合わせた。 「ではなおのこと、ロッツェ家の借金の証文が不思議ですね。実際に書面を作るのは専門家にしても、誰が絵図面を書いたのか」 私が手を出さなければ、実質的にロッツェ家は乗っ取られていただろうし、手を出してもなお、カーク準男爵家には被害が及ばないよう、巧妙な契約になっていた。 専門家に任せれば指示した通りの証文は作ってくれるだろうけど、そんな専門家がまさか『こんな風にして騙しましょう』などと、アドバイスをするとも思えない。 「誰かから入れ知恵されたのか、優秀な補佐役がいるのか......。サウス・ストラグが寂れていないことを考えると、後者かしら?」 「おそらくはそうだろうな。アイツは明らかに短絡的なバカだ。今回のことは......その補佐役に相談もせず、独断で行動したとか、そんな感じじゃないか?」 カーク準男爵の愚かな思いつきを、上手く実現する有能な補佐役の存在。 準男爵と直接対面して受けた印象からして、とてもありそうな気がする。 私たちからすれば、とても迷惑なことに。 「そうなると少し心配ですね。私たちが長期にここを空けるのが」 明日からの買い出しに関しては、ケイトさんが残ってくれるし、せいぜい一泊二日、時間がかかっても二泊三日程度。 でも、ミサノンの根の採取に関しては、どんなに短くとも一週間以上、下手をすれば一ヶ月以上に亘ってロレアちゃん一人で留守番することになる。 それでも、相手が狡猾であれば――いや、少しでも考える頭を持っているなら、あまり心配はない。 仮にそこに錬金術師がいなかったとしても、錬金術師のお店を襲うなんて行為は、国の政策に対して喧嘩を売るようなもの。 襲わせた本人は処罰されるし、下手をすれば家自体が取り潰しになる。 もしもこの村の住民が領民だけであれば、圧力を掛けて口を噤ませることもできるかもしれないけど、この村には何人もの採集者がいる。 錬金術師のお店が襲われるようなことがあれば、採集者はこの村を離れるだろうし、そうなれば確実に話は広がる。 家の名誉を重んじる貴族からすれば、絶対に取り得ない選択肢なのだ。 だけど、そんなことすら想像できないほどに愚かだと......ロレアちゃんが危ない。 お店には防犯設備があるけれど、それは非致死性の物で、対応できるのは態度の悪い客とか、せいぜい泥棒とか、そのレベルまで。 武器を持った集団による、本格的な襲撃には力不足である。 万が一、ロレアちゃんが怪我をしたり、人質に取られたりするようなことがあれば......。 考え込む私に、アイリスさんが一つの提案を口にした。

"Isn't that like a mistress or a concubine? Whatever you say, it's a high-ranking aristocracy situation. I asked him if he could still understand that, but Mr. Kate shook his head heavily. "My real wife. Plus, they don't like side rooms or anything. I don't know if it's the right side room because I'm a woman." "As a nobleman, that's unusual" "Right. Even though it is common for a nobleman to marry more than one. - I don't know what's common in same-sex marriages, either." "Right. Few examples, right?" Aside from what actually happens, it seems that Kate has been doing a lot of research about the area since the story of my engagement with Mr. Iris came out. That's where I came out, the Marquis of Films, who is same-sex married. If a married man of the same sex succeeds to the throne, there are still many fences (marks) and rights involved in that marriage, if he also becomes a nobleman who has already succeeded to the throne. Naturally, there were also many cross spears in the marriage of the Marquis Films, and the obstacles blocked - there seemed to be quite a few extra twists before we could actually get married. As a result, the Marquis of Films is sympathetic to his opponents in similar circumstances and spares no strong pressure on same-sex couples to support him if necessary, and on those who disturb or insult him? "Sounds pretty famous in the aristocratic social world. I'm glad you know him." "Because you're an associate baron. If you put it in your ear that you said something insulting to the head of the Marquis, it could crush you." "Not only about Iris and the manager, but I said things that would disdain a woman (...) and a man (...)." "So, you couldn't pronounce it clearly because your throat is not feeling well? For that reason, I guess I had to manage to mislead...... Mr. Iris laughs at me, too, when I tell him like he's scared. "It's too strong, though. With all that clarity." "Well, there's no third party. When they claim to be misheard." If, 'I didn't say' don't joke ', I'm sure you misheard me say' hmm, well ', it's hard to argue even if they say the right thing. "Yes, there are people really married to each other" If Lorea, with a slightly frightened, bewildered, complex expression, says so, Mr. Kate laughs muffled. "Some men do, don't they? Less than women." "Nobility is amazing... But if that's the case, it's a little safer when it comes to it." "Sort of. - With the most help, my marriage to the manager will be definitive." "... Huh? "'Cause wouldn't you? The Rotze family could be crushed for not actually intending to get married, while asking for help because they wanted to get married." "Oh, that would happen, wouldn't it? You know, once you get married and you break it, you still don't even get married." Whatever the reality, you may be seen to have successfully used the Marquis just at the tip of your mouth. How 'petite' is a knight's house if you do something equal to selling a fight like that. About that, there is a difference in power between the Marquis and the Knights. If I nod as convinced, Lorea shakes her head like she's in a hurry. "Oh, you can't do that. Do something without help! Good luck, Mr. Sarasa, Mr. Iris." "It's okay, because it's enough to name and tow. Besides, you don't seem to have to worry about it that much. But... Associate Baron Kirk had the image of being more cunning, but you were kind of a shallow bottom guy, weren't you? The law on alchemists, though not so well known, should be known as soon as it is examined. The cunning I could see from the Rozze family's debt testimony was not felt at all by him. That's more than a nobleman... "You know, the ex-tightening of the chimp, that's what it was like." "Oh! Exactly that! If I accidentally slap Pong my hand on Mr. Iris' words, Lorea snorts and continues her words. "And the language, it was kind of a chig hug" "Yeah, I agree with that, too. I wonder if it's really noble, that one." Maybe I was trying to have a dignified way of talking, but when I got a little excited, I was bored, so it just seemed like a chimp. Even with the status aside, His Highness Felik is more scared than Associate Baron Kirk, who roughed up his voice and awesome, with an unreadable grin about what he was thinking. Maybe you didn't think we needed to fix it, but you know the bottom line when you're negotiating and you put your feelings on the table without thinking about it. "He's a typical third generation." "Third generation, is it? "Yes, Lorea. It was the previous generation of Associate Baron Kirk who developed South Strag so much that it wasn't that big a town. It was the predecessors who operated it without difficulty. And modestly, all foolish is now Associate Baron Kirk" "Modestly?" All Fools "? "Yes, it was about ten years ago, when I was a previous generation. Because of previous generations' achievements. But it was now the Associate Baron who crushed it. At that point, it was decided to succeed him. Did he cause any problems? Quite a fool if you don't refrain" "Ooh..." To Mr. Kate's words I told him to throw up, I snort. But maybe I can't help but appreciate that. This is the first time I've seen you face to face directly, but I don't care what you think. If the roots were straight and good people like Mr. Iris would still do that if someone there was crooked...... they would have kept the nobility going a lot, wouldn't they? Even though it is an aristocratic society with many leg pulls. "Simply put, you're a fool without thought, a human scumbag, a foolish successor. I have to go out with someone because the territory is bordering, but if I can, I don't want to get involved." Mr. Kate has a rough nose, spews out a truly far-fetched word, and Mr. Iris shrugs his shoulders with another bitter smile. Seeing those two, me and Lorea looked at each other. "All the more so, that's a strange testimony to the Rotze family's debt. Who wrote the picture surface, even if it is the experts who actually make the writing" If I hadn't gotten my hands on it, the Rotze family would have essentially been taken over, and even if I did, it should be noted that it had been a clever contract so that no harm would have been done to the Associate Baron Kirk family. If you leave it to the experts, they'll make the testimony you instructed, but I don't even think an expert like that would give advice on 'Let's cheat like this' or anything. "Have you been put in wisdom by someone or have you got an excellent aide...... Given that South Strag isn't lonely, could it be the latter? "Probably so. He's obviously a short-circuited idiot. This time... you didn't even talk to that aide and acted arbitrarily or something like that? The existence of a competent auxiliary to successfully realize the foolish thoughts of Associate Baron Kirk. From the impression I got in person with the Associate Baron, I feel very likely. From us, very annoyingly. "You're a little worried when you do. We're leaving this place empty for a long time." Regarding the buyout from tomorrow, Mr. Kate will stay, at most, for one or two nights, or two or three days, even if it takes time. But with regard to the collection of Missanon roots, I would leave Lorea alone for more than a week, no matter how short, and for more than a month if I did poorly. Still, if the other person is cunning - no, if you have a head to think about at all, don't worry too much. Assuming there wasn't an alchemist there, attacking an alchemist's shop would be like selling a fight against national policy. The person who made them attack will be punished, and if they do poorly, the house itself will be destroyed. If the inhabitants of this village are the only inhabitants, we may be able to pressure them to shut their mouths, but there are many gatherers in this village. If there is anything like an alchemist's shop being attacked, the gatherers will leave this village, and then the story will surely spread. From the honorable nobility of the house, it's an option you'll never take. But if you're stupid enough to even imagine that... Lorea is in danger. Though the store has security equipment, it's non-lethal, and it can handle unattractive customers, thieves at best, to that level. There is a lack of power for full-scale raids by armed groups. In case Lorea gets hurt or is taken hostage...... To me thinking, Mr Iris said one suggestion.

「サラサさん、今日の予定は?」 ダルナさんへの挨拶が予想以上に早く終わったため、開店はいつも通りの時間。 手早く開店作業を終えたところで、ロレアちゃんが私の今日の予定を訊ねてきた。 「......今日はまず、隣の薬草畑の確認と場合によっては指導かな?」 少し考えて答えた私に、ロレアちゃんがどこか嬉しそうにふむふむと頷く。 「順調みたいですね。マイケルさんから聞いています」 は、ね。育てやすい物を主体にしてるから」 ロレアちゃんって、地味に事情通なんだよね、私に比べて。 まぁ、定期的に食料の買い出しに行くロレアちゃんに対し、私はこの家からほとんど出ないからねぇ。あんまり用事がないから。 正確に言うなら、時々は出るけど、村よりも森とかサウス・ストラグに行く機会の方が多いって感じかな? ロレアちゃんのおかげで、ディラルさんの所にご飯を食べに行く必要もなくなったから。 「その後は、放置気味になってる裏の薬草畑の処理をしようかな?」 「え、あの畑、潰しちゃうんですか?」 「違う、違う。育てる物を変えようと思って。マイケルさんでも育てられる薬草なら、私が育てる必要もないし」 「あ、そうですよね。同じのを作っても無駄ですよね」 「そういうこと。だから、育てるのが難しい物を植える予定なんだけど......それだけに、種も高いんだよねぇ」 「ということは?」 「失敗すると、大損害! 今の私でも、結構痛いんだよね」 錬成薬 の種類に大きな違いがあるから、いずれは手に入れる必要があるんだけど。 ここの大樹海にも生えているはずだけど、今、村にいる採集者のレベルだと、命懸けになりそうなほど深い場所になるから、『採ってきて!』とも頼めない。 そもそも、余所から仕入れるよりはマシとはいえ、採ってきてもらってもお金が掛かることには違いがないし。 「なるほどです。でも、そういう薬草の栽培って、錬金術でもっと楽になったりはしないんですか?」 「一応、“完全育苗器”っていう、既知の植物であれば、魔力を注ぐだけで完璧に育ててくれる あ、既知といっても、正確に言うなら『栽培方法が確立している既知の植物』ね。 植物に精通した錬金術師を以てしても、育てられない植物は対象外。 その代わり、栽培方法が確立していれば、水も肥料も太陽の光すら必要ない、なかなかにとんでもない 大金持ちの貴族なんかは、これに観葉植物を入れて、部屋に飾っていたりするらしい。 私からすると、ちょっと信じられないけど。 「え、凄いじゃないですか。それを用意すれば、薬草の問題は解決なんじゃ?」 だから、他の錬金術師から買うような資金もない。ついでに言えば、作れる錬金術師もあんまりいないし、コスト的にも見合わない」 これ、錬金術大全に載っている だから、ちょこっと小さい草が生えるような薬草ならまだしも、草丈の高い薬草を育てようと思うと、完全育苗器のサイズも巨大化。作製にかかるコストも、それを維持するための魔力も莫大になる。 どのくらい高価かというと、小さな植木鉢が入るサイズで、庶民の家なら数軒建つようなレベル。 木から採取するような薬草に関しては、もはや非現実的でしかない。 そうやって育てて収穫する薬草の生産コストについては、言うまでもないだろう。 これに観葉植物を入れる貴族が信じられない私の気持ち、理解してくれるよね? 「はぁ~、そんな落とし穴が......。ちなみに、既知じゃない植物を入れると?」 「その場合は『完全』じゃなくて、『程々』に育ててくれる。上手く育つかどうかは......運?」 私も使ったことはないし、詳しくは知らないけど、ちょっとした品種の違いぐらいなら、良い感じに調整してくれるらしい。 ただし、既知の植物とはまったく種類の異なる、完全な新種を入れた場合の勝率は半々――よりも悪いとかなんとか。 新種の種苗なんて貴重だろうし、かなりリスキーだよね。 それなら普通の人は、自分で育てる方を選ぶ。 「ま、私には関係がない話だけど。買える物じゃないから」 「つまり、サラサさんが頑張って面倒を見るしかない、と」 「うん、基本的には。ただ、“育苗補助器”という は、ポットに植えた種が芽を出し、根を張るぐらいまで使用できる物。 その後は畑に植えて、通常通りに栽培。 それでも普通に種を植えるよりは、大幅に成功率が高い。 育てるのが難しい植物って、まず発芽するかどうかが最初の関門だから。 ポットに根っこをしっかりと張れるぐらいになれば、あとは結構なんとかなったりする。 もちろん、畑に植え付けた後も、気温、霜、雪、乾燥、肥料、魔力など、気を付けないといけない要素はたくさんあるけどね。 「それでも便利ですねぇ。農家の人が喜びそうな 「お金が掛からなければ、ね。完全育苗器とは比較にならないとはいえ、十分に高いし、魔晶石を使うにしろ、自分の魔力を使うにしろ、普通の農家だと賄えないから。赤字になっちゃうよ」 「ははぁ、普通の農作物じゃ、役に立たないと」 「そーゆーこと。魔力に問題のない私だって、薬草栽培だけを目的に作ることはないと思うよ。ちょっとやそっとじゃ元が取れないもん」 錬金術大全に載っていて、作らないといけないから作るだけ。 買ってくれる人がいるなら売りたいところだけど、この村だとやっぱり無理だよね。 植物の研究者でもなければ、普通は用事のない 「ま、当分の予定はそんな感じかな? そんなわけで、私は出かけてくるね。ロレアちゃん、店番の方はよろしく」 「はい、任せてください。行ってらっしゃいませ」 ◇ ◇ ◇ お隣の畑では、今日もマイケルさんとイズーさんが頑張っていた。 以前、ガットさんが言っていた通り、マイケルさんたちはとても真面目で、教えたことはきっちりと、サボることなくやっている。 技術面ではまだまだなので、放置することはできないけれど、安心して作業を任せることはできていた。 「おはようございます。朝早くからご苦労様です」 「あ、サラサさん。おはようございます。良い天気ですね」 私が声を掛けると、イズーさんが顔を上げ、にっこりと挨拶を返してくれる。 遠くで作業をしていたマイケルさんも、私の姿に気付くと、やや早足でこちらにやってきた。 「調子はどうですか?」 「問題ないと思いますが......確認して頂けますか?」 少しだけ不安そうなマイケルさんに促され、私は畑の何カ所かで薬草を確認してみるけど......病気はないし、成長も問題なし。虫もついていないね。 「......はい、大丈夫そうですね。もう少し......霜が降りる前には収穫できますよ」 「ついにですか! いやー、初めての収穫だけに、楽しみです!」 「私の育てた物が......」 実家の手伝いをしていたマイケルさんはともかく、町育ちのイズーさんは正真正銘、これが初めて育てた作物。 それだけにどこか感慨深げに、しっかりと育った薬草を見つめている。 だが、ふと気付いたように私を見て、口を開いた。 「ところで、これを収穫した後は春までなにもなし、ですか? もう冬になりますが」 「私としては、それでも構いませんが......」 マイケルさんたちには、畑で収穫した薬草の一部の他、しばらくの間はエリンさんから給料が支払われる。 だからこそ、冬場に無理して働く必要はないんだけど、収穫が得られれば、それだけ収入も増えるわけで。 「できれば、何か植えられたら嬉しいです」 だからこそ、イズーさんからそんな提案があったことは、さほど不思議ではなかった。

Grow Expensive Herbs () "Mr. Sarasa, what are your plans for today? The opening time is as usual because the greeting to Mr. Darna ended earlier than expected. Just finishing the shop early, Lorea asked about my plans for today. "... first today, check the next herbal field and, in some cases, instruct? I answered with a few thoughts, and Lorea nodded happily somewhere. Hmm. "Sounds like things are going well. Michael tells me." "For once, yeah. Because it's mainly easy to grow." Lorea is plainly circumstantial, compared to me. Well, compared to Lorea, who goes to buy out food on a regular basis, I barely get out of this house, so hey. Because I don't have much business. If I'm being precise, do I sometimes leave, but do I feel more likely to go to the woods or South Strag than to go to the village? Because thanks to Lorea, I don't even have to go to Mr. Diral's for dinner anymore. "After that, why don't we take care of the herbal fields behind you that are feeling left out? "Oh, that field, will you crush it? "No, no. Trying to change what I grow. If Michael could grow herbs, I wouldn't have to grow them." "Oh, right. It's no use making the same one." "That sort of thing. So I'm planning on planting something that's hard to grow... so the seeds are expensive too." "What do you mean? "If you fail, it will be devastating! Even now, it hurts a lot." However, there is a huge difference between the types of smelters (potions) that can be made, so I need to get them anyway. It should also be growing in the Great Tree Sea here, but now, at the level of gatherers in the village, it's going to be such a deep place that it's going to put your life on the line, 'Pick it up!' I can't even ask for it. In the first place, even though it's better than purchasing from extra space, it doesn't make a difference that it costs money to have it picked. "I see. But wouldn't cultivating herbs like that be easier with alchemy? "For once, if it's a known plant called a“ complete nursery, "there are smelters (artifacts) that grow perfectly just by instilling magic..." Oh, even if it's known, 'known plants with established cultivation methods', to be exact. Even plant-savvy alchemists do not cover plants that cannot be grown. Instead, if cultivation methods are established, there is no need for water, fertilizer, or even sunlight, a rather absurd smelter (artifact). The big rich aristocrats seem to put ornamental plants in this and decorate the room. From me, it's a little hard to believe. "Oh, isn't that awesome? With that in place, the problem with the herbs is solved, right? "No, no, I wouldn't have a hard time if it was that simple. I can't make it now, and I don't have the funds to buy it from other alchemists because it's a tear-free expensive smelter (artifact). Finally, there are not many alchemists who can make them, and they are not cost-worthy" This is the smelter (artifact) found in all nine volumes of Alchemy, and it is a very rare substitute. On top of that, it's a glass dome-shaped smelter (artifact), so if it's a kind of herb that grows a little smaller grass, it's still a huge size for a complete nursery when you want to grow a grassy herb. The cost of making it, as well as the magic power to maintain it, will be enormous. How expensive is it, it's the size of a small plant pot that comes in, a level that would build a few houses for ordinary people. With regard to herbs such as those to be collected from trees, it is no longer only unrealistic. Needless to say about the cost of producing herbs that grow and harvest that way. I can't believe the nobility who puts ornamental plants in this. You understand my feelings, right? "Huh, such a pitfall...... By the way, when you put in an unknown plant? "In that case, it's not 'complete', it raises me to 'moderate'. Whether or not you grow up well...... luck? I've never used it either, and I don't know the details, but if it's about a little variety difference, they adjust it to look good. However, the odds of winning if you put in a complete new species, completely different from the known plants, are half - worse than something like that. What a precious new breed of seedlings, and it's pretty risky, isn't it? Ordinary people choose to raise their own. "Well, it's none of my business. Because it's not something you can buy." "I mean, Mr. Sarasa has to work hard and take care of him," he said. "Yeah, basically. However, there is also a smelter (artifact) called" nursery aid, "and I can make it here, so I'm going to use this." This smelter (artifact) can be used until the seeds planted in the pot are sprouted and rooted. Afterwards it is planted in the fields and cultivated as usual. Still, it has a significantly higher success rate than planting seeds normally. Because the first gateway to plants that are difficult to grow is whether they germinate. As long as I can get my roots firmly in the pot, I can handle quite a bit of the rest. Of course, even after planting in the field, there are many elements to be aware of, such as temperature, frost, snow, dryness, fertilizer and magic. "Still convenient. It's an artifact that farmers are going to love." "If it doesn't cost you money, yeah. Although it's not comparable to a complete nursery, it's expensive enough, because you can't bribe a normal farmer by using Demonic Crystal Stone, by using your own magic. You're gonna have a deficit." "Ha ha, on a regular crop, it has to be useful" "So-yu thing. I don't think I'd make it just for herb cultivation. I can't take it from you." It's on all of the alchemy and I just make it because I have to make it. If anyone wants to buy it, I'd love to sell it, but I still can't do it in this village. If you're not a plant researcher, you're usually an errand-free smelter (artifact). "Is that what you plan to do for the time being? That's why I'm going out. Lorea, say hello to the store number." "Yes, I'll take care of it. You're not going." ◇ ◇ ◇ In the neighboring fields, Michael and Izu were still working hard today. As Mr. Gatt said before, Michael and the others are very serious and do exactly what they have taught, without skipping. Not yet in terms of technology, so I couldn't leave it alone, but I could safely leave the work to it. "Good morning. Thank you for your hard work early in the morning." "Ah, Mr. Sarasa. Good morning. It's a beautiful day." When I speak, Mr. Izu looks up and smiles back and greets me. Michael, who was working far away, also came here slightly faster when he noticed what I looked like. "How's it going? "I don't think it's a problem...... can you confirm that? Michael, who seems a little anxious, prompted me to check on the herbs in some parts of the field... but I'm not sick, and my growth is fine. You don't even have a bug. "... Yes, that sounds fine. A little more... you can harvest it before it frosts." "Finally! No, just for my first harvest, I'm looking forward to it! "What I grew up with..." Regardless of Michael, who was helping his parents, Izu, who grew up in town, is the real deal, this is the first crop I've ever grown. So somewhere emotionally, I'm staring at a well-grown herb. But he looked at me like he realized, and he opened his mouth. "By the way, after harvesting this, nothing until spring, is it? It's winter now." "As far as I'm concerned, I don't mind..." Michael and the others are paid by Erin for a while in addition to some of the herbs harvested in the field. That's why I don't have to work in the winter, but if I get a harvest, that's all I get. "Hopefully, I'd be happy to plant something" That is why it was not so surprising that Mr Izu had made such a proposal.

「サラマンダー、ですか」 「うん。あるよね? この近くに。生息地が」 「......ありますが、すでにいませんよ? 斃して素材にしてしまいましたから」 素材を流した以上、そのことを知られるのは必然だとは思うけど、逆に言えばすでに斃していることも判るはず。生態の調査なんて、できるわけがない。 それとも、素材を譲ってくれという話? 訝しげに眉をひそめた私に、ノルドさんはパタパタと手を振る。 「あ、それは大丈夫。他の生息地で、すでにある程度の調査は終わっているからね。補完的に、サラマンダーが生息していた洞窟の調査がやりたいんだ」 「そうなんですか? であれば、そこで研究を続ければ良かったと思うんですが......」 どこから来たのかは知らないけど、わざわざこんな田舎までやってくる意味が解らない。 言外にそのことを匂わせた私に、ノルドさんはばつが悪そうに笑みを浮かべ、頭を掻いた。 「いや、それが護衛を頼んでいた人たちが負傷してね。代わりの護衛も探したんだけど、その周辺だと、引き受けてくれる人がいなかったんだよ」 「そ、それは......」 何か問題があったってことじゃ? 護衛の依頼は本来の採集者の仕事じゃないとはいえ、仕事として魅力的なら、引き受けてくれる人はいるはずだし。 私の脳裏に、レオノーラさんからの手紙に書かれていた『無茶を言われても聞く必要はない』という言葉が 「あぁ、いや、ボクはきちんと報酬を払ってたし、無茶なことを言ったりはしてないよ? でも、ほら、サラマンダーのいる場所に行くためには、装備とか必要だから、普通じゃ無理だろう? さすがにボクも、装備品すべてを負担できるほど、お金持ちじゃないから」 「それは......そうですね」 がなければ、近付くことすらできないのがサラマンダーの生息地。 を新たに揃えることは難しい。 「それに、生息場所をしっかりと調査するという意味では、サラマンダーはいない方が都合が良いんだよ。けど、簡単に斃せる相手でもないだろう?」 「それで私の所に来たということですか。ここならすでにサラマンダーは斃されているし、サラマンダーを斃した私なら、すでに必要な装備は持っていると」 「そう。といっても、錬金術師であるサラサ君を連れ出すのが難しいのは解ってる。だから、協力者を紹介してもらえないかな、と。いるんだよね? 協力してくれた採集者が」 サラマンダーの討伐方法やその経緯について、詳しい内容をレオノーラさんに話したことはないけれど、常識的に考えて、サラマンダーの討伐を一人でやるはずもない。 誰か協力者がいると考えるのが必然であり、それがこの村の採集者であると予測するのもまた必然。 実際、直接サラマンダーと対峙したアイリスさんたちはここにいるわけだし、その予測は間違っていない。 「解りました。面談の段取りだけは承ります。ですが、護衛の依頼を請けるかどうかは、本人たち次第、私は特に口添えはしませんが、よろしいですね?」 サラマンダーがいなくとも、あの辺りは決して容易いと言える場所ではなく、正直なところ、あまりアイリスさんたちに行って欲しい場所ではない。 溶岩トカゲはともかく、確率は低いながら、ヘル・フレイム・グリズリーの群れが戻ってきているかもしれないわけで。 でも、ここで拒否したとしても、アイリスさんたちのことは調べれば判ること。 それならば、私も一緒に話を聞いた方がマシである。 「もちろん構わないよ。そのあたりの交渉をするのは、研究者として当然のことだからね」 笑顔で自信ありげに頷くノルドさんに、私は少し不安を覚えたのだった。 ◇ ◇ ◇ ノルドさんが帰った後、共音箱でレオノーラさんに確認を取ってみれば、彼が持ってきた紹介状は確かに本物で間違いなかった。 レオノーラさんからは、重ねて『無理のない範囲で良いから協力をお願い』と頼まれ、同時に『研究のことになると、周りが見えなくなるヤツだから、無理なことを言われれば、はっきり断って良いし、おかしなことをしたら、力尽くで制裁しても構わない』との言葉も頂いた。 これで一安心――できないよね! 不安材料が補強され、どう考えても厄介事の香りしかしない。 レオノーラさんに言われるまでもなく、そんな雰囲気のある人だったけど、許可されたところで、『制裁』とか、どう対応すれば良いのか......。 そんな風に悩みつつ、明けて翌日。 私はアイリスさん、ケイトさんと共に、最近ウチのお店に新設された応接室で、ノルドさんがやってくるのを待っていた。 新設といっても、お店を建て増ししたわけじゃなく、店舗スペースの裏にあった倉庫を応接間に改造し、店舗から直接入れる扉を付けただけ。 先日、アデルバート様たちが訪れたとき、応対する部屋がなかったことで、奥のダイニングに招くことになり、さすがにこれはマズいと気付いたのだ。 アデルバート様たちや師匠は身内だからまだ良いけど、例えば今回のノルドさんみたいなお客さんを、私たちの生活空間であるダイニングに入れるのは、さすがに躊躇するものがある。 これまでは、ちょっとした商談なら、カウンター越しでの応対。 少し長くなるなら、店舗スペースに置かれたテーブルセット(大半は、私たちのティータイムに使われる)で対応できていた。 でも、そこでは他人に聞かれたくない話などはできない。 それ故作った応接室。 実際に使うのは、今日が初めてである。 「しかし、魔物の生態か。そんな研究をしている人がいたんだな」 「私も初めて聞くわ。店長さん、どんな人だったの?」 「そうですね......ある意味、典型的な研究者、でしょうか」 研究第一で、それには人一倍の情熱を傾けるけど、それ以外のことには頓着しないタイプ。 それ故、髪や服装も適当だったし、野暮ったい格好でも気にしない。 錬金術師養成学校にも、一定数はああいうタイプの教授・講師がいた。 学校だったから、さすがに不潔な人はいなかったけど。 ......ん? 人のこと言えない? いやいや、さすがの私も、外に出るときにはそれなりに気をつけていた――つもりだから。 もっとも、細かいコーディネートなんて考えず、先輩に選んでもらった一式を、上下含めてそのまま着ることがほとんどだったけど。 上手く組み合わせを変えられるほど、服もセンスも持ってなかったからね! 「レオノーラさんの紹介ですから、そこまでおかしな人ではないと思いますが......」 でも、レオノーラさんの話からすれば、どう考えても一筋縄でいく人とも思えないんだよねぇ......。 少し不安になりつつ待つこと暫し。 私たは、再び訪ねてきたノルドさんと対面していた。 昨日は宿に泊まったはずだけど、格好に変化なし。 ボサボサの髪もそのままで、長旅をしてきたから、昨日はたまたま草臥れていたというわけでもないらしい。 でも、不潔という感じじゃないから、同じ服を複数持ってるのかも? 「初めまして。ノルドラッド・エヴァンスだ。ノルドと呼んでほしい。サラサ君、こちらが、サラマンダーの討伐に参加した人かな?」 「はい。助けてもらいました」 「アイリスだ。言っておくが私たちは、ほぼ店長殿について行っただけだぞ? 間違っても、サラマンダーに対抗できる、などと期待されても困る」 「ケイトです。ほとんど、ついて行っただけよね? 私たち」 戦力的に、過剰な期待をされても困るからか、予防線を張る二人に、ノルドさんは問題ないと首を振った。 「もちろん、君たちにサラマンダーと戦ってくれ、なんて言うつもりはないさ。それに、僅かな怪我すらしないように完璧にエスコートしてくれ、なんて言うつもりもない。ボクも筋肉を鍛えてるからね。道中に出てくる魔物にすら勝てないようじゃ困るけど、さすがにそれは大丈夫なんだろ?」 「群れで襲われたりしなければ大丈夫だと思うが......護衛は必要なのか? かなり鍛えられているように見えるが......」 「お、判るかい?」 アイリスさんの指摘に、ノルドさんは嬉しそうに笑うと、両手を合わせて「ふんっ!」と力を込めた。 ムキッと盛り上がった筋肉はなかなかに見事。 でも暑苦しいから止めて欲しい。 私、別に筋肉フェチじゃないので。 そんな私の願いが届いたのか、それとも常識を思い出したのか、ノルドさんはすぐに力を緩めて首を振る。 「でも、逃げ足にも、耐久力にも自信はあるけど、戦闘技術は別だよ。それに周囲を警戒しながら細かい調査なんて、できないからね」 「なるほど。道理ではあるな」 調査の方に集中していれば、周囲への注意はどうしても散漫になる。 逃げられる足を持っていても、攻撃される瞬間まで気付かないのでは何の意味もない。 それを考えれば、近くで警戒してくれる人がいるだけでも、安心感は違うだろう。 「ふむ。となると、請けるかどうかは報酬次第になるが」 「そうだね、そこまで多くは出せないんだけど、二人だから......」 アイリスさんの問いかけに、ノルドさんは顎に手を当てて、少し考え込む。 サラマンダーの調査だけで、その素材が得られるわけでもなし。 研究なんてそんなに利益がでるものじゃないから、予算的にはなかなか大変そうだけど......。 「村を出て帰ってくるまで、一日一人当たり金貨二〇枚でどう?」 った!」

"Salamander, is it" "Yeah. There is, isn't there? Near here. The habitat." "... yes, but you're not already here, are you? 'Cause I killed him and made him into a material." I know it's inevitable that you'll find out more about it than you've flushed the material, but on the contrary, you'll also know that you've already been killed. There's no way I can investigate ecology. Or are you talking about giving me the material? Mr. Nord waves patterned at me with a surprising frown. "Oh, that's okay. In other habitats, some surveys have already been completed. Complementary, I'd like to do a survey of the caves where Salamander lived." "Really? If so, I wish I had continued my research there..." I don't know where you're from, but I don't know what it means to come all the way to a country like this. Mr. Nord smiled badly and scratched his head at me for smelling the matter. "No, that's who you were asking for an escort to get hurt. I also looked for a replacement escort, but around there, there was no one to take care of it." "Oh, that's..." Doesn't that mean something went wrong? Even though the request for escorts isn't the original gatherer's job, if it's attractive as a job, there's got to be someone to take it on. Behind my brain, the phrase "you don't have to ask me if I'm unscrupulous" was written in a letter from Leonora. "Oh, no, I was well paid, and I didn't say anything unscrupulous, did I? But, look, we need equipment or something to get to where the salamander is, so we can't do it normally, can we? Exactly, because I'm not rich enough to afford all my gear." "That's... right" Without the smelter (artifact) that protects itself from heat, as we did when we headed for the crusade, it is the habitat of Salamander that we cannot even get close. It is difficult to align those smelters (artifacts) anew on a daily allowance of somewhat better proportions. "Besides, in the sense of a thorough survey of habitats, it's more convenient not to have a salamander. But you're not the easiest person to kill, are you? "So you came to me? Salamander's already been shot here, and if I killed Salamander, I'd already have the gear I needed." "Yes. Even so, I know it's hard to get you out, Sarasa, an alchemist. So I was wondering if you could introduce me to your collaborators. He's here, isn't he? A collector who helped me." Although I have never told Mr. Leonora more about how Salamander crusaded and how he did it, there is no way in common sense that he would do the Salamander crusade alone. It is inevitable to assume that someone has collaborators, and it is also inevitable to predict that it is the gatherer of this village. In fact, Mr. Iris and the others who confronted Salamander directly are here, and that prediction is not incorrect. "I understand. I can only take steps for the interview. However, depending on whether or not they request an escort, I don't particularly care, do I? Even without Salamander, that neighborhood is by no means an easy place to say, and to be honest, it's not much of a place I'd like Mr. Iris to go. Whatever the lava lizard is, the odds are low, so the herd of Hell Flame Grizzlies may be returning. But even if you refuse here, find out about Mr. Iris and the others. Then it would be better if I listened with you. "Of course I don't mind. It's only natural to negotiate around there as a researcher." I was a little anxious for Nord, who smiled and nodded confidently. ◇ ◇ ◇ After Mr. Nord returned, I tried to get confirmation from Mr. Leonora in the symphony box, and the references he brought were certainly genuine and definite. Ms Leonora asked me to 'cooperate because it is good to the extent that it is impossible' on top of each other, and at the same time to say 'when it comes to research, he is the one who will not be able to see around you, so if you say something that is impossible, you can say no clearly, and if you do something strange, you can do everything you can to sanction him'. Now you can rest assured - you can't! The anxiety material is reinforced, and no matter what you think, it only smells like trouble. I didn't have to be told by Mr. Leonora, he was someone with such an atmosphere, but where he was allowed, 'sanctions' or whatever to do about it...... The next day after dawn while worrying like that. I was with Mr Iris and Mr Kate in a reception room recently built in our shop, waiting for Mr Nord to come. Even when it came to the new building, I didn't build more stores, I just remodeled the warehouse behind the store space into the reception room and attached a door that I would put in directly from the store. The other day, when Adelbert and the others visited, there was no room to respond, which led them to the dining room in the back, and I realized that this was a bad idea. Dear Adelbert and his master are still good because they are inside him, but there is just something I hesitate to put a customer like Mr. Nord in the dining room, which is our living space, for example, this time. Previously, for a little business talk, a response over the counter. If it were a little longer, it could have been handled with a set of tables placed in store space (mostly, used for our tee time). But I can't talk about things there that I don't want others to hear. That's why I built the reception room. Today is the first time I have actually used it. "But is it demonic ecology? Someone was doing that kind of research." "I've never heard that before, either. Mr. Store Manager, what was he like? "Right... in a way, typical researcher, is it?" Research comes first, the type that leans twice as passionate about it, but doesn't pay attention to anything else. So my hair and clothes were appropriate, and I don't care if I dress wild. There were a certain number of professors and lecturers of that type in the Alchemist Training School. It was school, so no one was just unclean. ...... hmm? Can't you talk about people? No, no, that's just me, too, I was pretty careful when I went outside - because I meant to. Most of the time, I didn't think about fine coordination, and I wore the set that my senior chose, including up and down. I didn't have enough clothes or taste to change the combination! "This is Leonora's introduction, so I don't think he's that crazy..." But from Mr. Leonora's story, I don't even think he's going to be a glimmer no matter what he thinks... Wait while I get a little nervous. The three of us were face-to-face with Mr. Nord, who had visited us again. I should have stayed at the inn yesterday, but no change in outfit. Bossy's hair stayed the same, and he's traveled a long time, so it doesn't mean he happened to be grassy yesterday. But it doesn't feel unclean, so maybe you have more than one of the same clothes? "Nice to meet you. It's Nordrad Evans. I want you to call me Nord. Sarasa, are these two the people who took part in the Salamander crusade? "Yes, I got help" "It's Iris. I'm telling you, we almost just followed the manager, didn't we? I have trouble expecting you to be wrong, be able to counter salamanders, etc." "It's Kate. Mostly, you just followed me, didn't you? Us" Warriorly, Mr. Nord shook his head saying he had no problem, either because he would have trouble expecting excessive expectations or putting up a line of prevention. "Of course, I'm not going to tell you to fight Salamander. Besides, escort me perfectly so that I don't even get slightly hurt, and I'm not going to say anything. I'm building muscles, too. I don't even seem to be able to beat the demons coming out on the road, but that's just fine, right? "I think we'll be fine if we don't get attacked in the herd or something... do we need an escort? Looks pretty well trained though......" "Oh, you know what? To Iris's point, Nord laughed happily, his hands together and said, "Huh!," he put his strength into it. Mucky uplifted muscles are quite brilliant. But I want you to stop because it's hot and painful. Because I'm not a muscle fetish. Whether such a wish of mine arrived or a reminder of common sense, Mr. Nord immediately loosens his strength and shakes his head. "But I'm confident in escape and endurance, except for combat technology. Besides, I can't do a detailed investigation with vigilance around me." "I see. That makes sense." If you concentrate on the investigation, your attention to your surroundings will be really scattered. It doesn't make any sense to have a leg to escape, but not realize it until the moment it's attacked. Given that, peace of mind would be different, even if there were just people nearby who would be vigilant. "Hmm. Then it depends on the reward whether or not you can contract it." "Right, I can't get that much out of you, because it's two of us..." In response to Mr. Iris' inquiry, Mr. Nord puts his hand on his chin and thinks a little. Salamander's investigation alone doesn't give us that material. Research doesn't seem so profitable, so it seems pretty hard on the budget...... "How about gold coins per person per day until you get back from the village? "Oh, my God!

「扉の再利用は、無理っぽいね......」 未だ破壊の跡が残る台所。 最初に調査したのは、裏庭丸見えで、風が吹き込んでいる裏口部分。 温かい時期だから、“自然を感じながらの食事”とか自分を騙せているけど、これが冬場なら、ただの苦行である。 「はい。完全に壊れてましたから、あそこに」 裏庭の隅。 ロレアちゃんが指さしたところにある瓦礫の山。 その中に扉のなれの果ては転がっていた。 バキバキ。 正にそんな状態。 穴を塞げば使えるよね、とかそんな状態ですら無い。 「......うん、あれは諦めよう。次は壁だけど......よくもまぁ、壊してくれたなぁ......」 この建物は刻印の効果で、普通に比べればかなり強固になっている。 それでも扉や窓などは、元の素材が素材なので、壊される事自体はあり得ないわけじゃない。 でも、壁は石造り。 元々かなり強固な石壁が、刻印によって更に強化されているわけで。 普通の人間では、ハンマーを持って来ても壊すことは 「熊でも壊せないはずなんだけど、さすがは狂乱状態って事かな」 「かなり強引に、侵入されてますよね」 扉のサイズは人間用。 ヘル・フレイム・グリズリーには小さすぎたらしく、周りの壁を破壊して入ろうとしたものだから、扉周りの壁が大きくえぐれている。 「......はぁ、ここの修復は、ゲベルクさんと協力して頑張るしかないよね」 刻印が含まれるから、大工さんだけにお任せ、とはいかないんだよね。 そして、その刻印の修復に必要な素材のコストは......考えたくない! 「さて、ロレアちゃん、台所に何が欲しい? もう、好きな物言っちゃって良いよ! 錬金術師の底力、見せてあげるから!」 になって、ドンと胸を叩いた私に、ロレアちゃんは少し気後れしたように、遠慮がちに答える。 「あ、いえ、普通にコンロがあれば......魔導コンロは使ってみたいですけど」 「魔導コンロ。了解、了解、もちろん付けますよ、その程度。水は? 井戸から自動で汲み上げてくれる魔道具とか欲しくない?」 「......あると便利ですけど、良いんですか? すぐ傍に井戸があるだけでも十分に贅沢なのに」 「錬金術師だからね! そもそも、そのうち作るつもりだったし」 もうこうなったら、徹底的に便利にしてやるっ! 「じゃあ、お願いします」 「他は......オーブンとかどう? パンとか、簡単に焼けちゃうよ?」 「い、良いんですか!? そんな高価な物!」 「だいじょーぶ! お姉さんに任せなさい! 魔導オーブン、作っちゃうから! ハハハ!」 驚きに目を見開いたロレアちゃんに、私は反っくり返って笑う。 実のところ、ちゃんとしたオーブンを持つ家は案外少ない。 いや、普通の家だと、ほぼ持ってないと言うべきかな? 魔導コンロと似た様な仕組みの魔導オーブンは別にして、普通のオーブン――所謂パン釜などは、まずは窯自体を温めるために、とにかくたくさんの薪を消費する。 家族分のパンを焼くために、そんなに大量の薪は使えないので、普通はパン屋や宿屋など、たくさんのパンを焼く所にしか窯は無い。 もしくは村に共有の窯があって、それに焼く。......この村には無いけど。 そんな事もあって、個人で気軽に使える窯――オーブンはとても貴重なのだ。 もっとも、同じ理由からオーブンを使う機会も少ないので、使いこなせるかどうかは別問題だけどね。 「あとは......冷蔵庫と、冷凍庫も設置しようかな? あったら便利だよね?」 「た、確かに便利ですけど......サラサさん、いくら何でも贅沢しすぎでは......?」 か、冷蔵庫すらこの村で設置している所は無いだろう。 なかなかに高いからね。 あれば便利だけど、無くてもそんなに困らないし。 「でも、ロレアちゃん、良い台所を作ろうって言ったよね?」 小首を傾げてそんな事を言ったわたしに、ロレアちゃんが慌てた様に、手をワタワタと動かす。 「い、言いましたけど! いくら何でも......!」 「冗談だよ、冗談」 「で、ですよね。さすがに、そこまでの物は設置しませんよね」 ホッとした様に息を吐いたロレアちゃんに、私は追い打ち。 「いや、それは設置するんだけども」 「するんですか!?」 「するんです。気にしなくても大丈夫だよ、練習も兼ねてだから。これでも私、修行中の身ですから」 「そう、なんですか? なら良い......んでしょうか?」 「うん。気にしない、気にしない」 実際、そのへんの道具は一度作らないとダメなのだ。 ちょうど錬金術大全に載っている物だから、これを作らないに進めない。 売れる物なら別にうちに設置する必要も無いんだけど、この村じゃまず無理だろうからね。 「まずは、素材の発注と壁の修理だよね。ロレアちゃん、店番お願いできる? ちょっと出てくるから」 「解りました。行ってらっしゃいませ」 ◇ ◇ ◇ 魔導コンロ、それに魔導オーブンの作製には鉄板が必要となる。 ベースとなる鉄板を錬金術で加工して、魔導コンロやオーブンにするのだ。 必要なのは一四枚の鉄板。 それに、他の部品を作ったりするための多少の鉄塊。 それらを鍛冶師のジズドさんに注文した後、私は大工のゲベルクさんの家へ。 一見、普通の民家にしか見えない家の扉を開け、声を掛ける。 「こんにちは~~。サラサです」 一見すると気難しそうなお爺さんであるゲベルクさん。 でも、実際にはとても良い人。 だいぶ慣れたので、今では私も、気軽に話せるほどに成長しました。 「おう、嬢ちゃん。やっと来たか。行くぞ」 「――え? ええっ?」 挨拶しただけなのに、すぐさま家を出て行こうとするゲベルクさんに、私が目を白黒させていると、ゲベルクさんは急かす様に私の背中をパシーンと叩いた。 「お前さんの家を直すんだろうが。一番の功労者の家が壊れたままっつーのは、この村の大工としての矜恃が許さんかったんだが、さすがに寝こんどる家に押しかけるわけにいかんかったからな」 「あの、他の家の補修の予定などは......?」 今日のところは、いつ頃なら直してもらえるか、その打ち合わせに来たつもりだったんだけど。 「バカヤロウ! 嬢ちゃんの家が優先に決まっとるだろうが! ほれ、急がんか!」 「は、はい!」 と歩くゲベルクさんの後を、小走りで追いかけながら自分の家へ。 急かされるまま、壊れてしまった裏側へと案内する。 「かぁ! こいつは、見事に壊れちまったな! 塀は元通りに直せば良いのか?」 「はい。そちらはそれで」 緊急ではないとはいえ、せっかく作った裏庭の塀。 薬草畑を守るため、そして何より、人目を気にせずに洗濯物を干すためにも、こちらも直さないといけない。 でもより重要なのは、やっぱり家の方。 「塀の方は急がないんですが、家の方が......」 自然を感じられるのは良いけれど、雨が降ったりしたら困るからね。 「ふむ、扉だけじゃなく、壁もやられたか。ここの壁、なんか知らんが、普通に比べて頑丈なんだろう?」 「ご存じなんですか?」 「この家の建築にはワシも関わっとるからな」 ――考えてみれば当然か。 ゲベルクさんがこの村の大工である事と、その年齢を考えれば。 逆にこの村の建物で、ゲベルクさんが関わっていない物を探す方が難しいんじゃないかな? 「刻印がどうとか言われて、面倒かったのを覚えとるわ」 「あー......」 まぁ、刻印を入れるとなると、大工さんの思う様には建てられないからねぇ。 形にも制限が掛かるし、作業途中に何度も錬金術的作業が挟まるから、短気な人はイライラすると思う。 「今回も、その......修復時にはご迷惑をおかけすると思うのですが......」 「解っとる。客の要望に応えるのが大工の仕事だ。自分の好きな物を作るのは仕事じゃない。趣味だ」 「おぉ......」 素晴らしい。尊敬。 仮にプロだとしても、客の要望を端から無視して、『こっちが良いんだからこうしろ』とか言うのはやっぱダメだよね。 変える必要があるのなら、理由をきちんと説明して、納得してもらうべき。 お客商売なんだから。 そんな私の視線を受け、ゲベルクさんはくすぐったそうに視線を逸らして鼻を鳴らす。 「ふん。それで、すぐに修復を始めて良いのか? 嬢ちゃんの予定は」 「もちろん大丈夫です。お店の方はロレアちゃんに任せてますし、ここを直すのも重要ですから」 「じゃあ、さっさと始めるぞ。このままじゃ、嬢ちゃんたちも落ちつかんじゃろう」 「はい」 家の補修は専門的作業という事で、塀を作る時に呼んできた村の人たちの参加は無し。 私とゲベルクさんだけで作業を進める。 ゲベルクさんがブロックを積んだり漆喰を塗ったりして、私が錬金術的仕組みを施すんだけど――。 「結構慣れてますね?」 「ワシは嬢ちゃんの人生、その何倍も職人としてやってんだぞ」 「ですよね」 この家の建築にも関わってるって言ってたしね。 しかし、刻印の補修というのは案外難しい。 新規に作るのなら、自分が作りやすい様に作れば良いけど、補修の場合は、既存の刻印とズレが無い様にかなり慎重に作業しないといけないから、神経を使う。 そして、ゴリゴリと消耗していく、高価な素材。 うぅ、痛い。とても痛い。お財布的に。延いては精神的に。 総額がいくらになるか、正直、考えたくも無い。 そんな苦行を続けること、数時間。ついに壁の補修が完成した。 ......うん、ついにというほど時間掛かってないね。 ま、ゲベルクさんの手並みが良いことは当然として、私も魔法も使って手伝ったからね。 「惜しいな。嬢ちゃんが錬金術師じゃなけりゃ、弟子にしたんだがな」 「錬金術師じゃなかったら、大工の真似事なんてできてないですけどね、学校で習ったことですから」 「器用さは学校、関係なかろう? 仕込めば良いだけよ」 「そう言えば、ゲベルクさんって、弟子がいませんよね?」 「それよ。なかなか根性のある奴がおらんのだ」 不満そうに、鼻から息を吐くゲベルクさんだけど、この親方はなかなかに厳しそうだから、ねぇ。 これまでの仕事ぶりを見ても。 依頼する方としては良いんだけど、弟子になるのは大変そう。 「まぁ、それは良い。――扉は普通で良いんだよな?」 「はい。あ、でも、丈夫なのでお願いします。前の、ああなっちゃいましたから」 私が指さした扉の残骸を見て、ゲベルクさんも苦笑を浮かべる。 「あんなことが何度もあったら困るんだが......解った。庭の塀の方も近いうちに直しておく」 「よろしくお願いします」 『近いうち』と言いつつも、そこはゲベルクさん。 その翌日には、家の裏口に扉がつき、塀も綺麗に完成してしまったのだった。

"It seems impossible to reuse the door..." The kitchen still leaves traces of destruction. The first thing I investigated was the back entrance area with a full view of the backyard and the wind blowing in. It's a warm time, so I can fool myself into eating while feeling nature, but if this is winter, it's just a pain in the ass. "Yes, it was completely broken, over there" Corner of the backyard. A pile of debris just where Lorea pointed. The end of the door in it was rolling. Bakibaki. Exactly in that condition. You can use it if you block the hole, or not even in that condition. "... yeah, let's give that up. Next up is the wall... how dare you break it..." This building has the effect of engraving and is considerably stronger than normal. Still, doors, windows, etc. are not likely to break themselves because the original material is material. But the walls are stone built. The original rather strong stone walls are further reinforced by engraving. In a normal human being, bringing a hammer won't break it. "Even bears can't break it, but I guess that means frenzy." "Pretty forceful, isn't it?" Door size is for human use. They were too small for Hell Flame Grizzlies, and the walls around the door are huge and crooked because they were the ones that destroyed the walls around them and tried to get in. "... ha, the only way to fix this place is to work with Mr. Geberg" It includes engraving, so you can't just leave it to the carpenter. And the cost of the materials needed to repair that engraving...... I don't want to think about it! "Well, Lorea, what do you want in the kitchen? You can say whatever you want now! The alchemist's bottom line, because I'll show you! Half abandoned herself, she replies reluctantly, as Lorea was a little carried away, to me when Don and I slapped her in the chest. "Oh, no, normally if I had a stove...... I'd like to try the Magic Instruction Stove" "Magic guide stove. Copy, copy, I'll put it on, of course, to that extent. You want some water? You don't want some kind of magic equipment that automatically pumps you out of the well? "... it's convenient to have one, is that good? Even though it's luxurious enough just to have a well right next door." "You're an alchemist! In the first place, I was going to make it sometime." If this happens again, I'll make it thoroughly convenient for you! "Well, please" "What about the other... oven or something? You know, bread, it's easy to bake, right? "Yes, is that good!? Such expensive stuff! "Daiji-bu! Leave it to your sister! Magic guide oven, because I'm going to make it! Hahaha!" I laugh upside down at Lorea, who opened her eyes to surprise. As a matter of fact, there are few houses with decent ovens out there. No, a normal house, should I say I barely have it? Apart from the Magic Instruction oven, which has a similar mechanism to the Magic Instruction Stove, ordinary ovens - so-called bread cauldrons, etc. - consume a lot of firewood anyway, first to warm the kiln itself. You can't use that much firewood to bake bread for your family, so there are usually only kilns in places where you bake a lot of bread, such as bakeries and lodgings. Or there's a shared kiln in the village, and I cook it all at once.... Not in this village though. With that happening, a personal, easy-to-use kiln - the oven is invaluable. Most importantly, I don't have many opportunities to use the oven for the same reason, so it's a different matter of whether I can use it or not. "And then... should I install a fridge and a freezer too? That would be convenient, wouldn't it? "Ha, it's certainly convenient... Sarasa, how much is anything too extravagant...? There is no place in this village where freezers can be found. Because it's pretty expensive. It would be useful, but I don't have that much trouble without it. "But, Lorea, you said we'd build a good kitchen, right? I tilted my neck and said such a thing, and I move my hands like Lorea panicked. "Yes, I told you! Whatever you want......! "It's a joke, a joke" "So, right? Exactly, you don't install that much stuff." I chased after Lorea, who exhaled like a ho. "No, I'll install it." "Do you!?" "I will. You don't have to worry about it, because it's a combination of practice. I'm still in training." "Yes, what is it? Then it's good...... isn't it? "Yeah. I don't care, I don't care" In fact, you have to make the tools around it once. It's just what's on all four volumes of Alchemy, so I can't move on to five volumes without making this. I don't need to install anything that sells, but this village won't be able to do it first. "First of all, order materials and repair walls, right? Lorea, can I have your store number, please? 'Cause I'm gonna come out a little bit." "I understand. You're not going." ◇ ◇ ◇ Teppanyaki is required to make the Magic Stove and the Magic Oven. Alchemy processes the iron plates on which they are based and turns them into guided stoves and ovens. All you need is one or four iron plates. Plus, some iron chunks to make other parts or something. After ordering them from the blacksmith, Mr. Zizd, I went to the carpenter, Mr. Geberg's house. At first glance, it opens the door to a house that only looks like a normal private home and speaks up. "Hello ~. I'm Sarasa" Mr. Geberg, a seemingly difficult grandfather. But he's actually a very good guy. Much used to it, so now I, too, have grown up enough to talk easily. "Whoa, lady. Are you finally here? Let's go." "- Huh? Huh? I just greeted Mr. Geberg, trying to leave the house immediately, and as I was black-and-white his eyes, Mr. Geberg slapped me in the back with a pastime to hurry. "I guess I'll fix your house. The house of the most meritorious remains broken because I couldn't allow myself to be a carpenter in this village, but I couldn't just push myself into a sleeping house." "Um, any plans to repair other houses, etc...? As of today, I was going to come to that meeting to see when you could fix it. "Silly Yarrow! Although the lady's house will be decided first! Look, you have sudden cancer! "Yes! Pasin again, and I was slapped in the back, and I went after Mr. Geberg, who walked with "Kakushaku", to my house, chasing him for a small run. Lead them to the back where they are broken, as they are rushed. "Aah! This guy's broken brilliantly! Should the walls be fixed as usual? "Yes, that's it." Though not urgent, the backyard fence I made because of it. We need to fix this to protect the herbal fields and, most importantly, to dry the laundry without worrying about the eyes. But more importantly, I knew you were at home. "I'm not in a hurry with the walls, but the house is better..." It's good to feel natural, but if it rains, I'll have trouble. "Hmm, did they hit the wall as well as the door? I don't know about the walls here, but they're sturdy compared to normal, right? "Do you know that? "The architecture of this house involves me." - Naturally if you think about it. Given that Mr. Geberg is a carpenter in this village and his age. On the contrary, isn't it harder to find something in this village building that Mr. Geberg isn't involved in? "I'll remember the engraving being a pain in the ass." "Uh..." Well, when you put in the engraving, it's because you can't build it the way the carpenter thinks. I think people who are short tempered are frustrated because there are restrictions on form, and many times alchemy work gets pinched in the middle of work. "This time, too, I think it will cause inconvenience at the time of repair..." "Understand. It is the carpenter's job to meet the customer's demands. It's not my job to make whatever I want. Hobbies." "Ooh..." Excellent. Respect. Even if you're a pro, you still can't ignore a customer's request from the edge and say, 'This way is good' or something. If you need to change, you should explain why properly and convince them. Because it's a business. Receiving such my gaze, Mr. Geberg snorts out of his gaze as he tickles. "Hmm. So, can we start restoring it right away? Miss, what are your plans?" "Of course I'm fine. The store leaves it to Lorea, and it's important to fix this place." "Well, let's just get started. Keep it up, ladies." "Yes." The repair of the house means professional work, and there is no participation from the villagers who called for it when making the walls. Me and Mr. Geberg alone will proceed with the work. Mr. Geberg loads blocks and lacquers, and I apply the alchemy mechanism... "You're quite used to it, aren't you? "I've been working as a craftsman for many times as long as my daughter's life." "Right" You said you were involved in the architecture of this house, too. However, repairing the engraving is difficult to guide. If you want to make a new one, you can make it so that it is easy for you to make one, but in the case of repairs, you have to work quite carefully so that there are no existing engravings and discrepancies, so use nerves. And gory and worn out, expensive materials. Ugh, it hurts. Very painful. Purse wise. Spiritually. I honestly don't even want to think about how much the total will be. To continue such a painful struggle, for a few hours. The repair of the wall was finally completed. ... Yeah, it hasn't taken you long enough at last. As a matter of course, Mr. Geberg has a good hand, and I helped him with both magic. "That's a shame. If you weren't an alchemist, I'd have made you an apprentice." "If I hadn't been an alchemist, I wouldn't have been able to imitate a carpenter, because that's what I learned in school." "Dexterity is school, let's not relate? You just have to plant it." "With that said, Mr. Geberg, you don't have a disciple, do you? "That's it. He's got a lot of guts." Disgruntled, Mr. Geberg exhales from his nose, but this parent seems pretty tough, so hey. Even if you look at the work you've done so far. I'd like to be the one to ask for it, but it seems hard to be a disciple. "Well, that's good. - Doors are normal and good, right? "Yes. Oh, but it's sturdy, so please. Previously on" Oh, my God. " Mr. Geberg also smiles bitterly when he sees the remains of the door I pointed to. "I'd be in trouble if that happened again and again... ok. I'll fix the garden walls soon." "Regards" 'Soon', but there's Mr. Geberg. The next day, the door was attached to the back door of the house and the fence was beautifully completed.

クルミの探索能力は的確だった。 クルミが飛び出した場所の雪を除け、地面を掘り、ミサノンの根を掘り出す。 それにハズレもなく、私たちがミサノンを探す手間はゼロ。 凍った地面を掘るのに少し手間取ったぐらいでで取り組めば一日足らずで必要十分なミサノンの根を確保することに成功した。 そうなればもう寒い冬山にいる必要もなく、帰途を急いだ私たちだったが――。 「何事もなくは、帰れないですか......」 「どうした、店長殿。何かトラブルか?」 「はい、残念ながら」 往路は吹雪で数日足止めを食っただけで、これと言った問題はなかったのだが、復路、 私の探知魔法に引っ掛かる、これまでとは明らかに異なる反応。 それが何かなど、言うまでもない。 滑雪巨蟲 「やはりか! 避けることは可能か?」 「攻撃したわけじゃありませんし、普通なら森に逃げ込めば追ってこないんですが......」 現在私たちが歩いているのは見晴らしの良い雪原。 のおかげで、私たちも平地とさほど遜色ない速度で走れるけど、雪上を滑る相手には分が悪い。 「つまり、迎え撃つしかないってことね」 「そうですね。雪洞を掘って隠れる方法もありますが、見つかると叩き潰される危険があります。逃げることもできずに」 その光景を想像したのか、アイリスさんが即座に首を振る。 「却下だな。それならば、戦う方が余程良い。――店長殿もいるしな」 期待が重い。 言っておくけど、私、錬金術師。戦うのは専門じゃないからね? そりゃ、必要なら戦うけれども。 「できれば、アイリスさんたちに期待したいですね~。あ、来ますよ」 そう言って私が指さした直後、小さな丘の向こうから が姿を現す。 それを見た瞬間、ロレアちゃんの口があんぐりと開いた。 そして、私の腕に縋り付くようにして声を上げる。 「サ、サラサさん! 大きすぎませんか!?」 だからね。小さかったら、ただの虫だからね。殺虫剤で一撃だからね」 その程度なら、わざわざ警告もしていない。 「いや、それにしても! サラマンダーより大きくないか!?」 形としては、巨大なカミキリムシだろうか。 長い触角に鋭く丈夫そうな顎、体は全体的に細長く、そこから生えの長い脚の先は少し平らになっている。 体色は金属光沢を伴い、やや緑掛かっに輝いて、真っ白な雪原では非常に目立っていたが、まるで敵などいないと主張しているようにも見える。 だがそれも当然かもしれない。 足の一本ですら、私の身体以上の大きさがあるのだから。 「でも大丈夫です。サラマンダーほど強くないですから」 の周りに人がいるみたいなんだけど......」 ケイトさんが指摘した通り、その全身が見え始めた は持っていないのだろう。半身を雪に埋めた状態で、半ば泳ぐようにして その速度は決して速いとは言えなかったが、それでも何とか逃げられているのは、余程体力があるからだろう。 「採集者でしょうか?」 「う~ん、それにしてはちょっと違和感が......」 ヨック村の採集者はこの辺りに来るという話は聞いていないけど、大樹海周辺にある村はヨック村だけではない。 だから他の村から来た採集者が、この山にいてもおかしくはない。 おかしくはないんだけど、私が違和感を覚えたのはその人数。 一般的な採集者のパーティーは六人程度までなのに、 サラマンダーなど、特定の魔物の討伐を目的とするなら大人数を動員することもあるけど、その対象に 人里に下りてくることはないので危険性は低いし、得られる素材の価値も危険性に見合うほどではない。 そもそも素材が必要ならば、雪深いこの時季を選ぶ必要性なんてほとんどなく、雪が溶け始めて 「......こちらに近付いてくるな」 広い雪原の中で、何故かこちらに向かって逃げてくる人たちと、それを追いかける 更には、「助けてくれーーー!!」という叫び声まで聞こえてきた。 「......怪しいわね」 「ですよね?」 「えぇ!? そうなんですか?」 「ロレアちゃん、助けを求めてくる人が善人とは限らないんだよ?」 例えば街道で立ち往生している人がいたとして。 親切心を出して手助けしようとしたら盗賊の罠だった、なんてこともあるのだ。 自分たちで身を守れる私たちはともかく、戦えないロレアちゃんに、安易に近付かせることは到底容認できない。 「本当なら、ここから強めの魔法で攻撃するのが安全なんですが......」 問題は魔法の余波を、周囲にいる人たちが受けかねないこと。 それを上手く回避できても、雪崩が発生してそれに巻き込まれる危険性もある。 「安全性を考えれば同意したいところだけど、敵味方不明の状態でさすがにそれは......」 難色を示すケイトさんと、その横でコクコクと頷いているロレアちゃんを見ると、さすがに強行もできない。 明確に盗賊だったなら、遠慮する必要もなかったのに......ちょっと残念。 まぁ、雪崩の方は私たちにも影響が及びかねないから、どちらにしてもあまり強力な魔法は使えないんだけど。 「ですね。――見殺しも寝覚めが悪いですし」 私たちの安全を最優先するならそれも選択肢の一つだけど、ハラハラしながら見ているロレアちゃんの前では、ちょっと選びづらい。 あ、一人触角に弾き飛ばされて、雪に埋まった。 あんまり余裕はなさそうだね。 ロレアちゃんを除く私たは顔を見合わせて頷くと、武器を構える。 そして、ケイトさんが矢をつがえると同時に、アイリスさんが警告を発した。 「お前たち、それ以上近付くな! 左右に逃げろ!」 その言葉が終わると同時に放たれる矢。 標的は駆け寄ってくる人――ではなく、 ケイトさんの矢は狙い違わず左の触角、その先端から三分の一ほどの場所に突き刺さり、 だが、ケイトさんはその声ではなく、結果に顔を顰めた。 「くっ、この弓でも射切れないの?」 サラマンダーとの戦いの際、弓がまったく効かなかった反省から、ケイトさんの弓は私の手によりちょっとだけバージョンアップして、魔力を込められるようになっている。 その効果はというと、込めた魔力の量に応じて弓の復元力が増して――簡単に言えば、引く力はそのままに、消費魔力に比例して矢の速度がアップする。 ただコストの問題から、ケイトさんが元々使っていた弓をベースとしているため、残念ながら込められる魔力には限界がある。 それでぐらいの速度は出ているはずなんだけど......結果はご覧の通り。 突き刺さりこそしたものの、残念ながら触角を断つまでには至っていない。 「突き抜けてはいますから、威力を上げるには矢の方を変えるべきかもしれませんね」 「うぅ、コストが......」 私の指摘に、ケイトさんが情けない表情を浮かべる。 サラマンダーに使った氷結の矢は別格としても、特殊な矢はそれだけコストが掛かる。 であれば当然、単純な鍛冶技術のみで作られたものであっても、再利用するためにはメンテナンスが必要となる。 金銭的に余裕がなければ、おいそれと使用できる物ではない。 「その際にはご相談に乗りますよ――っ、来ますよ!」 だったが、その攻撃をした私たちを敵と見定めたのか、こちらへ向かって滑るように移動し始めた。

- Encounter () The walnut's ability to explore was accurate. Exclude the snow where the walnuts jumped out, dig the ground, and dig out the roots of Masanon. And there is no hassle, and we have no trouble finding Masanon. After taking a little time to dig up the frozen ground, the four of us succeeded in securing enough Masanon roots in less than a day. Then we didn't have to stay in the cold winter mountains anymore, but we hurried home. "I can't go home without everything....." "What's wrong, store manager? Are you in trouble? "Yes, unfortunately." The outbound journey was stopped only for a few days by a snowstorm, and there was no problem with that, but it happened when the outbound journey reached the habitat of the giant bug (centipede). Obviously a different reaction to my detection magic. It goes without saying what it is. Again! Is it possible to avoid it? "I didn't attack you, and normally if you run into the woods, you won't come after me...." We are walking in a snowy area with a good view. Home ground for the ski giant Snowglide Centipede, which travels sliding over snow. Thanks to snowshoes (snow boots), we can also run at a speed comparable to that of a flat surface, but it's not good for people to slip on snow. "I mean, we have to intercept them." "That's right. There are also ways to dig snow holes and hide, but there is a risk of being crushed if they are found. I couldn't escape." Imagine that sight, Iris immediately shook his head. "That's rejected. If that's the case, it's better to fight. ― ― The manager is here too. Expectations are high. I'm telling you, I'm an alchemist. You're not a specialist in fighting, are you? Well, I'll fight if I have to. "If possible, I'd like to look forward to Iris and the others. Ah, I'm coming." Shortly after I pointed that out, the ski giant Snowglide Centipede appeared from the other side of the hill. The moment I saw it, Lorea's mouth opened rapidly. And I'm going to cling to my arm and raise my voice. "Sarasa-san! Too big!?" "It's a giant (centipede). If it's small, it's just a bug. It's an insecticide blow." To that extent, I didn't bother to warn you. "No, and yet! Bigger than a salamander!?" In form, is it a giant beetle? Long tentacles, sharp and sturdy jaws, the body is overall elongated, and the tips of the six long legs that emerge from it are slightly flat. The body colour was metallic, shiny with a slightly green seven colours, very prominent in the pure white snow fields, but it also appeared to claim that there were no enemies. But that may be natural. Even one foot is bigger than my body. "But it's okay. It's not as strong as a salamander." "It's not comparable!? Besides... it looks like there are people around giant bugs..." As Kate pointed out, there was a stupid black figure at the foot of the ski giant Snowglide Centipede, who began to see his whole body. I'd say if it were true, they probably don't have snowy mountain boots like ours. With half of his body buried in snow, he looks like he's swimming in the middle of nowhere and escaping the ski giant Snow Glide Sentipide. I could never say that the speed was fast, but I'm still managing to escape because of my extra strength. "Are you a collector? "Hmm, that makes me feel a little uncomfortable...." Yoke Village collectors have not heard that they will come here, but Yoke Village is not the only village around the Great Tree Sea. That's why it's not strange for a gatherer from another village to be in this mountain. It's not strange, but that's the number of people I felt uncomfortable with. The average gatherer's party is about six, but there are more than ten people at the foot of the ski giant Snowglide Centipede. Sometimes large numbers of people are mobilized for the purpose of fighting certain monsters, such as salamanders, but if the ski giant "Snowglide Sentipide" is included in the target, it is probably no. The danger is low because it does not fall into the public domain, and the value of the material obtained is not enough to be commensurate with the danger. If materials are needed in the first place, there is little need to choose this snowy season, and we should aim for the time when the snow begins to melt and the ski giant Snowglide Centipede becomes difficult to move. "... stay away from me." Snowglide Centipede, a ski giant chasing after the people who somehow flee towards us in the vast snowlands. In addition, I heard the cry "Help me!!". "... that sounds suspicious." "Isn't that right? "Hmm!? Really? "Lorea, not all people who ask for help are good people. For example, if someone was stuck on the street. It was a bandit's trap when I tried to be kind enough to help. Whatever we can do to protect ourselves, it is totally unacceptable for Lorelei, who can't fight, to get close enough. "If it's true, it's safe to attack with strong magic from here....." The problem is that the people around you can take the aftermath of magic. Even if it is successfully avoided, there is a risk that an avalanche will occur and become involved in it. "For safety's sake, I'd like to agree, but I'm unaware of the enemy's side, and that's just..." When I saw Kate showing difficulty and Lorea nodding next to her, I couldn't force her. If it had been a bandit, I wouldn't have had to... I'm a little sorry. Well, the avalanche may affect us too, so either way, we can't use very powerful magic. "That's right. --I don't wake up well even if I kill someone." If our safety is our top priority, it's also an option, but it's a little hard to choose from in front of Lorea, who is looking at us in a harsh way. Ah, one of them bounced off the tentacles and buried in the snow. I don't think I can afford it. With the exception of Lorea, the three of us nodded face to face and stood up for our weapons. And while Kate was pointing her arrow, Iris issued a warning. "You guys, stay away from me! Run left and right! An arrow that is fired at the same time as the word ends. The target is not a rushing person - it is a long tentacle of the ski giant Snowglide Centipede. Kate's arrow was aimed at the left tentacle, about a third of the way from its tip, and the ski giant Snowglide Centipede said, "Giggle!" and raised her deafening voice. But Kate looked at the result, not the voice. "Kh, can't you shoot this bow off? From the reflection that the bow did not work at all during the battle against Salamander, Kate's bow was only slightly upgraded by my hand to allow me to apply my magic. The effect is that the resilience of the bow increases according to the amount of magic put in it - to put it simply, the pulling force stays the same and the speed of the arrow increases in proportion to the magic consumed. However, due to cost issues, since Kate's original bow is based, unfortunately there is a limit to the magic that can be put in. Still, it should be twice as fast... as you can see. Though it was only the piercing, unfortunately it hasn't reached the point where the tentacles were cut off. "We're through, so maybe we should change the arrows to be more powerful." "Ugh, the cost....." Kate has a pathetic look on her face. Ice arrows used for salamanders are exceptional, but special arrows can be costly. Even if recovered after use, if it is a smelter (artifact), it naturally requires maintenance in order to be reused, even if it is made only by simple smithing techniques. If I can't afford it, it's not something I can use. "In that case, I'll get in touch with you - I'm coming! Shortly after the arrow hit, it was the ski giant Snowglide Centipede, which was able to swing its tentacles, but either identified us as the enemy that attacked us, or they started moving towards us sliding.

翌日の早朝、私とアイリスさんは、ダルナさんから借りた荷車に 走る速度は、いつもに比べてやや控えめ。 あのクッションを敷いても衝撃の吸収能力には限界があるし、荷車自体の耐久性の問題もあるからね。 最良なのは振動ないフローティング・ボードを使う方法だけど、身体強化に魔力を消費している状態で、あれに魔力を供給しながらサウス・ストラグまで走りきるのは、私でもさすがに厳しい。 なので荷車。 アイリスさんが一緒であることを考えれば、速度的にもちょうど良かったとも言える。 そのアイリスさんに、途中で荷車を牽くのを交代してもらったり、ロレアちゃんの美味しいお弁当に舌鼓を打ったりしながら私たちはひた走り、そろそろ日が傾き始めた頃。 私たちは当初の予定通り、サウス・ストラグに到着していた。 「まさか、本当に着いてしまうとは......絶対、途中で野宿になると思っていたぞ?」 やや呆れ気味にサウス・ストラグの門を見上げたアイリスさんに、私は荷車を示す。 「この荷車だからこそ、ですよ。これにはロレアちゃんが贈った“コロコロ”が付いてますからね。普通の荷車だと、さすがに無理でした」 のコロコロに付け替えた結果、この荷車の転がり性能はかなり凄い。 それは空荷、且つ平らな石畳であれば、指一本でも軽く動かせるほど。 整備の行き届いていない街道、荷物も満載となればそこまで軽くはないが、高速で走っても簡単には壊れない耐久性だけでも十分以上に価値がある。 普通の車軸であの速度を出せば、ほぼ確実にこの町まで保たずに壊れていたことだろう。 もちろん、出発前にはきちんと整備したし、返す前にも整備して返す予定。 ロレアちゃんの注文だけに、かなり気合いを入れて作った 「......つまり、店長殿が凄いと」 を考えた人が、ですよ。私はそれを作っただけですから」 「そういう見方もできるが――まぁ良いか。最初は 「はい。これをもったまま宿に行くのは、私でも不安ですし」 の価値は、低く見積もっても庶民の家一軒よりも高い。 そんな物を気軽に宿に預けることなどできないし、預けられた方も困るだろう。 なので、町に入った私たちは、真っ直ぐにレオノーラさんの所に向かう。 今日も綺麗に掃除されているお店の前にひとまず荷車を置き、そこをアイリスさんに任せて私はお店の中へ。 「いらっしゃい、サラサ。よく来たわね」 「お久しぶり、サラサちゃん。お疲れ様」 「ご無沙汰しています、レオノーラさん、フィリオーネさん」 来ることを連絡していたからかして私を出迎えてくれるレオノーラさんとフィリオーネさん。 そんな二人に私は丁寧に頭を下げる。 「すみません、この度は無理を聞いて頂いて――」 いきなり連絡して、同業者に『不良在庫の まずは謝罪を、と言いかけた私の言葉を、レオノーラさんは苦笑しながら手を振って遮る。 「あぁ、気にしないで――とか話す前に、運び込んじゃいましょ。この辺りの治安は悪くないけど、不用心だからね」 「はい、解りました」 表の荷車に目を向けるレオノーラさんに頷き、私がお店の外へ向かえば、二人も付いてきて、荷車の横に立って警戒しているアイリスさんに声を掛けた。 「あなたがアイリスね。話だけは聞いてたけど、直接会うのは初めてね」 「そうだな。色々とお世話になっている、レオノーラ殿」 「私はフィリオーネ。店番とか、ノーラの世話とか、そのへんのことをしてるのよ。よろしくね、アイリスちゃん」 「ア、アイリスちゃん......、よ、よろしく頼む、フィリオーネ殿」 ちゃん付けはちょっと予想外だったのか、アイリスさんが戸惑ったように目を瞬かせるが、ニコニコと人の良さそうなフィリオーネさんの笑顔を見て、呼び方については何も言わず、挨拶を返す。 「それじゃ、運び込むわよ。大きい物は店の隅の床に、小さい物はあそこのテーブルの上に置いていって」 で運べば大した量はなく、すぐに荷台は空になる。 そして、最後に残った超衝撃吸収クッションも、丸めて持ち込む。 売るつもりはないけれど、これも十分に高価な 「しかし......メジャーな物ばかり持ち込んだわね?」 「この町でも売れそうにない物を持ち込むのは、さすがに申し訳ないですから......」 途中から荷物運びを抜け、査定の方に移っていたレオノーラさんは、金額を書き込んでいた手を止めて顔を上げる。 「そこはあまり気にしなくても良かったんだけど......そうね、全部でこれぐらいでどう?」 ぴらりと見せられた紙に記された額に、私はちょっと目を瞠る。 「レオノーラさん、これって、定価に近いんじゃ......?」 全部売れてもほぼ利益なし、売れ残れば確実に赤字。 を売り切るのが難しいのは、当然ながら言うまでもない。 そのことをあえて口に出さずとも、私の言いたいことは解ったのだろう。 レオノーラさんは、困ったように苦笑して口を開く。 「今回は私が紹介したノルドが原因でしょ? 少しぐらいは支援させて。それに、サラサの作った 「見ての通り、錬金術大全に載っている一般的な を作ってみたりはするけれど、今回はレオノーラさんに買ってもらおうと持ち込んだ物。 自分でお客さんに売るならともかく、変に改造してある物やピーキーな性能の物は困るだろうと、そういった物は当然に除外している。 「でも、効率は良いんでしょ? 聞いているわよ。その効率の良さがなければ、危なかったとも。......あぁ、ノルドにはしっかりと制裁しておいたから、安心して」 そう言いながら、握った拳を振るレオノーラさん。 紹介状にあった『制裁』はやっぱり拳だったのかと、ちらりとフィリオーネさんの方に視線を向ければ、彼女は困ったように笑いながら「数発ほど、しっかりと」と頷く。 訊けばノルドさん、王都に帰る前にこのお店に寄り、『紹介してもらった上で起きたことだから』と、この前の顛末をしっかりと報告していたらしい。 そのあたりの気遣いはしっかりとできるのだから、できる大人、だよねぇ――一見すると。いや、一部を除けば実際にそうなのが更に厄介かも。 本当に迷惑なだけの人なら切り捨てれば良いだけなんだから。 フィリオーネさんも、そんな感じで付き合いを続けているのかな? 「......では、申し訳ないですが、この価格でお願いします」 「そうして、そうして。じゃないと、私の方が心苦しいから。アイリスも悪かったわね。結構大変だったでしょ? アイツに付き合うのは」 「そんなことはない......と言いたいが、正直言えば大変だったな。遭難もそうだが、溶岩トカゲを何匹も生け捕りにさせられたのが、地味に辛かった」 その時のことを思い出したのか、遠い目になるアイリスさん。 私も話だけは聞いたけど、ほぼ力業で押さえ込むという、なかなかに酷い状況には、思わず目頭が熱くなってしまった。 その状況では他に手段がなかったとはいえ、そこで諦めることを選択せず、無理を押し通すノルドさんがなかなかに酷い。 しかし、レオノーラさんの方はそのあたりに関しては聞いていなかったのか、眉を上げて口元を歪める。 「そんなことまで? ――もう数発、殴っておくべきだったか」 「そうね。彼は少し自重を覚えるべきね」 微笑んではいるが、目は笑っていないフィリオーネさん。 穏やかそうに見えても、ヨク・バールの債権関連ではレオノーラさんと共にタフな交渉を熟していたらしいその実力は、伊達じゃない。 「ははは、そのあたりはお任せしますが......」 私たちがノルドさんに関わることは、もうないだろうし。 ――ないよね? きっとないよね? ......うん、警戒だけはしておこう。 幸か不幸か、フェリク殿下とも関わりができちゃったしね。

Early the next morning, me and Iris loaded the luggage car borrowed from Mr. Darna with smelting equipment (artifacts) and Lorea's handmade lunch and left the village of Yorke. The running speed is slightly less modest than usual. Even if you lay that cushion, there are limits to the ability to absorb shocks, and there are endurance problems with the cargo itself. The best thing is how to use a floating board without any vibration, but it's just as tough for me to run all the way to the South Strag while supplying magic to this, with my magic consumed in strengthening my body. So the luggage car. Given that Mr Iris is with us, I can also say that he was just fine at speed. We hit that Mr. Iris as he took turns towing the luggage car along the way, or tongue-tumped Lorea's delicious lunch box, and it was about time the sun started leaning. We had arrived at South Strag, as originally planned. "I didn't know you were really going to get there... definitely thought you were going to be a wild boarding house on the way? I show my luggage car to Mr. Iris, who looked up at the South Strag gate in a slightly frightened manner. "It's this luggage truck, that's why. This comes with a" corny ”gift from Lorea. A regular luggage truck just couldn't do it." As a result of replacing the normal axle with the corona of the smelter (artifact), the rolling performance of this luggage vehicle is pretty amazing. That's an empty load, and the more flat the cobblestone, the lighter you can move even one finger. poorly maintained streets, not that light if the luggage is also loaded, but the durability alone, running at high speeds but not easily broken, is worth more than enough. If we could have gotten that speed out on a regular axle, it would have almost certainly broken without keeping it all the way to this town. Of course, it was well maintained before I left, and I plan to do so and return it before I return it. Just for Lorea's order, it's a pretty temperamental smelter (artifact), but it would hurt a lot if it was just so bad. "... I mean, the manager said it was amazing" "Someone who thought about smelting equipment (artifacts). Because I just made it." "I can look at it that way too - well, is that good? At first, it's good to sell smelting equipment (artifacts), right? "Yes, I'm also anxious to go to the inn with this." Loaded smelters (artifacts) are worth more than one common house, even if they are quoted low. I can't easily keep such things in the inn, and those who are deposited will have trouble. So when we get into town, we head straight to Mr. Leonora's. Put the luggage car first in front of the store, which is still cleaned beautifully today, and leave that to Mr. Iris. I go inside the store. "There you are, Sarasa. Nice to meet you." "Long time no see, Sarasa. Good luck." "I'm out of time, Mr. Leonora, Mr. Filione" Mr. Leonora and Mr. Filione welcome me either because they were in contact with me to come. To those two I bow my head carefully. "I'm sorry, this time you can't..." All of a sudden, I contacted my colleague and said, "Buy me some bad stock smelter (artifact)" or whatever you think, it's a little insane. First of all, Mr. Leonora waves away with a bitter smile at my words. "Oh, never mind - before you talk about it, don't bring it in. It's not insecure around here, but it's inadvertent." "Yes, I understand" I nodded to Mr. Leonora, who turned to the luggage car on the table, and when I went outside the store, they both followed me and spoke to Mr. Iris, who was standing beside the luggage car on guard. "You're Iris. I've only heard the story, but I've never seen him in person before." "Right. Thank you for everything, Lord Leonora." "I'm Filione. I'm taking care of the store number and Nora. Nice to meet you, Iris." "A, Iris......, do me a favor, Lord Filione" Was the channeling a bit unexpected, blinking as Mr. Iris bewildered, but seeing Nico and Mr. Filione smiling like a good person, saying nothing about how to call him, returning a greeting. "Well, I'll bring it in. Leave the big stuff on the floor in the corner of the store, and the little stuff on the table over there." There is no significant amount of smelting equipment (artifacts) that is full of luggage if it can be carried by four people, and soon the carrier will be empty. And the last remaining super shock absorbing cushion is also brought in round. I'm not going to sell it, but it's also expensive enough smelting equipment (artifacts). "But... you brought in all the major stuff, didn't you? "I'm just sorry to bring in things that aren't even going to sell in this town..." Mr. Leonora, who had left the luggage carriage on the way and was moving to the assessor, stops the hand he was writing down the amount and looks up. "I didn't have to worry too much about it there...... well, how about all this? I glance a little at my forehead on the shiny piece of paper. "Mr. Leonora, isn't this close to pricing...? Almost no profit from selling it all, and a guaranteed deficit if it stays on sale. And it goes without saying, naturally, that it is difficult to sell out smelters (artifacts) that were not even commissioned to make. Even if you didn't dare say that, you figured out what I was trying to say. Mr. Leonora smiles bitterly and opens his mouth as troubled. "This time it was caused by the Nord I introduced you to, wasn't it? Let me give you a little support. And I'm also interested in Sarasa's artifacts." "As you can see, it's a common smelter (artifact) on the alchemy daiichi, right? Especially what I brought this time." I'm also an alchemist, I try to modify it a little once in a while, and make hobby smelters (artifacts), but this time I brought them in to buy them for Mr. Leonora. Regardless of whether you sell it to customers yourself, you naturally exclude things that are weirdly modified or peaky performance items that will be troublesome. "But it's efficient, isn't it? I'm listening. Without that inefficiency, it would have been dangerous.... Oh, I've sanctioned Nord firmly, so don't worry" With that said, Mr. Leonora waves a fist he grips. "A few rounds, firmly," she nodded, laughing troubledly as she glanced at Mr. Filione, wondering if the 'sanctions' that were in the references were fists after all. If you ask, Mr. Nord, before returning to Wang Capital, he stopped by this store and said, 'Because it happened after you introduced me,' and he reported the end of the past well. I can take good care of that area, so I can, adult, hey - at first glance. No, except some of it might actually be even more troublesome. Because if you're just really annoying, you just have to cut it off. Does Mr. Filione keep dating like that, too? "... so sorry, at this price please" "That's it, that's it. Otherwise, because I'm more distressed. I'm sorry about Iris. That was pretty tough, wasn't it? I'm going out with him." "I'd say that's not true...... but to be honest, that was tough. So was the shipwreck, but it was plain hard to let a bunch of lava lizards get caught alive" You remembered that time, Mr. Iris, with a distant eye. I only heard the story, too, but my eyeballs got unexpectedly hot in a rather terrible situation of holding me in with almost all my strength. Even though there was no other means in that situation, Mr. Nord is quite terrible at not choosing to give up there and pushing through the impossibility. But Mr. Leonora didn't ask about that area, raising his eyebrows and distorting his mouth. "Until that? - Should I have hit him a few more times?" "Right. He should learn to weigh himself a little." I'm smiling, but my eyes aren't smiling, Mr. Filione. Even if it seemed calm, it seems that Yoku Barr's ability to ripen tough negotiations with Mr. Leonora in the foreclosure context is not Dada. "Ha, I'll take care of that area..." There will be no more of our involvement with Mr. Nord. - There isn't, is there? I'm sure you don't, do you? ... Yeah, let's just be vigilant. Happy or unhappy, you and His Highness Felix have become involved.

「連れ戻しに......? え? どういうことですか?」 困惑を表情に浮かべ、戸惑うアイリスさんに対し、ケイトさんの反応は激しかった。 半ば椅子を蹴るように立ち上がると、バンッとテーブルに手をついて声を上げた。 「そうです! その事については、散々話し合った事で――!」 「落ち着きなさい、ケイトちゃん」 「でも、ママ!」 くってかかるケイトさんに、カテリーナさんは落ち着かせるように手を上げ、穏やかな声で話す。 「アデルバート様の前ですよ?」 「うっ......、す、すみません」 言葉を詰まらせたケイトさんは、アデルバート様に視線を向けると、軽く頭を下げて椅子に座り直した。 「いや、ケイトの反応は当然だ。だが、状況が変わったのだ」 そう言うアデルバート様の表情はかなり苦い。 隣に座るカテリーナさんも似たような表情なので、にとってもこれは不本意な状況なのかもしれない。 「あの、私は席を外しましょうか? ご家族のお話みたいですし......」 プライベートなお話に、私が腰を上げかけると、それを制するようにアイリスさんが手を上げた。 「いや、店長殿、ここにいてくれ。もし私が家に戻るとなると、お借りしているお金の事もある」 「それは......そうですね」 アイリスさんたちの事は信用しているけど、このまま送り出して、『いつでも良いからお金送ってね!』というのは、さすがに難しい。 残っている借金は、私からしても決して安い金額ではないのだから。 「それでお父様どういうことなのです? 私とケイトが外に出てお金を稼ぎ、そのお金で借金を返していく、そういう話だったじゃありませんか」 なるほど。 アイリスさんとケイトさん、若い女性二人だけで採集者をしているのには、そんな理由が。 「......ん? あれ? ちょっと待ってください。もしかして、アイリスさん、私以外にも借金があるんですか?」 「うっ! じ、実はそうなのだ。すまないっ!」 「正確にはアイリスじゃなくて、『アイリスの家が』だけど」 気まずげに言葉を詰まらせるアイリスさんに、ケイトさんが注釈を入れる。 それに伴い、私がアデルバート様に視線を向けると、彼もまた渋面を作って頷く。 「そうなのだ。情けない事だが」 「でもあれは、飢饉で仕方なく――っ!」 「言うな。備えができていない時点で、領主として力不足なのだ」 アイリスさんの、庇うような勢い込んだ声を遮って、アデルバート様は首を振る。 ――でも、そっか。飢饉か。 飢饉の時の対応は、領主によってかなり異なる。 たとえ領民が飢えようとも、容赦なくいつも通りに税を徴収する領主。 飢饉の時には税を軽減する領主。 そして、私財を使って食料を買い込み、支援を行う領主。 話を聞くに、アデルバート様の所では支援が行われたのだろう。 いくら身代の小さな騎士爵といえど、まさか自分たちが食うに困って借金をした、なんてことは無いと思うし。 「それで、アイリスさんたちが採集者になって、少しでも返済を、と?」 「そういう事なのだ。まだまだ未熟だが、多少は足しになったらと思ってな」 「あのままだと、一向に減りそうに無かったですからね」 「貴族だと......そうでしょうね」 貴族の主な収入は、国から支給される年金と領地から入る税収の二つ。 年金の方は爵位によって決まっていて、ほぼ変動は無い。 役職などに就ければ加算されることもあるが、騎士爵、それも領地貴族ではそんな機会はほとんど巡ってこない。 税収の方は領地が発展すればしただけ多くなるけど、村二つだけの領地、そんな簡単に税収が増えるはずも無く......借金額が大きいと利息も増えるし、厳しいよね。 領地経営の傍ら、副業で稼ぐ貴族もいるようだけど、よほどの才覚がなければ成功なんてしない。 その結果が、アイリスさんたちによる出稼ぎなのだろう。 「ちなみに、借りているお金、いくらぐらいか聞いても良いですか?」 「店長殿は、私にお金を貸している立場、訊く権利はあるだろうな。およそ、〇万レアだ。――ですよね、お父様」 「あぁ。お前たちのおかげで、わずかに切ったとは思うが、〇万にはまだまだ届いていないな」 うむ、と深く頷くアデルバート様だけど――。 「えっと、多く、ないですか? 村二つなんですよね?」 一般的家族程度の平民の場合、節約すれば一〇万レアで一年間、なんとか生活ができる。 まさか丸抱えなんてしないだろうから、実際には一〇万レアも必要ないだろうけど、それで計算しても六五〇世帯。 利息によって増えたとしても、村二つだけの領地にしては、ちょっと借金が多すぎる。 「そうなのだが、私たちが支援していると聞いて、少なくない流民が流れ込んできてな......。それの対応にも金が必要になったのだ」 「なるほど、流民ですか......」 アデルバート様の領地が飢饉ということは、アデルバート様の統治によほどの問題でもない限り、周囲の領地でも同様なわけで。 もし苛政を行っている領地に接していたとするなら、手厚い保護をしてくれるアデルバート様の領地に難民が流れてくるのも当然だよね。 それに対応するなら、食糧に加えて住む場所などの支援も必要となる。 「後は、利息ですね。借りてしばらくの間は全く返済ができませんでしたから、今残っている借金の額は、借りた額よりもかなり大きいんです」 「これがなかなか重くてな......」 カテリーナさんが説明を付け加え、アデルバート様はその言葉通り、重いため息をつく。 問題となったのはやはり難民のようで、天候が回復すれば元通りになるこれまでの領民に対し、難民には生活基盤が存在しない。 それの対応にも継続的に資金が必要になり、それらが終わるまでは完全に返済が滞り、利息によって借金は増える一方。 数年後、やっと落ち着いて返済を始めたが、膨れ上がった借金の利息は馬鹿にならず、返済を続けていても、普通に得られる収入だけではなかなか元本が減らない状態らしい。 「アイリスたちが頑張ってくれているおかげで、最近は少し減らせるようにはなったのだが......」 「それも、私が怪我をして以降は......」 「店長さんへの返済が先だったから」 担保も契約書も無く貸している私に返すのが優先と、実家への仕送りはほぼゼロになっていたようだ。 「律儀ですね。普通なら、むしろこちらを後回しにしそうですけど......」 「そんなわけにはいかない! 恩には必ず報いるのが我が家の家訓! 店長殿を優先するのは当然の事だ! ――ですよね、お父様?」 「うむ。もちろんだとも」 確認するようにアデルバート様を見たアイリスさんに、アデルバート様はどこか誇らしげに、大きく首肯した。 だが、次のケイトさんの言葉ですぐに渋面に戻ってしまう。 「では何故、今になって家に戻れと? 店長さんへの返済はまだ終わっていないのですが。アデルバート様」 「......状況が変わったのだ」 「借金の一括返済を求められたのです」 「そんな――っ!」 カテリーナさんの言葉に、アイリスさんとケイトさんが絶句する。 「貴族のアデルバート様相手に、となると、借金相手も貴族ですか?」 「そうだ。この辺り――サウス・ストラグの町やこの村などを治めているヨクオ・カーク準男爵より借り入れている」 「うちの領はカーク準男爵領と接した場所にあるのだ。非常に小さな領なのだがな」 私の疑問に、アデルバート様は頷き、アイリスさんも補足を入れる。 でも、そっか。 アイリスさんとケイトさん、この村の領主に対して隔意があると思ったら、そんな繋がりが......。 いや、この村に対するこれまでの対応を見るに、私自身、隔意を持たれるに十分に値する人物だとは思ってるけど。 「私たちの足下を見て、高い利息をふっかけたのだ、あのカーク準男爵は。それなのに、今度は一括で返せ、などとっ!」 憤懣やるかたないと声を荒らげるアイリスさんだが、アデルバート様の方は、低く唸るように声を漏らし、首を振る。 「返済期限は過ぎているのだ、文句は言えん。儂も他のところから工面できないかと、手を尽くしたのだが、我が領の規模で、これだけの大金は......」 村二つだけしか持たない騎士爵相手に、六千万レア以上ものお金を貸す人はいない。そういう事なのだろう。 「一カ所だけ、貸しても良いという相手はいたのですが......」 言葉を濁すカテリーナさんに、アイリスさんが納得した様な表情になった。

"To bring him back...? Huh? What do you mean? Kate reacted violently to Iris, who had a puzzle on his face and was puzzled. Standing up to kick half the chair, he banged his hands on the table and raised his voice. "Yes! We talked about it!" "Calm down, Kate." "But, Mom! To Kate, who comes along, Katerina raises her hand to calm down and speaks in a calm voice. "It's in front of Master Adelbert, right? "Ugh......, su, sorry" Clogging the words, Kate turned her gaze to Master Adelbert and gently lowered her head and sat back in the chair. "No, Kate's reaction is natural. But things have changed." The look on Master Adelbert's face to say so is quite bitter. Katerina sitting next to you has a similar look, so maybe this is an unintentional situation for both of you. "Um, shall I take my seat off? Looks like we're talking about your family..." To a private story, as I lifted my hips, Mr. Iris raised his hand to control it. "No, Lord Store Manager, you stay here. If I go home, I owe you some money." "That's... right" I trust you about Mr. Iris, but you keep sending him out and saying, 'You can always send me the money!' That's just hard. Because the remaining debt is never a cheap amount, even from me. "So, Father. What the hell is going on? That's what I was talking about, me and Kate going out and making money and paying off our debts with that money." I see. Mr. Iris and Kate, only two young women are collectors, for that reason. "... hmm? Is that it? Wait a minute. Could it be, Mr. Iris, that besides me, you owe money? "Ugh! Well, it is, actually. I'm sorry! "It's not exactly Iris, it's 'Iris' house, though." Kate annotates Iris, who jams words casually. With that, when I turn my gaze to Master Adelbert, he also makes a tannic surface and nods again. "It is. It's a pity." "But that, I can't help but starve - Eh! "Don't say it. I'm powerless as a lord when I'm not ready." Master Adelbert shakes his head, blocking Mr. Iris's, sheltering, impetuous voice. - But, you know what? Hunger? The response in times of famine varies considerably from lord to lord. Even if the inhabitants starve, a lord who relentlessly collects taxes as usual. Lords who relieve taxes in times of hunger. And lords who use their personal property to buy food and provide support. To hear the story, support must have been provided at Master Adelbert's place. I don't know how much we owed ourselves for having trouble eating, no matter how small a knight we are. "So, Mr. Iris and the others became collectors, paying you back at all? "That's what I'm talking about. I'm still immature, but I was hoping it would add up a little." "As it was, it was never going to decrease." "Aristocrats... I guess so" The main income of the nobility is twofold: pensions paid by the State and tax revenues entering from the territory. The pension is determined by the title, with little variation. Sometimes it adds up if you hold office, etc., but, Sir Knight, that also rarely comes around such opportunities in territorial aristocracy. Tax revenues would have been as much if the territory had developed, but the only two territories in the village, there can be no such easy increase in tax revenues... the amount of debt increases interest, and it's tough, isn't it? Beside territorial management, some aristocrats seem to make money from side businesses, but without so much talent, they won't succeed. I guess the result is the earnings by Mr. Iris and the others. "By the way, can I ask you how much money you owe me? "The manager will have the right to ask about the position of lending me money. It's roughly million rare. - Right, Father?" "Oh. Thanks to you guys, I think I cut it slightly, but it hasn't reached 64 million yet." Um, and I'm like Adelbert snorting deeply... "Uh, a lot, don't you? Two villages, right? In the case of civilians of the general family of six or so, if saved, they can manage to live for a year at Rs. 100,000. You wouldn't even have a round hug, so you wouldn't actually need 100,000 rare, but that's 650 households to calculate. Even if it was increased by interest, for a territory with only two villages, it is a little too much debt. "Yes, but when you hear we're supporting you, a few displaced people are pouring in... I needed money to deal with it." "I see, are you a displaced person..." As long as Adelbert's territory is not so much about famine as Adelbert's rule, so is the surrounding territory. If you were bordering a territory that was caustic, it is natural that refugees would flow to the territory of Master Adelbert, which provides you with generous protection, right? If we are to respond to this, we will also need support such as where to live in addition to food. "Later, that's interest. I borrowed it for a while, and I couldn't repay it at all, so the amount of debt I have left is considerably larger than what I borrowed." "This is pretty heavy..." Ms. Caterina adds the explanation, and Lady Adelbert, as the words put it, takes a heavy sigh. The problem still seemed to be refugees, and there was no basis for living in the refugees vis-à-vis the previous inhabitants, who would be restored if the weather were to recover. That response will also require funding on an ongoing basis, with full repayment delayed until they are over, while interest increases debt. Years later, he finally settled down and started paying back, but the interest on his swollen debt didn't make him an idiot, and even if he kept paying back, he wouldn't be able to reduce his principal just because of the income he normally earned. "Thanks to Iris and the others for their hard work, I've been trying to make it a little less lately..." "That too, since I was injured..." "Because repayment to the store manager was first" Returning it to me without collateral or contract seemed a priority and sending it to my parents almost zero. "That's discipline. Normally, I'd rather put this one behind me..." "You can't do that! It's our home lesson that will always reward you for your gratitude! It's only natural to give priority to the Store Manager! - Right, Father? "Hmm. Of course." Adelbert was somewhere proud and overwhelming in agreeing with Iris, who saw Adelbert to confirm. But I'll be right back on the tannic side with the next word from Kate. "Then why do you want me to go home now? I haven't finished paying the manager back yet. Dear Adelbert," "... things have changed." "They asked me to pay my debts in bulk." "Oh no -! Mr. Iris and Mr. Kate stop by Mr. Katerina's words. "To the aristocratic Adelbert counterpart, is the debtor also aristocratic? "That's right. Around here - borrowed from Associate Baron Yokuo Kirk, who ruled the town of South Strag, this village, etc." "Our territory is in contact with Associate Baron Kirk's territory. It's a very small territory." To my doubt, Master Adelbert nods, and Mr. Iris puts in a supplement as well. But, you know what? Mr. Iris and Mr. Kate, if you think there is a separation between you and the lords of this village, there is such a connection... No, to see my previous response to this village, I myself think I deserve enough to be isolated. "You looked under our feet and plucked high interest, that Associate Baron Kirk. Yet now give it back in bulk, and so on! Mr. Iris roughs up his voice if he doesn't get angry, but if you're Adelbert, he leaks his voice and shakes his head as he roars low. "The repayment deadline is past, I can't complain. I tried my best to see if I could work from anywhere else, but on the scale of my territory, this much money..." No one lends more than Rs 60 million to a knight knight counterpart who only has two villages. I guess that's what this is about. "One place only, I had someone to lend it to..." It gave Mr. Iris the same expression he was convinced by Katerina, who clouded the words.

数日前から降り続く雪で、ヨック村は寂静に沈んでいた。 日が昇っても出歩く人影はほとんど見られずの窓から眺める光景は寞々としていながらも、どこか趣があり、ただゆっくりとそれを味わうのも悪くない、そんな風にも思わせる。 ただ、商売人として言わせてもらうなら、そんな風流なんて丸めてポイ。 初めての冬。 ここ最近聞こえる閑古鳥の鳴き声に、私はちょっぴり追い立てられていた。 「そんなわけで、金策が必要になりました」 ここ数日、毎日開かれていでのお茶会。 その席で私が重々しくそう口にすると、アイリスさんがうむうむと何度も頷いた。 「おぉ、店長殿も現実を見据えたのか。解る。解るぞ。私も最初は借金の額を考えないようにしていたからな」 「見据えたというか、見据えざるを得なくなったというか......予想はしていましたが、採集者の活動低下率が想像以上でした」 「私たちもここ数日は仕事に行っていないから、あまり言えた義理じゃないけど、冬場は休む採集者が多いのよねぇ」 「その分、働けば利益は大きいんだがな」 大樹海に於ける冬の採集作業には、それなりの困難を伴う。 気温や雪という直接的な障害に加え、ただでさえ迷いやすい森の中、雪によって景色まで変わってしまっては尚更である。 だが冬にしか採取できない素材もあるため、アイリスさんが言うとおり働きさえすればそれなりに稼げるし、冬場に特化した技術を持てば、かなり稼げるのも冬である。 そういった普段採取できない素材は、総じて買い取り価格も高いのだから。 「サラサさん、そんなに困った状況なんですか?」 「んー、お店が潰れるような状況じゃないけど......研究の方は停滞、かなぁ」 少し不安そうに眉尻を下げるロレアちゃんに、私は小首を傾げ曖昧に頷く。 借金を抱えて首が回らない、ってわけじゃない。 でも、先日のアイリスさんたちの救出作戦で、手持ちの現金や素材はそのほとんどを吐き出してしまった。 結果的に残ったのは、あまり使い道のない、そして売り先もない 幸い働いていない採集者の人たちも、大半は村に滞在したままなので、宿屋の部屋は大半が埋まり、新館もしっかりと稼働中。 その建築費用は、ディラルさんから毎月順調に返済されている。 もっともその返済額は、平民の月収と考えるなら多いけど、錬金術の素材をたくさん買い込めるほどじゃ、ないんだよねぇ。 錬金術大全となってくると、使われる素材の価格も上がるから。 「あとは税金。春になると、税金のことも考えないといけないんだよねぇ......」 錬金術師には色々な優遇がある代わりに、税金については結構厳しい。 間の収支をきっちりと書類に纏めて国に提出、併せて税金も支払わないといけない。 私の場合、春にお店を開いたから、冬が明けた時点で書類を作り、税金の計算とそのためのお金を用意する必要がある。 「それでもお店は大丈夫なんですか?」 「うん。ウチの運転資金なんて、ロレアちゃんのお給料と食費ぐらいだし?」 この店舗兼住宅は買い取った物なので家賃は必要ないし、従業員はロレアちゃん一人。 錬金術に使うお金に比べれば、誤差の範囲だよね。 「極端な話、税金は来年の春までに払えば良いからね」 辺境に店がある錬金術師の場合、王都に書類を送るにしろ、自分で持ち込むにしろ、かなりの時間がかかる。 そのため提出期間は一年以内と余裕があるんだけど、あまり遅れると印象も悪いし、少なくとも夏までには、諸々終えておきたい。 今年の税金の支払いに、来年の収益を回すなんて状態、どう考えても経営として問題があるから。 「それでしたら、食事のランクを落とした方が良いでしょうか? それにお給料ももっと安くても――」 「おっと、ロレアちゃん。それは気にしなくて良いよ。はっきり言って、食事はもちろん、ロレアちゃんが一人でも十人でも、大勢にはまったく影響がないから」 遠慮がちに言うロレアちゃんの提案を言下に否定する。 せっかくのロレアちゃんの手料理、美味しくなくなったら勿体ないからね。 そもそもウチの食料品、農産物はロレアちゃんのおかげで産地直送、ご近所さん価格。四人分、一月分でも安い お肉だって、家賃免除の居候二人が時々獲物を持ち帰ってくれるから、実質タダ。 それにロレアちゃんのお給料を加えたところで、本当に微々たるもの。節約したところでほとんど意味がない。 「しばらく錬金術は休むか、それとも自分で素材を探しに行くか......」 こ間のお客さんは、なんと驚異のゼロ人。 閑古鳥が大合唱しちゃってる。 残っている手持ちの素材じゃ新しい物は作れないし、それで作れる物を作っても、売り先がない。 どうせお客さんが来ないなら、私自身で採集を行うのも一つの方法だよね。 ――なんか、月一ぐらいのペースで採集に行っている気もするけど。 「店長さん、私たちに手伝えることがあったら、なんでも言ってね? 店長さんが困っているのって、私たちが原因なんだから」 「うむ。私たちに採ってこられる物なら採ってくるし、店長殿に同行しろというのなら、どこへでも付いていこう」 「ありがとうございます。う~ん、本格的に検討してみましょうか。そろそろ雪も上がりそうですし、明日には出かけられるかもしれません」 来ないお客さんを待ち、お茶を挽くのも時間の無駄。 どうせ挽くなら屑魔晶石だけど、今はこっちの在庫も乏しい。 「店長殿、私は詳しくないのだが、この時季だとどのような物が得られるのだ?」 「そうですね、少し待っていてください」 私はティーカップをテーブルに置き、一度席を立って錬金素材事典を取りに行くと、みんなが見えるよう、それをテーブルの上に広げた。 「この付近、採集の難易度が高すぎず、それでいて価値が高い物。それに私が使いたい素材となると、あまり候補がないのですが......」 パラパラと事典を り、私はいくつかの素材をアイリスさんたちに示す。 冬の魔物は油断できないので、基本的には植物系。 魔物も狩れそうなら狩るのもありだけど、価値ある対象は遭遇するのも、見つけるのも難しい。 その点植物系は、寒さに耐える根性と根気があればなんとかなる。 ――たまに遭難して死ぬけど。 「あまりない、と言う割には選択肢はあるんだな。採集者としては、やはり高い物を狙うべきだろうか?」 「でも私たち、雪中での採集活動には慣れていないのよね。店長さんがいてくれるとしても、最初は簡単な物からやってみるべきじゃないかしら?」 「冬は長いですし、その方が良いかもしれませんね。私の経験も、何度か実習に出たぐらいですし。それだと、適当な物は――」 カラン、コロン。 話し合いの最中、久しぶりに聞こえてきた音に、私たちは揃って顔を上げた。 「......お客さん?」 「おぉ、この村にも、私たち以上に勤勉な採集者がいたのか」 「氷牙コウモリのこともあるし、普通にしてたら冬に働く必要はないはずだけど」 「それはブーメランだよ、ケイトさん......。ま、村の人かもしれないし、出てみようかな」 そう言って腰を上げようとした私を制するようにロレアちゃんが手を上げ、素早く立ち上がった。 「あ、サラサさんたちはそのまま続けていてください。私が出てきますから」 「そう? じゃあお願い」 「はい。任せてください。久しぶりのお仕事です!」 働けることが嬉しいのか、笑顔で出て行くロレアちゃん。 しかし、私たちが検討を再開して程なく、顔に困惑を浮かべて戻ってきた。 「どうしたの?」 「えっと......なんというか、怪しげなお客さんが......」 「え、また? ノルドさんがやってきた、とかじゃないよね?」 「はい、違います。怪しさはそれ以上です」 「あれ以上って......」 あ、いや、ちょっと待った。 よく考えたら、ノルドさんって、外見はそんなに怪しくなかったよね? 身だしなみに気を遣っていないだけで。 色々あって、怪しい人という印象がすり込まれてたけど。 ......うん、イメージって怖い。 「解った。すぐに行くね」 「あの、なんだか偉そうな雰囲気だったので、応接室にお通ししたんですが、良かったですか?」 「そうなの? うん、問題ないよ。あの部屋なら」 それなりに良い調度品は揃えているけど、“刻印”の効果で盗難はできないだろうし、店舗側じゃなく廊下へと続く扉は、他人には開けられないようになっている。 仮に客が不届き者だったとしても、被害はあまり出ない。 「怪しい人物か......。よし、店長殿、私たちも付いていこう」 「そうね、店長さん一人じゃ心配だし」 「ありがとうございます。ロレアちゃんは、店番の方、お願いできる? たぶん、お客さんは来ないと思うけど」 「はい。お気を付けて」 不安そうなロレアちゃんをお店の方へ送り出し、私たち三人は応接室へと向かった。

- Prologue With snow that had been falling for a few days, the village of Yock was sinking in silence. Few people walk when the sun rises, and the sight from the upstairs window is lonely, but somewhere interesting, and it's just not bad to taste it slowly, making it seem that way. However, if you want me to say it as a merchant, I can't round up such a wind stream, Poi. First winter. I was a little pushed away by the chirping of idle birds I've heard here lately. "That's why we need golden measures" Tea parties for the four of us have been held every day for the past few days. When I spoke heavily in that seat, Mr. Iris nodded over and over again. "Oh, did the store manager look to reality, too? I get it. I get it. I was trying not to think about the amount of debt at first." "You said you looked ahead or you had to look... I had expected, but the rate of decline in the gatherer's activity was more than I imagined" "We haven't been to work in the last few days either, so I'm not much of a step-in-law, but there are a lot of collectors who take time off in the winter." "For that matter, it would be profitable to work." Winter gathering operations in the Great Tree Sea involve considerable difficulties. In addition to the direct obstacles of temperatures and snow, even snow can change the landscape in the prone forests. However, some materials can only be collected in winter, so you can make quite a lot of money if you work as Mr. Iris says, and with winter-specific technology, it is also winter that you can make quite a lot of money. These materials, which are not normally collected, are generally expensive to buy. "Mr. Sarasa, is this such a troubled situation? "Hmm, it's not like the store's going to crumble... but if you're researching it, I wonder if it's stalled" To Lorea, who lowers her brow butt a little anxiously, I lean my little nipple and nod vaguely. It's not like I can't get my neck around holding debt. But in Mr. Iris' rescue operation the other day, the cash and materials in hand threw up most of it. The result was a pile of smelter Artifacts and smelter Potions that are not very useful and have no place to sell them. Fortunately, the majority of the collectors who do not work remain in the village, so the room in the accommodation is filled by the majority and the new building is well in operation. Its building costs have been successfully reimbursed by Mr. Dilal on a monthly basis. Most of that repayment is a lot if you consider it a civilian monthly income, but it's not enough to buy in a lot of alchemy material. Because when it comes to five or six volumes of all the alchemy, the price of the materials used also increases. "The rest is taxes. In the spring, we have to think about taxes..." Alchemists have all sorts of preferences. Instead, they're pretty tough about taxes. The income and expenditure for a year must be summarised in documents and submitted to the State, together with taxes. In my case, since I opened the store in the spring, I need to make the paperwork at the dawn of winter and have the tax calculations and the money available for them. "Is the store still okay? "Yeah. What about our working capital, Lorea's salary and food? This store and home are purchased, so I don't need rent, and I have one Lorea employee. Compared to the money you spend on alchemy, it's the margin of error, right? "Extreme talk, taxes should be paid by next spring." In the case of an alchemist with a shop on the border, it will take a long time to send the documents to the Wang Capital or bring them in yourself. That's why I can afford a submission period of no more than a year, but I have a bad impression if I'm too late, and I'd like to finish them all, at least by the summer. Because I have a problem paying taxes this year in a state where I can turn my earnings next year, whatever I think, as a management. "If that's the case, should I drop the rank of my meal? And even if it's cheaper..." "Whoa, Lorea. You don't have to worry about that. Just so we're clear, of course, the meal, because Lorea, one or ten, doesn't affect a lot of people at all." I reluctantly deny Lorea's suggestion below. Because of Lorea's hand cooking, if it doesn't taste good anymore, she won't be. Our groceries in the first place, the produce is shipped directly from the region thanks to Lorea, neighbor prices. About one or two cheap smelting drugs Potions for four or even a month. Even meat is practically free because two rent-free dwellers sometimes bring back their prey. Plus I just added Lorea's salary, something really trivial. It makes little sense where you save money. "Alchemy rests for a while, or go find your own material..." What an amazing zero visitors these past three days. The idyllic birds are singing. I can't make new things with the materials I have left, and even if I make things that I can make with them, I don't have a seller. If the customer doesn't come anyway, one way to do the collection is by myself, right? - Something tells me he's picking it up at about the first pace of the month. "Mr. Store Manager, if there's anything you can do to help us, say anything? We're the reason the manager's in trouble." "Mm-hmm. I'll pick it up if we can pick it up, and if you want to accompany the manager, I'll follow you everywhere." "Thank you. Hmm, shall we consider it in earnest? It's going to snow, and maybe we can go out tomorrow." Waiting for customers who don't come and grinding tea is also a waste of time. If you're going to grind it anyway, it's a scrap demon crystal stone, but we're also short on stock right now. "Dear Store Manager, I'm not familiar with this season, what kind of things do you get? "Right, just wait a minute" I put the teacup on the table and once I took my seat and went to pick up the Alchemy Materials Dictionary I spread it on the table so everyone could see it. "Near here, things that are not too difficult to collect and that are of high value. Besides, when it comes to the material I want to use, I don't really have a candidate..." Parallax and Dictionary roll "Meow" and I show some material to Mr. Iris and the others. Winter demons can't be alarmed, so they're basically botanical. If demons are likely to be hunted, they can be hunted, but worthwhile objects are difficult to encounter or find. In that regard, the plant system can be managed if it has the guts and guts to withstand the cold. - Sometimes I get shipwrecked and die. "Not much, you have a choice to say. As a collector, should we still aim for high objects? "But we're not used to collecting in the snow, are we? Even if the manager is here, shouldn't we try something simple at first? "Winter is long, and that might be better. My experience has been as good as a few internships. And the right thing..." Karan, Cologne. During the discussion, we all looked up to the sound we hadn't heard in a long time. "... a customer? "Oh, there were more diligent gatherers in this village than us, too" "There's something about ice tooth bats, and if I were normal, I wouldn't have to work in the winter," "That's a boomerang, Mr. Kate...... Maybe he's from the village, let's get out." That's what I said and tried to lift my hips. Lorea raised her hand to control me and quickly stood up. "Ah, keep Sarasa and the others going. Because I'm coming out." "Really? Then please" "Yes. I'll take care of it. It's been a long time since you've worked! Are you happy to work, Lorea, leaving with a smile on your face? But before we could resume our consideration, we came back puzzled in the face. "What's going on? "Uh... some suspicious customer..." "Oh, again? Mr. Nord's here, not like that, is he? "Yes, no. Suspicious is more than that." "More than that..." Oh, no, wait a minute. On second thought, Mr. Nord wasn't that suspicious in appearance, was he? I just don't care about familiarity. There was a lot going on, and the impression of a suspicious person was impressed. ... Yeah, image is scary. "Got it. I'll be right there." "Um, it looked kind of great, so I let you through to the reception room, was it good? "Really? Yeah, it's no problem. In that room." We have quite a few good conditioners, but the “engraving” effect won't allow us to steal them, and the door that leads to the hallway, not the store side, is so that no one else can open it. Even if the customers were undelivered, there wouldn't be much damage. "You're a suspicious person... All right, Store Manager, let's follow along." "Well, I'm worried about the manager alone." "Thank you. Lorea, can you do me a favor, please? I don't think they're coming." "Yes. Take care" We sent Lorea, who looked anxious, out to the store, and the three of us headed to the reception room.

「......? どうしたの? 店長さんからタダで貰ったのよね? 今使わないと、いつ使うの? それとも、使ったらお金を請求されるとか?」 「いや、そんなことはない。これに関してお金はいらないと確認してある。......その代わり、大事な物を売り渡すことになったのだが」 「え? 何か言った?」 「いや、何でもない」 ぽそりと言った言葉を聞き返され、アイリスは重く首を振った。 ちなみに、アイリスがサラサに売り渡したのは、羞恥心である。 採用されたあの台詞以外にも、アイリスは調子に乗ったサラサに、何種類ものちょっと恥ずかしい台詞を言わされ、ガリガリと精神力を削る羽目になったのだ。 そんな台詞がサラサの家で再生され、サラサやロレアはもちろん、下手をすれば来店していた客にも聞かれる可能性があると思えば、アイリスが使用を躊躇うのも当然だろう。 だが、はっきり言って状況は良くなかった。 ケイトが言う通り、むしろ今使わなければいつ使うのか、というぐらいに。 のろのろとした動作で、荷物から共鳴石を取りだしたアイリスは、『ふぅ~』と重いため息。 「えぇい、ままよ!」 やけくそのように共鳴石を地面に叩きつけた。 石のように見えても、そこは割ることを目的とした 共鳴石はあっさりと砕け、まるで宙へ解けるように消え失せる。 あまりにも地味なその様子に、ケイトはどこか拍子抜けしたように目をパチパチと瞬かせた。 「......これだけ? 音も何もないのね」 「あ、あぁ、そうだな」 対してアイリスの方は、かえって何も起きなかったことに、ホッと胸を撫で下ろす。 こちらでも同じ音が再生されたりしたら、アイリスの精神的ダメージは計り知れない。 だが実際、地味ではあるが、これは仕様である。 共鳴石を使うような状況、場合によっては、何かしらの敵に追われていたり、どこかに閉じ込められて救助を待っていたりすることも考えられる。 そのようなときに大きな音を出すなど致命的。 共鳴石に送信側、受信側の区別はないが、そのような理由から、先に壊した方では音が鳴らないようになっているのだ。 「それは、サラサ君に連絡できる かい?」 「はい。これで、店長さんに私たちの危機が伝わるはず......よね?」 でこちらの様子を確認してくれると思うのだが......」 故に、アイリスはどこか自信なさそうに答えると、荷物の上に座ってじっとしていたクルミを持ち上げ、自分の前に座らせる。 そして、ケイトと共にその挙動をじっと見つめるが、クルミはそんの視線など気にした様子も見せず、ころりと寝っ転がると、『ふわぁぁ~』と大きなあくびをする。 「「.........」」 それでも目をそらさず、じっと待つアイリスたちに、やや遠慮がちにノルドラッドが声を掛けた。 「あ~、アイリス君。おそらく、そんなにすぐには意識の同調などできないと思うけど?」 「ん? そうなのか? 以前見せてくれたときには、すぐにやっていたみたいだが」 「それは距離が近いからだろうね。......いや、普通ならすぐ近くでも多少時間がかかるはずだけど、そのあたりは術者の腕かな? そもそも、これだけ離れていながら 「......そういえば、店長さんもギリギリって言ってたかしら」 「ギリギリでも動いているんだから凄いけどね。それでもあまり動かないのは、省エネかな?」 「ふむ、そうなのか」 しばらく時間がかかると判ったからか、 クルミもそれに応えて、パタパタと手足を動かす。 「ふふふ、可愛い......って、アイリス、もしかして店長さんじゃ?」 微笑ましそうにそれを見ていたケイトが、途中からクルミの動きが変わったことに気付き、慌ててアイリスの手を押さえる。 「え、もう?」 アイリスが慌てて手を引けば、クルミはどこか人間くさい動きで『やれやれ』とでもいうように、身体を起こして周囲を見回した。 「......店長殿か?」 「がう」 「す、すまない! 同調まで時間がかかると聞いたので......」 こくりと頷くクルミにアイリスが慌てて頭を下げれば、クルミは気にするなと首を振り、周囲を見回して首を傾げる。 「実は洞窟が崩落してな。おそらく原因はサラマンダーなんだが」 「ノルドさんが、凄い実験をしたせいでね」 「いや~、そんなに褒められると照れるじゃないか」 どう考えても皮肉である。 「「はぁ......」」 えた様子を見せないノルドラッドの鋼の精神は、ある意味、研究者として得難いものかもしれないが、色々と生きづらそうではある。 しかし、それを今云々しても意味がなく、クルミは身振り、手振りで何やら訴えるのだが―― 「すまない、店長殿。何が言いたいかは......」 残念ながらアイリスたちに動物の言葉(?)を理解する能力はなく、クルミは困ったようにその場をうろうろしていたが、やがて地面にガリガリと文字を書き始めた。 『魔晶石はない? このままだと、魔力が切れる』 は、ただ存在しているだけでも蓄えた魔力を消費していく存在。 荷物に引っ付いているだけの省エネモードから、意識の同調をした上で活動モードに移行するとなれば、魔力の消費が跳ね上がるのは当然だろう。 そして当然ながら、魔力が切れれば、 疑似生物ではあるが、ある程度の自我がある以上、それの死である。 サラサの要求に、ケイトとアイリスは慌てて自分の荷物を探る。 「いくつかは残っているはずだが......」 「私の方にもいくつか......」 「魔晶石かい? 実験用に集めてきたから、それなりには残っているよ」 ノルドラッドも自分の荷物をあさり、中から革袋を引っ張り出した。 その革袋を渡されたクルミは、そこから魔晶石を一つ取りだして口の中に放り込み、ゴリゴリと噛み砕いた。 「......そうやって見ると、普通の生き物じゃないことを実感するな」 そういうアイリスをチラリと見つつ、クルミは追加でもう一つ魔晶石を食べたところで、再度ガリガリと地面に文字を書く。 『助かった。少し計算違い』 当初のサラサの予測では、アイリスたちが戻ってくるまで魔力が保つはずだったのだが、サラサも 側の魔力量の想定が甘かったのだ。 その魔力を魔晶石で緊急的に賄ったのだが、サラサが直接補充する魔力と、魔晶石で賄える魔力には大きな差があり、決して魔力が潤沢になったとはいえない。 そのため、魔晶石の入った革袋はしっかりと保持したままである。 「サラサ君、非常事態だし、その魔晶石を消費するのは構わないのだが、明かりの 「ノルドさん、それは魔力でも動く物ですよね? でしたら、私でも魔力の補充ができますよ。魔法の方は、ほぼ使い道がないですから」 「お、そうかい? 助かるよ。ボクの魔力量だと、賄えないんだよねぇ、これ。ちょっと特殊だから」 だが、その種類は様々で、街中の夜道を歩くために使われる物から、広範囲を昼間のように照らし出せる大規模な物まである。 ノルドラッドの持つ物はその中でも高価な部類に入り、先ほど崩落現場を照らし出したように、かなり強力な代物なのだが、普通の物よりも魔力消費が多いという欠点がある。 「暗い場所でも研究ができて便利なんだけど......もうちょっと奮発して、魔力効率が良い物を買うべきだったかな?」 でもとても手が出ないと思うんですが......」 少しの羨ましさと呆れが混ざった言葉を漏らすケイトの注意を引くように、その脚をクルミがたしたしと叩いた。 「がうがう!」 『時間がない。もう少し詳しい説明を』 「あぁ、そうね。えっと、まずは――」

...... What's the matter with you? The manager gave it to you for free, right? If you don't use it now, when will you use it? Or, like, if you use it, they charge you for it? "No, that's not true. I have confirmed that I do not need money for this. ... Instead, I decided to sell something important." "Huh? Did I say something? "No, it's nothing" Upon being heard back the words he said pompous, Iris shook his head heavily. By the way, it is shame that Iris sold it to Sarasa. Aside from that dialogue that was adopted, Iris was told by Sarasa, who was in good shape, many kinds of slightly embarrassing dialogues, feathers that sharpened his galloping and spiritual strength. It would be natural for Iris to hesitate to use it if he thought that such a dialogue could be played at Sarasa's house and Sarasa and Lorea could be heard, as well as by visitors if they did poorly. But clearly, the situation was not good. As Kate says, I'd rather use it now or when. In a cursory motion, Iris, who took the resonant stone from his luggage, sighed heavily with 'Phew'. "Yes, stay! I slammed the resonant stone to the ground like a jerk. Even if it looks like a stone, it is a smelter (artifact) intended to break it. The resonant stone can be lightly crushed and disappeared as if it could be solved into the universe. To that appearance, which was too plain, Kate blinked her eyes as if she had clapped out somewhere. "... this is all? You have no sound or anything." "Oh, yeah, right" Iris, by contrast, strokes his chest down, hoping that nothing else had happened. If the same sound plays here, Iris' mental damage is immeasurable. In fact, though plain, this is a specification. Situations like using resonant stones, in some cases, can also be thought of as being chased by some enemy or trapped somewhere waiting for rescue. deadly, such as making loud noises at such times. There is no distinction between the sending side and the receiving side in the resonance stone, but for such reasons, the sound does not sound on those who break it first. "Is that a smelter (artifact) that Sarasa can contact you with? "Yes, this should tell the store manager about our crisis...... right? "Ah. If you pass it on, I think you'll check on this one with the Alchemy Creature (Homunculus)..." First-time smelter (artifact) So when Iris answers somewhere unsure, he sits on his luggage and lifts the walnut that stood still, letting it sit in front of him. And he stares at the behavior with Kate, but the walnut doesn't even show how he cared about those two glances or anything, and when he sleeps in the bare, he gives a big yawn, 'Wow. ......... Still not turning a blind eye, Nordrad rang somewhat reluctantly to the waiting Iris. "Ah, Mr. Iris. Perhaps you won't be able to synchronize your consciousness so soon? "Hmm? Really? When you showed it to me before, it seemed like you were doing it right away." "I guess that's because the distance is close.... No, normally, it should take some time even in the immediate vicinity, but is that the surgeon's arm around it? In the first place, it's impossible that alchemy (homunculus) is moving so far apart." "... Speaking of which, did the manager say it was critical?" "It's awesome because it's moving even critical. Still doesn't work much, does it save energy? "Hmm, really?" Because I knew it would take a while, Iris, hand-to-hand play and walnut belly squirting. The walnuts move their hands and feet in response as well. "Hehe, cute......" Iris, maybe the manager? Kate, who looked at it with a smile, noticed that the walnut movement had changed from the middle of nowhere and hurriedly held Iris' hand. "Oh, already? If Iris pulled his hand in a hurry, the walnut woke up and looked around him, just as he said, 'Oh, man,' in some human move. "... the manager? "Shh, I'm sorry! I heard it would take a while to get in tune..." If Iris rushes to the walnut that snorts and bows his head, the walnut shakes his head and looks around and tilts his neck. "Huh? "Actually, the cave collapsed. Probably because of Salamander." "Mr. Nord did an amazing experiment." "No, you're so praiseworthy." Ironic no matter what you think. "Huh." "" Ha... " Nordrad's spirit of steel, which does not show any appearance, even if cold gaze is turned from the three parties, including walnuts, may in some ways be difficult to obtain as a researcher, but it is unlikely to survive in many ways. But there's no point in saying that now, and walnuts gesture and hand gesture and complain. "I'm sorry, Store Manager. What are you trying to say..." Unfortunately the words of the animals to the Iris and the others (?) Not having the ability to understand, the walnuts roamed the scene like trouble, but eventually began to write gullible letters on the ground. "No Demon Crystal? Keep it up, you'll lose your magic. ' Alchemy creatures (homunculus) consume accumulated magic even if they exist. If you were to move from an energy-saving mode that is just attached to your luggage to an activity mode after you have synchronized your consciousness, it would be natural for your magic consumption to jump. And naturally, if the magic runs out, the alchemy (homunculus) will cease its activity. It is a pseudo-organism, but it is also one death, beyond having some self. To Sarasa's demands, Kate and Iris rush to explore their luggage. "There must be some left..." "Some for me too..." "Is that a magic crystal stone? I've been collecting them for experimentation, so there's plenty left." Nordrad also clasped his own luggage and pulled a leather bag out of it. The walnut, who was given that leather bag, took one demonic crystal stone from it and threw it into his mouth, grinding and chewing it up. "... when you look at it that way, don't realize it's not a normal creature" While looking at Iris like that as a chillary, the walnut writes letters on the ground again galloping, just eating another demonic crystal stone additionally. "Thank God. A Little Different Calculation ' The original prediction of Sarasa was that the magic would remain until Iris and the others returned, but Sarasa was also the first to create an alchemy organism (Homunculus). It was sweet to assume the amount of magic on the Alchemy (Homunculus) side, consumed in tune over long distances. I urgently bribed the magic with Demon Crystal Stone, but there is a huge difference between the magic that Sarasa replenishes directly and the magic that can be bribed with Demon Crystal Stone, and it can never be said that the magic has been lubricated. For this reason, leather bags with demonic crystal stones remain firmly held. "Sarasa, it's an emergency, and I don't mind consuming that magic crystal stone, but I also need it for the light smelter (artifact), so leave some behind, okay? "Mr. Nord, that's something that works with magic, isn't it? Then I can replenish the magic. Because magic is almost useless." "Oh, yeah? Helpful. With my magic power, I can't bribe you, this. Because it's a little special." Light smelters (artifacts) are relatively common smelters (artifacts), but they vary from objects used to walk the night lanes around the city to large-scale objects that can illuminate a wide range of daylight. Nordrad's possessions fall into the expensive category among them, and, as we illuminated the crash site earlier, they are a fairly powerful substitute, but they have the disadvantage of consuming more magic than ordinary objects. "It's useful to have research even in dark places...... should I have been a little more excited and bought something with good magic efficiency? "From what we can tell, I don't think I can handle that smelter (artifact)..." I slapped the walnut on its leg so as to draw Kate's attention to leaking words mixed with a little envy and flattery. "Whew! 'I don't have time. Give me a little more explanation.' "Oh, yeah. Uh, first of all..."

「それに少し気になっていたんですが、ノルドさんが調査しているのって、全部植物ですよね? 魔物の研究家じゃなかったんですか?」 ケイトにそう指摘され、ノルドラッドは少し困ったようにため息をつく。 「いや~、実はボク、魔物の研究なんかより、本当は虫や植物の研究がしたかったんだよ」 「ん? すれば良いのではないか?」 「それができれば苦労はしないよ~。ボクだって、死なない程度には食べないといけないし、研究にかかるコストは普通の生活費どころじゃないからね。虫の研究に、お金を出してくれる人がいると思う?」 「......いそうにないですね」 少し考えて首を振るケイトに、ノルドラッドもまた、苦笑して肩をすくめる。 「だろ? 植物の研究も、錬金術師に先んじることなんてほぼ無理だから、こっち方面で糧を得るのは難しいんだよ。だからこうやって、魔物研究の合間に、趣味で調べることぐらいしかできなくて」 ケイトは『合間にしては時間を使いすぎじゃ』と思わなくもなかったが、ノルドラッドの言葉には頷かざるを得ない。 虫にしろ、植物にしろ、錬金術の素材として利用できないかという実用面での研究――つまり、お金になる研究は錬金術師が多く取り組んでいる。 対して、研究の手薄な生態などに関しては、調べたところですぐに利益には結びつかない。 魔物の研究に褒賞金が出ているのは、それが国の安全に役立つと国が判断しているからこそで、虫や植物の研究に褒賞金が付く可能性は限りなく小さい。 「お金になる研究か......植物の栽培に関する研究はどうなんだ?」 「それも同じだよ。栽培して価値のある薬草は、すでに錬金術師が成功させてるから、意味がないよ」 「いや、そうとも言えないんじゃないか? ノルドは、ウチのお店の隣にあった畑は見たか?」 「畑? そういえば、かなり頑丈な柵で囲った畑があったね。それが?」 「あそこは店長殿の畑なんだが、実際に栽培しているのは普通の農家でな。今のところ、錬金術師でなくとも育てられる薬草を選んで栽培しているようだが、もしノルドが、育てるのが難しい薬草の栽培方法を確立できれば、大きな利益を生むんじゃないか?」 「薬草栽培......それも、育てられない物を......?」 アイリスの言葉に、ノルドラッドは立ち止まって考え込んだ。 研究論文を売ることしか考えていなかった彼にとって、それはちょっとしたパラダイムシフトだった。 「いや、しかし、自分で育てても大したお金には......あぁ、いや、だからこその『栽培方法の確立』か」 腕を組んで、ブツブツと呟き始めたノルドラッドを見て、アイリスたちも足を止めたが、これで今後が楽になるならと、何も言わずにその場で待機する。 「つまり、人を雇って育てさせれば、ボクは何もせずに、研究に打ち込める? 論文を書いたその時だけじゃなく、継続的に資金が? ――うん、そうだよ! 考えつかなかった! ありがとう、アイリス君! 君は天才だ!」 ノルドラッドはパッと顔を上げ、アイリスの手をガシリと掴むと、満面の笑みでその手をブンブンと上下に振る。 そのあまりに嬉しそうな様子に、アイリスは少し困ったように、言葉を付け加える。 「あ、いや、そうは言ったが、そう簡単に成功するとは思えないぞ? 誰もやっていない――かどうかは不明だが的でない以上......」 「もちろんそれは解っているさ! だが、ボクにはこれまでずっと調べてきた研究成果がある。これまでは完全に趣味だったけど、今回のサラマンダー調査が認められれば、かなりの褒賞金が見込めると思うんだ。それを元手にやってみるよ!」 手を握りしめ、目を輝かせるノルドラッドに、アイリスはやや困惑気味にその手をそっと外し、身を引いた。 「そ、そうか。頑張ってくれ。そのためにもサラマンダー調査を頑張らないとな?」 「そうだね! それじゃ、先を急ごう!」 ◇ ◇ ◇ アイリスがノルドラッドの興味の矛先をずらしたことにより、彼女たちの移動速度は一気にスピードアップした。 下手な採集者よりも鍛え上げられた肉体を持つノルドラッドは、大量の荷物を担いでいてもその足取りに一切の不安もなく、むしろアイリスたちを急かすほど。 溶岩トカゲが生息する山に辿り着く頃には、アイリスたちの当初の予定とほぼ変わらないぐらいまで、巻き返していた。 しかしそうなると、周囲の気温もぐんぐん上昇するわけで。 「そろそろ防熱装備に着替えようか」 「そうだな。ケイト、テントを張ろう」 荷物を下ろし、その場で着替え始めたノルドラッドに対し、さすがにアイリスたちにはそんなことはできず、順番にテントの中で着替えを行う。 もちろんアイリスたちが着替えるのは、サラサが作った防熱コートなどの装備一式。 その品質は、ノルドラッドが身に着けた物に比べ、明らかに勝っており、それを目にしたノルドラッドも興味深そうに訊ねる。 「へぇ......。アイリス君たちの装備は、どの程度まで耐えられるんだい?」 「店長さんによると、溶岩に足を突っ込んでも、数秒なら大丈夫、だったかしら」 「うむ。ただ、覆われていない部分はダメだから、注意するように、だったか?」 「それは......想像以上に凄いね?」 そもそもサラマンダーと対峙することを想定して、サラサが用意した装備は、安全性優先、コストを度外視して作った代物。 サラマンダーのブレスを喰らっても生き残れるように考えられ、普通の防熱コートや防熱ブーツなどとは品質がまったく異なる。 その防熱性能は、溶岩の隣で戦闘をするような無茶をしないのであれば、完全にオーバースペックなのだ。 当然、本来であればアイリスたちに手が出るようなお値段ではないのだが、サラサはそのあたりのことは詳しく説明せず、報酬代わりにポンと手渡していた。 「だが、サラマンダーを調査するんだ。ノルドの着ている物もそれなりだろう?」 なんだよ。普通に店売りの物だから、溶岩の傍でもなんとか堪えられるってレベル。溶岩に足を突っ込めば、普通に死ねるね」 本来、店売りの“防熱コート”や“防熱ブーツ”などは、溶岩トカゲなどが生息しているエリアでも、普通に活動できる程度の性能しかない。 サラマンダーが生息するような高温環境になると、『取りあえず生存は可能』というレベルで、長期間の活動や戦闘行動はかなり厳しい。 ノルドラッドが持つ装備も、高レベルの錬金術師が作製した代物だが、通常品とカスタムメイド、その差は歴然としていた。 「ま、溶岩の中に入る予定はないし、問題はないよ」 「そうなのか? 私たちの装備でも、サラマンダーの巣穴に行ったときは少し辛かったんだが......」 「そう? ボクの場合、ちょっと汗が滝のように出て、たまに脱水症状で目眩がして、一日に一回程度、意識を失いかけるぐらいだったけど?」 事実である。 護衛していた採集者がいなければ、ノルドラッドは前回の調査地で、脱水症状か熱中症で死んでいたことだろう。 だが、そんな面倒を掛ける研究者を護衛したいという人がいるはずもなく。 彼の奇行が知れ渡るにつれ、護衛を引き受けてくれる採集者がいなくなってしまったのだ。 「そんなわけで、大丈夫だよ。鍛えているからね」 「いや、それは大丈夫と言わないだろう!?」 グッと見事な筋肉を見せつけるノルドラッドだが、アイリスたちがそれで納得するはずもない。 「確かにノルドさんは、研究者とは思えないほど鍛えられていますが、それでどうにかなるものとは......」 「う~ん、前回はなんとかなったんだけどなぁ」 それは単に運が良かっただけである。 筋肉でなんとかなるほど、脱水症状や熱中症は甘くない。 必要なのは筋肉に対する信仰ではなく、水分と塩分の補給だ。 「幸い、水には余裕があるが......」 「先ほど、補給しましたものね」 水場の場所は前回来たときに確認済みで、この山に登る前にアイリスたちは、手持ちの水袋を満杯にしてきている。 場所が場所だけに水の量にはある程度の余裕をみているが、ノルドラッドがそんな状況では、水の消費も多くなってしまうだろう。 それでも比較的近場に補給可能な場所があるだけ、安心感はあるのだが。 「これ以降に水場はないんだよね?」 「温水の出ている場所はいくつもあるが、飲めるかどうかは不明だな。ノルドはそのあたり、調べられるか?」 「可能、不可能で言えば、可能だよ。あまり期待はできないけど」 熱水による泥濘が多くあることからも判る通り、この山に水の湧き出ている場所は案外多いのだが、高温であることを無視しても、それらを飲料水として使えるかといえば、かなり厳しい。 大半の場所では、見た目からしてとても飲めそうもないし、一見綺麗に見える水でも、このような場所で湧き出る水が油断できないことを、ノルドラッドは知っていた。 少量飲むのならまだしも、普通の飲料水や料理に使う水として長期間使うことは、できれば避けるべきであろう。 ちなみに、前回の調査地でノルドラッドが無事に生き残れたのは、護衛の採集者の尽力に加え、運良くすぐ近くに、飲用可能な冷泉が湧いていたことによる。 「ま、たぶん大丈夫だよ。前回も何とかなったんだから」 当てにならない根拠で気楽なことを言うノルドラッドに、アイリスとケイトは顔を見合わせてため息。 嫌な予感を抱きつつも、これもお仕事と、歩き出した彼の後を追ったのだった。

"I was a little concerned about that, but what Mr. Nord is investigating, it's all plants, right? Weren't you a demon researcher? That's what Kate points out, and Nordrad sighs like a little trouble. "No, actually, I really wanted to do more research on insects and plants than I did on demons." "Hmm? Wouldn't it be nice if I did? "If I can do that, I won't have a hard time. Because I have to eat to the point where I don't die, and the cost of research is not a normal cost of living. You think there's someone out there who can give me money to research bugs? "... you don't seem to be" To Kate, who thinks a little and shakes her head, Nordrad also smiles bitterly and shrugs her shoulders. "Right? Plant research is almost impossible to get ahead of an alchemist, so it's hard to get food over here. So in the meantime, between demonic studies, I can only look into it on a hobby basis." Kate didn't have to think, 'You can't spend too much time in between,' but she has to snort at Nordrad's words. A practical study of whether it is not available as an alchemy material, be it worms, plant - that is, money making research is a lot of work done by alchemists. In contrast, when it comes to the insignificant ecology of research, for example, it is not immediately linked to profit when examined. There are prizes out for research into demons because the state decides that it will help the country's security, and there is unlimited chance that prizes will be attached to research into worms and plants. "Money-making research... what about research on plant cultivation? "That's the same thing. There's no point in cultivating a worthy herb because the alchemist has already succeeded." "No, you can't even say that? Did Nord see the field next to our shop? "Fields? Speaking of which, you had a field surrounded by a pretty sturdy fence. Is that it?" "It's the manager's field, but it's actually a regular farmer who grows it. So far, we seem to be choosing and cultivating herbs that we can grow even if we're not alchemists, but if Nord can establish a way to cultivate herbs that are difficult to cultivate, wouldn't it make a big profit? "Herbal cultivation... that's also what you can't grow...? To Iris' words, Nordrad stopped and thought. For him, who was only thinking about selling his research paper, that was a bit of a paradigm shift. "No, but it's for a lot of money to raise yourself... oh, no, is that why 'establishing a cultivation method'" I put my arms together and saw Nordrad start whining with the bumps, and the Iris stopped, too, but wait on the spot without saying anything if this makes the future easier. "I mean, if you hire people to raise them, I can do nothing, get into research? Not just at the time you wrote your paper, but continuously funded? - Yeah, I am! I didn't think of that! Thank you, Mr. Iris! You're a genius! Nordrad looked up pampered and grabbed Iris' hand gassily, shaking that hand up and down with a full grin. To that seemingly overly happy appearance, Iris adds the words, as a little troubled. "Oh, no, that's what I said, but I don't think we're gonna succeed that easily, do we? No one is doing it - not sure if it is, but it is more than common..." "Of course I know that! But I have the research I've been looking into. So far, it's been a complete hobby, but if this Salamander survey is accepted, I think we can expect quite a reward. I'll see what I can do with that! To Nordrad, who held his hand and sparkled his eyes, Iris gently removed his hand slightly puzzled and pulled himself away. "Oh well. Good luck with that. We have to work hard on the salamander investigation for that, right? "Right! Now let's hurry! ◇ ◇ ◇ Iris deflected the spearhead of Nordrad's interest, speeding up their movement at once. Nordrad, with more forged flesh than a poorer gatherer, has no anxiety whatsoever in his footsteps, even if he is in charge of a large quantity of luggage, rather enough to rush the Iris. By the time we reached the mountain where the lava lizards lived, we had been rewinding to such an extent that it was almost unchanged from the Iris' original plans. But when that happens, the surrounding temperatures go up. "Time to get dressed for heat protection gear" "Right. Kate, let's set up a tent." I can't do that to the Iris exactly, against Nordrad, who unloaded his stuff and started dressing on the spot, changing in turn in the tent. Of course, Iris and the others change their clothes with a set of heatproof coats and other gear made by Sarasa. The quality is clearly better than what Nordrad wore, and Nordrad, who saw it, asks with interest. "Heh... Iris, how much of your gear can you stand? "According to the manager, if you stick your foot in the lava, it'll be all right for a few seconds." "Uhm. Just not the uncovered part, so be careful, was it? "That's... even more amazing than I imagined, huh? Assuming confrontation with Salamander in the first place, the equipment prepared by Salasa is a safety priority, a substitute made with out-of-the-box attention to costs. Thought to survive eating salamander braces, the quality is completely different from normal heat proof coats, heat proof boots, etc. Its heat protection is totally over-spec if you don't do the kind of unscrupulous fighting next to lava. Naturally, it's not as pricey as it should be for the Iris and the others, but Sarasa didn't go into detail about the area, handing it to Pong instead of the reward. "But we're going to investigate Salamander. Is that what Nord's wearing? "What the hell is that? Normally it's a store item, so he said he can manage to enjoy it beside the lava. Stick your foot in the lava and you'll die." Initially, store-selling "heat resistant coats” and “heat resistant boots” can only perform to the extent that they can normally operate even in areas where lava lizards and the like live. Long-term activities and combat actions are quite demanding at the level of 'survival is possible for now' when it comes to hot environments like those in which salamanders live. The equipment Nordrad has is also a substitute made by a high level alchemist, but the difference between regular and custom made products was historical. "I'm not planning on going into the lava, and there's nothing wrong with that." "Really? Even our gear was a little hard when we went to Salamander's nest..." "Really? In my case, the sweat came out a little like a waterfall, and I was blinded by occasional dehydration, about once a day, about to lose consciousness? It is a fact. Without the gatherer he was escorting, Nordrad would have died of dehydration or heat stroke at his last investigation site. But there can't be anyone who wants to escort such a troublesome researcher. As his oddity became known, there was no gatherer to take on the escort. "That's why I'm fine. I'm working out." "No, you wouldn't say that's ok!?" Nordrad showing off his good, stunning muscles, but Iris and the others can't be convinced of that either. "Sure, Mr. Nord is more trained than a researcher, but what can be done about it..." "Uh-huh, I managed last time." That was just luck. Dehydration and heat stroke are not sweet enough to be manageable with muscles. What is needed is not faith in the muscles, but hydration and salinity. "Fortunately, there's plenty of room for water..." "Earlier, you supplied it." The location of the water field was confirmed the last time we arrived, and before climbing this mountain, Iris and the others are filling up their handheld water bags. The place sees some room in the amount of water just for the place, but in a situation where Nordrad is like that, the water will also consume more. Still, there's only a relatively nearby replenishable place, so I feel safe. "You don't have a water field after this, do you? "There are many places where hot water is out, but it's unclear if you can drink it. Can Nord check around? "It's possible, if it's impossible, it's possible. I can't really expect that." As can also be seen from the high mud caused by hot water, there are many out-of-the-box places where water is gushing into this mountain, but even if we ignore the fact that it is hot, it is quite harsh when it comes to whether we can use them as drinking water. In most places, Nordrad knew that even seemingly clean water, unlikely to be very drinkable from the looks of it, could not be alarmed by water gushing out in places like this. If you drink a small amount, you should still avoid using it as regular drinking water or water for cooking for a long period of time, if possible. Incidentally, Nordrad survived successfully at the last survey site, according to the fact that, in addition to the efforts of the gatherers of escorts, he was lucky enough to have a drinkable cold spring springing up in the immediate vicinity. "Ma, I'm probably fine. I've been able to figure it out last time." Iris and Kate sigh face-to-face at Nordrad for saying easy-going things on a basis they can't guess. Even though I had a bad feeling about it, I followed him through his work and after he walked out.

ロレアちゃんを弟子にすると決めた私だったけど、それでいきなり何かが変わるわけじゃない。 ロレアちゃんはこれまで通りウチの店員だし、店員として必要な知識の大半は、錬金術師として必要な知識と重複している。 つまり、これまで店員教育として時々行っていた教授の延長線上に、弟子としての指導がある。 そもそも、錬金術師になるための勉強なんて、大半は知識の習得。 まずはそれを固めなければ、先へ進めない。 そこを疎かにしていきなり実習なんてさせたら事故の元。 学校のように施設が整っていたり、師匠ぐらいの錬金術師なら、事故っても怪我すらさせずに収めることが可能かもしれないけど、私には不可能。 間違ってもロレアちゃんを、不必要な危険に曝すわけにはいかない。 もちろん、錬金術師になる以上は実習なども必要だし、ある程度の危険はあるんだけど、それはきちんとした備えをした上で行われるべきこと。 当然、当分の間は座学が主体となる。 そのためにまずは、師匠に教科書などの取り寄せをお願いした。 実は私、学校で使った教科書や参考書、事典などは一切持っていないんだよね。 すべて無料で貸し出されるサービスを利用していたから。 お金持ちは自分の物を買ってたみたいだけど、節約生活の私には無縁なこと。 私が持っているのは、卒業してから購入した錬金術大全だけ。 他に自分で書いたノートはあるけれど、これも節約していた関係上で、中身は要点を纏めた物のみ。大半は私の頭の中にしかない。 私自身の記憶を呼び起こす役には立っても、これを使ってロレアちゃんが勉強するなんてことは不可能なんだよ。 だから、私が付きっきりで教えるならともかく、自分で勉強するなら教科書などはどうしても必要なのだ。私にもお仕事があるので。 まぁ、“錬金素材事典”なんかは、私も手元に置いていても良いかな、と思っていたから、良い機会かも。 今ならお金には多少余裕があるし、私の記憶だって完璧とは言い難いから。 そんなわけで、それらの本が届くまでは今まで通り、と、思ってたんだけど――。 ◇ ◇ ◇ 「今日からよろしくお願いします!」 ある日の朝、私の目の前には、布袋を一つだけ抱えたロレアちゃんが立っていた。 昇ったばかりの朝日を浴び、ロレアちゃんの浮かべている笑顔が眩しい。 「えっと......ロレアちゃん、もう? 昨日の今日で?」 「はい! 善は急げと言いますし」 いや、『ある日の朝』とか、なんか日にちが経ったように言ってるけど、お泊まりをした翌朝の話なんだけどね。 なんとロレアちゃん、開店前に一度家に戻ったかと思ったら、手早く荷物を纏めて、出勤するその足で引っ越してきたのだ。 持っているのは大きな袋一つ。 ロレアちゃんが両手で抱えるほど大きいとはいえ、引っ越しの荷物としてはあまりにも少ない。 ん? ......こともない? よく考えたら、私がこの村に引っ越してきたときは、もっと少なかったよ。 ベッドや布団など、生活に必要な物は一通りウチに揃ってるし、必要ならすぐ取りに戻れるもんね。実家がご近所だから。 抱えるほど大きい袋なのにそんなに重そうじゃないから、入っているのは着替えとか、そのへんの物だけじゃないかな? 「あの......ダメでしたか?」 私が少し考え込んでしまったからか、輝かんばかりだった笑顔を曇らせ、不安そうな表情で私を見つめるロレアちゃんに、私は慌てて首を振る。 「いや、ダメじゃないよ? ダメじゃないけど、引っ越してくるなら、私もきちんとダルナさんに挨拶に行かないと」 いうなればこれは、ロレアちゃんを徒弟としてウチに迎え入れるようなもの。 ロレアちゃんの出身地が別の町とかならともかく、同じ村の中、しかも比較的近所に親が住んでいるのに挨拶もなしとか、そんな不義理なことはできない。 私もそのへんに詳しいわけじゃないけど、孤児院の先輩が卒院してどこかの親方に弟子入りする場合、そこの人と思われる人が孤児院まで挨拶に来ていた。 その頃は私も一桁年齢だったので、詳しいことは覚えてないんだけど、たぶんそういうものなんだと思う。 だけど、私のそんな言葉に、ロレアちゃんは不思議そうに私を見返した。 「え、挨拶ですか? ちゃんと言ってきましたから、別に必要ないですよ? 両親も気にしないと思います。いえ、むしろ、うちの親が挨拶に来るべきというか」 「そういうわけにはいかないよ。娘さんを預かるんだから、きちんと私から挨拶をしないと。大人の責任として」 「大人......ですか?」 何故そこで疑問を浮かべる? 「大人です!しか違わないけど、私、成年。ロレアちゃん、未成年。コレ、ゼッタイ」 そこ! ロレアちゃんの方が年上に見えるとか、言っちゃダメ。 外見は関係ないんだよ? 立場と責任に。 一応私、社会的地位は高いからね! 錬金許可証 「解りました。であれば、ちゃっちゃと済ませちゃいましょうか。開店まであまり余裕がないですし」 「いや、そんな簡単には済まないと思うし、今日は開けるのが遅くなっても......」 むしろ、半休ぐらいでも良いような? 私も挨拶するのに、ちょっと心の準備とか欲しいし。 手土産とか、用意すべきでしょーか? ......明日にした方が良いかな? 「ダメです、私の事情でお店に影響が出るのは。急ぎましょう!」 持っていた袋を部屋に放り込んだロレアちゃんは、初めての経験にやや腰の引けている私を追い立てるように、背中を押してダルナさんの所へ。 そうなれば私も、大人として覚悟を決めるしかない。 ちょうど二人揃っていたダルナさんとマリーさんに『娘さんをお預かりしてよろしいでしょうか』と訊ねれば、予想外なことにというべきか、ロレアちゃんが言った通りにというべきか、ダルナさんとマリーさんは非常にあっさりと、いや、むしろ恐縮するように『ご迷惑をおかけするかもしれませんが、娘をよろしくお願いします』と挨拶を返されてしまった。 訊けばダルナさんたち、できうるならばロレアちゃんに、雑貨屋の仕事を継がせたくはなかったらしい。 村には必要な職業だし、他の村人よりも少し多めの稼ぎがあるとはいえ、村と町を往復することの多い雑貨屋の仕事は、決して安全とはいえない。 ダルナさんたちも危険な目にあったことがあるし、先代の雑貨屋であるダルナさんの両親など、盗賊に襲われて命を落としているらしい。 だからといって、何の当てもなく町へ働きに出すことに比べれば、多少の危険はあっても雑貨屋をやる方が幾分はマシ。 ロレアちゃんには腕っ節の強い婿でも迎えて、少しでも安全に......と考えていたところ、安定性という面ではかなり上位に入る錬金術師のお店で働けることになり、今後もそれを仕事にできるなら、親として万々歳。反対する理由など、何一つないらしい。 しかし、この村とサウス・ストラグの間は比較的安全そうだと思ってたんだけど、盗賊が出ることもあるんだね。 私も襲われはしたけど、あれはヨク・バールが雇った盗賊だから、ちょっと事情が異なるだろう。 まぁ、ここの領主に治安維持は、あまり期待できないか。 この村にヘル・フレイム・グリズリーが出たときの対応を見ても。 本来、街道の安全の確保と治安維持は、その地域を治める領主の仕事。 しかも、ここカーク準男爵領はサウス・ストラグという商業都市を抱え、街道の安全こそが命綱。 それなのに、何をしているのやら......。 悪巧みは頑張ってるみたいだけど、それだけって感じ。 長期的な視点での損得勘定ができていないというか......ダメな二代目とか、そういうのなのかも?

It was me who decided to make Lorea my apprentice, but that doesn't change anything all of a sudden. Lorea is our clerk as always, and the majority of the knowledge you need as a clerk overlaps with the knowledge you need as an alchemist. In other words, there is instruction as a disciple on the extension line of professors who have sometimes done so before as part of clerkship education. In the first place, the majority of studies to become alchemists are the acquisition of knowledge. If we don't consolidate it first, we can't move on. If you neglect it and suddenly let it be an internship, it's the source of the accident. If you have a facility as well as a school, or an alchemist as good as a master, it may be possible to fit in an accident without even causing injury, but it is impossible for me. You can't put Lorea in unnecessary danger by mistake. Of course, I need an internship or something more than becoming an alchemist, and there's some danger that that should be done with proper preparation. Naturally, seating will dominate for the time being. To do this, I first asked my master to pick up textbooks and such. Actually, I don't have any textbooks, references, dictionaries, etc. that I used at school, do I? Because I used a service that was all rented free of charge. Looks like the rich guy was buying his stuff, but it's irrelevant to me to save my life. All I have is all the alchemy I bought since graduation. There are other notebooks that I wrote myself, but in relation to which I was also saving money, the contents are only those that summarize the main points. The majority is only in my head. Even if it helps to evoke my own memories, it's impossible for Lorea to study with this. So anyway, if I'm going to teach clearly, if I'm going to study for myself, I really need textbooks and stuff. Because I have a job for you too. Well, I was wondering if I could keep the “Dictionary of Alchemy Materials” or something, so it might be a good opportunity. Because I can afford some money now, and even my memory is hard to say is perfect. That's why I thought, until those books arrived, they were just the same, and... ◇ ◇ ◇ "Thank you from today! One morning, in front of me, Lorea stood holding only one cloth bag. I bathe in the morning sun just ascended, and Lorea's floating smile dazzles. "Uh... Lorea, already? Yesterday, today? "Yes! Good says hurry." No, I'm saying 'one morning', like some days went by, but I'm talking about the morning after we stayed. Oh, my God, Lorea, I thought I'd been home once before the store opened, so I packed up quickly and moved in with those legs I was going to work on. All I have is one big bag. Even though Lorea is big enough to hold it with both hands, it's too little as moving luggage. Hmm?... nothing? On second thought, when I moved to this village, it was less. We have everything you need for your life, like a bed or a futon, and if you need it, you can go back and get it. Because my parents are neighbors. It's a bag big enough to hold, but it doesn't look that heavy, so isn't it just the change of clothes and stuff in it? "Um... couldn't you? I shake my head in a hurry because I've thought a little bit about it, or to Lorea, who clouds a smile that was just glowing and stares at me with an anxious look on her face. "No, you can't, can you? No, but if you're moving in, I need to go say hello to Mr. Darna properly, too." Otherwise this is like welcoming Lorea into our house as my brother-in-law. Whatever Lorea's place of origin is in another town or something, she can't be such an imposter in the same village, and relatively neighborhood where her parents live but no greetings. I'm not familiar with that area either, but if the orphanage seniors were to graduate and apprentice to some parent, someone who seemed to be there was even coming to say hello to the orphanage. I was single digit old by then too, so I don't remember the details, but I think that's probably what it is. But to my words, Lorea looked back at me strangely. "Oh, is that a greeting? I've said it right, so you don't need anything, do you? I don't think my parents care either. No, rather, my parents should come and say hello" "That's not how it works. You're keeping your daughter, so you need to say hello from me properly. as adult responsibility." "Adults......? Why do you ask questions there? "I'm an adult! Only two years old is different, but me, adulthood. Lorea, you're a minor. Here, Zettai." There! Don't tell me Lorea looks older. It doesn't matter what you look like, does it? to position and responsibility. For once, I have a high social standing! Alchemy's License isn't Dade, is it? Hmm. "I understand. If so, should I do it right? I can't afford to open much." "No, I don't think it's that easy, even if it's late to open today..." Rather, like, maybe a half break? I'd like to say hello, too, but I'd like to get my mind ready for something. Hand and souvenirs, should I prepare them? ... Should I make it tomorrow? "No, what affects the store because of my circumstances. Let's hurry! Lorea, who threw the bag she had into her room, pushed her back to Mr. Darna's, pushing her back to drive me away, slightly hipsided by her first experience. Then I, too, will have to decide to be ready as an adult. Just when I asked Darna and Marie, who were both there, 'May I take care of your daughter', I was greeted back by Darna and Marie very lightly, no, rather as I feared, 'I may inconvenience you, but thank you for your daughter', whether it should be unexpected or as Lorea said. Ask them, Mr. Darna, if you could, they didn't want Lorea to carry on the grocery store job. Though villages are a necessary profession and earn a little more than other villagers, grocery store work, which often goes back and forth between villages and towns, is never safe. The Darnas have had dangerous eyes, too, and they are being attacked by bandits and losing their lives, such as the parents of their predecessor, Mr. Darnah, the grocery store. That's why it's better to do a grocery store, even if there's some danger, compared to putting it to work in town without any guessing. I even welcomed you to Lorea as my son-in-law with a strong arm and thought you would be a little safer...... if you would be able to work in an alchemist's shop that would be pretty much at the top in terms of stability and still be able to work with that in the future, Hail as a parent. They don't have any reason to disagree. But I thought you seemed relatively safe between this village and South Strag, and sometimes there are bandits out there. I was attacked, too, but that was a bandit hired by Yorke Barr, so things would be a little different. Well, can't we expect much policing from the lords here? Even look at the response when Hell Flame Grizzly came out of this village. Inherently, ensuring street safety and policing is the job of the lords who rule the area. Moreover, here in Associate Baron Kirk territory has a commercial city called South Strag, where street safety is the lifeline. And yet, what are you doing... The mastery seems to be working hard, but that's all I feel. You mean you haven't got a loss account from a long-term perspective... a bad second generation or something like that?

「イヤイヤ! めっちゃ切れてるから! 頭、転がってるから!」 何事も無く進行しようとした私に、ギルさんからツッコミが入る。 「おかしいですね......?」 こんな感じに弾き返されますよー、と実演しようと思ったのに、私の振るった剣は溶岩トカゲを見事に両断。哀れ頭と胴体で泣き別れ。 頭を失った胴体が、元気に暴れ回り......あ、さすがにそろそろ動かなくなってきたね。 ――うん、敗因(?)は、師匠からもらった剣。 そういえばこの剣、ヘル・フレイム・グリズリーの首も見事に切り落としていたんだよねぇ。 師匠曰く、『丈夫な剣』というのは伊達ではないね。 「当たり前ですが、普通はこうなりませんし、できてもやらない方が良いです。ここの場所を切ってしまうと、価値が下がりますから」 「あー、やっぱりそうなのか?」 「はい。やっぱり、全身綺麗に揃っている方が良いですからね。特に硬い上面の皮は、使い道も多いですし」 では傷つけられない溶岩トカゲの革は重宝される。 逆に言うと、防具以外ではあまり使い道が無いんだけど。 やっぱり汎用性が高いのは、もう少し軟らかい革なんだよね。 「さて、誰から行きますか? それとも全員で?」 「そうだな......サラサちゃん、この頭で試し切りをしてみても良いか?」 そう言ってアンドレさんが指さすのは、私が切断した頭の方。 使い道が無いとは言えないけど......ま、いっか。それで安全性が高まるなら。 「いいですよ。でも、あまり強引に切ろうとしない方がいいですよ? 剣が欠けるかもしれませんから」 「すまないな。それじゃ、早速......」 アンドレさんたちが、溶岩トカゲの生首で順番に試し切りを始めるが、やはりというべきか、カキンと弾き返されて刃が通らない。 「お。想像以上に 「正に岩みたいだな。サラサちゃんは、これを切れるのか......」 「剣の力! 剣の品質が良いおかげですからね?」 呆れたようなグレイさんの言葉に、私は慌てて注釈を入れる。 それなりには鍛えているけど、普通の品質の剣で溶岩トカゲを両断するのは無理だから! 「む。これは......下手をすると、本当に剣が折れそうだな?」 「アイリス、止めてよ? 先日、新しくしたばかりなんだから!」 「解っている。安い物じゃないからな」 眉をしかめたケイトさんに、アイリスさんも当然と頷く。 彼女の使っているのは、ヘル・フレイム・グリズリーの狂乱が終わった後、村の鍛冶屋であるジズドさんに作ってもらった剣なので、専門の武器職人が作る物に比べると、品質としてはさほど良くない。 お値段を考えれば十分に良い出来だとは思うけど、借金のあるアイリスさんたちが払える額は決して多くはないわけで。 私としては、多少返済が遅れても良いから、装備には力を入れて欲しいんだけどね。 「まぁ、予想通りの結果だな。次は腹側か。よっと!」 全員の試し切り――切れてないけど――が終わったのを確認したアンドレさんが頭をひっくり返し、今度は腹側の皮に向かって剣を振るう。 「......ん? 弾き返されるほど硬くはないが、こっちも簡単には切れんぞ?」 「うわっ、マジかよ。これ、俺たちに斃せるのか?」 「私の剣なら突き刺さるな。これは突き一択か?」 どうやら腹側の皮も、予想以上に丈夫らしい。 アンドレさんたちの使っている剣は、あんまり切れ味鋭くないし、こういうタイプの魔物には向いていないかぁ。 「案外、一番向いているのは、ケイトさんかもしれませんね」 「え、私?」 唯一、生首への攻撃に参加していなかったケイトさんに話を振ると、少し意外そうに私の方を見る。 「はい。ケイトさんなら、多少離れていても、目を狙う事ができますよね?」 「......そうね。溶岩トカゲが店長さんに反応しなかった距離、あれぐらいなら、問題は無いと思うわ」 少し考えて、ケイトさんが頷く。 ヘル・フレイム・グリズリーが襲撃してきた時にも、建物の上から動き回るヘル・フレイム・グリズリーの目を射貫いていたのだから、じっと止まっている溶岩トカゲぐらい、ケイトさんからすれば、ただの的だろう。 後は、矢がどれくらい効くかだけど、そこは試してみるしかない。 危なければ、私もフォローができるからね。 ◇ ◇ ◇ 大まかな方針を決めた私たちは、次は実践と、単独でいる溶岩トカゲを探して歩いていた。 やはり温かい場所が好みなのか、それを見つけたのは、蒸気が噴き出している場所の近く。 遠くから観察する私たちに反応する事も無く、地面にお腹を張り付けたまま動かない。 怠惰で無防備そうに見えるけど、背中の皮の頑丈さ、そして腹側の皮の意外な丈夫さを知った今となっては、腹をしっかりと地面に着けたあの格好は、かなり安全性の高い体勢だと理解できる。 「それじゃ、私からで良いのよね?」 「あぁ。ケイト、お前の弓の腕を見せてくれ」 「あんまり期待しないでよ......」 などと言いつつも、ケイトさんが弓を引き絞り、ひょうと放った矢は狙い違わずに溶岩トカゲの目に深く突き刺さる。 「よっしゃ!」 ギルさんが声を上げると同時、溶岩トカゲがびったん、びったんと暴れ始め――あ~、そういえば、頭を切り落としても胴体は暴れるんだった。 仮に致命傷でも、矢の一本程度では動きを止めたりはしないかぁ。 放置すればそのうち死ぬかもしれないけど、事態はそれを待ってはくれなかった。 「あっ! 逃げるぞ!」 「速い!?」 単純にビタビタと暴れていたのは僅かな時間。 溶岩トカゲはすぐに動き出し、私たちから離れる方向に、思ったよりも素早い動きで移動し始めた。 それを見たアイリスさんとグレイさんが声を上げ――。 「待って!」 すぐさま追いかけようとしたアイリスさん。 その襟首を、私は慌てて掴む。 「ぐぎゅっ! ――ゲホッ。店長殿、突然何を!?」 首が絞まったアイリスさんが苦しそうな声を漏らし、非難するように私を睨むけど――これは仕方ないのだ。 「アイリスさん、先ほどの注意点、覚えていますか?」 改めて問うた私の言葉に、アイリスさんの目があっぷあっぷと泳ぐ。 「えっと......深追い禁物、だったか?」 「そうです。基本的に、溶岩トカゲが逃げる先は、人間が入ると危ない場所です。走って追いかけるなんて、厳禁です」 「な、なるほど......?」 一見すると平らな地面に見えるのに、実は深い泥、しかも高温とかもあり得る。 溶岩トカゲが普通に移動しているからと、自分たちも同じように歩けるとは考えるべきでは無いのだ。 「と言う事で、慎重に追いかけましょう。既にだいぶ弱っているみたいですし」 私がアイリスさんと話している間にも、溶岩トカゲは数十メートルほど離れた場所まで移動し、そこで泥の中に身体を半分ほど入れた状態で、動きを止めていた。 あれは、『安全な場所まで移動したから安心』ではなく、たぶん弱って動けなくなっている状態。 の半分ほどが頭の中にめり込んだ状態で、暴れたり移動したりすればどうなるか。想像に難くない。 「むしろ既に死んでそうよね。......もう一発、撃ち込んでみましょうか? 敢えて危険を冒す必要も無いでしょ?」 「そ、そうだな。ケイト、頼む」 「任せて。......っ!」 ケイトさんが再び放った矢は、今度も溶岩トカゲの目を完璧に捉える。 だが、その身体は衝撃で僅かに揺れただけで、再度暴れ始める様子も無い。 「ナイス! よっしゃ、回収は俺に任せてくれ!」 ケイトさんに向かって、ビシリッとサムズアップしたギルさんは、軽い足取りで、しかし慎重に足元を確認しながら溶岩トカゲへと近づいていく。 多少なりとも熱湯が流れている地面はかなり熱くなっているはずだが、厚手のブーツを履いている事もあり、泥に足を突っ込んだりしなければ、火傷したりする心配は無く、さすがはベテランと言うべきか、危険そうな所はきっちりと避けている。 だがしかし。 「あっ、そんな不用意に――」 「ずわっちゃあぁぁぁ!!」 ......言わんこっちゃない。 溶岩トカゲの尻尾を掴んだその瞬間、ギルさんは叫び声を上げて弾かれたように手を離すと、凄い速度でこちらへと戻ってきた。 「サ、サラサちゃん! 手、手が!」 「はいはい。見せてくださいね」 手袋を外した手は真っ赤になっていたけど、症状としては軽い火傷だよね。 これなら、 を使うまでもない。 魔法で出した水で手を冷やし、軽い治癒魔法をかければ、すぐに赤みも引いていく。 それを見て、ギルさんはホッと息をつくが、横で見ていたアンドレさんは安堵の息を吐きつつも、眉をつり上げてギルさんの頭を小突いた。 「馬鹿野郎、ギル、気を抜きすぎだ。すまない、サラサちゃん。治療費は、必要だろうか?」 「お店に来たのなら、お支払いいただきますが、今回は一緒に仕事をしている状況ですからね。魔法で対処できる範囲なら、不要です」 「すまねぇ。助かった。しっかし......めっちゃ、熱かった!」 「そりゃそうですよ。言うなれば、ひたひたで煮込まれた状態ですよ?」 泥とお湯という違いはあるけど、高温である事は両方同じ。 そんな場所に半分程浸かっている状態の代物が、熱くないはずがない。 「柔軟グローブは丈夫ですけど、断熱性は無いですから」 「氷牙コウモリの牙も通さねぇし、大丈夫かと思ったんだけどな」 「いえ、目的が違いますから」 氷牙コウモリの牙は刺さりさえしなければ凍らないので、別に極低温を断熱して対処しているわけじゃないのだ。 断熱用には断熱用の手袋があるので、それを利用しないとダメ。 を買わずとも、鍛冶屋さんが使うような厚手の革手袋で大丈夫だとは思うけどね。 「なるほど。今度は俺が行こう」 次に向かったのはグレイさん。 採集者としての経験的にはギルさんと同じはずなんだけど、少々無口故か不思議と、安心感と安定感がある人。 アンドレさんが表の支柱、ギルさんをムードメーカーとするなら、グレイさんは土台。 そして今回も、先ほどのギルさんを見ていたグレイさんはしっかりと学習していた。 今つけている柔軟グローブの上に、もう一つ手袋をつけ、更に厚手の革袋まで用意して、それ越しに溶岩トカゲの尻尾を掴むと、ズリズリと引きずって戻ってくる。 「グレイ、大丈夫か?」 「問題ない。サラサちゃん、これはしばらく放置しておけば、冷めるんだよな?」 「はい。身体の内部まで煮えたぎっているわけじゃないので、すぐに冷めると思いますよ」 「なるほど。ケイトぐらいの弓の腕があれば、斃すのは難しくないと言う事だな」 「単独でいる相手なら、ですね。群れを狙ってしまうと、逃げずに襲いかかってくるみたいですから。丸焼きになりたくないですよね?」 フムフム、と頷くアイリスさんに、私は一応注意点を伝えておく。 一匹だけならともかく、周囲を囲まれてブレスを吐かれてしまえば、かなり危険。 溶岩トカゲ自体にはブレスが効かないのだから、相手は誤射を気にする事も無く、ごうごうと吹き続ける事だろう。 その事を想像したのか、アイリスさんの顔色が少し悪くなった。 「うん、しっかりと留意する」 「ま、一匹だけの溶岩トカゲを狙って、かつ危険場所に逃げられなければ案外簡単に狩れそうってわけだな。それを踏まえて、やってみるか」 アンドレさんの言葉に、アイリスさんたちも含めて頷いたのだが、溶岩トカゲの大きさと村までの距離を考えれば、持ち帰れる量には限りがあり......。 結局、もほど溶岩トカゲを得た時点で狩りは終了。 私たちは足早に村への帰途に着いたのだった。

"I don't like it! Because it's so out! Head, because it's rolling! Mr. Gill gives me a scratch when he tries to progress without a thing. "That's crazy......? It bounces back like this. Hey, I tried to demonstrate that my sword wielded splendidly doubled the lava lizard. Pity head and torso crying apart. The torso with the loss of its head burst around fine...... Ah, that's just about time you stopped moving. - Yeah, the cause of loss (?) is the sword given to me by my master. Speaking of which, this sword, Hell Flame Grizzly's neck, was nicely chopped off, too, wasn't it? Master said, "A sturdy sword" is not Dada. "Naturally, this usually doesn't happen, and it's better not to do it if you can. If you cut the place here, it will be worth less." "Uh, I knew it was? "Yes. After all, it's better to have a clean alignment of your whole body. Especially hard top-surface skins, which have many uses." Even in alchemy-free protective equipment, lava lizard leather is treasured that cannot be damaged by Blunt "Loras". Conversely, I don't have much use for anything other than protective equipment. After all, the more versatile is the slightly softer leather. "Well, who do you want to go from? Or all of us? "Right...... Sarasa, can I try out with this head? That's what Mr. Andre points to, the one whose head I amputated. I can't say I don't have any use for it... but let's go. If that makes it safer. "Fine. But you shouldn't try to cut it too hard, should you? Because the sword may be missing." "I'm sorry. Well, hurry up..." Andre and the others begin to try it out in turn with the raw neck of the lava lizard, but it should still be said that the blade cannot pass by being bounced back with the oyster. "Oh, you're harder than I thought! "You look exactly like a rock. Sarasa, can you cut this..." "The power of the sword! Because of the good quality of the sword, right? I hastily insert an annotation into Mr. Gray's words as if they were frightened. Because I work out quite a bit, but I can't amputate lava lizards with a normal quality sword! "Mm-hmm. This is... if you do poorly, you're really going to break your sword, huh? "Iris, stop it, will you? Because I just made it new the other day! "I know. It's not cheap." Iris nods naturally to Kate, who frowned. What she uses is a sword that was made by Mr. Zizd, a village blacksmith, after the frenzy of Hell Flame Grizzlies, so it's not as good as a scissor as a quality compared to the objects made by a specialist weaponsmith. I know it's good enough given the price, but there's never much that the debtors Iris can pay. As far as I'm concerned, I'd like you to invest in your gear because you can delay paying me back somewhat. "Well, that's the result as expected. Next is the abdomen? Yikes!" Mr. Andre flips his head and now waves his sword against the belly skin, making sure that all the attempts - not cut, but - are over. "... hmm? Not hard enough to get bounced back, but we're not gonna cut this one off easily, are we? "Wow, you're serious. Can you shoot us with this? "If it's my sword, don't pierce it for once. Is this a poking choice? Apparently, the belly skin is also more durable than expected. Andre and his swords aren't very sharp, and they're not suitable for these types of demons. "Explorer, perhaps the best person for you is Mr. Kate." "What, me? The only time I talk to Kate, who wasn't part of the attack on her neck, she looks at me a little surprised. "Yes. Mr. Kate can aim you in the eye, even if you're slightly away, right? "... right. The distance the lava lizard didn't respond to the manager, I don't think there's a problem with that." Think about it for a second, Mr. Kate nods. Even when Hell Flame Grizzlies raided, they were shooting through the eyes of Hell Flame Grizzlies moving around from the top of the building, so if it came from Mr. Kate, about a lava lizard that stops still, it would just be targeted. Later, it's how well the arrows work, but I'll just have to try there. If it's dangerous, I can follow up. ◇ ◇ ◇ There you are. Having decided on a general policy, we were walking in search of practice and a lava lizard who was alone next. Do you still prefer a warm place, or did you find it near where the steam is erupting? I don't react to us observing from afar, and I don't move with my stomach stuck on the ground. Looks lazy and defenseless, but now that I know about the sturdiness of the skin on my back, and the unexpected sturdiness of the skin on my belly, I can understand that outfit with my belly firmly on the ground is in a pretty safe position. "So it's good from me, right? "Oh. Kate, let me see your bow arm." "Don't expect too much..." And so on, Mr. Kate squeezes his bow, and the arrow he unleashes pierces deep into the eyes of the lava lizard without aiming for it. "All right!" At the same time Mr. Gill raised his voice, the lava lizard starts pounding, startling - ahhh, speaking of which, cutting off his head made his torso burst. Even if it's a fatal wound, it won't stop the movement with just one arrow. If you leave it, you might die one of these days, but things didn't wait for me to do that. "Ah! We're getting away! "Fast!?" It was simply vitamins and rampant for only a few hours. The lava lizard quickly moved out and began to move in a direction away from us, faster than we thought. Mr. Iris and Mr. Gray raised their voices when they saw it -. "Wait! I immediately tried to chase you, Mr. Iris. I grab that collar in a hurry. "Guuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu! Store manager, suddenly what!?" Mr. Iris, with his narrowed neck, leaks a painful voice and stares at me like he blames me - but this has no choice. "Mr. Iris, earlier cautions, remember? Mr. Iris' eyes swim plenty in my words, which I asked again. "Uh... deep pursuit forbidden, was it? "That's right. Essentially, where lava lizards escape is a dangerous place when humans enter. Running and chasing is strictly forbidden." "I see...? Even though it looks like a flat ground at first glance, it can actually be deep mud, but also hot or something. We shouldn't assume that we can walk the same way because lava lizards are moving normally. "So let's chase it carefully. He's already a lot weaker." Even while I was talking to Mr. Iris, the lava lizard moved to a point a few dozen meters away, where he put his body in the mud for about half, stopping him from moving. That's probably weak and unable to move, not 'safe because I've traveled to a safe place'. With about half of the arrow pattern "Yamata" stuck in your head, what happens if you rumble or move? It's not hard to imagine. "I'd rather be dead already, wouldn't I?... another shot, shall we shoot in? You don't have to take any chances, do you? "Oh, yeah. Kate, please." "I'll take care of it.... Huh! The arrow Mr. Kate unleashed again now perfectly captures the eyes of the lava lizard. However, the body was only slightly shaken by the impact, and it did not appear to start rumbling again. "Nice! Okay, I'll take care of the collection! Towards Kate, Bicilli and Thumbs-up Gil approach the lava lizard with a light footing, but carefully checking his foot. The ground with all the hot water flowing should be pretty hot, but I sometimes wear thick boots, and if I don't stick my foot in the mud, I don't have to worry about burning it, which is exactly what I should call a veteran, or avoiding what seems dangerous. But. "Oh, so inadvertently..." "Awwww!!" ... I'm not gonna tell you. At that moment when he grabbed the tail of the lava lizard, Mr. Gill came back here at an awesome rate as he let go of his hand as he was screamed and bounced. "Sa, Sarasa! Hands, hands! "Yes, sir. Let me see." I removed the gloves. My hands were bright red, but the symptoms are mild burns, right? I don't even have to use the smelting drug Potion. If you chill your hands with magically served water and apply light healing magic, the redness will soon be pulled off as well. Seeing it, Mr. Gill breathes in a ho, but Mr. Andre, who was watching beside him, whilst exhaling in relief, raised his eyebrows and smashed Mr. Gill's head. "You idiot, Gil, you're too distracted. I'm sorry, Sarasa. Will the cost of treatment be necessary? "If you came to the store, you'll pay for it, but this time it's a situation where we work together. As far as we can deal with it magically, we don't need it." "I'm sorry. Helpful. Snuggly...... so hot! "That's right. If you say so, it's boiled, isn't it? There is a difference between mud and hot water, but the fact that it is hot is the same. A substitute with about half a dip in a place like that can't be hot. "Flexible gloves are durable, but not insulating" "I didn't even get through the ice tooth bat fangs, and I thought you'd be okay." "No, because it has a different purpose" Ice tooth bat teeth don't freeze without even stabbing them, so we're not dealing with anything else by insulating the very low temperatures. I have gloves for insulation, so I have to use them. Most of all, if you don't need the fine movement of your fingertips or anything, you don't have to buy the expensive smelter Artifact, but I think it's okay with thick leather gloves like the one used by the blacksmith. "I see. Now I'll go." The next person on his way was Mr. Grey. Experience as a gatherer should be the same as Mr. Gill, but someone who is a little silent or strange, reassuring and stable. If Mr. Andre uses the pillars of the table, Mr. Gill, as the moodmaker, Mr. Gray is the foundation. And this time too, Mr. Gray, who was watching Mr. Gill earlier, was learning well. On top of the flexible glove I'm wearing right now, put on another glove, even prepare a thicker leather bag, and grab the tail of a lava lizard over it, and I'll drag it back in a jittery. "Gray, are you okay? "No problem. Sarasa, if you leave this for a while, it'll cool you down, won't it? "Yes, it's not boiling down to the inside of your body, so I think it'll cool right off." "I see. If you had as many bow arms as Kate, you'd say it wasn't hard to shoot." "If it's someone you're alone with, right? Because if you aim at the herd, it seems like they'll attack you without running away. You don't want to be roasted round, do you? Humhum, I'll tell Mr. Iris to be careful for once. Anyway, if it's just one, it's pretty dangerous if you're surrounded and they throw up braces. The braces don't work on the lava lizard itself, so the target won't have to worry about misfiring, so they'll keep blowing. You imagined that, Mr. Iris got a little pale. "Yeah, I'll take good care of it" "If only one lava lizard can be targeted and you can't escape to a dangerous place, it seems easy to hunt. With that in mind, let's do it." I nodded to Mr. Andre's words, including Mr. Iris, but given the size of the lava lizard and the distance to the village, there is a limited amount I can bring home...... Eventually, the hunt ended when I got about two more lava lizards. We arrived early on our way back to the village.

『委細承知、検討してみる。また連絡する。緊急パックを確認して』 ケイトたちからの説明を聞き終わるなり、サラサは時間と魔力が勿体ないとばかりに、すぐに同調を切った。 それと同時に、糸が切れたようにクルミの身体がころりと転がったが、何事もなかったかのようにすぐに起き上がり、魔石入りの革袋をしっかりと持ったまま座り直した。 「クルミに戻ったの?」 「がぅー」 確認にするように訊ねたケイトにクルミが鳴き声で応えれば、ケイトはどこかホッとしたようにクルミを抱き上げた。 そんなクルミを、ノルドラッドはじろじろと、研究者としての目で観察する。 「ふむ。興味深いね。これだけの距離で、視覚や聴覚の同調だけじゃなく、思い通りに動かすことができるとは」 「ノルドさん、状況を考えて」 ノルドラッドの視線から守るように、ケイトはクルミをぎゅっと抱きしめ、ノルドラッドに冷たい視線を向けるが、そんな視線を向けられた当の本人はあまり気にした様子もなく、肩をすくめて首を振った。 「何もするつもりはないよ。興味深いだけで、錬金術はボクの研究対象外だからね。それよりも、サラサ君が言っていた『緊急パック』とはなんだい?」 「あぁ、それか。出発前に『もしもの時には開けて』と言って渡された物だな。私も中身の詳細は知らないのだが......」 ゴソゴソと自分の荷物を探ったアイリスは奥にしまってあった箱を取り出して地面に置く。 大きさはノートの見開きぐらい、厚みは拳一つ分程度で、あまり大きくはない。 金属製できっちりと密閉されているその蓋をアイリスが開ければ、ケイトとノルドラッドも興味深そうに中を覗き込んだ。 「......色々入っているわね?」 は......毒消し、病気治療、怪我の治療だな。汎用だから、ちょっと高めのを入れておいた、と言っていたな」 「店長さんの言う『ちょっと高め』ね。少し怖いわね」 「うむ。共鳴石と違って、こっちの中身は『使ったときだけ、料金を請求しますね』と言われているんだよな」 』の魔法を封じ込めた、あの魔晶石と同じ扱いね」 使わなければ無料ということは、お金を払わずにもしものときの保険が手に入るということで、通常であればとんでもない好条件である。 だが、請求される金額を考えると、借金生活のアイリスたちからすれば戦々恐々。 緊急時だけに良い物が入っていれば嬉しいような、怖いような、複雑な気分である。 「ノルド、これは負担してもらえるだろうか?」 「うーん、この状況にはボクの責任もあると思うから、負担すると言いたいところだけど......それらの 「やっぱりそうなのか?」 に比べると、何倍......いや、下手したら数十倍はするんだよ。それだけ有効なのは間違いないんだけど」 効果としては汎用品の方が劣るのだが、どのような病気に罹り、どのような毒に冒されるかも判らない状況では、特定の の作製難易度と必要とされる素材のコストは高く、必然的にその価格も跳ね上がる。 アイリスたちでは、ちょっと手が出ないぐらいに。 「......まぁ、毒や病気の 「アイリス、そういうのってフラグっていうんじゃないかしら? ここでじっとしているなら別だけど、奥に進めば毒蛇や毒虫、出てこないとは限らないと思うけど?」 フラグ云々は措くとしても、ここは探索したこともない、正体不明に近い洞窟の中。 その強弱はあれど、毒を持つ虫などがいる確率は決して低くない。 ケイトに非常にもっともなことを言われ、アイリスは「うっ」と言葉に詰まる。 「そのへんは......万が一、使うことになれば、私たちも店長殿に交渉しよう」 「頼むよ。ボクもない袖は振れないからね」 「うむ。さて、次は......“湧水筒”だな。作った時に見せてもらった」 「それはありがたいね。食糧はある程度残っているけど、水の方は心許なかったから」 一見すると普通の水筒に見えるそれだが、これも歴とした 大きさは少し縦長のコップサイズで、魔力を注ぐことでその水筒一本分の水を生み出すことができる。 平均的な魔力量の人間であれば、水を持たずに旅ができるほどに便利な代物だ。 といっても、魔力の大小にかかわらず時間あたりに生み出せる水の量には限りがあり、仮に魔力の多いサラサが一般的な湧水筒を使ったとしても、水筒から吹き出すほどに水が出てくる、なんてことはない。 それでも、も時中魔力を注ぎ続けることができれば、一日で風呂桶数杯分の水を確保できるのだが、普通の人間なら一〇分足らずで魔力が尽きるため、あまり現実的ではない。 「色違いでもう一本、橙色のがあるけど、こっちは?」 「そっちも水が出るんだが、なんか甘くて美味しい水が出る」 「......何それ?」 「いや、私に言われても困るんだが......店長殿が作った物だし......」 ケイトに真顔で聞き返され、アイリスは困ったように言葉を濁す。 だがノルドラッドの方は、少し驚いたように目を瞠った。 だよ。ほぼ作られることがないから」 「そうなのか? 店長殿は『ついでに作ってみた』みたいな、軽い感じだったが」 「作るのも難しいらしいけど、需要がないんだよ。単なる水を作るより大量の魔力が必要になるし、普通は湧水筒が必要な状況で贅沢をしようとは思わないだろう? 街中なら、甘い物が飲みたければ買えば良いだけだし」 ちなみに同等品質の普通の湧水筒と比べ、消費魔力と湧水量は一〇倍で一〇分の一。 水分補給と考えると、あまりにも効率が悪い。 ただし、水分以外に糖分も摂れるというメリットがあり、遭難したときなどにはかなり助かりそうに思えるのだが――実はそんなに便利でもない。 普通の人が一日に出せる量は、せいぜいコップ一杯。 特別に魔力量が多い人でない限り、これで活動エネルギーを賄うなんてことはとてもできないのだ。 それでもサラサがこれを入れておいたのは、甘い物を摂ることで、危機的状況での精神的なストレスを軽減できれば、と考えてのことである。 「となると、それはおまけか。店長殿が使って見せてくれた時には、かなり美味しかったんだがなぁ......」 ケイトが持つ湧水筒を少し残念そうに見て、次にアイリスが取り出したのは魔晶石。 だが、緊急パックに入っているだけあって、単なる魔晶石ではない。 「それはもしかして、先ほどの氷の壁を作った物と同じ物かい?」 「そうだな。封じ込められた魔法は何種類かあるみたいだが」 「これも高いのよねぇ......ノルドさん」 「解ってるよ。危ないときには気にせず使ってくれ。代金は持つから」 「助かる。これらを私たちが負担すると、ノルドから貰う依頼料を全部使っても足りないだろうからなぁ......」 アイリスは取りだした魔晶石の効果を確認しつつ、ケイトと二人で分けて、ポケットに入れていく。 数はさほど多くないので、本当に切り札のようにしか使えないだろうが、強力な魔法を使えないこからすれば、心強い命綱であることは間違いないだろう。 そして最後に残ったのは、片手に載るほどの小さな箱が三つ。 ね。これは私も見たことがあるわ。食べたことはないけど」 「私は食べさせてもらったぞ。一粒か二粒で一日分らしい」 「たったそれだけで? なら当分は飢えて死ぬ心配はないのね。朗報だわ」 ケイトが取り出した紙箱の中に並んでいたのは、一辺一センチほどのキューブ。 それが三段に積まれ、一つの箱の中に三〇〇個ほど。 「残りの二箱は......うっ、色違いで三種類か」 ケイトの開けた箱――白いキューブを見たときには少し嬉しそうだったアイリスの顔が、二つ目と三つ目の箱を開け、緑と黄色のキューブを見た途端、渋面に変わった。 「どうしたの? そっちのは何か違うの?」 「あぁ。私も店長殿に訊いただけなんだが......まずケイトが持っているタイプ。それが一番良いやつだ。普通に美味しくて、栄養もバッチリ。先ほど言ったように、それ一粒で一日保つ」 ただしそれは、普通の成人男性が街中で日常生活を送る場合。 肉体労働者や採集者のように激しく身体を動かす人の場合は、一粒ではやや不足するため、もう一粒食べるか、他の食べ物で補う必要がある。 「次に黄色いの。これは甘くて美味しい。一日分のエネルギーは摂れるらしいが、それだけ食べていると病気になるとか。私にはよく解らないが」 「それはあれだね。パンだけでもお腹は膨れるけど、肉や野菜も食べないと身体に悪いのと同じことだね」 穀物だけでは身体の成長や健康に影響があることは、経験的に知られているが、その理由に関しては、一般人にはほとんど知られていない。 詳しいことを知っているのは、医者の真似事もする錬金術師や研究者などの知識人たち、ごく一部に限られている。 この場ではノルドラッドが知識人で、アイリスたちは知識人寄りながら一般人の範疇になる。 「なるほど。そう言われると理解できる。......白い方は大丈夫なのが、不思議だが」 「そのへんの不具合も解消してるってことだろうね。高い分」 「やっぱり高いのか? こっちの白い方は」 「高いね。具体的には緑の方のはするね。確実に」 「五倍......ということは、ノルドはこっちの緑も知っているのか。不味いのも?」 「え、そこまでじゃないよ? もちろん、美味しいとは言わないけど、それは白い方と同じで、それだけ食べていても問題ないし、一日の食事が一〇秒で終わるからね。忙しいときなんかには重宝するんだよ」 の販売価格は、緑の一粒で、庶民の一日分の食費よりも少し高いぐらい。 節約できる時間と手軽さを考えれば、頭脳労働者にはさほど高い物ではないが、一般的な味の評価はアイリスに近く、『苦い草のパサパサクッキー』というもの。 ノルドラッドのような特殊な人を除けば、好んで食べる人はほぼいない。 なお、黄色い物の価格は緑と白の中間。 三箱で、地味に一財産だったりする。 「......まぁ、味のことは措いておきましょ。全部〇粒あるから、二粒ずつ食べても、一五〇日は生き延びられそうね」 の箱を閉じるケイトだったが――。 「う~ん、それはどうかなぁ?」 だがそれに疑問を呈するように、難しい表情で唸ったのは、ノルドラッドだった。

"I accept the commission carefully, I will consider it. I'll be in touch. Check the emergency pack. ' When she finished hearing the explanation from Kate and the others, Sarasa quickly cut her tone, just because she had no time and magic. At the same time, the walnut's body rolled down like a thread had been cut, but he rose up quickly as if nothing had happened and sat back with the demonic stoned leather bag firmly in his hand. "You're back in the walnut? "Gah." If the walnut responded with a beep to Kate, who asked to confirm, Kate held the walnut up somewhere in a whiff. Nordrad observes such walnuts with his bare eyes as a researcher. "Hmm. That's interesting. I didn't know you could move as much as you want, not just in terms of visual or auditory tone, at this distance." "Think about the situation, Mr. Nord" To protect her from Nordrad's gaze, Kate hugged the walnut and turned a cold gaze at Nordrad, but the person at the time she was turned such a gaze didn't look too concerned, shrugging her shoulders and shaking her head. "I'm not going to do anything. It's just interesting, because alchemy is not my research. More than that, Sarasa, what is the 'emergency pack' you were referring to? "Oh, that. You said, 'Open it when you leave' and they gave it to you before you left. I don't know the details of the contents either..." Iris, who explored Gossogoso and his own luggage, takes out the box that was in the deepest part and puts it on the ground. The size is about the opening of the notebook, the thickness is about one fist, not too big. If Iris opened that lid, which is made of metal and securely sealed, Kate and Nordrad also looked inside with interest. "... there's a lot going on in there, isn't there? "Right. This smelter (potion)... is poisoning, treating diseases, treating injuries. Because it's generic, you said you put in a bit of a boost." "The manager said," It's a little high. "That's a little scary." "Uhm. Unlike resonance stones, they say, 'Only when you use it, you charge'" "The magic of Ice Wall is enclosed, just like that magic crystal stone." Free if you don't use it means you get insurance when what if without paying for it, which is usually a hell of a favorable condition. But given the amount of money being charged, from the Iris of Debt Life, it's a war. It feels like it would be nice, scary, and complicated if there was only good stuff in it for emergencies. "Nord, can you afford this? "Um, I think I'm responsible for this situation, so I just want to say I'm going to bear it... those smelters (potions), they're pretty expensive, right? "I knew it was? "There's no general purpose. Compared to certain diseases, smelters (potions) corresponding to certain poisons, how many times...... no, you do dozens of times if you suck. I'm pretty sure that's all that works." Generic products are inferior in effect, but it is difficult to carry certain smelting drugs (potions) in situations where you do not know what diseases you will suffer from and what poisons you will be exposed to. As a result, generic products are treasured, but naturally the difficulty of making smelters (potions) that work for many symptoms and the cost of materials required are high, and inevitably their prices jump. In Iris and I, we're a little out of hand. "... Well, you don't use poison or disease smelters (potions). Injury Alchemy (Potion) Anyway." "Iris, isn't that what you call a flag? Except if you're standing still here, but I don't think it's necessarily going to come out with a viper or a poisonous worm if you go back? Flags have never been explored in caves close to the unknown. That strength and weakness is by no means unlikely to have bugs, etc. with poison. Kate says the very best, and Iris gets stuck with the word "ugh". "We'll negotiate with the manager in case we're going to use it." "Please. I can't shake my sleeve without you." "Uhm. Well, next..." Springwater bottle. "They showed it to me when I made it." "I appreciate that. There's some food left, but I didn't care about the water." At first glance it looks like a regular water bottle, but this is also a historical smelter (artifact). The size is a slightly longitudinal cup size, and by instilling magic, you can produce a bottle of water for that water bottle. If you are a person of average magic power, you are a convenient substitute for being able to travel without water. Even so, there is a limited amount of water that can be produced per hour regardless of the size of the magic, and even if the magical Sarasa used a common spring water bottle, there is no such thing as enough water to blow out of the water bottle. Still, if you can keep pouring magic all the time, you can secure a few cups of water for a bath bucket in a day, but it's not very realistic because normal people run out of magic in less than ten minutes. "Another bottle in different colors, I have an orange one, but this one? "There's water out there, too, but there's some sweet, delicious water out there" "... what's that? "No, I have trouble telling you... it was made by the manager..." Kate asks me straight back, and Iris clouds her words like she's in trouble. But Nordrad looked at him a little surprised. "It's a rare smelter (artifact). Because it's almost never made." "Really? The manager felt light, like," I tried to make it at last. " "They're hard to make, too, but there's no demand. You're going to need a lot more magic than just making water, and you wouldn't normally want to luxury in a situation where you need a spring water bottle, would you? All you have to do is buy something sweet in the city." By the way, compared to regular spring water bottles of comparable quality, the consumption of magic and spring water is tenfold and one-tenth. Considering it hydrating, it's too inefficient. However, it has the advantage of being able to consume sugar in addition to moisture, which seems to be quite helpful when shipwrecked, etc. - it's actually not that convenient either. The amount a normal person can serve in a day is a glass or two at most. Unless you have a lot of magic, you can't afford to cover your energy. Still, Sarasa kept this in if she could reduce mental stress in crisis situations by eating sweets. "Then, besides that? When the manager used it to show it to me, it was quite delicious..." Looking a little unfortunately at the spring water bottle Kate holds, the next thing Iris took out was the Demonic Crystal Stone. But it's just in an emergency pack, not just a demonic crystal stone. "Could it be the same thing that made the ice wall earlier? "Right. Seems like there are a couple of enclosed magics." "This is expensive too... Mr. Nord" "I know. Don't worry about using it when it's dangerous. Because I'll have the money." "Helpful. If we pay for these, it won't be enough to spend all the fees Nord gives us..." Iris confirms the effect of the demonic crystal stone he took away, while Kate and I split it it up and put it in our pockets. The number is not as high as it is, so it will only really work like a trump card, but from these three people who can't use powerful magic, it will definitely be a comforting lifeline. And the last thing I had left was three small boxes enough to be on one hand. "This box is... portable food. I've seen this before. I've never eaten before." "I've been fed. One or two grains for a day, apparently." "That's all? Then you don't have to worry about starving to death for the time being. Good news." What was lined up inside the carton Kate took out was a cube about a centimeter on each side. That piles up in three steps, about 00 in one box. "The other two boxes... Ugh, three different colors" Kate's open box - Iris' face, which seemed a little happy when she saw the white cube, opened the second and third boxes, and as soon as she saw the green and yellow cubes, she turned to the tannic surface. "What's going on? Is that one any different? "Ah. I just asked the manager, too... the type Kate has first. That's the best one. Normally tasty and perfectly nourished. Like I said, keep it for a day with one grain" However, that is if ordinary adult men live their daily lives throughout the city. If you are a person who moves your body as hard as a manual worker or gatherer, you need to eat another grain or make up for it with other foods because one grain is slightly scarce. "Next is yellow. This is sweet and delicious. They can take a day's worth of energy, but you think that's all you eat makes you sick? I don't know much about it." "That's the one. The bread alone makes my stomach swell, but if I don't eat meat and vegetables, it's just as bad for my health." It is empirically known that cereals alone have an effect on physical growth and health, but little is known to the average person as to why. The only people who know more are intellectuals, such as alchemists and researchers, who also imitate doctors, in a very small part. On this occasion, Nordrad is the intellectuals, and Iris and the others fall into the category of ordinary people as they approach the intellectuals. "I see. That's understandable when they say it.... It's strange that whites are okay." "I guess that means we're getting rid of the glitch in that area, too. High Minutes" "Is it expensive after all? The white one over here." "That's expensive. Five times more so than the greener, specifically. Sure." "Five times...... does Nord know the greens over here too? And the unsavory ones? "Oh, not that far, huh? Of course, I'm not saying it's delicious, but that's the same as the white one, because that's not a problem if you're eating it, and the meal of the day ends in ten seconds. When you're busy, you treasure something." The selling price of portable preserved food (ration) is a grain of green, about a little higher than the cost of a day's food for the common people. Given the time and ease that can be saved, it is not as expensive for brainworkers, but the evaluation of the general flavour is close to Iris, something called 'Pasapasa Cookies with Bitter Grass'. With the exception of special people like Nordrad, almost no one likes to eat. Note that the price of yellow items is midway between green and white. Therefore, it may be plain property in three boxes of this portable preserved food (ration). "... well, let's take measures about flavor. There are 900 capsules in total, so eating two capsules at a time is going to survive 150 days." It was Kate who said something horrible and closed the box of portable food (ration). "Uh-huh, I don't know about that? But as I questioned it, it was Nordrad who roared with a difficult look.

「それじゃ、今日から魔導コンロとかの作製にかかるんですか?」 「そうね。材料の鉄板ができてれば、だけど」 「楽しみです! 魔導オーブン......何を作ろうかなぁ......」 そんなロレアちゃんを不思議そうに見ているのは、アイリスさん。 今日は休みの日なので、アイリスさんたちも家にいるのだ。 実は彼女たち、早く借金を返そうと、連日のように大樹海へと入っていたんだけど、それで身体を壊してしまっては本末転倒。 なので、きちんと休息日を入れるように厳命したんだよね。 債権者の強権を発動して。 踏み倒すような人たちなら、早く返せと催促するところだけど、彼女たちにその心配は無さそうだしね。 「ロレアはオーブンを使った料理ができるのか? 普通の家では、なかなか使う機会なんて無いと思うが」 アイリスさんの疑問に、ケイトさんもまた同意するように頷く。 「だよね。私もオーブン料理なんて、パン以外、ほとんどできないもの」 「うっ......。実は、憧れだけで、あんまり......ごめんなさい」 私相手に『料理を作る!』といった手前、ちょっと気まずげに、そして恥ずかしそうに笑って舌を出すロレアちゃん。 「私なんて全然だから、それは良いんだけど......そういえば、師匠にオーブンを作るって話をしたら、こんな物が送られてきたんだよね。えっと......」 つい先日、転送陣で送られてきの本。 棚の上に置いたままになっていたそれを、皆に見える様にテーブルの上に置く。 本なんて高価な物をポンと送ってくる当たり、さすがは師匠。 特に手紙は付いていなかったけど、活用しろって事だろう。 ――タイトルが、“オーブンを使った料理集”だったから。 「ロレアちゃん、読んでみる?」 「えっ!? 良いんですか?」 「うん、活用してくれるなら」 「もちろんです! サラサさんのために、美味しい物、作りますから!」 「期待してるね」 目を輝かせてレシピ本を抱き締めるロレアちゃんに、私はそう言って頷いた。 私が料理の勉強をしても良いんだけど、今は錬金術の方に集中したいから、ロレアちゃんが活用してくれるならありがたい。 「でも、今日のところは、昼食、食べに行きましょうか」 「そうだな」 「「はい」」 お給料をもらうようになった事で、ロレアちゃんも半ば一人前という事なのか、最近は昼食を食べに家に戻ることもなく、私と一緒に食事を摂ることが多くなった。 そして、ケイトさんとアイリスさんは言うまでも無く、他に食事を取れる場所も無いので、家にいる時はいつもディラルさんの所。 休憩中の看板を店の前に出し、揃って家を出た私たちはその足で――。 「と、その前に、ジズドさんの所によって良いかな? 鉄板、できてるかもしれないし」 「構わないぞ」 「はい」 「じゃ、遠慮無く」 少しだけ脇道に逸れて、ジズドさんの所へ寄ってみたんだけど......。 「すみません、まだ全部はできてなくて......」 対応してくれたのは奥さんのジメナさん。 示したテーブルの上にあるの鉄板。 家の奥からは「カンッ! カンッ!」と鎚を振るう音が聞こえてくるので、ジズドさんは仕事中なのだろう。 「いえ、構いませんよ。それではとりあえずだけ、頂いて帰りますね」 魔導コンロに必要なのは二枚の鉄板。 それがあれば、普通の料理は作れる。 オーブンはその後でも良いだろう。 「大丈夫ですか? 結構重たいですが......」 「えぇ、そのぐらいは――」 「店長殿。それは私に持たせてくれ」 『問題ない』と言いかけた私の横にアイリスさんが立つと、「これで良いのか?」と上の二枚を指さした。 「あ、いえ、必要なのは一番下の二枚ですね、サイズ的に。でも、大丈夫ですよ?」 重いことは確かだけど、持てない重さじゃないし。 「あー、店長さん、アイリスに任せてくれる? 色々お世話になってるから、それぐらいはさせて」 「そうだ。私の精神衛生上もな。......そもそも、店長殿がこの鉄板を持って、私が手ぶらだと、村人からどう見られるか」 アイリスさんの言葉に、私以外の全員が一斉に苦笑を浮かべる。 「あぁ、サラサさんの体格から考えると......」 「外見通りじゃないことは、村の全員が知っているのですが......」 「本当は、この村で一番強いんだけどね」 そして、揃って笑。 いや、ヘル・フレイム・グリズリーの時のことを考えると、否定はできないんだけど。 結局、アイリスさんに鉄板を任せることにして、鍛冶屋さんを後にした私たちは、そのままディラルさんの宿屋へ。 幸いと言うべきなのか、例の事件で採集者の数が減ったおかげで、昼時にもかかわらず、私たち四人が座れるテーブルが空いていた。 そのテーブルの上にアイリスさんが鉄板を置いて「ふぅ......」と一息。 私たちもテーブルに座って、ディラルさんに声を掛けた。 「ディラルさん、ランチ、四人分!」 「あいよっ! ――おや、その鉄板はなんだい?」 注文を受けに来たディラルさんが、テーブルの真ん中に鎮座した鉄板に目を止め、不思議そうに訊ねる。 ま、普通はあまり持ち歩く物じゃないよね。 「これ? 魔導コンロの素材です。家に設置しようかと」 「へぇ、とうとうサラサちゃんの家でも料理が出来るようになるのかい?」 「はい、作るのはロレアちゃんですけどね」 「ほうほう、ロレアが。それじゃ、今後はウチの利用も少なくなるのかねぇ」 「すみません、その可能性が高いかな? 私だけだったら、魔導コンロを導入しても、通うことになったと思うけど。私、そんなに料理、上手くないから」 私の料理スキルは学校に入る前、10歳未満で停滞している。 そんな私が作る料理なんて、贔屓目で見ても、大して美味しくないんだよ。 料理も少しずつは勉強したいと思ってるんだけど......独学だと時間もかかるだろうし、お店をやってたら、なかなか時間は取れないからねぇ。 「はっはっは、気にする必要は無いさね。採集者が増えたら、ウチも混むからね。しかし、魔導コンロ、羨ましいねぇ。ウチも入れたいんだけど、高いからねぇ......」 「まぁ、最低でも一二万レアはするから、なかなか買えないよね」 少なくとも、普通の家庭で買えるようなお値段ではない。 いくら薪代が節約できるといっても、割が合わないから。 特に、ここみたいに、薪が集めやすい田舎だとね。 「おや! 一二万で買えるのかい? 前、ダルナの奴に聞いたら、安くても二〇万、場合によった万はかかると言っていたよ?」 「あぁ、これは家庭用だから。ここで使ってる鍋で一番大きいサイズ、どのくらい?」 「うーんセンチだね」 さすが業務用。でっかい鍋だね。 今回作る予定の魔導コンロで三〇センチぐらいまでだから、二回りほどは大きい感じか。 「それなら......一五万ぐらいかな?」 「それでも随分安いじゃないか! ダルナのとこはそんなに手数料を取ってたのかい?」 不満そうに言うディラルさんに、ロレアちゃんが『えぇっ!?』と困ったような表情を浮かべて、私とディラルさんの顔を見比べているけど――決して、ダルナさんがぼったくっているわけじゃないよ? 「それは輸送費が入ってるからだよ。あれ、物によると一〇〇キロ近いから。落としたら壊れるし?」 おかしな風評被害を防ぐため、私はきちんと説明する。 村人の不和の原因が私とか、震える。 ロレアちゃんにも申し訳ないし。 使用する鉄板自体が大きく、少し厚みも増すのでどうしても重くなるんだよね。 作る手間自体はそんなに変わらないんだけど、輸送は大変。 だから、ダルナさんの見積もりが高すぎ、というわけじゃないのだ。 「ほら、この鉄板。これが家庭用の魔導コンロの材料。これよりも数倍重いとなれば、解るでしょ?」 「輸送費がかからない分、サラサちゃんの物は安いってわけかい?」 「そういうこと。でも導入を検討したってことは、魔力の方は大丈夫なの?」 「ああ。あたしと旦那、二人ならなんとかなるさね。他に使うことも無いからねぇ」 消費する魔力は火力に比例するので、五〇センチサイズの業務用となれば、家庭用の二倍以上の魔力を消費する。 しかも、食事時しか魔導コンロを使わない一般家庭に対し、食堂はほぼ一日中。 魔力が少ない人だと枯渇しそうだけど、ディラルさんたちは程々に魔力持ちなんだろう。 錬成具 以外で魔力を消費する機会も無いので、燃料が不要になる分、節約にはなると思う。 「一五万か。頑張れば......う~ん」 「注文はいつでも受け付けますよ~。魔導コンロ、便利ですよ~、燃料不要で火力も自由自在。火を使わないので、夏場は暑くなりにくい」 ちょっとセールストークしてみる私。 別に無理して売る必要は無いんだけど、せっかくのお客さん(予定)だし? 「うーーーん、買いたいんだけどねぇ......。サラサちゃん、ちょっと値引きしてくれないかい?」 そう言ってディラルさんが私に手を合わせてくるけど、錬金術師としては簡単に値引きするわけにもいかない理由が......。 「えーっと、あまり相場を乱すと睨まれちゃうんだよ」 「あぁ、やっぱりそう言うの、あるんだな」 困った様に言った私に、アイリスさんがどこか納得したように頷く。 「どこのお店でも、あまり差が無いもんねぇ。――効果には差があったりするけど」 「あはは......そのへんは、錬金術師の腕、ですね。値段の方は基準がありますから......もちろん、その場所での素材の入手のしやすさなどで、変化しますけどね」 表現をしたけど、この国は国家の方針として、質の良い錬金術師を増やす事を目標に、様々なことをやっているのだ。 錬金術師養成学校然り、奨学金然り、錬金術師の権威然り。 それらに反する行為をすれば、実際には睨まれる程度では済まない。 具体的には言わないけれど。 「そういう事情があるんじゃ、無理は言えないねぇ......二つ買ったらどうだい?」 「え? 二つですか? 本当に買ってくれるなら、一割引きしても良いですけど......」 そのぐらいなら、許容範囲――。 「よし買った! 二つお願いね!」 「えぇっ!? 本当に? 良いの? ご主人にも相談せずに」 いきなり即決!? いくら一割引きでも、二つで二七万レアである。 一般家庭なら年収に匹敵する金額。 錬金術師になった私でも、ちょっと躊躇する金額なんだけど......。 「かまやしないよ! ウチみたいな食堂兼宿屋だと、そりゃもう凄い量の薪が必要なんだ。薪の確保、濡れないように保存、それに薪割りが不要になると思やぁ高くないさね!」 ああ、確かに、孤児院でも冬の間に使う薪の量はかなりの物だったね。 それを年長者が森で集めてきて、皆で割って......結構大変だった。 場所も取るから、孤児院だと屋内の廊下にも積み上げていたほど。 薪屋から買える人は、そこまで溜める必要が無いんだけど、孤児院にそんな余裕、あるはずもない。 「あと、臨時収入もあったしね。先日の熊。毛皮を換金してくれたの、サラサちゃんだろう? 少しぐらい還元しないとね」 「あぁ、村長さん、もう配ったんですね」 「私たちも、もらったぞ。なぁ、ケイト」 「えぇ。結構たくさんくれたわね。活躍してたからって」 確かに二人は活躍していた。 ヘル・フレイム・グリズリーが、借金を背負う原因になったとは思えないほどに。 まぁ、あれは、足手まといがいたからなんだろうけど。 「ま、そんなわけで、今この村の住人は、ちょっと小金持ちなのさ。それに、魔導コンロって、ずっと使えるんだろう?」 「あ、いや、ずっとではないよ? 魔晶石は消耗品だから。一日中使って三〇年程度は保証できるけど、魔晶石が壊れたら交換か買い換えが必要だから」 「三〇年使えりゃ十分だよ! サラサちゃんも律儀だねぇ。三〇年なら『ずっと』って言っても良いだろうに」 いや、私は正確な説明をする錬金術師のお店にするつもりだから。 信頼、大事だよね。 ちなみに魔晶石の交換作業は錬金術師しか行えないので、その時、この村に対応できる錬金術師がいないと、買い直した方が安い可能性もある。 修理だと往復の輸送費が、新規購入だと片道の輸送費が。 ダルナさんの見積もりでも判るとおり、輸送コストはバカにならないのだ。 「他の注意点は......コンロは木枠に入ってるんだけど、この木枠は時々交換が必要かな? 汚さなければ問題ないけど、料理してたらどうしても濡れたりすると思うし。ただの木枠だから、ゲベルクさんに頼めば良いと思うけどね」 「あっはっは、その頃にはゲベルク爺さんもくたばっちまってるんじゃないかねぇ!」 「いやー、多分元気なんじゃ無いかなぁ?」 確か七〇歳と聞いた気がするから、否定はできないけど、さすがに『そうですね』なんて同意もできない。このへんの話題は。 「......あのー、ディラルさん? ランチは? 私、お腹減った」 「おっと、すまないね、ロレア。すぐに持ってくるよ。それじゃ、サラサちゃん、頼んだよ!」 「はい、ご注文、ありがとうございます!」 厨房へと引っ込んだディラルさんは、その言葉通り、すぐに私たち四人分のランチを持って戻ってきた。 私たちはその“安い割りには安定して美味しいランチ”に舌鼓を打つと、帰りにもう一度ジズドさんの所へ寄り、追加の鉄板を注文してから家に戻ったのだった。

Magic Stove () "So we're going to start making magic stoves and stuff today? "Right. If the iron sheets of the ingredients were made, but" "I look forward to it! Magic Instruction Oven... I wonder what I'll make..." It's Mr. Iris who looks at Lorea like that in a strange way. It's my day off, so Mr. Iris and the others are at home. Actually, they were going into the Great Tree Sea, like day after day, trying to pay off their debts quickly, but when they broke their bodies with it, they fell in the main. So you were strict enough to put in a proper rest day. Activate creditor power. I almost urge them to return it as soon as possible, but they don't seem to have to worry about it. "Can Lorea cook with an oven? I don't think there's much opportunity to use it in a normal house." Kate also nods in agreement with Mr. Iris' doubts. "Right. I can barely cook in the oven, either, except for bread." "Ugh...... Actually, just admiring, not really... sorry" I said to my opponent, "I cook! 'In front of me, a little awkward, and Lorea laughs and tongues in embarrassment. "How dare I, that's good... Speaking of which, when I talked to my master about making an oven, he sent me something like this. Er..." The other day, one book was sent to me by the transfer team. It was left on the shelf, put it on the table so that everyone could see it. Books. What an expensive thing to send a pong, that's right, master. It didn't come with a letter in particular, but I'm guessing you should take advantage of it. - Because the title was "A collection of dishes using the oven." "Lorea, do you want to read it? "What!? Is that good? "Yeah, if you'll take advantage of it" "Of course! For Sarasa's sake, I'll make something delicious! "I hope so." That's what I said and nodded to Lorea, who makes her eyes shine and hugs the recipe book. I could study cooking, but now I want to concentrate on the alchemist, so I'd appreciate it if Lorea would take advantage of it. "But for today, let's go have lunch," "Right." "" Yes "" Since I started getting paid, is it true that Lorea serves half of the time? I don't go back to the house for lunch these days, but she eats a lot with me. And since Kate and Iris don't have to tell you, and there's no other place to get a meal, it's always Dilal's place when you're at home. We put the sign in front of the store during the break, and we all left the house with those legs... "And before that, is it better by Mr. Zizd's place? It could be made of iron." "I don't mind." "Yes." Don't hesitate. I just missed the side road a little bit and stopped by Mr. Zizd's... "Sorry, I haven't been able to do it all yet..." It was your wife, Jimena, who responded. On the table shown are seven or eight iron plates. From the back of the house, he said, "Kang! Kang!" I guess Mr. Zizd is at work because he hears a hammer waving. "No, I don't mind. So, for now, I'll just take two of them and go home." All you need is two iron plates for the Magic Instruction Stove. With that, I can cook regular dishes. The oven would still be good afterwards. "Are you all right? It's pretty heavy..." "Yeah, about that." "The Store Manager. Let me have that." 'No problem,' Mr. Iris stood beside me and said, "Is this good?" and pointed to the two sheets above. "Oh, no, what you need is the bottom two, in size. But it's okay, isn't it? I'm sure it's heavy, but it's not the weight you can't hold. "Uh, Mr. Store Manager, will you leave it to Iris? Thanks for everything. Let me do that." "That's right. And my mental health. ... In the first place, how can I be seen by the villagers when the manager has this iron plate and I am bare" Everyone but me smiles bitterly at Mr. Iris' words at the same time. "Oh, given Sarasa's physique..." "Everyone in the village knows it's not what it looks like..." "The truth is, I'm the strongest in this village." And all four laughing together. No, given what happened when Hell Flame Grizzly, I can't deny it. In the end, we decided to leave the iron plate to Mr. Iris, and after the blacksmith, we went straight to Mr. Dillall's quarters. Should I say fortunately, thanks to the decrease in the number of collectors in the example case, despite noon, there was an empty table for the four of us to sit at. Mr. Iris placed an iron plate on that table and took a breath "Phew......" We also sat at the table and spoke to Mr. Dilal. "Mr. Dilal, lunch, for four! "Aye! - Oh, what's that iron plate? Mr. Dilal, who came to take the order, turns a blind eye to the iron plate seated in the middle of the table and asks in wonder. It's not usually something you carry around with you, is it? "This? It's a material from the Magic Instruction Stove. I thought I'd put it in the house." "Well, will you finally be able to cook at Sarasa's house? "Yes, it's Lorea who makes it," "Well, Lorea did. I wonder if we'll be using it less in the future." "Excuse me, is that likely? If I were the only one, I'd think I'd go through with introducing a demon guide stove. Me, because I'm not that good at cooking" My cooking skills are stagnant under the age of before I go to school. The food I cook is not very delicious at first sight. I'm hoping to study cooking a little bit too... because self-study would take some time, and if I were to run a store, I wouldn't be able to take much time. "Ha ha, you don't have to worry about it. If there are more collectors, we'll get mixed up. But the Magic Stove, I envy you. I'd like to get us in, too, because it's expensive..." "Well, I'll have at least 12,000 rare, so it's hard to buy." At least, it's not the kind of price you can buy in a normal home. No matter how much you save on firewood, it's not the right price. Especially in rural areas like here, where firewood is easy to collect. "Oh! Can you buy it for $120,000? The other day, when I asked him about Darna, he said it would cost him 200,000, if it was cheap, 300,000. "Oh, because this is for home use. The biggest size in the pan I'm using here, what? "Hmm, 50 centimeters." That's for business. That's a big pot. Up to about 30cm on the magic guide stove that I plan to make this time, so does it feel big about two turns? "Then... maybe fifteen thousand? "Still a lot cheaper! Was D'Arna taking that kind of commission? I'm comparing my face to Dilal's, with Lorea giving me a troubled look like, "Yeah!?" - but it's never like Dalna's missing me, is it? "That's because there's transportation in there. That's because according to the stuff, it's close to 100 kilometers. Drop it and it'll break? To prevent strange reputational damage, I will explain it properly. The cause of the villagers' discord is me or something, trembling. I'm sorry about Lorea, too. The iron plate used itself is large and slightly thicker, so it gets really heavy. The hassle of making it doesn't change that much in itself, but it's hard to transport. That's not why Mr. D'Arna's quote is too high. "Look, this iron plate. This is the ingredient for home guided stoves. If it's a few times heavier than this, you know what I mean? "Is it true that Sarasa's things are cheap for no transportation costs? "That sort of thing. But the fact that you've considered introducing it means that magic is okay with you? "Oh. Me and my husband, we can handle this. I've never used anything else." Since the magic power consumed is proportional to the firepower, it consumes at least twice as much magic as it consumes for household use if it is for business use in a size of 50 cm. Besides, the dining room is almost all day long for the average family who only use the Magic Instruction Stove at meals. It's going to be exhausting if you're someone with less magic, but I'm guessing Mr. Dilal and the others are reasonably magical. Well, the average person doesn't have a chance to consume magic outside of the smelter Artifact, so I think it would save money for not needing fuel. "Fifteen thousand? If you work hard... uh-huh." "You can always take orders ~. Magic stove, convenient ~, no fuel required and free fire power. It doesn't use fire, so it's hard to get hot in the summer" I'll give you a little sales talk. Me. I don't have to sell it because I'm a customer. "Uh-huh, I'd like to buy it... Sarasa, can you give me a little discount? That being said, Mr. Dilal is coming to me with his hands, but as an alchemist, there's no reason I can easily discount him... "Well, if you disturb the market too much, you'll be stunned." "Oh, I knew you'd say that, there is." Mr. Iris nodded to me like I was in trouble. "There's not much difference in any store. - There can be a difference in effectiveness." "Haha...... its heck, alchemist's arm, right? There are standards for the price... Of course, the ease of obtaining materials in the place will change." Earlier, I expressed a sense of calm (...) or (...), but this country is doing a variety of things with the goal of increasing the number of quality alchemists as a national policy. Alchemist training school, scholarship, alchemist authority. If you do anything to the contrary, it's not really enough to look at you. Though not to be specific. "That's the situation, I can't say I can't... why don't you buy two? "Huh? Two? If you really want to buy it, you can give me a discount..." If that's about it, it's acceptable... "Okay, I bought it! Two, please! "Huh!? Really? Don't even talk to your husband." Suddenly instant!? Whatever the 10% discount, it is 270,000 rare in two. An amount comparable to an annual income for an average household. Even I'm an alchemist, I'm a little hesitant about the amount...... "I'm not kidding! If it's a dining room and a lodging house like ours, then we need a great deal of firewood already. Securing firewood, preserving it from getting wet, and not needing a salary, isn't that expensive! Oh, sure, the amount of firewood used in the orphanage during the winter months was pretty good. The elders gathered that in the woods and divided it for everyone...... it was pretty hard. I'll also take the place, so much so that it was piled up in the indoor hallway that it was an orphanage. Anyone who can buy from a firewood store doesn't need to hoard that much, but there can't be room for that in an orphanage, either. "And you had extraordinary income. Bear the other day. You redeemed my fur, Sarasa, didn't you? We need to give it back a little bit." "Oh, Mr. Murakami, you've already handed it out" "We got it, too. Hey, Kate." "Yep. You've given me quite a lot. Because he was active." Sure enough, the two of them were active. Hell Flame Grizzly, to the point where I don't think it caused me to bear the debt. Well, I don't know about that, because I had a foot job. "So now the inhabitants of this village are a little rich. Besides, you can always use the Magic Stove, right? "Oh, no, not all the time, huh? Because magic crystal stones are consumables. I can guarantee about 30 years of using it all day, but if the Demon Crystal Stone breaks, I need to replace it or replace it." "Thirty years is enough! Sarasa is disciplined, too. If you're 30 years old, you can say 'all the time'." No, because I'm gonna make it an alchemist's shop with an exact description. Trust, it matters, doesn't it? By the way, only an alchemist can do the work of replacing the Demonic Crystal Stone, so without an alchemist who can handle this village at that time, it is possible that it would be cheaper to buy it again. If it is repaired, the cost of transportation to and from the destination is new purchase, and the cost of transportation is one way. As you can see from Mr. D'Arna's estimate, transportation costs are not foolish. "Other caveats...... the stove is in a wooden frame, do these wooden frames need replacing sometimes? I don't have a problem with it if I don't get dirty, but I really think I'd get wet if I was cooking. It's just a wooden frame, so I think you should ask Mr. Geberg." "Haha, Grandpa Geberg must be screwed by then! "No, maybe you're fine? I do think I heard you were seventy, so I can't deny it, but I can't even agree to 'right'. What is the subject of this area? "... uh, Mr. Dillall? What about lunch? Me, I'm hungry." "Whoa, I'm sorry, Lorea. I'll bring it right away. Well, then, Sarasa, I asked for it! "Yes, order, thank you! Mr. Dilal, who pulled into the kitchen, was right, and immediately came back with lunch for the four of us. When we hit the tongue drum on that "steady and delicious lunch for a cheap split," we stopped by Mr. Zizd again on our way home, ordered additional iron plates, and then went home.

洞窟を下りきったそこは、溶岩の流れる灼熱の空間だった。 輝く溶岩によって周囲は赤く染まり、人間の存在を拒むかのような高い気温。 事実、防熱装備がなければ、僅かな時間で命を奪われることになるのは間違いない。 だが、そんな場所を見回したノルドラッドは、両手を広げて嬉しそうに声を上げた。 「これは、これは。サラマンダーがいる、典型的なタイプの空間だね!」 「実際、いましたからね」 「特に変化は......ないようだな」 前回来たときとの違いは、そこにサラマンダーが存在しないことぐらい。 先日の戦いは、サラサの魔法によるゴリ押しだったので、激闘の爪痕、みたいな物が残っているわけでもない。 「うん、実験にはちょうど良い感じだね。それじゃ早速――」 を地面に置くと、溶岩トカゲを引きずって溶岩に近付きの尻尾をその溶岩の中にドボン。 残虐なる動物虐待を始めた。 当然、溶岩トカゲは胴体をくねらせてジタバタと暴れるが、ノルドラッドはそれを押さえつけ......尻尾を引き上げる。 「少しの時間であれば、問題ないようだね。さすがは、“サラマンダーもどき”」 「......えっと、ノルド? それは?」 少し嬉しそうなノルドラッドを見て、やや引きつった表情でアイリスが訊ねるが、ノルドラッドの平然と答える。 「溶岩トカゲが溶岩に耐えられるかの実験だよ?」 「いや、溶岩トカゲは名前だけで、実際には溶岩の中では生存できないと聞いているが?」 少なくともアイリスは、サラサからそう聞いていたし、実際生存できない。 「ボクもそれは知っているけど、自分で確認したわけじゃないからね。『そう本に書いてありました』じゃ、研究論文として、いかにも情けないだろう?」 「そのための実験、なのか?」 「検証されていない研究論文なんて、ただの妄想の垂れ流しだからね」 そして再びドボン。 時間を延ばしつつ何度か繰り返し、やがて尻尾が炭化してしまう頃には、溶岩トカゲの抵抗は弱々しいものになっていた。 「想像よりも、熱に強いな......。さて、次は下半身、いってみようか!」 そんな無慈悲な言葉と共に、更にどっぷりと浸けられた溶岩トカゲは再び暴れ出すが、やはり押さえつけられて動きを制限される。 「曲がりなりにも、溶岩の中で動けているのは......何でだろうね?」 「「.........」」 繰り返される無慈悲なる実験。 控えめに見ても動物――いや、魔物虐待。 普通に見れば拷問風景。 ってくれ!』とでも訴えかけるような、溶岩トカゲの意外につぶらな瞳に、アイリスたちは良心を刺激され、そっと視線を逸らす。 そして目に入る、対照実験要員。 僅かな可能性にしがみつくように、簀巻きにされたまま、なんとか逃れようと暴れるその姿には涙すら禁じ得なかった。 とはいえ、捕縛に必要だった苦労を思い返せば、間違っても逃がしてやろうなんて考えは俎上にも上がらないし、涙も引っ込んでしまう程度なのだが。 普通の動物ならまだしも、相手は魔物。 むしろ、せっかく捕まえた溶岩トカゲが、素材すら得られない状態で何匹も消費される、そちらの方に涙が出そうである。 「――うん、取りあえず実験はこんなもんかな?」 だが、実験自体は見ていて決して楽しいものではなく、ノルドラッドのその言葉に、アイリスたちはそっと息をついた。 だが次の瞬間、満足そうに頷いたノルドラッドは、満身創痍に近い溶岩トカゲを、もう用はないとばかりに溶岩の中へと蹴り込んだ。 溶岩トカゲの動きを制限していたロープ類は、当然溶岩に耐えられるわけもなく、すぐに燃え上がり溶岩トカゲは自由を取り戻すが、それも僅かな時間。 しばらくの間、溶岩の中で藻掻くように泳いでいたが、やがてその身体も燃え上がり、溶岩へと沈んでいく。 ノルドラッドはそんな溶岩トカゲの様子を、じっと冷静な目で観察し、冷静に手元のノートに結果を書き留めていく。 非情である。 もちろん、魔物を治療するなんてことがあり得ないのは、アイリスたちも理解しているのだが――。 「さて。じゃあ、対照実験としてもう一度だね」 そう言って、簀巻きにされたもう一匹の溶岩トカゲに、平然と手を伸ばすノルドラッドに、アイリスたちは揃って後ろを向いたのだった。 ◇ ◇ ◇ 「お待たせ! いやぁ、有意義な実験ができたよ! 新しい発見もあったし」 「......それは良かったな」 「えぇ、本当に......むしろ、終わったことが」 溶岩トカゲの口はロープでグルグル巻きにしていたので、心を抉るような悲鳴が聞こえてきたりはしなかったのだが、それでもノルドラッドの輝くような笑顔を見てしまえば、なんとも言えない気持ちが湧き上がってくるのは、抑えがたい二人。 「私たち、研究者にはなれないな」 「普通に斃すだけなら、問題ないんだけど......」 アイリスたちも魔物を斃した後は、皮を剥いだり、解体して部位毎に切り分けたり、素材として必要であれば目玉を抉り取ったりと、なかなかに血生臭いことをしているのだが、研究者のやりようはまた違う、ということだろう。 「ボクだって、別に好き好んでやってるわけじゃないよ? でも、ボクの研究結果によって、魔物の被害で死ぬ人が一人でも減れば価値がある、そう思ってるから」 苦笑しながらそう言ったノルドラッドを見て、アイリスたちは自分たちの言葉に、彼に対する嫌悪感がにじんでいたことに気付き、気まずげに顔を見合わせて、頭を下げた。 「それは......そうだな。すまない。私たちが採集のときに参考にする本だって、誰かが調べたからこそ存在し、それによってより安全に採集作業ができているんだよな」 「......そうよね。ごめんなさい、ノルドさん」 「あはは、気にしないで良いよ。普通の人には理解しづらいのが研究者だから。周りから怪しく見えるのは、ボクも理解しているから」 少々残酷なことをしているな、とは思っていてもその感覚はだいぶ麻痺し、新しい実験結果が出ると嬉しくて笑ってしまう。 そんなノルドラッドは、傍から見れば魔物をいたぶって喜んでいるサイコパスに見えてしまうわけで。 彼自身もそれを理解しつつ、止めるつもりもないのだから、やはりどこか一般人とはズレているのは間違いない。 「さて! 気を取り直して。前菜が終わったから、メインだね」 少し微妙になった空気を変えるように、パンと両手を打ったノルドラッドに対し、アイリスもそれに乗るように笑みを浮かべつつも、気になったことはしっかりと訊ねる。 「ずいぶんと濃厚な前菜だったが?」 事実、サラマンダーの周辺にいるだけの溶岩トカゲの調査に、何日も掛けているのだから、アイリスの言う事はもっともである。 だがノルドラッドは、チッチッチッと指を振って、ニヤリと笑う。 「前菜に手を抜いたら、メインが良くても評価されないんだよ? むしろ、前菜からデザートまでしっかりと揃えているからこそ、ボクの研究が毎回褒賞金の対象になっているとも言えるね」 「へぇ、そんな絡繰りがあったのね......」 「絡繰りというか、自分のやりたいことだけやっていても、お金はもらえないという、ごく当たり前のことだけどね。相手が何を求めているか、だよ」 ノルドラッドは簡単そうに言うが、実際はそんなに簡単なことではない。 国が褒賞金を出す以上、そこには何らかの意図があるのは当然だが、誰もがその意図に沿った研究結果を出せるのであれば、褒賞金を得る人はもっと増えているはずで。 そんな中、ノルドラッドが毎回褒賞金を得ていることからも、彼の優秀さが判ろう物である――少なくとも、研究に於いては。 「確か、ここに入れたはず......あった、あった」 話しながらも荷物をあさっていたノルドラッドは、手のひらよりも少し大きい箱形の物を取り出して、それをじっと見つめる。 「ノルドさん、それは?」 「これは、この周辺にある魔力を調べられる計測器。系統も調べられる高級品なんだけど......うーむ、量が多いのは当然として、何故か水属性に偏ってる? ここだと確実に、火のはずなんだけど。もしかして、壊れた?」 顔を顰めて、その計測器を振るノルドラッドだが、そこに表示されている値に変化はない。 「火属性も十分に高いし、漂う魔力量の多さはかなりとんでもないけど......」 「あ、それはもしかしたら、この前の戦いの影響かもしれないな」 ふと思い出したように指摘したアイリスの言葉に、ノルドラッドは計測器から顔を上げた。

Down the cave, it was a scorching space of lava flow. The surroundings are dyed red by radiant lava, with high temperatures as if they refuse to exist in humans. In fact, without heat protection gear, you're definitely going to be taking your life in just a few moments. But Nordrad, who looked around at such a place, raised his voice gladly with his hands wide open. "This is, this is... It's a typical type of space with salamanders! "Actually, I was there." "There seems to be no particular change..." The difference from the last time I came is that there is no salamander there. The battle the other day was a gory push by the magic of Sarasa, so there are no claw marks of a fierce fight, anything like that left. "Yeah, that sounds just right for the experiment. Then hurry up." Nordrad put the light smelter (artifact) he had on the ground and dragged the lava lizard closer to the lava, dobong one tail into its lava. I started cruel animal abuse. Naturally, the lava lizard twists its torso and rumbles with jitter, but Nordrad holds it down...... pulls its tail up. "For a little while, you don't seem to have a problem. That's right,“ Salamander Back "" "... uh, Nord? What's that?" Seeing Nordrad looking a little happy, Iris asks with a slightly drawn look, but answers Nordrad's flat. "It's an experiment on whether lava lizards can withstand lava, right? "No, I hear lava lizards are just names, and they can't actually survive in lava? At least Iris heard that from Sarasa, and he can't actually survive. "I know that too, but I didn't check it myself." Yes, it was in the book. "So, as a research paper, how sad would it be? "An experiment for that, is it? "Unverified research papers are just a drool of paranoia." And Dobon again. By the time the time was extended and repeated several times and eventually the tail carburized, the resistance of the lava lizard had become weak. "You're more resistant to heat than I imagined... Okay, lower body next, let's go! With such merciless words, even more soaked lava lizards burst out again, but are still held back and restricted in movement. "Bent over, what's moving in the lava... why not? ......... Repeated merciless experiments. Even if you look modestly, animals - no, monster abuse. Ordinarily, the torture landscape. It's like, 'Kill me with one thought!' But the Iris' conscience is stimulated by the unexpectedly crushed eyes of a lava lizard, who softly strays his gaze. And into the eye, control experimental personnel. To cling to the slightest possibility, the two couldn't even forbid tears at its appearance of being wrapped around and managing to escape. Nevertheless, in retrospect of the hardships necessary for captivity, the idea of letting him get away with it by mistake does not rise above it, and to such an extent that it draws tears into it. If it's a normal animal, it's still a demon. Instead, there is going to be tears over there, where many lava lizards caught because of this are consumed without even getting the material. "- Yeah, for now, is this what the experiment looks like? But the experiment itself was never fun to watch, and Iris breathed softly into Nordrad's words. But the next moment, Nordrad nodded satisfactorily, kicking a lava lizard close to full creation into the lava just because he had no use for it anymore. The ropes, which had restricted the movement of lava lizards, naturally could not withstand lava, burned up quickly and lava lizards regained their freedom, but that was also a small amount of time. For a while I was swimming to scratch algae in the lava, but eventually its body also burns up and sinks into the lava. Nordrad observes such a lava lizard with a calm eye and calmly writes down the results in the notebook at hand. Ruthless. Of course, the Iris understand that there can be no cure for demons... "Well, let's do it again as a controlled experiment." So Iris turned to Nordrad, who reached flatly for the other lava lizard that was wrapped around him. ◇ ◇ ◇ "Sorry to keep you waiting! Hey, we got a meaningful experiment! I found something new." "... that's good to hear" "Yeah, really... rather, it's over" The lava lizard's mouth was glue-wrapped with rope, so I didn't hear any heart-shaking screams, but if I still saw Nordrad's glowing smile, the two people I couldn't tell would feel anything for were hard to contain. "We can't be researchers." "If you just shoot me normally, I don't have a problem..." After Iris and the others have killed the demons, he's done something quite blood-scented, like peeling them, dismantling them and cutting them into pieces, or choosing eyeballs if necessary as a material, but not like the researchers do again. "Even I don't like it, do I? But my research results make it worth it if one less person dies of demonic damage, because I think so." Looking at Nordrad, who said so with a bitter smile, Iris realized that their words were engulfed with disgust at him, and looked at each other casually, bowing their heads. "That's... right. I'm sorry. Even the books that we refer to when we collect exist because someone looked into them, so that we can collect them safer." "... right? Sorry, Mr. Nord." "Haha, don't worry about it. Because researchers are hard to understand for ordinary people. You look suspicious from around, because I understand." That feeling is a lot paralyzed even though I thought you were doing something a little cruel, and I'm happy and laughing when new experimental results come out. Such a Nordrad looks like a psychopath who is delighted to see a demon from the side. While he understands that himself, he's not going to stop it, so he's still definitely out of line with the average person somewhere. "Well! Get your mind back on it. We're done with the appetizer, so that's the main thing." I ask firmly what bothered me, even as Iris grinned at Nordrad for hitting the bread and both hands to change the slightly more subtle air. "It was a lot of intense appetizer, though? As a matter of fact, Iris is right because he has spent days investigating lava lizards just around Salamander. But Nordrad waves his fingers ticklish and laughs niggardly. "If I lose my hand in an appetizer, it won't be appreciated if the main thing is good, right? Instead, it's a solid selection of appetizers to desserts, so I can tell you that my research is eligible for a prize every time." "Heh, you had that kind of contact..." "It's very obvious that you don't get paid to keep in touch or just do what you want to do. I don't know what they want." Nordrad says it sounds easy, but it's actually not that easy. Naturally there is some intention there more than the state gives a prize, but if everyone can produce research results that are in line with that intention, there should be more people getting the prize. In the meantime, Nordrad's winning prizes every time is a testament to his excellence - at least in research. "Sure, I should have let you in here... there was, there was" Nordrad, who was talking but clad his luggage, took out a box-shaped object slightly larger than his palm and stared at it. "What's that, Mr. Nord? "This is a measuring instrument that allows you to examine the magic around here. It's a luxury product that can check the system too... hmm, naturally a lot of it, for some reason it's biased towards water attributes? I'm sure it's here, it's supposed to be a fire. Could it be broken? Face to face and shake that gauge Nordrad, but there is no change in the value shown there. "The fire attributes are high enough, and the amount of magic that drifts is quite outrageous..." "Oh, maybe that's the effect of the last fight," To Iris' words, pointing out as I recall, Nordrad raised his face from the meter.

「店長さん、戻りました」 「店長殿、戻った。......ふぅ、ここは極楽だな」 本格的に暑くなり始めた今日この頃。 仕事から戻ってきたアイリスさんたちが、店に入るなり大きく息を吐き、額に浮かんだ汗を拭った。 「お疲れさまです。今日も外は暑いですか?」 「あぁ。動いていると、なかなかにな」 窓から外を見れば、今日も晴天。 強い日差しに庭の草木も少しお疲れ気味。 しかし、そんな暑さとも、ウチは無縁。 冷風機を設置しているので、家の中ならとても涼しいのだ! とても贅沢。 でも、作ったんだから使わないとね? ――いや、本当は屋を冷やせるサイズで十分だったんだけどね? 作る経験を積めば良いだけなので。 高品質の氷牙コウモリの牙がたくさんあった物だから、つい、ちょっと贅沢な物を作っちゃったのです。 「冷却帽子、買っても良いんですよ?」 「うぅ......確かに心惹かれるものはあるんだが......我慢する」 「これまでは無しで乗り切っているんだし......」 私が棚に並んだ冷却帽子を指さすと、アイリスさんは凄く未練がありそうな表情で、そこから何とか視線を引き剥がした。 「そこまで節約しなくても良いんですけど......。涼しい方が効率も上がるでしょうし」 「そうかもしれないけど、今は大半の時間、洞窟の中だしね」 他の素材を取ってきてもらう事もあるけど、効率面では氷牙コウモリの牙が一番であり、現在多くの採取者はそれに力を入れていて、アイリスさんたちも例外ではなかった。 そして、洞窟の中に入ってしまえば、涼しいを通り越して、やや肌寒いほど。 行き帰りさえ我慢できれば、冷却帽子が無くても何とかなる事は確か。 かなり暑いとは思うけど。 「とも、お帰りなさい。冷たいお茶ですよ」 そこに、二人が戻ってきたのを見て一度奥に入っていたロレアちゃんが、戻ってきた。 その手にはよく冷えたお茶が二つ。 アイリスさんたちはそれを受け取ると、一気に飲み干して大きく息を吐いた。 「ありがとう、ロレア。......くぅ~、暑い時に冷たいお茶。最高だな!」 「ふぅ......。えぇ、本当に。最高の贅沢よね。ここで生活していたら、元の宿屋には帰れなくなるわね」 このお茶は、最近作った冷蔵庫で冷やした物。 つい先日、ゲベルクさんから冷蔵庫と冷凍庫の外枠が納品されたのだ。 この二つの作製を以て、我が家の台所はついに完成を見た。 ロレアちゃんの頑張りで、大幅なレベルアップを遂げた料理に加え、冷たい物まで楽しめる様になった我が家の食卓は、きっとこの村でもトップクラスだろう。 「涼しいですもんね。私も夜、家に帰るのが少し億劫になりますね。寝る時は、サラサさんに頂いた、環境調整布のシーツがあるので、それなりに快適なんですけど」 「おお、あれな! 暑くても寝苦しさとは無縁だよな、あれは!」 「本当よね。正直、あんな良い物を私たちが使わせてもらって良いのか、不安なぐらいなんだけど......」 「構いませんよ。......私だけ良い物を使うのは少し、居心地が悪いので」 「いやっ! その辺りはまったく気にする必要は無いのだが! 私たち、居候だから」 「いえいえ、本当に、お気になさらず」 来客用にと揃えたベッドや寝具ではあるけれど、今ではすっかり二人専用になってしまった。 かと言って、今更二人から布団を取り上げるのはさすがに無理。 二人が『昨夜は暑くて寝苦しかったな』とか話している隣で、『私は昨夜も快適でした』とか、一緒に生活していてそれはどうなの? という話である。 なので、布団とベッドは追加でもう二組、作製済み。 師匠が突然出現しても、ロレアちゃんがお泊まりしたくなっても大丈夫。 問題なしである。 「ただ、お店が快適なのは凄くありがたいんですけど、ちょっと問題もありますよね」 少し困ったように言うロレアちゃんに、私は首を傾げる。 聞いてないけど......。 「そうなの?」 「はい。用事が終わっても、店の中に居座る採集者の方も――」 「おっと、それはもしかすると、俺のことか?」 タイミング良く店に入ってきたのは、常連客のアンドレさん。 毎日のように訪れているから、ある意味では頻繁に涼みに来ている、と見えなくも無い。 「おや、アンドレさん。もしかして心当たりが?」 「もちろん......ある!」 あるんだ!? 「そうなの? ロレアちゃん」 「アンドレさんはまだマシな方です」 あぁ、マシなだけで、否定はできないと。 「冷たいお茶を出せば、素直に帰ってくれますから。と言うことで、お茶です」 「お、ありがとよっ。――ごっごっ、ぷはぁぁあぁ! やっぱうめぇなぁ! この時季に冷たい物は!」 一気にお茶を飲み干したアンドレさんからコップを受け取ったロレアちゃんは、一つ頷くと、出口を指さす。 「そうですか。では、お帰りください」 「おうっ! って、違う! まだ用事を済ませてねぇよ」 「おっと。そうでしたね。それで今日は?」 「まずは今日の分の成果だ。買い取りを頼む。それからポーションを――」 「はい」 ロレアちゃんはアンドレさんの取りだした物を手際よく処理していく。 彼女を雇って数ヶ月。 手際も良いし、物覚えも良い。 今更ながら、とても掘り出し物。 雇って良かった! 「――以上ですか?」 「そうだな。今日取ってきた物は以上だ」 「そうですか。それではまたお越しください」 「おう......って、そうじゃねぇよ! 今日は他にも用事があるんだよ!」 「そうなんですか? 涼みたい、だけじゃなく?」 「だけじゃなく。この涼しさはすげぇありがたいけどな。俺たちの宿でも導入してくれねぇかな? 冷たい物が飲める......冷蔵庫って言ったか? あれも含めて」 導入してくれれば私も嬉しいけど――。 「そこは、ディラルさんに相談してください。でも、あまり安い物じゃないですから、難しいとは思いますが」 一応、お店のメニューには掲示してある冷風機。 依頼があればもちろん作るんだけど、自分一人、それも頭の周りだけを冷やすだけの冷却帽子に比べると、一部屋を冷やせる冷風機はとても高い。 採集者向けの宿屋で、一部屋に一つ設置するのは少し現実的ではないし、食堂に設置するのであれば、かなり大きな物にしなければ効果は薄い。 そうすると、必然的に必要とされる魔力も多くなるわけで。 私ならともかく、普通の人に賄えるはずもなく......結果、大量の魔晶石か、氷牙コウモリの牙の様な代替品が必要になる。 ま、普通の宿屋じゃ、まず負担できないよね。 ご購入は期待薄だろう。 「それで、アンドレさんはどのようなご用件で? 何かご注文でも?」 「いや、そうじゃなくてだな......」 訊ねた私に、アンドレさんは少し言い淀み、アイリスさんに視線を向ける。 その視線を受け、アイリスさんは一つ頷くと、口を開いた。 「そこから先は、私が話そう。――店長殿は、今、村に滞在している商人の事を知っているか?」 「グレッツさん、じゃないですよね? 知りません」 行商人のグレッツさんは時々顔を見せるので、アイリスさんたちも知っているわけで、こんな風に聞いてくるはずも無い。 「彼よりは大分年上の、やや太り気味の商人だな」 「しばらく前から家を借りて滞在してるのよ。結構お金を持っているみたいで、何人か使用人も連れてきてるわ」 「そうなんですか。行商人、ってわけじゃないんですね。それがどうかしましたか?」 行商人はその名の通り、色々な町や村を訪れる商人。 少なくとも私が知る限り、太った行商人というのは見たことが無い。 大隊商を率いるような商人なら別かもしれないけど、この辺りをそんな隊商が行き来することは、少々考えにくい。 「実はその商人、氷牙コウモリの牙を買い集めているんだ。店長殿よりは高く買い取ると言って」 「そうなんですか? それは初耳です」 「あ、もしかして、最近、氷牙コウモリの牙を売りに来る人が少なくなってたのは......?」 アイリスさんの言葉に、ロレアちゃんがハッとしたように顔を上げ、ケイトさんが深く頷く。 「それが原因でしょうね」 「そういえば、少なくなってた気がしますね、氷牙コウモリの牙の在庫」 入荷がゼロになっていればさすがに気が付いたと思うけど、アイリスさんたちは帰ってきた時に換金しているし、アンドレさんたちからも入荷はしている。 多少在庫は減っているが、年齢の高い、品質が良い牙が入荷している関係で、冷却帽子を作る時に消費する量もあまり多くはないので、不安を感じるほどではない。 新しい採集者が増えている割に入荷量が増えないから、『氷牙コウモリの牙の採取は行っていないのかな?』とか、『もしかして、サウス・ストラグまで売りに行ってる?』とか思っていたら、実はウチじゃなく、他の場所で売っているだけだったんだね。 「店長殿、そんな悠長な......」 「店長さん、そんなにのんびりしていて良いの? 三割も違ったら、こちらで売る人がいなくなるわよ? このままじゃマズいじゃない?」 ほへー、と頷く私に、アイリスさんたちは戸惑った様子を見せるけど――。 「本当に三割高いのかは気になりますが、それ自体はあまり?」 冷蔵庫や冷凍庫はもう作ってしまったし、自分たちが使う用の冷却帽子や冷風機は確保済み。 そんなわけで、現在買い取っている氷牙コウモリの使い道は、販売用の冷却帽子のみ。 その加工賃は村人へのサービス価格なので、これ自体での利益はごく僅か。 無くなってもあまり困らない――私自身は、だけどね。 代わりに、冷却帽子をウチから仕入れて売りに行っているグレッツさんや、ダルナさんは稼ぎが減って困るだろうし、村人も帽子を作って稼ぐことができなくなる。 元々無かった稼ぎなのだから、生活には影響ないとは思うんだけど......一度手に入るようになった利益を失うのは嬉しくないだろうし、私もせっかく考えた仕組みを潰されるのは、あまり面白くない。 「氷牙コウモリの牙自体は、錬金術師じゃなくても鑑定がやりやすく、保存もしやすい素材だけど......」 「私でもできるようになりましたもんね」 「うん。でもロレアちゃんは筋が良いよ? 物覚えも良いから」 「ありがとうございます」 嬉しそうに頷くロレアちゃんを見ながら、私は考える。 よく観察すれば価値が判るタイプの素材だから、三割上乗せすること自体は錬金術師じゃなくても可能。 ただし、その値段で買い取って利益が出るかは別問題。 王都での相場に比べれば、ウチの買い取り価格が安いのは間違いないけれど、それは採集地で買い取っているから。 王都で売る場合、これに輸送費などが加算されることを考えれば、ごく一般的な相場での買い取り――いや若干高いぐらいの買い取り価格なのだ。 これに三割上乗せすると......自分で商品に加工でき、付加価値が付けられる錬金術師でも、利益が出せるかどうか。 それが商人なら言うまでも無い。 特別な使い道でもあるならともかく、他の町まで輸送して、錬金術師に卸すなら確実に赤字。 氷牙コウモリの牙が滅茶苦茶品薄になって相場が急騰でもしない限り、利益は出ないと思う。 何を思ってそんな事をしているんだろうね?

"Mr. Store Manager, we're back." "Lord Store Manager, I'm back.... Phew, it's extremely easy here." It's starting to get really hot today. Iris, who came back from work, exhaled loudly as he entered the store, wiping the sweat floating on his forehead. "Good luck. Is it still hot outside today? "Oh. When it's moving, it's pretty good." If you look out the window, it's sunny today. I also feel a little tired of the garden grass in the strong sun. But with all that heat, we're not connected. We have a chiller, so it's very cool in the house! Very luxurious. But I made it, so I have to use it, right? - No, the truth is, one room was big enough to cool it down, right? Because I just need to gain experience making it. Because it had a lot of high quality ice tooth bat fangs, I made something a little extravagant. "Cooling hat, you can buy it, right? "Ugh... I do have something that attracts my heart... I'll be patient" "I'm getting through this without..." When I pointed to the cooling hat lined up on the shelf, Mr. Iris managed to pull his gaze off of it with a very untrained look on his face. "I don't have to save that much...... Cooler will be more efficient." "Maybe, but right now, most of the time, we're in a cave." Sometimes they ask me to get other materials, but ice tooth bat fangs are the best in terms of efficiency, and many collectors are currently investing in them, and Mr. Iris and the others were no exception. And the more you get inside the cave, the cooler you go through, the colder your skin gets. As long as I can stand going back and forth, I'm sure I can handle it without a cooling hat. I know it's pretty hot though. "Welcome home, both of you. It's cold tea." There, Lorea, who was in the back once she saw the two of them back, came back. There are two well-cooled teas in that hand. When Mr. Iris received it, he drank it all at once and exhaled heavily. "Thank you, Lorea....... ku, cold tea when it's hot. That's awesome! "Phew...... Yeah, really. It's the best luxury, isn't it? If I lived here, I wouldn't be able to go back to my old inn." This tea was recently chilled in a refrigerator. The other day, Mr. Geberg delivered the outer frame of the fridge and freezer. Through these two productions, our kitchen finally saw completion. With Lorea's hard work, our table will surely be top notch in this village, in addition to dishes that have undergone a tremendous level increase, and even cold food. "It's cool, huh? I'll be a little bit of a billionaire going home at night, too. When I go to bed, I have a sheet of environmental adjustment cloth that Sarasa gave me, so it's quite comfortable." "Oh, that one! Hot doesn't have anything to do with sleeplessness, does it, that one! "It's true, right? Honestly, I'm worried that we can use such good stuff..." "I don't mind.... I'm a little uncomfortable using good stuff." "Hey do it! I don't have to worry about it at all! We're staying." "No, really, never mind" Although the beds and bedding are all for visitors, they are now completely reserved for the two of us. I said, I just can't take the futon away from you two now. Next door to the two of you talking about 'You were hot and hard to sleep last night,' 'I was comfortable last night,' or living with you and what about that? It's a story. So two extra pairs of futons and beds, made. It's okay if your master shows up suddenly or if Lorea wants to stay. No problem. "I'm just very grateful that the store is comfortable, but there's a bit of a problem, isn't there?" To Lorea, who tells me to have a little trouble, I tilt my neck. I haven't heard... "Really? "Yes, even after the errands, the gatherers who sit in the store -" "Whoa, that could be me? It was Andre, a regular customer, who came into the store in good time. Because I visit it like every day, in a way, it comes to cool frequently, even if I can't see it. "Oh, Mr. Andre. Do you have any idea? "Of course...... I do! There is!? "Really? Lorea." "Mr. Andre is still the best." Oh, it's just better, you can't deny it. "If you serve cold tea, you'll honestly go home. So it's tea." "Oh, thank you. - Oops, puhhhhh! I'm so done! What's cold this season! Lorea, who received a cup from Andre, who drank tea at once, nods one, pointing to the exit. "Really? Well, welcome home." "Oops! Oh, no! I haven't finished my errands yet." "Oops. Right. So, what about today? "First of all, it's for today's sake. Ask for the purchase. And then the potion." "Yes." Lorea handily handles Andre's items. I've been hiring her for months. Good hands and good memory. Even now, very digging. It's good to hire you! "- Is that it? "Right. That's all I got today." "Really? See you later." "Oops... that's not true! I have other business to attend to today! "Really? Not only do you want to cool down? "Not only. This coolness is amazing. Thank you. Why don't you introduce me to our inn, too? I can drink cold stuff... Did I mention refrigerator? Including that one." I'd be happy to introduce it, too... "There, talk to Mr. Dilal. But it's not very cheap, so I know it's hard." For once, the cold air fan is posted on the shop menu. Of course I would make it if I asked for it, but compared to the cooling hat that just cools me alone, which also only cools around my head, the cooler that can cool a room is very expensive. It's a room for gatherers, it's a little unrealistic to install one in a room, and if you're going to install it in a dining room, it's less effective if you don't make it a pretty big thing. That will inevitably require a lot of magic. Anyway, I couldn't possibly bribe a normal person... as a result, I would need a massive amount of Demon Crystal Stone or alternatives like Ice Tooth Bat Fangs. You can't afford a regular inn first, can you? I don't expect you to buy it. "So, what can I do for you, Mr. Andre? Can I get you something? "No, you're not..." Asked me, Mr. Andre said a few words and turned his gaze to Mr. Iris. Taking that gaze, Mr. Iris nodded one, opening his mouth. "From there on out, let me talk. - Does the manager know about the merchants who are staying in the village now? "Mr. Gretz, isn't it? I don't know." The pedestrian Gretz shows his face sometimes, so the Iris know it, so he can't even ask like this. "You're a much older, slightly fatter merchant than he is." "I've been renting a house and staying for a while. Looks like he's got a lot of money, and he's got a couple of servants." "Really? Pedestrians, you don't mean. What's wrong with that? As its name suggests, pedestrians are merchants who visit various towns and villages. At least as far as I know, I've never seen a fat pedestrian. Unless you're a merchant like leading a caravan, it's a little hard to think of such caravans coming and going around here. "Actually, I'm buying that merchant, Ice Tooth Bat Tooth. Tell him I'll buy % more than the manager." "Really? It's my first ear." "Oh, could it be that fewer people have come to sell ice tooth bat fangs lately...? To Mr. Iris' words, Lorea raised her face like a hack and Kate nodded deeply. "I guess that's why." "Speaking of which, I think you were running low, stock of ice tooth bat fangs" I think I would have just noticed if the arrival had been zero, but Mr. Iris and the others are redeeming it when he returns, and Andre and the others are arriving. I have somewhat less stock, but I am not so anxious because I do not consume too much when making cooling hats due to the fact that older, good quality fangs arrive. Because there aren't more arrivals for the increasing number of new collectors, I thought, 'Haven't you been collecting ice tooth bat fangs?' Or, 'Maybe you're even going to sell South Strag?' If you thought about it, you'd actually just be selling it elsewhere, not us. "The manager, such a long..." "Mr. Store Manager, is it good to be so relaxed? If it's 30% different, there won't be anyone to sell it here, will there? It's not as bad as this, is it? Heh, snorts at me, Mr. Iris and the others look confused... "I'm curious if it's really 30% expensive, but not much in itself? We've already made refrigerators and freezers, and we've secured cooling hats and fans for our own use. That's why the only use I'm currently buying out of ice tooth bats is for cooling hats for sale. Since the processing fee is the price of service to the villagers, the profit from this is very small in itself. I don't have much trouble losing it - myself, though. Instead, Mr. Gretz, who is purchasing and selling cooling hats from us, or Mr. Darna, will have trouble making less money, and the villagers won't be able to make hats and make money. I don't think it's going to affect my life because I'm making money that I didn't originally have... I wouldn't be happy to lose the profits that I got once, and it's not very funny to be crushed by the mechanism I thought about because of it either. "Ice Tooth Bat Tooth itself is an easy material to appraise and store even if you are not an alchemist..." "I can do it now, too." "Yeah. But Lorea's good, right? Because I remember things well." "Thank you" Looking at Lorea nodding happily, I think. If you observe carefully, you can see the value of the type of material, so it is possible to multiply it by 30%, even if you are not an alchemist. However, it is a different matter of whether it is profitable to buy it at that price. I'm pretty sure our buyout price is lower than the market in Wang Du, but that's because we're buying it at the collection site. When selling in Wangdu, given that transportation costs and so on are added to this, buying on a very common market - no, it's about a slightly higher buying price. If you multiply this by 30%...... even an alchemist who can process the product himself and adds value can make a profit or not. If that's the merchant, I don't have to say it. Anyway, if it's also a special use, if you're transporting it to other towns and wholesale it to alchemists, sure deficit. Unless the ice tooth bat fangs become tear-free and the market soars, I don't think it will make a profit. I wonder what you're doing with that in mind?

そして現在、私は古びたお店の前で立ち尽くしていた。 「......はぁ、どうこう言っても仕方ないか。もう来ちゃったんだから、何とかしないと!」 あの時の決意を思い出せ、私! 師匠に恩を......おや? このお店を選んだの、師匠だよね? ――いやいや、師匠もこんな状況とは知らなかったんだし。 でも、就職じゃなくて、お店を買うことを決めたのも......。 ――いやいやいや、師匠のことだもの。きっと私を思ってのことだよ! うん、きっとそうに違いない。そうでないと心が折れそう......。 「と、とりあえず、状況の確認からだよね!」 気を取り直した私は、改めてお店の外観を眺める。 確かに看板は傾いて今にも落ちそうだけど......よく見ると、家自体はそんなに傷んでないかも? らしくは見えるけど、屋根はしっかりしているし、壁の漆喰に 扉や窓もしっかりしているし、これは看板を直してお掃除さえすれば、結構悪くない物件かもしれない。 「うん! よし! ちょっとやる気出てきた! まずは中に入ってみるかな」 ポケットから鍵を取り出し、草を踏み分けて扉に向かおうとしたところで足を止める。 「これって......薬草じゃない?」 扉に続く路地にも大量に繁茂する草。 それをよく観察してみると、錬金術の素材となる薬草がポツポツと生えている。 そういえば、薬草畑が付いているんだよね、この家。 そこから種が飛んできたのかもしれない。 ほとんどはただの雑草だけど、薬草を踏まないように歩くのも難しい、なんとも微妙な割合。 路地以外にも生えているのだから、無視して踏み分けて行っても良いんだけど、私から見れば小銭が転がっているようなもの。 貧乏性な私が、小銭を踏みつけて歩くことができようか!? 「......回収、回収」 家に入るのは少し保留にして、ひとまず路地の薬草回収を始める私。 が歩ける範囲の草を抜いていく。 きながら、引き抜いた草を分類して積む。 薬草一本一本は大した額じゃないけど、このまま扉の所まで回収していけば、下手すると庶民の一日分の収入ぐらいにはなるかもしれない。 もっとも、すぐに処理しないと価値が落ちるから、錬金術師だからこそ価値があるんだけどね。 ひたすら草抜きをすること暫し。 「あら、お嬢ちゃん。何しているんだい?」 扉まで後半分ほどという所まで来た時、不意に後ろから声を掛けられた。 振り返ると、ちょっと恰幅のい代後半ぐらいの女性が立っていた。 「えっと......」 客観的に私の状況を見ると......空き家の前で、見たことの無い小娘が、ブツブツ言いながらひたすら草抜き。 うん、ちょっと怪しいね! こういう小さな村って、すこし閉鎖的なところがあると聞いたことがあるし、もしかして私、かなり不審に思われてる!? 「そのお店に用事......ともちょっと違うようだけど、そのお店はずっと前に閉店してるよ?」 「いえ! 違うんです! ここ、私の家! です。この家を買って引っ越してきたんです!」 しげに言うおばさんに私は慌てて否定した。 閉鎖的なコミュニティに入るには、第一印象がとっても大事! 学校なら孤立していても問題なかったけど、ここで生活していく以上、ご近所さん達とは仲良くしないと! おばさんネットワークはバカにできないから、私は慣れない笑顔を必死に浮かべて挨拶をした。 「よ、よろしくお願いします!」 「買った? と言うことは、お嬢ちゃんは錬金術師様!?」 「は、はい! まだ新米ですけど、錬金術師です! サラサと言います」 「まぁまぁ。あたしはここの隣に住んでるエルズってもんだよ。ってもちょっと離れてるけど、何かあったらいつでも来ておくれ」 おばさん――エルズさんは店の左手の方を指さしながら、ニッコリと笑って応えてくれた。 よかった、ファーストコンタクトは取りあえず及第点、だよね? もちろん、怪しい草抜き場面を見られたことは、頭の隅に放り投げておく。 「しかし、またウチの村にも錬金術のお店ができるんだね。ちょっと不便だったから助かるよ! 頑張っとくれ!」 「はい、ありがとうございます。......ところで、このお店、何で閉店したかご存じですか?」 経営不振とかだと、色々考えないといけない。 師匠への素材の卸しだけでも最低限の生活はできそうだけど、錬金術師としてそれだけじゃ、ね。 「あぁ、この店は高齢の爺さんがやってたんだけど、腰をやっちまってね。心配した息子が連れに来たんだよ。だから客の心配はそんなに要らないと思うよ?」 「そうなんですか?」 小さい村だから、あんまり需要が無さそうなんだけど。 そんな私の気持ちが伝わったのか、エルズさんは苦笑しながら言う。 は必要不可欠だからねぇ。それに、この村は樹海に入る採集者たちが結構滞在してるから、そいつら向けの薬を置けば店は安泰さ。買い取りもすりゃ良い稼ぎになるんじゃないかい?」 “採集者”とは、大樹海などの各種錬金関連素材が採取できる場所に そういった場所は一般的に危険性が高く、必然的に怪我なども多くなる。 そのため、採集者は錬金術師にとって素材の供給源であると共に顧客でもあるのだ。 「採集者がいるのはありがたいですが、買い取りについては状況を見て追々でしょうか。買い取っても販売先やここからの輸送も考えないといけないですし......」 「そうなのかい? おばさん、そういった錬金術の商売のことは解らないからねぇ」 ここのように産地の近くで安く素材が入手できるのはある意味当然としても、それを安易に買い取っていては早晩破綻する。 まず買い取った物を、そのまま保存できることはあまりない。 放置しておけば、腐ってしまったりして使い物にならなくなるので、長期保存できるように下処理が必要となる。 それをするのは当然私なので、処理できる量以上に買い取ってしまっては廃棄が発生してしまう。 更に販売先まで輸送コスト、売れ残りや輸送時の破損による損失なども考慮した上で値段を付けて購入しないといけない。 ――と、師匠のくれた冊子に書いてあった。 各種素材の王都での販売価格や仕入れ価格の表まで付いていたのだけど、その価格を単純に参考にするだけだとすぐに赤字になるぞ、と注意書きが。 「買い取りはともかく、店の方はいつ開店する予定なんだい?」 「えっと、お掃除して、準備してだから......一週間ぐらいでしょうか」 まだ中を見てないのではっきりとは言えないけど、まだ商品を作っていないのでそのくらいはかかると思う。 「そうかい、そうかい。何か手伝えることがあったら言っとくれ」 「ありがとうございます」 やかにそう言うエルズさんに、私は再び頭を下げた。 ◇ ◇ ◇ エルズさんを見送った後、草抜きを再開した私は、慣れてきたこともあり、程なく扉まで辿り着いた。 ポケットから取り出した鍵を鍵穴に差し込んで回すと、軽い音と共に鍵が開き、扉が開いた。 予想外にガタつきもなく、スムーズに開いた扉から中を覗く。 「......思ったよりも、汚れてない、ね?」 かなり埃っぽいことを想像していたのに、案外綺麗な床。 扉を入ったところは店舗スペースらしく棚が並んでいるが、そこにも多少埃が積もっている程度で、中に入った途端、埃が舞い上がるような様子はない。 「そういえば、錬金術師のお店だし、『清掃』の刻印があるのかな?」 を作製する場合は、対象物を錬金釜に入れて錬成を行う。 では、錬金釜に入らないような そのための方法が『刻印』である。 ただし、錬金釜を使う場合に比べると手順が複雑になる。 簡単な物であれば特殊な塗料で文様を書くだけで作れるが、複雑な物になると複数の 例えば家であれば、部屋や廊下の位置、部屋の使用用途、窓や煙突の有無なども刻印に含めてしまうのだ。 にすることも可能なのだが、錬金釜を使った場合と比べると手順の複雑さ以外にもデメリットは大きい。 まず第一に、効率が悪い。 同じ効果を得ようとするならば、必要とされるコスト、錬金術師の腕共に何倍にもなる。 また、錬金術師による定期的なメンテナンスや魔力の補給なども必要で、現状ではあまり一般的に使われるような技術ではない。 逆に言えば、錬金術師の店なら十分に使う価値があるんだけどね。 「師匠のお店だと、工房の壁にコアがあったんだけど......」 コアとは刻印の基点となる物で、最も重要な部分のことだ。 とはいえ、一度作ってしまえば、後は魔力を注ぐ時ぐらいしか使わないので、適度に邪魔にならない、それでいて魔力注入がやりやすい場所に設置するのが普通。 取りあえず、各部屋の窓を開けて空気を入れ換えながら、コアを探すことにする。 店舗スペースの右奥、カウンターの中にある扉を開けると真っ直ぐに廊下が延びていた。 右側は外に面していて窓があり、左側に扉が四つへと上がる階段、突き当たりにも扉が一つある。 「一つは......ただの部屋。もう一つが、倉庫? 棚があるし。トイレと......残りが工房で、突き当たりが台所か。......あ、ここにコアがある」 階段の下、壁の中に埋め込まれた魔晶石。 一見すると普通の石みたいで何か印があるわけではないが、そこから家全体に魔力が流れているため、錬金術師ならすぐに判る。 「でも、ほとんど切れてるね」 魔晶石から流れ出る魔力は極々微量で、刻印の維持だけで精一杯というレベル。 もう一年もすれば刻印自体が機能停止していたんじゃないかな? 「......取りあえず、めいっぱい注いでおこうっと」 自慢じゃないけど、私、魔力量だけには自信があるんだよね。 たぶん、師匠が採用してくれた理由の一つはこれ。 初級の錬金術だけでは使い切れないので、時々師匠のお店でもコアに魔力供給していたぐらい。 コアに触れて、そっと魔力を流していくと、魔晶石の周りに刻印の文様が浮かび上がってくる。 「うん、やっぱり『清掃』が......あれ? それに『防犯』も含まれてる?」 学校の授業で実習をしただけで、家みたいな大型の刻印を作ったことはないが、習うだけは習っているので読み取ることはできる。 腕の良い錬金術師が作ったのか、かなり複雑な刻印になっているが、メインとして『清掃』、サブとして『防犯』が含まれていることは見て取れた。 若干よく解らない部分もあるが、家主に不利益な物は含まれていないはずなので、どんどん魔力を注ぐ。 「......う~ん、結構、容量があるね」 私の全魔力、そのおおよそ半分程度を注いだところで、いったん手を離す。 これで一杯にならないとか、魔力量に自信を持っていた私としては、なかなかにショックなんだけど......。 錬金術師としては新米だけど、師匠にちょっと呆れられるぐらい魔力はあるんだよ? 「......まぁ、いいか。動作に問題は無いし、ぼちぼち追加していけば」 刻印の機能さえ回復するなら無理して満タンにする必要も無いし、魔力を使い切ると、働く気力も無くなってしまう。 最低限、今日寝る部屋と台所だけはお掃除しておかないとね。 せっかく新しい家に着いたんだから! 二階の部屋は大小合わせ屋もあったが、すべての部屋は空っぽ。 、な~んにもない。 備え付けの棚みたいに、動かせない物だけが残っている。 普通、引っ越すにしても、ある程度の家具は置いていくんだけどなぁ......? 近所ならともかく、他の街ともなると大きい家具は運ぶ方が大変だから、知り合いにあげたり、古い家に置いたままにする。 寮の私の部屋に置いていた小さいチェストも、そうやってもらってきた一品。 師匠の知り合いからもらっただけにちょっとした高級品で、お気に入りだったんだけど、さすがに持ち運べないので置いてきたのだ。 処分されると哀しいので、誰か新入生が使ってくれたら良いんだけどね。 ......あ、もしかすると、この村にたまたま新婚さんでもいたのかな? 結婚して新居を建てた場合なんかには、こんな風に全部もらっていって、足りない物だけを注文する事があるみたい。 新婚だからと、一気に全部、新品で揃えるなんて、金銭的に大変だからね。 「ちょっと覗いた台所も空っぽだったし......」 テーブルも椅子も一切無かった。 唯一の例外は、錬金工房。 あそこだけは手が付けられていない様子で、むしろ引っ越しの際、何一つ持っていかなかったようにも見える。 ちょっと掃除すれば、明日からでも仕事ができそうなほど。 「まぁ、おかげで掃除が楽、かなぁ......」 先ほど魔力を注いだ『清掃』の刻印。 家の掃除が格段に楽になるこの刻印だけど、残念ながら弱点もある。 一つはエクステリア――家の外壁や窓、屋根などには効果が出づらいこと。 ちょっとずつしか綺麗にならないから、常に雨風に当たる部分に関しては、追っつかないんだよね。 家具を置いていると、そこに積もった埃や汚れは綺麗ならない。 つまり、現時点で家具がほとんど無いこの家は、数日中にはほぼ綺麗になっている可能性が高かったりする。 「でも、寝る場所も、食事する場所もないんだけどね......」 ベッドやテーブルは買うしか無いけど、この規模の村だと在庫はないよね。 しばらくは毛布だけで寝るしかないかぁ......屋根と壁があるから野宿よりはよっぽどマシだけど。 あと、食事は外食するか、床に座って食べるか。 採集者がいる村だから、食堂の心配が無さそうなのは安心。 ひとまず南側の一番日当たりの良い部屋を自室ということにして、荷物を置き、再度一階へ降りる。 一番気になるのは工房だけど......今入っちゃうと絶対時間を忘れちゃいそうなので、涙をのんで我慢。台所を調べる。 「汚れてないけど......コンロも無い......」 熱源として、庶民の家庭で一般的なのは、薪や炭を使う竈。 それが設置されていない代わりに、この家は錬金術師の家らしく、魔力で動くコンロが設置してあった......みたい。 残っているのは、取り外された痕跡のある土台のみ。 「私にも作れるかな? 確か師匠は『そんなに難しくないぞ』と言ってたよね?に載っていれば良いんだけど......」 のコンロは師匠のお店でも売っていたので、見たことがある。 買うにはちょっと高いから自作を考えたいところだけど......とりあえずは保留。 いざとなれば裏庭で煮炊きかな? もしくは、携帯タイプのコンロを買うか......。 「あの扉は裏庭に続くとして、もう一つは......あっ! お風呂! やった、さすが錬金術師!」 を作る時に、身ぎれいにしていないとダメな物もあるので、錬金術師の工房にはお風呂が付いていることが多いのだ。 もちろん、師匠のお店にもあったので、私も何度も使わせてもらっている。 学校にもあったんだけど、時々しか入れなかったんだよね。 まぁ、貴族でもそうそう入れる物じゃないから、仕方ないんだろうけど、私は一度使って以降、すっごく気に入ってるからこれはすごく嬉しい。 水と薪を大量に使うので、普通ならコスト的に大変なのだが、師匠のところではこれを 当然私もそれを目指す。 じゃないととても毎日は入れないからね。 「うわ~、何かすっごくやる気が出てきたよ! 最後は裏庭だね!」 私は気合いを入れ直すと、裏庭へと続く扉を開いた。 ――扉の向こうは原生林となっていた。......とまで言うと大げさか。 一応、ここは薬草畑のはずなのに、見た印象としてはただの藪。 家の後ろまで森が迫っているし、申し訳程度に家の周りを囲んでいる柵もかなりの部分が腐って破損している関係上、もうちょっとしたら森と一体化しそう。 唯一安心できるのは、井戸が扉から出てすぐの場所にあり、石を敷いてある部分は草が生えていないことぐらい? 「井戸は大丈夫だよね?」 ゴミが入ったりしないようきっちりとフタがしてあるが、釣瓶などはないため、水は汲めない。 の一種かな? 全然傷んでいないし。 もピンキリなので、これみたいに単に元の素材を丈夫にするだけという物もある。 まぁ、普通は錬金術師に頼むより作り直す方が安いので、一般的には使われないのだが、錬金術師自身は結構便利に使っていたりする。 にして、落としても壊れず、汚れも付きにくいように加工していた。 「中は......ちゃんと水もある。釣瓶は買ってこないとね」 よし、大体把握できたかな? ひとまず必要な家具はベッドとテーブル、椅子。 台所用品は食器と調理器具、場合によっては携帯コンロ。 その他の雑貨として、布団と釣瓶。 今思いつくのはこんな所。 どこで買うべきかは......よし、早速エルズさんに頼ろう。

And right now, I was standing up in front of an old store. "... ha, how can I say this? I'm already here, so we have to do something! Remember the resolve then, me! Thanks to my master... oh? You chose this shop, Master, didn't you? - No, no, no, my master didn't even know about this situation. But I also decided to buy a store, not get a job... - No, no, no, it's about the master. You must think of me! Yeah, I'm sure you do. Otherwise it's going to break my heart...... "And for now, it's from checking the situation! Refreshed, I look at the exterior of the store again. Sure, the sign is leaning and it's going to fall now... but if you look closely, maybe the house itself isn't that damaged? It looks like a narrow "misubo" because of a wooden fence decaying in a rough garden and the unseen windows inside with dirt, but the roof is solid, and there is no part that actually collapses even if "crackles" are in the lacquer on the wall. Doors and windows are solid, and this could be a pretty good property as long as the signs are fixed and cleaned. "Yeah! Okay! I'm a little motivated! I think I'll go inside first." Remove the key from your pocket and stop where you tried to step through the grass and head to the door. "What is this... not a herb? Massive flourishing grass also in the alley leading to the door. If you look closely at it, the herbs that make up the alchemy material are growing potatoes. Speaking of which, it's got a herbal field on it, right, this house? Maybe the seeds flew from there. Most of them are just weeds, but it's also difficult to walk away from peddling medicinal herbs, what a subtle percentage. It grows outside of the alley, so you can ignore it and step aside, but from what I can tell, it's like the change is rolling. Poor me, can I walk on the change!? "... collection, collection" I put a little hold on entering the house, and I start collecting drugs in the alley for once. Pull out as much grass as each person can walk. With bumps and whining "Crush Ya," classify and pile the grass you pulled out. Every bottle of herb is not a big amount, but if we keep collecting it to the door, if we do poorly, it could be about the income of a common man for a day. It's worth it because I'm an alchemist if I don't process it right away. Even draining grass temporarily. "Oh, my lady. What are you doing? When I came to the door for about half an hour, I was accidentally called from behind. Looking back, there was a woman standing in her late forties who was a bit of a perfect width. "Uh..." Looking at my situation objectively...... in front of an empty house, a little girl I've never seen, even grass out as I say bumps. Yeah, that's a little suspicious! I've heard there's something so closed about these little villages, and maybe me, they're pretty suspicious!? "Running errands in that store... seems a little different, but that store closed a long time ago, huh? "No! It's not! Here, my house!. I bought this house and moved in! I impatiently denied it to my aunt, who said "a lot". First impressions are very important to enter a closed community! I didn't have a problem with being isolated at school, but I need to get along with my neighbors more than just live here! The aunt network can't be foolish, so I said hello desperately with an unfamiliar smile on my face. "Nice to meet you! "Bought it? That means your daughter is an alchemist!?" "Yes! It's still new America, but I'm an alchemist! I say Sarasa." "Well, well. I live next door to here. I'm Elles. That's a little far away, but you can always come if you need anything." Auntie - Mr. Elles responded with a smile, pointing to the left hand side of the store. Good, first contact is the best part, isn't it? Of course, being seen with a suspicious grass-plugging scene throws it in the corner of your head. "But you can have an alchemy store in our village again. It was a little inconvenient, that would help! Good luck with that! "Yes, thank you.... By the way, do you know why this store closed? Poor management and all that, you have to think about it. Wholesale material to the master seems like a minimum way to live, but as an alchemist, that's all, right? "Oh, this store was run by an elderly grandfather, but you got your hips done. I was worried about my son. I don't think that's why you need to worry about your guests so much, do you? "Really? It's a small village, so there doesn't seem to be much demand. Mr Elles says with a bitter smile that my feelings have been conveyed. "That's a small village, but we need the smelting drug Potion, so hey. Besides, the village has quite a few collectors staying in the Tree Sea, so if you put medicine for them, the store will be cheap. Wouldn't it make a good fortune to buy it? “Collectors" are people who go to "Momomo" where various types of alchemy-related materials, such as the Great Tree Sea, can be collected and sold. Such places are generally more dangerous and inevitably more injuries, etc. For this reason, collectors are a source of materials for alchemists, as well as customers. "I appreciate that we have collectors, but will we look at the situation and follow up on the buyout? Even if you buy it, you have to consider the destination and transportation from here..." "Really? Auntie, I don't know about those alchemy businesses." Even though it is natural for materials to be cheap to be available near the region of origin like here, it breaks down sooner or later if you are buying it off cheaply. There's not much you can do to save what you bought first. If left unattended, it will rot and become useless, thus requiring a downward process so that it can be stored for a long period of time. It is naturally me who does that, so if I buy more than I can handle, the disposal occurs. In addition, you have to purchase it at a price that takes into account transportation costs to the destination, losses due to sales surpluses and damage during transport. - And it was in the booklet my master gave me. It even came with a table of selling and purchasing prices in Wangdu for all kinds of materials, but there was a caveat that simply referring to that price would result in a deficit as soon as possible. "Regardless of the purchase, when are the shopkeepers planning to open? "Uh, clean up, get ready. So... is it a week or so" I haven't looked inside yet, so I can't say for sure, but I think it will take about that long because I haven't made the product yet. "Right, right. Tell me if there's anything I can do to help." "Thank you" I bowed my head again to Mr. Elles, who said so in the Japanese "To Ko". ◇ ◇ ◇ Having resumed grass drainage after dropping Mr. Elles off, I had gotten used to it and reached the door at short notice. Inserting and turning the key removed from the pocket into the keyhole, the key opened with a light noise and the door opened. No unexpected rattling, peeking inside through smoothly opened doors. "... not dirtier than I thought, huh? Beautiful floors out there, even though I imagined it was pretty dusty. When I entered the door, the shelves appeared to be lined up like store space, but there was some dust there as well, and as soon as I got inside, the dust didn't appear to rise. "Speaking of which, it's an alchemist's shop, and there's an engraving for 'Cleaning'? Typically, when creating the smelter Artifact, the object is placed in an alchemy kettle for smelting. So, if you can't make the smelter Artifact that doesn't go into the alchemy kettle, it doesn't. The method for this is' engraving '. However, the procedure is more complicated than when using an alchemy kettle. If it is a simple object, you can simply write the text with a special paint, but when it becomes a complex object, you have to embed multiple smelter "artifacts" in a specific location or change the shape of the object to match the engraving. For example, in a home, the location of the room or hallway, the use of the room, and the presence or absence of windows or chimneys are also included in the engraving. This makes it possible, in theory, to turn the city into a whole range of smelter artifacts, but other than the complexity of the procedure, the disadvantages are enormous compared to when using an alchemy kettle. First and foremost, it's inefficient. If you try to get the same effect, you multiply the cost required, along with the alchemist's arms. It also requires regular maintenance and magic replenishment by alchemists, which is not the kind of technology that is very commonly used in the present situation. Conversely, an alchemist's shop would be well worth using. "At the master's shop, there was a core on the workshop wall..." Core is the object on which the engraving is based, the most important part. Nevertheless, once you make it, you will only use it later about when you inject magic, so it is normal to install it in a place where it is not moderately disturbing and where magic injection is easy to do. In the meantime, I decide to look for the core as I open the windows in each room to get some air in. The hallway was straight out when the door in the back right of the store space, inside the counter, was opened. On the right side, facing out, there is a window, on the left there are four doors and a staircase that goes up to the second floor, and also one door at the penetration. "One is... just a room. Another one, the warehouse? There's a shelf. The toilet and... the rest is in the workshop, and the rampage is in the kitchen?... Ah, here's the core" Demonic crystal stone embedded beneath the stairs, inside the walls. At first glance it looks like a normal stone and it doesn't have any marks, but since there is magic flowing through the whole house from there, an alchemist would know right away. "But you're almost out." The magic flowing out of the Demonic Crystal Stone is extremely trace, at the level that it is best served simply by maintaining the engraving. In another year, the engraving itself would have been out of function, wouldn't it? "... let's just pour it full" I'm not proud of you, but I, you're confident in just the amount of magic. Perhaps one of the reasons my master hired me is this. I can't use up elementary alchemy alone, so much so that I sometimes magically supplied the core in my master's shop. Touching the core and gently letting the magic flow, the engraved text emerges around the Demonic Crystal Stone. "Yeah, I knew 'cleaning' was... that? And that includes" Crime Prevention "? I just did an internship in school class and have never made a large engraving like home, but I can read it because I'm just learning. Whether it was made by a well-armed alchemist or rather complex engraving, it was seen to include 'cleaning' as the main one and 'crime prevention' as a sub. Some parts are slightly less familiar, but the landlord should not contain anything detrimental, so he pours more and more magic. "... Uh-huh. Fine, you have the capacity." I just poured all my magic, about half of it, once I let go of my hand. As for me not being full of this or confident in the amount of magic I had, I'm quite shocked... As an alchemist, it's a new America, but it's magical enough to be a little spooked by my master, isn't it? "... well, okay. There's nothing wrong with the behavior, and if you add a blur," If even the function of engraving is to be restored, there is no need to force it to become full, and if you use up your magic, you lose your temper to work. At the very least, I need to clean the room and kitchen where I sleep today. I just got to my new house! There were as many as eight upstairs rooms, large and small, but all rooms were empty. All right, "Come on," Nah. Nothing. There are only things left that cannot be moved, like a shelf provided. Normally, even if I were to move, I'd leave some furniture...? Regardless of the neighborhood, it is harder to carry large pieces of furniture when it comes to other cities, so I give it to someone I know or leave it in an old house. The little chest I kept in my room in the dorm, that's the one I've had. It's just a little luxury stuff I got from a master acquaintance, and it was my favorite, but I just couldn't carry it, so I left it. It's pathetic when it's disposed of, so I hope someone freshman uses it. ... Oh, maybe he also happened to be a newlywed in this village? Sometimes when I get married and build a new home, I get it all like this, and I just order the missing stuff. Because we're newlyweds, and it's hard financially to get it all together, all at once, in a new way. "The kitchen with a little peek was empty too..." There was no table or chair. The only exception is the alchemist. Only there seems to be no hands on it, rather it looks like I didn't take one with me when I moved. The more I clean up a bit, the more I'm likely to be able to work tomorrow. "Well, thanks to you, it's easy to clean, I wonder..." The engraving of 'Cleaning', which I poured my magic on earlier. This engraving makes cleaning the house exceptionally easier, but unfortunately it also has weaknesses. One is the exterior - that it is difficult to work on the exterior walls, windows, roofs, etc., of the house. It only cleans up a little bit, so when it comes to the part that always hits the rainstorm, you can't chase it. When I keep the furniture, the dust and dirt piled up there doesn't get cleaner. In other words, this house, which has very little furniture at the moment, is likely to be almost clean in a few days. "But there's no place to sleep, no place to eat..." I just have to buy beds and tables, but if it's a village of this size, it's not in stock, is it? I guess I'll just have to sleep on a blanket for a while...... it's better than Nojuku because of the roof and walls. And do you want to eat out or sit on the floor? It's a village with gatherers, so don't worry about the dining room. For one thing, I decided to take the sunniest room on the south side as my own room, put my stuff down and go down to the ground floor again. My biggest concern is the workshop...... I'm going to definitely lose track of time when I get in now, so tears and patience. Check the kitchen. "It's not dirty... but there's no stove..." As a heat source, it is common in common households to use firewood and charcoal. Instead of that being installed, this house looked like an alchemist's house, with a magically powered stove installed... All that remains is a foundation with removed traces. "Can you make it for me too? Surely the master said, 'It's not that hard,' is it? I wish it was on three volumes..." I have seen the stove of the smelter Artifact because it was also sold in the master's shop. I just want to think about making my own because it's a bit expensive to buy...... hold off for now. Cook in the backyard if you have to? Or buy a mobile type stove...... "As that door leads to the backyard, the other... Ah! Bath! Yay, that's the alchemist! When creating the smelter Artifact and the smelter Potion, there are some things that need to be cleaned up, so the alchemist's workshop often comes with a bath. Of course, it was in my master's shop, so I have been allowed to use it again and again. It was in school, too, but you only let me in sometimes. Well, even the aristocrats aren't such things to put in, so I guess I can't help it, but I'm so happy with this because I totally like it since I used it once. I use a lot of water and firewood, so normally it would be very costly, but at my master's place I had solved this with the smelter Artifact. Naturally I go for it too. Otherwise, I won't be able to get in every day. "Wow, something is so motivating! At the end of the day, it's the backyard! When I regained my temper, I opened the door leading to the backyard. - Beyond the door was a native forest. Are you exaggerating until... For once, this is supposed to be a herbal field, but the impression I see is it's just a snag. The forest is imminent to the rear of the house, and the fence surrounding the house to an extent that I'm sorry, is likely to integrate with the forest in a few moments, due to the fact that a significant part of it is rotten and damaged. The only thing I can feel safe about is that the well is just outside the door, and the part where the stone is laid is about no grass growing? "The well's fine, isn't it? There is a clear lid to prevent debris from entering, but there are no fishing bottles, so water cannot be drawn. Uh-huh. Is this lid a kind of smelter artifact? I'm not hurt at all. The smelter Artifact is also pinky, so there are things like this that simply make the original material sturdy. Well, it's usually cheaper to rebuild than to ask an alchemist, so it's not commonly used, but the alchemist himself can use it quite conveniently. The master had also made his favorite dishes into the smelter Artifact so that they could be removed but not broken and stain-resistant. "Inside...... some water is decent. I need to get a fishing bottle." All right, did you get a rough idea? Beds, tables, and chairs are the first pieces of furniture you need. Kitchen supplies are dishes and cookware, and in some cases portable stoves. As other groceries, futons and fishing bottles. This is what I can think of right now. Where to buy...... ok, let's rely on Mr. Elles soon.

翌日、私を訪ねてきたエリンさんは、冒頭から深々と頭を下げた。 「まずはサラサさん、謝罪させてください。お手数をおかけしまして、申し訳ありません」 「えっと......あぁ、土起こしの事ですか? 私が自主的に行った事なので、気にしなくていいですよ」 、何のことか判らず考えてしまったけど、エリンさんの用事を思い出せばすぐに予想はついた。 「そう言って頂けるのはありがたいですが、薬草畑はサラサさんへの報酬。本来、きちんとした形にしておくべき物です。アンドレさんたちには、お約束通りにお支払いしているのですから」 「律儀ですねー。本当に気にしなくて良いんですが......でも、原因は気になりますね。エリンさんが差配したにしては......」 村長さんがやったなら、『ほっほっほ、ちょっと遅れちゃったわい』とか言いそうだけど、エリンさんはそのへん、きっちりしているわけで。 そう思って尋ねてみれば、エリンさんは困ったようにため息をつく。 「それが、思ったよりも暇な村人が少なくて......予定通りの人手が集められなかったんです。誤算でした」 例年よりも村に滞在する採集者が増えている現在。 ディラルさんの宿屋兼食堂で働き始めた村人を筆頭に、仕事が増えている鍛冶屋のジズドさん、大工のゲベルクさんの手伝いをする村人など、今この村は空前の人手不足であるらしい。 「なるほど、私も原因の一端を担っているわけですか」 「一端というか、全てサラサさんのおかげですね。感謝しています。......もっとも、その事でサラサさんにご迷惑をおかけする事になったのですが」 「マイケルさんの事情も聞きましたし、すぐ隣で苦労しているのを見ると......私なら簡単に終わる事ですから」 「そうみたいですね。ちなみに、報酬をお支払いすれば、またお願いする事はできますか? 畑を拡張する時に」 にっこりと笑って、そんな事を訊ねてきたエリンさんに、私は思わず苦笑を漏らす。 謝罪は謝罪として、使える物は使おうとするその姿勢、さすがは実質的な村長である。 「そうですね、本業の邪魔にならない程度なら、でしょうか」 「ありがとうございます。これで、村がより発展します。もっとも、それも薬草栽培が成功したら、ですが。――できそうでしょうか?」 「一応、指導はしますが、保証はできません。私がやっていたのは、個人的に小さな畑で、小規模に作るだけですから」 裏庭で作る程度なら、一つ一つをしっかりと見る事ができるし、手もかけられるけど、畑一つとなると、どうなんだろう? 後は、どんな薬草を育てるか。 ほとんど放置していても育つような物から、かなりの手間をかけなければ育たない物まで、薬草は多種多様。 当然、簡単に育てられる薬草は価値が低いし、森で見つける事も容易なので、あまり利益が出ない。 逆に、育てるのが難しい薬草は収穫さえできれば大きな利益が見込めるが、失敗すれば大損害。高い薬草は種も高いのだから。 ちなみに私が育てていたのは、採集後、すぐに処理が必要な薬草や価値の高い――つまり、なかなか見つける事ができず、持ち込まれる事が少ない薬草や、栽培に手間がかかる薬草など。 なので、ヘル・フレイム・グリズリーに滅茶苦茶にされた後は、本気で涙がこぼれた。 もしあれが、皮が素材にならない魔物なら、怒りにまかせて寸刻みにしたことだろう。 「上手くいかない場合は、価格の安い、作りやすい薬草だけになると思いますが、構いませんか? その場合、薬草畑を増やす、というわけにはいかなくなると思いますが」 ただでさえ価値が低い薬草が大量に作られたら、それこそ本当に買い取る価値も無くなってしまうから。 「はい、それはもちろん。ただし、マイケルの怠慢で失敗したとか、そういう場合は仰ってくださいね? 私がビシリッと言いますから」 「ははは......そうならないように頑張りますよ。――言葉だけじゃすみそうにないですし」 握りしめられたエリンさんのその拳、新婚家庭で活躍してもらうのは、ちょっと可哀想だから。 ◇ ◇ ◇ 畑の土起こしが終わったとはいえ、それが実際に“畑”として使えるようになるまでにはしばらくの時間が必要だった。 その間、私はヘル・フレイム・グリズリーの襲撃から何とか生き残っていた薬草を元に、株分けをしたり、挿し芽をしたり、師匠に頼んで種を取り寄せてもらったり。 更には、出かけていた間に溜まった仕事の処理も、当然行う。 そしてこれが、地味に大変。 実は今回、私が店を空けるにあたり、ウチの倉庫には大型の素材用冷蔵庫が増設されていた。 目的はもちろん、私がいない間に持ち込まれた素材の一時保管用。 一応、私が出かける事は出発の数日前から告知していたので、ロレアちゃんが判断できない素材に関しては、買い取りを拒否することも考えていた。 でも、せっかく採ってきた物が無駄になるのは、採集者としても、そして私としても、なんとも勿体ない。 なので、ある程度なら劣化が抑制できる冷蔵庫を作り、ノークレームを条件に、常連さん限定で素材を預かる事にしたんだよね。 幸い、素材となる氷牙コウモリの牙には余裕があったし? の中には、本当の意味で劣化を止める事ができる保存庫も存在するんだけど、もちろん私に手が出るような代物ではなく、次善として用意したのが冷蔵庫。 それでも暑くなってきたこの時季に、常温で保存するよりはよっぽどマシで、帰ってきて確認した素材の状態は思ったよりも悪くなかった。 値付けして、それらを処理して、ロレアちゃんのメモを見ながら支払う相手と金額を計算。 取りに来た時にすぐに払えるよう、急ピッチで作業を進めたのだった。 「という事で、ロレアちゃん。これ、買い取り金額と支払先のリスト、それとお金ね。次回来店した時に支払っておいて」 「了解しましたが......結構な額ですね?」 私がドスンと置いた革袋を持ち上げて、ロレアちゃんがそれを慎重にカウンターの下に隠す。 ロレアちゃんもここで働き始めて結構経つので、大金を扱うのにもだいぶ慣れたはずだけど、こうして纏まった額になると、やはり緊張はするのだろう。 「およそ一週間分だからね。......手持ちのお金がだいぶ減っちゃったから、工面しないと」 「そうなんですか?」 「うん。最近は、あまり売れない物をメインに作ってたから」 レベルアップのために。 あと数個ほど作れに進めるんだけど、進んだところでいきなり大金が転がり込んでくるわけでも無し。 むしろ、五巻で必要になる素材を買うために、お金は出ていく方向。 それ故、レベルアップは後回しにして、今は売れそうな物を作るべきだろう。 「ちなみに、テントの方はどう? 何個か注文が入ってたよね?」 「はい、村のおばちゃんたちにも手伝ってもらって、作っていますが......思ったよりも時間が掛かってます。革を縫うのに慣れていないのもあると思いますが、忙しい人が多いみたいで......私も頑張っているんですけど」 「あー、エリンさんも言ってた。人手不足だって。気にしなくて良いよ」 申し訳なさそうなロレアちゃんに、私は手を振って応える。 待ってもらっている採集者には申し訳ないけど、専門の職人もいない村なんだからと諦めてもらおう。 錬成薬 も見た事があるから、あれがあればもっと早く作れるけど......少なくとまでには載ってなかったから、地味に高レベルな代物だったらしい。 まぁ、単純に“貼り付ける物”と言うよりも、革同士を融合させるような物で、一見すると一枚の革にしか見えなくなるので、その製作難度の高さも当然かも? 「ですが、テントには追加注文も入ってますし......」 「......そうなの?」 「はい。既に販売した人からも噂が広がっているみたいで。特に最近、宿不足で野宿している人も増えていますから。ゲベルクお爺さんたちが頑張って、新しい借家を作ってるみたいですけど......」 「あぁ、この前の襲撃で壊れた家の補修とかで忙しかったもんねぇ......」 「ディラルさんの宿もですよ? サラサさんがお金を出した」 「だよね。急には増やせないか」 本職の大工がゲベルクさんだけという問題もあるけど、建材が足りないという事も要因の一つらしい。 もちろん、サウス・ストラグへ注文すれば入手はできるんだけど、この村では、普段ほとんど需要が無い物なわけで。 必要以上に買い込んでしまえば、長期間不良在庫を抱える事になりかねず、用途が確定する前に注文する事は難しいだろう。 家を建てることを決め、必要な材料を計算し、サウス・ストラグに注文し、届くのを待って建設。時間がかかるのも仕方がない。 「でも、そんなに人が増えているの? 私、そこまで実感が無いんだけど?」 「サラサさん、最近はあまり村の方に行ってないですよね? 目に見えて増えてますよ。お店に来る人も、新顔の人が増えてますし」 「あー、そうなんだ?」 食料の買い出しはロレアちゃん任せ。 料理も作ってくれるので、ディラルさんの所に食べに行く必要も無く。 店番も同様で、新人が持ち込むような物であれば、ロレアちゃんが判断できるため、私が鑑定に出るまでも無い。 このお店が村の中心にあれば、店の前の人通りなどで判断できたかもしれないけど、ここは村はずれ。人の増加を実感する機会が無かった、って事かも? 「......たまには、村の方にも行ってみようかな? あんまり用事は無いけど、挨拶がてら」 お隣のエルズさんとは挨拶を交わすけど、ディラルさんとは最近、ご無沙汰しちゃってる。 えっと......宿屋の拡張関連でやり取りして以来? ディラルさんもその関係で忙しいだろうから、ウチには来ないしね。 「その方が良いですよ。籠もってばかりじゃ身体に良くないですし......って、一応、外には出ているんですよね、サラサさんは」 「うん。剣の訓練は続けてるからね。もう少ししたら、薬草栽培の指導も始まるし」 地味にやるべき事はたくさんあるため、必要性も無いのに村の中を散歩しよう、とかそんな気にはなかなかなれなかったり。 むしろ私みたいな若者が、昼間から仕事もせずに散歩してたら、そちらの方が視線が痛い。真面目に農作業に励んでいる村の人からの。 「サラサさん、忙しいですし、仕方ないですか。小型冷蔵庫の注文も入ってますしね」 「え? そうなの? 村の人から?」 まともに現金も持っていなかった村の人が、冷蔵庫を買えるほどの余裕ができたのなら嬉しいけど......。 「いえ、注文してきたのは採集者の方ですね。ディラルさんの所で冷たいお酒を飲んで、欲しくなったとか。最近、暑いですしね」 「そういえば、納入したね、ディラルさんの所には」 最近、ディラルさんの所では、追加料金を払えば冷たいお酒が出してもらえるらしい。 それを試した採集者が『自分用に』と注文してきたのだとか。 暑いときに冷たい飲み物。たまらないよね。 私はお酒を飲まないけど、気持ちはよくわかる。 ただの水でもおいしいんだから。 「と言うか、きちんと書いておきましたよ? まだ見てないんですか?」 「うっ。ちょっと忙しかったから......」 ロレアちゃんからの申し送り事項、ってほどじゃないけど、売買記録や注文を受けた物、その順番などはきちんと記帳されているわけで。 それを確認しておけば、知っているはずの事だけに、ロレアちゃんからの視線が少し呆れているように見えて、私は気まずさに視線を逸らす。 「こほん。うん、そのへんは順次対応するね」 「はい、お願いします。まぁ、緊急性がある場合は、口頭でもきちんと伝えますから、あまり気にしなくてもいいですけど」 「ありがとう。本当、頼りになるね。ロレアちゃんを雇ってよかったよ」 「そ、それほどでも......」 私の素直な賛辞に、ロレアちゃんが少し照れくさそうに、口をもにょもにょと動かす。 けど実際ロレアちゃんは、未だ成人していないとは思えないほどにしっかりしているし、数字にも強いから安心して店番を任せられる。 たまたま知り合って仲良くなれた相手が、計算もできたから雇った部分が大きいのに、正直その働きは期待以上。 これも縁という物かな? 考えてみれば私の周りにいる人、師匠を筆頭にアイリスさんやケイトさん、村の人たちも含め、良い人が多いんだよね。 私の日頃の行いが良いから、なんてうぬぼれるつもりは無いけど、良縁は今後も大事にしていきたいところだね。

Preparation Period The next day, Erin, who had visited me, bowed her head deeply from the beginning. "First, Mr. Sarasa, let me apologize. Sorry for the inconvenience." "Uh... Oh, you mean the earthquake? You don't have to worry because I did it on my own." For a moment, I didn't know what I was talking about, but as soon as I remembered Mr. Erin's errands, I had my predictions. "I appreciate you saying that, but the herbal field is a reward for Mr. Sarasa. It is something that should be properly shaped. I'm paying Andre and the others exactly as I promised." "It's discipline. I really don't have to worry about it...... but you care about the cause. Erin gave it to me..." If the village chief did it, he's going to say 'ho ho ho, I'm a little late for it' or something, but Erin is, you know, neat. If you think so and ask, Mr. Erin sighs like he's in trouble. "That's less free villagers than I thought... and I couldn't muster the manpower I planned. It was a miscalculation." Currently more gatherers are staying in the village than usual. It seems that this village is now unprecedented understaffed, including a blacksmith jizzed with more jobs and a villager who helps carpenter Geberg, headed by a villager who started working in Mr. Dillall's lodging and dining room. "I see, am I also responsible for one end of the cause" "One end, or it's all thanks to Mr. Sarasa. I appreciate it.... but that's why I bothered Sarasa." "I heard about Michael, and I saw him struggling right next door... because it would be easy for me to finish." "Sounds like it. By the way, if I pay you, can I ask you again? When expanding the field." I laugh and unwittingly leak a bitter smile to Erin, who has asked me that. Apology is as an apology, and what you can use is that attitude you try to use, that is, a substantial village chief. "Well, to the extent that it doesn't interfere with the main business, is it?" "Thank you. Now the village will develop more. But if herbal cultivation is successful, - Is it possible? "For once, I'll give you guidance, but I can't guarantee it. I was doing it because it's a small field for me personally and I just make it on a small scale" To the extent that we make it in the backyard, we can see each and every one, and we can put our hands on it, but when it comes to the fields, what do you think? After that, what kind of herbs do you grow? There is a wide variety of medicinal herbs, from things that grow, even if left largely unattended, to things that don't grow without considerable effort. Naturally, the medicinal herbs that can be easily grown are less valuable and are easy to find in the woods, so they don't make much profit. Conversely, medicinal herbs that are difficult to grow are expected to be of great benefit as long as they can be harvested, but if they fail, they will be greatly damaged. Because high herbs are also high in seeds. By the way, what I was growing were herbs and high value that needed to be processed immediately after collection - i.e. herbs that were hard to find and rarely brought in, herbs that took a lot of work to cultivate, etc. So after Hell Flame Grizzly tormented me, my tears really spilled. If that was a demon whose skin would not be material, it would have been made into inch pieces by anger. "If it doesn't work, I think it will just be a cheap, easy to make medicinal herb, okay? In that case, I don't think we can increase the number of herbal fields." Because if a lot of medicinal herbs are made that are just not worth it, then that's really what makes them worthless to buy out. "Yes, of course it is. But tell me if Michael's laziness made him fail, or something like that? Because I say Bicilli." "Ha... I'll try not to. - I don't think it's just words." That fist of Mr. Gripped Erin, getting him active in his newlywed family, is a bit pathetic. ◇ ◇ ◇ Though the soiling of the field was over, it took some time before it could actually be used as a “field”. In the meantime, based on the herbs I had managed to survive the Hell Flame Grizzly raid, I would share stocks, insert sprouts, and ask my master to pick up seeds. Furthermore, it is natural to handle the work accumulated while going out. And this is, plain hard. In fact, as I vacated the store this time, our warehouse had an additional large refrigerator for materials. The purpose, of course, is for the temporary storage of the material brought in while I was away. For once, I had informed you that I was going out a few days before I left, so I was also thinking about refusing to buy any material that Lorea could not judge. But what wastes what I've picked, as a gatherer, and as me, is nothing. Therefore, we decided to create a refrigerator that can suppress deterioration to some extent, and store the materials exclusively for regular customers, subject to no claims. Fortunately, there was plenty of room for ice tooth bat fangs to be made of? There is also a reservoir in the smelter Artifact that can stop degradation in the true sense, but of course the refrigerator was not a substitute for me, but was prepared as a secondary good. Still getting hot this time of year, it was better than saving at room temperature and the condition of the material I came back and checked wasn't worse than I thought. Value them, process them, and calculate the person and amount to pay while looking at Lorea's notes. We proceeded to work on a rapid pitch so that we could pay immediately when we came to get it. "So, Lorea. This, the list of buyouts and payees, and the money. Pay the next time you come to the store." "Got it... pretty good forehead, huh? Lift the leather bag I put down with Dosun and Lorea carefully hides it under the counter. It's been quite a while since Lorea started working here, too, so I should be a lot more used to dealing with a lot of money, but when it comes to the amount of money that's wrapped up like this, I guess I'm still nervous. "It's about a week's worth.... I've lost a lot of money on hand, so I need to work on it." "Really? "Yeah, 'cause lately, I've been making mostly unsold stuff" To level up. If I make a few more, I can move on to five volumes, but there's no way that all of a sudden a lot of money will roll in where I went. Instead, money is the way out to buy the materials you will need in five volumes. So we should level up later and build something that's going to sell now. "By the way, how's the tent? There were some orders in there, weren't there? "Yes, the village aunts are helping me out, too, and I'm making it... it's taking longer than I thought. I know some people aren't used to sewing leather, but it seems like a lot of people are busy... and I'm trying." "Uh, Mr. Erin said it, too. He said he was understaffed. Don't worry about it." I wave and respond to Lorea, who seems sorry. I'm sorry for the gatherer waiting for me, but let's give it up because it's a village that doesn't even have a professional craftsman. At the master's place, I've also seen Potion, an alchemy that can be applied leather, so I could make it sooner with that one... but it wasn't listed by at least four volumes, so it seemed to be a plain and high-level substitute. Well, it's more like merging leather into each other than simply saying "paste," which at first glance only makes it look like a single piece of leather, so maybe its production difficulty is also natural? "But the tent also contains additional orders..." "... Really? "Yes, it looks like rumors are spreading from people who have already sold it. Especially since more and more people have been in the wild lately due to lack of accommodation. Looks like Grandpa Geberg is working hard and building a new rental..." "Oh, I've been busy repairing a broken house or something from the last raid..." "Mr. Dillall's inn, too, right? Mr. Sarasa offered you money." "Right. Can't you suddenly increase it?" There is also the problem that Mr. Geberg is the only carpenter on the job, but the lack of building materials seems to be one of the factors. Of course, if you order from South Strag, you can get it, but in this village, there's usually very little demand. If you buy more than you need, you may have poor inventory for a long period of time, and it will be difficult to order it before the use is confirmed. Decide to build a house, calculate the materials you need, order from South Strag and wait for it to arrive to build. I can't help but take some time. "But there are so many more people? I don't really feel that much, do I? "Mr. Sarasa, you haven't been to many villages lately, have you? There's more in sight. More people are coming to the store, more new people are coming." "Uh, really? I'll take care of the food buyout, Lorea. They also cook, so you don't have to go to Mr. Dilal's to eat. The store number is the same, and if it's something that a newbie brings in, Lorea can judge it, so I don't have to go to the appraisal. If this shop was in the heart of the village, I might have been able to judge it by the public street in front of the store, etc., but this place is off the village. Maybe you didn't get a chance to experience an increase in people? "... once in a while, let's go to the village too? I don't have much work to do, but I have to say hi." I'll exchange greetings with my neighbor Elles, but Mr. Dillall and I have been out of business lately. Uh... since we exchanged in connection with the expansion of the accommodation? Mr. Dilal will be busy in that relationship, so he's not coming to us. "That's better. It's not good for you just because you're in a cage... for once, you're out there, aren't you, Sarasa?" "Yeah. Because you keep training your sword. In a few moments, we'll be teaching herb cultivation." There are so many things to do in plain sight that I don't have to go for a walk in the village or anything like that. Instead, if a young man like me walks without even working from day to day, his gaze hurts more there. from people in villages who are seriously encouraging farming. "Mr. Sarasa, I'm busy, and I can't help it. It also contains an order for a small refrigerator." "Huh? Really? From the villagers? I'd be glad if a village guy who didn't even have decent cash could afford a fridge... "No, you're the gatherer who's been ordering it. You said you had a cold drink at Mr. Dilal's and you wanted it. It's been hot lately." Speaking of which, you delivered it to Mr. Dillall. Recently, at Mr. Dilal's place, he said he could get cold alcohol served if he paid an extra fee. You think the collectors who tried it have ordered 'for themselves'? A cold drink when it's hot. I can't wait, can I? I don't drink, but I know exactly how it feels. Because even just water is delicious. "I mean, I wrote it right down, didn't I? Haven't you seen it yet? "Ugh. I've been a little busy..." Not so much about Lorea's petitions, but the purchase and sale records, the items ordered, their order, etc. are well booked. If you make sure that, just what you're supposed to know, your gaze from Lorea looks a little dazed, and I look away from awkwardness. "Kohon. Yeah, I'll take care of that one in turn." "Yes, please. Well, if it's urgent, I'll tell it right verbally, so you don't have to worry too much." "Thank you. Really, you can count on me. I'm glad I hired you, Lorea." "Well, not so much..." To my honest praise, Lorea moves her mouth slightly, seemingly illuminating. But in fact, Lorea is so solid that I don't think she's even grown up yet, and she's strong in numbers, I can safely leave the store number to her. The work honestly exceeds expectations, even though a large part of the people I happen to know and get along with hired because I could also calculate. Is this something called an edge, too? Think about it. There are a lot of good people, including those around me, Mr. Iris and Kate and the villagers, headed by their masters. I don't mean to be flattered because my daily behavior is good, but good luck is something I want to take care of in the future.

目的地への行程は、遅々として進んでいなかった。 その原因は――。 「こ、これはナルスナッチ! 滅多に見つからないのに、ついていますね!」 石の上にいた鮮やかな黄緑色の粘菌を丁寧に取り、瓶の中へ。 これを見逃すなんてあり得ない。 「タイニールタックが生えています! これは良く注意していないと見落としちゃうので、気をつけてくださいね」 倒木の裂け目、その中に生えていた薄黄色の小さなキノコを、ピンセットで半分ほど回収。 が一センチほどしかない上に、潰れちゃったら価値がなくなるので、一本ずつ慎重に箱の中へ。 「この苔はブルーパウダーですね。普段は緑の苔で価値がないんですが、この時季だけ青い粉をふいて、価値が出るんです」 粉が重要なので、息を止めて丁寧にナイフで剥ぎ取り、革袋の中へ。 「いやー、さすがは大樹海! 素材の宝庫ですね! これなら収も夢じゃないですよ、アンドレさん」 「それは嬉しい情報だが......ヘル・フレイム・グリズリーの調査の方は良いのか?」 「......おっと。そっちがメインのお仕事でした。良い素材が多いので、つい。えへへ」 やや呆れたような表情を浮かべたアンドレさんに指摘され、本題を思いだした私は笑って誤魔化す。 でも実際、これだけいろんな素材があったら、多種多様な 持ち込みが少なければ、また自分で採りに来ようかな? 「サラサちゃんが集めた素材、全部俺たちの知らない物ばかりだったからなぁ。実はかなりもったいないことしてたんじゃねぇの? 俺たちって」 「知らない以上はどうしようも無い。俺たちの勉強不足だ」 「それは私たちも同じだな。店長殿、それら素材の情報は、先日来、店長殿が読んでいた本に載っているのか?」 「そうですね、ある程度は載ってますね。私もあれを読んで、当たりを付けて探しているところもありますから」 簡単に目に飛び込んでくるブルーパウダーやナルスナッチなどはともかく、タイニールタックなどは、『この辺りに生えているかも』と思って目をこらさなければ、移動しながら見つかるような素材ではない。 半ば忘れていたけど、今の私たちの目的は、ヘル・フレイム・グリズリーの生息地に行くこと。ゆっくりと周囲の探索をしながら移動してるわけじゃないからね。 「そうなのね。店長さん、今度読ませてもらっても良い?」 「ケイトさんたちなら、もちろん構いませんよ。買い取りが専門の私としては、素材の種類が増えるのは嬉しいことですし、できれば他の採集者にも情報を広めたいところですが......難しいんですよね」 「まぁ、本は高いからなぁ。安易に貸すわけにもいかねぇよな」 「それもありますが、あの本、名前は載っていても、特徴や注意点などは書いていないので、対象物に対する知識が無いと、無意味なんですよね」 本に『この辺りではタイニールタックが採れる』と書いてあっても、タイニールタック自体を知らなければ見つけることができないし、見つけたとしても、採取における注意点を知らなければ、下手をすれば採ってきた素材が無価値となる。 アイリスさんたちなら、知らなければ私に訊けばいいだけだけど、他の採集者はそうではない。 つまり、彼らに本の内容を教えるなら、一緒に採集物に関する多くの情報も教える必要があるわけで、それはなかなかに大変。 簡単に言えば、私が錬金術の学校で受けた授業を、採集者相手にやるようなものなのだから。 少なくとも、お店をやりながら片手間に行えるようなことではない。 「あとは、お金に目がくらんで、中途半端な知識で森の奥に入ると、犠牲が出ますから、下手なことはできない、というのもありますね」 「やっぱり、森の奥は危険なのよね?」 「えぇ、当然。例えば、こんな感じに――」 私は素早く剣を抜くと、ケイトさんのすぐ顔の横を振り抜く。 シュッ。ザク。ドサッ。 私の腕よりも一回りほど細い蛇が、頭と胴体に分離され地面に転がった。 血を吹き出しつつ、のたうつ蛇にケイトさんが目を丸くして、唇を震わせる。 「い、いつの間に......」 「結構蛇はいますよ? 近寄ってこないので、無視してましたが、これはケイトさんに近かったので。これも素材になるので回収ですね。ちなみに、咬まれると死ぬので注意です」 血が出なくなった蛇の死体を革袋に放り込む私に、アンドレさんが戸惑ったように声をかけてきた。 「え、いや、あっさり言うけど、サラサちゃん。そんなのが普通にいるのか? この周辺」 「それなりに? 大丈夫ですよ、魔物じゃなくて動物ですから、こちらから手を出さなければ、滅多に襲ってくることはありません」 それ故、私も魔法を使わなければ、簡単には見つけられない。 あまり使い道が無いので、近くにいなければ敢えて狩る必要は無いんだけど。 「......万が一、咬まれたら?」 「運が無かったと思って、諦めましょう」 ゴクリと喉を鳴らすアイリスさんに私があっさりと答えると、ギルさんたちも表情を歪める。 「マジで? 大樹海、侮れねぇな」 「ウチでそれ用の解毒薬を買っておけば大丈夫ですよ。死ぬまで数分程度は猶予があります」 「それって......使えば数分程度の猶予ができる、ってわけじゃないよな? 助かるんだよな?」 「.........(にっこり)」 「お、おい!?」 「冗談です。それ用の解毒薬なら助かります。別の解毒薬だと無意味ですから、何の蛇に咬まれたのかは、きちんと認識する必要がありますけど」 「それを含めて、知識不足は危ないって事か」 「そういう事です。ちなみに、柔軟グローブは貫けませんから、もしもの時には手を挟むのがお奨めです」 「おい、アンドレ! 柔軟グローブを出せ! 付けるぞ」 「おう!」 私の言葉に、アンドレさんがすぐに荷物を下ろし、中から取りだした柔軟グローブをグレイさんたちに配る。 ちなみに、アイリスさんたちは普段から着用しているので、その点は問題ない。 「あ、毒が出るのは上顎の牙ですから、手を入れる時には、そちら側に。咬まれる前に頭を掴むのが一番良いですけどね」 「それは、なかなか難しそうね......。他に対処法は無いの? 蛇を避ける 「無いとは言いませんが、普通は柔軟グローブの様に、蛇の牙が通らない防具を身につけるのが妥当でしょうね。コスト面でも、他の安全面でも」 ――などと、素材のレクチャーや危険に対する対処方法を話している間にも日は傾き、その日は少し開けた場所を見つけて、野営をすることになった。 私が今回、野営のために準備した 先日作ったばかりのフローティング・テントと小型の魔導コンロ。 はアンドレさんたちが持っているし、テントにもその機能が付いているので、不要。 危険な生物の感知や明かりなどは魔法で対処できるので、用意してきていない。 「ほぉ~、これが例のテントか。採集者たちの間で話題になっていた」 「アンドレさんたちは初めてですか? 現在、ウチのお店で販売していますから、よろしければ、是非」 「これ、一度使うと欲しくなるんだよな」 「そうね。快適だもの」 私が準備するテントを見て、しみじみと頷くアイリスさんたちの様子に興味を引かれたのか、アンドレさんたちも近づいてくる。 「そんなにか? ......ちょっと入ってみても良いか?」 「えぇ、どうぞ」 私がテントの入り口を開けて誘うと、アンドレさんたちは浮かんでいる床面に、ややおっかなびっくりと足を乗せ、中に入る。 そして、ゆっくりと横になると揃って声を上げた。 「こ、これは、何と適度な柔らかさ」 「すげぇ! 滅茶苦茶寝心地が良いじゃねぇか」 「宿のベッドよりも楽だな、これは。しかも涼しい......」 「でしょう? いかがですか?」 寝心地には自信があります――ってわけじゃないけど、ほどよく沈み込む感じが結果的に寝心地の良さにも繋がっている。 冬場なら毛布を、夏場ならゴザの様な物でも敷いておけば、快適に寝られることは間違いない。 「でも、高いんだろ? これだけのテント」 「えぇ、それなりに。追加機能によって、値段も上がりますし」 このテントは虫除けと空調の機能が付いているけど、魔法が使えない人なら、危険な生物が近づいた時に警告を出す機能や、明かりを灯せる機能などもあると便利だろう。 、そして機能毎に大まかなお値段を伝えると、彼らは腕を組んで悩み始めた。 「むむ......。今の蓄えで買えないことはないが......」 、たけぇとは言えねぇが」 「うむ。これがあれば採集は捗る――ん? いや、ちょっと待て。そもそも俺たち、泊まりがけで採集、してなくないか?」 グレイさんの言葉に、アンドレさんとギルさんも、ハッとした様に息をのみ、私に顔を向ける。 「そこに気付いてしまいましたか」 うん、実際の所、村に在住している大半の採集者には必要が無い むしろ、行商人のグレッツさんやダルナさんたちの方に需要があるだろう。 でも、たまにサウス・ストラグへ仕入れに行くだけのダルナさんは使用頻度が低いし、頻繁に使いそうなグレッツさんも、先日、両親に 「サラサちゃん、大丈夫なのか? サラサちゃんのことだから、無理に薦めたりはしてないと思うが......」 フローティング・テントを買った採集者から不満が出ないかと訊くアンドレさんに、私は当然と頷く。 「えぇ、それはもちろん。ただ、あんまり使用頻度が低いともったいないですし、不満も出るかもしれませんから......それもあって、森の奥の情報を広めたいとは思っているんですよね」 森の奥に入れば採集者の利益は増えるし、私も買い取れる素材が増える。 泊まりがけになる事も増えるだろうから、フローティング・テントだけではなく、野営をサポートする様な各種 本来は、双方に利があることなんだけど......。 「問題は、広める情報と採集者の技量、知識などのバランスか」 「そうなんですよ」 「私やアイリスは、店長さんに色々聞けるけど、他の採集者はそうじゃないものね」 ちなみに、そのあたりの経験や知識は、先輩の採集者から教えてもらうのが定石。 ただ、この村の場合、錬金術師がいなかった期間が長いので、知識の継承の空白ができているわけで。 「そのあたりも含め、ベテランのアンドレさんたちには期待しているんですよ?」 そう言った私に、アンドレさんたちは眉間に皺を寄せて首を捻る。 「俺らかぁ......。俺たちも、先輩たちから多少は手ほどきを受けたが、あの頃は、奥に入れるほどの腕は無かったからなぁ」 「だよな。話を聞くぐらいで」 つまり、村でベテランのアンドレさんたちでも、実地訓練は積んでいないって事になる。 「まぁ、頑張るしかないだろう。俺たちも先輩から恩を受けているんだから」 「はい、よろしくお願いします。私も知識面でサポートしますから」 今回の依頼で、少しでも経験を積んでくれれば、私としても助かるんだけどね。

The itinerary to the destination had not progressed as late. The cause of this... "Ko, this is Narsnatch! You're on, even though you rarely find it! Carefully take the bright yellow-green viscous fungus that was on the stone and go inside the bottle. There's no way I'm going to miss this. "Tiny Lutac is growing! Be careful if you don't pay close attention to this." Collect the rips of the fallen tree, the thin yellow little mushrooms that were growing in it, in a pinset, about half. On top of only about a centimeter of stock, if it crumbles, it will be worthless, so carefully go into the box one at a time. "This moss is blue powder, isn't it? Usually it's green moss and it's not worth it, but only this time of year, it's blue powder and it's worth it." The powder is important, so hold your breath and carefully peel it with a knife and go inside the leather bag. "No, that's the Great Tree Sea! That's a treasure trove of materials! This isn't a dream of tripling your income, Mr. Andre." "That's a delightful piece of information...... is Hell Flame Grizzly's investigation better? "... oops. That was your main job. There are many good materials. Eh heh." I laugh and delude myself when Andre pointed me out with a slightly frightened look on my face and thought to the point. But in fact, with all this variety of materials, we can create a wide variety of smelter potions and smelter artifacts. It's also a bit understandable that the master recommended this place. If I don't bring it in much, shall I come back and pick it up myself? "I don't know because all the materials Sarasa collected were things we didn't know. Actually, it's pretty wasteful, isn't it? Us." "There's nothing more I can do than not know. We're understudied." "That's the same for us. Mr. Store Manager, is the information on those materials in the book that Mr. Store Manager was reading the other day? "Right, you're on it to some extent. I read that one too, and some of them are looking for it with a hit." Regardless of the blue powder and narsnatch that pops into your eyes easily, Tiny Lutac and others are not the kind of material you would find while traveling if you didn't blind yourself thinking 'it might be growing around here'. I'd forgotten half of it, but our purpose now is to go to the habitat of Hell Flame Grizzly. I'm not moving around slowly exploring the area. "You are. Mr. Store Manager, can I read it to you next time? "Of course you don't mind if you guys are Kate. As for me specializing in buying, I'm happy to have more types of materials, and I'd like to spread the information to other collectors if possible... It's hard, isn't it?" "Well, the book is expensive. You can't lend it cheap." "There's also that, but that book, even if it's named, doesn't say features, precautions, etc., so without knowledge of the object, it's pointless, right?" Even if the book says' Tiny Lutac can be picked around here ', you can't find it without knowing the Tiny Lutac itself, and even if you do, if you don't know the precautions in picking, the material you've picked will be worthless if you do poorly. If you're Mr. Iris, you just have to ask me if you don't know, but the other gatherers aren't. I mean, if we're going to teach them the contents of the book, we need to teach them a lot of information about collections together, too, and that's hard. Simply put, it's like doing a class I took at an alchemy school to a collector. At least, it's not something you can do in one hassle while doing a store. "And then, when you're blind to money and you go into the back of the woods with halfway knowledge, there's sacrifice, so you can't do bad things, or something." "After all, it's dangerous in the back of the woods, isn't it? "Yeah, naturally. Like this, for example." When I quickly pull out my sword, I swing right next to Mr. Kate's face. Shh. Zak. Dossa. A snake about a turn thinner than my arm separated me from my head and torso and rolled to the ground. Kate turns her eyes round to the nappy snake, shaking her lips as she bleeds out. "Yes, when..." "There are quite a few snakes, aren't there? I didn't come near you, so I ignored you, because this was close to Mr. Kate. This will also be material, so it's a collection. By the way, if you get bitten, you die, so be careful." Mr. Andre called out to me like he was bewildered when he threw the body of a serpent who was no longer bleeding into a leather bag. "Uh, no, just to be blunt, Sarasa. Is that normal? Around here." "Pretty much? It's okay, it's not a demon, it's an animal, so if you don't get your hands on it, it's rarely going to hit you." So if I don't use magic too, I won't be able to find it easily. I don't have much use for it, so I don't have to dare hunt if I'm not around. "... in case they bite you? "Think we haven't had any luck, let's give up" Gill and the others also distort their expressions when I reply lightly to Mr. Iris, who gobbles and throats. "Seriously? The sea of trees, that's not an insult." "You can buy an antidote for it at our place. There's a respite for a few minutes or so until you die." "That... doesn't mean you can use it for a few minutes or so, does it? It'll help, won't it? "............ (chuckles)" "Oh, hey!?" "It's a joke. An antidote for that would help. It's pointless to say it's another antidote, so you need to know exactly what snake bit you." "Including that, you mean a lack of knowledge is dangerous." "That's the thing. By the way, flexible gloves don't penetrate, so it's a good idea to pinch your hands when you're around." "Hey, Andre! Flexible gloves out! I'll put it on." "Whoa!" To my words, Mr. Andre immediately unloads his luggage and distributes the flexible gloves taken from inside to Mr. Gray and the others. By the way, Mr. Iris wears them from time to time, so that's not a problem. "Oh, it's the upper jaw fangs that poison you, so when you get your hands on it, on that side. It's best to grab your head before it bites, though." "That sounds pretty hard... There's nothing else you can do? Artifact, the smelter that avoids snakes." "I'm not saying no, but normally like a flexible glove, it would be reasonable to wear protective gear that doesn't allow snake fangs to pass. both in terms of cost and other safety aspects." - and so on, the day also leaned while we were talking about the lecture of the material and how to deal with the danger, and that day we were to find a slightly open place and camp. There are two main smelter Artifacts that I have prepared for the camp this time. I just made a floating tent and a small magic guide stove the other day. Since Andre and the others have the bug smelter Artifact, and the tent has its function, it is not necessary. Sensing and lighting of dangerous organisms can be dealt with magically, so I have not prepared them. "Ho, is this the example tent? There was talk among the gatherers." "Are you new to Mr. Andre's? We are currently selling it in our store, if you don't mind" "Once you use this, you want it." "Right. Something comfortable." Andre and the others are approaching to see the tent I prepare and see if I was intrigued by how Mr. Iris and the others snorted. "That much?... Can I come in for a second? "Yeah, go ahead." When I open the entrance to the tent and invite him, Mr. Andre and the others put their feet on the floating floor, somewhat surprised, and go inside. And when I lay down slowly, I raised my voice in alignment. "What moderate softness is this?" "Awesome! You must be very comfortable sleeping." "That's easier than an inn bed, this. And it's cool..." "Isn't it? How about that? I have confidence in my comfort - not that it sinks in as well as it does, but it also leads to comfort in my sleep. If you lay a blanket in the winter, or even something like Goza in the summer, you can definitely sleep comfortably. "But it's expensive, isn't it? This is all the tents." "Yeah, quite. Additional features will increase the price." This tent has bug repellent and air-conditioning features, but if you're someone who can't use magic, it would be useful to have the ability to issue warnings when dangerous organisms approach you, or the ability to turn on the lights. When I told Andre and the others who came out of the tent the approximate price for every size, every function, they started to bother in arms. "Mmmm...... There's nothing I can't buy from my current storage..." "This is all the smelter artifacts, I can't say." "Mm-hmm. With this, the collection will progress - hmm? No, wait a minute. In the first place, why don't we just pick it up for the night? To Mr. Gray's words, Mr. Andre and Mr. Gill also turn their faces to me, only breathing like a hack. "Have you noticed there" Yeah, in fact, it's the smelter Artifact that most collectors living in the village don't need, right? Instead, there will be demand for the pedestrians Gretz and Darna. But Dalna, who only occasionally goes to South Strag to purchase, uses it infrequently, and Gretz, who seems to use it frequently, won't be able to afford a floating tent because he just gave his parents the harvester for the smelter Artifact the other day. "Sarasa, are you okay? It's about Sarasa, so I don't think she's forced to recommend it..." I naturally nod to Andre, who asks if the gatherer who bought the floating tent is dissatisfied. "Yeah, of course that is. It's just a waste if you don't use it very often, and you might get dissatisfied... and you want to spread the information behind the woods." Putting it in the back of the woods will increase the profits of collectors, and I will have more material to buy too. There will be more likelihood of staying, so not only can floating tents be sold, but also various kinds of smelters (artifacts) that support the camp. It's supposed to be beneficial for both sides... "The question is, is there a balance between spreading information and gatherer skills, knowledge, etc." "Yes, it is." "Me and Iris can ask the manager a lot, but the other collectors don't." Incidentally, the experience and knowledge around it is stone stone to be taught by senior collectors. However, in the case of this village, there is a long period of absence of an alchemist, so there is a gap in the inheritance of knowledge. "I'm counting on the veterans, Andre, including around there, right? That's what I said, and Andre and the others wrinkle between their eyebrows and twist their necks. "It's us... We got a little handy from the seniors, too, but back then, we didn't have enough arms to get in the back." "Right. As much as I listen to you." In other words, even the veterans Andre in the village do not have field training. "Well, we'll have to work hard. We owe it to our seniors too." "Yes, thank you. I will also support you in terms of knowledge." If you get any experience with this request, it would help even with me.

「では、私はその方に感謝すべきですね。おかげで雇ってもらえたわけですし。――マスタークラスというのは?」 「“マスタークラス”は、錬金術師の最高峰。この国でも数えるほどしかいない高位の錬金術師よ。錬金術に多少興味があれば知っている知識ね」 「そ、そうなんですか......私、知りませんでした」 「この村だと、話題になることも無いでしょうしね。そもそも、店長さんが来るまで、この村、錬金術師がいなかったんでしょ? なら仕方ないわよ」 ま、誰がマスタークラスだろうと人にはあんまり関係ないからねぇ。 私自身、師匠の事を知ったのは、バイトで入った後だったし......。 それも、先輩に教えてもらって。 もし先輩たちと仲良くなってなかったら、下手をすると、今もって知らなかった可能性すらある。 「オフィーリア・ミリスという方については......店長さん、弟子としてそのへんは?」 「え、師匠の世間的評価については、私もあまり知らないんですが......錬金術師の中ではそれなりに有名?」 「バカッ! 店長殿、バカッ!」 えぇ!? いきなりアイリスさんに罵倒された!? 「オフィーリア様は“それなりに有名”とか、そんな次元ではない! あの方はな、あの方はなぁ!!」 「はいはい、アイリスは落ち着きましょうね。ごめんなさい、店長さん。でも、アイリスの反応は極端だけど、錬金術師以外にも、かなり有名、ってレベルの人よ」 「なんですか」 私、普通にバイト募集に応募して、半ば流れで弟子扱いになったんだけど......。 実は、すっごい幸運? いや、確かに、先輩たちには凄くうらやましがられたけど。 「ま、まぁ、師匠の話は措いておいて。その後、向こうが対抗して更に買い取り価格を上げてくるか、それとも諦めるか」 「諦めるなら、終わりよね。問題解決」 「だな。問題は、対抗して上げてきた場合だが」 「その時は氷牙コウモリの牙の供給量を増やします。ガッツリと」 「どうやって?」 「私が連日洞窟に潜って、狩り続けます。相手の資金がショートするまで」 私が本気で狩りに勤しみ、アイリスさんやケイトさんの手も借りられるのであれば、一日数百は堅い。アンドレさんたちも巻き込めば、更にだろう。 氷牙コウモリの牙、一匹あた取れ物の一本の最低買い取り価格がおよそ一千レア。 年齢が上がるにつれて価格も上がり、更に相手増し以上で買い取るわけだから、頑張れば一日数百万レアを吸収できるはず。 かなり大量の現金を持ち込んでいなければ、あっさりショートするだろう。 ――うん、採集者には大迷惑だね。 これを実行した場合、何らかの還元セールでもしないと、ヤバいかもね。 「さすが店長殿! 容赦ないな!?」 「私としては穏便に行きたいところなんですけどね。まぁ、最初に喧嘩を売ってきたのは向こうですし」 何が『さすが』なのか、アイリスさんとは私に対する認識について、小一時間ほどお話しをしたいところだけど、話が逸れるので、今は措いておこう。 「サラサさん、やっぱり、あの商人のやり方ってマズいんですか? お父さんも素材の買い取りをしてましたけど......」 「ダルナさんは、私が来る前から、だから。でも、ちゃんと錬金術師がいる村で横紙破りをやられると、ちょっと困る部分はあるんだよね。特に、新人の錬金術師の場合、余裕が無いから」 こういった小さな村で、商人が素材を仕入れる場合、まずはそこの錬金術師に話を通すのがマナーとされている。 何故なら、その地域の錬金術師には、その周辺で採れる素材のバランス調整の役目も求められているから。 例えば、需要が多く利益が出やすい素材と、需要は少ないけれど、もしもの時には必要な素材。 錬金術師が前者しか扱わなければ、“もしも”の時に困る事になる。 もしくは、よく売れるからと、完全に取り尽くしてしまったら? それに対応するため、買い取り価格の調整や買い取り制限などを設けたりするのが、その地域の錬金術師の役目でもあるのだ。 そこに商人がやって来て、ルールを無視してしまえば......? 特に市場が小さいこんな村だと、その影響がとても大きくなる。 氷牙コウモリに関しては、比較的生息地が多い動物だし、取り尽くすという点での心配は無いけれど、やっぱり、ルール違反はダメだよね? 「まぁ、法的には問題ないから、やる事自体は自由なんだけどね」 「そうなんですか? 錬金術師の人、やられたら困るのに?」 「まともな商人はやらないから。錬金術師を敵に回すリスクの方が大きいからね」 錬金術関連の素材を扱うのであれば、主な顧客は錬金術師。 ルールを破れば、その周辺の錬金術師からはそっぽを向かれ、商売する事が難しくなる。 だからこそ、彼のやっている事の意味が解らない。 「それで、店長殿。どちらにするのだ? 放置か、対決か」 「う~ん、どっちが良いかな?」 面倒が無いのは放置。 利益は減るけど、困るほどでは無い。 問題は、私が舐められる事――いや、こんな事をやってるんだから、既に舐められているんだろうけど、氷牙コウモリの牙程度ならともかく、今後も好き勝手にやられるようだと困る。 利益だけを考えるなら、対決の方。 難点は、私が頑張って働かないといけないところ。 あ、働くのが嫌とかそういう話じゃないよ? 洞窟に籠もって狩りなんかしてたら、錬金術に使う時間が無くなっちゃうのが問題って事ね。 「......うん、多数決にしましょう。まずは、対決が良い人!」 三本の手が上がる。 いきなり決まった。 「店長殿の邪魔をするなんて許せないな!」 「そうよね。商売をするなら、自分だけじゃなくて関わる人の事も考えないと」 「ロレアちゃんも?」 「はい、お父さんと......その、グレッツお兄ちゃんには昔、お世話になったので」 ロレアちゃん、『気付かなかった』とか、色々とキツい言葉を投げかけてたみたいだけど、一応、情はあったのか。 そういえば、グレッツさんは『一緒に遊んでた』とか言ってたよね。 ――実はロレアちゃん、照れ隠し......? そんな事を思って、ロレアちゃんの表情を窺うけど、不思議そうな表情で小首を傾げるだけ。 年上のお兄さんに対する仄かな恋心とか......無いか。うん。 『放蕩息子』とか言ってたし。 「解りました。それじゃ、その方向でいきましょう。アイリスさん、ケイトさん、協力してくれますか?」 「ああ、任せてくれ!」 「アンドレさんたちにも頼んで、情報を流しておくわね!」 「はい、お願いします」 何故か、私以上に生き生きとした様子を見せるアイリスさんたちに、頼もしさと共に戸惑いも感じながら、私たちの作戦は始まったのだった。 ◇ ◇ ◇ 私が商人と同水準で買い取るという噂を流した後、アンドレさんたちに根回しをされた古参の採集者は、こぞって私の方へ氷牙コウモリの牙を持ち込むようになっていた。 私に恩を感じてくれていたり、アンドレさんとの義理もあるだろうけど、やっぱり一番の理由は、同じ額で買い取るからだろうね。 そして、それに釣られるように新参の採集者でも、私の方へ持ち込む人が増えた頃――。 「店長殿! 対抗して値上げしてきた!」 「おやおや。存外、先を見通す力が無かったようですね。フフフ......」 店に飛び込んできたアイリスさんに、私はちょっぴり黒幕っぽく、カウンターの上に肘を付いて低く笑う。 今の私、カッコイイ。 「......店長さん、似合わないわよ?」 「あれ、そうですか? じゃあ、止めます」 まだ私には貫禄が足りなかったか。 「それで、どの程度上げてきましたか?」 肘を付くのを止めて訊ねると、アイリスさんは少し考えながら答える。 「五割増しと言っているな。だが実際には、これまでの価格から一割増えたかどうか、って感じだな。私の感覚だから、正確には判らないが」 「その価格でも、かなりキツいと思いますが......そこまでして集める必要があるんでしょうか?」 それぐらいのお金を出すのなら、他の町から運んできた方がまだ安く手に入りそうな気がする。 それとも、周辺都市では在庫が払底しているとか? 「いや、それが、店長殿を話題にして、『やっと苦しくなったか。もう少しだな』とか言ってたらしいぞ?」 「はて? 苦しく?」 何のことやら? 「店長さん、きっと商人は、店長さんが氷牙コウモリの牙が仕入れられなくなって困ってる、と思ってるんだと思うわよ?」 「最近は私たちも商人に売っているからな。まさか必要なら自分で取りに行けるとは思ってもいないだろうし」 ふむ......。実は私がターゲット? やっぱり、恨みを買うような覚えは無いんだけど。 ――あ、でも、逆恨みならあり得るかも。 例えば、サウス・ストラグの悪徳錬金術師。 きっと今頃、この村の採集者から買い叩いていた素材が手に入らなくなって、困っている――と、良いな? それなら、私の注意喚起が上手く機能したという事だからね。 彼と今回の商人が繋がっている確率はゼロじゃないけど、単なる報復にしては、リスクが高いと思うんだけどなぁ......。 私以外の錬金術師も敵に回す行為だし。 ――ま、いっか。 問題なし。 作戦続行。 「では、アイリスさん、ケイトさん、明日から例の作戦を始めますので、ご協力、お願いします」 「えぇ。アンドレさんたちにも、頼んでおきましょうか?」 「そうですね、どのぐらいの人数が必要になるか次第ですが、まずはアンドレさんたち三人に頼みましょう」 荷物運び要員と牙の回収要員。 後は......死体の数が数だけに、そちらの処理要員も必要かな? そのあたりは実際にやってみてから考えよう。 「ロレアちゃんには、しばらく一人で店番を任せる事になるけど、お願いね」 「はい。大丈夫です。判らない物が持ち込まれた場合は、断れば良いんですよね?」 「うん。常連さん以外はね」 ここ最近、常連さんの持ち込む素材に関しては、信用取引を行っている。 具体的には、私が留守にしている時にはロレアちゃんが素材を預かり、私が査定して次回来店時に代金を支払う方法。 もちろん、一見さんや新参の採集者は対象外。 ロレアちゃんが判る範囲で、種類や状態を書いた引換証を発行しているけど、『もっと良い状態で渡した』とか、何とか、いちゃもんをつけられたら面倒だからね。 「それでは、明日から頑張りましょう!」 「「「はい!」」」

"Then I should thank that person. I owe it to you to hire me. - What's a master class? "The" Master Class ”is the peak of the Alchemist. A high alchemist who can only count in this country. Knowledge if you're interested in alchemy." "Oh really... I didn't know" "In this village, there won't be anything to talk about. In the first place, there wasn't an alchemist in this village until the manager arrived, was there? Then there's no choice." Ma, whoever the master class is, it doesn't really matter to the average person. I found out about my master myself after coming in part-time... Tell me that, too. If you hadn't gotten along with the seniors, if you did poorly, it's possible you didn't even know it now. "As for someone named Ofelia Millis... Mr. Store Manager, what about that as an apprentice? "Eh, I don't know much about the master's public assessment either... quite famous among alchemists? "Bakah! Lord Store Manager, bakah! Yeah!? Suddenly Mr. Iris cursed me!? "Master Ophelia is“ quite famous ”or something, not in that dimension! That one, that one!!" "Yes, yes, let Iris calm down, shall we? I'm sorry, Mr. Store Manager. But Iris's reaction is extreme, but besides the alchemist, he's pretty famous, he's a level guy." "What is it" Me, I normally applied for a part-time job and treated myself as an apprentice in the middle flow...... Actually, great luck? No, sure, I was very flattered by the seniors. "As it were, well, take measures to talk about the master. Then they come up against each other and raise the buyout price even more, or give up." "If you give up, it's over, right? Problem Solving" "Right. Problem is, if you've been up against it." "We'll increase the supply of ice tooth bat fangs then. Gatsuri and" "How? "I dive into the cave day after day and keep hunting. Until their funds are short." If I am serious about working hunting and can also borrow Mr. Iris or Mr. Kate's hand, hundreds of them are tough a day. Even more so if Andre and the others are involved. Ice Tooth Bat Tooth, Take Two Per Car, Minimum Buy Price for a Five Year Old Approximately ,00 Rare. As we get older, so does the price, and the opponent buys more than 30% more, so if we work hard, we should be able to absorb millions of rare a day. If you hadn't brought in quite a lot of cash, you'd be lightly short. - Yeah, that's a big nuisance to collectors. If you do this, it might suck if you don't make some kind of reduction sale. "That's the manager! Relentless!?" "As far as I'm concerned, I just want to go peacefully. Well, it's over there that I've been selling fights first." I'd like to talk to Iris for a little over an hour about what's 'just right' and how he perceives me, but I'm off the record, so let's take action now. "Mr. Sarasa, after all, what's wrong with the way that merchant does it? Your father was also buying materials..." "Mr. Darna, long before I came, so. But there's a little bit of a problem when you get side-paper ripped in a village that has a proper alchemist, right? Especially if you're a new alchemist, because you can't afford it." If a merchant purchases material in these small villages, it is assumed manners to talk to the alchemist there first. Because alchemists in the area are also required to play a role in balancing the materials that can be picked around them. For example, materials where demand is high and profitable, and materials where demand is low but sometimes necessary. If the alchemist only deals with the former, he'll have trouble when he's "what if”. Or because it sells well, and what if I totally run out of it? To accommodate this, it is also the role of alchemists in the area to adjust buying prices, impose buying restrictions, etc. If a merchant comes there and ignores the rules...? Especially in villages like this, where the market is small, the impact is very great. As far as ice tooth bats are concerned, they're relatively habitable animals, and I don't have to worry about them in terms of getting rid of them, but, after all, you can't break the rules, can you? "Well, it's not a legal problem, so I'm free to do it myself." "Really? Alchemist, would you be in trouble if they hit you? "Because I don't do decent merchants. It's more risky to turn the Alchemist against the enemy." If you're dealing with alchemy-related materials, the main customer is an alchemist. If you break the rules, the alchemists in the area will turn you around and make it difficult to do business. That's why I don't know what he's doing. "So, the manager. Which way do you want it? Left alone or confronted." "Uh-huh, which is better? Leave the hassle free. Profits are less, but not as troublesome. The problem is that I can be licked - no, I'm doing this, so I guess I've already been licked, but whatever the extent of the ice tooth bat's fangs, I still have trouble doing whatever I want in the future. If you think only of profit, the confrontation. The difficulty is that I have to work hard. Oh, that's not what I'm talking about, like, not wanting to work? If you're hunting in a cave, you're running out of time for alchemy. "... yeah, let's make it a majority vote. First of all, a good confrontation! Three hands rise. It was decided suddenly. "I can't allow you to stand in the way of the manager! "Right. If we're going to do business, we need to think not only about ourselves, but about the people involved." "Lorea, too? "Yes, with your father... you know, Gretz, I used to take care of your brother" Lorea, 'I didn't realize' and all sorts of tight words, but for once, did you have feelings? Speaking of which, Mr. Gretz said 'we were playing together' or something, right? - Actually, Lorea, the lights are hidden...? With that in mind, I glance at Lorea's expression, but I just lean my little neck with a strange look. Don't you have a crush on your older brother? Yeah. He said "prodigal son" or something. "I understand. Then let's go in that direction. Mr. Iris, Mr. Kate, will you cooperate? "Oh, leave it to me! "Ask Andre and the others to keep the information flowing! "Yes, please" For some reason, our operation had begun, confused and confused by Mr. Iris, who looked more alive than me. ◇ ◇ ◇ After rumors spread that I would buy them off at the same level as the merchants, the gatherers of ancient ginseng, rooted by Mr. Andre and his men, were all beginning to bring ice tooth bat fangs to me. You'd be grateful to me, or you'd have an in-laws with Mr. Andre, but I guess the best reason is because I'd buy them out for the same amount. And when more people bring it to me, even the newcomer collectors, so that they can be caught by it -. "Lord Store Manager! We've been up against it and up the price! "Ooh, ooh. Outside, you didn't seem to have the power to look ahead. Huuuuuuuuuu..." I laugh low with my elbow on the counter, a little mastermind, to Mr. Iris, who jumped into the store. Me now, cool. "... Mr. Store Manager, you don't look good, do you? "Is that right? Then I'll stop." Wasn't there enough piercing for me yet? "So, to what extent have you raised it? When asked to stop elbowing, Mr. Iris answers with a few thoughts. "You're saying 50% more. But in fact, it feels like 10% more than the previous price. It's my feeling, I don't know exactly." "Even at that price, I think it's pretty tight...... do I need to collect that much? If I'm going to give you that much money, I feel like I'm still going to get it cheaper if I bring it from other towns. Or is inventory paying off in the surrounding cities or something? "No, that's what we talked about, Lord Store Manager, and said, 'Has it finally gotten bitter? Almost there,' he said? "Hard or painful? About what? "Mr. Store Manager, I'm sure the merchant thinks the store manager is having trouble purchasing ice tooth bat fangs? "We've been selling to merchants lately, too. You never thought you could pick it up yourself if you needed it." Hmmm...... Actually, I'm the target? After all, I don't remember buying a grudge. - Oh, but rebellion could be possible. For example, South Strag's Bad Alchemist. I'm sure we won't be able to get the material we were buying from the collectors in this village by now, and I'm in trouble - okay? Well, that means my alert worked well. The chances of him and this merchant being connected aren't zero, but for just retaliation, I think it's risky...... The act of turning other alchemists than me against the enemy. - Here we go. No problem. Operation continues. "Now, Mr. Iris, Mr. Kate, I'm going to start the example operation tomorrow, so please help me," "Yep. Why don't we ask Mr. Andre and the others, too? "Well, it depends on how many people you're going to need, but let's ask the three Andres first" Luggage transport personnel and fang recovery personnel. After that... only the number of corpses, do you need your processing personnel? Let's actually do it around there before we think about it. "I'll leave Lorea alone with the store number for a while, please." "Yes. It's okay. If something you don't know is brought in, you just have to say no, right? "Yeah. Except for the regular guy." Recently, there has been a credit transaction with regard to the materials brought in by regular customers. Specifically, how Lorea keeps the material when I'm away and I assess it and pay for it the next time I visit the store. Of course, it does not cover seemingly Mr. or newcomer collectors. As far as Lorea can tell, she's issuing a redemption note that says the type and condition, but 'I gave it to her in better condition' or something, because it would be a hassle if she could put it on. "Well, good luck tomorrow! "" "Yes!

その点、素直なのはアイリスさんだった。 ケイトさんに後ろから抱きつき、手を伸ばす。 「私! 私の番!」 「えぇー、誕生日に剣を貰って喜ぶようなアイリスに、この子は勿体ないわ」 「そ、それとこれとは別だろう! あの時はケイトだって、ぬいぐるみを貰って、毎日抱いて寝ていたじゃないか!」 「うっ。い、良いじゃない、ぬいぐるみ。女の子なら嬉しいわよ。むしろ、可愛がってこその女の子よ。ねぇ、ロレアちゃん?」 言葉に詰まり、恥ずかしそうに頬を染めたケイトさんだったが、すぐに開き直ったように、ロレアちゃんに同意を求めた。 「同意します。だからケイトさん、返してください」 「あら、ロレアちゃん。この子はみんなの子供みたいなものなんでしょ? 返してはおかしいと思うわ」 「だから、次は私で――」 このまま放っておくと埒が明きそうにないので、私はため息を吐いて介入した。 「はぁ......。アイリスさん、どうせ明日からに同行させるんですから、そのときに好きなだけ可愛がってください」 「そうです! ここは、明日から独占できるアイリスさんたちじゃなく、私に譲るべきです!」 「いや、そうじゃなくて――」 「うむ! まずは、名前を決める方が重要だな!」 錬金生物 は愛玩動物じゃないし、状況次第で死んじゃう危険性もあるから――」 私が躊躇いがちにそう言うなり揃ってバッとこちらを振り返り、驚愕に目を見開いた。 「そんな! こんな可愛い子に危険なことをさせるんですか!?」 「店長殿ともあろう人が、そんな残酷なことを!?」 「私もそれはどうかと思うわ?」 口々に非難されて、私は気圧されるように身を引く。 「そ、そんなこと言われても......」 そのための存在なんだから、仕方ないじゃん! アイリスさんたちの危険が少しでも少なくなるように作ったんだから! を守って、アイリスさんたちが死んじゃったら何の意味もないんだよ? な動物を見捨てるのか!?」 アイリスさんがケイトさんから奪い取った の方は、解っているのか、解っていないのか、私の顔を見て小首を傾げる。 「うっ。くぅ~」 わ、私だって、可愛いとは思ってるんだよ? でも、感情移入したら困るから、堪えているだけで! 「ほらほら、店長さん、素直になりましょうよ~」 「温かくて、柔らかくて、可愛いですよ」 「うぅ......」 可愛いことは知っている。 だって、私が可愛いと思う姿を想像して作ったんだから! アイリスさんから、顔に押しつけられる 「もふもふ~?」 「わ?」 「解りました! 極力安全には配慮します! 名前を付けても良いです! でも、もしものときには、皆さんの方を優先しますからね!?」 「「「わぁ!」」」 嬉しそうに、三人でパチンと手を合わせるアイリスさんたち。 ちょっぴり疎外感。 みんなの安全を思って、心を鬼にしていたのに......うぅ。悲しい。 「名前、何が良いだろうか? 店長殿は、何か希望はあるだろうか?」 親だから、と聞いてくるアイリスさんに私は軽く首を振る。 錬金術師としては親というよりも、製造主と言って欲しいところだけど、多勢に無勢、もう諦めた。 好きにしてください。 「自由に決めて良いですよ。その間、これは預かっておきます」 に意識を向けると、それを操作し、アイリスさんの手から抜け出してジャンプ、くるくるっと回転してテーブルに着地、私の前に座らせた。 「なぬっ!? こ、こんなこともできるのか!」 「今のは、私が操作しましたけどね。――問題はないみたいですね」 視覚、聴覚、触覚、そして身体の操作。 、同時に扱うのは難しそうだけど、今みたいに何もしていない状態なら、それほど難しくはない。 と自分の身体、両方を扱って戦闘も熟せるらしいけど、目を開けていたら、ただ歩くだけでも視界が混乱しそうな私としては、信じられない気分。 「ほへ~、やっぱり普通の動物じゃないんですねぇ」 「でしょ? 名前付けるの、止める?」 「いえ、サラサさんが操作しないときは、自分で活動するんですよね? それなら付けてあげるべきです」 「そうよね。名前は、大事よね」 「うむ。ケイトなど、持っているたくさんのぬいぐるみ、すべてに名前を付けているものな」 「え、そうなんですか?」 さっき、アイリスさんがぬいぐるみ云々言っていたけど、そんなにたくさん持っていたの? それはちょっと意外。 てっきり小さいときの話かと。 私とロレアちゃんから向けられる視線に、ケイトさんは少し頬を染める。 「も、もちろん、子供の頃の話よ! 今はさすがに......」 「だが、実家の部屋にはすべてのぬいぐるみが――」 「ママが作ってくれたのに、捨てられるわけないじゃない!」 ビシリッと言ったケイトさんの言葉は、これまた意外......でもないかな? カテリーナさんはケイトさんの母親だけあって、かなり強い人だったけど、優しそうでもあったから。 「......でも、解る気はします。捨てられませんよね、そういう物って」 「そうよね? 大事にするわよね?」 私も小さな頃は両親にもらった人形を持っていたし、名前も付けていた。 残念ながら両親が亡くなり、孤児院に入ったりする過程で失われてしまったけど、普通に暮らしていれば、今だって大事にしていたと思う。 「私も一つだけ、お母さんからお人形をもらって大事にしてますが......それなら、名付けはケイトさんにお願いするのが良いでしょうか?」 「せっかくだから、みんなで案を出しましょうよ。店長さんは......興味がないみたいだから、三人で」 うんうん。良い名前を付けてください。 クルッて回って、ステップ踏んで、ビシッ。 目を瞑った自分の顔を下から見上げる経験、ちょっと面白い。 「――なぁ、店長殿。そのキレッキレの踊り、イメージが崩れるんだが」 「気にしないでください。明日には出かけるわけですし、私も練習が必要なので」 なんとも言えない表情を浮かべる三人を代表してアイリスさんから苦情が申し立てられたが、私にも事情がある。 だから、色々と慣らさないとマズい。 いざというときに、上手く動かせないとか、同調できないとかでは困るのだ。 「そう言われると、反論はできないのだが......先ほどまでのゆるふわを思い出して、案を出そう」 に視線を奪われつつ、しばらくの間考え込む三人。 その中で最初に答えを出したのは、ロレアちゃんだった。 「それじゃ、私は『クルミ』です。毛の色が胡桃の色に近いので。ちょっと金色寄りですけど」 ――うん、可愛くて良いんじゃないかな? 「私は......『マルク』にしようかしら?」 ――普通だね? 男性名っぽいけど、 「ケイトの名前はいつもそんな感じだよな。理由がよく判らないというか」 「フィーリングよ。そういうアイリスは?」 「私は『サケ』だな!」 ――ちょっと待って。

Alchemy Organisms () In that regard, it was Mr Iris who was being honest. I hug Mr. Kate from behind and reach out. "Me! My turn! "Yeah, she's not gonna be happy to have a sword for her birthday, Iris." "Well, that would be different from this! Even Kate got a stuffed animal then, and you held her to sleep every day! "Ugh. Yes, not good, stuffed animal. Girls would love that. Rather, she's the only girl who's adorable. Hey, Lorea? She was Mr. Kate, stuck in words for a moment and dyed her cheeks in embarrassment, but as she soon reopened, she asked Lorea for her consent. "I agree. So give it back, Mr. Kate." "Oh, Lorea. This kid's like everybody's kid, isn't he? I don't think it's funny to give it back." "So, I'm next..." I sighed and intervened because leaving it alone was unlikely to bring light to my eyes. "Ha... Mr. Iris, I'm going to accompany you both tomorrow, so please be as cute as you like then." "Yes! This place should give way to me, not the Iris who can monopolize it from tomorrow! "No, I didn't..." "Uhm! First of all, you're more important to decide on a name! "Because it's not that way either! Oh, you know what? When you name it, you get attached, right? Because alchemy creatures (homunculus) are not game animals, and they risk dying depending on the circumstances." When I hesitated to say so, the three of them all looked back at Ba and this one and opened their eyes in amazement. "Oh no! Are you going to let such a pretty girl do something dangerous!?" "Someone who would also be the manager did such a cruel thing!?" "I don't know about that either, do I? Denounced by the mouth, I pull myself aside to be pressured. "Oh, even if they say so..." You have no choice but to do so! Because I made it so that the danger to Mr. Iris and the others would be a little less! Protect the Alchemy Creature (Homunculus), if Mr. Iris is dead, it doesn't mean anything to you? "Will the manager abandon such an infantile animal!?" Mr. Iris held the alchemy (homunculus) he had taken from Mr. Kate in both hands and stuck it out a long time before me. If you are an alchemy creature (homunculus), look me in the face and tilt your neck, whether you know it or not. "Ugh. Ugh." You think I'm cute, don't you? But if I get emotional, I'm in trouble, just indulging! "Look, Mr. Store Manager, let's be honest ~" "It's warm, soft, and cute." "Ugh..." I know it's cute. Because you made it imagining how cute I think you are! Mr. Iris tells me that the alchemy (homunculus) that can be pressed against his face is often warm. "Ha ha ha ha ha?" "Wah?" "Got it! Consider it as safe as possible! You can name it! But when you do, I'll give you priority!?" "" "Wow! Pleasantly, the three of us, Mr. Iris, hand in hand with Pattin. A little alienation. I was ghosting my heart thinking of everyone's safety...... ugh. Sad. "Name, what would be good? Does the manager have any hope? Because I'm a parent, I shake my head gently to Mr. Iris, who asks me. As an alchemist, I'd rather you say manufacturer than parent, but a lot of people are passive, I've already given up. Do as you please. "You're free to decide. In the meantime, I'll keep this" When I gently closed my eyes and turned my consciousness to the alchemy organism (Homunculus), I manipulated it, jumped out of Mr. Iris's hand, twirled it and landed at the table, letting it sit in front of me. "Nacho!? Can you do this too! "I manipulated that one. - You don't seem to have a problem." visual, auditory, tactile, and physical manipulation. My body and alchemy (homunculus), it seems difficult to handle at the same time, but if I'm not doing anything like I am now, it's not that hard. A skilled surgeon seems to ripen the battle by dealing with alchemy creatures (homunculus) and his own body, both, but I feel incredible as far as I'm concerned that if I had my eyes open, my vision would be confused by just walking. "Ho ho ho, I knew it wasn't a normal animal." "Right, name it, stop it? "No, when Mr. Sarasa doesn't operate, you work for yourself, right? Then I should put it on you." "Right. Your name is important." "Mm-hmm. A lot of stuffed animals I have, like Kate, that I name everything." "Oh, really? Earlier, Mr. Iris said a bunch of stuffed animals, but you had so many? That's a little surprising. I thought you were talking about when you were very little. Ms. Kate dyes her cheeks a little to the gaze that can be directed from me and Lorea. "But of course, it's about my childhood! Now it's just..." "But all the stuffed animals in my parents' room..." "My mom made it for me, and you can't just throw it away! Kate's words when she said Bicilli, this is another surprise...... isn't it? Because Mr. Katerina was just Kate's mother and she was a pretty strong person, but she also seemed nice. "... but I feel like figuring it out. You can't throw it away, can you?" "Right? We'll take care of it, won't we? I also had a doll my parents gave me when I was little, and I gave it a name. Unfortunately, my parents died and I lost them in the process of going into orphanages, but if I lived normally, I think I would still have taken care of them. "I only take care of one thing, too, getting a doll from your mother...... then would it be a good idea to ask Kate for a name? "Because of this, let's all come up with a plan. The manager... seems uninterested, so the three of us" Yeah, yeah. Give it a good name. Crunch around, step on it, bish. Experience of looking up at your face from the bottom with your eyes meditating, kinda funny. "- Hey, Store Manager. That crisp dance, it breaks my image." "Never mind. I'm going out tomorrow, and I need to practice." A complaint was lodged by Mr Iris on behalf of the three people with indescribable expressions, but I also have a situation. I'm also the first alchemy creature I've ever made (homunculus), so I need to get used to a lot of things. When it comes to trouble, you can't move it well or you can't synchronize it. "When they say that, I can't argue with you... let's recall the earlier fluff and come up with a proposal" Three people still think for a while while while the flicker and alchemy (homunculus) take away their gaze. The first of these answers was given by Lorea. "Then I'm a 'walnut'. Because the color of the hair is close to the color of the walnut. Kind of golden, though." - Yeah, isn't it cute and good? "Should I... 'Marc'? - It's normal, right? It sounds like a male name, but it doesn't have sex with alchemy, does it? "That's what Kate's name always looks like, isn't it? You don't know why." "It's filling. What about Iris like that? "I'm 'Sake', aren't I! - Wait a minute.

「......ちなみに店長さん、その魔法を私が覚える事は?」 「えっ、ケイトさんもですか? 採集者なのに?」 私とロレアちゃんの会話を聞きながら、考え込んでいたケイトさんの口にした言葉に、私は思わず聞き返し、アイリスさんとケイトさんの間で視線をさまよわせた。 「アイリスさん、見捨てられちゃうんですか? 採集者を辞めて、開拓魔法使いデビューですか?」 「むむっ、そうなのか? ケイト?」 「そんなわけないじゃない。私がアイリスを見捨てるとか。何年の付き合いだと思ってるのよ」 「そうだよな。ケイトが私から離れる事など――」 「今のところは、まだ。アイリスに、不満が無いわけじゃないし?」 ホッと息を吐いたアイリスさんだったが、付け加えられたケイトさんの言葉に、焦ったような表情になってケイトさんに両手を伸ばした。 「ケ、ケイト、不満があるなら言ってくれ! 鋭意努力するから!」 「そう? なら――」 そう、にっこりと笑ってケイトさんが挙げていった内容はいくつもあったが、それらは採集者の仕事とは関係が無い、普段の生活に関する事ばかり。 まるで、夫に対する不満を口にする妻のような......? の関係性が窺われる。 「ケイトさん、借金に関しては特に不満は無いんですか? サラサさんに対して、まだかなりの借金が残ってますよね?」 少し不思議そうに尋ねたロレアちゃんに、ケイトさんはキッパリと、即座に首を振った。 「それは無いわ。今更不満を言うようなら、店長さんに治療を頼んでないもの」 「ケイト......」 色々と生活態度にダメ出しをされてヘコんでいたアイリスさんが、感動したような表情になって、ケイトさんを見つめる。 うん、これが飴と鞭というやつだね。 今後の参考にしよう。 「それに、採集者をする以上、怪我をする事はある程度覚悟してたからね。――ちょっと、予想以上だったけど」 「そうだな。私も家を出る時には、まさか死にかける事になるとは思ってなかったな。それなりに、腕に自信があったから」 「そうよね。予想以上に、危険な職業ではあるわよね、採集者って。――そんな事や体力の衰えも考えると、何時までも続けられる仕事じゃないでしょ? 引退した時に、他にできる事があれば、良いかなって、そう思ったの」 「そうですね、特に女だと......」 結婚という事を考えるなら、二人の二〇前後という年齢は、やや行き遅れ気味。 この村で考えるなら、結婚していない人なんてたぶんいない。 ――あ、いや、そういえばエリンさんの旦那さん、見た事が無い。 もしかして......? でも、エリンさんってたぶんアラサーだし、直接は訊きにくい。 地雷を避けるためにも、今度ロレアちゃんに訊いておこう。 「ちなみに、ケイトさん。魔法に関する素質は?」 「アイリスよりはある、かな? これでも私、ブラックエルフのハーフだから」 さらりと告げられた情報に、私はケイトさんたちの顔を見て頷く。 「......やっぱり、そうだったんですね」 「あ、店長さんは、気付いてた?」 「はい。少し肌の色が濃いですし、耳も長めに見えたから、そうかな、とは思っていました」 少し気になってはいても、面と向かって聞くのは少しだけ憚られたので、これまではスルーしていたのだ。 王都などでは、時々人間族以外を見かけることもあったし、特に偏見は無かったけど、ここのような小さな集落では、そうでないことも多い。 それ故に口に出さなかったんだけど、ケイトさん自身は気にしていないようだ。 「わ、私、異種族の方って、初めて見ました!」 声を上げたロレアちゃんも、嫌悪感など無く、むしろ珍しい物を見たとばかりに、ケイトさんの顔をマジマジと見つめている。 「半分だから、少し微妙だとは思うけど......私、そっち方面の特徴が、あまり外見に出てないから」 少し髪をかき上げて、見せてくれたその耳は、確かに人間族とは異なるものの、肌の色に関しては、個人差を逸脱していない程度の違いでしかない。 「ケイトは、外見は父親寄り、内面は母親寄りなんだ。あ、エルフなのは、母親だからな? どちらもなかなかに美形で、頼りになる人たちなんだ」 「自分の両親の事をそう言われると、少し照れるわ」 何故か自慢げに言うアイリスさんに、ケイトさんは口元をもごもごとさせつつ、言葉通り照れたように頬を緩める。 「しかし、ブラックエルフですか。弓の腕の良さも、それ故ですか」 一般的にエルフは、弓と魔法が得意、という認識である。 その事にブラックエルフも、ホワイトエルフも違いは無い。 ちなみに、その昔、ブラックエルフは“ダークエルフ”と呼ばれていたらしい。 だが彼らが、『ちょっと肌の色が濃いぐらいでダークとか、ふざけんな? 白かったら、ライトっちゅーんか? まるで、ええもん、わるもんみたいやないか、お?』と、言ったとか、言わないとか。 なので、現在の王国では肌の色にかかわらずエルフと呼ばれ、敢えて区別する時には、ホワイトエルフ、ブラックエルフと呼ばれている。 他の国ではダークエルフと呼ばれる事もあるし、必ずしもそれ自体にネガティブイメージがあるわけでは無いのだが、多種族融和政策を取るこの国では、 そんな事もあって、基本的には人間族以外だからといって、公に差別される事は無いんだけど、この村はともかくとしても、田舎の村では種族以前によそ者というだけで、差別される事もあるわけで。 田舎では他種族を見かけないというのも、暮らしやすさの面から、ある意味では必然なんだよねぇ。 「母は多少は魔法を使えたみたいだけど、私はまともに習った事、無いのよね」 「ケイトは、弓の練習ばかりにかまけていたものな」 ちょっとだけ揶揄するように言ったアイリスさんに、ケイトさんは苦笑を浮かべて首を振る。 「それもあるけど、たぶん母は、人に教えるのが致命的に下手なのよ、少なくとも、魔法に関しては。......他の人に習った事は無いけど」 「あー、なんか、感覚的な教え方だったよな。私も弓を少し習ったが、あれは合わないと無理だな」 アイリスさんはその事を思い出すように視線を上に向け、『納得』と頷いた。 「弓ならまだ他の人の意見も聞けるし、見て真似る事もできるけど、魔法はそうはいかないから。他に魔法を使える人もいなかったしね。『感じ取るのよ!』とか言われても......」 「それは、無理ですねぇ。魔力を『感じ取る』必要があるのは間違いないですが......」 まぁ、『使える事』と『教えられる事』は別だからねぇ。 特に魔法は、多分に感覚的なところがあるし。 そのへん錬金術師養成学校は、さすがはこの国の最高峰だけあって、とても体系的、かつ論理的に教育してくれた。 私の錬金術師としてのレベルを一段引き上げてくれたのは師匠だけど、土台を作ってくれたのは間違いなく学校の講師陣で。 個人的に教授してもらった人は、剣術担当の人とか、あまり多くはないけど、感謝している事は間違いない。 「解りました。ロレアちゃんとケイトさんの二人には、暇な時間にでも少しずつお教えします。必ず覚えられるとは、保証できませんけど」 「もちろんそれで良いわよ。魔法使いに教えてもらえる機会なんて、そうそう無いんだから。実際に錬金術師の家庭教師を雇ったら、一体いくら必要になる事か......」 「あっ......気軽に頼んで良い事じゃなかったですよね。あの......私、お支払いした方が良いでしょうか? 頂いているお給料の半分ぐらいなら――」 「いらない、いらない! ちょっと教えるぐらいで、友達からお金を取れないよ! 気軽で良いんだよ、気軽で。その代わり、しっかりと時間を取って教える事はできないけど」 確かに、錬金術師を個人的な家庭教師として雇うなら、普通の人の稼ぎを全て差し出しても足りないくらいだけど、私自身、まだまだ未熟。 本業である錬金術とは違うし、この程度でお金を取ったと知れたら、師匠に呆れられるか、それとも怒られるか......。 「はい、もちろんそれで構いません。それこそ、食休みの時に、ちょっとずつ教えていただくだけでも」 「うん、逆にそのぐらいの方が良いかも? 魔法を使えるかどうかなんて、素質の影響が大きいから、あまり根を詰めても、良い結果には繋がらないし......ケイトさんもそれで良いですか?」 「えぇ、タダで教えて貰うのに、文句は――私もタダで良いのよね?」 少し心配そうに、そう聞き返したケイトさんに、私はにっこりと笑って頷いた。

"... by the way, Mr. Store Manager, can I ever remember that magic? "What, Mr. Kate, too? Even though you're a gatherer? Listening to the conversation between me and Lorea, I overheard Kate's words, which I was thinking about, and let my gaze wander between Iris and Kate. "Mr. Iris, are you going to be abandoned? Quit gatherer, pioneering wizard debut? "Mmm, really? Kate?" "That's not true. You think I'm abandoning Iris? How many years do you think we've been together?" "Right. Kate's leaving me." "So far, not yet. Isn't Iris unhappy? He was Mr. Iris, who exhaled in a ho, but reached out to Mr. Kate with a hurried look to his added words. "Ke, Kate, if you're unhappy, tell me! Because I will make a keen effort! "Right? Then..." Yes, there were a number of things that Kate mentioned with a grin, but they had nothing to do with the collector's work, all about his normal life. It's like a wife who speaks out of dissatisfaction with her husband...? The relationship between the two is peered at. "Mr. Kate, are you not particularly dissatisfied with your debt? You still owe a lot to Mr. Sarasa, don't you? To Lorea, who asked slightly strangely, Kate shook her head with a kick. "That's not true. If you're ever dissatisfied, you haven't asked the manager for treatment." "Kate......" Iris, who was hectic because of various lifestyle attitudes, looks at Kate with a touching look on her face. Yeah, this is the one called candy and whip. For future reference. "Besides, I was somewhat more prepared to get hurt than to be a gatherer. - Hey, it was more than I expected." "Right. I didn't think I was going to die when I left home, either. Because I was confident in my arms." "Right. It's more dangerous than I expected, isn't it, gatherer? - It's not a job that can last forever, is it? When I retired, I thought if there was anything else I could do, it would be good." "Right, especially if it's a woman..." If you think about marriage, the age of the two around is somewhat behind schedule. If you think in this village, there's probably no one who's not married. - Oh, no, speaking of which, Mr. Erin's husband, I've never seen it. Could...? But Mr. Erin is probably an Alasser, and it's hard to ask directly. Let's ask Lorea next time to avoid landmines. "By the way, Mr. Kate. What are the qualities about magic? "More than Iris, I guess? Because this is still me, the black elf half." I look at Kate's face and nod at the information she tells me. "... I knew you did" "Oh, did the manager notice? "Yes, my skin is a little darker, and my ears looked longer, so I thought," Even if it bothered me a little, it was only a little hard to ask face to face, so I've been through this before. In Wang Capital and elsewhere, we sometimes saw something other than human race, and there was no particular prejudice, but in small settlements like here, it was often not. That's why I didn't put it in my mouth, but Mr. Kate doesn't seem to care for it herself. "Wow, I, a Fae, have never seen it before! Even Lorea, who raised her voice, has no aversion whatsoever, but rather stares seriously at Kate's face just because she sees something rare. "Half the time, I know it's a little subtle... but I don't really see the characteristics on that side." With a little hair up, those ears you showed me, although they do differ from those of the human race, are only differences to such an extent that they do not deviate from personal differences when it comes to skin color. "Kate is a father on the outside and a mother on the inside. Oh, it's an elf, because you're a mother, right? They're both pretty beautiful and dependable people." "When you say that about your parents, it lights up a little." To Iris, who boasts for some reason, Kate relieves her cheeks as if they were lit up as she put it. "But is it a black elf? Is that why you have good bow arms?" In general, elves are aware that they are good at bows and magic. There is no difference between a black elf and a white elf. By the way, I hear Black Elves used to be called “Dark Elves” back then. But they said, "Dark as a little darker skin color, are you kidding me? If it was white, would it be lights? It's like, uh, walnuts, isn't it? 'And you said it, or you have to say it. So in today's kingdom they are called elves regardless of skin color, and when they dare to distinguish, they are called white elves, black elves. It is important to note that in other countries it is sometimes referred to as dark elf, and it does not necessarily have a negative image in itself, but in this country, which adopts a policy of multi-ethnic cohesion, it is angry to say dark elf in the public "Ooh". Sometimes, basically, people are not discriminated against publicly because they are not human, but in rural villages, people are discriminated against before their race. It's also inevitable in a way that you don't see other races in the countryside, in terms of ease of life. "My mother seems to have used some magic, but I've never learned it properly." "Kate was just practicing her bow." Kate shook her head with a bitter smile to Iris, who told her to just chirp for a moment. "There's that, too, but maybe my mother, she's fatally bad at teaching people, at least, when it comes to magic.... I've never learned anything from anyone else." "Uh, that was some kind of sensory way of teaching. I learned a little bit about bows too, but I can't do that unless it fits." Ms. Iris turned her gaze up to remind her of the matter and nodded 'Convinced'. "A bow can still ask other people's opinions, and you can look at it and imitate it, because magic doesn't. Nobody else could have used magic." Feel it! 'Or so they say... " "That's impossible. I'm pretty sure you need to 'feel' the magic..." Well, except for "what you can use" and "what you can teach". Especially magic, maybe there's something sensory about it. The training school for alchemists was just the highest peak in this country, and it educated me very systematically and logically. It was my master who raised my level as an alchemist by a step, but it was definitely the school instructors who built the foundation. There aren't too many people personally taught to be swordsman or anything, but I'm sure they appreciate it. "I understand. I'll teach you two, Lorea and Kate, little by little in your spare time. I can't guarantee you'll remember." "Of course that's fine. I don't see any chance the wizard can teach me, because I don't. How much do you actually need if you hire an alchemist tutor..." "Ah... it wasn't a good thing to ask for it easily, was it? Um... should I pay you? If it's about half the salary I'm getting..." "I don't want it, I don't want it! I can't take money from my friends! It's easy and good, feel free. Instead, I can't take the time to teach you." Sure, if you're going to hire an alchemist as a personal tutor, it's not enough to give away all the normal people's money, but myself, I'm still immature. It's not like alchemy, which is the main business, and if I find out that I took money to this extent, will my master frighten me or piss me off... "Yes, of course that's okay. That's what I want you to tell me, one by one, during your meal break." "Yeah, on the other hand, maybe that's better? I don't know if I can use magic, because the influence of qualities is so great that stuffing too many roots doesn't lead to good results...... is that good for Kate too? "Yeah, you can tell me for free, but the complaint is - I'm good for free, too, right? A little worried, I grinned and nodded at Kate, who asked back so.

その日の夕食は、乾燥野菜と干し肉に煮込んだ物と堅焼きパンだった。 携帯用魔導コンロに加え、魔法で水を出すこともできるので、とても簡単。 火起こしすら不要。 難点はそこまで美味しくないことだけど、十分に食べられるので問題は無し。 「久しぶりですね、こんな食事も」 思わず漏らした言葉に、ギルさんが片眉を上げる。 「久しぶりっつー事は、サラサちゃん、前は食べてたのか? こんな食事を」 「えぇ。それなりに」 「ん? そうなのか? 店長殿はいつも美味しい物を食べている印象があるんだが」 肯定した私に、アイリスさんも不思議そうに首をかしげた。 「いえ、ここだけの話、ディラルさんの所が混むようになってからは、いつもこんな食事でしたよ? パンだけは普通のパンでしたけど」 「なに? そうだったのか?」 「はい。ロレアちゃんがそれを見かねて、私のご飯を作ってくれるようになったって感じでしょうか」 台所ができる前は、私の代わりに買いに行ってくれたり、差し入れをしてくれたりと、結構お世話になっていた。 アイリスさんが言うような、美味しい食事をいつも食べられるようになったのは、ヘル・フレイム・グリズリーに破壊された台所を直し、魔導コンロを設置して以降。 それからはロレアちゃんが毎日食事を作ってくれてるから、私の食生活はとても充実している。 ありがたい事です。 「ほぅ、サラサちゃんは料理が苦手だったのか」 「いえ、別に苦手では。得意とも言いませんけど。単純に、料理よりも錬金術に時間を使いたかっただけです」 「なるほど。サラサちゃんぐらいの歳で店を持つなら、それぐらいの必死さが必要だよな」 「......まぁ、そう、ですね?」 納得したように頷くギルさんに、私は微妙に曖昧な言葉を漏らす。 成績トップをキープするとか、錬金術師の資格をとるとか、そっち方面に関しては必死だったけど、お店の方は『偶然が重なって』と言うべきか、それとも『図らずも』と言うべきか。微妙に肯定しづらい。 「ところで、夜の見張りの方はどうする?ずつ代で良いか?」 「魔法でアラートを仕掛けておきますから、見張り無しでも大丈夫ですよ?」 「魔法か......サラサちゃんを信用しないわけじゃないが......」 「不安なら、見張りを置く事自体は反対しませんけど」 アンドレさんたちの様なベテランの採集者であれば、当然の用心だろう。 だが、それに対しアイリスさんは、即座に首を振った。 「いや、私は店長殿を信じるぞ!」 「アイリス、あなたは見張りをしたくないだけじゃないの?」 「それもある!」 あるんだ? いや、別に良いんだけど。 「それに、私の見張りより、店長殿の魔法の方がよっぽど信じられるのは、間違いない」 「......一理あるわね。アンドレさんたちはどうします?」 「俺たちは......一応、一人ずつ見張りを出す。サラサちゃん、すまないが、明かりだけはつけておいてくれるか? 暗めの物で良いから」 少し悩んで、そう結論を出したアンドレさんに、私は頷く。 「構いませんよ。それでは、よろしくお願いしますね」 ◇ ◇ ◇ 村を出て三日目。 私たちは事前に設定していた目的地近くまで、大した問題も無く辿り着いていた。 昨晩こそ、アラートで起こされる事になったが、やってきたのは大して強い魔物でもなかったので、あっさりと処理してすぐに就寝。 フローティング・テントのおかげもあって、寝不足になることもなく、体調も良い。 「この山に、ヘル・フレイム・グリズリーがいるのか?」 「正確には、いた、ですね。あの群れが、どこか遠い場所から来たのでない限り」 村の北西にある火山。 それを見上げて言ったアンドレさんの言葉に頷きつつ、私は少し訂正する。 私の持つ本では、中腹以上にはほとんど木の生えていないこの山が、最も村に近いヘル・フレイム・グリズリーの生息地とされていた。 この山に転がっている火炎石がヘル・フレイム・グリズリーの主食......と言うのも少し変だけど、彼らが生存するために必要とする物。 これが無ければ生きていけない彼らは、通常、生息地を離れる事は無い。 だが、何らかの理由でそこを離れざるを得なくなった場合に発生するのが、あの狂乱である。 「山が崩れたとか、そういう様子は無いわね」 「私たち、元の山の様子なんて知らないけどな。煙は噴いているが......噴火している様子も無い」 「なぁ、サラサちゃん、いきなり爆発したり、しねぇよな?」 「無いとは言い切れませんが、たぶん大丈夫ですよ。よほど運が悪くなければ」 エリンさん経由で村長さんに訊いてみたところ、少なくとも村長さんの人生の中では、村に影響があるような噴火は起きていないみたいだし。 小規模な物に関しては判らないから、そこはやっぱり運なんだけどね。 「運か......。私はあまり自信が無いな」 「先日、死にかけたところだものね。でも助かってるんだから、悪運はあると思うわよ?」 「運なら大丈夫だろ。俺たちにはサラサちゃんがいるからな」 「私、ですか? 私、運が良いですか?」 アンドレさんの言葉に、私は首をかしげる。 両親が盗賊に殺されたことは、運が悪い。 入った孤児院が悪くない場所だったのは、運が良い。 錬金術師になれた事は......運じゃなくて、実力と思いたい。 でも、師匠のお店には入れた事は、幸運かも? 師匠のお店の前に張ってあった求人を見つけたのも、たまたまだったから。 ヨック村の人たちは、ロレアちゃんを筆頭に良い人が多い。 トータルで見ると......私の運、ほどほど? そんな事を考える私に、アンドレさんは苦笑して首を振る。 運が良い。サラサちゃんが村に来てくれたわけだからな」 「その上、ヘル・フレイム・グリズリーの狂乱があっても、大した怪我も無く生き残っている」 「そうそう。滅茶苦茶、運が良いよな、俺たち」 「そう言っていただけると......少し嬉しいですね」 頷き合うアンドレさんたちに、思わず頬がほころぶ。 良い出会い、そう思われているって事だから。 「それじゃ、その運に期待して、登ってみるとするか」 「そうですね。あ、目的はもちろん原因の調査ですから、何かあっても下手に手を出さないでくださいね? ヘル・フレイム・グリズリーを追い出す何かがいる危険性が高いのですから」 一応は、と注意を喚起した私に、アンドレさんたちは神妙に頷き、山を登り始める。 まともな道は無いものの、さほど険しい山でもなく、半日ほども草木をかき分けて登り続ければ、やがて中腹を越え、周囲から植物の姿が消える。 地面もほんのりと温かくなり、所々湯気を上げている場所も目に入り始める。 「この辺りから、火炎石が落ちていますから、見つけたら拾っておいてください。後ほど、精算しますから」 この辺りにあるのは小さい物なので、さほど高価ではないけれど、それでも錬金術の素材故に、決して安い物ではない。 ここまで来て拾わないなんて勿体ない、と言った私に、アイリスさんが少し困った様な表情を見せる。 「店長殿、私は火炎石を見た事が無いのだが......」 他の人の顔も見てみれば......うん。普段見る機会が無いなら、仕方ないかな? 「えっと......これが火炎石です」 私は周囲を見回し、やや小さいながらも一つの火炎石を見つけて拾い上げる。 赤黒く、光沢があり、握ればほんのりと温かい石。 遠目ですぐに見つかるほど目立つわけではないが、慎重に観察してみれば、素人でも十分に見分けが付く。 見た目通りにかなり硬い石で、金槌を使わずに砕くのは難しく、当然、普通の人間が噛み砕く事なんて不可能。 ヘル・フレイム・グリズリーはこれをバリバリと食べて生きているというのだから、魔物というのは不思議である。 年を取って歯が弱くなるとか、ないのかな? 「通常は、地面が熱い場所に多く転がっているようですね」 「へぇ。じゃあ、あの湯気が出ている場所に――」 「待った!!」 その場所に、軽い足取りでひょいひょいと向かおうとするギルさんを、慌てて制止。 「ギルさん、その前に、私の説明を聞いて行ってください」 「お、おぅ......」 「あの湯気が出ている場所は確かに高温なんですが、その周囲に一息で意識を失う毒ガスが漂っていたり、唐突に超高温の蒸気や熱湯を噴き出したりすることもあります」 しかも、毒ガスは目に見えないし、熱水が噴出する予兆も感じられるとは限らない。 大半の場所は問題ないんだけど、稀には危険な場所もあるわけで。 私も専門家じゃないから、どこが危険かなんて判らないし、安全かどうかは完全に運だよね。 「と、いう事で......、どうぞ行ってください」 さぁ、と近場の湯気が出ている場所を指さした私に対し、ギルさんは慌てて首を振る。 「いや、その説明を聞いたら行かねぇよ!? いくら俺でも!」 「当然だ。ギルが行くと言っても、俺が止める」 残念。火炎石はあまり手に入らないようだ。 「店長さん、それに対処できる 「ガスの方は一応、個人用のを一つだけ持ってきています。蒸気の方は“耐熱スーツ”という物があるんですが、まだ作ってないんですよね」 防毒マスクは小さい物なのでさっさと作ったんだけど、耐熱スーツは、錬金術以前に、全身をすっぽりと覆う革製の服が必要なので、保留中だったのだ。 師匠のお店だと、こういった物は別途専門の職人が作ってたんだけど......このあたりの外注が難しいのが、田舎の欠点だよね。 しかも、耐熱スーツって、微妙に使い道が乏しいし。 熱湯や蒸気には耐えられても、炎のブレスなどに耐えられるほどじゃないし、全身を覆っている関係で、動きづらい。 その上、冷却機能を追加しなければ、中は蒸し風呂状態になるのだから、本当にこんな場所ぐらいでしか、必要性がないのだ。 「つまり、危険を回避する方法は無いという事か」 「なら今回は、安全な範囲での採取に止めておきましょ。どうしても必要なら、それらの 「はい、構いませんよ。道中の採集は、どちらかと言えば、皆さんの報酬が増えるかどうか、ですからね」 今回、道中に採集した素材は全て私が買い取り、その買取額を、私も含めた人数で分割する予定になっている。 でもそちらは、どちらかと言えば余録で、金額としてはさほど大きくない。 本来の報酬は、村から支払われる金銭で、私には薬草畑の提供がある。 私からしても、いろいろな物を作りたいので素材の種類は欲しいけど、量はさほど重要じゃないんだよね。 「じゃあ、安全そうな場所を歩いて、そこにある物を拾っていくだけで良いんだよな?」 「ですね。向かう先は......私の探知魔法に反応があった方へ向かってみましょうか」

For dinner that day, the dried vegetables and the dried meat were simmered together with a hard-baked bread. In addition to the portable Magic Instruction Stove, it is also magically water out, making it very easy. No need to even start a fire. The difficulty is that it doesn't taste that good, but I can eat enough, so there's no problem. "Long time no see, and a meal like this" Unexpectedly, Mr. Gill raises a single eyebrow at the words he leaks. "Long time no see, Sarasa, were you eating before? Eat like this." "Yep. Quite." "Hmm? Really? The manager always has the impression that he eats good food." Affirming myself, Mr. Iris strangled me wonderfully, too. "No, just for the record, it's always been this kind of meal since Mr. Dilal's place got mixed up, hasn't it? Only bread was regular bread." "What? Did you? "Yes, does it feel like Lorea saw it and started cooking my rice" Before I could have a kitchen, you took good care of me by going and buying it for me and plugging it in. As Mr. Iris says, you can always eat delicious meals after fixing the kitchen destroyed by Hell Flame Grizzly and installing the Magic Instruction Stove. From then on, Lorea cooks me a meal every day, so my diet is very fulfilling. Thankfully. "Ho, Sarasa didn't like cooking" "No, I'm not good at anything. I wouldn't even say I'm good at it. I simply wanted to spend more time on alchemy than cooking." "I see. If you're about the age of Sarasa, you need to be desperate." "... well, yeah, right? I divulge subtly vague words to Mr. Gill, who nods as he is convinced. Keeping top grades, qualifying as an alchemist, was desperate on that side, but should shoppers say 'coincidence overlaps' or 'without trying'? It is difficult to affirm subtly. "By the way, what about the night watch? Two at a time, three shifts, okay? "I'll magically set up an alert, so it's okay without watching, right? "Magic... not that I don't trust Sarasa..." "If you're anxious, I'm not against keeping an eye on you." If you are a gatherer of veterans like Mr. Andre and the others, you should be careful. However, Mr. Iris shook his head immediately. "No, I believe in the Store Manager! "Iris, don't you just want to keep an eye out? "There's that too! Do you have one? No, it's nothing good. "Besides, I'm pretty sure the magic of the manager is more believable than my watch." "... that makes sense. What about Mr. Andre and the others? "We... we'll keep an eye out one by one for once. Sarasa, I'm sorry, can you just keep the lights on? Because dark things are good." I nod to Mr. Andre, who worried a little and concluded so. "I don't mind. Well, thank you." ◇ ◇ ◇ Day three out of the village. We had arrived near the destination we had set in advance, without any major problems. It was only last night that I was to be woken up by an alert, but it wasn't even a very strong demon that came, so I handled it lightly and went to bed immediately. Thanks to the floating tent, you won't suffer from lack of sleep and are in good health. "Is there a Hell Flame Grizzly in this mountain? "Exactly, there he is, right? Unless that herd came from somewhere far away." volcano northwest of the village. I look up at it and nod at what Mr Andre said, while I make a few corrections. In the book I have, this mountain, barely more woody than the middle belly, was considered the habitat of Hell Flame Grizzly, closest to the village. It's also a little weird to say that the flaming stones rolling in this mountain are the staple foods of Hell Flame Grizzlies...... but what they need to survive. You can't live without this. They usually never leave their habitat. But it is that frenzy that occurs if you have to leave there for any reason. "There's nothing like a mountain collapse." "We don't know what the original mountain looks like. The smoke is spraying... but it doesn't look like it's spraying." "Hey, Sarasa, suddenly it explodes, doesn't it? "I can't say it's not there, but it's probably okay. Unless you're so unlucky." I asked the village chief via Erin, and at least in the life of the village chief, there doesn't seem to be any eruptions that affect the village. I don't know about small items, so I figured I'd be lucky there. "Luck...... I'm not so sure." "You almost died the other day. But I'm saving you, so I guess you got some bad luck, huh? "If you're lucky, you're okay. We have Sarasa." "Me, sir? Am I lucky? To Mr. Andre's words, I snap my neck. The fact that my parents were killed by bandits is bad luck. It wasn't a bad place for an orphanage that came in, lucky for you. Being an alchemist... I want to think of it as strength, not luck. But you might be lucky to be in the master's shop? I also happened to find a job in front of my master's shop. The folks in Yock Village have a lot of good people headed by Lorea. In total...... my luck, how much? Andre smiles and shakes his head at me thinking about it. "No, I (...) got (...) lucky. Sarasa came to the village." "Besides, even with the frenzy of Hell Flame Grizzlies, he survives without major injuries" "Yes, yes. You're in luck, us." "I'm a little glad you said that..." Unexpectedly, my cheeks burst into the snorts of Andre and the others. Because that's what they think it is. "Well, expect that luck and try to climb." "Right. Oh, the purpose, of course, is to investigate the cause, so if anything happens, don't get your hands on it badly, okay? There's something that's going to kick Hell Flame Grizzly out, because there's a high risk." At first, and drawing attention to me, Mr. Andre nodded strangely and began to climb the mountain. Although there is no decent path, it is not so steep a mountain, and if you continue to climb through the grass for about half a day, you will eventually cross the middle belly and the plant will disappear from its surroundings. The ground gets slightly warmer, and places where the hot air is turned up everywhere start to get into my eyes. "From around here, flaming stones are falling, so pick them up when you find them. I'll settle it later." What's around here is a small thing, so it's not as expensive, but it's still an alchemy material, so it's never cheap. Iris gave me a slightly troubled look when I said I didn't have to come here to pick it up. "My lord manager, I have never seen a flaming stone..." Look at other people's faces too...... yeah. If you don't usually get a chance to see it, what choice do you have? "Er... this is the flame stone" I look around and find and pick up one flaming stone, albeit slightly smaller. Red and black, shiny, slightly warm stone if gripped. It's not as noticeable as you'll soon find it in the distance, but if you observe it carefully, even amateurs can tell enough. It's a pretty hard stone as it looks, hard to crush without a hammer, and naturally, it's impossible for a normal human to chew it up. Because Hell Flame Grizzlies eat this burly and live, it is strange that it is a demon. You get older and your teeth get weaker, don't you? "Usually, the ground seems to be rolling a lot in hot places" "Heh. Well, where the hot air is -" "Waited!!" Mr. Gill hastily stopped trying to make his way to the spot with a light foothold. "Mr. Gill, before you do, listen to my explanation and go" "Ooh..." "That place with hot air is certainly hot, but there can be poisonous gases around it that you lose consciousness of in a breath, or you can suddenly eject super hot steam or hot water" Besides, poison gas is invisible, and I don't necessarily feel signs of hot water erupting. Most places are fine, but in rare cases they are dangerous. I'm not an expert either, so I don't know where the danger is, and you're totally lucky to be safe. "And so..., please go" Come on, and Mr. Gill shakes his head in a hurry against me for pointing to where the near-field hot air is. "No, I won't go when I hear that explanation!? No matter how much I! "Naturally. Even if Gil says he's going, I'll stop him." Too bad. You don't seem to get a lot of flame stones. "Mr. Store Manager, don't you have an artifact that you can deal with? "For once, Gus is bringing only one for personal use. If you're steaming, there's a" heat resistant suit, "but you haven't made it yet." I just made the anti-poison mask because it's a small object, but the heat resistant suit was on hold because it needed leather clothing that covered the entire body perfectly before alchemy. In my master's shop, these things were made by a separate specialist craftsman... the difficulty of outsourcing around here is the country's drawback, right? Besides, heat-resistant suits are subtly lacking in use. Even if it can withstand hot water and steam, it's not enough to withstand flaming braces, etc., in relation to covering your whole body, it's hard to move. Besides, if we don't add cooling, we're going to be in a steam bath inside, so it's really only about this kind of place that we need. "So there's no way to avoid danger?" "Then this time, stop safely collecting them. If you really need it, prepare those smelter artifacts and come back. And the manager, okay? "Yes, I don't mind. Whether or not you get paid more for collecting on the road." This time, I am planning to buy all the materials collected on the road and split the purchase amount by the number of people, including myself. But you, in one way or another, are not as big as the sum. The original reward is the money paid by the village, and I have a herbal field to offer. Even from me, I want a variety of materials because I want to make a lot of things, but the amount isn't as important, is it? "So you can just walk somewhere safe and pick up what's there, right? "Right. Let's head to... who responded to my detective magic."

私たちが調査から戻ってきて間あまり。 畑の準備が終わったという連絡があり、私は早速、指導に赴いていた。 と言っても、お隣だから、徒歩数秒なんだけど。 「今回は何種類かの薬草を持ってきていますが、大まかに分けられます。片方は環境さえ合えば簡単に育つ物、もう片方は、手間さえかければそれなりに育つ物です。どちらも比較的買い取り価格の高い薬草ですね」 私の説明を頷きながら聞いているのは、マイケルさんたち夫婦。 直射日光の下で頑張っていたからだろう。前回会った時と比べて肌が日に焼け、農家らしさを感じさせるようになっている。 「えっと、サラサさん。手間がかかる薬草が高いのは解るんだけど、簡単に育つのに高い薬草って......?」 「イズーさん、良い質問です。こちらの薬草、簡単に育つんですが、森では動物や虫にすぐに食べられてしまうんです。幸い、ここは頑丈な柵で囲まれていますから、その心配が無いでしょう?」 「なるほど、それで......。ここなら、虫に対処するだけで済む、と」 「そういうことです」 環境に関しては、この薬草が自生している森の傍なので問題は無いはず。 後は、虫がついていないか時々見回っていれば、失敗は無いと思う。 もっとも、その時間が取れない私は育てていなかったので、この種は師匠から新たに仕入れた物になる。 「では、その薬草だけにすれば良いのでは? 手間のかかる薬草を植えなくても」 不思議そうにそう尋ねたマイケルさんに、イズーさんが眉をつり上げる。 「マイケル! 私たちはサラサさんの畑の管理を任されているんだよ? 文句を言わないの!」 「あっ、そ、そうですよね、すみません」 イズーさんに叱られて、慌てて私に頭を下げるマイケルさんに、私は軽く首を振る。 「いえいえ、そちらの方はあまり気にしなくても......」 一応、この畑は私の物ということになってるし、事実そうなんだけど、私にとっては必ずしも必要な物じゃないからね。 報酬として受け取ったのも、村が私に対して提供できる物がないから、という面が大きい。 困っているエリンさんの依頼を簡単に断る事はできないし、タダ働きをするわけにもいかない。難しいところだよね、ご近所づきあい。 「もちろん、理由はあります。一つは、同じ種類の薬草を同じ場所でまとめて栽培するときちんと育たなかったり、育っても薬効が乏しくなったりする事があるため、です」 食べるための農作物ならともかく、薬草に求められるのはその薬効。 それが無い薬草なんて、何の価値も無い。 自然の群生地から集めてきた物に関してはそんな事がないので、何か理由があるはずなんだけど......未だよくわかってないんだよね、このへんの事は。 薬草栽培に関しては、他にもよくわからない事が多いから、錬金術師が細々とやるぐらいであまりメジャーじゃないし、だからこそそれを研究している人も――少なくとも私は――寡聞にして知らない。 「もう一つは、お二人のためですね。一種類だけだと、失敗したら収入ゼロになってしまいますから。困りますよね?」 私はここで採れる薬草がなくても『残念だったね』で済むけど、これがメインのお仕事であるマイケルさんたちは、収入に即致命傷を喰らう事になる。 エリンさんからの報酬はあるにしても、裕福とは言えないこの村、期間、金額共に十分とは言えそうもない。 「お気遣い、ありがとうございます。エリンさんから生活費がもらえるのは秋の収穫までなので、助かります。ハハハハ......」 「もう、笑い事じゃないでしょ? 私たちの将来がかかってるんだから!」 少し乾いた笑いをあげるマイケルさんに、イズーさんは頬を膨らませ、マイケルさんの背中をパンと叩く。 「う、うん。解ってる。ちなみに、手間のかかる方は? お恥ずかしながら、農業にはあまり慣れていないので、難しいのは......」 「頻繁に水をやらないといけない、日陰を作る必要がある、特別な肥料が必要とか、そんな感じですね。必要なのはいずれも技術よりはまめさなので、汗さえ流せば失敗する事は......あんまりありません」 「あんまり、ですか?」 少し不安そうに聞き返すマイケルさんに、私は頷く。 「自然相手ですからね。天候次第ではダメになる事もありますから......」 こればっかりはどうしようもない。 畑で育てる以上、『今日は荒れそうだから、室内に持って入ろう』ってわけにもいかないから。 「なるほど、そうですよね。ですが、まめさには自信があります! 技術はないですけど!」 「あんまり自慢にならないわよ! すみません、サラサさん。でも、この人、言われた通りにやるだけなら、面倒なことも腐ることもなくやり遂げますので、どうかよろしくお願いいたします」 イズーさんは困ったように、胸を張ったマイケルさんの手を引っ張って、頭を下げる。 「大丈夫ですよ。言われたとおりに、真面目にやる。それも一つの才能だと思いますから。まずは、育てやすい方の薬草から植え付けていきましょう。注意点は――」 マイケルさんたちがサウス・ストラグでどんな仕事をしていたのかは知らないけど、サボったりしないだけでも、雇う方としてはありがたい。 教えた事を忠実に熟してくれるならば、なお良い。 変に独自判断されるよりはずっとね。 私は言葉足らずにならないよう、丁寧に薬草の栽培方法を二人に説明するのだった。 ◇ ◇ ◇ 「さて、やっと溶岩トカゲの処理ができるよ」 薬草栽培の指導に目処をつけ、調査に行く前から溜まっていたフローティング・テントの注文、行っている間に溜まった冷蔵庫の注文、その他諸々。 ようやく、それらの仕事がすべて片付いた。 ベースとなるテント作りまで自分でやっていたら、まだ当分かかっただろうから、ロレアちゃんと協力してくれた村のおばさんたちに感謝、だね。 その分、利益は減ったけど、『村の人たちにお仕事を』という私の目的にも合致しているし、トータルとしてはきちんと利益が出ているので問題ナッシング。 素材の買い取りが重なったために減っていた現金も、ある程度は回復したし、気分的には少し楽。 もっとも、村の内部で回っているだけなので、外に売らないと総量が増えないのが問題なんだけど。 「そのためにも、溶岩トカゲを売り物にしないとね」 劣化しないように簡単な処理だけしていた溶岩トカゲの皮は、都合4匹分。 私という錬金術師が現場にいた事、そしてケイトさんの弓の腕が見事だった事から、状態はかなり良い。 これだけの品は、採集者からはなかなか買い取れないので、上手く仕上げれば、かなりの値段で売れるはず。頑張らないと。 「溶岩トカゲだと、やっぱり耐火・耐熱だよね」 このままでも熱湯や高温水蒸気ぐらいには耐えられるけど、きちんと加工すれば、文字通り溶岩とも喧嘩ができるレベルに効果が高まる。 「そのためには、炎系の素材がだいぶ必要にはなるけど......仕方ないよね」 手持ちで比較的潤沢なのは、火炎石ぐらい。 でも、溶岩トカゲの加工に必要なのは、それじゃないのだ。 ここには持ち込まれる事もないので、師匠、もしくはレオノーラさんのところから仕入れるしかないわけで。 「ちょっと増えた現金がまた減るよ~。ま、これの加工に成功すれば、十分に元は取れるんだけど」 失敗したら? ピーピー言う事になるね。 錬金術大全を終わらせるため、素材を買い込んだ後だから。 「でも大丈夫、私は失敗しない! ......と、思うけど、一匹ずつやろう」 四匹分、同時に処理すれば手間は一回で済むし、素材も節約できるけど、失敗した場合の損失は四倍。 一匹ずつ処理すれば、失敗して失われるのは一匹分。 現在の懐事情で、溶岩トカゲ四匹分の皮と加工に使うその他の素材、まとめて失うと、本気で採集者からの買い取りにも困る事にもなりかねないので、今回は手間を省くよりも、時間をかける方をとる。 「溶岩トカゲの皮はきれいに洗って、錬金釜にポイ。タルブーの根を一本に、アッシュブランダの粉を一匙。ペールジーの抽出液ほど加えて......」 錬金術の素材は、粉の一摘み、液体の一滴で銀貨や金貨が飛ぶような物もある。 私は間違ってもこぼしたりしないよう、慎重に作業を進めたのだった。

We came back from the investigation, not much for a week. I got word that the field was ready, and I was on my way to mentoring as soon as possible. That said, it's next door, so it's a few seconds on foot. "This time I've brought some different kinds of medicinal herbs, but they can be roughly divided into two parts. One is something that grows easily as long as the environment fits, and the other is something that grows quite a bit as long as it takes a lot of work. They're both relatively expensive herbs." What you're hearing as you nod at my explanation is Mr. and Mrs. Michael. Probably because I was working hard in direct sunlight. Compared to the last time I saw her, her skin burns every day, making her feel like a farmer. "Uh, Mr. Sarasa. I know the laborious herbs are expensive, but what herbs are expensive to grow easily...? "Mr. Izu, that's a good question. These herbs grow easily, but animals and insects eat them quickly in the woods. Luckily, we're surrounded by sturdy fences, so you don't have to worry about that, do you? "I see, so... Here, all you have to do is deal with the bugs." "That's what I mean" As far as the environment is concerned, there should be no problem because this herb is by the forest where it is native. After that, if you look around sometimes for insects, I don't think there will be any failures. Most of all, I didn't grow it because I couldn't take that time, so this seed becomes a newly purchased object from my master. "So why not just that herb? You don't have to plant laborious herbs." Izu raises an eyebrow at Michael, who asks him that strangely. "Michael! We are entrusted with the management of Mr. Sarasa's fields, aren't we? I'm not complaining! "Oh, yeah, right, sorry" I shake my head gently, scolded by Mr. Izu and rushed to bow my head to me, Michael. "No, you don't have to worry too much about that one..." For once, this field is supposed to be mine, and it seems true, because it's not necessarily what I need for it. The fact that I received it as a reward is also significant because there is nothing the village can offer me. I can't easily refuse Mr. Erin's request in trouble, and I can't work for free. It's a hard place, isn't it, to keep up with your neighbors? "Of course, for a reason. One is because growing the same types of herbs together in the same place may not grow properly, or even if they grow up, they may become less effective." Whatever crops are for eating, what the herbs require is their medicinal properties. Without it, herbs are worthless. There's no such thing as a collection from a natural flock, so there's got to be a reason... you haven't quite figured it out yet, have you? As for herbal cultivation, there are many other things I'm not sure about, so it's not as major as the alchemist does it in detail, and that's why people studying it - at least I - don't know it as an oligarchy. "The other, it's for you two, isn't it? Because if you only have one type, if you fail, you will have zero income. Trouble, isn't it? I wish I didn't have the herbs I could pick here, but Michael and the others, whose main job is to eat instant fatalities on their income. Despite the rewards from Mr. Erin, it is unlikely that this village, period and amount, which cannot be described as wealthy, will be sufficient. "Thank you for your concern. It helps because it's not until the fall harvest that Mr. Erin gets the cost of living. Hahahahahaha......" "It's not funny anymore, is it? Because our future depends on us! To Michael, who gives him a slightly dry laugh, Izu swells his cheeks and slaps Michael in the back with bread. "Ugh, yeah. I know. By the way, what's the hassle? Unfortunately, I'm not very used to agriculture, so the difficulty is..." "You have to water it frequently, you need to create shade, you need special fertilizers, that sort of thing. All you need is more luxury than skill, so if you sweat, you won't fail... not much." "Not really, is it? I snort back at Michael, who sounds a little anxious. "Because you're a natural opponent. Depending on the weather, it may not work..." There's nothing I can do about all this. Because there's no better way to 'bring it indoors because it looks rough today' than to grow it in a field. "I see, right? But I'm confident in seriousness! I don't have the technology, though! "I wouldn't be too proud of you! Excuse me, Mr. Sarasa. But if this guy just does what he's told, he'll do it without any hassle or rot, thank you." As troubled as Mr. Izu is, he pulls Michael's hand with his chest stretched and lowers his head. "It's okay. Like I was told, I'll take it seriously. Because I think that's one talent. Start by planting it from the medicinal herbs of those who are prone to grow it. The caveat--" I don't know what kind of work the Michaels were doing in South Strag, but even if I just don't skip it, I'd appreciate it if you hired me. If you can be faithful to what I taught you, it's better. Much better than being judged weirdly proprietary. I carefully explained to the two of you how to grow herbs so that I was speechless. ◇ ◇ ◇ "Well, we can finally treat the lava lizard." Looking to teach herbal cultivation, order floating tents that have been accumulating since before I went to investigate, order refrigerators that have accumulated while I was there, and much more. Finally, all those jobs cleared up. If I had even built my own tent as a base, it would still have taken me for the time being, so thank the village aunts for working with Lorea, right? For that matter, profits have decreased, but it also fits my purpose of 'working for the villagers', and as a total, I make a good profit, so problem nashing. Cash, which was decreasing because of overlapping material purchases, also recovered to some extent, and is a little easier in the mood. Most importantly, I'm just going around inside the village, so if I don't sell it outside, the problem is that the total amount doesn't increase. "For that matter, we have to sell lava lizards." The skin of the lava lizard, which was only easy to treat to avoid deterioration, was conveniently served for four. My alchemist was at the scene, and Kate's bow arm was brilliant, so she was in pretty good shape. All this stuff is hard to buy from collectors, so if you finish it well, you should be able to sell it for a good price. We have to work hard. "Lava lizards are fire and heat resistant after all" Even as it is, it can withstand about hot water and hot water vapor, but if processed properly, it will literally increase the effectiveness to a level where you can quarrel with lava. "We're going to need a lot of flame-based materials to do that... but we don't have a choice." Handheld and relatively luxurious is about a flaming stone. But that's not what it takes to process a lava lizard. They don't even bring it here, so I have to buy it from my master or Mr. Leonora. "A little more cash will be lost again. If we succeed in processing this, we can get enough of it." What if it fails? Peppy, you're going to say it. Because after buying in the material to finish all four rolls of Alchemy. "But it's okay, I won't fail!... and I think, let's do one at a time" Four pieces, if processed at the same time, can be done in one go, and the material can be saved, but the loss is quadrupled if it fails. If you process one at a time, one will fail and lose. Due to the current poetic situation, the skin of four lava lizards and other materials used for processing, when lost collectively, can also be seriously difficult to buy from collectors, so this time it will take more time than to save effort. "The lava lizard skin is washed clean and poised in an alchemy kettle. Tarboo root in a bottle and a spoonful of ash branda powder. Add about three drops of Palsy extract..." Some alchemy materials are like picking a powder and flying silver or gold coins with a drop of liquid. I proceeded with work carefully to avoid spilling it by mistake.

洞窟で発生した崩落は比較的短時間で収束したが、当事者からすればそれは、永遠にも感じる時間であった。 だが、普通なで一度も経験することがない状況。 振動が収まり、岩が崩れる音が聞こえなくなった後も、アイリスたちが頭を抱えたまましゃがみ込み、しばらくの間動けなくなっていたのも当然のことだろう。 「お、収まった、のか?」 恐る恐るアイリスが顔を上げたのは、周囲に漂っていた土煙が収まり、耳が痛いような静寂が戻ってきてからのことだった。 「み、みんな、無事?」 「ボクは大丈夫。この近くでの崩落はなかったみたいだね」 流れてきた土埃で、アイリスたちと荷物は汚れていたが、近くに崩れた岩などは転がっていない。 それを確認して言ったノルドラッドにアイリスも頷き、音が聞こえた方へ顔を向けた。 「崩れたのは、私たちが来た方向か......。どう考えても嫌な予感しかしないが、確認はすべきだろうな」 「そうね。ただ、慰めになるかどうかは判らないけど、サラマンダーの足音みたいなのは、聞こえなくなったわね」 「戻って行ったのなら良いんだけどねぇ......。さて、状況を確認しないと方策も決められないよね。見に行くとしようか」 何だか気軽に言うノルドラッドに、アイリスとケイトは顔を見合わせるが、彼の言うことは間違ってはいない。 万が一の際に逃げやすいよう、その場に荷物を残し、来た道を戻り始めれば、さほど歩かないうちに、それは見えてきた。 比較的広かった通路を、完全に塞ぐように天井や壁が崩落した現場。 判るのは光が届く範囲だけだが、その被害の大きさははっきりと見て取れた。 半ば想像通りとはいえ、かなり困った状況に、アイリスたちは暗い表情で周囲を見回す。 「これは......かなり崩れているな」 「ノルドさん、光をもっと強くできないかしら?」 「あんまり強くすると、魔力消費が増えるんだけど......了解」 少し愚痴りつつも、必要なことと感じたのか、ノルドラッドは明かりの それによって照らし出されたのは、洞窟の天井部分まで積み重なった岩と土砂の山。 どこかに隙間が、などという希望も持てないほど、その崩落の規模は大きかった。 「やはり、完全に塞がっていたか」 「しかも、かなり厚そうよ? サラマンダーの足音が聞こえなくなったのも、これのせいかしら?」 「だろうね。これを取り除くのは、ちょっと現実的じゃなさそうだねぇ」 どこか他人事にも聞こえるノルドラッドの言葉に、アイリスがピクリと眉を上げる。 「ご自慢の筋肉でも、どうにもならないか?」 さっぱりした性格のアイリスとしては珍しい物言いだが、それも仕方がないだろう。 サラマンダーの復活と洞窟の崩落、どう考えても無関係とは思えないのだから。 だが、その皮肉が効くかどうかは別問題である。 「うん。岩を動かすだけなら問題ないけど、崩れてくるのは止められないね」 気付いているのか、いないのか、まったく気にした様子もなく、ノルドラッドは平然と答えを返した。 それを聞いたアイリスは、少し口元を歪めたが、ケイトにポンと腰を叩かれ、ため息と共に不満を押し流す。 このような状況で仲違いしても百害あって一利なし、それを考えるだけの冷静さを、アイリスは有していた。 「サラマンダーが追ってくる心配がなさそうなのだけはありがたいが、ここから外に出るのは難しいか」 「時間を掛けて掘っていく方法はあるだろうけど、崩れる心配があるからねぇ。君たちは、魔法で固めることはできないかい? 土系統の魔法を使えたりとか......」 ノルドラッドは少し期待するような視線をアイリスとケイトに向けたがは揃って首を振る。 魔法を使えないアイリスは当然として、最近、サラサに魔法を習っているケイトも、このような場面で役に立つ魔法など使えない。 ケイトが習っているのは確かに土系統の魔法であるが、それは開拓に役立つ魔法。 地面を掘り起こして柔らかくする魔法なので、この場面ではむしろ逆効果だろう。 サラサぐらい魔法と魔力操作に長じていれば、習っていない魔法でもなんとかなったりするのだろうが、ケイトのような初心者の魔法に命を預けるのは、どう考えても悪手である。 「ここから帰るのは、あまり現実的じゃなさそうだね。一先ず、戻ろうか」 「そうだな」 元の場所へと戻ってきたアイリスたちは、一度気持ちを落ち着かせるため、温かいお茶を淹れて一息ついていた。 不幸中の幸い、崩落現場に遮られているとはいえ、サラマンダーという脅威がいる洞窟に閉じ込められている状況。 お茶を飲みつつもどこか落ち着かない様子のアイリスたちに比べ、ノルドラッドは一人、焦った様子もなく、お茶をゆっくりと楽しむ余裕すら見せている。 もちろんパニックになるよりはよほど良いのだが、アイリスたちがそれに、どこか釈然としないものを感じるのは仕方のないところだろう。 「ノルド、落ち着いているな?」 「魔物の研究者なんてやってると、窮地に陥る機会なんて、掃いて捨てるほどあるからね。そんな状況でも生還できるよう、筋肉を鍛えているわけだよ。まぁ、今回は役に立たなかったけど」 「私としては、筋肉を付ける前に、自らの行動の方を省みて欲しいところですが」 今回のことも、ノルドラッドが妙な実験をしなければ起きなかったと思われる事故なわけで、ケイトの言い分はもっともである。 だが、非難するように言ったケイトの言葉にも、ノルドラッドは朗らかに笑う。 「ハッハッハ、それは無理だね。研究者だから。探究心と冒険心をなくしたら、それはもう研究者じゃないよ」 「冒険心の中にも、慎重さを持って欲しいところです。協力してくれる人、いなくなりますよ?」 「やっぱり? 二度目の護衛を引き受けてくれる人って、少ないんだよね。報酬は悪くないと思うんだけど」 ――それって絶対、一度目で懲りるからだ。 アイリスとケイトの心情は確実に一致したが、今それを言っても仕方なく、二人は顔を見合わせ、揃って深いため息を吐いた。 「......取りあえず、打開策を考えましょうか」 「そうだね。来た道は使えそうにないけど、ここってまだ奥に続いているよね。こっちってどこに繋がるか判ったりしないかい?」 「いや、前回来たときは、一切脇道には入らなかったからな。どこかに繋がっている可能性がないとは言わないが、同時に危険もありそうだよな」 元々この辺りは、ヘル・フレイム・グリズリーが生息するようなエリアである。 斃すだけなら溶岩トカゲを脅威としないアイリスたちだが、それは相性の問題と状況を整えて戦いに挑むから。 何も考えずに戦えば溶岩トカゲも十分な強敵だし、同レベルの他の魔物と戦うことになれば、かなりの危険が伴う。 今回の護衛を引き受けたのも、遭遇する魔物の種類が限定され、サラマンダーがいないことが前提となっている。 「だけど、あの道が戻れない以上、進むしかないよね? それとも、他の方法があるかな? 良い考えがあるなら、取り入れることもやぶさかじゃないよ?」 「だが、私たちに、ノルドを守る自信は......」 「もしそれで死んでも、責めるつもりはないさ。ここでじっとしているよりは助かる確率が上がりそうだからね」 危ない場所に足を踏み入れるということは、ノルドラッド自身の命も危険に曝されることになるのだが、それでも合理的に考えるあたり、さすがは研究者というべきだろうか。 迷うアイリスに、ケイトがふと何かを思い出したように、置いてある荷物に目を向けた。 「あ、そういえばアイリス、店長さんから共鳴石っていうのを渡されてたわよね?」 「うっ......あれか。あれを使うのか」 渋い顔になって言葉に詰まり、迷った様子を見せるアイリスに、ケイトは不思議そうに小首を傾げた。

The collapse that occurred in the cave converged in a relatively short time, but from the party's point of view, it was time to feel it forever. But a situation I would not normally experience in a lifetime. Even after the vibrations had subsided and the rocks were no longer heard to collapse, it would be natural for Iris and the others to crouch in with their heads in their arms and be unable to move for some time. "Oh, it fits, huh? The fearful Iris raised his face after the ear smoke that was drifting around him subsided and the silence that hurt his ears returned. "Mi, guys, safe? "I'm fine. Looks like there was no collapse anywhere near here." With the dirt and dust that had flowed, Iris and his luggage were dirty, but rocks and other things that had collapsed nearby had not rolled. Iris nodded at Nordrad, who confirmed it and said, turning his face toward him who heard the noise. "Did it collapse in the direction in which we came... I don't care what you think, I only have a bad feeling about it, but you should check it out." "Right. I just don't know if it's any consolation, but you can't hear what's in Salamander's footsteps." "I wish I'd gone back... Well, you can't even decide what to do without checking the situation, can you? Shall we go and see?" To Nordrad, who somewhat casually says, Iris and Kate face to face, but what he says is not wrong. In case you left your stuff on the spot to make it easier to escape, and if you started going back the way you came, before you walked so much, you could see it. A site where ceilings and walls collapsed to completely block a passage that was relatively wide. All I could tell was the extent to which the light would reach, but I could clearly see the magnitude of the damage. Half as you can imagine, in a rather troubled situation, Iris and the others look around with a dark look. "This is... pretty disintegrating" "Mr. Nord, could you make the light stronger? "If I get too strong, I'll consume more magic... Roger that." Even with a little stupidity, Nordrad adjusted the light smelter (artifact) to greatly enhance the light intensity. Illuminated by it were piles of rock and dirt sand that stacked up to the ceiling part of the cave. The scale of that collapse was so great that there was no hope of a gap somewhere, etc. "Again, was it completely blocked" "Besides, it looks pretty thick, doesn't it? Is it also because of this that I can no longer hear Salamander's footsteps? "I guess. It seems a little unrealistic to get rid of this." Iris raises a picky brow at Nordrad's words, which sound like some other HR. "Even your proud muscles, nothing can be done about it? It's a rare thing to say as a refreshing personality Iris, but it won't help either. Because the resurrection of the salamander and the collapse of the cave, whatever you think, do not seem to have anything to do with it. But whether the irony works or not is a different matter. "Yeah. It's fine if you just move the rock, but you can't stop it from collapsing." Nordrad flatly returned the answer, not looking like he was aware or not at all concerned. Upon hearing it, Iris distorted his mouth slightly, but Kate slapped him on the hip with a pong, pushing away his dissatisfaction with a sigh. Iris had the calm to think that even if he was wrong in this situation, it would be harmless and unprofitable. "I'm just thankful you don't seem to have to worry about Salamander coming after you, but is it hard to get out of here" "There's gonna be a way to take the time to dig it, but I'm worried it'll collapse, so hey. Can't you guys just magically consolidate? You can use the magic of the earth system..." Nordrad turned his slightly expected gaze to Iris and Kate, but they all shook their heads together. Iris, who can't use magic, naturally, and Kate, who's been learning magic from Sarasa lately, can't use magic or anything useful in such situations. What Kate is learning is certainly the magic of earthlineage, but it's the magic that helps pioneer. The magic of digging up the ground and softening it, so it would be rather counterproductive in this situation. If you have as long as Sarasa for magic and magic manipulation, you can do something with magic you haven't learned, but depositing your life in beginner magic like Kate is a bad idea no matter what you think. "Getting home from here doesn't seem very realistic. Let's go back first." "Right." The Iris, who had returned to their original place, had taken a breath brewing warm tea to calm them down once and for all. Fortunately in the midst of misfortune, a situation confined to a cave where there is a threat of salamander, albeit blocked by the crash site. Compared to Iris, who looks restless somewhere while drinking tea, Nordrad is alone, not in a hurry, and even shows room to enjoy the tea slowly. Of course it's so much better than panicking, but there's just no way the Iris and the others can feel anything unexplained about it. "Nord, are you calm? "When you do demonic researchers, there's so much opportunity to sweep and throw them away. I'm building muscles so I can survive in that situation. Well, it didn't help this time." "As far as I'm concerned, I just want you to skip your own behavior before you muscle it" This time, too, it seems an accident that would not have happened if Nordrad hadn't done a strange experiment, so Kate's point is the best. But Nordrad laughs furiously at Kate's words, which he told him to condemn. "Ha-ha-ha, you can't do that. Because I'm a researcher. If you lose your sense of exploration and adventure, you're not a researcher anymore." "I just want you to be discreet, even in your adventure. You'll be gone if you help me, won't you? "I knew it? Few people would take on a second escort, right? I don't think it's a bad reward." - That's absolutely because I'll punish you at first sight. Iris and Kate's mood definitely coincided, but now I can't help but say it, and they looked at each other, aligned and exhaled deeply. "... let's think of a way to open it." "Right. I don't think I can use the way I came, but this place is still going in the back, isn't it? Do you have any idea where this leads? "No, the last time I came, I didn't go into any sidewalks. I'm not saying it's unlikely that it's connected somewhere, but at the same time, it seems dangerous." Originally, the neighborhood was home to Hell Flame Grizzlies. Iris and I don't threaten lava lizards if we just shoot them, but that's because we challenge them to fight with compatibility issues and circumstances. Lava lizards are strong enough enemies if you fight without thinking about it, and if you are going to fight other demons of the same level, there is considerable danger involved. Taking on this escort is also premised on the limited variety of demons encountered and the absence of salamanders. "But we have to go further than that road can go back, right? Or is there some other way? If you have a good idea, it's not a bad idea to incorporate it, is it? "But to us, the confidence to protect Nord..." "If I die from it, I'm not going to blame you. 'Cause there's a better chance of being helpful than sitting here." Stepping into a dangerous place would mean that Nordrad's own life would also be in danger, but should he still be called a researcher, as he reasonably thinks? To the lost Iris, I turned to the luggage I had left, as Kate remembered something. "Speaking of which, Iris, the manager gave you a resonance stone, right? "Ugh... is that it? Do you want to use that?" Kate leaned strangely toward Iris, who looked sinister and stuck in words, showing how lost she was.

「師匠、ですか。うぅ~~ん」 腕組みをして唸る私に、不思議そうな表情になるのは、アデルバート様とカテリーナさん。 「サラサ殿の師匠? いくら錬金術師でも、そう簡単に出せる金額では......ないだろう?」 「それがアデルバート様、店長さんの師匠はマスタークラスの錬金術師なんです」 「なんと!」 確かに師匠なら、その程度の現金は普通に持っているだろうし、師匠クラスでなくても、ある程度以上の錬金術師で現金を多く保持している時であれば、出せない金額でもない。 もちろん、今の私には無理だけど。 「お願いすれば、なんとかなる、かもしれませんが......」 たぶん、私が『借金をこさえた!』泣きつけば、皮肉でも言いながらあっさり肩代わりして、『返し終わるまでタダ働きだ!』と、王都のお店に連れ帰ることだろう。 一応、弟子として認められているみたいだし? ただ、私の知り合いのためとなると......どうかなぁ? 「必ず返すと約束する。すでに大金を借りている立場で更に頼むのは非常に申し訳ないのだが、どうか、どうかお願いできないだろうか! この通りだ!」 「店長さん、お願い!」 アイリスさんとケイトさんが、テーブルに額を着けるようにして頭を下げた。 その横でアデルバート様とカテリーナさんは、どうしたものかと戸惑った様子で、行動を決めかねている。 まぁ、にとって私は今日会ったばかりの相手。 お金を貸してと頼むには関係が薄すぎるし、金額も大きい。 そして私が返答に悩んでいる間に、アデルバート様は首を振って、アイリスさんたちに声をかけた。 「アイリス、ケイト。サラサ殿にご迷惑だろう。頭を上げなさい」 「しかしお父様、我々に頼る当てなど、すでに......」 「お金を持った知り合いなんていませんからね、私たちって。当家と似たような所としか、お付き合いがありませんから」 アイリスさんに同調するように、かなり身も蓋もない事を、さらっと言うカテリーナさん。 「むぅ」 「ママ......」 さて困った。 私が頑張って頼めば、師匠は貸してくれるかもしれないけど、あまりにも金額が大きいし、単にお金を貸して下さいとお願いするのは、かなり気が引ける。 せめて、氷牙コウモリの牙の時のように、普通なら捌けない量の素材を買い取ってもらう程度にとどめたいところ。 そして、お金を稼ぐのに最も効率が良いのは、慣れない事をするよりも、本業で稼ぐ方法なわけで。 「師匠にお金を借りずとも、なんとかならないでも、ないですよ」 「本当か! どのような方策が?」 私の言葉に、アイリスさんが即座に反応し、私は頷きつつ、考えていた事を口にする。 「アイリスさん。私は錬金術師、アイリスさんたちは採集者。お仕事は?」 「――素材集めか! いや、だがしかし、それでなんとかなるような額では......溶岩トカゲの素材は思ったよりも高かったが」 「ママやアデルバート様、ついでにパパも呼んで全員でやれば......」 「それでも、普通に素材を集めるだけでは厳しいでしょうね。ですが、貴重な素材を手に入れることができるなら、その限りではありません。心当たりがありませんか?」 「貴重な素材......?」 「......店長さん、まさか、サラマンダー?」 「正解! あれを入手すれば、借金を返すだけのお金は用意できます。問題は売り先ですけど、そこは師匠に頼めばなんとかなるでしょう」 また甘える事にはなるけれど、単純に『お金を貸してください』と言うのと、『売りにくい素材を買ってください』と言うのでは、明らかに後者の方が言いやすい。 それに師匠には『珍しい素材を送れ』と言われているから、サラマンダーレベルなら、十分にそのお眼鏡にかなうと思う。 もし、『買えない』と言われたら、その時は『珍しい物を送ったのに~』と泣きつこう。 「でも店長さん、私たちではとても敵わない、危険な相手って話だったんじゃ?」 「そうだ。サラマンダーが危険な事ぐらいは儂でも知っている。とてもではないが、許可できん」 「えぇ、ケイトちゃんがそんな所に行くのは......心配ね」 やや顰めっ面で言うアデルバート様と不安そうなカテリーナさんに、私は即座に首を振った。 「もちろん、二人にサラマンダーと戦えとは言いませんよ。ほとんど、自殺行為ですから」 「となると......もしかして、店長殿が? 店長殿なら、スパッと倒せてしまうとか......」 期待するように私を窺うアイリスさんだけど――。 「いえ、私も一人では対処できません。ただ、奥の手......みたいな物はあるので、サポートしてくれる人がいれば、なんとかなるかも? 一応、師匠に確認してみるつもりですが」 師匠に訊いて大丈夫そうなら、頑張ってみる価値はある。 すでにアデルバート様も、アイリスさんとホウ・バールを結婚させるつもりはなさそうだけど、だからといってアイリスさんの家が潰れてしまうのも嫌だ。 できる範囲で手助けはしてあげたいよね? せっかく仲良くなれたんだから。 「ふむ、錬金術師の奥の手か。それは、サラサ殿にとって使っても問題ない物なのか? 我らの事を考えてくれるのはありがたいが......」 「それは問題ありません。ただ、使った後はちょっと動けなくなるので、私を無事に連れ帰ってくれる人、そしてできれば、サラマンダーとの戦いの時、サポートしてくれる人が欲しいですね。一人でも不可能ではないと思いますが、より安全性を高めるのなら」 「店長さん、それはヘル・フレイム・グリズリーの時のような?」 私が数日、まともに動けなくなったことを思い出したのか、不安そうな表情を見せるケイトさんに、私は首を振る。 「いえ、アレよりはマシです。しばらく休めば動けるようになるので、その間、守ってくれるだけでも問題ないぐらいですね」 あの時は、ホントに大変だった。 一人ではおトイレにも行けないのだから、色々と問題が......いや、忘れよう。 あれは私たち全員の記憶から抹消されるべき物だ。 「それは儂でもいいだろうか? 首尾良くサラマンダーを斃す事ができれば、その素材を持ち帰る人手も必要となるだろう?」 「なら私も、手を挙げますわ。これは当家の根幹に関わる事。サラサさんだけにお任せするわけにはいきません」 私の言葉に、すぐにアデルバート様とカテリーナさんが申し出てくれたけど――。 「できれば、アイリスさんとケイトさんにお願いしたいです。いかがですか?」 「もちろん、私に否やは無い! 協力させてくれ!」 「当然、私も。どれだけの事ができるか判らないけど......」 即座に応えてくれるアイリスさんたちに対し、アデルバート様たちは子供たちの事が心配なのか、少し不満そうな表情になる。 「何故だ? 多少老いたとはいえ、まだまだ儂はアイリスに負けんぞ」 「そうです。ケイトよりも私の方が頼りになりますよ?」 「アイリスさん、ケイトさん、そうなんですか?」 「ああ。お父様は騎士である事に誇りを持っているからな。私の実力では到底及ばない」 「悔しいけど、私もまだママの腕前には、及ばないかな......?」 わお。アイリスさんはともかく、ケイトさんの弓の腕を考えると、それってすごい事じゃ? 私が向けた視線に、お二人は平然としたまま、しかしごく僅かながら得意そうに口角が上がる。 「う~ん、そうなんですか。ただ、やはり今回は、アイリスさんたちに」 頷きつつも意見を変えない私に、アデルバート様は再び不機嫌そうになり、アイリスさんは少し安心したように言葉を紡ぐ。 「お父様。戦いに於いて共に戦う戦友同士、信頼関係が重要な事はご存じでしょう? 私と店長殿の間にはそれがあるのです」 「む。確かに儂とサラサ殿は今日会ったばかり。その点を言われると弱いな」 少々不本意ながらも、納得したようなアデルバート様とドヤ顔で胸を張るアイリスさんには申し訳ないんだけど......。 「いえ、今回はそれ、関係ありません」 はっきりと言った私に、アイリスさんが得意げな表情から一転、愕然として振り返った。

"Master, is that so? Uh-huh." To me roaring in arms, the strange looks are Lady Adelbert and Mr. Katerina. "Master of Lord Sarasa? No matter how many alchemists, for an amount that's so easy to give out... wouldn't it? "That's Adelbert, the manager's master is a master class alchemist." "Oh my God!" Sure, a master would normally have that amount of cash, and if it's not the master class, or when he's more than some alchemist and holds a lot of cash, it's not an amount he can't give out. Of course, I can't do it right now. "If you ask me, I can handle it, maybe..." Maybe I said, 'I even owed you money!' If you cry, say even one of the sarcasms and take a light place on your shoulder, 'I'll work for free until I'm done giving it back!' and will take you back to the Wang Du store. Seems like he's been recognized as an apprentice for once? However, for the sake of someone I know...... I wonder? "I promise I will return it. I'm very sorry to ask for more in a position where I already owe a lot of money, but could you please, please, please! You're right! "Mr. Store Manager, please! Mr. Iris and Kate lowered their heads so that they could put their foreheads on the table. Next to that, Mr. Adelbert and Mr. Caterina are confused about what's going on and are unable to decide what to do. Well, for both of you, I'm the guy you just met today. The relationship is too thin to ask me to lend you money, and the amount is huge. And while I was worried about the response, Master Adelbert shook his head and spoke to Mr. Iris and the others. "Iris, Kate. You must be bothering Lord Sarasa. Keep your head up." "But Father, you've already relied on us..." "I don't know anyone with money, we do. Because we only have a relationship similar to our own." Katerina says she's pretty much without a lid, just like Iris said. "Mmm." "Mom......" Well, I'm in trouble. If I do my best to ask for it, the master may lend it to me, but it's too big a sum, and I can quite deduct asking you simply to lend me the money. At the very least, I'd like to keep it to the point where you would buy a normal amount of ingredients, like when you're an ice tooth bat fang. And the most efficient way to make money is to make money in the main business rather than doing unfamiliar things. "You don't have to borrow money from your master, you can't handle it. But you don't." "Is that true! What's the plan? Mr. Iris reacts instantly to my words, and I whine and say what I think. "Mr. Iris. I'm an alchemist, and Mr. Iris and the others are collectors. What's your job? "- A collection of materials! No, but with a forehead that I can handle... the lava lizard material was higher than I thought." "Dear Mom and Adelbert, if you finally call your dad and do it all together..." "Still, it would normally be tough just to collect the material. But if you can get valuable material, that's not the case. Don't you have any idea? "Precious material......? "... Mr. Store Manager, no way, Salamander? "Correct! If you get that one, you can have the money just to repay your debt. The problem is with the seller, but you can do something about it if you ask your master." Although it will be sweet again, it is obviously easier to say the latter simply by saying 'lend me some money' and 'buy materials that are difficult to sell'. Besides, my master tells me to send "rare materials," so I think if it's a salamander level, I'll have enough of those glasses. If they say, "I can't buy it," then I'll cry, "I sent something rare." "But Mr. Store Manager, we were talking about a very unrivaled, dangerous opponent, weren't we? "That's right. I know that Salamander is dangerous. Not very much, but with permission." "Yeah, Kate's going somewhere like that... I'm worried" I instantly shook my head at Master Adelbert and Katerina, who seemed anxious, to say the slightest. "Of course, I'm not telling you two to fight Salamander. Mostly because it's suicide." "Then... maybe the manager? If you're the manager, you can defeat the spa..." Mr. Iris peeps at me like you'd expect... "No, I can't handle it alone either. However, I have something like my wife...... so if someone can support me, maybe I can figure it out? I'm going to check with my master." If it seems okay to ask your master, it's worth trying. Already Master Adelbert doesn't seem to intend to marry Mr. Iris and Howe Barr, either, but that's why I don't like Mr. Iris' house crumbling. You want to help as much as you can, don't you? We got along because of this. "Hmm, the alchemist's hand? Is that not a problem for Lord Sarasa to use? I appreciate you thinking about us..." "That's no problem. I just want someone to bring me back safely and, if possible, to support me when fighting salamanders because I'm going to be a little incapable of moving after I use them. I don't think it's impossible for one person, but if we're going to make it safer," "Mr. Store Manager, is that like when Hell Flame Grizzly? I shake my head to Kate, who looks anxious, remembering that I've been unable to move properly for a few days. "No, it's better than that. You'll be able to move after a while, so in the meantime, you'll have no problem just protecting me." At that time, it was really hard. I can't even go to the bathroom on my own, so I have a lot of problems... No, let's forget it. That is something that should be erased from the memory of all of us. "Is that okay with you? If we can kill Salamander properly, we'll need people to bring that material back, too, right? "Then I'll raise my hand, too. This has to do with our roots. We can't just leave it to Mr. Sarasa." In my words, Lady Adelbert and Mr. Caterina immediately offered me... "If possible, I'd like to ask Mr. Iris and Mr. Kate. How about that? "Of course, I have no objection! Let me help you! "Naturally, so am I. I don't know how much I can do..." In response to Iris, who responded immediately, Adelbert looked a little unhappy about the children. "Why? Even though I'm a little old, I still can't beat Iris." "That's right. You can count on me more than Kate, can't you? "Mr. Iris, Mr. Kate, is that right? "Oh. Your father is proud to be a knight. It's not in my power." "I regret it, but I'm still in my mom's arms too, don't you think...? Whatever Mr. Iris is, considering Kate's bow arm, isn't that amazing? To the gaze I point at, you two keep your mouths flat, but your mouth angle rises as if you were very, very good at it. "Uh-huh, is that right? It's just, this time, to Mr. Iris and the others." To me as I nodded and did not change my opinion, Master Adelbert again seemed grumpy, and Mr. Iris spins the words as if he was a little relieved. "Father. You know how important it is to have trust between your comrades fighting together in battle? It's between me and the manager." "Mm-hmm. Sure, Lord Non and Lord Sarasa just met today. You're weak when you say that." Though slightly unintentional, I apologize to Master Adelbert and Mr. Iris, who puts his chest up with a Doya face like he was convinced... "No, it doesn't matter this time" To me clearly, Mr. Iris turned away from his good look and looked back stunned.

「これは、なんとも......見事に壊れたね」 全身筋肉痛からの回復に数日。 やっと動ける様になった私は、家の被害状況を確認してるんだけど......うん、とっても、 台所から家の後ろの森まで、見事なまでに良く見える様になっている。 裏庭への扉も、裏庭を囲む塀も、まとめて破壊されたからね! ただ、もっと滅茶苦茶になっていたと思われる裏庭と台所は少し片付き、瓦礫は隅の方に積み上げられていた。 「店長殿、私たちも多少は片付けたのだが、薬草などはどう手を付けるべきか解らず......」 「あぁ、いえ、良いんですよ。ありがとうございます」 私に見て回っているアイリスさんが申し訳なさそうに言うけど、そもそもここは私の家。 片付けるのは私の仕事だ。 「私たちもできる事があれば何でも手伝うから、言ってね! お部屋、借りているんだから」 「ケイトさんもありがとうございます。でも、何から手を付けるべきか......」 少し考え込んだ私に、ロレアちゃんがピッと手を上げて口を開いた。 「サラサさん、良い機会です。台所を作りましょう!」 「台所? 台所から修復しようって事?」 「いえ、ちゃんと料理ができる、良い台所を、ですよ。今までの台所って、料理ができなかったじゃないですか」 まぁ、 、無かったしね。 コンロも付いてなかったし。 完全に、買ってきた物を食べるための食堂だった。 「でも、私、あんまり料理、しないし......」 実際の所、ディラルさんの所があるから、あんまり困ってない。 料理をする事で節約になるならともかく、この村だと自分で作っても、あんまり変わらないと思うんだよね。ディラルさんの食堂、リーズナブルだから。 「でも、採集者が戻ってきたら、また混むようになりますよ? ちょっと前、混んでいて大変って言ってませんでした? サラサさん」 「うっ......」 それは否定できない。 私がこの村に来た頃には待つ事なんか無く座れたのに、あの騒動の前頃には、食事 「戻ってくるかな? ヘル・フレイム・グリズリーに逃げ出した採集者が」 自分の実力と敵の強さを考えて、戦わない事を選択する事自体は、採集者として間違って無いとは思う。 だけど、ほぼ全員が知り合いのこの村に於いて、“危ない時に逃げ出した”という烙印は、なかなかに重い。 ウチと雑貨屋のダルナさん、それに宿屋のディラルさんが取引を拒否しただけで、収入無し、宿無し、食料も買えないで詰んじゃうからね。 それをやるかどうかは別にしても、結構肩身の狭い思いをする事は間違いないと思う。 「店長殿、本人たちは戻ってこないかもしれないが、別の採集者は来るんじゃないか?」 「いえ、逃げ出した採集者も戻って来るんじゃないかしら。他人の視線なんか気にしない採集者も多いから」 「確かにな。まったく! 嘆かわしい。村人が危ない時に逃げ出しておきながら」 「アイリス、それは仕方ないわよ。採集者は騎士じゃないもの」 「しかしだな、守る力がありながら逃げ出すのは、人としてどうなんだ?」 憤懣やるかたないとばかり、鼻息も荒く言葉を吐き捨てるアイリスさんをケイトさんが宥める。 私としても、どちらかと言えば、ケイトさん寄りかな? 公平に考えると、大して親しくもない相手のために、命を懸けるのはなかなか難しいし。 「いい年をした男が逃げ出すとか! 店長殿の様な小さい女の子でも............いや、うん、店長殿は例外だな、うん」 語気も荒く不満を口にしていたアイリスさんだったが、私の方をチラリと見て、急にトーンダウン。 「言っときますけど、ちゃんと成人してますからね? 少し小柄ですけど!」 「も、もちろん解っているとも! 決して、子供だなんて思っていない!」 「絶対思ってましたよね!」 思ってなければ、先ほどの台詞は出てこないはずっ! 「ま、ま。サラサさん、今はそれよりも台所です。壊れちゃった扉回りもこのままじゃダメですし、ちゃんとしたのを作りましょう、この機会に。サラサさんがあまり使わなくても、私が活用しますから」 「......ロレアちゃんが?」 「はい。お昼ご飯とか、作りますよ? 私も店番だけじゃ、あのお給料は、ちょっと心苦しいですし。よろしければ、朝と夜も」 「それは......とてもありがたいね」 ロレアちゃんの料理の腕は良く知らないけど、作ると言う以上、それなりに自信がある......んだよね? くても、人の多い食堂に行かずに済むのなら、それはそれで楽だし。 「アイリスさんとケイトさんもその方が良いですよね? 今、食事に困ってますよね?」 「わ、私たちか? い、いや、ちゃんと食べているぞ、うん」 「え、えぇ。採集者は身体が資本だもの」 ロレアちゃんの問いに、問題ないと答えだけど、その様子は明らかに怪しい。 視線が泳いでいる。 なので、ちょっと強引に聞き出してみれば、私が寝込んでいた間、ほとんどの食事を安いパンで済ませていたらしい。 私に大きな借金があるからみたいだけど......これはダメだね。 「解りました! しっかりとした台所を作ります! 毎回の食事は、みんなで一緒に食べましょう!」 「いや、しかし――」 戸惑った様に、何か言おうとしたアイリスさんの言葉を私は少し語気を強めて遮る。 「もちろん! アイリスさんとケイトさんには食費を払ってもらいます。少なくとも、食べに行くよりは安く付くはずです。ケイトさんが言った様に、採集者は身体が資本。体調を崩してしまっては、結果的に返済が遅れますから。良いですね?」 「私としては、ありがたい事だが......」 「ええ。でも店長さん、良いの?」 「構いません。そのうち、台所をキチンとしようとは思っていましたから。あ、ロレアちゃんの食費は要らないよ。料理を作ってもらう分で相殺ね」 「そのくらいは、今もらっているお給料のうちで良いんですけど......」 「ダメダメ。最初の契約に無かった仕事なんだから。そのへんはきっちりやるよ、私は」 本当は分の料理をする手間賃、ロレアちゃんが食べる分の材料費だけじゃ少ない気もするんだけど、追加で給料を払うと言っても受け取りそうに無いしね。 「と、言う事で、食事は全員で。そう決めました! 家主権限で!」

"What a... brilliant break." A few days to recover from general muscle pain. Now that I can finally move, I'm checking the damage to the house...... yeah, very, very much, look (...) and (...) but (...) good (...) yes (...)! From the kitchen to the woods behind the house, they look good by the time they are stunning. Both the door to the backyard and the walls surrounding the backyard were destroyed! However, the backyard and kitchen, which seemed to have become more disastrous, had been cleaned up a little and the debris had been piled up towards the corner. "Dear Store Manager, we cleaned up some of it too, but we don't know how to handle herbs..." "Oh, no, it's fine. Thank you." Mr. Iris looking around with me says sorry, but this is my house in the first place. It's my job to clean up. "We can help you with anything we can, too, so tell me! I'm renting a room." "Thank you too, Kate. But what to start with..." Lorea lifted her hand and opened her mouth to me, thinking a little. "Mr. Sarasa, this is a good opportunity. Build a kitchen! "Kitchen? You mean repair it from the kitchen? "No, you can cook properly, have a good kitchen. You couldn't cook in the kitchen until now." Well, Kamado, there wasn't. It didn't even have a stove. Completely, it was a dining room to eat what I had bought. "But I, I don't cook much, and..." As a matter of fact, I don't have a lot of trouble with Mr. Dilal's place. Anyway, if cooking saves money, I don't think making your own in this village will make much difference. Mr. Dilal's dining room, because it's reasonable. "But when the gatherers come back, we'll be crowded again, won't we? Didn't you say a while ago it was crowded and tough? Mr. Sarasa." "Ugh..." That is undeniable. When I came to this village, I had nothing to wait for, but before that commotion, I couldn't sit down until I missed my meal. "Will you come back? Hell Flame Grizzly has a runaway gatherer." Considering your strength and the strength of your enemies, choosing not to fight is not wrong as a gatherer in itself. But almost everyone knows this village, and the brand "escaped in time of danger" is quite heavy. We and the grocery store Darna, and the innkeeper Dilal just refused to make a deal, no income, no lodging, and no food to buy and pack. Bye. Whether you do it or not, I'm pretty sure you have a narrow shoulder. "Lord Store Manager, we may not be back in person, but will another gatherer come? "No, I wonder if the escaped gatherer will come back. Because a lot of collectors don't care about other people's gaze." "Sure. Damn it! It's lamentable. while the villagers flee in times of danger." "Iris, I can't help it. The gatherer is not a knight." "But, you know, what about running away while you have the power to protect, as a person? Kate forgives Mr. Iris for not being angry and throwing up his nose and words. Even if it's me, one way or the other, Mr. Kate, are you coming by? To be fair, it's hard to risk your life for someone you're not even very close to. "Like a good old man getting away with it! Even a little girl like the manager... no, yeah, the manager is the exception, yeah." He was also a rough, dissatisfied Mr. Iris, but he looked at me more chilly and suddenly toned down. "I'm telling you, you're a proper adult, aren't you? It's a little small though! "Or, of course, I know! Never, I don't think you're a child! "You definitely thought so! If you hadn't thought about it, you wouldn't have come up with an earlier dialogue! "Ma, ma. Mr. Sarasa, it's more of a kitchen now than that. You can't stay like this around broken doors, and let's make a decent one, on this occasion. Even if Sarasa doesn't use it much, I'll take advantage of it." "... Lorea did? "Yes. Lunch or something, I'll make it, right? I don't just have a store number, either, and that salary is a little distressing. If you don't mind, morning and night." "That's... that's very kind of you" I don't know Lorea very well about her cooking skills, but I'm much more confident than saying I'll make them...... right? Well, even if it's a little awkward, if you don't have to go to a crowded dining room, that's easier. "Mr. Iris and Mr. Kate would be better off with that, wouldn't they? You're having trouble eating right now, aren't you? "Wow, is that us? Hey, no, I'm eating right, yeah." "Uh, yeah. Collectors are the capital of the body." To Lorea's question, the two of you answered no problem, but the condition is obviously suspicious. My gaze is swimming. So if you ask me out a little hard, they'd have done most of the meals with cheap bread while I was asleep. Sounds like it's because you owe me a lot of money... but this isn't working. "Got it! I'll make a solid kitchen! For every meal, let's all eat together! "No, but-" As bewildered as I am, I try to block Mr. Iris' words by strengthening his tone a little. "Of course! I'll have Mr. Iris and Mr. Kate pay for the food. At least it should come cheaper than going to eat. Like Kate said, collectors are capitalized by their bodies. Because if you get sick, you will consequently be late for repayment. That's good, right? "As far as I'm concerned, thank you..." "Yeah. But Mr. Store Manager, is that good? "I don't mind. In time, because I was going to use the kitchen as a kitchen. Oh, you don't need to pay for your food, Lorea. Offset by having them cook." "That's about as good as the salary I'm getting right now..." "No, I can't. It's a job that wasn't on the first contract. I'll make sure of that, I will." Nah, no. The truth is, I don't think Lorea's just going to pay enough to cook for three meals, or for the ingredients she eats, but she's not going to get it when she says she's going to pay extra. "And so the meal is for everyone. That's what I decided! By landlord authority!

「お帰りなさい、サラサさん」 帰宅した私を出迎えてくれたのはロレアちゃん。 奥にいたらしい、アイリスさんたちもすぐに出てくる。 万備えには仕事に行かず、家にいてくれるように頼んでおいたのだ。 さすがに店を襲撃することは無いと思ったけど、帰り道のことを考えると、備えておいたのは正解だったかもしれない。 「店長さん、お帰りなさい」 「ただいま帰りました」 「店長殿、どうだった?」 少し楽しげな様子で聞いてきたアイリスさんに、私は頷いて答える。 「順調、と言って良いと思います。かなり焦っているみたいですよ。帰り道、盗賊を 「えっ!! 大丈夫......よね、店長さんなら」 「もう少し、心配してくれても良いんですよ? ケイトさん」 後ろで不安そうな表情を浮かべている、ロレアちゃんの様に。 たぶん、彼女の場合は、私の事だけじゃないんだと思うけど。 「だが、問題なかったのだろう?」 「はい。綺麗に駆除しておきました。なので、ロレアちゃん、ダルナさんは心配ないですよ」 「ありがとうございます! お父さん、腕っ節の方はさっぱりだから......」 まぁ、この村とサウス・ストラグの間は、基本的には安全みたいだからねぇ。 これまで、盗賊が出たという話も聞いてないし。 領主がきちんと対処しているのか、それとも襲うほどの収益が見込めないと思われているのか。 ......たぶん、後者だね。 武器が扱える採集者は襲うリスクが高いし、それ以外の商人なんてダルナさんぐらい。 こんな小さな村の商人が持つお金なんて高がしれているし、運んでいる物も雑貨類か村の農作物。襲ったところで利益は少ない。 けど、冷却帽子みたいな高価な物も扱いだしたわけだし、たまには私が見回りした方が良いのかも。 「しかし、あの商人も粘るなぁ」 「既に引けなくなっているんでしょ。ここまでお金を使って、成果無しだと最悪、商会が破綻するんじゃないかしら?」 「もちろん、それを狙っています。色々餌も撒いてますしね。先ほど、氷牙コウモリの牙の在庫が残り少ない、と言ったら、明らかに喜んでましたよ」 そう言って笑う私に、ロレアちゃんが微妙な表情になる。 「少ない、ですか。まだまだありますよね、在庫」 「うん。私が使うだけなら、一〇年経っても無くならないね」 それはもちろん、販売用の冷却帽子などに使う物を含めても、である。 つまり、この件がどうなろうと、この村の産業は安泰。問題なしである。 「その商人は完全に店長殿の手のひらの上か。少々哀れだな」 「人聞きが悪いですね。この件、レオノーラさんも噛んでますからね?」 むしろ、情報収集なども含めて、絵図面の半分以上はレオノーラ作である。 私の感覚では。 レオノーラさんがどう言うかは知らない。 「それに、話を聞いた感じ、あの商人は潰した方が良さそうでしたからね」 ついでにアイリスさんたちにも、レオノーラさんから聞いた話も教えてあげる。 「――と、まぁ、そんな話や、私が盗賊に襲われたことを考えても、かなり非合法な手段を使ってやってると思うんですよね、借金を背負わせたのも」 「よし、潰そう」 「えぇ、慈悲は必要ないわ」 「酷いです! そんな商人、許せません」 簡単に意見が纏まった。 「もちろん、そのつもりです」 私はそう応えて頷く。 と言っても、やることは変わらないんだけどね。 アイリスさんたちとそんな会話をして、更に一〇日間ほど。 私の店を訪れる、でっぷりと太った人影があった。 「いらっしゃいませ。あれ? ヨクさんでしたよね。今日はどうしました?」 そう、件の商人である。 ――とか言ってる私だけど、実際のところ彼が店に来ることは、事前に知っていた。 私には心強い、採集者情報ネットワークがあるから。 なので、ロレアちゃんに代わって私が店番に立っているのだ。 「こんにちは、サラサさん。あー、氷牙コウモリの牙の在庫状況はどうかと思いましてね。不足しているようなら、融通致しますよ?」 「あ、その件ですか。お気遣いありがとうございます。ですが、大丈夫ですよ。知り合いに相談すると、安く融通してもらえることになりましたので」 一見すると人の良さそうな笑みを浮かべて提案するヨクに、私もまた笑みを浮かべて応える。 と、同時に、彼の笑みが引きつった。 「......それは、もしかしてサウス・ストラグから?」 「えぇ。一番近い町ですからね。買い付けるなら、あそこですよね?」 「ぐっ......で、ですが、あそこで仕入れるとなると運搬コストが必要でしょう? 私ならそのあたり、ご相談に乗れますよ?」 「いえ、サウス・ストラグで仕入れないといけない素材は、氷牙コウモリの牙だけじゃないですから。幸い、牙はあまり場所を取りませんし、そう大量に使う物じゃないので、ついでに買ってくる程度で十分なんですよ、私のお店では」 「はい」 キッパリと答える私に、ヨクが鼻白む。 うん、うん。そろそろ限界だよねー。 今日明日にでも纏まった額を手に入れないと、結構ヤバい状況ってのは聞いてるよ、レオノーラさんから。 ......あの人、どこから情報を仕入れているんだろ? かなり裏の情報っぽい物まで知ってたし。 「実は私ども、そろそろこの村を離れようかと思っているのです」 「そうなんですか。寂しくなりますね、ヨクさんたちのおかげで村が随分と活気づいていたようですのに」 「ははは......私どもも商売がありますからね」 だからこそ、何とか損害を少なくして引こうとしているんだろうけど......もう遅いと思うよ? 「そこで相談なのですが、よろしければ私どもの持つ氷牙コウモリの牙の在庫、引き取って頂けませんか?」 そう来るよね。 そうなるように頑張ったから。私とレオノーラさんが。 「今は氷牙コウモリの牙、必要ないのですが......」 「そう言わずに、そこをなんとか!」 半ば拝むように言うヨクに、私は腕を組んで唸る。 「う~ん、そうですねぇ......とりあえず、見せて頂きましょうか」 「解りました!」 私が“渋々”という様子をハッキリと見せつつ頷くと、ヨクは急かされるように、持っていた革袋を『ドン』とカウンターの上に置いた。 私はその革袋の中から、一掴みほど氷牙コウモリの牙を取り出すと、それをカウンターの上に並べ、焦らすようにじっくりと、一つずつ検分する。 そして、その様子をイライラしながら見ていたヨクに対し、私はこれ見よがしにため息をついた。 「うーん、保存状態が良くないですねぇ」 「そ、そんなっ!? 氷牙コウモリの牙は特に処理をしなくても、劣化しない素材のはず!」 驚きと、困惑、それに怒りを混ぜ合わせたような表情で、額に脂汗を浮かべながら身を乗り出してきたヨクから、私は身体を反らして距離を取る。 「いえいえ、それは違いますよ。確かに氷牙コウモリの牙は 「なら!!」 「でもそれは、採集者が氷牙コウモリを狩って、錬金術師の所に持ち込むまでの時間程度では、です。そのまま置いておけば、劣化は進みます。つまり、価値はドンドン下がっていくんですよ」 これはもちろん、嘘 ただ、普通の用途だとあまり影響は無いし、そこまで細かく調べるのは大変なので、おおよその値段で買い取っているだけ。 ロレアちゃんみたいに、錬金術師以外が店番をしている場合は、それを調べることもできないからね。 「な、ならこれは......?」 「あまり良くないですねぇ。しかもこれだけの量となると、消費するまでにはかなりの時間が必要になります。正直、価値が無くなる物も多いでしょうね」 ――何の処理もしなければ、ね。 「そ、そんな......」 ヨクの額に浮かんだ脂汗が流れ始め、顔色も少し悪くなっているご様子。 くぷぷ、大丈夫ですか? 「まぁ、私も多少は使いますから一〇本程度なら買い取っても良いですが......」 「こ、ここには一万本どころじゃなくあるんだぞ!?」 「そうですねぇ、たくさん買い集められましたねぇ」 うん、たくさん狩ったなぁ......。 思わず遠い目をしてしまうほど。 「ふ、ふざけるな!」 「いえ、私に怒鳴られても困るんですが......もちろん、他の町に持ち込まれても良いとは思いますが、これだけの量、買い取れる人はそういないでしょうし、その間も価値はドンドン下がっていきますから......いくらぐらいになるでしょうね」 言外に、運んでいる間にも価値は下がることを示唆。 実際の所、誤差かなーって感じなんだけど、買い取れるところが無いのは、たぶん事実。 「うぐぐっ......」 るのなら、全部買い取っても良いですが......」 「ほ、本当か!?」 もったいを付けていった私の言葉に、ヨクが救われたような表情になる。 でも、私が救うと思いますか? 盗賊を嗾けられたのに。 「えぇ。ただ、これだけの量だと普通の使い方では使い切れないので、少々効率の悪い使い方でも消費する必要があります。高くは買えませんよ?」 「ううぅ、そ、それでも構わない。買ってくれ!」 「解りました。それでは査定しますから......そうですね後にお越しください」 「......は? 四日後? それじゃ間に合わない!」 青くなったり、赤くなったり、ヨクの顔色が忙しい。 「と、言われましても。この数の牙、簡単に査定できると思いますか? 常識的に考えて」 「むむむ......!」 一万本あるとして、一本あたり十秒程度でチェックするとしても、何日かかるやら。 営業時間内でチェックするならぐらいが妥当な線じゃない? そういう事をやんわりと伝えれば、ヨクとしても否定はできなかったのだろう。 ただ『うぐぐ』と唸るだけになってしまった。 「お急ぎでしたら、今すぐ即金で買い取っても構いませんが――」 「た、頼む!」 「はい。ただし、評価額の方は、かなり下がることになりますよ? どんな状態かも判らないまま買うんですから」 「ぐぎぎぎっ! か、構わん! それで買ってくれ!」 「解りました。少々お待ちください」 ギリギリと砕けそうなほどに歯を食いしばり、絞り出すように言ったヨクの言葉に私は頷き、氷牙コウモリの牙を数えながら木箱に放り込んでいく。 そして簡単に計算、硬貨をカウンターの上に並べる。 その少なさにヨクは目を剥いて顎を落としたが、私がニコリと微笑むと、拳を握りしめてブルブルと震わせながら、首を縦に振る。 「それでは、商談成立という事で」 「クソッ!」 ヨクは悪態をつきつつ、お金をひっつかむと、革袋の中に詰めていく。 その姿には、最初にこのお店に入ってきた時のような余裕は無い。 だよねー、サウス・ストラグで待っている人たち、いるもんねぇ。 「ありがとうございましたー。またどうぞー」 「二度と来るか!!」 笑顔で手を振ってあげた私に対し、返ってきたのはそんな悪態だった。 酷い人だよね?

"Welcome home, Mr. Sarasa" It was Lorea who welcomed me home. They were in the back, Mr. Iris and the others will be out soon. Just in case, I asked the two of you not to go to work and stay home. I just didn't think I'd ever raid the store, but given the way home, I might have been right to be prepared. "Welcome home, Store Manager" "I'm home now" "How was the store manager? I nod and answer to Mr Iris, who has asked in a slightly more pleasant way. "Fine, I think it's a good idea to say. Looks like you're in a pretty hurry. On my way home, I was beaten to death by bandits." "Eh!! It's okay...... if you're the manager" "You can be a little more worried, can't you? Mr. Kate." He's got an anxious look behind him, like Lorea. Maybe in her case, it's not just about me. "But you didn't have a problem, did you? "Yes. I got rid of it beautifully. So don't worry, Lorea, Mr. Darna." "Thank you! Father, the arm is refreshing..." Well, between this village and South Strag, it's basically like it's safe. I've never heard of a bandit before. Are the lords dealing with it properly, or do they think they can't expect enough revenue to attack them? ... Probably the latter. Collectors who can handle weapons are at high risk of attacking, and I don't know what other merchants Mr. Darna is. The money such a small village merchant has is expensive, and the goods he carries are groceries and village crops. There is little profit where it was attacked. But I also dealt with expensive things like cooling hats, and sometimes I might as well look around. "But that merchant sticks too" "You can't pull it off already, can you? Spend so much money, and if it doesn't work, the Chamber of Commerce will go bankrupt? "Of course, I'm after that. You're spraying a lot of bait. I was obviously delighted when I said earlier that I don't have enough ice tooth bat fangs left in stock." That's what I say and laugh at, and Lorea gives me a subtle look. "Less, is it? There's more, isn't there, inventory?" "Yeah. If I just use it, it won't go away after ten years." That is, of course, even if it includes items used for sale cooling hats and the like. I mean, no matter what happens to this thing, the industry in this village is Antai. No problem. "Is the merchant entirely on the palm of the manager's palm? That's a little pathetic." "You're a bad listener. Mr. Leonora is chewing on this, right? Rather, more than half of the picture surface is Leonora's work, including gathering information, etc. In my senses. I do not know what Mr Leonora would say. "Besides, it felt like the merchant should have crushed it." Finally, I will tell Mr. Iris and the others what Mr. Leonora has told me. "- And, well, even considering that story and that I was attacked by a bandit, I think you're using pretty illegal means to do it, too, to make me carry debts." "All right, let's crush it" "Yeah, you don't need mercy." "It's terrible! Such a merchant is unforgivable." Opinions were easily gathered. "Of course, I intend to." That's how I nod in response. That said, it doesn't change what I do. I had that conversation with Mr. Iris for another ten days or so. There were fat people visiting my shop. "Welcome. Is that it? It was Mr. York, wasn't it? What's wrong with you today? Yes, he's a merchant. - I'm saying something like that, but the truth is, I knew in advance that he was coming to the store. Because I have a comforting, gatherer information network. So I'm standing in the store number on behalf of Lorea. "Hello, Mr. Sarasa. Uh, I was wondering about the availability of ice tooth bat fangs. If there seems to be a shortage, we'll accommodate it, won't we? "Oh, is that the case? Thank you for your concern. But it's okay. Talk to someone you know and they'll be able to accommodate you cheaply." I also respond with a grin to Yorke, who at first glance suggests with a good-looking smile of people. And, at the same time, his grin caught on. "... Is that, possibly, from South Strag? "Yep. Because it's the closest town. If you want to buy it, that's it, right? "Grr... But when you buy there, you need transportation costs, right? I could talk to you around that, right? "No, because ice tooth bat fangs are not the only material that needs to be purchased in South Strag. Fortunately, the fangs don't take up much of a place, and it's not a lot of stuff to use, so it's enough for me to finally buy it, in my shop." "Oh really..." "Yes." Yoku snorts at me, answering with a kick. Yeah, yeah. It's time for the limit, isn't it? I hear you're in a pretty bad situation if you don't get your wrapped up forehead today or tomorrow, Mr. Leonora. ... that guy, where are you purchasing the information from? I even knew something pretty informative back there. "Actually, we're thinking it's time to leave this village." "Really? I'm going to miss you, even though the village seems to have been very vibrant thanks to the Yorks." "Ha ha... we have business too" I guess that's why you're trying to pull it off with less damage... you think it's too late? "So I need to talk to you, if you don't mind, about our stock of ice tooth bat fangs, could you pick them up? That's what's coming, isn't it? Because I tried so hard to be. Me and Mr. Leonora. "Ice tooth bat fangs now, I don't need them..." "Don't say that, do something about it! To York, who tells me to worship half the time, I roar in arms. "Uh-huh, yeah... let me just show you" "Got it! When I nodded with a clear look of "reluctance," York placed the leather bag he had on the counter with "Don" so as to be rushed. I take the ice tooth bat fangs out of that leather bag about a grasp and I line them up on the counter and carefully, one by one, to scorch. And I sighed at this sight against Yorke, who watched in frustration. "Hmm, you're not in a good state of conservation" "Oh no!? Ice tooth bat fangs should be non-degrading materials, even if they don't have to be treated specifically! With a look that mixes surprise, confusion, and anger with it, I turn my body against and distance myself from Yorke, who has ridden himself out with a fat sweat on his forehead. "No, that's not true. Indeed, ice tooth bat fangs are inferior (...) and (...) and (...) and (...) and (...) and (...) material." "Then!!" "But that's about as long as it takes for the gatherer to hunt the ice tooth bat and bring it to the alchemist. Leave it there and the degradation will proceed. I mean, the value is going down." Of course this is a lie and (...) is not (...). However, it doesn't have much impact when it's a normal use, and it's hard to look into it in that much detail, so I'm just buying it out at an approximate price. Like Lorea, if someone other than the alchemist has a store number, you can't even look into it. "Well, then what is this...? "That's not very good. And with this much, it takes a lot of time to consume. Honestly, a lot of things are going to be worthless." - If you don't do anything about it, yeah. The sweat that floated on Yoke's forehead began to flow, and he looked a little pale. Kupu, are you okay? "Well, I will use some too, so if it's about ten bottles, I can buy it..." "Ko, there are not ,000 bottles here!?" "That's right, they bought a lot of them." Yeah, I hunted a lot...... So much so that I accidentally look far away. "Don't be ridiculous! "No, I have trouble yelling at me...... of course, I know you can bring it into other towns, but this much, no one will be able to buy it, and in the meantime the value will go down dong...... how much will it be" Needless to say, it suggests that value goes down even while you're carrying it. As a matter of fact, I feel that there is no error, but it is probably true that there is nowhere I can buy it. "Uggh..." "If you really want to say," You can buy it all out... " "Ho, is that true!?" In my words that I followed, I would have the look of Yok being saved. But do you think I'll save you? They beat up the bandits. "Yep. However, you need to consume it even in a slightly inefficient way because this much will not run out of normal usage. You can't afford it, can you? "Ugh, well, that doesn't matter. Buy it! "I understand. I'll assess you then... well, come back in four days." "... what? Four days later? Then we won't make it! I'm blue, red, and I'm busy with my yoke complexion. "And even if they say so. Do you think this number of fangs can be easily assessed? Think common sense." "Mmmm......! Even if there are 10,000 copies, and you check them in about ten seconds per bottle, it'll take days. If you want to check within business hours, maybe three days would be a reasonable line? I guess I couldn't deny it as a yoke if I told him that easily. I just roared 'ugly'. "If you're in a hurry, you can buy it out with instant money now -" "Ya, please! "Yes, but the valuation will go down considerably, won't it? I buy it without knowing what the condition is." "Gurgh! Or, I don't mind! So buy me one! "I understand. Please wait." I snort at Yorke's words, which I said to eat my teeth and squeeze out so badly that they were about to crumble, and throw them into the crate as I counted the ice tooth bat fangs. And calculate easily, arrange the coins over the counter. To that lesser extent, York peeled his eyes off and dropped his jaw, but when I smiled nicely, he shook his neck vertically, gripping his fist and shaking it with a blurb. "So, we have a deal." "Shit!" Yorke gets evil, and when he grabs the money, he packs it in a leather bag. There's no room for that like when you first came into this store. That's right, people waiting in South Strag, they're here. "Thank you -. Here you go again -" "Will you ever come again!!" It was such an evil thing to have returned to me when I smiled and waved at you. You're a terrible person, aren't you?

「まぁ、そのカーク準男爵というのがダメな領主というのは解りました。それで、エリンさんの依頼というのは? ――すでに予想はついていますけど」 「ですよね、ここまで話せば。そうです。ヘル・フレイム・グリズリーの狂乱の原因調査です」 「やっぱりですかー。う~ん......」 困った様子のエリンさんは可哀想だと思うけど、これってどう考えても錬金術師の仕事じゃないよね? 少なくとも、学校で習った仕事には含まれていないし、師匠もそんな事していなかった。 こういった村の錬金術師なんて、ただでさえ医者の真似事や、ちょっとした知恵袋的な役割まで求められたりするのだ。 これ以上、何でも屋みたいな状況になるのは避けたいんだけど......。 そんな私の躊躇いを見て、エリンさんはアイリスさんの方へ顔を向ける。 「アイリスさんたちはいかがでしょうか?」 「う~む、協力したいという思いはあるのだが......」 アイリスさんは言葉を濁し、ケイトさんに視線を向ける。 その視線を受け、ケイトさんは頷いて、口を開いた。 「エリンさん、依頼という事は報酬が出るのよね?」 「はい、それはもちろん。依頼の達成に掛かる時間次第ではありますが、普段皆さんが稼いでいる額程度を日数分、頑張って捻出したいと思っています」 泊まり込みになる可能性を考えれば、報酬としては妥当。 でも、危険性を考えれば少し安いかも。 ただ、アイリスさんやアンドレさんの稼ぎは、この村の採集者では多い方なので、この村の経済状態を考えれば、そのあたりがギリギリの線だろう。 「ただ、あまり余裕は無いので、できれ間以内に戻ってきていただけると助かります」 申し訳なさそうにそう付け加えるエリンさんに、アイリスさんは深く頷く。 「ふむ。私はそれで請けても良いと思うが、ケイトはどうだ?」 「私も構わないわ。ただし、店長さんが請けるなら、と言う前提があるけど。私たちだけじゃ、力不足だもの。ヘル・フレイム・グリズリーが縄張りから追い出されたんでしょ? つまり、同等以上の敵と遭遇する危険性があるって事なんだから」 「だよな。一匹ぐらいなら、逃げ帰る事もできるかもしれないが......」 言葉を濁し、アイリスさんが腕組みをして唸る。 「エリンさん、店長さんの報酬は、何を考えているの? はっきり言って、村が払える額じゃ、店長さんは動かせないと思うけど」 エリンさんを見て、こちらにもチラリと視線を向けるケイトさんに、つい私は苦笑を漏らしてしまう。 実際、お金はあんまり魅力的じゃないしね。 そもそも村にある現金、私が払った物が大半だし、どのくらい余裕があるかも何となく判っている。 私を動かすのであれば、下手にお金を積むより、ロレアちゃんを動かして、泣き落としをする方がむしろ効果的。 もちろん、そんな事をされたら、エリンさんと私の間には大きなしこりが残ることになるわけだけど。 「はい、それはもちろん考えてきました。サラサさんには、薬草畑とそれの世話をする人、それで如何でしょうか?」 「薬草畑......?」 影の村長は伊達ではなく、それは私にも予想外の提案だった。 具体的には、この村の一般的な農家が持っているのと同じぐらいの広さの畑。 それをこの家の隣に作り、その畑を私がこの村にいる限り、世話をする人と共に提供してくれる、という事らしい。 ヘル・フレイム・グリズリーのおかげで荒らされてしまった裏庭の薬草畑、あれもまだ完全には復活していないから、それはある種、ありがたい申し出ではある。 畑の手入れをする時間もあんまり取れていないし......。 考え込む私に、エリンさんは手応えを感じたのか、笑みを浮かべて指を二本立てた。 「ただ、二点。提供する人材には薬草に関する知識がありませんので、サラサさんには薬草の育て方を教授して頂きたいということと、できた薬草の二割は育てた人の取り分として欲しいのです。いかがでしょうか?」 ほうほう。 私にもメリットはあるけど、村にもメリットがある方法を考えてきたわけか。 さすがエリンさん。 この村で可能な範囲で、よく考えてある。 ケイトさんも少し驚いたような表情で、感心したように声を上げた。 「......なるほど。考えましたね」 「ん? どういうことなんだ?」 「つまり、店長さんから薬草栽培のノウハウを教えてもらえるなら、畑と人手を提供しても元が取れるって事でしょ。自分たちで薬草畑を増やす事ができるようになるんだから」 農家による薬草栽培が一般的でない理由はいくつかあるけど、この村で周辺の森に自生している薬草を育てるのであれば、少なくとも気候的な問題に関してはクリアできる。 もちろん、それですんなりと成功するほど薬草栽培は簡単じゃないけど、問題が一つ解決するだけでも、結構大きい。 その上、薬草は重量単価が高いので、消費地から遠い村で作り、輸送コストが上乗せされたとしても、産業として成り立つ可能性は高い。 しかし、やはり問題は残る。 「エリンさん、一応言っておきますが、多くの薬草は下処理をしなければ長期保存はできませんよ? 私も薬草の下処理だけにかまけていることはできませんし、この村に錬金術師がいなくなった場合、産業としては成り立たなくなりますからね?」 「はい、それはもちろん考えています。メインの産業にするつもりはありませんし、その場合は日持ちをする薬草だけを栽培するようにします」 う~ん、それなら良いのかな? 畑一つから始めるなら、状況次第で方針転換も容易だし、仮に栽培が上手くいかなくても、世話をしてくれる人の給料ぐらいなら、私が負担できる。 一気に投資して、この村の産業が壊滅したとかなったら、私も寝覚めが悪いしね。 私としては、農家の畑の一角に、薬草コーナーを作るぐらいがちょうど良いと思うけど。 少し悩む私に、エリンさんは私の顔色を窺うように、もう一つの希望を口にする。 「――厚かましいお願いをするなら、素人でも可能な下処理を教えて頂ければ、とてもありがたいですが」 「そう......、ですね。“素人でも可能”というのは無理ですが、“錬金術師じゃなくても可能”というものなら、かまいませんよ。真面目に学ぶ事が前提ですが」 「ありがとうございます! それでは、お仕事を請けていただけるのですね!」 「む......そういう事に、なるでしょうか」 笑顔で私の手を握ってくるエリンさんに、私はちょっと唸って、頷く。 少し乗せられた感じがしないでもないけど、ご近所への協力の範疇かな、このぐらいなら。 都会とは違うわけだし、お付き合いは大事だから。 「ただし、出発に関しては、少し先になると思いますよ? アイリスさんたちも、そしてアンドレさんたちも回復したところでしょうから」 「はい、それはもちろん構いません。よろしくお願いいたします」 エリンさんはにっこりと微笑み、深々と頭を下げた。 ◇ ◇ ◇ エリンさんから仕事を受け後の朝。 私たは、私の先導で大樹海の森の中を進んでいた。 「サラサちゃん、方向はこっちで良いのか?」 「はい、問題ありません。おそらく」 ヘル・フレイム・グリズリーの調査と言っても、私たちには痕跡を辿るような技術は無いし、そもそも今更そんな物を探したところで、残っているはずも無い。 かと言って、人海戦術で広範囲を調べられるような時間も人数もいないわけで。 そこで私が取った手段は、情報収集。 アイリスさんたちの準備期間を利用して、私は師匠の伝で大樹海に関する書籍を取り寄せ、そこからヘル・フレイム・グリズリーが生息していると思われる場所を割り出したのだ。 元々、採集者の話などで大まかな場所は判っていたけど、場所が場所だけに、まかり間違って変な場所に足を踏み入れてしまっては、命が危ない。 大樹海の奥とは、そういう場所。 それ故、事前調査で、できる限りの地理と情報を入手しておくことは重要なのだ。 「皆さんは、どの辺りまで入った事がありますか?」 「私たちはごく浅い場所――毎日、店長殿の所に戻っている事から判ると思うが、その程度の時間でいける範囲だな」 「そうね。採取作業をする時間を考えれば、かなり浅いわね」 だよね。 少なくとも、私の家に住むようになって、帰ってこなかった日はないし、森の縁から歩いて数時間までの範囲、って感じかな? 「俺たちは、もう少し深い場所だな。たまには一泊することもあるし。なぁ?」 そう同意を求めたアンドレさんだったが、ギルさんとグレイさんはあっさりと否定する。 「ごくたまにじゃん。俺たちも、アイリスちゃんたちと、大して変わらねーよ」 「アンドレ、見栄を張るな」 「ぐ......良いじゃねぇか、ちょっとぐらい格好つけてもよ!」 ギルさんとグレイさんに、ポンポンと肩を叩かれ顔を赤くしたアンドレさんが叫ぶ。 「まぁまぁ。それでも多少経験があるだけで違いますから。やはり、ベテランの経験は頼りになります」 特に森の中での野営とか、私も学校の実習でやったぐらいで、あんまり経験が無い。 そんなことを言った私に対し、アンドレさんは少し気まずげに、頭を掻く。 「お、おう。けど実際、ベテランつっても、低いレベルの中でのベテランだからなぁ......」 村の中では上位に位置するアンドレさんたちだが、回収してくる素材はワンパターンと言えば、ワンパターン。 氷牙コウモリの牙に手を出していなかったように、絶対的な知識が足りていないのだ。 けど、それも仕方が無い部分もある。 アンドレさんたちの一つ上の世代、村に錬金術師がいた頃の採集者であれば、それなりに森の奥に入りいろいろな素材を回収していたらしいけど、錬金術師がいなければ、売れる素材にも制限が掛かるわけで。 危険な森の奥まで、売れるかどうかも判らない素材を取りに行くことはリスクが高すぎるだろう。 「せっかくの機会なので、売れる素材をお教えしますよ。上手くすれば、収入二倍ぐらいは堅いですよ?」 「おう、それはありがたい。よろしく頼むな!」 「任せてください!」 嬉しそうに笑うアンドレさんたちに私は頷き、ぐっと親指を立てた。

"Well, I understand that associate baron Kirk is a bad lord. So, what's Erin's request? - I already have a prediction." "Right, if we talk this far. Yes, it's the cause of Hell Flame Grizzly's frenzy investigation." "I knew it -. Uh-huh..." I know Mr. Erin in trouble looks pathetic, but whatever you think of this, it's not the alchemist's job, is it? At least, it wasn't included in the work I learned at school, and my master didn't do that. Even these village alchemists are required to act as doctors or even as little wisecracks. I'd like to avoid a situation like a store for anything more... Seeing my hesitation like that, Erin turns to Mr. Iris. "How about Mr. Iris and the others? "Uh-huh, I have a desire to cooperate..." Mr. Iris clouds his words and turns his gaze to Mr. Kate. Taking that gaze, Mr. Kate nodded and opened her mouth. "Mr. Erin, a request is a reward, right? "Yes, of course it is. Depending on the amount of time it takes to accomplish the request, we'd like to work hard to twist it out for a few minutes about twice the amount you usually earn." Considering the possibility of staying in, the reward is reasonable. But it might be a little cheap given the danger. However, Mr. Iris and Mr. Andre's earnings are a lot of collectors in this village, so given the economic condition of this village, it would be a critical line around it. "I just can't afford much, so it would help if you could come back within a week" Mr. Iris nods deeply to Erin, who he adds seemingly sorry. "Hmm. I suppose I could contract with that, but how's Kate? "I don't mind either. However, I have a premise that if the manager can hire you, We're not the only ones without power. Hell Flame Grizzly got kicked out of the territory, didn't he? Which means you're in danger of encountering more than equal enemies." "Right. One might be able to escape..." Clouding the words, Mr. Iris roars in his arms. "Erin, what is the manager's reward, thinking? Just so we're clear, I don't think the manager can move with the amount the village can pay." Looking at Erin, I leak a bitter smile at Kate, who also glances at this one. In fact, money isn't very attractive. Cash in the village in the first place, most of what I paid for, and I somehow know how much I can afford. If you're going to move me, it's more effective to move Lorea and cry down than to pile up money poorly. Of course, if they did that, there would be a big lump between Erin and me. "Yes, of course I've been thinking about that. To Sarasa, who takes care of the herbal field and it, so what? "Herbal fields......? The shadow village chief was not Dada, and that was an unexpected suggestion to me too. Specifically, fields as large as the common farmers in this village have. They make it next to this house, and they provide the fields with the caregivers as long as I'm in this village. The herbal field in the backyard that has been vandalized thanks to Hell Flame Grizzly, because that hasn't fully resurrected yet either, is a sort of, thankful offer. I haven't had much time to take care of the fields... To me thinking, Mr. Erin felt a response, grinning and putting up two fingers. "Just two points. Since the personnel provided do not have knowledge of medicinal herbs, I want Sarasa to teach me how to grow medicinal herbs, and % of the medicinal herbs that I have been able to do so, as a share of the people who have grown them. How about that? Hmm. I have a benefit too, but you've been thinking about ways that the village has a benefit too. That's Erin. To the extent possible in this village, well thought out. Kate also looked a little surprised and raised her voice as she was impressed. "... I see. You thought about it." "Hmm? What's this all about? "I mean, if the manager can teach you how to grow herbs, even if you provide fields and manpower, you can take it from me. We'll be able to increase the number of herbal fields on our own." There are several reasons why herb cultivation by farmers is not common, but if we are to grow herbs native to the surrounding forests in this village, we can clear them up, at least with regard to climatic issues. Of course, it's not as easy to cultivate herbs as it is to succeed so much, but even if it just solves one problem, it's pretty big. On top of that, medicinal herbs are expensive by weight, so they are likely to form as an industry even if they are made in villages far from the place of consumption and transport costs are multiplied. But the problem still remains. "Erin, for once, a lot of medicinal herbs can't be stored for long without undergoing down-treatment, can they? I can't just handle it under the herb, either, because if there's no more alchemists in this village, it won't be an industry, will it? "Yes, of course I'm thinking about that. We're not going to make it our main industry, and in that case, we're going to try to grow only sun-drenched herbs." Uh-huh, is that good? If you want to start with one field, it's easy to change policy depending on the situation, and even if you don't cultivate well, if it's about the salary of someone who takes care of you, I can afford it. If I invest all at once and the industry in this village is destroyed or something, I'm not sleeping well either. As far as I'm concerned, on the tip of the farmer's field, I think it's just enough to make a herbal corner. To me, who is a little troubled, Erin speaks of another hope, as she gazes at my complexion. "- If you're asking for a generous favor, it would be greatly appreciated if even amateurs could tell me about possible downprocessing." "Yes......, right. It's not possible to say" even amateurs ", but it doesn't matter if you're not an alchemist. It presupposes serious learning." "Thank you! So, you can get the job done! "Mmm... will that happen?" I roar and nod a little to Mr. Erin, who smiles and holds my hand. I don't feel like I've been given a little ride, but I wonder if this is the area of cooperation with your neighborhood. Because it's not like the city, and dating is important. "But when it comes to departure, I think we're a little ahead of you, right? Iris and Andre will have recovered." "Yes, of course I don't mind that. Best regards," Mr. Erin smiled and lowered his head deeply. ◇ ◇ ◇ morning five days after I got a job from Mr. Erin. The six of us were going through the woods of the Great Tree Sea in my lead. "Sarasa, is the direction good this way? "Yes, no problem. Probably." When it comes to investigating Hell Flame Grizzlies, we don't have the technology to track traces, and we've just looked for something like that in the first place, and it can't be left behind. So there's no time or number of people to look extensively into human sea tactics. So the means I took was gathering information. Using the preparation period of Mr. Iris, I picked up a book about the Great Tree Sea in my master's legend, from which I determined where Hell Flame Grizzly seemed to live. Originally, I knew a rough place to talk about collectors, etc., but if the place is just the place, and you step into the wrong and weird place, your life is in danger. Behind the Great Tree Sea is a place like that. Therefore, it is important to obtain all possible geography and information in advance of the investigation. "How far have you guys been in? "We're in a very shallow place - every day, I think I find myself back at the manager's, to the extent that I can." "Right. That's pretty shallow, considering the time to do the sampling." Right? At least, do you feel like you're starting to live in my house, and there's no day you didn't come home, and you're walking from the edge of the woods to a few hours? "We're a little deeper. Sometimes I stay overnight. See?" That was Mr. Andre who asked for his consent, but Mr. Gill and Mr. Gray flatly deny it. "Very occasionally. We're no different than Iris and the others." "Andre, don't look good" "What... isn't that good, even if you're dressed for a little while! To Mr. Gill and Mr. Gray, Andre screams with a pound and a slap on the shoulder and a red face. "Well, well. Because it's still different just because you have some experience. Again, veterans can count on their experience" I don't have much experience, especially with camping in the woods, which I did in my school internship, too. Against me for saying that, Mr. Andre scratches his head a little awkwardly. "Ooh. But in fact, even if you're a veteran, you're a veteran at a lower level..." Andre and the others are at the top of the village, but the material to be recovered is, when it comes to one pattern, one pattern. You don't have enough absolute knowledge, just like you didn't get your hands on the ice tooth bat fangs. But there are parts of it that I can't help. One of Mr. Andre's older generations, if he was a collector when there was an alchemist in the village, he would have gone quite far behind the woods and collected a lot of materials, but without an alchemist, there would be restrictions on the materials he could sell. It would be too risky to go to the back of a dangerous forest to pick up materials that we don't even know if we can sell. "Because of this opportunity, I'll tell you what materials you can sell. If you're good, your income is about twice as strong, right? "Oops, that would be appreciated. Do me a favor! "Leave it to me! I nodded and gave my thumbs up all the time to Mr. Andre, who laughed happily.

なんやかんやのせいで、滑りやすくなっている床を注意して歩き、私たちは洞窟の奥へと進んでいた。 .....間あまりに亘って。 進行速度の遅さを考えても、ちょっと深くないですか? そう思ったのは私だけでは無かったようで、アイリスさんが少しうんざりしたような表情で声を掛けてきた。 「なぁ、店長殿。このぐらいで良いんじゃないか?」 「そ、そうですね奥が気にならないと言うと、ちょっと嘘になりますが、大きさ的には十分でしょう」 ここの天井に張り付いている氷牙コウモリの大きさは、最低でセンチ。 下手をすれセンチぐらいの個体もいる。 これぐらいの個体の牙なら、冷却能力も申し分なく、冷凍庫を作る際にも重宝するだろう。 「あぁ、これなら俺たちでも判るぞ。確実にデカいよな」 「正に、取り放題だな! 店長殿、ここの氷牙コウモリを全部狩ったら、借金が解消したり――」 「しません。でも、ちょこっと減ります」 「ですよねー。はぁ、アイリスの命は高価よねぇ」 「い、言わないでくれ......」 アイリスさんは落ち込んだように言うけれど、事実なので諦めてください。 タダであげるには高すぎるポーションなのです、アレは。 「いやいや、アイリスの嬢ちゃんは幸運だぜ? 普通、借金を背負わせても助けてくれるなんて、ありえねぇんだから」 「そうだぞ、アイリス。しかも初対面の相手を」 「アンドレさんも、グレイさんも、それは重々解っている。あー、すまないな、店長殿」 「いえいえ。錬金術師の私でも、とても払えない金額ですから、仕方ないですよ」 「やはり、あの金額だと錬金術師でも――ん? じゃあ、あのポーションは何であの店に?」 「師匠の餞別です」 「気にしないでください。アイリスさんの命に比べれば、安い物です」 代金はもらうし。 「おぉぉ、店長殿から後光が差している......」 「いえ、差してませんから」 私、そんな変な人じゃ無いですから。 「いや! 私の目には見える! 店長殿! 私は頑張るぞ!」 「......はぁ。頑張ってください。とりあえず、手始めに上の氷牙コウモリを狩って」 「ああ! ............すまない、ケイト。私は無力だ」 私の言葉に、良い返事をしたアイリスさんだったが、暫し沈黙するガクリと項垂れた。 「攻撃手段、無いものね。アイリスの分は私が頑張るわよ」 「さすがケイト! 頼りになるな!」 笑顔になってパンパンと肩を叩くアイリスさんに、ケイトさんは苦笑を浮かべ、私の方に顔を向けた。 「調子が良いんだから。店長さん、普通に攻撃して良いのかしら?」 「基本的には。ただ、一撃必殺を心がけてください。騒がれてしまうと、バタバタと飛び回って面倒になりますから」 「一撃必殺......難しいわね。頭は狙えないし......」 「牙が無くなってしまうと無意味ですからね。なので、飛び回っていても捕まえやすい虫取り網が地味に一番便利だと思いますよ、魔法が使えない場合」 「あー、サラサちゃん、俺たちはどうすれば? 今日は使えそうな物を持ってきてないんだが......」 「アンドレさんたちは、私が落とす氷牙コウモリを回収してください。革袋はありますよね?」 「あぁ、大丈夫だ」 「それじゃ、始めましょう」 ポスポスと魔法を使って氷牙コウモリを落とす私と、それを回収するアンドレさんたち。 ケイトさんもなかなか上手く斃しているけど......。 「あっ!」 ぐらい斃したところで、ミスった。 中途半端な怪我を負った氷牙コウモリがバタバタと騒ぎながら地面に落ち、同時に天井に張り付いていた他の氷牙コウモリたちが飛び回り始める。 』のおかげで、私たちにぶつかることは無いんだけど。 「ごめんなさい!」 「あー、仕方ないですよ。アンドレさんたちも、斃しちゃってください。これなら、届きますよね」 私は相変わらず魔法で、アンドレさんやアイリスさんたちは剣で飛び回る氷牙コウモリを斃し始める。 そして逆に、ケイトさんは回収係に。 さすがに飛んでいるコウモリに矢を当てることは、難しいみたい。 まぁ、結構不規則に飛ぶしね、コウモリって。 この状況で矢を射ると、下手すれば味方に当たりかねないし。 そしてしばらく。 この周辺からコウモリが全部逃げだし、地面にはいくつもの氷牙コウモリの死体が転がった。 「ふう。これを回収したら帰りましょうか。私の必要な量は十分確保できましたし」 「そうだな。持てる量もこれぐらいが限界だろう」 それぞれが持っている革袋には、すでに半分以上、氷牙コウモリが詰め込まれている。 今転がっている死体を入れると、ギリギリ? しかもこれから、二時間歩いて外に出ないといけないのだ。 死体の詰まった革袋を担いで。 体力的には問題ないけど、ちょっとウンザリ。 でも、師匠からもらったリュックに死体は入れたくないので、持ってきてないんだよね。 私も頑張って革袋に詰めて、それを担いで洞窟の外へ。 帰りは登りだったこともあり、来た時ほどの時間は掛からずに洞窟から出ることができた。 滑りやすい下り坂って、かなり神経を使うんだよね。 万が一、転けたりしたら、シャレにならないレベルの大惨事だし。 でも今回は幸いな事に、誰も悲劇に見舞われる事も無く脱出成功。 外に出た私たちは、揃って大きく深呼吸をした。 強烈な臭いがカットされると言っても、臭いのは間違いないので、綺麗な空気はありがたい。 「ふぅ......。それじゃ、ここで牙を回収してしまいましょう。死体を持ち帰っても邪魔なだけですから」 「そうだな。普通に折れば良いんだよな?」 「はい。根元から内側に、と、それだけ気を付ければ。あ、必ず革手袋は付けてくださいね? 指を無くしたくなければ」 「も、勿論だとも。さすがにこれ以上、借金を増やすのは......」 焦った様に言うアイリスさんに、私は頷く。 「ですね。指の再生となると、借金倍増とは言いませんが、数割はアップしますからね」 はとてもお高いので。 「うぐっ。気を付ける。......ケイト、もうちょっとぶ厚いグローブがあったよな?」 「少し危ない物を採取する用のがあるわ。それを使いましょう」 アイリスさんたちは採集者だけに、いつも手を保護するグローブを履いているんだけど、普段使っているのは武器などが扱いやすい柔軟性があるグローブ。 それでは不安だったのか、二人して荷物の中から取りだした厚手のグローブに履き替えている。 見れば、アンドレさんたちも同様で、このあたりは熟練の採集者っぽい。 私? 私は大丈夫。 薄手のグローブだけど、氷牙コウモリの牙程度では貫通しない物だから。 三巻に載っていた物で、標準価格は三二〇〇レア。 一度は作らないといけないから、倉庫にはそんな物が並んでいるのです。 貧乏性な私だけど、便利に使えそうな物は積極的に使っていく所存。 倉庫で埃を被っていても、無駄なだけだし。 「ん? サラサちゃん、そのグローブ、薄そうだが、大丈夫なのか?」 使っていれば、こうして宣伝の機会にも恵まれるしね? ですから。少々の刃物では切れないぐらいに丈夫なんですよ。名前の通り、柔軟性もありますから、細かい作業もしやすいですし、便利ですよ?」 「ほう......ちょっと借りることはできるか?」 「えぇ、構いませんよ。手を入れてみてください」 興味を示してくれたグレイさんに、手袋を脱いで渡す。 グレイさんの手には明らかに小さいそれに、訝しげに片手を差し込んだ彼は、驚きに目を見張った。 「俺の手が問題なく入る。しかも、ほとんど動きを阻害しないな!?」 「この柔軟性、そして指先の細かい動きも邪魔しない厚み。これがこのグローブの特徴なんです。それでいて丈夫ですから、私は錬金術をする時にも使ってます。怪我をする危険性、地味に大きいですからね、錬金術って」 もっとも、正確に言うなら、今使っているのはこれよりも一つ上、四巻に載っていた“薄々柔軟グローブ”なんだけど。 これまた名前の通り、柔軟グローブがより薄くなっただけ。 だけに、ごく僅か魔力を消費することですが......」 「いや、感じ取れないレベルだぞ? 少なくとも、俺にはまったく問題ないレベルだな」 嬉しそうに手をにぎにぎするグレイさんを見て、ギルさんもちょっと興味深そうに、もう片方のグローブに手を入れている。 「うーむ、そんなにか。ちなみに、いくらなんだ?」 「えっと......三千.....レアで。ある程度売れることが見込めるなら、ですが」 私は少し考えて、アンドレさんにそう答えた。 三二〇〇レアの標準価格は、王都で販売する時のお値段。 どれぐらいの量、売れるかによるが、この村の場合、三八〇〇レアで売っても、素材を取り寄せるコストを考えれば少し厳しい。 一つだけしか売れなければ、完全に赤字。 輸送費って、やっぱりバカにならないから。 私の場合、師匠にお願いするという裏技はあるけど......それも結局、輸送費を私と師匠の魔力で肩代わりしているだけだし、普通に仕入れた場合で考えるべきだよね。 「三八〇〇か。それで普通のグローブよりも丈夫で、作業もしやすい......十分に検討の価値があるな」 「ご注文、何時でもお請けしますよ? 可能なら、数が纏まっていると嬉しいです。......場合によっては、勉強しますよ?」 「ふーむ、可能かもしれないな。幸いっつーか、今は金を持ってる奴らも多いからな。例の件で。しかも、これ、氷牙コウモリの牙。コイツを取る時にも安心となれば......」 買いそうな人を頭の中で数えているのか、少し考え込むアンドレさん。 その間、私は、グレイさんたちからグローブを返してもらい、牙の折り取りを再開する。 バキバキと牙を折り、死体は森の中へ。 作業自体は簡単なものなので、一時間もすれば全ての革袋は空になり、牙の小さな山が残った。 想像以上に年齢の高い氷牙コウモリが多かったため、かなり深い青色に染まった牙はちょっと宝石みたいで、なかなかに綺麗である。 もちろん、年齢に応じて買い取りのお値段も上がるので、これだけでも十分に柔軟グローブぐらいは買えるだろう。 「えっと、分配は人数割で良いですか?」 これだけの数があれば、等分にしても冷蔵庫や冷凍庫に使うには十分。 そう思って提案したところ、アンドレさんたちは顔を見合わせた。 「俺たちはありがたいが、良いのか? どう考えても一番活躍したのは、サラサちゃんだと思うが」 「そのあたりは、案内賃ということで」 「そうか、悪いな。つっても、どうせサラサちゃんの所で売ることになるから、後で金でもらえるか?」 「あ、そうですね。では、お店でお支払いしますね。アイリスさんたちは......」 「私たちもそれで頼む。全部......あ、いや、どのぐらい借金返済に充てるかは相談させてくれ」 「ごめんなさい、あまり余裕が無くて......」 「はい、解りました。でも、無理はしなくて良いですからね? 変に切り詰めると、怪我とかしないか、心配ですから」 ここ数日、アイリスさんたちが集めてきた素材の買い取り額、その大半を借金の返済として渡されているから、二人の懐事情はおおよそ想像できちゃうんだよね。 食費、宿泊代が格安だから生活できているだけで、装備などを考えるとカツカツなのはすぐに判る。 「店長さん......ありがとう」 「いえ。アイリスさんたちが死んじゃうと、借金を回収できなくなっちゃいますから」 私が冗談っぽく言うと、アイリスさんたちは苦笑して頷く。 「重々気を付ける。借金を返し終わって、店長殿に恩返しができるまでは」 「はい。命の対価、その恩返しは長いですよ?」 そう言って私は、ニッコリと笑った。

Because of Kanya, he walked cautiously on the floor that was slippery, and we were going behind the cave. ... in less than two hours. Isn't it a little deep, considering the slow pace of progress? I didn't seem to be the only one who thought that, and Mr. Iris called out with a slightly fed up look. "Hey, Store Manager. Wouldn't that be nice? "Right. When you say you don't care the deepest, it's a bit of a lie, but it'll be big enough." The size of the ice-tooth bat sticking to the ceiling here is at least cm. Some individuals are about 40 centimeters if they do poorly. With as many individual fangs as this, they have impeccable cooling capacity and will treasure it when building a freezer. "Oh, we'll see about this. Definitely a big one." "Seriously, you can take it all you want! Dear Store Manager, if you hunt all the ice tooth bats here, your debt will be settled..." "I won't. But it's a little less." "Right. Well, Iris' life is expensive." "Yes, don't tell me..." Mr. Iris tells you like you're depressed, but it's true, so give it up. It's too expensive a potion to give you for free, is that it? "No, no, Iris' lady's lucky, huh? Normally, it's impossible for me to help you carry a debt." "That's right, Iris. And the first person I met." "Both Mr. Andre and Mr. Gray, I know that very well. Uh, I'm sorry, sir." "No, even I, the alchemist, can't afford it." "Again, even the alchemist said that's that amount. - Hmm? So, what's that potion doing in that store? "It's my master's farewell." "Never mind. Compared to Mr. Iris' life, it's cheap." I'll take the money. "Oh, there's a backlight coming from the manager..." No, I didn't give it to you. I'm not that weird. "No! You can see it in my eyes! Lord Store Manager! I'll do my best! "... ha. Good luck. In the meantime, start hunting the ice tooth bat on top." "Oh!............... sorry, Kate. I'm powerless." To my words, it was Mr. Iris who replied well, but with a gaggling silence for the time being. "You don't have the means to attack. I'll do my best for Iris." "That's Kate! Don't count on me! To Iris, who smiles and slaps her bread and shoulders, Kate smiles bitterly and turns to me. "Because I'm doing well. Mr. Store Manager, is it okay to attack normally? "Basically. Just try to take a blow special. 'Cause if it gets noisy, it's gonna be a bummer and a hassle flying around." "A special blow... that's hard. I can't aim my head..." "It's pointless when you lose your fangs. So I think a bug-removing net that's easy to catch even when you're flying around is plain most convenient, if you can't use magic" "Uh, Sarasa, what do we do? I haven't brought anything that I think I can use today..." "Mr. Andre and the others, collect the ice tooth bats I drop. You have leather bags, don't you? "Oh, I'm fine" Let's get started. Me using pospospos and magic to drop ice tooth bats and Mr. Andre collecting it. Kate is also killing him pretty well...... "Ah!" I just shot about five of them, and I made a mistake. Halfway injured ice tooth bats fall to the ground in a bumpy noise, while other ice tooth bats that were sticking to the ceiling begin to fly around. Luckily, thanks to The Wind Wall Air Wall, we don't run into each other. "Sorry!" "Uh, I don't have a choice. Shoot Andre and the others, too. This will arrive." I'm as magical as ever, and Mr. Andre and Mr. Iris start killing ice tooth bats flying around with their swords. And vice versa, Mr. Kate told the retriever. It just seems hard to put an arrow on a flying bat. Well, it flies pretty irregularly, a bat. If you shoot an arrow in this situation, you can hit your side if you're bad. And for a while. All the bats escaped from this area, and a number of ice-tooth bat bodies rolled on the ground. "Hmm. Should I go home when I collect this? I've got enough of what I need." "Right. That's about the limit." The leather bags each has are already packed with more than half, ice-tooth bats. When you put in the body that's rolling now, you're critical? Besides, we're going to have to walk out for two hours. Take on a leather bag full of corpses. I don't have a physical problem, but I'm a little ungrateful. But you don't want the body in the backpack your master gave you, so you haven't brought it. I also worked hard to pack it in a leather bag and take responsibility for it and go outside the cave. The return was sometimes a climb, and I was able to get out of the cave without hanging as long as I came. Slippery downhill uses a lot of nerve, doesn't it? In case you fall, it's a catastrophe on a level that won't be stylish. But this time, fortunately, no one has ever been caught in a tragedy and escaped successfully. Out we all took a big, deep breath. Beautiful air would be appreciated, even if I said the intense odor would be cut, because I'm pretty sure it smells. "Phew...... Then let's retrieve the fangs here. Bringing back the body just gets in the way." "Right. You just have to fold it normally, right? "Yes, from the root to the inside, and if that's all you're aware of. Oh, be sure to wear leather gloves, huh? Unless you want to lose your fingers." "Or, of course. Exactly any more, increasing your debt..." I nod to Mr. Iris, who says in a hurry. "Right. When it comes to regenerating your fingers, I don't mean doubling your debt, but it's going up a few percent." Because the smelting drug Potion for site regeneration is very expensive. "Ugh. Be careful.... Kate, you had some more thick gloves, didn't you? "I need to pick up something a little dangerous. Let's use that." Mr. Iris and his collectors only wear gloves that protect their hands all the time, but what they usually use are gloves that are flexible enough for weapons and other things to handle. So you were anxious, you two are switching to thick gloves you took out of your luggage. Look, the same goes for Mr. Andre and the others, who seem to be a skilled gatherer around here. Me? I'm fine. Because it's a light glove, but it doesn't penetrate to the extent of the ice tooth bat's teeth. It was on three volumes, with a standard price of 3200 rare. We have to make it once, so we have that thing lined up in the warehouse. I am poor, but I actively use what seems convenient. Even if it's dusty in the warehouse, it's just useless. "Hmm? Sarasa, those gloves, they look thin, but are you okay? If you use it, you'll be blessed with publicity opportunities like this, right? "Yes, because this is the smelter" artifact "called" Flexible Gloves ”. It's sturdy enough that it can't be cut with a few blades. As the name suggests, it's also flexible, so it's easy to do fine work, and it's convenient, right? "Hmm... can I borrow it for a second? "Yeah, I don't mind. Try to get your hands on it." Take off your gloves and give them to Mr. Gray, who showed interest. It's obviously small in Mr. Gray's hand. Plus, surprisingly, with one hand in his hand, he looked at it with surprise. "My hands go in fine. Besides, you barely inhibit movement!?" "This flexibility, and the fine movement of your fingertips, is also a thickness that won't interfere. This is what makes this glove so special. Now that it's sturdy, I use it when doing alchemy. The risk of injury is plainly high," said Alchemy. " To be exact, I'm using a "thin flexible glove” that was on four volumes, one more than this. This again, as the name suggests, the flexible gloves just became thinner. "The downside is that only the smelter Artifact consumes very little magic..." "No, you're on a level you can't feel, okay? At least that's a perfectly fine level for me." Seeing Mr. Grey happily running his hand around, Gill looks a little intrigued, too, getting his hand in the other glove. "Hmm, not so much. By the way, how much is it? "Uh... three thousand... for eight hundred rare. If you can expect to sell to some extent," I thought for a moment and answered that to Mr Andre. The standard price of 3200 rare is the price when sold in Wangdu. It depends on how much and how much you can sell, but in the case of this village, even if you sell it for 3800 rare, it's a little harsh considering the cost of picking up the material. If you can only sell one, you're totally in deficit. Transportation costs, because I knew it wouldn't be stupid. In my case, I have the backhand of asking my master... but that too, in the end, is just replacing the transportation costs with the magic of me and my master, and you should think about it if you buy it normally. "3800? So tougher and easier to work with than regular gloves... well worth considering" "You can order at any time, can't you? If possible, I'm glad the numbers are clustered.... In some cases, you study, right? "Hmm, maybe it's possible. Lucky for you, a lot of them have money now. In the matter of example. Plus, this, ice tooth bat fangs. If you feel safe when you take advantage of it..." I think a little bit about whether you're counting people in your head who are likely to buy it, Mr. Andre. In the meantime, I ask Mr. Gray and the others to return the gloves and resume the fang folding. I broke my fangs with vacillation, and the body went into the woods. The work itself is simple, so in less than an hour all the leather bags were emptied and a small pile of fangs remained. Due to the fact that there were more ice tooth bats older than I imagined, the fangs stained with a pretty deep blue are a bit like gems and quite beautiful. Of course, the price of buying increases depending on your age, so you can buy about enough flexible gloves just for this. "Uh, is the distribution good for 10% of the population? With all this number, even in equal portions, it is sufficient for use in refrigerators and freezers. That's what I suggested, and Mr. Andre and the others looked at each other. "We appreciate it, but is it good? I don't care what you think, it worked best for Sarasa." "Around there, I mean, the guide rent" "Well, I'm sorry. Even if I do, I'll sell it at Sarasa's anyway, so can I have it for money later? "Oh, right. Okay, I'll pay you at the store. Iris and the others..." "We'll ask for it, too. All of it... Oh, no, let me talk to you about how much you're going to spend on paying off your debt." "Sorry, I can't afford much..." "Yes, I understand. But you don't have to, do you? I'm worried that if I cut it off weird, I won't get hurt." The amount of material that Mr. Iris and the others have collected over the past few days, the bulk of which has been given as debt repayment, so you can roughly imagine the nostalgia between the two of them. I'm just able to live because the cost of food, accommodation is cheap, and I quickly know it's cute considering the gear, etc. "Store manager...... thanks" "No. If Mr. Iris dies, he won't be able to collect his debts." When I say jokingly, Mr. Iris and the others snort bitterly. "Be careful. Until I'm done paying my debts and I can repay the manager." "Yes. The price of life, its repayment is long, isn't it? I laughed nicely when I said that.

氷牙コウモリの牙、売却作戦については、アイリスさんやロレアちゃんたちに後を任せ、私、サウス・ストラグへと向かった。 目的はレオノーラさんとの打ち合わせと、足りなくなった素材の仕入れ。 件の商人がレオノーラさんの所で牙を売却してれば良いんだけど、そうじゃなければ、補填が必要になるからね。 毎度の如く、身体強化で走り続け、レオノーラさんのお店へ直行する。 「こんにちは~。レオノーラさん」 「あ、サラサ。ひさしぶりー。おかげさまで、稼がせてもらってるよ」 私を迎えてくれたのは、とても良い笑顔を浮かべているレオノーラさん。 「あ、やっぱりここに来ましたか?」 「ええ。思いっきり買い叩いてやってるわよ。持ち込む度に、少しずつ買い取り価格を下げて」 「それじゃ、ガッポガッポ、ですね?」 ニコリと笑った私に、レオノーラさんもまた、ニヤリと笑う。 「えぇ、正にガッポガッポね。今じゃ、相場よりもかなり下になっているけど、それでも売るんだから、かなりヤバい状況じゃないかしら?」 「どうなんでしょうね? 私の懸念は、もう一人の錬金術師の所に持ち込むかも、というのがあったんですが......」 「あぁ、アイツのこと? アイツの店はもう無いからね。持ち込もうにも持ち込めないわよ」 「――え? 無くなったんですか?」 「潰れちゃったねぇ。あの村からの素材が入らなくなった事もあるんだろうけど、私も少し手を回して、色々と締めてやったから」 「.........」 再び、ニヤリと笑みを深めるレオノーラさん。 師匠ほどじゃなくとも、その表情には経験に裏打ちされた凄味が感じられる。 具体的に何をやったのかは知らないけど、それって、『潰れた』じゃなくて、『潰した』じゃ? まぁ、悪質な錬金術師が消えるのは、業界全体からすれば良いことだから、同情もしないけど。 「では、氷牙コウモリの牙は十分に足りている、って事で良いですか?」 「そうね。持ってきてくれたの? わざわざ悪いわね」 「いえ、他にも素材は持ってきてますし、買う物もありましたから」 協力をお願いしているのだから、このくらいは当然。 それに、古参の採集者に関しては、私が渡した氷牙コウモリの牙を売りに行ってもらっている関係で、最近は氷牙コウモリを狩りに行っていない。 その代わりに他の素材を採取してウチに売りに来ているので、それなりに売る物もあるのだ。 それらを並べて、レオノーラさんと半ば物々交換。 レオノーラさんは、私が必要な物を常に用意してくれるので、本当に助かっている。 「......と言うか、良く私の欲しいものが揃っていますね?」 そんな私の言葉に、レオノーラさんは微笑む。 の注文なんて無いでしょ? それなら、サラサがほしがるのは、錬金術大全の......今ならかで使う素材。後は村で必要な 「ご名答です。さすがですね」 まさか、私が今取り組んでいる巻数まで当てられるとは。 「これでも、サラサの何倍も錬金術師をやってるからね! マスタークラスとは言わないけど、それなりに腕に自信はあるのよ」 「助かります、比較的近くに経験豊富な先輩がいるのは。あの村に行った時は、本当にどうした物かと思っていましたから」 「でも、サラサなら、師匠に相談すれば良いんじゃないの?」 「それはもちろん、相談すれば助けてくれるでしょうが、師匠のお店で修行するのを蹴っているのに、あまり頼りすぎるのは――」 「はぁ!? マスタークラスのお店への就職を蹴ったの!? 本当に?」 私の台詞を食い気味に、レオノーラさんが声を上げた。 「えぇ、まぁ」 「私なら、卒業した時に声を掛けられたら、絶対返事で就職したけどねぇ。確実に安泰じゃない」 「私もそれは思いましたけど、そうなるともう、経験を積めなくなるというか......あ、いえ、錬金術師としてはすごく良い経験を積めるとは思うんですけど、人生経験の方が......」 「......何というか、マスタークラスが弟子にする人間は、やっぱりちょっと違うわね」 レオノーラさんに、呆れたような、それでいて少し畏怖するような視線を向けられた。 なぜ? 「まぁ、いいわ。それよりサラサ、今日は泊まっていかない? 私の方でも 「あ、そうなんですか? もちろん、断る理由はありませんが......」 「じゃあ、決まり! お昼は、まだ?」 「はい。食べてこようかと思ったんですが、少し中途半端だったので」 少し考えがあって、今日、村を出たのは早朝ではなく朝。 そのため、サウス・ストラグに着いたのも、お昼のちょっと前。 昼食にはまだ早い時間帯で、食堂もあまり開いていなかったため、レオノーラさんへの訪問を優先したのだ。 「そっか。食べに行っても良いんだけど、この時間なら......」 レオノーラさんは少し考えると、カウンターの後ろの扉を開けて、その奥へと声を掛けた。 「ねぇー、お昼ご飯分ある~?」 僅かな間を置いて帰ってきた返答に、レオノーラさんはこちらを向いてニコリと笑った。 「そんなわけだから、今日はウチで食べましょ。マスタークラスの従業員ほどじゃないけど、ウチのもそれなりに美味しい料理、作るから」 ◇ ◇ ◇ レオノーラさんに連れられて入った店の奥では、レオノーラさんと同じくらいの年齢の女性が一人、食卓に料理を並べていた。 「サラサと申します。よろしくお願いします」 「あぁ、そんなにかしこまらなくて良いわよ。私はフィリオーネ。見ての通り、ノーラ......レオノーラの店の従業員ね。店番とか雑用とか、ま、そのへんの事をしてるわ」 私が挨拶をすると、女性は軽く手を振って笑うと、軽く応えた。 「ま、座ってちょうだい」 「すみません。突然お邪魔して、ご迷惑じゃなかったですか?」 「大丈夫。ノーラがそれなりに稼いでるから、食べる物に余裕はあるからね。ご馳走というわけにはいかないけど」 そう言いながらも、食卓にはパンとスープ、鶏肉のソテー、それに卵に野菜を混ぜて焼いた物が並んでいる。 それは、一般的に言ってご馳走。 特に卵とか、村ではそうそう手に入らない。 「すごく美味しそうですね!」 「そう? なら良かった。味も気に入ってもらえたら良いんだけど......。冷めないうちに食べましょ。ノーラも座って」 「はいはーい。それじゃいただきましょ」 「はい、いただきます」 まずは......スープから。 スプーンで掬って一口。......うん、あっさり系。 でも、野菜の旨味と干した肉の出汁が出ていて、美味しい。 パンを一口かじると、次は卵。 いろんな野菜が刻まれて入っているそれは、結構な高級料理。 一切れ食べれば、ふんわりと解ける卵と野菜が混ざり合って、これまた美味しい。 師匠の所のマリアさんがプロの料理人なら、こちらは料理の上手なお母さんみたいな感じ。 「どう? ウチの料理番もなかなかのものでしょ?」 「美味しいです。これだけの料理は、なかなか食べられませんね」 「ありがとう。料理番じゃないけどね。――この子がノーラの言っていた錬金術師なのね。可愛くて良い子じゃない」 「でしょ? これは保護するしかないわよね」 「あれ? 私、保護されてたんですか?」 私のその言葉に、レオノーラさんは頭を掻いて苦笑を浮かべる。 「いやー、そのまま放り出すのは、なんか不安だったから。変な宿とかに引っかかったりしそうで」 それで前回、泊めてくれたのかぁ。 確かに、そういった方面では不案内ではあるけど。 「そういえば、この前はフィリオーネさんにお会いしませんでしたよね?」 「あの時はちょっと用事があって出てたからね。大丈夫だった? 変な物、食べさせられなかった?」 「いえ、大丈夫でしたよ? ......少し、シンプルな食事ではありましたけど」 「やっぱり。ごめんねぇ。ノーラは料理が下手だから」 息を吐いて首を振るフィリオーネさんに、レオノーラさんは拗ねたように口を尖らせる。 「良いんです~。フィーが料理してくれるから、困りませんから~」 「まったく。錬金術に力を注ぎたいのは解るけど、少しぐらい、他のこともして欲しいんだけど?」 「嫌です。そのためにフィーを雇ってるんだから」 きっぱりと首を振るレオノーラさんに、フィリオーネさんの眉がピクリと跳ねる。 「......私は別に辞めても良いのよ?」 「いつも助かってます! 捨てないでください!」 即座にすがりついたレオノーラさんを引き剥がしつつ、フィリオーネさんがため息をついた。 「ごめんなさい。いい年をした先輩の錬金術師がこんなので」 「い、いえ......お二人は長いんですか?」 「残念ながら、長くなってしまったわね」 「うん、フィーとの付き合いは、私が店を構えてしばらくしてだから......一〇年以上?」 「そうなるわね」 指折り数えて言ったレオノーラさんの言葉に、フィリオーネさんが頷く。 師匠とマリアさんも長いみたいだし、やっぱり錬金術師のお店の従業員ってそんなものなのかも。 どうしても専門的知識が必要になるし、それらを覚えた人を手放すのは勿体ないもんねぇ。 ある程度の錬金術師であれば、高めの給料を払うだけの余裕もあるだろうし、雇われている方も、それ以上の仕事場なんて、そうそう望めない。 「私も店員は雇いましたけど、やっぱり店を構えると雇うものなんですね」 「開店してすぐは、あまり余裕も無いし、良い相手に巡り会うのも難しいけど、可能なら雇いたいわよね。店番をしてくれる人がいないと、錬金術に時間を使えなくなるから」 「ですよね。店番をしていると、昼間は本格的な作業ができませんし、閉店後にやるにしても、家の掃除や食事の準備とかの雑用とかもありますから。仕入れのために、こうしてお店を空ける事も難しいですし」 「そうなのよ。その点、フィーは色々してくれて便利なのよ~」 「最初は店番として雇われたんだけどね。今じゃ、食事の準備や家の掃除、洗濯まで。ノーラ、何にもしないから......」 フィリオーネさんはそう言って、困った様にため息をつく。 「あはは、助かってます。でも、ま、あんまり相性の良い相手と巡り会うと、それはそれで困るんだけど」 「そうなんですか?」 相性が良くて、お店が上手く回っているなら良いと思うんだけど......。 「うん。このままで良いかなぁ、とか思っちゃうから」 「その結果、ノーラは結婚もしないでこの歳よ?」 「それはフィーも一緒でしょ!?」 「だからなのよ。サラサちゃんも気を付けてね? 楽だなぁ、とか思い始めたら危ないわ。それは“結婚”が立ち去っていく足音だから」 「ははは......」 そっちかぁ......既にその足音、聞いてますね。私。 「かと言って、相性悪いと続かないから、ダメなんだけどね~」 「それはあるわよね。どうしても覚えることが多いから、すぐにはものにならないし」 相性が悪ければ、仕事を覚えて使える従業員になるまで続かない。 相性が良くて仕事を長く続けられた場合、貴重な従業員になって、手放せなくなる。 「......えっと、どうしようも無いのでは?」 「うん。お店の仕事だけ任せて、家の事は自分でやるって方法もあるけど――」 「たぶん、優秀な錬金術師ほど難しいんじゃない? ノーラなんかも、一度やり始めたら寝食を忘れてやってるから」 「気分が乗ると、どうしてもね~。フィーを雇って、錬金術をする時間が作れたものだから」 「それで、荒れていく家の中に私が耐えきれずに、手を出したんだけどね。今じゃもう、完全に......」 「頼りっきりです。はい」 「はぁ。サラサちゃんも気を付けた方が良いわよ? 結婚したいなら」 「き、肝に銘じます」 私はまだ大丈夫、だよね? 若いもん。うん。

As for the ice tooth bat fangs, the selling operation, I left them to Mr. Iris and Lorea, and once I headed to South Strag. The purpose was a meeting with Mr. Leonora and the purchase of missing materials. I wish the merchant was selling fangs at Mr. Leonora's, 'cause otherwise, we're gonna need to make amends. As always, continue to run with physical strengthening and head straight to Mr. Leonora's shop. "Hello ~. Mr. Leonora" "Ah, Sarasa. Hissybu. Thanks to you, I'm making money." It was Mr. Leonora with a very good smile who welcomed me. "Oh, did you come here after all? "Yeah. I'm buying him as much as I want. Every time you bring it in, lower the buying price slightly." "So, Gappo Gappo, right? Nicole laughed at me, and Leonora laughed at me again. "Yeah, you're really gappo gappo. Now, it's pretty much below the market, but you still sell it, so maybe it's a pretty nasty situation? "What do you think? My concern was that I might bring it to another alchemist..." "Oh, you mean him? There are no more stores for him. You can't even bring it in." "- Huh? Is it gone? "You're crushed. I know I've lost material from that village, but I turned my hand around a little bit, and I tightened it up a lot." ......... Again, Mr. Leonora deepens his niggles and grins. Even if not as much as the master, the expression feels amazing backed by experience. I don't know exactly what you did, but isn't that, 'crushed', 'crushed'? Well, I don't even have sympathy for the malicious alchemist disappearing because it's a good thing from the industry as a whole. "So there's enough ice tooth bat fangs, is that good? "Right. Did you bring it to me? I'm sorry to bother you." "No, I brought other materials, and I bought them." I'm asking for your help, so naturally this is about it. Besides, as far as the ancient ginseng collectors are concerned, I haven't been hunting ice tooth bats lately in relation to the ice tooth bat fangs I'm getting to sell. Instead, they're picking up other materials and selling them to us, so there's a lot to sell. Line them up and barter half with Mr. Leonora. Mr. Leonora is really helpful because he always prepares what I need. "... or do you have everything I want well? Mr. Leonora smiles at my words like that. "Right. You didn't order the smelter artifact in that village, did you? What Sarasa wants, then, is the alchemy of all... now, the material to be used in four to five volumes. Later is the material of the smelting drug Potion, which is needed in the village. Not to that extent? "Your answer. That's great." I didn't know you could even guess how many volumes I'm working on right now. "Again, you're doing many times as many alchemists as Sarasa! I'm not calling it a master class, but I'm pretty confident in my arms." "It helps, having experienced seniors relatively close by. When I went to that village, I wondered what was really going on." "But if you're Sarasa, why don't you just talk to your master? "That, of course, would help me if I talked to you, but I'm kicking training in my master's shop, but I rely too much on -" "Ha!? You kicked my job in a masterclass store!? Really? Feeling like eating my dialogue, Mr. Leonora raised her voice. "Yeah, well." "I would have, if I could have called you when I graduated, absolutely, got a job in two replies, but hey. Definitely not cheap." "I thought that too, but then again, you won't have the experience... Oh, no, as an alchemist, I think you'll have a very good experience, but life experience is better..." "... the human being the master class disciples is a little different after all." Mr. Leonora turned a frightened, then slightly frightened gaze. Why? Why? "Well, fine. Than that, Sarasa, why don't you stay today? You've done a lot of research on the Kundan merchant on my part. I want to talk about it." "Oh, really? Of course, there's no reason to say no..." "Then it's settled! Lunch yet? "Yes. I thought I'd eat it, because I was a little halfway through it" I had a few thoughts, and today, it was not in the early morning, but in the morning, that I left the village. That's why we got to South Strag just before lunch. It was still early in the day for lunch and the dining room wasn't open very well, so we gave priority to visiting Mr. Leonora. "Oh well. You can go eat, but at this hour..." Mr. Leonora thought for a moment, opening the door behind the counter and speaking to the back of it. "Hey, lunch, there's three of us?" Ms. Leonora turned this way and laughed nicely in response to her return after a short time. "That's why we'll eat today. Not as good as a master class employee, but our dishes are quite delicious, because we make them." ◇ ◇ ◇ In the back of the shop where Mr. Leonora took me in, there was one woman of the same age as Mr. Leonora, arranging dishes at the table. "My name is Sarasa. Best regards," "Oh, you don't have to be so sure. I'm Filione. As you can see, Nora... you're an employee of Leonora's shop. I'm doing shop numbers, chores, stuff like that." When I greeted her, the woman responded lightly as she waved and laughed. Sit down, please. "Excuse me. Didn't I interrupt you suddenly and annoy you? "It's okay. Nora's making a lot of money, so there's plenty of room for food. It can't be a treat." With that said, the table is lined with bread and soup, sautéed chicken, and vegetables mixed with eggs to bake. That, in general, is a treat. Especially eggs, which is not so available in the village. "Sounds so delicious! "Really? Good. I hope you like the taste too...... Eat before it gets cold. Sit down, Nora." "Yes, sir. Let's have it." "Yes, I'll take it" Let's start with... soup. Take a sip with a spoon.... Yeah, light system. But the vegetable flavour and the dried meat stock are out and delicious. When you take a bite of bread, the egg is next. It's got all sorts of vegetables carved in it. That's a pretty fine dish. If you eat a slice, the fluffy, dissolving eggs and vegetables mix together, and this is delicious again. If Maria at the master's is a professional cook, this one feels like a good cook's mother. "What do you say? Our cooking numbers are pretty good, aren't they? "It's delicious. It's hard to eat all this food." "Thanks. It's not my cooking number, though. - You're the alchemist this kid was talking about Nora. She's not cute and good." "Isn't this the only way to protect you?" "Is that it? Was I, was I protected? To my words, Mr. Leonora scratches his head and smiles bitterly. "No, I throw it out as it is, because I was kind of anxious. I think I might get caught up in some weird inn or something." So last time, you stayed. Sure, I'm not a guide in that respect. "Speaking of which, you didn't see Mr. Filione before this, did you? "I had a little business then and I was out. Was it okay? Weird stuff, couldn't you feed it? "No, it was okay, wasn't it? ... it was a simple meal." "I knew it. I'm sorry. Because Nora is a bad cook." To Mr. Filione, who exhales and shakes his head, Mr. Leonora points his mouth as if he were obstinate. "It's fine ~. Fee will cook for you, so I won't have any trouble ~" "Totally. I know you want to focus on alchemy, but for a little while, I need you to do something else? "I don't like it. That's why I'm hiring Fee." Mr. Figlione's eyebrows bounce picturesque at Mr. Leonora, who shakes his head clearly. "... can I quit something else? "It's always helping! Don't throw it away! Mr. Filione sighed as he pulled off Mr. Leonora, who immediately connected. "I'm sorry. This is what a good old senior alchemist looks like." "Yes, no...... are you two long? "Unfortunately, it's been a long time." "Yeah, my relationship with Fee was a while after I set up the store so... more than a decade? "That's what's gonna happen." Mr. Figlione nods at the words of Mr. Leonora, who said by counting the fingerfolds. Master and Maria seem to be long, and maybe that's what an alchemist's shop employee is after all. You're going to need some expertise, and you're not going to let go of anyone who remembers them. If you're some alchemist, you'll be able to afford just to pay higher salaries, and if you're hired, you can't hope so much for a workplace beyond that. "I hired a clerk, too, but I knew it was something to hire when I set up a store." "As soon as we open up, we don't have much room, and it's hard to get around a good opponent, but if it's possible, you want to hire one. Because without someone to give me a store number, I won't be able to use my time for alchemy." "Right. If you're in a store number, you can't do full work during the day, because even if you do it after closing, there's chores like cleaning the house, preparing meals, etc. It's also difficult to open a store like this to purchase." "It is. In that regard, it's convenient for Phee to have a variety of things ~" "I was hired as a store number at first. Now even prepare meals, clean houses, and wash laundry. Nora, I won't do anything..." Mr. Filione says so and sighs like he's in trouble. "Haha, it's helping. But when you meet someone who's not very compatible with you, that's a problem." "Really? I think it would be good if it was compatible and the store was turning around well...... "Yeah. I wonder if it's good as it is, or something" "As a result, Nora doesn't even get married. She's this age? "Is that Phee with you?!?" "That's why. Sarasa, be careful, okay? It's easy, it's dangerous if you start thinking about it. 'Cause that's the footsteps of" marriage "walking away." "Ha..." That way... you've already heard that footstep. Me. "I said, it won't last if it's not compatible, so I can't ~" "You have that, don't you? I really remember a lot, so I don't know what to do anymore." If it's not compatible, it won't last until you become an employee who can remember and use your job. If they are compatible and keep working long, they become valuable employees and can't let go. "... uh, there's nothing you can do? "Yeah. There's a way I can just leave the store to work and do the house thing myself." "Probably as difficult as a good alchemist, isn't it? Nora, once I started doing it, I forgot to eat." "When I'm in the mood, I can't help it. I hired Fee to make time for alchemy." "So, in the rough house, I couldn't stand it, and I got my hands on it. Now it's totally..." "I'm counting on you. Yes." "Huh. You should be careful, Sarasa, too, huh? If you want to get married." "I remember my liver." I'm still okay, right? Young. Yeah.

「とうとう、開店、だね!」 やっぱりゲベルクさんの仕事は早かった。 柵の作製半、看板の方もその翌日には完成させて、朝のうちにやって来て設置してくれたんだから。 古い看板を多少手直しする程度かと思ってたんだけど、屋根に掲げられた看板はこれまでとは全く雰囲気の異なる、柔らかくちょっと可愛い感じがする物。 正直に言えば、あのゲベルクさんが作ったとは思えないほどにセンスが良い! 一応、元の看板も材料として使っているみたいだけど、完全新作と言っても良いんじゃないかな、これ? 入口の扉を開けて店の中に入ると、まだまだスカスカながら商品の並んでいる棚が目に入る。 所ある窓には、装飾も兼ねて空色のカーテンを付けたので、お店の雰囲気も少し明るい。 カウンターの上には私手作りの『受注生産承ります』の看板。 その裏に回って椅子に腰掛ければ、準備完了だ! さあ、お客さん! いつでもいらっしゃい! ◇ ◇ ◇ 「......誰も来ない」 開店して一時間ほど。 あまり期待はしてなかったが、やっぱりお客さんは一人も来ていなかった。 あんまりにも暇なので、師匠にもらった錬金道具をカウンターの裏に並べ、今は時間つぶしに魔晶石を作っている。 これなら、お客さんが来た時、すぐに中断できるからね。 「ごーり、ごーり、ごーりごり」 魔晶石の原料となる に使われる魔晶石は、錬金術で作った人工魔晶石なのだが、少し大きい物になると作るのは結構大変。 細かくした屑魔晶石を錬金釜に入れて溶かし、不純物を取り除いた物を固める。 いずれの工程も魔力が必要なので、魔力の少ない人は一つ作るのも結構大変。 ちなみに、大きい錬金釜を使うと消費する魔力も大きいので、人によってはこれ専用の手のひらサイズの錬金釜を持っている人もいるとか。 私は師匠のくれた片手鍋サイズでやっているけど、学校の実習で使ったのりほどは小さい、小型のティーカップサイズだったりする。 が、欲しく、なる、ね!」 屑魔晶石自体は安い物だが、純度が低いほどたくさん砕かないといけない。 なので、それ専用の 師匠みたいに余裕が無いと買えないけどね。 手作業でなんとかなることだから。 だから私は無心にハンマーを振るう。 ガン、ガン、ガン。 「こんにち――なんですか、サラサさん!」 「ふぅ。あ、ロレアちゃん、いらっしゃい」 お店の扉を開けて入ってきたのは、雑貨屋のロレアちゃんだった。 一緒にお布団を作って女子トークをした私たちは、すでにまごうこと無くお友達。 呼び方も『ロレアさん』から『ロレアちゃん』に親密度グレードアップ。 私の方も『ちゃん』付けでも良かったんだけど、一応年上だからと『さん』付けのまま。一番最初の方が砕けた話し方だった気がするのは、もしかして年下だと思ってたのかな......? 「はい。開店おめでとうございます。......って、そうじゃなくて何してたんですか?」 「これ? えーっと、錬成の下準備?」 不思議そうにカウンターを覗き込んでくるロレアちゃんに、細かくなった粉を見せる。 これ自体も錬成と言えなくもないけど、砕いているだけだから、誰でもできる肉体労働でもある。 「へぇ~、錬金術って、もっとこう......シュッとしたイメージがあったんですけど、違うんですね」 「なに、シュッとしたイメージって?」 って言いたいのかな? 何となく言いたいことは解るけど。 私も学校に入って、学ぶ範囲の広さに驚いたもの。 「まぁ、普通の人が思うより色々やるかな? 作る物が多岐に渡るから、大工やガラス工、鍛冶、料理とかできないといけないこと、多いから」 上手いかどうかは別ですけど。特に料理。味と性能は関係なかったから。 基本、厳しい王立錬金術師養成学校も、直接錬金術と関係がない部分に関しては案外甘い。 例えば、木工が苦手なら、その部分は木工職人に頼めば良いだけ。 なので、機能的に問題が無いのであれば、多少拙くても卒業はできるのだ。 「そうなんですねぇ。やっぱり錬金術師になるのって大変なんだ......。あ、この布、私にくれた物と同じですか? この色も綺麗! って、高い!」 「あー、それでもちょっと安めなんだよ? 王都だともう二、三割は高いから」 ロレアちゃんが見て驚いたのは、私が少しお買い得な目玉商品として並べた、若草色、薄桃色、空色の環境調節布。 王都なら、染色していない薄汚れた茶色の環境調節布がこれくらいの値段で、綺麗に染めてある場合は何割も高くなる。 「良かったんですか、私がもらっても?」 「構わないよ。実際、手伝いに来てくれて嬉しかったからね!」 開店祝いにも来てくれてるし、ロレアちゃん、ホント、良い子! 「私が随分得してますけど......ありがとうございます」 「ま、宣伝も兼ねてるから、何か必要な物があれば、ウチで買ってちょうだい」 「はい、もちろんです! ――他の商品は、今のところ 「店頭に並べてるのはね。正直、この村での需要がよく解らないし」 「う~ん、普通の村人は錬成薬以外、知りませんから、需要と言っても難しいですね」 「......あ、そっかぁ」 に関しては、“こういう物がある”ということを知らない限り、欲しいとも思わないよね。 王都なんかだと、貴族や金持ちが使ってるから、知る機会もあるんだけど、この村では......これって案外致命的な問題なんじゃ? 「サンプル品、置いた方が良いかなぁ?」 「あったら知る機会にはなりますけど、ぶっちゃけちゃうと、この村の人、そんなにお金持ってないですよ? 多少あるのは、ウチかディラルさんのとこ、それに村長ぐらいです」 自給自足が可能な村だと、そうなってしまうのか。 お金を持っているのが、採集者相手に商売している宿兼食堂のディラルさん、雑貨屋のダルナさん、それに国の仕事を請け負っている村長ぐらいとなれば、村人相手の商売は難しいかも。 何か考えるべきかなぁ? 「あれ? この看板、何ですか?」 「あ、それ? 一応、村の人と、ここを拠点にしている採集者相手の優遇措置、かな?」 を陳列した棚に置いておいた看板。 “当店の使用済み薬瓶をお持ちの方に割引販売いたします”と書いてある。 一応、色々考えて決めた、ウチの店のアピールポイントかな? の空き瓶という物は、二束三文の価値しかない。 瓶を作るのは面倒なわりに、ポーションの種類毎に違う加工をした瓶が必要になるため、回収した所で単純には再利用ができないのだ。 溶かして作り直せば使えるので、買い取ってはもらえるのだが、正に二束三文なため、大抵の採集者は持ち帰るのを面倒くさがって、その場で捨ててしまう。 でも、その瓶が自分で作った物なら? きちんと印を付けて区別が付くようにしておけば、綺麗に洗浄してそのまま再利用ができる。 ぶっちゃけ、初級 にかかる手間のほとんどは瓶の作製なのだ。 自体は大きい錬金釜があれば一気に作れるが、瓶は一個ずつ作らないといけない。 正直、面倒くさい。 だからこそ、お店に修行に入った見習いに、最初に任されるのがこの瓶作りだとか。 先輩から届く手紙には『瓶作りばっかり!!』との愚痴が書かれていたし、私もバイトの時は良く作っていた。 けど、その隣で師匠が私の何倍もの速度で作っていたし、それ以外にも色々やらせてくれたから特に不満は無かったけどね。 自分の店の瓶のみ買い取るとか、都会なら難しいと思うけど、ここなら買っていくのは村人とこの村を拠点にしている採集者ぐらい。 つまり、上手くすれば常連になってくれる可能性が高い。 そこで、この瓶を高く――初級錬成薬の半額ぐらいで買い取れば? 結果的に半額で錬成薬が使えるのだから、採集者も気軽に使えるし、採集作業も安全になって嬉しい。 私も面倒な瓶作りから解放されて嬉しい。 それで多少利益が下がっても、結果的には価値があるんじゃないかな? 「なるほど、そういう事ですか。確かにそれなら、村の人も使いやすくなりますね。瓶を無くす心配も無いですから」 「普通は家で使うからね」 「これはかなり嬉しいですね。今までウチが錬成薬を扱っていたんですが、滅多に使わない病気用の錬成薬も揃えておこうとすると、どうしても高くなってしまいますから」 「あ、もしかして、ロレアちゃんのところの商売敵になっちゃう?」 に関しては、完全に利益無しですから。街で買った値段に輸送費だけを上乗せする、村の人向けの完全なサービスです」 雑貨屋さんは村の中でも稼いでいる方なので、そのくらいは貢献しないとやはりマズいらしい。 それでもたまに輸送中に破損することもあるので、完全な赤字。 ウチが売るならそれが必要なくなるので、正直助かるのだとか。 ちなみに、もう一つの稼ぎ頭ディラルさんのところは、夜の憩いの場を提供しているので、大丈夫らしい。 う~む、やっぱり村社会って難しいんだねぇ......。 私も何か考えないと、になっちゃう? 「あ、サラサさんは大丈夫ですよ?」 「そうなの?」 私が不安そうな顔をしたのに気付いたのか、ロレアちゃんがパタパタと手を振って笑う。 「錬金術師が村にいる、そのことに価値がありますから。安心感、でしょうか」 おおっ、さすが錬金術師、医者よりも信頼されているだけのことはある。 実際、そのへんの医療知識も勉強してるからねぇ。 資格が無くても名乗れる医者とは違って、一定の知識があることは保障されてるんだよ。 「それに錬金術師が稼いでいても妬む人はいませんよ。それが羨ましいなら錬金術師になれ、ってだけですから」 「......ああ、そっか」 完全実力主義。 孤児からでもなれる錬金術師は、この国では成功者の代名詞で、一般的には儲けているイメージなのに、妬まれることが驚くほど少ない。 門戸は開かれているのだから、妬むぐらいなら努力しろと言われるのがオチ。 孤児から資格を得た人がいる以上、環境が悪いなんて言い訳も許されない。 それに、病気や怪我の時、錬金術のおかげで助かった人は案外多いのだ。 「でも、実際、錬金術師って、思ったより儲からないんだよ」 「え、そうなんですか!?」 「うん、少なくとも私が昔思っていたほどには。扱う商品が高いからそう思うんだろうけど」 驚いた表情を浮かべるロレアちゃんだけど、私もそう思って錬金術師を目指したんだから彼女のことは笑えない。 何万レアもする商品を扱うから儲かっていると思うんだろうけど、実際はそう単純じゃないのだ。 「例えば、ロレアちゃんが高いと言ったあの布」 「はい」 「錬成に失敗すれば、あれが一瞬で無価値になる」 「......え、本当に?」 「うん。失敗したら、素材、使えなくなるから。何万レアかけて準備しても、失敗すればそれが吹っ飛ぶ」 一度錬成窯に入れた物は、もう二度と分離ができない。 失敗の度合いにも寄るけど、大抵は廃棄処分となる。 を作っているときに失敗なんかしたら、シャレにならないよね~」 しかも、注文を受けておきながら「失敗したので作れません」なんて事は言えるはずも無い。 新たに素材を買い集め、作らないといけないのだ。 そもそも、最初に必要な素材を集められるだけの資金が無ければ、注文を受けることすらできない。 「だから、錬金術師はある程度お金を貯めておかないと、首が回らなくなるんだよ」 「はえぇ、そんな夢のある職業じゃないんですねぇ」 「腕が良ければ儲かると思うけど、それは他の職業でも同じだしねぇ」 それでも、孤児院出身者が人並み以上の稼ぎを出せる職業なのは確かだから、“夢がある”のは間違いないんだけど。 どうしても孤児となると、就職には不利だから。 職人や商人もわざわざ孤児を雇わなくても、縁故で採用する方が色々安心というのも解るんだけどね。 をチマチマと作っているのが一番堅実に稼げるのかもね。リスクが低いから」 「うわー、なんだかすっごい物を作ってるっていう錬金術師のイメージ、壊れちゃいます」 「あはは、イメージを保ちたいなら、遠くから眺めるぐらいがちょうど良いかもね。凄い物を作るのは大変なんだよ、金銭面でも、リスクの面でも」 子供(?)の夢をちょっと壊しちゃった気がするけど、理想と現実が違うのはどの職業でも同じ、だよね? 結局、開店初日の来客数は採集者が数組のみだった。 あとは、ロレアちゃんと、開店のお祝いを言いに来てくれたエルズさん、村長、それにロレアちゃんの回収に来たマリーさん(ロレアちゃんの母親)のみ。 売り上げは錬成薬が十数本のみだから、微妙......でもない? 「よく考えたら、一日の利益としてはそう悪くないんだよね」 ウチで一番安いのは初級傷薬〇レア。 ほとんどすべての素材が庭で採取できるため、都会に比べるとかなりのお値打ち品。 採集者も喜んで買って行ってたし。 割引制度も説明したら、更に喜んでいた。 「半額で売ったとしても、二〇〇レアは利益があるわけだしねぇ」 ディラルさんのところでランチを注文するレア。 私には十分な量があるし、お酒も飲まないから、追加料金はかからない。 朝夕の食事は、やっぱりディラルさんの所から買ってきたパンで済ませたり、食べに行ったり。 お値段も似たような物なので、つまり、初級傷薬一本売れれば一日の生活費は賄える。 昨日ロレアちゃんに語った内容じゃないけど、これを続けていれば生活は安定するよねぇ。 まぁ、私はもっと成長したいし、お世話になった孤児院にも仕送りしたいから、頑張って稼ぐつもりだけど。 開店して二週間。 私のお店も程々に売り上げを伸ばし、この村を拠点としている採集者とも、おおよそ顔見知りになっていた。 提供している割引サービスもかなり好評で、『怪我の不安が無くなった』、『使用金額は増えたが、稼ぎは更に増えた』と喜びのお声を頂いております。 まぁ、怪我してしまうと、その間仕事ができなくなるから、下手に節約するより錬成薬を使った方がお得なんだよね、実際。 ただ、安い物じゃないから使用を思い切れるかどうかは普段の稼ぎ次第な所もあり、割引サービスのおかげでそのハードルが下がったんだと思う。 それに採集品もウチで買い取るようになったため、より多くの物が採集の対象になり、普段の稼ぎも増えている。 他の町まで日持ちしないような物は、錬金術師がいないと買い取れないからね。 そして、『採集者向けに』と作って並べたいくつかの 二万レアもするから決して安くないんだけど、ウチに来ている殆どのパーティーが「街で買うより安い!」と買っていった。 それだけ大樹海の中では虫に悩まされているんだろう。 まぁ、気持ちは解る。 学校でも採集実習というカリキュラムがあり、その中では採集の基本的知識や実践も学ぶ。 つまり、実際に採集に行くわけで、もちろん私も経験したんだけど......正直、しんどかった。 王都近郊の比較的安全な場所で行われる真似事に過ぎないとはいえ、実際に森に入るから、暑さ、寒さの他、獣や虫にも当然悩まされた。 引率はいるから危険性は低いんだけど、あれは一種のサバイバルだったね。 あれを思えば、虫除けの有用性はとても理解できる。 逆に売れなかったのは明かりの 私は便利だと思って作ったのだが、この村の採集者は基本的に日帰りのようで、朝早く出かけて、暗くなる前に戻ってくるのが基本パターンらしい。つまり、明かりは必要ない。 獲物が豊富だから、わざわざ時間を掛けて奥まで行かなくても稼げるからみたいだけど......本当の希少品はもっと奥にしか無いから、錬金術師としてはちょっと残念かなぁ。 師匠に送る珍しい素材が手に入りづらいから。 それに、そういう素材は高く売れるから、上手くやれば採集者としても一攫千金が手にできる。 まぁ、危険性を無視して煽るのは、無責任だからやるつもりはないけどね。 「おーい、サラサちゃん、ちょっと良いかい?」 「はい、なんですか?」 いつものように、カウンターで簡単な作業をしながら店番をしていると、店の前から聞き覚えのある人の声が聞こえてきた。 手を止めて店から出ると、そこに鎮座していたのは巨大な熊。 その前に得意げな表情で立っているのは、この村では比較的腕の良い採集者のアンドレさんだった。 「アンドレさん、おかえりなさい。見事なアンガーベアーですね」 「だろう? 比較的近くで斃せたから休まず引きずってきたんだが、買い取ってくれるか?」 文字通り休まずだったのか、パーティーメンバーの二人は――たしか、ギルさんとグレイさんだったかな?――熊に掛けられたロープを放り出し、その横でへたり込んでいる。 「えぇ、大丈夫ですよ。メインの傷は頭。眼球は一つ潰れてますね。内臓は大丈夫そう。鮮度も......問題無さそうですね。毛皮が少し傷んでいますから、四万三千レアでどうです?」 「マジで!? そんなになるのか!」 私の提示した額にアンドレさんが声を上げ、へたり込んでいた二人も目を輝かせている。 「はい。これなら私が処理できますから。死亡後一日も経ってないみたいですし」 「うわ~、今まで苦労して斃しても、肉ぐらいしか役に立たなかったのに......」 「中途半端に解体してあると、無価値になることもありますから、難しい獲物ですけどね」 アンガーベアーの中で一番お金になるのが、心臓、肝臓、眼球の三つ。 しかし、いずれも下手に取り出すと、使えなくなってしまう。 今回みたいに全部持ってきてくれれば錬金術師が処理できるけど、アンガーベアーのサイズがサイズだけに、短時間で持ち帰るとかなかなかできないからねぇ。 一番良いのは錬金術師が採集に行くことだけど......まぁ、ほとんどいないね、そんな奇特な錬金術師は。 基本、頭脳労働者だからスタミナ、少ないし、危険を冒さなくても稼げる職業だもの。 「四万三千レアかぁ......サラサちゃん、マジでこの村に来てくれてありがとう!」 「いえいえ、こちらも利益がありますから」 感極まったようにアンドレさん、更にへたり込んでいたギルさんとグレイさんも交互に握手を求めてくる。 喜んでくれるのは嬉しいんだけど、力が強くてちょっと手が痛い。 そっと身体強化して、笑顔で耐える。 「それじゃ、お金取ってきますね」 一度お店の奥に入り、持ってきたお金をアンドレさんに渡すと、満面の笑顔で受け取った彼はそれを握りしめて、声を上げた。 「よっしゃぁぁ! これで今から飲みに行くぞっ!」 「「おうっ!」」 「そいじゃな! サラサちゃん! また頼むな!」 「はい~」 そんな私の言葉もそこそこに駆けていく男が三人。 まだ日も高いのに、お酒ですかぁ。 お祝いだから良いんでしょうけど......私は、急いで処理しないとね。 せっかく良い状態の物を買ったんだから。

Open First! "Finally, the store is open! After all, Mr. Geberg's work was quick. The day and a half after the construction of the fence, the signage was completed, and they came in the morning to install it. I was wondering if the old sign would be somewhat reworked, but the sign on the roof has a completely different vibe than before, something that feels soft and a little cute. To be honest, you have such good taste that I don't think that Mr. Geberg made it! For once, it looks like the original sign is also used as an ingredient, but I guess I could say it's completely new, this? When I open the entrance door and go inside the store, I can still see the shelves lined with products while still scurrying. The three windows were also decorated with empty curtains, so the atmosphere of the shop was a little bright. Above the counter is my handmade 'I accept order production' sign. If you turn around behind it and sit back in the chair, you're all set! Come on, customers! You're always here! ◇ ◇ ◇ "... no one will come" Opened for about an hour. I didn't expect much, but I knew not a single customer was coming. I'm so free, I arranged the alchemy tools my master gave me behind the counter, and now I'm building the Demonic Crystal Stone at the end of time. We can interrupt this as soon as the customers arrive. "O-ri, o-ri, o-ri" Crumb crystal stone, which is the raw material of the demonic crystal stone, is hammered and further finely refined by the pharmaceutical research Yasen. Demon crystal stones of natural products are expensive anyway, so demon crystal stones, commonly used in the smelter Artifact, are artificial demon crystal stones made in alchemy, but it's pretty hard to make them when they're a little bigger. Dissolve the finely scraping demonic crystal stone in an alchemy kettle and consolidate the impurities removed. Every process requires magic, so it's pretty hard for people with less magic to make one. By the way, some people have palm-sized alchemy cauldrons dedicated to this because using a large alchemy cauldron also consumes a lot of magic? I do it in a one-handed pot size that my master gave me, but I used it in my school internship about twice as small, or a small teacup size. "Crushing, I want the smelter Artifact, I will! Dandruff crystal stone itself is a cheap object, but the less pure it is, the more it has to be crushed. Therefore, of course, there is an object called the "artifact", which is a specialized smelter. I can't buy it if I can't afford it like a master. Because it's something you can handle by hand. So I wave the hammer heartlessly. Cancer, cancer, cancer. "Kontachi - what is it, Mr. Sarasa?! "Phew. Ah, there you are, Lorea." It was Lorea at the grocery store who opened the store door and came in. We made a futon together and had a women's talk, and we're already friends without a mess. I also upgraded my parental density from "Mr. Lorea" to "Lorea." Mine could have been with "Chan," but for once I was older and stayed with "Mrs". I thought the first one was the shattered way to talk was maybe younger......? "Yes. Congratulations on opening the store.... and what were you doing instead of? "This? Um, ready under smelting? Show Lorea the finer powder as she peeks into the counter strangely. This in itself cannot be called smelting, but it is also a manual labor that anyone can do because it is just crushing. "Heh, alchemy, more like this... I had a shrugged image, but you're not" "What, a shrewd image? Are you trying to say sophisticated (smart)? I know what you're trying to say. Something that surprised me about the breadth of my scope of learning, too, by going into school. "Well, do you do a lot more than normal people think? Because there are so many things to make, you have to be a carpenter, a glassmaker, a blacksmith, a cook, and so on." It doesn't matter if you're good or not. Especially the food, because it had nothing to do with taste and performance. Basic, rigorous Royal Alchemist Training School is also out-of-the-box sweet when it comes to parts that have nothing to do with direct alchemy. For example, if you don't like woodworking, you just have to ask the woodworker for that part. So if there's nothing functionally wrong, I can graduate even if it's slightly awkward. "That's right. I knew it was hard to be an alchemist... Oh, is this cloth the same thing you gave me? This color is beautiful too! That's expensive! "Uh, still a little cheap, huh? Because it's a king's capital, and it's or 0% more expensive." What surprised Lorea when she saw was the young grass, light peach, and empty environmentally adjustable cloth I arranged as a slightly better value eyeball product. In Wang Du, an undyed thin dirty brown environmental conditioning cloth is this expensive and tens of percent more expensive if it is dyed beautifully. "Was it good, even if I got it? "I don't mind. In fact, I'm glad you came to help! You're here to celebrate the opening, and Lorea, really, good boy! "I've earned a lot... thank you" "It's also advertised, so if you need anything, please buy it from us." "Yes, of course! - Is the only other product available so far is the smelting drug Potion? "You're lining up in the store. Honestly, I don't really understand the demand in this village." "Uh-huh, ordinary villagers don't know anything but smelting drugs, so it's hard to say demand." "... oh, wow" Compared to the boiling smelter Potion in the image, you don't even want the smelter Artifact unless you know that it has something like this. Wang Capital is something that nobles and rich people use, so I have a chance to know that in this village... isn't this an out-of-the-box fatal problem? "Sample product, should I put it down? "If it happens, you'll get a chance to know, but if you smash it, people in this village don't have that much money, do they? Some of them are from us or Mr. Dilal, and the village chief." If it is a village capable of self-sufficiency, will it become so? It may be difficult to do business with a villager if the money is about Dilal from the inn and dining room who is doing business with the collector, Darna from the grocery store, and the village manager who is doing the country's work. I was wondering if I should think about something? "Is that it? This sign, what is it? "Oh, that? For once, preferential treatment for villagers and collectors based here, right? What Lorea found was a sign I left on the shelf displaying the smelting drug Potion. It says "We will sell discounts to people who have our used medicine bottles”. For once, I thought about it a lot and decided, is that an appeal point for our store? Typically, an empty bottle of the smelting drug Potion is only worth a bundle of three sentences. Instead of making bottles, they need to be processed differently for each type of potion, so they simply cannot be reused where they are collected. I can use it if I melt it and rebuild it, so I can get it bought out, but because it's really a bundle of threads, most collectors are bothered to take it back and throw it away on the spot. But if that bottle made it yourself? If it is properly marked and distinguished, it can be cleaned clean and reused as is. Blah, most of the work involved in elementary smelting drugs (potions) is making bottles. The smelting drug Potion itself can be made all at once if there is a large alchemy kettle, but the bottles have to be made one at a time. Honestly, it's a pain in the ass. Is that why you think this bottle making will be the first thing you will be entrusted to an apprentice who has entered the store for training? The letter I get from my senior reads: 'I just make bottles!!' It said stupidity, 'and I made it well when I was a part-timer. But next to that, my master was making it many times as fast as I was, and he made me do a lot of other things, so I wasn't particularly dissapointed. I think it would be difficult in the city to buy only bottles of my own shop, but it is about the villagers and collectors based in this village who will buy them here. I mean, if you're good, you're likely to be regular. So why don't you buy this bottle high - for about half the price of the primary smelter? As a result, smelting drugs can be used for half the price, so collectors can easily use them, and I'm glad the collection work is safer. I'm glad I'm free from troublesome bottlemaking, too. So even if the profit drops somewhat, it turns out to be worth it, doesn't it? "I see. Is that so? Sure, that would make it easier for people in the village to use. Don't worry about losing the bottle." "I usually use it at home." "I'm pretty glad about this. We've been dealing with smelting drugs before, but trying to keep all the smelting drugs for diseases that we rarely use can get really expensive." "Oh, could I be the commercial enemy of Lorea's place? "No, not at all. As for the smelting drug Potion, it is completely unprofitable. It's a complete service for villagers that only increases transportation costs to the price they buy in the city." The grocery store is one of the people who makes money in the village, so it still sounds bad if you don't contribute that much. A complete deficit, as it can still occasionally be damaged during transport. If we sell it, we won't need it, so you honestly think it'll help? By the way, it seems to be okay with another earner, Mr. Diral, as he offers a place to relax at night. Uh-huh, I knew it would be difficult to meet Village... If I don't think about it, it's gonna be village eight? "Oh, Mr. Sarasa's fine, isn't she? "Really? You noticed I looked anxious, and Lorea waves and laughs. "There's an alchemist in the village, because it's worth it. peace of mind, is it?" Whoa, that's just something I'm more trusted with than an alchemist, a doctor. In fact, I'm studying medical knowledge in that area, too, so hey. Unlike doctors who can be named even if they're not qualified, they're guaranteed to have a certain amount of knowledge. "And no one is jealous even if the alchemist is making money. If that's what you envy, be an alchemist." "... oh well" Full meritocracy. Alchemists who can even be from orphans are synonymous with successful people in this country, who are surprisingly less jealous, even though they are generally profitable images. The door is open, so if you're jealous, it's Othi who tells you to work hard. No excuse is allowed for the environment to be worse than someone qualified from an orphan. Besides, when you are sick or injured, there are many people out there who have been helped by alchemy. "But in fact, alchemists don't make more money than I thought." "Oh really?!?" "Yeah, at least not as much as I used to think. I'm sure that's what you think because it's expensive to handle." I have a surprised look on my face, Lorea, but I can't laugh about her because I thought so too and went for an alchemist. I know you think you're making money because you deal in products that cost tens of thousands of rare, but it's actually not that simple. "For example, that cloth Lorea said was expensive" "Yes." "If you fail to smell, that will be worthless in an instant" "... eh, really? "Yeah. If I fail, material, because I won't be able to use it. Tens of thousands of rare to prepare, if you fail, it will blow up" Once placed in a smelting kiln, it can never be separated again. It also comes to the degree of failure, but mostly it is disposed of. "If you fail to do something when you're making a million rare smelter artifacts, you won't be stylish ~" Besides, there's no way you can say "I couldn't make it because I failed" while taking orders. We need to buy new materials and make them. In the first place, I can't even take an order if I don't have enough money to collect the materials I need first. "So if the alchemist doesn't save some money, he's gonna lose his neck." "Yes, it's not such a dream profession." "I think if you're smart, you'll make money, but that's the same thing in other professions." Still, I'm pretty sure I have a "dream” because I'm sure it's a profession where people from orphanages can make more money than crowds. Because when you're really an orphan, it's not good for you to get a job. I also know that artisans and merchants don't have to bother to hire orphans, but it's a lot safer to hire them on edge. "If you say you don't have a body or a lid, it's probably the most solid way to earn money making primary smelting drugs (potions) with chimatima. Because it's low risk." "Wow, the image of an alchemist making something kind of amazing, it's broken" "Haha, if you want to keep your image, you might as well watch it from a distance. It's hard to make amazing things, in terms of money, in terms of risk." I think I broke my child's (?) dreams a little bit, but it's the same in every profession where ideals and reality are different, right? In the end, only a few groups of visitors arrived on the first day of opening the store. All you have to do is Lorea and Elles, the village chief, who came to celebrate the opening, and Marie (Lorea's mother), who came to collect Lorea. The sales are only a dozen smelting drugs, so subtle...... isn't it? "If you think about it, it's not that bad for a day's profit." The cheapest we have is 500 rare for primary wound medication. Pretty good value compared to the city because almost all the materials can be collected in the garden. The collectors were happy to buy it. I was even happier when I explained the discount system. "Even if you sell it for half the price, 200 rare is not profitable." I order lunch at Mr. Dilal's and it's forty rare. I have enough and I don't drink alcohol, so there's no extra charge. Morning and evening meals are done with the bread I bought from Mr. Dillall's after all, or go eat. The price is similar, so in other words, if you sell a bottle of primary wound medicine, you can cover the cost of living a day. It's not what I told Lorea yesterday, but if you keep doing this, your life will be stable. Well, I want to grow up more, and I want to send you to the orphanage where you took care of me, so I'm going to make the best of it. Opened for two weeks. My shop also grew sales from time to time, and my collectors based in this village were roughly familiar with each other. The discount service we offer is also quite popular, and we are delighted to hear that 'injury anxiety is gone' and 'the amount used has increased, but the earnings have increased even more'. Well, if you get hurt, you won't be able to work in the meantime, so it's a better deal to use smelting pills than to save poorly, actually. However, because it is not a cheap item, it depends on whether or not you can use it, and I think the hurdle dropped thanks to the discount service. Plus, we started buying collectibles, so more items are eligible for collection, and we're making more money than usual. You can't buy things that don't get sunny to other towns without an alchemist. And of several smelter artifacts made and arranged with "For Collectors," quite a few are sold by the insect repellent smelter Artifacts. It's never cheap because it costs 20,000 rare, but most parties that are coming to us say, "It's cheaper than buying in the city! I bought it." I guess that's all bug-plagued in the great tree sea. Well, I know how you feel. There is also a curriculum called Collection Internship in schools, in which you also learn the basics and practices of collection. I mean, I'm actually going to collect it, and of course I went through it... honestly, it was a pain in the ass. Even though it is nothing more than an imitation to be done in a relatively safe place near Wangdu, it naturally plagued the beasts and insects, besides the heat, the cold, because it actually goes into the woods. There's a pull rate, so it's not dangerous, but that was a kind of survival. With that in mind, the usefulness of insect repellent is very understandable. What didn't sell the other way around was the light smelter Artifact. I made it because I thought it was convenient, but the collectors in this village are basically like day trips, and it seems the basic pattern is to go out early in the morning and come back before dark. I mean, we don't need lights. Because of the abundance of prey, it seems like it's because you don't have to take the time to get to the back to make money...... I'm a little sorry as an alchemist because the real rarities are only in the back. Because it's hard to get the rare material I send to my master. Besides, that kind of material sells high, so if you do it well, you can grab a thousand bucks as a collector. Well, I'm not going to ignore the danger and incite it because it's irresponsible. "Hey, Sarasa, you got a minute? "Yes, what is it? As usual, I heard someone familiar coming from in front of the store as I was doing a simple job at the counter. When I stopped my hand and got out of the store, it was a giant bear sitting there. Standing before it with a good look was Andre, a relatively skilled gatherer in this village. "Welcome back, Mr. Andre. That's a brilliant angler bear." "Right? I was able to shoot him relatively close, so I didn't rest and dragged him, but would you buy him out? You didn't literally rest, two of the party members - but was it Mr. Gill and Mr. Gray? - throwing out a rope hung by a bear and going beside it. "Yeah, I'm fine. The main wound is the head. You're crushing one eyeball. My gut looks fine. Freshness also...... you don't seem to have any problems. The fur is slightly damaged, so how about 43,000 rare? "Seriously!? Will it be that much! Andre raised his voice on my offered forehead, and the two people who were going in and out are also shining their eyes. "Yes, because I can handle this. It hasn't been a day since he died." "Wow, I've been struggling to kill you, but it only helps about meat..." "It can be worthless if it's dismantled halfway through, so it's a tricky prey." The three things that make the most money out of Anger Bear are the heart, liver, and eyeballs. But if you take them all out poorly, they won't be available. If you bring it all, like this one, the alchemist can handle it, but the size of the anger bear is just the size, because I can't really bring it back in a short time. The best part is that the alchemist goes to collect... well, you're barely there, such a peculiar alchemist. Basically, I'm a brain worker, so stamina, less, and it's a profession I can earn without risking. "Forty-three thousand rare...... Sarasa, thank you so much for coming to this village! "No, because this one's profitable too" As I was impressed, Mr. Andre, Gil and Mr. Gray, who were in for more, also asked me to shake hands alternately. I'm glad you're happy, but you're strong and your hands hurt a little. Gently strengthen your body and endure with a smile. "Well, I'll get the money." Once he entered the back of the store and gave Mr. Andre the money he had brought, he grabbed it with a full smile and raised his voice. "Yikes! Now we're going for a drink! "" Ouch! "Come on! Sarasa! Don't ask me again! "Yes ~" Three men rush there with my words like that, too. Even though the sun is still high, is it alcohol? It's a celebration, so I guess it's a good idea... but I have to hurry up and process it. Because I bought something in good condition.

「カーク準男爵との間で交わされた借金の証文はお持ちですか? もしくは、その内容を詳しく教えて頂くだけでもかまわないのですが」 「さすがに証文は持ってきていないが、内容については儂が覚えている。だが、それが何の関係がある?」 「ちょっと気になることがあるので。教えていただけますか?」 「あぁ、もちろんかまわない。まずは金額が――」 ややお人好しな所はあるようだけど、アデルバート様が優秀な人物であることは間違いないようだ。 かなり細かい条件までしっかりと記憶していて、私の質問にもよどみなく答えが返ってくる。 そしてり疑問点を聞き終えた私は、大きく頷いた。 「うん、これは、違法の可能性がありますね」 「違法? 借金が、か?」 予想外のことを聞いたと、目を丸くしたアデルバート様に私は再度頷く。 「借金の条件が、ですね。この国では、貴族同士の借金には、ある程度の制限があるのですが、ご存じですか?」 「いや、知らない。カテリーナ、お前はどうだ?」 「あいにく私も......ご存じの通り、私たちは元々この国の出身ではありませんから」 アデルバート様に視線を向けられたカテリーナさんは申し訳なさそうに首を振った。 「そうだったな。すまぬ」 「いえ、今の状況には満足していますし、アデルバート様には感謝しております」 ふむ。ケイトさんはハーフだし、そのへん何か事情がありそうだけど......今は関係ないか。 「店長さん、私もよく知らないんだけど、その条件って何なの?」 「貴族が貴族に対してお金を貸す場合の条件、です。平民には関係ないのであまり知られていませんが、制限があるんですよ、実は」 この国で貴族が貴族にお金を貸す場合、その利息には、国王によって上限が決められている。 その他にも、担保や返済期限などいくつかの制限があり、これを逸脱するような借金は国法に反する物として、処罰の対象となるのだ。 何故こんな条件があるのかと言えば、本来国王に対して忠誠を誓うべき貴族が、借金によって他の貴族の下に付くようなことがあると、国王の権威に傷が付くから。 当然と言うべきか、貴族にも派閥があり、上下関係があるようだけど、国王としてできるだけそれを少なくしたいと思うのは当然だろう。 斯くして、このような法が施行されているのだ。 「そんな法があったのですね。これは、ウォルターの落ち度です。アデルバート様、申し訳ありません」 「いや、仕方なかろう。儂も知らぬ事だし、そもそもどのような条件であれ、借金をせざるを得ない状況だったのだ」 沈痛な面持ちで頭を下げるカテリーナさんに、アデルバート様は首を振る。 訊いてみれば、ウォルターさんというのは、ケイトさんの父親――つまり、カテリーナさんの旦那さんで、アデルバート様が留守の間、アイリスさんの母親であるディアーナ様と共にロッツェ家の事を取り仕切っている人らしい。 借金などの実務に関してもウォルターさんの担当で、今回の借金に関して話をまとめたのも彼だったらしい。 「あー、それはある程度仕方ないかと。普通の貴族の陪臣では学ぶ機会も無いでしょうから......」 こう言ってはなんだけど、騎士爵の陪臣が細かい国法を学ぶ機会など無い。 まだ大貴族の陪臣であれば、親から子へ、代々受け継がれる知識などもあるんだろうけど、アデルバート様ぐらいの家だと、ね。 専門家を雇えば話は別だろうけど、アデルバート様にそんな余裕があったとは思えない。 「ふむ......そんなものか。しかし、店長殿は何故そんなに詳しいのだ?」 「習うんですよ、いろんな事を。錬金術師養成学校では」 国が運営するあの学校、錬金術を習うのは当然として、それ以外にもかなり広範囲に専門的な知識を教授される。 それこそ、錬金術師として活動するだけなら、あまり必要なさそうな事も含めて。 まるで、錬金術のプロフェッショナルを育てる事よりも、あらゆる事が可能なジェネラリストを養成する事を考えているかのような......。 そのへんの事は国の政策に関わる事だろうから、私に詳しい事は判らない。 ただ、国に錬金術師が足りないのは間違いない事なので、それらの授業の成績で脱落したりはしないよう、合格基準はやや低めに設定されている。 必然的に学生の力の入り様も異なり、私の報奨金稼ぎにとても貢献してくれたものである。 「なので、錬金術師が全員、これらの知識を持っているわけじゃないんですけどね。あ、いや、習っていることは習っていますが、覚えているかどうかは別、って事ですけど」 と言うか、合格点が取れれば良いとだけ思っている普通の錬金術師は、たぶん試験が終わったら忘れてると思う。 「ちなみに、違法と判断されたらどうなるのだ?」 「制限の範囲内で計算し直すことになります。すでに十分に支払っていれば、借金が棒引きされた上で、お金が戻ってくる事もあります」 「ほう!」 嬉しげな声を上げるアイリスさんを制すように、私は手を上げて、言葉を続ける。 「話を聞いた範囲では、違法の可能性が高いのですが、私も専門家ではありませんし、そういう事をする相手です。何らかの抜け道を使っていることも考えられますから」 私が訊いたのは、契約書類に関して こういう詐欺って、判りにくいように罠を仕掛けてあったりするから、契約者本人の認識はあまり当てにならない。 「専門家、か。その手の専門家は、王都に行けばいるのだろうか?」 「そうですね、師匠に聞いた話では、これを専門にして荒稼ぎしていた人も過去にはいたらしいですよ?」 ここで言う専門家とは、法律の専門家では無く、借金関係、それも違法な借金の清算を専門にしている人という意味。 それだけを専門にしていれば、身につけるべき知識の量も少なくて済み、作業内容もパターン化される上、依頼相手からの報酬も、取り返す事ができた金額から一定割合で貰えば取りっぱぐれる事がない。 かなり楽に稼げたため、借金をしていそうな貴族を訪ね歩いて、話を持ちかけたりする事もしていたようだ。 「もっとも、最近はいないようです。何故か、早死にする人が多かったみたいで」 「何故かというか、理由は明白じゃない? まともじゃない貴族、それも複数から恨みを買うことになるんだから」 やや呆れたように言うケイトさんに、私も苦笑する。 「まぁ、そういう事ですよね、やっぱり。そんなわけで、それの専門家はいませんが、総合的に貴族同士の調停を扱っている専門家はいますので、その人たちに依頼すれば、なんとかなる......かもしれません」 契約書類の内容次第なので、断言ができないけど。 「とは言え、調停結果が出るまでには、かなりの期間が必要になるはずですので、返済はせざるを得ないでしょうね。後で返還されるにしても」 調停結果が出るまでは、借金の証文は有効なのだ。 それに基づいてカーク準男爵が行動を起こし、ロッツェ家の領地に手を出してきても文句は言えないし、返済したお金が後で戻ってきても、取り返しの付かない事もある。 「お金が必要な事は、変わらずか」 「もう少し少ない額なら、家中の者で頑張って稼ぐという方法も考えられるのですが......」 ため息をついたアイリスさんにつられるように、カテリーナさんも憂鬱そうに言葉を漏らす。 まぁ、少々の人数が働いたぐらいで稼げる額じゃないよね。 それこそ、年単位で頑張らないと、足しにもならない気がする。 「ちなみにアイリスさん、家中と言うと、どのくらいの人が......?」 「うっ......」 私の質問に、アイリスさんだけではなく、アデルバート様を含め、全員が気まずそうに視線を逸らした。 「当家の陪臣は、その......スターヴェン家だけでな?」 「成人しているのは、儂たち夫婦と、アイリス、スターヴェン家夫婦とケイトだけなのだ」 「へ、へぇ......」 えっと、つまり、なんですか? 成人だけで、この場にいないのは、アイリスさんのお母さんとケイトさんのお父さんだけ、と。 そりゃ、無理だ。 どう頑張っても、普通のお仕事では稼げない。 「一応、私とケイトに兄弟もいるのだが、どちらも下なのだ」 訊けば、アイリスさんの下に妹、ケイトさんには弟が一人いるらしい。 ただ、前者は未だ一〇にも満たず、後者などやっと乳離れをしたところ。戦力としては全く当てにできない。 「お金を借りられるような当ては......無いんですよね?」 「うむ。恥ずかしながら、先ほどサラサ殿に出した金も、それらの当てを回ってなんとか工面した額なのだ」 だよね。あったら、困ってないよね。 「こうなったら、爵位の返上も視野に入れざるを得ないか......」 「お父様! それは......」 焦ったように声を上げたアイリスさんに、アデルバート様はゆっくりと首を振る。 「これも儂の力不足。方策がない以上、それも考慮すべきだろう」 「お父様......」 「「アデルバート様......」」 う、う~む、愁嘆場? ここで、『そうですね。貴族として力不足だから、仕方ないですね』と言えるほど、私とアイリスさんたちのお付き合いは浅くないわけで。 「そもそも、爵位を返上しても、借金は残りますよ? むしろ、悪化しますね」 村二つだけの領地しかない下級貴族でも、その収入は平民よりは多いし、借金に関する規制も貴族であればこそ。 貴族でなくなればそんな規制の対象外になってしまうので、調停によって対処する事もできなくなってしまう。 後はもう、貴族の権力を笠に着た、平民に対する強引な取り立てである。 そして返す当てが無いとなれば、アイリスさんやケイトさん、下の妹さんたちの身に、幸せな結果が待っているはずも無い。 「むぅ......ならばどうすれば......」 渋面で考え込むアデルバート様の顔を見て、アイリスさんが私の顔に窺うような視線を向ける。 そして再度、アデルバート様の顔を確認して、おずおずと口を開いた。 「店長殿、とても言いにくいのだが......店長殿の師匠に借りる事は......できないだろうか?」

"Do you have a statement of the debt exchanged with Associate Baron Kirk? Or you can just tell me more about it." "I just didn't bring the testimony, but I remember Ng about the content. But what does that have to do with anything? "Because I'm a little concerned. Can you tell me? "Oh, of course I don't mind. First of all, the amount..." There seems to be somewhat of a favorite place, but there seems to be no doubt that Master Adelbert is a brilliant person. I remember it well to fairly fine conditions, and the answer returns to my question as well. And after hearing the whole question, I nodded aloud. "Yeah, this could be illegal." "Illegal? Debt, huh? When I heard unexpected things, I nodded again to Master Adelbert, who rounded my eyes. "The terms of the debt, right? In this country, there are some restrictions on debt between aristocrats, you know? "No, I don't. Katerina, how about you? "Unfortunately, neither do I... because, as you know, we are not originally from this country" Mr. Katerina, who was gazed at by Master Adelbert, shook her head with regret. "You did. Sorry." "No, I am satisfied with the current situation, and I thank Master Adelbert" Hmm. Mr. Kate is a half, and there seems to be something wrong with him... but does it matter now? "Mr. Store Manager, I don't know much about that either, but what are the terms of that? "Conditions if nobility lends money to nobility,. It's not very well known because it doesn't concern civilians, but there are restrictions, actually." If a nobleman lends money to a nobleman in this country, the interest is capped by the king. There are a number of other limitations, such as collateral and repayment deadlines, and debts that deviate from this are punishable as contrary to national law. Why is there such a condition, because the authority of the king is scratched when there is such a thing as a nobleman who should have sworn allegiance to the king is attached to another nobleman by debt? Naturally, the nobles also have factions, which seem to have an upward and downward relationship, but they naturally want to do as little of that as possible as kings. This is the kind of law that is enforced. "You had that law. This is Walter's downfall. Dear Adelbert, I'm sorry." "No, I don't have a choice. I don't know anything about it, and whatever the conditions were, I had to make a debt." Lady Adelbert shakes her head to Mr. Katerina, who bows her head with a sinking face. If you ask me, Mr. Walter is Kate's father - that is, Katerina's husband, who, while Adelbert was away, seems to be partitioning the Rozze family with Iris' mother, Deanna. He was also in charge of Mr. Walter when it came to debt and other practices, and he was also the one who put together a story about this debt. "Uh, I was wondering if I had some choice about that. Normal aristocratic juries won't have a chance to learn..." I don't know what to say, but I don't have a chance for a jury of knights to learn fine national law. If you're still a grand aristocratic jury, you probably have some knowledge that will be passed down from parent to child, but it's like Adelbert's house, right? Hire an expert and you won't talk about it, but I don't think I could afford Master Adelbert like that. "Hmm... is that it? But why is the manager so familiar? "Learn, do a lot of things. In the Alchemist Training School." That school run by the state, it is natural to learn alchemy, and besides that, they are taught professional knowledge quite extensively. That's what it seems like if you just act as an alchemist, including things you don't really need. It's as if you're thinking more about training generalists who can do everything than developing alchemy professionals... I don't know how familiar I am with that because it would involve national policy. However, there is no doubt that there are not enough alchemists in the country, so the acceptance criteria are set to be slightly lower so that they do not fall off in those class grades. Inevitably, the power of students is different, and it has contributed very much to my bounty earner. "So not all alchemists have this knowledge. Oh, no, I'm learning what I'm learning, but it doesn't matter if you remember." I mean, a regular alchemist who just thinks it would be nice to get a passing score probably forgets after the exam. "By the way, what happens if they find it illegal? "You will recalculate within the limits. Sometimes if you've already paid enough, your money will come back after your debt has been barbed." "Whew!" I raise my hand and carry on the words, as I control Mr. Iris, who speaks with joy. "From what I've heard, it's likely illegal, but I'm not an expert either, and that's who I do it to. Because you can also think of using some way out." What I asked was what a (...) de (...) l (...) ba (...) - (...) t (...) is aware of with regard to the contract documents. The perception of the contractor himself is not much to guess because fraud like this can be trapped in such a way that it is difficult to understand. "Expert, huh? Are the experts in that hand supposed to go to Wang Du? "Right, I heard from my master that some people who specialize in this and make rough money have done so in the past, right? By "expert" I mean someone who is not a legal expert, but a debt relationship, which also specializes in liquidating illegal debts. If we specialize in that only, the amount of knowledge we need to acquire will be small, the work content will be patterned, and the compensation from the client will not be taken away if we receive a certain percentage from the amount that we were able to reclaim. Because it was fairly easy to make money, he also seemed to visit and walk to the aristocracy who seemed to be in debt and bring the story with him. "Most likely, he hasn't been around lately. For some reason, a lot of people died prematurely." "Isn't it obvious why? Undecent aristocracy, because it also buys resentment from multiple people." I laugh bitterly at Kate, who tells me to be slightly shy, too. "Well, that's the thing, after all. That's why we don't have an expert on that, but we have an expert who deals comprehensively with mediation between aristocrats, so if we ask those people, we might be able to figure it out..." Depending on the content of the contract documents, I can't say for sure though. "That said, it should take quite a while for the conciliation results to come out, so I guess we'll have to make repayments. I don't care if they return it later." Until the conciliation results, the debt statement is valid. I can't complain about Associate Baron Kirk taking action on that basis and getting his hands on the territory of the Rotze family, and even if the money I repaid comes back later, it can't be taken back. "What you need money for is the same." "If it's a little smaller, I can also think of a way to earn hard money with the people in the house..." Katerina also leaks her words melancholy so that she can follow Iris, who sighed. Well, it's not the amount you can earn about a small number of people working, is it? That's what I feel like if I don't work hard on a year-by-year basis, it won't even add up. "By the way, Mr. Iris, speaking of the whole house, how many people...? "Ugh..." To my question, everyone, including Lady Adelbert and not just Mr Iris, seemed to get out of sight at first sight. "Our jury is... just the Starven family, right? "The only adults are the Noons and the Iris and the Starvens and Kate." "Heh..." Uh, I mean, what is it? There are only five adults, and the only ones who are not here are Iris' mother and Kate's father. Well, I can't. No matter how hard you try, you can't make money from a normal job. "For once, me and Kate have brothers, but they're both down there." Ask him, he has two sisters under Mr. Iris and Kate has one brother. However, the former is still less than ten, and the latter and others have finally breastfed. I can't count on it at all as a force of war. "You don't think you can borrow money... do you? "Uhm. I'm ashamed that the money I gave to Lord Sarasa earlier is also the amount I managed to construct around those assumptions" Right? If there is, you're not in trouble, are you? "If this happens, do I have to look at the return of the title..." "Father! That's..." Master Adelbert shakes his head slowly to Mr. Iris, who raised his voice as if in a hurry. "This is also the lack of power of Non. It should also be taken into account, beyond the lack of measures" "Father..." "" Dear Adelbert... " Uh-huh, woe? Here, 'Right. As a nobleman, you lack strength, so you have no choice', so my relationship with Mr. Iris is is not shallow enough. "In the first place, returning the title will leave you in debt, won't it? Rather, it gets worse." Even lower aristocracy, which has only two villages, earns more than the civilian population, and the regulations on debt are only if they are aristocratic. If they are no longer aristocrats, they will not be covered by such regulations, so they will not be able to deal with them by mediation either. Later, it is already a forceful take on civilians, wearing aristocratic power. And if you're not going to give it back, there's no way Mr. Iris, Mr. Kate, or the younger sisters are expecting happy results. "Mmmm... then how do I..." I look at Master Adelbert's face thinking on the tannic side, and I turn my gaze as Mr. Iris peeps into my face. Then again, I checked Master Adelbert's face and opened his mouth with a snack. "Dear Store Manager, it is very difficult to say... that you can borrow from the Master of Store Manager... can't you?

「......とりあえず、本当高いのか、調べてみよっか。アイリスさん、今度取ってきた牙私が鑑定してから、売りに行ってもらえます?」 「ああ、構わないぞ」 「アンドレさんのお話も、この事ですか?」 「あぁ、そうだ。サラサちゃんには世話になっているから、古参はこの店で売っているが、サラサちゃん的にはそのへん、どうなのかと思ってな」 「お気遣いありがとうございます」 なるほど、より高く買い取るところがあっても、ウチで売る人がいたのはそのせいか。 やっぱり商売をするには、人と良い関係を保つ事が重要だね。 「ですが、先ほど言ったとおり、もし本当にその商人が高く買い取っているのなら、そちらで売られても構いませんよ? 私はあまり困りませんから。ケイトさんたちも、あっちで売っても良いですからね?」 「良いのか? 無くなると困らないか? それに、店長殿に不義理な事をするなんて......」 「しばらくは在庫で大丈夫ですから。それに、必要があれば、自分で取りに行けば良いですからね」 「サラサちゃんにはそれができるもんなぁ。下手すりゃ、村にいる採集者全員が集めるよりも多く、一人で取ってこれるもんな」 「運んでくれる人がいれば、ですけどね」 いくら私が身体強化を使えるとは言っても、持てる量には限界がある。 具体的には、革袋の強度的問題で。 なので、もし取りに行く時には、前回同様、アイリスさんたちを連れて行きたいところ。 「良し解った。その時には俺たちにも声を掛けてくれ。そして、本当にその商人が高く買い取っていることが判ったら、古参の連中にも、そちらで売って良いとサラサちゃんが言っていたと伝えておくぜ?」 「えぇ、そうしてください。ガッツリお金を稼いで、その分、村にお金を落としてくれれば言う事ありません」 「おう! 心配しなくても、新参連中も、食堂で毎日酒盛りしてるぜ?」 「そういえばお父さんも、最近は高めのお酒を、多く仕入れるようになったと言っていました。家を借りる人も増えてきましたから、お酒の他にも、おつまみなどが売れているみたいです」 最近この村は、氷牙コウモリの牙フィーバー。 悪臭さえ我慢すれば、案外簡単に採取できて、比較的高いため、金遣いが荒くなっている採集者が増えているらしい。 そんな採集者で、ディラルさんの宿は既に満室。 必然的に食堂の利用者も多くなり、テーブルの確保が難しくなった食堂を避け、借りた家などで酒盛りをする採集者も結構増えているらしい。 ちなみに、ウチの店でも、そんな採集者向けに制嗅薬と柔軟グローブを並べているんだけど、それなりに売れるグローブに対して、薬の方はイマイチ。 我慢できるから、という事なんだろうね、やっぱり。 「ははぁ、やっぱり食堂はいっぱいになったかぁ。ロレアちゃんの言うとおり、台所をきちんと整備して正解だったね。ありがとうね」 「ロレアの料理には、私たちも助けられている。最近は前を通るだけだが......」 「そうね。あそこには入って行きづらいわね。ありがとう」 「いえいえ、私も楽しんで料理してますから!」 私たちから感謝の言葉を贈られ、ロレアちゃんが照れたように首を振る。 けど最近、オーブンも使いこなし始めたロレアちゃんは、パン焼きまでしてくれるようになり、本当に助かっているんだよね。 現状、ディラルさんの所に買いに行くのは、ちょっと避けたい感じだし。 「ま、女が入るには、ちょいきついよなぁ、今は」 「やっぱり、そんな状況なんですか?」 「あぁ。氷牙コウモリの牙は楽に稼げるからな。新人も結構集まってるぜ? けど、新人は情報も集めず、準備せずに行って、臭ぇまま食堂に戻ってくるバカもいるからなぁ」 アンドレさんは顔をしかめ、吐き捨てるように言う。 「うわ......それは、空いていても、食堂に行きたくないですね」 「もっとも、そういう奴はディラルが追い出して、水をぶっかけてるぜ? 臭いが落ちるまで、戻ってくるな! って」 さすがはディラルさん、容赦ない。 暑い時期だから、水を掛けられても風邪をひいたりはしないだろうけど......一応、お客さん相手に良くやる。 「だが、準備して行ったところで、どうしても臭いが残るだけに、今の食堂は......」 深いため息をつくアンドレさんに同意するように、アイリスさんとケイトさんもまた、深く頷く。 「採集者なんて、不潔な奴も多いからなぁ」 「そうよね。その点、ここは本当に助かるわ。毎日、お風呂には入れるし」 「まぁ、私が入りますからね。ついでです」 せっかくお風呂を沸かすのだから、一緒に住んでいるアイリスさんたちにも入ってもらった方が、無駄が無いし、私も彼女たちが清潔な方が気持ちが良い。 ちなみに、ロレアちゃんは一緒には住んでいないけど、最低でに一回ぐらいは使っている。 なんかも扱うわけだから、店番を任せるなら、やっぱり清潔じゃないとね。 「しかし、今の食堂はそんな感じなんですね......」 原因の一端を担っている私としては、ディラルさんに対して、少し申し訳なくなってしまう。 商売繁盛、なのかもしれないけど、その代償として悪臭の中で仕事する事になるのは......。 「消臭薬でも売り出しましょうか?」 「お、店長殿、そんな良い物があるのか?」 「はい。ただ......消臭薬自体はそこまで高くないんですが、霧状に吹き付ける入れ物が少し高いんですよね」 もちろん、そのままバシャバシャと掛けても良いんだけど、そんな事をしていたらすぐに無くなってしまうので、霧状にして使うのが普通の使い方。 の様に、詰め替え式にすれば良いのではないか?」 「そうよね。正直、それは私も欲しいし。最初に入れ物を売って、中身は量り売りにすればどうかしら?」 やはり女性。アイリスさんたち二人が食いついた。 の場合、瓶を回収して洗浄などを行った上で再利用しているんだけど、消臭薬の場合、もう少し雑な扱いでも問題ないので、ケイトさんの提案は結構悪くない、かも? 「うーん、そうしよう、かな? ロレアちゃん、ちょっと手間が掛かるけど、良い?」 「はい、それはまったく問題ありません」 「ありがと。アンドレさんはどう思います?」 ベテラン勢の意見はと、アンドレさんに訊いてみれば、彼は腕を組んで唸った。 「そうだなぁ、俺たちなら買うと思うが......新参の奴らはどうだか......」 「そうなんですか? 臭いに困っているのでは?」 「困ってるってぇ言えば、そうなんだが――」 簡単に言えば、不潔に慣れている採集者は結構多いという事らしい。 自分たちが常に臭いものだから、周囲が臭くても気にならない。 古参の人たちは、村の人への迷惑、つまりディラルさんたちへの配慮もあって、多少のコストを掛けても関係を良好に保とうとするが、長期滞在する気のない採集者の場合、そのあたりを考えない。 故に、ケチれるところはケチる。 周囲が迷惑しても、自分が問題ないなら、金は出さない。 「そんな奴らだから、新参連中の中には指を無くした奴もいるが......自業自得だな」 「え、そう、なんですか?」 で忠告はしてやるんだが、そんなところの金までケチって、まともなグローブも持たずにやろうとする奴もいるからなぁ。サラサちゃんの所で、柔軟グローブを買っておけば心配ねぇってのに」 牙の折り取りに失敗して指が凍結、そのまま失う事になってしまったらしい。 「あぁ、そういえばいたな、そんな奴も」 「同情できないタイプの奴だったけどね。ナンパとかしてきたし」 アイリスさんたちにも心当たりがあったようで、ため息をついたアンドレさんに対し、彼女たちは苦笑を浮かべる。 自業自得と言いつつも、まだ同情心がありそうなアンドレさんに比べると、アイリスさんたちにはそんな様子は見えず......そんなに嫌な奴だったのかな? 二人とも美人だし、しつこいナンパだったのかも。 「皆さんは心配ないとは思いますが、万が一、指が凍結してしまった場合は、そのまま急いでウチに来てくださいね? 残っていれば、比較的安く治療ができますから」 はとても高価なのに対し、凍結しただけならもう少し安い 「おう、その時は頼むぜ。ま、そいつが指を無くした後は、ほぼ全員、柔軟グローブを付けるようになったけどな。反面教師って奴だな」 「そういえば、一度に沢山柔軟グローブが売れた日がありました。その時ですか?」 「だろうな。一気に買いに走ったから」 ロレアちゃんの言葉に、アンドレさんが頷く。 柔軟グローブの在庫が急に減ったのは、そのせいだったのかぁ。 「消臭剤の方はディラルさんの食堂に入る人に使って欲しいところだけど......ディラルさんに売り込もうかな? 入口に設置して、一回何レアみたいなやり方で」 「店に入る奴は必須、ってわけか。悪くねぇと思うぞ? 今じゃ、村人はほとんど来てねぇが、その原因、やっぱり臭いがあると思うしな」 「だが、それが解消されたところで、入れないんだろ? 席が無くて」 「そこなんだよなぁ......店、広げてくれねぇかな?」 「そこはディラルさん――いえ、ダッドリーさん次第だと思いますが......、今なら可能性はあるかもしれませんね」 ヘル・フレイム・グリズリーで稼いだお金は、魔導コンロに消えたかもしれないけど、それだけお客が入っているなら、それなりには稼げているはず。 先日、私がサウス・ストラグで発注してきた木材も、かなりの量があったから、今なら増築に必要な木材の在庫もありそうだし、食堂が広くなれば、雇用も増える。 結果的に、お金を持つ村人が増えて良い感じ? 「そうだな、軽く話をしてみるわ。村人が使えねぇのも悪いし、サラサちゃんの消臭剤があれば、問題点は多少解消するわけだしな」 「はい。私も折を見て、話をしてみようと思います。――まずは、氷牙コウモリの牙ですね。とりあえず、今日、アイリスさんたちが取ってきた物を見積もってみましょう」 「あぁ、頼む」 「おっ、何だったら、俺も協力しようか? 比較対象は多い方が良いだろう?」 「そうですか? では、お願いします」 先ほどアンドレさんが持ち込んだ物を返却し、アイリスさんたちの物も鑑定して、その額を記録しておく。 さて、これらを一体いくらで買い取るのか......ちょっと興味深いかも?

"... in the meantime, do you really want to find out if it's % expensive? Mr. Iris, next time you take the fangs, once I appraise them, can you go sell them? "Oh, I don't mind." "Is this what Mr. Andre was talking about? "Oh, yeah. Sarasa takes care of her, so she sells ancient ginseng in this store, but Sarasa thinks about it." "Thank you for your concern" I see, even if there is a place to buy it higher, is it because someone sold it to us? I knew it was important to maintain good relationships with people in order to do business. "But as I said earlier, if that merchant is really buying it up high, you can sell it there, right? Because I don't have much trouble. Kate and the others can sell it over there, right? "Is that good? Don't you have any trouble losing it? Besides, I can't believe I did something wrong to the manager..." "Because it will be fine in stock for a while. Besides, if you need it, you can go get it yourself." "I don't know Sarasa can do that. If you're bad, you can get more by yourself than all the collectors in the village can collect." "If anyone can carry me, though," No matter how much I say I can use physical enhancement, there is a limit to how much I can hold. Specifically, due to the strength problems of leather bags. So, if you're going to pick it up, just like last time, I'd like to take Mr. Iris and the others. "Good. I get it. Speak to us then, too. And if I find out that the merchant is really buying it up high, I'll tell the ancient ginseng guys that Sarasa said it's okay to sell it there, too, right? "Yeah, do that. If you make gutsy money and drop money on the village for that matter, I won't say anything." "Whoa! Don't worry, the newcomers, they serve liquor every day in the dining room, huh? "Speaking of which, your father also said recently that he had started buying a lot of booze. More people are renting houses, so in addition to alcohol, it looks like they're selling knobs and stuff." Recently, this village is an ice tooth bat tooth Fever. As long as we put up with the stench, it seems that more collectors are getting rough on gold because it is easy to collect out of the picture and relatively expensive. Such a gatherer, Mr. Dilal's inn is already full. Inevitably, there are many more dining room users, avoiding dining rooms where it has become difficult to secure tables, and quite a few more gatherers serving alcohol in rented houses, etc. By the way, even in our store, we line up sniffers and flexible gloves for those collectors, but the drugs are not good for gloves that sell well. Because I can tolerate it, I guess that means it. "Ha ha, I knew the dining room was full. Lorea was right, you were right about the proper maintenance of the kitchen. Thank you." "We are also helped by Lorea's cooking. I'm just passing by these days..." "Right. It's hard to get in there. Thanks." "No, because I enjoy cooking too! We gave you a word of gratitude, and you shake your head like Lorea lit up. But lately, Lorea, who has also started using the oven, has even been baking and is really helping, isn't she? As it stands, I would like to avoid going to Mr. Dilal's place to buy it. "Man, you're a little tough for a woman to come in, now" "After all, is that the situation? "Ah. Ice tooth bat fangs are easy to earn. There's quite a bunch of rookies out there, too, huh? But newbies don't even gather information, they don't go unprepared, and some idiots come back to the dining room stinking." Mr. Andre flaunts his face and tells him to throw up. "Wow... you don't want to go to the dining room, even if you're available" "What kind of guy is Dilal kicking out and sprinkling water on him? Don't come back until the smell drops! What?" That's right, Mr. Dilal, I'm intolerant. It's hot weather, so you won't catch a cold if you get watered down...... for once, do it good for the customer. "But I'm just getting ready and going, and it just really stinks, and now the dining room..." Iris and Kate also nod deeply, as they agree with Andre, who takes a deep sigh. "I don't know about collectors, because there are so many unclean guys." "Right. In that regard, this place really helps. I can take a bath every day." "Well, I'll be in. And now." I boil the bath because of it, so it would be better to have Iris, who lives with me, come in too, for nothing, and I feel better that they are clean, too. By the way, Lorea doesn't live with me, but she uses it at least once every two days or so. I also deal with the smelting drug Potion, so if you want to leave the store number to me, it has to be clean. "But that's what the dining room looks like now..." As for me being responsible for one end of the cause, I feel a little sorry for Mr. Dilal. Business flourishes, maybe, but at the price of that, I'm going to work in the stench... "Shall I even sell you deodorants? "Oh, Lord Store Manager, do you have such good stuff? "Yes, it's just... deodorants themselves aren't that expensive, but they're a little expensive to spray in fog, aren't they?" Of course, you can hang it with Basha as it is, but if you do that, it will be gone as soon as possible, so it is normal to use it as a mist. "Then why not make it a refill formula, like the smelting drug Potion? "Right. Honestly, I want that, too. Why don't you sell the stuff first and then sell the contents in bulk? Again, woman. Mr. Iris and the two of them ate up. In the case of Potion, an smelting drug that heals scratches, poisons, etc., I collect the bottle and do the cleaning, etc., and reuse it, but in the case of deodorants, I have no problem handling it a little more clutterfully, so Kate's suggestion isn't quite bad, maybe? "Um, shall we, huh? Lorea, it's gonna take a little work, okay? "Yes, that's perfectly fine" "Thanks. What do you think of Mr. Andre? Ask Andre what the veterans' opinion was, and he roared in arms. "Well, I think we'd buy it... how about the newcomers..." "Really? Aren't you having trouble smelling? "If you say you're in trouble, you are." Simply put, it seems that there are quite a few collectors who are accustomed to uncleanness. We don't care if our surroundings stink because we are something that always stinks. The ancient ginseng people try to keep the relationship well, even at some cost, with some regard for the annoyance to the villagers, that is, Mr. Dilal, but do not think about the area in the case of collectors who are unwilling to stay for long periods. Therefore, where I can get laid, I get laid. Even if my surroundings annoy me, if I'm not a problem, I won't give you money. "Those are the ones, so some of the newcomers lost their fingers... you deserve it" "Oh, yeah, what is it? "Ah. For once, I'll give you my advice with the friendship of a fellow tradesman, because some guys try to do it without even having a decent glove, even with money like that. I wouldn't worry if I bought flexible gloves at Sarasa's." He failed to fold his fangs and froze his fingers, leaving them to lose. "Oh, you were there, and so was that guy" "He was the kind of guy I couldn't sympathize with. I've been nagging and stuff." The Iris seemed to have an idea, too, and they smile bitterly at Andre, who sighed. While I say I deserve it, compared to Mr. Andre, who still seems sympathetic, I don't see that happening to Mr. Iris... was he that disgusting? They're both beautiful, and maybe they were persistent numbs. "I know you guys don't have to worry, but in case your fingers freeze, just hurry up and come to us, okay? If you stay, you can treat it relatively cheaply." The potion, a smelting drug that grows lost fingers, is very expensive, because if you just freeze it, you can fix it with the potion, a slightly cheaper smelting drug. "Whoa, do me a favor then. After he lost his fingers, almost everyone started wearing flexible gloves. You're a teacher on the other hand." "Speaking of which, there was a day when a lot of flexible gloves sold at once. Is that the time? "I guess. Because I ran all at once to buy it." To Lorea's words, Mr. Andre nods. Was it because of the sudden decrease in flex gloves inventory? "If you're deodorant, I just want you to use it for people entering Mr. Dilal's dining room... should I sell it to Mr. Dilal? Install it at the entrance, how many rare ways at a time." "The guy entering the store is mandatory, is that right? I don't think that's a bad idea, huh? Few villagers are here now, but I still think there's a smell to it." "But where it's resolved, you can't get in, can you? I don't have a seat." "There it is... shop, can you spread it out? "There's Mr. Dillall - no, I think it depends on Mr. Dudley...... but it might be possible now" The money you made at Hell Flame Grizzly may have disappeared into the Magic Stove, but if that's all you have customers in there, you should be making quite a bit of money. The wood I ordered the other day at South Strag, because there was a good deal of it, now it looks like I have an inventory of the wood I need to build more, and if the dining room gets bigger, I'll get more employment. As a result, it feels good to have more villagers with money? "Right, I'll talk to you lightly. It's bad that villagers can't use it, and with Sarasa's deodorant, the problem will be solved somewhat." "Yes. I'm going to look at the fold, too, and talk to you. - First of all, you're an ice tooth bat fang. In the meantime, let's estimate what Mr. Iris and the others have taken today." "Oh, please" "Whoa, if it is, shall I work with you? Would it be better if there were more to compare? "Really? Okay, please." Return what Mr. Andre brought in earlier, appraise what Mr. Iris and keep track of the amount. Now, how much the hell do you buy these for...... might be a little interesting?

翌日、いくつかの用事を済ませた私は、アイリスさんたちと共に、氷牙コウモリの生息している洞窟へと向かい、謎の覆面新人採集者“シンジーニ”としてデビューした。 私がやっていると商人にバレるのは、面白くないので。 している採集者の中に、目元以外は布で覆った、とてもアヤシい新人。 注目されるかと思いきや......案外注目されなかった。 その理由は、この場所。 そう、臭い。 顔を布で覆っているのは私だけじゃなかったし、正体を隠すために着込んだローブもまた、ここではごく普通。 落下物を避けるために大半の人が選んだのは、布で身体を覆うという方法だった様で、周囲はそんな人ばかり。傘を差している人は誰もいない。 敢えて言うなら、周囲の人に比べて、私が着ているローブが綺麗で目立つぐらいかな? 「それで、てん――」 「ん、んっ! ゴホン、ゴホン!」 せっかく変装してきたのに、口を滑らせ掛けたアイリスさんの言葉を、わざとらしい咳で遮る。 「――おっと、シンジーニ。早速入るか?」 「うむ。入ろう」 重々しく言った私の言葉を聞き、ケイトさんが顔に手をやり、表情を隠す。 しかし、肩が震えているのがハッキリと見て取れるので、笑いをこらえているのはバレバレだ。 仕方ないの! 正体を隠すためなの! まったく。アンドレさんたちを見習って欲しいね! ――と、思ったら。 おや? 彼らも笑っていますよ? ギルさんたちと肩をたたき合いながら、別の事で笑っている風にしてますけど、絶対違いますよね? 「くっ。行くぞ」 ここじゃ自由に喋れない。 早く人が少ない場所へ向かおうと、私がやや早足で洞窟の中に足を踏み入れると、アイリスさんたちもすぐに後ろを付いてきた。 今回の目的地は、この洞窟の最奥部。 最も年齢の高い氷牙コウモリが生息しているはずの場所。 そこを目指す理由。 目は他の採集者への影響を少なくするため。 ほとんどの採集者は、値段が付以上ギリギリの氷牙コウモリを狙っているという話なので、最奥まで行けば競合する人はいないはず。 目は資源保護。 若い氷牙コウモリを狩り尽くしてしまうと、来年以降の採取に影響が出る。 そして最後は、効率的に商人からお金を回収するため。 年齢が高いほど牙の質が上がり、買い取り価格が上がるのは以前言った通り。 そんな氷牙コウモリが存在しているのだから、狩らない理由が無い。 「しかし、店長殿。この洞窟、思ったよりも深いな」 「だから、シンジーニですって」 「もう良いじゃないか、誰もいないんだから」 「まぁ、そうですけど」 前回、私たちが氷牙コウモリを狩ったあたりを過ぎれば、既に他の採集者の姿は無くなっていた。 なので、わざわざ正体を隠す必要は無いんだけど......。 「でも、アイリスさんは間違えそうなので、継続で」 「そうね、アイリスは間違えそうだものね」 「む。私はそんなに迂闊じゃないぞ?」 心外そうな表情を浮かべるアイリスさんだけど、どの口でそう言いますか? 「洞窟に入る前、いきなり間違えそうになった人が何か言ってますよ、ケイトさん」 「えぇ。まったく信用できないわね」 うなずき合う私たちに、アイリスさんが言葉に詰まる。 「うぐっ! た、確かに、そんな事もあったが――」 「まぁ、良いじゃねぇか。全員が、あー、シンジーニ? そう呼べば。わざわざ変えるのも面倒だろ?」 「だな。俺たちだって間違えるかもしれねぇんだし。なぁ?」 「ああ。誰かいないとも限らないのだから、用心するに越した事は無い」 「そ、そうか。......うん、そうだな」 アンドレさんたちにもフォローされ、納得した様に頷いたアイリスさんだけど......アンドレさんたち、一度も間違えてないからね? 年の功と言うほど年は取ってないけど、彼らって色々と抜け目ないというか、安定感のある人たちだから。 「しかし、予想以上に深い洞窟だな、ここは」 「ですね。アンドレさんたちも、奥までは行ってないんですよね?」 「行ってねぇんだよ。アイリスちゃんたちと一緒に仕事する事も多いけど、もっと浅いところまでだぜ?」 「えぇ。前回、シンジーニと来たところよりも浅い場所ね。奥に行くメリットがあまりなかったから」 「死体の持ち出しに、手間が掛かるからな」 そこがネックなんだよね。 必要な部分よりも不要な部分が多いという、氷牙コウモリの。 「......そういえば、死体が捨てられたりはしてませんね? マナーが悪い人なら、牙だけ折って、死体を放置したりしそうですけど」 「あぁ、そこは指導したからな、俺たち古参が」 「指導......?」 「物を知らない若者に、ルールを教えてやっただけだ」 グレイさんは無表情にそんな事を言うけど、その方法が少し気になる。 ケイトさんたちの方に視線を向けると、アイリスさんは無言で肩をすくめ、ケイトさんは苦笑を浮かべた。 「心配しなくても、死体を捨てていたグループを、三倍ぐらいの人数で囲んで、軽く小突き回した程度よ。怪我はしてない――大した怪我はしてないわ」 「そ、そうですか......」 むむ......まぁ、臨時採集者である私が何か言うのも違うかな? ちょっと暴力的だとは思うけど、素材の採取にはルールがあるのが当然だから。 例えばキノコ。 売れる物を見つけたからといって、その場にある物をすべて取り尽くすのはダメ。 来年以降の事も考えてある程度は残す。 例えば薬草。 必要なのが葉っぱなら、根っこは傷つけたりしない様に気を付ける。 例えば木の葉。 葉を取るために木を切り倒すなんて言語道断。 枝を切る時にも、場所を考えて、枯れたりしない様に注意する。 私はこのあたりの事を学校で習ったけど、普通の採集者は先輩たちから習うらしい。 優しい先輩なら言葉で、厳しい先輩なら 今回は......うん、きっと聞き分けの無い後輩だったのだろう。 アンドレさんたちなら、いきなり拳で指導、なんて......しないよね? ◇ ◇ ◇ 前回の場所から、更に歩き続けること一時間ほど。 周囲の悪臭がやや和らぎ、代わりに別の臭いが漂い始めていた。 その事はアンドレさんたちも感じ取ったようで、鼻を鳴らして額に皺を寄せる。 「......なんだ、この、微妙に甘ったるいような臭いは」 「最奥部が近いようですね。これは、氷牙コウモリが貯蔵している果物などの臭いです」 氷牙コウモリが凍らせて持ち帰ってくる果実。 それらは通常、洞窟の最奥部に貯蔵されている。 餌の無い時期の保存食として。 なお、ここで言う最奥部とは、氷牙コウモリが生息しているエリアの中での最奥部であり、必ずしも洞窟自体の最奥部とは限らない。 「おおっ、あれか! 氷牙コウモリが果物を凍らせて貯蔵するという!」 「あれって、一部ではかなりの値段で取引される物なのよね」 私の話に反応したのはアイリスさんとケイトさん。 それに対してアンドレさんたちは、その果物が売れる事は初耳だったようで、不思議そうな表情で首を捻った。 「果物を貯蔵するってぇ話は聞いた事はあるが、それが売れるのか?」 「はい。私としては、こんな所で貯蔵されている物を珍重するなんて、と思いますけど、いろんな人がいますからね......」 極論、こんな洞窟の地面に転がっている物を拾って食べているわけで......うん、あんまり食べたくないよね? 「貴族なんて、珍しければそれで良いのよ」 「いや、だが、凄く美味いって話だぞ?」 苦笑したケイトさんに対し、アイリスさんの方はむしろ興味深そうな......いや、ハッキリ言えば、自分も食べてみたいと顔に書いてある。 「時季的にはちょうど良い頃ですから、手に入るかもしれませんけど......」 森で果物が多く手に入るのは、夏の終わりから秋にかけて。 氷牙コウモリはその頃に貯蔵を行い、冬から初夏、つまり今頃に掛けて消費する。 この果物が珍重されるのは、単純に凍らせてあるからではなく、この貯蔵期間で果物が熟成されて、お酒のようになっているから、らしい。 なので、仮に冬に取りに来ても、ほとんど価値はない。 「と、いう事は、今が一番熟成している時、ってわけだな!」 「酒か......俺たちもチョイと興味が出てきたな」 「おう。可能なら、食ってみたいな」 「売るのも良いが、味を見てみるのも良いだろう」 お酒と聞いて盛り上がる男性たち。 でも、世の中、そんなに甘くない。 私は彼らに現実をぶつける。 「逆に、腐っている物も多いはずですけど」 「......そうなのか?」 「はい。氷牙コウモリは多少腐っていても食べますからね。そんな中、運良く腐らずに熟成された物が珍重されるのです」 ぇのには理由があるってか」 「そういう事ですね。――あ、見えてきましたね。あれだと思いますよ」 私が浮かべた光に照らされたのは、人の背丈ほどもある凍り付いた果物の山。 そこから漂ってくるのは、甘さを含んだ腐敗臭。 近くで確認するまでもなく、表面にある果物は明らかに腐っていて、とても食べられる状態ではない。 この現実は予想外だったのか、興味を持っていた人たちも、少し引いたような表情になる。 「うっ......これはさすがに......」 「ですよね。ですが、これがある以上、ここが生息エリアの一番奥、ですね。洞窟はまだ先はある様ですが」 氷牙コウモリ生息エリアの最奥部に作られるのが、この貯蔵場所。 つまり、この周辺にいる氷牙コウモリが、この洞窟で最も年齢が高い氷牙コウモリという事になる。 「ちなみに、回収すべきは表面の果物じゃなくて、あの山の中心部分、らしいですよ。そこなら腐らずに熟成されているとか。ただ、下手に手を出すと――」 「おっ、そうなのか? なら、掘り出してみようぜ!」 私の説明の途中で、いきなり小山を崩し始めたのはギルさん。 だが、それは明らかに悪手だった。

The next day, after some errands, I, along with Mr. Iris, made my debut as Cinzini, a mysterious masked rookie gatherer, headed to a cave inhabited by ice tooth bats. The merchant finds out I'm doing it, because it's not funny. A very ayacious newbie, covered with cloth, except at the eye area, among the gatherers who are tunneling in front of the cave. I was wondering if it would get noticed... Outreach I didn't get noticed. The reason for this is this place. Yes, the smell. I wasn't the only one with a cloth covering my face, and the robe I wore to hide who I was. Also, very normal here. The majority of people chose to avoid falling objects seemed to be the way to cover their bodies with cloth, all around them. No one is giving me an umbrella. If you dare, is the robe I'm wearing as beautiful and noticeable as the people around me? "So, Ten..." "Mmm! Gohon, Gohon! I've been disguised because of this, but I block Mr. Iris' words from slipping and hanging my mouth with a deliberate cough. "- Whoa, Cinzini. You want to come in quick? "Uhm. Let's go in." Hear my words that I said so severely, Mr. Kate hands on his face and hides his expression. But you can clearly see your shoulders trembling, so you find out you're laughing. I have no choice! To hide who you are! Totally. I want you to apprentice Mr. Andre and the others! - And if you think. Oh? They're laughing, too, aren't they? I'm making it look like I'm laughing at something else while I hit my shoulders with Mr. Gill, but it's definitely not, is it? "Come on. Let's go." I'm not free to talk here. As I stepped into the cave with a slightly quicker foot in an attempt to get to a less crowded place quickly, Mr. Iris and the others quickly followed me. This time the destination is the deepest part of this cave. Where the oldest ice tooth bats are supposed to live. There are three reasons to go there. The first is to have less impact on other gatherers. Most collectors are talking about targeting critically priced ice tooth bats over five, so no one should compete if they get to the deepest end of the spectrum. The second is resource protection. If you hunt down a young ice tooth bat, it will affect your collection after next year. And finally, to efficiently recover money from merchants. As I said before, the older you are, the better the quality of your fangs and the higher the buying price. There is no reason not to hunt because such ice tooth bats exist. "But the manager. This cave is deeper than I thought." "So it's Cinzini." "It's better now, 'cause nobody's here." "Well, yeah," If it had passed around the last time we hunted ice tooth bats, the other collectors would have already disappeared. So I don't have to bother hiding who I am... "But Mr. Iris is going to make a mistake, so keep going" "Well, Iris is going to be wrong." "Mm-hmm. I'm not that far-fetched, am I? Mr. Iris with an out-of-heart look, but with which mouth would you say that? "Before you cave in, suddenly someone's about to make a mistake saying something, Mr. Kate." "Yep. I don't trust you at all." Mr. Iris gets stuck in words at us nodding each other. "Ugh! Yes, it did happen." "Well, that's good. All of them, uh, Cinzini? Call it that. Trouble changing it on purpose, huh? "Right. We could be wrong, too. See?" "Oh, it's not like there's anyone out there, so I've never been cautious." "Oh well.... Yeah, right" Mr. Iris, who was also followed by Andre and nodded as he was convinced... because Andre and I have never made a mistake, have we? I'm not old enough to say it's an old kung fu, but they can't escape a lot, because they're people with a sense of stability. "But it's a deeper cave than I expected, this place to be" "Right. Mr. Andre and the others, they haven't even gotten to the back, have they? "I haven't been there. You know, Iris and I work a lot together, but even shallower, right? "Yep. That's a shallower place than where Cinzini and I came from last time. Because there wasn't much benefit to going in the back." "It takes a lot of work to take the body out." That's the neck, isn't it? of ice tooth bats, that there are more unnecessary parts than necessary. "... Speaking of which, you haven't had a body dumped, have you? If you have bad manners, you might just break your fangs and leave the body behind." "Oh, I coached you there, we old ginseng." "Instruction......? "I just taught the rules to a young man who doesn't know things." Mr. Gray says that without a look on his face, but I'm a little concerned about the way it works. Turning her gaze to the Kates, Ms. Iris shrugged her shoulders silently and Ms. Kate smiled bitterly. "You don't have to worry, we surrounded the group that was dumping the body about three times as many people, to the point where we poked around lightly. I'm not hurt. I'm not hurt." "Oh, really..." Mmm...... well, is it different that I, the temporary gatherer, say something? I know it's a little violent, because naturally there are rules for the collection of materials. Mushrooms, for example. Just because you find something to sell, you can't take all that's on the spot. I'll think about what happens after next year and leave it to some extent. Herbs, for example. If what you need is leaves, be careful not to damage the roots. Tree leaves, for example. What a speechless way to cut down a tree to take a leaf. Even when cutting branches, consider the location and be careful not to wither away. I learned things around here at school, but I hear regular collectors learn from seniors. In words if you're a gentle senior, and in fist "Kobushi" if you're a tough senior. This time...... yeah, I'm sure he was a junior with no hearing. If Andre and the others suddenly teach with their fists, I don't know... don't you? ◇ ◇ ◇ From the last place, keep walking for another hour or so. The stench around him was soothing slightly and another smell was starting to drift instead. Andre and the others seem to have felt it, and they squeal their noses and wrinkle around their foreheads. "... what is this, subtly sweet smell?" "Sounds like the deepest part is close. It smells like fruit stored by ice tooth bats." Fruit brought back frozen by ice tooth bats. They are usually stored in the deepest part of the cave. As a conserved food from a time when there is no food. It should be noted that the deepest part of what we refer to here is the deepest part of the area where ice tooth bats live, not necessarily the deepest part of the cave itself. "Whoa, that one! That ice tooth bats freeze and store fruit! "That's something that's traded for a good price, in part." It was Mr Iris and Mr Kate who reacted to my story. In contrast, Andre and the others twisted their necks with a strange look, as it seemed the first time that the fruit could be sold. "I've heard stories about storing fruit, but can it sell? "Yes, as far as I'm concerned, there are a lot of people who rarely store things like this..." Polar theory, you're picking up and eating stuff rolling into the ground of a cave like this... yeah, you don't really want to eat it, do you? "Nobility, if it's rare, is fine." "No, but it's delicious, isn't it? To Kate, who smiled bitterly, Iris seems rather intriguing... no, to be clear, it says on her face that she wants to try it too. "It's just around the right time in season, so you might get it..." Many fruits are available in the woods from the end of summer to autumn. Ice tooth bats will be stockpiled by that time and consumed from winter to early summer, that is, hung by now. Apparently this fruit is weighed rarely, not simply because it is frozen, but because the fruit has matured in this shelf life and is like alcohol. So assuming you come and get it in the winter, it's hardly worth it. "And that's when you're the most mature! "Alcohol... we're starting to get interested in choy too" "Wow. I'd love to try it if it's possible." "It's good to sell, but it's good to see how it tastes" Men thrive when they hear of alcohol. But the world, it's not that sweet. I hit them with reality. "Conversely, there must be a lot of rotten objects." "... Really? "Yes, because I eat ice tooth bats even if they are slightly rotten. In the meantime, things that are lucky to mature without rotting are rare." "Is there a reason for Takeshi Gao?" "That's the thing. - Oh, you see it. I think that's it." Illuminated by the light I floated were piles of frozen fruit that were as long as a person's back length. What drifts from it is a rotten odor that contains sweetness. Without having to check nearby, the fruit on the surface is clearly rotten and not in a very edible condition. Was this reality unexpected, and those who were interested would have a slightly pulled look. "Ugh... this is just..." "Right. But more than this, this is the deepest part of the habitat area, right? It looks like the cave is still out there." It is this storage place that is made at the deepest part of the ice tooth bat habitat area. In other words, the ice tooth bat around here is the oldest ice tooth bat in this cave. "By the way, it seems that it's not the fruit on the surface that should be recovered, but the central part of that mountain. You think it's ripe there without rotting? It's just that when you get your hands on it badly..." "Oh, really? Then let's dig it out! In the middle of my explanation, it was Mr. Gill who suddenly began to crumble the mountain. But that was clearly bad.

アイリスさんが目を覚ましたのは、翌日の昼過ぎのことだった。 も併用したとは言っても、正直、これは私の予想よりも早かった。 あれだけの傷を受けて再生した場合、普通ならあと数日程度は寝続けるはずなんだけど......元々の体力が凄いのかな? 私の予測人の場合、だから。 治療の時に見た身体は、なかなか良く鍛えられていたしね。 「店長殿、ご迷惑をおかけして大変申し訳ない。そして、助けて頂き、誠にありがたく」 ケイトさんに支えられるようにしから降りてきたアイリスさんは、私の前に座ると深々と頭を下げた。 その所作は美しく、もしかするとアイリスさんは良いところの出なのかも知れない。 「気にされなくても良いですよ。無償というわけじゃないですから。治療費はケイトさんにお支払い頂きますし」 そう言って私がケイトさんに視線を向けると、ケイトさんもしっかりと頷く。 それを見てアイリスさんが慌てたように声を上げた。 「あ、いや、それは私が――」 「店長さんに頼んだのは私。だから、その借金は私が背負うべき物よ」 「しかし、怪我をしたのは私で」 「その怪我も私たちを守るために負った物でしょ?」 「だが――」 そんな感じで、どちらが払うか言い合う二人。 幸い、どちらも『自分が払う』で、借金の押し付け合いじゃ無いのはありがたい。 せっかく助けたのに、ギスギスしたのは見たくないから。 でも、ここでやり合われても正直対応に困るし、別に一人で背負う必要も無いよね。 「はいっ!」 『パンパン』と手を叩いて、二人の話し合い(?)を中断させる。 その音に状況を思い出したのか、こちらを見て揃って気まずそうな表情になる。 「あっ、店長殿、申し訳ない」 「ごめんなさい、店長さん」 頭を下げる二人に私は首を振り、提案をする。 「私としては、ケイトさんの依頼で助けましたから、請求はケイトさんにします。ただ、お二人で協力してお支払いになる方が良いとは思いますよ? 安くないことは解ってますよね?」 「はい。正直、あの怪我で生きていることが信じられない。一日しか経っていないのに、ちぎれた腕も問題なく動かせるなんて」 私の言葉に、アイリスさんは何度も頷き、自分の腕をさすりながら動かす。 その動きに不自然なところは無く、特に問題もなく回復できているようだ。 理論上大丈夫なことは解っていたけど、実際にきちんと回復しているところを見ると、安心するね。 「私も見ていて信じられなかったもの! まさかこんな田舎の店にあんな この村を貶すような失言にケイトさんが慌てて謝るけど、私とロレアちゃんは否定できない事実に、苦笑するのみである。 「いえ、正直、私も田舎だと思ってますから。ちなみにあの 「ですよね? あんな が何本もあったら、驚くわ」 まぁ、実は虎の子の、あれよりもワンランク上の もちろん、これに使った素材も、師匠から貰った餞別。 あまりに高価な素材に、正直、使うときには手が震えそうになったよ。 かといって、温存していても意味は無いし、弟子としては使わない方が申し訳ないと思って使ったけど。 「ちなみに......おいくらに?」 ゴクリと唾を飲んでこちらを見つめるケイトさんとアイリスさんに、私は少し躊躇いつつも、正直に使用した 「そうですね......普通は治療行為自体にも費用が発生するんですが、そちらはサービスするとして、 そう言って私が告げた金額に、ケイトさん、アイリスさんだけでなく、側で聞いていたロレアちゃんも絶句した。 更に、せっかく良くなっていたアイリスさんの顔色も少々悪くなっている。 「な、なるほど。こ、これは頑張らないといけないな、うん」 「そ、そうね。二人で頑張りましょ、アイリス」 さっきまでどちらが返すかと言い合っていた二人は、一転して顔を見合わせて手を握りあい、やや震えながら頷いている。 仲良きことは美しきかな? でも、結構値引きしてるんだけどね、これでも。 普通に買うともっと高いよ? 「剣で切り落とされただけ、とかならもう少し安い物でもなんとかなったんですけど。お腹も結構やられてましたし」 「ああ、いや、店長殿。決して値段に不満があるわけでは無い。あの状態から完全に回復させてもらって、感謝しかない」 「そうね。何とか回収してきたけど、正直、あの酷い状態の腕が繋がるとは思ってなかったもの」 「そこはケイトにも感謝だな。良くあの状況で回収してくれた」 あ、それは私も思った。 かなり危ない状況だったみたいなのに、良く腕を拾う余裕があったものだと。 「だって、欠損した部位の再生なんて、まず無理って話は聞いてたから。腕があれば少しは可能性があるかと必死だったし......アイリスのこの腕が無くなるのは、嫌だもの」 ケイトさんはそう言いながら、そこにあることを確認するかのように、一度千切れたアイリスさんの腕を撫でる。 その手にアイリスさんも手を添えて、改めて「ありがとう」とお礼を口にした。 うんうん、美しき友情。いいね! 友達が少ない私的には、ちょっと羨ましいかも? 「あの、サラサさん、無くなった腕の再生ってできないんですか?」 あぁ、それって気になるよね。 錬金術って一般人からすれば、何でもできるってイメージだし。 でも、普通の村人だったロレアちゃんよりも色々と知識のあるアイリスさんたちは、苦笑して『それは無理』みたいな表情を浮かべている。浮かべているんだけど......。 「いや、できるよ?」 「「えっ!?」」 ロレアちゃんの質問に対し、あっさりとそう答えた私に、ロレアちゃんでは無くアイリスさんたちが声を上げて、私の顔をマジマジと見る。 気持ちは解るけどね。 「でも、『まず無理』って言うのも間違ってないかな? 私の師匠――とまでは言わないけど、高位の錬金術師と高価な素材が必要で、もちろん、今回ケイトさんたちに請求した額とは全然違うレベルのお金が必要になるから。普通の人には『まず無理』でしょ?」 その説明に、驚いた表情を浮かべていたアイリスさんも、納得したように頷く。 「それは無理ですね。今回の治療費だって、私だったら無理ですもん」 「庶民だと、そうなる、かな?」 どうやっても用意できる額ではないし、借金も不可能。身売りしたところで、無理である。 死ぬまで働いても、普通の仕事では貯める事ができないほどの額。 故に、庶民は再生する方法がある事を知ったとしても、“諦める”。 可哀想だ何だと言ったところで、貴重な素材が必要な事は事実で、それを集めるためには誰かが――具体的には採集者が危険を冒す必要がある。 『可哀想だから、タダで働いて』などと言って、働いてくれるはずもない。 「やっぱそうなりますよねぇ。当然と言えば当然なんですけど......」 「大丈夫だよ、ロレアちゃんはうちの従業員だから、もしもの時は助けてあげるよ」 「......ちなみに、代金は?」 「給料天引きで」 「死ぬまでただ働きですよ!?」 「安心して。従業員割引きはしてあげるから」 「多少の割引きでどうにかなる額じゃないと思います......」 そう言ってため息をつくロレアちゃんに、私も苦笑する まぁね。ちょっと無理な額だよね、普通なら。 でも、ロレアちゃんが、師匠のところのマリアさんぐらいになれば多分可能。だから是非頑張ってもらいたい。私もロレアちゃんを失いたくないし。 「きちんと治してあげるから、安心してね?」 「うぅ......嬉しいような、嬉しくないような......」 助かるのは嬉しくても、借金生活は嫌って事かな? 大丈夫、その場合にも給料全部を取り上げるなんて事はしないから。 生かさず、殺さずじゃないと、回収できないじゃない? ――冗談だけど。 「あ、あの、店長殿。私たちの借金はどのくらいのペースで返せば?」 私の笑みに不安になったのか、アイリスさんがおずおずと手を上げてそんな質問をした。 「そこは要相談ですね。アイリスさんたちの実力も判りませんし」 「私たちはそれなりの腕前――のつもりなんだけど......」 「大怪我をして担ぎ込まれたわけだから、説得力は無いな。虚心坦懐、頑張らせてもらう」 ややこわばった顔で、そう決意を宣言するアイリスさん。 大樹海に入ろうというのだから、それなりの自信があってこの村に来たんだろうけど、最初で大怪我だからねぇ......運もあるとは思うけど。 「まぁ、無理をさせるつもりはありませんから、安心してください」 「そ、そうか。すまない、迷惑を掛ける」 アイリスさんがホッと息を吐くと同時に、「きゅるるるる~」という音が聞こえた。 そして、赤くなるアイリスさんの顔。 「......あぁ、お腹空きましたよね」 「あ、いや、その......」 「何か食べましょうか。買い置きの物になりますけど」 「そ、それはさすがに申し訳ないっ!」 「そうよ! 宿を貸してもらえるだけでも十分に......。外で食べるから」 「でも、お金、節約しないといけないでしょ? 大した物じゃないので、遠慮しないでください」 「良いのだろうか......?」 「ええ。ロレアちゃんお願い。それから......」 台所へ向かうロレアちゃんを見送り、アイリスさんたちに視線を戻して、その全身を見る。 えーっと、うん、汚れてるね。 「アイリスさんは......いや、ケイトさんも、食事の前にお風呂に入ってきてください」 「いや、そこまで世話になるわけには......」 「うちで生活するなら、遠慮せず――いえ、むしろ絶対に入ってください。不潔なのは嫌なので」 「うっ......私、汚れているだろうか」 ズバッと、はっきり言う私に、ちょっと傷付いたように涙目になるアイリスさん。 でも遠慮はしない。そもそも錬金術に汚れは禁物だしね。 「一応拭きましたけど、綺麗とは言い難いですよね」 「ぐはっ! もしかして私の身体を拭いたのは......?」 「私です。汚れていたので、素っ裸にして拭いておきました」 「ケ、ケイトがしたわけじゃ?」 縋るような視線をケイトさんに向けるアイリスさんだが、ケイトさんは首を振って否定する。 「私は寝間着を着せただけよ? 私が見たときには、素っ裸でシーツを掛けられてただけだから」 「うぅ......」 他人に裸を見られたのがショックなのだろうか? アイリスさんはガックリと肩を落とす。 男に見られたわけでも無いのにねぇ? 取りあえず、落ち込んでいる彼女は放置して、お風呂の準備。魔法でちゃちゃっと終わらせて戻ってくると、ケイトさんに何か言われたのか、アイリスさんが復活していた。 「それじゃ、二人とも入ってきてください」 「手間を掛けさせて申し訳ない。......身体を拭いてもらったのも含めて」 「まぁ、錬金術師も医者みたいなものですから、病人、怪我人のケアをするのは当然です。気にする必要はありませんよ」 「いや、解ってはいるんだがな......」 アイリスさんはそう言いながら苦笑を浮かべる。 理屈では解っていても、恥ずかしいことは恥ずかしいか。解らないでもない。 私も最初のうちは他人の裸を見るの、恥ずかしかったし。 けど、それもわずかな間だけ。 錬金術師養成学校の実習はそんな甘い物では無い。 恥ずかしいとか、暢気なことを言っていられない状況に放り込まれ、そんな感情はすぐに消え去った。 今では男の人の裸を見てもなんとも思わない。――医療行為の時には、ね。 「アイリス、それはもう気にしないってさっき決めたでしょ? それじゃ、店長さん、お風呂お借りしますね」 「はい。綺麗にしてきてください」 私はそう言って、ケイトさんに支えられてお風呂に向かうアイリスさんを見送った。 ◇ ◇ ◇ 「さて。ケイトさんたちが出会った獣について、聞いても良いですか?」 お風呂と昼食を終え、全員が一息ついたところで私はそう切り出した。 おおよそ予測は付いているけど、一応ね。 「ああ。外見的には熊に似ていたが、腕あった。大きさは、私より頭二つ分は大きかったな。かなりの巨体だったよな」 アイリスさんが立ち上がって、これぐらいとこれぐらい、と手で示す。 その大きさは、やや身長高めのアイリスさんよりも頭二つ分以上大きく、横幅は一メートル近い。 「毛皮が赤くて、口から火を吐いてたわね。アイリスが斬りかかってもなかなか切れないし、爪も丈夫でアイリスの剣を簡単に弾いてたわ」 「あっ! 私の剣は!?」 ケイトさんの説明に、アイリスさんはそんな声を上げたが、ケイトさんは少し気まずげに首を振る。 「ゴメン、さすがに回収する余裕は無かったわ」 「――だよな。はぁ......まさか無くす事になるとは......」 アイリスさんは一瞬言葉に詰まり、情けない表情になって大きく息を吐く。 そんな状況でも腕だけは回収してきているんだから、ケイトさんは十分凄い。 しかし、この特徴、やっぱりあれかぁ。 「その特徴に、更に毒となれば、やはりヘル・フレイム・グリズリーで間違いないみたいですね。出会ったのはこの村からどのくらいですか?」 「そんなに遠くない、よな?」 アイリスさんはちょっと小首をかしげて、確認するようにケイトさんに視線を向ける。 ケイトさんもまた少しだけ考えて、頷いた。 「ええ。遠かったら、アイリスは助かってないわ。必死で走ってたけど二〇分までは走ってない、と思う」 「結構近いですね......サラサさん、大丈夫でしょうか?」 「う~ん......魔物としては、そこまで強くは無いんだけど......」 私のその言葉に、アイリスさんが目を剥いた。 「は!? あれでそこまで強くは無いのか!?」 「はい、魔物としては」 魔物とその他の獣。 明確な定義があるわけじゃないけど、一般的には猟師では斃せないような生き物で、人間の脅威になる生き物がまとめて“魔物”と分類されている。 簡単に言えば、“強ければ魔物”。 ヘル・フレイム・グリズリーも、そんな魔物の一種なんだけど、アイリスさんが示したサイズは、ヘル・フレイム・グリズリーとしては中型程度。 強さ自体はそこまでではないので、私からすれば脅威と言うほどではない。 「魔物って、怖いのね......」 「アイリスさんたちは、魔物に会ったのは初めてですか?」 「ああ。これでも少しは腕に自信があったんだが......」 私の問いに頷きつつ、少し落ち込んだ様子を見せるアイリスさんとケイトさん。 でも、初めて対峙したのなら、そんなものかな? 魔物が“脅威”として認定されるのは伊達ではないのだから。 「でも、普通はもっと奥に生息してるはずなんだけどなぁ。村に入り込まれると危険だよね」 「サ、サラサさん、どうしましょう? やって来たりはしませんよね」 「いや、どうかなぁ......?」 「えぇっ!?」 不安そうな表情を見せるロレアちゃんを安心させてあげたかったけど、嘘はつけない。 私が正直に答えると、ロレアちゃんは焦ったような表情を浮かべて、目に見えてオロオロとし始めた。 ロレアちゃんは実際にヘル・フレイム・グリズリーを見ていないとはいえ、その被害を受けたアイリスさんの大怪我を見ている。 それなりに戦えそうな彼女が死にかけた事を考えれば、動揺してしまうのも仕方ない。 「こ、こういう場合、領主様にお願いすれば?」 「一応はそうだと思うけど、動いてくれるか......」 現状では『森の中に魔物がいる』という段階で、被害を受けたのも森に入った探索者のみ。 探索者はそういった危険も承知の上で森に入るわけで、それ自体は領主からすれば大した問題では無い。 兵を動かすためにはお金も掛かるため、『危険そうだから』だけではなかなか対処してくれないのだ。 有能な領主なら、村に被害が及ぶ前に対処する。 普通の領主なら、村人に被害が出てから対処する。 無能な領主なら、村人に被害が出ても放置する。 もっとも、村が一つ無くなったとなれば大きな失点になり、王様から何らかの処罰を受ける場合もあるので、そこまで放置するのはよほどの無能って事になるんだけど......。 「ここの領主様はどんな感じ?」 私の問いに、ロレアちゃんは首を振る。 さすがにロレアちゃんの歳だと、そのへんのことは知らないか。 その代わりに、私の質問に答えたのはアイリスさんだった。 「私の印象だが、『無能寄りの普通』だな、恐らく」 アイリスさんの結構容赦の無い評価に、ロレアちゃんが暗然と顔を伏せる。 状況だけど、この村で生まれ育ったロレアちゃんからすれば、旧知の誰かが被害を受けることになるわけで......。 とは言え、私からしてもその被害者が知人の確率、低くないんだよねぇ。 最右翼は猟師のジャスパーさん。森に入ってるからね。 さすがにお隣さんを見捨てるのは、心苦しいし......。 「よし、ちょっと行って素材にしてこようかな?」 「「「......え?」」」 私の言葉にが揃って唖然とした声を上げた。 「いやいや、店長さん、そんな気軽に言うようなことじゃない、ですよね?」 ケイトさんがハッとしたように、ワタワタと手を振って『そんなバカな』みたいな表情を浮かべるけど、平然としている私に、言葉の途中から『あれ?』みたいな表情に変わる。 けど、ロレアちゃんの方はそんな余裕も無いのか、私に泣きそうな顔ですがりついた。 「そうですよ! 誰かが怪我......するのも嫌ですけど、サラサさんだって!」 ロレアちゃんは万が一、ヘル・フレイム・グリズリーが村に侵入したら、怪我では済まないと思ったのか、少し言いよどみつつも、私のことを心配する言葉を口にする。 その言葉は確かにありがたいんだけど、そこまで深刻になられると、ちょっと困る。 「いやー、そんな心配されることじゃないんだけど......」 「店長殿は......もしかすると、強いのか?」 悩むべきは、どうやって斃すかだねぇ。 魔法を使っても良いけど、せっかく最近は剣の訓練を再開したことだし、剣で狩ってみようかな? ただ、素材を考えると、斃し方も考慮しないといけない。 心臓を突いてしまうと、心臓が素材として使えなくなるし、頭を攻撃すると、目玉とかそのへんの素材が取れなくなる。 適当に切り裂いて失血死を狙えば、錬金術的素材の面では悪くないんだけど、死ぬまで暴れるので食肉の味という点ではマイナス。 一気に血抜きするために首を切り落とすと、短時間で死に至るけど毛皮の価値は落ちる。 全部を手に入れるのは難しいから、どれかは諦める必要があるんだよね。 ――などという解説をすると、三人の視線が驚きからだんだんと呆れたような物に変わっていく。なぜ? 「ううむ......錬金術師が強いという噂は本当、だったのか?」 「あ、いえ、人それぞれですよ? そのへんの実技が及第点ギリギリという人もいますから」 錬金術師は高度な魔力制御を必要とするため、誰しも魔法に関してはそれなり以上の腕を持っているし、その制御力は、攻撃魔法を使う場合にも影響する。 ただし、戦えるかどうかはその人次第。 学校では攻撃魔法をほとんど習わないからね。 それに対して、武器の扱いの方はきちんとカリキュラムが組まれているけど、あまり力は入れていないので、最低限、自分の身が守れれば単位は取れる。 目安としては、護衛を雇って採集に行く際、足手まといにならない程度。 それ以上は各自の自主性に任されているので、腕の方は結構ピンキリ。 「私の場合は......まぁ、同学年では良い方ですね」 「そ、そうなのか......。しかし、店長殿を一人行かせるのは......」 「あ、さすがに一人だと死体を持ち帰れないので、荷物持ちの人は雇いますよ?」 重量的には、身体強化を頑張れば何とでもなりそうだけど、体格差は如何ともしがたい。 せっかく狩るのだから、細切れにして師匠から頂いたリュックに詰め込むのも勿体ない。 「な、ならば私がっ!」 「え、でも、アイリスさん、まだ本調子じゃ無いですよね?」 「いやっ! 大丈夫だ! 荷物持ちぐらいなら問題ない」 ちょっと困ってケイトさんの方を見ると、ケイトさんは『心得た』とばかりに頷く。 良かった。さすがに病み上がりの人を連れて行くのは――。 「任せて。私もちゃんと参加するから」 違う! 私が求めたのはそっちじゃない! 止めて欲しかったのっ! どうしたものかと悩む私に、ロレアちゃんが尋ねる。 「でも、サラサさん。サラサさんなら大丈夫なんですよね? もし危険がある様なら......」 ちょっと不安そうなロレアちゃんの様子に、私は慌てて、力強く頷いた。 「勿論だよ! 私からすればあの程度の熊、朝飯前。ご飯の付け合わせレベルだからね! 足手まといがいても問題ないよっ」 「......足手まとい」 「あっ......」 思わず口にした私の言葉に、アイリスさんがずずーんと沈んだ表情になる。 「あ~~、店長さん。私たち、ついていかない方が良い?」 「あ、いえ、熊を運ぶ人は必要なので......。えっと、アイリスさん、取りあえず今日の所はゆっくりと休んでください。明日、行きましょう! お手伝いよろしくお願いします! ささっ、早く寝て体力を回復しないとっ!」 こういう時は勢いで押し切ろう。 落ち込んだアイリスさんを追い立てて、ベッドへと押し込みうやむやに。 苦笑しているケイトさんとロレアちゃんに背を向け、私は明日の狩りの準備を始めたのだった。

Mr. Iris woke up after noon the following day. No matter how much I said I also used potion, an smelter for physical recovery, honestly, this was faster than I expected. If it plays with all those scratches, I would normally keep sleeping for a few more days or so...... I wonder if my original health is amazing? My predictions are for ordinary people, so. The body you saw during the treatment is working out pretty well. "My Lord Store Manager, I'm so sorry for the inconvenience. And thank you for your help." Mr. Iris, coming down from the second floor so that Mr. Kate could support him, bowed his head deeply as he sat in front of me. The work is beautiful, and maybe Mr. Iris is in a good place. "You don't have to worry about me. Because it's not pro bono. Kate will pay for the treatment." That said. When I turn my gaze to Mr. Kate, Mr. Kate snorts firmly, too. I looked at it and raised my voice as Mr. Iris panicked. "Oh, no, that's what I..." "I'm the one who asked the manager. So that debt is something I should carry." "But I'm the one who got hurt" "That injury was also something you took to protect us, wasn't it? "But..." Like that, two people who say which one pays. Fortunately, they're both 'I'll pay' and I'm thankful they're not debt pushers. I saved you because of it, but I don't want to see you giggle. But even if they do this here, you honestly don't have to deal with it, and you don't have to carry it alone. "Ha!" 'Pampers' and slap your hands, and the two of you discuss (?) interrupt. You reminded me of the situation in that sound, and I look at this one and it's all aligned to give me an awkward look. "Oh, Lord Store Manager, I'm sorry." "Sorry, Mr. Store Manager" I shake my head and make suggestions to the two of you who bow their heads. "As far as I'm concerned, I helped Mr. Kate at her request, so I'll make the claim to Mr. Kate. I just don't think you two should work together to pay, do you? You know it's not cheap, right? "Yes. Honestly, I can't believe you're alive with that injury. I can't believe it's only been a day, but I can move my broken arm without a problem." To my words, Mr. Iris nods again and again and moves as he rubs his own arm. There is nothing unnatural about the movement, and it seems to be able to recover without any particular problems. I knew it would be okay in theory, but when you see that you're actually recovering properly, you're relieved. "Something I couldn't believe watching, too! I can't believe there's such an alchemy potion in a country store like this! - Oh, su, excuse me, manager." Ms. Kate apologizes hastily for the demeaning rudeness of this village, but me and Lorea only laugh bitterly at the undeniable fact. "No, honestly, because I think it's rural too. By the way, that smelter potion, it's gone, so you can't cure it if you get the same injury, can you? "Right? I'd be surprised if there were so many of those smelting potions." Well, actually, there's the Tiger Child's, more one-ranked smelting drug, Potion, than that. Of course, the material used for this is different from what my master gave me. To be honest, my hands almost trembled when I used the material that was so expensive. Or so, even if it's warm, it doesn't make sense, and I used it because I felt sorry for not using it as a disciple. "By the way... how much? I shall tell Kate and Iris, who stare at me with gokuri and spit, the price of the smelting drug Potion, which I honestly used, even though I hesitate a little. "That's right... there's usually a cost to the therapeutic act itself, but that's just for the smelting drug" potion "bill, roughly -" Not only Mr. Kate, Mr. Iris, but also Lorea, who was listening on the side, was stunned by the amount I told her. Furthermore, Iris's complexion was slightly worse as a result. "I see. This is something we have to work on, yeah." "Oh, yeah. Let's do our best, Iris." Until just now, the two of them, saying which one to give back, are turning and looking at each other and holding hands, slightly shuddering and nodding. Is it beautiful to be close? But I'm pretty discounted, even this. It's usually more expensive to buy, right? "I just got cut off with a sword, or something a little cheaper. I could handle it. He had a pretty bad stomach." "Oh, no, Lord Store Manager. I'm never dissatisfied with the price. Let me fully recover from that condition, and I can only thank you." "Right. I've managed to recover it, but honestly, I didn't expect that terrible arm to connect." "You're also grateful to Kate there. Well, he recovered it in that situation." Oh, that's what I thought, too. He said it was something he could afford to pick up his arms well, even though it seemed like a pretty dangerous situation. "Because first I heard you said you couldn't regenerate the missing areas. I was desperate to see if it was possible with my arm... and I don't want to lose this arm of Iris" With that said, Kate strokes Mr. Iris's arm, once thousand-cut, as if to make sure it was there. Mr. Iris also put his hand on that hand and once again thanked him "thank you". Yeah, yeah, beautiful friendship. Nice! I don't have many friends. Privately, could I be a little jealous? "Um, Mr. Sarasa, can't you regenerate lost arms? Oh, that bothers you, doesn't it? I imagine that alchemy can do anything from the average person. But Iris, who is more varied and knowledgeable than Lorea, who was an ordinary villager, smiles bitterly and gives a look like 'That's impossible'. I'm floating... "No, you can, can't you? "" What!? " To me, who answered Lorea's question so lightly, Iris and not Lorea raise their voice and look at my face seriously. I know how you feel. "But am I also wrong to say 'I can't do it first'? My master - I'm not even saying that, because we need a high-ranking alchemist and expensive materials, and of course, we're going to need a completely different level of money than the amount we charged to Mr. Kate this time. 'I can't do it first' for normal people, can I? In that explanation, Mr. Iris, who had a surprised look on his face, also nodded as he was convinced. "You can't do that. I can't afford to pay for this treatment." "If you're a common man, will you? It's not an amount I can make available no matter how, nor is it possible to owe money. Where I sold myself, I can't. Even if I work until I die, I can't save enough for a normal job. Therefore, even if the common people knew there was a way to regenerate, they would “give up". It's pathetic. I just said what, it's true that we need valuable material, and in order to collect it, someone - specifically, the gatherer - needs to take the risk. 'Poor thing, so work for free' and so on, and you can't even work for me. "I knew it would happen, didn't I? Naturally..." "It's all right, Lorea's our employee, so I can help you out if you want." "... by the way, what's the cost? "On payroll deduction" "It just works till you die!?" "Don't worry. I'll give you an employee discount." "I don't think it's an amount you can handle with some discount..." That's what I'm gonna say and sigh. I'm gonna laugh at Lorea, too. Well. That's a little impossible forehead, if that's normal. But it's probably possible if Lorea is about Maria at her master's. So I want you to do your best. I don't want to lose Lorea either. "I'll cure you properly, don't worry, okay? "Ugh... like happy, not happy..." Happy to help, but don't you like living in debt? It's okay, because I'm not going to take the whole salary in that case either. If we don't let him live, if we don't kill him, we can't collect him, can we? - I'm kidding. "Oh, uh, the manager. How much pace should we pay off our debts? You got anxious about my laugh, and Mr. Iris raised his hand to ask such a question. "You need to talk to me there. I don't even know what Iris and his men are capable of." "We're quite skilled - I mean..." "You're not convincing because you got hurt so badly that you got in charge. Vanity, let me do my best." With a slightly frightened face, Mr. Iris declares so determined. I know you came to this village with a lot of confidence because you're going into the Great Tree Sea, but you're the first and you're badly injured, so hey... I know you're lucky too. "Well, don't worry, I'm not going to force you" "Oh well. Sorry, it's annoying." At the same time Mr. Iris exhaled in a ho, he heard the sound of "KIRRRRRRRRRRRRRRR". And Mr. Iris' face, which turns red. "... oh, you're hungry" "Oh, no, the..." "Shall I eat something? It'll be a stockpile." "Oh, I'm just so sorry! "Yes! Enough to have the lodging loaned... Because I eat outside." "But you have to save money, right? Don't hesitate because it's not a big deal" "Is it good...? "Yeah. Lorea, please. Then..." Drop Lorea off on her way to the kitchen and look back at Mr. Iris and his whole body. Uh, yeah, you're dirty. "Mr. Iris... No, Kate, too, come and take a bath before you eat" "No, you can't take care of me that much..." "If you're going to live in our house, don't hesitate - no, rather definitely come in. Because I don't like being unclean." "Ugh... am I dirty" Zuba and, to be clear, to me, Mr. Iris, who tears eyes like a little scratched. But I won't hesitate. Dirt is forbidden for alchemy in the first place. "I wiped it once, but it's hard to say it's beautiful," "Guh! Could it be that you wiped my body...? "It's me. It was dirty, so I bare it and wiped it." "Ke, didn't Kate do it? Mr. Iris turns his gaze to Kate, but Kate shakes her head and denies it. "Am I just dressed in bedtime? 'Cause when I saw him, he was bare and he was just hanging his sheets." "Ugh..." Am I shocked that someone else saw me naked? Mr. Iris drops his shoulder in dismay. I didn't even see you guys, did I? In the meantime, depressed, she leaves it alone and prepares for a bath. When I came back after magically finishing properly, Mr. Iris was back on track to see if Mr. Kate had said anything to me. "Well, come in, both of you." "I'm sorry for the hassle.... including having my body wiped" "Well, alchemists are like doctors, so it's natural to take care of the sick, the injured. Don't worry about it." "No, I know..." Mr. Iris smiles bitterly as he says so. Even if reason understands, is it embarrassing to be ashamed? I don't know. I also see others naked in the beginning, I was embarrassed. But that's only for a few moments, too. Internships at the Alchemist Training School are not such sweet objects. I was thrown into a situation where I was embarrassed or unable to say anything pleasant, and such emotions quickly disappeared. Now I can't help but see a man naked. - When it comes to medical practice, yeah. "Iris, you just decided you don't care about that anymore, right? So, Mr. Store Manager, I'll take a bath." "Yes, come clean up" That's what I said, and I dropped off Mr. Iris, who was supported by Mr. Kate and headed for the bath. ◇ ◇ ◇ "Well. Can I ask you something about the beast that Kate and the others met? I finished my bath and lunch and that's how I cut out where everyone took a breath. It's got roughly a prediction, but for once. "Oh. It looked like a bear in appearance, but it had four arms. Size, two heads were bigger than me. It was quite a giant." Mr. Iris stood up and said about this and about this, with his hands. Its size is more than two minutes larger than that of Mr. Iris, who is slightly taller, with a width of nearly a metre. "You had red fur and you were spitting fire out of your mouth. Iris couldn't cut it off when he was slaughtered, and his nails were sturdy and he played Iris' sword easily." "Ah! My sword!?" To Kate's explanation, Iris raised her voice like that, but Kate shook her head slightly at ease. "I'm sorry, I just couldn't afford to collect it." "- Right. Ha... I didn't know you were going to lose it..." Mr. Iris gets stuck in words for a moment and exhales heavily with a pitiful look on his face. Kate is amazing enough because she's only recovering her arms in such circumstances. But this trait, it's still that one. "To that characteristic, if it's even more poisonous, it still sounds like it's definitely Hell Flame Grizzly. How long have we met from this village? "It's not that far, is it? Mr. Iris puts a little pinch on his neck and turns his gaze to Mr. Kate to make sure. Mr. Kate also thought about it just a little more and nodded. "Yeah. If it's far away, Iris isn't helping. I was desperate to run, but not until minutes, I don't think." "That's pretty close...... Mr. Sarasa, are you okay? "Uh-huh... as a demon, I'm not that strong..." Mr. Iris peeled at my words. "Ha!? Isn't that so strong?!?" "Yes, as a demon" Demons and other beasts. There's not a clear definition, but in general, creatures that can't be shot by a hunter, and creatures that pose a human threat are collectively classified as “demons”. Simply put, "Demons if strong". Hell Flame Grizzlies are also a kind of demon like that, but the size Mr. Iris showed was about medium as Hell Flame Grizzlies. Strength is not that much in itself, so not so much from me as a threat. "Demons are scary..." "Mr. Iris, are you new to demons? "Oh. I was still a little confident in my arm..." Mr. Iris and Mr. Kate look a little depressed as they nod at my query. But if it's the first time you've confronted me, is that what it is? Because it is not Dade that demons are certified as a "threat”. "But normally I'm supposed to be living in the deeper part. It's dangerous to get into a village." "Sa, Mr. Sarasa, what shall we do? You don't come and go." "No, I don't know...? "Huh!?" I wanted to reassure you of Lorea, who looks anxious, but I won't lie. When I answered honestly, Lorea gave a rushed look and began to look visibly orous. Though Lorea hasn't actually seen Hell Flame Grizzly, she's seeing the major injury to that damaged Mr. Iris. I can't help but get upset, considering she's dying. "In this case, why don't we ask the lord? "For once, I think so, but will you move..." As it stands, 'there are demons in the woods', only explorers who have also been damaged have gone into the woods. Explorers go into the woods with the knowledge of such dangers, which is not a big problem in itself from a lord. Because it costs money to move a soldier, 'cause it seems dangerous' isn't the only way to deal with it. If you are a competent lord, deal with it before the damage is done to the village. If you are an ordinary lord, deal with it after the damage has been done to the villagers. If you are an incompetent lord, leave the villagers even if they suffer damage. Most importantly, if one village were to be lost, it would be a huge loss and there would be some punishment from the king, so it would be incompetent to leave it that far... "What's the lord like here? To my question, Lorea shakes her head. Exactly how old Lorea is, don't you know about that? Instead, it was Mr Iris who answered my question. "My impression, 'incompetent nearer normal', perhaps." Lorea lays face to Mr. Iris' rather unforgiving assessment. From me, the victim may be an acquaintance (...) circumstance, but from Lorea, who was born and raised in this village, someone of old knowledge is going to be harmed... That said, even from me, the chances of that victim being acquainted are not low. The rightmost wing is Mr. Jasper, the hunter. It's in the woods. It's painful to just abandon your neighbor... "Okay, why don't we just go and material it for a second? "" "... Huh? To my words, all three raised their voices flat. "No, no, Mr. Store Manager, it's not like saying that casually, is it? As Mr. Kate hacked, waving at me and giving me a 'silly like that' look, but to me in plain sight, from halfway through the words: 'That?' I turn to a look like that. But Lorea couldn't even afford that, she clung to me with a crying face. "That's right! Someone gets hurt...... I hate to do it, but even Mr. Sarasa! Lorea, in case Hell Flame Grizzly breaks into the village, thinks it's not going to be an injury, even though she says a few words to worry about me. I do appreciate that word, but when it gets that serious, it's a little troublesome. "No, that's not what I'm worried about..." "Lord Store Manager... maybe he's strong? What's troubling you is how you're going to die. You can use magic, but because of this, I've recently restarted my sword training, and should I try hunting with my sword? However, given the material, we also have to consider how to kill him. If you poke your heart, your heart won't be able to use it as a material, and if you attack your head, you won't be able to remove eyeballs or the material in that area. If you cut it properly and aim for blood loss and death, it's not bad in terms of alchemic ingredients, but it's negative in terms of the taste of meat because it storms until it dies. If you chop off your neck to bleed out all at once, it will lead to death in a short amount of time, but the fur's worth will fall. It's hard to get it all, so you need to give up any of it, right? - Explaining, for example, that the gaze of the three of them gradually changes from a surprise to a sort of frightening object. Why? Why? "Uhm... the rumor that the alchemist is strong, was it? "Oh, no, it's each person, isn't it? Because some people are critical to the actual skill of that area." Because alchemists require advanced magic control, everyone has more than that when it comes to magic, and that control also affects when attacking magic is used. However, it depends on the person who can fight. You learn very little attack magic at school. By contrast, those who handle weapons have a proper curriculum, but they don't put much effort into it, so at the very least, if they can protect themselves, they can take credit. As a guide, when you hire an escort to go collect them, the extent to which they don't fit together. It is left to their own autonomy more than that, so the arms are quite pinky. "In my case...... well, you're a good one in the same grade" "Oh, really... But let the manager go alone..." "Oh, you can't bring the body home just by yourself, so I'll hire a luggage man, right? By weight, if you work hard to strengthen your body, it's going to be anything, but it's hard to figure out how the physical difference goes. I hunt because of it, so I don't have to chop it up and pack it in the backpack my master gave me. "Well, then I will! "Yeah, but, Mr. Iris, you're not in the mood yet, are you? "Hey do it! It's all right! If you want to carry your stuff, it's fine." Seeing Kate in a bit of trouble, Kate just nods' I got it '. Good. That's just what I'm taking the sick... "I'll take care of it. 'Cause I'm gonna be a good part of it." No! That's not what I asked for! I wanted you to stop! Lorea asks me what's wrong. "But, Mr. Sarasa. Mr. Sarasa would be fine, wouldn't she? If there seems to be danger..." I panicked and nodded forcefully at Lorea, who seemed a little anxious. "Of course! That degree of bear from me, before breakfast. It's a rice matching level! I don't have a problem with foot hands." "... foot clumps" "Ah..." Unexpectedly, my words gave me a sinking expression without Mr. Iris. "Ahhh, Mr. Store Manager. We better not follow? "Oh, no, because we need someone to carry a bear... Uh, Mr. Iris, take a rest for now. Let's go tomorrow! Thanks for your help! Now, get some sleep and don't get your strength back! "Huh? Let's push it off with momentum at times like this. Let's kick Mr. Depressed Iris up and shove him into bed. No. I turned my back on Kate and Lorea, who were laughing bitterly, and I started preparing for tomorrow's hunt.

「ちょ、アイリス!?」 即座に返答したアイリスさんに、ケイトさんが目を剥くが、ノルドさんが提示した金額は、私も少し驚くぐらいの額だった。 田舎や地方都市は言うに及ばず、王都のような都会でも庶民が一ヶ月働いたところで、金枚はなかなか稼げない。 そんな一般庶民に比べると、採集者の稼ぎはかなり多いが、それでも一日に金貨二〇枚をコンスタントに稼ぐことなど、よほどの腕利きでなければ難しい。 敢えて言うなら、氷牙コウモリを乱獲していたときには、アイリスさんたちもそのぐらいの稼ぎがあったけど、アレは例外。 放置されて異常に繁殖していた氷牙コウモリ、私の魔法、普段の買い取り価格よりも高く売れる状況、それらが揃っての非日常だったから。 つまり、ノルドさんが提示した報酬は、それぐらいに高額。 普通なら、護衛の依頼にこの額は出さないし、レオノーラさんの紹介がなければ、怪しすぎると、この時点で追い出しているところだ。 「えっと、ノルドさん、大丈夫なんですか? そんなに出しても」 「まぁ、なんとか? それなりに危険な所に行くわけだから、ある程度は出さないとね。その代わり、必要な装備や食糧は全部自前で用意してもらうことになるけど」 なるほど、サラマンダーの棲み処に侵入するために必要な耐熱コートなどの防熱装備、それらのコストを含めて考えると、ある意味妥当な報酬なのかも? アイリスさんたちはすでに持っているけど、新たに購入しようとすると、このぐらいの報酬でも割に合わないし。 「もっとも、今回の論文が認められなかったら、しばらくは別の仕事で資金を貯めないと、次の研究に取りかかれないんだけどね。ハッハッハ!」 聞いてみれば、これまでの研究結果に支給された褒賞金と、論文を纏めた書籍の売り上げ(これは微々たる額みたいだが)、それらすべてを今回のサラマンダー調査の原資に充てているらしい。 しかし、アイリスさんたちに支払う報酬に加え、ここに来る前の調査地でも同じようにコストはかかっているはずで――。 「褒賞金って、結構たくさんもらえるんですね?」 「まぁね。認められれば、だけど。下手に褒賞金を見込んで、借金で研究費を賄ったりすると、もらえなかったときに人生終了のお知らせが届いちゃうから、なかなかに厳しいお仕事なんだけどね」 「ですよねぇ、やっぱり......」 この国で奴隷は認められていないけど、借金から簡単に逃れられるほど甘くもない。 半強制労働的に、体力的にキツい仕事をさせられるぐらいは当たり前。 違法行為でさえなければ、仕事を選ぶことなんてできなくなるし、若い女なら多くの場合、娼館に放り込まれるし、需要さえあれば、男も例外ではない。 私も噂に聞いただけだけど、借金の額によっては違法スレスレ、ちょっとまともじゃない、かなり酷いところに斡旋されるらしい。 孤児院を出た子たちの中にも、借金で身を持ち崩した人は少なからずいる。 だから、借金はとても怖いのだ。 まぁ、無事に錬金術師になれた私には、関係ないけどね! ふっふっふ。 「ちなみに、ノルドさんに借金は?」 「大丈夫。一応ボクは、失敗しても無一文になるだけに抑制しているから」 それは、“抑制”と言って良いのだろーか? 無一文でも、稼ぐ能力はあるってことなのかもしれないけど。 「それで、どうかな? 請けてもらえるのかな?」 「私は先ほど言った通り、請けたいと思っている。ケイトはどう思う?」 「そうね......店長さん、リスクはどうかしら?」 「......下手なことをしなければ、そこまでの危険性はない、と思いますよ。ヘル・フレイム・グリズリーが戻ってきている確率はほとんどありません。前回のことを考えても、行き帰りで危険な魔物に遭遇することも、たぶんないと思います」 少し考えて出した私の答えに、ケイトさんは腕を組んでしばらくの間、思案。 やがてゆっくりと頷いた。 「なら......、私も賛成、かしら。店長さんにも早く借金を返したいし」 「アデルバート様からも返済される予定ですし、そこまで焦る必要はないですが......返してくれたらくれたで、ありがたいですね」 ロッツェ家のように、農村程度しか領地を持たない貴族の場合、その税収が入るのは秋の収穫後。 大抵は農作物で納められ、それをそのまま貯蔵したり、一部を売却して現金にしたり。 ただ、収穫直後は相場が一番下がる時期でもあるので、それを考えずに売却してしまうと損をすることになる。 これまでは借金の返済のため、それを考慮する余裕がなかったみたいだけど、今後の返済相手は私。 時宜を得て現金に換え、返済してください、と伝えている。 結果、まだ返済はないわけだけど、別に困ってないしね......アイリスさんの微妙なアプローチ以外は。 「では、ノルド。その依頼、正式に請けよう」 「ありがとう! いや~、助かるよ。――この前の所じゃ、これだけ出しても請けてくれる人がいなかったから」 「......んん?」 ノルドさんから、なんだかボソリと不穏な発言が。 だが、私がその事を聞き返す前に、彼はパンと膝を打つと、笑顔で立ち上がった。 「それじゃ、早速向かおうか!」 「――は? いやいや、さすがに私たちにも準備が必要だぞ? そもそもノルド、お前は大丈夫なのか?」 一瞬呆けたアイリスさんが訊ねれば、ノルドさんは自慢げに頬を上げる。 「ふっ。研究者たるもの、何時いかなる時でも研究に打ち込めるよう、保存食の貯蓄は万全さ! ......あ、でも、今回はテントの準備が必要かな? アイリス君たちのテントにお邪魔するわけには――いかないし」 「当然です」 チラリと視線を向け、ケイトさんが首を振るのを見てとると、ノルドさんは少し考え込んだ。 「前回の護衛は男だったから入れてもらえたんだけど......サラサ君、テントって売ってる、よね? 錬金術師のお店なら」 「えぇ、フローティング・テントがありますよ。ただ、受注生産なので、少しお時間は頂くことになりますが。――あ、でも、少し高くなっても良いのであれば、短期間で作ることもできます」 テント作りで時間がかかるのは、革の縫製。 今は村のおばちゃんたちに頼んでいるので、私一人がやるよりもかかる時間は短くなってるけど、今日注文を受け付けて、数日で完成するほどには早くない。 おばちゃんたちにだって予定はあるし、私だってテントだけに取り付いて、ずっとチクチクやってられるほど暇じゃない。 けど、そんな問題を一挙に解決する逸品がこちら! の“カワック”。 ......うん、変な名前だよね。 名前は変だけど、その効果は驚異的。 簡単に言うと『革用の強力な接着剤』なんだけど、これが凄いのは、単に接着するだけじゃないところ。 ちょいちょいと塗りつけて革同士を密着させれば、乾いたときには完全に一体化してしまうのだ。文字通りの意味で。 隙間なんてないし、剥がれることもない。 上手く貼り合わせれば、最初から一枚の革だったかのようにくっつけられるので、複雑な形状の革製品を、一切の継ぎ目なく作ることだって可能。 ただし、本当に見分けが付かないように接着するには、革の種類とか、新しさとか、色々と条件があって、技術的にも難しいから、簡単にはいかないんだけどね。 でも、単純に貼り付けるだけなら簡単に使えて、時間もかからないし、縫うのに比べて強度も高い。 それに加えて、縫い目から水が染み込んだりすることもないので、テントや革袋などを作るときにはかなり便利で、高品質な物が作れる。 唯一の欠点は、その価格かな? 革袋みたいに安価な実用品だと、まず使えない。 多少品質がアップしたところで、お値段が何倍、下手したら何十倍にもなった革袋なんて、売れるはずもないから。 フローティング・テントぐらい本体価格が高く、縫製に手間がかかる製品なら、相対的にカワックのコストは下がるけど、それでも決して安くはない。 少なくとも、この村の採集者なら、縫製の方を選ぶぐらいには。 「一人用のサイズを急いで作るといくら? ――あぁ、そのぐらい? なら、それで。完成には何日かかる?」 買えるのかな? と思いつつ、まずは相場に特急料金として少しだけ色を付けて提示してみれば、ノルドさんはあっさりと頷いた。 値引き交渉されるかと思っていたから少し驚きつつ、私は顎に手を当てて考える。 他の仕事をそっちのけにして、フローティング・テントだけに集中するなもかからないんだけど......。

"Hey, Iris!?" To Iris, who responded immediately, Kate peels, but the amount offered by Nord was a little surprising, too. Not to mention the countryside and local cities, even cities like Wang Capital, where ordinary people have worked for a month, gold coins are hard to earn. Compared to such ordinary people, collectors make quite a bit of money, but it is still difficult if not so handy, such as making 20 gold coins a day instantly. If you dare, Mr. Iris and the others made about that amount of money when they were ravaging ice tooth bats, except for Arr. Ice tooth bats that were abandoned and abnormally bred, my magic, a situation that sells higher than the usual buying price, because they were all unusual. In other words, the rewards offered by Mr. Nord are as expensive as that. Normally, I wouldn't give this amount for a request for an escort, and without Mr. Leonora's introduction, if I'm too suspicious, I'm just kicking you out at this point. "Uh, Mr. Nord, are you okay? You don't have to let it out that much." "Well, somehow? It's going to be quite dangerous, so we need to get it out somewhere. Instead, you'll have all the equipment and food you need prepared in front of you." I see, heatproof equipment such as heat-resistant coats needed to break into the habitat of salamanders, including those costs, might in a sense be a reasonable reward? The Iris guys already have it, but if I try to buy a new one, it won't even be worth the reward. "Most importantly, if this paper is not recognized, I won't be able to take up my next research unless I save money for another job for a while. Ha-ha-ha!" If you ask me, they're using the prizes paid for previous research results and the sales of books that summarize the thesis (though this seems like a tiny amount of money) and all of them to feed into the raw material of this Salamander survey. But in addition to the remuneration we pay Mr. Iris and the others, it should be equally costly at the site of the investigation before we came here -. "You get quite a lot of bounty, don't you? "Well. Admittedly, though. It's a pretty tough job to expect a prize poorly and cover research costs with debt, because when you don't get it, you get an end-of-life notice." "Yes, I knew it..." No slaves are allowed in this country, but they are not even sweet enough to escape debt easily. Semi-forced labor, enough to make you do a physically tight job is normal. If it's not even illegal, you won't be able to choose a job, and if you're a young woman, you're often thrown into a whorehouse, and if there's even demand, a man is no exception. I just heard rumors, too, that depending on the amount of debt you owe, it's illegal sleuthing, a little undecisive, and they mediate somewhere pretty bad. Few of the children who left the orphanage have broken themselves in debt. That's why I'm so scared of debt. Well, it doesn't matter to me that I could be an alchemist safely! Pfft. "By the way, what do you owe Mr. Nord? "It's okay, because once I fail, I'm just suppressing it." Is that supposed to be "suppression"? Even without a sentence, maybe it means you have the ability to make money. "So, what do you think? Can you ask me to do it? "As I said earlier, I want to ask. What do you think of Kate? "Right... Mr. Store Manager, what's the risk? "... if you don't do something bad, you're not in that much danger, I think. There is little chance that Hell Flame Grizzly is back. Thinking about the last time, I don't think you'll ever encounter a dangerous demon on your way home." To my answer, which I gave a little thought to, Kate put her arms together for a while, a thought. Eventually I nodded slowly. "Then... I agree, I guess. I want to pay my debts to the manager as soon as possible." "I also plan to be repaid by Master Adelbert, and I don't need to rush that far...... if you would have given it back, I would appreciate it" In the case of aristocracy, like the Rozze family, which only has a territory to the extent of the countryside, it is only after the autumn harvest that its tax revenues enter. Mostly delivered on crops, storing it as it is, or selling some of it for cash. However, right after the harvest is also the time when the market drops the most, so if you sell without thinking about it, you will lose money. Until now, I can't seem to afford to take that into account because of the debt repayment, but I'm the one to pay it back in the future. Tell him to get it in time, convert it to cash, and pay it back. As a result, I don't have any repayments yet, but I'm not in any trouble with anything else... except for Mr. Iris' subtle approach. "Okay, Nord. Let's formally request it." "Thanks! No, that would help. - Because there was no one else in the past to ask me to do this." "... hmm? Mr. Nord gave me some disturbing remarks. But before I heard back about it, he stood up with a smile when he hit his bread and knee. "Well, let's get on with it! "- What? No, no, that's just what we need to be ready for, too, right? Nord, are you all right in the first place? If Mr. Iris asked for a moment, Mr. Nord would be proud to raise his cheek. "Phew. Saving up on preserved food is sufficient so that you can enter research at any time, researchers!... Oh, but do we need to get ready for the tent this time? Iris, I can't interrupt your tent." "Naturally." Looking at Chirali and watching Kate shake her head, Mr. Nord thought a little. "The last time the escort was a man, they let me in... Sarasa, you're selling a tent, right? If it's an alchemist's shop." "Yeah, there's a floating tent. However, since it is order production, you will have a little time. - Oh, but if it can be a little higher, you can make it in a short period of time." What takes time to make a tent is sewing leather. Now that I'm asking the village aunts, it's taking less time than me to do it alone, but it's not fast enough to accept my order today and complete it in a few days. Even my aunts have plans, and I'm not free enough to just mount them in my tent and tick them off all the time. But here's a delicacy that solves that problem in one piece! The "kawak" of the smelter (potion). ... Yeah, that's a weird name, isn't it? The name is weird, but the effect is phenomenal. Simply put, 'strong adhesive for leather', but what's amazing about this is that it's not just adhesive. Apply it a little bit and keep the leather close to each other, and when it dries, it becomes completely integrated. In a literal sense. There's no gap, no peeling. If applied successfully, it can be stuck together as if it were a single piece of leather from the beginning, so it is possible to create a leather product with complex shapes without any joints. However, to glue it so that it really doesn't discern, it's not easy because there are various conditions, like the type of leather, the novelty, and it's technically difficult. But if you simply paste it, it's easy to use, it won't take long, and it's more intense than sewing. In addition to that, water does not stain from the seams, so it is quite useful when making tents, leather bags, etc., so that high quality objects can be made. The only downside is, is that price? When it's an inexpensive actual product like a leather bag, I can't use it first. Because when the quality is slightly increased, there is no way you can sell leather bags that have been multiplied by the price or dozens of times if they are bad. If the main unit price is about as high as a floating tent and the sewing takes a lot of work, the cost of the kawak will go down in relative terms, but it is still never cheap. At least, if you're a collector in this village, about as much as you choose to sew. "How much if you rush to make a size for one? - Oh, about that? Then, so. How many days does it take to get it done? Can you buy it? At the same time, Mr. Nord nodded lightly when I first presented the market with just a little color as an express rate. While I was a little surprised because I thought the discount would be negotiated, I put my hand on my chin and think. It won't take me three days if I just focus on the floating tent with the other jobs aside......

マディソンたちをロッツェ家の領地に匿うことが決まったものの、生存が知られてしまえば元も子もない。 こっそりとロッツェ家の領地まで移動しなければならないが、アイリスさんたち人を超える武装集団である。 見られるだけでも噂になりかねないし、ヨック村のような小さな村に立ち寄ったりすれば、村からすればそれだけで大事件である。 「だから、私とアイリスに分かれて移動したの。これなら、パーティーの人数が多い採集者と見えなくもないから」 「それは......不安じゃなかったですか? 男の人たちの中に一人になると」 そう尋ねたロレアちゃんに、アイリスさんは笑って首を振った。 「店長殿から魔法を封じた魔晶石を預かっていたからな。あれを見て、私たちに手を出そうとする勇者はいないだろう」 マディソンたちが反抗する危険性はかなり低かったけれど、一番の戦力である私が抜けてしまえば、男性の集団の中に女性が二人。 何らかの間違いがあっては困ると、私はアイリスさんたちに魔法を封じた魔晶石を貸し出していた。 もちろん、マディソンたちがその脅威を認識していないと意味がないので、アデルバート様に相談に行ったケイトさんの帰りを待つ間、魔物相手にしっかりと実演した上で。 マディソンたちはしっかりと震え上がってくれたけど、あの時のロレアちゃんは料理を作っていたので、そのことを知らなかったのだろう。 「――あぁ、そうだ。ちゃんと返しておかないとな」 「そうね、助かったわ」 「役に立って――いえ、役に立たなくて良かったです」 二人が荷物から取りだして差し出す魔晶石を受け取りながら、私はそう返す。 使うようなことになっていたら、全員にとって不幸だからね。 命を落とすマディソンたちも、襲われて傷を負ったかもしれないアイリスさんたちも、そしてお財布に大ダメージがある私も。 ――いや、マディソンたちはどうでも良いか。 魔晶石が使われる状況になっていたなら、彼らはただの暴漢に堕ちたということだし。 幸い、警備隊のままであったようだけど。 「まぁ、二手に分かれてもあまり見られたくないのは変わらないからね。人目を憚りながら領地まで戻ったわ」 「私の方もほぼ同じぐらいに到着したから、お父様が用意していた長屋にマディソンたちを放り込んで、善後策の協議に入ったんだ」 一二人の兵士に加え、その家族も移住してくるとなると家族としても。 下手をすれ人を超えることになる。 そんな人数を、何も考えず既存の村に移住させてしまえば、ほぼ確実に新旧住民の間でトラブルが起きる。 それを考慮して、住む場所や開墾する場所を検討、必要な食糧や援助、冬の間にやるべきことなどを策定、実際に行動に移そうとしたところで、カーク準男爵捕縛の一報が入る。 「その時点では確定じゃなかったとはいえ、かなりの確率でサウス・ストラグに帰れそうと判ったマディソンたちは喜んだんだけど......」 「色々な準備が無駄になった私たちの方は、ちょっとがっくりしたな。特にお父様とか。優秀な人材と農地が同時に手に入ると、実は喜んでいたからな」 「特に今は、店長さんのおかげで、少し余裕ができたからね」 「確かに彼ら、思ったよりも鍛えられた兵士でしたよね」 マディソンたちを受け入れることは面倒事を抱えるリスクでもあったが、それでも彼らは訓練された兵士。 育て上げるために必要なコストを考えれば、十分な価値があるだろう。 「あとはあれだな。マディソンたちが移住するなら、店長殿が農地を開墾してくれることになっていただろう? それもかなり楽しみだったみたいだから」 「一二家族分の農地があれば、ウチとしてはかなり収入が増えるからねぇ」 もっともマディソンたちも、受け入れの準備をしてくれたロッツェ家に対して何も返さずに去るのは申し訳ないと、サウス・ストラグへの帰還まで、領地の整備などを手伝ってくれたらしい。 それでも所詮は手作業。 体力のある彼らでも、魔法を使うのとは比べものにならない。 う~ん、これは協力すべき、だよね? 「解りました。農地に関しては機会を見つけてお手伝いに行きますよ」 「良いのか? 移住の件はなくなったのに」 「はい。迷惑を掛けてしまいましたからね」 「店長殿の助けになれるのなら、迷惑なんてことはないが......ありがたい」 嬉しそうな表情で微笑むアイリスさんに、私も頷く。 ロッツェ家の領地には、一度行ってみたいとは思っていたのだ。 アイリスさんとケイトさんの弟妹にもちょっと会ってみたいし。 「あとは特に言うべきこともないわね。サウス・ストラグが落ち着いてから、マディソンたちを送って、ここに帰ってきたわけ」 「あの、サウス・ストラグの様子はどうでしたか? 危険はありませんでしたか?」 「特に混乱している様子はなかったわ。既に代官が統治しているみたいだったし」 雑貨屋であるダルナさんは、時々サウス・ストラグまで買い出しに行っているからだろう。ロレアちゃんはケイトさんの返答を聞き、ホッと胸を撫で下ろしている。 「カーク準男爵は邪魔でしたが、サウス・ストラグが寂れるのは、私としても困りますからね。良かったです」 錬金素材の売却や仕入れにも重要だし、この村では手に入らない食材や調味料もサウス・ストラグから調達している。 毎日の素敵な食生活のためにも、重要な町だよね。 領主はダメだったけど! 「さて、次は私の番ですね。と言っても、私の方はあまり話すこともないんですが」 発毛剤を作り、取りに来たフェリク殿下にそれを渡して、カーク準男爵について、あることないこと――いや、あることだけを御注進。 そうしたら、フェリク殿下がノリノリでカーク準男爵を捕まえていった。 簡単に言えばそれだけ。 何だか上手く利用されたような気もした、そんな展開だったんだよね。 「微妙に釈然としないところはありますが......サウス・ストラグが落ち着いたなら、上手く処理されたんでしょうね、殿下が」 「でもサラサさん、これで安全になったんですよね? なら良いじゃないですか」 「......ま、そうだよね。それに迷惑料も貰えたしね。それも結構な額を! だから――」 そこで私は言葉を区切りを見回す。 そして、じっくりとため、ババンとぶち上げた。 「なんと、今回はついに黒字です! それも、大幅な!」 「やりましたね!」 「ほー」 「へー」 「......なんか、反応が薄いですね?」 笑顔でパチパチと手を叩いてくれているロレアちゃん以外。 ほらほら、二人もロレアちゃんを見習って良いんですよ? 私を持ち上げてくれても良いんですよ? 『店長殿、スゴイ!』とか言ってくれても良いんですよ? そんな私の視線を受けたアイリスさんとケイトさんは、二人して顔を見合わせ、微妙な表情になった。 「いや、だって、店長殿はなんだかんだ言いつつ、毎回利益を出しているよな?」 「そうよね。大きな仕事を請ける度に、借金が増えている気がする私たちと違って」 「え、そんなことは――」 反論しようと口を開いた私は、一応とばかりに頭を捻り、記憶を辿る。 この村に来て最初の大きな事件、ヘル・フレイム・グリズリーの狂乱。 あの時はヘル・フレイム・グリズリーの素材で多少の利益は出たけれど、アイリスさんに使った 次はあれかな? 氷牙コウモリの牙、買い占め事件。 あれにもカーク準男爵が絡んでいたみたいだから、私とカーク準男爵との因縁が生まれた面倒な事件とも言える。 あの時は一時的にかなり儲かったけど、その大半はヨク・バールに借金漬けにされていた錬金術師の救済と、宿屋の新館を建てるのに投資したから、手元に残ったのはそんなに多くない。 その次はアイリスさんの婚姻騒動。 サラマンダーを斃して大金を手に入れたような気もするけど、これも大半は借金の返済に使ったし、事前準備にかなりのお金を使っているので、トータルとしてはトントンぐらい。 直近ではノルドさん。 この件は完全に赤字。 やアイリスさんたちに持たせた緊急パックの代金はある程度補填してもらったけど、そこに至るまでに試作した多くの 私自身が借金を抱えることになってしまった。 まぁ、緊急パックに入れていた物の多くは不良在庫だし、試作した だから実は、そんなに損をしているわけではない。 他のお金に関しても、一応は回収できるかもしれないから......。 おや? 私って実は、商売上手?

It was decided to hide the Madisons in the territory of the Rozzes, but once they were known to survive, there would be no former children. We have to move secretly to the Rozze family territory, but Iris and the others are an armed group of more than ten. It can be rumored just to be seen, and if you stop by a small village like Yorkville, it's just a big incident from the village. "So, Iris and I split up and moved around. It doesn't look like a large gatherer at the party." "Isn't that... anxious? One of the men." When she asked Lorelei, Iris smiled and shook her head. "I kept the magic stone sealed from the store manager. There won't be a brave man who would look at that and try to reach us." The risk of Madisons rebelling was quite low, but if I escaped the most powerful force, there would be two women in the group of men. If there was any mistake, I lent Iris the magic stone that sealed the magic. Of course, there was no point in Madison not being aware of the threat, so I went to Adelbert to consult with Kate, and while I was waiting for Kate's return, I did a good demonstration with the monster. The Madisons shook me up, but Lorelei was cooking, so I guess she didn't know. "- Oh, yeah. I have to give it back." "Yes, thank you." "It was helpful - no, I'm glad it wasn't helpful" While receiving the magic stone they take out of their luggage, I return it. It would be unfortunate for everyone if it were to be used. The Madisons who lost their lives, Iris, who may have been attacked and wounded, and I, who have done a great deal of damage to your wallet. - No, Madisons don't care. If Magic Stones were to be used, they would have fallen into a mere thug. Luckily, he stayed in the Guard. "Well, even if you split it up, it doesn't change that you don't want to be seen much. I went back to the realm in a blind eye." "I arrived almost the same way, so I threw Madisons into the longhouse your father had prepared, and we agreed on a plan." In addition to one or two soldiers, their families will migrate, and there will be four or eight members of their families. If we succeed, we will have more than 0 people. If you move such a number to an existing village without thinking about it, there will almost certainly be trouble between the old and new residents. With that in mind, when we consider where we live and where we open our doors, formulate the necessary food and assistance, what we need to do during the winter, etc., and actually try to move into action, we receive a report of the capture of Baron Kirk. "Madisons were happy to know that they were going back to South Strag, even though they weren't sure at that point...." "We've wasted a lot of preparation, and we're a little upset. Especially with your father. I was actually happy to get good people and farmland at the same time." "Especially now, thanks to the manager, I can afford a little more." "Surely they were more trained soldiers than I thought." Accepting Madisons was a risk of trouble, but they were still trained soldiers. Considering the costs necessary to grow it, it will be worth it. That's all I have left. If the Madisons had moved, the manager would have opened the farmland, wouldn't he? I was looking forward to it too. " "If we had 12 families of farmland, we'd make a lot of money." However, Madison and the others apologized for leaving without returning anything to the Rotze family, who were ready to receive them, and helped to set up the territory until they returned to South Strag. But after all, it's manual. Even with their health, they are no match for magic. Hmm, this should work together, right? "I see. When it comes to farmland, I'll find an opportunity to help." "Are you sure? We're done with the migration." "Yes, I've caused you trouble." "If I can help the manager, I won't bother you... thank you." I nod to Iris, who smiles with a happy expression. I wanted to go to the Rotze family territory once. I also wanted to meet Iris and Kate's sister. "There's nothing left to say. I sent Madisons back here after South Strag settled down." "Um, how was South Strag? Was there any danger? "I didn't seem particularly confused. Looks like the deputy already ruled." Dalna, a grocery store, will sometimes go shopping at South Strag. Lorea hears Kate's response and strokes her chest down. "Warrant Baron Kirk was in the way, but it would be troublesome for me to miss South Strag. I'm glad." It is also important for selling and sourcing alcoholic materials, as well as sourcing ingredients and condiments from South Strag that are not available in the village. It's an important town for a nice everyday meal. The lord didn't make it! "Well, now it's my turn. That said, I don't talk much." Make a hair thinner and give it to His Highness Felix, who came to fetch it, and inject him with something that has never happened - no, only something about Baron Kirk. Then His Highness Felix caught the Baron Kirk in Norinori. Simply put, that's all. I also felt that it was being used well, and that's what happened. "There are some subtle things I don't understand... If South Strag were to settle down, he would have handled it well, Your Highness." "But, Sarasa-san, you're safe now, right? Then why don't you?" "... well, that's right. I also got a nuisance fee. That's a good forehead, too! So..." So I separate the words and look around at the three of them. And slowly, I banged it up. "Oh, my God, this time it's finally black! That's a huge deal! "You did it! "Whoa." Heh. "... you're not reacting very well, are you? Except Lorea, who smiles and claps her hands. Come on, you two can both apprentice Lorea. Can you lift me up? Dear store manager, this is awesome! You can say something like, " Iris and Kate, who had such a look on my face, looked at each other with a subtle expression. "No, because the manager is making a profit every time he says something, right? "That's right. Every time I ask for a big job, I feel more and more in debt, unlike us." "Well, that's not true..." When I open my mouth to object, I twist my head and trace my memory. The first major incident in this village, the frenzy of Hell Flame Grizzly. At that time, Herr Flame Grizzly made some profits, but the price of the smelter (potion) used for Iris was completely negative. What's next? Ice Tooth Bat Fang, Purchase Case. It also appears to have involved the Baron of Kirk, so it is a troublesome incident in which my relationship with the Baron of Kirk was born. At that time, it was quite lucrative for a while, but most of it was invested in the rescue of the alchemist who had been borrowed by York Barr and the construction of a new inn, so there wasn't much left. Next is Mr. Iris's marital disturbance. I think I got a lot of money by using salamander, but I also used most of this to pay off my debts, and I spend a lot of money to prepare in advance, so it's about tons in total. Most recently, Mr. Nord. This case is completely in deficit. The cost of the smelters (artifacts) used directly for rescue and the emergency packs Iris had to hold was partially offset, but the cost of making many of the prototypes (artifacts) to date was fully covered. I have my own debt. Well, a lot of the stuff in the emergency pack was defective inventory, and most of the prototype smelters (artifacts) were listed in the whole smelter, so I had to make them soon anyway. So, actually, I'm not losing that much. I might be able to collect some other money... Oh, I'm actually good at business?

「けど、大半の物は代替不可だから、節約できるのは毛皮ぐらいかな?」 「毛皮というと、防寒着――コートか、帽子とか、そのへんですか?」 「うん。最高級品は魔物の毛皮。もちろんその中にも上下があるけど、普通の動物より上だね。動物だと鼬や兎、狐なんかが高級品。このへんでも一人分を一式揃えたら、それだけで前金がなくなるよ」 「金〇枚がなくなるって......いくらなんでも高すぎませんか? 素材ですよね? コートなんかの製品じゃなくて」 「うん。見栄えの良い物は特にね」 性能は変わらなくても、見栄えの良い物は貴族がコートや帽子なんかに使うからか、かなりお高い。 今の懐事情じゃ、ちょっと手が出ないかな。 パーティーに着ていくわけじゃないから、出す必要もないけど。 「私が使う予定なのは、羊。これだと結構、お手頃価格で手に入るんだよね」 「兎みたいな小さな動物に比べたら、たくさん取れそうですもんね。デメリットは? あるんですよね、安い分」 「同じ性能を求めると、モコモコになることかな。厚みが必要だから」 「モコモコ......それだけですか? それってあんまりデメリットじゃないような......?」 「フォルムが重要なんですよ、お貴族様やお金持ちの人には」 ロレアちゃんはピンと来ないようだけど、貴族なんて見栄の生き物。 子供ならモコモコでも、『可愛い!』と言ってもらえるだろうけど、見栄えが重要な方々からすれば太って見えるのは致命的だし、『安物を使っている』と思われてしまえば侮られる。 「ロッツェ家のような、引きこもりタイプの貴族ならともかく、社交界に出るような貴族であれば、辺幅を飾ることも必要なんだよ、ロレアちゃん」 「引きこもりって、言葉を選びましょうよ、サラサさん。聞く限り、事実みたいですけど......」 「えっと、じゃあ、良い意味で引きこもり?」 「違います。改善すべきは『引きこもり』の方です。例えば......『自領を大事にする』とか」 「おぉ、賢いね、ロレアちゃん。――やや婉曲表現だけど」 けど、自分たちは王都に滞在、自領は代官に任せて帰らない貴族もいること考えると、間違ってもないかな。 「もっとも、毛皮の性能で競うこと自体が愚かだと思うけど。そんなもの、錬金術の効果からすれば微々たるもの。ドングリの背比べだよ」 一見は普通の服だって、吹雪の中でもへっちゃら。 そう、錬金術ならね! ......魔力はガリガリ消耗するけど。 「それを言っちゃったら......。でも、これまでに挙げた物って、全部 「いつも通り縫い物は手伝って欲しいけど、今お願いしたいのは、料理かな?」 「料理......食材の調達ですか?」 「それも含めて、美味しい料理を作って欲しいの。あと、美味しいお菓子も。甘さ強めで量も多めが嬉しいかな? 砂糖とかは贅沢に使っても良いから」 「えっと、お仕事に行くのにお菓子? もっとお腹に貯まる物の方が良くないですか?」 ロレアちゃんは少し戸惑い気味に私を見るけど、私は力強く否定する。 「いやいや、冬山に甘い物は必須だよ? 万が一の際の生存確率――具体的には生きようとする気力に影響するから」 非常用の保存食は私が錬金術で作るつもりだけど、必要なエネルギーは補給できても、これをずっと食べ続けるのは凄く辛い。 私なんかは、忙しいときには『食べられればなんでも良い』というタイプだけど、それでも食べたいと思えば美味しいものが食べられる状況と、否が応でもそれを食べるしかない状況では、精神的な負担が全然違う。 選択肢がなかったとはいえ、遭難したアイリスさんたちがこれを食べて長期間生き延びたのは、なかなかの精神力だと思う。 しかも暗い洞窟に閉じ込められ、出られるかも不明な状況。 下手したら、食料の前に精神力の方が尽きていたはず。 もちろん今回の冬山では遭難しないよう、十分に注意するつもりだけど、もしもの時には春まで生き延びられるような用意はしておきたいし、その場合にはバリエーションのある食事の有無が重要。 「村の保存食業界に革命を起こした、ロレアちゃんの手腕に期待しているよ!」 「いえ、ちょっとした改善程度なんですけど......。地元の食材を使えるように頑張っただけで。他の人たちにも手伝ってもらいましたし」 「そんなことないよ! あれは革命だよ! ロレアちゃんは業界の風雲児だよ!!」 他の町から買ってくる物だった採集者向けの保存食が、現在ではほぼ村の中で生産されている上に、その味もずっと良くなった。 ロレアちゃんが来てくれたおかげで、私が利用する機会はなくなったけど、採集者の人たちには好評だと聞いている。 間違いなく、この村の保存食業界界隈では、風雲児。 ――ちょっとばかし小さい業界だけど。 でも、ここは頑張ってもらいたいので、謙遜するロレアちゃんをヨイショと持ち上げて見れば、ロレアちゃんは照れくさそうに笑う。 「そ、そうですか? えへへ......解りました! サラサさんがそう言うなら、頑張ってみます!!」 そんな私の激励が効いたのか、ロレアちゃんは『ふんすっ!』と鼻息も荒く、両手を握ったのだった。 ◇ ◇ ◇ 夕方、帰ってきたアイリスさんたちの表情は、あまり 「どうでしたか?」 その表情だけで既に答えは予想できたが、一応とばかりに尋ねてみれば、案の定、二人はため息をついて首を振った。 「ダメだ。アンドレたちベテランを中心に話を訊いてみたが、冬山での採集作業を経験したことがある奴らは皆無だった」 「お金がないときには、冬でも採集を行っていたみたいだけど、それも森まで。山には入らなかったみたいね」 「そうですか。予想はしていましたが......」 素材を売りに来る採集者がほとんどいないことを考えれば、そうだよね。 こうなると、私の持つ知識と経験で対処するしかないかなぁ? 学校の実習で行った山は大樹海の奥にある山と比べると、ずっと難度の低い山だから、少し不安があるんだけど。 「まぁ待て、店長殿。私も子供の使いではない。きちんと他の情報を訊き出してきたぞ」 「ほう、それは?」 私が促せば、アイリスさんは得意げに胸を張って言葉を続けた。 「うむ。アンドレたちの先輩に当たる採集者が、引退してサウス・ストラグに居を構えているらしくてな。彼に話を訊けば、有益な情報も得られるんじゃないか?」 「――と、アンドレさんが言っていたわ」 アイリスさんが訊き出したというよりも、普通にアンドレさんの方から、『訊きに行ったら』と教えてくれたらしい。 「ケイト、そこは割愛しても良かったのではないか? 折角の私の手柄が......」 アイリスさんが少し口を尖らせるが、ケイトさんは気にした様子もなく肩をすくめた。 「そんな物は幻想よ。報告は正確にしないと」 「だがしかし、ここは年上のお姉さんとして、ちょっとは頼りになるところを......」 「えっ? お姉さん?」 「お姉さんだろ! 店長殿よりもも年上だぞ、私!」 「沈黙が長い!?」 いや、だって、アイリスさんに“お姉さん感”はないもん。 年上ということは解っているけど、感覚的には一つか、二つ。 ともすれば、ちょっと手の掛かる妹みたいに感じることすら......。 ケイトさんの方は文句なくお姉さんなんだけど。 「ま、まぁ、それはともかく。サウス・ストラグであれば都合は良いですね。どちらにしろ行く予定ですから」 「むぅ......。なら良いのだが。店長殿たちの方は?」 アイリスさんは少しだけ不満そうに唸りながらも、すぐに表情を緩めて、私とロレアちゃんの顔を交互に見た。 「必要な物の検討は終わった、というところでしょうか。素材は仕入れるしかないので、早めにサウス・ストラグへ行きましょう。えっと......ロレアちゃん、ダルナさんから荷車は借りられるかな?」 を持っていく必要があるし、買って帰る予定の毛皮などの素材もそれなりに嵩張る。 師匠から貰ったリュックを使っても、担いで運ぶのはちょっと厳しい。 もし荷車を借りられないようなら、ちょっと無理をしてフローティング・ボードでも使うしかなくなるわけだけど――。 「大丈夫だと思います。この時季に仕入れに行くことは、まずありませんから。私から話しておきますね」 「ありがとう。あれにはコロコロも付いているから、だいぶ楽になるよ」 だったか? それならば......。店長殿、今回は私も付いていこうかと思うんだが、どうだろうか? いくら店長殿でも、ずっと一人で荷車を引くのは疲れるだろうし、できれば引退した採集者の話を直接聞いておきたい」 「そうですね......今のアイリスさんなら大丈夫でしょうか」 私の身一つで走る場合と違い、今回は荷車を牽く必要があるし、その上に載せる物のことを考えれば全速力で突っ走る、なんてわけにもいかない。 身体強化に関してはなかなかの適性を見せているアイリスさんなら、おそらくは問題なく付いてこられるはず。 「では、明後日の朝に出かけられるよう、明日は準備に充てましょう」 の選別と最低限必要な素材の計算。 お金も準備して、件の採集者に訊いておきたいことを纏め......。 「ちなみに、その引退した採集者の住んでいる場所とか、名前とかは判っていたり?」 「うっ......すまない。マーレイという名前しか......」 アイリスさんがそう言って、申し訳なさそうに目を伏せる。 教えてくれたアンドレさんも、引退前に『サウス・ストラグに移住する』と聞いただけで、町のどこに住んでいるのか、もしくは実際には住んでいないのか、それすらはっきりとは判らないらしい。 しかし元々根無し草が多い採集者、それも仕方ないかな。 「う~ん、お手数をかけてしまいますが、レオノーラさんに連絡して、調べられないか訊いてみましょう。買い取ってもらえそうな そんなわけで、翌日は朝からレオノーラさんと連絡を取ったり、貸してもらった荷車のメンテナンスをしたり、日帰りは難しそうなので着替えの準備をしたりとバタバタと忙しかった私たちだけど、そんな用事も昼過ぎには一段落。 明日に備えて英気を養おうと、『陽当たりの良い場所でお茶会でも』と話し合っていた私たちの元に訪れたのは、とても無粋な客だった。

"But since most of the stuff is irreplaceable, is it about fur you can save? "When it comes to fur, is it cold-proof - a coat, a hat or something like that? "Yeah. The finest product is demon fur. Of course there's up and down in it, but you're a step above normal animals. Weasels, ravens, and foxes are luxury products when it comes to animals. Once you've got a set of things for one person in this area, you'll lose your advance." "00 gold coins will be gone... is anything too expensive? It's material, isn't it? Not a coat or something." "Yeah. Especially good looking stuff." The performance doesn't have to change, but the good looking stuff is pretty expensive because nobles use it for coats and hats and stuff. In my current nostalgia, I don't know if I can help. I'm not wearing it to a party, so I don't even have to let it out. "What I plan to use is sheep. You can get it at an affordable price." "Compared to a small animal like a rabbit, you're going to get a lot of it. What are the disadvantages? There are, aren't there, cheap minutes" "If you want the same performance, I wonder if it's going to be a mockingbird. Because I need thickness." "Mockingbird...... is that all? That doesn't sound like much of a downside...? "It's the form that counts, for nobles and rich people" Lorea doesn't seem to come pinned, but nobility is such a glorious creature. If you're a kid, even a mockingbird, says, 'Cute!' You could say, 'but it's fatal to look fat from the people who matter how you look, and if they think you're' using cheap stuff, 'you're insulted. "Anyway, if you're a drawstring-type nobleman, like the Rozze family, if you're a nobleman who goes out into the social world, you also need to decorate the perimeter, Lorea." "A pull, let's pick a word, Mr. Sarasa. As far as I can tell, it sounds like a fact..." "Uh, so, pull it off in a good way? "No. It is the 'pull' that should be improved. For example..." Take care of yourself "or something." "Oh, you're smart, Lorea. - Slightly euphemistic, though." But given that some nobles stay in the Wang capital and leave their self-rule to their deputies not to return, I wonder if it would be wrong. "I think it would be foolish to compete with fur performance. Such a thing, trivial from the effects of alchemy. It's a comparison of Dongri's back." Normal clothes at first glance, even in the snowstorm. Heh. Yes, if it's alchemy! ... but the magic drains me gallantly. "As usual, I need your help sewing, but right now, what I'd like you to do is cook? "Cooking...... sourcing ingredients? "Including that, I want you to cook delicious food. And some delicious treats. Are you happy with the increased sweetness and quantity? Because sugar or something can be used in luxury." "Uh, sweets to go to work? Wouldn't it be better to save more in your stomach? Lorea looks at me a little confused, but I forcefully deny it. "No, no, sweet things are a must for Winter Mountain, right? Probability of survival in the unlikely event - specifically because it affects your energy to live." I'm going to make emergency preserved food with alchemy, but even if I can replenish the energy I need, it's very hard to keep eating this all the time. I'm the type of person who, when I'm busy, 'whatever I can eat,' but still has a completely different mental burden in situations where I can eat something delicious if I want to, and in situations where I have to eat it even if I'm responsive. Though I didn't have a choice, I think it's quite mental power that the shipwrecked Mr. Iris ate this and survived for a long time. Besides, we're trapped in a dark cave, a situation that's unclear that we might be able to get out of. If I was bad, I would have run out of mental energy before the food. Of course, I'm going to be very careful not to wreck this winter mountain, but I want to be prepared to survive until spring if ever, and in that case it's important to have a meal with variations. "I'm counting on Lorea's hand, which has revolutionized the village's preservation food industry! "No, it's a little bit of an improvement... Just tried my best to use local ingredients. I've asked other people to help me." "That's not true! That's a revolution! Lorea is a wind cloud child in the industry!!" The preserved food for collectors, which was bought from other towns, is now produced almost in the village, and its taste is much better. Thanks to Lorea for coming, I no longer have the opportunity to use it, but I hear it's well received by the gatherers. Without a doubt, in this village's preserved food industry neighborhood, wind clouds. - It's a little silly. It's a small industry. But I want you to do your best here, so if you lift the humble Lorea up with Yoisho, Lorea laughs lightly. "Oh, really? eheheheheheheheheheheheheheheheheheheheheh... ok! If Sarasa says so, I will try my best!!" Did my encouragement work like that, Lorea said, 'Humph!' And his nose was rough, and he held both hands. ◇ ◇ ◇ evening, the look on the faces of the returning Iris was not very fancy "How was it? That expression alone already predicted the answer, but I asked him once and for all, indicating, the two sighed and shook their heads. "No. Andre and I talked about veterans, but none of them had ever been through collecting on Winter Mountain." "When I don't have the money, it looks like we were collecting even in the winter, but that goes all the way to the woods, too. Looks like you didn't make it into the mountains." "Really? I was expecting..." Given that few gatherers come to sell the material, right? When this happens, do I have to deal with it with my knowledge and experience? I'm a little anxious because the mountains I went to in my school internship are much less difficult than the mountains behind the Great Tree Sea. "Well, wait, Lord Store Manager. Nor am I a child's use. I've been asking for other information." "Well, what's that? If I encouraged him, Mr. Iris went on with his words with his chest up well. "Mm-hmm. Looks like Andre and his senior collectors are retiring and staying in South Strag. Why don't you talk to him and we'll get some useful information? "- And Andre said..." Instead of Mr. Iris asking, Andre usually told me, 'If I went to ask'. "Kate, wasn't that a good idea to discount there? My handle on the corner..." Ms. Iris pointed her mouth a little, but Kate shrugged her shoulders without looking concerned. "Such things are fantasies. The report needs to be accurate." "But as an older sister here, I can count on you for a bit..." "What? Your sister? "You're my sister! Four are older than the manager, me! "... Speaking of which, you did" "Long silence!?" No, 'cause Mr. Iris doesn't have a "sisterhood”. I know it means older, but sensibly one or two. Together, I even feel a little like my handy sister...... Kate has no complaints. She's my sister. "As it were, well, that's anyway. It would be convenient if it were South Strag. Either way, I'm going." "Mmmm...... I hope so. Where are the store managers? Mr. Iris roared a little dissatisfied, but immediately loosened his expression and looked at me and Lorea alternately. "Have you finished considering what you need? We only have to purchase the materials, so go to South Strag early. Uh... Lorea, can I borrow your luggage from Mr. Darna? This time, I need to take the smelter (artifact) to sell, and the fur and other materials I plan to buy and return to are quite tense. Even with the backpack my master gave me, it's a bit harsh to carry in charge. If I can't borrow a luggage truck, I can't help but use it on a floating board. "I think it's okay. I won't go shopping this time of year. I'll tell you what." "Thanks. That one has corn on it, so it'll be a lot easier" "Was that a smelter (artifact) that would allow the wheels to move lightly? Then...... Lord Store Manager, I think I'll follow you this time, too, what do you think? No matter how many storekeepers, you'll always be tired of pulling your luggage alone, and I'd like to hear directly from retired gatherers, if possible." "Right...... would Mr. Iris be all right now" Unlike when you run on one of mine, you need to tow a luggage car this time, and when you think about the stuff you put on top of it, you run at full speed, there's no way. Mr. Iris, who has shown considerable aptitude when it comes to physical strengthening, should probably follow with no problems. "So let's get ready tomorrow so we can go out the morning after tomorrow" Sorting of smelters (artifacts) that are likely to sell and calculation of minimum required materials. Prepare the money and sum up what you want to ask the collector... "By the way, do you know where that retired gatherer lives or what his name is? "Ugh... sorry. Only the name Marley......" That's what Mr. Iris says, and I lay my eyes down sorry. Andre, who told me, also just heard of 'moving to South Strag' before retiring, and he doesn't even know for sure where in town he lives, or actually doesn't. But originally gatherers with a lot of rootless grass, I wonder if I can help that. "Uh-huh, I'm sorry to bother you, but let's contact Mr. Leonora and ask if we can find out. You also need to ask about the smelting equipment (artifacts) that you might be able to buy away." That's why we've been so busy getting in touch with Mr. Leonora the next morning, maintaining the luggage he lent us, and getting ready to get dressed because day trips seem difficult, but such errands are a paragraph after noon. It was a very innocent guest who was visiting us discussing 'Even at a Tea Party in a Sunny Place' in preparation for tomorrow to nourish English.

「その危険物質の存在も気になるけど、それを使ったのは――」 「当然ですが、私は使ってませんよ? 必要ありませんからね。つまり......」 考えるまでもなく、使ったのはあの男たちだろうねぇ。 「何でそんな危険なことを......」 「聞いてみるのが早いだろうな。――お前たち、何者だ!」 困惑したように男たちに視線を向けたロレアちゃんに対し、あっさりと行動を起こしたのはアイリスさんだった。 彼女が片手に剣をぶら下げたまま誰何の声を上げれば、男たちは何やら小声で相談するとは倒れている他の男たちの方へ向かい、残が腰に差していた武器を足下に落としてから、こちらへと近付いてくる。 そして、その人の表情などが見えるようになった頃、アイリスさんが不審そうに眉根を寄せた。 「あれは......領兵の装備じゃないか?」 何か思い出すようにアイリスさんが顎に手を当てて言えば、ケイトさんもそれに同意するように頷く。 「そういえば、見たことがあるわね」 「領兵って......もしかして、カーク準男爵領の、ですか?」 「あぁ。あそこの兵士の鎧には、準男爵家の紋章が入っているんだ。お金があるからな」 「ウチなんて、鎧の支給すらできないのにね」 それなりにちゃんとした鎧という物は、かなり高い。 兵士全員に支給するとなれば数も必要だし、必要となる予算はかなりのもの。 借金に苦しんでいたロッツェ家が、その予算が確保できなかったのも必然だろう。 「ケイト、店長殿相手に見栄を張る必要もないだろう? 当家にはそもそも領兵自体がいないんだよ。はっはっは」 ――と思ったら、それどころじゃなかった。 朗らかに笑ってるけど、それって笑っていていいことなの......? 領兵が必要ないぐらい平和な領地って考えるべきか、それとも兵士を雇えないほど貧乏と考えるべきか。 あのアデルバート様が領主なのだから、平和ではありそうだけど、貧乏であったことも間違いないよね。 でも、それより今は――。 「カーク準男爵領の領兵が、たまたま私たちと同じ時期に冬山に入り、たまたま 「そうだな。私たちとカーク準男爵の関係、それに先ほど店長殿が指摘した臭い。考えるまでもないだろうな」 アイリスさんが表情を厳しくして剣を少し持ち上げれば、近付いてきていた男は慌てたように両手を振った。 「ま、待ってくれ、争うつもりはない! 武器も置いてきた!!」 「そのようですが、武器がないと戦えないとは限らないですからね。むやみに攻撃するつもりもありませんけど......」 ちなみに男が腰まで雪に埋まった状態なのに対し、 背の高くない私やロレアちゃんですら彼を見下ろすような状態だし、動きやすさも考えれば、あんまり危険性はなさそうなんだけどね。 と戦っていた時に、何もしなかったことから考えても、敵意がないというのは嘘じゃなさそうかな? 「どうなるかは、お前の返答次第だな。お前たちはカーク準男爵領の領兵だな? 所属と名前、ここにいる目的を言え」 「俺はサウス・ストラグ所属の備小隊、隊長のマディソンだ。そっちの錬金術師に アイリスさんの問いに、男――マディソンは普通なら隠すべき内容を、誤魔化すこともなく明確に答えた。 しかしアイリスさんは、あまりにも簡単に答えが得られたことを不審に思ったのか、眉を顰める。 「......随分とあっさり認めるんだな?」 を苦もなく斃すお前たちと戦闘になれば、俺たちは確実に死ぬ。いや、むしろ戦わなくても、このままなら多くの隊員が死ぬ。俺は隊長として、隊員が生き残れる可能性を少しでも上げておきたい」 そう言ったマディソンの視線の先にあるのは、今まさに救助されている人たちの姿。 ここからでは怪我の程度が判らないけれど、今現在、無事に歩いている人数と最初に見た人数を考えれば、明らかに彼らが搬送できる数を超えている。 私たちが見捨てた場合、この冬山から無事に帰還できるのは、極一部に留まるだろう。 「賢明な判断ね。 「領主の所にいる錬金術師から、おびき寄せる薬を渡された。それを使い、出てきた 「私たちの目的が判れば、ルートを予測することも容易い、ですか」 草原などと違い、山の中で歩くのに適した場所など限られるからね。 「でも、私たちに遭遇するまで から逃げ続けられるか、私たちがたまたま道から逸れていないかなど、かなり博打の要素が強すぎる気がしますが」 「もちろん、あんたたちの姿を確認してからおびき寄せたぞ? 事前に調べたルートが見える高台で、数日ほどキャンプを張って。逃げるのは......ただ必死にやっただけだな」 「良くそんな仕事、引き請けたわね......」 「断れるなら断ってる。領主から命令されて、ただの領民が拒否できるわけないだろ? そのあたり、勘案してくれないか?」 マディソンは渋い表情でため息をつき、私たちに懇願するような視線を向けるが、ケイトさんは毅然と首を振った。 「それはあなたたちのこれからの行動次第ね。――それでおびき寄せて引っ張ってくるだけなの? 嗾けると言っても、 「それに関しては、近くまで誘導したら投げつけろと渡された薬がある」 そう言ってマディソンが懐から取り出したのは、小さな薬瓶。 差し出されたそれを私は慎重に受け取り、ちょっとだけ蓋を開けてみる。 そこから漏れ出てきたのは、少しだけ甘さが混じったツンと鼻をつく刺激臭。 私は思わず顔を顰め、慌てて蓋を閉めた。 「店長殿、それは?」 を興奮させて、その臭いの元に執着させるような薬ですね」 錬金術大全には(少なくとも私が読める範囲では)載っていなかったため、作ったことはないし、予測でしかないけれど、おそらく間違いないと思う。 作ったのはアイツかな? サウス・ストラグで阿漕な商売をしていた彼。 潰れたらしいから、領主の所に身を寄せているのかもしれない。 性格的にも相性は悪くないだろうし? 「でも私たちが戦っている最中、投げる素振りはありませんでしたね。何故ですか?」 それで私たちが負けたとは思わないけれど、身体に臭いが付いてしまえば、それ以降の帰路が面倒なことになったのは間違いない。 そう思って尋ねた私に、マディソンは困ったように苦笑を浮かべた。 「自分の娘ぐらいの子供を殺したいと思うか? 本当は 「逃げきることもできない、自分たちでも斃せないでは、選択肢はなかったか」 「情けないことにな」 「であれば、形だけ山に入って時間を潰し、失敗したと言って帰る方法もあったと思うが......。 「それができれば一番良かったんだが、領主の私兵が監視に付いてたんだよ。でなければ、慣れない冬山自体に入ってない」 「えっと、あなたたちも領主の私兵、ですよね?」 マディソンが口にしたやや不可解な言葉に、ロレアちゃんが目を 「領主に雇われているって意味では私兵だが、俺たちを監視していたのは領主にもっと近い、汚い仕事をする子飼いの奴だな。俺たちの元々の仕事は町の治安維持なんだ。町の見回りをして、こそ泥を捕まえたり、喧嘩を仲裁したり。領主から直接命令されることなんて、まずない。......なかったんだがなぁ」 そう言って、大きくため息。 その様子からも、決して好んでこの仕事を引き請けたわけではないことは窺える。 「それで下された命令が、店長殿の暗殺か。拒絶することは......難しいか」 「俺たちは全員、あの町に家族がいるんだ。断ったりしたらどうなるか......解るだろ?」 マディソンが同意を求めるように私たちを見れば、それに最初に頷いたのはロレアちゃんだった。 「釈然とはしませんが......理解はできます。相手は貴族で、領主ですからね」 「貴族が全員、そうではないのだが......」 そう呟くアイリスさんは少し不満そうだし、私も貴族の友達がいるから解るけど、平民の認識としてはロレアちゃんの方が一般的。 ロッツェ家のような真っ当な貴族がいたとしても、悲しいかな、平民に影響が大きいのは真っ当じゃない貴族の方。 総数は少なくても、悪徳領主の印象はどうしても強くなりがちなのだ。 「ちなみに、その監視していた人は?」 ペラペラ喋っちゃマズいんじゃ? と尋ねてみれば、マディソンは「ふっ」と微かに笑った。

- Encounters () "I am concerned about the presence of that hazardous substance, but I used it..." "Of course, I'm not using it. You don't have to. I mean...." I don't have to think about it. Those men must have used it. "Why are you doing such a dangerous thing....." "I guess it's too soon to ask. - Who are you guys? It was Iris who acted lightly against Lorea, who looked at the men in a confused manner. If she talks to anyone with her sword hanging in one hand, the men will whisper something and they will go to the other fellow men, and the remaining one will drop the weapon on his hips under his feet and then approach us. And when I could see the person's expression, Iris raised her eyebrows with suspicion. "Isn't that... the leader's equipment? When Iris puts his hand on his jaw to remind him of something, Kate nods to agree. Speaking of which, I've seen it before. "Leader... perhaps, of Warrant Baron Kirk? "Ah, that soldier's armor contains the Baron's Sigil. I have money." I can't even give you armor. A decent armor is quite expensive. If you pay all the soldiers, you need a lot of money, and you need a lot of budget. It is also inevitable that the Rozze family, which was suffering from debt, could not secure its budget. "Kate, don't you have to glorify your opponent? We don't have a leader. Hahaha" - I didn't think so. I'm laughing loudly, but is that a good thing to laugh at...? Should we think of it as a peaceful territory where there is no need for a leader, or should we think of it as poor enough to be able to hire soldiers? Because that Adelbert is the lord, it seems to be peaceful, but I'm sure he was poor. But now... "Warlord Kirk's leader happened to have entered the winter mountains at the same time as us, happened to have been attacked by the ski giant Snowglide Centipede, and happened to run away to us - how could that be?" I see. The relationship between us and Baron Kirk, and the smell pointed out by the store manager earlier. You won't have to think about it. " When Iris tightened his expression and lifted his sword a little, the approaching man shook his hands in a hurry. "Wait, I'm not going to argue! I also left my weapon!!" "It seems so, but you can't fight without a weapon. I'm not going to attack you nauseously....." By the way, while the man was buried in snow to the waist, we stood on it without being buried in snow, thanks to snowshoes (snow boots). Even me and Lorraine, who are not tall, look down on him, and given the ease of movement, it doesn't seem very dangerous. When we were fighting the ski giant Snowglide Centipede, it doesn't seem a lie to think that there was no hostility because we did nothing? "It depends on your response. You're the leader of Warrant Baron Kirk, right? Tell me who you belong to and why you're here." "I'm Captain Madison of South Strag's Sixth Security Platoon. Your alchemist ordered me to kill the ski giant Snowglide Sentipide. Lord." In response to Iris' question, the man Madison answered clearly, without deception, what should normally be hidden. However, Iris frowned at her doubts that the answer had been obtained too easily. "... you admit it quite quickly, right? "If you fight the ski giant Snowglide Centipede, we will die for sure. No, rather, if we don't fight, a lot of the crew will die. As captain, I want to raise the chances of my crew surviving." That's exactly what Madison's gaze is on the people being rescued. We do not know the extent of the injury from here, but considering the number of people who are currently walking safely and the number of people they first saw, it is clear that they exceed the number of people they can transport. If we abandon it, we will be able to return safely from this winter mountain to some of the poles. "That's a wise decision. How did the ski giant Snowglide Centipede lead you? "The alchemist at the Lord gave me the medicine to lure me. Using it, I put a little scratch on Snowglide Centipede, the ski giant that came out, and then I just ran away." "If we know our purpose, is it easy to predict the route?" Unlike the meadows, there are only a few places that are suitable for walking in the mountains. "But I think it's pretty much too strong to get away from the ski giant Snowglide Centipede until we meet, or if we happen to be off the road." "Of course, after I checked on you, did I lure you? Camping for a few days on a hill where you can see the route you checked beforehand. Running away... was just desperate." "You've done such a good job....." "If you can refuse, I refuse. You can't just refuse a lord's orders, can you? Would you mind taking that into account? Madison sighed reluctantly and looked at us, but Kate shook her head resolutely. "It depends on your future actions. - So you just pull me in and pull me out? Even if I say yes, I feel lucky that the ski giant" Snowglide Sentipide "will attack us." "In that regard, there is a drug that you are given to throw when you lead them closer." That's what Madison took out of his pocket with a small medicine bottle. I receive it carefully and try to open the lid a little bit. It leaked out of it with a slightly sweet twitch and a irritating smell on the nose. I unexpectedly frowned and hurried to close the lid. "Dear store manager, what is that? "Probably something that excites giants and obsesses them with the smell." Alchemy wasn't on the list (at least to the extent I can read it), so I've never made it, and it's just a prediction, but I think it's probably true. Was he the one who made it? He was in a rowing business in South Strag. The store seems to have collapsed without (...) incident, so I may be leaning towards the lord. It's not personally incompatible, right? "But you didn't pretend to throw it while we were fighting. Why is that? I don't think we lost, but if there was a smell in the body, it would have been a hassle to come back after that. When he asked me that, Madison smiled in trouble. "Do you want to kill a child as old as your own? I really shouldn't have brought the ski giant Snowglide Centipede..." "There was no escape, there was no choice but not to let ourselves escape." "What a pity." "If so, I think there was a way to get into the mountains, crush time, and go home saying that I failed... You knew they'd be in danger if you took a bite out of the ski giant Snowglide Sentipide? "I wish I could, but the lord's private soldiers were watching. Otherwise, I'm not into the unfamiliar Winter Mountain itself." "Er, you are also lord's private soldiers, right? Lorea glanced at the somewhat puzzling words Madison said and questioned them, and he bent his mouth unintentionally. "A private soldier in the sense of being hired by the lord, but we were watched by a son of a bitch who worked dirty, closer to the lord. Our original job is to keep the town safe. Go around town, catch sneakers, arbitrate fights. There is no such thing as direct orders from a lord.... I didn't know." Say so, sigh big. From this state of affairs, it can be seen that I never liked to take on this job. "So the order was the assassination of the store manager. Is it... difficult to refuse?" "We all have families in that town. You know what happens when you say no... When Madison saw us asking for consent, Lorea was the first to nod. "I'm not sure... but I understand. The opponent is a nobleman and lord." "Not all the nobles are like that....." Iris is a little dissatisfied with that murmuring, and I know because I have a noble friend, but Lorea is more common as a civilian. Even if there were a real nobleman like the Rotze family, it would be sad, but the nobleman who has a huge influence on the civilian population is not. Even though the total number is small, the bad lord's impression tends to get stronger. "By the way, who was watching it? You can't talk like that. When asked, Madison smiled slightly.

「サラサちゃん、来たぜ!」 「あ、アンドレさん。それにギルさんにグレイさんも。わざわざご足労、ありがとうございます」 お礼を言った私に、アンドレさんは苦笑を浮かべる。 「今この村にいる採集者で、サラサちゃんに呼ばれて足を運ばねぇ奴はいねぇよ」 で世話になってることもあるけど、先の戦闘で、実力まで証明されたからなぁ」 「それじゃ、まるで私が怖い人みたいじゃないですか」 怖い人に呼び出されたから来ました、みたいな言い方は止めて欲しい。 私は可愛くてか弱い女の子なのだから。 ......ちょっと言いすぎ? 「怖くは無いがの実力者である事は間違いないな」 「グレイさんまで......。私なんて、少し戦えるってレベルですよ?」 師匠なら騎士相手でも十分に対抗できると思うけど、私程度ならたぶん、文字通りに子供扱い。 学校の戦闘術関連の先生も強かったし、やっぱりプロには全然敵わないよね。 私がそんな事を主張すると、アンドレさんたちは揃って呆れたような表情を浮かべた。 「サラサちゃんが少しなら俺たちは何だよ。全然戦えないになっちまうぜ」 「でも、採集者は戦う事が仕事じゃないじゃないですか」 色々な物を採集するのが仕事で、その過程で戦う事があっても、それは手段。目的じゃない。 一部の素材は生き物を斃して取る必要があるけど、大半の物はそうじゃないのだから。 「......いや、一般的に見たら、採集者は戦う職業だぞ?」 「なるほど、店長殿は基準が違うんだな。少なくとも、私はそれなりに戦える......つもりだったな。先日までは」 苦笑して肩を落とすアイリスさんに、アンドレさんは首を振る。 「いや、アイリスの嬢ちゃんは十分戦えてるだろ?」 「あぁ、アイリスの腕はなかなかだ。誇って良い」 「俺たち、ヘル・フレイム・グリズリーの討伐数、アイリスちゃんとケイトちゃんに負けてるよな?」 「あれは皆さんで協力した結果でしょう。私なんて、基本的に援護しかできていませんし」 「いやいや、ケイト嬢ちゃんの弓はすげぇぜ? あそこまでの腕はそうそういねぇよ」 う~ん、どうなんだろう? 私は一人で斃しているから別として、他のヘル・フレイム・グリズリーに対しては、複数人で当たっていたからねぇ。 アイリスさんとケイトさんが、かなり有効な攻撃をしていた事は間違いないと思うけど......。 「おっと、話がずれたな。それで、サラサちゃん、なんか訊きたい事があるって話だったが?」 「そうでした。アンドレさんたちは、氷牙コウモリって知ってますか?」 「氷牙コウモリ......?」 私の問いに、アンドレさんたちは顔を見合わせて首を捻り、しばらく考え込んでいたが、ギルさんが何か思い出したのか、指をパチンと鳴らしてアンドレさんを指さした。 「アンドレ、あれじゃないか? ほら、昔、ドレイクさんに聞いた事があるだろ」 「ドレイクさんに......あぁ! あれか! 北の洞窟に生息しているっつぅ」 ギルさんに指摘され、アンドレさんはポンと手を叩く。 「心当たり、ありますか? 一応、これなんですが......」 そう言って私は、先ほど貼ったばかりのチラシを示す。 アンドレさんたちは頭を寄せ合ってそのチラシをしばらく読んでいたが、やがて深く頷く。 「これだ、これ。俺たちは狩った事ねぇんだが......」 「そうなんですか? 氷牙コウモリって、素材も取りやすいですし、加工しなくても品質が劣化しにくいですから、狙い目だと思うんですが」 不思議そうに言う私に、アンドレさんは苦い表情になって首を振る。 「いや、昔の話なんだが、狩ってきた奴が買い叩かれたんだよ。コレじゃ使えねぇ、とか言われて。一応、基準はあるみてぇなんだが、俺たちじゃ区別が付かねぇし、その時の買い取り金額じゃ割が合わねぇって、誰も取りにいかねぇんだ」 「えっと、それってもしかして、コイツ、ですか?」 そう言って私が指さしたのは、ボッタクリ錬金術師のチラシ。 それを見て、ハッとしたようにアンドレさんが目を見開き、口元を歪める。 「その時は意識してなかったから判らねぇ。だが、可能性は高いな。この村からだと、そっちの店の方が近いし。......もしかして、それも騙されたのか?」 段々と獰猛な表情になってくるアンドレさんを落ち着かせるように私が手を上げると、ギルさんとグレイさんもまた、アンドレさんの肩を叩く。 アイリスさんたちはともかく、ロレアちゃんが怖がるから、あんまり殺気を漂わせないで欲しい。 「私としては『そうです』と言いたいところですが......必ずしもそうとは言えないんですよね」 「そうなのか?」 私の言葉に、少し拍子抜けした様な表情を見せるアンドレさんに、私は頷く。 「えっと、サラサさん、話に割り込む様で申し訳ないんですが、そもそも氷牙コウモリってどんなコウモリなんですか? 私、見た事無いんですけど」 「私も無いわね。良かったら、説明してくれない?」 「あぁ、ロレアちゃんは知らないかもね。村に飛んでくる事は、普通無いし。ケイトさんたちも知ってて損は無いと思うから......じゃあ、簡単に」 氷牙コウモリは一般的に洞窟を住処とするコウモリの一種で、少し特殊な生態をしている。 何が特殊かと言えば、名前にもなっている“氷牙”。 これである。 この牙で咬み付く事で、対象を凍らせる事ができるのだ。 と言っても、氷牙コウモリの主食は果物で、基本的に人や動物を襲う事は無い。 凍らせるのは果物。 凍り付かせたその果物を貯蔵し、それを餌に冬を越すという生態をしているのだ。 なので、無害と言えば無害なのだが、増えすぎると森の果物が無くなって他の動物に影響が出るし、果物の栽培を行っている地域などでは明確な害獣として嫌われている。 「そして、凍らせる能力、その強さによって買い取り価格は変化します。簡単に言うと未満の氷牙コウモリはあまり価値がないです」 「つまり、買い叩かれた奴が取ってきたのは、五歳未満のヤツだった?」 「判りません。もしレオノーラさんの所に持ち込んだのなら、そうだと思いますが、こっちだと......」 そう言って私が指さすのは、やはりあのチラシ。 「う~む。決めつけるわけにもいかねぇか」 アンドレさんは微妙に納得のいかないような表情ながらも、気を落ち着けるように、腕を組んで大きく息を吐く。 「それで、店長さん。その年齢を見分ける方法はあるの? 無いのなら、適当に狩ってくるしかなくて、効率が悪いんだけど......」 「えぇ、もちろん。じゃないと、買い取れないですから。見分け方は......せっかくですから、実地でレクチャーしましょうか」 「え? 店長殿が狩りに行くのか? 実力は申し分ないとは思うが......」 「はい。必要ですからね」 アイリスさんたちに見分け方を教えて取ってきてもらう方法もあるけど、私が行った方が早い。 幸い、店番をしてくれるロレアちゃんがいるし。 やっぱり雇って良かったね。私が比較的自由に店を空けられるのは、大きい。 「もし良ければ、アンドレさん、洞窟まで案内してくれませんか? 特に依頼料は出ませんが、氷牙コウモリの見分け方はお教えできますよ?」 「そりゃ、俺たちにも利があるし、サラサちゃんの頼みなら嫌とは言わねぇが、危険......な、わけねぇな。つい、サラサちゃんの外見に引きずられちまう」 途中から呆れたような表情になって、肩をすくめるアンドレさん。 「私、そんなに戦えそうに見えませんか?」 「「「見えない(ません)」」」 お、おう。全員の言葉が揃った。 これでもそれなりに鍛えてるんだけど。 腕をグイッと曲げて、チラリとアンドレさんたちを窺うと......浮かんでいるのは微笑み。 どんな微笑みかは、敢えて言わないけれど。 「むぅ」 今のところ問題は起きてないけど、新しい人が増えてきた時のため、剣とかぶら下げて歩いた方が良いのかな? 村の人とはそれなりに距離を縮められたと思うし、舐められて変なトラブルを引き寄せるより、新しい人には少し敬遠される方が良いかもしれないし......。 「ま、いいじゃねぇか、そんな事。それより、必要な物はあるか?」 ギルさんに軽い口調で訊ねられ、少し考え込んでいた私は顔を上げて頷く。 「そうですね。傘があった方が良い、とは聞きますね」 「傘?」 「はい。ほら、洞窟の天井にはコウモリが大量にぶら下がっているんですよ? 落ちてきますよね、 私の言葉に、想像が追いついたのか、アイリスさんたちが一斉に顔をしかめる。 氷牙コウモリは夜行性で、私たちが狩りに行く昼間は洞窟の中で眠っている。 そして眠りながら、用を足す。 が降ってくるわけだ。頭上から。 「だが、私は傘など持っていないのだが」 「そうよね。雨が降ったら外套を被るだけだし」 困ったように言うのはアイリスさんとケイトさん。 アンドレさんの方に視線を向ければ、こちらも当然という表情で頷いている。 「傘なんて上品なもん、俺らが持ってるわけねぇだろ?」 「そんなの持ってんのなんて、町暮らしの商人とか、貴族ぐらいじゃねぇ?」 そういうものか。 かく言う私も持ってないんだけど。 「今回は大丈夫ですよ。私が『 「俺たちにもか?」 「一緒に来られるのなら、もちろん」 』で守り、アンドレさんたちは知らない、なんて事はやらない。 』って、飛んで来る矢とかを風で弾き飛ばす魔法だからね。 今回のような場面で使ったら、私は良いけど、周囲にいる人は大惨事ですよ? “色々”が飛び散って。 「ただ、今後も行くのであれば、何か用意した方が良いと思いますよ? 傘じゃなくても、専用の外套とか......」 「そうだな、なんか用意すべきだろうな。俺たちだってクソは被りたくねぇし」 あ、言っちゃった。 せっかく私が“色々”とぼかしていたのに。 「ボロいヤツがあっただろ? あれを使おうぜ?」 「あ、それを着てウチのお店には来ないでくださいね? 出入り禁止にしますから」 ギルさんの提案に、私は即座に予防線を張る。 仕事上、採集者が多少汚れてるのは仕方ないけど、もろに被っているのは、ちょっと......。 「解ってるよ。つぅか、どっちにしろ、洗わなきゃならねぇんだよなぁ。なんか良い方法はねぇかな?」 「そのへんは、今日行ってみて、考えてはどうですか? 洞窟の状況次第で変わってくると思いますし」 「そうだな。今日のところは、サラサちゃんの魔法で対処してもらえるんだしな」 「はい。それじゃ、行きましょうか。――ロレアちゃん、店番よろしく。対処できない人の場合は、追い返して良いからね」 「解りました。サラサさんもお気を付けて」

"Sarasa, you're here! "Ah, Mr. Andre. And Mr. Gill and Mr. Gray. Thank you for taking the time to step in." Mr. Andre smiles bitterly at me for thanking him. "I'm a gatherer in this village right now, and Sarasa called me to take a trip. There's no one here." "Yes, yes. Sometimes I'm taken care of by the smelter Potion, but in the battle ahead, it proved to be powerful." "Then you're like someone who's afraid of me." I'm here because scared people called me in, and I want you to stop saying things like that. Because I'm a pretty, weak girl. ... a little too much to say? "I'm not afraid, but I'm pretty sure he's the best." "Until Mr. Gray...... I'm a little fightable, aren't I? I think a master can fight enough with a knight opponent, but to my extent, I guess, literally treat him like a child. The school's combat related teachers were strong, and I knew they were no match for professionals at all. When I insisted on that, Andre and the others gave me a frightened look. "What are we if Sarasa's a little. You won't be able to fight at all." "But isn't it the job of gatherers to fight?" It's my job to collect all sorts of things, and even if I fight in the process, it's a means. That's not the point. Some materials need to be taken by killing creatures, but most of them don't. "... no, generally speaking, gatherers are a fighting profession, huh? "I see the store manager has different standards. At least, I can fight that much...... you were going to. Until recently." Andre shakes his head to Mr. Iris, who smiles bitterly and drops his shoulders. "No, Iris' lady can fight enough, can't she? "Oh, Iris' arm is pretty good. Be proud." "We're losing Hell Flame Grizzly's crusade to Iris and Kate, aren't we? "That would be the result of your cooperation. I'm basically the only one who can cover me." "No, no, Miss Kate's bow is awesome, huh? You don't have that kind of arm." Uh-huh, what do you think? Apart from the fact that I'm shooting on my own, against the other Hell Flame Grizzlies, because I was hitting it multiple times. I'm pretty sure Mr. Iris and Kate have been making some pretty effective attacks... "Whoa, that's off the record. So, Sarasa, did you want to ask me something? "It was. Do you know what Ice Tooth Bats are? "Ice Tooth Bat......? To my inquiry, Mr. Andre and his friends twisted each other in the face and had been thinking about it for a while, but if Mr. Gill remembered anything, he pounded his fingers and pointed to Mr. Andre. "Andre, isn't that it? Look, you've heard of Mr. Drake a long time ago." "To Mr. Drake...... Aah! That's it! It lives in the north cave." Mr. Gill points me out, and Mr. Andre slaps Pong and his hand. "Do you have any idea? For once, this is it..." That said, I show the flyer I just pasted. Mr. Andre and his friends kept their heads together and read the flyer for a while, but eventually nodded deeply. "This is it, this. We've never hunted..." "Really? Ice tooth bats are easy to remove, and the quality is difficult to deteriorate even if they are not processed, so I think it's the aim." To me in a strange way, Mr. Andre shakes his head with a bitter look. "No, it was a long time ago, the guy I've been hunting for was bought and beaten. I can't use it here, or something. For once, there's a standard, but we can't tell the difference, and nobody's going to pick it up because it's not the right amount." "Uh, could that be him, is it? That's what I pointed to, the Bottacli Alchemist flyer. Seeing it, Mr. Andre opens his eyes like a hack and distorts his mouth. "I don't know because I wasn't aware of it then. But there's a good chance. From this village, it's closer to that shop.... Could it have fooled you, too? When I raise my hand to calm Mr. Andre, who is gradually getting a fierce look, Mr. Gill and Mr. Gray also slap Mr. Andre on the shoulder. Regardless of Mr. Iris and his family, I hope you don't let him get too killer because Lorea is scared. "As far as I'm concerned, I'd say 'yes'... you can't necessarily say that, can you?" "Really? I nod to Mr. Andre, who gives my words a slightly clapped look. "Uh, Mr. Sarasa, I'm sorry to interrupt, but what kind of bat is an ice-tooth bat in the first place? I've never seen it before." "Neither do I. Why don't you explain it to me? "Oh, maybe Lorea doesn't know. It's not normal to fly into a village. Because I don't think it's going to hurt Kate and the others to know... so make it easy." Ice tooth bats are generally a type of bat that inhabits a cave, with a slightly special ecology. When it comes to what's special, it's also named "Ice Fang." This is it. By biting with this fang, you can freeze the subject. Even so, ice tooth bat staples are fruits and basically do not attack people or animals. It's the fruit that freezes it. It stores frozen fruit and feeds it through the winter. So when it comes to harmlessness, it's harmless, but if it increases too much, it loses forest fruit and affects other animals, and they hate it as a clear vermin in areas where fruit is grown, for example. "And the ability to freeze, its strength, changes the buying price. Simply put, ice tooth bats under five aren't worth much." "I mean, what the guy who was bought and beaten took was a guy under five? "I don't know. If you brought it to Mr. Leonora, I think so, but this way..." That's what I'm referring to, that flyer, after all. "Uh-huh. I don't know how to decide." While Mr. Andre has a subtly unconvincing look, he puts his arms together and exhales heavily so that he can calm down. "So, Mr. Store Manager. Is there a way to tell that age? If not, I'll have to hunt them properly and they're not efficient..." "Yeah, sure. Otherwise, I can't buy it. How to distinguish... because of this, shall I lecture you on the ground?" "Huh? The manager's going hunting? I know it's impeccable..." "Yes, I need it." There are ways to get Mr. Iris and the others to teach you how to tell them apart, but it's quicker for me to go. Luckily, I have Lorea to give me the store number. I knew it would be nice to hire you. It's huge that I'm relatively free to leave the store. "If it's all right, Mr. Andre, could you show us to the cave? There's no particular fee for the request, but I can tell you how to tell the ice tooth bat, right? "That's good for us, too, and I'm not saying I don't like Sarasa if she asks, but it's dangerous...... hey, it's not like that. I'm dragged by Sarasa's appearance." Mr. Andre shrugs his shoulders with a frightened look from the way in. "Don't I look like I can fight that much? "" "invisible (not)" " Oh, whoa. All the words were aligned. I'm still working out quite a bit. Glitchy bend your arms and peek at Chillari and Mr. Andre... what's floating is a smile. What kind of smile, though I wouldn't dare. "Mmm." I haven't had a problem so far, but for when more and more new people are coming, should I walk around with a sword or something? I think they've narrowed the distance considerably from the people in the village, and it might be better for new people to be a little distant than to be licked and attract weird trouble... "That's a good thing. What more do you need? Gil asked me in a mild tone and I nodded with my face up, thinking a little. "Right. I hear you should have an umbrella." "Umbrella?" "Yes. Look, there's a ton of bats hanging from the cave ceiling, right? It falls, doesn't it, colors (...) and (...) and" To my words, Mr. Iris and the others look at each other at the same time as if the imagination had caught up. Ice tooth bats are nocturnal and sleep in caves during the day we go hunting. And while sleeping, add something for me. In other words, that (...) comes down. From overhead. "But I don't have an umbrella." "Right. When it rains, you just wear a jacket." It is Mr Iris and Mr Kate who say as troubled. If you turn your gaze to Mr. Andre, this one is also nodding with a natural look. "What an elegant umbrella, we don't have it, do we? "I can't believe you have that, like, a merchant living in town or something, like a nobleman? Is that what it is? I don't have it either. "You'll be fine this time. I'll use the Wind Wall Air Wall." "To us, too? "If you can come with me, of course" Exactly, I'm the only one who protects it with Wind Wall Air Wall, and Andre and the others don't know, I don't do anything. 'Cause Wind Wall Air Wall is the magic of bouncing flying arrows and stuff with the wind. If I use it in situations like this one, I'm good, but people around me are catastrophic, right? “Colors" scattered. "However, if we're going to continue, I think we should have something for you, right? Even if it's not an umbrella, it's a special coat..." "Right, I guess we should have something for you. We don't even want to wear shit." Oh, I said it. I was blurring out the “colors” for a reason. "You had a lame guy, didn't you? Let's use that one, shall we? "Oh, don't come to our store wearing that, will you? I forbid entry and exit." To Mr. Gill's suggestion, I immediately put up a line of prevention. At work, I can't help it if the gatherer is somewhat dirty, but of course, he's wearing a little... "I know. Tsuka, either way, I have to wash it. Isn't there some good way? "Well, why don't you go and think about it today? I think it's going to change depending on the cave situation." "Right. For today, you can deal with Sarasa's magic." "Yes. So shall we go? - Lorea, say hello to your store number. If you can't handle it, you can throw it back." "I understand. Take care, Mr. Sarasa."

「さて、そろそろ目的地が近いようですよ」 少し先に見えてきたやや広い場所。 それを見て私は足を止めると、アイリスさんたちに注意を促す。 そして、ネックレスを外して丁寧に布に包み、それをポケットへとしまう。 だけど、そのお値段はなかなかにとんでもない――いや、作る事自体、かなり難しい代物なので、万れたりしたら、サラマンダーを倒せたとしても、下手をすれば赤字。 それぐらい高価な 本当なら、アデルバート様たちに預けておきたかったけど、道中で他の魔物と遭遇しないとも限らないし、その時、私が魔法を使えないのも困るから仕方がない。 「い、いよいよ、か」 「緊張するわね」 氷結石の詰まった革袋を握りしめるアイリスさんと、弓を構えるケイトさんを見て、私は一つ頷くと、広場へと足を踏み出した。 そこは周囲が赤く染まった広い空洞だった。 正面に広がる溶岩の池と、そこから放射される強い熱は防熱装備で身を固めていても、私たちの顔を灼く。 幸いなのは、私たちが動けるだけの足場がある事か。 これで溶岩の面積がもっと広ければ、戦うどころでは無かった事だろう。 「サラマンダーはどこに――」 「来ますよ!」 見当たらない敵の姿に、周囲を見回したアイリスさんに対し、私は鋭い声で注意を促す。 その直後、溶岩の表面が膨れ上がったかと思うと、そこを突き破って巨大な影が飛び出してきた。 溶岩をまき散らしながら上空へと飛んだそれは、ズシンと重い音を立てて、地面へと降り立つ。 その姿はトカゲのようでもあるが、どこか愛嬌もあった溶岩トカゲとは異なり、鋭く鋭角であり、凶悪さを感じさせる。 体高はアイリスさんの身長ほど、頭から尻尾までの長さートルは優に超える。 その身体から発する熱の強さに、ゆらりと陽炎が立ち上り、体表の上を流れるのは、溶けた岩石。 看板に偽りありの溶岩トカゲに対し、サラマンダーは本当に溶岩の中を泳げるのだ。 なんの準備もしていなければ、近づくだけで焼き尽くされる。 そんな魔物がサラマンダーである。 「くっ! なんて生物だ!!」 「魔物ですからねとも、打ち合わせ通りにお願いします!」 「解ったわ!」 話はしていたが、実際にその姿を目にしてややひるんだ様子を見せるアイリスさんたちに声をかけると、二人は気丈にもすぐに動き始めた。 アイリスさんが左、ケイトさんが右。 最初、正面に残った私に対して注意を向けたサラマンダーだが、アイリスさんの手から放たれた氷結石がその頭にぶつかると、そちらの方向へとゆっくりと頭をもたげた。 そして私はそれを確認し、意識を集中、呪文を唱え始める。 『――凍てつく大地からの風』 アイリスさんは自分に向けられた視線にもひるむことなく、革袋から氷結石を掴み出し、その頭付近を狙ってぶつけていく。 かなりの速度で投げつけられている氷結石だけど、サラマンダーの巨体からすれば、その石は少々小さい。 だが、その本質は、そこに込められた魔力。 ぶつかると同時に光を放ち、その周囲を凍り付かせる。 だがそれも一瞬。 体表が凍ったかどうかも判らないうちに、氷は白い湯気となって消える。 実際、ダメージはほとんどなさそうなのだが、煩わしい事は間違いないようで、サラマンダーはアイリスさんの方へゆっくりと身体を向けると、ゆっくりと足をたわめ――跳んだ。 「くっ!」 ズガンッ!! その巨体からは想像できないほどの速度。 矢のような速さで跳ねたその身体は、慌てて転がったアイリスさんの横を走り、大きな音を立てて壁面を破壊した。 「止まりもしないのか、此奴!」 減速する様子も見せず、頭から壁に突っ込んだサラマンダーは、ガラガラと岩を振り払いつつ、ゆっくりと方向転換。 再度、アイリスさんに対峙した。 自爆――になっているのかは不明だけど――を恐れず、一切減速せずに頭から突っ込んでくるとか、アイリスさんじゃなくても悪態をつきたくなる。 あの速度で岩に突っ込んだら、普通は怪我するよねっ!? 「アイリス!」 サラマンダーとアイリスさんの距離は近い。 氷結石を投げるべきか、アイリスさんが一瞬悩む様子を見せた時、今度はやや離れた位置からケイトさんの矢が飛んだ。 その速度はアイリスさんが手で投げる石よりも数段速く、氷結の矢の効果もあってサラマンダーの身体に突き立つが、それも瞬きするほどの間。 氷の蒸発する白い湯気が見えるかどうか。 矢柄も含めて、ポッと一瞬で燃え尽きる。 『――音すらも許されぬ深沈たる暗夜』 だが、投石に比べると痛かったのだろう。 グルグルと不快そうに喉を鳴らすと、アイリスさんに向けた物よりも、若干鋭そうに見える視線をケイトさんへと向けた。 ――どう動く? 再び、跳ぶ? 距離的にはやや遠い。 けど、先ほどの速度を考えれば、たぶん届く。 その事をケイトさんも気づいているのか、弓を構えつつも、緊張をみなぎらせ、すぐに動けるような体勢をとっている。 だが、サラマンダーの行動は違った。 その場に足を止めたまま、やや上向きになって大きく息を吸い込み始めた。 角度的に、アイリスさんの位置からは喉が見える。 普通なら、攻撃の好機。 けどもちろん、私たちにとっては全く別の話。 当然のように、アイリスさんは飛び込んだりはせず、逆に慌てて距離を取ると、急いでフードを深く被り直す。 そしてそれは私とケイトさんも同じ。 その上で、各自が持っている氷結石を自分の前の地面に叩きつける。 それとほぼ同時に、サラマンダーが頭を振り下ろし、大きく口を開けた。 溢れ出たのは、灼熱の炎。 みるみるうちに周囲の温度が上がり、皮膚がヒリヒリと灼ける。 吸い込む空気すら燃えているようで、喉が痛い。 くぅっ、誰だ、サラマンダーを斃そうなんて言い出したのは! 私だよ! くそう。 アイリスさんじゃなければ、そして関わっているのがカーク準男爵じゃなければ、見捨てたのに! 声を出したくない。 口を開きたくない。 でも、そんなわけにはいかない。 アイリスさんたちも頑張っているのだ。 『――全ての動きを止め、静謐を齎さん』 私は押し出すように、呪文を続ける。 サラマンダーのブレスが長い。 これって、一般的なサラマンダーなの? もし違ってたら、師匠の『一般的な強さのサラマンダーなら大丈夫』という言葉が揺らぐ。 その事にわずか不安を覚えつつ、追加で氷結石を放り投げる。 わずかに呼吸が楽になる。 一レア。 ノート一冊、インク壺一つ買うのに悩んでいた私も、成長したものだ。 アイリスさんたちも節約せずに使ってくれたら良いけど......。 「アイリス! 大丈夫!?」 「問題ない! ちょっと痛いだけだ!」 サラマンダーのブレスは私たちがいるこの空間、ほぼ全てを満たしたが、距離的に一番近かったのはアイリスさん。 その事を心配して、ケイトさんから声がかかるが、戻ってきたアイリスさんの声はやや掠れながらも、思った以上に張りがあった。 でも、少し心配。 それでも、今私にできるのは、早く魔法を完成させる事だけ。 投石と射撃を再開した二人の姿に逸るものを感じながら、それでも丁寧に魔法を構成していく。 いても、失敗は許されない。 自分の魔法に全てがかかっているのだ。 『――荒ぶる者に静かなる眠りを』 そして、最後の言葉が完成するや否や、私は片手を上げる。 それを確認した瞬間、アイリスさんは革袋の中から目一杯の氷結石を掴みだし、ケイトさんはポケットに入っている氷結石を取りだして、同時に放り投げた。 瞬間、吹き荒れる冷たい空気。 それもわずかな時間で熱せられるが、それで十分だった。 アイリスさんたちが私の方へ向かって走り、私のすぐそばに来たところで魔法を発動。 先ほどの氷結石の時とは比較にならないほどの冷気が、周囲を満たした。

"Well, it looks like we're close to our destination." Slightly wider place that I saw a little further. Look at that. When I stop, I draw the attention of Mr. Iris and the others. And then he removes the necklace and carefully wraps it in a cloth, making it into a pocket. The master gave me light, this smelter, Artifact, but the price of it is quite outrageous - no, making it itself is a pretty difficult substitute, so in case it breaks, even if you can defeat the salamander, if you do poorly, you're in deficit. That's how expensive the smelter is, Artifact. If it's true, I wanted to keep it with the Adelberts, but I can't help but encounter other demons on the road, and at that time, I have trouble not being able to use magic. "Yes, finally," "You're nervous." Seeing Iris gripping a leather bag stuffed with ice stones and Kate setting up a bow, I nodded one and stepped out into the square. It was a wide cavity with red stains all around it. The lava pond that spreads across the front and the strong heat emitted from it burns our faces, even as we solidify ourselves with heat protection gear. Fortunately, we have enough scaffolding to move. If the lava area had been wider, it would have been nowhere to fight. "Where's Salamander?" "I'm coming! I call my attention with a sharp voice to Mr. Iris, who looked around at the appearance of an undetected enemy. Shortly afterwards, when I wondered if the lava surface had swelled up, a huge shadow burst through it. It flies up into the air scattered with lava, making a heavy noise with Zuchin and descending to the ground. The figure is also like a lizard, but unlike a lava lizard, which was also somewhere adorable, it is sharp and sharp and makes you feel vicious. As tall as Mr. Iris is, the length from head to tail exceeds five meters. To the intensity of the heat emanating from its body, the flame rises loosely and flows over the body surface is the molten rock. Salamander can truly swim in the lava against a fake lava lizard on a sign. If you're not ready for anything, just get close and they'll burn you down. Such demons are salamanders. "Damn! What a creature!!" "Because it's a demon. Both of you, please follow the meeting! "Got it! We were talking, but when we spoke to Mr. Iris, who actually looked at him and showed a slight flinch, the two began to move quickly to their temperament as well. Mr. Iris to the left, and Mr. Kate to the right. At first, a salamander who turned his attention to me remaining in the front, but when the icy stone released from Mr. Iris's hand hit that head, he slowly brought his head in that direction. And I confirm it, concentrate my consciousness, and start casting spells. "- Winds from the frozen earth" Without even flickering at the gaze directed at him, Mr. Iris grabs the icing stone out of the leather bag and hits it near its head. It's an icy stone thrown at considerable speed, but from the salamander giant, that stone is a little small. But the essence of it is the magic that was put into it. It emits light at the same time as it hits, freezing its surroundings. But for a moment, too. Before you even know if your body surface has frozen, the ice disappears into white hot air. In fact, there seems to be little damage, but there seems to be no doubt that it is annoying, and Salamander slowly turned his body toward Mr. Iris and slowly flexed his legs - jumping. "Come on!" Zugang!! Unimaginable speed from that giant. Its body, bouncing at an arrowy speed, ran beside Mr. Iris, who hurriedly rolled over, making loud noises and destroying the walls. "You don't even stop, this guy! Salamander, who didn't even show himself slowing down, stuck from head to wall, slowly redirected while shaking off the rags and rocks. Again, I confronted Mr. Iris. I don't know if it's a suicide bomber - but I'm not afraid of it, and I don't want to slow it down at all and stick it out of my head, or even if it's not Mr. Iris. If you stick it in a rock at that speed, you'll usually get hurt!? "Iris!" The distance between Salamander and Mr. Iris is close. Kate's arrow flew this time from a slightly distant position when Mr. Iris showed him how troubled he was for a moment that he should throw an icy stone. That speed is a few steps faster than the stone Mr. Iris throws with his hand, and it also has the effect of an icing arrow, which protrudes into the body of the salamander, but also for as long as it blinks. Whether you see the evaporating white hot air of ice. Including the arrow pattern, it burns out in a pop of an eye. "- A deep, sinking night where no sound is even allowed" But I guess it hurt compared to throwing stones. Growling uncomfortably at her throat, she turned her gaze slightly sharper towards Kate than what was directed at Mr. Iris. - How does it work? Again, jump? Slightly distant in distance. But given the speed earlier, it probably arrives. Is Kate aware of this as well, even with her bow, she is in a position to make her nervous and move quickly? But Salamander acted differently. With his legs stopped on the spot, he turned slightly upward and began to inhale heavily. Angularly, I can see the throat from Mr. Iris' position. Normally, an opportunity to attack. But of course, it's a completely different story for us. Naturally, Mr. Iris does not jump in, but on the contrary hurries to distance himself and quickly re-wears the hood deeply. And that's the same for me and Mr. Kate. On top of that, beat the ice stones you each have onto the ground in front of you. At about the same time, Salamander shook his head down and opened his mouth wide. Overflowing was a burning flame. The ambient temperature rises while the skin burns tingly. The air you inhale even seems to be burning, and your throat hurts. Whoa, whoa, whoa, whoa, whoa, whoa, whoa, whoa, whoa! It's me! Damn right. If it wasn't Mr. Iris, and if it wasn't Associate Baron Kirk involved, I'd have abandoned him! I don't want to speak up. I don't want to open my mouth. But you can't do that. Mr. Iris and the others are doing their best. "- Stop all movements, silence." I carry on with the spell, as I push out. Salamander braces are long. Is this a common salamander? If it wasn't, the Master's words, 'a salamander of general strength would be fine' would sway. Throw an extra ice stone while feeling slightly anxious about it. Slightly easier to breathe. One three thousand rare. I was worried about buying one notebook, one ink kettle, and I'm a grown one, too. I hope Iris and the others use it without saving money...... "Iris! It's okay!?" "No problem! It just hurts a little! Salamander's braces filled this space where we are, almost everything, but the closest thing in distance was Mr. Iris. Worried about that, Kate calls out, but Iris's voice back was slightly more tense than she thought, albeit slightly plundered. But I'm a little worried. Still, all I can do now is finish the magic quickly. Feeling something out of the way of the two who resumed their stone-throwing and shooting, they still carefully construct their magic. Feelings are sudden, but failures are unacceptable. It all depends on your magic. Sleep quietly for the rough. And the last word is done. No, no, I raise one hand. At the moment of confirmation, Mr. Iris grabbed the first glass of ice stone from inside the leather bag, and Ms. Kate took the ice stone in her pocket and threw it away at the same time. Moments, blowing cold air. It can also be heated in just a few hours, but that was enough. Mr. Iris and the others ran towards me and activated the magic right next to me. Cold air, not comparable to that of earlier ice stones, filled the perimeter.

「戦いの影響、だって?」 「うむ。サラマンダーの討伐では、店長殿が氷系の魔法を使っていたからな。なぁ、ケイト?」 「えぇ。かなりの威力でしたよ。この辺、完全に凍りついていましたから」 ケイトの言葉に、ノルドラッドは目を見張って周囲を見回し、溶岩を指さす。 「......それは、あそこの溶岩も?」 「はい、溶岩も」 改めてじっと溶岩を見つめ、ノルドラッドは深くため息をついた。 「とんでもないなぁ。さすがは、マスタークラスが弟子にするだけのことはある」 「そこまでなのか? ――あ、いや、もちろん店長殿が凄いことは知っているが」 「そこまで、だよ。そりゃ、サラマンダーに氷系の魔法は効果的だけど、場所を考えたら現実的じゃない。ましてや、この部屋どころか溶岩まで固めるとか、どんだけって話だよ。飾らずに言えば、異常だね」 肩をすくめるノルドラッドに、アイリスとケイトは顔を見合わせる。 「うーむ、そうなのか。私たちも採集者としてのキャリアはそんなに長くないからなぁ」 「確かに私たちも凄いとは思いましたが......」 でしかないレベルのロッツェ家。 領地も都会から遠く離れた小さな村。 そんな家の娘であるアイリスと陪臣であるケイトは、端的に言って田舎者である。 採集者として活動することで経験を得て、視野も広がっていたし、サラサが優秀だとは思っていたが、本当の意味でその凄さを理解してはいなかった。 「錬金術師や魔法使いだと、ああいう感じ、ではないのか」 「ないね。彼女は実質的な首席卒業者。同じ年齢で比べれば、おそらくこの国で最も優秀だよ。少なくとも、総合力で比べればね」 剣術だけ、魔法だけ、ある分野の知識だけ。 条件を限定すればサラサを上回る同年代も存在するだろうが、すべてを高いレベルで兼ね備えるとなると、非常に難しい。 むしろそれだけの能力があれば、卒業するだけで高い社会的地位が得られる錬金術師養成学校に入学しないわけがないし、そういう人材を育成するのが学校の目的でもある。 つまりそこを首席で卒業できれば、必然的に同年代のトップということになる。 「その中でもサラサ君は、十年に一人とか、そういうレベルじゃないかな? マスタークラスが弟子にしようというのだからね」 「そこまで......」 人格はともあれ、研究者として深い知識を持つノルドラッドに改めてサラサの優秀さを指摘され、ケイトは瞠目すると共に、感心したように息を吐いた。 「むしろ、何でそんな子が、こんな田舎にいるのか不思議なんだけど......何か知ってるかい?」 「知らなくはないが......秘密だ。ペラペラ喋るのは、好かない」 アイリスは、むんっと唇を噤むが、ノルドラッドは気にした様子もなく軽く頷いた。 「うん、別に無理に訊こうとはしないよ。ちょっと気になっただけで、女の子の秘密を探るつもりはないから。――ま、それぐらいサラサ君のやったことは非常識で、普通はできないってことさ」 「私たちも凄いとは思いましたが......ちなみに、普通はどうやって討伐するんですか? サラマンダーは」 「まず、巣から誘き出す。これが基本だね。こんな場所で戦闘をすれば、いくら防熱装備に身を固めていても、普通の人間は体力がドンドン消耗する。逆に向こうは快適。どう考えても不利だろ? 本当かどうかは未確認だけど、サラマンダーは溶岩に入れば回復するという説もあるぐらいだからね」 「誘き出す、ね。言われてみればもっともだけど、店長さんは特にそんなことを言ってなかったと思うんだけど......」 「そりゃじゃ無理があるからだよ、きっと。普通は多人数で入れ替わり、立ち替わり、体力の消耗を抑えながら攻撃を加えて、巣から引きずり出して戦う。そうやって斃す相手なんだよ」 アイリスたちが侵入した洞窟。その入口周辺も十分に暑いが、それでも溶岩のすぐ傍とは比較にもならない。 激しく動く戦闘行動に於いて、どちらが適しているかなど、言うまでもない。 もちろん、氷系の魔法に関しても同様で、溶岩も含めて凍結させることがどれだけ非効率か。 「というか、なんで三人で挑んだの? サラサ君なら、それにリスクがあることぐらい、理解してると思うんだけど」 ノルドラッドにとっては至極当然の疑問だったが、それはアイリスにとって非常に耳が痛く、渋面になって口をへの字に曲げた。 「......詳しくは言えないが、私を助けるためだろうな」 人数を集めるのに要する時間、それだけの人に防熱装備を用意するコスト、人数が増えることで減る分け前。 それらを考慮し、サラサはアイリスを助けるために許容しうるリスクとして、三人でのサラマンダー討伐を実行した。 だが、それらのことは貴族の醜聞にあたるため、アイリスは言葉を濁すしかない。 「ふぅん? ま、いいや。ボクとしては、こうして実験環境が得られたんだから、ありがたいぐらいだしね」 各種情報から大まかな形は掴めていたノルドラッドだが、研究以外にはあまり頓着しない彼にとって、細かい経緯はどうでも良い。 言葉通り、この環境を用意してくれたサラサに感謝しつつ、計測器を地面に置くと、荷物から他の調査道具を取り出した。 「あ、調査にはしばらく時間がかかるからは楽にしてもらって良いよ?」 「そうなのか? なら、そうさせてもらうが......すでにサラマンダーがいないここを調査して、何か意味があるのか?」 「逆だよ、アイリス君。サラマンダーを調べたければ、サラマンダーがいる場所に行けば良い。だけど、サラマンダーの棲み処を調査するには、サラマンダーがいると都合が悪い。危険だからね。斃すのも難しいし」 都合良くサラマンダーが斃され、かつ斃されてから日数の経っていないここは、安全に棲み処を調査できる貴重なサンプル。そういうことらしい。 「そういうことだから、しばらく待っていてね」 ◇ ◇ ◇ ノルドラッドがサラマンダーの棲み処を調べ始めて、すでに三日が経過していた。 見ているアイリスたちにとっては非常に退屈な、何を目的としているかもよく解らない行為をひたすら続けるノルドラッドは、頻繁に水を飲んでは大量の汗を流しているが、それでもその表情は生き生きとしていた。 それに対しアイリスとケイトは、サラマンダーの棲み処の入口付近、溶岩から離れた場所に静かに立っているため、防熱装備の効果もあってさほど暑くはなかったが、とにかく暇だった。 ノルドラッドの調査がもう少し判りやすいものならまだ良かったのだろうが、彼の調査はとにかく地味。見ていてもまったく面白くない。 それでもアイリスたちが耐えていたのは、ただ立っているだけで、一日金貨二〇枚を貰えるからこそ。 溶岩トカゲと格闘するよりはマシと耐えていたのだが、さすがに三日ともなると、忍耐力も品切れが近いようで、アイリスはややウンザリしたような声を、調査を続けるノルドラッドの背中に投げかけた。 「なぁ、ノルド。それはいつまで続けるんだ?」 「あぁ、ゴメン。次で最後の実験だから、もう少し待って」 アイリスの言葉にもノルドラッドは顔を上げることをせず、荷物の中に手を突っ込んで、やっと両手に載るほどい箱を取り出した。 全面が黒く、箱の上部には指三本分ぐらいのスリットが入り、側面の一つは下半分が格子状になっている。 ノルドラッドはその箱を地面に置いたかと思うと、荷物の中から革袋を取りだし、そこから掴み出した物を、ジャラジャラと箱のスリットに注ぎ込んだ。

"The impact of the battle," he said? "Mm-hmm. In Salamander's crusade, the manager used ice magic. Hey, Kate? "Yep. It was quite powerful. Because it was completely frozen on one side around here." To Kate's words, Nordrad looks around and points to the lava. "... is that, too, the lava over there? "Yes, and lava" Again staring at the lava, Nordrad sighed deeply. "It's outrageous. That's right, there are things that the master class just disciples" "Is that it? - Oh, no, of course I know the manager is amazing." "That's it, yeah. Well, ice based magic works on salamanders, but it's unrealistic when you think of a place. Not to mention how much this room solidifies to lava instead. If you don't decorate it, it's unusual." To Nordrad shrugging his shoulders, Iris and Kate face to face. "Hmm, is that right? We don't have that long of a career as collectors either." "I did think we were awesome too..." The Rozze family at a level where I (...) respond (...) is aristocratic, but really only one (...) respond (...). The territory is also a small village far from the city. Iris, daughter of such a house, and Kate, a jury, are, in short, countrymen. I gained experience by working as a gatherer, and my horizons were widening, and I thought Sarasa was excellent, but I didn't really understand its awesomeness. "Alchemists and wizards, it feels like, isn't it?" "I don't think so. She is a substantial chief graduate. Probably the best in the country compared to the same age. At least in terms of overall strength." Just swordsmanship, magic, knowledge of a certain field. The same age that surpasses Sarasa would also exist if conditions were limited, but when it comes to combining everything at a high level, it is very difficult. Rather, if that's all you have, there's no way you won't be enrolled in an alchemist training school where graduation alone gives you a high social status, and it's the school's purpose to develop that kind of talent. This means that if you can graduate there as chief, it will inevitably be the top of your age. "Amongst other things, Sarasa, aren't you, like, one in a decade, or something like that? Masterclass wants to be his disciple." "That's it..." Whatever her personality, Sarasa's excellence was once again pointed out to Nordrad, who as a researcher had deep knowledge, and Kate glanced and exhaled as impressed. "Instead, I'm wondering why such a child is in such a country... you know what? "I don't know... but it's a secret. I don't like to talk." Iris moaned her lips slightly, but Nordrad nodded lightly without looking concerned. "Yeah, I'm not trying to force you to ask. I was just wondering, because I'm not going to explore the girl's secrets. - That's how insane you are, Sarasa, and you can't do it normally." "I thought we were awesome too...... by the way, how do you usually crusade? The salamander." "First, lure them out of the nest. This is the basics. If you fight in a place like this, no matter how hard you are on your heat protection gear, normal humans don't wear out their health. Conversely, it's comfortable over there. It doesn't matter what you think, does it? I don't know if it's true, but there's a theory that salamanders recover when they're put in lava." "I lure you out, right? Perhaps if you ask me, but I don't think the manager said that in particular..." "That's because the three of us can't do it, I'm sure. Normally, they are replaced by a large number of people, standing up, attacking while reducing health drag, dragging them out of the nest and fighting. That's how he's gonna die." The cave the Iris and the others broke into. The area around its entrance is also hot enough, but still not comparable to right next to the lava. Needless to say, which is appropriate for a fiercely moving combat operation. Of course, the same applies to ice based magic, and how inefficient it is to freeze it, including lava. "I mean, why did the three of us try? Sarasa, I think you understand that there's a risk." It was a supremely natural question for Nordrad, but it was very painful for Iris, becoming tannic and bending his mouth to the letter to. "... I can't tell you the details, but I guess it's to help me" The time it takes to gather the number of people, the cost of having heat protection gear available for that many people, before the number of people decreases by increasing. Considering them, Sarasa ran a salamander crusade between the three of them as an acceptable risk to help Iris. But since those things are a scandal of nobility, Iris has no choice but to cloud his words. "Hmm? Ma, no. As far as I'm concerned, this is how I got the experimental environment, so thank you very much." Nordrad, who had grasped the general shape from all kinds of information, but for him, who doesn't pay much attention to anything but research, it doesn't matter how detailed it is. As I said, while thanking Sarasa for preparing this environment, when I put the measuring instrument on the ground, I took the other survey tools out of my luggage. "Oh, the investigation will take a while, so you two can take it easy, okay? "Really? Then let me do so...... investigate here where there is no salamander already, does that make any sense? "On the contrary, Mr. Iris. If you want to check the salamander, you can go where the salamander is. But it's not convenient to have a salamander to investigate the habitat of the salamander. It's dangerous. It's hard to kill." Conveniently, and not many days after the salamander was killed, this is a valuable sample of safe habitat surveys. That seems to be the case. "That's what I'm talking about, so wait a while." ◇ ◇ ◇ Three days had already passed since Nordrad began to look into Salamander's habitat. Nordrad, who continues to even act so boring to the Iris watching that he doesn't really know what it's all about, is frequently watered down with tons of sweat, but his expression was still lively. Iris and Kate, on the other hand, stood quietly near the entrance to Salamander's habitat and away from the lava, so it wasn't so hot that it also had the effect of heat protection gear, but they were free anyway. I guess it would still have been good if Nordrad's investigation had been a little more discerning, but his investigation is plain anyway. It's not funny at all to watch. Still, Iris and the others endured because they just stood and got 0 gold coins a day. I endured better than fighting a lava lizard, but just three days later, patience also seemed to be running out of stock, and Iris threw a slightly unwieldy voice at Nordrad's back, which continued the investigation. "Hey, Nord. How long does that last? "Oh, I'm sorry. This is my last experiment, so wait a little longer." Nordrad didn't even raise his face to Iris' words, he stuck his hand in his luggage and finally took out enough square boxes to be on both hands. The whole area is black, the top of the box contains about three slits of fingers, and one of the sides is latticed on the bottom half. When Nordrad wondered if he had placed the box on the ground, he took the leather bag out of his luggage and poured what he had grabbed out of it into the jalajara and the slit of the box.

やや急ぎ足で目的地へと向かった私たちは、数日後、前回よりも少し短い時間で、溶岩トカゲが生息している辺りに到達していた。 さほど時間が経っていない事もあってか、周囲の様子に変化は無く、ヘル・フレイム・グリズリーが戻ってきている様子も無い。 ただ溶岩トカゲだけが、のったり、のったりと動いている。 前回との違いを多少なりとも挙げるとするなら――。 「この辺りは、かなり蒸し暑いな」 「地面自体が熱を持っていますし、今日も暑いですからね」 今は夏真っ盛り。 気温自体が前回よりも高い事に加え、この辺りは地面からの熱と、所々で吹き出している水蒸気や温水の影響で湿度も高い。 私たちにとっては厳しい環境でも、溶岩トカゲやサラマンダーは暑い方が快適で、活動的なのだ。 はっきり言って、夏場に来るような場所じゃない。 逆に、冬場なら温かく採集が行えそうだけど、ロッツェ家のお財布は冬を待つほどの余裕が無いわけで......。如何ともしがたい。 「この帽子があるおかげで、かなり楽ですけど、足下からジワジワきますね」 「無ければもっとか。サラサ殿のおかげであるな」 「いえいえ。それらはちゃんと、アイリスさんたちが買った物ですから」 が被っている帽子は、それぞれアイリスさんとケイトさんが普段使っている物。 それ故にカテリーナさんはともかく、アデルバート様の方はちょっと合っていないんだけど、私が『新しい物を貸しましょうか?』と尋ねても『それは申し訳ない』と固辞された。 まぁ、デザインの問題で、実用上は問題ないしね。 対して、私、アイリスさん、ケイトさんは、すでにサラマンダー対策装備を身に着けている。 つまり、ブーツにグローブ、それにコート。 見た目的にはすごく暑そうだけど、防熱効果は当然として、冷却効果も備えている関係上、かなり快適。 コートもフード付きなので、こんな場所でも汗すらかいていない。 だが、冷却帽子しか無いアデルバート様たちは、上からの日差しと熱は防げても、足下から立ち上ってくる熱に関しては効果が無く、今もかなりの暑さを感じている事だろう。 「それで、店長さん。サラマンダーがどこにいるのかは、判るのかしら?」 「今のところ、大まかな方向だけですね。――いくつかの予測は立てていますが」 今回、ここに来るにあたり、私はこの火山の情報について、より詳細に調査していた。 ――いや、『調査した』と言うのは、ちょっと烏滸がましかったね。 村を離れられない私は、師匠とレオノーラさんに『情報ありませんか?』と聞いただけだったし。 結果、師匠からはこの辺りの地形を記した地図が送られてきた。予想外なことに。 どうやって手に入れたのか、かなり不思議だけど、それのおかげでサラマンダーが潜んでいそうな場所に目星が付いたので、非常に助かったことは間違いない。 レオノーラさんの方は、さすがにそんな都合の良い情報はなく、その代わりとばかりに『頑張ってね!』というメッセージと共に、ダルナさん経由でサラマンダーの討伐に役立つ 、それに頼らずとも斃せる予定なんだけど、持っていて損はないので、当然持ってきている。 上手く斃すことができたなら、多少素材を融通しないといけないだろう。 「つまり今向かっているのは、その目星を付けた場所なのだな?」 「はい。ただ、目標地点はいずれも火口近くなので、厳しいと思われたら、アデルバート様たちは無理をされないでくださいね?」 この場所でも暑いのだ。これから更に山を登っていけば、火の魔力はますます強くなり、気温も上昇していくだろう。 きっと、『暑い』が『熱い』になるのも時間の問題。 その事を思っての忠告だったんだけど、アデルバート様は問題ないと首を振る。 「なに、多少年は食ったが、毎日の鍛錬は欠かしておらぬ。心配は無用だ」 う~ん、鍛錬でどうにかなるものじゃないと思うんだけど......。 アイリスさんがちょっと頑固なところがあるのは、父親譲りか。 カテリーナさんに視線を向ければ、苦笑して微かに首を振っているので、本当に危なくなれば、きっと彼女が止めてくれるに違いない......よね? ◇ ◇ ◇ 気温の事を除けば、私たちの登山は順調だった。 時々見かける溶岩トカゲは、こちらが手を出さなければ襲っては来ないし、この地温で生息可能な生物はかなり限られる。 カテリーナさんは、ケイトさんが溶岩トカゲを弓で仕留めた事、そしてその皮の価値を聞いて斃したそうにしたけれど、そこはケイトさんたちが頑張って止めていた。 斃したところで、その素材を持ってサラマンダー狩りもない。 アイリスさんの『帰りに余裕があれば狩ろう』という言葉で納得していたから、本当に余裕があれば狩る事になるだろうけど......その『余裕がある』時って、サラマンダー狩りに失敗した時なんだよね。 上手くサラマンダーを斃すことができれば、私たちの手はサラマンダーの素材で埋まっているはずで。溶岩トカゲを持ち帰る余裕なんてあるはずもない。 一応準備はしてきたけど、サラマンダーだけでも全て持ち帰られるか不安なんだから。 ちなみに、完璧に失敗した時は、余裕以前に私が生きていないので、考えるだけ無駄である。 「店長殿、そろそろ深刻に暑くなってきたように思うのだが......目的地はまだだろうか?」 そう尋ねたアイリスさんの真意は、アデルバート様の体調だろう。 周囲の気温はかなりの温度に達しているが、対サラマンダー装備を身に着けている私たちは暑さを感じていない。 対してアデルバート様は、少し前からほとんどしゃべらなくなってしまっている。 カテリーナさんも辛そうだけど、アデルバート様ほどではなく、止めるべきかどうか、悩んでいる様子。 さすがにこれ以上は、命に関わる。 一応、短時間であれば熱対策が可能な、使い捨て 「もうそろそろ見えてくると思いますが、アデルバート様とカテリーナさんは戻って、野営の準備などをしておいてもらえますか? さすがに地面が熱い場所では寝られませんし」 戦いの後、そのまま帰路につくのはまず不可能。 一日ぐらいは休んでから帰るにしても、フローティング・テントを使ったところで、せめて地面が熱くない場所でなければ休まらない。 テントに付けた空調機能も、さすがにここまで熱い場所には対応していないのだ。 「......うむ、そうだな。意地を張る意味も無いか」 私が仕事を頼んだ事で吹っ切れたのか、アデルバート様は顔を上げて軽くため息をつき、アイリスさんの顔をしっかりと見つめた。 「アイリス、儂は引き返すが、気を引き締めてサラサ殿を守れよ!」 強く肩を叩くアデルバート様に、アイリスさんもまた力強く頷き返事をした。 「はい! お任せください、お父様!」 そんな二人を見て、カテリーナさんもケイトさんに向き直り、少しだけ心配そうな表情を混ぜた笑顔で、ケイトさんを激励する。 「ケイトちゃんも、無理しすぎず、頑張りなさい」 「解ってるわ、ママ。期待してて」 「この洞窟が、一番近い場所です。......が、残念ながら、ここではないようですね」 私が師匠からもらった地図とアドバイスを参考に目星をつけたのは、三カ所の洞窟。 サラマンダーが、デデンと地表に陣取っているのなら、魔法での感知を参考に進めば良いだけなんだけど、残念ながらサラマンダーはそこまで単純では無い。 一般的なサラマンダーの生息地は、このような場所にある洞窟の底、火口の傍、そして場合によっては、溶岩が流れる川など。 魔法で感知した方向に進んだところで、辿り着けるとは限らないのだ。 地面をまっすぐに掘り進める事ができるなら別だろうけど、そんな事、不可能だしね。 「むぅ、そうか。上手くいかないな」 「アイリス、まだ一カ所目が違っただけでしょ。それで上手くいかないって言うのは贅沢じゃない?」 「だが、ケイト。運搬の事を考えるとな......」 渋い顔を浮かべるアイリスさんの言うとおり、山の中を長距離、しかも暑さを我慢して荷物を運ぶというのはなかなかに厳しい。 地熱の関係でこの辺りに木々は生えていないが、決して歩きやすい道があるわけではなく、アデルバート様たちには私たちのような防熱コートが無いのだ。 その事をケイトさんも思ったのか、しばし瞑目して口をへの字に曲げたが、ふぅと息を吐いて肩をすくめた。 「そこは頑張るしか無いでしょ」 「幸いな事は、サラマンダーがいる事自体はほぼ確実だという事ですね」 これで、実はサラマンダーなんていませんでした、となってしまうと、全ての準備は無駄になり、予定が崩れてしまう。 「普通なら困った事なんだけど、今回は助かったわよね。――無事に倒せれば、だけど」 「そうだな。サラマンダーがいなければ、当家はどうなっていたか......店長殿頼りなのは情けない限りだが」 「そのあたりの事は、気にしなくて構いませんよ。別に私も、タダで協力するわけじゃありませんし。――お金、返してくれますよね?」 準備でかなり持ち出しているので、返済が無いと、ちょっとピンチ? サラマンダーがどれぐらいで売れて、ロッツェ家の借金を返済した時に、どれぐらい残るか次第だけど。 「もちろんだとも! 必ず返済する」 「ええ、当然。......ただ、返済期間だけは、ちょっと、その、大目に見てもらえたら、ありがたいんだけど」 「それは、仕方ないでしょうね。無理をしない範囲で構いませんよ、もちろん」 申し訳なさそうなケイトさんに、私は頷く。 でも実際、どれくらいで返済してもらえるのかな? 元の借金額だけでも、普通の人なら返せないような額なのだ。 う~ん、下手したら、引退するまで......いや、平均的な採集者なら、それでも厳しいかも? 一般庶民が一生必死に働いて、生活費を一切使わなかったとしても、何度か生まれ変わらなければ返済できないような額だからねぇ。 腕の良い採集者であれば、一般庶民よりはよほど稼げるとは言っても......。 もっとも、その間、アイリスさんたちと一緒に暮らしていけるのであれば、それはそれで楽しいとは思うんだけどね?

Slightly hurried to our destination, a few days later, in a slightly shorter time than last time, we had reached the area where the lava lizard lived. Sometimes it hasn't been that long, there hasn't been any change in the surroundings, and Hell Flame Grizzly hasn't come back. Only lava lizards are moving up or down. If I were to mention any difference from the last time... "It's pretty hot and humid around here." "The ground itself has heat, and it's still hot today." It's summer now. In addition to the fact that the temperature itself is higher than last time, the area is also humid due to the heat from the ground and the influence of water vapour and hot water being blown out everywhere. Even in harsh environments for us, lava lizards and salamanders are more comfortable and active when it's hot. Clearly, it's not the kind of place to come in the summer. Conversely, in winter it seems like we can collect warmly, but the Rozze family wallet can't afford to wait for winter... Hard to do together. "Thanks to this hat, it's pretty easy, but you're going to get jittery from under your feet" "More if not. Thanks to Lord Sarasa." "No, because they were properly bought by Mr. Iris and the others." The hats you two wear are things that Mr. Iris and Mr. Kate usually use. So anyway, Mr. Caterina, Mr. Adelbert doesn't fit in a bit, because I said, 'Shall I lend you something new?' Even when asked, 'I'm sorry about that,' he said in admonition. Well, it's a design issue, and it's not a practical problem. In contrast, I, Mr Iris and Mr Kate have already worn anti-salamander gear. I mean, gloves on boots, plus coats. It looks very hot for the purpose I saw it for, but it's pretty comfortable in relation to the heat protection, naturally, and also the cooling effect. My coat is hooded too, so I'm not even sweating in a place like this. However, even if the sun and heat from the top are prevented, Adelbert, who has only a cooling hat, has no effect on the heat coming up from under his feet and will still feel quite hot. "So, Mr. Store Manager. Do you know where Salamander is? "So far, that's just the general direction. - I've made some predictions." This time, as I came here, I was investigating this volcanic information in more detail. - No, saying 'investigated' was a little awkward. I can't leave the village. I told my master and Mr. Leonora, 'Don't you have any information?' I just heard. As a result, the master sent me a map describing the terrain around here. Unexpected. Pretty strange how you got it, but thanks to that you definitely got a star in the place where the salamander seemed to lurk, so it was very helpful. Mr. Leonora has just no such convenient information, instead of just saying, 'Good luck!' Along with the message, 'Artifacts' was sent via Mr. D'Arna, a smelter to help him crusade the salamander. For once, I plan to be able to shoot you without having to rely on it, but I have it and it doesn't hurt, so naturally I bring it. If we were able to kill him successfully, we would have to accommodate some material. "I mean, you're on your way to where you put that stare on, right? "Yes, it's just that all the target points are near the fire exit, so if you think it's tough, please don't force the Adelberts, okay? It's hot in here, too. If we continue to climb the mountains further, the magic of fire will become stronger and the temperatures will rise. I'm sure it's only a matter of time before 'hot' becomes' hot '. I thought about it and I advised you that Master Adelbert would shake his head. "What, the multiboy ate, but daily workouts are not lacking. Don't worry about it." Uh-huh, I don't think it's something I can handle with my workouts... What makes Mr. Iris a little stubborn is his father giving in? If you turn your gaze to Mr. Caterina, she's smiling bitterly and shaking her head slightly, so if it gets really dangerous, I'm sure she'll stop you...... right? ◇ ◇ ◇ Except for the temperature, our climb went well. The lava lizards we sometimes see will not come under attack unless this one gets his hands on them, and the organisms that are habitable at this geothermal temperature are quite limited. Katerina said that Kate had bowed the lava lizard and killed it when she heard about the value of its skin, but Kate and the others were working hard to stop it there. I just shot him, and there's no salamander hunting with that material. I was convinced by Iris' phrase, 'If you can afford to go home, let's hunt', so if you can really afford it, you'll hunt... but that 'I can afford' time is when you fail to hunt salamanders, right? If we can successfully kill Salamander, our hands should be buried with Salamander material. There can't be room to bring home a lava lizard. I've been preparing for it for a while, but I'm anxious that salamanders alone will bring it all back. By the way, when it fails perfectly, it's just futile to think because I'm not alive before I can afford it. "Dear Store Manager, I think it's time to get seriously hot... is the destination still there? The sincerity of Mr. Iris, who asked so, would be Mr. Adelbert's physical condition. The ambient temperatures have reached considerable temperatures, but we are not feeling the heat wearing anti-salamander gear. In contrast, Mr. Adelbert has barely spoken for some time now. Mr. Caterina looks spicy, too, but not as spicy as Master Adelbert, and he looks worried about whether or not he should stop. Exactly no more, life-threatening. For once, we have a disposable smelter, Artifact, that can be used to combat heat in a short amount of time, but this one is going to be used to bring out the material when the salamander can be defeated with a good end. There is no point in using it now. "I think it's time to see it, but could Master Adelbert and Mr. Caterina go back and get ready for the camp, etc? I can't sleep in a place where the ground is hot." After the battle, it is impossible to go straight home. Even if I take a day off and then go home, I won't rest until I've used a floating tent and at least the ground isn't hot. Even the air-conditioning features on the tent don't support hot spots this far. "... um, right. There's no point in being mean." You blew it off because I asked you to work, Master Adelbert raised his face and sighed gently, staring firmly at Mr. Iris' face. "Iris, Non turns back, but keep your mind tight and protect Lord Sarasa! Mr. Iris nodded back again forcefully to Master Adelbert, who slapped him hard on the shoulder. "Yes! I'll take care of it, father! Seeing those two, Katerina turns to Kate too, smiling mixed with a slightly worrying look, and encourages Kate. "Kate, don't push it too hard, do your best" "I know, Mom. Expect." "This cave is the closest place. ... but unfortunately, you don't seem to be here" Three caves stared at me with reference to the maps and advice I received from my master. If Salamander is arrayed on the surface with Den, you can only proceed with magical sensing, but unfortunately Salamander is not that simple. Common salamander habitats include the bottom of a cave in such a place, beside a fire escape and, in some cases, a river where lava flows. We're magically moving in the direction we sensed, and we're not sure we can get there. Unless you can dig straight through the ground, but that's impossible. "Mmm, well. That's not gonna work." "Iris, the first place was just different, wasn't it? Isn't it a luxury to say that doesn't work with that? "But, Kate. Think about transportation..." Iris with a sinister face is right, it is quite harsh to carry luggage over long distances in the mountains, and with patience for the heat. There are no trees growing around here because of geothermal heat, but there is never an easy way to walk, and the Adelberts don't have a heat proof coat like ours. Did Kate also think of the matter? She often meditated and bent her mouth to a letter to her, but she exhaled and shrugged her shoulders. "You have to work hard there." Fortunately, you're almost certain that there's a salamander. Now, there was actually no salamander, when it did, all the preparations would be in vain and my plans would collapse. "Normally, it's a problem, but this time it helped, didn't it? - If we take him down safely." "Right. Without Salamander, what would have happened to us... unless the manager was counting on us?" "You don't have to worry about anything around it. Nothing. I'm not working for free, either. - You'll give me my money back, won't you? I'm pretty much taking it out on prep, so without repayment, a little pinch? It depends on how long Salamander sells and how long he stays when he pays off the Rotze family debts. "Absolutely! I'll pay you back." "Yeah, naturally.... just for the repayment period, hey, you know, if you could take a big look, I'd appreciate it." "That won't help, will it? You can go as far as you can, of course." To Kate, who seems sorry, I nod. But in fact, how soon can you repay me? Just the amount of the original debt that normal people can't pay back. Uh-huh, if you suck, until you retire... no, if you're an average gatherer, could you still be tough? Because even if the average commoner worked desperately his whole life and didn't spend any of his living expenses, it's an amount he can't repay if he's not reborn a few times. I don't care how much more money you can make than ordinary people if you are a good collector...... If, in the meantime, you could live with Mr. Iris, I think that would be fun, right?

「さて、ロレアちゃん。ちょっとした惨事があったわけですが」 「はい、悲しい出来事でした」 ロレアちゃんが沈痛な表情を浮かべてるけど、その“悲しい出来事”、今も裏庭で継続中なんですけどね。 フローティング・テントの前に、携帯用おトイレを作っておけば防げた悲劇だけど、まさかこんなことが起きるとは思っても無かったし、仕方ないよね? 「たぶん、アンドレさんたちも苦しんでると思うから、お薬を作ってあげないといけないかな? 放置してたら、死ぬ事もあるし」 「え!? そうなんですか? サラサさん、さっきは死ぬ事は無いって......」 「毒では死なないけど、放置してた間ぐらいはあの状態が続くから。頑張って水分と栄養を取り続ければ大丈夫だけど、かなり辛いし、運が悪ければ......ね。普通の病気と同じで」 「た、大変じゃないですか! えっと、 焦った様に立ち上がるロレアちゃんを宥め、私は少し考え込む。 もあるけど、それを使うべきかどうかは、悩むところだね」 「えぇ! 何でですか!?」 「高いから」 「......あぁ、そうですよね。大事ですよね、お金」 「うん。せっかく腐果蜂の蜂蜜を取ってきたのに、下手したら赤字になっちゃうからね」 となれば、蜂蜜の利益があっても、かなり厳しいところ。 使わなければ死ぬ状況なら躊躇してられないけど、そこまでしなくても何とかなるレベルだからね、腐果蜂の蜂蜜の毒は。 「なので今回は、専用の解毒薬を作ります。その方が安いので。まずは......原料を採りに行こうか。ロレアちゃんも手伝ってくれる?」 「はい! 私にできる事なら!」 ホント良い子だね。 良い返事をしてくれたロレアちゃんと共に、採取道具を手に裏口から森へ――向かいかけた足をくるりと返し、店舗側の扉から外に出る。 そして、アイリスさんの“苦悶”に耳を塞ぎ、家の横を通って裏手の森へ。 「この辺りの、腐った葉っぱが落ちている地面を掘り返して虫を探してくれる? えっと......この虫。ちょっと小さいけど」 私が地面の中から掘り出して箱の中に放り込んだのは、一センチほどの小さな幼虫。 結構簡単に見つかるんだけど、五人分用意しないといけないので、少し面倒なのだ。 「解りました。どのぐらい必要なんですか?」 「一人分で最低でも一〇匹ほどは欲しいから......少し余裕を見匹ぐらいは集めたいところだね」 「......これ、薬になるんですよね?」 早速見つけた虫を箱に入れながら尋ねるロレアちゃんに、私はもちろんと頷く。 「この薬、材料費は安いんだけど、手間は掛かるんだよね。......手抜き、しようかな?」 「手抜きですか。ちなみに、手抜きすると、どうなるんですか? 効果が落ちる、とか?」 「いやいや、錬金術師として、効果が落ちるような手抜きはしないよ。単に不味くなるだけ。有効期間も短くなるけど、すぐに飲むなら関係ないしね」 作って一日以内に飲むのであれば、なんの問題も無い。 味の方は、酷い物になると思うけど。たぶん。 飲んだ事無いから、知らないけどね。 「でしたら、手抜きで良いんじゃないですか? サラサさんの忠告を聞かなかったんですよね? 皆さん」 「ん~、明確に食べちゃダメとは言ってないから、忠告を聞かなかったのとは違うけど......簡単に言うなら、知識不足かな? そのへんも含めて、採集者の自己責任ではあるんだけどね」 ただ今回の場合、私が採集を奨めた部分もあるので、少し責任も感じるところ。 それもあって、依頼もされてないのに、こうして薬の素材を集めに来ているんだけどね。 分ほどかけて虫を集めた私たちは、早速薬作りに取りかかる。 採集してきた虫はふるい状の箱に移して、糞を出すまでしばらく放置。 その間に他の素材を準備して、薬研で磨り潰していくわけだけど、どちらかと言えば今回の薬は、錬金術師よりも薬師の領分。 なので、作業工程の大半はロレアちゃんでもできる。 「それじゃ、お願いできるかな? ちょっと様子を見てくるから」 「はい。任せてください!」 やる気を見せるロレアちゃんに作業工程を指示し、私はアイリスさんたちの方へ。 まずは未だトイレに籠もったままのケイトさん。 「ケイトさん、お加減はいかがですか?」 「......店長さん、しょ、正直、かなりキツいわ。身体の中身が全部流れ出てしまいそう......。これって、どのくらい続くの?」 「そうですねー、胃腸の丈夫さや食べた量にもよりますけど、二週間ぐらいでしょうか」 「にっ......!! 無理。死んじゃうわ......」 「今、お薬を作っていますから、頑張ってください。とりあえず、水分の補給はしておいてください」 本気で死にそうな声を漏らすケイトさんに、私が水の入ったコップを差し入れると、おトイレの中から伸びてきた手が、震えながらそれを受け取った。 「ありがとう、店長さん。とても申し訳ないんだけど、アイリスの方も見てきてもらえるかしら?」 「えぇ、今から行くつもりです。アイリスさんは見られたくないかもしれませんが」 「その時には、『既にお腹の中まで見られているあなたが、何言っているの』と言ってあげて」 「......あぁ、確かに最初に担ぎ込まれた時には、そんな状態でしたね」 それで恥ずかしさが解消されるかどうかは知らないけど、もっと酷い状態を目撃しているのは間違いない。 そもそも医療従事者相手に、恥ずかしいとか言っても仕方ないしね。 「お水を飲むとまた出るとは思いますが、少しずつでも良いので、ケイトさんもきちんと飲んでくださいね?」 「えぇ、ありがとう」 次に向かったのは裏庭。 扉から顔を出して見回すと......あ、庭の隅にいるね。 その格好を描写するのは止めておこう。アイリスさんの名誉のためにも。 「アイリスさん、調子はいかがですか?」 「て、店長殿!? 後生だ、見ないでくれ......」 そう言われても、放置もできない。 水分が足りなくなったら、本当に危ないから。 「今更ですよ。お水、持ってきましたから、ちょっとずつでも飲んでください」 「かたじけない。ははっ......私は店長殿に、情けないところを見せてばかりだな」 「いえ、そんな事は......」 無い、とは言い切れないのが、ちょっと悲しいところ。 それでもアイリスさんの事は結構好きなのだ、私。 とても単純に、良い人だからね。 「今、お薬を作っているので、もう少し我慢してください」 「ありがとう。この恩は必ず――うぐっ! て、店長殿! 済まないが――」 「あー、はいはい。私は戻りますね。少し落ち着いたら、入ってきてくださいね」 「わかっ――ぐぐぐっ!」 必死で我慢しているアイリスさんのためにも私は慌てて、裏口へと走ったのだった。 「あ、サラサさん、お帰りなさい。お二人は?」 「うん。元気は無いけど、無事だよ。幼虫の方は......、もう良いかな」 幼虫を水洗いすると、それを纏めて薬研に放り込み、ぶちゅぶちゅと潰していく。 なかなかに生々しい音に、ロレアちゃんが顔をしかめて目を逸らす。 「うぅっ。えっと、これって薬ですよね?」 「もちろんだよ?」 「そして、飲み薬、ですよね?」 「うん。内服薬だね。調子が悪いのが胃腸だからね」 「飲むんですか? これを?」 目を逸らしたままロレアちゃんが指さす薬研に入っているのは、深緑......いや、むしろ焦げ茶に近いような色合いの液体。 ドロリとしていて......ここに少し水を加えるから、多少はマシになるけど......。 「私は飲みたくないお薬だよね。ロレアちゃん、味見してみる?」 「しません! ちなみに、手抜きをしなかったら、もう少しマシなんですよね?」 「そうだね、幼虫をまるごと入れたりはしないから。でも、一センチに満たない幼虫を解体して、必要な部位を取り出すとか......大変そうでしょ?」 「えぇ、かなりうんざりする作業ですよね、それ」 しかも六〇匹。ちょっとやってられない。 「全部入れても効果は変わらないからねー。後は水を入れて、錬金窯に移して」 水を加えて少し緩くなった薬を薬研から小鍋サイズの錬金窯に注ぎ、魔力を注ぎながら軽くかき混ぜれば......。 「お薬、完・成! 効果と不味さは保証付きだよ!!」 「うん、いらないですね、後者の保証は」 にっこりと笑って小鍋を掲げる私に、ロレアちゃんはちょっと呆れたようにそう応えた。

"Well, Lorea. There's been a little disaster." "Yes, it was a sad event" Lorea has a sinking look on her face, but that “sad event," it's still going on in the backyard. Before the floating tent, it's a tragedy I could have prevented if I'd built a portable toilet, but I never thought this would happen, and you can't help it, can you? "I guess I have to make you some medicine because I think Mr. Andre and the others are suffering, too? If you leave him alone, he can die." "Huh!? Really? Sarasa, you said you wouldn't die earlier..." "I won't die of poison, because if I leave it alone, that condition will last for about two weeks. As long as you work hard and keep hydrating and nourishing, it's fine, but it's pretty hard, and if you're unlucky...... Just like a normal disease." "Ha, isn't it tough! Uh, is it the smelting drug Potion? Forgive Lorea for standing up in a hurry, and I think a little. "There are some potions that can be cured in one go, but whether you should use them or not is a troubling point." "Yep! Why!?" "Because it's expensive" "... oh, right. It's important, isn't it, money" "Yeah. Because I've been taking rotten fruit bee honey, and if I'm bad, I'm in a deficit." It hasn't been properly checked yet, but if it's a five-person smelting drug, Potion, including Mr. Andre and the others, it's a pretty tough place, even with the benefit of honey. I can't hesitate if you're in a dying situation if you don't use it, but it's a level where you don't have to be that far to figure it out, so what's the poison of rotten bee honey? "So this time, I'm going to make a special antidote. Because it's cheaper. First... Shall we go pick the ingredients? Lorea, can you help me, too? "Yes, if I can do it! You really are a good girl. With Lorea, who responded well, I put the collection tool in my hand from the back door to the woods - twisting my leg back toward me and going out the store side door. And then I plugged my ear into Mr. Iris' “anguish," and went through the side of the house to the woods behind me. "Will you dig back to the ground around here, where the rotten leaves are falling, and look for the worms? Uh... this bug. Kind of small, though." What I dug out of the ground and threw into the box was about a centimeter of little larvae. It's pretty easy to find, but I've got to get five people ready, so it's kind of a hassle. "I understand. How much do you need? "I would like at least of them for one person... I'd like to collect about 60 of them after looking a little extra." "... this is gonna be a pill, right? I nod, of course, to Lorea, who asks her as she puts the bug she finds quickly in the box. "This medicine, the cost of materials, is cheap, but it takes a lot of work.... clueless, shall we? "Is it clueless? By the way, what happens when you get out of hand? It's not working, is it? "No, no, as an alchemist, I won't be clueless enough to make it work. It just doesn't taste good. It'll be shorter, but it doesn't matter if you drink it soon." If you make it and drink it within a day, there's nothing wrong with it. I think it will taste terrible. Probably. I've never had a drink, so I don't know. "Then wouldn't it be good to be clueless? You didn't take Mr. Sarasa's advice, did you? Gentlemen." "Hmm, it's not like I didn't take your advice because I didn't explicitly say you shouldn't eat it... but if it's simple, is it a lack of knowledge? Including that, it's not the collector's fault." However, in this case, there are some parts of the collection that I have recommended, so I feel a little responsible. And there's that, and I haven't even been asked to, and this is how I come to collect medication material. After spending about half an hour collecting bugs, we get down to making medicines quickly. The bugs I've collected are transferred to a sieved box and left for a while until they get the shit out. In the meantime, I'm going to prepare other materials, and I'm going to brush them up in pharmaceutical research, but one way or another, this drug is more of a pharmacist's area than an alchemist. So even Lorea can do the majority of the work process. "So can you do me a favor? 'Cause I'm just gonna check on you." "Yes, I'll take care of it! I instruct Lorea, who shows motivation, to do the work process, and I turn to Mr. Iris and the others. First of all, Mr. Kate, who remains caged in the bathroom. "Mr. Kate, would you like to add or minus? "... manager, hey, honestly, it's pretty tight. All the contents of your body are going to flow out...... How long does this last? "Yes, it depends on how strong your stomach and intestines are and how much you ate, but is it about two weeks" "Heh...!! I can't. You're dead..." "I'm making your medicine right now, so good luck. In the meantime, keep hydrated." When I plugged a glass of water into Kate, who leaked a genuinely dying voice, a hand stretched out of the bathroom, trembling, received it. "Thank you, Mr. Store Manager. I'm so sorry, could Iris have a look, too? "Yeah, I'm going now. Mr. Iris may not want to be seen." "Then say to him, 'What are you talking about, you've already been seen in your stomach?'" "... oh, sure, you were in such a state when you were first brought in" I don't know if that will relieve your embarrassment, but I'm pretty sure you're witnessing worse. I can't help but say something embarrassing to my healthcare professional in the first place. "I know drinking your water will get you out again, but you can have a little bit of it, so please have a decent drink for Mr. Kate, too, right? "Yeah, thanks" The next thing you know, it was the backyard. I look around through the door... Oh, you're in the corner of the garden. Let's not depict that outfit. Even in the honor of Mr. Iris. "Mr. Iris, how are you doing? "So, Store Manager!? It's the afterlife, don't look..." That being said, I can't even leave you alone. Because if you run out of moisture, it's really dangerous. "Now it is. Water, I brought it, so drink it one at a time." "No wonder. Ha... I just showed my pity to the manager." "No, that's not..." No, I can't say enough, but it's a little sad. Still, I like Mr. Iris a lot, me. Very simply, you're a good man. "Now that I'm making your pills, please be a little more patient" "Thank you. I'll be sure to thank you. - Ugh! And, Lord Store Manager! I'm sorry." "Uh, yes, yes. I'll be back, won't I? Come in when you calm down a little." "Ok - Gu Gu! Even for Iris, who was desperate and patient, I panicked and ran to the back door. "Ah, Mr. Sarasa, welcome home. What about you two? "Yeah. I'm not well, but I'm safe. If you're a larvae......, I think it's better now" When the larvae are washed with water, they are gathered together and thrown into pharmaceutical research, crushing them to pieces. To a rather vivid sound, Lorea looks away. "Ugh. Uh, this is medicine, right? "Of course you do, don't you? "And take pills, right? "Yeah. You're on meds. It's the stomach and intestine that's not feeling well." "Do you drink? Take this?" What's going into the drug research that Lorea points to with her eyes out of the way is the deep green...... no, rather a liquid in a shade that's close to scorched tea. As a drool...... I'll add a little water here, which makes it somewhat better...... "I don't want to take drugs, do I? Lorea, you want a taste? "I won't! By the way, if you hadn't been clueless, you'd be a little better off, wouldn't you? "Right, because I wouldn't put a whole larva in it. But like dismantling larvae less than a centimeter away and taking out the areas you need...... that sounds tough, right? "Yeah, it's pretty tedious work, isn't it?" And sixty. I can't do it for a second. "Because putting it all in won't change the effect. After that, add water and transfer it to the alchemy kiln." If you add water and pour the slightly looser medicine from the drug study into a small pot-sized alchemy kiln and stir gently while pouring magic...... "Medicine, done and done! The effect and taste are guaranteed!!" "Yeah, you don't need it, the latter guarantee" Lorea responded that way, a little shuddered, to me laughing and putting up a small pot.

ノルドさんは村に戻っするなり、その翌日には村を後にした。 曰く、『早く帰って研究結果を纏めないと、生活費すら危うい』らしい。 でも、それもそのはず。 当初の計画を大幅に超過することになったノルドさんの調査活動ではあったが、アイリスさんとケイトさんには、その日数分に若干上乗せされた報酬が、しっかりと支払われた。 それに加え、私がアイリスさんたちに持たせた緊急パックなどの代金も、手持ちのお金をギリギリまで吐き出して支払ってくれた。 正直、残ったお金で家まで帰り着けるのか不安なぐらいだったんだけど、ノルドさんは『大丈夫。いざとなればボクには、この筋肉があるからね! ははは!』と笑っていた。 狩りでもして食いつなぐつもりなのだろーか? 実際、知識はあるから、採集者の真似事をしても十分にやっていけそうではあるけど。 でも、その気前の良さとタフさが、成功している理由なんだろうね。 これでケチっていたら、私たちからのノルドさんへの印象、最悪だったから。 それに対してアイリスさんたちは、家に辿り着くなり、数日間に亘って寝込むことになった。 村で悶々としながら待っていたロレアちゃんと、泣いて再会を喜んだ翌日に熱を出しちゃったものだから、ロレアちゃんがかなり狼狽えたんだけど、私の診断結果はただの過労。 何らかの病気や毒の症状は確認できなかったので、体力を回復させる 錬成薬 を使う方法もあるんだけど......そっち方面のはヤバい物もあるので、休息を取って回復を待つのが一番。 急いで回復させる必要があるわけじゃないしね。 そして、アイリスさんたちが帰還して一週間。 色々な後片付けも終わり、アイリスさんたちの体力もだいぶ回復した頃を見計らい、私は一つの提案をした。 「湯治に行きましょう!」 夕食の席、ばばんっとぶち上げた私に、アイリスさんとケイトさんが少し困惑したように、私を見上げた。 ちなみにロレアちゃんには事前に話を通しておいたので、ちょっとだけ呆れ顔ながら、何も言う様子はない。 「湯治......? それは、温泉に行く、ということか?」 「はい」 「温泉って......。この辺りに温泉なんてなかったと思うけど? 店長さん、あまり遠出は......」 「先日、できたんですよ。アイリスさんたちが閉じ込められている、ちょうどその時に」 素直に目を丸くしてくれるアイリスさん。 でもジト目のロレアちゃんからツッコミが入った。 「いえ、サラサさん、できたんじゃなくて、作ったですよね? サラサさんが」 「......どういうことかしら? 店長さん」 訝しげなケイトさんに、私は言葉を濁す。 「あー、うん。何というか......ここ最近で温泉、何か心当たりがありません?」 「ん? ......まさか、あの洞窟の中の?」 「それです。なんやかんやあって、あそこの温泉を外まで引き出したんですよね」 「なんやかんやって......そんな言葉で片付けられるほど、容易いことじゃない気がするのは私だけかしら?」 顎に指を当て小首を傾げるケイトさんに、ため息を吐いたロレアちゃんが首を振って私を見る。 「容易くはないですよ。滅茶苦茶、お金かかってますよ。ねぇ、サラサさん?」 「いやいや、あれは必要な実験だったから! ......確かにちょっと、お財布直撃だったけど」 鉱業は国造りにとって非常に重要な産業故に、錬金術師が作る 最後にアイリスさんたちを助け出すために使った掘削用の 、通常であればこの村で需要があるはずもないし、一般的なサイズのそれは非常に大きく重く、余所の町に売りに行くことすら困難。 そんなわけで、私が作って保管していたのは、手のひらサイズの小型版。 これでも一応作ったことにはなるし、井戸掘りなんかには使えるかと思ったから。 「まずはそれで、目的の場所まで安全に穴を掘れるか、確認したんです」 「それが、あそこの温泉か。だが、どうやって場所を?」 「クルミですよ。時々、何か描いていませんでした?」 「あれか! 岩で爪を研いでいた!」 「爪研ぎじゃないですけど、それです」 「そういえば、救出してくれたときにも、そんなことを言っていたわね」 「はい。まぁ、目的地はどこでも良かったんですが、場所的に都合が良かったんですよね、あそこ」 後は、人が通れるサイズに拡大して 屈まないと通れないようなサイズになったのは、コスト削減の結果だけど、それでもロレアちゃんが唖然とするぐらいの費用がかかっている。 鉱山開発なんて、成功したら莫大な利益が見込めるもの。 そこで使われるような 「ま、せっかく引っ張って来られた温泉。無駄にするのも勿体ないので、入れるようにしておいたのです。空き時間を使って」 「それって、あの拠点の所よね? そんなのがあったなんて、気付かなかったけど......」 「少しだけ離れた場所ですからね。温泉との位置関係の問題で」 「なるほど。それで見えなかったのか。温泉に行くのは、ロレアも含めた全員でか?」 「もちろん。ロレアちゃんを仲間はずれにはしませんよ。お店は臨時休業です」 「良いの? 私たちの救助作業で、店長さんは結構お店を空けてたんでしょ?」 「構いませんよ。冬になると、採集者も休業する人が多いですからね」 冬場は採集できる素材が減ることに加え、寒さで動きが鈍ると事故も起きやすくなるし、泊まりがけでの採集など、下手をすれば命に関わる。 そんなこともあって、冬場は一切活動しないという採集者は少なくないし、金銭的に余裕がない場合は、もっと暖かい地方へ活動場所を移したりする。 つまり、お店を開けていても、あんまりお客さんが見込めないのだ。 「サラサさん、私ももう反対はしませんけど、良いんですか? ずいぶんお金を使って、サラサさんの師匠にも、借金したんですよね?」 「うっ......」 そうなのだ。 今回、アイリスさんたちの救助作業を行うにあたり、私はかなりの無理をして、多くの錬成を行っている。 関係。 クルミを利用した救出方法を探るべく、錬金術大全に載っている の作り方が載っているのも五巻ということもあり、その数はかなり多く、消費された素材もまた多い。 それに加え、万が一の際の 実際には使わずに済んだけれど、アイリスさんたちが毒に冒されていたり、病気に罹患していた場合に備え、多くの種類の それらに必要な素材は、当然手持ちの物では賄えず、お金で 斯様にかなりの部分が師匠頼み。 情けないことにね。 「ま、まぁ、なんとか、なる、かな? なるよね? きっと。うん」 「あっ! そ、そうだった!」 頑張って自分に言い聞かせる私を見て、アイリスさんが慌てたように立ち上がり部屋を出て行くと、すぐに革袋を手に戻ってきた。 「店長殿、足りないとは思うが、これを受け取ってくれ」 「あ、そうだったわね。今回、ノルドさんから受け取った、私とアイリスの報酬。かかった経費にも満たないと思うけど......」 「足りない分は、しばらく待ってもらえると嬉しい。必ず返すから!」 日数が増えただけに、机の上に置かれたその革袋はなかなかに重そう。 ただ、それでも―― 「う~ん、お気持ちはありがたいですけど、今の私の借金の額からすると......」 「......そんなに大金を使ったのか?」 ゴクリと喉を鳴らすアイリスさんに、私はこくりと頷く。 「まぁ、少なくはないですね」 「でも店長さん。店長さんって、貸しているお金も多いわよね? 心配する必要はないんじゃ?」 「だよな? 当家は当然として、サウス・ストラグ周辺の錬金術師」 「ディラルさんの宿屋、あそこの建物もそうよね」 「ははは......、そのへんを全部回収しても、ほとんど、焼け石に水ですねぇ......」 乾いた笑みを浮かべた私に、ケイトさんたちがしばらく沈黙し、コテンと首を傾けた。 「............えっ、本当に?」 「............冗談じゃ、なく?」 「はい、本当に、です。いや、まぁ、実際には焼け石に水というほどには酷くないんですけど、それでもまったく足りないぐらいには」 アイリスさんが今差し出したお金だと、本当に焼け石に水。 例えば、ウチのお店に売りに来た人から買い取って素材を集めるのなら、今回、必要になったコストは半分以下になったとは思う。 でも、季節要因や相場などを考えずに買い集めればコストは一気に跳ね上がる。 ある物を買うのと、ない物を探して買うのでは、全然違うから。 私が持っている狂乱時のヘル・フレイム・グリズリーの素材なんかも、その一種。 これを私がどこかに売りに行ってもそこまで高くは売れないけど、必要だからと探して買おうとすれば、一気に値段が跳ね上がる。 狂乱が発生しなければ手に入らない、稀少な素材だけに。 そんな素材をいくつも使えばどうなるか......自明だよね。 「それは......」 想像される金額の大きさに、さすがにアイリスさんたちも『全部支払います』とは口に出せないようで、言葉を濁す。 でも、これは私が決めて行動したこと。 私の経験にもなっているし、アイリスさんたちに請求するつもりはない。 「良いんです! 借金については、今は忘れます。いえ、忘れさせて!」 忘れなければやってられない。貧乏性の私としては。 幸い、借金の相手は師匠。 悪徳商人じゃないので、強引な回収もされないし、身売りさせられる心配もない。 ......いざとなれば、師匠が でも大丈夫。 私が一人前の錬金術師になれば、ちゃんと返せる金額だから! そうなる予定だから! 「い、いや、さすがに確実に払うとまでは言えないが、可能な限り協力させてもらうぞ。なぁ、ケイト?」 「え、えぇ、そう、そうね。頑張るわ......」 金額を想像してしまったのか、震えつつもしっかりと頷くケイトさん、ちょっとカワイイ。そして、誠実。 だからこそ、私も助けたいと思うんだけどね。 「ありがとうございます。その時はお願いしますね。でも今は、リフレッシュしましょう。私たちには癒やしが必要です!」 私の精神的にも、アイリスさんたちの肉体的も。 「そんなわけで、温泉です。決定です。面倒なことは、しばらく忘れちゃいます!」 やや強引に話を打ち切り、私は面倒事を頭の中から追い出したのだった。 ◇ ◇ ◇ 「ふへぇ~。気持ちいいですねぇ、温泉。初めて入りました」 「でしょ~? 疲れと悩みが溶けていくようだよねぇ~」 行くと決めてから、僅か数日後。 私たちはのんびりと温泉に浸かって、まったりとしていた。 ここの温泉にはすでに結構な回数入っている私だけど、その時はアイリスさんたちのことが心に懸かっていて落ち着けなかったから、今回はかなりまったり。 「私もこんな温泉に入るのは初めてだな」 「しかも露天。考えてみれば、凄く贅沢よね」 「まぁ、普通は高級な保養地ぐらいですよねぇ、こういう経験ができるの」 地域によっては温泉を利用しているみたいだけど、それに入るために旅をできるのは金持ちだけだし、安全性を考えれば警備にお金のかかる露天風呂なんて、なかなか商売としては成り立たない。 ある意味、露天風呂なんて、自分で身を守れる採集者など、ごく一部の人たちの酔狂な楽しみである。 「温泉自体は洞窟の中で経験したが......あの時は同じ温泉の湯に、穏やかな気持ちで入れるとは思いもしなかった」 「クルミはあの時と変わらず、嬉しそうだけどね」 「がうがーう♪」 ふふっ、と笑うケイトさんの視線の先には、バシャバシャと泳いでいるクルミの姿。 クルミは属性的に火に寄っているので、温かい温泉が心地好いのか、とても機嫌がよさそうである。 「確かにこの温泉の位置なら、小屋からは見えないな」 「はい。あの洞窟内の温泉との距離的な問題とか、色々考えてここにしました」 上手いこと温泉が出てくるかは判らなかったけど、出てきたときに備え、周辺の状況も考慮して場所を選んだ。 目隠しになるような岩とか、野生動物が侵入しづらい地形とか。 もちろん、それだけでは不足なので、他の対処もきちんとしている。 「それにしても、結構しっかりとした作りね?」 掘り下げられた湯船は岩と漆喰で固められ、その周囲には石畳。 自然障壁のない部分には、目隠しと野生動物の侵入に備え、しっかりとした柵が作られている。 ヘル・フレイム・グリズリーを完全に防ぐのは無理だろうけど、あのレベルの魔物はそうそう出てこないし、多少でも時間が稼げれば、私たちなら対処可能。 まったく戦えない人が入りに来るには危険だけど、ある程度の戦闘力がある人なら、のんびりと湯につかれる環境が整えられていた。 「大まかなところは私がやりましたが、大半はアンドレさんたちのお手柄ですね。結構暇でしたから」 アンドレさんたちには、私が錬成に集中しているときや、クルミに同期している間の護衛をお願いしていたんだけど、この周辺の危険度はさほど高くないため、常の護衛は必要ない。 必然的に一人は暇な人ができ、そんな彼らが持て余した暇を使って整備したのがこの温泉。 冬になり寒くなった、この拠点での生活。 そんな辛い生活を、幾分でも向上させることに一役買ってくれたのだ。 「アンドレたちか。彼らにも改めて礼を言わなければな」 「ついでに、ゲベルクさん、ダルナさんたちにも、ですね。協力してもらいましたから」 「お父さんたちはあまり気にしなくて良いと思いますけど......。サラサさんがちゃんと報酬を支払っていますし。アンドレさんたちにも、ですよね?」 「まぁ、そうだけど。でも、お礼はちゃんと言わないとね」 「それは当然ね」 「う~む、そんなことを聞かされると、ますます店長殿に頭が上がらなくなってしまうではないか」 「そこはあまり、気にしなくて良いですけど......」 「でも、私たちのせいで借金を背負わせることになったわけだからね」 「そうだな。――しかし、店長殿も借金生活か」 「......なんですか、アイリスさん」 しみじみと言うアイリスさんに、私が聞き返せば、アイリスさんは私の顔を見て「うむ!」と頷く。 「私たちとお揃いだな!」 「やったわね、店長さん!」 「そ、そんなお揃い、嬉しくな~~い!!」 そんな恍けたことを言って、どこか嬉しそうにニコリと笑う二人に、思わず上げた私の抗議の声が、森の中へと響き渡ったのだった。

Epilogue Mr. Nord returned to the village for the night, and the day after that he left the village behind. Says, 'If you don't get home soon and compile the research results, even the cost of living is at stake'. But that should be it, too. Although Mr. Nord's investigative activities were to exceed the original plan considerably, Mr. Iris and Kate were well paid the remuneration slightly multiplied by the number of days. In addition to that, the cost of the emergency pack and other things I made Mr. Iris and the others have also spit out and paid for the money in hand to the point of criticism. Honestly, I was so anxious to get home with the money I had left, Mr. Nord said, 'It's okay. If you have to, I have this muscle! Ha ha!' He was laughing. Are you going to hunt and eat? In fact, I have the knowledge, so even if I do a collector's imitation, I'm likely to do enough. But I guess that generosity and toughness is why you're being successful. If I'd been a asshole with this, my impression of Mr. Nord from us, because it sucked. In contrast, Mr. Iris arrived at the house and slept in a few days. Lorea, who waited stuffily in the village, and I had a fever the day after I cried and rejoiced, so Lorea was pretty wolfish, but my diagnosis is just overworked. Some symptoms of illness or poison could not be confirmed, so I prescribed a smelter (potion) to restore health. Probably because mental factors make up a large percentage, there are ways to use smelting drugs (potions) that will restore you... some of those on that side suck, so it's best to take a break and wait for your recovery. It's not like we need to hurry up and make it heal. And a week after Mr. Iris and the others returned. After all the cleaning up, and anticipating the time when Mr. Iris and his men recovered a lot, I made one suggestion. "Let's go to Yuji! Dinner seats, to me bumped up all the time, looked up at me, as Mr. Iris and Mr. Kate were a little confused. By the way, I talked to Lorea beforehand, so with just a little shuddering face, there's nothing to say. "Tong Ji...? Does that mean we're going to the hot springs? "Yes." "A hot spring... I don't think there were any hot springs around here? Mr. Store Manager, not too far away..." "I was able to the other day. Mr. Iris and the others are trapped, just then." "Oh my God!" Mr. Iris, who honestly rounds his eyes. But I got a scratch from Lorea with the jit eye. "No, Mr. Sarasa, I didn't do it, I made it, didn't I? Mr. Sarasa." "... I wonder what that means? Store manager." To the surprise of Mr. Kate, I cloud my words. "Uh, yeah. I don't know... Hot springs here these days, don't you have any idea? "Hmm?... No way, in that cave? "That's it. You pulled the hot springs out of there." "Do something... am I the only one who doesn't feel comfortable enough to be cleaned up with those words? Sighed Lorea shakes her head and looks at me at Kate tilting her little neck with her finger against her chin. "It's not easy. It's expensive to destroy tea. Hey, Mr. Sarasa? "No, no, because that was a necessary experiment!... Sure, it was a direct hit on your wallet." Mining is a very important industry for nation-building, so there are many things that can be used in mining as well as smelters (artifacts) made by alchemists. Finally, the smelter (artifact) used to help Iris and the others is one of them. But such smelters (artifacts), normally there can't be demand in this village, and in general sizes it's very big and heavy and difficult to even go and sell to a spare town. That's why what I made and kept was a small, palm-sized version. Because I thought I could use it to dig wells once and for all. "First of all, I checked to see if I could dig a hole safely to where I wanted to go." "Is that the hot spring over there? But how do we get the place? "It's walnuts. Sometimes, didn't you draw something? "That one! He was grinding his nails with rocks! "It's not nail polishing, but that's it" "Speaking of which, you said that when you rescued me." "Yes. Well, the destination was good anywhere, but it was convenient in places, right there" Later, only expand to the size that people can go through to create smelters (artifacts). The size that I couldn't get through without giving in is the result of the cost savings, but it's still costly enough for Lorea to be flashy. Mine development is something that can be expected to have enormous profits if it is successful. Because it's the kind of smelter (artifact) used there. "Ma, the hot spring that I was pulled from. I don't feel like wasting it, so I tried to get it in. Use your free time." "That's where the base is, right? I didn't realize that had happened..." "It's just a short distance away, isn't it? In the matter of location with hot springs." "I see. So you didn't see it? Is it everyone, including Lorea, who goes to the hot springs? "Of course. I'm not going to let Lorea get away with this. The store is temporarily closed." "Is it good? Our rescue mission left the store pretty open, didn't it? "I don't mind. In winter, a lot of collectors are closed." In addition to less material that can be collected in the winter, slower movement in the cold makes accidents more likely, and poorly collected while staying is life-threatening. That being the case, few gatherers say they won't be active in any way in the winter, and if they can't afford it financially, they move their places of activity to warmer regions. I mean, even if we open a store, we don't really expect customers. "Mr. Sarasa, I don't disagree with you anymore, is that good? You spent a lot of money, and you owed Mr. Sarasa's master, didn't you? "Ugh..." Yes, it is. This time, in carrying out the rescue work of Mr. Iris and others, I have done quite a bit of imposition and a lot of smelting. First, the alchemy (homunculus) relationship. To find out how to rescue walnuts, we tried to make some of the smelters (artifacts) associated with alchemy organisms (homunculus) listed in all five volumes of alchemy from one end. Sometimes there are five volumes on how to make alchemy organisms (homunculus), and the number is quite high, as are the materials consumed. In addition, the smelter (potion) in case. In case Iris and the others were poisoned or suffering from a disease, although they did not actually have to use it, many types of smelting drugs (potions) were made. Naturally, the materials needed for them cannot be covered by what is in your possession, but can be purchased with money, borrowed from your master, or bought and collected by your master. A good part of the master asks for it. Pathetically. "As, well, I'll manage, will I? It will, won't it? I'm sure. Yeah." "Ah! Well, I did! I try my best to tell myself. I look at me, and as Mr. Iris stood up and left the room like he panicked, he immediately came back with a leather bag in his hand. "Lord Store Manager, I don't think it's enough, but take this." "Oh, you did. This time, the reward I received from Mr. Nord, me and Iris. I don't think it's worth the expense..." "For what's missing, I'm glad you could wait a while. Because I will definitely give it back! With just more days, that leather bag placed on my desk looks pretty heavy. But still... "Uh-huh, I appreciate the sentiment, but from the amount of my debt right now..." "... you spent that much money? I snort at Mr. Iris, who gobbles and throats. "Well, that's not much" "But the manager. The manager has a lot of money on loan, right? You don't have to worry, do you? "Right? We are naturally alchemists around South Strag" "So is Mr. Dilal's lodging, the building over there." "Ha ha... even if I recover all that heap, it's mostly water on the baking stone..." To me with a dry grin, Kate and the others silenced for a while, tilting their necks with cotton. ".................. What, really? "............... no kidding? "Yes, really, it is. No, well, actually, it's not as bad as water on a baking stone, but still, it's not enough at all." When it's the money that Mr. Iris just offered, water on the baking stone really. For example, if I bought it from someone who came to our store to sell it and collect the materials, I don't think the cost I needed was less than half this time. But if you collect buys without thinking about seasonal factors, markets, etc., the costs jump all at once. Because buying something is completely different from looking for and buying something that doesn't. Some kind of Hell Flame Grizzly material I have during frenzy, too. You can't sell this that high if I go somewhere, but if you try to buy it looking for it because you need it, the price jumps all at once. You won't get it unless there's frenzy, just rare materials. What happens if you use a bunch of those materials... it's self-evident, right? "It's..." To the magnitude of the amount imagined, just as Mr. Iris and the others can't seem to say 'I'll pay it all' either, clouding the words. But this is what I decided to do and act on. It's been my experience, and I'm not going to charge Mr. Iris and the others. "It's fine! As for debt, I'll forget about it now. No, let me forget! I can't do it if I don't forget. As far as poverty is concerned. Fortunately, the person in debt is the master. I'm not a bad merchant, so I won't be forced to collect it, and I don't have to worry about being forced to sell myself. ... If I have to, I'm worried that my master will (...) collect me. But it's okay. Because if I become a single alchemist, it's a decent amount to pay back! Because that's what's going to happen! "Yes, no, I can't even say I'm just gonna pay for it for sure, but I'll let you work with me whenever I can. Hey, Kate? "Uh, uh, yeah, yeah. I'll do my best..." You've imagined the amount, Kate, who snorts firmly while trembling, is a little cute. And honesty. That's why I want to help, too. "Thank you. Please do it then. But now, let's refresh. We need healing! My spirit, the physical of Mr. Iris and the others. "That's why it's a hot spring. It's a decision. Trouble is, I'll forget about it for a while! Somewhat forcefully, I threw the trouble out of my head. ◇ ◇ ◇ "Heh. It feels good, Hot Springs. It's my first time in." "Aren't you? Your tiredness and troubles seem to melt." Just a few days after I decided to go. We were relaxed and immersed in a hot spring, neat. I've already been in the hot springs here quite a few times, but I couldn't calm down about Mr. Iris and the others at that time, so this time it's pretty neat. "I've never been in a hot spring like this before." "And open-air. If you think about it, it's very luxurious." "Well, it's usually about a fancy maintenance site, you know, I can go through this kind of experience" Sounds like they use hot springs in some areas, but only the rich can travel to get into it, and given safety, it's hard to make an open-air bath that costs money for security. In a way, an open-air bath is the insane pleasure of a very few, such as a gatherer who can protect himself. "The hot springs themselves experienced in the cave... but I never thought I'd let them in the same hot spring water then, in a calm mood" "The walnuts aren't the same as they were then, they look happy though" Heh heh, and at the end of Kate's gaze, she looks like a walnut swimming with Bashabasha. The walnuts are attributed to the fire, so they seem in a very good mood to like the warm hot springs. "If it's the location of this hot spring, you can't see it from the cabin." "Yes, I've thought a lot about the problem of distance from the hot springs in that cave, and so on, and here I am." Good thing. I didn't know if the hot springs would come out, but in case they did, I chose a location considering the surrounding conditions as well. Rocks that are blindfolded or terrain that is difficult for wildlife to penetrate? Of course, that's not enough, so other things are being dealt with properly. "Still, that's a pretty solid build, huh? Digged hot tubs are solidified by rocks and lacquer, surrounded by cobblestones. The area without natural barriers is equipped with a solid fence, ready for blindfolding and wildlife entry. You won't be able to prevent Hell Flame Grizzlies altogether, but that's not how demons come out on that level, and if we can buy some time, we can handle it. It's dangerous for someone who can't fight at all to come in, but if he's got some fighting power, he had an environment where he could relax and grab it in the water. "I did the rough part, but for the most part, that's how Andre and the others behave. I've had a lot of free time." I was asking Andre and the others to escort me when I was concentrating on smelting or while I was synchronizing with the walnuts, but the danger around here is not so high that I don't need three escorts at all times. Inevitably, one or two people could have free time, and it was this hot spring that they used their spare time to maintain. It's winter and it's getting cold, life at this base. He played a part in improving such a hard life in some ways. "Andre and the others. I have to thank them again." "Finally, to Mr. Geberg and Mr. D'Arna, too, right? We need your help." "I don't think your fathers have to worry too much about it...... Mr. Sarasa is paying you well. To Mr. Andre and the others, right? "Well, yeah. But thank you very much." "Naturally." "Uh-huh, if you ask me that, I'll keep losing my mind to the manager" "Not really there, I don't mind..." "But it's because of us that we owe you money." "Right. - But the manager is also in debt." "... what is it, Mr. Iris" To Mr. Iris, who says he's smudged, if I ask him back, Mr. Iris looks at my face and says, "Uhm!" and snort. "You're aligned with us! "You did it, Mr. Store Manager! "Oh, I'm so happy to have you!!" My protest echoed into the woods when I said such a trance and laughed delightfully at the two of them.

アンドレさんたちに代金を渡した後、私は早速、冷蔵庫作り......とはいかなかった。 だって、冷蔵庫の外枠が無いからね。 ゲベルクさんに注文はしたんだけど、どういう物が必要なのか詳細を説明すると、すぐに『そいつは少し時間がかかる』と言われてしまったのだ。 燃えちゃった貸家の修復してるからかな? と思ったら、単純に、私の希望する戸棚を作るのに『必要な質の材料が、すぐには用意できない』からと。 品質の高い木材はこの村ではあまり需要が無いため、在庫数が少ないんだって。 多少質が悪くても、錬金術でなんとかしますよ、とは伝えたのだが、『そんなの、職人として許せるか!』と怒られてしまった。 失敗、失敗。 うん、だよね、職人だもんね。 「――という事で、私は出かけてくるよ、ロレアちゃん!」 「どういう事かは知りませんが、どこへですか?」 「サウス・ストラグまで、ちょっとひとっ走り」 私がチョイとサウス・ストラグの方向を指さすと、アイリスさんとケイトさんが、顔を見合わせて、心配そうな表情を私に向けた。 「店長で、か?」 「いくら店長さんでも、女の子一人じゃ危ないでしょ。夜、寝ることもできないんだから」 前回、私がサウス・ストラグへ行った事を知らなから、そんな言葉を掛けられる。 でも、そんな心配は無用。 「大丈夫。野宿するようなことにはならないから」 「......そういえば、この前も二日で帰ってこられましたよね」 「うん、一泊二日でね。レオノーラさんに泊めてもらったから、安心安全だったね」 宿代も節約できたし、安全な宿を探す手間も省けた。 ありがたいことに。 「馬を走らせても一日は少し厳しい距離なのだが......さすがは店長殿、という事か」 「いやいや、私なんてまだまだ未熟! でも今回は目指すよ、日帰りを!」 「え、日帰りって......店長さんでも、さすがに無理なんじゃ......?」 「ううん、今回はいけそうな気がする! 死にそうな筋肉痛を経験した私は一つ成長した! ――なら、良いな?」 いや、弱気はダメだよね。 前回の事を考えれば、早朝に出発して、余計な寄り道をしなければ何とかなる! のんびりとティータイムを過ごしたり、悪徳錬金術師の所に寄ったりしなければ、きっと。 「うーむ、そういう事なら、私たちの護衛は逆に邪魔になるな」 「店長さんがいるのに、私たちにできる事なんて、野営時の見張りぐらいだもんね」 「お気持ちだけ、ありがたく。......何か必要な物があれば買ってきますけど?」 「いや、大丈夫だ。寝る場所と食事があるんだ、今の私たちに必要なのは、採集活動に必要な物のみ!」 「無駄なお金を使う余裕なんて無いからね」 「そこまでストイックになる必要も無いですが......判りました。明日出ますから、何かあればその時までに言ってくださいね?」 ◇ ◇ ◇ 翌日の早朝、村を出発した私は、前回よりもハイペースでサウス・ストラグへと走り始めた。 村に来て身体強化を使う時間が長くなったからか、それとも私が昨日、口にしたとおり、酷い筋肉痛を経験したからか、前回に比べると魔力の通りが良い気がする。 それに加えて、身体強化の持続時間も明らかにアップ。 前回休みを入れた場所を軽く通り過ぎ、結局そのまま、サウス・ストラグまで走りきってしまった。 「私も、ちゃんと成長してるって事だよね。フフフ......」 これに身体の成長も付いてくれば言う事は無い。 残念ながら、しばらくの間、成長が見られないけどねっ! せめてもうちょっとだけ、背が欲しい。 子供に見られるのは、そろそろ諦めの境地だけど、作業がしにくいから。 「大丈夫。まだ希望はある。......って、それよりも急がないと」 最初の目的地は、この町の木材問屋。 村に無いなら、注文すれば良いじゃない、ということで、ゲベルクさんの代わりに木材の発注を請け負ったのだ。 私みたいな小娘が来たからか、最初は訝しげな表情だった問屋の主人は、ゲベルクさんの署名がある発注書と私の 普通に対応してくれればそれで良いんだけど......ま、いっか。 発注書に書かれた物を村まで納品してくれるように頼み、問屋を後にする。 師匠のくれた凄いリュックでも、残念ながら木材は運べないので、これは普通に運搬してもらうしか無い。 太い丸太や厚く大きな板なんて、物理的にリュックの口から入らないからね。 そして、お次は当然、レオノーラさんの所。 相も変わらず綺麗に掃除されているお店の扉を開くと、店頭にはレオノーラさんが座っていた。 「いらっしゃい......って、サラサじゃない。やっぱり無事だったのね」 店に入った私を見て、少し目を見開いたレオノーラさんの口から出たのはそんな言葉だった。 「ご無沙汰してます。――無事っていうのは?」 「あなたの村から逃げてきた採集者が騒いでいたのよ。あの村はもうダメだ、とか言って」 「......あぁ、ヘル・フレイム・グリズリーですか?」 それなりの人数、逃げてったみたいだし、そういう噂が広がるのも当然か。 「そう。まぁ、話半分でも村の危機である事は間違いなさそうだったけど、サラサがいることは知っていたからね。あまり心配はしてなかったわ」 その後、無事に撃退したって話は......あれ? もしかすると、流れてない? 私が復活して数日。 ダルナさんあたりが仕入れに来れば別だけど、元々採集者以外、人の行き来は少ない村だから。 「信頼して頂けるのはありがたいですが、私は師匠ほど非常識じゃないですからね?」 師匠が有名だからの信頼感なんだろうけど、私は師匠とは違う。 あまり期待されても応えられないのだから。 「ちなみに、今日売りに来たのは?」 「......ヘル・フレイム・グリズリーの素材ですけど」 「でしょうね。何匹出たの?」 「です」 「で、それをサラサが斃したと?」 呆れたように言うレオノーラさんに、私は慌てて首を振った。 「まさか。私が斃したのは八匹だけです。あとは残ってくれた採集者や村人たちの頑張りですよ」 「単独でそれだけ斃したのなら、十分だと思うけどねぇ。まあ、いいか。それじゃ、見せてくれる?」 「はい。まずは毛皮と火炎袋、眼球――」 リュックから取りだしたヘル・フレイム・グリズリーの素材を順に並べていくと、見る見るうちにカウンターの上がいっぱいになる。 レオノーラさんはそれを検分しては、別のテーブルに移動させ、買い取り金額を計算していく。「ほうほう......さすが、処理は見事ね。毛皮に傷が多いのは、仕方ないか。狂乱状態の素材は貴重だし、是非にも全部買い取りたいところだけど......全部買うと、スッカラカンになっちゃうね、私が」 「素材でも良いですよ? 欲しいものは色々ありますから。あともう一つ、目玉商品ってほどじゃないですが、こんな物もあります」 そう言いながら、私がカウンターの上に広げたのは、氷牙コウモリの牙。 冷蔵庫と冷凍庫に必要な量を除き、後は全部持ってきたのだ。 すぐに使う予定は無かったし、アンドレさんたちは確実に採取に向かうはず。 今、すべて手放してしまっても、問題は無い。 「へぇ、氷牙コウモリか。最近は相場も上がってたから、助かるよ。しかも、なかなか良い年齢のだね? 最近あの村から流れてこなくて、困ってたんだよ。処理が不要で運びやすいはずなのに」 手袋を履き直したレオノーラさんが、それを値段順にカウンターの上に並べていく。 パッと見ただけで価値を判断するその速度は、さすがはベテラン。 ちなみに対抗するわけじゃ無いけど、私の場合は見なくても判る。 魔力量で判断できるので。 「村の採集者が言うには、以前、買い叩かれたことが原因だとか? それで割に合わないってなったみたいですよ」 「......もしかして、またアイツなの?」 やや険しい視線になったレオノーラさんに、私は曖昧に首を振る。 「それは判りませんが......氷牙コウモリの場合、安い物は安いですから」 「若い物だと、そうなっちゃうよね。ふーむ......考えても無駄か」 少し考え込んだレオノーラさんだったが、すぐにため息をついて首を振った。 「それで、これも全部買い取りで良いの?」 「はい。これから暑くなるこの時季、堅い商品でしょう?」 「ま、売れ残ることは無いだろうね。――それで、何が必要なの? それの量次第じゃ、全部は買い取れないんだけど」 「そうですね、まずは柔軟グローブに必要な素材を――」 注文が入りそうな柔軟グローブの素材は当然としての レオノーラさんのお店の在庫状況や資金状態も相談しつつ、素材を追加していくと、私のリュックもパンパンに......ならないんだよね、このリュックだと。 ま、とにかくたくさん仕入れる。 レオノーラさんがちょっと呆れるぐらい。 ちょっと買いに来るには遠いからね、この町。 この機会にしっかりと買い込んでおかないと。

After I gave Andre and the others the price, I quickly, didn't make a fridge...... 'Cause there's no outer frame of the fridge. I placed an order with Mr. Geberg, and as soon as I explained to him the details of what I needed, he said, 'It's going to take a while.' Is it because you're restoring a burnt rental? If I thought so, simply because 'I can't have the quality ingredients I need right away' to make the cabinets I want. There is not much demand for quality wood in this village, so the stock is low. Even if the quality is slightly poor, I will do something with alchemy, I told him, 'Can you forgive me as an artisan!' And he got angry. Failure, failure. Yeah, right, you're an artisan. "- So I'm going out, Lorea! "I don't know what you mean, but where are you going? "Run a little alone until South Strag" As I pointed in the direction of Choi and South Strag, Mr. Iris and Kate turned to me, looking at each other and looking worried. "The manager alone, huh? "No matter how many store managers, it's not safe for one girl. I can't even sleep at night." I can hang those words from two people who don't know I went to South Strag last time. But don't worry about that. "It's okay, 'cause it's not gonna be like wild boarding" "... Speaking of which, you were back in two days before this, right?" "Yeah, in a night or two. Mr. Leonora made me stay, so you were safe." I saved money on the lodging and the hassle of finding a safe place to stay. Thankfully. "Running a horse is a bit of a tough distance for a day... that's the manager, right?" "No, no, I'm still immature! But this time I'm going for it, have a day trip! "What, a day trip... but the store manager just can't...? "Yeah, I feel like I should this time! I've been through a dying muscle ache and I've grown one! - Okay, then? No, you can't be weak. Think about the last time, we'll figure it out if we leave early in the morning and don't make an extra stop! If you don't relax and have tea time or stop by a bad alchemist's place, I'm sure. "Hmm, if that's the case, our escort will stay out of the way the other way" "Even though the manager is here, what we can do is keep an eye on him while he's camping." "Just how you feel, thank you.... if you need anything, I'll buy it? "No, I'm fine. We have a place to sleep and a meal, all we need now is what we need for our collection activities! "I can't afford to waste my money." "I don't even need to be that stoic...... ok. I'll be out tomorrow, so if you need anything, tell me by then, okay? ◇ ◇ ◇ Earlier the next morning, when I left the village, I started running to South Strag at a higher pace than last time. Because I've been in the village longer to use physical enhancement, or because I, as I said yesterday, experienced terrible muscle pain, I feel like the magic street is better than last time. In addition to that, the duration of physical enhancement is also clearly up. I gently passed where I put the last time off, and ended up running as I was, all the way to South Strag. "I mean, I'm growing up, too, right? Huuuuuuuuuu..." There is nothing to say about this if it is accompanied by physical growth. Unfortunately, for a while, I can't see any growth, but hey! At least a little more, I want my back. Kids see me because it's time to give up, but it's hard to work. "It's okay. There's still hope. ... and we need to hurry more than that" The first destination is the wood enquirer in this town. If it's not in the village, you can order it, so I took over the timber order instead of Mr. Geberg. Because a little girl like me came along, or at first a surprised look, the inquisitor's husband began to peck as soon as he lined up his purchase order with Mr. Geberg's signature and my alchemy permit, Alchemies License. That would be fine if you handled it normally...... let's go. Ask them to deliver the items written on the purchase order to the village, after the inquirer. Even the awesome backpack my master gave me, unfortunately I can't carry wood, so I just have to have this carried normally. Because thick round-tails and thick, large plates don't physically enter through the mouth of the backpack. And next time, of course, Mr. Leonora's place. Mr. Leonora sat in the store when he opened the door to the store, which was cleaned beautifully as usual. "Welcome......" That's not Sarasa. I knew you were safe. " It was those words that came out of Mr. Leonora's mouth when he saw me entering the store and opened his eyes slightly. "I'm out of time. - What do you mean, safe? "The gatherer who ran away from your village was making a scene. Say no more of that village, or something." "... Oh, is it Hell Flame Grizzly? A lot of people, they seem to have escaped, and it's natural for rumors like that to spread. "Yes, well, even half the conversation seemed definitely a crisis in the village, because you knew Sarasa was there. I wasn't too worried." And then the story of you repelling him safely... is that it? Maybe it's not flowing? A few days after I was resurrected. Except if around Mr. D'Arna comes to purchase, because people come and go in less villages than they originally gathered. "I appreciate you trusting me, but I'm not as insane as my master, am I? I know it's trust because my master is famous, but I'm not like my master. Because I can't live up to much expectation. "By the way, who are you here to sell today? "... it's a Hell Flame Grizzly material though" "I guess. How many did you get out? "Two or eight." "So, you think Sarasa killed it? I shook my head in a panic to Mr. Leonora, who told me like I was frightened. "No way. Only eight I killed. The rest is the hard work of the gatherers and villagers who stayed behind." "If that's all you did alone, I think it's enough, hey. Well, okay. So, can you show me? "Yes. First the fur and flame bags, the eyeballs -" Arrange the Hell Flame Grizzly material taken from the backpack in order and it will fill up on the counter as you see it. Mr. Leonora will move it to another table and calculate the purchase amount. "Well... that's a brilliant process. There are many scratches on the fur, can't you help it? The frenzied material is valuable, and I would definitely buy it all... but when I buy it all, it turns out I'm a sucker." "It could be material, right? Because there are a lot of things I want. Another thing, not so much an eyeball product, but some of these things." With that said, what I spread over the counter was ice tooth bat fangs. Except for the fridge and the freezer, I brought them all later. I didn't plan on using it right away, and Mr. Andre and the others should definitely head out to collect it. Even if I let it all go now, there's no problem. "Heh, ice tooth bat? The market's been up lately, so that'll help. Besides, you're a pretty good age, aren't you? I haven't been coming from that village lately, and I've been in trouble. It should be unnecessary to process and easy to transport." Mr. Leonora, who put the gloves back on, arranges them on the counter in price order. That speed of judging value just by looking at it, that's veterans. I'm not up against it, by the way, but in my case, I don't have to look. Because I can judge by the amount of magic. "Village collectors say it's caused by being bought and beaten before? I don't think that's the right thing to do." "... Could it be him again? I shake my head vaguely to Mr. Leonora, who has become a slightly more rugged gaze. "I don't know about that... because for ice tooth bats, cheap stuff is cheap" "When you're a young thing, that's what happens. Hmmm... no use thinking about it" It was Mr. Leonora with a little thought in mind, but he immediately sighed and shook his head. "So, is this all good to buy too? "Yes. It's going to be hot this time of year, isn't it a tough product? "I guess there's nothing left to sell. - So, what do you need? Depending on the amount of it, I can't buy it all." "Well, let's start with the materials you need for flexible gloves -" Naturally, flexible glove materials that are likely to be ordered will be required for the four-roll smelter Artifact, plus a significant amount of material for the smelter Potion, which is likely to be needed in five volumes. Leonora's store availability and funding status are also discussed, while adding materials, my backpack won't be pampered either... This backpack, he said. Anyway, I buy a lot. So much so that Mr. Leonora is a little shuddered. It's a long way from coming to buy some, this town. I need to make sure I buy into this opportunity.

幅は両手を広げたほど、高さはアイリスが手を伸ばせばなんとか届きそうなぐらい。 敢えて違いを挙げるとするなら、ちょうど通路が屈曲し、右側に大きく曲がっている箇所といえるだろうか。 「ク、クルミ君。こ、ここに何があるんだい?」 まだ息の整わないノルドラッドの問いに、クルミはポンポンと側壁を叩く。 そこの視線が集中するが、じっと見つめても、やはりごく普通の洞窟の壁である。 「......何か貴重な物でも埋まっているとか?」 「貴重な物って?」 「例えば......金鉱脈とか」 「それは確かに貴重だけど、さすがにそれはないでしょ。この状況で」 「うん、ないね。この辺りの壁の状況は、金鉱脈があるような感じじゃないよ」 ケイトの言葉に同意したノルドラッドだが、その意味は少しズレていた。 「がうがーう」 首を捻る三人に対し、クルミは両腕をゆっくりと上下に動かし、落ち着けとでも言いたげなジェスチャーをする。 「むぅ、何かあるんだろうが、よく解らないのは落ち着かないな」 「そうね......って、何か聞こえるような......?」 耳をピクピクとさせるケイトに、アイリスが眉を撥ね上げ、慌てたように周囲を見回す。 「何かって――まさか、サラマンダーが近くにいるのか!?」 「なら、また崩落が!?」 急いでノルドラッドが腰を上げた次の瞬間―― ガンッ、ガラガラ! やや控えめな音を立てて、先ほどクルミが叩いていた岩壁が崩れ落ち、穴が出現した。 その大きさは直ートルに満たないほど。 唖然としている三人の顔に、そこから冷たい風が土煙と共に吹き付けてきた。 これまでとははっきりと違うその空気に、三人はハッと息を呑む。 「――っ!! まさか、外に!?」 「正解です、アイリスさん」 懐かしさすら感じさせる声と共に土煙が晴れ、現れた顔を見た瞬間、アイリスの瞳から図らずも涙が溢れた。 ◇ ◇ ◇ 「お久しぶりです、アイリスさん、ケイトさん。救出に来ましたよ。ついでに、ノルドさんも」 「「店長殿(さん)!」」 腰をかがめた私が狭い穴から出るなり、アイリスとケイトさんに抱きつかれた。 その衝撃をなんとか受け止め、その後ろで苦笑しながらも、どこかホッとした様子を見せるノルドさんにも視線を向ける。 「ハハ、ボクはついでかい?」 「はい、ついでです。ノルドさんだけなら、助けに来ませんでしたから」 ちょっときつい言い方かな、とは思うけど、仕方ないよね? 今回の原因、どう考えてもノルドさんなんだから。 いくらノルドさんが研究者で、アイリスさんたちがその護衛とはいえ、限度があると思う。 実験するなら安全を確保してから。 私なんかは師匠に口を酸っぱくしてそう言われているけど、それを守れない、非常に迷惑な人がいることはよく知っている。 そして、概してそういう人こそ成果を出したりするものだから、手に負えない。 人と違うことをするからこそ、特別な結果が出るのかもしれないけど、できればそういう人には私とは関わりのないところで幸せになってほしいものである。 「て、店長殿、実は私、そろそろ、ダメかと......」 「結構時間がかかりましたからね。でも、もう大丈夫ですよ。ちょっと狭いですが、この穴はちゃんと外に繋がっていますから」 私から離れ、声を震わせるアイリスさんの目元をハンカチで拭えば、アイリスさんは涙をこぼしながらも笑顔を浮かべる。 ケイトさんは......ちょっと潤んではいるけど、大丈夫そう。 「店長さん、本当にありがとう。大変だったんじゃない? 色々と」 「まぁ、それなりに。でも、私としても、ケイトさんたちは見捨てられませんから。さぁ、早く外に出ましょう――っと、その前に」 私は傍に座り込んでいたクルミを抱き上げ、魔力を補充する。 ......うん、やっぱり、ギリギリだったね。 良かった。失うことにならなくて。 「サラサ君、先ほどまでのクルミの動きは、やはり君が?」 「まぁ、そうですね。でも、話の続きは外に出てからにしましょうか。待っている人もいますから」 「待っている人? 店長殿だけではないのか?」 「さすがに私も、この森で一人、長期間の野営は厳しいですよ。さぁ、行きましょう」 「森......どの辺りに出るのかしら?」 再び腰をかがめ、アイリスさんたちを先導して洞窟の外へと向かう。 ちょっと辛いけど、大きくなればなるだけ必要コストと難易度が上がるので、これは仕方ない。 このサイズの穴を掘る その上、今回の救出作業だとまったく利益は出ないわけで......とても痛い。 でも仕方ないよね。見捨てることができなかったんだから。 「外に出ますよ」 「おぉ、ついに......太陽の光だ......」 アイリスさんは穴から出ると、ぐっと腰を伸ばし、両手を広げて目を細め、太陽の光と新鮮な空気を味わう。 ケイトさんもまた、急に周囲が明るくなったことで、眩しさを耐えるかのように目元を押さえた。 「久しぶりの......あぁ、空気が冷たいわ。もう冬なのね......」 「ですねー。先日は少し雪も降りましたし、これ以上長引くようなら、私たちも厳しくなるところでした」 「私たち――そういえば、他にも人が......」 「はい、あちらですね」 「おう、アイリスの嬢ちゃん、無事だったか」 「取りあえずは元気そうだな」 「怪我がなくて良かった」 明るさに目が慣れてきたのか、瞬きしながら周囲を見回すアイリスさんに、私が指さした先にいたのは、アンドレさんたち三人。 いつもお世話になっている、お馴染みの採集者である。 「アンドレ! ギル! グレイ! お前たちも助けに来てくれたのか!」 「ありがとうございます! まさか、店長さん以外にも来てくれる方が......」 「つっても、サラサちゃんに頼まれて、だがな」 「簡単な力仕事だけだ。大したことはできていない」 「いえいえ、皆さんがいなければ、準備を整えることはできませんでしたから、重要な手助けでしたよ」 感激したケイトさんたちにお礼を言われ、照れたように謙遜するアンドレさんたちだが、実際、三人の手助けは非常に重要だった。 今回のことに対処するにあたって、距離の制約はそれなりに大きかった。 クルミと同調するにしてもできるだけ近い方が効率が良いし、何らかの対処をするにしても素早く行える。 を使えることが一番の強みなのに、工房のある自宅を離れてしまえば、できることに大きな制限がかかる。 それに対処するために考えた方法は――。 「これは......なかなか立派な拠点だな?」 「えぇ、ここで錬成が行えるように、整えましたから」 魔力炉と錬金釜を持ち込んで、近場に拠点を作ることだった。 ゲベルクさんに加工してもらった部材をここまで運び、小屋を建て、その中に魔力炉と錬金釜を設置する。 時間さえ掛ければ私一人でも可能な作業だけど、その時間が貴重なわけで。 アンドレさんたちには、荷物の運搬や村との連絡役、周囲への警戒など、とても多くの手助けをしてもらった。 一応日当は支払っているけど、提示されたその額は決して高くなく、仕事の内容にはとても見合わない。 きっとアイリスさんたちの救出作業だからこそ、協力してくれたんだと思う。 「へぇ、つまりサラサ君は、ここから洞窟内の状況を把握して、救出策を練っていたと。とても興味深いね」 私たちが感動の再会――っぽいものをしている間、遠慮して一人身体をほぐしていたノルドさんが、一段落ついたと思ったのか、ひょっこりと後ろから顔を出し、小屋の中を覗き込んだ。 しかし、そんな暢気な物言いに、強面採集者の三人の表情が厳しくなる。 「おう、コイツが今回の原因の研究者サマかい?」 「アイリスちゃんとケイトちゃんを危険な目に遭わせてくれたそうじゃねーか?」 「護衛は契約だろうが、護衛される方も危険を回避する注意を払うのは、当然の義務だろう?」 しかしノルドさんは、そんな三人の視線にもまったく堪えた様子を見せず、朗らかに笑う。 「ハッハッハ、まったくだね。今回はボクの筋肉が足りなかったようだよ。君たちぐらいあれば、なんとかなったかもしれないんだけどさ」 「ふむ......」 腕を曲げてパシン腕を叩いたノルドさんと、そんな彼をじっと見るグレイさん。 そんな二人の視線が交わり、何かが通じ合った。 「理解しているなら、これ以上、俺から言うことはなにもない」 「いや違うだろ!? サラサちゃんから話を聞いた限り、多少筋肉が多くても、どうにもならねぇからな!?」 即座にギルさんからツッコミが入ったが、グレイさんはそれを聞き流し、ポンとノルドさんの大胸筋を叩く。 「お前の筋肉も悪くない。とても机にかじりついている研究者とは思えないな」 「ボクは現場を大事にするからね。筋肉を鍛えるのも当然のことさ!」 キラリと歯を光らせてサムズアップするノルドさんと、男臭い笑みを浮かべて腕を組み、深く頷くグレイさん。 対してギルさんは額に手を当てて天を仰ぎ、距離を置いたアンドレさんは、処置なしとばかりに肩をすくめた。 「えーっと......ノルドさんって、筋肉推しなんですか?」 戸惑いつつ、アイリスさんに確認してみれば、アイリスさんは少し考えて頷く。 「そうだな、どこかそんな雰囲気は感じられたな」 「いえ、かなり露骨だったと思うけど?」 うーむ、何か、危ないときに筋力で切り抜けた原体験でもあったのだろーか。 細マッチョに鍛えられた肉体は、見方によっては魅力的だとは思うけど。 「でも、ノルドさんが身体を鍛えていたおかげで、生き延びられた部分もあるのよね。険しい道のりだったから」 軟弱な研究者でフォローが必要だったなら、たぶん無理だったと言うケイトさんに、私も

The wider the hands, the higher the height, the more Iris is likely to manage to reach. If I dare to mention the difference, could it be said that it is just where the passage flexes and bends greatly to the right? "K, you walnut. What do you got here? To Nordrad's still breathless inquiry, the walnut slaps the pompous and sidewall. The gaze of the three concentrates there, but even if you stare, it is still a very ordinary cave wall. "... is something valuable buried or something? "What's valuable? "For example... the goldmine vein" "That's certainly valuable, but you just don't have it. In this situation." "Yeah, you don't. The situation on the walls around here doesn't feel like there's a gold mine." I agreed with Kate's words, Nordrad, but the meaning was a little uneven. "Ha ha." To the three twisting necks, the walnut moves his arms up and down slowly, making a gesture that he says calm down. "Mmm, I know there's something about it, but I'm not comfortable not understanding it." "Right... so I can hear something...? Iris frowned up at Kate, making her ears pimple, looking around like she was in a panic. "Something - is there a salamander nearby?!?" "Then there's another collapse!?" The next moment Nordrad lifted his hips in a hurry... Gun, ragged! Making a slightly modest noise, the rock wall the walnut was slamming earlier collapsed and a hole appeared. Its size is less than a meter in diameter. A cold breeze blew from there along with earthen smoke on the three flashing faces. The three of them are ha-ha-ha breathtaking in that air, which is distinctly different than before. "- Whoa!! No way, outside!?" "Correct, Mr. Iris" The earthsmoke cleared with a voice that made me even feel nostalgic, and the moment I saw the face that appeared, tears overflowed from Iris' eyes, even without trying. ◇ ◇ ◇ "Long time no see, Mr. Iris, Mr. Kate. I'm here to rescue you. And Mr. Nord." "" Lord Store Manager ()! As I sat back, I got out of a narrow hole, and Iris and Kate hugged me. I manage to take that shock and, laughing bitterly behind it, I also turn my gaze to Mr. Nord, who looks somewhere whacked. "Haha, am I big? "Yes, then. If it's just Mr. Nord, he didn't come to help." Kind of a tough way to put it, I guess, but you don't have a choice, do you? I don't care what you think about the cause of this one, it's Mr. Nord. I think there are limits to how much Mr. Nord is a researcher and even though Mr. Iris and the others are his escorts. If you want to experiment, make sure it's safe. That's what my master tells me with my mouth sour, but I know very well that there are some very annoying people who can't protect it. And that's generally the kind of person who delivers results, so it's out of hand. Maybe it's because you do things differently than people that have special consequences, but if possible, I want people like that to be happy where they have nothing to do with me. "Well, Mr. Store Manager, actually, I, I was wondering if it was time not to..." "It took a lot of time. But it's okay now. It's a little small, but this hole is connected to the outside." Step away from me and wipe Mr. Iris' eyes with a handkerchief that shivers his voice, and Mr. Iris smiles even as he spills tears. Kate is...... a little moist, but she looks fine. "Thank you so much, Store Manager. Wasn't it tough? Various." "Well, quite. But even for me, I can't abandon the Kates. Come on, let's get out of here - hey, before you do." I hold up the walnut that was sitting beside me and replenish my magic. ... Yeah, I knew you were critical. Good. You're not going to lose it. "Sarasa, are you still the walnut mover from earlier? "Well, that's right. But shall we continue the conversation after we go outside? 'Cause some people are waiting." "Who's waiting? Isn't the manager the only one? "Exactly, me too, alone in this forest, for a long time camping is tough. Let's go." "Forest... where are we going? He sits back again and leads Mr. Iris and the others out of the cave. It's a little hard, but the bigger it gets, the more cost and difficulty it takes, so I can't help this. Even smelters (artifacts) digging holes of this size are quite expensive. Besides, this rescue operation doesn't benefit me at all...... very painful. But you have no choice, do you? I couldn't abandon him. "I'll be outside." "Oh, finally... it's sunlight..." As Mr. Iris walks out of the hole, he stretches his hips all the way, opens his hands and narrows his eyes, savoring the sunlight and fresh air. Ms. Kate also held her eyes as if to withstand the glare when her surroundings suddenly became brighter. "Long time no see...... oh, the air is cold. It's winter..." "Right. It snowed a little the other day, and if it's going to be any longer, we're going to be tough too." "Us - Speaking of which, there are others..." "Yes, that way" "Whoa, Iris's lady, are you all right?" "You look good for now." "Glad you're not hurt" You're getting used to the brightness, and the three of you were ahead of me pointing to Mr. Iris looking around you blinking. Always a helpful, familiar gatherer. "Andre! Gil! Gray! You guys are here to help, too! "Thank you! No way, besides the manager, you should come..." "Even so, Sarasa asked me to." "It's just an easy hard job. I haven't been able to do much." "No, I couldn't have been ready without you, so it was an important help." Thank you to the thrilled Kates, Andre and the humble as the light shines, but in fact, the help of the three was very important. Distance constraints were quite significant in dealing with this one. It is more efficient to be as close as possible even if it is in tune with walnuts, and it can be done quickly even if it is to do something about it. But I'm an alchemist. Even though the best thing about being able to use smelters (artifacts) and smelters (potions) is that once you leave your home with a workshop, there are great limitations on what you can do. The way I thought about dealing with it... "This is... that's a pretty good base, huh? "Yeah, we're ready so we can smell it here." It was to bring in a magic furnace and an alchemy kettle to create a base in the near field. Carry the members processed by Mr. Geberg to this point, build a cabin and install a magic furnace and an alchemy kettle in it. It's a possible task for me alone if it takes time, but that time is valuable. Mr. Andre and the others received a great deal of help in carrying the baggage, liaison with the village and vigilance around them. I pay a daily allowance for once, but that amount offered is never high and is not very commensurate with the job description. I'm sure it's Mr. Iris' rescue work, which is why he cooperated. "Heh, I mean, Sarasa, you said you were figuring out the situation in the cave from here on out and working out a rescue. Very interesting." While we were having an inspiring reunion - something that looked like something - Mr. Nord, reluctantly relieving himself of his body, slipped out his face from behind and peered into the cabin, thinking he'd gotten a paragraph. However, the expression of the three strong collectors becomes harsh on such a fluent narrative. "Oh, is he the researcher of this cause? "You put Iris and Kate in danger. Aren't you? "The escort would be a contract, but it would be a natural duty for those who are escorted to take care to avoid danger, too, wouldn't it? But Mr. Nord laughs furiously, not even showing himself at all at the sight of those three. "Ha-ha-ha, totally. I didn't seem to have enough muscle this time. With you guys, I think I might be able to handle it." "Hmm..." Mr. Nord, who bent his arm and slapped Pasin and two arms, and Mr. Gray, who stares at him like that. Those two glances crossed, something came through. "If you understand, you have nothing more to say from me" "No, you're not!? From what I've heard from Sarasa, even if she has some muscle, she can't help it!?" I instantly got a scratch from Mr. Gill, but Mr. Gray listens to it and slaps Mr. Pong and Mr. Nord's big chest muscle. "Your muscles aren't bad either. I don't think he's a very good researcher on his desk." "I'll take care of the crime scene. It's natural to build muscles! Kilari shines her teeth and thumbs up with Mr. Nord and Mr. Gray, who arms and snorts deeply with a manly grin. In contrast, Mr. Gill looked up to heaven with his hands on his forehead, and Andre, distanced, shrugged his shoulders all untreated. "Erm... Mr. Nord, is that a muscle guess? While confused, I checked with Mr. Iris and Mr. Iris nodded a little thinking. "Well, you felt that vibe somewhere." "No, I think it was pretty blatant though? Hmm, was it also a raw experience cut through with muscle strength when something was at stake? I think flesh trained by fine macho is fascinating, depending on the way you look at it. "But thanks to Mr. Nord working out his body, some parts of him survived, didn't they? Because it was a rough journey." If I was a weak researcher and needed to follow up, I would have snorted at Kate for saying I probably couldn't.

そんな比較的のんびりとした道程したのは、翌日の昼過ぎのことだった。 にわかに辺りが暗くなり、冷たく強い風が頬を突き刺す。 空を見上げれば、黒い雲が覆い被さるようにかかり、そこから白い物が落ち始めていた。 「これは......急いで風を避けられる場所を探しましょう」 「そうだな。だが店長殿、風を防ぐ 「ありますが、風が強ければ強いだけ、魔力を多く消費しますからね。できるだけ安全な場所にテントを張るに越したことはありません」 今回私が用意したドーム・シェルターは、一定以上の速度でぶつかる物――魔物以外に、風や雪なども防ぐことができる物。 魔力で障壁を生み出すため、コンパクトで手軽に設置できる利点はあるものの、物理的な壁がない分、魔力消費が大きいという欠点もある。 そしてその魔力消費は、障壁で遮断する物が多ければ多いほど大きくなる。 普通の人よりも魔力が多い私だけど、無尽蔵ではないわけで、いつ天候が回復するか不明な以上、節約できるところでは節約しておくべきだろう。 「それはそうね。何処か、目星はあるの?」 「はい。地図によると、少し先に――」 そんなわけで、やや足を速めた私たちは、なんとか視界が利くうちに風を避けられそうな岩陰に到着、そこで野営の準備を整え、テントの中に引きこもったのだった。 夕方から完全に吹雪になった天候は、白い闇の中に私たちを閉じ込めた。 ドーム・シェルターのおかげでテントの周りに雪が吹き込むことこそなかったものの、ごうごうという風の音と、日が昇っても真っ白で何も見えない周囲の景色はロレアちゃんを不安にさせたが、同じように慣れていないはずのアイリスさんとケイトさんは、予想外に平然としてた。 「洞窟で遭難したときと比べれば、ずっと安心だ。なんと言っても、店長殿がいるからな!」 「そうね。ここから動けないだけで、食事の心配もないし」 とはの言。 信頼してくれるのは嬉しいけど、私だってここまでの悪天候は初めてのことだし、絶対に安全とは言えないんだよね。 まぁ、おそらくは大丈夫だと思うし、この場から動けないことを除けば、実はそこまで不便でもない。 この気温だから生肉や生野菜が腐る心配は不要。 小型の魔導コンロもあるから、ロレアちゃんに美味しい料理も作ってもらえる。 組み立て式簡易トイレもテントの横に設置しているので、寒ささえ我慢すれば、下の方も問題ない。 一番の懸念は、することがなく、暇なこと。 数日程度ならまだしも、狭いテント、何十日も無為に過ごせばストレスが溜まる。 吹雪が長期間続くようなら、そのあたりも何か考えないといけない。 ――と思っていたんだけど、幸いなことに目の朝にして雲間から日が差し始め、昼になる頃には青空が広がっていた。 再び吹雪き始めては堪らないと、手早く撤収を行い、目的地へ向かった私たちだったが、幸いなことにその後は特に足止めされることもなく、無事に目的地まで辿り着いたのだった。 ◇ ◇ ◇ 「皆さん、やりました! ついに到着しました! ここがミサノンの生育地です!」 代わり映えのしない雪景色を眺め、ただ歩き続ける刺激の足りない毎日。 そこに少しでも変化をと、私は大袈裟に両手を広げ、その場所を示した。 しかし、そこを眺めたアイリスさんたちは、やや困惑したようにこちらを振り返る。 「......店長殿、なにもないのだが?」 「そうなんですよね。――先日、雪が降ったからでしょうか?」 広がるのは一面の銀世界。 数日前にやってきた吹雪は大量の雪をこの山に齎した。 結果、ミサノンの生育地であるはずのその場所は、地面は疎か、植物の痕跡すら見受けられないほどに深く雪が積もっている。 試しに棒を突き刺してみれば、その深さは一メートル以上。 場所的には間違っていないはずだけど......雪を軽く除けて探す、というのは厳しそう。 「不幸中の幸い、氷になっていないのは救いでしょうか」 気温が中途半端に上がったりすると、ガチガチの氷になってしまったりするんだけど、ここしばらくはかなり寒い日々が続いてるからか、積もっているのはさらさらの粉雪。 ツルハシの準備は必要なさそうだ。 「でも、雪は多いわよ? さすがに闇雲に探すのは勘弁して欲しいんだけど......」 「仕事だから、やれと言われればやるが......時間はかかりそうだな。店長殿、普通はどうやって探すのだ?」 「枯れた茎が雪の中から出ているんですよ、普通は。それを折って匂いを嗅げば、ミサノンなら刺激的な、ちょっとスッとするような香りがするんです。――まぁ、その草丈以上に雪が積もると、ご覧の通りなのですが」 資料に依れば、細い棒をさしたように茎が見えているはずなんだけど、そんな物、一切なし! 目の前に広がるのは、とてもなだらかで真っ白な雪原である。 積雪が多い地域では、夏場にミサノンの生えている場所を確認しておいて、目印として長い棒を突き刺しておくみたいだけど......必要になるとは想像してなかったからねぇ。 「店長殿、魔法で雪を溶かしたり、爆発で吹き飛ばしたりはできないのか?」 「できないとは言いませんが――」 「さすがサラサさんです!」 ロレアちゃんが目を輝かせるが、私は慌てて首を振る。 「いや、やらないからね? そんなことしたら、雪崩が起きるから」 雪山での大きな音は厳禁。 爆発系の魔法は使えないし、爆発を伴わない高温でも、急激に雪を溶かしたりすれば何が起きるか。 私だけならまだしも、ロレアちゃんたちがいる今の状況でそんな危険は冒せない。 「じゃあ、茎が見えるぐらいまでは除雪するしかないですね。頑張りましょうか、皆さん」 ロレアちゃんが両手をグッと握り、笑顔を見せる。 その様子に、私たちは顔を見合わせて頷く。 雪かきは面倒だけど、一番年下のロレアちゃんがやる気を見せているのに、いつまでも不満を口にしていられない。 「そうだね」 更にはクルミまで、ロレアちゃんの背中で立ち上がり、胸を張って声を上げる。 「――って、さすがにクルミができることは」 「がうがう!」 「あっ!」 否定するように首を振ったクルミはぴょんと雪の上に飛び降りる。 だがそこはふわふわの雪。 雪山靴 を履いていないクルミはそのままズボッと埋まり、姿が見えなくなった。 「ク、クルミ? 大丈夫?」 掘り起こしてやるべきか、と地面に手を伸ばした次の瞬間、雪の下を『ずもも!』と何かが動く――いや、クルミだけどね? クルミはそのまま数メートルほど移動したところで止まると、盛大に雪を吹き飛ばして飛び出してきた。 が、着地地点も柔らかい雪、再びズボッと姿が消える。 「クルミ、遊びたかったのか?」 不思議そうに言ったアイリスさんの言葉に、ケイトさんが苦笑を浮かべる。 「さすがにそれは......いえ、よく考えたら、クルミの性格にはアイリス成分も含まれてるのよね? あり得ないとは――」 途中から懐疑的な表情になったケイトさんに対し、アイリスさんが不満そうに口をへの字に曲げた。 「いや、さすがに仕事中に遊んだりはしないぞ私は!?」 「さすがにそれはないと思いますが......」 私はクルミが埋まった穴の場所まで行き、手を突っ込んでクルミを抱き上げる。 「それで、どうしたの?」 私がそう尋ねれば、クルミは「がうがう」と最初に飛び出してきた穴を示した。 「見ろということかな?」 「えっと......あ、サラサさん、ここ、何か生えてますよ!」 「え、本当?」 ロレアちゃんに手招きされ、私たちがその穴を覗き込めば、そこには細長い棒のような物が......あ、これってもしかして! その先端をちぎって匂いを嗅いでみれば、そこからは特徴的な刺激臭。 「これ、ミサノンです!」 「なんだと! つまり、クルミはこの雪の下にあるミサノンを見つけられるのか!?」 私の腕の中で自慢げに胸を張るクルミに、アイリスさんたちの視線が集まる。 にそんな機能――いえ、能力があったの?」 「特にそういうことは......。クルミだと、人よりも嗅覚が鋭いですから、不可能ではないのかもしれませんが」 むしろ私としては、命じるでもなくクルミが自分で行動してミサノンを探したことに驚いている。 時々家の中を散歩しているところを見かけるけど、基本的に 勝手に行動するなんてことは、あまり聞いたことがない。 「クルミ、他にも見つけられるか?」 アイリスさんの問いに、クルミはそう応えるなり、私の腕からダイブ。 雪の中をズバババッと泳ぎ、数メートル離れた場所で再び「がうっ!」と飛び出す。 すぐにそこにケイトさんが駆け寄り、雪の中を確認する。 「店長さん、ここにもミサノンが生えているわ!」 「凄いです、クルミ! 可愛いだけじゃなく、こんな能力まであるなんて!」 今度はロレアちゃんがクルミを抱き上げて、ぎゅっと抱きしめれば、クルミは照れたように両手をパタパタ。 でもね、ロレアちゃん。 可愛いのが副次的で、いろんな能力があるのが ――この能力は、私も予想外だったけど。 「でもこれで、予想外に早く目的が達せられそうですね。それでも雪の中で掘るのは大変ですが......頑張りましょう。王族からの依頼ですからね!」 「「「おー!」」」

- Winter Mountain () It was after noon the next day that such a relaxed journey changed. The area became dark and the cold strong wind pierced the cheeks. Looking up at the sky, a black cloud covered it, and white objects began to fall from it. "This is... let's hurry up and find a place to avoid the wind." I see. But, Dear Store Manager, do you also have a smelter (artifact) to prevent the wind? "Yes, but the stronger the wind, the more magic it consumes. Never move over to put tents in as safe a place as possible." The dome shelter I prepared this time is something that hits at a constant speed - something that can prevent the wind and snow in addition to monsters. Although it has the advantage of being compact and easy to install because it creates a barrier with magic, it also has the disadvantage that there is no physical wall and the magic consumption is high. And the more things that block with barriers, the greater the magic consumption. I have more magic than ordinary people, but I'm not exhausted, so I should save where I can, as long as I don't know when the weather will recover. "That's right. Do you have eyes somewhere? "Yes, according to the map, a little earlier..." That's why we slightly fastened our legs and managed to get to the rocky shade where we could avoid the wind while the sight worked, where we prepared the camp and dragged it into the tent. The weather, which completely snowed from evening, trapped us in the white darkness. Although the dome shelter did not allow snow to blow around the tent, the sounds of shit and the surrounding view, which was pure white and invisible even as the sun rose, made Lorea uneasy, but Iris and Kate, who should not be used to it in the same way, were unexpectedly flat. "It's much safer than when we were in a cave. Whatever you say, the manager is here! "I see. I just can't move from here, and I'm not worried about eating." That's two words. I'm glad you can trust me, but this is the first bad weather I've ever had, and it's definitely not safe. Well, I think it's probably okay, and unless you can't move from here, it's actually not that inconvenient. At this temperature, you don't have to worry about rotting raw meat and vegetables. There is also a small magic stove, so Lorea can cook a delicious meal. The assembled simple toilet is also installed next to the tent, so there is no problem at the bottom as long as the cold is tolerated. The biggest concern is that there is nothing to do and nothing to do. For a few days or so, even if you spend four people in a narrow tent for tens of days, stress accumulates. If the blizzard persists for a long time, we need to think about something about it. Thankfully, on the third morning, the clouds began to send the sun, and by noon, the blue sky was spreading. Unable to withstand the snowstorm again, we quickly evacuated and headed to our destination, but fortunately, it was not stopped afterwards, and we arrived safely at our destination. ◇ ◇ ◇ "You guys did it! Finally arrived! This is the breeding ground of Massanon! Every day with irreplaceable snow views and just enough excitement to keep walking. When I made a slight change there, I spread my hands wide open and showed the place. However, Iris and the others looked back at us somewhat puzzled. "... Dear store manager, is there nothing? "That's right. --Is it because it snowed the other day? It spreads across the silver world. The snowstorm that came a few days ago drowned a lot of snow in this mountain. As a result, the area, which should be the breeding ground of Massanon, is neglected and snowy enough to leave no trace of plants behind. Try sticking a stick, and it's more than a meter deep. I'm sure it's not in the wrong place... but it's hard to look for snow lightly. "Fortunately in misfortune, is it salvation that has not become ice?" If the temperature rises halfway, it may become rough ice, but it's been pretty cold for a while now, so there's a lot of powdered snow. Looks like we don't need to get ready. "But there's a lot of snow. I really don't want you to look for it in the dark clouds..." "It's my job, so if they tell me to do it... it'll take a while. Master, how do you usually find it? "There are dead stems coming out of the snow, usually. If you fold it and smell it, Masanon will have an exciting, slightly refreshing smell. --Well, as you can see, there's more snow than the grass length." Based on the documentation, you should see a stem like a thin stick, but no such thing! In front of you is a very soft, pure white snowflake. In snowy areas, it's like checking where Massanon grows in the summer and sticking a long stick as a landmark... because I didn't imagine it would be necessary. Master, can't you melt the snow with magic or blow it up with an explosion? "I'm not saying I can't..." "That's Sarasa! Lorea brightens her eyes, but I shake my head in a hurry. "No, I won't do it, right? If you do that, there will be an avalanche." No loud noises in the snowy mountains. Explosive magic cannot be used, and even at high temperatures without explosion, what happens if the snow melts suddenly? Not if I'm alone, I can't take such a risk in the present situation with Loreans. "Well then, we'll have to remove the snow until we can see the stem. Let's do our best, folks." Lorea grabbed her hands and smiled. As we nodded face to face. Snowflakes are troublesome, but the youngest Lorelei is showing her motivation, but she can't complain forever. Yes, it is. Even walnuts, Lorea stood up on her back and raised her voice with her chest high. "--That's exactly what walnuts do." "Gauga! Ah! Walnuts shaking their heads to deny it jumped on the snow. But there's fluffy snow. Walnuts not wearing snowshoes (snow boots) were buried and disappeared. "Ku, walnuts? Are you okay?" The next moment I reached out to the ground, I looked under the snow and said, "Thigh! something moves - no, it's walnuts. When the walnuts stopped after moving about a few meters, they blew up the snow and jumped out. But the soft snow at the landing point disappeared again. "Wally, did you want to play? Kate smiles bitterly at Iris's strange words. "That's right... no, when you think about it, the walnut personality also contains Iris ingredients, right? I didn't think it was possible." Iris bent his mouth in disgruntled manner to Kate, who had a skeptical expression along the way. "No, that's right, I don't play at work!?" "I don't think so...." I go to the hole where the walnut is buried and hold it with my hand. "So, what's the matter? When I asked, the walnut showed the hole that first popped out. "You mean, look at that? "Er... ah, Sarasa-san, something is growing here! "Really? Lorea invites us, and when we peek into that hole, there's something like an elongated stick... ah, maybe this is it! If you peel off the tip and sniff the smell, there is a characteristic irritating odor from there. "This is Misanon! "What the hell! In other words, can walnuts find the Masanon under this snow!?" Iris and the others gaze at the bragging walnuts in my arms. Manager, did the Alchemy creature have the capability to do that? "Especially that kind of thing.... Walnuts have a sharper sense of smell than humans, so maybe it's not impossible." Instead, I am surprised that walnuts acted on their own and searched for Masanon. Sometimes I see walking around the house, but basically the smelter (Homuncrus) is passive. I've never heard of acting on my own. "Wally, can you find anything else? When Iris asked, the walnuts answered and dived from my arm. Swimming in the snow, swimming again a few meters away. "and pops out. Kate rushes in and checks into the snow. "Store manager, there are Masanon growing here too! "Wow, walnuts! I can't believe you're not just cute, you're capable of this! Now Lorea picks up the walnuts and hugs them tightly, and the walnuts pat their hands as if they were illuminated. But, Lorea. Cute is secondary, and it's the Alchemy (Homuncrus) that has all sorts of abilities, right? --This ability was unexpected to me. "But this is going to get us there faster than we expected. Still, digging in the snow is tough... but let's do our best. It's a royal request! "" "Ooh!

メートル近くも飛ばされ、『ドンッ!』という重い音と共に、岩に叩きつけられるノルドラッド。 そこが熱水による泥濘でなかったのは、幸運だったと言うべきか。 「ノルド! 大丈夫か!?」 「も、問題ない......。鍛え上げたこの筋肉がなかったら、危なかったけどね!」 尻尾に強打されたわけではなく、放り投げられる形が良かったのだろう。 頭を振りつつ身体を起こしたノルドラッドは、その言葉通り、大きな怪我もない。 ふぅと息を吐きつつ、グッと力こぶを作ったノルドラッドを見て、アイリスのこめかみに青筋が浮かぶ。 「なら、その筋肉で早く尻尾を押さえつけろ!」 かなりアイリスの言葉が乱れているが、それも当然だろう。 アイリスたちにとって、溶岩トカゲがさほど脅威でなかったのは、場を整えて有利な状況で対峙していたからこそ。 正面から戦った場合には、容易く斃せるような相手ではない。 今は何とかなっているのは、魔力による身体強化が行えているからこそ。 それが切れてしまえば、アイリスの地の膂力では溶岩トカゲに及ばないのだ。 彼女自身の命にも関わりかねない。 「無理なら殺す!」 「ま、待って、待って! 今行くから!!」 アイリスが腰の剣に手を伸ばすのを見て、ノルドラッドは慌てて立ち上がり、溶岩トカゲの尻尾に飛びつく。 「や、やっぱりかなり強い! ぐっ、このっ!」 先ほどのことで学習したのか、振り回す威力の強い尻尾の先ではなく、できるだけ根元部分を押さえようとするノルドラッドだが、彼をしても溶岩トカゲの力の強さは驚異的。 いや、アイリスと違い、素の膂力だけで、ある程度でも押さえられるノルドラッドが驚異的と言うべきか。 だが、何とか拮抗を保てているのも、アイリスとケイトの頑張りがあってこそである。 「こ、この力の強さが、ヘル・フレイム・グリズリーを追い出せる要因なのかな!」 「こんなときでも研究なの!?」 「ぐぅぅ、斃すだけなら、あっさり斃せるのにっ!」 「頑張って、アイリス! もうちょっとだから!」 何とか足にロープを結び終わったケイトが、胴体にもロープを回し、溶岩トカゲの動きを制限していく。 罠に使った網も更に絡ませ、身体をひっくり返し、ゴロゴロと。 そうして格闘を続けることしばらく。 ついに溶岩トカゲは完全な簀巻き状態となり、のたのたと蠢くだけになった。 「や、やったわね!」 「あぁ! やったな!」 ぺたんと地面に腰を下ろしたアイリスとケイトとは、達成感に眩しい笑みを浮かべ、パチンと手を合わせる。 防熱装備があっても防ぎきれない熱気と、激しい格闘によって噴き出した汗の顔を流れるが、無事に捕獲に成功した今となっては、それすらも気持ち良い。 ケイトは荷物から取り出した水を一口のみ、それをアイリスに渡すと、フードを脱いで汗を拭う。 そして、同じように水を飲みながら汗を拭っているアイリスと顔を見合わせて微笑み、揃って息をついた。 「今回のは、さすがに疲れたな」 「えぇ、本当に。でもやっと――」 「うん。じゃあ、この調子で、あと数匹捕まえてくれ」 「「え......?」」 信じられない言葉を聞いたとばかりに、アイリスたちは笑顔を凍りつかせ、呆けたような表情をノルドラッドへ向ける。 「だってほら、検証には対照実験が必要だから。何匹か必要だよね?」 自身もかなりの苦労をしたはずなのに、何でもないことのように、ノルドラッドは笑顔でそう言い放つ。 「「.........」」 アイリスたちは溶岩トカゲを罠に掛けるまでに掛かった時間と、その後の格闘を思い返し、ノルドラッドをじっと見つめるが、彼の笑顔は崩れない。 「ノルドさん、『何匹か』ってことは、もう一匹ってことじゃないんですよね?」 「当然だよ。二匹を比較しても、大した意味はない。最低で、可能は欲しいよね。正確な実験結果を得るためには」 「......ノルド、程々という言葉を知っているか?」 「研究者の辞書にはない言葉だね。代わりに『厳密』という言葉が載っているんだ」 臆面もなく言うノルドラッドに、アイリスたちは虚ろな瞳で空を見上げたのだった。 ◇ ◇ ◇ アイリスたちの試練はそれだけでは終わらなかった。 「溶岩トカゲって、特に高温の泥濘の中に卵を産むらしいんだよね。ケイト君、ちょっと探ってみてくれないかい?」 「この高温の泥の中をですか!?」 「だって、何故ゆで卵にならないか、不思議じゃないかい?」 「不思議でも、近付くと危険が......」 「この柄が付いた網を貸すから」 「唐突に熱水が噴き出すこともあるんだけど!?」 「防熱装備があれば、大丈夫さ! たぶん」 「そうそう、火炎石も調査に必要だったんだ。すまないがアイリス君、できるだけたくさん拾い集めてくれ」 「溶岩トカゲが食べて、ほとんど転がっていないのに!?」 「大丈夫。ほら、あそこの熱水の噴き出し口付近とか、結構残っているよ?」 「いや、熱にはなんとか耐えられても、危険なガスとか――」 「有毒ガス検知ができる 「「...............」」 「単独でいる溶岩トカゲを攻撃した場合、逃げ出すけど、集団の場合は反撃されるという話、知ってる?」 「......あぁ、聞いたことはある」 「次はどの程度の集団なら、反撃されるか、検証しようか」 「いやいや! 反撃されたら危ないんだが!?」 「んー、頑張って!」 「そ、それはさすがに......」 「ついでに、個体同士がどのぐらい離れていれば集団と見なされないのか、そのあたりの検証もしたいよね」 「「.....................」」 「......やっと、本調査ね」 「あぁ......。本当に、やっと、な」 長き苦行を終えた二人の言葉には、万感の思いがこもっていた。 護衛を引き受ける採集者がいなくなった理由、そして相場よりも大幅に高い報酬を貰える理由、それを身を以て実感する日々。 サラマンダーの巣へと続く洞窟を下りながら、絞り出すように言葉を漏らす二人に対し、その後ろを歩くノルドラッドの足取りは軽い。 、左手には簀巻きにされた数匹の溶岩トカゲ。 それをズリズリと引きずりながら、嬉しそうにニコニコと笑っている。 だが、それもそのはず。 前回の調査地では護衛の採集者に拒否されてできなかった各種調査・実験が、アイリスたちが流した血の汗によって実現したのだから。 「いやぁ、本当に助かったよ。あとはそんなに大変なことは残ってないから!」 「......本当か? 本当にか? 本調査はこれからなのに?」 「もちろん! 調査は事前準備が大事だからね。大丈夫だよ!」 これまでの実績から、かなり疑心暗鬼にとらわれているアイリスに、ノルドラッドは朗らかに笑う。 実際のところ、これまでの実験もアイリスたちが拒否すれば、ノルドラッドも無理強いはしなかったのだが、不満げながらもしっかりと仕事を熟す二人に、やや要求がエスカレートしたことは否めなかった。 アイリスたちの育ちの良さと真面目さが禍し、そしてノルドラッドにとっては幸いした結果であるのだが、ノルドラッドもさすがにちょっとやり過ぎたとは反省していた。 彼にとってはかなり珍しいことに。 それぐらいに無茶をした、とも言えるのだが。 「仕事だから、できるだけのことはするが......」 「店長さんと違って、一般人なのよね、私たち」 サラサが聞けば、きっと『私も一般人です!』と、あまり賛同者がいない主張をするだろうが、残念ながらこの場に、サラサの擁護者は存在しなかった。 「ははは......、無事に終われば、報酬に少し色を付けるから、もうちょっと頑張ってくれ」 「むぅ。普通であれば、契約以上は必要ないと断るところなのだが......」 途中までは『日給に比して楽な仕事』と、少し申し訳ない気持ちすら抱いていたアイリスたちだったが、溶岩トカゲの生息域に入った後は、これまでの楽さを取り戻すかのように無茶ぶりの連続。 高い日給にふさわしい――いや、それまでとは別の意味で日給に見合わない仕事を要求され、彼女たちの精神はガリガリと削られ、体力と共にかなり疲弊していた。 「正直言って私、クルミがいなければ、ノルドに対する殺意の波動に目覚めていたぞ?」 「まったくですね」 「がう?」 不意に名前を呼ばれ、アイリスの背中にくっついているクルミが、不思議そうに首を傾げる。 直接的には、なんら仕事の役に立っていないクルミであるが、日々の無茶ぶりで削られるアイリスたちの精神を毎夜回復させるという、癒やし要員としては重要な役割を担っていた。 もしクルミがいなければ、殺意云々は冗談にしても、ノルドラッドの希望する実験すべてを終えるまで、アイリスたちが付き合うことはなかったであろう。 ジロリと向けられた、意外に鋭いアイリスたちの視線に、ノルドラッドは冷や汗を垂らす。 「はは、それはそれは。サラサ君には感謝だね!」 「クルミにもな。――っと、着いたぞ。ここが、私たちがサラマンダーの討伐を行った場所だ」

They even flew nearly ten meters, and said, 'Don't!' Along with the heavy sound of it, Nordrad is beaten to the rock. Should I say I was lucky not to be muddy there by hot water. "Nord! Are you okay?!?" "Also, no problem...... Had it not been for this muscle I had built up, it would have been dangerous! I wasn't hit hard on the tail, I guess it was in good shape to be thrown away. Nordrad, waking up his body as he shook his head, was right, without any major injuries. Phew and exhale, I look at Nordrad, who made a good force bubble, and a blue muscle floats in Iris' temple. "Then hold your tail fast with that muscle! Pretty messy Iris words, but I guess that's natural too. For the Iris and the others, the lava lizards were not so threatening because they were confronting each other in an advantageous situation by preparing the ground. If you fight from the front, you are not an easy opponent to kill. The only way we can do this now is because we can strengthen our bodies by magic. If it runs out, the power of the land of Iris will not extend to lava lizards. It could also be about her own life. "If you can't, I'll kill you! "Ma, wait, wait! Because I'm going now!!" Watching Iris reach for his hip sword, Nordrad hurries up and jumps to the tail of a lava lizard. "Ya, I knew it was pretty strong! Whoa, whoa! You learned about it earlier, Nordrad trying to hold down the root part as much as possible, not at the tip of the powerful tail you wield, but even if you do him, the strength of the power of the lava lizard is phenomenal. No, unlike Iris, should I say that Nordrad, who can be held down to some extent by the mere power of vegetables, is phenomenal? But it's also because of Iris and Kate's hard work that they manage to keep antagonism. "Ko, I wonder if the strength of this power is a factor that can drive Hell Flame Grizzly out! "Even at this time, it's research!?" "Guh, if you're just gonna shoot me, you can shoot me lightly! "Good luck, Iris! 'Cause we're almost there! Kate, who has managed to tie the rope to her leg, also turns the rope to her torso, limiting the movement of the lava lizard. The nets used for the trap were also further entangled, turning the body upside down, gobbling and. That's how we keep fighting for a while. Finally, the lava lizard was in a complete winding state, and it was merely swollen. "Yay, you did it! "Oh! You did it! Iris and Kate, with their hips down on the ground with a dazzling grin on their accomplishments, join hands with their pussies. Even that feels good now that we have the heat protection gear and unprotected enthusiasm and the sweat erupted by intense fighting flowing through the faces of the two of us, but successfully captured. Kate takes only one bite of the water out of her luggage, and when she hands it to Iris, she takes off her hood and wipes her sweat. And sighed face to face with Iris wiping her sweat similarly drinking water, all together and breathing. "I'm just tired of this one." "Yeah, really. But finally..." "Yeah. Well, at this rate, grab a few more." "" What...? Just hearing an incredible word, the Iris froze their smiles and turned their frightened expression to Nordrad. "Because, you see, validation requires controlled experiments. We need a couple of them, right? Nordrad smiles and says so, as if it were nothing, even though he should have had considerable difficulty himself. ......... Iris and the others reflect on the time it took to hang the lava lizard in the trap and the fighting that followed, staring at Nordrad still, but his smile does not break. "Mr. Nord, 'some' doesn't mean another one, does it? "Naturally. Comparing the two doesn't mean much. You want at least three, five or six if that's possible. To get accurate experimental results." "... Nord, you know the word Cheng? "That's not a word in the researcher's dictionary. Instead, there's the word" strict. " Iris looked up into the sky with his vain eyes, to Nordrad, who said without a shudder. ◇ ◇ ◇ That was not the end of the Iris' trials. "They say lava lizards lay eggs, especially in hot mud. Kate, would you mind exploring it for a moment? "Through this hot mud?!?" "'Cause isn't it wondering why it doesn't boil eggs? "Strange, but close, there's danger..." "I'll lend you a net with this pattern on it." "Sometimes hot water erupts abruptly!?" "With heat protection gear, you'll be fine! I guess." ......... "Yeah, well, the flaming stones were also necessary for the investigation. I'm sorry, Iris, but pick up as many as you can." "Even though the lava lizard eats it and it's barely rolling!?" "It's okay. Look, there's quite a bit of hot water left over there near the vent, right? "No, even if you manage to withstand heat, dangerous gas or something -" "There are smelters (artifacts) that can detect toxic gases, right? "If you attack a lone lava lizard, you escape, but in the case of a group, you talk about being fought back, you know? "... oh, I've heard of it" "How much of a group will be fought back next, shall we verify?" "No, no! If they fight back, it's dangerous!?" "Hmm, good luck! "Well, that's just..." "Finally, you want to verify around how far away individuals are from each other they won't be considered a population." ..................... "... finally, this survey" "Ah...... Really, finally." The two words, which ended a long ordeal, had thoughts of a universal nature. The reason why there are no more collectors to take on escorts, and why you get paid significantly higher than the market, every day you realize it. Nordrad's footsteps, walking behind him, are light against two people who leak their words as they squeeze out as they descend through a cave leading to Salamander's nest. Light smelter (artifact) on the right hand side and several lava lizards wrapped around the left. I'm laughing delightfully at Nico, dragging that cheeky. But that should be it, too. Because various surveys and experiments that were not possible at the last survey site because they were refused by the gatherers of the escorts were realized by the sweat of blood shed by Iris and the others. "Hey, that was really helpful. Because there's not that much left to do! "... is that true? Are you sure? Even though this investigation is coming up? "Of course! Investigations are important to be prepared in advance. It's all right! From his previous achievements, Nordrad laughs furiously at Iris, who is caught up in a rather suspicious ghost. In fact, if the Iris and Iris had rejected the experiments so far, Nordrad would not have been forced to either, but there was no denying that the demands escalated somewhat to the two dissatisfied but firmly ripe for work. The good and serious nature of Iris' upbringing was a disaster, and a fortunate result for Nordrad, but he also reflected that Nordrad was just a little overdone. Pretty rare for him. That's how unscrupulous I was. "It's my job, I'll do what I can..." "Unlike the manager, you're an ordinary person, us" If Sarasa asks, she must have said, 'I'm an ordinary person too!' and would make a claim that there are not many endorsers, but unfortunately, on this occasion, there was no advocate for Sarasa. "Ha..., if you're safe, I'll color the reward a little bit, so try harder" "Mm-hmm. If it's normal, I'd say no if it's more than a contract..." Until halfway through, it was' an easy job compared to a daily wage 'and the Iris, who even felt a little sorry for themselves, but after entering the lava lizard habitat, it was the first consecutive time that they were unscrupulous as if to regain the ease they had enjoyed so far. Worthy of a high daily wage - no, they demanded a job that was not worthy of a daily wage in a different way than before, and their spirit was cut galloping and quite exhausted with their strength. "Honestly, if it weren't for me, the walnuts, I would have woken up to the fluctuations in my intent to kill against Nord, wouldn't I? "Absolutely." "Huh? A walnut accidentally called his name and stuck to Iris' back tilts his neck wonderfully. Directly, he played an important role as a healing and personnel in restoring every night the spirit of the Iris, who were useless walnuts in their work, but were shredded for the first time in their day. If it weren't for the walnuts, the killers wouldn't have gone out with Iris until he had finished all of Nordrad's desired experiments. Nordrad drips cold sweat into the gaze of the unexpectedly sharp Iris, directed at Giroli. "Ha, that's it. Sarasa, thank you so much! "Even for walnuts. - Hey, we're here. This is where we crusaded Salamander."

そんなアイリスさんのなんやかんやを措けば、平常運転に戻った私たち。 花嫁云々はロレアちゃんの頑張りで棚上げにされ、私は今日も今日とて工房に籠もり、錬金術に邁進していた。 そこに顔を見せたのは、少し困ったように眉を寄せたロレアちゃんだった。 「サラサさん、今、ちょっとよろしいですか?」 「ん......? 良いよ、何かな?」 時間的にはまだお昼前。 ご飯ができた、と呼びに来るとき以外、あまり工房へは顔を覗かせないロレアちゃんの姿に、私は手を止めて彼女に向き直った。 「お邪魔してすみません。実はサラサさんを訪ねて、お客さんが来られて......」 「お客さん? の販売はもちろん的な素材であれば、最近はロレアちゃんでも買い取り査定ができるようになったので、私が呼ばれることも減っている。 の注文は(ごく一部を除いて)受け付けられないので、私が対応するしかない。 注文自体が少ないから、これも滅多にないんだけどね。 「いえ、残念ながらそうじゃないと思います。レオノーラさんの紹介状を持っている、と仰っていましたので」 「レオノーラさんの? それは、会わないわけにはいかないね」 レオノーラさんとは持ちつ持たれつの関係......いや、どちらかといえば、持たれる方が多いかも? そんな相手からの紹介状となれば、やはり配慮は必要。 「ちょっと待ってもらってて。ここを片付けて行くから」 「解りました」 錬成途中で放置はできないので、問題ないところまで作業を終わらせ、手早くその場を片付けた私は、店舗スペースへ向かう。 そこで待っていたのは、眼鏡を掛け代半ばほどの男性だった。 灰色がかった赤毛は、短めながらややボサボサ。 着ている服も実用性重視で丈夫そうながら、やや草臥れている。 細身ながらかなりの筋肉質、顔の造形自体は整っていて、素材は悪くないけど......身だしなみがちょっと残念。 採集者って感じじゃなさそう、かな――? 「お待たせしました」 出てくるまで少し時間がかかった私に、彼は気を悪くした様子も見せず、笑みを浮かべてそう応えた。 「ありがとうございます。えっと、それで今日はどのような?」 を作って欲しい、という依頼でもないだろう。 私の腕がレオノーラさん以上だなんて自惚れてはいないし、協力関係にはあるけど、お客を廻してもらわないといけないほど、困っているわけでもない。 不思議に思って尋ねる私に、彼は懐から取り出した封筒を差し出した。 「取りあえず、これが紹介状。読んでもらえるかな?」 「はい、拝見しますね」 開いてみれば、そこには確かにレオノーラさんの署名。 真贋が見分けられるほど詳しくはないけれど、必要なら後で共音箱を使って確認することもできる。 「――なるほど、研究者、ですか」 「そう。魔物の研究をしている、ノルドラッド・エヴァンス。ノルドと呼んでほしい」 紹介状に書いてあった内容を簡単に纏めるなら、『知り合いの研究者だから、可能な範囲で手伝ってやってほしい』というもの。 レオノーラさんの知り合いなら、協力するのもやぶさかじゃないけど、同時に『無茶を言われても聞く必要はない』と書いてあるのが、少し気になる。 「ほへー、魔物を研究する人っているんですね」 「数は多くないけどね。その中でもボクは、魔物の生態を研究しているから、更に珍しいと言えるかもしれないね」 少し驚いたように言うロレアちゃんに、ノルドさんは頷きつつ、そんな注釈を入れた。 実際、一般的に魔物の研究というと『魔物の素材を何に使うか』という研究が主流で、中級ぐらいに到達した、少し余裕のある錬金術師が行うことが多い。 これにより、これまではゴミとして捨てられていた素材に何らかの利用方法が見つかれば、それを見つけた錬金術師は、大きな利益と、それに勝る名声を手に入れることができる。 対して、ノルドさんが行っているという魔物の生態の研究は、それ自体はあまり利益に結びつかないため、ほとんど研究されることのない分野である。 「だから、大半の研究者は、お金がある貴族の道楽とか、そんな感じなんだよね」 「となると、ノルドさんも、どこかの貴族様......?」 「いやいや、ボクは数少ない例外さ。しっかりと成果も出しているからね。何冊か本も出しているんだけど、知らないかな?」 どこか得意げな表情で、嬉しそうにロレアちゃんに説明していたノルドさんは、そう言って私の方に顔を向けるけど――。 「すみません、寡聞にして......」 「そ、そっか。――うん、ボクもまだまだってことだね。もっと頑張らないとダメだね」 素直に答えた私の言葉に、ノルドさんは少し落胆したような表情を見せたが、すぐに気を取り直し、笑みを浮かべた。 でも、本なんて高価な物に関して私に訊かれても、困るだけである。 節約生活を送っていた私が、本を自分で買えるはずもないのだから。 私も錬金術師。 一般人よりも魔物に関する知識を持っているし、かなり頑張って勉強したことは事実だけど、それはその利用方法――つまり、素材としての知識に偏っている。 学校の図書館にある本もそっち方面が主体だし、そこに入っていなければ、ノルドさんの本がどんなに売れていても、私の目に触れることはない。 ――まぁ、まかり間違っても、魔物の生態に関する本が大量に売れることなんて、あり得ないんだけど。 そしてそれは、ロレアちゃんであっても容易に想像が付くことだったようで。 「えっと、本を出してそんなに売れるんですか?」 「もちろんさ! 最近出した『グライムティースの生態とその秘密』はも売れたんだ!」 嬉しげなノルドさんの様子に、ロレアちゃんが困ったようにチラリと私を見たので、私は控えめに首を振った。 本の出版形態には色々あるけれど、利益を求めて出す本が二八冊というのはどう考えても少ない。 きっちり端数まで言っているあたりが、妙に生々しい。 もし“錬金術大全”並みに高価だとしても、研究費を考えれば絶対に赤字だと思う。 「あ、たくさん売れても、さすがにこれだけじゃ研究費は出ないから、メインは別だよ? 魔物に関しては、研究費助成制度ってあるんだけど、知らない?」 身近に生息している割に、その生態があまり知られていない“魔物”。 それに関する情報を集めるために王国の採っている施策が、研究費助成制度である。 だが実際のところ、これはそこまで使い勝手の良い制度ではない。 褒賞金という形でお金がもらえるのは、あくまで研究結果として提出した論文に対して。 事前に申請して研究費を貰うことはできないし、貰える褒賞金の額も論文の内容次第で、研究にかかったコストは勘案されない。 つまり、最初に自己資金がなければ研究は始められないし、その結果に対する評価が低ければ、費用の回収すらできない。 とてもではないが生業とできるような制度ではなく、これまで貴族が趣味で行っていた研究の結果を、死蔵せずに公表させる程度の効果しか生んでいない。 「じゃあ、ノルドさんも、お金持ち......?」 「いや、ボクは数少ない例外。これまでの研究で、一度も赤字になったことはないからね!」 得意げに胸を張るノルドさん曰く、あまり費用のかからない研究から始めた彼は、常にかかった研究費以上の褒賞金を受け取り続けているらしい。 「これでも、魔物の生態研究界隈では、それなりに有名なんだよね」 「凄く狭そうな『界隈』ですね、それ」 「......うん、まぁね。一般人は全然知らないよね」 ロレアちゃんの遠慮のない言葉に、ノルドさんは一瞬沈黙し、しぶしぶと頷く。 「専門家のサラサさんでも知らないみたいですけど......?」 「......うん、まぁね。研究者じゃないと知らないよね」 「それって、一体何人ぐらい――」 「け、研究で利益を上げられるって凄いですよね! 普通、損失が出て当たり前なのに」 「だ、だろう!? 提出しても、銅貨一枚もらえない研究も多いんだよ?」 あまり詳しくない私でも、研究者の数が少ないことぐらいは理解できる。 でも、彼も一応お客さん。 なかなかに容赦のないロレアちゃんの追求を遮り、私が話を変えれば、ノルドさんも救われたような表情で話に乗ってきた。 「でしょうねぇ。しかし、何故グライムティースみたいな、超マイナー魔物を......」 一般人は名前すら知らず、知っている人でもあまり興味を持たないような、そんな魔物であるグライムティース。 錬金術でも、それを素材にする物があったかどうか、すぐには思いつかないぐらいにマイナーで使い道に乏しい。 そんな研究でも褒賞金を出しているあたり、研究費助成制度の審査はかなり緩いのか、それとも、それ以上にノルドさんの研究が素晴らしいのか。 けど、せめてもう少し一般的な......いや、名前は知られているけど、生態はあまり知られていないような魔物の研究をすべきじゃないかなぁ? 「うん。それは審査委員会からも指摘されてね」 「あ、やっぱり」 グライムティースの新たな使い道ならともかく、その生態を調査・報告されても、審査する方としても困ったんじゃないだろうか? 生息している場所に行けば、普通に捕まえられる魔物だし。 「だから今回はメジャーな魔物の研究にしたんだ」 「それが良いでしょうね。何にしたんですか?」 そう訊ねた私に、ノルドさんはニヤリと笑うと、その名前を口にした。 「サラマンダー。それが今回のボクの、研究テーマだ」

If you take such measures against Mr. Iris, we returned to normal driving. The brides were shelved because of Lorea's hard work, and I was still caged in the workshop today and moving on to alchemy. It was Lorea who frowned like a little trouble who showed her face there. "Mr. Sarasa, may I have a word with you now? "Hmm...? Fine, what is it? Still before lunch in time. I stopped and turned to her, looking like Lorea, who didn't really get a peek in the face to the workshop except when she came to call me dinner ready. "I'm sorry to bother you. In fact, visiting Sarasa, a customer came..." "Customers? Ordering smelter (artifact)? As well as selling regular smelting drugs (potions), if it is a common material, I have been called less lately because even Lorea can make a buyout assessment. But I just can't accept orders for smelters (artifacts) (except for a very small part), so I'll have to deal with them. The order itself is low, so I rarely have this either. "No, unfortunately I don't think so. I have Leonora's letter of introduction, he said." "Mr. Leonora's? We can't just not see each other." What kind of relationship do you have with Mr. Leonora... No, one way or another, maybe more? If it's a reference from someone like that, it still needs consideration. "Give me a minute. 'Cause I'm gonna clean this place up." "Understood." I can't leave it in the middle of smelting, so after finishing the work to no problem and cleaning up the place quickly, I head to the store space. Waiting there was a man in his mid-twenties with glasses on. The grey redhead is slightly bumpy while shortening. The clothes I'm wearing also seem practical and sturdy, while slightly grassy. Skinny but fairly muscular, the facial moulding itself is neat and the material isn't bad...... a bit too familiar. Doesn't it feel like a gatherer, huh? "Thank you for waiting" It took a little while for him to come out, and he didn't even show how disgusted he was, and he responded so with a grin. "Thank you. Uh, so what's it like today? Mr. Leonora's introduction would not have been a request to make smelters (artifacts) or smelters (potions). I'm not complacent that my arm is more than Mr. Leonora, and I'm in a cooperative relationship, but I'm not in trouble enough to have to turn my customers around. Asking me in wonder, he offered me an envelope he had removed from his nostalgia. "In the meantime, this is the reference. Can you read it? Yes, I'll take a look. If you open it, there's certainly Mr. Leonora's signature there. Though I am not familiar enough to tell the truth, I can also use a symphony box to check later if necessary. "- I see, researcher," "Yes. I'm studying demons, Nordrad Evans. I want you to call me Nord." If you want to briefly summarize what was written in the reference, 'I'm a researcher I know, so I want you to help me to the extent possible'. If you know Mr. Leonora, it's not too vulgar to cooperate, but at the same time it says, 'You don't have to ask me if I'm unscrupulous', which is a little bothering. "You know, people study demons." "There's not a lot of them. Among other things, I'm studying demonic ecology, so I might say it's even rarer." To Lorea, who says a little surprised, Mr. Nord nodded and put in such an annotation. In fact, research on demons is commonly dominated by research on 'what to use demonic materials for', often carried out by alchemists who have reached intermediate levels or so and have a little leeway. This allows the alchemist who finds it to gain a great deal of profit and a better reputation than it does if he finds some way to use it in materials that have previously been discarded as garbage. In contrast, the study of the demonic ecology that Mr. Nord is conducting is an area that is seldom studied because it is not in itself very profitable. "So the majority of researchers are like," You know, noble roadwalks with money, " "Then Mr. Nord, too, some nobleman......? "No, no, I'm one of the few exceptions. Because it also delivers solid results. I've got a few books out there, don't you know? With a good look somewhere, Nord, who was happily explaining to Lorea, said so and turned to me... "Excuse me, oligarchy..." "Oh, well. - Yeah, that means I'm still here, too. We have to work harder." To my words, to which I answered honestly, Mr. Nord gave a slightly discouraged look, but he immediately regained his mind and smiled. But even if you ask me about books, they're just troublesome. I was saving my life because I couldn't have bought the book myself. I'm an alchemist too. I know more about demons than the average person, and it's true that I studied pretty hard, but that's how I use them - that is, I'm biased in my knowledge as a material. The books in the school library are dominant that way, and if they're not in there, no matter how sold Mr. Nord's books are, they won't touch my eyes. - Well, even if I'm wrong, it's impossible for a book on demonic ecology to sell in large quantities. And that seemed to be something that even Lorea could easily imagine. "Uh, can you put out a book and sell it that much? "Absolutely! I recently sold copies of The Ecology of Grime Tease and its Secrets! I shook my head modestly because Lorea looked at me like I was in trouble with the happy Mr. Nord. Although there are many different forms of publication of books, it doesn't matter what you think that there are twenty-eight books to be released for profit. It's strangely vivid around exactly what I'm saying to the fraction. Even if it's as expensive as "alchemy”, I think it's definitely a deficit given the cost of research. "Oh, even if you sell a lot, that's exactly why you don't pay for research, except for the main one, right? As for demons, there's a research grant system, don't you know? “Demons" whose ecology is not well known for living close to them. The measure adopted by the Kingdom to gather information on it is the research grant scheme. But the truth is, this is not that user-friendly of a system. You get paid in the form of a prize only for a paper you submit as a result of your research. You cannot apply in advance to receive research expenses, and the amount of prize you can receive depends on the content of the paper, and the cost of the research will not be taken into account. In other words, research cannot be started without first self-funding, and if the results are undervalued, the costs cannot even be recovered. It is not a very, but not a system that can be made productive, and has only produced such an effect that the results of the studies previously carried out by the nobles in their hobbies are made public without dying. "So, Mr. Nord, too, rich......? "No, I'm one of the few exceptions. I've never had a deficit in my research before! Mr. Nord, who is adept at chesting, says that starting with less expensive research, he continues to receive more prizes than he has always spent on research. "This is still quite famous in the demonic ecological research neighborhood." "That sounds like a very narrow 'neighborhood', that" "... yeah, well. The average person doesn't know anything about it." To Lorea's unhesitant words, Mr. Nord silenced for a moment and nodded perhaps. "Even expert Sarasa doesn't seem to know...? "... yeah, well. You don't know I'm not a researcher." "How many of them are there?" "Gee, it's amazing how profitable research can be! Normally, even though it's normal to lose." "Right!? Many studies don't get a single piece of copper coin when you submit it, do they? Even if I'm not very familiar with it, I can understand the small number of researchers. But he's also a customer for once. It blocked Lorea's pursuit, which was quite unforgiving, and if I changed my story, Mr. Nord came into the conversation with the same look that he had been saved. "It would be. But why do you have a super minor demon, like a grime tease..." The average person doesn't even know his name, and even those who do, he's such a demon, Grime Tease, who doesn't seem to be very interested. Even alchemy is so minor and lacking in use that I can't immediately think of anything to make it into material. Is the review of the research grant system rather slow around even giving prizes for such research, or is Mr. Nord's research even better than that? But at least a little more common...... no, the name is known, but I was wondering if we should do a study of demons like ecology is less known? "Yeah. That was also pointed out by the jury." "Oh, I knew it" Regardless of Grime Tease's new use, I wonder if he had trouble investigating and reporting on its ecology or as a judge? If you go where you live, it's a demon you can catch normally. "That's why I made this a major demon study." "That would be good. What did you do? When he asked me that, Mr. Nord laughed niggardly and said his name. "Salamander. That's my research topic."

翌朝、培養容器に魔力を供給し終えた私は、テント作りに取り掛かった。 私が引いた線に沿って、アイリスさんたちが革を裁断。 貼り付ける革、両方の糊代にたっぷりとカワックを塗ったら、互いを合わせて木槌で叩き、しっかりと密着させる。 そして数分も待てばの革は完全化、その強度は一枚物の革以上となる。 縫い合わせるより簡単で、強度も高く、浸水の心配もない。 そのコストにさえ目を瞑れば、カワックはとても優秀なのだ。 ......まぁ、目を瞑っても、なお眩しいほどのお値段だから、なかなか使えないんだけどね。 ぐらい商品価格が高くないと、とても使えないほどに。 だが、便利なことは間違いなく、テント自体はその日のうちに完成、その翌日にはフローティング・テント化も終わる。 なども作製しながら培養容器への魔力供給も続け、出発の前日、ついに 錬金生物 ◇ ◇ ◇ 「できたの?」 「はい。予想よりも少し成長が遅くて、やきもきしましたが、ギリギリ間に合いました」 完全に成長しきるまで、。 当初の予想よりも一日以上長い。 私が慣れていないからか、予測が甘かったのか、それとも使った素材の問題か。 初めて作った物だけに、原因はよく判らない。 でも、ま、無事に完成したんだから良いよね? 「これが今回作った 培養液を拭き取るため、タオルに包んでいた 「か、か、かわい~です~!」 「こ、これは......予想以上に可愛いな!?」 よいしょ、よいしょとタオルから出て、テーブルの上にちょこんと座ったその姿は、小さな子熊。 毛は薄茶色で、光の加減では金色っぽくも見える。 片手の上に載るほどに小さく、とってもモコモコ。 それを見て、ロレアちゃんは歓声を上げて手をワタワタと動かし、アイリスさんもまた、テーブルの上に身を乗り出して、じっと見つめている。 「私もこれは予想外。 「いえ、やり方次第で結構自由になりますが、今回は比較的作りやすかった、この姿にしました」 この姿形の理由は、半分ぐらいが作りやすさの問題で、残り半分は私の趣味。 の形は魔力を注ぐときの、術者のイメージによって誘導が行える。 しかしその難易度は使った素材に左右され、どんな形にでもできるわけじゃない。 今回であれば、サラマンダーとヘル・フレイム・グリズリーの素材を使っているので、熊とか蜥蜴に近い形なら容易で、例えば魚の形にするのは、かなり難しい。 逆に言えば、使用する素材を調整することで、いろんな姿の ただし、人型にはダメ。 少なくともこの国に於いては、人型の 技術的に不可能かどうかは......禁止されている時点で、解るよね? 「つまり、作るのであれば、蜥蜴か熊だったわけか」 「はい。であれば、やっぱり熊ですよね?」 蜥蜴がカワイイと言う人もいるかもしれないけど、私としてはやっぱりモコモコの熊の方が可愛いと思う。 そしてそんな私の好みは、みんなに受け入れられたらしく、全員が深く頷く。 「うむ、当然だな。この大きさは? 熊にしても、ずいぶんと小さいが」 じゃないですし、あまり大きいと邪魔になるじゃないですか。今回のことが終わったからと、処分するわけにもいきませんから」 「だ、ダメですよ、そんなの!」 「もちろんしないよ? それにこの姿なら、店番をするロレアちゃんの隣に置いていても、違和感がないでしょ?」 慌てて声を上げるロレアちゃんを落ち着かせるように私は微笑み、 「さ、触っても良いですか!?」 「うん、構わないよ」 はモゾモゾと動いて腹ばいになる。 「はわぁぁ、温かくて、モフモフです~」 「私! 次は私! ロレア、代わってくれ!」 「ちょ、ちょっと待ってください! 私ももっと堪能したいんです!」 ロレアちゃんが恐る恐る背中を撫でて顔を蕩けさせると、アイリスさんも指を伸ばして首筋の辺りをくすぐり、口元を緩める。 の方は、そんな二人の手の動きもあまり気にせず、気持ちよさそうに「がう~」とか言いながら、目を細めるのみ。 「店長さん、あれって大丈夫なの? 一応、熊なんでしょ? 店長さんが動かしているわけじゃなくて、自立してるのよね?」 ですし、私たちの子供みたいなものですから」 魔力的な繋がりがあるのは私だけだけどの因子も入っているので、少なくとも攻撃されるようなことはないはず。 もっとも、とてもよく慣れたペットぐらいな感じなので、何しても反撃されないってわけじゃないんだけど。 「なら、少しは安心だけど......他の人の場合は?」 「それはその時々、でしょうか。性格は私たちの影響を受けてますから、いきなり噛みついたりはしないと思いますけど。――私たちの中に、秘めた攻撃性でもない限り」 「攻撃性......」 ケイトさんは私、ロレアちゃんと視線を移していき――少し心配そうに眉を寄せる。 「ちょっとだけ、心配なんだけど」 誰の性格が心配なのかは、あえて問うまい。 一応、貴族の令嬢なのに、採集者になっていたりする誰かの所で、視線が止まったのはたぶん気のせい。 「ま、まぁ、大丈夫ですよ。勝手気ままに、その辺りを歩き回るわけじゃないですから」 動物のように見えても動力源は私の魔力で、食事をするわけじゃないし、命令しなければ家の外に出たりもしない。 「サラサさん! 名前は? 名前はなんて言うんですか?」 「え? 名前? 別に付けてないけど――」 「付けましょう! 名なしなんて、可哀想です!」 「そうだな! 可愛い名前を付けないとな!」 言下に強く主張するロレアちゃんと、コクコクと何度も頷いて、それに賛同するアイリスさん。 ......どうしよう。想像以上に、二人の食いつきが良いんだけど。 私も可愛いとは思っているけど、どちらかといえばぬいぐるみのような感覚。 は飽くまでも実用品なので、あまり愛着を持ちすぎると色々と困る。 本来の役目が危険な場所の偵察や、身を挺してでもロレアちゃんたちを守ることなのに、愛着によってその行動に躊躇いが出てしまえば、本末転倒。 何のために作ったのか、ということになってしまう。 かといって、喜んで可愛がっている二人から取り上げるのは忍びなく。 私が助けを求めるようにケイトさんに視線を向ければ、ケイトさんは『心得た』とばかりに深く頷き、「ねぇ、二人とも」と声を掛けた。 良かった。 ケイトさんなら、きっと穏便に二人を落ち着かせて――。 「次は私の番よね?」 あれぇ――!? 「なっ!? ケイト、ずるいぞ! 私もまだ抱いてないのに!」 「私なんて、まだ触ってもないわ。――わっ、柔らかい毛並み。ヘル・フレイム・グリズリーとは全然違うわ」 をロレアちゃんの手から取り上げたケイトさんは、両手でその身体を撫で繰り回す。 「ケイト、代わってくれ!」 「もうちょっと良いでしょ。この手触り、癖になるわ。こちょこちょ」 「がう、がう!」 を仰向けにひっくり返し、お腹をくすぐれば、両手両足をぱたぱた動かして、気持ちよさそうに目を細める。 それを見たケイトさんも、緩みそうになる表情をなんとか堪えるかのように、口角をピクピクと動かしている。 うん、ダメだ。ケイトさんには期待できそうもない。 というか、素直に表情を崩せば良いのに。 体面を気にするような関係じゃないよね? 私たち。

Alchemy Organisms () The next morning I finished supplying the culture container with magic, and I worked on building a tent. Along the line I drew, Mr. Iris and the others cut the leather. Once you have applied plenty of kawak to the leather to be pasted, both paste bills, beat each other with a wooden hammer and snug them tight. And if you wait a few minutes, the two leathers will be completely integrated, and their strength will be more than one piece of leather. Easier than stitching, more intense, no worries about flooding. If you only meditate on the cost, Kawak is very good. ... Well, meditating on your eyes is hard to use because it's still dazzling. That's why if the product price is not as high as the smelter (artifact), it will be very unusable. But there is no doubt that convenience, the tent itself will be completed within that day, and floating tenting will be finished the day after that. Continuing to provide magic to the culture vessel while also producing resonant stones, smelters (potions), etc. that Iris and the others were allowed to hold for safety, the day before the departure, the alchemy organism (Homunculus) was finally completed. ◇ ◇ ◇ "Did you? "Yes, I grew a little slower than I expected, and I did, but I made it" Four whole days until it's fully grown. More than a day longer than originally expected. Is it because I'm not used to it, the prediction was sweet, or is it a matter of the material I used? I'm not sure what caused it, just the first time I made it. But, Ma, we're done, right? "This is the alchemy that I made this time." To wipe away the culture, if the alchemy (homunculus) wrapped in the towel was placed on the table as it was, it moved with the mozo and pushed the towel away to make a good face. "Oh, that's cute!" "Ko, this is... cuter than I expected!?" At last, out of a good towel, sitting a little bit on the table, the little bear. Hair is light brown and looks golden with the addition or subtraction of light. Small enough to be on one hand, very mockingbird. Seeing that, Lorea cheered and moved her hand wacky, and Mr. Iris also stepped out on the table and stared. "I don't expect this either. Is this what alchemy is all about? "No, I'll be quite free depending on how I do it, but this time it was relatively easy to make, I made it look like this" The reason for this figure is that about half of it is a matter of ease of making, and the other half is my hobby. Alchemy creatures (homunculus) can be guided by the image of the surgeon when instilling magic. But the difficulty depends on the material used, and it can't be done in any way. In this case, it is easy if you are using salamander and Hell Flame Grizzly material, so close to a bear or lizard, for example, it is quite difficult to make it into a fish shape. Conversely, a variety of alchemy organisms (homunculus) can be made by adjusting the materials used. However, not for the person type. At least in this country, the production of human-type alchemy (homunculus) is prohibited. Whether it's technically impossible... at a time when it's banned, you know what I mean? "I mean, if you're going to make it, was it a lizard or a bear" "Yes. If so, it's a bear, isn't it? Some people might say lizards are cute, but as far as I'm concerned, I still think mockingbirds are cuter. And my taste for that seems to have been accepted by everyone, and they all snort deeply. "Um, naturally. What size is this? Even for a bear, it's a lot smaller." "It's not a combat alchemy (homunculus), and if it's too big, it can get in the way. We can't dispose of this because it's over." "No, you can't, no! "Of course you won't, will you? Besides, if you look like this, even if you put it next to Lorea, who does the store number, it's not uncomfortable, is it? I smiled and held up the alchemy creature (homunculus) to calm Lorea, who raised her voice in haste, and offered it to Lorea. "Sa, can I touch it?!?" "Yeah, I don't mind." Pong over the hand of Lorea offered, the alchemy creature (Homunculus) moves with Mozomozo and becomes belly hungry. "Wow, it's warm, it's Moffmoff ~" "Me! Me next! Lorea, take my place! "Hey, wait a minute! I want to be more indulgent too! As Lorea strokes her dreaded back and makes her face wander, Mr. Iris also stretches her fingers to tickle around her neck and loosens her mouth. By contrast, if you are an alchemy creature (homunculus), you don't really care about the movement of those two hands, but only narrow your eyes while saying "gush" to make you feel good. "Mr. Store Manager, is that okay? For once, you're a bear, aren't you? The manager's not moving it, he's independent, right? "It's okay if we touch it. Even bears are alchemy creatures (homunculus), and they're like our children." I'm the only one with a magical connection, but it also has three factors in it, so at least there shouldn't be anything like being attacked. Most of all, it feels like a pet I'm very used to, so it doesn't mean they won't fight back at all. "Then I'm a little relieved... what about the others? "Is that sometimes? My personality is under our influence, so I don't think I'm going to bite all of a sudden. - Unless some of us are also secretly aggressive." "Aggressive..." Mr. Kate shifts her gaze with me, Lorea - frowning a little worried. "Just for a second, I'm worried" I can't dare ask whose personality I'm worried about. For once, even though I'm a noble lady, I'm probably worried that my gaze stopped at someone who might be a gatherer. "As it were, well, it's okay. I'm not walking around on my own." Even if you look like an animal, the power source is my magic, and I'm not eating, and I'm not going out of the house unless you order me to. "Mr. Sarasa! What's your name? What does your name say? "Huh? Name? I didn't put anything on it." "Let's put it on! How pathetic of you to have no name! "Right! You have to give me a pretty name! Lorea, who insists strongly below, and Iris, who nods over and over again and agrees with it. ... What shall I do? Better than I imagined, you two are good eaters. I know I'm cute too, but it feels more like a stuffed animal. Alchemy (homunculus) is a practical product, so too much attachment makes it difficult. If your original role is to scout dangerous places, or even stand up and protect Lorea and the others, but your attachment makes you hesitant to act on them, then you fall down. It comes down to what I made it for. Or so, I don't have the nerve to take it away from you two who are happy and adorable. If she turned her gaze to Kate as I asked for help, Kate nodded deeply all the time, "Hey, both of you," she said. Good. If you're Kate, I'm sure you two can calm down in peace... "It's my turn next, isn't it? That -!? "Become!? Kate, that's sloppy! I haven't even held him yet, either! "I can't believe I haven't even touched you yet. - Wow, soft hairy. It's nothing like Hell Flame Grizzly." Kate caresses her body with both hands after listening to Iris protest and taking the alchemy creature (Homncrus) out of Lorea's hands. "Kate, take my place! "It's a little better, isn't it? This touch is a habit. Come here." "Ha, ha! If Kate flips the alchemy creature (homunculus) upside down and tickles her stomach, she moves her hands and feet flat and narrows her eyes to make her feel good. Kate, who saw it, also moves the corner of her mouth pimply, as if she could manage to get a loose look. Yeah, no. It's unlikely I can count on Mr. Kate. Or I wish I could honestly break my expression. It's not like you care about decency, is it? Us.

「ふむふむ、やっぱりヘル・フレイム・グリズリーはいないんだね」 防熱装備に変更してしばらく。 溶岩トカゲが生息している辺りまで到達したノルドラッドは、メモを片手に周囲を観察したり、泥濘の温度を測ったり、 アイリスたちは護衛としてその周囲に立っているが、前回来たときと同様、溶岩トカゲが積極的にアイリスたちに襲いかかってくることはなかった。 ここにいたのがヘル・フレイム・グリズリーであればまた別だったのだろうが、サラサがサラマンダーを斃してそれなりの日数が経過しているにもかかわらず、少なくともアイリスの目で見た限り、周辺の生態系に変化は見られなかった。 「店長殿曰く、追い出されたのだろう、と。そのおかげで、村が襲われたのだが」 「村が襲われるかはともかく、溶岩トカゲによってヘル・フレイム・グリズリーなど、他の魔物が行き場を失うのはよくあることみたいだね。前回の調査地でも、サラマンダー周辺にいたのは、溶岩トカゲだったし」 「ノルドさん、他の魔物がサラマンダーの周辺にいることはないの?」 「う~ん、調査中、というべきかな? 今のところ、溶岩トカゲ以外を見たことはないけど、まだサンプル数が少ないから」 「それを調べるのが、研究者、ということか」 「そうだね。サラマンダーだけを調べるんじゃなくて、その周辺の関連する物までしっかり調べてこそ評価される――つまり、褒賞金を多くもらえる」 ある意味では少々生々しい、だがとても重要なノルドラッドの言葉に、アイリスが『なるほど』と感じ入ったように頷くと、ノルドラッドはにんまりと笑って言葉を続けた。 「前回の調査地では、そこまで手が回らなかったから――ということで、アイリス君。ちょっと溶岩トカゲを生け捕りにしてくれないかい?」 「「.........はい?」」 揃って暫し沈黙、仲良く首を傾げたアイリスたちに、ノルドラッドは肩をすくめる。 「いや、だって、なんで溶岩トカゲは、沸騰する泥濘に入っても生きていられるのか不思議だと思わないかい?」 「......魔物だからじゃないのか?」 「それで片付けてしまっては、魔物の研究なんてできないよ。可能なら原理の究明、それができなくても、どれぐらいの温度まで耐えられるのか、火で燃やした場合はどうなのかなど、調査しないと」 「単純な生態調査だけじゃないんですね」 「そうだね。見たことだけを書いても大して評価されない。それに、よく知られている情報でも、実際に自分で実験して確かめないと。仮に同じ結果になるとしてもね」 言っていることは、とてもまとも。 ある意味、研究者の鑑。 しかし、要求していることは、かなり無茶。 遠距離から溶岩トカゲの目を射抜けるケイトを以てしても、溶岩トカゲの生け捕りは簡単にできることではない。 いや、射抜けることが意味を持たないというべきだろうか。 生け捕りなんて完全な力業。 サラサのような魔法使いでもなければ、体力、筋力こそが物を言う。 もっとも、普通の装備では触っただけで火傷してしまう溶岩トカゲ。防熱装備がなければ取り押さえることすらできないのだが。 「......やるの? アイリス」 伺うように確認するケイトに、アイリスは渋い表情で頷く。 「やるしかないだろう。相場以上の報酬をもらうんだ。クライアントの要望には、応えざるを得ない」 「そうよね、楽な仕事で高い報酬なんて、ないわよね。アイリス、身体強化の方は?」 「後のことを考えなけれ程度はいけるが、動けなくなるわけにはいかないからな。現実的が限度だろう。ケイトの魔法の方は?」 「多少地面を柔らかくすることはできるけど、その程度ね」 ケイトとロレアがサラサから魔法を習う傍ら、最近はアイリスもまた、魔力による身体強化の指導を受けている。 その結果、村に来た当初は身体強化などまるでできなかったアイリスも、多少はそれを使いこなせるようになっていた。 魔力量が特別多いわけではなく、その使用効率もまだまだ未熟であるため、持続時間は短いのだが、サラサの普段の行動からも判る通り、身体強化の効果は非常に高い。 その上、アイリスの元々の筋力がサラサよりも多いこともあり、瞬間的にはアンドレなどのような屈強な男を上回る膂力を出すことができる。 つまり、溶岩トカゲを取り押さえることも不可能ではないのだが、如何せん人手が足りない。 「基本的には、押さえつけてロープで縛るしかないと思うが......」 「どうやってそこまで持っていくか、よね。......罠とか?」 「だが、それで私が上手く上半身を押さえても、尻尾がある。あの攻撃も、かなり強力だぞ?」 「私だけじゃ......ノルドさんも手伝ってくれますか?」 「ボクにできることなら、もちろん。戦いは得意じゃないけど、筋肉なら貸せるよ?」 それを言うなら力である。 だが、あれだけの荷物を背負って採集者であるアイリスたちに平然とついてくる体力、筋力はかなりのもの。 溶岩トカゲの生け捕りに役立つことは間違いない。 それ故ケイトは、細かいことはさらりと流し、本来の要求を提示する。 「......ありがとうございます。ただ、できれば研究者としての知恵も貸して欲しいんですが?」 「知恵? 筋肉じゃなく? だったらあれだね。生け捕りのときにいつも使っている網があるから、あれを使おう。特殊な網だから、溶岩トカゲにも対応できるはずだから」 ――そんな物があるなら、最初に教えて欲しかった。 ――研究者は頭脳労働者じゃなかったか? ケイトとアイリスはそんな気持ちを飲み込みつつ、三人で相談。 生け捕りまでのおおよその方策を決めたのだった。 ◇ ◇ ◇ 溶岩トカゲに向かってケイトが矢を放った。 硬い所にあたったそれはカツンと撥ね返されたが、それで問題ない。 単独の溶岩トカゲは、反撃よりも逃走を選ぶ。 それはすでに何度も経験していること。 「アイリス! 行ったわよ!」 「あぁ! ていっ!」 待ち構えていたアイリスが、軽く攻撃を加えて逃げる方向を調整。 溶岩トカゲを追い込んだのは、ケイトが泥状にした地面に、ノルドラッドの持っていた網を隠した場所。 ここに至るまでには、単独でのんびりしていて、逃げる方向が調整でき、罠を仕掛ける余地もある、そんな都合の良い場所にいる溶岩トカゲを探すという、かなり困難な作業があったのだが、取りあえずは割愛。 せっかくそんな溶岩トカゲを探し当てても、罠を仕掛けている間に移動されたり、想定した方向に逃げずに失敗したりという苦労もあったのだが、そっちも割愛。 幾多の困難を乗り越え、ついに溶岩トカゲを罠に追い込んだアイリスたちは口を揃えて叫んだ。 「「ノルド(さん)!!」」 「任せてくれ!」 ノルドラッドが思いっきり縄を引くと、地面に隠されていた網が跳ね上がり、溶岩トカゲに絡みつく。 動きを阻害された溶岩トカゲはバタバタと逃れようとするが、そこにアイリスが突っ込んで、伸し掛かるようにその頭を押さえ込んだ。 「くっ、熱い! ケイト! ノルド! 早く頼む!」 「今行くわ!」 溶岩すらある程度は耐えうるアイリスの装備であれば、溶岩トカゲの体温で火傷したりはしないが、表に出ている顔の部分などには効果が薄いし、万そこが溶岩トカゲに触れてしまえば火傷は確実。 それを避けつつ、アイリスは伸し掛かるようにして、暴れる溶岩トカゲをなんとか押さえつけるが、筋力は強化できても体重差は大きく、ズリズリと引きずられてしまう。 慌てて駆け寄ったケイトが、後ろ足にロープを掛けようとするが、溶岩トカゲの足の爪は鋭く、それに引っ掛けられただけでも、大怪我は免れない。 「し、尻尾も、かなり力が強いな!?」 ノルドラッドも抱きつくようにして尻尾を押さえるが、溶岩トカゲも必死である。 ビッタン、バッタン、勢いよく地面に叩きつけられる尻尾の威力は大きく、転がっている岩を砕くほど。 まともにくらえば、骨などあっさり粉砕されるだろう。 「ぐぬぬ......」 地面に足を引っ掛けて、必死で踏ん張るノルドラッドだったが――。 「ぬあっ!」 僅かに足が滑ったその瞬間、ノルドラッドの身体が宙を飛んだ。

"Hmm, I knew there wasn't a Hell Flame Grizzly" Changed to heat protection gear for a while. Reaching the area where the lava lizard lived, Nordrad was vigorously investigating, observing the perimeter with one hand the notes, measuring the temperature of the mud, and measuring the air drifting around him with smelters (artifacts). The Iris stand around it as escorts, but just like the last time they came, the lava lizards never aggressively attacked the Iris. I guess it would have been different if it had been Hell Flame Grizzly here, but even though quite a few days had passed since Sarasa shot Salamander, at least as far as Iris' eyes could see, there had been no change in the surrounding ecosystem. "My lord the manager said, he must have been kicked out. Because of that, the village was attacked." "Regardless of whether a village is attacked, it seems common for other demons to lose their way, such as Hell Flame Grizzlies, by lava lizards. At the last survey site, it was a lava lizard that was around Salamander." "Mr. Nord, don't you ever have any other demons around Salamander? "Uh-huh, under investigation, should I say? So far, I've never seen anything other than lava lizards, because I still don't have many samples" "It's the researchers who look into it," he said. "Right. Rather than just looking into salamanders, it's only by looking closely at relevant objects around them that they appreciate - that is, they get a lot of rewards." When Iris nodded as he felt 'I see' into Nordrad's words, which were a little vivid in a way, but very important, Nordrad laughed at the garlic and continued the words. "At the last survey site, because I couldn't reach that far - so, Mr. Iris. Can you catch a little lava lizard alive? ""... Yes? Nordrad shrugs his shoulders to Iris, who tilted his neck amicably and temporarily in silence. "No, 'cause don't you wonder why lava lizards can live in boiling mud? "... Isn't it because you're a demon? "If you clean it up, you can't study demons. If possible, we need to investigate the principles, even if we can't do so, how much temperature we can withstand, and what if we burn it with fire." "It's not just a simple ecological survey." "Right. Writing only what you see is not greatly appreciated. Besides, even well-known information needs to be actually experimented with and ascertained for itself. Even if it turns out the same way." What you're saying is very decent. In a way, the researcher's book. But what you're demanding, it's pretty lame. Even through Kate, who shoots through the eyes of a lava lizard from a distance, the survival of a lava lizard is not an easy thing to do. No, should I say that shooting through doesn't make sense? What a complete force to catch alive. If you're not a wizard like Sarasa, strength, muscle strength is what says things. Most importantly, lava lizards burn just by touching them in normal equipment. I can't even hold them off without heat protection gear. "... you do it? Iris." Iris nods with a reluctant look at Kate confirming to ask. "We'll have to do it. Get paid more than the market. We have to respond to our clients' requests" "Right, there's no such thing as high pay for an easy job, is there? Iris, what about physical enhancement? "If you don't think about it later, you can do about five minutes, but you can't stop moving. Realistically, two or three minutes would be the limit. What about Kate's magic? "I can soften the ground somewhat, but to that extent." Beside Kate and Lorea learning magic from Sarasa, Iris has also recently been coached on physical enhancement through magic. As a result, Iris, who initially came to the village as if he had not been able to strengthen his body, was also able to use it somewhat. The duration is short because the amount of magic is not particularly high and its efficiency of use is still immature, but as you can see from Sarasa's usual behavior, the effect of physical strengthening is very high. On top of that, sometimes Iris' original muscle strength is more than Sarasa's, and instantaneously he can outperform a bent man like Andre and others. I mean, it's not impossible to seize a lava lizard, either, but we're understaffed anyway. "Basically, I think we just have to hold it down and tie it with a rope..." "How do you take it that far, right?... traps or something? "But even if I hold my torso down well, I have a tail. That attack is pretty powerful, too, isn't it? "I'm not the only one...... can Mr. Nord help me too? "If it's something I can do, of course. I'm not good at fighting, but I can lend you muscle, okay? If you speak of it, it is power. But the strength, muscle strength, that comes flat on the Iris, the gatherers, with all that luggage on their backs, is considerable. It definitely helps to catch lava lizards alive. As such, Kate presents her original demands in detail. "... thank you. I just want you to lend me your wisdom as a researcher, if you can? "Wisdom? Not muscle? Then that's it. I have a net that I always use when I catch them alive, so let's use that one. Because it's a special net, it should be able to handle lava lizards." - If you have such a thing, I wanted you to tell me first. - Weren't the researchers brainworkers? Kate and Iris swallowed that feeling, while the three of us talked. We decided on an approximate strategy to capture him alive. ◇ ◇ ◇ Kate released an arrow towards the lava lizard. It hit a hard spot. It was ripped back, but that's fine. A single lava lizard chooses to escape rather than fight back. That's what I've already been through many times. "Iris! He's gone! "Ah! Go! Iris, who was waiting, made a slight attack and adjusted the direction of his escape. The lava lizard was driven into the muddy ground where Kate hid the nets that Nordrad had. By the time I got here, I had a pretty difficult task: to find a lava lizard that was in such a convenient place that I was relaxed alone, I could adjust the direction of escape, and there was room to set a trap, but for now, discount. Even as I searched for such a lava lizard, I had the difficulty of being moved while I was setting a trap, or failing without running in the direction I assumed, but there was also a discount. After overcoming many difficulties, Iris finally drove the lava lizard into the trap, shouting with his mouth together. "" Nord!! " "Leave it to me! When Nordrad pulls the rope as far as he wants, the nets that were hidden on the ground jump and become tangled up in lava lizards. The lava lizard, which was inhibited from moving, tried to escape with a bump, but there Iris penetrated and pressed its head into the stretch. "Damn, it's hot! Kate! Nord! Quickly, please!" "I'm coming now! If the lava is even somewhat withstandable Iris equipment, it will not burn at the body temperature of the lava lizard, but it will be ineffective for facial areas on the surface and so on, and in case that touches the lava lizard, the burn is certain. While avoiding it, Iris manages to hold back the rampant lava lizard by trying to stretch it, but the weight difference is huge even if his muscle strength can be strengthened, and he gets dragged down by a squirt. A rushed Kate tries to hang a rope on her rear leg, but the lava lizard's toenails are sharp, and even if she was just hooked to it, she won't be spared a major injury. "And your tail, you're pretty powerful!?" Nordrad also tries to hug and hold his tail, but the lava lizard is also desperate. Bittan, Battan, and Momentum. The power of the tail to be beaten to the ground is so great that it crushes the rocks that are rolling. If it were decent, it would be lightly crushed, such as bones. "Grunt..." I hooked my foot to the ground, and I was desperately stomping on Nordrad... "No! The moment his legs slipped slightly, Nordrad's body flew through the universe.

「素材が残っていれば、それで装備を調えることもできたのですが......」 「私たちが遭難したことが原因か。すまない」 言葉を濁した私に、アイリスさんが頭を下げる。 そうなんだよね。 の作製や、その試作などに使われ、お店の倉庫は空っぽ――じゃないね。 結構詰まってるね。使い道のない 結構邪魔なので、また整理して処分方法を考えないと。 「でも、アイリスさんたちの救助に使ったことは後悔してないので、良いですよ、そこは」 「かもしれないけど、その分は身体で返すわ。店長さん、アイリスを好きにして良いわ」 「そうそう、私の身体を――何でだ! そこは労働で返すところだろう!?」 さらりと主を売ったケイトさんの言葉に『うむうむ』と頷きかけたアイリスさんが、ぐりんっと首を回してケイトさんに詰め寄った。 「それはもちろんだけど、利息は払わないと。借金の残り、娼館に売り払われても文句が言えないような額なんだから。現状だと本格的には使えないけど、そこは今後ということで、取りあえずは寒い夜の湯たんぽ代わりにでも」 「使う!? 湯たんぽ!? 私の扱いが酷い! 店長殿、それならばむしろケイトがお薦めだ。柔らかくて温かい良い抱き枕になるぞ」 「ほぅ。どれどれ――」 確かにケイトさんは、なかなかに柔らかそうな物をお持ちだ。 思わず手を伸ばした私の手を、誰かがガシリと掴んだ。 顔を向ければ、そこには笑顔のロレアちゃん。 「サラサさん?」 「いや、冗談だよ? ちょっと触ってみたかっただけで――」 「大きすぎる抱き枕は邪魔ですよ? 私ぐらいがちょうど良いんじゃないでしょうか?」 「別に必要ないからね!?」 ロレアちゃんにはに寝た時に胸とか触られたことがあるけど、あれって本気じゃなかったよね? 村に同年代の異性がいないからと同性に走ってないよね!? 「私も冗談です。でも、アイリスさんたちの身体を好きにしても、お金は増えませんよね。――貸し出すならともかく」 「ロ、ロレア? それも冗談だよな?」 微妙に顔色を悪くして尋ねたアイリスさんに、ロレアちゃんはニコリと微笑む。 「はい、もちろん。――価値に見合ったお金を出せるような、貸し出し相手がいませんし。フフフ......」 「ねぇ、店長さん。ロレアちゃんが怖いんだけど」 「きっとケイトさんの悪影響ですね。純朴な田舎娘だったロレアちゃんが、こんなになっちゃって......よよよ......」 私がわざとらしく目元を拭うと、ケイトさんが深くため息をつく。 「ロレアちゃんがより多くを学んでいるのは、店長さんからだと思うけどね? まぁ良いわ。それでお金はどうするの? ミサノンの根を採りに行く前に、何か他の物を採集に行って、それで工面する?」 「それでも良いですが、時間が問題ですね。それに、また師匠に頼るのはちょっと......」 採取に行って、それを売却してから素材を買う。 行き帰りの時間を考えれば、サウス・ストラグまで売りに行く時間はなく、師匠の所に送って買い取りをお願いするしかない。 でも、最近は師匠に頼りすぎだよねぇ。 未熟だけど、一応は私も独立した弟子。 アイリスさんたちの命が懸かっているとか、取り返しが付かない場合は選択の余地もないけれど、自分でできる範囲のことは自分でなんとかしたい。 「私にも協力できることがあれば良いんですが。まさか、 そう言ったロレアちゃんは「私は戦えませんし」と付け加え、少し眉尻を下げる。 でも――。 を売る、か。それも手かもしれない」 ポンと手を打った私に、ロレアちゃんが瞠目して声を上げた。 「えっ!? やれと言われればやってみますけど、たぶん、買えるような人っていませんよ? この村。サラサさんのおかげで、少しは裕福になりましたけど」 「違うよ、ロレアちゃん。この村じゃなくて、他の町。具体的には、サウス・ストラグの町。レオノーラさんが許可してくれたら、だけど」 錬金術師のお店がある町で他の錬金術師が行商をしたり、露店を開いたりなんかしたら、そこの錬金術師に喧嘩を売るに等しいもの。 私だって、この村でそんなことされたら、絶対に敵対行為と見なすし。 現実的には、サウス・ストラグで売れそうな物を、レオノーラさんに相場よりも安い価格で引き取ってもらうぐらいかな? 「どうせサウス・ストラグには素材の調達に行かないといけないし、頼んでみる価値はあるよね。――買ってもらえなかったら詰むけど」 下手したら、商売、人生纏めてね。 フェリク殿下はそこまで横暴な人には見えなかったけど、王族の依頼を失敗するなんてこと、絶対に避けたい。 買い取りが無理なときは、レオノーラさんに借金......いや、債権の譲渡かな? 他の錬金術師への貸し付け、その債権を引き取ってもらえるよう交渉しよう。 「でもまずは、情報収集から始めようか。これなら、お金が掛からないし」 「了解だ。それは私とケイトで担当しよう。ミサノンの根の自生地で良いのか?」 「それが判れば最善ですね。あとは、冬山に入るための心得とか必要な物とか、そのあたりも訊いてきてください、可能ならば」 「解ったわ。――でもあまり期待しないでね?」 ケイトさんは頷きつつ、お客が誰もいないお店の方に視線を向ける。 「そんな知識を持った採集者がいれば、閑古鳥が鳴いているわけないし」 「ですよね~。今の時季に仕事をしていない時点で......ま、ダメ元でお願いします」 早速とばかりに出かけたアイリスさんたちを見送り、残った私とロレアちゃんは場所を台所へと移し、お茶を淹れ直していた。 「ふぅ~、やっぱりロレアちゃんの淹れてくれる、温かいお茶は美味しいね」 「ありがとうございます。それで、サラサさん、私たちは何を? 村長とかに話を訊いてきましょうか? あまり役に立ちそうにはないですけど」 「ううん、それは良いよ。この村の人は森に入っている様子はないし」 例外は猟師のジャスパーさんぐらいだけど、あの人も冬山にまでは足を延ばしていないだろう。 「私たちは、冬山で必要な道具の準備をします」 「準備ですか? でも、 「全然作れないことはないけど、まずはどんな物が必要か、それを作るために必要な素材は何か、それらをリストアップすることからかな?」 この村の採集者が冬山に行かないのなら、作っても使うのは私たちだけ。 必要以上に作ったところで、結局は倉庫で眠ることになる。 今の私に、そんな無駄なお金を使う余裕なんてない。 「ロレアちゃん、何がいると思う?」 「えっと......防寒着、は必須ですよね?」 「そうだね、なければ動けなくなるからね。サラマンダーの時に作った防熱装備もそれなりに有効だけど、防寒着を作った方が安心だね」 高温を防ぐことができるのと同様、低温も防ぐことができる防熱装備。 でも、防ぐことができるだけで、温かいわけじゃないんだよね。 普通のコートを着るよりはマシだろうけど、適しているとは言い難い。 「じゃあ、コートの中を温かくするような機能を追加すれば良いんですか?」 「それも必要だけど、それだけじゃダメ。冬山だと汗をかかないように行動するのが鉄則なんだけど、私たちはそういうわけにもいかないでしょ? 戦闘もしないといけないから」 周囲が低温の状況で汗をかくと、身体が冷えて風邪などを引きやすくなるし、酷い場合には凍傷になる。 かといって、当然ながら魔物が襲ってきたときに、汗をかかない速度でゆっくり攻撃、なんてできるはずもない。 必死に動かないと、汗で身体を壊す前に、敵の攻撃で身体が壊れる。 「だから、単純な防寒着だけじゃなくて、汗をかいても問題ないような下着も用意する必要があるんだよね。動きやすさも考えると、防寒着の方はフード付きのコート、厚手のズボン、雪山用のブーツに手袋、帽子に耳当て、かな」 「フードがあっても、帽子と耳当ては必要なんですか?」 「うん。フードを被っていたら視界が遮られるから。吹雪にでもならない限り、被らない方が良いね。他に身に着ける物としては、日焼け止めと目を保護する眼鏡かな」 「え? 冬なのに、そんなのが必要なんですか?」 意外そうに訊き返したロレアちゃんに、私は頷く。 寒いから日焼けとか、日差しとか、ちょっと意外に感じるのは解る。 でも、実際に活動してみたらすぐに実感できることでもあるんだよね、コレって。 「雪からの照り返しは結構キツいから。一日程度ならともかく、何日も活動すると肌が痛くなったり、目が炎症を起こしたりするんだよ。そのぐらいなら魔法でも治せるけど、ならないに越したことはないからね」 それに加え、戦闘の最中に眩しさでミスをする危険性を減らすためにも、眼鏡は地味に重要。余裕があるなら、絶対に用意すべき物である。 「他には、フローティング・テントの断熱性を上げる改修、夜温かく寝るための寝袋、体温を上げる 私がリストアップした物を見て、ロレアちゃんが「ふぅ」とため息。 「結構必要な物って多いんですね」 「準備不足が即座に命に関わるからね。私も慣れているわけじゃないし、過剰なぐらいの準備をしておきたいかな?」 「確かにこれだと、前金だけじゃ厳しそうです」 「うん。だから、できるところは節約しておきたいの。あまり性能を落とさずに済む、安い素材を活用して」 性能落として、命も落とすじゃ本末転倒。 性能が変わらない範囲で、コストダウンを図りたいところだよね。

"If I had any material left, I could have checked my gear with that..." "Is it because of our shipwreck? Sorry." Mr. Iris bows his head to me, clouding his words. That's right. Most of the material I've been saving is used to make smelters (artifacts) that I think I can use to rescue them, prototype them, etc., and the store warehouse is empty - it's not. You're pretty stuck. Useless smelters (artifacts). It's quite disturbing, so I need to sort it out again and figure out how to dispose of it. "But I don't regret using it to rescue Mr. Iris, so it's good, there's" "Maybe, but I'll give that back to you physically. Mr. Store Manager, you may like Iris." "Yes, my body. - Why! That would be where I would return it with labor!?" Iris, who nodded 'uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu "Of course I do, but I have to pay the interest. I can't complain about the remainder of my debt, even if they sell me out to a whorehouse. I can't really use it as it stands, but that means in the future, instead of hot tubs on cold nights for now." "Use!? Hot Tumpoo!? My treatment is terrible! Lord Store Manager, Kate would rather recommend it. It's gonna be a soft, warm good pillow." "Ho. Which..." Indeed, Mr. Kate has something that seems quite tender. Someone grabbed Gasilli for my hand, which I accidentally reached out to. If you turn your face, there's Lorea with a smile. "Mr. Sarasa? "No, I'm kidding, right? I just wanted to touch it." "Too big a pillow is in the way, isn't it? Isn't that about right for me? "I don't need anything!?" Lorea once touched my chest or something when we slept together, but you didn't mean that, did you? You're not running to the same sex because you don't have a heterosexual of your age in the village!? "I'm joking too. But even if you like Mr. Iris' body, it won't increase your money, will it? - Anyway, if you want to lend it." "Lorea, Lorea? That's a joke, isn't it? Lorea smiles nicely at Iris, who asked subtly pale. "Yes, of course. - I don't have a lender so I can give you money that's worth it. Huuuuuuuuuu..." "Hey, Mr. Store Manager. I'm scared of you, Lorea." "I'm sure it's Mr. Kate's negative influence. Lorea, who was a simple country girl, has become so..." Kate sighs deeply when I wipe her eyes deliberately. "I think it's from the manager that Lorea is learning more, right? Well, that's good. So what do you do with the money? Before you go pick up Missanon roots, go collect something else and work with it? "Still good, but time is the problem. Besides, relying on your master again is a bit..." Go pick it up, sell it, then buy the material. Given the time to get back and forth, I don't have time to go to South Strag to sell it, I just have to send it to my master and ask him to buy it. But you've been relying too much on your master lately. Immature, but for once I'm also an independent apprentice. I don't have a choice if Mr. Iris' life is at stake or if it can't be taken back, but I want to do what I can on my own. "I wish there was something I could do to help too. You can't just walk around selling smelters (artifacts) and smelters (potions)." "I can't fight," said Lorea, adding, slightly lowering her brow butt. But... "Oh well, sell the smelter (artifact)? That could be my hand, too." Lorea glanced up at me when I hit Pong and his hand. "What!? If you tell me to do it, I'll try, but maybe, no one can buy it, right? this village. Thanks to Mr. Sarasa, we have become a little wealthy though" "No, Lorea. Not this village, other towns. Specifically, the town of South Strag. Mr. Leonora would have given me permission." If any other alchemist does business or opens an outdoor shop in a town where there's an alchemist's shop, it's tantamount to selling a fight to an alchemist there. Even I would definitely consider it hostile if they did that in this village. Realistically, is it enough to have Mr. Leonora pick up something that's going to sell in South Strug at a lower price than the market? "We have to go to South Strag to procure materials anyway, and it's worth asking for, isn't it? - If you can't buy it, I'll pack it." If you suck, business, summarize your life. His Highness Felik didn't look that tyrannical, but I definitely want to avoid failing the royal request. When the buyout is impossible, you owe Mr. Leonora...... no, is it the assignment of a claim? Let's negotiate a loan to another alchemist so they can take that claim. "But let's start with gathering information. It won't cost you any money." "Copy that. Let's take charge of that with me and Kate. Is it good in the native fabric of Missanon roots? "It would be best if you could figure that out. Ask around what you know and what you need to get into Winter Mountain, if possible." "I get it. - But don't expect too much, okay? Mr. Kate nods, gazing at the shoppers who have no one. "If there were such a knowledgeable gatherer, there wouldn't be an idle bird ringing" "Right ~. At a time when I'm not working this season...... please don't do it again" I dropped off the Iris and the rest of them, who went all the way out quickly, and Lorea and I were moving the place to the kitchen and re-brewing the tea. "Phew, I knew you'd brew Lorea's, warm tea is delicious" "Thank you. So, Mr. Sarasa, what do we do? Shall we talk to the village chief or something? I don't think it's going to help much." "Yeah, that's good. People in this village don't look like they're in the woods." The exception is about Mr. Jasper, the hunter, but that guy wouldn't be extending his legs to Winter Mountain either. "We prepare the tools we need in Winter Mountain" "Are you ready? But you can't make smelters, can you? "There's nothing I can't make at all, but I guess it starts by listing what things you need, what materials you need to make them? If the collectors of this village don't go to Winter Mountain, we're the only ones who make it and use it. I just made more than I had to, and I'll end up sleeping in a warehouse. I can't afford to waste that kind of money on me right now. "Lorea, what do you think there is? "Er... cold proof clothing, is mandatory, right? "Right, because if it wasn't for you, I wouldn't be able to move. The heat protection gear I made when I was a salamander is quite effective, but it's safer to make cold clothes." Heat-proof equipment that prevents low temperatures, just as it prevents high temperatures. But you can just prevent it, it's not warm, is it? It would be better than wearing a regular coat, but it's hard to say it's suitable. "So should we add features that will keep you warm in your coat? "I need that, too, but not just that. It's the iron rule to act like we don't sweat when it's Winter Mountain, but we can't be like that, can we? Because we have to fight too." Sweating in situations of low temperatures around you will make your body colder and more likely to catch a cold or, in severe cases, frostbite. Or, naturally, when demons strike, attack slowly at a rate that doesn't sweat, there's no way you can do that. If you don't move desperately, before you break your body with sweat, your body breaks with enemy attacks. "So you need to have not just simple cold proof clothes, but underwear that you don't have a problem sweating. Considering the ease of movement, a hooded coat, thick trousers, boots for snow mountains, gloves, ears on hats, maybe." "Even with the hood, do you need a hat and ear patch? "Yeah. Because if you were wearing a hood, you'd be out of sight. Unless it's a snowstorm, I'd rather not wear it. Other things to wear are sunscreen and eye protection glasses." "Huh? It's winter, and you need that? I snort at Lorea, who asked me back unexpectedly. I know it feels a little unexpected, like sunburn, sunshine, because it's cold. But it's also something that you can actually feel as soon as you try to work with it, here it is. "Because the lighting back from the snow is pretty tight. Anyway, for about a day, my skin hurts or my eyes get inflamed when I'm active for days. I can cure that kind of magic, but I've never been there before." In addition, glasses are plain important to reduce the risk of making mistakes with glare during battle. If you can afford it, it should definitely be prepared. "Is there anything else I can make around floating tent insulation, sleeping bags to sleep warm at night, and heating smelters (potions)? You can buy regular groceries like rope." Look at what I've listed, and Lorea sighs, "Phew." "You need a lot of things." "Lack of preparation is immediately life-threatening. I'm not used to it, either, and do you want to be prepared for as much as excessive? "Sure, if this is it, it's going to be tough just with the advance." "Yeah. So I want to save where I can. Take advantage of cheap materials without losing too much performance" If you lose your performance, you lose your life. To the extent that performance remains the same, you just want to reduce costs.

「まぁ、良い。それで、ノルドのやりたい実験はこれで終わったのか?」 「そうだね。生きているサラマンダーの調査の方は、前回の調査地で概ね終えてるから。そこでは斃すことができなかったから、今回の実験が残ったんだよ」 「なら、体力が回復したら、早めにここを出よう。サラマンダーの巣にいるなんて、落ち着かない」 「そうですね。サラマンダーが追ってきたら困りますし」 その言葉通り、ケイトはそわそわと落ち着かない様子で、来た方向を何度も確認しているが、ノルドラッドの方はしっかりと地面に腰を下ろし、ゴソゴソと自分の荷物をあさると、あめ玉を取り出して口に放り込む余裕を見せている。 「なかなか巣から出てこない魔物だからね、サラマンダーは。討伐のときは、逆に引っ張り出すのに苦労するぐらい」 「ってことは、安心?」 「だと良いよね?」 ニヤリと笑い、もあめ玉を口に含むノルドラッド。 「含みがある言い方だな?」 「巣からは出てこないんだけど、どこまでが巣の範囲だと思う?」 「......それは何か? この洞窟内は巣の範囲、巣から出てこないサラマンダーも普通に徘徊するかも、と?」 「可能性はありそうじゃない?」 「嫌な可能性だな。否定できないが」 顔を顰めるアイリスを安心させるかのように、ノルドラッドは笑って肩をすくめると、あめ玉の入った袋をアイリスたちに差し出す。 「ま、低い可能性だよ。ボクたちみたいな小物をサラマンダーがわざわざ追ってくることなんて――」 「グオォォォォ!」 まるで、ノルドラッドの言葉を否定するかのように、洞窟内に響き渡る咆哮。 「「.........」」 ノルドラッドの動きが止まり、アイリスたちの冷たい視線が彼に突き刺さる。 余計なことを言いやがって、とばかりに。 「いや! ボクの言葉は関係ないよね!?」 「......言葉はともかく、誰とは言いませんが、サラマンダーの顎をぶん殴った人がいましたよね? 誰とは言いませんが!」 「あぁ、いたな。誰とは言わないが。普通、あんなことやられたら怒るよな?」 「いや、でもさ! あの一撃がなければ、ブレスが危なかったと思わないかい?」 慌てて言い訳をするノルドラッドだったが、アイリスたちの視線は変わらなかった。 「むしろ、唐突に攻撃されて、私たちが危なかったんですけど?」 「初動が遅れたからな。......これは、私たちが未熟とも言えるのだが」 どんな状況でも冷静に対処する。 それは必要な能力だろうが、ノルドラッドの行動は、思わず呆けてしまうのも仕方がないと思えるような暴挙である。 触れるだけで大火傷するようなサラマンダーに、誰が素手で殴りかかるのか。 ――いや、ここにいるわけだが。そんな非常識が。 「しかも、ブレスはブレスで、しっかり吹きかけられましたしね。店長さんの 「チラリとしか見てないけど、あれは?」 』の魔法を封じ込めた魔晶石です」 「あれだけの魔法を......やはり、さすがというしかないね」 にすること自体は、大半の錬金術師が行えるのだが、その対象は自分が使える魔法のみ。 その上、封じ込めた魔法の威力は、魔晶石の品質、大きさに加えて、加工を行った錬金術師の技量に依存する。 ここで言う『技量』とは、錬成の技量はもちろん、魔法の技量も含むため、込められる魔法の威力は、自分が扱える威力の範囲に制限される。 つまり、強力な魔法を封じた魔晶石を作れる錬金術師は、同時に強力な魔法使いでもあるのだ。 「ですが、あれは一つしかありません。ついでに言うと、私の耳には、微かな地響きが聞こえるのですが?」 「そ、そうなのかい? ボクには聞こえないけど......」 ノルドラッドは首を捻るが、ケイトの耳には、何か大きな生物が歩くような重々しい音が確かに届いていた。 そしてこの状況で、その生物が何かなど、考えるまでもないだろう。 「ケイトの耳は、かなり良いから信頼できる。あの氷の壁が突破されたと考えて、間違いないだろう」 「この気温だもの。放置していても解けるわよね」 「どうする? 今からでも出口に向かって走るか?」 「ちなみにノルドさん、サラマンダーを斃せたりは?」 微かな期待を込めてケイトは訊ねるが、当然というべきか、ノルドラッドはあっさりと首を振る。 「しないよ、さすがに。見ただろう? ボクの拳がほとんど効いていないのを。あれが精一杯。挑発程度ならまだしも、ダメージにはならないだろうね。ついでに言うと、ボクの防熱装備だと、サラマンダーのブレスは耐えられない」 「ですよね。――私としては、そんな装備でサラマンダーに殴りかかったことが信じられませんけど」 「同感だ。だが、ノルド。サラマンダーが復活することは判っていた......いや、少なくとも、復活させようとは思っていたんだよな? どうするつもりだったんだ?」 アイリスのもっともな指摘に、ノルドラッドはスッと目をそらす。 「......あまり考えてなかった。走って逃げれば良いかと」 「まさかの無計画!?」 「ノルド、実はバカだろう!?」 目を剥に、ノルドラッドはフッと笑って、肩をすくめる。 「研究者なんて、バカにならないと成果が上がらないものさ」 「そっちは研究バカ! お前のは考えなしのバカ! 同じバカでも全然違う!」 「大して違いはないと思うけどなぁ。他人に迷惑をかけるという点では」 「自覚があるなら、もっと考えてくれ!」 「まぁまぁ、アイリス。今は時間がないから。それよりも、ノルドさん。逃げ切れると思いますか?」 だんっ、だんっ、と地団駄を踏むアイリスを、ケイトが頭が痛そうに額に手をやりつつ宥める。 心情的にはケイトもアイリスとまったく同じなのだが、ノルドラッドを問い詰めたところで状況は変わらない。 今は脱出方法を、とノルドラッドに尋ねたが、ノルドラッドは少し考えて首を振った。 「狭い通路でのブレスは危険だからね。装備の良い君たちはともかく、背負ってる荷物とボクは危ないかもしれない」 その言葉を聞き、アイリスとケイトがニヤリと笑う。 「ふむ。ノルドはともかく、荷物が失われるのは困るな」 「えぇ。店長さんから借りている物もあるし......。ノルドさんはともかく」 「君たち、ボクの護衛だよねぇ!? 護衛料、払ってるよね!?」 「護衛対象の無謀な行動までは、面倒見きれない」 「第一、まだ支払ってもらってませんし。――そっか、きちんと連れ帰らないと、支払いが?」 「そうそう。帰り着くまでが依頼の対象だからね」 ホッとしたようなノルドラッドに、アイリスはこてんと首をかしげ、真面目な顔で提案する。 「だが、どうだろう? 仕事は半分以上終わったんだ。このあたりで、内金を払ってもらうのは?」 「そうよね。長期契約だもの。全額一括じゃなく、途中で支払いを求めるのは当然よね」 「それ、見捨てる気、満々だよね!?」 仕事を請ける前に言うのならともかく、この場でそんなことを言い出せば、そう思うのも当然だろう。 焦るノルドラッドをアイリスはじっと見つめ、ふっと表情を緩める。 「......冗談だ。二割ぐらいは」 本気!?」 「これ以上おかしなことをしたら十割になる。気をつけてくれ」 「りょ、了解。さすがにボクも、研究成果を持ち帰れないのは困るから、脱出に注力するよ」 鼻白んだノルドラッドを見て少し気が収まったのか、アイリスはこくりと頷くと、ケイトを振り返る。 「そう願う。ケイト、少しでも早く走れるよう、持ち帰る物を厳選しよう。ノルドの荷物は置いていくべきだろう。私たちの前を走りたいのなら」 もあるんだけど......仕方ないか。調査結果だけ持ち帰ることにするよ」 単純な体力でいえば、ノルドラッドはアイリスたちを上回っているだろうが、持っている荷物の量が比較にならない。 さすがにその状態で、アイリスたちよりも速く走れるはずもなく。 だからといって、アイリスたちも命が懸かっている状況で、ノルドラッドの走る速度に合わせる、なんてことはしたくない。 荷物を捨てろというのも、当然の要求だろう。 ノルドラッドは荷物からノートなどの紙類を取り出して懐の中に抱え込み、ケイトもまた、手早く荷物を分類していく。 「重い物は置いておくとして、店長さんから借りた物はできる限り持ち帰らないと。フローティング・テントはさすがに無理だけど」 「借金、一気に増えかねないものな。――なぁ、ノルド。これで失われた荷物は、補償してくれるのか?」 「普通の荷物なら補償するけど......要相談で。さすがに、サラサ君が作った 「水は、水場まで保つ最低限として......」 「食糧は......何日分、必要だ? 何日で森を抜けられるか......」 「ボクなら、毒のない植物も見分けられるよ? 毒がないだけで、味はまったく考慮できないけど」 「状況によっては、それに頼るしかないか。死ぬよりはマシだ」 そうやって荷造りを終え、そろそろ行こうかと、立ち上がりかけたその時だった。 その音は響いてきたのは。 ズズズズ......。 「なん――」 ドガンッ!! ゴゴゴゴッ! 低く響く地鳴りのような音に、突き上げるような衝撃。 それに続く振動。 咄嗟に頭を抱え、しゃがみ込むアイリスたち。 次の瞬間、彼女たちにもうもうとした土煙が襲いかかった。

"Well, good. So, is this the end of Nord's experiment he wants to do? "Right. If you are investigating a living salamander, it is generally over at the last survey site. I couldn't kill him there, so I left this experiment behind." "Then when your health has recovered, let's get out of here early. I can't believe I'm in Salamander's nest." "Right. If Salamander comes after us, we'll be in trouble." As the saying goes, Kate looks softly restless, checking many times in the direction she's come, but Nordrad's one sits firmly down on the ground, and when he clasps Gossogoso and his own luggage, he takes out the jade and shows room to throw it into his mouth. "Because it's a demon that doesn't quite come out of the nest, does Salamander? When crusading, you struggle to pull it out the other way." "That means peace of mind? "I hope so, right? Nordrad laughs with a nigga and has another jade in his mouth. "That's an inclusive way of saying it, isn't it? "I'm not coming out of the nest, but how far do you think the nest range is? "... what is that? The extent of the nest in this cave, the salamander who doesn't come out of the nest may also roam normally,? "Isn't it possible? "That's an unpleasant possibility. I can't deny it." As if to reassure Iris, smiling and shrugging his shoulders, Nordrad offers Iris a bag with an amulet ball. "It's unlikely. I can't believe Salamander came all the way after little things like us." "Gwowow!" A roar echoing in the cave, as if to deny Nordrad's words. ......... Nordrad's movement stops and Iris' cold gaze pierces him. I was just saying something extra. "No! It doesn't matter what I say!?" "... Whatever the word is, I'm not saying who, but someone punched Salamander in the jaw, right? I'm not saying who! "Oh, there you are. I'm not saying who. Normally, you'd get mad if they did that, wouldn't you? "No, but I do! Without that blow, don't you think the braces would have been in danger? It was Nordrad making excuses in a hurry, but Iris' gaze remained unchanged. "Instead, we were suddenly attacked and we were in danger? "I'm late for my first start. ... which we can say is immature" Deal with any situation calmly. That would be a necessary ability, but Nordrad's actions are outrageous enough to seem to have no choice but to be unintentionally frightened. Who punches a salamander with his bare hands like he gets a big burn just touching him? - No, I'm here. Such insanity. "Besides, the braces are braces, and you've been well sprayed. Without the manager's smelter (artifact), it would have been dangerous." "I've only seen chills, but what's that? "It's a magical crystal stone that encloses the magic of" Ice Wall ", deposited by the manager." "All that magic... that's all there is to it." The process of encapsulating magic with magic crystal stones and turning it into a smelter (artifact) can be done by most alchemists, but only by magic that they can use. On top of that, the enclosed magical power depends on the quality and size of the demonic crystal stone, as well as the skill of the alchemist who performed the processing. By "skill", we mean the skill of smelting as well as the skill of magic, so the magic power that can be included is limited to the range of power that you can handle. In other words, an alchemist who can create a magical crystal stone that seals powerful magic is also a powerful wizard. "But there's only one of those. Finally, in my ear, I hear a slight ground sound? "Oh, really? Doesn't sound like me..." Nordrad twisted his neck, but Kate's ears did receive heavy sounds like some big creature walking. And in this situation, you won't even have to think about what the organism is. "Kate's ears are trustworthy because they're pretty good. Consider that ice wall broken through, and you'll be sure." "It's this temperature. You can solve it if you leave it alone." "What do we do? Do you still want to run for the exit? "By the way, Mr. Nord, what about letting Salamander die? Kate asks with slight anticipation, but, naturally, Nordrad shakes his head lightly. "I won't, just like that. You saw that, didn't you? My fist is barely working. That's the best I can do. If it's provocative enough, it won't be damaging. Finally, my thermal gear makes the salamander's braces unbearable." "Right. - As far as I'm concerned, I can't believe I got hit by a salamander with that gear." "I agree. But, Nord. We knew Salamander would come back... no, at least, we were going to bring him back, weren't we? What were you gonna do? Nordrad turns a softly blind eye to Iris' best allegations. "... I didn't really think about it. I thought I should run and run." "Really unplanned!?" "Nord, it would actually be stupid!?" To the two peeling eyes, Nordrad laughs furiously, shrugging his shoulders. "Researchers don't get results unless they're stupid." "You're a research idiot! Yours is a thoughtless idiot! Even the same idiot is totally different! "I don't think it makes a big difference. in terms of annoying others." "If you're conscious, think more! "Well, well, Iris. Because I don't have time right now. More than that, Mr. Nord. Do you think you can get away with it? I can forgive Iris for treading on the estate, as Kate puts her hand on her forehead like a headache. Emotionally, Kate is exactly the same as Iris, but things haven't changed where I questioned Nordrad. Now he asked Nordrad how to escape, but Nordrad shook his head thinking a little. "Braces in narrow aisles are dangerous. Whatever you guys are equipped for, the luggage you're carrying and I might be in danger." Hearing the words, Iris and Kate laugh niggly. "Hmm. Whatever Nord is, don't bother losing your stuff" "Yep. I have something I owe the manager... Anyway, Mr. Nord." "You guys are my escort, right?!? I'm paying the escort fee, right?" "Until the reckless behavior of the escort, I can't take care of it" "First of all, I haven't had it paid for yet. - Oh, well, if we don't get him back properly, the payment? "Yes, yes. Until I get home, I'll be the subject of a request." To Horrible Nordrad, Iris puts his neck down and suggests with a serious face. "But what do you think? I've got more than half the work done. Around here, who's going to have to pay the inside money? "Right. It's a long-term contract. It's natural to ask for payment along the way, not in full bulk." "That, you're willing to abandon it, full of it!?" Anyway, if you're going to say it before you hire a job, if you say that on this occasion, you'll naturally think so. Iris stares at Nordrad in a hurry and loosens his expression all the time. "... just kidding. About 0%." "80% serious!?" "If you do any more weird things, it'll be ten percent. Be careful." "Ri, roger. Exactly. It's hard for me not to bring my research back, so I'm gonna focus on getting out of here." Did you get a little carried away when you saw the nosy Nordrad, and Iris snorted, looking back at Kate. "I hope so. Kate, let's carefully select the things to take home so we can run a little faster. You should leave Nord's stuff behind. If you want to run before us." "I also have some pretty expensive smelters (artifacts)... I don't know what else to do. I'm only going to take the results back." Speaking of simple health, Nordrad would outnumber the Iris and the others, but the amount of luggage he has is not comparable. Exactly in that state, you can't possibly run faster than the Iris. That's why Iris and the others don't want to do anything to match Nordrad's running speed in a situation where their lives are at stake. It would also be a natural request to throw away your luggage. Nordrad takes the notebooks and other paper out of his luggage and takes it into his nose, and Kate also quickly classifies the luggage. "I need to take back what I borrowed from the manager, as far as I can, to leave the heavy stuff behind. I just can't have a floating tent." "Debt, it could increase at once. - Hey, Nord. Will the lost luggage now compensate me? "I'd compensate you for regular baggage... but I need to talk to you. Exactly, when it comes to the smelter (artifact) you made, Sarasa, you can't read the price. I'm going to leave my research tools behind." "Water, as a minimum to keep to the water field..." "The food... how many days do you need? How many days can we get through the woods..." "If I were you, I'd be able to identify non-toxic plants, right? It's just not poisonous, I can't take the taste into account at all." "In some circumstances, do we have to rely on it? Better than dying." That's how I finished packing, and I thought it was time to go, when I was about to get up. That sound has been echoing. Zuzuzuzuzu...... "What -" Dogan!! Gogo, go, go! To the sound of a low, sounding ground, a thrusting shock. The vibration that follows it. Iris with his head in his arms and crouching. The next moment, the soot smoke that had already struck them.

「ア、アイリスさん? その名前は?」 「ふっふっふ。店長殿でも知らないか。これはな、北の方に生息している熊の好物なんだ!」 ドヤ顔で知ったかぶりをするアイリスさん、ちょっと可愛い。 でも、それってお魚の名前ですからね? いや、『クルミ』だって食べ物の名前だから、別に良いといえば良いのかもしれないけど、イメージが......。 「えっと、それは――」 や栗みたいなのか、もしくは柿みたいな果実なのか......ちょっと不思議なところが、 錬金生物 「.........」 返答に困る。 こんなときはケイトさん――も、知らないか。 アイリスさんの言葉を聞いても、何も言わないところを見ると。 この辺には生息どころか、流通すらしていない魚だからねぇ。 私みたいに学校に行って広範囲の知識を身につけるか、興味を持って調べなければ知る機会もない。 そしてそれは、当然にロレアちゃんも同じなわけで――。 「では、こから選びましょうか。どうやって決めます?」 「サケの名前なのだ。本人に決めさせよう」 「アイリス、まだ決まってないわよ? 店長さん、お願いできる?」 「えーっと......解りました」 否定できる雰囲気でもない。 不正ができないわけじゃないけど......あとは祈るのみ。 私が三人から等距離の場所で 「クルミ、クルミちゃんです!」 「マルクが良いと思う」 「サケ。サケだよな?」 口々にそう言って手を差し出す三人を見て、窺うようにこちらを振り返る それに私が頷き返すと、しばらくの間、テーブルの上をうろうろした後――。 「がうがう」 「やりました! 私です!」 ロレアちゃんが差し出していた手の上に、 良かった。 アイリスさんは避けられた。 「むぅ、クルミか。まぁ、クルミも悪くない。――店長殿が選んだ、わけじゃないんだよな?」 「はい。自由にさせましたから。名前決めとまで理解しているかは判りませんが」 の知能は、そこまで高くない。 けど、決して低くもない。 ある程度なら指示した通りに行動できるしの行動を記憶させ、それを実行させることもできる。 もっとも後者に関しては、錬金術で作られる でも、私の気持ちを忖度して、アイリスさんを避けるほどの知能は持っていない......はず? なんか、思ったよりも知能が高そうにも見えるけど――。 「それじゃ、名前はクルミで決まりね」 「明日から、しばらくよろしくな、クルミ」 「がうっ!」 ちょこんと座ったまま、片手を上げるクルミ。 カワイイ。 ......うん、ま、いっか。 賢くて困ることはないよね? ◇ ◇ ◇ サラサとロレアに見送られ、アイリスたちが旅立ったのは、当初の予定通り、サラサが しっかりと遠征の準備を整えたアイリスたちは、森の入り口に向かい、そこでノルドラッドと合流したのだが――。 「それじゃ、アイリス君に、ケイト君。しばらくの間、よろしく頼むよ」 「任せてくれ」 「微力を尽くすわ。けど......凄い荷物ね?」 笑顔で手を上げて、挨拶をするノルドラッドに応えながらも、アイリスたちはやや困惑したように、彼の背後に目を向ける。 今回はやや長期の遠征になるため、アイリスたちも多めの荷物を持っていたが、ノルドラッドの背負っている荷物はその比ではない。 腰の下から頭を越える高さまで。 そんな巨大な、しかもパンパンに膨らんだリュックサックを背負っている。 どう見ても重そうなそれを背負いながらも、足取りに危なげがないのは、ノルドラッドが鍛えられた肉体を持っているからだろう。 いや、正確に言うなら、そんな物を背負って調査をしているからこそ、鍛えられているというべきか。 「これかい? やっぱり調査には色々な道具が必要だからね。サラサ君の作ってくれたテントが予想以上に小さくて助かったよ」 革製のテントという物は、案外重い。 もっと軽い素材で作られたテントもあるのだが、森の中などの不整地で使うことが多い採集者にとって、コストや耐久性を考えれば、選択肢は丈夫な革以外ないに等しい。 それに対し、今回ノルドラッドがサラサに依頼した物は、コンパクトさと軽量化を重視した代物で、錬金術による耐久性向上の付与により、薄く軽い革を使用しながらも、十分な実用性を兼ね備えている。 その分、大きさは成人男性がやっと寝られるだけでしかないし、通常よりも大幅にコストがかかっているのだが、結果として大ぶりの水筒程度にまで小さくできているのだから、さすがは 「これまで、テントはどうしていたんだ?」 「前にもちょっと言ったけど、護衛をしてもらう採集者の所にお邪魔することが多かったかな? 自前で用意することもあったけど、その場所での調査が終わったら、処分してたんだよ。持ち運びに困るから」 ノルドラッドが調査に赴く場所というのは、多くの場合、都市部から離れた場所である。 そのような場所への交通手段など限られ、大抵の場合は徒歩。 ただでさえ大量の調査道具を持ち運んでいるノルドラッドにとって、重たいテントを持って旅をするのはかなりの負担であり、それ故、調査が終われば最寄りの集落で売り払うなり、協力してくれた採集者に譲るなりしていたのだ。 「普通のテントなら、そこまで高い物じゃないからね」 「確かに、常時テントを持ち運ぶのは辛いわよね。私たちも、野宿するときはマントや毛布だけで寝ていましたし」 「そうなんだよ。一カ所に留まって調査をするなら、あった方が良いのは間違いないんだけど、移動中は重いし、普通のテントは広げるのも面倒だから」 「ふむ。であれば、もっと前に今回のようなテントを注文しても良さそうに思うのだが......」 ある意味、もっともなことを訊いたアイリスに、ノルドラッドは不思議そうな表情を見せた。 を買いたいと思えば、簡単に買えるって思ってる? はっきり言って、ここはかなり特殊だよ?」 受注生産という意味でのオーダーメイドであれば、多くの錬金術師のお店で引き受けているのだが、それは錬金術大全に載っている フローティング・テントを例に挙げるなら、単純に浮くだけの機能にサイズ違いが数種類のみ。今回サラサが作ったような、大きさ、素材、機能などがカスタマイズされた物を作れる錬金術師は、さほど多くない。 「その中でも、注文してすぐに作ってくれる錬金術師なんて、ほとんどいないんじゃないかな? そんな錬金術師は、大抵、予約をいくつも抱えているから。田舎のお店なら暇してる人も多いけど、そうなると今度は、腕の方が、ね」 サラサのお店は極端にしても、店を開くために必要なコストは、都会が圧倒的に高く、田舎は安い。 必然的に田舎でお店を開いている錬金術師は、都会でお店を持てなかった――つまり、レベル的に劣る錬金術師である場合が多い。 もちろん、何らかの事情や酔狂、早期リタイヤで田舎に居を構える高レベルの錬金術師もいるが、その数は決して多くない。 「つまり、店長殿は特殊、と?」 「そりゃそうだよ。この国唯一の錬金術師養成学校を実質的に首席で卒業した上に、マスタークラスの弟子だよ? それが特殊じゃなくて何なのさ。なんでこんな所にいるのか、不思議だよ」 「そう言われると、そうよね......?」 借金を抱えていたアイリスたちにとって、錬金術師のお店はただ素材を売る場所であり、 村から出たことのないロレアに比べればマシだが、小さな騎士爵領で育ったアイリスたちも錬金術に対する知識はさほど多くなく、錬金術師の基準はサラサ。 彼女が特別なことは認識しているが、はっきり言えば、それでも世間一般の認識とはややズレているのだった。

Alchemy Organisms () "A, Mr. Iris? What's that name? "Pfft. Don't you even know the manager? This is a bear that lives in the north! Mr. Iris, who gets to know each other with a Doya face, is a little cute. But that's a fish name, isn't it? No, 'walnut' is the name of the food, so maybe it's good to say otherwise, but the image... "Uh, that 's-" "That being said, I don't know the details either. What the hell kind of nuts are they? Is it like chestnuts, chestnuts, or persimmon fruit... a little strange, don't you think it suits alchemy creatures (homunculus)? ......... I have trouble responding. At a time like this, Mr. Kate - don't you know that? When I hear what Mr. Iris has to say, I see him saying nothing. Instead of living around here, it's because it's a fish that hasn't even been distributed. You either go to school like me and gain extensive knowledge, or if you're not interested in finding out, you don't get a chance to know. And that, naturally, is why Lorea is the same... "So shall we choose from these three? How do you decide? "It's Sake's name. Let the person decide." "Iris, we haven't decided yet, have we? Mr. Store Manager, can you do me a favor? "Erm... ok" Nor is it a deniable atmosphere. Not that I can't be wrongful... but all I have to do is pray. I decontrolled the alchemy organism (homunculus) at equal distances from the three of us. "It's walnuts, walnuts! "I think Marc is good" "Sake. Sake, right? Alchemy creatures (homunculus) look back at the three people who say that to their mouths and give them their hands and peek at them. And when I nod back, after wandering around the table for a while... "Garu." "I did it! It's me!" On the hand that Lorea was offering, the alchemy creature (homunculus) again 'walnut' jumped on the pong. Good. Mr. Iris was avoided. "Mmm, walnuts? Well, walnuts aren't bad either. - The manager chose it, didn't he? "Yes, because I let you go free. I don't know if you even understand name fixing." The intelligence of alchemy organisms (homunculus) is not that high. But it's never even low. To some extent, we can act as instructed, or we can make certain behaviors be remembered and executed. Regarding the latter most of all, alchemy creatures (homunculus) are made of alchemy, so intelligence doesn't really matter. But I'm not intelligent enough to shun my feelings and avoid Mr. Iris...... should I? Something seems more intelligent than I thought... "Well, that's a walnut name." "Tomorrow, it'll be a while, walnut" "Ugh! A walnut with one hand up while sitting properly. Cute. ... Yeah, let's go. You're smart and you don't have a problem with that, do you? ◇ ◇ ◇ Sarasa and Lorea dropped me off and Iris traveled the day after Sarasa completed the alchemy (Homunculus), as originally planned. The Iris, well prepared for their expedition, headed to the forest entrance, where they joined Nordrad... "Well, to you, Iris, Kate. For a while, thank you." "Leave it to me." "I'll do my best. But... great stuff, huh? Hands up with a smile, responding to Nordrad who greets him, yet the Iris look behind his back, as somewhat bewildered. The Iris also had more luggage because this time it would be a slightly longer expedition, but the luggage on Nordrad's back is not the ratio. From below the waist to the height over the head. He carries such a huge, and swollen rucksack on his bread. It seems heavy no matter how you look at it. While carrying that, there's probably no danger in your footsteps because Nordrad has a forged flesh. No, if I'm being exact, should I say that I'm being trained because I'm doing research with that thing on my back? "Is this it? I knew I needed a variety of tools to investigate. Sarasa, your tent was smaller than I expected." Leather tents are very heavy. Some tents are made of lighter materials, but for collectors, who often use them in uneven lands such as in the woods, given their cost and durability, the choice equals no other than sturdy leather. In contrast, what Nordrad requested from Sarasa this time is a substitute for the emphasis on compactness and lightness, which, thanks to the granting of improved durability through alchemy, uses thin and light leather, while still being sufficiently practical. For that matter, the only size is that adult men can finally sleep, and it costs a lot more than normal, but as a result it is smaller to about the largest water bottle, so that would be the smelter (artifact). "So far, how'd you get the tent? "As I said a little before, did I often interrupt a gatherer's place to have him escorted? Sometimes I prepared it myself, but when I finished my investigation at the place, I was disposing of it. Because I have trouble carrying it." The place where Nordrad goes to investigate is often a place away from urban areas. Limited transportation to such places, etc., mostly on foot. Even for Nordrad, who carries a large amount of investigative tools, traveling with a heavy tent is a considerable burden, so once the investigation was completed, he would sell it off in the nearest settlement, giving way to the collectors who cooperated. "A normal tent is not that expensive." "Sure, it's hard to carry a tent all the time, isn't it? We slept in capes and blankets when we went wild." "That's right. If you're going to stay in one place and do your research, you should definitely have one, because it's heavy on the move, and it's troublesome to expand a regular tent." "Hmm. If so, I think it would be nice to order a tent like this one a long time ago..." In a way, Nordrad gave Iris a strange look when he asked what was best. "Is that it? Do you think that if you want to buy these kinds of smelters (artifacts), you can buy them easily? Just so we're clear, this place is pretty special, huh? If it's custom-made in the sense of order production, we take it from many Alchemist's stores, but it's just that they can make the smelters (artifacts) listed in the alchemy. If you take floating tents as an example, there are only a few different sizes for functions that simply float. There are not many alchemists who can make customized objects like the size, materials, features, etc. made by Sarasa this time. "Among other things, few alchemists will make it as soon as they order it, right? Such an alchemist, for the most part, has a number of reservations. A lot of people are free in country shops, but then again, arms are better." Sarasa shops, even at their extremes, are overwhelmingly expensive in the city and cheap in the countryside to open. Alchemists who inevitably open shops in the countryside could not have shops in the city - that is, they are often inferior alchemists on a level. Of course, there are some high-level alchemists who stay in the country due to some circumstance, drunkenness, or early retirement, but that number is never high. "I mean, the store manager is special," he said? "That's right. After graduating from practically the only alchemist training school in the country, you're a master class apprentice, right? That's not special, is it? I wonder why you're here." "When they say that, right...? For the Iris, who were in debt, the Alchemist's shop was just a place to sell materials, and not only did they afford to buy smelters (artifacts), but they didn't have the opportunity to get close to the Alchemists. It's better compared to Lorea, who has never left the village, but neither do the Iris, who grew up in the Little Knight's Land, have much knowledge of alchemy, and the alchemist's standard is Sarasa. She recognizes something special, but clearly, it was still somewhat out of tune with public perception.